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持ち帰ったキャラで雑談 その二

33確執編十三章:落日の語り草      2/7:2007/06/09(土) 21:29:04

 ・二日目 PM1:00

 ぼんやりと天井を見上げる。
 こんなにこの部屋が静かなことは滅多にない。
『わー、すべるー』
『アスミー、それもとはむじん君用のローラーだから。無茶な使い方しないでよー』
 窓の外から聞こえてくる穏やかなやりとり。
 平穏、という言葉で表される瞬間。
 それが仮初の、あるいは逃避の結果得られたものであっても、大事な一時であると思う。
『とつげきー』
『ちょ、こっち来んな、ぶつかるって!』
『おまえもすでにしんでるー』
『道連れッ!?』
 激突音。
 ――穏やかだと、思っておこう。
 ふと何となく小腹がすき、冷蔵庫を漁ってみる。
 遅い朝食だからと軽めにとったのがよくなかったかなーと独りごちつつ、
 見ると冷凍肉まんがあと一個。
「……誰も、いない」
 わかっているのに、あたりを見回さずにはいられない。
 普段だと大概命をかけた奪い合いになる。
 もっとも、自分はそれに参加することはない。
 弱肉強食の世界において、男はそれだけでヒエラルキーの最下層に位置づけられる。
 今、自分は何かに勝ったような気がした。
 ――悲しすぎる錯覚だったが。
 肉まんをレンジに放り込んで、一分。
「さって、と……」
 終了を告げる軽い音と共に、取り出した瞬間。
「おなかすいたー、ごはんだー」
 いきなり窓が開いた。
「ごはんはっけー」
 即座に肉まんに反応した。というか、
 ――まさか匂いを嗅ぎつけて……!?
「こ、これは俺のです! いつもあげるとは限りませんよ!」
「ずるいー。おなかすいたー。たべるー」
 言いながら、窓からこっちに駆けてくる。
 すごい速さで。
「なっ!? あ、こらローラーのまま部屋に入るんじゃ」
「おまえもすでにしんでるー」
「連続殺人ッ!?」
 激突音。

 結局、肉まんは餌に釣られた魚のように食いついてきたアスミに略奪された。


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