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【お題で嫁を】お題で簡単にSSを作ってみようか【自慢するスレ】
159
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/22(月) 19:03:22 ID:8Boh1c9E0
>>158
お題「映画」「未来」「遅く起きたバレンタイン」
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「おっそーい!」
「ごめんごめん」
「反省の色が無い」
「知ってた? 白は反省の色で、紫は怠惰の色」
「前者はともかく後者は何アピールなの?」
白い花の咲いた紫色ワンピースの裾を軽く指で摘み、
白い帽子の彼女は恋人に出会ったお姫様のように一回転して見せた。
「ご飯どうする? 時間ないけど」
「ポップコーンでいいわ。私、キャラメル味」
「おなか膨れない……」
「とうもろこしが膨れるくらいなのよ。私たちのお腹だって膨れるわ」
「植物と違って私たちには色んな栄養素が必要なのよ」
「栄養満点のオレンジジュースも買いましょ」
「偏食ね」
「ヘンショク? 何語?」
黒い影の落ちる街路を、二人は食べ物の名前を並べながら歩いた。
黒い帽子の彼女は空を見上げた。映画の時間は迫っていた。
「バレンタインって知ってる?」
「人の名前かしら」
「大昔のイベントよ。女が男にチョコレートを渡すの」
「へえ。何でまた」
「さあ。栄養素かしら」
「栄養は重要よ」
「そうね。ポップコーンとオレンジジュースね」
映画館は空いていた。完全に貸し切りだった。
上映中の映画は一つだけで、バレンタインに関するオムニバス映画。
二人はキャラメル味のポップコーンとオレンジジュース、
それと聞いた事のないポテトチップスの出来損ないのようなお菓子を購入し、
映画の前半でそれらをむさぼり食った。
「わかんないわね」
「そうね」
映画の意味はいまいち分からなかった。
「私たちがあの時代に生きていたら、あんなのでも感動できたのかしら」
「逆に考えましょ。普通、未来人に見せることを意識して映画を作るかしら?」
「作らないんじゃない?」
「そうよね。だから面白くなくても仕方ないと思うの」
「自分への言い訳ってやつね」
「解説ありがとう」
二人は来た道を戻っていた。
辺りに人通りは無く、空には星が瞬いていた。
「ね」
「なに?」
「来年のバレンタインにチョコを用意するってのはどうかしら」
「どうしてまた」
「私たちもバレンタインの気分を味わえば、あの映画が面白く感じるかも」
「なるほど。古くさい精神論ね」
「で、チョコで栄養補給しながら来年もあの映画を見るの」
分かれ道で立ち止まった。
街灯が弱々しい明かりで荒れたアスファルトを照らしていた。
「わかったわ。来年のバレンタインの日、チョコを用意すればいいのね」
「うん。今日と同じ場所で同じ時間に待ち合わせね。忘れないでよ?」
「カレンダーに登録しておくわ」
「早起きしてよ?」
「早起きするわ」
「ほんとに?」
「ほんとに」
「絶対よ?」
「絶対ね」
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