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持ち帰ったキャラで雑談 その二

35確執編十三章:落日の語り草      4/7:2007/06/09(土) 21:35:26

 ・二日目 PM5:30

 日が暮れた。
 電気を点けようとする者はなく、落日の闇が部屋の中に立ち込める。
 その場にいたのは、3人。
 うち1人はベッドを占領して昼寝の真っ最中。お陰で部屋は嘘のように静かだ。
 必然的に、一対一の構図となっている。
 そのもう一人は、暗がりの中に浮かぶかすかな光を頼りに、変わらず書物を読みふけっていた。
「さっきから何を読んでるんです?」
 問いかける。返答は、一拍置いてから来た。
「特殊相対性理論の基礎理念」
「面白いの読んでますねー」
「暇つぶしにはちょうどいいかな。一般人向けの簡略書だし」
 言葉が途切れる。
「……あー、こうして二人で話すのって、初めてじゃありません?」
「だっけ? そんな大したことじゃないでしょ」
「目、悪くなりますよ?」
「じゃあ電気点けてよ」
「アスミが起きるかもしれませんし」
「なら最初から言うなっ」
 言葉が途切れる。
 わかっていたことだが、会話が続かない。
 意図して避けられているわけではない。おそらくは、だが。
 ただ、向こうからこちらに話しかけてくることがほぼ皆無なのも事実だ。
「あなたは、聞かないんですね」
「何を?」
「俺が何をしようとしてるのか」
 それは漠然とした表現だったが、意味は容易に相手に伝わった。
「話す気があるの?」
「当事者達に対しては黙秘権を行使するつもりですが」
「……話したいの?」
「はい、すごく」
 ぱたりと本を閉じる音。
 部屋は完全に闇に包まれ、すぐ近くの相手の顔さえ伺えない。
「じゃあ聞かせてよ。リディアとアーチェに、何をしようとしてんの?」
「少なくとも、あの二人の喧嘩の仲裁ではないです」
「そうなの?」
 意外、と言外で言っている。
 単純に考えれば、それが一番ありそうな答えだろう。
 発端がそこにあるのは明白なのだから。
「しょせん俺も部外者ですから。二人の問題は、二人でしか解決できないでしょう?」
「てっきりお節介で茶々を入れようとしてるんだと思ってたけど」
「そんなことしたって二人に嫌われるだけです。
 ……好き好んで嫌われたがる奴なんていませんよ」


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