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持ち帰ったキャラで雑談 その二
95
:
確執編十五章:再動の荒野 3/7
:2007/06/24(日) 22:35:23
逃げるしか選択肢がなかった。
正面からやりあえるほど力の差は小さくないし、そもアスミに攻撃すること自体が躊躇われる。
建物の影に隠れるようにして、極力アスミとの線上に何かを配置する。
けれど――
「おにごっこだー、おにを捕まえよー」
すぐ背後から聞こえてくる声をこんなにうすら寒く感じたことはない。
私も体力がある方ではないけど、それでも人並み以上に走れる自信はある。
異常なのはアスミの速さだった。
さっきの飛び降りといい、普段の彼女とは明らかに違う。
そう。私は勘違いしていた。
あの娘は、アスミは、私のような人間とは違う。
あの娘、なんて表現をしているけれど、私より何十倍も長く生きているらしい。
けどアスミは決してそんな素振りを見せない。
魔法使いを自称しているのに、魔法を使うところを見たこともなかった。
その意味について深く考えたことはなかった。
自身で言うほど魔法が使えないのか、単に争いが嫌いなんだろう――その程度にしか。
『数えるのも馬鹿馬鹿しいくらいの戦闘の果てに正悪を決める心の秤を捨て、
争いをやめない愚か者に等しく「焦滅」を与える「現象」と化した』
アスミは魔法を使えないんじゃない。使わないんだと『彼』は言った。
理由は、何となくだけどわかる。
強すぎる力を持つと理性が破壊されてしまう。その危険性は私も知っている。
アスミはああ見えて、きっと誰よりも強い。
自分の力に殺されないよう、これまでずっと戦い続けてきたんだから。
彼女が力を振るうのは、自分の力に負けた者だけ。
自分の力で人を傷つけようとする者だけ。
つまり――私だ。
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