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持ち帰ったキャラで雑談 その二

22対峙編       5/7:2007/05/22(火) 22:07:36
「……ケリをつけよう、ライール」
 アーチェの右手に光が宿る。同時に青白色の魔法陣が、彼女の足元で淡い輝きを発し始めた。
「これからもあたしにアンタを憎ませるなら、この世界からあたしを消して。
 それを認めないっていうなら、あたしは全力でアンタを――倒す」
「……それが無意味なことだと、理解していますか?」
「どういう意味?」
「俺がそう望むだけで、あなたは決して俺に魔法を使えない。そういうルールだからです。
 今この瞬間に俺に土下座して許しを請わせることだって可能なんですよ?」
「悪人気取りはいいって。つまんない」
 そんなことが出来るなら、とっくの昔にアーチェの風呂ぐらい覗いているだろう。
 彼は何よりアーチェ達の意思を尊重する。
 今、こんな状況が生まれていることこそが、その証だ。
 彼が許さない限り、アーチェは彼に反抗心を抱くことすら出来ないのだから。
「アンタが許せないのは自分だけ。その動機付けのためにあたしを利用しないで」
「あなたは俺を肯定しない。それが最も自然な在り様なんですよ」
「勝手に決めるなっ!」
 あいている左手で、彼の頬を思い切りひっぱたく。

「アンタの勝手な理屈で、毎日身近にいる人を嫌って生活するなんてまっぴらごめんよ!」

 その言葉に、彼は初めて動揺の表情を浮かべた。
「……そうか、そうですよね。そこまでは考えていませんでした」
 そして、苦笑。救いようがないな、というように。
「他人の心を完全に把握出来ると思うことが、そも愚かなんでしょうね」
「当たり前のことを今さら語ってんじゃないわよ、バカ」
 アーチェの顔にも薄い笑みが浮かんでいる。
 その右手の輝きが、さらに増した。
 夜を引き裂くほどに青白く燃える光。
「ここであたしがアンタを撃てなかったら、アンタは今のあたしが望む通りにしなさい。
 これはアンタが想像《創造》する、紛れもないあたしという存在が紡いだ結論よ」
「もし、撃てたら?」
「アンタは確実に死ぬ。それでこの『夢』は終わる」
「そうですね。その通りだと思います」
 故に、これは駆け引きにすらなっていない。
 終わりを迎えたくなければ従えと言っているのだ。最初から選択の余地などない。
 それを把握した上で、彼は頷いた。
「……わかりました。あなたが望むようにするといいでしょう」
 その言葉に、アーチェの瞳から感情が消えた。


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