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【お題で嫁を】お題で簡単にSSを作ってみようか【自慢するスレ】
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:2010/02/03(水) 04:16:56 ID:8tvVTYlY0
無精ひげを生やし頭を剃髪した大柄の男は、注文を聞くやいなや手慣れた動作で器を準備する。
同時にあらかじめ一食分に丸められた蕎麦を手早く釜のザルに入れ、茹で上がる間にツユと具材の準備が完了していた。
チャッチャと小気味の良い湯切りの音が響き、熱々なツユが満たされた丼にそば・具が入り、ネギが添えられて完成だ。
「へいおまち! エビ天大盛りにきつね卵つきね!!」
実に数分のうちで2人の前にそばが出された。白い湯気に乗って、ツユの旨味とそばの香ばしさが鼻をくすぐる。
「むふふぅ〜、きたきた。いただきま〜す!」
キスメは箸立てから割り箸を抜き取ると、歯で押さえて割った。七味をひとふりかけてそばを口に運んだ。
そばをすする豪快な音が店に響く。ヤマメも美味しそうに麺をすするキスメに倣ってそばを食することにした。
だが、ヤマメは普段自分が食べているかけそばとツユが違うことを発見した。ここのツユは澄んだ琥珀色で、丼の底が見えるほど薄い。
「あれ? ここって西の…」
「ちゅるる…せや、旧都のそばは東の味ばっかやろ? そばで西の味で商ってるんはこの店だけなんやで!」
「へぇ〜そうなんだ…」
感心しつつヤマメは初体験となる西のそばを口に運んだ。あっさりとした薄口醤油とダシに合わさってそばの風味が口に広がる。
旧都では西の出身はほとんどうどんを好むため、そばを好む東の出身と住み分けが成されているのだ。
「あらっ、美味しい…」
「そやろ! だからうちのオススメゆうたやんか!」
「はっはっは! キスメちゃんは週に2回は来てくれるからね。おっちゃんも嬉しいよ!」
腕を組んで店の親父が豪快に笑った。それにつられて2人の少女も愉快そうに笑い合う。
ガラッ
「おーい親父ぃ、いつもの一杯…ってあれ?」
その時のっそりと店に入ってきたのは、背の高く額に一本の角を生やした鬼の娘と、翡翠色の瞳をして耳が尖った少女だった。
鬼の娘が星熊勇儀、翡翠色の瞳の少女が水橋パルスィ。ともに旧都でキスメやヤマメの知り合いだ。
「勇儀とパルスィ…2人も常連なの?」
「いや、常連は私だけさ。今日はヤマメと一緒かキスメ?」
「ああ勇儀、自分かてパルスィを連れて来るの初めてとちゃうん?」
「まぁ…美味しそうなおそばを食べちゃって、妬ましいわ……」
「はっはっは! こりゃ忙しくなったわい!」
少女4人と親父1人の姦しい声が店に活気をもたらす。
人気の外食も良いけれど、たまにはこうした隠れ家的な店を魅力的だ。
賑やかにカウンターで肩を並べて談笑する友人らを横目に見つつそばをすすりながら、ヤマメは幸せそうに微笑んだのだった。
―――完―――
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