したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

Game全般

1とはずがたり:2008/03/24(月) 21:48:24
Lv:36
しょくぎょう:かんりにん

352名無しさん:2015/05/31(日) 21:43:59
>>351

最終局は頂上決戦
この数年で劇的に強くなったコンピュータ将棋。2010年には清水市代女流王将、2012年には故・米長邦雄・将棋連盟会長(永世棋聖)に勝った。そしてついに2013年4月、現役の男性棋士に連勝したのである。大きな節目を迎えた。人工知能の専門用語でいえば「シンギュラリティ──技術的特異点を迎えた」といえるだろう。
電王戦第5局(最終局)は現役プロ棋士の中でも最上位「A級」に属す三浦弘行八段が登場する。三浦八段は、かつて羽生善治七冠王から一冠(棋聖位)を奪ったこともある。
対戦するコンピュータは、東京大学大学院総合文化研究科の教員・学生が開発した「GPS将棋」である。昨年開催された第22回世界コンピュータ将棋選手権で優勝している。「GPS将棋」は、汎用PCを大量につなげた演算処理、クラスタリングと呼ばれる技術を使っている。今回の対局にむけて、東京大学は学内にある700台以上のPCを「GPS将棋」に提供することを特別に許可した。
1秒間に約2億8000万手を読むとも言われる「GPS将棋」と、A級棋士・三浦弘行八段の戦い。「GPS将棋」が勝てばコンピュータの3勝、1敗、1引き分け。三浦弘行八段が勝てば2勝、2敗、1引き分けとなる。第5局は4月20日に行われる。

平林久和
株式会社インターラクト代表取締役/ゲームアナリスト
1962年神奈川県出身。青山学院大学卒。ゲーム産業の黎明期に専門誌の創刊編集者として出版社勤務。1991年に起業。現在に至る。著書、『ゲームの大學(共著)』『ゲームの時事問題』など。デジタルコンテンツ白書編集委員。2012年にゲーム的発想(Gamification)を企業に提供する合同会社ヘルプボタンを小霜和也、戸練直木両名と設立、同社代表を兼任。俯瞰的であること、本質を探ることをポリシーとする。

353名無しさん:2015/05/31(日) 21:45:18
http://bylines.news.yahoo.co.jp/hirabayashihisakazu/20130421-00024503/
日本的美徳がファンを魅了した。将棋・電王戦
平林久和 | 株式会社インターラクト代表取締役/ゲームアナリスト
2013年4月21日 10時37分

将棋というゲームに審判はいない。
敗者が自ら負けを認めたときにゲームは終了する。

「負けました」とはっきりと声に出して言う。朝から夜まで目の前に座っていた対局者に聞こえるように言う。大きな棋戦ならば、立会人にも聞こえるように負けを宣言することが、古くから続く将棋の作法だ。声を出すと同時に、右手を駒台に置く。この所作もまた、敗北を宣言するときに欠かせない作法のひとつである。

勝者は平静を保たなくてはいけない。ガッツポーズなどはもってのほかで、笑うことさえも許されない。勝敗が決まった瞬間に勝者がするべきことは、ただひとつ。「ありがとうございました」と敗者に向かって礼を述べることである。

第2回・将棋電王戦が終わった。最終局、第5局はコンピュータ側の勝ちだった。第22回世界コンピュータ将棋選手権で優勝した「GPS将棋」は強かった。プロ棋士の最高クラスA級に属す三浦弘行八段に「(自分の指し手の)どこが悪かったのかが、わからない」「(GPS将棋には)つけいるすきがない」と言わせるほどの完勝だった。これで全5戦の通算成績はコンピュータの3勝1敗1引き分けとなった。

コンピュータと人間が対局する電王戦は大いに盛り上がった。「他のタイトル戦よりもはるかに多くの報道陣が将棋会館に来ている」と語ったのは、第4局で解説者をつとめた木村一基八段だ。電王戦の主催者、株式会社ドワンゴの川上量生(かわかみのぶお)代表取締役会長は、同社が運営する「ニコニコ動画での電王戦、総視聴者数は190万人」と語った。将棋人口は減っているにもかかわらず、電王戦がこれほどまで世間の注目を集めたのは、そこに上質な人間ドラマがあったからだろう。

電王戦の対局で、プロ棋士の前に正座するのは人である。奨励会と呼ばれるプロ棋士養成機関に所属する若手が、コンピュータが選んだ指し手にしたがって駒を動かす。勝負が終わると、奨励会員と席をかわってソフトウェアの開発者が将棋盤の前に座る。そして終局の挨拶を行うのだが、このとき、開発者たちは皆、居住まいを正して深々と頭を下げた。対局後には記者会見を行う。会見場でソフトウェアの開発者たちは口々に、プロ棋士との対戦が実現できたことへの感謝の言葉を述べた。

コンピュータというと、ともすれば冷たい印象を受けるが、電王戦に出場した開発者たちは他者への思いやりに満ちていた。対局中、記者会見、休憩中、終局後、どんな時でもプロ棋士への敬意を全身で示す。ゆえに将棋ファンたちは、コンピュータを憎い敵とは思わない。ただの機械とも思わない。血の通った好敵手とみなして、この棋戦に夢中になったのだ。

354名無しさん:2015/05/31(日) 21:45:28
>>353

じつは、電王戦開始まえからコンピュータが強いことはわかっていた。コンピュータ同士の戦いで、実力を十分に示す棋譜を残していた。一部のソフトウェアは棋士に貸し出され、練習の段階でプロ棋士を何度となく負かしていた。今のコンピュータは強い。だが、弱かった昔の記憶があるために、プロ棋士はコンピュータに勝って当たり前のムードが漂っている。電王戦に出場することは勇気のいることだ。それでもなお臆せずに、プロ棋士は果敢に挑戦した。通常の棋戦以上の意気込みで対局をした。その姿にファンは感動した。言ってみれば、コンピュータと対局することにより、プロ棋士をいっそうプロ棋士らしくさせた電王戦だった。

第5局、「GPS将棋」は東京大学内にある670台以上のPCをネットワーク接続して指し手を計算していた。1秒間で2億5千万通りを計算できる設定だった。対局終了後、観戦していた記者の何人かが「大量のコンピュータを接続していたから負けた」、言い訳を聞き出すような質問をしたが、三浦八段はこの誘導尋問にひっかからなかった。「GPS将棋はコンピュータの台数が1台でも強い」と潔く負けを認めた。勝負には負けたが、相手の強さをたたえる態度はプロ棋士らしかった。

同じ会場で「GPS将棋」の開発者、金子知適(かねこともゆき)氏は、記者からもはやコンピュータは人間に負けない、という趣旨の無敵宣言を引き出すかのような質問をされた。しかし、金子氏は「コンピュータの将棋は出来不出来が激しいものです。一局で強さを申し上げることはできません」と答えた。

コンピュータと人間が対戦することで注目された電王戦。終わってみれば、敵味方に関係なく、人間たちが将棋というゲームに挑む姿が見る者に感動を与えた。

コンピュータを強くさせたのは、おもしろいことに今回の敵だ。コンピュータの中のデータベースには、プロ棋士たちが20年以上かけて残した膨大な棋譜が格納されている。これからコンピュータの進化を支えるのも、プロ棋士となる。瀧澤武信・コンピュータ将棋協会会長は「開発者がわからないプログラムの弱点を、プロ棋士の先生が解明してくださっている」と語った。

同じことはプロ棋士にもいえて、コンピュータは人間の限界を超えてくれる存在である。第3局でツツカナに負けた船江恒平五段は「コンピュータは私の強いところと弱いところを自覚させてくれた」。谷川浩司・日本将棋連盟会長は「不利になってもあきらめない精神力の大切さをコンピュータから学べる」と語った。「GPS将棋」は三浦八段戦でプロ棋士同士では実戦例のない新手を発見して勝利している。

プロ棋士も。コンピュータの開発者も。
勝っておごらず、負けて悪びれず。戦う相手には最大限の敬意を払って、礼節を重んじる。日本人的美徳を浮き上がらせて、第2回・将棋電王戦は幕を閉じた。

◇ ◇ ◇
既出原稿

コンピュータと人。頭脳の対決。名勝負が続く将棋・電王戦

平林久和
株式会社インターラクト代表取締役/ゲームアナリスト
1962年神奈川県出身。青山学院大学卒。ゲーム産業の黎明期に専門誌の創刊編集者として出版社勤務。1991年に起業。現在に至る。著書、『ゲームの大學(共著)』『ゲームの時事問題』など。デジタルコンテンツ白書編集委員。2012年にゲーム的発想(Gamification)を企業に提供する合同会社ヘルプボタンを小霜和也、戸練直木両名と設立、同社代表を兼任。俯瞰的であること、本質を探ることをポリシーとする。

355名無しさん:2015/05/31(日) 21:46:07
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131022-00000008-wordleaf-soci
羽生防衛の王座戦も盛況 ニコ生の意外な人気コンテンツ「将棋中継」
THE PAGE 2013年10月22日(火)15時41分配信

 「アニメ」「政治」そして「将棋」。あまり関連性のなさそうなこの3つの言葉を聞いてどんな共通点を思いつきますか?

 実はこれインターネットの動画サービス「ニコニコ生放送」の三大コンテンツだそうなのです。アニメや選挙特番は何となくイメージができるけど将棋中継?と思うかもしれませんが、「ニコ生」での将棋のタイトル戦生中継は今や平均20〜30万人の来場者が見込める人気ぶり。配信を手がけるドワンゴによると、人気の秘密は視聴者が好きな時に来場し、気軽にコメントできる「縁台将棋感覚」だそうなのです。

羽生vs.中村の王座戦も中継
 10月21日は注目の対局が行われていました。第61期王座戦第五局。羽生善治王座(三冠)と挑戦者の中村太地六段の対戦は2勝2敗で最終局を迎えていたのです。

 人気トップの羽生に25歳の若手のホープ中村が挑む王座戦は、羽生有利の下馬評を覆し、第三局を終えて中村が2勝1敗とリード、注目度がアップしました。羽生はそれまで通算20期王座を獲得し、同タイトル戦では圧倒的な成績を誇りますが、早稲田大卒で、激しい将棋を指す若手人気棋士、中村が先に王手をかけただけに、ネット界でも奪取に期待感が高まったのです。第4局(羽生勝利)は中村有望とみられた局面もあり、来場者数は30万人超。コメントも約20万と盛り上がりました。第5局は羽生快勝で終わり結果は羽生王座の逆転防衛となりましたが、それでも22万人弱の来場者がありました。昨年末の衆院選生放送開票特番の来場者数約48万人と比較してもヒケをとらない実績です。

 ニコニコ生放送の将棋中継は7大タイトル戦のうち王位戦を除く6タイトル戦で行われており、対局開始から終了まで、ノーカット・完全生中継するのがウリで、公式戦中継は2011年から始まりました。ちなみに王座戦第4局は千日手という引き分けが一度あり、当日続けて指し直し局が行われたため、中継終了は午後11時45分にまで及びました。また、プロ棋士とコンピューターソフトが対戦する団体戦「電王戦」の生中継も人気で、今春に行われた第二回ではプロがコンピューターに負け越した衝撃の展開になったことから、全5局で200万人を超す人が見たといいます。

356名無しさん:2015/05/31(日) 21:46:25
>>355

「縁台将棋」のイメージ
 生中継は単に盤面や対局者の表情を映すだけではなく、ゲストのプロ棋士が「ニコ生」専任の解説者となり、大きな将棋盤で一手一手の説明や次の手の予想を解説します。さらに視聴者が書き込むコメントも見ながら解説するため、リアルタイムで見ている人と解説者が交流するのが特徴。最近の棋界の話題や各対局者の人柄紹介などくだけた話題も出ます。10月17日に開幕した第26期竜王戦第1局(渡辺明竜王対森内俊之名人)では対局者が食べていたおやつが生中継の解説者にも差し入れられ、おやつの解説までするユニークぶりでした。

 意外な人気ぶりについてドワンゴは「特にタイトル戦は進行がゆるやかで長時間にもおよび、棋士が一手指すまでに数分かかることが多いのですが、その間にコメント機能を使って次の手の予想を書き込むなどユーザー同士が交流できる点は ニコニコ生放送と相性が良いみたいです。 羽生三冠がかつての縁台将棋の現代版ですね、と評されましたが その通りだと思います」と話しています。縁台将棋は昭和30〜40年代に夏の夕涼みを兼ねて道端や空き地に縁台を出して将棋を指した風景のこと。ビールを手に野次馬がワイワイ指摘するのが当たり前でした。インターネットを通じて来場者がコメントでつっこみを入れている「ニコ生」の構図と重なります。

息づく米長永世棋聖の精神
 日本将棋連盟が生放送に踏み切ったのは、昨年12月に亡くなった米長邦雄・永世棋聖が連盟会長当時、「インターネットこそ切り拓くべき分野」と積極的に取り組んだことにあります。現在の谷川浩司会長(十七世名人資格者)体制でもこの精神を受け継いでいます。ちなみに中村六段は米長前会長の弟子であることも何かの因縁を感じさせます。

 将棋連盟は「生中継を通じて将棋をスポーツ中継のように見て楽しむファンが増えているようだ。こうしたニーズを大事にしたい」と話しています。前回プロが負け越した電王戦も、第三回を来年3月から4月にかけて実施することが決定。将棋連盟は「ランク上位のプロを送り込む」としていて、今後も将棋の生中継は「ニコ生」のキラーコンテンツになりそうです。

357名無しさん:2015/05/31(日) 21:47:30
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140523-00000029-wordleaf-sci
電王戦「連敗」 将棋界はコンピューターとどう向き合うべきか
THE PAGE 2014年5月23日(金)17時21分配信

 プロ棋士(人間)とコンピューターソフトが激突する将棋の団体戦「電王戦」は2年連続で人間側が敗北を喫したことで話題になりました。チェスやオセロに続き、「将棋もコンピューターが近々人間を追い越す」という声も強まっています。将棋界とコンピューターは今後どのような関係を作っていくべきなのか。コンピューター将棋に詳しい大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員の古作登氏(元週刊将棋編集長)に聞きました。

 ――過去2年の電王戦を見てコンピューターの現在の実力をどう見ますか

「ソフトから見て7勝2敗1持将棋ですから、客観的に見てもすでにトップクラスの棋士(平均的なプロ棋士に対し7割以上の勝率)に並んだと言ってもいいのではないか。ただ部分的にみるとコンピューターの実力もあれと思わせる面もまだある。対決といった面で今が一番面白い時期だと思う」

 ――印象に残った対局は

「一般的にコンピューターソフトは形勢判断を強気に設定し、思い切った踏みこみをするのが強みだ。だが第四戦のツツカナ対森下卓九段で見せたツツカナの戦いぶりは、人間が指しているような手厚い負けにくい指し回しで、どちらが森下さんかわからない感じで驚かされた。この指し方がやや優勢とみられた森下九段を戸惑わせ、逆転されてしまった印象がある」

 ――次回電王戦が行われる場合、連敗したプロ側はタイトル保持者の投入が求められそうですが

「今年の棋士メンバーはタイトル保持経験者の屋敷伸之九段もいたが、順位戦のランキングからいえば5人全員がトップ20に入っているわけではなく、ベストメンバーだったとはいえない。次回やるとすれば現役タイトル保持者1人、トップ10クラス1人、残り3人はコンピューターと対戦する感覚に慣れている若手強豪棋士といった構成が求められるのではないか。ただプロ棋士にとってコンピューターに敗れることは選手生命の危機ととらえられる可能性もあり、プロボクシングの興行のようなうまいマッチメークをしないといけない。先手、後手各三回ずつの六番勝負といった形式もあるのではないか」

 ――将来コンピューターソフトがプロ棋士の公式戦に参加すべきだと考えますか

「人間同士の対局は疲れや勘違いによって逆転する。不利な状況で勝負手を繰り出し相手を動揺させるといった勝負の楽しみがある。スポーツでもミスをしない選手はいない。間違いは恥ではなく逆に面白さを与え、棋譜に味ができるともいえる。だから既存の棋戦にコンピューターが出るのはなじまないのでは。やるなら別の棋戦を作った方がよい」

358名無しさん:2015/05/31(日) 21:47:52
>>357

――将棋界は今後、コンピューター将棋とどう向き合うべきと考えますか

「携帯電話やパソコンでネット対局ができ、タイトル戦も動画サイトで中継され人気になっているようにwebと将棋は相性がよく、将棋界の幅が広がるいい傾向にあると思う。電王戦も『黒船襲来』のようにとらえず、プラスに活用することが大切だ。私は以前から自分が指した将棋の棋譜をコンピューターに解析することをやっているが、それによって自分が陥りやすいくせ、ミスが出やすい状況がかなりわかった。現在51歳だが、近年もアマチュア大会で上位入賞できたのはコンピューターを使った取り組みの効果があったと思う。自分がまったく考えない手も提示してくれるし、コンピューターは人間を補助するものとして大変有用なのは間違いない」

――人工知能研究の世界ではコンピューターの進化はさらに加速し、2045年ごろには人工知能が人類の知能を超えてしまうと予測する「2045年問題」という議論も出ています

「以前はコンピューターの将棋を見ると、これはコンピューターが指しているとわかることが多かったが、最近はコンピューターに人格があるような錯覚を覚えることがある。例えば局面評価の設定を強気からネガティブに見るように変えた場合、負けるのを怖がるコンピューターが出てくるのかといった疑問も生まれる。映画・2001年宇宙の旅では、意思を持つコンピューターが出てくるが、コンピューター将棋もそのような事態が起きるのか。興味はあるが、怖い気持ちもあります」

359名無しさん:2015/05/31(日) 21:48:52
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140912-00000034-wordleaf-soci
将棋「電王戦」は来春終了へ 新しく始まる「タッグマッチ」とは?
THE PAGE 2014年9月12日(金)20時0分配信

 プロ棋士とコンピューターソフトが対戦することで大きな話題を集めた「将棋電王戦」。主催のドワンゴと日本将棋連盟は、団体戦形式の電王戦は2015年春でいったんファイナルとし、これに代わって2016年からは棋士とソフトがペアを組んで対戦する新棋戦「電王戦タッグマッチ」を行うと発表しました。新棋戦の賞金は名人戦、竜王戦に次ぐ規模になることも公表されており、これに先立ち9月20日からタッグマッチのエキシビション戦「タッグマッチ2014」も開幕します。いわば人間とコンピューターの共闘スタイルとなるタッグマッチですが、一方でこれまでの電王戦のような対決の構図とは大きく様相が異なる形になり、ファンがどのような反応を見せるか注目されます。

プロ棋士とソフトがペア組んで戦う
 タッグマッチはプロ棋士がソフトを傍らに置き、ソフトの示す手を参考にしながら自分の指し手を決めていく対局方式。間もなく始まる「タッグマッチ2014」には、プロ棋士12人が参加し、過去の電王戦に出場した「ponanza、ツツカナ、YSS、やねうら王、習甦」の5ソフトのひとつと組んでトーナメントを戦います。棋士とソフトの組み合わせは事前に決定しており、例えばシードの久保利明九段は習甦と、人気棋士の加藤一二三九段はやねうら王と組むことが決まっています。

 タッグマッチはすでに2013年に開催しており、ドワンゴの川上量生会長は「大変な好評をいただき、大きな可能性を感じている」と成功に自信を見せました。習甦と組む中村太地六段は「自分の力とソフトの力の両方を出し切り、最高の棋譜を残せたら」と抱負を語っています。2016年の新棋戦について将棋連盟は公式戦としては位置付けないとしていますが、かなり高額の賞金棋戦となる以上、優勝者は名人、竜王戦並みの格になるともいえます。

 チェスの世界では現在、ソフトの発達が進み、既にノートパソコンでも人間のチャンピオンクラスに勝つレベルになっています。また、人間側がコンピューターで指し手を調べる「アドバンスドチェス」というチェス版タッグマッチも定着しています。

 アドバンスドチェスという試みは、1996年にIBMのコンピューターであるDeep Blueとの対戦で敗れた世界チャンピオン、ガルリ・カスパロフ氏が提唱しました。人間とコンピューターの互いの弱点を補い合って、より高みの対戦を実現することを求めて始められています。電王戦のタッグマッチはこれに倣ったものと考えられます。

360名無しさん:2015/05/31(日) 21:49:45
>>359

「人類だけでは作りえない高み」へ
 昨年3月、この対戦の意義を見出して「アドバンスド将棋」として、「人間とソフトの連合軍」対「ソフト」という対局を主催した工学博士の伊藤毅志氏 (電気通信大学情報工学科助教)は、電王戦タッグマッチについて「自然な展開」としながらも、「人類だけでは作りえない高みへの挑戦となるイベントになることを期待します。単なる興味深い”お祭り”で終わってほしくない」と語ります。

 伊藤氏は「チェスではハードウエアの統一やソフトウエアの利用方法について厳密な規程があり、意義ある対戦になっています。将棋でもレギュレーションを整えて、きちんとした棋戦に成長して欲しい。チェスの分野では、最近はさらに進んでいて、ハードウエアや参加する人間の制限もなくしたフリースタイルチェスと呼ばれるチーム戦のイベントが行われるようになり、あまり強くないプレイヤーでもコンピューターを使いこなすことで、グランドマスター(名人)クラスのプレイヤーに勝つ事例も起こっています。コンピューターの性質を熟知したアマチュアプレイヤーも 参加できるイベントに発展して欲しい」と話しています。

 アドバンスド将棋に対局者として参加した元「週刊将棋」編集長の古作登氏(大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員)はコンピューターと組む効果について、「ポカの防止や、直観で選んだ手の善悪を確かめられること、詰みに近い局面でのソフトの絶対的な信頼度など、私レベルの棋力なら大いにプラスの効果がある」と指摘します。一方で、タイトル保持者などトップ棋士がソフトを使って棋力向上につながるかどうかは「わからない」としています。

 さらに「私は人間が不安や恐怖、ミスによって生じた逆境を乗り越え、棋譜を作っていくことに感動を覚えますので、ミスも含めて作品としての価値が生まれると思う。したがってアドバンスドを用いたミスがない対局が素晴らしい内容の将棋とは必ずしも思わない」と話します。

361名無しさん:2015/05/31(日) 21:50:55
>>360

「電王戦」はどうなる?
 プロ棋士対ソフトの団体戦だった「電王戦」はその独特の対決感やソフトが人間を追い越す日が来るのかという観点から大きな注目を集め、第三回の第五局、ponanzaが屋敷伸之九段を破った対局のニコニコ生放送の来場者数は70万人超と過去最高を記録する人気コンテンツです。団体戦最後とされる2015年の対局者はまだ発表されていませんが、コンピューター将棋の研究の行き届いた若手中心になる見通し。しかしプロ側は過去の団体戦で2勝7敗1分けと苦戦しており、タイトル保持者出場へのファンの期待は当然ともいえます。川上会長も2015年以後も続ける可能性を否定はしていません。タッグマッチだけでは「ファンの支持は得られない。今後、超トップ棋士とソフトとの番勝負といった隠し玉が発表されても不思議ではない」(古作氏)という見方も出ています。

 社会的な話題ともなった「電王戦」。タッグマッチも含め今後の方向性がどうなるか注目されます。

362とはずがたり:2015/06/04(木) 01:03:17

桃太郎電鉄シリーズ終了」KONAMIは否定 「長年かけて育ててきた大切なタイトル」
ねとらぼ 2015年6月3日 20時07分 (2015年6月3日 20時21分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/it_g/20150603/Itmedia_nl_20150603118.html

 生みの親であるさくまあきらさんがTwitterで「正式に終了します」と発言し話題になっている「桃太郎電鉄」シリーズ。この件でKONAMIは6月2日、公式サイトで正式にコメントを発表し、「シリーズ終了」のうわさについて否定しました。

 KONAMIからのコメントによると、次回作については現在、さくまあきらさんと話し合いを続けているものの、残念ながらまだ結論が出ていない状態とのこと。KONAMI側としては「桃太郎電鉄」シリーズについて「長年かけて育ててきた大切なタイトル」ととらえており、「一日も早く、ファンの皆様に喜んでいただける作品をお出ししたいと思っております」と、シリーズを終了については否定しました。

 さくまさんは6月2日、Twitterで「コナミから何の連絡もない。こんな調子でずっとほったらかされた」「すべてコナミの石川が握り潰しました」とKONAMIと担当者への怒りをあらわに。2012年の「桃太郎電鉄TOKAI」以来音沙汰がなかった同シリーズですが、作者の口からはっきりと「終了宣言」が飛び出したことで、ファンからは落胆の声があがっていました。

363とはずがたり:2015/06/04(木) 01:07:10
任天堂の次世代機「NX」のAndroid搭載は事実ではない―報道
インサイド 2015年6月3日 10時39分 (2015年6月4日 00時34分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/game/20150603/Inside_88119.html

任天堂は、次世代プラットフォームとして開発を進めている「NX」にAndroidが搭載される方向とした1日付の日本経済新聞の報道を否定しました。2日のWall Street Jornalが伝えました。

同社の広報担当者は取材に対して「NXにAndroidを搭載することを検討しているという報道は事実ではない」としています。

「NX」は3月に明らかにされた、新しいコンセプトのゲーム専用機プラットフォームの開発コードネーム。岩田聡社長は3月に行われたディー・エヌ・エーとの資本業務提携の発表の場で「NX」を引き合いに出し、引き続きゲーム専用機にも情熱を持って取り組んでいると述べました。

「NX」の詳細は明らかにされておらず、任天堂は2016年まで続報は無いとしています。

364とはずがたり:2015/06/04(木) 08:04:34
さくまあきら「東北復興編は完成していたのに」…『桃鉄』を他メーカーから発売する提案も立ち消え
インサイド 2015年6月3日 14時30分 (2015年6月4日 00時34分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/game/20150603/Inside_88126.html

『桃太郎電鉄』シリーズの産みの親・さくまあきら氏が、シリーズの終了を発表した翌日となる今日、その経緯の一端を明かしました。

『桃太郎電鉄』は長年愛され続けており、それだけに新作が待望されてきましたが、ファンが望むような状況には進展せず、先日「ここに桃太郎電鉄は、正式に終了します」とのコメントをさくま氏が発表しました。

この報告に驚き、また残念に思う声がファンからあがる一夜が過ぎましたが、今もなおシリーズの終焉を惜しむ書き込みがTwitter上で続いています。そして先程さくま氏が、今回の終了発言に関連するコメントを、自身のアカウントにて発表しました。

桃鉄の権利をコナミから買い取って、ほかのメーカーから発売すればという意見もある。だから、コナミにパーセンテージ払って発売することを提案した。コナミの石川は上に聞きますと言いながら、その後もうちが要求した返答なし。だから桃鉄を終了した。 さくま あきら (@isetta_23) 2015, 6月 3

コナミ主導で作ることが難しいならば、パーセンテージを支払うことを前提に、他のメーカーからリリースするというプランを提示したこともあると述べるさくま氏。そしてこの提案に対して返答はなかったと語り、「だから桃鉄を終了した」との経緯を明らかとします。

コナミの内部でどのような動きがあったのかは不明ですが、可否いずれにしても返答がなかったとすれば、さくま氏がシリーズ断念を決めたのも無理のない話かもしれません。なお、以前から構想を示唆していた「東北復興編」が、すでに完成していたことも報告しています。

@kenken_2754 東北復興編はもう完成していただけに残念です。 さくま あきら (@isetta_23) 2015, 6月 3

シリーズファンにとっては、待望とも言える「東北復興編」。完成していると聞けば、なおさらプレイ意欲が高まるばかりでしょう。本当にこのまま埋もれてしまうのか、今後の動向にも注目です。

365名無しさん:2015/06/07(日) 00:17:23
http://logmi.jp/58809
プロ棋士VSコンピュータ、わずか21手で終局した将棋電王戦の裏側に迫る #ニコニコ超会議2015

2015年4月に開催されたニコニコ超会議において、将棋棋士・森内俊之、将棋ソフト「Apery」開発者・平岡拓也、SF作家・瀬名秀明氏、ドワンゴ人工知能研究所所長・山川宏氏、KADOKAWA・DWANGO代表取締役会長・川上量生氏が登壇し、「電王戦から考える、コンピュータと人類の未来」をテーマに意見を交わしました。本パートでは、3月から4月にかけて行われた「将棋電王戦FINAL」を振り返りました。(ニコニコ超会議2015より)

ログ名
ニコニコ超会議2015 / 電王戦から考える、コンピュータと人類の未来
2015年4月26日15時のログ

プロ棋士VSコンピュータソフト、3勝2敗で人間の勝ち越し

司会:将棋について、あるいは人工知能についてということで、それを語っていただくにふさわしい豪華な面々をパネラーにお迎えいたしました。早速本題にいく前に、まず森内先生。

森内俊之氏(以下、森内):こんにちは。

司会:よろしくお願いいたします。

森内:よろしくお願いします。

司会:ニコニコ超会議に来られたことはありますか?

森内:今日初めて来たんですけども、すごい熱気で圧倒されています。

司会:ものすごい熱気ですよね。普段の対局場のように、水が一滴落ちるだけでも聞こえるような静ひつとした空間とは全く正反対の会場ですけども、いかがですか? こちらの会場に来られて、まず率直なご感想は?

森内:いや、今日来るときに、うっかりして一般入場口から入ろうとして。

司会:そうなんですか。それはまた事件ですね。

森内:全然たどりつかないんで、どれだけ人がいらっしゃるのかなと思って、それだけですごいなと。

司会:ご家族でいらっしゃったと伺ったんですけれども、お父さんが気がついたら顔にペイントされているという姿を、お子さんにも見られてしまう。これはいかがですか?

森内:びっくりするかもしれませんね。

司会:そんな森内九段にもたっぷりと語っていただきたいと思いますけれども、よろしくお願いいたします。まずはお集まりの皆さん、ご存じかとは思いますけれども、先日まで将棋のプロ棋士とそれからコンピュータソフトの5対5の対抗戦、電王戦が行われておりました。

今年が5対5の形式になりまして3年目、そしてファイナルと銘打たれて3月から4月にかけて毎週土曜日に行われていたわけです。今回初めてプロ棋士派が3勝2敗と勝ち越しました。

まず今回は電王戦ファイナルを簡単に、皆さんと振り返ってまいりたいというふうに思うんですが、どこからいきましょうか? まずは3勝2敗、プロ棋士が勝ち越しました。

この電王戦ファイナルのプロモーションビデオでは、森内先生は「今回は強いメンバーである」と。「今回こそは人間が勝ち越すんではないか?」とおっしゃっていましたが、そのとおりになりました。今回の3勝2敗という結果についてはどういうふうにお感じになっていますか?

森内:今まで団体戦が2回あって、2回とも人間が1勝しかできずに負けていたんですけども、今回はプロ側も強いメンバーをそろえてきましたし、準備にすごく時間をかけて、そういう対策もしていたみたいなので、結果を出してくれるんじゃないかな? と思って見ていました。

司会:そうですね。今、モニターのほうにも出ております。第1局、第2局人間が勝ちまして、3局、4局とコンピュータが盛り返し、そして第5局、ちょっと物議を醸しました。いろんなニュースにも取り上げられる形になりました。何と21手でコンピュータサイド、AWAKEが投了にて人間側が3勝目という形になったわけですけれども。

366名無しさん:2015/06/07(日) 00:18:04
>>365

開発者にとって電王戦は晴れの舞台

司会:平岡さんがコンピュータソフト、強い将棋ソフトを開発しているというのはお仲間もいろいろご存じだと思うんですけれども、今回の電王戦についてはどんなことを言われましたか? 終わった後は。

平岡拓也氏(以下、平岡):終わった後は「残念だったね」と言われることはありますけど、でもああいう場で指せるコンピュータの開発者として携われたというのは一生に一度あるかないかのようなことですし、非常におもしろい体験ができてよかったというのが感想ですね。

司会:やっぱり3年目、団体戦になりますけれども、コンピュータソフトの開発者の皆さんにとっては、やっぱり電王戦というのは晴れの舞台と見てよろしいんでしょうか?

平岡:そうですね。それはそうだと思います。

司会:最後の総まとめの会見でも申し上げたんですけども、やっぱり対局発表のニコファーレでの会見の、平岡さんの仁王立ちはトータルで1番格好よかったです。ついに出られた平岡さんのあの仁王立ちというのは、僕いまだに忘れてないんですけれども。

対局の結果そのものは残念でしたけれども、貸し出しですとかそういったものにいろいろ思うところはあるというのは電王戦の最後の記者会見でもおっしゃっていました。結果的にはプロ棋士に今回初めて負け越す形になりました。これについてはいかがですか?

平岡:負け越した責任として、やっぱり1敗したのは私のソフトですし、責任はちょっと感じました。でも、負け越すこともあるだろうとはちょっと思っていたので、予想外ということはなかったです。展開としては予想外なことばかりでしたけども、結果としてこういうことは十分起こり得るだろうということでした。

コンピュータが「人知を超えた存在」から、より身近な存在になってきている

司会:瀬名さんは、今回のファイナルはどんなふうにごらんになりましたか?

瀬名秀明氏(以下、瀬名):僕自身は将棋は本当に素人でして、細かいところまではわからないんですけども、後で生ではないんですが、その後拝見しました。それで非常にいろんな人間とコンピュータとの戦いのあり方が、5局通じて何か出ている感じがすごくあって、今までの中では僕は1番おもしろく拝見しました。

司会:SF作家としては年々いろんな人間とコンピュータの立ち位置が変わってくる中でどのあたりが1番ぐっと来る部分だったり、あるいは電王手くんが電王手さんになったりとか、ああいった部分を含めてどうですか?

瀬名:僕は最初、ガルリ・カスパロフさん(注:元チェス世界チャンピオン)がディープ・ブルー(注:チェス専用スーパーコンピュータ)と対戦した頃から、人工知能とかロボットのノンフィクションを書かせていただくようになったんですけど。

あの頃はまだコンピュータが人間と違った知能を発揮して何か恐ろしい手、人知を超えたものを出してくるんじゃないか? みたいなことが言われていたんですけども、今はむしろロボコンとかああいうのとちょっと雰囲気が似てきて、開発者と棋士の人たちとのチームの対戦みたいな、そういうような感じになってきているような気がします。

一方では、だから例えば『2001年宇宙の旅』のHAL9000が人知を超えたチェスを人間とやりますけども、ああいう雰囲気は少し薄れてきて、もっと身近な対戦になったのかなというふうにも思いますね。

司会:距離感の縮まりというのは年々感じますよね?

瀬名:そうですね。

367名無しさん:2015/06/07(日) 00:18:20
>>366

コンピュータ将棋はトッププロにとっても無視できない存在に

司会:第2回の5対5になってからは初めての一昨年の電王戦だったんですけれども、あのときのプロモーションビデオでも「得体の知れないものと暗闇の中で切り合う」というセリフがあるんですけども。森内先生、プロ棋士にとって一昨年の段階というのは、コンピュータとガチンコ勝負でやる団体戦という感覚だったんですか?

森内:やはり初期のころは棋士側にもコンピュータに対する理解というのが余りできていなかったですし、そういう意味では回を重ねるごとに、少しずつ特徴をつかんでいって今があるのかな? という気はしていますね。

司会:森内九段にとっても年々やっぱりコンピュータとの自分との立ち位置ですとかは変わってきましたか?

森内:プロ棋士にとってコンピュータの存在というのは、もうなくてはならないものになりましたし、実際にプロ棋士においても大きな影響を与えていますので、無視できないというか、コンピュータを活用していかに活躍していくか、そういう時代になっているんだなということは思いますね。

司会:そこはもう年齢関係なく、やはり森内九段ほどのトッププロであってももうコンピュータの影響というのは無視できない部分も……。

森内:はい、それは間違いないと思います。

電王戦は「人間とコンピュータの付き合いかた」を考える契機に

司会:山川さんは今回のファイナルはどういうふうにご覧になりましたか?

山川宏氏(以下、山川):私は、立場的には人工知能の研究者なんですけれども、長年人工知能はなかなか追いつけなかったんですが、先ほど暗闇の中でという話がありましたけれども、やっぱり人工知能は手を読むということがすごい得意なわけです。ですから、あまり気の利いた読み方はできない。

プロ棋士の方はコンピュータに比べると読む範囲が全然狭いんですけれども、同じぐらい戦えるということで、直感的に選べるというところにすごい優れていて、やはりその辺の違いがありつつ戦っているというところが電王戦のおもしろいところではないかなというふうにずっと思っていました。

司会:やっぱり興味深い分野なわけですよね。

山川:そうですね。

司会:川上会長も電王戦ファイナルの最終局後の会見で、興業としては大成功であったというふうに振り返っていらっしゃいましたが、改めてファイナル、今少し時間をおいて振り返るといかがですか?

川上量生氏(以下、川上):本当やっぱりドラマでしたよね。よくネットとかを見ると、何か人間対コンピュータということで、ドワンゴがあおったために電王戦がこんなに大変なことになってしまったということで、よく非難とかされているんですけども。

でも、僕らは別に盛り上げようと思って人間対コンピュータでやっているわけじゃなくて、多分人間とコンピュータがどう付き合うのか? これから人間の1人1人が直面する問題なんですよ。

だから勝った負けたということじゃなくて、そのコンピュータとは一体何なのか? そういう問題提起が今回のファイナルは1番出たんじゃないかというふうに思っています。それは本当によかったと思いますね。

司会:大きなテーマの中でそういった違いというのが1番浮き彫りになったのが今回のファイナルであるということですね。

川上:そうです。

368名無しさん:2015/06/07(日) 00:18:39
>>367

永瀬六段の「2七角成らず」について

司会:このファイナルについて、またちょっとお話ししたいんですけども、いろいろ物議を醸す、大きく話題に取り上げられた対局がいくつかありました。例えば第2局の2七角成らず、これをコンピュータが判別できずに王手放棄で敗戦という形になりました。これについては森内九段に伺いましょうか? どうですか? 永瀬六段の選択については。

森内:最後反則ということで決着はついたんですけども、実は永瀬さんだけ取り上げられるんですけど、序盤でも永瀬さんのほうで角王になる、ならないという選択がありまして、そのときはちゃんと角王になって対局継続しているんですね。

そういうところから考えると、永瀬さんは勝敗だけではなくて、その内容というものを重視してやってきたということがよく伝わってくるんじゃないかなと思います。

最後は実際に反則勝ちになるかどうかというのは、本人もわからなかったと思うんですけども、局面自体勝ちでしたので、どちらをやっていても勝っていただろうなということは言えるかなと思います。

司会:私の将棋好きの知り合いに「逆に2七角成りで勝つんだったら、そこからやってきっちり勝ち切ってほしかった」ということも言われたんですけども、それについてはいかがですか?

森内:そういう意見もあると思いますけどね。どうして成らずにしたのかはわからないですけども、それも1つの問題提起になったんではないかなというふうに思いますね。

司会:第5局ともかかわるんですけれども、ルールの中で勝つ確率が1番高い方策をとった2七角成らず、あるいは2八角を打たせる戦法、このあたりについての選択という部分では、森内九段個人的にはどういうふうにご覧になっていますか?

森内:これはプロ棋士個人個人の考え方ですので、いろいろあるとは思うんですけども、やはり団体戦でやっていて2勝2敗で自分のところに回ってきたら、やはり負けたら大変なことになりますんで、そういうことを考えるとやはり勝ち目の高い選択をするというのが自然なことなんではないかなというふうに思いますけども。

司会:最終局の解説をご担当されていて、私が非常に印象深かったのが2八角1回打たないでスルーしてほっとされていて、その後実際に打ってちょっとがっかりされていたようなリアクションだったんですけれども、あのあたりちょっと偽らざる思いと申しましょうか、どうだったんでしょうか?

森内:対局の解説者としては続いていて熱戦になればいいなという思いはありますけども、それは対局するプロ棋士もプログラマーの方もそれぞれ思いを抱えてやっていますので、その中でああいうことになってしまったんで、それはそれで受け入れるしかないかなというふうに思いますね。

内容と勝負の両方に勝つのが、年々難しくなってきている

司会:なるほど。あと例えばプロスポーツの世界ですと、もう何年も何十年もたつと結果だけが残って、その試合がどんな内容だったかというのは結構忘れ去られてしまうんですけれども、将棋というのはファンの皆さんも本当によく内容まで含めて覚えていらっしゃって。

ですので、3勝2敗でプロ棋士が勝ったという結果とともに、第2局はああいうことがあった、第5局はああいうちょっといろんな物議を醸す勝ち方をしたというのも伴って、記憶に残っていくと思うんですけれども、そのあたりいかがですか?

森内:内容で勝って、勝負でも勝てれば1番いいんだと思うんですけど、コンピュータも本当に今レベルが上がっていて、力を出させた上で勝つということが年々難しくなってきていると思うので、その中でどうしていくかということだと思うんですけどね。

ただ阿久津さん(阿久津主税氏)の指した戦法は、ハメ手という表現もあったんですけど、ちょっと思考というかそういう感じは受けましたけども、別に歩いてやっているわけではないので、それで相手が間違えてしまったら仕方がないのかなというところはありますね。

司会:いろいろ伺っていくと2八角打ってこない可能性も十分にあったし、そうなった場合も含めていろいろ対策を考えていらっしゃったというふうに聞きましたけれども……。

森内:実際、その後の永瀬さんとのエキシビジョンマッチでも悪くないということは証明されていますんで、そういう意味では練られた作戦だったのかなと思います。

369名無しさん:2015/06/07(日) 00:18:50
>>368

最善を尽くしておもしろくなるルールを作りたい

司会:改めて平岡さんは第5局はどんなふうにお感じになったんですか?

平岡:やっぱり残念でしたね。1番素直な感想としては残念で、もっとおもしろい将棋の内容が見たかったんです。それはそうなんですけど、だからといって勝つための最善を尽くしたというのは、阿久津さんの批判も覚悟でやったというのはすごく伝わりましたし、それはそれで批判するのも阿久津さんに悪いような気もします。

難しいところなんですけど、やっぱり阿久津さん自身もやるかやらないかの葛藤がすごくあったとおっしゃっていまして、そういう葛藤を生むルールがつらいなと思いましたね。

やっぱり最善を尽くすのが当然で、最善を尽くした結果おもしろくなるようなルールを真剣につくっていけたら、より電王戦をおもしろく見られたのでは? とか、今後もあるなら見られるんじゃないかと思います。

そこのルールづくりというのは本当に対局者並みに真剣に考えてつくるべきところで、すごいいろんな立場の人から意見を聞いて決めていけたらなと思っていますね。

(制作協力:VoTX)

370名無しさん:2015/06/07(日) 00:19:53
http://logmi.jp/58993
プロ棋士のプライドがひとつの敗因 川上量生氏が将棋電王戦にみた、棋士たちの葛藤とは #ニコニコ超会議2015


2015年4月に開催されたニコニコ超会議において、将棋棋士・森内俊之、将棋ソフト「Apery」開発者・平岡拓也、SF作家・瀬名秀明氏、ドワンゴ人工知能研究所所長・山川宏氏、KADOKAWA・DWANGO代表取締役会長・川上量生氏が登壇し、「電王戦から考える、コンピュータと人類の未来」をテーマに意見を交わしました。本パートでは、コンピュータとプロ棋士が公正に戦うことの難しさが語られました。(ニコニコ超会議2015より)

ログ名
ニコニコ超会議2015 / 電王戦から考える、コンピュータと人類の未来
2015年4月26日15時のログ

コンピュータ将棋を開発する魅力は?

山川宏氏(以下、山川):僕は人工知能関係なんで、コンピュータ将棋の開発者の知り合いとかその周辺の人が多いんですけども、結構意見が分かれていて、やはりある程度まで追いついてしまうと、開発する動機として人と戦うということが余り動機づかなくなってしまうという人と。

今回ある程度人間に有利な条件になっていますので、そういう意見とやっぱりそうであっても強くしていくことに魅力を感じるということで、コンピュータ将棋をつくる人の立場から見て、現代のコンピュータ将棋というのがどのくらい魅力的であったり、そうでなかったりするか、平岡さんに聞いてみたいなと思っていたんですけれども。

平岡拓也氏(以下、平岡):もう1回最後の部分いいですか?

山川:コンピュータ将棋を今開発していく自分にとっての魅力というか、動機とかそういうことです。

平岡:単純にコンピュータ将棋はもっともっと強くなりますので、多分まだまだ底は見えていないと思いまして、だから強くなった結果、どんな将棋になるか? というのはすごく興味があって。

また、強いほかのソフトがあってそれをどうしても倒したいという気持ちがありますので、だから相手はいるし、まだまだ強くなる余地があるから、全然モチベーションとして下がることはないですね。

「パソコンの数が多くてもずるくない」必ず生じるトレードオフ

山川:その辺はコンピュータ同士ですと、コンピュータのスペックとかはそろえて戦ったりするということになるんですか?

平岡:そこも別にそろえる必要はないと私は思っています。5月のゴールデンウイークにコンピュータ将棋選手権が行われるんですけど、それはハードウエアの制限が全くないんですね。GPS将棋なんていうのは一時期700台近いパソコンを使用して戦っていましたし。

それってずるいって言うことは簡単ですけど、違いますよね。やってみたらわかるんですけど、絶対大変なんですよ。それなりの苦労があってつくっているし、そのたくさんのパソコンを使うのに苦労したために、1台の評価関数とかほかの部分はちょっと手を抜かざるを得なかったりとか、そういうトレードオフがあるはずなんですね。

だから、ハードウエアをうまく使うところに注力した人には、やっぱりその利点を使わせるというのはフェアなことかなと思っていますね。

371名無しさん:2015/06/07(日) 00:20:24
>>370

人間はコンピュータではなくルールと戦っている

瀬名秀明氏(以下、瀬名):こういう試合って将棋以外にもたくさんあるわけで、例えばロボカップといって、ロボット同士がサッカーをするというのが1997年からずっとやっているんですね。あれも見ていたんですけれども、ルールが毎年毎年変わるんですよね。

ロボットのスペックがどんどん上がっていくんで、例えば今までのルールだと、来年はもうどんどんゴール決めちゃうからおもしろくないと。だからルールをまた変えましょうといって、ロボカップ委員会がルールを変えるんですね。多分こういうのっていうのは、人間の棋士とコンピュータが実は戦っているようでいて、人間は何と戦っているかというとルールと戦っているんですね。

ルールをどういうふうに毎年毎年おもしろく設定できるか? っていうのが勝負どころで、そこが実は1番おもしろいところで、人工知能はまだそれができないんですね。だから、ルールをつくるっていう人工知能はなくて、そこを人間がやらなくちゃいけなくて、実はそれが1番この電王戦でもおもしろいところなんだと思います。

公平な知性VS知性の勝負のための、議論がなされるべき

司会:川上会長、ルールの話です。

川上量生氏(以下、川上):何が1番公平なルールなのかというと、僕が思っているのは、これってやっぱり最終的には知性対知性の勝負なんですよ。つまり、コンピュータのベスト対人間のベストで勝負すべきなんですよね。そうすると、何かそもそも同じ持ち時間で戦うこと自体が本当はおかしいんだと思うんですよね。

だから、例えば人間の棋士だったら正座して戦っていますよね。あれも本当は正座の必要はないんじゃないかと(笑)。いすに座ってネットを検索しながら、もしくはほかの人間と相談しながら、過去の棋譜とかも全部調べながら次の一手を好きなだけ考える。

ずっと考えたとしても、ある一定以上考えると人間が考えられるベストの時間って多分ある程度限界が来ると思うんですよね。そこで本当は戦って、それとコンピュータが考えたというのがどうなのか、というのを調べるというのが僕は本当は1番公平な知性対知性の勝負なんだと思うんですよ。

でも多分そういうことをするのって、人間のプロ棋士の世界ではやっぱり許されない話になっちゃうので、それは本当に公平なルールは何なのか? ということがネットを含めた世論が盛り上がって決まっていくのが僕は正しいんじゃないのかなと思うんですよね。

本当に公平にするんだったら、エネルギーの消費量を同じにする必要があると思うんですよね。だから、人間の脳と同じぐらいのワット数で動くコンピュータで戦うのが本当は筋じゃないかと。

だから、電王手さんも本当は標準装備を義務づけるべきだと思うんですけど、でもさすがにそれはできないからコンピュータはやらなくてもいいとなっているわけですが、そうすると、やっぱり今コンピュータのほうがハンデをもらっている状態なんですよ、実は。

だから、そういうような議論がされるような感じになっていけばいいんじゃないかなと思うんですけどね。いろんな考え方あるので。

372名無しさん:2015/06/07(日) 00:20:40
>>371

それぞれの消費電力をリアルタイムで表示したかった

司会:回を重ねて米長会長の1対1の対戦から4回電王戦やりましたけれども、最初から川上会長は、人間対コンピュータというのは、そもそも不公平であるとお考えだったんですか? それとも回を重ねるごとにそういうお考えに至ったのか。

川上:最初からですね。実は、第1回の電王戦で提案したことがあるんですよね。「戦うときにちゃんと、どういう条件で戦っているのかというのを表示したい」というのを最初から言っていて。

1つ言うのは、電力消費のことをやっぱり表示したかったんですよね。それは第1回、第2回で電力表示ができなかったのはGPSのせいなんですよ。あれの正確な数値が計算できなくて。それがなかったら、本当はどれだけのワット数をそれぞれリアルタイムでコンピュータが使っているのかをまず表示しよう。

別にそれを制限するというんじゃなくて、まずは表示してこういう状態で戦っているんだということをお客さんに見てもらって、そしてだんだんとみんなに考えてもらえるような環境をつくりたいなということを考えていましたね。

シナリオどおりにいかない電王戦の魅力

司会:それが第1回が1対1ワンマッチだったわけですけれども、その次の年から5対5になりました。あれもルールといえばルールなんですけども、我々ジャンプ世代なんていうのは非常に興味をそそられる形式に変わったなと思ったんですが、あれは川上会長のアイデアなんですか?

川上:いや、あれは米長会長のアイデアですね。ただ米長会長は5年かけてやろうとしたんですよ。それで僕の提案というのは1年でやりましょうと。それを毎週やりましょうと。そういうのが僕の提案ですね。

司会:そうしたら結果、あれだけのユーザー数を集めて、コメントも集まりましたし、あの一昨年の結果というのは川上会長は正直、予想どおり、予想以上、どうだったんですか?

川上:電王戦で予想どおりになったことはないんですよね。電王戦がおもしろいのって、みんな真剣勝負なんですよね。真剣勝負で、だからドラマが生まれるんですけど、その中で僕もこういうふうにしたいというシナリオは一応書くんですよ。こうなってほしいなという。一度もそのとおりになったことはないんですね。全くならないです。

当時はプロ棋士が負けるということに抵抗があった

司会:この回で人間が1勝しかできなかったわけですけれども、森内九段、一昨年の電王戦が終わったときに将棋界の空気的にはどうだったんですか?

森内俊之氏(以下森内):まさか1人しか勝てないとは思わなかったんで、コンピュータがそれだけ強くなっているということを改めて突きつけられたわけですね。特に、当時大将を務めた三浦九段が内容的にも完敗で負けたということで、いよいよここまで来たかということで非常に複雑な心境だったことを覚えていますね。

プロ棋士が負けることに抵抗があったのが多分そのときだと思うんで、そのとき出た棋士というのは今以上に切実な思いというのがあったんじゃないかと思いますね。

司会:初めての現役プロ棋士とのガチンコ勝負で、見る側としても本当に勝敗がどうなるんだろうというのは非常に興味をそそられる第2回の電王戦だったわけですけれども。

それが結果ああいった形になって、平岡さんもコンピュータ将棋開発サイドとしてはあのときどうだったんですか? 団体戦やったらいきなり勝ち越しちゃったみたいな。

平岡:それは本当に予想してなかったですね。だから、この先どうするんだろう? と、それからの2年というのは全然予想できなかったんですけど、こういった形になるかと。それでPCが1台になったりだとか、そういうことになるとはまさか思わなかったというのがありますね。

373名無しさん:2015/06/07(日) 00:20:57
>>372

カロリーをそろえて省エネ勝負していても仕方ない

平岡:ルールのところにまた戻すんですけども、制限カロリーをそろえるとかは何か余り本質的じゃないかなと私は思っていて、能力を制限することは何か合理的な理由がない限り必要ないと思うんですね。人間だってカロリーをもっと使って性能がよくなるなら使ったらいいと思うんですけど、使えないだけなんですよね。

コンピュータは別にたくさんつないで、たくさん強くなれるというのは、それは利点だから、そこは制限するというのはそもそもおかしいかなと思うし、車と人間で競争といっても、カロリーそろえたら多分人間のほうが強いですよね。どこを勝負しているのかわからない。省エネ性を勝負していてもしようがなくて。

司会:制限をかけるんじゃなくて。

平岡:将棋の場合は最高性能で競っていたと思っているので、私はそこです。最高性能同士でいかに戦うか。その上でどうしても折り合いつかない部分だけをルールで制限する。例えば、実際に盤に指せないから電王手さんに指してもらうとか、そういうところは必要だと思うんですけどね。

コンピュータVS人間の頂上決戦はやるべきか?

司会:瀬名さんは第2回から第3回にかけて人間が負け越したわけですけれども、カスパロフ(ガルリ・カスパロフ氏)の頃の記憶から将棋界でもこういうことが起きたかと。どんなご感想だったんでしょう?

瀬名:カスパロフの場合は世界最高レベルの人が戦って負けたというのでショックがでかかったわけですね。その後、コンピュータチェスもずっと進歩していると思いますけれども、それほど話題にはなっていないんじゃないかなと思います。

平岡:そうですね、あれがピークですね、やっぱり。

瀬名:将棋の場合は団体戦でこういうふうにつくって、むしろ若手の方にどんどん出ていただいて、しかも開発者の方も非常に若い方々が多いということだと思いますけれども、そういう意味で非常に活気が出た感じで、うまく場づくりができていたということです。

だから頂上決戦は見えていないんだけれども、何かそこは残しつつうまいぐあいにファイナルというのはやったなというのが僕の印象です。

司会:まだこの先がどうなるのかというのがね、まだちょっといろいろわかんない……。

瀬名:だからコンピュータと人間の頂上決戦はやるべきなのか、やらないほうがいいのかという問題もあるんだけど。

司会:いや、これは難しいテーマですね。

平岡:絶対やってほしいですけどね。

瀬名:やってほしいけど、やり方ですよね、だからね。

374名無しさん:2015/06/07(日) 00:21:09
>>373

「制限なし」勝負の実現は可能か?

平岡:1回やれば大胆なこともっとできると思うんですけどね、何かやっぱりそこで制限がかかってて……。

瀬名:やる場合にはコンピュータも制限無視で、がんがん全部つないでスーパーコンピュータの形でやったほうがいいと僕は思います。そのときはね。

司会:そこはいろんなレギュレーションをつけるんじゃなくてということですね。

瀬名:レギュレーションという意味では試合をおもしろくさせるというか、僕たち観客も含めてその対戦がおもしろくなるにはどうしたらいいかというルールづくりですね。

司会:森内九段、やはり望む声はどうしてもあるわけなんですけども、タイトルホルダーですとか、プロ棋士の頂上クラスの棋士とコンピュータの制限なしの勝負というのは望まれるわけですけども、これの実現はどうなんですかね?

森内:どうなんですかね。私も去年までタイトルを持っていましたので、そういうこと聞かれることはありましたけど、ただ将棋連盟の方針というのもありますので、なかなか自分の意見というのは言いにくい状況というのが続いていて。

私がタイトルを持っていたときは、会長からお話があればやりますというふうにお答えはしていましたけども、ちょっとそれ以上はお答えしにくいですね。

将棋棋士が電王戦で負けるのは、プライドのせい

司会:川上会長、ここは一筋縄ではいかないところなんでしょうか?

川上:一筋縄でいかないからおもしろいというふうに、僕はわりとそこは客観的に見ているんですけど、ここがどうなるのかというのもドラマですよね。どうなんでしょう?

コンピュータのベストと人間のベストということになると、例えば人間のベストというのは例えば森下ルールとか、例えば合議制、相談をして決めるとかすると強くなるような気がするんですけど、多分練習すればそのほうが強くなるというふうに思うんですけど、そのあたりはどういうふうに思われますでしょう?

森内:もちろんそういう継ぎ盤を使ったり相談したりすれば強くなるのは当然だと思うんですけど、それが本当に将棋と言えるのか? という気持ちがありますので、すごくやりにくいルールだと思うんですよね。森下九段はよくやったなというふうに思うんですけど、そういう意味で実現したのはすごいことだと思いますよね。

川上:あれは結果も出ましたよね。

森内:そうですね。

司会:あのやり方をやるのはやっぱりプロ棋士としては相当葛藤がある。

森内:そうですね、ちょっと余りやりたくないですし、森下さんも実現してびっくりしたとおっしゃっていました。

司会:言っちゃうと実現にこぎ着けるのは川上会長の得意技ですもんね。

川上:だから、将棋ファンの人にも理解してもらいたいんですけど、実は結構プライドのせいで将棋棋士は電王戦負けているんですよ。プロ棋士としての戦い方のプライドを守るためにコンピュータにはできないことというのがあって、それで負けているのがあるというのをやっぱり将棋ファンの人には認識してもらいたいなと思いますよね。

375名無しさん:2015/06/07(日) 00:23:23
http://logmi.jp/59137
棋士VS5万局の棋譜を覚えるコンピュータ、互角に戦えるのはなぜ? 人間という貧弱なハードウェアのおもしろさ #ニコニコ超会議2015


2015年4月に開催されたニコニコ超会議において、将棋棋士・森内俊之、将棋ソフト「Apery」開発者・平岡拓也、SF作家・瀬名秀明氏、ドワンゴ人工知能研究所所長・山川宏氏、KADOKAWA・DWANGO代表取締役会長・川上量生氏が登壇し、「電王戦から考える、コンピュータと人類の未来」をテーマに意見を交わしました。本パートでは、人工知能からプロ棋士が学ぶこと、人間がコンピュータから学ぶことについて語られました。(ニコニコ超会議2015より)

ログ名
ニコニコ超会議2015 / 電王戦から考える、コンピュータと人類の未来
2015年4月26日15時のログ


対策を練っての勝負より、もっと気軽に対局してほしい

司会:プライドですとか将棋の特殊な部分っていろいろあるじゃないですか? 投了であったり、形づくりであったりとか、コンピュータが恐らくまだまだ理解できない部分ですとかそういった特殊性というのはあると思うんですけれども、どうですか?

森内俊之氏(以下、森内):棋士が人間であるために負けるというのは仕方のないことだと思うんですけれども、ただこの前の電王戦の最後の記者会見で「私にプロ棋士の実力があれば5局全部勝てます」とおっしゃっていたんで、多分そういうようなスキルのある方が棋士のチームに入っていろいろと協力してくだされば、まだまだそういう結果が出せるのかなということは思いましたね。

司会:平岡さん、どうですか?

平岡拓也氏(以下、平岡):それはそうなんだと思うんですけど、ただすごい負担なんですよね、棋士にとって。もっと気軽に対局できないのかなとすごい思うんですよ。

何か1回の対局にすごい準備して対局するとなるから、だからタイトルホルダーとの対局とかも、タイトルホルダーって忙しいじゃないですか? だからそういう面でも実現が難しいとかそういうことになってしまうから、僕はできるだけふだんどおりの棋士が見たいかなという思いですね。

司会:徹底的に対策を練ってくるんじゃなくて、ある程度もう……。

平岡:余り意味を感じないんですね。1年、2年それで勝てたとしても、いずれそれでも無理になったときにどうしてそこまでして勝ちにしがみつくのか、棋士なら当然なのかもしれないですけど、やっぱり僕はもっと人間同士でおもしろい将棋を指しているし、もっとおもしろい将棋さえ指していればいいのかなと思って……。

司会:ただ、勝ちにしがみついているからこそ、プロ棋士になれたというのもあるんじゃないかな? と思うんですけどね。

平岡:そうなんですけど、難しいんですよね。

376名無しさん:2015/06/07(日) 00:23:42
>>375

人間という貧弱なハードウェアの解析が、今後のプログラムの課題に

司会:川上会長、どうぞ。

川上量生氏(以下、川上):僕も多少プログラムはやるので、プログラムとしての将棋プログラムを目的として今、大体電王戦のプログラムは1秒間に数百万局面ですから1分間でしたっけ。

平岡:1秒で500万ぐらいは読めますね。

川上:1秒500万局面ですよね。多分、森内さんって1秒間に何局面ぐらい読まれるんですかね?

森内:数えたことはないですし、わからないですけど、どれぐらいなんですかね。3手か、10手か、20手かわかりませんけど、そんな大して読めないと思いますけどね。

川上:そうすると、プログラマーというのはアルゴリズムを考えるのが職業じゃないですか。そうすると、プログラマーとしてのベストというのは人間並みの局面で判断できる、例えば優秀な評価関数をつくるというのが目標だと思うんですよね。

単純な計算量で攻めるのというのはむしろプログラマーとしては邪道じゃないかと思うんですけど、どうなんですかね?

平岡:内部のアルゴリズムがどうかというのは余り関係ないと私は思いますね。結局評価関数を、むちゃくちゃ性能よくするために重たく時間のかかる処理をすれば、もっと少ない局面で同じぐらいの性能が出せるかもしれないですけど、結果としてその時間をいっぱい探索して、実際に盤面を読むほうが強いかもしれなくて。

そのバランスで今どれが1番強いかというのでコンピュータ将棋をつくっていますから、そんなこと言うと囲碁のプログラムなんてモンテカルロ法でランダムに打って確率のいいところなんていうむちゃくちゃなことをやっていますけど、それはそれでいいじゃないかと私は思いますね。

川上:要するに、人間っていう貧弱なハードウェア、遅い神経速度で効率のいいアルゴリズムをつくっているというのは、これは何か1個のプログラムの課題にもなるような気がするんですよね。

平岡:それは本当すごいと思うんですね。どうやっているのか、本当に想像がつかないし、コンピュータで実現できれば何かすごいことができると思いますよ、それぐらいの。

棋譜5万局を取り込んでも、まだまだ足りない

山川宏氏(以下、山川):それに関してはちょっとここの本題とはずれるかもしれないですけど、最近人工知能分野では脳のように深い学習をするというもの、ディープラーニングと呼ばれるんですけれども、そういう技術がだんだんそれに近づいているんじゃないかというふうな期待は今されている状況なんです。

ただ、実際将棋にやってみるとそんなには強くなっていないらしいんですが、多分将棋の棋士が時間の流れとかもちゃんと取り込んだような技術にならないとだめなようなんですけども。

そういうほうの研究者の気持ちとしては、今川上さんが言われたように、余り手を深く読まないでも強くなるというのはちょっと研究テーマとしては結構おもしろいというふうに実は思っていたりするんです。

平岡:囲碁でそんなことやっていますよね。局面を全く読まずに評価だけして手を決めて、それでちょっと昔のソフトに勝ったとか、そういう研究って今出ていて、すごい盤面を評価するっていうところで深い学習による高性能なプログラムというのがつくられていますよね。

司会:平岡さん、そもそも将棋ソフトというのは膨大なプロ棋士の棋譜をまず取り込んで、それをもとに学習して強くなってきたという歴史があるわけじゃないですか。そこから離れようとしているというのはあるんですか?

平岡:最近はそういう研究よく聞きますね。どうしても棋譜が少ないんです。棋譜5万局とかあるんですけど、多いかというと、コンピュータからするとそれでも少ないんですよ。

司会:それでも少ないんですね。

平岡:もっと、100倍、1000倍欲しいんですよね。

司会:そうなんですか。

平岡:そうなんです。ないので、やっぱりそれは自分でつくらないといけなくて、私はまだそこまでやってないですけど、Ponanzaとかはそういうところに踏み込んでいっていますね。自分で棋譜をつくって、それをもとに学習するという。どんどん人間からは離れた手になっていくかもしれないですし、すごくおもしろいですよね。

司会:ただ満遍なく1秒間に何百万局面も読みながらベストの手をチョイスしていくコンピュータソフトと、森内九段、さすがに森内九段も5万局も棋譜は覚えていないですよね!?

森内:全然覚えていないです。若いころは記憶力に自信があったんですけど、最近どんどん忘れてきていますし、本当に何局覚えているのか、そういう容量では全く勝負になりませんのでね。

377名無しさん:2015/06/07(日) 00:23:58
>>376

しらみつぶしのコンピュータと、経験から割り出す人間

司会:さっきおっしゃったみたいに1秒間で500万局面も読めない中で、逆にいうと、なぜほぼ互角のいい勝負ができるのか? これどこに理由があるんですか。

森内:不思議ですよね。人間の直感の偉大さというか、プロになるような人はそれだけ修行を積んでいますので、考えなくても体が覚えているというか、そういうところがあって、時間をかけなくてもある程度の手が指せる、そういうところがあるんじゃないでしょうかね。

司会:山川さん、ご専門だと思うんですけれども、このプロ棋士のベストな手の選び方と、コンピュータソフトのベストな手の選び方、この2つの違いというのは山川さんどういうふうにお感じになっているんですか。

山川:冒頭にもちょっとだけ触れたんですが、先ほどから出ているように、コンピュータは手を大量に読んでいくので、かなり読んでから評価するということがコンピュータ処理で基本的に行われているんですけども。

人間はそれをするかわりに、さっきディープラーニングの話が出ましたけれども、パターンを見て、パターンの中で次がよさそうな手の候補がかなり効率よく絞り込めるんで、それは学習だけでなくて心理学的な実験とかでも結構言われていることでして。

それが何でできるかというと、今のコンピュータ将棋の場合には盤面の中から人間があらかじめ設計した、例えば「3つの駒の関係を注目してどっちがいいかを選びましょう」みたいなことをやるんですけれども、それはかなり人間がやっていることに比べると貧弱で。

多分人間はまだ解明されてないんですけども、もっと多くの駒の形とかを何か考えながら、こっちのほうがよさそうだとか悪そうだというのを選ぶ能力があるんですけども、それがまだ今できてないんです。

だからそこは明らかに人間が優れているところであって、実はコンピュータとしては学びたいところというふうに思っているわけです。そこら辺が大きな違いですね。

司会:経験として先々読める人間とコンピュータのある程度しらみつぶしにやっていく限界があって、何十手先にはベストが選べないという不思議な現象がありますもんね。

山川:何十手先までやってみると貧弱な関数でも役に立つんですけど、余り読まないでもどれがいいかわかるというのはコンピュータには難しい。

人間が無意識下でやっていることが研究対象になっている

川上:そこら辺で山川さんにお聞きしたいと思っていたんですけど、3駒関係とかって人間はやってないっていうじゃないですか。それが本当なのかどうか。純粋にはやってないと思うんですけど。

例えば人間の視覚とかというのは、1番最初レイヤーとかでは輪郭だとかコントラストだとか人間が意識していない部分の近くで情報をやっていますよね? そうすると、将棋棋士は実は無意識の中で3駒関係に近いものを見ているという可能性はあるんじゃないでしょうか?

司会:解明されてないだけで。

川上:解明されてないだけで。ありますよね!?

司会:そういったところも後々、研究対象にはなっていくんですか?

山川:まさに今研究対象になっていて、さっき言った機械学習の人工知能のような技術と人間の脳の中でやっている処理が、実は似ているんじゃないかというのが、ここ数年の神経科学というか、脳科学の分野では結構わかってきたというのが話題になっているんです。

だから、まだプロ棋士の上のほうに穴熊があるとかそういうのはわかんないですけれども、物体が見えているときに男の人が見えているとか、そういうものは結構似ているということが今わかってきているので、今後もしかするとそれこそ局面の評価も脳科学で見えるようになるかもしれないという。

378名無しさん:2015/06/07(日) 00:24:52
>>377

プロ棋士がコンピュータから学ぶのは「先入観のなさ」

司会:森内九段にお伺いしたいのが、例えば電王戦の去年のPonanzaの、例えば1六香から角を追い回していったりとか、あとは7九銀から俗にいう王手はだめだというふうに格言で言われている、ああいった寄せ方をしていった。結果的にトッププロに勝っている。

今年も7七歩を打ってから飛車交換しなかったりとか、そういうプロが第一感でちょっと切り捨てがちなところを選んでいって、結果的に勝っているというあれは、いろんな可能性があるように感じるんですけど、トッププロの見地としてはどうなんですか?

森内:ぱっと見、人間を見たときによくなさそうな手で実際結果を出しているところを見ると、自分たちがそれだけ先入観に縛られているんだなということを改めて認識しますし、そのコンピュータから学ぶことというか、そういうものがたくさんあるということを改めて思いますね。

棋士が局面見るときというのは全体を見ますので、3つの駒というよりも特徴的なところに目が行くんで、やっぱり全体的にバランスがとれた配置だと違和感はないですけど。

いくつか普通と違った配置があるとそれは何となく感じるところがあるんで、そういう意味ではコンピュータと同じような2つ3つのところを同時に見ているのかなということはさっき感じたりもしました。

司会:その位置関係がどこがいいかというのは、やはり小さいころからずっと鍛錬を積んできた中で直感的にこれが判断できるということなわけですね。

森内:そうですね、違和感のあるところには反応しますね。

司会:ただその違和感がひょっとしたら思い込みなのかもしれないということはありませんか?

森内:ありますね。それは今、コンピュータに管理させられている、そういう段階なんだと思います。

司会:そうなると、本当にここ2、3年の電王戦の団体戦を踏まえて、やっぱりちょっとこれまでは人間、プロ棋士同士が集まって研究会を行っていたのが、よりコンピュータに手順を探させてみたりとか、そういった動きというのは加速していくんですか?

森内:やっぱり価値観というのは揺さぶられている段階ですし……。

司会:今はそういう段階なんですね?

森内:ええ、やっぱり人間だけではなくて、コンピュータにかけて調べてみようとかそういうことも行われていますので、これからますますそういう動きが加速していくんじゃないかと思いますね。

司会:川上会長、まさにプロのプライドが、そして実力がコンピュータソフトをはね返すのか、それともこういった拮抗した状態で、なおかつそのコンピュータを身近に感じられるような空気感というか、環境になってきたというのは、川上会長、団体戦を始められた当初からの思惑としては、現状はどうなんですか?

川上:それが予定どおりに行ってないんですよ。そこら辺のストーリーづくりはぜひ瀬名さんとかに、今後は相談しながらシナリオをつくっていきたいなというふうに思っているんですけど、どうですか?

379名無しさん:2015/06/07(日) 00:25:11
>>378

将棋にまつわる世界観を人工知能でどれだけつくれるか

司会:瀬名さん、SF的にはどうですか? この後の展開、ストーリーを組み立てていくと。

瀬名秀明氏(以下、瀬名):先ほど投了の話が出ましたけども、コンピュータ自身に投了させるというのは多分評価値が一定値以下に下がれば、例えば自動的に投了するというのは簡単だと思うんですが。

例えばそういうところ、強いというのはもちろんなんだけど、将棋にまつわる独特の人間観とか空気感とか世界観とかをどのぐらい人工知能でつくれるか? というのが僕には興味があります。例えば電王手くんとか電王手さんがおじぎしますよね。かわいいとは思うんですけど、あれはコンピュータプログラムだなと思うんですよ、やっぱり。

あれが本当におじぎしているなと思えるおじぎができるようになるのかとか、例えばこれちょっと僕が将棋知らないから間違ったこと言っているかもしれないんですけど、将棋っていうのは多分、合戦とか戦争をモチーフにしているわけで、最終的に投了というのは王様が殺される前に命と引きかえに「参りました」って言うってことですよね? 

テニスとかサッカーとかブロック崩しとかっていうのはそうじゃないんですよね。自分は死ななくてもゲームやるので、だから自分が死ぬゲームと死なないゲームって多分そういうところで何か根本的に違うんじゃないかと僕は思うんですよ。

そうすると、コンピュータが例えば投了しないでずっと永遠と将棋やるっていうのはコンピュータからすれば倫理的にありだと僕は思うんですよね。だけど、人間が多分それやるとすごくみっともないというか、美しくないとかそういう話になると思うんです。

そういうのをどういうふうにすり合わせるのかっていうのは、僕はちょっと勝負以外で人工知能の研究としておもしろいところかなと思うんですけど。

感情が見えることで愛着がわく

山川:そうですね、人工知能としては、今の人工知能というかコンピュータ将棋は当然ながら将棋ということに特化してつくられているわけで、将棋に特化しているからゆえに逆に弱点もあるわけですね。

今回出てきたような弱点もあるわけですけれども、そのかわりに僕とかドワンゴさんのところで研究しているのは、全脳アーキテクチャーといいまして、脳全体のいろんな仕組みを入れる。

特に関係あるのは、この場合だと感情に関係ある専門用語で扁桃核とかいうところがあるんですけども、そういうところは恐怖とかいうものを脳の中でつかさどっているわけです。

多分相手が電王手くんとかであっていると、実はこいつビビっているんだとかという情動的なものがあったりするとまたおもしろみが出てくるんじゃないか。あと、よく認知科学とかでも相手が自分がやったことを目で見ててくれると安心できるとか、愛着がわくとかいろいろあるわけです。

だから、そういう統合的な知能というものがだんだんできてくると、またそれとの勝負というのもまたひとつ楽しいところが出てくるんじゃないかなと思っています。

380名無しさん:2015/06/07(日) 00:25:24
>>379

投了の美学を理解するコンピュータは生まれるのか?

司会:投了の美学という部分では、平岡さん、やっぱり第1局改めてちょっと振り返って、あれもいろんな価値観からさまざまな意見がありましたけれども、あれは最後まで指すのがコンピュータサイドの美学であると。

平岡:いや、コンピュータ将棋やっている人でもいろいろあるんですよね。本当に次局の積みが見えたときに投了する人もいます。投了するプログラムをつくっている人もいますし、私みたいに積みまでやる人もいて、それぞれですよね。それはふだんコンピュータ将棋同士でやっているからそうなのかもしれないですし、本当に人それぞれ。私はあれが一番美しいと思ったからやったまでですね。

司会:今後より強い将棋ソフトをつくっていく中で、先ほど瀬名さんからもお話があった情緒ですとか、投了図の美しさとか、そういったものまで理解できるようなコンピュータというのは組めるんですか? そんな可能性ってあるんですかね!?

平岡:今のコンピュータ将棋の延長からいうと、それに本当に特化しているから、美しさに特化して美しさとは何だというのを突き詰めて考えてつくっていけば形にはなるかもしれないですけど。

司会:全く目的が違いますもんね。

平岡:何かちょっと違いますよね。そういうのはやっぱり全脳的な人工知能にやってもらいたいですね。

山川:コメントに出てましたけど、美しさっていうのは非常に観点が多くて、多分投了の美学とかというのはいろんな社会的な関係の中である美しさなので、そこまでわかったAIじゃないとそこまで認識できないです。

もうちょっと簡単なレベルでフラクタルが美しいとか、数学的な美しさはわりとコンピュータに近いんですけど、投了とか1番かなりできるのが遅いタイプの美しさじゃないかなと思います。

司会:森内九段、そこは本当に返す返す将棋の独特なところであり、それがあるからプロ棋士の存在というのも特別であるという見方もありますもんね。

森内:そうですね、投了に関しては人間と機械というのは違った特徴がありますし、平岡さんのソフトの戦い方をみてコンピュータらしいなというふうに思ったんで、別に私は失礼とかそういうことは全く思わなかったですけどね。

司会:戦っているのはコンピュータであるから、積むまでやると。

平岡:森内さんにそう思っていただけていたらうれしい限りですけど。

森内:平岡さんの多分やりたいようにやって完全燃焼するのが1番いいと思うんで……。

平岡:ありがたい話で、あと付け足して言うと、対局ってやっぱり対局者が1番尊重されるべきで、人対人がやっていてもやっぱり投了するのはその人に任せて、周りがとやかく言うのは余り私は好きじゃないかなと思いますね。

司会:このあたりがどこで交わって、またいい形で溶け合うのかというのはまたこれから先大いに興味がありますね。

(制作協力:VoTX)

381名無しさん:2015/06/07(日) 00:26:01
http://www.sankei.com/life/news/150513/lif1505130019-n1.html
豊島、タイトル挑戦3度目「結果を」

 「タイトル戦は3度目なので、今度は結果を出したい」

 4月30日、第86期棋聖戦五番勝負(産経新聞社主催)で羽生善治棋聖(44)=名人・王位・王座=の挑戦者に初名乗りをあげた豊島将之七段。25歳の誕生日に自ら花を添えた豊島が、初タイトル獲得に意欲を見せた。

 4歳のころ、羽生世代を特集したテレビ番組を見て将棋に関心を持ち、母親から手ほどきを受けた。9歳で桐山清澄九段門下で奨励会に入会、トントン拍子に出世した。プロ入りは16歳。平成23年に初のタイトル戦となる王将戦七番勝負に出場したが、2勝4敗で敗退。昨年秋の王座戦五番勝負では、2勝3敗で羽生王座に惜敗した。

 王座戦出場が決まった頃、練習対局や研究会で通っていた大阪市の関西将棋会館から徐々に足が遠のいていった。「一人で研究した方がいい」と判断したからだ。背景には、昨年春に行われた第3回電王戦がある。豊島は出場した5人のプロ棋士のうちただ一人勝利。それ以来、「いろいろなソフトを使って勝てない局面を設定し、そこからいかに自分が勝ちに持ち込めるかを勉強している」という。

 また、昨年秋に糸谷哲郎竜王(26)が関西若手の中で先駆けてタイトルを手にしたことも刺激になっている。「全体的に非常にレベルが高く、どんな形になってもいい将棋を指す」というのが豊島の羽生評。「こちらも自分の良さを出したいと思います」(藤田昌俊)

382名無しさん:2015/06/07(日) 00:26:52
http://www.sankei.com/west/news/150605/wst1506050052-n1.html
2015.6.5 16:18
夢は地元でタイトル戦出場 洲本市出身の桝田悠介三段

 羽生善治棋聖(44)に豊島将之七段(25)が挑む産経新聞社主催の将棋タイトル戦「第86期棋聖戦五番勝負」。6月2日に兵庫県洲本市のホテルニューアワジで開催された第1局の記録係は、同市出身の桝田悠介三段(21)が担当した。地元出身の棋士の卵は、対局者として大舞台に登場することを夢見る。

自分ならこう指す

 午前9時に始まった対局が、羽生棋聖勝利で決着したのは午後7時5分。桝田三段は昼食休憩の1時間を除き、正座を崩すことはなかった。「迫力ある戦いを間近でみて、自分ならこう指す、と頭をフル回転させるので、これほど勉強になることはほかにない。長時間で苦痛なんてまったく思いませんでした」と振り返った。

 現在は奨励会員と呼ばれるプロ候補生で、記録係は9×9マスのどの地点に駒を動かしたかを記し、終盤には消費時間を伝える重要な役割。タイトル戦を担当するのは3度目で、それに通じる数多くの予選やリーグ戦、平成27年3月に引退した内藤國雄九段(75)の最終戦も記録してきた。

小学生名人

 将棋との出合いは3歳ごろ。「NHKの将棋番組をじっと見ていたそうです。記憶にないんですが…」。兵庫県龍野市(現たつの市)に住んでいた小学1年時、父親に連れられ加古川市内の将棋道場に。そこで1歳下の男児に負けたことが悔しくて以後、土曜日ごとに通う常連になった。

 洲本市立大野小5年時には「小学生名人戦」で全国3位。柳学園中1年で「自分の力がどこまで通用するか試したくて」プロ棋士養成機関の奨励会を受験、6級で入会した。勝ち星を重ね昇級してきたが「手堅く指そうとして失敗し、二段に4年もとどまった」と反省。力むことをやめ、得意の振り飛車戦法で自在に戦うことを心がける。

卒論はコンピューター将棋

 プロ棋士(四段)になるためには32人のライバルがひしめく三段リーグで、半年間に18戦して上位2人に入らなくてはならない。原則26歳という年齢制限もある厳しい世界だ。

 現在は西宮市に住み、関西学院大学経済学部に通う。持ち前の集中力で単位は順調に取得し、4回生の平成27年は統計学のゼミに所属。「コンピューター将棋に統計を関連づけて、卒業論文が書けないか考えている」と話す。

 「少しでも早くプロになるため、1局1局に集中して臨みたい。地元で開催されるタイトル戦に、記録係ではなく対局者として出場できたらいいですね」

383名無しさん:2015/06/07(日) 00:27:29
http://getnews.jp/archives/988206
将棋の王将を「王」と「玉」に変えたのは、あの武将だった!?

現在、将棋の王将は、たいていの場合「王」と「玉」に分かれているが、昔は分かれていなかったそう。みなさんは、将棋の王将を「王」と「玉」に分けた人物をご存知だろうか?
2006年7月12日の琉球新報によると、その人物とは豊臣秀吉だそうだ!

同じ「玉」と「玉」で戦うのは面白くないからと、将棋の駒の一方を「王」にしたのは豊臣秀吉らしい。天下統一を果たした秀吉ならではの逸話だが、以後将棋は「玉将」「王将」に分かれて指すようになったという。

参考:2006.07.12「琉球新報」

(written by けいぼう)

384名無しさん:2015/06/07(日) 00:27:59
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/desk/article/173536
将棋の女流王位戦5番勝負は
2015年06月05日 01時46分

 将棋の女流王位戦5番勝負は、挑戦者の里見香奈さん(23)がタイトル保持者の甲斐智美さん(32)に3連勝し、3期ぶりに復位を果たした。
 福岡県飯塚市の旧伊藤伝右衛門邸で行われた第3局の直後、コメントを求められた甲斐さんは言葉を詰まらせ、ピンクのタオルで目頭を押さえた。結果は一度も勝てなかったが、いずれも激戦。第3局も甲斐さんが終盤の入り口まで優勢とみられていた。恐らく頭の中を無念と後悔の思いが駆け巡っていたのだろう。
 里見さんは体調不良で1年近く休場していたとは思えない強さを見せた。だが、今回の第3局の対局中も頭痛や腹痛をこらえていたという。
 里見さんの好きな言葉は「好きな道なら楽しく歩け」だが、それは苦しさ、つらさを乗り越える呪文みたいなものかもしれない。
 厳しい勝負の世界。苦闘の勝者も、涙の敗者も、感動的な盤上のドラマを見せてくれた。 (浜口雅也)
=2015/06/05付 西日本新聞朝刊=

385名無しさん:2015/06/07(日) 00:28:59
http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/06/05-20463.html
2015年06月05日
生涯勝負師の加藤一二三9段がまぶしい

 将棋界の大御所、加藤一二三9段がテレビでブレーク中だ。名前をもじった「ひふみん」の愛称で、バラエティ番組でも活躍している。飛車の頭に銀を繰り出す棒銀が得意の戦法で、名人位まで上り詰めた。75歳、現役最年長。「1分将棋の神様」「神武以来の天才」などの異名を持ち、エピソードも多い▼対局の食事はいつも鰻の出前。時間が正確なこと、持ち時間が少ない時でもかき込めるのが理由のようだ。米長邦雄元名人とのタイトル戦が行われた箱根の旅館では、集中の妨げと人工の滝を停めさせた。相手の盤側から覗き込むのは「ひふみんアイ」とも呼ばれているそうだ▼どれも、勝負にかける一念の凄さのなせることだ。対局数2459は歴代1位。勝ち1320は現役1位。負け1139は歴代1位。現在は順位選C2組で10代、20代の若手棋士に交じって戦っている。「私から闘いをとったら何が残るといえよう。勝負師である限り、命が尽きるまで勝負に明け暮れるのが棋士のさだめだ」と語る。その潔さに共感を覚えるファンも多い▼将棋界は羽生善治名人を頂点とする40代と、糸谷哲郎竜王に代表される20代の若手のせめぎ合いの時代になっている。超実力社会の将棋界で加藤の世代が入り込む余地はない。だが、その存在は今でも光を放つ。生涯勝負師の生き様がまぶしい。

387名無しさん:2015/06/07(日) 16:08:56
>>386

 裕子さんは、同じ愛知県出身の豊島将之七段のファンだという。藤井二段は先日、研究会でその豊島七段に教えてもらう機会があった。「負けました。(その時の豊島七段は)本気じゃなかったと思います」。自身の将棋については「弱すぎる。序盤中盤終盤スキだらけ」と、豊島七段をたたえる「序盤中盤終盤スキがない」を裏返して評する。厳しい自己評価は、高い理想の裏返しだろう。

 詰め将棋には幼稚園の頃からのめり込んだ。東京や大阪と比べ相手が少なく、実戦の機会が限られていた。小学校低学年にして詰め将棋創作の楽しさも知り、作家としても高い評価を得たが、1年ほど前から創作の方は「師匠の助言もあって」中断している。解答はともかく、創作の方は指し将棋の上達と直結するわけではないといわれており、今は奨励会に注力する方針だ。

 詰め将棋作家としても名高い谷川浩司九段(日本将棋連盟会長)は、師匠の杉本七段に「藤井二段には、詰め将棋は創作よりも解く方をやらせた方がいい」旨、アドバイスしている。史上最年少名人の記録を持つ、時の将棋連盟会長が気に掛けるほどの逸材であることは間違いない。

 1月に亡くなった河口俊彦七段(追贈八段)の「新・対局日誌」にこんなくだりがある。

 ――1995年。10歳にして奨励会2級の渡辺明少年の話を聞いた中原誠名誉王座が「ほう」と目を輝かせ「その子に羽生君はやられるんだ」。

 それから20年、渡辺少年は超一流の棋士になった。新しいスターが表舞台に立つ日を、楽しみに待ちたい。

(文化部 柏崎海一郎)

388名無しさん:2015/06/07(日) 16:55:01
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150530-00000004-sasahi-cul
“まゆゆ”も? 強くて、駒っちゃう?美しき「女流棋士」〈週刊朝日〉
dot. 5月30日(土)11時34分配信

 女性だけの棋戦に臨む女流棋士が注目されている。若手で活躍する、強く美しい精鋭を紹介する。

 女流棋士は、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)所属やフリーも含め、計56人。切磋琢磨の中で今、若手がめきめきと力をつけ、牽引役となっている。

 男性が中心の将棋界で、歴史が浅い女性は、実力も男性に比べ、低いとされてきた。

「現在活躍する若手女流棋士は、男性との対戦で勝率が2割〜2割5分。以前に比べ、1割ほど上がっています」と将棋ライターの後藤元気さん(36)は指摘する。

「今の女流トップ棋士は、個性が強くて、負けず嫌い。今後、男性と互角に戦う、女性の“棋士”も出てくるでしょう」

・王将 香川愛生 22歳
アイドル顔負けのルックスは、AKB48のメンバーのひとりになぞらえ、「将棋界のまゆゆ」とも呼ばれる。友達の男の子の影響で、小学3年で将棋を始めた。プロで初めて壁にぶつかり、将棋から遠ざかった時期もある。だが大学進学を機に再始動。拠点を京都に移し、実力が開花した。2013年に女流王将のタイトルを獲得。昨年、防衛した。好きな言葉は「執念」。勝利へのこだわりこそ、自分を高める武器になるとの思いからだ。女流棋士、不動の“センター”の勢いは止まらない。

・名人 里見香奈 23歳
女流最強の棋士として、道を切り開いてきた。5歳から将棋を始め、12歳でプロに。2013年には、史上初の女流五冠。目指すのは、男性と同じ舞台で戦う女性初の「棋士」だ。プロ棋士を養成する「奨励会」で13年、三段に昇格。「棋士」に王手と迫ったが、一日10時間も将棋に向かうストイックな生活から体調を崩し、翌年3月から休場。15年1月に復帰したが、まだ体調は本調子ではない。「どんなことがあってもプロ棋士に」。その思いを胸に、早ければ10月にも三段リーグへの参加を目指す。

・初段 山口恵梨子 23歳
アマ四段の父親に教わり、6歳から将棋を始めた。小学生からプロ棋士を目指し、将棋の授業がある小学校に転校したり、道場に近い東京・千駄ケ谷に引っ越したり。将棋を軸に生活を送ってきた。好きな言葉は、「知行合一」。愛用の扇子には、羽生善治名人の文字でその言葉が刻まれている。昨年、大学を卒業し、将棋一筋の生活を送る。「今年から来年にかけてが勝負の年。タイトルを獲るために、トップ集団に食らいついていきたいです
ね」

・2級 塚田恵梨花 16歳
両親はともにプロ棋士。将棋界初の「二世プロ棋士」が誕生した。両親の影響で、小学4年の頃から本格的に将棋を始め、2014年に女流棋士に。「まさか娘がプロ棋士になるとは思っていなかったでしょうね」と笑う。師匠は、父で元王座の塚田泰明九段、母は高群佐知子女流三段。「昇天流」と呼ばれる豪快な攻めの棋風で知られる、父の将棋を受け継いだ。プロ1年目。目標は今年中の初段昇進だ。「話題性に負けないくらいの実力をつけたいです」

※週刊朝日 2015年6月5日号

389名無しさん:2015/06/07(日) 16:55:35
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150603-00000085-it_nlab-sci
プロ棋士と将棋ソフトの新たな対局「第1期電王戦」開催決定 ドワンゴ主催の「新棋戦」優勝者が人間側代表に
ねとらぼ 6月3日(水)16時47分配信

 プロ棋士とコンピュータ将棋ソフトが戦う「将棋電王戦」に、新展開が発表されました。2015年春に開催された「将棋電王戦FINAL」をもって団体戦形式での開催は最後になると発表されていましたが、今度は将棋ソフトとプロ棋士が1対1で戦う「第1期電王戦」が開催されます。

 「第1期電王戦」では、プロ棋士と将棋ソフトそれぞれの代表が持ち時間8時間の2日制で対局。先手と後手を1局ずつ入れ替えての二番勝負で行われます。開催は2016年春ごろの予定。コンピュータ側の代表ソフトはこれまでの電王戦と同様、11月に開催する「第3回将棋電王トーナメント」の優勝ソフトが登場します。

 一方、プロ棋士側の代表者はこれまでの選抜制ではなく、ドワンゴ主催の新棋戦によって決定されます。新棋戦は全棋士参加可能なエントリー制の公式戦になることが決定。エントリーした棋士は段位別に予選を行い、決勝は三番勝負で行われます。予選、本戦トーナメントは持ち時間1時間で、決勝三番勝負のみ5時間。予選トーナメントは6月より開始され、ニコニコ生放送でも50〜60局を中継予定。本戦以降は全局中継されます。

 既にエントリーを決定した棋士も一部発表されており、糸谷哲郎竜王や佐藤康光九段、森内俊之九段らこれまでに出場を待望されていたトップ棋士たちの参戦も決定。「将棋プログラムと戦おうとするプロ棋士全てが参加できる新棋戦」として注目されています。

 新棋戦の名称はユーザーからの公募と投票によって決定される予定。6月18日に新棋戦の名称とエントリー棋士が発表され、6月20日より予選トーナメントが開幕します。

390名無しさん:2015/06/07(日) 17:13:19
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150603-00000214-sph-soci
20日から新設の新棋戦に谷川会長ら参戦
スポーツ報知 6月4日(木)7時5分配信

 日本将棋連盟は3日、「ニコニコ生放送」を運営するドワンゴとの共催で公式戦の新棋戦を創設すると発表した。

 全棋士を対象に、エントリー制で行う新棋戦は今月20日に開幕。優勝棋士は来春の「第1期電王戦」でコンピューターソフトと2番勝負を戦う。棋戦名はユーザー投票で決め、18日に発表する。

 永世名人の資格を持つ連盟会長の谷川浩司九段や森内俊之九段のほか、タイトルホルダーの糸谷哲郎竜王もエントリー。5日が締め切りだが、他のタイトルを持つ羽生善治四冠、渡辺明棋王、郷田真隆王将はまだエントリーしていない。谷川会長は「ファンに楽しんでいただく機会が増える。私も現役棋士として、会長の立場とは違う気持ちです」と話していた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150603-00000084-mai-soci
<将棋>新「電王戦」来春から開催
毎日新聞 6月3日(水)20時0分配信

 日本将棋連盟(会長=谷川浩司九段)は3日、棋士とコンピューターソフトが争う新しい「電王戦」(角川グループ・ドワンゴ主催)を来春から開催すると発表した。棋士とコンピューターソフトが個別にトーナメントで争い、1位同士が二番勝負で対戦する。今春で終了した従来の「電王戦」は5対5の団体戦形式だった。

 将棋連盟所属のプロ約160人から出場の意思を申告してもらい、今月から段位別に予選を戦う。本戦は16人で競う。既に谷川九段、森内俊之九段、佐藤康光九段、糸谷哲郎(いとだに・てつろう)八段といった元名人、竜王らトップ棋士が出場の意向を示しているという。一方、出場ソフトは11月開催の「第3回将棋電王トーナメント」で決める。

 この日会見した谷川会長は「(将棋ファンが視聴するインターネット動画中継サイトの)『ニコニコ生放送』で中継されることで、将棋界が盛り上がればいい」と語った。【山村英樹、最上聡】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150603-00000140-jij-soci
対将棋ソフトの新「電王戦」=糸谷竜王ら予選から初参加
時事通信 6月3日(水)19時36分配信

 ドワンゴ(東京都中央区)と日本将棋連盟(同渋谷区)は3日、将棋のプロ棋士とコンピューターソフトが対決する「将棋電王戦」の新たな対局として、「第1期電王戦」を開催すると発表した。その予選に位置付けられる新棋戦には、現役タイトル保持者の糸谷哲郎竜王が初参加する。
 新たな電王戦は、今月20日からドワンゴが開催予定の新棋戦の優勝者と、今年11月に行われるソフト同士の大会「第3回将棋電王トーナメント」の優勝ソフトによる対局。2日にわたる勝負が計2回行われる。時期は来年3〜5月の間で検討中。
 プロ棋士は段位別にトーナメント方式の予選からスタートし、糸谷竜王はじめ森内俊之九段や将棋連盟会長の谷川浩司九段、佐藤康光九段らの出場が既に決定。予選を勝ち残った計16人による10月からの本戦を経て、12月にプロ棋士側の優勝決定戦を開催する。
 同日、東京都内で会見したドワンゴの川上量生会長は「人間とコンピューターの素晴らしさを世の中に見せていきたい」と意欲を語り、谷川九段は「プロ棋士とソフトの対決だけでなく、将棋の魅力を広く知ってもらえたら」と話した。
 電王戦は2012年に始まり、第1回は故米長邦雄永世棋聖がソフトに敗退。団体戦となった13年の第2回、14年の第3回も共にソフト側が圧勝したが、今年4月の第4回はプロ棋士側が3勝2敗で雪辱を果たし、団体戦形式の電王戦は終了していた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150603-00000554-san-cul
電王戦を来春開催 日本将棋連盟
産経新聞 6月3日(水)18時59分配信

 日本将棋連盟とドワンゴは3日、プロ棋士とコンピュータソフトが戦う「第1期電王戦」を来年3月から5月にかけて実施すると発表した。エントリー制によるプロ公式棋戦を新設し、その優勝者が今年11月の「電王トーナメント」で優勝したソフトと2日制二番勝負を行う。今月20日からスタートする新棋戦は段位別予選と本戦からなるトーナメント方式で、すでに糸谷哲郎竜王、谷川浩司九段、森内俊之九段らがエントリーしている。

391名無しさん:2015/06/07(日) 17:14:21
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150603-00000085-it_nlab-sci
プロ棋士と将棋ソフトの新たな対局「第1期電王戦」開催決定 ドワンゴ主催の「新棋戦」優勝者が人間側代表に
ねとらぼ 6月3日(水)16時47分配信

 プロ棋士とコンピュータ将棋ソフトが戦う「将棋電王戦」に、新展開が発表されました。2015年春に開催された「将棋電王戦FINAL」をもって団体戦形式での開催は最後になると発表されていましたが、今度は将棋ソフトとプロ棋士が1対1で戦う「第1期電王戦」が開催されます。

 「第1期電王戦」では、プロ棋士と将棋ソフトそれぞれの代表が持ち時間8時間の2日制で対局。先手と後手を1局ずつ入れ替えての二番勝負で行われます。開催は2016年春ごろの予定。コンピュータ側の代表ソフトはこれまでの電王戦と同様、11月に開催する「第3回将棋電王トーナメント」の優勝ソフトが登場します。

 一方、プロ棋士側の代表者はこれまでの選抜制ではなく、ドワンゴ主催の新棋戦によって決定されます。新棋戦は全棋士参加可能なエントリー制の公式戦になることが決定。エントリーした棋士は段位別に予選を行い、決勝は三番勝負で行われます。予選、本戦トーナメントは持ち時間1時間で、決勝三番勝負のみ5時間。予選トーナメントは6月より開始され、ニコニコ生放送でも50〜60局を中継予定。本戦以降は全局中継されます。

 既にエントリーを決定した棋士も一部発表されており、糸谷哲郎竜王や佐藤康光九段、森内俊之九段らこれまでに出場を待望されていたトップ棋士たちの参戦も決定。「将棋プログラムと戦おうとするプロ棋士全てが参加できる新棋戦」として注目されています。

 新棋戦の名称はユーザーからの公募と投票によって決定される予定。6月18日に新棋戦の名称とエントリー棋士が発表され、6月20日より予選トーナメントが開幕します。

392名無しさん:2015/06/07(日) 17:14:32
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150603-00000138-mycomj-ent
「第1期電王戦」2016年春開催へ、新棋戦の優勝者対最強ソフトの2日制2番勝負に
マイナビニュース 6月3日(水)16時38分配信

ドワンゴと日本将棋連盟は3日、東京・六本木のニコファーレにて「電王戦に関する記者発表会」を行い、2016年春に新棋戦優勝者 対 最強ソフトの対局「第1期電王戦」を開催することを発表した。

「第1期電王戦」は、ドワンゴ主催による新棋戦の優勝者と「将棋電王トーナメントIII」の優勝ソフトによる対局。2016年3月〜5月の間に2日制で行われ、先後を入れ替えた二番勝負となる。持ち時間は各8時間で、各日午前10時対局開始、初日は18時封じ手、秒読み60秒。ソフトの貸出やハードの条件、優勝賞金については、後日改めて発表されるという。

ドワンゴ主催の新棋戦については、現役プロ棋士のエントリー制で、出場棋士は段位別予選と本戦からなるトーナメント戦で構成。開催期間は、2015年6月20日〜9月下旬、エントリーした全棋士が出場となる。この中で段位別予選が行われ、本線出場枠として九段4枠、八段〜五段各2枠、四段1枠に、タイトル保持者の段位を加味した計16枠を用意。本戦はこの16人によって、2015年10月中旬〜11月下旬に行われ、持ち時間各1時間(チェスクロック方式)、秒読み60秒。そして、本戦決勝進出者2名による、決勝三番勝負が2015年12月に行われる。こちらの持ち時間各5時間(チェスクロック方式)、秒読み60秒。決勝をはじめとする約50〜60局はニコニコ生放送にて、完全生中継を予定。この対局の勝者が、「第1期電王戦」に出場する。

そして、すでに新棋戦にエントリーしているプロ棋士の一部も発表され、糸谷哲郎竜王、谷川浩司九段、佐藤康光九段、森内俊之九段、屋敷伸之九段、藤井猛九段、深浦康市九段、三浦弘行九段、青野照市九段、佐藤天彦八段、豊島将之七段、西尾明六段、佐藤慎一五段、阿部光瑠五段が名を連ねており、全出場棋士は6月18日に発表。また、この新棋戦の名称は公募によって選ばれ、応募期間は6月3日〜10日、投票期間は6月13日〜17日。応募の中から主催者が候補名称を選出した後にユーザー投票を行われ、新棋戦名が6月18日に決定する。詳細は公式サイトまで。

この日の記者発表会には、日本将棋連盟会長・谷川浩司九段、日本将棋連盟専務理事・青野照市九段、KADOKAWA会長・角川歴彦氏、ドワンゴ会長・川上量生氏が登壇。川上氏は、「第1期電王戦」について「今度は本当に一対一で雌雄を決する形になりました。また新しいドラマが生まれるのではないかと思っています」と展望を語り、谷川氏は「二日制で棋士の方も最大限に力を発揮できると思います。先手後手で勝率も変わってきます。何年も棋士とソフトの対局を重ねてきて、ドワンゴさんと話し合い、少しずついい形になってきていると思います」と、「将棋電王戦」の新たな展開に期待を寄せている。

「将棋電王戦」は、2012年より始まったプロの将棋棋士とコンピュータソフトによる対局。2013年の第2回から5対5の団体戦形式となり、これまで第2回、第3回とコンピュータ側が勝ち越していたが、最後の団体戦となった今年3月〜4月の「将棋電王戦FINAL」では、 3勝2敗でプロ棋士が初の勝ち越し。コンピュータ側の電撃投了なども含め、大きな話題となった。

393名無しさん:2015/06/07(日) 17:15:05
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150603-00000100-zdn_n-sci
プロ棋士VS.コンピュータ「第1期将棋電王戦」来春に 現役プロ棋士から“人類代表”を選ぶ新棋戦を新設
ITmedia ニュース 6月3日(水)18時28分配信

 ドワンゴと日本将棋連盟は6月3日、プロ棋士とコンピュータソフトの対局「将棋電王戦」を継続し、新生「第1期電王戦」を来春開催すると発表した。ドワンゴ主催の公式棋戦(名称未定)を新たに創設し、優勝者がコンピュータソフトと対局する。

 これまで「将棋電王戦」として、棋士5人とソフト5つの団体戦を3度行っており、今年3月の「将棋電王戦 FINAL」を最後と掲げていた。

 来年3〜6月に開催する新たな「第1期電王戦」は、ドワンゴ主催の新棋戦の優勝者と、11月に行うコンピュータソフト同士の棋戦「電王トーナメント」の優勝ソフトが対局する方式に変更する。持ち時間各8時間、2日制の2番勝負で、勝敗を決するというよりエキシビションマッチに近い形だ。

 新棋戦は現役プロ棋士全員を対象としたエントリー制で、タイトルホルダーも含めた段位別の予選、勝ち抜いた棋士による本戦を6〜12月にかけて行う。本戦出場者は16人で、うち九段4人、八〜五段各2人、四段1人程度を予定する。決勝を始めとする50〜60局をニコニコ生放送で中継予定だ。

 将棋連盟の谷川浩司会長も、現役九段棋士として新棋戦に参戦する。団体戦形式を終えるにあたり、新たなコンピュータとの対局の形を昨年秋ごろからドワンゴと協議してきたと明かし、「電王戦にタイトルホルダーを、という要請に直接的に応えるのは難しいが、棋戦を主催してもらう形であればうまくいく可能性もあると考え協議してきた」と話す。

 その言葉通り、現時点で糸谷哲郎竜王をはじめ、森内俊之九段、佐藤康光九段、屋敷伸之九段、藤井猛九段、深浦康市九段、三浦弘行九段、佐藤天彦八段、豊島将之七段、西尾明六段、佐藤慎一五段、阿部光瑠五段らが新棋戦へのエントリーを表明。全出場棋士は6月18日に発表する。

 新棋戦の名称は、ユーザーから公募して決定する。ドワンゴの川上量生会長は「社内でも募集したのですが『ニコ王』とかしょうもないものしか出なくて……。優勝者に堂々と名乗ってもらえるような名称に」と応募を呼びかける。

 「コンピュータが進化を続ける中で人間は人工知能とどう向き合うべきか――それを考えるための取り組みとして、電王戦は社会的に意義があると感じてスタートした。当初はコンピュータの会社として、若干上から目線のおごった気持ちで人間側を悲観的に見ていたのも事実。何度も繰り返す中で、勝ち負けと違う部分で人間とコンピュータの関係、それぞれの素晴らしさについて何度も考えさせられた。また違う形で、これからも電王戦と将棋を支え、盛り上げていければ」(川上会長)

394名無しさん:2015/06/07(日) 17:15:53
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150604-00000005-asciiplus-sci
ついにタイトル保持者との対局も!? 将棋新棋戦誕生と電王戦開催決定
週アスPLUS 6月4日(木)9時30分配信

 6月3日、将棋電王戦の新たな展開が発表された。なんと、ドワンゴが主催するプロ棋士の新棋戦を創設。その優勝者は将棋電王トーナメントで優勝した将棋ソフトと二番勝負を行なうというものだ。

 これまで3回続いた団体戦に終止符をうち、1対1のガチ勝負となり電王戦の魅力はさらに増すことだろう。
 
 さらに、コンピューターへの挑戦者というか新棋戦による優勝者を決める戦いは、エントリー制ながら160名以上いるプロ棋士全員が対象。つまりこれまで自薦他薦により日本将棋連盟が決めていた挑戦者が、実力で棋戦を勝ち抜いたものが人間代表(挑戦者)となることで、タイトル保持者がコンピューターへ挑戦するという道が開かれたことを意味する。もちろん、タイトル保持者がエントリーしなければ可能性は0だが、すでに糸谷哲郎竜王がエントリーしていることが発表された。また8期名人位を保持し、電王戦でも解説者として登場している森内俊之九段も参戦。谷川浩司日本将棋連盟会長をはじめ、かつて電王戦に挑戦したり解説に登場した棋士がエントリーしており、棋戦としてもかなり盛り上がることだろう。
 
 新棋戦誕生の経緯をドワンゴ・川上量生会長が語った(風邪のため声が出ず司会者が代読)
 
 将棋電王戦は2013年の第2回電王戦、2014年の第3回電王戦、2015年の第4回(FINAL)電王戦と人間代表棋士とコンピューター将棋プログラムが5対5の対局で優劣を競う形式で開催してきました。主催者として我々が目指してきたものは、人工知能が急激な発展をみせる21世紀の現在において、人間とコンピューターの違いはなにか、人間の知的能力を凌駕しつつあるコンピューターに、人間はどのように対峙すればいいのか。人間にしかできないこととはなにか。そこにどんな人間ドラマが生まれるのか、ということを明らかにすることでした。これまでの3回の5対5の団体戦において示せる、それらの目的は、ほぼ達成できたのではないかと思っています。来年からはさらに電王戦をスケールアップし、人間棋士の中からコンピューターと戦う代表棋士を選ぶ新棋戦をドワンゴ主催で開催することにしました。選抜された5名ということではなく、将棋プログラムと戦おうとするすべての棋士が参加する電王戦とすることで、さらに一層将棋界に貢献し、将棋ファンの皆さんに楽しんでいただければと願っています。
 
これに対して、日本将棋連盟・谷川浩司会長は
 
 5対5の団体戦を3度続けてきましたが、昨年の秋頃からこれからどのような形でということは、川上会長をはじめドワンゴのみなさんとお話をしてきました。その中でドワンゴ主催の公式戦を立ち上げて、ソフトと対局するのはいかがですか?と打診がありました。将棋連盟としては、タイトル保持者がソフトと対局することはなかなか難しいのですが、棋戦を主催してということであれば、うまくいく可能性があるのではないか、ということで協議を続けてまいりました。今回大きなことは、公式戦を主催していただくことで、プロ棋士とソフトの対局だけでなく、将棋連盟には160数名の現役棋士がおり、公式戦はニコニコ生放送で数多く中継されることで、将棋界が盛り上がって、将棋界には個性的な棋士がいるんだということを皆様に広く知っていただけたらという思いもあり、実現の運びとなりました。
 
日本将棋連盟・青野照市専務理事の話
 
 新しい時代の新しい棋戦だと思っております。やはりエントリーしてこの棋戦に挑戦するんだという思いからスタートするんだろうと思います。みんながこの棋戦に参加し、優勝して、電王戦に出て行くんだという気持ちを見せるということが素晴らしのではないかと思います。各棋戦のタイトル保持者ということではなく、独自のタイトル保持者、優勝者を対戦させるのはいままでにない発想であり、皆さんにも楽しんでもらえるものだと思っております。

395名無しさん:2015/06/07(日) 17:16:19
>>394

電王戦エグゼクティブ・プロデューサー KADOKAWA・角川歴彦会長の話
 
 前回のFINALが各新聞で大きく取り上げていただき、新聞社は各棋戦の主催者でもあるなか、記者の方々はなかなか適切なことをおっしゃっているなと思いました。その中で川上くんにはひとつの役目は終わったのではないかと正直言いました。なので私はそういう気持ちでおりました。ところが川上くんが意外にも真面目な顔をして、「自分にできることがあるなら、実は後援し続けていきたい」というんです。これが意外な感じがしまして川上くんにもそういうところがあったんだなと、見なおしました。内輪の話ではありますが。今回公式戦、全棋士参加の新規公式戦は久しぶりのことだそうで、そういうことを考えると電王戦の公式戦ということは、時代の申し子みたいなところもあって、その時代の申し子が伝統的な将棋のルールに則ってどういうふうに発揮されるのか、そう考えると意味のあることだと思いました。なので協議を続けていきたいと川上くんが言うので、バックから応援させていただきました。今日こうやってまとまってお話ができるこしは、とてもいいことだと思っていますので、ぜひ今日聞いていただだいているみなさんも前向きに受け止めていただければありがたいと思います。
 
 この新たな棋戦は、まだ名前が決まっていない。現在6月10日中まで棋戦の名前を募集している。応募された名前の中から主催者が候補を選出し、それに対してユーザー投票を行ない新棋戦名が決定される。
 
 棋戦の名前が現時点で決まっていないにもかかわらず、棋戦の開幕戦は6月20日、午前10時より東京・将棋会館にて予選が始まる。段位ごとにわかれてトーナメントを行ない、予選の模様は22番組を使って生中継する。残念ながら全ての対局は放送出来ないという。ルールは持ち時間各1時間(チェスクロック方式)で秒読みは60秒。
 
 予選は9月下旬まで行なわれ、本戦に出場するのは九段は4枠、八段〜五段は各2枠、四段は1枠となり、タイトル保持者の段位を加味した計16枠となる。本戦は10月中旬から11月下旬にかけて行なわれ、こちらは全5番組で全ての対局を生中継する。ルールは、予選と変わらず持ち時間各1時間(チェスクロック方式)で秒読みは60秒。
 
 決勝は3番勝負となり、12月に3週続けて行なわれる。持ち時間は各5時間(チェスクロック方式)で秒読みは60秒。2勝したほうが優勝となり、電王戦でコンピューターと対局することになる。

396名無しさん:2015/06/07(日) 17:16:38
>>395
 
 来年3月から5月に行なわれる新電王戦は『第1期電王戦』という名称になり、二番勝負・先手後手1局ずつの対局となる。持ち時間は各8時間の2日制。各日午前10時に対 局開始し、初日は18時封じ手。秒読みは60秒で行なわれる。その他の詳細なルール(コンピューター側のマシンやソフトの貸出など)はまだ未定だ。
 
 今回の決定で、タイトル保持者との対局を夢見て将棋ソフトの開発者も再び力入れてくるのではないだろうか。いや、そうなってほしい。過去に電王戦に参戦したソフトがだんだん参戦していない現状を変えるチャンスになるかもしれない。また、対局が2日制となり、将棋ソフトにはない封じ手を行なう可能性が生まれてくる。封じ手機能自体はUI側で吸収できるかもしれないが、ソフト側もたとえば18時に近づいたら封じ手になるまで考える(メリットがあるかどうかは別)とか、封じ手になった手まで探索したデータを保存して次の日に持ち越すようにするとか、電王戦へ向けた機能追加を行なうというのもありかも。あと、8時間もあるので、序盤は一手に長めの時間を使って中盤以降は短くするなど、さまざまな戦略も組めるだろう。
 
 第1期電王戦がどうなるのかも楽しみだが、新棋戦がどういう展開で人間代表が決まるのかという過程も楽しみ。将棋ファンならずともドキドキ・ワクワクする対局になることを望みたい。最後に川上会長の電王戦に対する思いを語った。
 
 「電王戦を始めた時、社会的意義があるとともに、コンピューターの時代が来るときに、我々ソフトウェアを扱っている会社が、それを主催することに意味があるだろうと思い、小さい会社ですがドワンゴが主催させていただいたわけです。そのなかでコンピューターがこれからどうなるのか、世の中に教えてあげようという若干上から目線のおごった気持ちというのが私の中にありました。また電王戦をやるなかで、私自身が人間とコンピューターの関係についていろいろ思うことがあり、たとえばコンピューターに負けた人間が、人間をこれほどまでに感動させるものかと。電王戦の中ではいくつもありました。そんななかで私は人間とコンピューターの関係は悲観的な感じで見ていたのですが、人間はまだまだ素晴らしいですし人間はまだまだやって行けるということを深く感じ、私自身も電王戦によって勉強させていただいたと思っております。それによってドワンゴ自身も人工知能研究所を立ち上げ、より一層テクノロジーを迷わずに進化させていきたいという決意も感じました。これからも電王戦と将棋を支えていきますし、その中でコンピューターも素晴らしい技術ですし、人間ももっと素晴らしいということを世の中に示していければと思っております」

397名無しさん:2015/06/07(日) 17:16:56
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150604-00000074-mai-soci
<将棋連盟>谷川会長らを再任
毎日新聞 6月4日(木)21時31分配信

 日本将棋連盟(東京・千駄ケ谷)は4日の通常総会で新役員を選任した。谷川浩司会長を再任したほか、専務理事の青野照市九段と常務理事の島朗九段、東和男八段、中川大輔八段、片上大輔六段を再任した。また新たに佐藤秀司七段が常務理事に加わった。任期は2年。

 谷川会長は「新棋戦や東京五輪に向け、どう将棋をアピールするかなど運営は多岐にわたる。全力を尽くしていく」と抱負を語った。【山村英樹】

398名無しさん:2015/06/07(日) 17:24:01
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150605-00043587-gendaibiz-soci
G2レポート・棋士道 羽生善治「将棋の神」に極意を質す(その1)〜本誌には載らなかったインタビュー記事を特別公開〜
現代ビジネス 6月5日(金)11時1分配信

 発売中のノンフィクション雑誌『G2(ジーツー)』第19号に掲載後、大きな反響を呼んだ記事「騎士道 羽生善治」。ルポライター・高川武将が6度のロング・インタビューを通じて「羽生善治の本心に迫ろう」とした、文字どおりの「言葉の対局」です。原稿が予定の80枚を大幅に超える130枚に達したこともあり、誌面に載せきれなかった「後半」をおよそ2週間にわたって随時掲載していきます。棋士とルポライターの真剣勝負をご堪能ください(G2編集部)

 * * *

 (文・高川武将)

羽生善治が闘い続ける理由をどうしても知りたい
 冬晴れの寒い朝だった。
将棋会館の入り口で待っていると、黒いダウンコートを身にまとった羽生が、白い息を吐きながら、小走りに歩いてくる。手提げカバンを持つ手には、娘にでも貰ったのだろうか、ちょっと子供っぽい水色のニットの手袋をはめている。

 「かわいい手袋ですね」

 一緒にエレベータに乗り込み、挨拶も早々にそう話しかけると、

 「ええ、ちょっと寒かったので」

 と、手袋を隠すような仕草をして、照れくさそうに笑った。

 羽生とのインタビュー「第4局」に挑んだのは、2012年2月下旬のことだ。スポーツ雑誌「ナンバー」で、この1年の闘いを通して羽生の闘い続ける理由に迫るノンフィクションを書くための取材だった。どうしても知りたいことがあった。

 羽生さん、あなたが本当に求めているものは何なのですか? 
 遡ること、8ヶ月前――。私は思いも寄らぬ光景を目の当たりにしていた。
4連覇の掛かっていた第69期名人戦七番勝負で、羽生は同世代の僚友、森内俊之にフルセットの激戦の末敗れ、名人位を失った。その第7局直後の打ち上げの宴席で、羽生は、こちらが言葉もかけられないほど暗く打ちひしがれていたのだ。前年の竜王戦で渡辺明竜王に敗れても、打ち上げでは悔しさのかけらも見せず、「解放感」に満ちた明るいオーラを発散していたのとは対照的な姿だった。

 これまでのインタビューからは、羽生に勝つことへの拘りは感じられなかった。
勝つことに意味はない、常に新しい発見を探している、面白いドラマを観たい・・・・・・と、究極のモチベーションを朗らかに語っていた。羽生は身心をすり減らす勝負を面白いドラマを観たいがために闘っている・・・・・・私はそう思っていた。だが、そんな羽生が、名人戦の敗北直後に見せた酷く落胆する姿に、私は混乱し、うろたえた。

 やはり羽生は、勝つことへの拘りが人一倍強いのではないのか。闘争心は要らない、相手を打ち負かそうとは考えない、無理をしない、諦めることも大事・・・・・・そうした他の棋士からすれば少し首を傾げるような独特の極意は、全てが勝つための逆説でもあった。

 それはまた、森内に名人を奪われた後の戦いぶりにも現れていた。4年振りに参戦したA級順位戦で、現または元タイトル保持者たちを、羽生は鬼神のごとくなで斬りにしていたのだ。3回戦では、あの渡辺に完勝。1月12日の7回戦では久保を、2月1日の8回戦で谷川を下して、順位戦では自身初となる8連勝。2位の渡辺が2敗したことで、最終局を待たずに名人再挑戦を決めてしまっていた。

399名無しさん:2015/06/07(日) 17:24:30
>>398

名人戦はテニスでいえば、ウィンブルドン
 ――1年で名人再挑戦です。率直にどう受け止めていますか。

 広い会議室で大きめのテーブルを挟んで向かい合わせに座った羽生に、私はそう切り出した。すると彼は、いつものごとく、飄々と話し始めた。

 「そうですね。順位戦は随分長いこと対局してますけど、さすがに8連勝という現象は起こしたことがなかったので、今期はちょっと、意外でしたね、ええ。あとやっぱり、順位戦は一局一局が非常に重いので。9局は長いようで、結構、短いんです。一局が重いなぁという感じはしますね」

 ――一局が重いというのは? 
 「何ていうんでしょうかね、特にA級順位戦は絶対に早く終わらない、夜中の12時くらいまでかかるのが大前提ということなんで。だから先のことを考えるより、目の前の一局について考える。それに備えていくことのほうが、重点は大きいですよね。作戦的なこととか、体力的なことも含めて」

 ――名人に対する特別な思いはあるんですか。

 「ああ、そうですね。まあ、名人戦ってテニスでいえば、ウィンブルドンみたいなものだと思ってるんですよ」

 ――ウィンブルドン(笑)

 「ええ。長い歴史と伝統を誇って、脈々と続いてきたところに大きな価値があるんだと思っています、はい」

 ――他のタイトル戦とは意味合いが違う? 
 「そこの位置づけをどうするか、ということだと思うんですよ。テニスでも、ウィンブルドンを4大大会の一つと思う人もいるし、まあ、フフ、特別なものと思う人もいるし。ただ、順位戦という制度(C級2組からA級まで5階級あり、名人挑戦まで最短でも5年かかる)があって決まるシステムは、他の棋戦とはかなり違うところですよね」

 ――一番厳しいですね。

 「段階を踏んでいかないといけないので。そういう意味での位置づけはあるのかな、という気はしますね」

 ――昔から名人は選ばれし者がなると言われてますけど、若い頃は、名人への特別な思いはありましたか。

 「ああ・・・・・・いや、でも、相手の人から『ここに賭けてる』と感じることは多かったですね。ベテランの先生も、いつも一生懸命やってるんだけど、順位戦のときは目の色が違うみたいな(笑)。私が4段、5段、6段で、C2、C1、B2くらいのときに対戦した人たちは、そういう人が多かったという記憶があるんです。他の棋戦のときは結構淡白だけど、順位戦になると尋常じゃなく粘るとか(笑)。随分違うなと思ったことはありました、ええ」

 ――羽生さんはどう感じてたんですか。

 「あ、やっぱり、そこに、厳しさがあるんですよね、うん・・・・・・」

 ――なるほど。

 「一つの負けが昇級を逃すということは、普通によくあることなんで。そういう意味では鍛えられた、という感じはしています」

 ――94年に名人初挑戦で米長さんに勝つ。当時の資料を見ていたら、勝った直後、自室に戻った羽生さんが『このためにやってきた』と珍しく喜びを露にしていたという記事があって、凄く意外でした。当時はそんな無邪気な感じもあったんですか。

 「ああ、そうですね。あんまりよくわからないで、名人になってしまったって感じだと思いますけど。何というか、本当の意味での過酷さみたいなものをわからないまま、最初は獲れたという・・・・・・。いや、知らなかったから獲れたということもあると思うんですよ。そういうことって、よくあると思ってます」

 ――A級1年目で。

 「そうですね。うん。一局一局が重いということも、その頃はまだ感じていなかったので」

400名無しさん:2015/06/07(日) 17:24:58
>>399

盤上は将棋の可能性を追求する
 羽生が求めているものの本質を探るには、改めて彼の歴史から紐解いていこうと思っていた。七冠を制覇する以前から、羽生はそれまでの「常識」をぶち壊し、新たな「常識」を構築し、時代を開拓してきた。それは斬新な指し手に代表される盤上だけではなく、慣習やしきたりといった盤外にも及んでいる。そこには、どんな意図があったのか。確かめてみることにした。

 ――米長さんとの第一局で、中飛車をやった。意表を突く戦型に、当時は驚きと共に批判もありましたよね。若手がそんな変わったことをやって失礼だとか、勝てるのか、という。

 「ああ、まあでも今は何の違和感もなく、普通に皆やってることで、それもよくあることなんですよね。最初はいろいろ賛否があるんですけど、年数が経つと、実はどうってことない、大したことじゃなかったという」

 ――その年度の順位戦では、プレーオフも含めて3回、席次では格上の棋士を相手に上座に座った。盤上だけではなく盤外も含めて、将棋界を変えたいという意識はありましたか。

 「いや、変えたいというよりも、普通にやってどうなるかっていう・・・・・・。例えば中飛車の話だったら、それで中飛車が指せないとか、指しにくいとなったら、選択の幅が狭くなるんで。だから、そこはまあ、やってみる。上手くいくかどうか、やってどうなるかはわからないけど、とにかく実験的に思い切ってやってみようというのはありますね」

 ――盤上は将棋の可能性を追求すると。

 「はい」

 ――上座に座ったのも理由があった。タイトル保持者としてスポンサーのことを考えて。

 「ああ、そうです、ね。確か、あのときタイトルを4つ持っていたと思うんですけど、自分のことよりも、保持者ということがあるので・・・・・・。いや、でも、相手の人が先に来て上座に座っていたら、ちょっとそこ、どいて下さい、とは言わないですよ(笑)」

 ――(笑)

 「だから、どっちでもいいと言えば、どっちでもいいことだったんですけど(笑)。昔、そういうことで迷った時期もあったんで。迷うくらいなら、自分なりの基準で選ぼうということですよね」

 ――そういう自分の考えで取った行動に一部の人から批判が出たとき、どう感じました?心が痛むようなことはなかったですか。

 「ああ、いや、う〜ん・・・・・・まあ、いろんな考えの人がいますからね(微笑)。それも一理あるから、そう思うこともあるんだろうなと。まあまあ、そこは・・・・・・。いや、絶対に上座に座らなきゃいけないという拘りがあったわけではないので」

 ――最初に矢面に立つのは、いろいろと風当たりが強いこともあったと思います。

 「ああ、そうですね。うん・・・・・・まあでも、過ぎてしまえば、忘れてますよね。大体の人は(にこやかに笑う)」

 ――辛いなとは? 
 「いや、特にそういうことは思わなかったですけどね、ええ」

401名無しさん:2015/06/07(日) 17:25:49
>>400

損な手も本当にやってみなければわからない
 ――若い頃から、自分が率先して将棋界を発展させる、切り開いていくという気概や覚悟のようなものはなかったですか。

 「いや、ないですよ。全く。まあ、自分が、普通に、自然にやってどうなっていくか、ということだし、うん。それがどういう影響を起こすかはわからないことだし、うん。ただまあ、あまり制約をかけないということは、もちろんありますけど」

 ――自由に。

 「ええ。どう言えばいいんでしょうかね、例えば将棋の指し手だったら、どういう指し方も常に可能性としてはあるわけで。うん。だから別に、これをやってはいけないということはないですし。例えば、昔、よく二手目に(普通は損だから指さない)6二銀とか、3二金に上がったりしていたときも、損な手だということはよくわかっていたんです。でも、どれくらい損かというのはやってみないとわからないんで。ある程度やってみて、どれくらい損かわかったからやめた、ということなんです。はい。結構、そんな感じで・・・・・・へへっへへ(照れ笑い)」

 ――普通は損だからやらない手も、羽生さんは実戦で試してみる、と。

 「そうですね。ただまあ、沢山あるセオリーや定跡みたいなものに、毎回沿ってやるのはシンドイな、という気持ちもあったので。それでちょっと変わったこととか、実験的なこともやってみようと思っていたと思います」

 ――それは今でも変わらない。

 「時期によって、こういうことをやってみようとか、これはやめておこう、というのはありますけど」

 ――昔の将棋界は、先輩への敬意が過剰になって若手が勝てない、人間の厚みで押さえ込まれてしまうことがあったと思います。

 「ええええええ、はいはいはい」

 ――そういう状況を変えたい、とは? 
 「う〜ん、いや、でも、例えば、大山先生と対局すると、やっぱり、凄い迫力があるんですよ。だから、その部分だけでは戦わないということはありましたね。うん。例えば、経験値とか、勝負どころの勘所とか、そういう部分では叶わなくても、作戦面や最新の戦術だったら五分に渡り合える、というところはある。どちらを前面に出してやるか、ということだと思っていたんですけどね」

 ――当時はよく、『将棋と人生は関係ない』『理論で割り切れる技術のゲーム』と強調していましたね。

 「あ、いえ、それは、ですね。その先があってですね。私がそう言っていたのは、甘えになるから、という続きがあるんです」

 ――なるほど。将棋が強くなるには人生経験が必要と言われていましたけど、それは逆に遊びを正当化する言い訳にもなる。

 「言い訳にするために、そういう話が出てるんで。だから、技術論であると言っていたんです。ずっとそう言っていたんですけど、毎回、そこはカットされちゃうんで(笑)」

 ――ああ・・・・・・。

 「そこは誤解を生んでる可能性はあるかも知れません・・・・・・」

402名無しさん:2015/06/07(日) 17:26:05
>>401

 ――そうですね・・・・・・。でも、若い人からすれば爽快に感じた人は一杯いたでしょうね。

 「ああ、それはそうでしょうね。うん。いや、基本的にそうでしょう(笑)」

 ――皆、薄々思ってるけど、言えないことを言ってくれた、と。

 「ええええ、ということだと思います」

 ――お酒やギャンブルをやる人が多くて。

 「ええ。別にやってもいいんですけど、それを理由にする必要はないのかな、と・・・・・・(ふいに吹き出し)お酒を呑みたければ呑めばいいし、ギャンブルしたければすればいいんで(笑)。それが将棋にプラスになるとか、マイナスになるとか、そういうことではなくて、呑みたいから呑む、やりたいからやるっていう、ただそれだけの話で。ハハッハハッ」

 ――そうですね(笑)。では、遊びが将棋の力には直結しないと? 
 「いや、なってるかも知れないですよ。うん。何か、そういう人のほうが、切り替えが出来るというか、煮詰まったときに上手く逃れやすい傾向はあると思いますよね。だからプラスになってる可能性はあるとは思います」

 ――じゃあ、若いときから、人生経験を否定していたわけではないんですか。人間的に厚みを増すことは、盤上にも影響してくると? 
 「いや、もちろん、影響することはあると思いますけど。ただ、何がプラスになって、何がマイナスになるかは、わからないので」

 ・・・以下、次回へつづく(次回の掲載は6月7日を予定しています)

----------
高川武将(Takagawa Takeyuki)
1966年東京都生まれ。新聞社、出版社を経て、フリーランスのルポライターに。スポーツを中心に『Number』等で骨太のノンフィクションを多数執筆。2010年の竜王戦から羽生善治の取材を続け各誌に寄稿している。
----------

 『G2(ジーツー) Vol.19』
(講談社MOOK/税別価格:900円)

 『G2(ジーツー)』は雑誌・単行本・ネットが三位一体となったノンフィクション新機軸メディアです。今回目指したのは、アメリカの雑誌界の最高峰『ザ・ニューヨーカー』。新しいノンフィクション、新しいジャーナリズムの形を示そうと、『G2』第19号は何から何まで大幅にリニューアルしました。

 執筆者/奥野修司 清田麻衣子 黒川祥子 佐々木実 佐藤慶一 柴田悠 高川武将 西村匡史 野地秩嘉 福田健 安田浩一 飯田鉄(順不同)

 => Amazonはこちら
 => 楽天ブックスはこちら

高川武将,G2

403名無しさん:2015/06/07(日) 18:30:37
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150607-00043595-gendaibiz-soci
G2レポート・棋士道 羽生善治「将棋の神」に極意を質す(その2)〜彼を盤上に向かわせる原動力は何なのか? 本誌には載らなかったインタビュー記事を特別公開!
現代ビジネス 6月7日(日)11時1分配信

 発売中のノンフィクション雑誌『G2(ジーツー)』第19号に掲載後、大きな反響を呼んだ記事「騎士道 羽生善治」。ルポライター・高川武将が6度のロング・インタビューを通じて「羽生善治の本心に迫ろう」とした、文字どおりの「言葉の対局」です。原稿が予定の80枚を大幅に超える130枚に達したこともあり、誌面に載せきれなかった「後半」をおよそ2週間にわたって随時掲載していきます。棋士とルポライターの真剣勝負をご堪能ください(G2編集部)

 ▼羽生善治「将棋の神」に極意を質す(その1)はこちらからご覧ください
 => http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43587

 * * *

 (文・高川武将)

歳をとっても棋士でいるためのズルさ
 『これからの棋士寿命は短くなる。自分も40歳でやっているかわからない。50歳で出来ていたら大満足です』

 ちょうど七冠制覇する前後、羽生は頻繁にそう言っている。

 やがて30代に入った頃、羽生はタイトル戦とは無縁のベテラン棋士たちが深夜まで対局する姿を見て、その原動力は何だろうと思う。「今が全て」と一喜一憂するよりも、「長い棋士人生をマラソンを走り抜けるようにいかに変わらずに走り続けるか」を模索するようになり、そして勝ち続ける。

 ――寿命が短くなるというのは、研究が盛んになって戦いが激しくなる、と? 
 「研究が盛んになるというのは、長距離走だったものが短距離走になっていく、ということなんで。よく、水泳のバサロスタートの話をしてたんですね。つまり、バサロスタートが出来るようになったら、水面に出た後の短い距離の勝負になるじゃないですか。そうしたら、若い人のほうが有利でしょう。まあ、スポーツではレギュレーションが変わってまた状況も変わることはあるけど、将棋はルールを変えるわけにはいかないんで、ええ。そういうことは思ってました」

 ――それが変わっていった。変わらずに続けていく、という方向に。

 「いや、まあ、そうですね。そのときはそう思っていても、歳は自然にとっていくんで。だからといって、そのまんま、ぼんやりしているわけにもいかないんで(笑)」

 ――でも、勝負というのは『今が全て』ですよね。その一瞬で、正解を考えつかなければそこで終わってしまう。

 「ええ、ええええ」

 ――そうした勝負を如何に続けていくか、ということですか。

 「ああ、そうですね。どう言えばいいんでしょうかね、うん・・・・・・例えばゴルフだったら、若いときはよくても、歳を重ねると、いいショットばかり打てるとは限らないじゃないですか。だからまあ、リカバリーショットを充実させよう、と(笑)。OBすれすれとか、林すれすれとか、ハハッ、とりあえず一打でフェアウェイに戻しておくか、みたいな、ハハッハハッ」

 ――ちょっとズルいような(笑)

 「まあ、そういうのも大事ですよね(笑)」

404名無しさん:2015/06/07(日) 18:30:55
>>403

思いも気概も目的も・・・すべて「ない」
 ――10代の頃は、読みを中心に無我夢中でやっていたのかなと。その後、序盤の研究を徹底して、プロでも難解なほど突き詰められて、七冠になった。そうした流れの後に、そういう考えになったわけですね。

 「いや、でも、本当に将棋の序盤が変わったのは、七冠を獲った後のことですから。藤井システムとかが出始めて、2000年くらいですかね。凄く大きく変わったのは。私が七冠を獲った96年頃は、序盤が変わったといっても、その後の変化から見たら、大したことじゃなかったんですよね」

 ――きっかけというか、始まりだった。

 「ええ。その前は、(タイトル戦で)中飛車突いただけで、ぎゃあぎゃあ言ってた時代ですから。そんなの別に、今と全然違いますよね」

 ――時代が変化していく中で、羽生さんは技術の囲い込みをしなかった。研究成果を公にしてきたのは、どうしてなんですか。

 「まあ、自分が思いついたことは、他の誰かも思いついているものなんです、ええ。これは経験則として、ほぼ間違いなくそうなんで。あんまり持っていてもしようがない、というのはあるんですよ」

 ――羽生さんの中に、自分だけ強くなるのではなく、周りの棋士も強くして全体をレベルアップさせようという意識はなかった? 
 「ああ・・・・・・いや、特にこういう目的でということは、ないですよね。ええ。まあ、結果として、そうなったのかも知れないですけど、実際はどうかわからないですし、うん・・・・・・。自分で強くなった可能性も当然のことながらあるわけで。だから、何というか、うん、わからないということですね(笑)」

 ――研究が盛んになったという時代の変化もある。でも、そうした変化事態を、自分が先駆けて起こしたという認識はないですか。

 「あ、それはないですね。というか・・・・・・それこそ、藤井システムや中座飛車といった常識を覆すような戦法が出てきてからは、もう、それについていくのが大変だったので・・・・・・。先導したという感覚は、全くないですね」

405名無しさん:2015/06/07(日) 18:31:19
>>404

渡辺将棋から学び取ったもの
 全ての答えは「ない」だった。

 将棋界を変えたいという思いも、自分が切り開いていくという気概も、周りをも強くしようという目的も、研究全盛の熾烈な時代を先導したという認識も・・・・・・全てが。「ある」のは、ただ、将棋の可能性を追求していくこと。制約をかけずに、普通に、自然に。

 だが、今の羽生が、これまでにない危機的状況にあることは事実だった。
14歳下の渡辺に追いつめられている現状がある。2008年、10年と挑戦した竜王戦に敗れ、さらに前年の11年には王座戦五番勝負で3連敗を喫し、19年死守してきたタイトルを奪われていた。羽生が同じ相手にタイトル戦で3度も続けて負けることは初めてで、世代交代も囁かれている。羽生がそうしたように、いつの時代も世代交代は一人の棋士によってなされている。

 ――渡辺さんという強敵が現れました。昨年の王座戦は一局ごとの内容は凄かったと思いますが結果は3連敗。渡辺さんの存在というのは? 
 「いやぁ、やっぱり、普通に強いですよねぇ」

 ――普通に強い。

 「ええええ。ただ研究だけに強いというんじゃなくて、外れたところからのねじり合いも凄く、うん・・・・・・崩れない、というところもあるし、うん・・・・・・。そう、あと、やっぱり、見切りが凄くいいんで。この手はダメ、という見切りの良さは、指していて毎回感心するところがありますね」

 ――終盤のねじり合いも凄く正確で見切りがいい。読むというより、見えちゃってる感じなんですかね。

 「あ、そうですね。うん。非常に短い時間で沢山の手が・・・・・・ま、プロだから当たり前と言えば当たり前なんですけど(笑)。だけど! その見える中でも、極めてよく見える、という感じはしますね。ええ」

 ――40歳を過ぎた今、渡辺さんのような強敵が現れた。面白いドラマを観たい羽生さんとしては、嬉しい気持ちもあります? それとも、やっぱり困る? 
 「ああ、そうですね。いや、またそこで、自分なりに工夫しなきゃいけないんだなということは、非常に思いますよね。これまでのやり方とはちょっと違う方法を模索しなきゃいけないのかな、と」

 ――渡辺将棋から学び取ったものは何ですか。言えないこともあるでしょうけど。

 「ああ、やっぱり、こう、うん・・・・・・そうですね、判断の切れ味の良さ、ですよね。つまり、一つの局面を見て、いろんな手が見えるわけじゃないですか。この手とこの手とこの手が有力そうだというときに、ズバッと切り捨てて、この手! とすぐ選べる。そういうダイナミックさというのは、うん、いやぁ、中々ない感覚だなぁと思います」

 ――羽生さんは時間をかけることが多い。

 「基本的に長考派というか、時間は結構使うほうなんで。渡辺さんは、早いんですよ。それも相手に関係なく早いんで。いや、さすがにA級に来たら(渡辺は10年度から昇級)そんなに早くは指せないはずなんですけど(苦笑)。でも、普通にそれが出来てるというのは、中々凄いことだなと思いますね」

 ――羽生さんは、研究していてもその場で考えて。

 「考えることが多いんですよ。研究していても、その場で思いついたり、深く掘り下げたりすることがあるんで、ええ」

 ――盤の前に座ってみないとわからない。

 「そうですね、そうですね。そこが非常に流動的なものなんで」

 ――ちょっと失礼な質問かも知れないですけど、かつての羽生さんが相手にそう思わせたように、強い若手が出てきたときに、こいつには叶わないなとか、勝てないなという気持ちが芽生えたりはしないんでしょうか。

 「ああ、そうですね、うん・・・・・・それはやっぱり、こう、うん・・・・・・。自分と全く違う感覚を持った人が出てきたときには、自分がそれを出来るかどうか、ということをまず考えますよね。そこから始まるというか・・・・・・まあ、それが出来ないとなったときに、どう思うかはわからないですけど。フフフ。まあ、とりあえず、出来るかどうかやってみる、という感じですかね」

406名無しさん:2015/06/07(日) 18:31:51
>>405

何を求めて将棋を指しているのか
 追いつめられている状況とは裏腹に、相変わらずのマイペースでにこやかに話す姿は、あくまで自然体だった。羽生が本当に求めているものを聞き出そうとする作業は、まるでラッキョウの皮を一枚ずつむき続けているようなものなのかも知れない・・・・・・。

 ズバリ、聞いてみた。

 ――結局、羽生さんは何を求めているんですか。渡辺さんを倒して第一人者であり続けたいのか、将棋の真理を究めたいのか・・・・・・。

 「いやぁ、そうですね。これだけ長くやっていても、将棋の可能性はまだまだあるんだなというのは、実感としてあります。例えば、20年も研究されているのにいまだに結論が出ない形があって、まだ何もわかっていないんだと愕然とするってことは、よくあるんで。そういう部分を模索していくということもあるし。そこに対局という勝負もついていて、当然、結果を求めていく気持ちもありますけど。うん・・・・・・でも、今更、気張っても何とかなるわけでもないので(笑)。普通に、自然にやってどうなるか、ですね」

 ――一生を懸けてでも、将棋の答えを見つけたい? 
 「まあ、そんなに大げさなものはないんですけど。わかる範囲でわかったらいいな、とは思っています」

 ――ただ、昨年の名人戦で負けたとき、打ち上げで非常に落胆しているように見えました。どんな心境だったんですか。

 「ああ・・・・・・いやぁ、まあ、疲れました」

 ――疲れた・・・・・・。

 「ええ。一局も長かったですし、シリーズ期間も長かったですしね」

 ――竜王戦のときの解放感はなかった? 
 「まあ、そうですね。他のタイトル戦も並行して続いていたということもあって。ただ、疲れたからといって、そこで休むわけにもいかないですしね」

 疲れた・・・・・・それだけなのか。だとすれば、この取材の前に見た、少しシュールな光景は何を意味するのだろう。

 ・・・・以下、次回へつづく(次回の掲載は6月9日を予定しています)

----------
高川武将(Takagawa Takeyuki)
1966年東京都生まれ。新聞社、出版社を経て、フリーランスのルポライターに。スポーツを中心に『Number』等で骨太のノンフィクションを多数執筆。2010年の竜王戦から羽生善治の取材を続け各誌に寄稿している。
----------

 『G2(ジーツー) Vol.19』
(講談社MOOK/税別価格:900円)

 『G2(ジーツー)』は雑誌・単行本・ネットが三位一体となったノンフィクション新機軸メディアです。今回目指したのは、アメリカの雑誌界の最高峰『ザ・ニューヨーカー』。新しいノンフィクション、新しいジャーナリズムの形を示そうと、『G2』第19号は何から何まで大幅にリニューアルしました。

 執筆者/奥野修司 清田麻衣子 黒川祥子 佐々木実 佐藤慶一 柴田悠 高川武将 西村匡史 野地秩嘉 福田健 安田浩一 飯田鉄(順不同)

 => Amazonはこちら
 => 楽天ブックスはこちら

高川武将,G2

407名無しさん:2015/06/07(日) 18:33:18
http://textview.jp/post/hobby/16823
“貴族”天彦七段 「プロとのVSできることさえ難しい」
2014.10.22
佐藤天彦(さとう・あまひこ)七段が『NHKテレビテキスト将棋講座』で連載しているエッセイ「『貴族』天彦がゆく」。10月号では、1対1の練習将棋を指す「VS」や研究会についてこう述べている。

*  *  *

このエッセイでもVSや研究会について話題にすることがしばしばありますが、実はプロと直接盤を挟んで練習将棋をするところまでたどりつくのも簡単なことではありません。

僕は元々地方にいたので余計にそう思うのかもしれませんが、奨励会三段、少なくとも有段者くらいにならないとそういった機会さえ得られないようなイメージです。相手をするプロの側も教えるだけではなく多少は勉強にならないと意味がないので、ある程度の実力がないと練習相手にもなれないのです。

藤井研に入る前の僕は序盤に多くの課題を抱えていると自分で分析していました。

そういったこともあり、序盤の大家である藤井(猛九段)先生が主催する研究会は憧れで、仲の良い村山(慈明七段)さんからその研究会の話を聞くたびに羨ましく思っていました。代打(メンバーの誰かが日程の都合などで出席できなくなったとき、他の人に頼むことをこう言います)で行くことは何度かありましたが、それでもレギュラーメンバーになりたい気持ちは持ち続けていました。

そうして過ごしているうち、メンバーのうちの一人が研究会を辞めることになり、僕のところにお誘いがきました。こうして念願のレギュラーメンバー入りがかなったときはうれしかったです。このVSと研究会は幸いどちらも現在に至るまで続いており、大きな学びの場です。

さて、木村(一基八段)先生とのVSですが、いつも本番さながらの気合いで指される印象です。僕も練習、本番問わず気合いを入れて臨むようにしてはいるつもりですが、そう意識していてもなお木村先生からは大きな気迫を感じることが多く、盤上だけでなく盤外のそういった部分も見習っていきたいところです。

■『NHK将棋講座』2014年10月号より

408名無しさん:2015/06/07(日) 18:34:25
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150607-15060750-nhktextv-cul
天彦が見た「将棋界の一番長い日」
NHKテキストビュー 6月7日(日)15時0分配信

将棋界の一番長い日と呼ばれるA級順位戦最終局。テキスト『NHK 将棋講座』2015年6月号では、来期は自身がその舞台に立つ佐藤天彦(さとう・あまひこ)八段に寄稿していただいた。ここではその中から、渡辺─久保戦のレポートをお届けしよう。



* * *



今年のA級は大混戦で最終日を迎えた。順位上位から、2敗が行方尚史八段、久保利明九段。3敗が渡辺明棋王と広瀬章人八段。いっぽう残留争いは、危ない順から3勝5敗の三浦弘行九段、森内俊之九段、4勝4敗の郷田真隆王将となっている。深浦康市九段と佐藤康光九段は同じく4勝4敗だが、順位の関係ですでに残留が確定。阿久津主税八段は8連敗で降級が決まっている。



まず最初に終局したのは渡辺─久保戦。時刻は21時39分と、順位戦にしては早かった。感想戦で印象に残るのは、苦々しい表情で感想を述べる久保さんの口元だ。対する渡辺さんは、いつもどおりとはいえ非常に明瞭な語り口。誰に言われずとも、勝者と敗者が分かるような光景だった。



強靱(きょうじん)な粘り腰を持つ久保さんがなぜこの時間帯に投了に追い込まれたのか。僕は3日前の出来事を思い出していた。その日は僕と渡辺さんが対戦、そして共通の友人でもある戸辺誠六段も対局で、対戦相手は西尾明六段。それぞれの対局が終わったあと、渡辺さん、戸辺さん、それに僕の3人で飲みに行った。そのとき俎上(そじょう)にのったのが、渡辺─久保戦で現れた新手?5八銀(1図)だ。これは戸辺─西尾戦の感想戦で西尾さんに戸辺さんが聞いた手らしい。皆で少し先の変化までつついた。





それが渡辺─久保戦でそのまま現れた。新手?5八銀は奏功。リードを奪った渡辺さんの快勝となったのだ。さて、この一事をもって、渡辺さんが情報と事前の研究で勝ったとまで言えるだろうか。確かに、事前の研究で良しとされた局面になればかなりのアドバンテージになる。ただ、将棋は良くなってからも大変だ。技術的な部分はもちろん、はやる心をいさめ、残っている長い持ち時間をしっかり使い、丹念に読んで勝ちに持っていくには想像以上の精神力が必要とされる。当然だが、結局は現場での力が重要なのだ。



それに、先日のエピソードには付け加えるべき点がある。?5八銀の話が出る前、渡辺さんは振り飛車における自分の研究を次々に披露していたのだ。それは専門家の戸辺さんをもうならせるものだった。その精度の高さは、本局の37手目?4一飛から49手目?3二角の一連の手順で証明できる。これは3人のときには出なかった順で、渡辺さん独自の研究だ。このような渡辺さんの姿勢があってこそ、戸辺さんも自分にとって脅威ともなりえる情報を話したのだと想像する。僕たちは友人とはいえ、それ以前に勝負師同士だ。



「この人になら教えてもよい」と思えるのは、友人だからという理由だけではなく、自分にとっても有益になるのではないかと思えるからだ。かつて、渡辺さんはトップ棋士が若手棋士に一方的ともいえる形で情報を聞き出すのを批判したことがある。僕はここでその是非を論じるつもりはない。ただ、同じ情報を得るプロセスでも、渡辺さんには渡辺さんなりの流儀があり、表には見えにくいクールなプライドが確かに存在しているということを記しておかなければならないだろう。



しかし、実際問題、これは久保さんにとってはつらかった。ここ数年のA級順位戦最終日の盛り上がりは最後まで諦めず粘り続ける久保さんによるところも多く、僕はひそかに「久保の一番長い日」だと思っていた。ただ、そんな久保さんでもこの日ばかりは厳しかったのかもしれない。



■『NHK将棋講座』2015年6月号より

NHK出版

409名無しさん:2015/06/14(日) 00:42:40
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20150611/ecn1506110830007-n1.htm
プロ棋士と将棋ソフトによる棋戦「電王戦」 来年春から新形式に
2015.06.11

 Q:将棋関連のニュースで「電王戦」という棋戦名をたびたび目にします。詳しく教えてください。

 A:電王戦(でんおうせん)は、プロ棋士と将棋のコンピューターソフトによる棋戦です。動画サイト「ニコニコ動画」の運営などで知られるドワンゴと日本将棋連盟が主催する棋戦名で、同サイト上で対局が中継されています。囲碁も「囲碁電王戦」という対局がありましたが、こちらは「電聖戦」という別の名称が付きました。

 電王戦は日本将棋連盟の公式ホームページの「棋戦一覧」にも記載されています。それによると、2012年1月14日に開催された「第1回将棋電王戦」はコンピューターと米長邦雄永世棋聖の一番勝負で、米長氏が敗退しました。以降、毎年3-4月、日本将棋連盟が選抜した5人のプロ棋士と将棋ソフトとの団体戦の五番勝負が、東京・千駄ヶ谷の将棋会館で行われています。団体戦は13、14年ともに将棋ソフトが勝ちましたが、今年初めて人が3勝して初勝利をあげました。

 コンピューターと人が対決するボードゲームといえば、スーパーコンピューターの「ディープ・ブルー」が1997年に、チェスの世界チャンピオンだったガルリ・カスパロフを破ったことが世界的に報じられました。ただ当時は、チェスよりもはるかにルールが複雑な将棋ではコンピューターが人を打ち負かすのは難しいと言われていました。ところが、10年ごろからコンピューターの勝率が上がってきたのです。

 そして、電王戦で人は3連敗しましたが、「FINAL(ファイナル)」と銘打たれた今年=写真〔1〕、5人のプロ棋士が勝利したことで一段落が付いたと言われていました。

 しかし先日、日本将棋連盟とドワンゴから来年春に人とコンピューターの新たな対局を行うと発表がありました=同〔2〕。これまでは選抜されたプロ棋士と将棋ソフトの団体戦でしたが、新対局はトーナメントで勝ち抜いた将棋ソフトの「電王」と、プロ棋士の中からトーナメントで勝ち抜いた一番強いプロ棋士との一騎打ちになります。

 日本将棋連盟会長の谷川浩司九段は「160棋士の中から勝ち抜いた棋士と将棋ソフトとの対局になります。ニコニコ動画で予選から中継されますので、個性的で魅力的な棋士がいるということも知っていただきたい」と期待を語りました。

 今回のトーナメントへのエントリーは各棋士の希望で行われるとのことですが、「若手棋士によるトーナメントはあっても、全棋士参加の公式戦は久しぶり」(谷川会長)とのことで、将棋ファンも楽しみなことでしょう。

 現在、谷川会長をはじめとして、糸谷哲郎竜王、佐藤康光九段、森内俊之九段、屋敷伸之九段、藤井猛九段、深浦康市九段、三浦弘行九段、佐藤天彦八段、豊島将之七段、西尾明六段、佐藤慎一五段、阿部光瑠五段らのエントリーが決まっています。

 今月18日には全エントリー棋士と、段位別の取り組みが発表されます。今月20日から段位別の予選が行われて16人に選抜され、10月中旬から本戦。決勝戦は12月に三番勝負が行われます。

 一方、11月には最強将棋ソフトを決める大会「第3回将棋電王トーナメント」で今年の「電王」が決定し、このソフトと棋士の優勝者が来年春に先手後手一局ずつの二番勝負を行います。そこで再び、人とコンピューターの将棋王者が決まるというわけです。 (松本佳代子)

410名無しさん:2015/06/14(日) 22:16:29
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150610-15061050-nhktextv-cul
羽生善治名人の好きな映画
NHKテキストビュー 6月10日(水)15時0分配信

中村太地(なかむら・たいち)六段からのバトンを受けていただくのは、名人戦で激闘を繰り広げている羽生善治(はぶ・よしはる)名人。前回登場の中村六段の質問のほか、加藤一二三(かとう・ひふみ)九段からの質問もお預かりした特別編でお送りします。あなたの知らない魅力にどこまで迫れるでしょうか?



* * *


■加藤一二三九段より羽生善治名人への質問


Q 羽生さんとわたくしの会話で、以前、映画『ひまわり』(マルチェロ・マストロヤンニとソフィア・ローレン主演)の話題が出たことがあります。お好きな映画を、その理由とともに、教えてください。



小津安二郎監督の『東京物語』が好きですね。小津監督の作品はわりにゆったりと構えて観られるように作られている印象があります。当時はそれがひとつの技法と言うか、印象に残るための方法だったんでしょうけど。



内容についても、凝った設定とかすごく意外な展開とかがあるというわけではないですから、たまにちょっとよそ見をしても大丈夫かな(笑)、みたいな安心感というか。平凡な日常のことを描かれているというか。



でも、逆にいうと、けっこう昔に作られているもののはずなのに、時代が変わっても「平凡な日常」と感じられるということは、すごく普遍的なテーマについて表現されているということだと思うんですね。それが国際的にも高く評価されている理由かなと思います。



たとえば小説だと三浦綾子さんの『氷点』という作品をとても興味深く読んだ時期があります。テーマは、と聞かれたら「原罪」です、ということになると思うのですが、たとえば「では『原罪』について考えてみよう」といきなり言われても、よく分からないと思うんです。でも、物語の形で、ある程度具体的に、できごとだったり、その登場人物の感情の動きだったりというものによって見せられることで、自分にひきつけて考えることができるようになる。文学作品とか映像作品が存在している理由っていうのは、時代が変わっても人が向き合わなければいけないテーマみたいなものについて説明するときにすごく有効な手段だからなのかな、というようなことを思うことがあります。


■中村太地六段より羽生善治名人への質問
?

Q 棋士としていちばん大事にしていることは何ですか?



ずいぶん昔に廣津先生(久雄九段)に、「棋士はできるだけいろんな人に会ったほうがいい。会えば、よほど変なことをしない限り、個人として応援してくれるし、将棋に関心を持ってもらえる」と言われたことがあったんですよ。まあなんというか、棋士ってそんなに人数もいませんし、珍しがって覚えてもらえるということもあると思うんですが(笑)、それはほんとにおっしゃるとおりだなと。



「普及のためには、将棋を少し知っている人をたくさん増やすのが大事」ということを以前に言ったんですけれども、そのためにも大事なことかなと思って、心がけていますね。



■『NHK将棋講座』2015年6月号より

NHK出版

411名無しさん:2015/06/14(日) 22:16:59
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150610-00010000-shincho-sci
トッププロ参加トーナメントになる将棋電王戦に「羽生名人」参加でよいか〈週刊新潮〉
BOOKS&NEWS 矢来町ぐるり 6月10日(水)8時0分配信

 戦国時代の城攻めに喩えれば、内堀はすでに埋められ、残すは本丸のみという絶体絶命の窮地であろう。不測の事態に陥った将棋連盟は、ついに精鋭部隊の投入を強いられ、当代随一の棋士・羽生善治名人(44)までもが、決戦の舞台に駆り出されようとしている。

 ***

“人類最速の男”と称されるウサイン・ボルトですらトップスピードは軽自動車に劣る。進歩した科学技術に比べれば、人間ひとりの才能や鍛錬など無力に等しい。だが、そんな常套句の前にひとつの問いが立ちはだかる。はたして、コンピューターは羽生名人に勝てるのか――。我々はまもなく、その答えを目の当たりにするかもしれない。

「実は、プロ棋士とコンピューターが対決する“電王戦”が来年も開催されることになったのです」

 と明かすのはベテラン棋士である。この3〜4月に『FINAL』と銘打った第4回大会が行われた電王戦だが、来年から新たな体制で再始動するという。

「しかも、これまでのような団体戦ではなく、トッププロ棋士も参加するトーナメント制が導入されます。そこで優勝した棋士が、コンピューター同士の戦いを勝ち抜いた最強ソフトと対局する。つまり、四冠を手にした“現役最強”の羽生名人が、コンピューターと真剣勝負する可能性が高まっているのです」(同)

 思えば“電王戦”はプロ棋士にとっての鬼門だった。

 第1回の電王戦で米長邦雄永世棋聖が苦杯を嘗めたのを皮切りに、

「5人の棋士と5つのソフトによる団体戦となった第2回以降も、コンピューター側の勝ち越しが続きました。今年は3対2の僅差でプロ棋士側が勝利したものの、最終戦で阿久津主税八段が、相手のプログラミング上の穴を突く“奇手”を指したことで話題になった。そこまでしなければ勝てないほど、コンピューターが進化しているというわけです」(観戦記者)

■最終決戦
 となれば、“夢の対決”への期待は増すばかりだが、羽生名人が参戦するに至った背景には、棋界の苦しい台所事情も影を落としていた。先の棋士が続ける。

「羽生名人がコンピューター相手に後れを取れば、“もはや人間に勝ち目はない”と認めざるを得なくなってしまいます。それでも将棋連盟がトップ棋士も参加するトーナメント制に踏み切ったのは、電王戦を主催するドワンゴが、スポンサーを続ける条件として“羽生名人の出場”を突きつけたから。ここ数年、タイトル戦を主催する新聞社がスポンサー料を削減し続けるなか、新たな大口出資者の意向には将棋連盟も逆らえなかった」

 その結果、矢面に立たされそうな名人だが、不利な局面で繰り出す起死回生の妙手こそ“羽生マジック”の真骨頂。将棋ソフトに詳しい武者野勝巳七段も、

「まさに人類とコンピューターの最終決戦ですが、持ち時間が3時間以上あれば羽生君は負けないでしょう。コンピューターに引けを取らない正確な読みと、意表を突く指し手、さらに終盤の強さを考慮すれば、明らかにソフトの分が悪い」

 もちろん、勝負に“絶対”はない。それでも瀬戸際の攻防を目撃したいと思うのが人間の性(さが)なのだ。

「ワイド特集 瀬戸際の歩き方」より
※「週刊新潮」2015年6月4日号

SHINCHOSHA All Rights Reserved.

412名無しさん:2015/06/14(日) 22:17:56
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150609-00043598-gendaibiz-soci
G2レポート・棋士道 羽生善治「将棋の神」に極意を質す(その3)〜勝負師としての羽生の姿に森羅万象が重なる 本誌には載らなかったインタビュー記事を特別公開!
現代ビジネス 6月9日(火)11時1分配信

 発売中のノンフィクション雑誌『G2(ジーツー)』第19号に掲載後、大きな反響を呼んだ記事「騎士道 羽生善治」。ルポライター・高川武将が6度のロング・インタビューを通じて「羽生善治の本心に迫ろう」とした、文字どおりの「言葉の対局」です。原稿が予定の80枚を大幅に超える160枚に達したこともあり、誌面に載せきれなかった「後半」をおよそ2週間にわたって随時掲載していきます。棋士とルポライターの真剣勝負をご堪能ください(G2編集部)

 ▼羽生善治「将棋の神」に極意を質す(その1)(その2)はこちらからご覧ください
 (その1) => http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43587
 (その2) => http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43595

 * * *

 (文・高川武将)

雀士・桜井章一への質問攻め
 それは、1月7日、新宿の紀伊国屋ホールでのことだ。400人の満員の聴衆を前に、羽生は、『雀鬼』こと桜井章一と舞台に上がっていた。

 60年代から大金を賭けた麻雀の代打ちを行う裏プロとして活動していた桜井は、裏技も駆使して引退までの20年間無敗を自称している。今は雀鬼会という道場を主宰し、自己啓発関連の著書も多数ある。その桜井との『本当の強さ』をテーマにした講演会は、どこか奇妙だった。二人の対談形式なのだが、羽生が一方的に質問を浴びせている。

 「一見、損すること、無駄なことと健やかさは、運や流れを掴むことと関係ありますか」
「偶然はないというのは、細かいところを見て感じていればそれがわかるからですか」

 桜井は笑いながら、「先生、聞いてばっかりじゃない。こっちにも聞かせてよ」と何度か制する。だが、将棋について話し始めても、「自分の話ってつまらないなぁと感じるんです」と自ら遮り、すぐにまた質問し続ける。

 「柔らかさが大事ということは? 一期一会というものはその瞬間が凄く大切と?・・・・・」

 すると桜井は苦笑しながら言う。

 「先生はズルいよ。わかった上で聞いている。こいつ、どう答えるんだろうって。素人将棋みたいに」

 会場は笑いの渦に包まれたが、羽生はポツリと言うのだ。

 「大変申し訳ないんですけど、こういうことに答えてくれる人があまりいないんですよ」

 それは、どこか羽生の孤独を思わせた。
約1時間、彼が聞く内容は、直感や閃き、運や流れといった論理では割り切れない勝負哲学、人生哲学に通じるものばかりだった。実はこの対談の前に、羽生は桜井の道場を訪れ、7時間も同じように話を聞いている。桜井はこう振り返る。

 「何かを見つけに来たなと感じましたね。40代になって行き詰まり感もある、勢いで出来た20代とは違う。何か新しい価値を作りたいんじゃないかな」

413名無しさん:2015/06/14(日) 22:18:23
>>412

セオリーもデータも、自分の経験すらも役に立たない
 ――桜井さんには何を求めてお会いされたんですか。

 「そうですね。セオリーやマニュアルで表せないものを知っている人という感じなんです。そういう人は、きっと世間に一杯いるんですよ。でも、どこにいるかわからないんで。いや、ホントに。それこそ町工場の職人さんとかにもいるはずなんです、絶対に。でも、どこにいるかわからないじゃないですか。だから、知っている人で、そういうことを深くわかっている人なんじゃないかなと」

 ――セオリーやマニュアルで表せないもの、将棋においては? 
 「結局、羅針盤が利かない場面って、やっぱりあるんですよ。乱戦とか混戦になったときですね。例えば、序盤だったら形とかセオリーである程度は決まってきますけど、局面が進んで未知の領域に入ると前例は全くなくなっちゃうんで。セオリーもデータも、自分の経験すらも役に立たない。そのときにどうするか、という問題は常にあるんですよね。そこは、全体から見れば、実際は小さい部分で重要じゃないかも知れないですけど、そうは言っても、そういう場面もあるということは間違いないんで」

 ――桜井さんから知りたかったことは、将棋に役立たせるため? 
 「ただ、それが何に役立つかはわからないんですよね、ええ。因果関係で証明できるものじゃないんで。だから・・・・・・わかりません(笑)」

 ――漠然と、曖昧としてる。

 「うん。でも、そういう話を聞くことは大事なのかなぁと。皆、独自に切り開いていってるものなんで。自分とは全く違ったアプローチ、考え方、発想から、何かヒントを得られるということはあると思っています」

 ――ただ、講演会で羽生さんが聞いていることは、既に思っていることを確認しているように見えたんですが。柔らかさ、健やかさ・・・・・・。

 「ああ、そうですね。思っているというよりも、こう、漠然とクエスチョンマークがつくことなんですよ。それに対していろんな答えが返ってきますけど、そこがまあ、面白いところで・・・・・・でも、あんまりお客さんのことは関係なく話してましたね(笑)」

 桜井に聞いていた哲学的なことは、既にわかっていることだと思っていたが、そうではないと言う。そう聞いて私は、メンタルをテーマにした前回のインタビューでのやりとりを思い出した。

 ――本当の強さとは何か。また、本当の弱さとは何か。羽生さんはどう考えてますか? 
 そう尋ねると、羽生は「ああ・・・・・・」と低く唸り、陽気に話していたそれまでとは一転、深刻な表情になった。一瞬、あの独特な透明感のある白い眼に変わったように見えた。

 「そうですねぇ・・・・・・よくわからないですね。うん・・・・・・わからないですね、本当に・・・・・・」

 そう言うと、俯いて黙りこくってしまった。

 ――わからない・・・・・・ただ、技を突き詰めていくときに曖昧さも大事、と。それは、複雑な
ものを複雑なまますっきりさせないことに耐えられる、そういう強さのことかなとも思うんですが。

 「あ、そうですね。もちろん、漠然とした状況に耐えられるかどうか、ということは大事なことだとは思っています。そういうものを乗り越えないと、強いとは言えないと思いますけど・・・・・・ええ」

 ――簡単に答えを出さない、と? 
 そう確認すると、「いや」と即座に否定して、今度は顔を上げ、きっぱりと言った。
「出さないというか・・・・・・出ない、ということなんじゃないですかね。答えが出ないとか、答えがわからないとか、答えがないっていうものに対して、どれだけ粘り強くやっていけるか、ということだと思いますけど」

 答えがないものにどれだけ粘り強く対峙できるか・・・・・・。そう聞いて、羽生の心の深遠を垣間見た気がしたものだった。恐らく、桜井に聞かざるを得なかった哲学的なことも、羽生は本当にわからないのだろう。

414名無しさん:2015/06/14(日) 22:18:55
>>413

紙一重の感性を持つ人の新鮮な感触
 ――何か発見はありましたか。

 「そう、ですね・・・・・・何が、ということよりも、こういう人もいるんだなぁと(笑)」

 ――それが一番(笑)

 「それが一番大きいです」

 ――こういう人、というのは? 
 「まあ、いろんな人がいますけど、あんまり考え方が似てる人はいないですもんね。うん。独自の世界観があるんだなぁと、話していて思いましたし、非常に新鮮でした」

 ――新鮮だったのは、桜井さんが裏の勝負の世界を生き抜いてきた人ということも? 
 「そういう人も、生きている人は少ないわけでしょう、基本的に・・・・・・(突然、笑い出し)早死にしちゃう人が多いわけですから(笑)。いや、それはどう考えてもそうなんで。そういう世界で生き抜いて、何か独自の感性を持っている人もいるとは思うんですけど・・・・・・これもどこにいるかわからないんですね」

 思わず失笑すると、羽生は真剣な表情で、訴えかけるようにこう言った。

「いや、本当に、どこにいるか、わかんない、じゃない、です、か?」

 ――本当に。意外なところにいるかも知れないですね。

 「ええ、ええ。下手すると、刑務所にいたりするかも知れないから・・・・・・(笑)。わかんないじゃないですか。本当に・・・・・・」

 ――そうですね。例えば、囲碁の故藤沢秀行さんのような、酒、女性、借金とやりたい放題やりつくしたからこそ得られる真理みたいなものもあるんじゃないかと思うんですけど。

 「ああ、ええええ、そうですね。まあでも、そこに、何ていうんでしょうかね、うん・・・・・・紙一重の危うさというのもあるんで。そこは、こう、難しいところなんです」

 ――紙一重の危うさ? 
 「ええ。お会いしても、話が通じるかとか、話を理解できるかとか。何か凄いことを言っているのかも知れないけど、理解不能というケースも当然、あるんで。本当に微妙な、紙一重のところはあると思うんですよ」

 ――ああ・・・・・・。

 「うん・・・・・・前にですね、こういうことがあったんです。ある科学者の人がパーティで挨拶されていたんですね。で、私、その場で聞いてたんですけど、何を話しているのか全然わからないんですよ。いや、その人は間違いなく! 物凄く頭のいい人だと思うんですよ。長々といろんな話をしているんですけど、いや、わっからない・・・・・・。その人の中では、理路整然としたものがあるんだろうなぁということは想像できるんですけど、そこから先はもう・・・・・・(苦笑)理解できないんで。そこは如何ともしがたい。話を聞きに行っても、クック、自分もわからないし、クック、相手も不愉快に思うかも知れないということもあるので。そこが紙一重だと・・・・・・」

 ――危うさが。

 「ええ、危うさが」

 そう言うと、羽生は楽しそうにケラケラと笑った。

415名無しさん:2015/06/14(日) 22:19:30
>>414

将棋を指す意味は突き詰めない
 ――数年前から船井幸雄(14年1月に死去)さんとも交流されていますよね。

 「そうですね。やっぱり、セオリーやマニュアルだけじゃないものを持っている人は、自分から探していかないと見つからないので」

 ――船井さんからはどんなことを得ているんですか。

 「基本的に経営コンサルタントなんで。コンサルタントもいろいろ流派みたいなものがある中で、船井さんは中小企業の人たちから支持されていて、何か一つのことで一番になれ、と言っているんですよ。大企業だったら一つのことで一番になっても経営は成り立たないじゃないですか。組織の規模によってセオリーが違うのが、話としては面白いなと」

 ――ただ、船井さんは経営コンサルタントの一方で、波動や異次元、超意識といった一般的にオカルトと呼ばれる世界に詳しくて、関連書籍も多いですね。羽生さんも興味があって話を聞いてるんですか。

 そう問うと、羽生は「あのぉ・・・・・・」と少し言い淀んでから、質問とはズレた話を始めた。

 「結局、今、思想と科学の世界はどんどん近くなってきてるんですよ。物理の量子力学の世界って、突き詰めると思想の話になっちゃうんで。それでお互いに拒絶反応が出てるんですよね。どちら側にも、それは違うよということはあるんだけど、現実は凄く近づいている。そこはお互いに嫌な話なんじゃないですかね。科学の世界の人にとっても、思想の世界の人にとっても」

 ――うん・・・・・・物理学者の中にも、例えばパラレルワールドはあると仮定しないと説明がつかないという人たちもいる。

 「ええ。いや、だから、物理学者の世界ではそういう解釈問題に首を突っ込むな、とも言われてるんですよ。哲学とか思想の話になっちゃうんで」

 ――そういう世界にまで興味を持っているのは、将棋の真理を究めるために役立てたいからなんですか。それとももっと別の、例えば人間的に深めていきたいのか・・・・・・目的は何ですか。

 「いや、特に目的はないです(笑)。そんな深遠な目的は全くないですけど、ええ」

 ――ない・・・・・・面白いから? 
 「ああ、それはそのぉ・・・・・・何も知らないで漠然とやるよりは、そういうことも知った上で最終的に何を選ぶかというほうが、楽しいのかなぁという気はするんですよね」

 ――前回も伺いましたが、突き詰めると勝つことに意味はない、少なくとも自信をもってあるとは言えない、と。

 「ああ、ええええええ。そうですね」

 ――意味がないとなれば、好きな将棋を指すことが出来なくなる。

 「ええ。ですから、あんまり正面から向き合い過ぎないということが大事なんじゃないでしょうかね。うん・・・・・・それは、全て真正面から向き合ったら、何も出来ないですよ、きっと。最後は、これも意味がない、あれも意味がない、何をやっても全て無意味だとなっちゃうじゃないですか・・・・・・。だからまあ、ほどほどに、適当に向き合って、でいいんじゃないですかね(笑)」

 ――僕自身も、何で書くのか、突き詰めたら意味がない。本当は自分が面白いからやっているだけなのに、読者を面白がらせるためとか、理由付けをしています。羽生さんにはありますか。

 「ああ、そうですね。先に行けば意味があるかも知れないとか、そういう風に思うようにはしていますけど」

 ――そうか、70過ぎてから考えればいい。

 「ええええ。でも、ずっと意味がない可能性もあるんですけど・・・・・・ハハッハハッハハッ」

 ――結局、意味がなかったって(笑)

 「で、終わっちゃうかも知れないですけどね」

 ――・・・・・・もう、あまり意味を求めない。

 「そうですね、ええ。あんまり深く考えてもしようがない、という感じですかね」

416名無しさん:2015/06/14(日) 22:19:58
>>415

プロとして闘うなかでの辛さはあるのか?
 取材時間が迫っていた。どうしても聞いておきたいことがあった。彼の抱えているはずの苦しみについてである。

 私がうつから回復する過程で、切実に身につけざるを得なかった逆説的な考えを、羽生はどのようにして得ることが出来たのか。そこには、計り知れない大きな苦しみや辛さがあったからではないか、そう思えてならなかったのだ。

 ――勝つことに意味はないと薄々わかっていながら、でも、一生懸命指し続ける。勝ち続けないと、将棋を続けていけない。そこにこそ、羽生さんの辛い部分があるのではないかと思うんですが。

 そう聞いてみた。別に否定してくれてもいい。でも、何か予想外の答えが返ってくるかも知れないという、微かな期待もあった。

 すると羽生は、「ああ」と甲高い声を発してから淡々と言った。

 「まあ、局面を考えていくのは、楽な局面ばかりじゃないですからね。当然、不利な場面とか、難しい局面は沢山あるので。それを辛いといえば辛いとなるんでしょうけど」

 将棋の話を聞いているのではない。私は聞き方を変えてみた。

 ――例えば、もう勝負はどうでもいいんだけど、プロとして勝負をしていかなければいけない辛さはないですか。

 「ああ、そうですね。長くやっていく中で、そういうことはあるんだろうなぁというのは、他の棋士の人たちを見ていても思うことはありますね。うん・・・・・・まあ、他の物事もそうかも知れないですけど、ある種の過酷さというのは、どんなものにも付き物としてあると思いますが、ええ」

 ――では、辛くて当然、と? 
 「そうですね。うん・・・・・・まあでも、その一方で、ただ辛いだけだったら続かないとも思うんですよ。だから、何ていうか・・・・・・辛いことも一杯あるけど、ちょっとでも報われたとか、続けて来てよかったという瞬間もあるから、辛い時間が長くても頑張れるということもあるでしょうし。普通、辛いだけで頑張れる人というのは、よっぽどの人じゃない限りいないはずなんで」

 ――そこに楽しみや発見も見つけていく。

 「うん。ということだと思っています」

 ――根底には面白いドラマを観たいという思いがある。突き詰めてはいけないんでしょうけど、勝負は超越しているんですか。

 「続いていくという感じですね。うん・・・・・・プロとしてやっていく限りは」

417名無しさん:2015/06/14(日) 22:20:42
>>416

ただ盤上に向かうのみ
 ――勝負は好きですか。

 「ああ(低く唸り)、どうなんでしょうねぇ、ええ・・・・・・あんまり、そういうことも考えないですね、もうね・・・・・・。いや、好きとか嫌いとか考えてもしようがないじゃないですか(笑)。だって、(対局は)あるんだし、どうせすぐやるんだし、ハハッハハッハハッ」

 ――対局中に痺れる瞬間というのは? 
 「やっぱり、こう・・・・・・一つの選択で全然違った道に進んでしまうということが、凄くあるんですよ。つまり、この一手を選んだらもの凄く攻め合いになるし、この一手を選んだらもの凄く長期戦になるといった、大きな分岐点があるので。そういう場面での選択というのは、非常に大きいなって感じます」

 ――そんな勝負に明け暮れて26年です。

 「意外と早かったですね。あんまり、26年も経ってるという感じはしないんです。気がついたら、もうそんなに経ってたのか、と。まあ、巡り合せがよかったとは思っています」

 ――将棋の神様はいると思いますか。

 「ああ・・・・・・将棋は有限のゲームで理論上は『答え』があるはずなので、それを神と定義すれば神はいる。でも、宗教的概念として神がいるとは思えません(笑)。おかしいでしょ、それ、既に、ハハッハハッ」

 ――では、自分が将棋の神に選ばれたとは? 
 そう聞くと、「ああ・・・・・・うん・・・・・・そうですねぇ、どうなんでしょうねぇ・・・・・・」と、羽生は真剣な面持ちでしばし考えてから言った。

 「まあ、突き詰めてもしようがないでしょう。確かに、目に見えない力を感じることはありますが、それを他力というので。それが何かわかったら自力じゃないですか(笑)」

 ――いつまで続くんでしょう。

 すると羽生にしては珍しく、少しぶっきら棒な口調で言った。

 「考えてもしようがないっしょ、もう」

 そうして、弾けるように笑ったのだ。
普通に、自然に。目的も、意味も求めず、考えず。ただ盤上に向かう・・・・・・ふと、こんなフレーズが浮かんだ。

 空っぽ、即ち、無心。

 勝負とは自我の張り合いである。時代を開拓し、全冠制覇しても勝ち続けて来た男には、その勝負に必要なはずの自我が見えない。だが、さらに言えば、勝負とは自我との闘いでもある。負けるときは、自滅するときだ。だから羽生は、盤上に没我する。柔らかな佇まいには、究極の勝負師の姿がある。

 それはかつての剣客たちを思わせる。多くの達人たちは、人を斬り捲り命のやりとりを続けたあげく、禅の世界に行き着く。

 敵の刀を素手で受け止める「無刀取り」を完成させた柳生石舟斎、勝負を争わず心胆を磨いて自然の勝ちを得る「無刀流」の山岡鉄舟、「空の剣」に達した宮本武蔵・・・・・・。一切の執着を捨て、宇宙の森羅万象に身をゆだねる天地自然という禅の理を得た彼らは、相手を殺すだけの「殺人刀」ではなく、相手を活かす「活人剣」こそ剣の理であるという『剣禅一如』を悟るのだ。自我を消し、相手と和するという境地は、羽生の考え、思想とも重なってくる。いや、もしかしたら、その上をいくのかも知れない。

 ・・・・以下、次回へつづく(次回の掲載は6月11日を予定しています)

----------
高川武将(Takagawa Takeyuki)
1966年東京都生まれ。新聞社、出版社を経て、フリーランスのルポライターに。スポーツを中心に『Number』等で骨太のノンフィクションを多数執筆。2010年の竜王戦から羽生善治の取材を続け各誌に寄稿している。
----------

 『G2(ジーツー) Vol.19』
(講談社MOOK/税別価格:900円)

 『G2(ジーツー)』は雑誌・単行本・ネットが三位一体となったノンフィクション新機軸メディアです。今回目指したのは、アメリカの雑誌界の最高峰『ザ・ニューヨーカー』。新しいノンフィクション、新しいジャーナリズムの形を示そうと、『G2』第19号は何から何まで大幅にリニューアルしました。

 執筆者/奥野修司 清田麻衣子 黒川祥子 佐々木実 佐藤慶一 柴田悠 高川武将 西村匡史 野地秩嘉 福田健 安田浩一 飯田鉄(順不同)

 => Amazonはこちら
 => 楽天ブックスはこちら

高川武将,G2

418名無しさん:2015/06/14(日) 22:21:34
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150611-00043661-gendaibiz-soci
電脳戦が羽生にもたらした人工知能への興味 G2レポート・棋士道 羽生善治「将棋の神」に極意を質す(その4)
現代ビジネス 6月11日(木)11時1分配信

 発売中のノンフィクション雑誌『G2(ジーツー)』第19号に掲載後、大きな反響を呼んだ記事「騎士道 羽生善治」。ルポライター・高川武将が6度のロング・インタビューを通じて「羽生善治の本心に迫ろう」とした、文字どおりの「言葉の対局」です。原稿が予定の80枚を大幅に超える160枚に達したこともあり、誌面に載せきれなかった「後半」をおよそ2週間にわたって随時掲載していきます。棋士とルポライターの真剣勝負をご堪能ください(G2編集部)

 ▼羽生善治「将棋の神」に極意を質す(その1)〜(その3)はこちらからご覧ください
 => http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43587
 => http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43595
 => http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43598

 * * *

 (文・高川武将)

強いとは、弱いとは何か?
 本来は全く関係のないもの同士がシンクロする瞬間は、唐突に訪れるものだ。

 その日、私は、都内の閑静な住宅街にある民家の一室でマッサージを受けていた。ちょうどうつになった直後から、知人に紹介され通うようになった江上正威(まさたけ)先生の施術は、全身を解してくれる。その技術は天下一品で、肉体的にも精神的にも癒されるひと時である。

 施術中はいろいろな話をするのだが、その日は、何の拍子か羽生の話になった。羽生は常にギリギリの均衡を保つことを考えている、それは他の棋士とは明らかに違う・・・・・・私がそんな話をしたときだ。

 「あ、そう! それ、うちの稽古と似ているなぁ」

 先生が驚きの声を上げた。先生が「うち」というのは、「親英体道(元は親和体道)」という合気道にも似た武道のことだ。創始者は井上鑑昭(のりあき)という、知る人ぞ知る伝説的な人物である。

 1902年、和歌山県田辺郡(現田辺市)の裕福な家庭に生まれた井上は、幼い頃から柔術を嗜み異才を発揮していたが、13歳の頃から、こんな疑問を抱くようになる。

 「強いとはいかなることか。弱いとはどこからくるのか。そもそも人に、強い、弱いということはあるのか」

 やがて、大本教の出口王仁三郎(おにさぶろう)に邂逅し、武道の在り方の根本に「親和力」を置けばいいことを悟る。19歳の春のことだった。後に大本教に加わる伯父の植芝盛平(もりへい)と共に、合気武術を広く教授し始めた。だが、戦前の公安当局による二度の弾圧を契機に、植芝は大本教を離れ、合気道を創始することになる。その植芝と袂を別った井上は、戦後まもなく、親和体道と改め独自の道を歩むのである。

419名無しさん:2015/06/14(日) 22:22:18
>>418

 団塊世代の江上先生と明治生まれの井上との関わりは、幼少期に遡る。

 江上先生の父茂は、沖縄空手を本土に持ち込み早大空手部を創部した船越義珍(ぎちん)の一番弟子で、こちらもまた伝説的な空手家である。戦時中は陸軍中野学校の武道教官を勤めたこともある茂は、後年、「空手の突きは本当に効くのか」という根本的な疑問を持ち、一撃必殺の最強の突きを追い求める。生活さえも犠牲にして究めたのは、拳を固めるそれまでとは真逆とも言える「柔らかい空手」。その松涛会江上流空手の礎となったのが、後年に師事した井上の教えだった。

 茂の三男である江上先生は、幼少期から井上の道場に出入りし、ことあるごとに父から井上の話を聞いて育った。慶大では合気道部に所属し、その後、別の武道や海外放浪など紆余曲折を経て、30代半ばから井上に師事する。それは井上が91歳で亡くなるまで続き、67歳となった今でも稽古を続けている。羽生の考えと似ているという親英体道とは・・・・・・。

 「一番の極意は『入り身』です。相手が打ってきたところに、そのまますっと入る。相手と一つになり、こちらが主体になって導きながら、一緒に流れていくんです。よく井上先生が仰っていたのは、『桜の花びらが散って川に落ちると、その中にすっと入って一緒に流れていくやろ。稽古はそうやって勉強するんやで』ということなんです。元々一つだったものを形にする。全ての物事には入り身しかない、受け身はないんだ、と」

 それは羽生の思想と合致しているように思えた。ギリギリの均衡を保ちながら、どこかで思い切って踏み込んでいく。その際に大事なのは他力、手を渡して相手が踏み込んできたところに、自然と入っていく・・・・・・。

 「闘ってはいけない。相手をやっつけるんじゃないんです。相手に敵意を持たせたら負け、刀を抜かせたらさらに負け、それに応じてこちらが抜いたら絶対の負け、なんですね。最初から相手と和していると考える世界なんです。かつての剣客たちが達した境地は、対すれば相和するでしょう。でも、相手と和すると考えること自体が既に作為が働いているという」

420名無しさん:2015/06/14(日) 22:22:36
>>419

勝ちを意識すればに負ける
 「羽生さんも、闘争心は要らない、相手を打ち負かそうとは考えないと言うんです」

 「ああ、そこまでいってるんだ・・・・・・」

 「ただ、いつも全力、一生懸命。新手や新戦法はいくら研究したり、練習しても実際のところはわからないから、真剣勝負の場、特に大きな舞台で実験するんです」

 「そこはね、一番、大事だと思う」

 江上先生はそう感嘆すると、さらに言葉を継いだ。

 「本当の和というのは真剣勝負にこそあるんです。一つになる、一緒に流れていくというのは、真剣勝負じゃないとわからない。究極の技は身につかないんですね。だから、初心者や女性に対してもバカにしてはダメで、全力でやらなければいけない。

 一つになるといっても、決まった形はないんですよ。形は毎回変わる。百回やれば百通りの形がある。実際には、相手が転んでしまうかも知れないけど、それは気がついたら相手が勝手にいっているだけで、力ではないんです。むしろ、こちらの力が弱ければ弱いほど、相手の力が強ければ強いほど、相手は自分の力で倒れるんです。武道としては変な言い方なんだけど(笑)」

 「いや、わかります。羽生さんの将棋にも棋風、つまり形がない。均衡を保って、局面局面で正しいと思う手を指していくうちに、気づいたら勝っていたという。相手は特にミスもなくて、何で自分が負けたかよくわからない不思議な感じになる」

 「あ、そう。面白い! きっと羽生さんが勝つときは、相手を意のままに動かせているんじゃないかな。でも、それも意識したらダメなんですよね」

 時折、私の体を指圧する流れるような動きが止まるほど、先生も話に熱が入る。

 「他の武道と根本的に違うのは、一人ひとりの『在り方』を描いていく世界だということなんです。本当の真剣だったら入り身ができた時点で勝負は終わっている。すっと入られてぱっと持たれたら、真剣だったら死んでいるわけですからね。でも井上先生は、『殺してはアカン、一つの在り方を勉強するんや、一人ひとりの在り方を一緒に描いていくんやで』『それが日本の有り方や』と。どこまでも広がっていく世界なんですよ。だから、井上先生の演武は本当に綺麗で美しいんです」

 聞けば聞くほど、親英体道と羽生の思想は酷似している。親英体道の元を辿れば、井上が幼少期から祖父に学んでいた平法学、その元にある古神道に行き着く。

 「宇宙にゼロはない。全ての物事は1から始まる。『水火(すいか)の交わり』という考えがあるんです。言い換えれば陰陽ですね。横に流れる水と、縦に燃え上がる火が一点でぶつかりあい、一つのものが生まれてくる。男と女が出会って子どもが生まれるように。そのぴしゃんと合うところを勉強しなさい、とよく言われましたね。本当は最初から合っている。水火の在り方を表せばいいんだと。もちろん、簡単なことではないんですけどね(笑)」

 日本人の生き方にも通じる日本独自の勝負観がある。それはまた、羽生の強さの根源にも通じると感じた。江上先生は言った。

 「普通はそこまで考えが及ばないでしょう。単なる勝負、勝ち負けだけで終わってしまって。西洋のスポーツ的な発想とは明らかに違うんですよね」

421名無しさん:2015/06/14(日) 22:23:22
>>420

人口知能に勝つために将棋ソフトをプログラムする?
 2012年春からの羽生は、さらにギアを入れ替えたように勝ち続ける。

 名人戦では森内に敗れ、タイトル奪回はならなかったが、挑戦者として臨んだ秋の王座戦五番勝負では、渡辺から1年でタイトルを奪い返した。2勝1敗と王手を懸けて臨んだ第4局は、夜10時過ぎに千日手指し直しとなる。30分の休憩を挟んで行われた指し直し局で、羽生の気迫をまざまざと感じるシーンがあった。開始直前に盤の前に座った羽生は、まるでリングに向かうボクサーのように両腕をぐるぐるっと大きく回したのだ。指し直し局に勝利したのが深夜2時。1日で2局、都合17時間に渡る死闘を終えた直後の感想戦でも、よく通る声で快活に喋ったのは羽生のほうで、片や渡辺は憔悴しきっていた。

 翌13年には、渡辺との三冠同士の対決となった棋聖戦も制し、天敵に一歩水をあける。翌14年春には、3年連続の挑戦となった名人戦で森内を4連勝で下し、4年ぶりに名人にも復位して四冠王となった。続く棋聖戦でも森内を3タテで退け防衛に成功する。

 常識外れの斬新な手、積極的な踏み込みを見せての勝ちっぷりは、「第2の全盛期」を思わせた。羽生に何があったのだろうか。

 この間、将棋界に新たな変化が生まれていた。コンピュータ将棋の進化である。12年から始まった人間対コンピュータの団体戦である電王戦では、人間側の惨敗が続き、棋士たちやファンもコンピュータ将棋への脅威に戦々恐々としていた。きっと羽生にも、大きな刺激になっているに違いない。そんな思惑をもって、インタビュー「第5局」に挑んだのは、14年6月末のことだ。

 ――名人戦は力戦型の将棋が続いて、同時期に電王戦が行われていたこともあって、棋士やファンから「人間らしい将棋」という声が聞かれました。特別な意識はありましたか。
そう尋ねると、羽生は軽快に語り始めた。

 「ああ、そうですね。名人戦は名人戦なんで(笑)。まあ、魅力的な将棋を指したいという気持ちはありました。何というか、電王戦だけが盛り上がってしまうのは、残念なことですから。同じ時期にやってますし、名人戦も注目してもらえるような内容にしたい、という気持ちはありましたね」

 ――電王戦、どんな感想を。

 「やっぱり、ソフトは非常に強かったというのと、コンピュータ将棋世界選手権で優勝したソフトだけじゃなく、トップの7つか8つの強さは変わらない、全般的なレベルの高さを感じましたね。人間側には普段の対局とは違う厳しいものがあるんだろうなと」

 ――具体的には。

 「例えば人間同士の対局だと、1局の中で読みが外れてもどこかで合っていくものですけど、そういう共通項を感じることはなかったんじゃないかなと。何でこんな手でくるの?どうしてこの局面でこんなに長く考えているの? ということが続いていく。だから、人間はかなり消耗すると思います」

 ――昨年よりもさらに、もう人間はコンピュータに叶わないんじゃないかと、棋士たちもファンも危機感が募っています。

 「ああ、ええええ、ええええ」

 ――羽生さんは、どう捉えてますか。

 「ああ、そうですね。人間としては、コンピュータ将棋をどこまで解析、分析して捉えきれるか。まあ、将棋の力も当然必要なんですけど、コンピュータそのものに対する理解というものがないと、もう対応できないところがあるのかなという気はしますね」

 ――コンピュータをよく知っている人? 
 「つまり、どういう思考でこの手を選んだのかということが、ブラックボックスとしてあるわけで。やっぱり、そこがわかるのとわからないのでは、同じ手を指されても捉え方が全く変わるというところはあるんです。だから、プログラミングの知識がある人のほうがいいんじゃないかなぁと・・・・・・(突然笑い出し)だからといって、クック、棋士が皆、急にプログラミングの勉強を始めたら、クック、それもおかしい気はするんですけど・・・・・・」

 ――もし、本気で勝つつもりなら、と。

 「勝つつもりなら。自分でソフトを作ってみるとか。でも、それも変な話で(笑)。自分で将棋指せるのに、プログラム作って将棋指そうって、クック、わけわからなくなってきてますけど。まあ、そういう時代なんです」

422名無しさん:2015/06/14(日) 22:23:47
>>421

読みを省略することに人間らしさがある
 ――子どもの頃に読んだ星新一さんのSFショートショートを連想しますね。人間が生活を便利にしようとコンピュータを開発し進化させた。でも気がつくと、人間がコンピュータに支配される社会になっていたという。

 「ああ、はいはい。だから、人工知能の研究テーマの一つとして、将棋があるのかなという認識は持っています」

 ――じゃあ、簡単にいえば、コンピュータの思考を学ばなければいけないと。

 「うん、コンピュータの思考プロセスを学ばないと。ただ、人間はコンピュータのように1秒間に100万手とか読めないから、同じ思考は出来ないでしょうけど、プロセスを知る必要はあると思います」

 ――では、人間らしさというのは? 
 「読みを省略していくところだと思います。読みや考えを省略することで、短時間で結論に辿り着けたり、正しい手を見出していく。そこが人間的な思考の一番の特長ですよね。コンピュータは沢山手を読めば読むほど強くなると思いますけど、人間は少なく読めるようになればなるほど強くなっていく」

 ――コンピュータは計算力。人間は感覚。

 「ソフトの開発者も、理想は人間の感覚、思考プロセスを覚えさせようと一生懸命やってきたんですね。今でもやってる人はいるんですけど、結局は計算力に頼ったほうが強くなった。ハードの進歩も大きいと思います」

 人間がコンピュータに太刀打ちできなくなる状況を、羽生は既に20年前に予見していた。96年の将棋年鑑の棋士アンケートで、「コンピュータがプロ棋士を負かす日は来ると思うか? 来るとしたらいつか?」という問いに、大半の棋士が否定する中、「2015年」と答えている。

 ――よく聞かれることだと思いますが「2015年発言」の真意を。もう、来年です。

 「う〜ん、いやぁ、アンケートを書いたときも、別に深く考えずに適当に書いただけなんで・・・・・・(苦笑)」

 ――適当、ですか? 
 「ハハッハハッ。いや、ただ、コンピュータそのものの進歩と比例して、必ず強くなる日が来ると思ってはいましたが・・・・・・」

423名無しさん:2015/06/14(日) 22:24:21
>>422

2%のレベルでしか人間は将棋をわからない
 ――同じ時期の『将棋世界』(95年12月号)のインタビューで面白いやりとりがあります。「強いコンピュータが出てきたらやりますか?」と聞かれ、「やります。ただ今のレベルではちょっと・・・・・・」と口ごもる。聞き手が「今の(弱い)コンピュータは論外です」と言ったら、「いや、そういう意味じゃなくて、人間のレベルが大したことない」と答えている。ウィンドウズ95が出たばかりの時点で、コンピュータより人間のレベルが低いと認識していたというのは驚嘆します。覚えてますか? 
 「(はいはいはい、と聞いていたが)いや、覚えてません(笑)」

 ――(笑)

 「そんな、20年前に何言ったかなんて、全く覚えていませんよ(笑)。い〜やぁ、そんなこと言いましたか・・・・・・違う人が言ったんじゃないですかね?」

 ――(爆笑)

 「ハハッハハッ。いやぁ、言いましたか、はぁ・・・・・・まあ、ただあれですよ、例えば、人間が将棋そのものを物凄く深くわかっているかと言われたら、それほど深くはわかっていないということは、やっぱりあるわけですよ。どう言ったらいいんでしょうかね、こう、莫大な量の可能性のある局面があって、棋士がいくら子どもの頃からやっていると言っても、出会った局面というのは、その1%にも満たないような局面しか見ていないわけじゃないですか」

 ――可能性のある手の数は10の220乗と言われて、ま、とにかく天文学的な数字になる。

 「ええ。で、残りの局面はまだ見ていないわけで・・・・・・また、こういうことも言えるんですよ。結局、プロの棋士たちは、間違えにくい局面をいかにして作っていくかを考えているとも言えるわけですね。でも、将棋の全体像から見れば、そうじゃない局面が圧倒的に多いので。そういう局面で正しく対応できるかどうかは、全く別な話ではあるんです・・・・・・まあでも、その発言は忘れてましたから、今更聞かれてもわかりません(笑)」

 ――ただ、そのときに「今の人間のレベルが2%くらいではコンピュータに凌駕される可能性もある」と言っていて、「だから人間がもっとレベルを高めないとダメです」と。その2%というのは、人間がそれくらいしか将棋をわかっていないということですね。

 「ああ、そうですね。あの、こういうことはよくあるんですよ。例えば、プロの将棋は難しいと言いますよね。それは一理あるんですけど、一面では違うところもあって。覚えたての人のほうが、難しい将棋を指していることもあるわけです」

 ――ほぉ。

 「うん。覚えたての人はメチャクチャやるから、メチャクチャな局面になるんですよ。それを途中からプロの棋士が任されて、正しい手を瞬時に選ぶのはかなり難しいと思います。綻びだらけだから、どこから手をつけていいかわからないんですよね。プロはそういう局面に出会わないようにしているからこそ、正しい手を選べるというのもあるので。人間がよくわかっていないというのは、そういうこともあるわけです」

 ・・・・以下、次回へつづく(次回の掲載は6月13日を予定しています)

----------
高川武将(Takagawa Takeyuki)
1966年東京都生まれ。新聞社、出版社を経て、フリーランスのルポライターに。スポーツを中心に『Number』等で骨太のノンフィクションを多数執筆。2010年の竜王戦から羽生善治の取材を続け各誌に寄稿している。
----------

 『G2(ジーツー) Vol.19』
(講談社MOOK/税別価格:900円)

 『G2(ジーツー)』は雑誌・単行本・ネットが三位一体となったノンフィクション新機軸メディアです。今回目指したのは、アメリカの雑誌界の最高峰『ザ・ニューヨーカー』。新しいノンフィクション、新しいジャーナリズムの形を示そうと、『G2』第19号は何から何まで大幅にリニューアルしました。

 執筆者/奥野修司 清田麻衣子 黒川祥子 佐々木実 佐藤慶一 柴田悠 高川武将 西村匡史 野地秩嘉 福田健 安田浩一 飯田鉄(順不同)

 => Amazonはこちら
 => 楽天ブックスはこちら

高川武将,G2

424名無しさん:2015/06/14(日) 22:30:37
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150613-00043674-gendaibiz-soci
羽生善治が将棋を突き詰めた結果たどりついた境地 G2レポート 棋士道・羽生善治「将棋」の神に極意を質す(その5)
現代ビジネス 6月13日(土)11時1分配信

 発売中のノンフィクション雑誌『G2(ジーツー)』第19号に掲載後、大きな反響を呼んだ記事「騎士道 羽生善治」。ルポライター・高川武将が6度のロング・インタビューを通じて「羽生善治の本心に迫ろう」とした、文字どおりの「言葉の対局」です。原稿が予定の80枚を大幅に超える160枚に達したこともあり、誌面に載せきれなかった「後半」をおよそ2週間にわたって随時掲載していきます。棋士とルポライターの真剣勝負をご堪能ください(G2編集部)

 ▼羽生善治「将棋の神」に極意を質す(その1)〜(その4)はこちらからご覧ください
 (その1) => http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43587
 (その2) => http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43595
 (その3) => http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43598
 (その4) => http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43661

 * * *

 (文・高川武将)

ゼロからでも独創的なことが出来るかも知れない
 およそ2年ぶりに会った羽生は、どこか微妙に「感じ」が変わっていた。言葉にするのは難しいが、親近感というか、人間らしいというか・・・・・・。話題がコンピュータ将棋だからかも知れないが、最初の取材で感じた敗北感や違和感は感じられず、妙にかみ合ってしまう。それがいいのか悪いのか・・・・・・そんなこちらの気持ちとは関係なく、スーツの上着を脱ぎ半そでのYシャツ姿になった羽生は、楽しそうに話し続ける。

 ――人間は、最大の特長である読みの省略で、コンピュータと勝負出来るんでしょうか。

 「う〜ん、そうですねぇ。いや、多分、出来ないと思います。まあ、何百万手も読むより、10手、20手で結論を見出していくほうが、思考としては洗練されてはいます。でも、そのやり方が常に万能か、有効かと言われたら、違うんでしょうね、多分」

 ――現時点で人間の独自性はこれだ、と言うのは難しい? 
 「そうですね、うん・・・・・・独創的なこととか、創造的なことってありますよね。この前の電王戦でコンピュータの指した変わった手が、その後、プロの間で流行ってるんですよ。だから・・・・・・(突然笑い出し)コンピュータのアイディアに人間の戦法が影響を・・・・・・(笑)」

 ――立場が逆転しちゃってる。

 「ええええ(笑)影響を受け始めていて。毎年、将棋界では、一番画期的なアイディアを出した人に『升田幸三賞』という賞をあげてるんですけど、あれ、獲ってもおかしくない。もしそうなったら誰にあげるのかって、ちょっと思ったりして(笑)。それが獲るかは別にして、本当にそういうことが起きるかも知れないですからねぇ」

 ――起きるでしょうね、そのうち。

 「うん。だから何か・・・・・・いや、そのことのほうが、ひょっとしたら、凄く不思議なことが起こり始めているんだなぁ、と」

 ――なるほど。じゃあ、その独創性というものが、もしかしたら・・・・・・。

 「人間だけのもの、ってことではないのかも知れないですよねぇ」

 ――そうか、そうすると何を・・・・・・。

 「そう! (人間が)何を立つ瀬にするか、という問題は起こるんですよ。いろいろ考えさせられるんですよ、凄く、非常に」

 ――言葉にすれば、独創性とか、発想とか、自由度とか、そういうことでしょうけど。

 「そうですね。言語化していくのは難しいかも知れないですけど、じゃあ、その発想やアイディアの源は、本当にその人がオリジナルで生み出したものなのか、という問題もあるわけです。つまり、自分が過去に学んだものとか、覚えたものから、ちょっとアレンジしたり、今までにない組み合わせとして出ていることもあって、むしろそのほうが多いわけで・・・・・・究極の意味での独創性、創造性とは何なのか、ということにも突き当たる話なんですよ」

 ――根源的な命題が問われている。

 「ええええええ。ということだと思います。だって、コンピュータにそれが出来るということは、(人間も)同じことのはずなんで。画期的なアイディアが現れるということは、何かを生み出すものが全くなくても、ゼロからでも独創的なことが、もしかしたら出来るかも知れない、ということじゃないですか」

 ――うん・・・・・・。

425名無しさん:2015/06/14(日) 22:31:05
>>424

コンピュータによって人間の思考プロセスも浮き彫りになる
 私は、何かとてつもないことを聞いたような気がした。コンピュータが莫大な計算力から生み出した独創的な手を見て、人間でも出来るかも知れないと、羽生は言っているのだ。前のめりになり、夢中で話す姿は、まるでその日に発見したことを全て伝えようとする子どもにも似ていた。

 ――コンピュータ将棋の話をしていると、本当に楽しそうですね。面白いですか。

 「面白いというかですね、どう言ったらいいんでしょうかね、何か・・・・・・変な状況だと思うんです」

 ――あ、変な状況。本当に。

 「ええええええ、何か、変な状況なんだなぁということは、かなり、実感としてもっていますね・・・・・・いや、というのは、つまり、将棋のような世界でこんなことが起こってるということが、凄く変な状況という気がしますよね。昔からある伝統的な世界で、コンピュータのようなテクノロジーとどう対峙していくかという時代を迎えているのは、凄く特殊な状況かなぁという気はしますね」

 ――人間に問われているものとは何でしょう。

 「そうですね。コンピュータの思考プロセスは、基本的にはわからない。でも、将棋を通してみると、それが少しわかりやすくなるのかなと。それは逆に、人間が死角や盲点と言われる手をなぜ思いつかなかったのか、より鮮明にされることにもなるんじゃないか。つまり、違和感があって指せない手をコンピュータに指されたとき、どうしてその手を思いつかなかったのかを考えていくと、逆に人間の思考プロセスも見えてくるというところがあるのかな、と。思考の幅やアイディアが広がって、将棋の可能性を指し示すことになるとは思っています」

 ――人間がより将棋を深められると。いいことばかりですか。

 「いや、どうしても相容れない部分もあると思います。コンピュータ的思考を取り入れていくと、元々人間が使っている考え方や発想を殺してしまうことにもなるので。そこに凄く難しさもあるんですよね。簡単に言うと、人間がある手を思いつかないのは、美的センスに合わないからとも言えるんですよ」

 ――美意識ですね。

 「ええ。コンピュータ的思考をどんどん受け容れてしまうと、その美意識が崩れていくことになる。それが本当にいいことなのかどうかという問題はあるわけです。全く間違った方向に導かれてしまう危険性もあるんです」

 ――楽観はできない。

 「と、思っています」

 ――人工知能も数年後には人間を超えるようなものが出来ると言われてますが、コンピュータが主になって、人間が従になってしまうような状況にもなり兼ねない。

 「私はこんな風になると思うんですよ。例えば、コンピュータが確率的に60%と40%でこの手が有効だ示したら、人間はもっと高い比率で、90対10とか95対5くらいに分かれちゃう。そこは逆に、創造性とか多様性を縮めてしまう可能性は確かにありますね。ただ、世の中には必ず天邪鬼的な人はいますから、ゼロにはならないと思うし、少し不利とか、少しダメと言われるほうに可能性があるというのも、事実だと思ってますが」

 ――人間の美意識が問われている。

 「変わっていくんだと思います。今まではこの形が綺麗だとか歪だと思われていた感覚が、変わっていく・・・・・・どう言ったらいいのか難しいんですけど、将棋の概念が変わってくる。今まで将棋ってこういうものなんじゃないかと思っていたものとは違う概念が出てくるんじゃないか、という気はしていますね」

426名無しさん:2015/06/14(日) 22:31:43
>>425

確実な一手を選ぶことだけに集中する
 羽生にとって、将棋とは何なのだろう。

 将棋に闘争心は要らない、何と闘っているかを突き詰めてはいけない。勝つことに意味はない。だから、目の前の対局から新しい発見を探している。どうせ観るなら面白いドラマを観たい・・・。

 ここに羽生のモチベーションの根幹があるのは、わかっている。だとしても、改めて聞かずにはいられない。年が明けた今年の2月上旬、都合6度目となるインタビューで、核心に迫ってみた。

 ――当初、話を伺ったとき、何と闘っているのかと聞いたら、突き詰めてはいけない、答えはないから、と。あれからずっと思っているのですが、自分との闘い、あるいは将棋そのものとの闘いはないのですか? 
 「そうですね。もちろん、やっていることは勝負であり、全部が全部を闘いじゃないとは思わないです。ただ、そのプロセスの中で、闘争心みたいなものは必要じゃない・・・。いや、だから、ちょっと矛盾した言い方になるんですけど、勝つために、勝とうという意思はそれほど必要ではない、むしろ邪魔になってしまう。そこはちょっとパラドクスですけど、でも、間違いなくあるんですね」

 ――逆説ですね。

 「まあ、そこは答えようとすると、どうしても矛盾が生じてしまうんですけど・・・」

 ――ということは、自分との闘いはある? 
 「まあ、そうなんですけど・・・」

 ――あ、そういうのも、もうないんですか。

 「いえ、そういう葛藤を生じさせない努力が必要っていうか。そういうのも大事ですよ、大事ですけど・・・」

 ――あって当然ですよね、究めようとしたら。

 「あるんですけど、そういうものは持たないほうがいい状態で臨めるということですね」

 ――そういう葛藤を生じさせないためには、どんな工夫、考え方を? 
 「そうですね。まあ、そういうことを考えないようにするということもあるでしょうし、局面そのものに集中してしまうということもあるでしょうし。何ていうか、そこに重きを置かないというのが、やっぱり、一番いい方法なのかなとは思いますが」

 ――では、将棋そのものとの闘いはないんですか? 
 「どう言えばいいんでしょうかね、将棋は必ず一手を選ぶわけじゃないですか。そこで、勝とうが負けようが、ちゃんとした一手を選べばいいんですよ。その一手を選ぶことに集中する。それが繋がっていけば、結果的に勝ったとか、闘ったとなるかも知れないですけど、目の前の一手を考えるとき、そこには勝負も闘いも何もないですよね。突き詰めたら、闘っているのかも知れないし、勝つためにやっているのかも知れないですけど、一つ一つのプロセスの中には、そういうものは介在しないというところですね」

 ――将棋はよく一本の線を引いたように指すと言いますが、常に点の集積であると。

 「フラットに考えているということもあるし、将棋は一手だけで勝てることはないわけですよね。最初の局面から一手動かしただけで勝てることはない。ということは、勝つことじゃなくて、場面場面で均衡を保つことに全力を費やす。それを繰り返していくほうが、アプローチとしてはいいんじゃないかなと」

 ――年齢を重ね、経験を積んでいく中で、そういう考えになってきた? 
 「沢山の対局の中でいろいろなアプローチを試みてきて、こういうやり方が一番いいんじゃないかなと。今の時点では思っているということですね」

 ――10代の頃は「今が全て」と一喜一憂していた。当時はやはり、勝つことに・・・。

 「勝つことというよりも、読むことですよね。とにかく虱潰しに読んでいくという。効率は悪いんですけど、他にアプローチの仕方がないので。もう、しようがないから、虱潰しにいくっていう」

 ――それが30代に入った頃から、感覚を重視するように変わってきた。どこかで読みだけではダメだと感じたんですか。

 「いや、違う方法もあるんじゃないかな、という感じですね。読みだけではダメということはないと思います。読みだけでも、十分闘えるとは思うんですけど、他のアプローチもありますね」

427名無しさん:2015/06/14(日) 22:32:21
>>426

 ――大山さんの晩年に対局して、ほとんど読んでいないことを感じた。

 「そういうやり方もあるということは、もう、10代のときから知ってはいました。でも、すぐに真似できるわけではないので。でも、知ってはいました」

 ――25歳で七冠を制覇した後、目先の勝負には拘らない、と。

 「何というか、それはそのときからというわけではないんですけど、ただ、棋士が非常に長い歳月をかけてやっていくものだと思うようにはなりましたね」

 ――将棋の真理を追究する方向に。よりその志向性が強くなったということですか。

 「実際にその頃から、新しい形とか見たこともない手が出てきて、それは今もあるわけで。そこにどう対処していくかということは、常に考えているところですね」

 ――そこには、長期的にトップで続けたいという思いもある? 
 「もちろん、結果としてそうであれば一番いいですし、まあ、そういう気持ち、姿勢は常に持っていたいとは思っていますが」

428名無しさん:2015/06/14(日) 22:32:40
>>427

葛藤を抱えることは織り込み済み
 いつになく緊迫したやりとりは、さらに続いた。私は長年思っていた疑問をぶつけてみることにした。

 ――勝つことと真理の追求は究極の理想ですが、矛盾はしませんか? 
 そう尋ねると、羽生の顔つきが一瞬、明らかに変わった。

 「矛盾しないというか・・・」

 ――考えているとわからなくなってくるんですよ。ケースによっては、矛盾するんじゃないかとか、いや両立するんだとか、でもやっぱり矛盾するんじゃないかとか・・・。

 「いや・・・すっぱり割り切って答えられないです、その質問には・・・」

 ――そうですか・・・。

 「どう言ったらいいんですかね、確かに、場面によっては矛盾しているときもあります」

 ――やはりそうですか。時には勝負を度外視して指すこともあるし、逆に・・・。

 「勝つためのこの一手が、真理とは違う、と思うときも確かにあるので」

 ――ああ、わかっていて指すんですね。

 「ということもあるので。だから、やっぱり、そこは全てが整合性を取れているわけではないんです、ええ」

 ――常に葛藤を抱えている。

 「いや、だから何ていうか・・・そういう葛藤が生じたり、ミスが生じたり、思いがけないことが起きるのは、もう、諦めてるんです」

 ――ああ、諦めてる・・・。

 「ええ。もう致し方ないことで。そこは、何て言うんでしょうかね、将棋は偶然性は入らないルール設定にはなっていますけど、自分の構想とか、思い描いたビジョン通りにいかないことも含まれていることを前提に考えてるんです。多少の齟齬が生じても、自分が受け容れられる範囲であれば、オッケーとするくらいの気落ちで捉えているというか。四角四面に全てを枠内にきっちり入れるのではなくて、誤差、ズレ、ブレみたいなものは許容するように・・・」

 ――白黒はっきりするのではなく、常にグレーゾーンはあるものだと。

 「もう、もう、そこは、ある程度はしようがないという割り切りの仕方はしてます」

 ――でも、七冠制覇して以降、目指してきた棋士としての方向性そのものが、迷いや悩みの要因になったということはないですか。

 「いや、それは常に何かしら迷うとか、悩むっていうことはありますよ。それはどんなに勝とうが負けようが、変わらないことだと思います。やっぱり、常に何かあります」

429名無しさん:2015/06/14(日) 22:33:26
>>428
心は常に対局を通して磨かれる
 ――そういう中で生まれてきた逆説的な考えが非常に面白いし、真理を突いていると思うんです。象徴的な考えが「他力」。これは羽生さんが35歳の年に出版した『決断力』という本から、徐々に言うようになっている。その概念はどういう経緯を経て、羽生さんの中で大きくなってきたんですか。

 「それは、将棋をずっとやっていく、上達していくプロセスの中で、自然と身についてくるんですよ。それについて学ぶんじゃないですよ。つまり、将棋が強くなることを突き詰めていくと、必然的にぶつかるんです。結局、自分で何かをするんじゃなくて、相手の手や力を使って反撃するとか、一手待つという指し方を覚えないと、あるところからは絶対に強くなれないので。そこはどうしても。手を渡すとか、他力が重要になるというのは、将棋をより理解していくと、必ずそういう局面や場面に出会うことになりますね」

 ――将棋を理解していくと。間合いの詰め方とか、武道に近いですね。

 「そうですね。やっぱり、そういうものが生まれてくる共通のバックグラウンドなり、何かがあるんでしょうね」

 ――かつての剣客は、命のやりとりを繰り返した挙句、一様に禅の世界に行き着く。剣禅一如という。理解出来るのでは? 
 「いや、そこまで深くは理解出来ないですけど(笑)。まあ、そういうものなのかなというくらいの捉え方ですよね。考え方や発想を突き詰めていくと、そうなっていくのはわかります。力が入りすぎてしまうよりも、何も思わないほうがいいとか。やっていることのプロセス、心構えみたいなものは、共通するものがあるんだろうなと思いますけど」

 ――やっぱり、心ですよね。羽生さんが逆説的な表現をしていることは心に関することです。心の重要性はずっと考えてきた? 
 「そうですね。具体的に一手を指すときに、やっぱり、心理とか気持ちに左右されるのは間違いない。本当に大きく影響するわけですから、必然的に考えますね」

 ――心は常に対局を通して磨いていく。

 「そうですね。反省して検証して、次はどうするかということを修正して、課題として考えることの繰り返しですよね。ただ、将棋は非常にわかりやすいところがあって、ミスをしたらミスをしたとはっきりわかる。繰り返しやっていくものとしては、やりやすいものだと思いますね」

 ――偶然性もあまり入らない。

 「入らないですし、団体競技でもないので。本当はミスだったけど結果的に上手くいってしまうようなことも、基本的に少ないので。そういう意味では非常に単純というか、わかりやすいと思います」

 ――ただそのときに、自己嫌悪になったり、自己否定に繋がることもあると思いますが。

 「ああ、そうですね。だから、自己嫌悪や自己否定にならないように進歩させていく、メンタル面を上手く上げていく、そこを含めてどうするかと思ってますけど・・・」

 すると、一瞬の間を置いてから、羽生はつくづくといった感で言った。

 「でも、何百回、何千回やろうが、完璧になるってことはないですよ。多少はよくすることは出来るかも知れないですけど、どんなに工夫しても、失敗するときは失敗するし、焦るときは焦る。不安、迷い、恐怖は常にあって、完全に打ち克つことは出来ないです」

 ・・・以下、次回へつづく(次回の掲載は6月15日を予定しています)

----------
高川武将(Takagawa Takeyuki)
1966年東京都生まれ。新聞社、出版社を経て、フリーランスのルポライターに。スポーツを中心に『Number』等で骨太のノンフィクションを多数執筆。2010年の竜王戦から羽生善治の取材を続け各誌に寄稿している。
----------

 『G2(ジーツー) Vol.19』
(講談社MOOK/税別価格:900円)

 『G2(ジーツー)』は雑誌・単行本・ネットが三位一体となったノンフィクション新機軸メディアです。今回目指したのは、アメリカの雑誌界の最高峰『ザ・ニューヨーカー』。新しいノンフィクション、新しいジャーナリズムの形を示そうと、『G2』第19号は何から何まで大幅にリニューアルしました。

 執筆者/奥野修司 清田麻衣子 黒川祥子 佐々木実 佐藤慶一 柴田悠 高川武将 西村匡史 野地秩嘉 福田健 安田浩一 飯田鉄(順不同)

 => Amazonはこちら
 => 楽天ブックスはこちら

高川武将,G2

430名無しさん:2015/06/20(土) 21:24:28
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150615-00000561-san-cul
86期棋聖戦、16日に第2局 将棋
産経新聞 6月15日(月)20時59分配信

 羽生善治棋聖(44)=名人・王位・王座=に豊島将之七段(25)が挑戦している産経新聞社主催の将棋タイトル戦「第86期棋聖位決定五番勝負」の第2局が、16日午前9時から石川県能美市の辰口温泉「まつさき」で行われる。持ち時間各4時間の1日指し切り制。立会人は大内延介九段と飯田弘之六段。

 開幕局は、羽生棋聖が先勝して歴代最多の8連覇に向けて好スタートを切った。対する豊島七段は、初登場の棋聖戦でタイトル初獲得を実現するため背水の陣で臨む。

 熱戦の模様は産経ニュースでライブ中継される。

431名無しさん:2015/06/20(土) 21:25:00
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150615-00000133-sph-soci
女流棋士目指すカロリーナさん、予選敗退も日本語は上達
スポーツ報知 6月15日(月)22時4分配信

 外国人初の将棋女流棋士を目指しているポーランド出身のカロリーナ・ステチェンスカさん(23)が15日、東京都渋谷区の将棋会館で行われた第5期リコー杯女流王座戦2次予選で中井広恵女流六段(45)に92手で敗れ、本戦(ベスト16)入りを逃した。

 一昨年に単身来日し、山梨学院大に通いながら女流棋士養成機関「研修会」に在籍しているカロリーナさん。相川春香女流初段、伊奈川愛菓女流初段に連勝して1次予選を突破した。2次予選では、タイトル獲得通算19期を誇る女流棋界のレジェンドを相手に得意の中飛車で立ち向かったが、終始ペースを握ることが出来ずに敗れた。

 局後は、少しずつ上達を見せている日本語で「勉強になりました。中井先生は強かったです。緊張するのは良くないことと分かっていたので、相手が強いことは分かっていましたが、緊張せずに頑張りたい気持ちでした」と振り返った。一方の中井は「感想戦でも読みがしっかりしていると感じましたし、プロになっていてもおかしくない力はあると思います」と評価した。

 「聖地」と言うべき特別対局室で初めて単独での対局を行ったカロリーナさんは「掛け軸に富士山が描かれていたので、落ち着きました。山梨に住んでいるので、いつも富士山を見ているので」とユーモアを交えて語った。

 28日に行われる研修会での4局で3勝以上をあげれば、晴れて女流棋士の仮資格(女流3級)を得る。「(女流棋士になることは)もうマジックじゃないと思っています」。実力者の胸を借りたことを自信に変え、快挙に挑む。(北野 新太)

432名無しさん:2015/06/20(土) 21:26:15
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150616-00043677-gendaibiz-soci
羽生善治の一局のみに集中する姿に超越した思考の片鱗を見た G2レポート・棋士道・羽生善治(その6)
現代ビジネス 6月16日(火)6時2分配信

 発売中のノンフィクション雑誌『G2(ジーツー)』第19号に掲載後、大きな反響を呼んだ記事「騎士道 羽生善治」。ルポライター・高川武将が6度のロング・インタビューを通じて「羽生善治の本心に迫ろう」とした、文字どおりの「言葉の対局」です。原稿が予定の80枚を大幅に超える160枚に達したこともあり、誌面に載せきれなかった「後半」をおよそ2週間にわたって随時掲載していきます。棋士とルポライターの真剣勝負をご堪能ください(G2編集部)

 ▼羽生善治「将棋の神」に極意を質す(その1)〜(その5)はこちらからご覧ください
 (その1) => http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43587
 (その2) => http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43595
 (その3) => http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43598
 (その4) => http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43661
 (その5) => http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43674

 * * *

 (文・高川武将)

?羽生の前に立ち現われた「二つの世界」
 自らに言い聞かせるように、何度もうなづく姿を見て、私は意外に思った。最初のインタビューをしてから5年。抱え続けてきた心の葛藤を、ここまで率直な言葉で聞いたのは初めてだったからだ。やはり、羽生の中で何かが変わっている・・・。

 それはこんな二つのやりとりにも表れていた。一つは「狂気の世界」についてである。

 ――若い頃は「狂気の世界」に入らないとしながら、ある種の憧れに似た気持ちもあったと思いますが、初めて話を聞いたとき「あり得ない」と。まともに日常生活を送るためだけじゃなく、将棋の内容がよくなるからと。狂気の世界に入ってしまえば、むしろ楽になる。周りに理解されなくてもいいとなって。

 「まあ、そうでしょうね」

 ――だから、本当にいい将棋を指していくために、踏みとどまってきたわけですよね。

 「そうですね・・・。まあ、どっちでもいいと言えば、どっちでもいいんですけど(笑)」

 ――どっちでもいい? 
 「わかりません、それは。どっちがいいかは」

 ――ああ、どっちがいいかは・・・入ったほうが、いいかも知れない? 
 「ええ。どっちがいいかはわかりません」

 うなづきながらそう言うと、羽生は、しばし沈黙した。

 もう一つは、船井、桜井らとの交流についてである。

 ――船井さんや桜井さんらに求めていたのは、直感や閃き、運や流れをどう掴むかという論理では割り切れない無意識の領域のことですね。基本的に将棋に偶然性は入らないけど、「データやセオリー、経験すらも役立たない場面が必ずある」から。その非合理の領域を合理的に解釈しようとしてきたわけですよね。

 「そうですね。でも、それもいろいろ考えたんですけど、結局、自分の経験を元にしてやるのが一番いいと思いました。決して他の人の考え方や発想がダメということじゃないですよ。でも、自分の経験を元に考えるのが一番いい方法のような気がします」

 ――ああ・・・では、原点に還ったと。

 「ああ、そうですね。うん、それは非常に・・・例えば『雀鬼』の桜井さんとは、今もお付き合いはありますけど、桜井さんの言うことを真似しようったって無理なんですよ(笑)。もちろん、参考になることはありますけど。結局は自分の経験しかないのかなと」

 ――そうなったのは最近ですか。

 すると羽生は、涼しげな微笑さえ浮かべて言った。

433名無しさん:2015/06/20(土) 21:26:39
>>432

残された時間で羽生がつくりたい価値とは?
 「まあそれは、棋士の習性ですね」

 羽生に原点回帰をもたらしたものとは、何だったのだろう。

 以前、引き際について聞いたとき、羽生は「自分の指したい気持ちだけでは出来ない。何か価値を作り出さないとプロでいる意味はないと思っている」と言っていた。

 ――今、4つもタイトルを持っていますけど、これが永遠に続くわけではない。

 「もちろん、そうですね。はい、はい」

 ――では、残された時間で、これから作りたい価値とは何ですか。

 そう尋ねてみた。記録でないことはわかっていた。かといって、歴史に残る棋譜を作るということでもないような気がした。羽生が返してきた答えは意外なものだった。

 「そうですね、やっぱり、一回の対局やタイトル戦も、いつまでもあるというわけではないので、その一局、一手を大切にする気持ちは、最近のほうが凄く強いです。20代のときは、何かを失ってもまだ先があると自然に思えたんですけど、さすがに40代になるとそうはいかない。特にタイトル戦はこれが最後になるかも知れない、その一回を大切にしたいという気持ちで指しています。それと・・・将棋をいかに上手く、次に繋いでいくかを考えています」

 ――上手く繋いでいく? 
 「ええ。将棋は今のルールになってからでも400年も続いている伝統的な世界ですけど、50年後も100年後も、日本の伝統文化として残っていって欲しいという気持ちはあります。ただ具体的にどういう形になるかは、全く想像できない。コンピュータの影響もある中で、少なくとも、他の古典芸能と同じような継承のされ方ではないという気はしますね。どういう風になるかはわからないですけど、自然なものとして、生活の一部として残っていって欲しいな、と思っています」

 羽生に原点回帰させたもの――。それは棋士としての残り時間への危機感と、コンピュータ将棋の進化による将棋の激変そのもののようだった。

434名無しさん:2015/06/20(土) 21:27:05
>>433

やはり勝てなければ意味がない
 4つもタイトルを保持しているのに危機感があるのは意外でもあったが、よく考えてみれば当然のことだ。

 40代の棋士の誰もが、加齢による衰えと向き合いながら、目の前の1局に勝つことに必死でいる。羽生も人間なのだ。そこにコンピュータ将棋による激変が加わり始めた。大好きな将棋がどうなっていくのか。自分の眼で確かめられるのか。そんな終わりの始まりを意識している・・・。久しぶりに会った羽生に、親近感を感じたのも、そういうことだったのかも知れない。

 ――あらゆる世界で達人と言われる人も、ある境地に達した時には高齢で、死ぬ直前だったりしますね。

 「アスリートの人は特にそうだと思うんです。メンタル面は引退する直前くらいが一番いいんじゃないですかね。だけど、残念ながら肉体がついていかない。非常にもどかしい思いをするんでしょうね」

 ――そうですね。そこが本当にもどかしい。

 「うん。本当に身心が合致する時期は凄く短いし、簡単なことではないんだなと思いますね。そうなんですね・・・いやだから、むしろこれから、葛藤が増えるのかも知れないですね。それは確かに思います・・・」

 ――でも、これだ! というような境地を得た瞬間は、多々あるのでは? 
 すると羽生は、こんな話を始めた。

 「大山先生の将棋で非常に印象深い一局があるんです。69歳で亡くなる前年のA級順位戦で、これで負けたらA級陥落して引退という一局で。中盤で物凄く不利になるんですけど、とんでもないギャンブルのような手を指して、最後の最後で逆転勝ちするんですね。だけど、50年も60年もやっていると、普通はそういうことは出来なくなると思うんですよ。ブラフはダメだとわかっているから。それを成立させてしまうというのは凄いなと・・・。だから、沢山の経験をしてわかっているつもりでも、本当のところでは・・・つまり、それが実戦で役に立たなければ意味がないことなので、どうなのかなぁって思うんです」

 どうなのかなぁ・・・実感のこもった呟きを聞き、天啓のように思った。
この人は勝つことから逃れられない、いや勝つしかないんだ・・・と。

 どんな境地に達したとしても、勝てなければ意味がないと、羽生は言っている。闘うものや勝つことの意味を突き詰めないのも、大きな葛藤を抱え続けているのも、全ては勝つことを前提に考えているからだ。彼は勝負を超越などしていない。むしろ勝つことに誠実なのだ。それが将棋だからだ。

435名無しさん:2015/06/20(土) 21:27:33
>>434

予想が当たらない、相手とかみ合わない勝負こそ面白い
 ――将棋の本質とは何でしょう。

 「そうですね・・・でも、コンピュータの進歩で、また次の扉が開いているという気がします。コンピュータがいろいろな手を指し示すようになって、それから先、どうなっていくのか・・・。自分でも想像のつかないことが、今、始まっているという感じですね」

 ――そういう現状の中、自分はどうしていこうと? 
 「考え中です」

 ――考え中ですか(笑)

 「コンピュータの及ぼす影響にどう対処するかというのは、近々の非常に大きなところですね。つまり、コンピュータ的なものをどれくらい信用して使うべきなのか、やっぱり、選ばなきゃいけないことだと思っているので。今、言えることは、コンピュータは人間の死角を補うものであること。それは、決して万能ではない。だからといって、無視も出来ないということです。そこをこれから徐々に決めていくことになると思います」

 ――将棋の奥深さをさらに追求していく。

 「そうですね。作戦面では10年、20年前に比べると、格段に進んでいると感じます。でも、その鉱脈がどれくらいあるのか、ちょっとわからないんですよ」

 ――わからない。

 「つまり、石油の埋蔵量のように以前なら無尽蔵にあると言えたものが、コンピュータによって掘削技術が進んで、埋蔵量が増えるかも知れないし消えるかも知れない。そこはコンピュータの進歩と非常に密接に関係してくると、個人的には思っています」

 ――一つ思うのは、将棋は闘いである反面、対話や調和、親和ではないですか。

 「均衡を保つというのは、言葉を変えるとそういうことです。基本的に、どこかで必ず局面は崩れますけど、共通項はありますね」

 ――それこそ、相手と一つになるくらいの感覚があるのではないかと思ったんですが。

 すると羽生は、何かに気づいたような表情で、こんなことを言った。

 「考え方が一致するときはありますよ。完全にこの局面は一致していて、それは言葉にしなくても前提として感想戦で話しているんです。ただ・・・相手と同調することもあれば、噛み合わないこともあって、やっぱり、内容的に面白くなるのは噛み合わないときなんですよ。読みがズレたり、考え方が合わない、予想が全く当たらないときのほうが、将棋は非常にエキサイティングになりますね。基本的に将棋って、そういうものですから」

 そう言って朗らかに笑った。

 将棋とは何かを言葉にするのはまだ早いのだろう。コンピュータの思考によって人間の美意識がどうなるかはわからないが、噛み合わないからこそ、将棋は面白くなる。そんなまだ誰も観たことのない大海原を、羽生は既に視界に捉えているのだ。

436名無しさん:2015/06/20(土) 21:28:17
>>435

「役割はないです」
 取材終了の時間が迫っていた。

 ――では最後に。激変期に突入した将棋界にあって、棋士として、また人間として、羽生さんの役割は何だと考えていますか。

 何気ない問いのつもりだった。最後を締めくくるセリフになればいいという程度のものでしかなかった。だが、それがまたもや、私をうろたえさせることになる。

 羽生は素っ頓狂な声でこう言った。

 「役割ですか? 役割なんて、あるんですかねぇ・・・」

 ――えっ? 役割は、ありますよね・・・? 
 「自覚したことはないです」

 ――自覚したことはない・・・。

 「はい。まあ、普通に、自然にやります。役割はないですよ。自分の出来ることをやっていく、ということですね」

 まだ2月に入ったばかりだというのに、Yシャツ一枚でも汗をかくほど強い日差しが恨めしい。取材を終えて家路につく道すがら、私は途中駅で下車して、見知らぬ通りをふらふらと彷徨い歩いていた。途中で蕎麦をすすり、また歩き、コーヒーを飲み、また歩く・・・。

 「役割はないです」

 何度も立ち止まり考えたのは、羽生が明快に発した言葉の意味だった。

 それは一見、第一人者としてはあるまじき答えに思える。どんなジャンルでも、トップに長くいる人は、自分の役割や使命感を口にするものだ。例えばサッカーの日本代表で長く活躍すれば「日本サッカーのために」といった「大義」が自然と生まれてくる。羽生にはそれがない。だが、不思議と嫌な感じもしないのだ。

 何時間か歩いて、ようやく家に辿り着き、頭をクールダウンしようと缶ビールのプルトップを空ける。だが、何本呑んでも芯から酔うことはない。羽生の言葉が、その姿が、頭の中をぐるぐると回っている。

437名無しさん:2015/06/20(土) 21:28:27
>>436

全てを受け容れ、あくまでもフラットに
 羽生のインタビューをした後は、よく夢を見た。いつも決まった情景がある。場所はなぜか、江戸の町並みの一角。小さな川沿いの柳の木の下で、お茶屋にあるような長椅子に腰掛けて縁台将棋を指している。負かされる私、かっか大笑する羽生・・・。そんなことが何日も続いたある日、そもそも、なぜ自分は羽生に癒しを感じたのだろう、と思った。

 出会ったときの情景が浮かんでくる。歩いてくる羽生の透明感のある白い眼、取材前の資料読みの段階で感じていた癒し・・・そのときだった。「役割はない」という言葉の意味は、実はとてつもなく重いのではないか。私は慄然とする思いにかられたのだ。

 人間なら誰しもが自分の生きていく「役割」を設定したがる。当然のことだろう。何かのため、誰かのためという思いは、安らぎや居場所にも繋がるものだ。私が生き方に悩んできた根本も、自分のために生きるべきか、何かや人のために生きるべきかということにあったのだ。

 だが、「役割」は、ともすれば自分を限定する「言い訳」にもなるのではないか。将棋の世界は、結局は勝つかまけるかの弱肉強食の世界だ。その殺伐たる現状から目を背け、正当化し、意味づけするためのものでしかないのではないか。

 だが羽生は、自分を限定もしなければ、正当化もしない。勝つことしかないんだと、砂を噛むような寂寞たる現実をそのまま受け容れ、あの透明な白い眼で見ている。それは定跡や筋、先入観や美意識といった「規範」に頼らず、ひたすらその局面を読み続ける盤上の姿勢にも共通する。荒涼たる砂漠に立ち、その向こうにあるかどうかもわからないオアシスを見つめるように。だって、しようがないじゃないですか、と笑いながら。

 将棋に大きく影響された人生観について聞いたとき、羽生はこう話していた。

 「発想や考え方ですよね。ずっといい局面が続くわけじゃないし、ずっと悪い局面が続くわけでもない。その状況、状況の中で、常に何かやるべきことはある。相当フラットな視線で見ることが大事ということですね」

 40代ともなれば、人生の残り時間をも考えざるを得ず、またどこかで自分の弱さや限界をも感じている。心はいつも、理想と現実という矛盾を抱えて揺れている。その全てを受け容れ、あくまでもフラットに、目の前の局面を一生懸命考える。そこに私は癒されるのかも知れない。羽生ほど不器用で、無頼な人を、私は知らない。

 だが、どうだろう。私もいつも心に矛盾を抱えている。自分のためか、何かや人のためか、決められずに生きてきた。自分の心なんて自分でもわからない。目の前のことに一生懸命生きてさえいればいいんだ。羽生の心の在り処を探していくうちに、それは自分を探していたのだと、ようやく気がついた。

 あるとき、羽生にこんなことを尋ねた。

 ――羽生さんの話を聞いていると、気持ちが楽になる瞬間があるんですよ。どうしてだろうと思うんだけど(笑)。

 羽生はニコニコしながら言った。

 「う〜ん・・・それは、問題ですね・・・(笑)」

 ――問題、ですか? 
 すると、さらにニコニコしながら言った。

 「聞く相手を間違ってる・・・」

 ――間違ってますかね(笑)

 「うん。私にそんなこと聞いても、しようがないですよ、ハハッハハッハハッ」

 <了>

----------
高川武将(Takagawa Takeyuki)
1966年東京都生まれ。新聞社、出版社を経て、フリーランスのルポライターに。スポーツを中心に『Number』等で骨太のノンフィクションを多数執筆。2010年の竜王戦から羽生善治の取材を続け各誌に寄稿している。
----------

 『G2(ジーツー) Vol.19』
(講談社MOOK/税別価格:900円)

 『G2(ジーツー)』は雑誌・単行本・ネットが三位一体となったノンフィクション新機軸メディアです。今回目指したのは、アメリカの雑誌界の最高峰『ザ・ニューヨーカー』。新しいノンフィクション、新しいジャーナリズムの形を示そうと、『G2』第19号は何から何まで大幅にリニューアルしました。

 執筆者/奥野修司 清田麻衣子 黒川祥子 佐々木実 佐藤慶一 柴田悠 高川武将 西村匡史 野地秩嘉 福田健 安田浩一 飯田鉄(順不同)

 => Amazonはこちら
 => 楽天ブックスはこちら

高川武将,G2

438名無しさん:2015/06/20(土) 22:42:15
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150618-00000182-mycomj-ent
ドワンゴ主催の新棋戦名は「叡王戦」に決定、羽生四冠や渡辺棋王は出場せず
マイナビニュース 6月18日(木)22時17分配信

ドワンゴおよび日本将棋連盟は18日、2015年6月20日より開催する新棋戦の名称を「叡王戦(えいおうせん)」に決定したと発表した。これにあわせて、出場棋士全154名および全138局からなる段位別予選の組み合わせも公開された。

今回名称が決定した「叡王戦」は、段位別予選と本戦からなるトーナメント戦で、出場棋士はこれらを勝ち抜き、優勝者"叡王"を目指す。全現役プロ棋士159名中154名が出場する予定で、段位別予選は2015年6月20日〜9月下旬に実施。本戦は予選を勝ち抜いた九段4名、八段〜五段各2名、四段1名に、タイトル保持者の段位を加味した計16名により10月中旬〜11月中旬に行われ、12月には決勝三番勝負を開催。この対局の勝者が「第1期電王戦」に出場することになる。また、タイトル保持者からは、糸谷哲郎竜王と郷田真隆王将が名乗りを上げたが、羽生善治四冠と渡辺明棋王はエントリーされていない。

今回発表された「叡王戦」という名称は、niconicoのWebサイト上で実施された名称公募およびユーザー投票により決定。公募では3,422件の案が寄せられ、その中から選出された9件の候補でユーザー投票を実施。その結果「叡王戦」に決定したという。命名者となったBONYさん(埼玉県在住・32歳男性)は、棋戦名に込めた意味について、「これに勝ったものは電王と戦うのだから、人間の王と意味にしたい。ならば、人間しか持たない、知恵や叡智を競う将棋の頂点に相応しい称号を考えた」とし、「『叡』 という字には、明らか、聡明、物の道理に通じた、という意味(ニコニコ大百科による)がある。将棋の道理を人間とコンピュータがどちらが理解しているか、という意味もこめて」とコメントしている。

なお、初日に開催される開幕戦は、九段の予選トーナメント1回戦でスタートし、10時から森内俊之九段vs森下卓九段、14時から加藤一二三九段vs南芳一九段、19時からは勝者同士による対局が行われる。これらの対局の模様は、ニコニコ生放送で生中継される。このほか、出場棋士および段位別予選の組み合わせの詳細は、公式サイトまで。

439名無しさん:2015/06/20(土) 22:42:45
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150618-00000092-sph-soci
羽生名人、対コンピューター棋戦にエントリーせず
スポーツ報知 6月18日(木)15時17分配信

 日本将棋連盟は18日、「ニコニコ生放送」を運営するドワンゴとともに主催する新棋戦のエントリー棋士154人を発表した。優勝者がコンピューターソフトと対戦する新棋戦。動向が注目されていた羽生善治四冠(44)=名人、王位、王座、棋聖=はエントリーしなかった。

 男性棋戦としては史上初めてエントリー制を採用した本棋戦。四段から九段までの段位別予選を行い、各段位の上位者16人が本戦トーナメントに進出。優勝者が来年3〜5月の「第1期電王戦」でコンピューターソフトと2番勝負を戦う。コンピューター同士による「第3回将棋電王トーナメント」(11月21〜23日)の優勝ソフトとの対決となる。

 タイトルホルダーでは糸谷哲郎竜王(26)と郷田真隆王将(44)がエントリーしたが、渡辺明棋王(31)は羽生四冠と同様に参戦しなかった。

 また、棋戦名はユーザー投票によって「叡王戦(えいおうせん)」に決まった。20日の森内俊之九段(44)対森下卓九段(48)で開幕する。

440名無しさん:2015/06/20(土) 22:43:36
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150618-00000063-it_nlab-sci
ドワンゴ主催の新棋戦は「叡王戦」に 出場棋士も発表
ねとらぼ 6月18日(木)15時32分配信

 ドワンゴと日本将棋連盟が主催する新たな棋戦の名称が、「叡王戦」(えいおうせん)に決定した。出場棋士と組み合わせも発表された。

 叡王戦には全現役プロ棋士159人中154人がエントリー。タイトルホルダーでは糸谷哲郎竜王、郷田真隆王将が出場する。出場しないのは、羽生善治四冠、渡辺明棋王、有森浩三七段、堀口弘治七段、堀口一史座七段の5人。

 叡王戦は6月20日からスタートし、12月まで開催の予定。開幕戦は九段の予選トーナメント1回戦となる。午前10時から森内俊之九段vs森下卓九段、午後2時から加藤一二三九段vs南芳一九段、午後7時から勝者同士による対局を行う。対局の模様は、ニコニコ生放送で中継する。

 段位別予選、本戦、決勝三番勝負を勝ち抜いた優勝者には「叡王」の称号が授与される。叡王は、11月に開催する「第3回将棋電王トーナメント」で優勝した将棋ソフトと対局する「電王戦」に臨む。

 「叡王戦」の名称はニコニコのサイト上で実施した公募により決定。3422件の名称案が寄せられ、主催者が選出された9件からユーザー投票によって選ばれた。命名者はBONYさん(埼玉県在住・32歳男性)。名称について次のように説明している。

 「これに勝ったものは電王と戦うのだから、人間の王と意味にしたい。ならば、人間しか持たない、知恵や叡智を競う将棋の頂点に相応しい称号を考えた。『叡』 という字には、明らか、聡明、物の道理に通じた、という意味(ニコニコ大百科による)がある。将棋の道理を人間とコンピュータがどちらが理解しているか、という意味もこめて」

441名無しさん:2015/06/20(土) 22:44:11
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150618-00000065-zdn_n-sci
ドワンゴ主催の新棋戦は「叡王戦」に 優勝者がコンピュータと対局する新生電王戦 羽生名人は出場せず
ITmedia ニュース 6月18日(木)15時53分配信

 ドワンゴと日本将棋連盟は6月18日、ドワンゴ主催の新棋戦の名称を「叡王戦」と発表した。これまで団体戦で行ってきた「将棋電王戦」の発展形として、同棋戦の優勝者がコンピュータソフトと対局することになる。羽生善治名人、渡辺明棋王は出場しない。

 団体戦形式で行ってきた「将棋電王戦」を終了し、新棋戦を軸とした新たな形式でプロ棋士とコンピュータソフトの対局機会を作る。新生「第1期電王戦」は来年春、新棋戦の優勝者とコンピュータソフト同士の棋戦「電王トーナメント」の優勝ソフトが2日間制の2番勝負で実施する。

 棋戦名はニコニコユーザーから募り、Web投票で決定。応募総数3422件の中から「覇王戦」「賢王戦」「棋神戦」「一刀座戦」などを抑えて「叡王戦」が選ばれた。命名者は「これに勝ったものは電王と戦うのだから、人間の王と意味にしたい。ならば、人間しか持たない、知恵や叡智を競う将棋の頂点に相応しい称号を考えた」と込めた思いをコメントしている。

 新棋戦は全プロ棋士を対象としたエントリー制をとっており、現役プロ棋士159人中154人が出場することも発表された。タイトルホルダーとしてはすでに発表された糸谷哲郎竜王に加え、郷田真隆王将が参戦。羽生善治名人と渡辺明棋王は出場しない。

 予選は段位別で、初日の6月20日は、九段トーナメント1回戦が行われる。森内俊之九段 VS. 対森下卓九段、加藤一二三九段 VS. 南芳一九段の2局と、勝者同士の対局がニコニコ生放送で中継される。

 6〜9月に段位別予選、10〜11月に本戦、12月に決勝3番勝負を行う予定。決勝まで50〜60局をニコニコ生放送でライブ配信する。

442名無しさん:2015/06/20(土) 22:47:55
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150618-00000098-jij-soci
羽生四冠と渡辺棋王参戦せず=王者はソフト対戦者に―将棋「叡王戦」
時事通信 6月18日(木)17時12分配信

 ニコニコ動画などを運営するドワンゴ(東京都中央区)は18日、同社主催の将棋新棋戦の名称が「叡王戦(えいおうせん)」に決まったと発表した。勝者は来春の「第1期電王戦」でコンピューターソフトと対戦する。
 全現役プロ棋士159人のうち計154人が参加。羽生善治四冠(名人、王位、王座、棋聖)と渡辺明棋王は出場しないが、糸谷哲郎竜王と郷田真隆王将の2人の現役タイトル保持者が参戦する。
 叡王戦は今月20日から9月下旬まで段位別予選を実施。勝ち抜いた計16人が10月中旬から11月下旬に開催される本戦で戦い、12月に決勝が行われる。並行してソフト同士で戦うトーナメント戦が11月に行われ、その優勝ソフトと叡王戦の勝者の間で来春に「第1期電王戦」が行われる。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150618-00000067-mai-soci
<将棋>新棋戦「叡王戦」 勝者は電王戦へ
毎日新聞 6月18日(木)18時44分配信

 日本将棋連盟と角川グループ・ドワンゴは18日、新棋戦の概要を発表した。棋戦名は公募で「叡王(えいおう)戦」が選ばれた。20日から段位別に予選が始まり、本戦トーナメント、決勝三番勝負を経て、初代叡王が決まる。勝者は来年3〜5月、コンピューターソフトと二番勝負で争う「第1期電王戦」に出場する。

 参加は自己申告制。羽生善治名人、渡辺明棋王ら5人の棋士が申し込まず、計154人の棋士で競う。羽生名人、渡辺棋王は保持するタイトル戦と時期が重なるなどの理由で、出場を見送ったとみられる。【山村英樹】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150618-00050133-yom-ent
電王戦の新棋戦は「叡王戦」…羽生名人ら不参加
読売新聞 6月18日(木)19時5分配信

 ドワンゴと日本将棋連盟は18日、将棋ソフトと人間が対戦する第1期電王戦の棋士代表を決める新棋戦の名称を「叡王(えいおう)戦」と発表した。

 この叡王戦はエントリー制で、現役棋士159人中154人が参加するが、タイトル保持者では、羽生善治名人と渡辺明棋王は参加しない。段位別の予選が20日から始まり、12月に優勝者の叡王が決まる予定。

最終更新:6月18日(木)19時5分

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150618-00000561-san-cul
羽生4冠は参加せず 電王戦出場決める新棋戦 将棋
産経新聞 6月18日(木)19時34分配信

 将棋の羽生善治4冠(44)は、プロ棋士とコンピューターソフトが戦う第1期電王戦(来年3〜5月開催)への出場者を決める新棋戦に参加しないことになった。日本将棋連盟とドワンゴが18日、新棋戦に出場するプロ棋士を発表した。

 タイトルホルダーでは糸谷哲郎竜王と郷田真隆王将が参加するが、羽生4冠とともに渡辺明棋王も出場を辞退した。

 羽生4冠、渡辺棋王は、来年のタイトル防衛戦が電王戦とほぼ同時期に予定されていることなどから、出場を見送ったとみられる。

 新設される公式棋戦はエントリー制。優勝者は電王戦に出場し、ソフトと2番勝負を行う。新棋戦の名称は公募により、「叡王戦」に決まった。

443名無しさん:2015/06/20(土) 22:48:36
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150619-00000035-san-l15
「羽生VS豊島」棋聖戦 来月15日、岩室温泉高島屋で第4局
産経新聞 6月19日(金)7時55分配信

 羽生善治棋聖(44)=名人・王位・王座=に豊島将之七段(25)が挑戦している産経新聞社主催の将棋タイトル戦「第86期棋聖位決定五番勝負」の第4局が7月15日、新潟市西蒲区岩室温泉の「高志の宿 高島屋」で開かれる。第2局が終わって1勝1敗で、第4局も熱戦が期待できそうだ。現在、大山康晴十五世名人と並ぶ歴代最多の7連覇中の羽生棋聖が勝てば記録を更新、豊島七段が勝てば初戴冠となる。

                   ◇

 第2局は今月16日、石川県能美市で行われた。前半は互角の戦いだったが、後半、豊島七段が有利に持ち込み勝利した。第3局は7月4日、静岡県沼津市の沼津倶楽部で開かれる。

 本紙担当記者によると、羽生棋聖はベテランの域に入ったが、実力は図抜けており、若い棋士の高い壁となっている。

 一方、豊島七段は昨秋、2連敗から2連勝でタイに持ち込んだ王座戦より「強くなっている」(豊島七段)うえ、同世代で小学生時代から旧知の糸谷哲郎棋士(26)が竜王を獲得したことが刺激になっている。2人とも静かな闘志を燃やしており、第5局までもつれる可能性もあるという。

 高島屋はこれまでも、棋聖戦の舞台となってきた名旅館だ。前回は平成25年7月17日、棋聖戦第4局で羽生棋聖に渡辺明竜王(当時)が挑戦したが、羽生棋聖がタイトルを防衛した。

 今回も「常磐」を対局の間として、準備を進めている。立会人は田中寅彦九段、飯塚祐紀七段。

 前夜祭は7月14日午後6時から、会費1万円。羽生棋聖、豊島七段とともに高島屋の会席料理が楽しめる。定員60人で定員になり次第締め切り。

 棋聖戦をライブで楽しめる大盤解説会は15日午後2時半から。ワンドリンク付き2500円。開場は午前11時。別料金で昼食も用意している。いずれも申し込み・問い合わせは高島屋(電)0256・82・2001。

444名無しさん:2015/06/20(土) 22:49:42
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150619-00000032-asahi-bus_all
41歳プロ棋士入り、リスタートはできる 今泉健司さん
朝日新聞デジタル 6月19日(金)14時39分配信

■就活する君へ

 「自分の可能性にふたをしない限り年齢は関係ない」。今泉健司さんが昨年末、41歳で将棋のプロ入りを決めた後に語った言葉です。14歳のときに棋士を志してから27年。棋士への道は2度断念を余儀なくされ、そのつど新たに職を求めました。最後にたどり着いたのが介護の仕事。この経験が夢をかなえるきっかけとなりました。

     ◇

 ――この春、プロとしての一歩を踏み出しました。

 「ぼくの年齢は将棋界では『高齢』です。勢いのある若手に勝たなくては生き残れません。ただ、結果は出してみせます。その可能性を信じていなければ棋士を目指していません。たとえ打ちのめされても、何回でもやり直せばいいんです。人生、リセットはできないけど、リスタートはできるんですから」

 ――三度目の正直を果たせた要因は。

 「技術は『奨励会』のころもそんなに低くなかったと思います。1回目はあと1勝すればプロになれるという状況がありました。2回目には革新的な戦法を編み出した人に贈られる『升田幸三賞』を受賞することができたわけですから。ただ、精神的に未熟でした。プレッシャーに追い詰められて現実から逃避していたんです」

 ――どんな人にも通じそうな話です。

 「負けた後にパチスロとかのギャンブルに逃げてしまいました。対局相手に当たったこともありました。負けたのは自分に責任があるのに、他人のせいにしていました。これではプロになれるわけがありません。それに気づいたのは2回目の挑戦が失敗した後のことでした。36歳のときです」

 ――そういう心境になったきっかけは。

 「父の勧めもありヘルパーの資格を取りました。いきなり罵声を浴びせられたり、殴られたりすることがありました。最初はなぜだかわかりませんでした。半年ぐらいたってからでしょうか。そういう行動にも理由があるんだとわかってきたんです。例えば、トイレに誘導する際に叫び声をあげるおじいちゃん。戦争中にシベリアで拘留された経験があったそうです。だから、密室に閉じ込められるのを嫌がるんだと。そういうことを知るにつけ、相手の立場にたって物事を考えるようになりました。無理やり何かを押しつけると、拒否反応が返ってくる。相手の意図することができれば、『ありがとう』や笑顔が返ってくる」

 「結局は自分次第なんだと気づきました。自分のやってきたことが、今の自分につながるんだと。勝負の世界も同じだと気づきました。ぼくは遊びに逃げたからプロになれなかったんです」

 ――30年近く一つのものに情熱を持ち続けることはなかなかできません。

 「最初に奨励会を辞めたとき、プロになれないんだったら将棋を続けても意味がないと思いました。でも、実家に戻ると面識のない人から『今までやってきたことは無駄にはなりません』と将棋教室の講師を頼まれたんです。奨励会員はプロになれなければゼロの存在なんです。それなのに自分の将棋を評価してくれたわけですから、とても自信になりました。第二の将棋人生を踏み出すうえで、大きな支えでした」

 ――奨励会を辞めた後は仕事をしながら将棋を続けたんですね。

 「働かないと食べていけませんから。ただ、行動はしました。26歳で最終学歴は中学校。普通に就職するのは難しいというのはわかっていました。まずはレンタルビデオ店のアルバイトをしました。その後、将棋が縁で知り合った人に誘われ、大手レストランチェーン店の正社員になり、3年半勤めてチーフという肩書もつきました。なのに、アマだった瀬川晶司さんが特例でプロに挑戦すると知り、衝動的に辞めてしまいました。自分にもチャンスがあるんじゃないかと思って」

445名無しさん:2015/06/20(土) 22:49:52
>>444

 ――成算があったわけではないんですか。

 「ありませんでした。編入試験の制度ができたのは退職してから1年近く先のことでしたから。実際に制度ができたのも、その試験をパスできたのも運が良かった」

 ――2回目の奨励会で再び挫折してしまいました。

 「完全にプロになるのをあきらめました。プロ棋士の先輩のつてで証券会社の契約社員になり、資産運用を任されました。ですが、勝負に甘い人間がうまくいくわけはありません。3カ月で辞め、実家に帰りました」

 ――それでも最後には、プロ棋士という一番就きたかった仕事につけました。

 「それまでに何度も失敗しました。ただ、自分の可能性にふたはしませんでした。そのせいか、失敗のたびに奇跡的な出会いがあり、めぐりめぐって介護という職場で働かせてもらえました。その5年間の経験が、自分に足りないものを埋めてくれたんだと思います。プロ棋士になる条件をクリアできたんですから」

 ――仕事を選ぶうえでの心構えは何でしょうか。

 「どんな職場でもそれなりに気にくわないことは起こります。でも、それは自分に何か原因があるんです。自分が変わっていけば、人も変わっていくと思います。自分が気持ちいいと思える環境は自分で作れるんです。過去は変えられませんが、未来は変えられます。どうせなら楽しい人生にしたほうがいい。そういうスタンスで仕事を選べばいいじゃないでしょうか」(浦野直樹)


     ◇

 いまいずみ・けんじ 1973年7月生まれ。広島県福山市出身。小2のとき将棋を覚え、14歳でプロ棋士の養成機関「奨励会」に入会。99年、26歳までにプロと認められる四段になれないと原則退会という年齢制限にかかり退会した。2007年にはアマ棋戦の優勝者が年齢に関係なく挑戦できる試験に受かり再入会した。しかし、プロ入りの規程である2年間で四段に昇れず再び退会。

 その後、アマが出場できるプロ公式戦で10勝以上かつ勝率6割5分以上を果たし、プロ編入試験を受ける資格を獲得。昨年、プロ棋士3人をやぶってこの試験をクリアした。41歳でのプロ入りは戦後の将棋史で最年長となる。


■記者のひとこと

 諦めないで挑戦しつづけることは尊い。今泉さんを取材してそう思った。

 プロ棋士への最終関門である奨励会「三段リーグ」。今泉さんはプロ入りを果たせなかったものの、「次点」を2回とった。

 全く歯が立たないのなら、まだ諦めもつくだろう。だが、あと一歩のところまで迫りながら夢を絶たれたとしたら、無念の思いはより大きかったはずだ。現在は「次点」2回でプロになれる制度があることを考えるとなおさらだ。

 就活でも同じような局面があるかもしれない。「最終面接まで行ったのに」「去年までは募集があったのに」

 そんな時、30年近くかけて夢をかなえた今泉さんの言葉を思い出すと勇気づけられるのでは。「人生、リスタートはできる」。

朝日新聞社

446名無しさん:2015/06/20(土) 23:13:53
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150619-00000017-asciiplus-sci
郷田王将も参戦!154名のプロ棋士たちが頂点を目指す新棋戦『叡王戦』が明日開幕
週アスPLUS 6月19日(金)17時0分配信

対コンピューターの新棋戦『叡王戦』
 将棋電王戦の新たな形として、コンピューター将棋ソフトと対局する棋士を決める新棋戦が、いよいよ明日6月20日に開幕する。その名も『叡王戦(えいおうせん)』。公募により3422件の名称案の中から9つの候補を選び、ユーザー投票によって決定した。命名者のBONYさんは「これに勝ったものは電王と戦うのだから、人間の王と意味にしたい。ならば、人間しか持たない、知恵や叡智を競う将棋の頂点に相応しい称号を考えた。『叡』 という字には、明らか、聡明、物の道理に通じた、という意味(ニコニコ大百科による)がある。将棋の道理を人間とコンピュータがどちらが理解しているか、という意味もこめて」とのこと。人類の頂点を選ぶ棋戦にふさわしい名前だ。

 参戦できるプロ棋士は現役でかつエントリーすることが条件。そしてエントリーしたのは、全現役プロ棋士159名中154名! その中には糸谷哲郎竜王や郷田真隆王将というタイトル保持者も含まれている。残念ながら、羽生善治四冠、渡辺明棋王の両名は参戦しないが、郷田真隆王将は昨年渡辺明棋王から奪取しており、過去の電王戦より一段アップした現将棋界で最高レベルの棋士たちが参戦し、叡王戦の頂点=人類代表、さらにその先にあるコンピューター将棋ソフトの対局『第1期電王戦』に臨む。この新棋戦が盛り上がれば、今回参戦しなかった両名も心を動かされるかもしれない。
 
 まずは予選が段位ごとに行なわれる。参戦する棋士たちは以下のとおりだ(敬称略)。なお予選の組み合わせは叡王戦のサイトに掲載されている。
 
『叡王戦』予選出場棋士一覧
九段戦 27名
郷田真隆
谷川浩司
佐藤康光
森内俊之
加藤一二三
桐山清澄
森けい二
南 芳一
高橋道雄
青野照市
田中寅彦
田中魁秀
藤井 猛
塚田泰明
丸山忠久
小林健二
森下 卓
屋敷伸之
福崎文吾
中村 修
島 朗
深浦康市
久保利明
井上慶太
田丸 昇
三浦弘行
先崎 学

447名無しさん:2015/06/20(土) 23:14:06
>>446

八段戦 22名
脇 謙二
富岡英作
鈴木大介
阿部 隆
中田宏樹
行方尚史
木村一基
中川大輔
日浦市郎
橋本崇載
浦野真彦
北浜健介
泉 正樹
山崎隆之
阿久津主税
広瀬章人
神谷広志
土佐浩司
佐藤天彦
宮田利男
東 和男
 
七段戦 29名
西川慶二
神崎健二
室岡克彦
畠山成幸
真田圭一
野月浩貴
所司和晴
中田 功
長沼 洋
小倉久史
畠山 鎮
杉本昌隆
森 信雄
中座 真
松尾 歩
石川陽生
佐藤秀司
豊川孝弘
飯塚祐紀
小林 宏
飯島栄治
小林裕士
平藤眞吾
豊島将之
田村康介
藤原直哉
稲葉 陽
村山慈明
北島忠雄
 
六段戦 33名
木下浩一
伊藤博文
高田尚平
岡崎 洋
川上 猛
矢倉規広
窪田義行
勝又清和
近藤正和
佐藤紳哉
伊奈祐介
松本佳介
村田智弘
安用寺孝功
片上大輔
増田裕司
村中秀史
戸辺 誠
宮田敦史
千葉幸生
高野秀行
西尾 明
佐々木慎
伊藤 能
中村太地
高崎一生
横山泰明
大石直嗣
永瀬拓矢
佐藤和俊
及川拓馬
澤田真吾
菅井竜也
斎藤慎太郎
 
五段戦 27名
山本真也
大平武洋
金沢孝史
上野裕和
中尾敏之
中村亮介
阪口 悟
金井恒太
長岡裕也
遠山雄亮
島本 亮
阿部健治郎
村田顕弘
船江恒平
藤倉勇樹
瀬川晶司
吉田正和
伊藤真吾
佐々木勇気
高見泰地
西川和宏
田中悠一
阿部光瑠
佐藤慎一
千田翔太
牧野光則
 
四段戦 16名
八代 弥
門倉啓太
藤森哲也
上村 亘
石田直裕
渡辺大夢
竹内雄悟
石井健太郎
三枚堂達也
星野良生
宮本広志
増田康宏
黒沢怜生
今泉健司
青嶋未来
梶浦宏孝
※段位は2015年4月1日時点。このため5月12日に昇段した八代弥五段は四段戦での参戦となる。
 
●参戦しなかった棋士
 
羽生善治四冠
渡辺明棋王
有森浩三七段
堀口弘治七段
堀口一史座七段
 
対局はニコニコ生放送で完全中継
 6月20日の開幕戦は九段の予選トーナメント1回戦からスタート。10時からは森内俊之九段vs森下卓九段、14時からは加藤一二三九段vs南芳一九段、19時からは勝者同士による対局が行なわれる。しょっぱなから森内九段やアイドルひふみんの登場で、盛り上がらないわけがない。対局の模様は、ニコニコ生放送で完全中継される。今後の中継予定は叡王戦のサイトで確認しよう。

448名無しさん:2015/06/27(土) 21:13:29
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150621-00050064-yom-ent
アマ竜王戦、吉本悠太さん初V…21歳対決制す
読売新聞 6月21日(日)19時47分配信

 アマ将棋の日本一を決める第28回アマチュア竜王戦(日本将棋連盟、読売新聞社主催、日本アマチュア将棋連盟協力)の全国大会は2日目の21日、東京都港区の「チサンホテル浜松町」でベスト16による決勝トーナメントが行われ、決勝戦で東京代表・吉本悠太さん(21)が神奈川代表・渡辺誠さん(21)を破り、初優勝した。

 21歳は歴代最年少。吉本さんにはアマ七段免状が贈られる。

 決勝は相穴熊の戦い。吉本さんが先に敵陣に食いつき優位に立った。渡辺さんは必死の防戦で粘り、延々と戦いが続いたが、最後は吉本さんが逃げ切った。

 吉本さんは東京都小平市在住の中央大商学部4年生。プロを目指した時期があり、アマの全国大会は初出場だった。「うれしい。信じられません。趣味として将棋を楽しむようになったのがよかった」と喜んでいた。

 決勝戦の2人は、今秋行われる第29期竜王戦の予選6組に出場する。

最終更新:6月21日(日)19時47分

449名無しさん:2015/06/27(土) 21:38:08
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150622-00000006-nkgendai-life
現役最年長の加藤一二三 九段 「将棋指すごとに精神活性化」
日刊ゲンダイ 6月22日(月)9時26分配信

 古希を過ぎて出演したバラエティー番組をきっかけにブレーク。将棋と縁の薄い子どもや若者にまでファン層を広げ、「加藤一二三九段」よりも「ひふみん」と呼ばれる機会が増えた。恰幅のいい体を揺らしながら、「この前の取材で2時間しゃべりっ放しだったんですよ」とにこやかに現れるや、口を開けば機関銃トークが炸裂。息も切らさず話し続ける。2時間のインタビュー中、ココア2缶とカフェオレ1缶を豪快に飲み干した。通算対局数は歴代1位の2461。不戦敗は一度もない。プロ生活60年を超えた75歳・現役最年長棋士の元気の秘訣は――。

――2012年末に「アウト×デラックス」(フジテレビ系)に「型破りな天才棋士」として登場され、「正座するとネクタイが床につくほど長い」とか「対局中にチョコレートを8枚重ねてバリバリ食べた」といったユニークな“伝説”が紹介されて以降、引っ張りダコですね。

 最初の打ち合わせでは「ご意見番として出てほしい」ということだったんですよ。でも、意見は十人十色でいろんな見方があるでしょう。荷が重いなと思ったんですね。将棋なら一番いい手は一手しかないけれども、人生は“この一手”とはいえませんから。

 次に挙がったのが、クイズの出題者。これは幸運でした。クラシック音楽も好きだし、旅行もよく行くし、ドラマも見る。それで、あれも出そう、これも出そうとなって、みなさんに大変喜んでもらってよかったですね。

――すごく博識ですよね。蔵書やレコードはどれくらいお持ちなんですか。

 そうねえ、ドストエフスキー全集はありますね。夏目漱石の全集は初版本です。世界文学全集は結構ありますよ。

――クラシックはどういう状況で聴かれるんですか?

 僕はながら聴きはしないんです。じっくり集中して聴く。オーディオとかにはこだわってないので、ごく普通のCDプレーヤー。十分な音質だと思いますよ。「クローズアップ現代」(NHK)のモーツァルト生誕250年特集でバイオリニストの高嶋ちさ子さんと共演したんです。スランプを脱した曲が「バイオリン協奏曲第3番」で同じだった。わが意を得たりでしたね。

――スランプというと、20代終盤のことですか?

 ええ、そのころね、明らかに棋士として行き詰まったという実感がありました。話が前後しますが、若いころから音楽や美術を通してキリスト教文化に関心がありましたし、子どもたちがカトリック系幼稚園に通っていたこともあって、30歳(70年)のクリスマスに洗礼を受けたんです。それからは誠心誠意、一生懸命考えて指せばよいという結論に達することができました。「第3番」に話を戻すと、58歳くらいのころ、20連敗したことがあったんです。対局前日にイツァーク・パールマンの3番を聴いていたら、かすれたような音に遊び心が感じられて、吹っ切れるものがあったんです。翌日は勝ち、破竹の進撃になってルンルン気分でしたよ。音楽は将棋と似通っていて、1曲目、2曲目と新しい展開を見せるんですね。私が戦う将棋も1手目、2手目と一番いいものを作っていく世界。モーツァルトは「作曲は元気な時にしかできない」と言ったそうですが、将棋も同じ。指すごとに精神が活性化するんです。

――現役だからこそ、若々しくいられるんですね。

 名人になった82年に将棋栄誉敢闘賞を授かったんです。文化功労者にも選ばれた水島三一郎東大名誉教授からいただいた祝辞に「加藤名人は42歳で名人になられたけれど、精神年齢は24歳だ」というお言葉があったんですね。初々しいと言ってくださったんだと思ったんだけれど、確かに僕にとって勝負は精神面がものすごく大きいですね。

450名無しさん:2015/06/27(土) 21:38:32
>>449

――対局数もさることながら、通算1320勝は現役1位、1140敗は歴代1位。若手棋士に交じりながら最年長棋士として勝負の世界に身を置き続けられています。

 棋士として大きな転機があったんです。大山康晴十段(当時)に勝った68年の十段戦(現在の竜王戦の前身)でした。1日目に封じ手をして5時間考え抜いて2日目を迎えたのですが、妙案が浮かばない。さらに2時間熟考してひらめいたんです。将棋には7時間も考えて得られるほどいい一手が潜んでいる。感動しました。真剣さが報われた思いがしました。生涯棋士としてやっていく自信がついたんです。棋士としていい勝負をし、名局を残したいという思いが、現役を続ける原動力になっていると思います。

――元気の秘訣は?

 若い方と真剣勝負で激突できる環境も大きいですね。今年3月に現役最年少の増田康宏四段(17)と「58歳差対決」をしたんですが、直前まで相手を増田裕司六段と勘違いしてたんです。けっこう自信家なんで、勉強しなくても勝てるだろうとルンルン構えていたんですが、最年少四段と分かってちょっと慌てましたね。若い人が強いのは当たり前の世界ですから。結果は私が勝ちました。実績が違いますから。

 最近は棋譜の研究をやり過ぎかもしれません。42歳前後はせいぜい1日2時間だったのが、5時間くらいやってしまう日もありますね。近ごろの将棋は美意識のかけらも感じさせないほど、作戦が煩雑化しちゃってるもんでねえ……。まあ、それでも将棋の本質は変わらないので、自信を持ってやってます。

――衰えない闘争心の源は?

 名人位を獲得する対局前日に旧約聖書をめくっていたら、モーゼが語っている箇所にあたって、「敵と戦う時には勇気を持って戦い 弱気を出してはいけない 慌てないで落ち着いて戦い……」という一節が目に留まったんです。勇気を持つ。弱気を出さない。慌てないで落ち着いて戦う。そして、自分の行動には絶対の自信を持つ。私に向けられた言葉だと思いました。勝負に挑む気持ちはこれに尽きますね。

――健康面で気遣われていることは? 最近の対局でチキンカツとカキフライを一遍に召し上がったとか。

 ご飯は1人前ですけどね。卵焼きも食べたかったけど、時間が足りなかった。よく食べますし、よく眠りますよ。タイトル戦で食事量を減らしたら風邪をひいたことがあったので、バランス良く3食取るようにしてます。対局前に一睡もできなかったのは一度だけ。午前2時ごろ目が覚めてしまったことがありましたが、赤ワインを1杯飲んだらスーッと眠れて。いずれの対局も勝ちました。もともと記憶力はいい方で、対局前に棋譜を並べて見れば全部覚えられます。

――「負けを引きずらない」とおっしゃっていますが、なかなかできることではありません。

 常に真剣勝負、悔いが残らないように戦っているから後を引かないのかもしれません。家族の存在も大きいですね。どんな棋士でも負ける時がある。それで落ち込むような家族だったらキツイ日もあったでしょう。家内は「今日は負けたけど、次は勝てるでしょう」と思うタイプ。心の持ち方が、心を軽くするんです。

「SPUR」(集英社)という雑誌で身の上相談を引き受けたら、〈結婚相手はどんな人がいいですか〉という質問があったんですよ。人生は山あり谷あり、嵐の日もある。波を切り抜けていくための〈めげない心〉と〈たくましさ〉を挙げました。問題が起きてもアタフタしない。いつも通り精進する。そうすれば、どんな時でも一番いい答えが見つけられると思いますよ。

▽かとう・ひふみ 1940年、福岡県嘉麻市生まれ。早大第二文学部中退。54年に史上最年少の14歳7カ月で四段に昇段し、プロ棋士に。名人、十段、王将、王位、棋王など数々のタイトルを獲得。86年にローマ法王から聖シルベストロ教皇騎士団勲章、00年に紫綬褒章受章。新著「無敵棒銀」(木本書店)を発売。

451名無しさん:2015/06/27(土) 21:45:19
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150625-00000015-famitsu-game
【ファミキャリ!会社探訪(26)】AIの技術を活かして活躍の幅を広げるHEROZを訪問
ファミ通.com 6月25日(木)12時0分配信

●ファミキャリ!会社探訪第26回はHEROZ!
  ファミ通ドットコム内にある、ゲーム業界専門の求人サイト“ファミキャリ!”。その“ファミキャリ!”が、ゲーム業界の最前線で活躍している、各ゲームメーカーの経営陣やクリエイターの方々からお話をうかがうこのコーナー。第26回となる今回はHEROZ。
 早稲田大学、NECで同期だった高橋知裕氏と林隆弘氏が、2009年に設立したHEROZ。早くからモバイルアプリの開発に力を入れてきた同社の、最大の特徴はAI(人工知能)。そのAIの技術を活かして、将棋やチェス、バックギャモンなどのアプリを手掛けている。今回は、代表取締役の高橋氏と将棋の強豪AI“Apery”を開発し、世界コンピュータ将棋選手権で優勝したこともある平岡拓也氏に話を聞いた。

----------

●ゲームに限らず、AIで何かを成し遂げたい(平岡氏)
――平岡さんの経歴から簡単に教えてください。ゲーム業界を志した理由やHEROZに就職したきっかけや経緯を教えてください。
平岡拓也氏(以下、平岡) 大学を卒業後、新卒で地元の大阪にある半導体メーカーに就職しました。その会社は、ゲーム会社向けのカスタムメモリ開発などがメインだったのですが、当時はとくにゲーム業界を意識したわけではありませんでした。その後、ソフトウェアの開発をすることになり、初めて本格的にプログラミングを学ぶことになりました。

――プログラミングは、社会人になってから始めたのですか?
平岡 学生時代も少しやっていました。社会人になってから、プログラミングを勉強しつつ、趣味でコンピューター将棋も始めました。それから徐々にゲームAIに興味を持ち始めて、2014年には、第24回世界コンピュータ将棋選手権で優勝もしました。優勝した時、すでに前の会社を辞めることは決めていたのですが、コンピュータ将棋選手権の関係者兼HEROZに所属している方から誘いを受け、おもしろそうだなと思って、転職することにしました。

――前職を辞めた理由は何だったのですか?
平岡 興味が変わったのがいちばんの理由です。つぎの会社を決めてから辞める人が多いと思いますが、とりあえず辞めてからつぎを探そうと思っていました。そこに深い意味はなく、当時はあまり先々まで考えていませんでした(笑)。

――HEROZへの入社は、コンピューター将棋を開発している平岡さんにとって、天職ですね。
平岡 そうですね。本当に、趣味が高じての入社です(笑)。

――コンピューター将棋に興味を持ったのは、将棋が好きだったからなのか、AIそのものに興味を持ったからなのでしょうか?
平岡 将棋が好きだったから、というのが大きいですね。ちょうど始めた時には、“Bonanza”(独自の思考ルーチンで将棋ソフトに革命を起こしたと言われる)というソフトのソースコードが公開されまして、仕事で使う言語も同じだったこともあり、勉強にもなると思って始めました。

――HEROZに入社しようと決めた決め手は何ですか?
平岡 おもしろそうだと思ったことがひとつ。ユーザーとしてはあまりゲームをやらないのですが、『将棋ウォーズ』はプレイしていましたので、HEROZのことも知っていましたし、知人が勤めていて、入りやすかったのも理由のひとつです。

――入社後は、コンピューター将棋のAIを突き詰める仕事に?
平岡 いえ、将棋はすでにアプリでありましたし、それほど関わることはないだろうと思っていました。入社してからは、ボードゲームアプリの開発に携わりました。いまは、別のボードゲームのAI開発やルール実装などを担当しています。

――AIに特化した会社は非常に珍しいと思いますが、HEROZという会社を初めて知った時の印象は?
平岡 『将棋ウォーズ』というアプリくらいしか知らなかったのですが、斬新なゲームだと思いました。小さいころから将棋をやっていて、将棋のAIはどのようなものという自分なりの定義があるのですが、それとは全然違うもので、AIの活用がうまいと感じました。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板