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Game全般

354名無しさん:2015/05/31(日) 21:45:28
>>353

じつは、電王戦開始まえからコンピュータが強いことはわかっていた。コンピュータ同士の戦いで、実力を十分に示す棋譜を残していた。一部のソフトウェアは棋士に貸し出され、練習の段階でプロ棋士を何度となく負かしていた。今のコンピュータは強い。だが、弱かった昔の記憶があるために、プロ棋士はコンピュータに勝って当たり前のムードが漂っている。電王戦に出場することは勇気のいることだ。それでもなお臆せずに、プロ棋士は果敢に挑戦した。通常の棋戦以上の意気込みで対局をした。その姿にファンは感動した。言ってみれば、コンピュータと対局することにより、プロ棋士をいっそうプロ棋士らしくさせた電王戦だった。

第5局、「GPS将棋」は東京大学内にある670台以上のPCをネットワーク接続して指し手を計算していた。1秒間で2億5千万通りを計算できる設定だった。対局終了後、観戦していた記者の何人かが「大量のコンピュータを接続していたから負けた」、言い訳を聞き出すような質問をしたが、三浦八段はこの誘導尋問にひっかからなかった。「GPS将棋はコンピュータの台数が1台でも強い」と潔く負けを認めた。勝負には負けたが、相手の強さをたたえる態度はプロ棋士らしかった。

同じ会場で「GPS将棋」の開発者、金子知適(かねこともゆき)氏は、記者からもはやコンピュータは人間に負けない、という趣旨の無敵宣言を引き出すかのような質問をされた。しかし、金子氏は「コンピュータの将棋は出来不出来が激しいものです。一局で強さを申し上げることはできません」と答えた。

コンピュータと人間が対戦することで注目された電王戦。終わってみれば、敵味方に関係なく、人間たちが将棋というゲームに挑む姿が見る者に感動を与えた。

コンピュータを強くさせたのは、おもしろいことに今回の敵だ。コンピュータの中のデータベースには、プロ棋士たちが20年以上かけて残した膨大な棋譜が格納されている。これからコンピュータの進化を支えるのも、プロ棋士となる。瀧澤武信・コンピュータ将棋協会会長は「開発者がわからないプログラムの弱点を、プロ棋士の先生が解明してくださっている」と語った。

同じことはプロ棋士にもいえて、コンピュータは人間の限界を超えてくれる存在である。第3局でツツカナに負けた船江恒平五段は「コンピュータは私の強いところと弱いところを自覚させてくれた」。谷川浩司・日本将棋連盟会長は「不利になってもあきらめない精神力の大切さをコンピュータから学べる」と語った。「GPS将棋」は三浦八段戦でプロ棋士同士では実戦例のない新手を発見して勝利している。

プロ棋士も。コンピュータの開発者も。
勝っておごらず、負けて悪びれず。戦う相手には最大限の敬意を払って、礼節を重んじる。日本人的美徳を浮き上がらせて、第2回・将棋電王戦は幕を閉じた。

◇ ◇ ◇
既出原稿

コンピュータと人。頭脳の対決。名勝負が続く将棋・電王戦

平林久和
株式会社インターラクト代表取締役/ゲームアナリスト
1962年神奈川県出身。青山学院大学卒。ゲーム産業の黎明期に専門誌の創刊編集者として出版社勤務。1991年に起業。現在に至る。著書、『ゲームの大學(共著)』『ゲームの時事問題』など。デジタルコンテンツ白書編集委員。2012年にゲーム的発想(Gamification)を企業に提供する合同会社ヘルプボタンを小霜和也、戸練直木両名と設立、同社代表を兼任。俯瞰的であること、本質を探ることをポリシーとする。


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