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428名無しさん:2015/06/14(日) 22:32:40
>>427

葛藤を抱えることは織り込み済み
 いつになく緊迫したやりとりは、さらに続いた。私は長年思っていた疑問をぶつけてみることにした。

 ――勝つことと真理の追求は究極の理想ですが、矛盾はしませんか? 
 そう尋ねると、羽生の顔つきが一瞬、明らかに変わった。

 「矛盾しないというか・・・」

 ――考えているとわからなくなってくるんですよ。ケースによっては、矛盾するんじゃないかとか、いや両立するんだとか、でもやっぱり矛盾するんじゃないかとか・・・。

 「いや・・・すっぱり割り切って答えられないです、その質問には・・・」

 ――そうですか・・・。

 「どう言ったらいいんですかね、確かに、場面によっては矛盾しているときもあります」

 ――やはりそうですか。時には勝負を度外視して指すこともあるし、逆に・・・。

 「勝つためのこの一手が、真理とは違う、と思うときも確かにあるので」

 ――ああ、わかっていて指すんですね。

 「ということもあるので。だから、やっぱり、そこは全てが整合性を取れているわけではないんです、ええ」

 ――常に葛藤を抱えている。

 「いや、だから何ていうか・・・そういう葛藤が生じたり、ミスが生じたり、思いがけないことが起きるのは、もう、諦めてるんです」

 ――ああ、諦めてる・・・。

 「ええ。もう致し方ないことで。そこは、何て言うんでしょうかね、将棋は偶然性は入らないルール設定にはなっていますけど、自分の構想とか、思い描いたビジョン通りにいかないことも含まれていることを前提に考えてるんです。多少の齟齬が生じても、自分が受け容れられる範囲であれば、オッケーとするくらいの気落ちで捉えているというか。四角四面に全てを枠内にきっちり入れるのではなくて、誤差、ズレ、ブレみたいなものは許容するように・・・」

 ――白黒はっきりするのではなく、常にグレーゾーンはあるものだと。

 「もう、もう、そこは、ある程度はしようがないという割り切りの仕方はしてます」

 ――でも、七冠制覇して以降、目指してきた棋士としての方向性そのものが、迷いや悩みの要因になったということはないですか。

 「いや、それは常に何かしら迷うとか、悩むっていうことはありますよ。それはどんなに勝とうが負けようが、変わらないことだと思います。やっぱり、常に何かあります」


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