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429名無しさん:2015/06/14(日) 22:33:26
>>428
心は常に対局を通して磨かれる
 ――そういう中で生まれてきた逆説的な考えが非常に面白いし、真理を突いていると思うんです。象徴的な考えが「他力」。これは羽生さんが35歳の年に出版した『決断力』という本から、徐々に言うようになっている。その概念はどういう経緯を経て、羽生さんの中で大きくなってきたんですか。

 「それは、将棋をずっとやっていく、上達していくプロセスの中で、自然と身についてくるんですよ。それについて学ぶんじゃないですよ。つまり、将棋が強くなることを突き詰めていくと、必然的にぶつかるんです。結局、自分で何かをするんじゃなくて、相手の手や力を使って反撃するとか、一手待つという指し方を覚えないと、あるところからは絶対に強くなれないので。そこはどうしても。手を渡すとか、他力が重要になるというのは、将棋をより理解していくと、必ずそういう局面や場面に出会うことになりますね」

 ――将棋を理解していくと。間合いの詰め方とか、武道に近いですね。

 「そうですね。やっぱり、そういうものが生まれてくる共通のバックグラウンドなり、何かがあるんでしょうね」

 ――かつての剣客は、命のやりとりを繰り返した挙句、一様に禅の世界に行き着く。剣禅一如という。理解出来るのでは? 
 「いや、そこまで深くは理解出来ないですけど(笑)。まあ、そういうものなのかなというくらいの捉え方ですよね。考え方や発想を突き詰めていくと、そうなっていくのはわかります。力が入りすぎてしまうよりも、何も思わないほうがいいとか。やっていることのプロセス、心構えみたいなものは、共通するものがあるんだろうなと思いますけど」

 ――やっぱり、心ですよね。羽生さんが逆説的な表現をしていることは心に関することです。心の重要性はずっと考えてきた? 
 「そうですね。具体的に一手を指すときに、やっぱり、心理とか気持ちに左右されるのは間違いない。本当に大きく影響するわけですから、必然的に考えますね」

 ――心は常に対局を通して磨いていく。

 「そうですね。反省して検証して、次はどうするかということを修正して、課題として考えることの繰り返しですよね。ただ、将棋は非常にわかりやすいところがあって、ミスをしたらミスをしたとはっきりわかる。繰り返しやっていくものとしては、やりやすいものだと思いますね」

 ――偶然性もあまり入らない。

 「入らないですし、団体競技でもないので。本当はミスだったけど結果的に上手くいってしまうようなことも、基本的に少ないので。そういう意味では非常に単純というか、わかりやすいと思います」

 ――ただそのときに、自己嫌悪になったり、自己否定に繋がることもあると思いますが。

 「ああ、そうですね。だから、自己嫌悪や自己否定にならないように進歩させていく、メンタル面を上手く上げていく、そこを含めてどうするかと思ってますけど・・・」

 すると、一瞬の間を置いてから、羽生はつくづくといった感で言った。

 「でも、何百回、何千回やろうが、完璧になるってことはないですよ。多少はよくすることは出来るかも知れないですけど、どんなに工夫しても、失敗するときは失敗するし、焦るときは焦る。不安、迷い、恐怖は常にあって、完全に打ち克つことは出来ないです」

 ・・・以下、次回へつづく(次回の掲載は6月15日を予定しています)

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高川武将(Takagawa Takeyuki)
1966年東京都生まれ。新聞社、出版社を経て、フリーランスのルポライターに。スポーツを中心に『Number』等で骨太のノンフィクションを多数執筆。2010年の竜王戦から羽生善治の取材を続け各誌に寄稿している。
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