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419
:
名無しさん
:2015/06/14(日) 22:22:18
>>418
団塊世代の江上先生と明治生まれの井上との関わりは、幼少期に遡る。
江上先生の父茂は、沖縄空手を本土に持ち込み早大空手部を創部した船越義珍(ぎちん)の一番弟子で、こちらもまた伝説的な空手家である。戦時中は陸軍中野学校の武道教官を勤めたこともある茂は、後年、「空手の突きは本当に効くのか」という根本的な疑問を持ち、一撃必殺の最強の突きを追い求める。生活さえも犠牲にして究めたのは、拳を固めるそれまでとは真逆とも言える「柔らかい空手」。その松涛会江上流空手の礎となったのが、後年に師事した井上の教えだった。
茂の三男である江上先生は、幼少期から井上の道場に出入りし、ことあるごとに父から井上の話を聞いて育った。慶大では合気道部に所属し、その後、別の武道や海外放浪など紆余曲折を経て、30代半ばから井上に師事する。それは井上が91歳で亡くなるまで続き、67歳となった今でも稽古を続けている。羽生の考えと似ているという親英体道とは・・・・・・。
「一番の極意は『入り身』です。相手が打ってきたところに、そのまますっと入る。相手と一つになり、こちらが主体になって導きながら、一緒に流れていくんです。よく井上先生が仰っていたのは、『桜の花びらが散って川に落ちると、その中にすっと入って一緒に流れていくやろ。稽古はそうやって勉強するんやで』ということなんです。元々一つだったものを形にする。全ての物事には入り身しかない、受け身はないんだ、と」
それは羽生の思想と合致しているように思えた。ギリギリの均衡を保ちながら、どこかで思い切って踏み込んでいく。その際に大事なのは他力、手を渡して相手が踏み込んできたところに、自然と入っていく・・・・・・。
「闘ってはいけない。相手をやっつけるんじゃないんです。相手に敵意を持たせたら負け、刀を抜かせたらさらに負け、それに応じてこちらが抜いたら絶対の負け、なんですね。最初から相手と和していると考える世界なんです。かつての剣客たちが達した境地は、対すれば相和するでしょう。でも、相手と和すると考えること自体が既に作為が働いているという」
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