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持ち帰ったキャラで雑談 その二

99確執編十五章:再動の荒野        7/7:2007/06/24(日) 22:39:42
 頭が真っ白になった。
 酔っ払うって、こういう感覚なんだろうか。
 目が回る。気持ちが悪い。
 自分が地面に倒れたことにさえ、最初は気づかなかった。
 メテオを使った経験は片手で数えられる程度しかない。
 さっきのダブルタスクが想像以上に無理があったのかもしれない。
それにしても気絶するとは思わなかった。
 頭を振って、立ち上がる。
 あぁ――わかっていたこととはいえ、直視するのが憚られる。

 あたりは荒野と化していた。
 綺麗だったたくさんの歴史的建造物も、すべて消えてしまっただろう。

 ――アスミ、は?
 いた。月の表面みたいにクレーターが続く中、彼女はぽつんと一人立っていた。
 火竜の姿はない。あの巨体に隕石が直撃したならひとたまりもなかっただろう。
 アスミは放心したようにその場に立ち尽くしていた。
 彼女を支配するものは極めてシンプルだ――気に入らないものは、滅ぼす。
 圧倒的な力はそれを可能とし続けてきたはずだ。
 今だって、別にアスミは負けたわけじゃない。
 ほんの一瞬、私の覚悟が彼女を上回っただけ。
 まだ余裕がある彼女に対して、私にはもうマッチの火くらいの炎を出す魔力も残ってない。

 ――けど、これで、終わり。

「アスミ」
 呼びかける。目が霞んで、アスミがこちらに反応したかどうかはわからない。
「いいもの、あげよっか」
 言う私の手に握られているのは、たった一個の飴玉。
 さっきプリシスからもらったものだ。
 私にアスミの信念を破壊することは出来ない。
 出来ることがあるとしたら、それは――
「食べない?」

 何かがこちらに駆け寄ってくる。

 私は残されたわずかな意識でそれを感じ取る。

「たべるー」

 私の手を握ってくる、温かい感触。


 ――それが、最後に認識できたものだった。


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