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【お題で嫁を】お題で簡単にSSを作ってみようか【自慢するスレ】

124「徹夜」:2010/01/30(土) 00:13:52 ID:GUlGYXt.0
「君がッ泣くまで! 追いかけるのをやめないッ!」
「もう泣いてるから勘弁してよぉぉぉぉおぉぉ」

 前略、お父さん、お母さん。
 貴方達、娘の育て方間違ったと思います。特に姉の方。真顔で追いかけてくる姉は怖いです。ペットもみんなあまりの姉の形相に逃げ出してしまいました。私ですか? ふふ、現在進行形で追いかけられています。どうしてって?
 私が知りたいわ。

「何故逃げるのですか、こいし! 大人しく私に抱擁されなさい!」
「抱擁で終わらない気がするから逃げるんですぅうぅぅ」
 現在地、地霊殿の渡り廊下。この廊下は地霊殿内でも最長を誇る。ばたばたばたばた、スリッパの音が私の悲鳴と共にやかましく響く。
 あんな目が血走った顔で抱擁させろなんて言われて、誰が素直に従うのだろうか。抱擁のままベアハッグに移行されるに違いない。あの勢いだと肋骨まで折られそうだ。第三の眼さえ血走っている。あれは多分ドライアイの所為。
「私が何したって言うの?! 何かお姉ちゃんに悪いことしたなら謝るからちょっと話し合わない?!」
「今すぐ抱きしめたいのです! ただそれだけです! 悪いことがあったとすればこいしのその可愛さが罪!」
「うわぁぁあぁどうしようお姉ちゃん帰ってきてぇぇぇ」

 冷静沈着と残虐非道と冷酷無比を売りにして、地底の嫌われ者の称号を欲しいままにするお姉ちゃん。泣く子も逃げる地底の主。ありもしない黒い噂は幾百にも及ぼうか。地底で古明地さとりと名前を出せば、みんな逃げてくみんな避けてく。名前を呼んだだけで子供は泣くし、声を掛けただけで大人も謝る。嘘みたいな本当の話。嫌われ者の名前は伊達じゃない。
 そんなお姉ちゃんが、家では目を血走らせて妹を追いかけ回しているなんてあってはならない。もう既に絵的に結構厳しいんだぞ。怖いぞ。こいしちゃん泣いちゃうぞ。もう泣いてるぞ。

「何があったんだよぅ、お姉ちゃんの身に何が起こったんだよぅ!」
「強いて挙げるなら徹夜三日目でテンションうなぎ肩上がり!」
「うなぎのぼりと右肩上がりが混じってるよ! ていうかなんで三日間も寝なかったのさ」
「勇儀からゲームを頂いたのです。なんでも知り合いの河童が作ったそうなのですが、遊び方がよく判らないということで譲ってもらったのです」
「地上のゲームですと?」

 そこで急ブレーキ。当然、差し迫っていたお姉ちゃんがスピードも落とさぬまま激突し、転がり落ちるように抱擁へと至る。
 ゲームと言われてはこの古明地こいし黙っておけぬ。三度の飯よりゲームが好きな現代っ子である。
「どんなゲーム?」
「いろんな形をした棒を、画面の下へと溜めて消していくゲームですが……」
「まじでー! やりたいー!」
 冷たい廊下で熱く抱擁しながらゲームの話を淡々を続ける姉妹の図。絵的に結構きつい。
 よく訓練された姉妹はこの程度日常茶飯事なのでこれくらいでは動じない。

「ふふ、良かろう。私がこの三日間で培った技術、とくとご覧にいれてあげましょう」
「あっれー、良いのかなそんな大口吐いちゃって。じゃあ負けた方が罰ゲームってことで」
「では私が勝った暁には、メイド服を着て一日ご奉仕して頂きましょうか!」
「いいよ、だったら私が勝てば、お姉ちゃんを丸一日私の専属ペットにしてあげる!」

 廊下を転がり落ちる姉妹達。地霊殿の夜は深い。



106から地霊殿ばっか書いてたのは自分です。地霊殿勢ばかりになってもあれなので、自分はこの辺でおいとまします。今まで読んで頂いてありがとうございました。


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