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持ち帰ったキャラで雑談 その二

26確執編十二章:振り返りの推奨      2/7:2007/05/31(木) 20:41:24

 ・零日目 サイド:リディア

「あ、早苗さん。私も手伝います」
 古河家がここに来てから、それなりの時間が経つ。
「いえ、私は大丈夫ですよ」
「けどいつも仕事を任せてたら悪いです」
 早苗さんは四六時中家事で体を動かしている。
「好きでやってることですから」
 にこりと笑顔。
 そう返されてしまうと、何も言い返せない。
 と、そこに秋生さんと渚が乱入。
「おー、早苗。今日もコスモにシャインな感じが素晴らしいぞ」
「秋生さんも、ポップでシルクな感じがとっても素敵ですよ」
「そーかそーか。おら、マイソン渚もグレートにボムってみろ」
「私ボムったりしないですっ」
「それに秋生さん、ソンは息子ですよ」
「あー、そうだっけか? 何、生えてるか生えてないかの違いだろ」
 ……何ていうか、この一家はすごい。
 親子という明確な形を持った『家族』を見るのは久しぶりだったので、
危うくこれが普通の『家族』なんだと最初は錯覚しそうになった。
 ――けど、理想的なことには変わりないよね。
 素直に、羨ましい。
 それはかつてあったもの。
 けど今はないもの。

 声をかけることさえ憚れる気がして、私は無言でその場から離れた。

 今に不満があるわけじゃない。
 そんなこと考えたらみんなに失礼だ。
 だから、そう――それはわがままなんだと思う。
 今に満足してて、それでも求めずにはいられない衝動。
 この感情を的確に表現出来る語彙を私は持っていない。
 ただ、強いて言うならば。
 それは、迷子の子供が覚える『喪失』に近かったのかもしれない。

 気がつくと、私はいつも早苗さんの後についてまわっていた。
 何かをするわけでもなく。何かを求めるわけでもなく。
 ただ、隣においてほしかった。
 ――誰よりも、お母さんに近い人だったから。
 そこに失った『母親』の幻想を重ねてるだけだということには、とっくに気づいていた。
 けど、それでもよかったんだ。

 だって、早苗さんは涙が出るくらい優しかったから。


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