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434名無しさん:2015/06/20(土) 21:27:05
>>433

やはり勝てなければ意味がない
 4つもタイトルを保持しているのに危機感があるのは意外でもあったが、よく考えてみれば当然のことだ。

 40代の棋士の誰もが、加齢による衰えと向き合いながら、目の前の1局に勝つことに必死でいる。羽生も人間なのだ。そこにコンピュータ将棋による激変が加わり始めた。大好きな将棋がどうなっていくのか。自分の眼で確かめられるのか。そんな終わりの始まりを意識している・・・。久しぶりに会った羽生に、親近感を感じたのも、そういうことだったのかも知れない。

 ――あらゆる世界で達人と言われる人も、ある境地に達した時には高齢で、死ぬ直前だったりしますね。

 「アスリートの人は特にそうだと思うんです。メンタル面は引退する直前くらいが一番いいんじゃないですかね。だけど、残念ながら肉体がついていかない。非常にもどかしい思いをするんでしょうね」

 ――そうですね。そこが本当にもどかしい。

 「うん。本当に身心が合致する時期は凄く短いし、簡単なことではないんだなと思いますね。そうなんですね・・・いやだから、むしろこれから、葛藤が増えるのかも知れないですね。それは確かに思います・・・」

 ――でも、これだ! というような境地を得た瞬間は、多々あるのでは? 
 すると羽生は、こんな話を始めた。

 「大山先生の将棋で非常に印象深い一局があるんです。69歳で亡くなる前年のA級順位戦で、これで負けたらA級陥落して引退という一局で。中盤で物凄く不利になるんですけど、とんでもないギャンブルのような手を指して、最後の最後で逆転勝ちするんですね。だけど、50年も60年もやっていると、普通はそういうことは出来なくなると思うんですよ。ブラフはダメだとわかっているから。それを成立させてしまうというのは凄いなと・・・。だから、沢山の経験をしてわかっているつもりでも、本当のところでは・・・つまり、それが実戦で役に立たなければ意味がないことなので、どうなのかなぁって思うんです」

 どうなのかなぁ・・・実感のこもった呟きを聞き、天啓のように思った。
この人は勝つことから逃れられない、いや勝つしかないんだ・・・と。

 どんな境地に達したとしても、勝てなければ意味がないと、羽生は言っている。闘うものや勝つことの意味を突き詰めないのも、大きな葛藤を抱え続けているのも、全ては勝つことを前提に考えているからだ。彼は勝負を超越などしていない。むしろ勝つことに誠実なのだ。それが将棋だからだ。


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