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425
:
名無しさん
:2015/06/14(日) 22:31:05
>>424
コンピュータによって人間の思考プロセスも浮き彫りになる
私は、何かとてつもないことを聞いたような気がした。コンピュータが莫大な計算力から生み出した独創的な手を見て、人間でも出来るかも知れないと、羽生は言っているのだ。前のめりになり、夢中で話す姿は、まるでその日に発見したことを全て伝えようとする子どもにも似ていた。
――コンピュータ将棋の話をしていると、本当に楽しそうですね。面白いですか。
「面白いというかですね、どう言ったらいいんでしょうかね、何か・・・・・・変な状況だと思うんです」
――あ、変な状況。本当に。
「ええええええ、何か、変な状況なんだなぁということは、かなり、実感としてもっていますね・・・・・・いや、というのは、つまり、将棋のような世界でこんなことが起こってるということが、凄く変な状況という気がしますよね。昔からある伝統的な世界で、コンピュータのようなテクノロジーとどう対峙していくかという時代を迎えているのは、凄く特殊な状況かなぁという気はしますね」
――人間に問われているものとは何でしょう。
「そうですね。コンピュータの思考プロセスは、基本的にはわからない。でも、将棋を通してみると、それが少しわかりやすくなるのかなと。それは逆に、人間が死角や盲点と言われる手をなぜ思いつかなかったのか、より鮮明にされることにもなるんじゃないか。つまり、違和感があって指せない手をコンピュータに指されたとき、どうしてその手を思いつかなかったのかを考えていくと、逆に人間の思考プロセスも見えてくるというところがあるのかな、と。思考の幅やアイディアが広がって、将棋の可能性を指し示すことになるとは思っています」
――人間がより将棋を深められると。いいことばかりですか。
「いや、どうしても相容れない部分もあると思います。コンピュータ的思考を取り入れていくと、元々人間が使っている考え方や発想を殺してしまうことにもなるので。そこに凄く難しさもあるんですよね。簡単に言うと、人間がある手を思いつかないのは、美的センスに合わないからとも言えるんですよ」
――美意識ですね。
「ええ。コンピュータ的思考をどんどん受け容れてしまうと、その美意識が崩れていくことになる。それが本当にいいことなのかどうかという問題はあるわけです。全く間違った方向に導かれてしまう危険性もあるんです」
――楽観はできない。
「と、思っています」
――人工知能も数年後には人間を超えるようなものが出来ると言われてますが、コンピュータが主になって、人間が従になってしまうような状況にもなり兼ねない。
「私はこんな風になると思うんですよ。例えば、コンピュータが確率的に60%と40%でこの手が有効だ示したら、人間はもっと高い比率で、90対10とか95対5くらいに分かれちゃう。そこは逆に、創造性とか多様性を縮めてしまう可能性は確かにありますね。ただ、世の中には必ず天邪鬼的な人はいますから、ゼロにはならないと思うし、少し不利とか、少しダメと言われるほうに可能性があるというのも、事実だと思ってますが」
――人間の美意識が問われている。
「変わっていくんだと思います。今まではこの形が綺麗だとか歪だと思われていた感覚が、変わっていく・・・・・・どう言ったらいいのか難しいんですけど、将棋の概念が変わってくる。今まで将棋ってこういうものなんじゃないかと思っていたものとは違う概念が出てくるんじゃないか、という気はしていますね」
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