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420名無しさん:2015/06/14(日) 22:22:36
>>419

勝ちを意識すればに負ける
 「羽生さんも、闘争心は要らない、相手を打ち負かそうとは考えないと言うんです」

 「ああ、そこまでいってるんだ・・・・・・」

 「ただ、いつも全力、一生懸命。新手や新戦法はいくら研究したり、練習しても実際のところはわからないから、真剣勝負の場、特に大きな舞台で実験するんです」

 「そこはね、一番、大事だと思う」

 江上先生はそう感嘆すると、さらに言葉を継いだ。

 「本当の和というのは真剣勝負にこそあるんです。一つになる、一緒に流れていくというのは、真剣勝負じゃないとわからない。究極の技は身につかないんですね。だから、初心者や女性に対してもバカにしてはダメで、全力でやらなければいけない。

 一つになるといっても、決まった形はないんですよ。形は毎回変わる。百回やれば百通りの形がある。実際には、相手が転んでしまうかも知れないけど、それは気がついたら相手が勝手にいっているだけで、力ではないんです。むしろ、こちらの力が弱ければ弱いほど、相手の力が強ければ強いほど、相手は自分の力で倒れるんです。武道としては変な言い方なんだけど(笑)」

 「いや、わかります。羽生さんの将棋にも棋風、つまり形がない。均衡を保って、局面局面で正しいと思う手を指していくうちに、気づいたら勝っていたという。相手は特にミスもなくて、何で自分が負けたかよくわからない不思議な感じになる」

 「あ、そう。面白い! きっと羽生さんが勝つときは、相手を意のままに動かせているんじゃないかな。でも、それも意識したらダメなんですよね」

 時折、私の体を指圧する流れるような動きが止まるほど、先生も話に熱が入る。

 「他の武道と根本的に違うのは、一人ひとりの『在り方』を描いていく世界だということなんです。本当の真剣だったら入り身ができた時点で勝負は終わっている。すっと入られてぱっと持たれたら、真剣だったら死んでいるわけですからね。でも井上先生は、『殺してはアカン、一つの在り方を勉強するんや、一人ひとりの在り方を一緒に描いていくんやで』『それが日本の有り方や』と。どこまでも広がっていく世界なんですよ。だから、井上先生の演武は本当に綺麗で美しいんです」

 聞けば聞くほど、親英体道と羽生の思想は酷似している。親英体道の元を辿れば、井上が幼少期から祖父に学んでいた平法学、その元にある古神道に行き着く。

 「宇宙にゼロはない。全ての物事は1から始まる。『水火(すいか)の交わり』という考えがあるんです。言い換えれば陰陽ですね。横に流れる水と、縦に燃え上がる火が一点でぶつかりあい、一つのものが生まれてくる。男と女が出会って子どもが生まれるように。そのぴしゃんと合うところを勉強しなさい、とよく言われましたね。本当は最初から合っている。水火の在り方を表せばいいんだと。もちろん、簡単なことではないんですけどね(笑)」

 日本人の生き方にも通じる日本独自の勝負観がある。それはまた、羽生の強さの根源にも通じると感じた。江上先生は言った。

 「普通はそこまで考えが及ばないでしょう。単なる勝負、勝ち負けだけで終わってしまって。西洋のスポーツ的な発想とは明らかに違うんですよね」


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