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【お題で嫁を】お題で簡単にSSを作ってみようか【自慢するスレ】
1
:
名前が無い程度の能力
:2008/11/26(水) 00:23:45 ID:qDu.RquQ0
安価の人のお題で自分の好きなキャラの妄想をするスレ。
【例】
お題:煙草 キャラ:パチェ
「ここじゃ吸っちゃダメだよな…?」
「図書館の中は禁煙よ」
「…だよな、ちょっと外散歩してくるよ」
「えっ?」
「ほら、パチェも喘息持ちだし、な」
「だ、大丈夫よ、小悪魔、窓を全部開けてきて頂戴、あと○○(名前)に灰皿も」
「…大丈夫か?」
「へ、平気よ。ほら、早く座って、本の感想でも聞かせて頂戴」
「そうか…じゃあここで吸っちゃうぜ」
「え、えぇ」
(…むきゅー)
127
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/30(土) 18:12:18 ID:PE6sVByY0
>>124
なんつーかもう、さとり様愛してる
128
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/31(日) 00:21:55 ID:60bYwJ3UO
>>80
やりますかねー
守矢の御社が幻想郷に入って半年が過ぎ、私もやっと幻想郷という独特な環境に慣れてきました
現代からあまりにも変化しすぎたこの土地は、色々なものが違いすぎました
今日は、それを書こうかなと思います♪
まずびっくりしたのが、露店がたくさんあること
色々売ってますよ
野菜とか、魚とか
今日は、野菜を使った炒め物を作ろうと思ったからもやしを買いに野菜屋へ
でも売ってないんですよ。もやし
野菜炒めにもやしがないなんて野菜炒めじゃないのに
聞けば、野菜は自分の畑から取ってる、だから栽培している物が限られてくるんだ、とか
野菜はおいしいんですけど、スーパーとかに比べちゃうと、品揃えが…ねぇ
こういうのを見ちゃうと
「わぁっ…。田舎だなぁ…」
って思ってしまいます
仕方ないので、魔法の森で赤いキノコを取ってそれを使いました
諏訪子様が美味しそうに食べてたなぁ
いい事したら気持ちいいですね♪
でも一番驚いたのが、服!!
こっちにはかわいい服とかがないんですよぉ
あってもすっごく高くて、こっちの世界では1万くらいで買えるのが、5、6万くらいになるんですよぉ
だから、オシャレしたくても結局昔買ったディオールのスカーフ着けたり、シャネルの香水かけたりするんです
ディオールのスカーフをつけて、同業者の巫女さんのところに行ったら
「なんかそれ珍しいの?珍しいならちょっと頂戴よ」
とか、気にはしてました
だから
「オシャレとかしないんですか?○○さん」
とか言っても
「オシャレどころか最低限の生活してるし、そんな余裕ないし、あまり興味もないわよ」
と、言ってました
若いのに最近の神奈子様みたいな台詞を言ったのが可哀想で可哀想で仕方ないので、あげました
そしたらスッゴい笑顔で首に巻いてました
いい事するっていいなぁ♪
そんなこんなで幻想郷は楽しいです♪
みなさんも是非来て欲しいなぁ…と思いました♪♪♪
あれ?神奈子様に諏訪子様、どうしまうわなにをするやめウボァー
>>124
元々過渡ってるんだから気にせずガンガン書いちゃいなよ
後、みんなガンガン出してくれい。モチベ上がるから
お題:洗濯
129
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/31(日) 03:07:21 ID:xbI9r6VsO
>>124
構わん、続けろ
130
:
名前が無い程度の能力
:2010/01/31(日) 18:44:09 ID:i0F2MqsI0
お題「初めてのインターネット」
131
:
愛欲が尽きない程度の能力
:2010/02/01(月) 21:00:29 ID:1ofn/HG20
新参。
お題の洗濯やってみたよ。
キャラ:ルーミア&アリス
魔法の森で、一人の妖怪が走っていた。
豪雨の中を、傘も差さずに雨によって泥と化した地面を蹴っていた。
妖怪の名前はルーミア。
妖怪の中では弱い部類に入る妖怪で、人食い。
闇を操る能力を持っており、彼女の周りは闇で覆ってある。
「うわぁっ!?」
泥で足が滑って、顔ごと地面へ投げ出す。
最悪だ。
ルーミアは起き上がって、汚れた服を見つめた。
「……ん?」
遠い向こう。
何かが光っている。
それに一縷の望みを託して、ルーミアはそこへ転ばないように走って行った。
そこは家だった。
ルーミアはそこのドアをノックするより早く、屋根の下にもぐりこんだ。
これで雨を防げる。
見ると、雷が雨雲を照らしていた。
ここを発見できてよかった、と思いながらもルーミアは寒さに耐えきれずに扉をノックした。
意外と早くに扉は開いた。
ルーミアはその扉を開いた人物の顔を見た。
自分と同じ金髪の女性だ。
「あれ、あなたどうしたの?……凄い汚れじゃない!まさかこの雨の中走ってきたの?
……とりあえず上がって。紅茶とクッキーくらいは出せるわ」
「ありがとー」
ルーミアはそう呟いて部屋の中へ入った。
部屋の中は、屋内だからか外が寒かったからか暖かかった。
「あったかーい」
うんと腕を伸ばす。
腕の部分が濡れてあまり良い気もちはしなかったが、それでも暖かさこそルーミアの求めていたものだ。
金髪の女性は戸棚から服を取り出すと、ルーミアに渡した。
「とりあえずそれに着替えて」
ルーミアは指示に従って服を渡されたそれに着替えた。
金髪の女性は服を取って部屋に入ると、水を入れた桶の中にそれを沈めた。
そしてテーブルのある部屋――おそらく居間だろう――にルーミアを通した。
132
:
愛欲が尽きない程度の能力
:2010/02/01(月) 21:01:19 ID:1ofn/HG20
「座って。……ちょっと待っててね」
ルーミアはテーブルへ歩いていき、それに座る。
しばらくすると、金髪の女性が二人分の紅茶とクッキーを持ってきた。
ルーミアはそれが置かれた途端に、クッキーを素早く口に運んだ。
「んんー。もぐもぐ。……おいしー」
人肉ほどではないが、美味しい。
甘さが口に広がり、顔を綻ばせた。
「それは良かったわ。……さて。あなた、宵闇の妖怪のルーミアよね?」
「うん、ルーミアだよー」
ルーミアが二枚目のクッキーを口に運ぼうとして答えた。
内心、やはり妖怪を家に連れ込むのは駄目で、すぐに追い出されると思っていたので、その胸は不安でいっぱいだった。
「私はアリス・マーガトロイド。七色の人形遣いって言われてるわ。
アリスって呼んで構わないわよ」
アリスはそう言うと、ルーミアから窓に目を移した。
「こんなに雨も酷いし……晴れるまでここにいなさい。
ああ、そうそう。服洗濯するから手伝いなさい」
「せんたくー?」
「まさかあなた洗濯してないの?
……どうりで一目見ただけで汚れがわかるはずだわ」
アリスはそう呟きながら、先ほどの服がある部屋のドアを開けて入った。
そこにはギザギザに刻まれた木の板と、先ほどより大きめの桶があった。
アリスはそこに服を入れると、服を木の板にこすりつけた。
「はぁっ、こうやって、服を、こするのよっ」
声を聞くとかなり力を入れているようだ。
アリスは途中で木の板と服を離してルーミアに言った。
「ほら、ルーミア。やりなさい」
「えー。……うん」
ルーミアは桶の中の木の板と服を掴むと、服をこすりつけた。
浅はかな汚れがどんどん水の上に浮かぶ。
ルーミアはしばらく服をこすりつけていたが、アリスに向かって言った。
「ねえー、疲れたぁー」
「我慢しなさいよ。しばらくすれば楽しくなるはずだから」
ルーミアは言っても無駄だと悟り、一心不乱にこすりつけ続けた。
数分後。
ルーミアの手の動きはかなり粗いものとなっていた。
手首を振り子のようにぶんぶんと振るだけである。
だが、ルーミアの顔はかなり楽しい顔となっていた。
一般の人間がやったら精々浅はかな汚れが取れるのみだろうが、ルーミアは妖怪特有の力を込めて振っていた。
つまり力業で、汚れを取っている。
「ぶんぶんー♪」
ルーミアは手首を振りながら鼻歌を歌っていた。
「ちょっと見せてみなさい。……ふんふん。
汚れがもうほとんど取れてるわ。もうこれで良いわよ」
そうアリスが語りかけると、ルーミアは不満そうな顔をした。
「えー?まだ洗いたいー!」
アリスは頭を抱えると、困ったように窓のカーテンを開けた。
先ほどの雨が嘘のように晴れている。
「もうとっくに雨は上がってるわ。今度、また来なさい」
アリスはできるだけ優しく、子に語りかけるようにルーミアに言った。
「えー。……むー」
ルーミアはしばらく不満そうな顔をしていたが、ぱっと立ちあがった。
「わかった。……今度の雨に、また来るね」
ルーミアは玄関の扉を開けて靴を履いた。
「ええ。―――雨と言わず、いつでもいらっしゃい」
「うん!……ちゃんと、洗濯するもの用意しといてね!」
「わかったわ」
アリスがにこりと笑うと、ルーミアはそれを確認して走り出した。
「バイバイ、アリスー!」
「さようなら、ルーミア」
晴れ、虹のかかった空の下、闇をまとわず走る宵闇の妖怪。
「とても良い図ね」
アリスはルーミアを照らす太陽のように、晴れやかな笑みを見せた。
うおっ長っ
そんじゃお題を出しますねー
お題『時間』
別に咲夜さんを書けって言ってるわけじゃないのよ。
私ルーミアが好きだからーすいません調子乗りましたごめんね
133
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/02(火) 03:54:55 ID:wy0llQ7cO
>>130
をいただいていきませうか
「何…これ?」
博麗神社に白い箱が届いた。とても大きな、二つの箱が―
「とりあえず…この…電気を入れて…これを…押して…これで…いいのよね」
ボタンを押すと大きな箱に光が灯り、変な音と共に箱が動き出した
説明書片手にちゃぶ台に二つの箱を置き、ひたすら拳大の付属品についているボタンをカチカチしながら、霊夢は眉間に皺を寄せていた
「…で?この、おんきょう…かぷら?だっけ。これを、これにつけて…」
箱に黒電話の先みたいな物を取り付け、「インタアネツト」とか言うものにボタンをカチカチッ…とすれば、青く輝いていた画面から白い画面に切り替わった
「な…なにこれ?…あ、あれね。英語ね。知ってるわ。「わいえーえっちおーおー」でしょこれ」
そういうと、拳大の付属品を動かし、「わいえーえっちおーおー」にボタンを二回押した
「ん〜…なにも起きないわね…。あ、この空欄、文字が書けるわ」
空欄にボタンを二回押して、やっとこの画面が検索するためのものと気付いたようだ
「なら…なんて入れようかしら…。…そうだ!!わたしの名前を入れてみよ!!」
その空欄に「博麗霊夢」と、拙いキーボード捌きで打ち込む
「そして、クリック!…と、何が出るかしら?」
すると、何万という「博麗霊夢」の文字が画面にならんだ
「えっ…何これ?…どういう事なの?」
訳が分からぬ内に霊夢は「博麗霊夢画像館」という文字列をクリックしてしまった
すると、じわり…じわりと、自分のあられもない姿が画面いっぱいに―
「な、なにこれ…いや、いやぁあッ!!!!」
その時、初めて自分の生活が誰かに見られている事に戦慄した。
慌てて箱のボタンを押す。しかし、何も変わらない
顔を青ざめながら、何度もボタンを叩く。しかし、なにも変化を起こさない
「やめて…やめてよ…いやぁ…もう嫌ァあッ!!」
目から涙をこぼしながら、霊夢は箱のボタンを押し込んだ
すると、画面がいきなり消え、箱は動きを止めた
霊夢は慌てて箱を押し入れに突っ込み、そのまま布団に入ると、眠れぬ一夜を過ごした
その後、にとりにその旨の話しをして、幻想郷の笑い者にされたのは別の話である
<了>
いいぞみんなその調子でガンガン書いちゃいな!!
お題:風呂
134
:
愛欲が尽きない程度の能力
:2010/02/02(火) 20:53:50 ID:N8/s8DQM0
お題の仕事!
「……はぁ」
私――四季映姫・ヤマザナドゥはため息を吐きました。
資料を見ます。まだこんなに、彼岸に残る死に人がいるのですね。
まぁ、もうすぐ今日の分は終わり。
これが終わったら小町を見に行こう、と決めます。
カーン、カーン。
鐘が鳴ると、どっと幽霊達が自分の前に並びました。
一人目の幽霊を見て、それから浄玻璃の鏡を見ます。
罪が手に取ってわかります。
この男は万引きをしたことがあり、他は反省していて何もしていない。
悔悟棒に罪を書きつけます。
少し重かったですが、これはまだ無罪。
「無罪。反省はとても良いことです」
幽霊はほっと溜息をついたように見えます。
その幽霊にぽんぽんと悔悟の棒を叩きつけました。
二人目は殺人を犯し、その末に自殺したと言う者。
これは考えるまでもありません。有罪です。
悔悟の棒に、罪状を書く。……ずっしりと重たかった。当たり前です。
「有罪。人の命がどれだけ大切か知りなさい」
ばしばしとさっきより乱暴に叩きます。
その後は、特に問題もなく続きました。
普段通りに続いて、終わりました。
「本日は、これで終わりです」
死神が呼びかけます。幽霊の数は大分減りました。
さて、小町を見に行くか。
三途の川。
一つ、彼岸にずっととめてある船がありました。
赤い髪で二つ縛りの女性――小町。
予想通り、その死神は運ぶのが仕事だと言うのにぐーすか寝てやがりました。
さて、これでは私が怒るのも仕方ありません。
なんでずっと説教しているのに、懲りないんでしょうか。
「小町〜……」
たっぷり迫力と威厳を込めて、小町の耳に言ってやります。
小町は眠たそうに目を開けて、閉じようとして―――
跳ね起きました。
「し、四季様……ご、ごめんなさい!も、もうノルマ達成したからいいかなって……」
「は?」
あれ、今何て言いました?
あの小町がノルマ達成……?
あのいっつもぐーすか寝て仕事サボってやがる小町が?
「すみません、その言い訳、理由がありえなすぎます」
「あ、いや、嘘じゃないです……」
嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ。
あの小町がノルマ達成……?
135
:
愛欲が尽きない程度の能力
:2010/02/02(火) 20:55:33 ID:N8/s8DQM0
三途の川の向こうに目を移す。
ほとんど幽霊はいなかった。
「……小町、とりあえず……おめでとうございます」
心が混乱している。もう駄目だ。
「あ、ありがとうございますっ。あの、夜屋台に行きませんか?もちろん奢らせてもらいますので」
おかしい。小町がおかしい。どうしよう。何かの病気か?
仕事をする小町?おかしすぎる。怪しすぎる。
何かの陰謀じゃないのか?
駄目だ何も考えられない。
「あ、あの四季様……?」
「ははいィッ!もッもちろん行きますッ!」
とりあえず違う死神に相談してこよう。
そして私と同じく混乱に陥れてやろう。
「ちょちょっと待っててくださいッ!
しッ仕事が終わってないので、あぁ資料整理に行くのでぇッ!!」
慌てすぎだ落ちつけ自分。整数を数えるんだ。
私は小町と逆の方向へ走りだした。
……ここどこだろう。
いつの間にか真っ白な世界に来てしまった。
そして私はふらっと倒れて……
ばっ。
「……!!?」
酷い夢だ。
そうか、仕事が終わった後仮眠をとったんだっけ。
本当に酷い夢だ、私をあそこまで混乱させるなんて。
がちゃ。
―――あれ、小町?
136
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/03(水) 04:15:01 ID:8tvVTYlY0
>>91
ファーストフード 地霊殿キャラ
旧都はかつて灼熱地獄として機能していたが、地獄の区画整理により廃獄となった地である。
そこを地上から追放された鬼や妖怪が治め、都市として栄えているのだ。
旧都は碁盤目のように整理され、中央には都民の生活の要である大通りがある。
ここは昔ながらの商店街で、いくつもの店が軒を連ねている。洛中と洛外を問わず、いつも買い物客で賑わっている。
そんな大通りを2人の少女が雑踏に交じって闊歩していた。
ひとりは地味な色合いのずんぐりとした服を着た少女。名前は黒谷ヤマメ。土蜘蛛の妖怪だ。
もうひとりは大きめな桶にすっぽりと収まり、ちょこんと顔を覗かせて浮遊する少女。名前はキスメ。釣瓶落としの妖怪だ。
2人は洛外に棲む妖怪で、よくこうして連れ合って買い物や遊びに来ているのだ。
「なあヤマメ、そろそろお腹すかへんか?」
桶からパンパンに膨らんだ買い物籠を吊るしたキスメが、思い出したようにヤマメに話しかけた。
時刻は間もなく正午である。地底であるため常夜灯が点っている旧都でも、あっちこっちから香ばしい匂いが漂っていた。
大通りには牛丼やラーメン・八目鰻など外食の店もあるが、どこも順番待ちをしているほど混雑している。
「う〜ん、どこもこんでるなぁ…家で食べたほうがいいよ」
ヤマメも空腹だったが、ゴタゴタした店内に入ってまで食事を摂りたいとは思えなかった。
「ほな、うちがオススメな店しっとるさかい、そこに行かへんか?」
ヤマメの答えを予想していたのか、キスメは間を置かずヤマメに提案した。
よほど自信があるらしく、小リスのようなくりっとしたキスメの瞳がきらきらと輝いている。
「じゃあ、キスメに任せるよ…」
「おぉ〜し! じゃあ案内するわぁ!」
ヤマメが静かに肯くと、ヤマメは嬉々とした表情で浮遊しながらくるくるっと回転した。
無邪気に笑うキスメの頭のおさげが稲穂のように揺れている。そんな友人の姿に、ヤマメもまたクスッと笑みを洩らした。
137
:
136
:2010/02/03(水) 04:15:54 ID:8tvVTYlY0
キスメに先導されてやってきたのは、大通りから路地裏にはいった小路であった。
華やかな表の通りとは裏腹に、錆びれた雰囲気が漂う薄暗い路地である。
そんな路地の一角に、「立ち食いそば」と書かれた暖簾を掲げる店が小じんまりと建っていた。
御世辞にも綺麗な外観ではなく、入口の戸は建てつけが悪いのかガタガタ軋んでいる。
暖簾も色褪せて、元々は臙脂色だった布が薄茶色にまで変化していた。苔むした信楽焼のタヌキが哀しげな瞳で見つめている。
「………こ、ココ…なの?」
感染症を操る土蜘蛛のヤマメも、この寂れ具合には驚嘆の表情を隠せないでいた。
だがそんな友人とは対照的に、キスメは嬉しげな表情を崩さず誇らしげに店を見上げている。
「せや! まあ、確かに外見はオンボロやけど、味は一級品や!」
「いや……今にも傾きそうなんだけど…?」
「まあまあ、細かいことはええから実際に食べてみればわかるさかい…ごめ〜ん」
ガララッ!
渋るヤマメの手を引いて、キスメは壊れそうな戸を開けて店内へと入っていった。
「へい、らっしゃい!」
キスメたちが入って来たのと同時に、カウンターの奥から威勢のいい男の野太い声が飛んできた。
手狭な店内は入ってすぐがカウンターで、キスメたちの他に大柄な鬼が蕎麦をすすっていた。
店内は意外と清潔に保たれ、天井の梁には御品書きの短冊が陳列されている。
「おっちゃん、エビ天そば大盛り1つ。ヤマメは?」
「えっ? ああ…」
カウンターに肘を置いてさっさと注文したキスメに、手早く出されたお茶に口をつけていたヤマメはすぐに対応できなかった。
「じゃあ、きつねそば卵つき…」
「あいよ! エビ天大盛りにきつね卵つきね!!」
138
:
136
:2010/02/03(水) 04:16:56 ID:8tvVTYlY0
無精ひげを生やし頭を剃髪した大柄の男は、注文を聞くやいなや手慣れた動作で器を準備する。
同時にあらかじめ一食分に丸められた蕎麦を手早く釜のザルに入れ、茹で上がる間にツユと具材の準備が完了していた。
チャッチャと小気味の良い湯切りの音が響き、熱々なツユが満たされた丼にそば・具が入り、ネギが添えられて完成だ。
「へいおまち! エビ天大盛りにきつね卵つきね!!」
実に数分のうちで2人の前にそばが出された。白い湯気に乗って、ツユの旨味とそばの香ばしさが鼻をくすぐる。
「むふふぅ〜、きたきた。いただきま〜す!」
キスメは箸立てから割り箸を抜き取ると、歯で押さえて割った。七味をひとふりかけてそばを口に運んだ。
そばをすする豪快な音が店に響く。ヤマメも美味しそうに麺をすするキスメに倣ってそばを食することにした。
だが、ヤマメは普段自分が食べているかけそばとツユが違うことを発見した。ここのツユは澄んだ琥珀色で、丼の底が見えるほど薄い。
「あれ? ここって西の…」
「ちゅるる…せや、旧都のそばは東の味ばっかやろ? そばで西の味で商ってるんはこの店だけなんやで!」
「へぇ〜そうなんだ…」
感心しつつヤマメは初体験となる西のそばを口に運んだ。あっさりとした薄口醤油とダシに合わさってそばの風味が口に広がる。
旧都では西の出身はほとんどうどんを好むため、そばを好む東の出身と住み分けが成されているのだ。
「あらっ、美味しい…」
「そやろ! だからうちのオススメゆうたやんか!」
「はっはっは! キスメちゃんは週に2回は来てくれるからね。おっちゃんも嬉しいよ!」
腕を組んで店の親父が豪快に笑った。それにつられて2人の少女も愉快そうに笑い合う。
ガラッ
「おーい親父ぃ、いつもの一杯…ってあれ?」
その時のっそりと店に入ってきたのは、背の高く額に一本の角を生やした鬼の娘と、翡翠色の瞳をして耳が尖った少女だった。
鬼の娘が星熊勇儀、翡翠色の瞳の少女が水橋パルスィ。ともに旧都でキスメやヤマメの知り合いだ。
「勇儀とパルスィ…2人も常連なの?」
「いや、常連は私だけさ。今日はヤマメと一緒かキスメ?」
「ああ勇儀、自分かてパルスィを連れて来るの初めてとちゃうん?」
「まぁ…美味しそうなおそばを食べちゃって、妬ましいわ……」
「はっはっは! こりゃ忙しくなったわい!」
少女4人と親父1人の姦しい声が店に活気をもたらす。
人気の外食も良いけれど、たまにはこうした隠れ家的な店を魅力的だ。
賑やかにカウンターで肩を並べて談笑する友人らを横目に見つつそばをすすりながら、ヤマメは幸せそうに微笑んだのだった。
―――完―――
139
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/03(水) 22:31:35 ID:jIb5qzbAO
SSが増えてきて嬉しい俺ナッシュ
お題を出すよ
お題:酒
140
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/04(木) 05:10:09 ID:uisFWK8I0
>>100
『仕事』 花映塚キャラ
ルーキー・小野塚小町の一日
是非曲直庁から1里半ほど離れた木造アパート『一刻館』
下級官吏の住まうこのアパートの住人が、本日の主人公である。
午前6:20 起床
カーテンの隙間から差し込む朝日で目が覚めた。
底冷えする空気に布団から出たくなくなるが、毛布を羽織って起きる。
お湯を沸かしながら布団を片付け、寝ぐせであっちこっち撥ねた髪を櫛で整える。
午前6:40 朝食
献立は、ご飯・ナメコの味噌汁・鮭の塩焼き・味付け海苔・納豆
ご飯は2合を平らげ、食後は洗い桶に食器をつっこむ。帰ってから洗おう。
冬は洗い物が辛い季節だ。熱いお茶を飲みながら新聞に目を通す。
午前7:15 出勤
洗面台のない間取りなので、台所の流しで洗顔する。
いつもの仕事服に着替え、髪を整えて鞄に荷物を入れると下駄を引っかけて出勤。
清々しく晴れ渡った空が青い。山鳩が呑気に鳴いていた。
午前7:30 バス停
アパートから徒歩十数分のバス停に到着。スーツ姿の男性死神が数人居た。
後輩の死神と挨拶を交わしながらバスに乗り込む。相変わらずボロいバスだ。
通勤の道のりすべて居眠りしていた。寝不足だろうか?
午前8:20 登庁
三途の川管理局運輸課の窓口でタイムカードを押す。
ロッカールームで同僚の死神と談話。また胸が大きくなったと話していた。
そしたら友人の順子に「嫌味かぁー!」と胸を揉まれた。何故?
午前9:00 朝礼
局長や課長の訓示を受け、担当の裁判官の執務室へ向かう。
同期で書記官の紀野くんと一緒に四季さまの訓示を受けた。
これだけで一時間を費やすのは正直きつい。新人のあたしには堪える。
午前10:00 午前の業務開始
寿命統計局からリストを受け取り、運ぶ魂の数を確認。今日は5人だった。
第3埠頭に係留してある相棒の点検を済ませ、此岸へ出発。そよ風が心地よい。
このまま昼寝でもしたい心地よさだったが、それは公僕として出来ない。
午後0:05 午前の業務終了
午前中は2人の魂を送致した。あたしの担当は幻想郷だが、2人は外来の人間らしかった。
再思の道で妖怪に襲われた人間は骨が折れる。運賃も少ないし測量課の奴らも良い顔をしない。
まあ、彼らの裁決は四季さまの管轄だし、あたしが無闇に知る必要などないのだけれど。
午後0:20 昼食
庁舎の食堂で四季さまと一緒に昼食を摂ることになった。ちょっと緊張した。
あたしが味噌サバ定食なのに、映姫さまがBランチ。しかもデザートの果物つきだ。
新米のあたしには手の届かないBランチ。もう少しきちんと働こうかなぁ。
午後1:00 午後の業務開始
チャイムに急かされて持ち場に戻る途中、同僚から臨時の搬送を頼まれた。大規模な災害があったらしい。
あたしの担当する残り3人はみんな老死。時間的余裕もあったので快く引き受ける。
3人を手早く送致して、同僚の待つ第834埠頭へ向かった。
午後3:20 臨時業務
現場に着くと、既に多くの死神が魂を送致していた。
事務官や書記官も魂の整理に追われている。あたしも十人以上は送致した。
どうやら十王会議も開催されるらしい。今日は忙しない一日だ。
午後5:15 午後の業務終了
報告書作成の残務処理を終え、本日の仕事はこれで終わった。
ロッカールームでだべっていると、同僚たちと飲みに行くことになった。
順子に「このおっぱいがぁ〜!!」とまた胸を揉まれた。何なんだろう一体?
午後5:30 退庁
貸与されている大鎌をロッカーに仕舞い、鞄を手に庁舎を後にする。
薄闇の中、四季さまの執務室には煌々と灯りが点っていた。
裁判官や資料室の死神は遅くまで残業らしい。お疲れ様です。
午後9:40 帰宅
順子にからまれグデグデになって家に帰る。後輩の男子死神が送ると言いだしたが、何となく断った。
独り身で寂しいのは、「ただいま」と言っても「お帰り」と言って迎えてくれるひとがいないことだろう。
朝の冷や飯と味噌汁を温め直して、さらさらと流し込むように食べると風呂入って寝る。
午後10:30 就寝
読みかけの恋愛小説を布団の中で読む。電気スタンドの明りが淡くぼやける。
あたしもこんな恋をしたいと思いつつ、職場では中々いい出逢いがない。
ウトウトとまどろみ、意識が沈む。一瞬だけ四季さまの顔が浮かんだが、すぐ眠りに落ちていった。
明日もまた、四季さまの下で働ける良い一日でありますように… ――― 終 ―――
141
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/04(木) 05:15:11 ID:uisFWK8I0
お題は既に出ていたようですが、せっかく書いたので投下。
ニュアンスとしては新米死神だった頃の小町の日記という感じで。
142
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/04(木) 22:07:54 ID:Nx3JEZHQO
>>140
その発想はなかった
楽しませてもらったよ
キャラ指定してみよう
キャラ・ゆうかりん
143
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/07(日) 04:56:03 ID:WzVdnfuA0
未消化のお題。数字はスレ番。
115『象』キャラ指定なし
133『風呂』 同上
139『酒』 同上
142 お題なし ゆかりん
142は他のお題と組み合わせ可。
144
:
143
:2010/02/07(日) 04:59:13 ID:WzVdnfuA0
連投スマン。142はゆうかりんだった orz
お詫びとしてお題をひとつあげとく。
『梅の花』 八雲一家(紫・藍・橙)3人すべて
145
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/07(日) 14:38:35 ID:UN5WgPos0
お詫びならお題を消化してけー
146
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/07(日) 23:09:26 ID:Jww6QdWQ0
お題「時計が遅れていた」
147
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/08(月) 01:27:21 ID:SXN4f0Wg0
>>133
,139
髪留めを外し、髪飾りも外す。
身にまとった衣装も脱ぎ捨て、生まれたままの姿へ戻る。
今の私は風祝でもなく、2柱の加護を受けた身でもない。
ただの人間、東風谷早苗なのだ。
「なぁーんて考えてみちゃったりもして」
そうひとりごち、湯船に入浴剤を落とす。
今日はローズヒップ。この前里に降りた時に風見さんから分けてもらった物だ。
外から持ち込んだものもまだ残っているが、これを使ってからはそちらとはとんと御無沙汰だ。
やはり天然モノは違う、と言う事だろう。
湯船へ浸かり、両手両足をグッ、と伸ばす。
パキポキと小気味いい音が鳴り響く。
結構疲れ溜まってたんだなぁ。
浸かりながら窓から空を覗く。
この窓はかなり大きく作られており、月や星まで見ることができるウチの自慢のお風呂である。
月を見ながらボンヤリしてると不意に飲みたくなった。
そういえば飲みかけがあったなぁと思いだし、脱衣所にある冷蔵庫からお酒を取り出す。
お盆にとっくりとおちょこを浮かべ、お酒を飲む。
傍から見たらオッサンそのものだが気にしない。幻想郷では常識に囚われてはいけないのです。
コク、コク、と無理のない用に飲む。前に同じ事をしてやらかしているのでその辺のさじ加減は間違えることはない。
ほう、と一息つくと体中になんとも言えない感じが広がる。
静寂が世界を支配する。
聞こえるのは、自分のお酒を飲む喉の音のみ。
「やっぱり、こっちに来て、良かったなぁ」
外では絶対に見られなかった満天の星空。澄み切った空気。
失ったものも多かったが、それ以上に多くのものを手に入れた。
これからもっと多くの物を手に入れていくのだろう。それは確信にも似た予感だった。
そんな事を想っているうちにだんだんと頭がボンヤリしてくる。
いけない、少し飲み過ぎたようだ。
やはり星見酒は楽しいが、酔いが回るのも早い。
急いで上がらなければ、そう思い、湯船から出た所で世界が回る。
「あははー、これは明日の朝まーた怒られちゃいますねぇ」
そんな事を呟きつつ、私は幸せの中へと落ちていくのだった。
―了―
お風呂を題材に書いたら何故かお酒がついてきた。
何を言っているかわからねー(ry
お題:おでん
148
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/08(月) 07:22:22 ID:IZw7YRGAO
「西のとある国には象という巨大な生き物がいるらしいわ」
レミリアは書籍の一部分を指しながらノーリッジの娘に言った
「へぇ…それは何かしら?」
「この本に曰く、長い鼻を持つ、アネッタイイキに住む巨大な生き物だと書いてあるわ」
「アネッタイイキ?」
「図書館ではアネッタイイキわからなかったわ」
「では、そのアネッタイイキという土地に摩訶不思議な生き物がいるわけね」
「私、そのアネッタイイキという場所に行きたいわ!その摩訶不思議な生き物を見てみたい!」
「なら咲夜にでも探す様に命じてみたら?」
よく分からぬ物に興味をすぐ持ち、すぐ飽きてしまうレミリアにとって、部下にそれをやらせる姿はよくある光景であった
「レミィ。貴女、少しは興味を持った事に集中する事を覚えなさいな。一々任せっきりでは咲夜も疲れてしまうわよ」
「そうね。パチェの言う通りだわ。今回の事はしっかりやってみようかしら」
その日からというもの、普段は退屈しのぎに図書館を訪れるくらいだったレミリアが、図書館にこもり、かじりつく様に書籍を読み漁り始めた
そして見つかった事をパチュリーに報告して自室に戻るのだが、普段とは違う館主に周りが驚きを隠せなかった
飽きっぽいお嬢様があそこまで熱心にするなんて珍しい
とは、司書の言葉だが、それだけ大きな変化であった
最初こそつっけんどんに返していたパチュリーも、いつしか象に関する本を読み漁り、友人とその姿を思い描くまでになっていた
「アネッタイイキでもインドという国では神様らしいわ」
「何かしらの神威的象徴なわけね」
「そうみたい。でもなんで神様として扱われているかはわからなかったわ」
「そこまで出来たら上出来よレミィ。うちに象に関する資料がそんなにあるわけじゃないんだから」
「最後には手伝ってくれて、ありがとう」
「いいえ、こういうのも中々楽しいわ」
「また明日来るわ。次こそ決定的なものを見つけてやるわ」
「そうね。また、おやすみなさい」
レミリアが図書館を出ると、パチュリーは成長している友人の姿に笑みを浮かべ、そして友人が変わる姿を見て喜ぶ自分もまた変化している事に、静かに笑った
一方その頃、
「アネッタイイキとは…ど…どこ…」
その言葉と共に、咲夜は見知らぬ野原に伏した
咲夜の行方は、誰も知らない
なんかgdgdだけど仕方ないね
お題:お笑い
149
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/09(火) 04:43:25 ID:4Nyonx6s0
>>148
「秋姉妹、漫才をするの段」
♪BGM 人恋し神様♪
『はいどうもー』
「静葉です」「穣子です」
『二人合わせて 秋姉妹でーす』
ぺちぺちと、まばらな拍手が二人を迎える。
吹き込むスキマ風も冷たい二月某日。深々と雪が降り続く中、守矢神社の祈祷所は仮設の宴会場となっていた。
観客はみな妖怪連中である。雪に埋もれてヒマをもてあましたところに、神社での演芸会の噂を聞きつけて集まってきたのだ。前座としてにとりの実演販売、特別ゲストの咲夜の手品と、二人続けての大ウケで場が暖まった。そして、いよいよ今日の真打ちとして秋姉妹が登場したのであった。
「ま、私達秋の神様ですけど−。お姉ちゃんといっしょに、飽きのこない漫才をやっていきたいとおもうんですよー」
「穣子、秋が来なかったら私達出番がないよ!」
「まーそうかもしれませんけど、やはりコント漫才全盛じゃないですかー。今のお笑いはー」
「あー。最初にシチュエーションをちょっと言って、あとは実質的にコントやっちゃうアレねー。本来邪道なんだけどウケやすいから仕方ないわねー」
「ま、所詮派手なものはすぐに飽きられる運命ですけどねー」
漫才の導入として、お笑いの現状批判から入るのはいかがなものか。これでは神様仲間としての同情から秋姉妹に場を提供した守矢神社も報われない。神奈子様のオンバシラもげんなりであるし、諏訪子様も冬眠に入られてしまう。
「穣子、そこまで言うからには、私達はしゃべりだけの古典的な漫才で行くって宣言よね?」
「えっ? 客に媚びる気満々ですよ私達」
「ウィンクするな!」
「安易な人気取りに躊躇しませんよ」
「肩を見せるな! 無い胸を寄せるな!」
「ソレはお姉ちゃんも人のことを言えない」
「うるさいよ!」
「モノで買収するのも常套手段ですよ」
「頭のブドウを客に配るな!」
客いじりにより多少リズムが出てきたようで、渋い顔をしていた連中も多少笑い始めた。
「はい、安易な客いじりですこし場が暖まったところで本番いきますか」
「漫才にメタな発言を導入するな!」
「ま、お姉ちゃんと私が秋以外に何をしているかなんですけどね」
「良く聞かれるんですよねー。実りの季節以外はなにをしてるのかって」
「今日は、そのお話をしていきたいと思います」
「うん。どんどんしていこうか」
「私は頭にブドウつけてるよね」
「つけてますねー」
「まずソレを外します」
「うんうん」
「黒を基調とした服を着ます」
「……う、うん?」
「頭に赤いリボンをつけます」
「つけちゃうの?」
「両手を広げて『そーなのかー!』」
「ルーミア!? ルーミアでしょそれは!?」
「秋以外は世を忍ぶ仮の姿なんですよねー」
「仮の姿じゃなくて別人!別人だから!」
人類は十進法を採用しました、のポーズをする穣子。
150
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/09(火) 04:45:05 ID:4Nyonx6s0
「お姉ちゃんはまた違うことやってるよね」
「まあ、ルーミアはやらないですね」
「お姉ちゃんはあたまにモミジつけてるよね」
「つけてますねー」
「まずソレを外します」
「なんかどっかで聞いたセリフだなー」
「青と白を基調とした服を着ます」
「普段赤系統だから、それもいいかも」
「頭にヘッドバンドをつけます」
「つけないと思うけど」
「糸でー」
「あー。見えてきた。見えてきた」
「悪人を吊り上げる仕事人になります!」
「アリスじゃないの!? 人形じゃないの!?」
「仕事人に決まってるよー。やだなぁお姉ちゃん」
♪ぱーらっぱー ぱーらら〜 ぱらららら〜
演奏担当で呼ばれていたメルランが、トランペットで西部劇の劇伴を吹く。
ここまではうまく客の意表を突けている。秋姉妹は手応えをつかみつつあった。
「ま、本当のことを言いますけどね」
「穣子。最初から言おう。真実を語ろう」
「明日はヒノキの木になろう!」
「誰が妖怪の山のアスナロ姉妹か! マイナー街道驀進中か! 好きこのんで濡れ落ち葉やってるんじゃないわぁぁああ……うぇぇぇ……」
「すみません皆さん。お姉ちゃんときどきこういう病気が……」
「も、もうイヤ……モミジがなかったら誰かわからないって言われるのはもうイヤ……。えっぐえっぐ」
リズムだけでボケた穣子の一言から、静葉の突然のキレ芸。コレが今日の漫才の山場になるはずであった。……が、妖怪連中への受けは今ひとつである。
ネタが滑った悲しさも相まって、演技とは思えないほどしゃくり上げて泣く静葉。その背中をさすりながら、穣子がなぐさめる。
「お姉ちゃん、もうちょっとだから。頑張って漫才終わろう?」
「……そうだね穣子。漫才やらなきゃね」
「でね? 私、お姉ちゃんに一つ隠してたことがあるの」
「……なに? 穣子」
「あのね、今まで言ってきたこと、全部嘘だったの」
「ようやく嘘だって認めたのね」
スイッチを切り替えてツッコみを再開する静葉。まなじりにはまだ涙が浮かんでいる。
「ルーミアとか仕事人とか、嘘八百だったの」
「謝ればいいのよ。穣子」
「でも、まだ一万分の一なの」
「……いや、意味が良くわからないわよ。穣子」
両手を広げて満面の笑顔の穣子が叫ぶ。
「私の嘘を全部言ったら、神だけに嘘八百万! 神だけに!」
「いい加減にしなさい」
『ありがとうございましたー』
古典に徹すると宣言しながら、今風の客いじりやキレ芸を使う日和見な構成は一貫性に欠ける。もっとも、ソレが秋姉妹らしいと言ってしまえばそこまでであるが。
それなりの拍手と五つ六つのおひねりを受け取りつつ、秋姉妹はごく平凡な漫才を終えたのであった。【終】
お題:箱。
151
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/10(水) 02:25:51 ID:inJHavoY0
秋姉妹が不憫すぎる…
152
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/10(水) 03:39:51 ID:IAj0k8wIO
でも秋姉妹は…でも秋姉妹は!!…いや、やめよう…
『梅の花落ちる頃』
白梅と落ちる雪は古来から春における美しい物の一つとしてよく伝えられる
美しい物を見ながら酒と歌を
といつも講じている八雲紫もその例に計らい、よく白梅の下で酒を飲み、歌を詠じた
それに式の藍も付き添い、白玉楼の主達とよく歌を詠みあったのも今は昔のとなむありけりであった
しかし、あくる年に藍がその式神を連れてその宴に交じった
藍が連れてきた式は目を輝かせながら、酒を煽る賢人達を興味津々に見回した
古来の宴に歌と酒は欠かせぬ。賢人は呑み、呑まれ、まずは幻想の己を受け入れ、支配し、酒と共に呑み込むのだ
「さて、今年はこそなれば、梅花と白雪の優を決めようではないか」
酒宴も終わりに近づいた頃、西行寺幽々子が声をあげた
すると、先程まで酒を煽いあった賢人達がゆっくりと声主の方に身体を向けた
「さてさて、今年はどちらを優とするか、とくと決めよとく決めよ」
幽々子が囃し立てると、まずは八雲の主が一つ歌を詠み始めた
「鶯の 泊まる場の無き 雪の日は
如何こそあれ 侘しきに
鳴ける鶯 留めれる
梅の咲ける日 美しきなり」
こう詠めば八雲藍は返す様に
「梅の花 散りて消える日 煩わし
人の心の のどけきを
掴み離さず 共に落つ
されど白雪 落ちたとて
人の心は のどけからまし
故に落つ雪 美しきなり」
こう詠めば場にいた賢人達は歌を次々に詠みあい始めた
ほぼ全ての賢人達が歌を詠み終えた後、西行寺の娘は酒宴の終わりを伝えた
「さてさて、お互いの歌により、梅花と白雪の優つけがたし。そこで、皆の衆、今日の席に初めてこられた娘に優越をもらおうではないか」
その言葉を聞いて、皆が頷き始めた
その時橙は困り果ててしまった
主人の主人である八雲紫は梅花に優を定めたのに対し、主人の藍は白雪に優を決めた
これはどちらを持ち上げるべきか…
その困り果てた姿をみた紫が橙に近付きこう囁いた
「今は誰の式でもないのよ。貴女の思うままに、貴女を歌いなさい」
その姿をみた藍も
「そうだ。部下として私達を褒める歌を聞きたいわけではない。橙の意志から紡いだ歌を聞きたいのだ」
その言葉を聞いて、今まで自信のない顔が、きっ、と整い、その拙い口調で歌を紡いだ
「………… …こそわれは」
詠みきった時に拍手が舞い、二人の主から抱きしめられた
宴では、歌を読む者全てが主人なのだ
お題:日記
153
:
愛欲が尽きない程度の能力
:2010/02/10(水) 15:00:55 ID:MO0Yoesg0
お題の時計が遅れてたやってみることにした。
ゆかりんも消化ー。
さーて、長い長い眠りから覚めたわ。
まあ冬眠程長くはないけど、気分は最高ね。
今日の予定は……そうそう、霊夢と宝船の異変解決に行くんだったわ。
善は急げっていうけど、私はそんなことしないわね。
午後一時に待ち合わせ。元凶は多分妖怪だから、夜の方が出てきやすいと思うのよね。
今は……丁度十時ね。
藍に昼食を作ってもらいましょう。
「らんー。ご飯作ってー!」
「あぁ、もう出来てますよ。早くいらしてください」
さっすが私の式神!用意が良いわ。
「今いくー」
食事シーンはないわよ。
でも今日も美味しかったわ。
十二時になった。そろそろ支度しないと。
着替えて、と。
準備万端ね。
少し待って、一時になる。
らんー、出かけてくるわー、と声をかけてスキマを開ける。
もうすっかり見なれた、眼のたくさんある空間に入った。
待ち合わせ場所に照準を合わせて、そこの空間をこじ開ける。
「やっほー霊夢……あれ?」
広い、時計のある広場。
そこでいつも待ち合わせをしていて、霊夢は遅れたことがない。
仕方ないわね、待ってあげようかしら。
そう思いながら目のやり場に困り、ふと時計を見る。
二時。
……ん?
ごしごしと目を擦る。
そんなわけないわ。目にゴミでも入ったのかしら。
擦った後、また時計を見る。
変わらず二時。
おかしいわ。
これを繰り返すこと二十回。
さすがに目は赤くなり、目が痛い。
でも変わらない。ずっと二時。
あ、二時一分になった。どうでもいいわそんなこと。
私が、待ち合わせに遅れた。
だから、霊夢は一人で異変解決に行った?
「ああぁああぁあぁぁぁぁぁぁああああ……」
狂った声をあげて、段々と脱力していく。
スキマに入って私のお屋敷に瞬間ワープすると、私は力なくそこへ倒れこんだ。
154
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/11(木) 00:24:00 ID:RLVenfNw0
お題「道端で堂々と寝ころんでる小動物」
155
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/14(日) 03:18:58 ID:TPgLsRr.0
おでんで永遠亭
「そうか…もう一年…か…」
もう何億年という時を過ごしてきた輝夜は、夕焼けに染まる自室でひとり呟いた。
横になっていた体をはたと起こし、思いついたように台所へと向かう。
「永琳?」
「はい?」
台所では、いつも通り永琳が晩御飯を作ってくれていた。
どうやらもう今日の献立は決まっていたようで、蓋のされた鍋がことことと小気味良い音を立てている。
「今日の晩御飯ってもう決まった?」
「はい、一応決まっていますが?」
「…そうなんだ」
少し気落ちしているような、アンニュイな雰囲気を醸し出す。
こうすれば、永琳が気にしてくれることを予想して。
「何か食べたいものでも?」
「う…んとねぇ、おでんとかどう?」
素直にいえばいいものを、どうにも言いまわしてしまう。
永琳は私が何を頼んだとしても絶対に聞いてくれるとわかっているのに、小っ恥ずかしさが先行してしまう。
私の要求を聞いた永琳は一瞬思案顔になり、すぐに私の方へ向き直り、口を開く。
「…いいですよ。期待しててください。おいしいおでんをご馳走してあげます」
「…ありがとう」
永琳がちょっとの間考えたのは、多分おでんにするかどうかではなく、おでんにすることはすでに決定事項で、すでに作りかけてしまった本来の晩御飯をどう処理するかで悩んでいたのだろう。
本当にありがたいことなのだが、毎日あればそれは普通になり、やがてはありがたみなど微塵もなくなってしまう。
去年の、ちょうど此の日。私は永琳の叱責に腹を立て、永遠亭を飛び出した。
飛び出した、といっても他に行くあてもない私はすぐに戻ったのだが。
その時も永琳はいつもと変わらぬ柔らかな物腰で私を迎え入れてくれた。
そんなこともあったと思い出すたび、つくづく永琳には頭があがらないことを自覚する。
「ただいま帰りましたー」
「たっだいまー」
ガラガラと開き戸を滑らせながら2羽の兎が姿を現した。
「おかえりなさい。ご飯もうちょっとかかるから遊んでていいわよ」
「そんな、お手伝いしますよ」
「えー、いいじゃん遊んでていいって言ってんだし」
途端ににぎやかになった台所から遠ざかりながら、また思い出す。
あの2人も、突然でていって情けなく戻ってきた私をいつもと変わらず出迎えてくれた。
いや、晩御飯を待たされた恨み事は言われたな。
思わず笑みがこぼれる。
「私は幸せなのだな」
「あれ? 師匠、今日はおでんになったんですか?」
「うん、そういう要望があったからね」
「はぁ。でもなんでおでんなんですかね?」
「さぁ、でも気まぐれではなさそうだったけど」
「私知ってるよ?」
156
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/14(日) 03:19:35 ID:TPgLsRr.0
厨房に立つ2人の雑談に、一際幼い声が混じる。
「なんでてゐが知ってるんだ?」
「永琳とうどんげが忘れてるだけだよ」
言われ、首をかしげる2人。しばらくしてはっとしたのは永琳だった。
「ああ、そういえば去年の今頃に輝夜がとびだしていっちゃったことがあったわね」
「その時の晩御飯がおでんだったってことですか?」
「そういうこと」
「でもなんで同じものを?」
なんとなく関連性は掴めたものの理解にはいたらない鈴仙。
「うどんげってほんとにそういうの鈍感だよねぇ」
「い、いいじゃない別に。敏感すぎたって疲れちゃうだけよ」
「ま、いいけど。それより私はおでんが楽しみだし」
「あら、あなたたちは別メニューよ」
「「え?」」
「いただきまーす」
その日の永遠亭の食卓はかなり変則的であった。
永琳と輝夜の前にはなんともおいしそうなおでんの入った鍋が置かれ、2羽の兎の前にはなぜか特大オムライスがどんと置かれていた。
「師匠。なぜ私たちだけオムライスなのでしょうか」
「納得いかねー」
「なぜって、炊いてしまったご飯の使い道よ」
「ごめんね兎共。私のせいでなんだか残飯処理みたいな役目をさせちゃって」
「残飯はいいすぎですよ輝夜」
「あ、ごめん永琳」
「『兎共』の方はスルーかよ」
「オムライスでも別にいいんですけどねぇ、おいしいですし」
「でも明らかに気合の入れ方が違うよなー」
「まあ確かにケチャップのかけ方はかなり粗雑な気がしますが…」
そこまでいって、2人は要約永琳の両手が目の前のオムライスに伸びていることに気づく。
「文句をいうんなら食べなくてもいいですよ?」
「すいませんでした。心していただきます」
強制的に下げられそうなオムライスをひしと捕まえる。晩御飯抜きはなんとしても避けたい。
横では隣の騒ぎをまるで意に介せず、丹精込められたおでんを無心に頬張る輝夜。
永遠亭ヒエラルキーの頂点に君臨する輝夜だからこそできる芸当である。
おもむろに、永琳が口を開く。
「今年は普通に食べられましたね。輝夜」
言われ、ぎくりとする輝夜。
「覚えてたの?」
「ええ、もちろん」
何かを言いたそうにしているてゐと、視線は輝夜にあるものの、無言の圧力でそれを抑える永琳。
鈴仙にいたってはもはや何を言う気も起きなかった。
「永琳。いつもありがとうね」
「どういたしまして」
「こういうの、なんか恥ずかしいね」
「そういうものですよ」
2人の穏やかな笑いが部屋に拡がってゆく。
心温まる感動ストーリー。そして、その横で繰り広げられる庇護をされるものとされぬものの醜い階級社会の縮図。
「てゐ、今回はまあ…あれ?」
報われないてゐをどうにか労わろうとした矢先、てゐのオムライスはすでになく、おまけにてゐの姿もなかった。
ふてくされてしまったのかと考えたが、そんなたまではないことをすぐに思い出し、さらに視界の端に移ったてゐの手の中には『からし』の文字が。
その後の惨劇は、最早全く、鈴仙の想像通りであった。
157
:
「日記」「箱」「風呂」
:2010/02/15(月) 18:54:03 ID:uva70cBU0
さとり様に、日記なるものを渡された。「貴方は少々物忘れのきらいがあるから、大事なことをここに書くと良いでしょう」だって。失礼しちゃう。
「物忘れなんかしませんよ!」
「まぁ、こうして私が貴方に日記を手渡すのは三度目な訳ですが……覚えてます?」
「何言ってるんですか、私日記なんてつけたことないです」
「うん、まぁ、気が向いたら書きなさい。できれば忘れる前に」
さとり様はため息をついて私に一冊のノートを渡してくれた。なんでため息?
とりあえずもらったから、何か書いてみよう。
「これはちょっとないわ」
えー。
「お空、自分でこれ何書いてるか判るのかい」
「んー?」
お燐はぺらぺらと日記の頁をめくった後、ずいと私に日記を押しつける。
「わかんないだろう。あたいも全然判らん。単語だけ並べられても理解できないさ。何ここ、『箱。さとりさまを入れる。せっけんみたいなの。まぜる。おふろみたい』。犯罪声明? 怖いんだけど」
「んー……」
昨日書いた内容だった。自分でも何が言いたいのかちょっと判らない。箱にさとり様を入れて、お酒も入れる。大きい箱を用意しなくちゃいけない。せっけんって何? とにかくそれを混ぜる。あわあわあわ。お風呂……あぁ、判った。
「じゃぶじゃぶ」
「へ?」
「服をさ、入れる、箱。昨日新しいの来たじゃん」
「もしかして……あぁ、洗濯機かい?」
「そう! それ」
昨日、地霊殿に新しい洗濯機がやってきた。じゃぶじゃぶね。洗うでしょう。
「さとり様を入れるって何事さね。あんた、さとり様に何したの」
「え? さとり様が、お洗濯してたじゃん」
「そういうときはね、お空。さとり様『を』入れるじゃなくて、さとり様『が』入れると書くんだよ。助詞が違うんだよ」
懇切やさしくお燐は言ってくれるけど、よく判らない。
「んー……?」
「まぁ、いいけど」
「日記、難しいね」
「だからこそさとり様は渡したんだと思うけど」
「あの箱、入ったら楽しいかなぁ。ぐるぐる、じゃぶじゃぶ。お風呂入らなくて済むよね」
「間違いなく眼が回るだろうね。あたいは遠慮しとくよ」
「お風呂嫌い、治した方がいいよ!」
「いや、うん……善処するよ」
* * *
「空。どうやら日記、続けているようですね」
「はい、ばっちしぴんぴんです」
「宜しい。私にも見せて頂けませんか」
「良いですよ! ……うーん?」
「どうしました」
「どこに閉まったか忘れた」
「まぁ、そんなことだろうと思ったんですがね」
158
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/19(金) 01:55:00 ID:EwfooidkO
今気づいたお題が全くない
せっかくだからガンガンお題書いて行こうぜ
お題1:映画
お題2:未来
お題3:遅く起きたバレンタイン
159
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/22(月) 19:03:22 ID:8Boh1c9E0
>>158
お題「映画」「未来」「遅く起きたバレンタイン」
----------------------------------------------
「おっそーい!」
「ごめんごめん」
「反省の色が無い」
「知ってた? 白は反省の色で、紫は怠惰の色」
「前者はともかく後者は何アピールなの?」
白い花の咲いた紫色ワンピースの裾を軽く指で摘み、
白い帽子の彼女は恋人に出会ったお姫様のように一回転して見せた。
「ご飯どうする? 時間ないけど」
「ポップコーンでいいわ。私、キャラメル味」
「おなか膨れない……」
「とうもろこしが膨れるくらいなのよ。私たちのお腹だって膨れるわ」
「植物と違って私たちには色んな栄養素が必要なのよ」
「栄養満点のオレンジジュースも買いましょ」
「偏食ね」
「ヘンショク? 何語?」
黒い影の落ちる街路を、二人は食べ物の名前を並べながら歩いた。
黒い帽子の彼女は空を見上げた。映画の時間は迫っていた。
「バレンタインって知ってる?」
「人の名前かしら」
「大昔のイベントよ。女が男にチョコレートを渡すの」
「へえ。何でまた」
「さあ。栄養素かしら」
「栄養は重要よ」
「そうね。ポップコーンとオレンジジュースね」
映画館は空いていた。完全に貸し切りだった。
上映中の映画は一つだけで、バレンタインに関するオムニバス映画。
二人はキャラメル味のポップコーンとオレンジジュース、
それと聞いた事のないポテトチップスの出来損ないのようなお菓子を購入し、
映画の前半でそれらをむさぼり食った。
「わかんないわね」
「そうね」
映画の意味はいまいち分からなかった。
「私たちがあの時代に生きていたら、あんなのでも感動できたのかしら」
「逆に考えましょ。普通、未来人に見せることを意識して映画を作るかしら?」
「作らないんじゃない?」
「そうよね。だから面白くなくても仕方ないと思うの」
「自分への言い訳ってやつね」
「解説ありがとう」
二人は来た道を戻っていた。
辺りに人通りは無く、空には星が瞬いていた。
「ね」
「なに?」
「来年のバレンタインにチョコを用意するってのはどうかしら」
「どうしてまた」
「私たちもバレンタインの気分を味わえば、あの映画が面白く感じるかも」
「なるほど。古くさい精神論ね」
「で、チョコで栄養補給しながら来年もあの映画を見るの」
分かれ道で立ち止まった。
街灯が弱々しい明かりで荒れたアスファルトを照らしていた。
「わかったわ。来年のバレンタインの日、チョコを用意すればいいのね」
「うん。今日と同じ場所で同じ時間に待ち合わせね。忘れないでよ?」
「カレンダーに登録しておくわ」
「早起きしてよ?」
「早起きするわ」
「ほんとに?」
「ほんとに」
「絶対よ?」
「絶対ね」
160
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/23(火) 21:17:35 ID:2KqPX7eUO
なんか書きたくなったので誰かお題を…お題をぉぉぉおおお…
161
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/23(火) 21:26:33 ID:f.r1m0wE0
>>142
のゆうかりん(お題なし)、
>>154
の「道端で堂々と寝ころんでる小動物」が未消化ですね
いくつか置いておきます
「スペカ研究/議論」「妖精の日常」「神隠し」「歌会」「おっぱい」
162
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/23(火) 22:26:14 ID:kGhFshpE0
遅い春の訪れた昼下がりの人里に彼女は居た。
大通りの脇に立つ大きな桜の木の下に座って、彼女は妖艶に笑っている。
不意にそのしなやかな肢体を見せ付けるかのように大きく伸びをする。まるで誘っているかのように……。
彼女は全裸であった。手の先から足の先まで何一つ身に纏う物は無い。
まるで西洋の彫像のようなその美しい肢体を、惜しげもなく陽光に曝していた。
彼女は不意に立ち上がる。
恥ずかしさなど微塵も感じさせない堂々とした態度で。
そして、彼女は大通りを歩き始めた。
大通りには誰も居なかった。
いや、今この一瞬人通りが絶えているだけで、すぐに誰かが通りかかり彼女を見つけるだろう。
全てを曝け出して歩く露出狂の彼女の姿を見た時、人はどうするだろう。悲鳴でも上げて逃げ出すか、
或いは顔を背けながら視線をチラチラと走らせるか、嫌悪を露にして陰口を叩くか、……欲望のままに物陰に連れ込むか。
すぐ先の路地から、立ち並ぶ家々から、店の奥から、出てきた人が彼女を見つけて彼女の肢体を視線で撫で付ける。
そして、泣き叫び、許しを請うも許されず、押し倒され、蹂躙される。
その想像が彼女の身体を震わせる。
平然とした表情とは裏腹に、ぞくぞくするような背徳感が全身を貫いている。
いつ人に見られるかも分からない、その興奮が快楽となって彼女の全身を満たす。
彼女の瞳が蠱惑的な色彩を帯びて揺らいだ。
見て。
この身体を見て。
このどうしようもない快楽に打ち震える身体を舐め回すように見て。
そして……そして……
メ チ ャ ク チ ャ に シ て ホ し い の
163
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/23(火) 22:30:09 ID:kGhFshpE0
そして人の視線を感じた。
ミられている。
振向くまでも無く、彼女はその事を悟った。
押し寄せる快感に負けて、彼女はもう歩いてなんかいられなかった。
倒れこむようにして堂々と道端へと転がり、両手を差し出すようにしてその視線の主を誘う。
ミて。そして、キて。
キ て ア タ イ を ジ ュ ウ リ ン し て。
そんな彼女を目の当りにして、若手大工の徳兵衛(24歳・男性・彼女居ない暦=年齢)は、ため息を一つ漏らした。
「こんな良い天気の日に黒猫を見るとは不吉だべさ」
タイトル「お燐の退屈な日常」 (お題「道端で堂々と寝ころんでる小動物」
>>154
) おわり。
お題「道端で堂々と寝ころんでる小動物」(
>>154
)を消化
出題のお題 「雪融け」
164
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/23(火) 22:39:20 ID:2KqPX7eUO
>>161
ちゃんと見てなかったよスマヌ…スマヌ…(AA略
>>154
刻も夕暮れに差し掛かると自室の窓から茜色の光が差し込んできた
夢美は息をつくと背もたれにかかり、手に持っていた論文をベッドに放り投げた
黄昏時というものはいつも人をアンニュイな気分にさせるものだ
特に夢美の場合、研究を重ねた異界の学説を鼻で笑われ、学会から半ば追放という形で出ていき、
それに伴う形で今までいた大学さえその居場所を失った彼女には夕暮れのそれは天敵であった
いつも苛立ちが収まらず、机を蹴るのだが、残るのは足の痛みと乱れた机上の論文であり、
その苛立ちが落ち着く頃には机に伏せてすすり泣き、泣き疲れた頃に机の上で眠る、そんな爛れた毎日を送っていた
その日もベッドに放り投げた論文に目をやり、怒りと焦りと虚無感に足を机に向けた
しかしその時、玄関を無遠慮に叩く独特に響く金属製の音と共に
「おーい。教授?いるかー?」
という聞き慣れた声が聞こえた
机を蹴りかけていた夢美はその足を玄関に向け、重い腰をあげた
玄関をあけると手に買い物袋をぶらさげたちゆりが白い歯を輝かせながら立っていた
「教授。元気してた?差し入れ持ってきたよ!!」
「……ありがと」
「元気無いなあ。いつもの教授らしくないよ」
ちゆりの跳ねた声が茜色の部屋に響く。それに対比するかの様に夢美の声は暗い
「そうそう!教授!ちょっと外に来てよ外!」
「…なによ一体」
「猫がいるんだよ猫!ほら来てきて!」
そう言われるとなすがままに夢美は外に出された
外に出ると道路の真ん中で、それこそ自分の寝床というように、寝そべっている猫がいた
「…どこにでもある光景じゃない」
夢美がちゆりを睨みながらそういうと苦笑いをしながらちゆりは口を開いた
「いや、教授みたいでさ」
「私があんなぐうたら猫みたいですって?」
「違うよ。あの堂々としたところがだよ」
「どういう事よ」
「だって教授って、いつも堂々として、どんな罵詈雑言もかかってこいって感じだったじゃない」
「…」
「あの猫みたいに、車が来ようがなんのその、堂々と学会にいたからさ。そういうところが、さ」
「そう…」
「元気だしなよ。教授。元気な教授が一番好きだぜ。私」
部屋に戻ると夢美はベッドに投げ捨てた論文を手に取り、また一から読み始めた
茜色の部屋が少しだけ明るくなった
<了>
旧作キャラでスマヌ…スマヌ…AA略
お題:「読み物」「靴」
165
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/23(火) 22:41:21 ID:2KqPX7eUO
かぶってしまった
これだから携帯厨は…スマヌ…(ry
166
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/23(火) 22:45:31 ID:kGhFshpE0
>>165
こっちもすまん
まぁ被っちゃいけない法は無いから無問題
…それだけの長文を携帯で書くなんてすげぇ
167
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/23(火) 22:51:41 ID:2KqPX7eUO
>>166
ありがてぇ…ありがてぇ…
これ以上はスレ汚しになるのでお題でも書いて一時退散
お題:「楽器」「秘宝」「香水」
168
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/27(土) 01:59:30 ID:zzPxIwKsO
>>161
これは我が編集部が苦労の据え録音したある議会の一部である
録音の内容を考察したのだが、理解に及ばなかったため、情報提供の為公開するものである
これを理解する事により、多少の議会内容が分かれば、少しだけ真実に近付けるの判断したためである
取材班の情報だと7人の少女達であったとの事である
尚、音声によるもののため、いささか人物がわからないのをお許しいただきたい
「これより第三十二回スペルカード会議を始めます。一同、礼」
「お願いします」
「へーい。おねがいしまぁーす」
「なんで私が一々でなきゃいけないわけ?」
「流石にいきなりそれはないでしょう?」
「おいおい、制定者がいきなりそんな台詞言うなよ」
「そうです。こうやって会議をするのも常日頃の弾幕やスペカに磨きをかけるためですから」
「一理はあるわ。でも、そんな事しても本来の力が無ければなんの意味もなさないのだけれどもね」
「そう邪険に扱ってはいけません。ただでさえアナタは何事も見下しがちで」
「議長、話が進んでおりません。ここは一度お堪え下さい」
「そ、そうですね」
「そうだぜ議長。ただでさえいつもお小言ばかりなんだから少しは気を抜きましょうや」
「貴方って人は!いつもは見逃していましたが今日という今日はもう許しませんよ!」
「あ、その、きゃん!すみません…はい…すみません」
「議長。…あれではもう止められないでしょうね…」
「まあ、あの二人はおいておこうぜ」
「議長があれでは仕方有りませんからね。中々いい光景ですが、話が進みませんし、勝手に始めましょう」
「銭にもならない上にこんな調子なら、もう帰っていい?」
「待って下さいよぉ。アナタまで帰られたら記事にならないじゃないですか」
「私も賛成よ。第一昔はこんなの使ってなかったんだから」
「まぁまぁ、抑えろって。それとも最強を名乗るお前が尻尾巻いて逃げるのかい?」
「昔からそうだったけど一言多いわね。そんなに痛い目に会いたいのかしら」
「おっ?やろうってのか?いや、やらいでか!外に出な」
「いいわよ。格の違いを教えてあげてよ」
「あやや、これは困った事になりました」
「議会にすらならないわね。帰るわ」
「私もお嬢様の起床の時間が迫っておりますので、失礼します」
「みなさん待って下さいよー。トホホ…」
以上が取材班の得た記録である
これに関してなにか分かる方が下記にご連絡いただきたい
<了>
お題:種
169
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/27(土) 02:03:52 ID:zzPxIwKsO
>>168
字数の関係上書きそびれたけど
>>161
の「スペカ研究/議論」を使わせていただきますた
お題:仕事場
170
:
名前が無い程度の能力
:2010/03/02(火) 02:21:13 ID:zoZbiwwQO
>>142
幽香が里に降りると汚い風貌の男が道端に露店を開いていた
齢六十位だろうか、浅黒い肌をした男は片手で持てる程の陶器を男の足元に置いている
「姉ちゃん、買わねえかい?」
その男は幽香を見かけるとそのしゃがれ声の先を向けた
「陶器なんかいらないわ。うちに置く場所なんてないし」
「違う違う。容器なだけで中身は茶葉だわ」
「茶葉?」
「これは南国から取り寄せた異国の茶葉だわい」
「どんな味がするのよ」
「それは煎れてからのお楽しみじゃい」
そういうと男はしゃがれた笑みを浮かべた
いつもなら気にも止めぬ幽香だが、その時に限って不思議な雰囲気を持つ茶葉が気になり
結局のところ、その茶葉を買ってしまった
「ありがとよ」
言い値にちょっと色をつけた金をしわくちゃの手に渡し、言い知れぬ高揚と共にその場を後にした
館に戻り、その茶葉を煎れると、確かにその色は緑ではなく、深い茶色であった
すると幽香は肩を落とし、紅茶か、と小さな声でつぶやいた
夢幻館には幽香自身が好むため、紅茶だけは多くを揃えており、
また本人も紅茶を栽培しているため、大して珍しいものではないのだ
幽香は肩を落としたまま、カップを自分の横にずらした
ふと横を見ると、あの陶器が夕日を浴びている
自分の心持ちと対照的な光景に幽香はため息をついた
すると扉をノックする音が部屋に響いた
「失礼します」
すると大きな鎌を持った女性が扉の向こうから現れた
「あら、エリー。どうしたの?」
「業務が終わったので遊びに来ただけです」
「あなたねぇ、仮にも上司と部下なのよ」
「友人関係に上司も部下もありませんわ」
にこやかなエリーと先程とは違った意味でため息をつく幽香は対照的であった
「あら、このお茶は?飲まないんですか?」
「なんでもないわ。よかったらいいわよ」
「いただきます。仕事が終わった後だから喉がかわいてたんですよ」
そういうとエリーはカップに口をつけた
「なんだか珍しい味ですね。紅茶でもないし」
「紅茶でもない?」
「紅茶にしては渋味がありますよ」
すると幽香はエリーのカップを取ると、そのまま口をつけた
紅茶とは違う、苦みのある独特の味が口に広がった
「…美味しいわ」
「えっ?今まで飲んでなかったんですか?」
エリーがそういうと幽香は顔を赤めらせ苦笑いをした
結局、そのお茶はというと、大変珍しいお茶として
また幽香にとって大変珍しい逸話も加えながら飲むという
<了>
171
:
名前が無い程度の能力
:2010/03/02(火) 02:25:48 ID:zoZbiwwQO
>>170
お題が書ききれなかったので適当に書いていきます
べ、別にこれから一つでも重複利用してもかまわないんだからね!
お題:「金がない」「スポーツ」「わぁい!(シリアス指定)」「喧嘩」
172
:
名前が無い程度の能力
:2010/03/02(火) 04:17:52 ID:phIaFN5wO
あ
173
:
名前が無い程度の能力
:2010/03/12(金) 01:11:41 ID:/U4ytxewO
む
174
:
名前が無い程度の能力
:2010/03/16(火) 18:57:25 ID:t1mH/OFw0
この流れなら書ける(?)
早苗@異文化コミュ (いまさら&重複だけど。。。)
微グロ注意
空からふわふわと、空飛ぶ円盤降りてきた
幻想郷で一番高い、お山のてっぺんに降りてきた
若者が出てきてこんにちわ
わたしたちは遠い星から来た旅人です
一夜の宿をお貸しください
それを聞いた風祝、ほほを染めて言いました
とおいお星のお客様
それでは宿を貸しましょう
今宵の食事も作りましょう
お客様を迎えての宴です
八坂様、洩矢様にもおいで願いましょう
さぁさ米を降らせましょう、奇跡の果物はいかがかな
芋焼酎に河童の九字刺し、鴉の手羽先、蛇の蒲焼、最後の締めは蒸し蛙
精を込めた料理です、遠慮なさらず召し上がれ
やぁやぁこれは豪勢な
このご恩は忘れませぬ
一夜かぎりの大宴会、夜を忘れて大騒ぎ
お客様は言いました
この星の文化を宙に伝えましょう
一夜の客に身を挺してのおもてなし、かほどの星はありませぬ
感謝の言の葉綴りつつ、空飛ぶ円盤は飛び去った
とおいお星のお客様、夏の終わりの物語
婿取りはずした風祝、しばらくふさいでおったとな
されど日がたち気がついた
これはどうしたことでしょう
秋が来ませぬ、錆が取れませぬ、新聞紙が足りませぬ
八坂様はいずこかな、洩矢様はお出かけか
だぁれもいないお山の中ほど、厄神様のみ回りけり
あれ?
175
:
名前が無い程度の能力
:2010/03/17(水) 18:41:30 ID:CbPGYDbsO
>>161
久々に消化『歌会』
秋静葉にとって秋とは特別な季節だ
確かに本人の活動する場であるからというのもあるが、それ以上に秋に並々ならぬ感情を抱いている
しかしその理由というものを彼女はあまり話したがらない
何分こっ恥ずかしくて言えない、といつもお茶を濁すものだから妹でさえ聞けた試しがないという
話せぬほど深き事情があるのか。何故それほど大切にしているのであろうか
ある夜、神々と宴を開くことになったので、よった勢いに任せて、と静葉に言い寄ってみた
最初は笑って答えなかった静葉であるが、酔いも深くなると、堅い口が開き始めた
「好きな人がいたのよ」
口から出てきたのは至極全うと言うべきか、どこにどもあるような返答であった
それはどんな男か?と聞き返してみると意外な返答が返ってきた
「男性じゃないわ。女性。歌読みの女性よ」
お前にはそういうケがあったか、とその答えを笑いながら言うと、苦笑しつつ
「そういう意味じゃないわよ。秋を愛してくれた女性がいたのよ」
静葉は神妙な面持ちで話し始めた
「その女性は、天皇に仕えて歌を詠む、いわゆる天皇の専属歌人だったの
そんな彼女は天皇の意志の代筆…というのかな。そういう事を主な仕事にしていたの
ちょうどその頃の私は、白梅が咲き誇る春を管理したくてね。秋を管理する仕事が嫌で仕方なかったのよ
だってただただ葉っぱが落ちていくだけの風景が嫌でね
春は色彩豊かな花が咲き誇って羨ましくて仕方がなかったのよ
そんな中彼女に出会ったの
彼女は美しくてね。彼女の老年に内乱が起きたんだけど
人々は「内乱の原因は彼女を欲しがる天皇と皇太子が争ったからだ」って言っちゃうくらい
そんなに美しい彼女が、ある歌会に参加した時よ
あの時の歌会は豪族が知識比べをするような場所でね。その知識比べはもっぱら漢詩なわけ
その時の題は「春と秋はどっちが美しいか」だったの。私はどうせ春だと思ってたのよ
その中で天皇のお抱えだった彼女に指名がきたわけ。しかも歌で今回の決着をつけろ、って
すると彼女は春を誉めあげながらも最後には秋を和歌で誉めてくれたの
才色兼備な女性が、よ。そこに驚いたの。それは彼女本人の心情から出たものでね
『理屈抜きに秋がいい』ってのを聞いたら、嬉しさと同時に秋をいやがってた自分が恥ずかしくてね
だから今は…。」
彼女はそういうと、にこりと笑い、また酒を煽り始めた
彼女の頬は先程より赤くなっていた
了
176
:
名前が無い程度の能力
:2010/03/17(水) 18:50:14 ID:ac4JmblU0
今は静かな竹林で 虫の声が聴こえる夜
双方から向かい合って近づく影が2つ
広い場所に出てその者たちは止まる
二人は殺気立っており、虫は近づかず
いや、近づけずと言ったほうが良いだろう
竹の葉が風でゆれる音以外は聴こえない
そしてしばらく経ち、片方が口をあける
「よう」
「こんばんは、ってあら、だれかと思えばホームレスの妹紅じゃないの」
「ホームレスって…あんたが戦うたんびに私の住み家を壊すからでしょう」
「あら、たまにはあなたの弾幕で焼け落ちたこともあるじゃない」
「…ほとんど自分がやったってことは認めるんだな。
だったら直すのをてつだって、っていっても素直に聞くようなやつじゃないな」
「わかってるじゃない、ならあなたは永遠亭でもねらってみたら?」
「そんなことはしない、あんたほど甲斐性なしじゃあないんでね」
「それじゃあストレス溜まってばっかじゃないの?」
誰のせいだよ、誰の
妹紅は、はぁ…とため息をつく
「それは、」
妹紅の手からごうっと黄金色の炎がきらめく
「輝夜、おまえを殺し、晴らす」
あらあら、そうくるのね。と
輝夜は、自分の周りに五つの難題を浮かべる
「それじゃあ妹紅、私といっしょに冥界への門をくぐりましょう?」
「ならわたしはおまえをいっきに極楽浄土までぶっ飛ばしてやるよ」
「わぁい! なんて、これは本音かしら、うそかしら」
「ふん、そんなこと言ってられるのもいまのうちだぞ」
「そうね、」
「それじゃあ」「それじゃあ」
「「はじめようか!」」
遠くのほうで爆発音が聞こえる
そんな永遠亭の縁側で八意 永琳がお茶をすすっている
「ふぅ…今日も何事もなく終わったわねー」
幻想郷は、今日も平和です
177
:
名前が無い程度の能力
:2010/03/17(水) 19:44:41 ID:ac4JmblU0
っと私は
>>176
ですが
今日初めて東方SSとゆうか、初めての創作物語は
緊張しながら書き込むボタンをクリックしましたよ
スレ違いかもしれませんがコメントしてくれたらうれしいです
スレ違いだと思ったら「スレ違ーよこのバカ」とでも罵って下さい
題消費:「わぁい!(シリアス指定)」「喧嘩」
残りのお題:「金がない」「スポーツ」「妖精の日常」「おっぱい」「仕事場」
「種」「楽器」「秘宝」「香水」「読み物」「靴」「雪融け」
「初めてのインターネット」「神隠し」「酒」「象」「時間」
かなり前のからもひっぱりだしてみた。…多いな
連投すまそ
178
:
名前が無い程度の能力
:2010/03/17(水) 20:01:21 ID:CbPGYDbsO
>>177
なら言っておかねばならないな
いいぞもっとやれ
179
:
名前が無い程度の能力
:2010/03/17(水) 20:32:05 ID:A1GQtRe60
紅魔館の門番がスキマ妖怪と手合わせした。
手応えがおかしい事に気付いた門番がスキマ妖怪に尋ねた。
「服の下に何を仕込んでるの?」
お題:おっぱい
<完>
正直スマンカッタ
180
:
名前が無い程度の能力
:2010/03/19(金) 20:36:25 ID:7gG22UeE0
>>178
ありがとう
実はもう一つ「秘宝」で作ってあったんだが
元ネタのアイテムの能力を勘違いして憶えてて話が壊れちまったんだorz
…もういいや、考えた話もったいないから
勘違いしていた能力を受け継いだアイテムを自分で作ろう
今日か明日中に書き込むよ
181
:
名前が無い程度の能力
:2010/03/21(日) 00:26:36 ID:Z6HzVCsM0
>>180
だが悪いちょっと遅れた、まあ待ってる人はいないと思うが
しかも長いんで分割
ここは里から離れた、外の世界から忘れられたや使い方がわからないものなどを取り扱っている香霖堂とゆう店だ
珍しいものなら沢山取り扱っているから一見の価値はあると思うよ
まあそれを売るかは僕の勝手だけどね
たとえば、この品物はパソコンといって誰でも使える式神なんだ
だけどどんなにいじくっても動かないから今は誰にも使えないんだけどね
だから僕は考えるんだ、これには何か足りないと。僕が思うにこれには
幽霊や亡霊のような形のないものが入るんじゃないかと思っている
なぜかと言うと、これは結構重いんだ中にも何か入っていて、とても形があるものが入れる隙間はないと思う
でも霊を入れただけでは僕たちには動かせない、だがそれはここにあるマウスとキーボードというものがある
これはこのパソコンというものを操る力があるんだ、これをどうにかして繋げれば…
っとどうやら君のほかにもお客が来たようだそれじゃあ君の相手はいったん終わりにし、新しく来たお客に目を向けてみようか
カランカラン
「こんにちは」
「やあ、きみは紅い館のメイドさんだね。きみのようなれっきとしたお客は少ないからありがたいよ」
「こちらこそ覚えていただいてうれしい限りですわ」
「春用のメイド服の仕立てはできてるよ」
ああ、言い忘れてたけど僕はこうゆう仕事もしてるんだよ。手先が器用だからね副業としてやってるんだ
「もうできたんですか、ありがたいですわ。それでわ近々使いのものをよこします。それで今日は掘り出し物はありますか?」
「ああ、昨日無緑塚で見つけたんだが、『光の玉』というらしい」
「光の玉…ずいぶん安直な名前ですわね」
「だがこれには、『魔を滅ぼす程度の能力』があるんだ」
「へえ、うちのお嬢様でさえ消すことができるのかしら?」
「わからない、だがこれほどの名をうっているんだからそれなりに強力ではあるんだろうね」
「ふ〜ん、少し気になるわね貰っていこうかしら」
「それはありがたいね、マジック系統は僕の専門外だから、ここにあっても埋もれるだけだからね」
「それでは、これにてごきげんよう」
カランカラン
…さて、話の続きだったね問題は霊をどう大人しくこの中に入れるかそれは------」
「で?これがその光の玉っての?」
「はい」
[ふーん,こんなものがね〜]
…うず
「ええ、なんとなく気になったもので」
…うずうず
「パチェ、ちょっとだまってて」
「え、あ、うん」
「…気になってるみたいね」
「うん、私もなんとなく」
「いいわ、パチェにあげる。わたしは興味ないし好きにしちゃっていいよ」
「本当にいいの?わたしがもらっちゃって」
「ええ」
「そ、それじゃあわたしはこれで」
そういいながら、静かに部屋を出る
「本当にああゆうときのパチェはいきいきしてるね〜」
「そうですね、魔女のさがなんでしょうか」
[どっちかってゆうと、そうゆう性格してるやつが魔法使いになるんじゃない?
まあパチェは生まれたときから魔女だったみたいだけどね」
「なら魔法使いは知識中毒でもないとやっていけないんですね」
「咲夜、それは言いすぎ」
はい、と笑みをかえしてくる
やれやれ、咲夜と話してると返す言葉をわかってて言ってくるように思うから困る。遊びようがない
さてパチェの方はどうなるかな、これから楽しみね
182
:
名前が無い程度の能力
:2010/03/21(日) 00:39:23 ID:Z6HzVCsM0
〜一週間後〜
「ようパチュリー。あれ、それなんだ?」
「ああ魔理沙、ちょうどいいわちょっと聞いて」
少女説明中
「へえ〜そんなの香霖堂にあったのかあの日行った時には香霖のやつ何もいってなかったのに」
「客じゃない人に商品を勧める商人はいないわよ」
「失礼な、わたしはれっきとした客だぜ、つけてもらってるだけでな」
「はあ…」
「まあそんなことよりそれの研究はどうなんだ?」
「ああ、それであなたに手伝って欲しいのよ」
「お?わたしに手伝わせたりしたらパチュリーの出番なくなっちまうぜ?」
「あなた光の魔法得意でしょ、このアイテムも光の玉ってゆう名前だからなにか変化があるんじゃないかと思って」
「なるほど、じゃちょっくら試してみるか!」
八卦路の上に光の玉を乗せる魔理沙
「ちょ、マスパ打つつもりじゃないでしょうね」
「大丈夫だ、今回は熱なしバージョンだぜ」
「ホントに大丈夫?」
「ああ、まかせろ!」
まったく、この自信はどこからくるのか。少しうらやましいわ
「それじゃ、スイッチオン!」ポチッ
…八卦路ってボタン式だったのか
「……何も起こらないわよ」
「あれ〜おかしいな〜」
そういって近づく魔理沙
この子打ち上げ花火でやけどするタイプだわ
「お?なんか光ってきたぞ」
「え?」
そこには、内から光ってきている光の玉が
「ほんとに?成功?」
「なに驚いてるんだ、わたしにかかればこんなもん昼飯前だぜ」
ほんとに…あっ、ちゃんと能力が発動してるか調べないと
「魔の物魔の物…ってどこ?」
「パチェ〜、遊びにきたわよ〜」
え?レミィ?ってまずい!
「レミィ−!こっちきちゃだめー!」
「へ?うおっ!まぶし!」
「ちょ!」そんなこと言ってる場合じゃ
この間もより光り続ける秘宝、そしてこの場にいるもの全てのみこみ…
『けっきょく、あのアイテムにはもう力は残っていないようだ
だが何か魔法のヒントになるものを残してくれた
さっそくその研究に取り掛かろうと思う』
パチュリーは自分の日記から白紙の本に持ち換える
そして英語やら魔方陣やらを書き記し始めた
(あの強い光は結晶体の内部による光の乱反射によって増幅されたもの
その光を日の魔法に置き換え応用すれば…)
カランカラン
「いらっしゃい」
「よう、香霖」
「なんだ魔理沙か、今日は何の用だい」
「買い取って欲しい物があるんだ」
トンッ
「おや?これは?」
名「光の玉」能力「運命を狂わす程度の能力」
能力が変わってる?これはいったいどうゆうことだ?
実はこの秘宝にはもう一つ本当の能力が隠されていた
『触れた物の能力を映す程度の能力』
このとき、この秘宝によって起こされる異変はまだ誰も知るよしもなかった
183
:
名前が無い程度の能力
:2010/03/21(日) 03:54:09 ID:DbKClbFAO
>>182
続き物になりそうな予感だねぇ
さてさて、俺も一つ
「私の御柱が神隠しにあったァー!」
神奈子がこう叫ぶと同時に早苗は驚きながら彼女を見た
「早苗ッ!早苗ッ!私の御柱が…私の御柱がァー!」
「お、落ち着いてください!神奈子様!」
「誰かが盗んだんだ!誰かが盗んだんだァー!」
「あんな大きい物誰も盗みませんって!」
事は昼過ぎ。暇つぶしに諏訪子と弾幕ごっこをしようと御柱を探したら、いつもおいてある場所に無かったそうな
「絶対盗まれたのよ!あれは大切なのにぃ!」
神奈子はいつもにあらぬ狼狽え方で箪笥から何からひっくり返していた
「なんであんな大きな物を無くすんですか?第一盗みませんよ」
「盗まれてないなら神隠しにあったんだよ!神隠しに!私を妬んだから!」
「まぁ、物を無くすのは神隠しとは言えない事もないですけど」
「なんでぇ?なんでないのよぉ!」
瞳からぼろぼろと大粒の涙を溢しながら箪笥の最後の段を開けていた
「困りましたねぇ…。確かにあれがないと信仰に関わってきますし」
その反面早苗は半ば呆れ眼で、部屋の隅という隅を探していた
「どっかに置いたとかじゃないんですか?」
「そんなわけないじゃない!あんなに大切なもの!嫌だぁ…そんなの嫌だぁ…」
「大切なものならなんで大切にしないんですか」
「大切にしてたわよ!あの御柱は信仰する人の血や汗が含まれてるのよ!」
「それはわかりますけど」
「あれが無くなったら私は信仰してる人にどうやって顔向けしたらいいのよ!」
早苗はこの時、ただただ信仰を集めるだけに興味があるだけと思っていた神奈子が
こんなに信仰する人々を大切にしていたことに、少しだけ見直した
だが目の前にいるのは、其処らにいる少女と変わらぬ神様である
しかも神様の癖に自分の無くし物を神隠しで済まそうとしている
「おい。神奈子なにやってるんだい」
すると神奈子の部屋の入口から諏訪子が入ってきた
「もう待ちくたびれたよ私」
「その…私の御柱が…」
「アンタ今日の朝弾幕ごっこするから万全にするため外に干しておくっていってたじゃないか」
「!!」
「えっ…?神奈子…様…?」
「……あ…あはは」
「…何が神隠しですか…」
「そ、それじゃ弾幕ごっこしてくるわ」
「あ…こら神奈子様っ!!」
幽霊の正体見たり枯れ尾花とはよく言ったものである
<了>
レス一つで書くのは無理があるかしら…「消費お題:神隠し」
お題:珍味
184
:
名前が無い程度の能力
:2010/03/24(水) 23:05:56 ID:qv8ihHI.0
お題「珍味」
夜。虫の音や、夜行性の動物たちの蠢く気配、鳴き声が美鈴の周りを飛び交っていた。
いつもの通りだったが、やはり暇だった。花や動物相手に話しかけるほどメルヘンな性格ではないし、そこらへんの妖怪は皆この館を恐れて近づかない。
そんな時は大抵睡眠をとることで時間の束縛から逃れるのが常だったが、今日はどうにも眠れそうにない。こういう時は無駄に頭が働いてしまう。
例えば、ここに来たのはいつのころからだったかとか。
もう思い出せないし、常日頃思い出そうとも思わない。
「けど、時々は気になるのよねぇ」
ぽつりと、誰に言うでもなく美鈴はつぶやく。
ここは幻想卿にある紅魔の館。平和で、たまに物騒で、とても不可思議な自分の居場所。
いつ、どうして、何故ここにいるのか。私はいかにしてこの紅魔館の門番になったのか。
記憶を失ったのかと問われれば、どうなのだろうとしか言えない。もやもやと、曖昧すぎてそんな質問にもはっきりと答えられない。
けれど自然と不安はない。居心地がいいからかもしれないし、単にそんな思考すら許されないほどの何かをされているのか。
自分の記憶を辿るとき、それはブツリと途切れるわけではなく、蜃気楼のように静かに消えていく。
考えるだけ無駄、とまでは思わないが、それよりもなによりも、今はこの紅魔館の門番であり幻想卿の住人であることが自分にとって最も重要なことなのだ。
「めいりーーん」
門の内から、呼ばれた声に振り返る。
「そろそろ休憩時間ですよ」
言って、紅魔館のメイド長はお茶の準備をするためか、そそくさと館の中へ戻っていってしまった。
「はーい」
ワンテンポ遅れての返事。すぐに立ち上がり、門をくぐる。
この紅魔館の主は所謂吸血鬼、ドラキュラ、バンパイアであり、夜行性だ。ゆえにこんな時間にティータイムがある。
こんな、といっても慣れてしまった美鈴にとっては最早普通ではあるのだが、時折昔の感覚を思い出し、そういえばと思わないこともない。
185
:
名前が無い程度の能力
:2010/03/24(水) 23:06:30 ID:qv8ihHI.0
「今日はシャーチーマーというお菓子を作ってみました」
メイド長はテキパキと揃った全員の前にお茶とお菓子を並べていく。
一目で高価と分かる上品で精密な食器たちの上に乗っていたのは、間違いなく自分の知っている沙蒞玛というお菓子だった。
「珍しいわね。いつもは洋菓子なのに」
メイド長に話しかけるレミリア=スカーレットは初めて見る物に対しての好奇心か嬉しそうだ。
話しかけられたメイド長も、ほっこりとした表情で中国でたべられているお菓子なんですよと応えている。
その通りだ。これは中国のお菓子で、私はこれを知っている。知っているから、どうしたというのか。
「……あれ…?」
あまりの体の違和感に、つい声が出る。何か喋らないと、喋っていないと、頭の中で巻き起こる嵐に、意識を持って行かれそうになる。
「……あ、あれ…あ、…?」
駄目だ。と思った。最早自分の態勢など気にすることなく手の平で顔を覆い、椅子の上で頭をもたげる。
「メイリン?」
明らかに異常な美鈴に、不安そうな咲夜が寄っていく。
「メイリン? どうした―」
言いかけて、咲夜はぞっとした。
指の隙間から現れた美鈴の目に。
その目は、紅魔館の門番である美鈴のものではなく、もっとなにか別の。
「大丈夫? メイリン…」
怯んだ咲夜を押しのけ、レミリアが仰ぐように美鈴の顔を覗きこむ。正確には目を。
レミリアの眼はいつもよりも一層紅く輝き、隠すことのない魔力を放っていた。
近くにいた咲夜は、その様子を直視することができなかった。今行われていることが、なんとなくわかってしまったから、決定的な部分をみることができなかった。
「メイリン、もう大丈夫よね?」
その言葉を合図に、美鈴は顔を覆うのをやめ、頭の靄を振り払うかのように頭を左右に振る。
「あー、すいません。なんか急に立ちくらみがしちゃって」
「気にすることはないわ。さ、甘いものでも食べて血糖値をあげておきなさい」
「はーい」
その会話は、咲夜にとって、とても不自然だった。あの様子は立ちくらみなどで表現できるほど軽いものではなかったし、なにより、あの目はなんだったのか。
呆然とする咲夜は、不思議そうにこちらを見る美鈴の視線を感じてはっとする。
「私ならもう大丈夫ですよ?」
「そう、よかったわ」
今お菓子を頬張る美鈴はいつもの美鈴で、あまりにもいつもの美鈴で、咲夜はまたぞっとした。
まるで、数秒前のことが全てリセットされたかのように。
「このお菓子、なんていうんですか?」
「? シャーチーマーよ」
「へぇ、知らなかったなぁ。お代わりあります?」
「……えぇ、いいわ」
「よく食べるわね」
「お嬢様もちゃんと食べないと大きくなれないですよ?」
「別にいいわ。咲夜みたいに無駄なあがきはしたくないし」
「? 私身長はありますよ?」
「胸の話よ」
「お、お嬢様! 私はあがいてなんか…!」
賑やかに、されど狂気に満たされ、今宵も紅魔館の夜は更けていく。
P.S幻想郷の中で最も健康そうな美鈴が大好きです。
186
:
名前が無い程度の能力
:2010/03/31(水) 22:42:18 ID:O1igk4560
>>182
だが正直あまり創る気はなかった
だけど残りのお題思い返してたらピン!ときたので続きを投下
前回と同じくらい長いが話の切りが上手くいかず前代未聞の3分割だぜ
前回
>>181
,182の続き
ここは里から離れた、外の世界から忘れられた使い方がわからないものなどを取り扱っている香霖堂とゆう店だ
めずらしいものなら沢山取り扱(ry
「こんにちは」
「うわ!?い、いきなり後ろから話しかけないでくれ!」
「あらごめんなさい、あなたが集中して話してるもんだからちょっとおどかしたかっただけよ」
「はあ…君に言っても無駄…とゆうより、幻想郷にすんでる人はみな僕のゆうことを聞いてくれない」
「あなたのゆうことは理屈っぽいのよ、そんなんじゃ誰も聞いてくれないわよ」
「その言葉、閻魔さまにも同じことが言えるのかい?」
「うっ…た、立場が違うのよ、立場が」
「そうかい」
僕は皮肉っぽく言い返す
「そ、そうよ」
紫の顔は少しひきつっていた
「ところで今日は何しに来たんだい」
「え、ああ、まあ暇つぶしよ」
「ここは道具屋で品物を売り買いするところなのだが」
「まあ硬いことは言いっこなしで。あらこれは何かしら?」
そういって光の玉を手に取る
「ああ、それは」
「待った!長くなるから説明はいいわよ」
紫はそのまま光の玉をじっと見ていた…と思ったらとつぜんいやらしい笑みを浮かべた。正直少し引いた
「まあこれは置いといて、それより少しの間お話しましょ」
僕としては光の玉に何かしたのかと聞きたかったが、まあうまく話を逸らされるだろう
そしてこのあと、たわいもない話をし紫は帰っていった
187
:
名前が無い程度の能力
:2010/03/31(水) 22:48:08 ID:O1igk4560
カランカラン
「こんにちわ〜!」
「おや、君は始めての見る子だね、いらっしゃい」
「はじめまして、私河童のにとりっていいます。よろしく!」
「ああ、覚えておくよ。ところで今日は何用だい」
「ここに行けばいろんな物があるから一度行ってみればいいって言われてさっそく来てみたんだよ」
「…ところでその言ってた人って誰だい」
「ん〜、一言で言えばあやしい人、二つの意味で」
「わかった、もういいよ」
「わ〜すごいね!これがパソコンってゆーのか」
「ああ、それどうやっても動かないんだ。僕が思うに」
「じゃじゃ〜ん!はつでんき〜」
「ん?それはなんだい」
「そのパソコンを動かせるようになる道具だよ〜」
「それは本当なのかい?」
「うん、じゃさっそくやってみよ〜」
そう言ってにとりはコンセントを発電機に刺し込み
「え〜っと、それでこのボタンを…ぽちっとな」
「おお、本当に動いた…」
「ね、いったとおりでしょ」
カランカラン
「よっす香霖、お?こんなところに河童とは珍しいこともあるんだな。なにやってんだ?」
「ああ、魔理沙か今式神が動くようになったんだよ」
「え?式神ってあの白くて箱型のやつか?」
「ああそうだ」
「そうかそうか、それはよかった。で、こいつは弾幕とか出せるのか?」
「それはできないと思うよ〜、外の世界の弾幕出す道具は発射口とかそうゆうのが必要みたいだからね〜」
「そうか…んで、そいつはいったいどんなことができるんだ?」
「今やってる最中だからまだわからな…そういえばあの人、むせんるーたってものを繋げればもっといろんなことができるって言ってたような」
「無線ルータ?それならここらへんに」
がさごそ
「あったあった、それじゃあ繋げてくれないか」
「あいよ!」
…ちぇ、随分と仲良くなってるじゃないか。と、人に聞こえないように呟く
「よし、これでオッケー、それじゃあ」
「…まあいい。てきと〜にそのインターネットとか押してみりゃわかるだろ」
「ちょっと!かってに動かしたらだめだって!」
このときすでに秘宝の能力が発動していた
秘宝が小さなすきまをつくり、運命的にこちらのインターネットにつながった。
「お〜なんかでてきたぜ」
「まったく…まあ少しは動かしてもいいかもね」
「いろんなのがでてきたが。ん?検索とか書かれてるぜ」
「何か調べられるのかな?でもどうやったら」
「…言葉を入れるんじゃないかな。横に四角い空欄があるし、それにキーボードとゆう物もあるしね」
「おお、さすが香霖。だてに無駄なこと考えてるわけじゃないぜ」
「君は一言多いよ」
「じゃあまずはきのこって調べてくれ。これが弾幕打てないんなら新種のきのこを見つけてそれで新しい弾幕作ってやるぜ」
「まあ最初はそれでいいかな。え〜っと、き〜の〜こっと」
「…gkbとかでてきたぞ」
「え?ちゃんと押したはずなのに。あれ〜?」
悪戦苦闘し1時間後
「や、やっとできた…」
「3文字書くだけで全力つかっちまったぜ…」
「まあとにかく検索っと。へ〜いろんなのがあるんだね〜」
「でもここらへんじゃあ生えないようなのばかりだな。こうなったらいつか外の世界へ行ってやるぜ!」
「えっと、じゃあ次は〜」
カラーン
188
:
名前が無い程度の能力
:2010/03/31(水) 23:00:35 ID:O1igk4560
「ん?お、なんだ今日は珍しいことだらけだな、こんな所にパチュリーが来るなんて」
「魔理沙…また私の物盗んだわね…」
「ああ、あの玉のことか。あれは盗んでない、借りてるだk」
「その言葉は聞き飽きたわ。丁度いい機会だし新しくできたスペカで葬ってあげる」
「ち、ちょっとまてってわたしは今疲れてるんだ弾幕はまたこんどに」
「日符…」
「わたしもいるんだぞ〜!!」
「ここは店の中だ、やるなら外で…」
「『ロイヤルフレア』!!」
「どわ〜〜!!」「いや〜〜!!」
ああ…僕の店が壊れる…どうして君はこう災厄をもってくるのだろうか。だから僕はいつもいつも――――――
「…上出来ね。まあ光の玉はいらないわ。もうできることもないだろうし、今回はあなたが何回も盗むからついに嫌気が差したのよ。それじゃね」
この時、香霖堂が壊れた拍子に秘宝がコロコロと転がってゆく
コロコロ…コロコロ…コロコrひょい
「うにゅ?こ、これは!……きれいだから持ってか〜えろ。ふふ、さとり様きっとよろこぶぞ〜」
烏の習性で光る物には目がないとゆうことで
つづく
こっからあとがき
実は、この物語最後までできてしまったんですよ
あとはどうやってお題に繋げるか…
お題「初めてのインターネット」消費
189
:
名前が無い程度の能力
:2010/04/08(木) 13:23:15 ID:5R8Wrbfw0
残りのお題:「金がない」「スポーツ」「妖精の日常」「仕事場」
「種」「楽器」「香水」「読み物」「靴」「雪融け」
「神隠し」「酒」「時間」
ちょっと書きたくなったが、どれが残ってるか分からなかったので
190
:
名前が無い程度の能力
:2010/05/06(木) 23:08:08 ID:64VmnXRI0
このスレはじめてきたけど、
>>189
の中から適当に書いちゃっていいの?
191
:
名前が無い程度の能力
:2010/05/07(金) 02:35:06 ID:Q2Gw2N4cO
いいんじゃない?
192
:
名前が無い程度の能力
:2010/05/07(金) 07:33:59 ID:jVQsIyxgO
かまわん、やれ
193
:
名前が無い程度の能力
:2010/05/08(土) 22:41:37 ID:M/q.nNzw0
僕もやろうっと
194
:
名前が無い程度の能力
:2010/05/10(月) 21:23:52 ID:mzYLrJUcO
俺も俺も
195
:
「仕事場」「時間」
:2010/06/29(火) 04:06:39 ID:S67dBAUY0
あのひとの仕事場は少し狭い。とはいっても十畳を超えるから絶対的に考えれば狭くないのだけど、地霊殿の他の部屋と比べて、その上仕事場であるという事実を加味して考えれば、やっぱり相対的には狭いと言わざるをえないのだった。
「狭い場所で時間に追い込まれるのが好きなの?」
「そうでもありませんよ」
ここには空き部屋もたくさんあるのだから、もっと広い部屋を使えば良いのに。
少しの本棚、そこにめいっぱい詰め込まれた分厚い本、ひとつの古びた書斎机、小さな窓。古い本からにおうようなちょっと鼻につくにおいが、じんわりと染みついている。空間から切り取られたみたいに、時間の流れがここだけ遅く感じる不思議な部屋。このひとの仕事部屋。
「そう言うこいしこそ、どうして今日に限ってここにいるんです」
落ちるような言葉。耳に少し残る声。嫌いじゃない。むしろ好き。
「仕事と時間に追い立てられるお姉ちゃんを観察するのも悪くないかなって」
「良い性格してる」
私の方を見ようとはしないで紙面に眼を通しながら、喉の奥の方で笑う音がした。
こーん、こんこん。
この声の落ちる音があるなら、きっとこんな音だろう。
「遊ぶ時間とか出掛ける時間とか、そういう余剰の時間は幾らでもあるしね」
「時間は有限ですよ」
「今のお姉ちゃんにとっては、でしょ?」
「まぁ、ね」
万年筆をがりがり動かす音がし始める。私はふらふら仕事部屋を歩き回りながら、時々その姿を見ていた。何をする訳でもなく。何をしたい訳でもなく。時々本棚に視線をやって、適当な本を手に取って、小難しい内容に頭が痛くなったり。窓の向こう側の、いつも通りの曇り空からこぼれる陽の光の先を眺めたり。
何秒経ったか、何分経ったか。この部屋に時計は無い。仕事場なんだから必要なんじゃないの、と聞いた事がある。その答えは、「仕事場だからこそ、時間を忘れるべきなのです」。言い得て妙かな、と一瞬思ったけれど、後になってよく考えれば、そりゃそうかもしれないけどやっぱり必要でしょうに、現実問題。このひとの考えは、ちょっと私にはよく判らない事が往々にしてある。
「ねぇ、お姉ちゃん」
声をかける。返事は、無い。
「お姉ちゃん?」
しぃん。冷たい部屋に、じわり私の言葉が落ちた。
「こいし?」
その三つの眼は、とうとう私を捉えなかった。
――あぁ、そう。
三つの眼はしばらくきょろきょろと部屋を見渡してから、その後小さく嘆息つき、そして作業に戻っていった。
「またあの子は、これだから」
がこん。ばつ、ばつ。
この声の落ちる音があるなら、きっとこんな音だろうね。お姉ちゃん。..
196
:
名前が無い程度の能力
:2010/06/29(火) 05:35:54 ID:FmDcEx.A0
>>195
GJ
偶に上がってると思うと、こういう良作に巡りあえるのが良いなぁ
せっかくなので、お題まとめに協力
残りのお題:「金がない」「スポーツ」「妖精の日常」「種」「楽器」「香水」
「読み物」「靴」「雪融け」「神隠し」「酒」
197
:
名前が無い程度の能力
:2010/06/30(水) 13:00:01 ID:WxgfoLg20
>>196
「スポーツ」と「神隠し」と「酒」は出てなかったか?
198
:
名前が無い程度の能力
:2010/07/01(木) 00:24:19 ID:8ajv6n4g0
重複疑惑があるのなら、重複して消化すればいいじゃない
「金がない」と「酒」で。
-----
つい先ほどから私の精神の均衡を乱して仕方が無い存在がいる。
追い返そうにも追い返せない厄介な存在がいる。
どうしようもなく大きな声で笑う存在がいる。
「よー、相変わらず不機嫌そうな顔してるねえ」
星熊勇儀である。
「不機嫌そうなんじゃなくて、実際不機嫌なのよ」
「何か悩み事か?聞いてやらんこともないよ」
「あんたの存在よ」
「やー、こりゃ手厳しいねぇ」
「橋姫じゃなけりゃ、あんたから姿をくらますためにいくらでも住む場所を替えるのに」
「まぁまぁ。酒も飲めば忘れるさ。一杯お酌してやるよ」
「遠慮しておくわ」
「ありゃ残念。今日はイカも持ってきたのに」
「完璧にここを何か勘違いしてない?」
「パルスィの住処だろ?」
「間違ってないけれど、その表現はホームレスっぽいわね・・・
ともかく、どうにもあんたの酒をもらうのは気に入らないわ・・・」
「強情だなあー。素直になれよー」
「誰が。えーと、鬼殺しはだいたいいくら位するかしら・・・」
「その酒チョイスは嫌がらせかい?」
「精一杯の嫌がらせよ。一緒に飲んでやるだけ感謝なさい・・・って」
「どうした?」
「若干足りないわ。残念。一緒に飲むことすら叶いませんでしたと。」
「じゃあ私のお金若干ばかしあげるからさ」
「借りを作れというの?」
「徳政令を出すから大丈夫だって」
「幕府の死亡フラグじゃない・・・」
「仕方ないな。半分ずつでそれを買って飲もう。私の酒でもない、パルスィの酒でもない、二人の酒だ。
一緒に飲むべきものじゃないか?」
「・・・仕方が無いわね。じゃあ鬼殺しを買ってきて」
「その嫌がらせチョイスは変えないんだな。」
「精一杯の抵抗よ。」
本当に、食えない奴だ。
正直、苦手である。
だが、不思議と嫌ではない。
このわだかまりを解消するものは無いかと思って辺りを見回すと、
イカが置いてあった。
それを口にくわえ、力任せに噛み締めたり引っ張ったりした。
口の中に少しずつ、幸せな味が広がってきた。
「・・・本当、」
半ば諦めたような、敵わないと悟ったような、笑いを浮かべて。
「妬ましいわ」
199
:
名前が無い程度の能力
:2010/07/04(日) 10:45:52 ID:y2t4DTCQ0
ちょっと強引だが「読み物」
--------------------
妖怪の山に変な神様が来たらしい。
みんな迷惑していて面白そうなので退治に行くことにした。
山に入ると神を名乗る二人組が現れた。
楽勝で蹴散らす。
なんか今日は左のショットが調子いいぜ。
続いてくるくる回ってる自称神が現れた。
楽勝で蹴散らす。
なんか今日は左のショットが調子いいぜ。
次は隠れてるつもりの河童だった。
その程度の迷彩じゃ、もろ見えだぜ。
楽勝で蹴散らす。
なんか今日は左のショットが調子いいぜ。
九天の滝とか言うところに出た。
天狗が藁藁と出てきやがる。ここは厳しいぜ。
もっとも私にかかればお茶の子さいさいだがな。
ちょっとまじめに相手してやったら木っ端天狗のボスが逃げてった。
滝を登りきると文が待ってた。
こいつと一戦交えるのも面白そうだ。
と思ったら楽勝で蹴散らしちまった。
これじゃ木っ端天狗のがよっぽど強いぜ。
なんか今日は左のショットが不思議なくらい調子いいのぜ。
なぜか山に神社があった。
青いと言うか緑の巫女が出てきたので遊んでやった。
楽勝で蹴散らす。
今日は左のショットが調子よすぎるな。流石私だぜ。
神社の奥に湖があったのぜ。変な柱がいっぱい立っているのぜ。
ここに迷惑な神様がいるはずだ。
普通に呼んだら普通に出てきた。結構律儀なんだな。
柱とか粥とか投げてきてたいそうに見えるけど楽勝だぜ。
今日は左のショットが絶好調。こいつも楽勝だぜ。
って、あ゛、?これなんだ、え゛これが風神様の神■
「ここで筆が止まってる…いったい何があったのかしら」
博麗神社を脅しに来た風祝のところにお礼参りに来た博麗の巫女は道中で
魔道書の一頁と思われる紙片を拾って読み、背筋を凍らせていた。
文字の癖からすると普通の魔法使いのもののようだ
「弾幕張りながら日記も書けるなんて、魔理沙、なんて恐ろしい子なの」
200
:
名前が無い程度の能力
:2010/07/05(月) 03:52:07 ID:6EI/wyT2O
「楽器」で行こうそうしよう
寺子屋に静けさが訪れた。
学童のいなくなった教室で、ふぅ、とため息をつくと、教材を黒板の横に設置した本棚に戻した。
傾いた日が入る教室で、今、いるのは、教師一人。児童も帰った教室に、ぽつんと帽子を机に置いて座っている女性が一人だった。
彼女はうつろな目で教室を眺めて、やれ帰ったら何をしなければならないか、やれ明日は何をしなければならないか、と、ぽかんとだらしなく口を開けて、物思いに耽っていた。
しばらくして―日が、山に隠れる頃に―彼女は立ち上がり、その空っぽの教室から出ようと、腰を上げた。
その時、外から何か音が聞こえてきた。
喇叭である。それも飛びきり明るい―まるで、スペインのグラナダを思い起こすかのような―音色を持った喇叭が、耳に入ってきた。
彼女は、その音につられるかの様に窓を見た。
すると、青髪で独特な服装の少女が、里に向かって、一人喇叭を鳴らしている。
この辺りでも有名な楽団の、花形を勤めている少女であった。
その目に笑顔はなく、何かを見つめるように―まるでこの世界以外を見つめるかのように―里をみながら、喇叭を吹いていた。
一心不乱と言う言葉がよく似合った。いや、実際一心不乱なのだろう。
少女の演奏を、彼女は一度聴きにいった事がある。その時の少女は、独特のほがらかな笑顔で対応してくれていた。
しかし、そこに立つ少女は違う。同じ少女なのに、笑顔もなく、ただ、脇目も振らずひたすら喇叭を吹く、全く違う少女がそこに立っていたのだ。
彼女は衝撃に包まれた。それと同時に先ほどまでの自分を恥じた。
彼女は、明日の事を、朧気に、―どうせ変わらないからどうしよう―と虚ろげに考えていた。
しかし、少女はどうだ。明日の事ではない。明日に繋げるために必死ではないか。人前で笑顔になるために、必死になっている少女がいるではないか。
すると、人を教える身として、何故だか非常に恥ずかしくなった。
こういう事を教えねばならないのに、私は教えきれているのか、と。
その内、少女は練習を終えた。
と、同じくして彼女から大粒の涙がこぼれていた。
この涙の意味は、具体的には分からない。ただ、何か意味があるのだろう。
彼女は、涙を拭うと、机からすっく、と立ち上がり、これを学童に伝えるべく、明日の事をしっかり考えながら、足を家路につかせた。
<了>
久々だから大分ダメダメに
新しいテーマ「歌」
201
:
名前が無い程度の能力
:2010/07/27(火) 18:29:21 ID:TLsrjPs60
お題「歌」
歌が、聴こえた。それは紅魔の館の門の前。どこか懐かしい門番の歌声。
日は高く、丁度今が正午であることを示していた。
洗濯かごを抱えていたメイド長は、やれやれとかごを足元に置き、館の中から声をかける。
「メイリーン!」
「はーい!」
歌は止み、下から聞こえるのは必要以上の大声。
「そろそろお昼にするから、中に入ってきていいわよ」
「わかりましたー!」
言うと同時、門を開け中に入ってくるメイリンを見届け、咲夜も食堂へと向かった。
「いただきます!」
「いただきます」
メイリンは箸で、咲夜はナイフとフォークを使い、妖精が運ぶ料理に口をつける。
二本の棒を器用に使い目の前の料理を次々と平らげるメイリン。
それとは対照的に、咲夜は一つの皿を時間をかけてじっくりと味わう。
「ごちそうさまでした!」
ものの15分もしないうちに、数え切れないほどの皿を重ねてお茶をすするメイリンに、咲夜はあきれ顔で話しかける。
「毎回思うけど、あなたもうちょっと味わって食べられないの?」
「毎回言いますけど、咲夜さんはもうちょっと食べたほうがいいと思いますよ? だからきっと…」
言いながら、メイリンの視線は咲夜の胸元へと向かう。
「…何か?」
「いえ、なんでもありません。それでは私は職務へと戻ります!」
湯呑を置き、さっと席を立つ。
「あら、いつになく仕事熱心ね」
「そんな、私はいつも熱心ですよ?」
「でも歌を歌っていたじゃない」
「歌…ああ、あの歌ですか」
おどけた感じのメイリンの表情が途端に柔和になる。
その一瞬の表情に少しドキリとしつつ、ばれないように言葉を紡ぐ。
「あの歌、悪くなかったわよ」
「ええ、私の好きな歌なんです。前に、人間に教えてもらった歌なんですけどね」
「妖怪の前っていうくらいだから、相当に前なんでしょうね」
「そうですねぇ、何年前かなんてもうすっかり覚えてませんけど」
「私には、わからない感覚ね」
スッ、と二人の間の空気が少しだけ重くなる。人間と妖怪。二人の相違は、いつもふとした会話に内包される。
「…でも、私は、限られた時間って素晴らしいことだと思いますよ」
メイリンはそこまで言って、口を噤む。瞬間の沈黙。
コーヒーカップから口を離した咲夜は、少し笑って、感慨深げに「そうね」と呟いた。
夜。咲夜は結わいていた髪をほどき、つかの間の休息を得ようと寝まきへと着替えていた。
部屋が暗いせいか、三面鏡の前に座る咲夜の表情はどこか物憂げで、そこには紅魔のメイド長ではなく、一人の少女が佇んでいた。
そんな、虫の音も聞こえない館の一室に、昼に聴いた、あの歌声が舞い込む。
凛として張りのある声は、優しく、穏やかに咲夜の耳に届けられる。
窓から覗いた紅魔の門番は、相も変わらず誰に聞かせるでもなく、自由に、心底楽しそうに歌を歌っている。
なんだか少し羨ましく、窓から見下ろす銀髪の少女はポツリポツリと歌を重ねる。
遥か昔、一人の少女が一人の妖怪に歌を歌った。
そして今、其の妖怪は一人の少女に歌を歌う。
満天の星空の下。幻想卿にて、歌はまた、少女の元へと舞い戻る。
202
:
名前が無い程度の能力
:2010/08/11(水) 02:46:41 ID:Bb5CJxooO
おまいらちゃんとお題は出すんだで
ただでさえ過渡なんだからさらに燃料なくなっちまうでよ
<遊戯><団扇><清涼飲料><味噌><ぬこ>
<やらないか><お米><イワナ><しじみ>
ここは縛りプレイ
<コイン+さとり><賭け+白蓮><本+リリカ><松岡修造+妹紅>
<眼鏡+しみじみ><お茶+シリアス><和歌+ネタ>
203
:
名前が無い程度の能力
:2010/10/04(月) 05:46:14 ID:7SV/I4d6O
遊戯
幻想郷と言えど、子どもが遊ぶ事には、その道具は違えど変わらない
大抵は鬼ごっこやかくれんぼといった、いわゆる道具を使わない遊びがほとんどなのだが、
破れた布をまとめあげ、それを投げると、布を棒で打つような道具を使う遊びもやらないわけではなかった
偶々、一人買い物に来ていた神奈子は、里を少し離れた原っぱで子ども達がそれをしているのを見つけ、それを眺めていた
おぅい、投げるぞぉ、と小太りの少年が声をあげると、その布を棒を持つ細身の少年目掛け放った
細身はいともたやすく布を打つと、両手を上げて原っぱを走り回り、小太りはその布を追い、草むらに分けていった
小太りが布を見つけ戻ってくると、今度は細身が布を持ち、小太りが棒を持った
子どもというのはこんな単純な遊びでも面白いのであろう。そう思いながら腰を上げ、帰路についた
その夜であった
諏訪子と縁側に腰を落ち着かせ、たわいもない事を話すついでに、今日の昼の事を話した
子どもは、あんな単純な事にも夢中になれるんだなぁ、と感慨に耽りながら口からもらした
すると諏訪子は、茶を一口含むと、それは違うよ、と神奈子に答えた
別にその単純な遊びが面白いのではないんだよ。友人と単純な遊びをする事が面白いんだよ
私達がこう茶を啜りながら、世間話をするように、彼らにとってはあれが私達でいう世間話なんだ
ああいうのはどちらが欠けても続かないものさ、私達が一人で会話できないようにね
子どもにとって、その気持ちが通う時が、いわゆる遊びなんだよ
諏訪子は長い講義を終えると、一呼吸したあとにまた茶を啜った
神奈子は驚きと尊敬の眼差しで諏訪子を見ると、彼女は多少顔を赤くしながら帽子を深く被った
すると神奈子はにやりと笑うと、ならば私はお前さんの布を打つ番かな。教授さん、と冗談まじりに口にした
教授は赤面したまま黙ると、軽くうなずいた
その姿がいじらしくもあり愛らしくもあったので、諏訪子の頭に手を添えるなり、ゆっくり撫で始めた
教授はさらに赤面した
<了>
友情とか友人と口にするって恥ずかしいよね
テーマが変わっているようだが気にするな!
お題:目
204
:
<激写されました>
:<激写されました>
<激写されました>
205
:
名前が無い程度の能力
:2011/03/30(水) 12:39:32 ID:uM8ClT/A0
業者
206
:
名前が無い程度の能力
:2011/04/07(木) 00:51:38 ID:dH7vCPno0
<賭け+白蓮>
「丁か半かで、見定めろと?」
「賭け事みたいなものでしょう」
賽子が篭の中で、からからと音を立てている。
胡坐をかく男の目は、眠たげに細められながらも爛々と瞬いていた。
「掛け橋を繋ぐなど」
「無謀だと言いたいのですね」
「両者は違いがある、それもはっきりとした違いだ」
篭が、畳に打ち付けられた。半と、男は呟く。
「あんたは、それでも?」
「賭け事は嫌いです」
女は朗らかに微笑む。
「当たりませんから」
それでも丁と呟き、女はやんわりと立ち上がった。
障子を開けると、控えていた者たちが一礼をしてついていく。尼入道、船幽霊など、様々な者が垣間見えた。
部屋には男以外に誰もいなくなる。
「どれ」
篭をどけてみた。
ふたつの賽子はそれぞれ一と四とが出ていた。
「なるほど、確かに」
人知れず男は笑みを浮かべた。
「賭け事はお嫌いなようだ」
刻薄な笑みだった。
207
:
名前が無い程度の能力
:2011/04/07(木) 06:51:23 ID:dH7vCPno0
>>202
<コイン+さとり>
裏があって表がある。
心というのは一見すると複雑怪奇なのだが、それらを解きほぐしていけばその一点に辿り着くことを、古明地さとりは知っていた。
裏があるから表がある、逆もまた然り。
意思のある者が動くのは理由があってこそなのである。それこそ、どんなに取るに無いことでも。
その裏打ちを、言動の一つ一つからそつなく探るのもまた、ひとつの処世術と言えるのだろう。
そう考えると自分はそのプロセスを踏まないで良いのだから、随分とずるいものである。我ながら、大した能力に恵まれているとも思える。
おかげで、こうして人目を忍んで暮らす羽目となっているのだが。
それこそコインの裏表でも見るように、相対する者の心など手に取るように分かってしまう。
表で笑い、裏で唾していることなど、自分の前では無意味なのだ。すべて分かってしまい、腹芸など丸裸にしてしまう。
忌み嫌われるのも、避けられるのも、当然と言えば当然か。
ならばこそ、妹が瞳を閉じてしまったのも一応の理解はできる。納得などは到底出来るものではないが。
思考に埋没していた頭を醒ませて、ティーカップを手に取る。
丸いテーブルには、小洒落た椅子がひとつ。
相席のための椅子は無い。
すっかり冷めてしまった紅茶は、甘みも香りも感じさせず、苦いだけだった。
片側だけの。
表だけ、或いは裏だけのコインがあっても良かったのに。
囁きは声にもならず、溶けていった。
208
:
名前が無い程度の能力
:2011/04/07(木) 07:33:01 ID:dH7vCPno0
>>202
<お茶+シリアス>
霊夢は真剣に悩んでいた。
保存している茶葉が痛みはじめていたのだ。
捨てるにしては少々惜しいほどの量が余っている。かと言って、痛みはじめたものを飲み続けるのも人としてどうかとも考える。
捨てるか、飲み続けるか。
道はふたつにひとつ。
ひとまず、こうして胡坐をかいて考え続けても仕方がない。掃除でもして身体を動かしながら、考えることにした。
せっせと掃いて、ひとまず終える。
だが答えは見えてこない。
結局はふたつにひとつの答えなのだから、どこかで踏ん切りをつけなければならないのだ。
一歩が肝心である、霊夢はなおも真剣に悩んでいた。
身体を動かし、喉に潤いが欲しくなったので、まずは茶葉の具合を改めて見てみる。
匂いも嗅いで、ほんの少し噛んでもみる。
やっぱり微妙な塩梅だった。
胃腸は丈夫な方なので、ここは我慢することも兼ねて淹れてみる。ほっこりと漂う香りも、微妙なものだった。
深刻な顔で霊夢は湯呑みを用意する。
やはり替えるべきだっただろうか。いや、これくらいなら大丈夫な気もする。いやしかし。
煮え切らないしかめ面で、急須から湯呑みへと茶を注ぐ。
しつこく、霊夢は真剣に悩んでいた。
わずかばかりの茶葉が急須からこぼれ、湯呑みへと移る。
「あ、茶柱」
ころりと霊夢の顔がほころんだ。
ちょっと幸せになれたので、しばらくはこの茶葉を使うことにしよう。
霊夢はあっさりと決めてしまった。
>>203
<目>
「紫のスキマって、覗きに便利よね」
「藪から棒ね、霊夢でも誰かの生活を覗きたいと思うの?」
「全然」
「でしょうね」
「まさしく、壁に耳あり障子に目あり、よね」
「妖怪の賢者ですから」
「でも耳は出せないの?」
「え?」
「ほら、壁に耳あり障子に目あり、でしょう。でも紫の場合、スキマから目が覗いていても耳は覗いていないじゃない」
「そ、それは……ほら、やっぱり耳だけなんて気持ち悪いじゃない」
「目だけでも充分気持ち悪い」
「うぐ」
「もしかして出せないとか?」
「そんなことないわよ!」
「なんで声を荒げるのよ」
「沽券にかかわるからよ! 見てなさい、んんっ……ほらっ、出た出た!」
「ふっ」
「ひゃうん」
「なるほど、紫の弱点は耳と。痛い目見たわね〜」
連投、失礼致しました。
209
:
名前が無い程度の能力
:2011/06/07(火) 00:08:56 ID:yrkH7Nfs0
お題「団扇」妖怪総出の博霊神社で荒稼ぎ
霊夢「やっぱりこうして集まると賑やかねー」
魔理沙「……」
霊夢「……? どうしたの」
魔理沙「いや、見間違いかと思ったんだが」
霊夢「どうしたのよ?」
魔理沙「祭り客が持ってる団扇をよくみてみろ」
霊夢「……?……え!」
魔理沙「俺たちの写真が張ってあるだろ?」
霊夢「しかも……全部きわどい写真じゃない!」
魔理沙「諦めろ、恐らくあいつはもうここにいない」
霊夢「そうね……自分のいた痕跡は塵一つ残さないでしょうね」
魔理沙「まさに天狗だな」
霊夢「そういうところだけは忠実よね」
文は悪いほうがいいと思います。
210
:
名前が無い程度の能力
:2011/06/07(火) 02:38:24 ID:yrkH7Nfs0
投下。メイリンで「お米」
メイリンは絶対にお米派だと思う。
メイ「……咲夜さん…私、昨日とある夢を見たんです」
咲夜「なによ、藪から棒に。夢?」
メイ「はい……お米をお腹いっぱい食べる夢だったんです…」
咲夜「…へぇ」
メイ「察してください! 咲夜さん! 咲夜さんならもう私が何を言わんとしてるか…!」
咲夜「そんなこと言ったって今御屋敷にお米はありません」
メイ「そんな! じゃあ買ってきますから!」
咲夜「……門番は?」
メイ「外出許可を……」
咲夜「理由は?」
メイ「……お米を買いに…」
咲夜「駄目です」
メイ「そんな殺生な!」
咲夜「そのうちお米が手に入ったら出してあげますから」
メイ「絶対ですよ! 絶対ですよぉお!」
――夜
メイ「はぁ……」
咲夜「……メイリン」
メイ「はい! 異常ありまっ……え? そ、それは!」
咲夜「夜食よ」
メイ「夜食なんていつも…それにそれおにぎりじゃないですか!」
咲夜「そうよ。食べたがってたでしょう? どうぞ?」
メイ「あ…ありがとうございます……」
咲夜「礼を言う必要はないわよ。私は貴女に正当な対価を差し出してるだけよ」
メイ「で、でも、うっ、うれ、うえぢいでず……」
咲夜「な、何も泣くことはないじゃない」
メイ「ぁい、すいばぜん…」
咲夜「ともかく、それを食べたら顔を洗ってきなさい。紅魔の門番としては失格よ」
メイ「はぃっ」
――屋敷内
レミ「随分と優しいのね」
咲夜「屋敷を取り仕切るものとして、部下の人心掌握も重要な職務ですので」
レミ「貴女のほうがここの主にふさわしいのかしら?」
咲夜「滅相もございません」
レミ「あら? 満更でもないでしょう?」
咲夜「……私は、500年も生きている吸血鬼と椅子取り合戦をして勝てると思うほど初心ではありませんので」
レミ「ふぅん……まぁ、今のは聞かなかったことにしといてあげるわ」
咲夜「ありがとうございます」
こんなんだったらいいなぁってだけですがレミ×サクの油断ならない主従関係とか素敵。
211
:
名前が無い程度の能力
:2011/07/10(日) 13:32:30 ID:q6ikFKsY0
お題がないから、上にあった「歌」でいいや。
みすちー「アアアアア」
ルー「それは何?Mugenのミクの戦闘時の歌だね」
みすちー「これはバイエルの22番といって本来はピアノの練習曲よ」
ルー「そーなのかー」
212
:
慧龍
:2011/07/10(日) 14:00:01 ID:svlBAROY0
名前はあえてつけさせてもらいます。
あと話を作るのは得意です。
じゃあ、「妖夢」と「料理」で。
幽「よーむー今日のゴハンはなーに?」
妖「ええっと、今日は、刺身と大根の味噌汁です。」
幽「・・・」
妖「どうしました?幽々子様」
幽「主食は?」
妖「刺身です。」
幽「どこでそんなものを、幻想郷に海はないわよ。」
妖「紫様からもらいました。」
幽「そう・・・(大丈夫なのかしら。)」
213
:
名前が無い程度の能力
:2011/11/06(日) 18:33:21 ID:hAj0piaM0
久々にSSを投下
>>205
の『業者』
それは、そろそろ冬の訪れを感じさせる霜月の事だった。
倉庫から引っ張り出してきたストーブを試運転させていた香霖堂に、勢いよく白黒の魔法使い…霧雨 魔理沙が飛び込んできた。
―――カランカラン!
「香霖、香霖! 大変な事になったぜ!」
「…何だい魔理沙、朝から騒々しいな…」
手にこびり付いた黒ずんだ石油の残滓をボロ布で拭いながら、香霖堂の店主…森近 霖之助が辟易した表情で少女の方を振り向く。
息を切らせながら駆け込んできた魔理沙は、何故か背中に大きな風呂敷包みを背負っていた。
「私、このままじゃ年を越せなくなるんだぜ!」
「……はぁ、なるほど。それで夜逃げの準備ってわけかい?」
「違う! いいから私の話を聞いてくれ!!」
その後、魔理沙が矢継ぎ早に説明した事柄を整理すると、彼女の営む『霧雨魔法店』の売り上げが芳しくないらしい。あんな森の奥に建っていれば自明の理であろう。
生活も家庭菜園や魔法の共同研究で何とか凌いできたが、いよいよ首がまわらなくなったそうだ。
「……それで、僕に如何しろと? 先に言っておくが、ツケを踏み倒そうなんて思っちゃいけないよ」
「ふふっ、いくら生活が苦しくてもそんな卑屈になったりしないぜ。ただ、店の陳列棚を間借りしたいだけさ」
そう言って魔理沙は店の片隅にひっそりと佇む陳列棚を指差した。以前は小物が置いてあった場所は、霖之助が整理をした為に空っぽになっている。
「つまり、君は此処の立地条件を活かしてテナント事業を試みようってわけか……」
「流石、同業者だけあって話が早いぜ。あっ、ちなみにテナント料はツケで頼む」
魔理沙は霖之助が返事をするのを待たず、いそいそと背中に背負った風呂敷包みから妖しげな商品を取り出して棚に並べ始めた。
その商品を霖之助は自身の能力を使ってしげしげと眺めている。
キノコから抽出した魔法薬の小瓶、簡単な呪術を施した人形、爆竹程度の威力しかない発火魔法の護符etc.…
「ふむ、確かに面白い品物だね……わかった、暫くは様子見でテナント料は要らないよ」
「えっ、本当か香霖!? やったぁ! 香霖だいすきだぜ!!」
パッと笑顔が弾け、魔理沙は嬉々とした表情で霖之助に抱きついてきた。無邪気に抱きつく少女の華奢な身体を、霖之助はやれやれと言った感じで抱きとめる。
(この店もあまり繁盛しているとは言い難いが、まあウチにとっても商品の新分野を開拓したかったし丁度良いか……)
霖之助は脳内で冷静に算盤を弾いていた。そんな思考を、上目遣いで見つめる魔理沙の仔猫のような声が遮る。
こころなしか赤らんだ表情で、もじもじと指で霖之助の胸板を突っついている。
霖之助はくすぐったい感覚を堪えながら、不思議そうな表情で魔理沙の言葉に耳を傾ける。
「んっ、なんだい魔理沙?」
「な、なぁ香霖、もし…その、私の商品が売れなかったら…その時は、わ、私を…あの……よ、嫁に………あぁ、何でもない!」
ぶんぶんと頭を振り、とんがり帽子を目深に被りながら魔理沙は駆け足で店を走り去っていた。
霖之助はその様子をぽかんと見送っていたが、やがて苦笑しながらひとつ大きなため息をついた。
「やれやれ、こりゃ大きなツケを支払われそうだ……」
換気の為に窓を開けながら、霖之助は清々しい気分で初冬の空を見上げた。越冬の為に日本を訪れた気の早いマガモが一羽、幻想郷の空を渡っていた。
214
:
名前が無い程度の能力
:2011/11/06(日) 18:34:17 ID:hAj0piaM0
,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
(.___,,,... -ァァフ| あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
|i i| }! }} //|
|l、{ j} /,,ィ//| 『おれは「業者」でSSを書いていたと
i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ 思ったらいつのまにか魔理×霖だった』
|リ u' } ,ノ _,!V,ハ |
/´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人 な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
/' ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ おれも何をされたのかわからなかった…
,゙ / )ヽ iLレ u' | | ヾlトハ〉
|/_/ ハ !ニ⊇ '/:} V:::::ヽ 頭がどうにかなりそうだった…
// 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
/'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐ \ ラブイチャだとかこーりん○すだとか
/ // 广¨´ /' /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
ノ ' / ノ:::::`ー-、___/:::::// ヽ }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::... イ もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
215
:
名前が無い程度の能力
:2011/11/06(日) 20:42:49 ID:hAj0piaM0
>>202
「味噌」と「しじみ」で秋姉妹の朝ごはん
幻想郷の山にひっそりと佇む秋屋敷。そこには秋を象徴する2柱の神様が住んでいる。
晩秋の朝、台所ではコトコトと湯が沸き、新米の香ばしい匂いが立ち昇っていた。
秋屋敷の台所を与かるのは、姉の秋 静葉だ。赤いワンピースの上から若草色のエプロンを羽織って、軽やかに朝食の支度を進めていく。
「〜〜〜♪」
鼻歌も高らかに、コンロで熱したフライパンへ卵を落とす。ジュゥと小気味の良い音を立てて焼ける卵。
びっくり水を投入して蓋を閉じた所で、居間から這いずるようにもう一柱の神様が姿を現した。
「うぅ〜、お姉ちゃん頭痛い〜」
「……穣子、あんた吞み過ぎよ。意地張って鬼や八坂殿と吞み比べなんてするから」
穣子と呼ばれた神様は、静葉の妹神である。栗色のネクリジェからは姉を超える豊満な乳房が存在を主張していた。
豊穣の女神のプロポーションもしかし、二日酔いでげっそりとやつれた容貌では台無しであった。
そんな妹に対し、静葉は呆れながらもコップに冷水を汲んで渡してやる。渇いた身体を潤すように飲み干す穣子だが、調子はいまいちのようだ。
「ゴクゴク……ぷはぁ〜、だってぇ、西洋かぶれの神奈さんが舶来品の方が美味しいって宣うから……あぁ、ちゃぶ台がひんやりして気持ちいい……」
「だからって酒樽で勝負するひとがいる? まぁ、私もあの『うゐすきー』ってお酒は匂いが苦手だけど……」
そう言って静葉は肩を竦めながら食事の支度に戻った。穣子は気だるそうに今のちゃぶ台に突っ伏している。
暫くして朝食が出来上がり、静葉は改めて穣子に声を掛けた。
「どう? 朝ごはんは食べられる?」
「……ちょっと無理かも」
「そう、じゃぁこれだけでも飲みなさい」
未だちゃぶ台に突っ伏している穣子の前に、静葉は汁椀をそっと差し出した。
自家製味噌の芳醇な匂いを含んだ湯気が穣子の鼻をくすぐる。力なく顔を上げた穣子の眼前には、小さな貝と万能ネギのはいった味噌汁が置かれていた。
「……この匂い、シジミのお汁?」
「そう、この前出雲に行った時頂いたの。宍道湖で採れた高級品よ」
静葉はそう言って自身の汁椀に盛られた味噌汁を静かに啜る。真っ白な新米のご飯と新鮮な卵の目玉焼き。それにほうれん草と小女子のおひたし。
穣子も今年収穫されたばかりの新米を味わいたかったが、今は胃が受け付けてくれない。残念そうな表情で差し出された味噌汁を一口啜った。
「わぁ、美味しい……!」
「でしょ? 二日酔いにはしじみが一番よ」
濃厚なシジミの旨味と味噌の香ばしさ、そして万能ネギの瑞々しい歯応えに不機嫌そうだった穣子の表情も自然と綻ぶ。
静葉はそんな妹を温かい眼差しで見守りながら、艶やかな新米を頬張る。
こうして、秋姉妹の朝ごはんは和気あいあいと過ぎていくのであった。
216
:
名前が無い程度の能力
:2011/11/07(月) 12:01:34 ID:OstEM9tk0
>>213
魔理沙かわいい
きゃーってなった
>>215
……食後でよかった
危ないところだった
お題「大人バージョン・子供バージョン」
217
:
名前が無い程度の能力
:2011/11/13(日) 19:56:28 ID:0CdrDZIU0
>>202
「本+リリカ」
皆さんこんにちは、プリズムリバー三姉妹の末っ子リリカです。
今日は私が抱える悩みを皆さんにお話ししようと思います。
それは、ある雨の日の事でした。
私はひとり、住処である湖の廃洋館で寛いでいました。
2人の姉は所用で出掛けています。この雨音が寂しげに響く気だるい午後が一番好きです。
「あぁ〜、暇だわ〜」
そう、いくら雨の日が好きでもひとりで留守番は退屈です。
森の古道具屋さんで買った蓄音機からは、擦り切れたソナタが流れています。
私は読みかけの雑誌を放り投げ、ぼんやりと天井の木目を見つめました。
ちょうど真上の2階にはルナ姉の部屋があります。その時、私の脳裡にアイディアが浮かびました。
「そうだ、ルナ姉の部屋から本を借りてこよう」
ルナ姉は陰気臭い…もとい物静かな性格です。部屋には本棚いっぱいの本が有るのを私は知っていました。
私はさっさと2階へ駆け上がり、ルナ姉の部屋に忍び込みました。
質素な机とベット、そして壁一面を覆う大きな本棚。薄暗い部屋にぼんやりとルナ姉の匂いが鼻をくすぐります。
本棚には音楽関連の雑誌やハードカバーの難しそうな本が並んでいます。
私はそのうちの面白そうな本に手を伸ばしました。
ストンッ―――
すると、本棚の裏から何かが落ちる音がしました。本棚と壁には僅かな隙間があって、そこに落ちたようです。
「んっ? 何か落ちた?」
私は恐る恐る本棚の裏を覗きこみました。すると、私の手の届くギリギリの所に薄い本が落ちていました。
「うんしょ、よいしょ……」
精一杯腕を伸ばすと指先に本の角が引っ掛かり、何とかその本を引っ張り出せました。
「一体何の本だろう………えっ?」
疑問を抱いたまま本の表紙を見た私は、そのまま凝り固まってしまいました。
だって、その本の表紙は女の人がヌードで、なんか『淫乱メルラン』とか題名があって、その女の人がメル姉に似ていて、18禁とか書いてあって、私に似た女の子が何か触手みたいなのに………
そこまで思考がぐるぐる廻っていた所で、玄関から物音がしました。続いてメル姉とルナ姉の対照的な話し声が聞こえてきます。
私は慌てて薄い本を本棚の裏に放り投げ、ルナ姉の部屋から出て行きました。
あれ以来、ルナ姉の部屋には勝手にはいってません。なんだか怖いです。
私はこれからどうルナ姉と接していけばいいでしょうか?
218
:
名前が無い程度の能力
:2011/11/13(日) 20:25:55 ID:0CdrDZIU0
>>196
「妖精の日常」チルノ編
11がつ11にち(きん) はれ
あさ7じ おきろ さむくてきもちいいあさだ。
あさ8じ あさごはん おにぎりをたべた。おいしかった。
あさ10じ だいちゃんとあそぶ かくれんぼした。たのしかった。
ひる12じ ひるごはん みすちーのやたいでうなぎをたべた。「つけ」ってなんだ?
ひる3じ おやつ じんじゃでれいむからおまんじゅうをもらった。ちょっとにがかった。
ゆうがた5じ かえる だいちゃんといっしょにうちへかえる。
ゆうがた6じ ゆうごはん がんばってさらだをつくった。れていにたべておいしいっていってほしい。
よる7じ おふろ やっぱりおふろはこおりぶろがきもちいい。
よる9じ ねる きょうもいいゆめみられるかな。はやくれていにあいたい。
219
:
名前が無い程度の能力
:2011/11/20(日) 10:43:04 ID:fU9SqcWI0
>>196
「スポーツ」
幻想郷に冬が訪れた。
荘厳な里山は一面の銀世界となり、空は高らかに青く澄み渡っている。
昨今、幻想郷ではスキーやスノーボードが流行っていた。
妖怪の山の一角にスキー場が開設されたのも、ウインタースポーツが流行するきっかけとなった。
スキー場は妖怪だけでなく人間にも開放され、連日多くのスキー客で賑わっている。
「いやっほぅ〜!」
上級者向けの起伏の激しいコースから、雄叫びを上げて黒い弾丸が直滑降で駈けていく。
スキーを上手く操舵しながら麓に到着したのは、黒いスキーウェアに身を包んだ霧雨 魔理沙だった。
「あはっは、スキーって面白いな!」
ゴーグルを外して、汗ばんだ額を手で拭いながら魔理沙は上機嫌で笑った。
ちなみに魔理沙のスキー用品は香霖堂の倉庫から引っ張り出してきたものだ。
その様子を三白眼で見ていたのは、いつもの巫女装束にドテラを羽織った博麗霊夢である。
「まったく、アンタのスピード狂には呆れるわ。マスタースパーク噴射しながら滑り降りるなんて馬鹿なの?」
そう言いながら霊夢は手に持っていた紙コップへ口を付けた。湯気が立ち上る紙コップには、熱々の甘酒が入っている。
「なんだよ、楽しまなきゃ損だろ。霊夢こそ、カンジキなんか履いてないで一緒に滑ろうぜ」
甘酒を飲んでホッと一息つく霊夢の足元を見ながら、魔理沙は苦笑していた。
「私はパス。それより、アンタよりも目立つ奴が降りてきたわよ…」
「あぁん?」
霊夢の指差す方向を、魔理沙は怪訝な表情で振り向いた。
すると、そこには何故かスカイブルーのビキニを着て華麗にスノーボードを操る冬の妖怪が居た。
滑らかな腰遣いは、水着の為に艶めかしく強調されている。豊満な乳房は、今にも水着からはみ出んばかりの勢いで揺れている。
広瀬香美も驚天する格好で滑り降りてきたのは、『冬の忘れ物』ことレティ・ホワイトロックであった。
「あら、アナタたちも来ていたのね。そんなに厚着して蒸し暑くない?」
「………お前と一緒にするな」
ぶるんと跳ねるレティのおっぱいに羨望と嫉妬の眼差しを向けながら、魔理沙は苦々しく呟いた。
腹回りが少々太ましいが、それを差し引いても巨大な存在感を誇るレティの肉体美に、衆目は釘づけだ。
「ふふっ、まぁ怪我のないようにね。雪山って油断していると怖いわよ…」
意味深な忠告を投げ掛け、レティは再び滑降すべく山頂の方へ飛び去って行った。
「ちぇ、おっぱいデカいからって偉そうに……気晴らしにもう一回滑ってくる」
「元気でよろしいこと。私は休憩所に引き上げるわ……」
陽光を反射する雪原の眩しさに目を細めながら魔理沙はリフトへ向かい、霊夢は手をひらひら振りながら踵を返した。【了】
220
:
名前が無い程度の能力
:2011/11/20(日) 11:51:29 ID:fU9SqcWI0
>>202
「清涼飲料」
小春日和。晩秋の空は静謐に晴れ渡っている。
そんな麗らかな日の午後、紅魔館では門番の紅 美鈴が冬囲いをしていた。
紅魔館の中庭にある花壇を休耕させ、梔子や銀木犀などの庭木は雪吊を施す。
雪吊の技術は、白玉楼の庭師である魂魄 妖夢から教わったものだ。
「よいしょ……これで良し」
最後の一本を吊り終えると、美鈴はふぅっと深く息を吐いた。
作業しやすいようにポニーテールに束ねた赤いロングヘアーが秋風に靡く。
「ご苦労様、美鈴。少し休憩したら?」
縄やハサミを片付ける美鈴に声を掛けたのは、紅魔館のメイド長である十六夜 咲夜だ。
濃紺のメイド服を瀟洒に着こなし、手には缶ジュースを携えていた。
「あっ、咲夜さん。ありがとうございます」
美鈴は普段の中華服ではなく、深緑のツナギを着ている。軍手を脱いで簡単にツナギで手を拭うと、咲夜から缶ジュースを受け取った。
よく冷やされた缶ジュースは、幻想郷では珍品だ。美鈴はそのパッケージをまじまじと見詰めている。
「……何だか黒くて毒々しいデザインですね」
「香霖堂から箱買いしてきたのよ。お嬢様や妹様の好きそうな柄だったし……」
そう言って咲夜は傍らからもう一本同じパッケージの缶ジュースを取り出した。
缶の地色は黒で赤い縁取りを施した白字で『QUAN FUU』と記されている。
美鈴は恐る恐る缶のプルタグを指で開けた。プシュッと炭酸の弾ける音と共に、独特な匂いが立ち昇る。
「……ちょっと懐かしい匂いですね」
「そう? 私はあまり懐かしくはならないけど」
一口飲んだ美鈴は、故郷のユーラシア大陸を思い出したのか自然と頬を緩ませた。
一方の咲夜はあまり得意じゃないのか、イマイチと言った複雑そうな表情を浮かべている。
人の嗜好はそれぞれ、冬の足音が近しい小春日和の午後は長閑に過ぎてゆく。【了】
【参考文献】
ttp://softdrinks.org/request/req2000.htm
221
:
名前が無い程度の能力
:2011/11/20(日) 12:55:13 ID:YZ1wzVxUO
こんなスレがあったんだ。
お題:ぬえ+寺子屋
222
:
名前が無い程度の能力
:2011/11/20(日) 14:36:22 ID:zpNLi.zYO
ファイトスレみたい。
お題『晴天の霹靂』
223
:
名前が無い程度の能力
:2011/11/20(日) 14:58:28 ID:M.S2BpXI0
>>222
『晴天の霹靂』
今日は良く晴れていた。
とても良く晴れていた。
まさに晴天。天晴れだ。
……四季様の気分とは、裏腹に。
「小町ぃッ!」
ああ、四季様のバックに雷が見える。
可笑しいなあ、今日晴れじゃなかったっけ。
「貴方はまた仕事をサボって!貴方はやれば出来るのですからちゃんと仕事をしなさい!
そもそもあなたは仕事の意欲が足りない!何故この仕事をやっているのかと問い詰めたくなるくらいに!」
あたいは今正座中で四季様の説教を受けている。
ああ、足が痺れて来た。雷の効果だろうか。
「あなたは船頭死神に特別に与えられる、"距離を操る程度の能力"も良く使いこなせています!
同期の中でも飛び抜ける程に!それと仕事意欲が比例しないのは何故ですか!」
だって今日は晴れですよ四季様。そりゃあ眠くなっちゃうってもんでしょ。
……とは、正直者のあたいも恐れ多くてさすがに言えない。
「そう、あなたは少し怠慢すぎる。仕事意欲を取り戻し、今回や前回のサボタージュの分の仕事をこなす事。
それがあなたにできる善行です」
そう説教は締めくくられた。
四季様にしては短い方である。その短い期間に、雷によってあたいの足は完全に痺れてしまったわけだけど。
はいすいません、と中身のない返事を適当に言うと四季様は変な目でこっちを見た。
「……本当に反省していますか?」
「はい。反省しています」
反省はしてます。
四季様に嘘は通じない。あたいはただ真実を言っただけである。
「……私の説教の内容を、もう一度、大雑把で良いので、繰り返してみなさい」
「えっ」
やばい覚えてない。あたいは戦慄を覚えた。
あたいは黙る。四季様が苛々するようにこちらを見た。
「……すいません、覚えてません」
「小町ぃっ!!」
ああ、またバックに雷が見える。
まさに晴天の霹靂と言ったところだろうか。
そんな事を考えていたら、また四季様に雷を落とされた。
224
:
鵺+寺子屋 1/2
:2011/11/21(月) 00:31:51 ID:TddhQ57o0
>>221
やってみたら鵺+寺子屋と言うより ぬえ×けーね という異色カプになってしまった
子ども達のいない寺子屋は、静かだった。普段騒がしい彼らがいてこその寺子屋故に、その静けさは一層際立つ。蒼い月の光に浮かび上がる教室。昼間の喧騒が現実ならば、夜の教室はまさに幻想。窓から差し込む幻想の灯りは枠に切り取られ、青一色のステンドグラスを室内に投げかける。机や本立てに遮られればそこは漆黒。立体に遮られる平面の複雑な造形。その蒼と闇のコントラストが、切り絵のようで美しかった。闇の渚、静寂の空間。少女が一人。
別に残業に追われていた訳ではない。ただ、今日は帰りたくないだけ。
憂鬱そうに窓の外を眺める彼女の顔を照らす蒼い光。窓の格子に切り取られ、少女の姿を十字に分かつ。
ふと、少女は夜の香りを感じ、そして額を撫ぜる柔らかい風に窓の方を振り向いた。闇に慣れた目が一瞬遅延して月光になじみ、夜風に泳ぐカーテンレースが目に付いた。
窓があいている。いつの間にだろうか。誰かは、大体予想がついた。
「今晩は、先生。考え事かな?」
ひょこ、と窓枠の向こう側から小さな人影が姿を現す。蒼い月光に縁取られ、逆光に塗りつぶされた小さな影。
「……鵺か」
先生、と呼ばれた少女は目を細めてその人影を見据えた。星明り、月明かり。蒼い光を背に、鵺は歩み寄ってくる。
「さて、本当に鵺でしょうか」
浮かび上がる異様な羽のシェルットが、有無を言わさずその正体を明らかにしているのだけれど。ただし、その顔は確かに逆光に縁取られて正体不明。鵺が窓枠よりも大きく見える距離に来てやっと、彼女の表情が分かった。
「やっぱり鵺じゃないか」
先生と呼ばれた少女は鵺の顔を見てほっとし、そしてその美しさに一瞬息をのんだ。紅玉のような瞳が、宇宙の微かな明りを捕まえて僅かな輝きを湛えていた。透き通るような白磁の肌はこの闇の中にあってなお白く、艶やかな黒絹の髪はきらきらと光の粒を撒き散らしている。いたずらそうな、けれど優しそうな花の唇は微かに湿り、魔性の笑みを浮かべていた。
妖怪と言うのはそういうものなのだろうか。昼間見るよりも、ずっと妖しく、ずっと美しい。同性であるにも関わらず、魅了されてしまいそうなほどに。
「えっへへー、当たり」
鵺は教卓にうなだれる先生の前にコツコツと歩み出て微笑んだ。石鹸の香りだろうか、微かな薬草の香りが鼻をくすぐる。包み込むような……月明かりのような優しい香り。
「それで、元気がないみたいだけど……どうしたの?」
彼女は膝を折り、先生と同じ目線になった。蒼い光を透いて、彼女の紅玉の瞳と目が合う。先生が困ったように目を逸らすと、鵺は目を細めて笑った。
225
:
鵺+寺子屋 2/2
:2011/11/21(月) 00:32:39 ID:TddhQ57o0
「また、自分が誰だか分からなくなった……かな?」
中りだろうか。星と月の優しい光に照らされた先生の顔にやや当惑した表情が浮かんだ。迷いを湛えるその瞳の色は、鵺のものと同じ深紅。半妖だ。満月の夜が近くなると、月の妖力に感応して段々と体が変化していくタイプの。それが故の、戸惑いだろうか。鵺から見ると少しばかり大人びてはいるものの、それでもその顔は迷い恥じらう少女。
「……あぁ、そうだな。あるときは人間、またあるときは妖怪。はたして私は何者なのか……」
月明かりと窓の格子に裂かれた半妖の少女は目を細め、物憂げにつぶやく。小さなため息が思わず口をついて出た。
「何者かである必要はないんじゃない?」
そんな彼女を見、鵺はそう答えた。答えになっていないが、しかし多少なれど気が休まったように感じた。
「おまえは気楽でいいな、鵺」
先生の表情が少し緩んだ。
「正体不明だからね」
鵺が歯を見せて笑い返す。月光に彩られた蒼い幻燈のような彩色でありながら温かみを感じる優しい笑顔。その笑顔に、先生は心の底がぽっと暖かくなるのを感じた。
「そう、正体なんてどうでもいいんだよ。先生は先生」
鵺が先生の白い手を取る。先生はびくっと肩をすくめ、手を引きそうになった。けれど、鵺の目を見ると、心の中に生まれた小さな気恥ずかしさなんてどこかにいってしまった。
「私は……私か。例え妖怪の思考回路に自我を侵されているときでさえ、あるいは人間の思考回路に身を置いているときも。どちらが本当の私か、ではなく全部ひっくるめてという事か」
先生は鵺の目をじっと見据え、まとまらない考えをぽつりぽつりと言葉に紡ぐ。蒼い世界に放たれたつぎはぎの言葉は、目の前の妖怪が全て、拾ってくれた。
「そう、全部。私は、先生が何だろうと先生のことが好きだよ」
夜の闇は、月の明りは。昼間の間ではとても言えないような言葉も抱擁してくれる。故にだろうか、こんな言葉が飛び出したのは。けれども、鵺の言葉はしっかしと先生に受け止められた。
「ありがとう、お前のお陰で少し自信が持てたよ。鵺」
先生は、儚げな笑みを浮かべ、そして鵺の頬に手を触れた。
「どういたしまして。また迷ったら、何度でも自信をつけてあげるよ。慧音先生」
鵺はその手を自分の手で愛おしそうに包み込み、そしてゆっくりと机の上に戻した。
「それじゃ、私は命蓮寺に帰るね」
鵺はコツコツと窓に歩み寄り、そして翼を広げた。一瞬彼女がこちらを振り返ったみたいだが、蒼い光に縁取られたその影では、はっきりとは分からなかった。幻想の夜に、少女は飛び立つ。
そんな彼女を見送りつつ、慧音は胸の底に何とも言えない感情の芽生えを感じていた。
この気持ち、正体不明、測定不能。
2レスに渡ってしまった……。お目汚し失礼しました
226
:
名前が無い程度の能力
:2011/11/21(月) 07:52:12 ID:ae/6Jux.0
>>224-225
夜の教室って幻想的ですよね。素敵なSSでした。
【お題まとめ】
・種 ・ぬこ
・香水 ・やらないか
・靴 ・イワナ
・雪融け ・眼鏡+しみじみ
・松岡修造+妹紅 ・大人バージョン、子供バージョン
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