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持ち帰ったキャラで雑談 その二

94確執編十五章:再動の荒野        2/7:2007/06/24(日) 22:34:21
 あ、と思った時にはアスミは窓から飛び降りていた。
 くるくると宙で2回転ほどした後、足から地面に着地。ほとんど音がしなかった。
猫みたいだ。風をはらむスカートでやるんだから尋常じゃない。
「目が回るー」
 口調の割に足はまったくふらついていない。
 物理障壁を張って着地した私でさえ、軽く膝が笑っているのに。
「ねぇアスミ、聞いて。私は……」
「とりゃー」
 説得の言葉に返ってきたのは火球だった。
 やっぱり無理か、と思う。
 一度動き出したら止まらない性格なのは私もよく知っている。
 テレビを見出したらひとつの番組が終わるまで身じろぎしない。
 お菓子を食べだしたら横で戦争が始まっても無視して頬張り続けるだろう。
 彼女を突き動かすものは『関心』と『情動』だけ。
 そして今、彼女の情動は私を滅ぼすことにのみ向いている。

 これは罰だ。
 私は私のために彼女を裏切った。
 確かに意図してそうしたわけじゃない。けど、そんなのアスミにはそれこそどうでもいいことだ。
 言葉じゃアスミは決して止まらない。
 なら、どうすればいいんだろう。どうすれば償えるんだろう。
 ここでアスミに殺される? もちろん却下だ。
 じゃあアスミを殺す? ありえない。それも二重の意味で。
 一体、どうすれば――

「もえろー」

 言葉通りのものが来た。
「くっ!」
 とっさに冷気系の魔法で壁を張り、その場から全力で飛びのく。
 一瞬で気化した氷壁は軽い水蒸気爆発すら起こして消滅。
 力の違いがどれほどあるかは明白だ。


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