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【お題で嫁を】お題で簡単にSSを作ってみようか【自慢するスレ】

1名前が無い程度の能力:2008/11/26(水) 00:23:45 ID:qDu.RquQ0
安価の人のお題で自分の好きなキャラの妄想をするスレ。

【例】

お題:煙草 キャラ:パチェ

「ここじゃ吸っちゃダメだよな…?」

「図書館の中は禁煙よ」

「…だよな、ちょっと外散歩してくるよ」

「えっ?」

「ほら、パチェも喘息持ちだし、な」

「だ、大丈夫よ、小悪魔、窓を全部開けてきて頂戴、あと○○(名前)に灰皿も」

「…大丈夫か?」

「へ、平気よ。ほら、早く座って、本の感想でも聞かせて頂戴」

「そうか…じゃあここで吸っちゃうぜ」

「え、えぇ」

(…むきゅー)

224鵺+寺子屋 1/2:2011/11/21(月) 00:31:51 ID:TddhQ57o0
>>221
やってみたら鵺+寺子屋と言うより ぬえ×けーね という異色カプになってしまった

 子ども達のいない寺子屋は、静かだった。普段騒がしい彼らがいてこその寺子屋故に、その静けさは一層際立つ。蒼い月の光に浮かび上がる教室。昼間の喧騒が現実ならば、夜の教室はまさに幻想。窓から差し込む幻想の灯りは枠に切り取られ、青一色のステンドグラスを室内に投げかける。机や本立てに遮られればそこは漆黒。立体に遮られる平面の複雑な造形。その蒼と闇のコントラストが、切り絵のようで美しかった。闇の渚、静寂の空間。少女が一人。
 別に残業に追われていた訳ではない。ただ、今日は帰りたくないだけ。
 憂鬱そうに窓の外を眺める彼女の顔を照らす蒼い光。窓の格子に切り取られ、少女の姿を十字に分かつ。
 ふと、少女は夜の香りを感じ、そして額を撫ぜる柔らかい風に窓の方を振り向いた。闇に慣れた目が一瞬遅延して月光になじみ、夜風に泳ぐカーテンレースが目に付いた。
 窓があいている。いつの間にだろうか。誰かは、大体予想がついた。
「今晩は、先生。考え事かな?」
ひょこ、と窓枠の向こう側から小さな人影が姿を現す。蒼い月光に縁取られ、逆光に塗りつぶされた小さな影。
「……鵺か」
先生、と呼ばれた少女は目を細めてその人影を見据えた。星明り、月明かり。蒼い光を背に、鵺は歩み寄ってくる。
「さて、本当に鵺でしょうか」
浮かび上がる異様な羽のシェルットが、有無を言わさずその正体を明らかにしているのだけれど。ただし、その顔は確かに逆光に縁取られて正体不明。鵺が窓枠よりも大きく見える距離に来てやっと、彼女の表情が分かった。
「やっぱり鵺じゃないか」
 先生と呼ばれた少女は鵺の顔を見てほっとし、そしてその美しさに一瞬息をのんだ。紅玉のような瞳が、宇宙の微かな明りを捕まえて僅かな輝きを湛えていた。透き通るような白磁の肌はこの闇の中にあってなお白く、艶やかな黒絹の髪はきらきらと光の粒を撒き散らしている。いたずらそうな、けれど優しそうな花の唇は微かに湿り、魔性の笑みを浮かべていた。
 妖怪と言うのはそういうものなのだろうか。昼間見るよりも、ずっと妖しく、ずっと美しい。同性であるにも関わらず、魅了されてしまいそうなほどに。
「えっへへー、当たり」
鵺は教卓にうなだれる先生の前にコツコツと歩み出て微笑んだ。石鹸の香りだろうか、微かな薬草の香りが鼻をくすぐる。包み込むような……月明かりのような優しい香り。
「それで、元気がないみたいだけど……どうしたの?」
彼女は膝を折り、先生と同じ目線になった。蒼い光を透いて、彼女の紅玉の瞳と目が合う。先生が困ったように目を逸らすと、鵺は目を細めて笑った。

225鵺+寺子屋 2/2:2011/11/21(月) 00:32:39 ID:TddhQ57o0
「また、自分が誰だか分からなくなった……かな?」
中りだろうか。星と月の優しい光に照らされた先生の顔にやや当惑した表情が浮かんだ。迷いを湛えるその瞳の色は、鵺のものと同じ深紅。半妖だ。満月の夜が近くなると、月の妖力に感応して段々と体が変化していくタイプの。それが故の、戸惑いだろうか。鵺から見ると少しばかり大人びてはいるものの、それでもその顔は迷い恥じらう少女。
「……あぁ、そうだな。あるときは人間、またあるときは妖怪。はたして私は何者なのか……」
月明かりと窓の格子に裂かれた半妖の少女は目を細め、物憂げにつぶやく。小さなため息が思わず口をついて出た。
「何者かである必要はないんじゃない?」
そんな彼女を見、鵺はそう答えた。答えになっていないが、しかし多少なれど気が休まったように感じた。
「おまえは気楽でいいな、鵺」
先生の表情が少し緩んだ。
「正体不明だからね」
鵺が歯を見せて笑い返す。月光に彩られた蒼い幻燈のような彩色でありながら温かみを感じる優しい笑顔。その笑顔に、先生は心の底がぽっと暖かくなるのを感じた。
「そう、正体なんてどうでもいいんだよ。先生は先生」
鵺が先生の白い手を取る。先生はびくっと肩をすくめ、手を引きそうになった。けれど、鵺の目を見ると、心の中に生まれた小さな気恥ずかしさなんてどこかにいってしまった。
「私は……私か。例え妖怪の思考回路に自我を侵されているときでさえ、あるいは人間の思考回路に身を置いているときも。どちらが本当の私か、ではなく全部ひっくるめてという事か」
先生は鵺の目をじっと見据え、まとまらない考えをぽつりぽつりと言葉に紡ぐ。蒼い世界に放たれたつぎはぎの言葉は、目の前の妖怪が全て、拾ってくれた。
「そう、全部。私は、先生が何だろうと先生のことが好きだよ」
夜の闇は、月の明りは。昼間の間ではとても言えないような言葉も抱擁してくれる。故にだろうか、こんな言葉が飛び出したのは。けれども、鵺の言葉はしっかしと先生に受け止められた。
「ありがとう、お前のお陰で少し自信が持てたよ。鵺」
先生は、儚げな笑みを浮かべ、そして鵺の頬に手を触れた。
「どういたしまして。また迷ったら、何度でも自信をつけてあげるよ。慧音先生」
鵺はその手を自分の手で愛おしそうに包み込み、そしてゆっくりと机の上に戻した。
「それじゃ、私は命蓮寺に帰るね」
鵺はコツコツと窓に歩み寄り、そして翼を広げた。一瞬彼女がこちらを振り返ったみたいだが、蒼い光に縁取られたその影では、はっきりとは分からなかった。幻想の夜に、少女は飛び立つ。
 そんな彼女を見送りつつ、慧音は胸の底に何とも言えない感情の芽生えを感じていた。
 この気持ち、正体不明、測定不能。

2レスに渡ってしまった……。お目汚し失礼しました


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