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【お題で嫁を】お題で簡単にSSを作ってみようか【自慢するスレ】
155
:
名前が無い程度の能力
:2010/02/14(日) 03:18:58 ID:TPgLsRr.0
おでんで永遠亭
「そうか…もう一年…か…」
もう何億年という時を過ごしてきた輝夜は、夕焼けに染まる自室でひとり呟いた。
横になっていた体をはたと起こし、思いついたように台所へと向かう。
「永琳?」
「はい?」
台所では、いつも通り永琳が晩御飯を作ってくれていた。
どうやらもう今日の献立は決まっていたようで、蓋のされた鍋がことことと小気味良い音を立てている。
「今日の晩御飯ってもう決まった?」
「はい、一応決まっていますが?」
「…そうなんだ」
少し気落ちしているような、アンニュイな雰囲気を醸し出す。
こうすれば、永琳が気にしてくれることを予想して。
「何か食べたいものでも?」
「う…んとねぇ、おでんとかどう?」
素直にいえばいいものを、どうにも言いまわしてしまう。
永琳は私が何を頼んだとしても絶対に聞いてくれるとわかっているのに、小っ恥ずかしさが先行してしまう。
私の要求を聞いた永琳は一瞬思案顔になり、すぐに私の方へ向き直り、口を開く。
「…いいですよ。期待しててください。おいしいおでんをご馳走してあげます」
「…ありがとう」
永琳がちょっとの間考えたのは、多分おでんにするかどうかではなく、おでんにすることはすでに決定事項で、すでに作りかけてしまった本来の晩御飯をどう処理するかで悩んでいたのだろう。
本当にありがたいことなのだが、毎日あればそれは普通になり、やがてはありがたみなど微塵もなくなってしまう。
去年の、ちょうど此の日。私は永琳の叱責に腹を立て、永遠亭を飛び出した。
飛び出した、といっても他に行くあてもない私はすぐに戻ったのだが。
その時も永琳はいつもと変わらぬ柔らかな物腰で私を迎え入れてくれた。
そんなこともあったと思い出すたび、つくづく永琳には頭があがらないことを自覚する。
「ただいま帰りましたー」
「たっだいまー」
ガラガラと開き戸を滑らせながら2羽の兎が姿を現した。
「おかえりなさい。ご飯もうちょっとかかるから遊んでていいわよ」
「そんな、お手伝いしますよ」
「えー、いいじゃん遊んでていいって言ってんだし」
途端ににぎやかになった台所から遠ざかりながら、また思い出す。
あの2人も、突然でていって情けなく戻ってきた私をいつもと変わらず出迎えてくれた。
いや、晩御飯を待たされた恨み事は言われたな。
思わず笑みがこぼれる。
「私は幸せなのだな」
「あれ? 師匠、今日はおでんになったんですか?」
「うん、そういう要望があったからね」
「はぁ。でもなんでおでんなんですかね?」
「さぁ、でも気まぐれではなさそうだったけど」
「私知ってるよ?」
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