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423
:
名無しさん
:2015/06/14(日) 22:24:21
>>422
2%のレベルでしか人間は将棋をわからない
――同じ時期の『将棋世界』(95年12月号)のインタビューで面白いやりとりがあります。「強いコンピュータが出てきたらやりますか?」と聞かれ、「やります。ただ今のレベルではちょっと・・・・・・」と口ごもる。聞き手が「今の(弱い)コンピュータは論外です」と言ったら、「いや、そういう意味じゃなくて、人間のレベルが大したことない」と答えている。ウィンドウズ95が出たばかりの時点で、コンピュータより人間のレベルが低いと認識していたというのは驚嘆します。覚えてますか?
「(はいはいはい、と聞いていたが)いや、覚えてません(笑)」
――(笑)
「そんな、20年前に何言ったかなんて、全く覚えていませんよ(笑)。い〜やぁ、そんなこと言いましたか・・・・・・違う人が言ったんじゃないですかね?」
――(爆笑)
「ハハッハハッ。いやぁ、言いましたか、はぁ・・・・・・まあ、ただあれですよ、例えば、人間が将棋そのものを物凄く深くわかっているかと言われたら、それほど深くはわかっていないということは、やっぱりあるわけですよ。どう言ったらいいんでしょうかね、こう、莫大な量の可能性のある局面があって、棋士がいくら子どもの頃からやっていると言っても、出会った局面というのは、その1%にも満たないような局面しか見ていないわけじゃないですか」
――可能性のある手の数は10の220乗と言われて、ま、とにかく天文学的な数字になる。
「ええ。で、残りの局面はまだ見ていないわけで・・・・・・また、こういうことも言えるんですよ。結局、プロの棋士たちは、間違えにくい局面をいかにして作っていくかを考えているとも言えるわけですね。でも、将棋の全体像から見れば、そうじゃない局面が圧倒的に多いので。そういう局面で正しく対応できるかどうかは、全く別な話ではあるんです・・・・・・まあでも、その発言は忘れてましたから、今更聞かれてもわかりません(笑)」
――ただ、そのときに「今の人間のレベルが2%くらいではコンピュータに凌駕される可能性もある」と言っていて、「だから人間がもっとレベルを高めないとダメです」と。その2%というのは、人間がそれくらいしか将棋をわかっていないということですね。
「ああ、そうですね。あの、こういうことはよくあるんですよ。例えば、プロの将棋は難しいと言いますよね。それは一理あるんですけど、一面では違うところもあって。覚えたての人のほうが、難しい将棋を指していることもあるわけです」
――ほぉ。
「うん。覚えたての人はメチャクチャやるから、メチャクチャな局面になるんですよ。それを途中からプロの棋士が任されて、正しい手を瞬時に選ぶのはかなり難しいと思います。綻びだらけだから、どこから手をつけていいかわからないんですよね。プロはそういう局面に出会わないようにしているからこそ、正しい手を選べるというのもあるので。人間がよくわかっていないというのは、そういうこともあるわけです」
・・・・以下、次回へつづく(次回の掲載は6月13日を予定しています)
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高川武将(Takagawa Takeyuki)
1966年東京都生まれ。新聞社、出版社を経て、フリーランスのルポライターに。スポーツを中心に『Number』等で骨太のノンフィクションを多数執筆。2010年の竜王戦から羽生善治の取材を続け各誌に寄稿している。
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高川武将,G2
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