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【お題で嫁を】お題で簡単にSSを作ってみようか【自慢するスレ】

220名前が無い程度の能力:2011/11/20(日) 11:51:29 ID:fU9SqcWI0
>>202
「清涼飲料」

小春日和。晩秋の空は静謐に晴れ渡っている。
そんな麗らかな日の午後、紅魔館では門番の紅 美鈴が冬囲いをしていた。
紅魔館の中庭にある花壇を休耕させ、梔子や銀木犀などの庭木は雪吊を施す。
雪吊の技術は、白玉楼の庭師である魂魄 妖夢から教わったものだ。
「よいしょ……これで良し」
最後の一本を吊り終えると、美鈴はふぅっと深く息を吐いた。
作業しやすいようにポニーテールに束ねた赤いロングヘアーが秋風に靡く。
「ご苦労様、美鈴。少し休憩したら?」
縄やハサミを片付ける美鈴に声を掛けたのは、紅魔館のメイド長である十六夜 咲夜だ。
濃紺のメイド服を瀟洒に着こなし、手には缶ジュースを携えていた。
「あっ、咲夜さん。ありがとうございます」
美鈴は普段の中華服ではなく、深緑のツナギを着ている。軍手を脱いで簡単にツナギで手を拭うと、咲夜から缶ジュースを受け取った。
よく冷やされた缶ジュースは、幻想郷では珍品だ。美鈴はそのパッケージをまじまじと見詰めている。
「……何だか黒くて毒々しいデザインですね」
「香霖堂から箱買いしてきたのよ。お嬢様や妹様の好きそうな柄だったし……」
そう言って咲夜は傍らからもう一本同じパッケージの缶ジュースを取り出した。
缶の地色は黒で赤い縁取りを施した白字で『QUAN FUU』と記されている。
美鈴は恐る恐る缶のプルタグを指で開けた。プシュッと炭酸の弾ける音と共に、独特な匂いが立ち昇る。
「……ちょっと懐かしい匂いですね」
「そう? 私はあまり懐かしくはならないけど」
一口飲んだ美鈴は、故郷のユーラシア大陸を思い出したのか自然と頬を緩ませた。
一方の咲夜はあまり得意じゃないのか、イマイチと言った複雑そうな表情を浮かべている。
人の嗜好はそれぞれ、冬の足音が近しい小春日和の午後は長閑に過ぎてゆく。【了】

【参考文献】
ttp://softdrinks.org/request/req2000.htm


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