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チラシの裏 4枚目

182乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2010/05/29(土) 23:37:03 ID:P4nt6f9.0
ビックバイパー擬人化対応表増補改訂版

BP-456Y 初期型
アストリッド・バイパー
ヘルヴェティア・バイパー
ヴェルダンディ・バイパー
BP-8332 第二期型
ジェセニア・バイパー
ヴォルヴィーナ・バイパー
チェレナヴェーナ・バイパー
BP-827Z 第三期型
シュルヴィ・バイパー
スヴェンティーナ・バイパー
トリグラフィーナ・バイパー
BP-5963 第四期型 
コルネリア・バイパー
スラヴィリーナ・バイパー
BP-592A 第四期特型
イレイン・バイパー
トゥリッタ・バイパー
T-301 B 第五期型
カティーナ・バイパー
ヴィーヴィ・バイパー
パスカル・バイパー
T-301 R 第五期特型
オーフェリア・バイパー
セイディー・バイパー
アリアンロディーナ・バイパー
T-302 B 第五期爆撃型
ヤロスラーヴァ・バイパー
ナディージュ・バイパー

183im@s fantasy9 第二章 第四十八話 1/4:2010/05/30(日) 03:31:58 ID:KzSKPJ1U0

果たしてそれはイーファの樹の核となるものなのか。
貴音の計画に加担する樹のモンスター…ザ・ソウルケージとの戦いが始まる。
「我を倒すというならば…相応の覚悟で来るがよい」
精神波での会話と同時に…


「アアアァァァァァァ…」
巨木の体から唸り声をあげる。
「っきゃぁぁぁ!!!」
大気がひび割れると同時に強烈な、粗密の空気の壁が一行を殴りつけ…
ドリルは巨大なハープの後方へと飛ばされる。



「ドリル!!」
美希は飛び、ドリルの腕を掴み…
吹き飛ばされず、立って耐えることに成功する。


「ヴォウェウォォォェ」
低く篭った声で魔法を詠唱…


カッ!!
…と、目を見開き放つ。
「マスタードボム!」


ソウルケージの目線の先にいる者が対象。


その対象は…

「!!」
ドリルだった。


体が急激に熱くなる。
「ぅうっ…………!!!」

光がドリルの体から漏れる。
次々に、ドリルの体が内部から高熱を発する。
40度…50度…そんな問題ではない。


熱さすら感じないほどに、全身が高熱になり、爛れるのだ。
ドリルの色白な皮膚が赤く変色……

「ドリル!!!」
手を引いたが最後だった。



「いやぁぁああああああああああああああああああああ!!!」
内部から焼けたドリルの体は接触しただけで異常に研ぎ澄まされた触覚を刺激。
重度の火傷箇所に手を触れられるとどうなるか?

激痛と共に意識が断絶。ドリルはそのまま倒れた。
「!?」

触れただけの手が…異常な熱を帯びていた。


「フェニックスの尾…!!フェニックスの尾を!」
…全て尽きている。レイズは亜美は使えない。

3人で戦い、ドリルを運びフェニックスの尾で蘇らせる他ない。

184im@s fantasy9 第二章 第四十八話 2/4:2010/05/30(日) 03:32:32 ID:KzSKPJ1U0
「ウォウォゥオワヴォウェ…」
唸るような詠唱がまた始まると…

「ファイラ!!」

「うぁぁぁ!!」
炎の魔法がビビを襲う。

ハープの床は焼けない。木製でも、鉄製でもないらしい。
「ビビ!!」


相手のペースだ。
このまま乗せられては…



「切り刻まれよ」

ソウルケージが樹のような体を捻り、その捻りを反対方向に捻り返すと
身についている葉が振るわれ幹から宙に舞った。


かと思うと…
「二人とも!!」

美希はビビと亜美を抱える。

光を纏い、異常に硬質化した葉が刃となってこちらに飛んでくるではないか。
二人を抱え、しゃがみ、跳び、右へ左へ避け、時に蹴り飛ばしたりなどして対応する。
美希の素早さがあるからこそだ。


攻撃が収まったタイミングで二人を床に下ろし…
「ほっ!」

そのまま垂直に飛び上がる。
そして…
「テンペストだよ!」

盗賊刀を回転させ、ブーメランのように高速回転させ投げる。


「ォォオオオオ」
それはソウルケージの幹を斬り手元へ戻る。
「はぁ!!」
そしてそのまま縦に一斬り。




「炎を使ってくるけど変わらないよ…こいつの体は樹なの!」

防御力は異常に高い。
だが、特に特殊なものというわけではない。基本的には樹である。


「それならこれの出番ってことだね!」
亜美は杖を回転させる。


「…!」
その動作はまさか。

185im@s fantasy9 第二章 第四十八話 3/4:2010/05/30(日) 03:34:39 ID:KzSKPJ1U0
そのまさかだった。
宝石つきの杖を回転させると、亜美を中心に輪が現れる。


その輪は亜美から少し離れた床へと落下……


「おーーいでーーーー!!カー君!」
召喚のためのワームホールとする。

ぴょっこりと現れたのは、頭に紅の宝石をつけたライトグリーンの獣。
「待ってました!!」
イーファの樹を封印していた…マダイン・サリの者ならよく知る召喚獣、カーバンクル。

飛び出したまま、カーバンクルは空中で高速回転……
敵に当たらぬ、こちらの効果範囲内に光を振りまいた。


「ファイラ!!」
「ファイラ」
ソウルケージとビビが同時にファイラを放つ。
双方ともに魔法を向けた向きは同じ…『美希達』だ。


「ルビーの光はリフレクの効果を持ってるんだよーーだ!!」
ほっぺを引っ張り、舌を出し挑発。


自らが放ったファイラ、ビビが放ち反射増幅させたファイラ。
「ォォォォォォ…」
猛火に包まれるソウルケージ。勝負あった…

と3人ともが思ったが。




「ォオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
炎の中からソウルケージが声をあげた。

燃えたのは葉だけ。…本体は燃えていない。


「私が樹であること、それは認めよう だがただの樹ではない…」

ファイラの猛火に耐えるのだから。
ソウルケージは体を振るい……再び葉をカッターにして飛ばし始めた。
炎のついたそれをだ。
「ちょーっ!!そんなの卑怯だよーーー!!」


「う!!」
「あちちちちち!!」
「わぁぁぁ!!」
炎葉乱舞。
防御しきれない。火の粉が辺りに絶え間なく飛び散り、炎の葉も飛び、千切れ辺りを燃やしていく。


「イーファの樹そのものなのにそんなことしていいの!?」
「全ては我が体…再生など造作ない」

そしてまた炎を纏った葉を辺りに散らばらせる。


「ぁぁぁ…!!」
炎は空間を支配する。
3人ともが炎に当たり、炸裂した火の粉でソウルケージに触れられぬ姿となった。


「みんな…!!」
ここでビビが…トランスした。
皆を守るため。黒魔道士をこれ以上生ませぬため。

ビビの体が彼の腰の高さ分ほどまで浮き上がる。
「はぁぁぁぁ…!!」

目を閉じると広げた両腕の、両の掌に魔力が集まる。
そして……


「ファイラ!!」
右手からの猛火でもう一度ソウルケージを焼き……

「ブリザラ!!」
左手からの氷の魔法でソウルケージの葉を凍結させる。


火が消え…二つの魔法で二度の攻撃も行った。
「最後!!」
低く盗賊刀を構え美希はソウルケージに駆け寄り……

「はぁあああああああああ!!!」
縦に一刀両断。

それは一瞬にして凍結した葉の部分を中心から粉砕。
ソウルケージの胴体、幹を下の下までバッサリと切り裂き……


「…」
決着としたのだった。

186im@s fantasy9 第二章 第四十八話 4/4:2010/05/30(日) 03:36:09 ID:KzSKPJ1U0
…美希はすぐさまドリルの元へ。



「…ドリル!!」
全身が大火傷の彼女を抱きかかえ…


「こいつを倒したらこの樹もただじゃ済まないよ!早く脱出しよう!!」
だが。
イーファの樹の深底から…果たして彼女らは逃げられるのか?



そう思っていると。
「余計なことしちゃってごめんよー… オレの穴を使いな!」

穴から、亜美の召喚したカーバンクルが手招きしているではないか。

「…大丈夫かな 穴に詳しいドリルは今眠ってるし…」

けどいちかばちかだ。
…美希達は、カーバンクルの穴へと飛び込んだのだった。







…長い長い、時空の穴を越えて出るとそこはイーファの樹の周囲…封印を解いた大穴前。
「わ、わぁぁぁ…!?」
「…!」

…そこには、ずっとずっと先まで…突き抜ける青空の広がる、イーファの樹の全景があった。

「…こんなイーファの樹見たの初めてだよー!」
「ミキたちの大陸もこれで、平和になるよ…」


焼け爛れたドリルの顔を覗き込むと。
「…う」

瞼が動いている。…ドリルはどうやら生きているようだ。
ほっと一息。

もう、ふとしたことで戦争など起こらない。

…もう黒魔道士という戦争の道具も、生まれない。
そして、

もう…黒魔道士というビビの仲間も、生まれないのだ。

複雑な面持ちで晴れ渡るイーファの樹を、…自分達の決断が、この風景を生んだことを見つめていた。





その時だった。茶色い霧が背後から迫ってくるではないか。
いや…それは土煙。
モーグリのアイが突然、超高速走行で美希達の下へやってきたのだ。


「あのーーーーーーーーーーー!!!」
アイの背後からアイの声がこだまする。彼女は音速を超えている。
「用件を早く言いなさいよ」
ドリルの中から舞が現れアイを小突く。


「亜美ちゃん!!美希さん!!大変です!!!詳しくは知りませんが
 マダイン・サリの大切なお宝が盗まれてるそうです!!モグネットで聞きつけ伝令として来ました!!」
突然の言葉だった。

「ええーーーーーー!!」
「マダイン・サリの…?」

…マダイン・サリからでもこの声は聞こえるんじゃないか?そう思わせる声だった。



「ひとまず重傷の雪歩先輩はあたしが担いで行きます!皆さん急いでくださいね!!!」
超高速のモーグリは消えていった。





…召喚士の村の宝を狙う者とは一体。

187im@s fantasy9 第二章 四十九話 1/3:2010/05/31(月) 03:11:29 ID:rwkYWcGI0
イーファの樹を止め、世界の霧を晴らして戻ってきたマダイン・サリの町。
亜美の家へ戻ると、そこには…

空になった、マダイン・サリの宝箱があった。
「ない…ない!!ええっ!?あっちにもこっちにもないよー!!」



「…亜美ちゃん」
「亜美…!」
確信は勿論持てないが、予想はついていた。


道中、その宝について亜美に聞いてみたのだ。
驚くべきことが解ったのだ。



その宝は、眩い輝きを持つ宝石『追憶のイヤリング』
…それは何と、ドリル…雪歩王女の持っていた『銀のペンダント』に使われたものと同じ石だったのだ。
クリスタルだと。


アレクサンドリアの『銀のペンダント』
リンドブルムの『天竜の爪』
ブルメシアの『砂漠の星』

霧の大陸の三強国それぞれが持っていた3つの国宝は…
4つあわせると一つの形になると小鳥は言っていた。


3つでは足りない、欠けた一つがあるかもしれない。
その一つは果たしてどこにあるのか。
様々な候補が挙げられたが…まさか、こんな場所にあったとは。




「それが本当なら、それを盗んだ人はきっと…」



亜美が飛び出していく。
「待って!!」
「危ないよ!!」

それを追おうとしたその瞬間にはすでに遅かった。
「わぁぁああああああ!!」

亜美の叫び声。
もう家の手前で待ち伏せていたのだろう。




「くそっ…!!」
「亜美さんを助けよう!」


外に出るとそこには…
「皆さんお揃いのようね」

188im@s fantasy9 第二章 四十九話 2/3:2010/05/31(月) 03:12:01 ID:rwkYWcGI0
春香に雇われた賞金稼ぎ…尾崎の姿だ。
「この子にはスリプル草を直に嗅がせて眠ってもらったわ
 あと3時間は起きないわね」

目立つ大きな斧も相変わらずだ。


「見つけました!!」
尾崎の姿が暗くなる。


尾崎の脳天めがけ、フォークが降ってきたのだ。


「ふ」
つるし上げた亜美を頭上に掲げる。


「は!」
やよいは岩壁を蹴り、とっさに軌道をずらす。
「私相手に、互角に戦える者がいたなんて」
亜美を掴んだまま、もう片方の手で巨大な斧を振り…

「…!!!」
落下してきたやよいの腹から胸までを一気に刺す。
「…」

斧を振りやよいを投げ飛ばす。血飛沫が顔にかかる。
そしてそのまま亜美の首元に斧の刃をつけ…
「クポーーーーーー!!!」
奇襲をかけて現れたマミを蹴り飛ばす。


「…どうしてそこまで。」

尾崎は後方…家のそばに流れる滝近くまで跳んだ。
「今は戦争中だってこと、忘れたのかしら?」
「異大陸まで巻き込んでまでするものなんですか」
「大切な人のため、私の夢のためだもの、仕方ないじゃない
 …前も言ったとおり全部、あなた達のせいなんだから言われる筋合いもないわね」


斧の刃先を僅かにずらすと、亜美の鎖骨辺りから赤いものがにじみ出た。
「あなた達が来てくれて助かったわ。さあ雪歩王女。ペンダントを渡しなさい
 これであなたの姉からの命令は達成できるの
 これ以上誰にも苦しませる必要はないわよね」


ドリルは一歩前に出る。
「投げてよこしなさい ずらしたらこの子の命も、そこで倒れた子を助けるチャンスもないわよ」


ドリルでは腕力不足。…美希はペンダントを受け取り、滝の向こうの尾崎めがけて投げる。
亜美を下ろし、ペンダントを受け取る。

「いい子ね それじゃ私はこのまま退散させてもらうわ お互い、わざわざこんな所までご苦労だったわね」


亜美を投げ、尾崎は消えようとした…その時。


「…!」
ポケットにペンダントとイヤリングが…二つのクリスタルがない。





「無駄が多すぎよロン毛」


石で出来た亜美の家の突端。
ペンダントとイヤリングを手にした、派手な服装の金髪の少女の姿があった。
「鈴木さん…!!」



「地味な名前だ」
「地味だね…」
「そんなこと言ってる場合かなぁ…」



「…ペンダントとイヤリングを返して欲しくないみたいデスね」
むすっとした顔で言う。



「…今までどこにいたの」
「アレクサンドリアの奴らを倒すのに手間取ってたんデス
 3対1だけど一人一人が結構な実力者で」



暫く顔を眺めていたドリルはあっ、と声を漏らす。

「トレノで見たことがある…! 確か…賞金首の…」

189im@s fantasy9 第二章 四十九話 3/3:2010/05/31(月) 03:16:36 ID:rwkYWcGI0
「…トレノ…?」
たびたび行く美希も知らないようだ。
「なんで美希ちゃんが知らないの!?」



「手配書が目立っていたから聞いてみたら教えてくれたの。
 トレノじゃ知らない者のいない凶悪な子だって。
 元・トレノの上流階級の生まれだと聞いたけど今は貧民街に潜んでいるっていう…
 モグネットでモーグリたちが噂する、伝説の賞金首……通称、」




「サルモネラ!!」
「サイネリアデスよ…」

少し合っているのだが。




「それよりロン毛、どうするの?これ以上非道なまねをするならアタシが受けて立つけど。
 そのク族の子と戦った後でアタシと戦って勝てる自信ある?」


「…く……」
尾崎はそのまま消えていった。




「サラダバーさんが何でここに」
「サイネリアって言ってるでショ
 アタシの顔を忘れたとは言わせマセン。決着をつけに来マシタよ」

静寂。




…そしてもちろん美希は首をかしげた。…名前すら忘れていたのだから。
「?」
「忘れたってオチは無しデスよ」


どうやらそのようだ。



「短くまとめて話して欲しいなサンタマリアさん」
「サイネリアデスって!!……もういいデス」


頬を膨らませる
「とにかく、アタシはアンタを倒すべく、センパイを助けるべく
 春香女王の依頼を受けたって訳。」

「センパイ……リンドブルム劇団の絵理って子?」
「そっちの話の方が通じそうね
 まさかアンタとセンパイが同業者だなんて知らなかったデス」



目を瞑ると思い出される、いくつもの『あの日』や『その日』。
強盗の汚名を着せられた夜…リンドブルムで行き倒れていた所をかの人に助けられたあの朝のこと。


「サンダーボールさん?」
「違いマス
 アレクサンドリアの将軍も隊長も、ブルメシアの龍騎士も傷ついてはたいしたことありマセンでしたね
 もっとも、全力の状態なら戦ってあげても良かったんだケド。」

「…アレクサンドリアの将軍…隊長…ブルメシアの龍騎士…!?
 千早さんとあずさとまこっさんのこと!?」
「知り合いらしいデスね …偶然話に聞きまシタ」


サイネリアは両の拳を突き合わせる。
「さ、アタシはあのロン毛みたいに他人を巻き込みはしマセン
 恨みのあるアンタとの一騎打ちで済ませてあげマショウ。

 …負傷してたとはいえ、アレクサンドリアのあの将軍を2人つきで負かす力はあるから覚悟はしててくだサイね。
 勝ったらそのイヤリングとペンダント、返しマスから。 …街を壊すのも無粋、こっちデス」

「解った、受けて立つよサラマンダーさん!!」
「違…わない気がしなくもないけどやっぱり違いマス!!!」


超低身長の、身軽な体で飛ぶように跳んでいった。
サの字であるだけでこのポジションになったことも知らずに。

190im@s fantasy9 第二章 第五十話 1/3:2010/06/01(火) 00:12:22 ID:3jLXaHSw0
マダイン・サリの街の外。
乾いた荒地で、二人は戦いを始める。


「ただのモグネット・アイドル…略してネトアと思わないことデス!!」

モーグリだけが行えるはずのモグネットにたまに、モーグリスーツを着て参加することがあるらしい。
どうやらサイネリアと…そのサイネリアがセンパイと呼ぶ絵理はそうらしい。

サイネリアの手には手甲…指先には5本の鋼鉄爪。



「さぁぁあ!!!」
「はぁぁ…!」
地を蹴り…跳躍。


「行きマスよ!!」
「てあぁぁ!!!」

着地点から盗賊刀とミスリルのグローブのぶつかり合い。
衝撃波と共に二人は回転、距離を取る。戦闘開始だ。



「ふんっ!」

斜め下前方、地面に向けて拳をつくサイネリア。
そこから地面が隆起し…
「はぁぁああ!!」
爪で粉砕、土を飛ばす。


「!」
ランブルラッシュでそれを砕く。
砕き、砕き…

「はぁ!!」
大きな塊を、刃を立てずに殴りつけ飛ばす。


「!!」
至近距離でそれは拳で割られ…
中からサイネリアが姿を現す。

「ぅぉ…」
身を屈めそれを避けると…
「ヴォルテックス!」
盗賊刀を回しながら上昇していく。


「うわ!」
先手が決まった。


勢いよく空高く打ち上げられるサイネリアの体。
だが…

191im@s fantasy9 第二章 第五十話 2/3:2010/06/01(火) 00:13:05 ID:3jLXaHSw0
「!」
続けて飛びあがった美希の目が眩む。
太陽?いや、方角が違う。


鋭いギル硬貨が天から降ったのだ。
「わ!!」

硬貨が…金が、刺さる。元セレブならではか。
「お返し!」

そのまま回転、爪で切り裂き地面へ叩き落とされた。
「ふう」
5回転し、サイネリアも地面に着地。




「…」
サイネリアが走り始めた。

右へ、左へ、奥へ、前へ。
目にも止まらぬ高速のステップを踏む。


「は!!」
そして背後に来たタイミングで爪で斬りあげる。
「う」

そしてもう一度。


「やぁ!!!」
「ふん」
こちらから行ってもかわされ…
「うっぐ…!」
腹に拳を打たれるだけ。



「う…」
よろめく。


…この戦法を続けるつもりのようだ。
「単調じゃないー?」
「単調にしてるのはこれを避けられないアンタのせいデス」

動きが速まる。
最早ついていけないか…そう思ったとき。



「何だあのでっかいモノ…」
美希は地面にある光るものを指さす。


「?」
「う”ぁ”あ”あ”あ”」
その隙に獣のごとく襲いかかる。

これぞ秘技『あれはなんだ』。
もちろん、ここで落ちているものなど、先ほどサイネリアがぜになげしたギル硬貨くらいのものである。
だがサイネリアは気づかなかった。そのあまりに歪みのない演技に。



「さすがは役者デスね!!」

192im@s fantasy9 第二章 第五十話 3/3:2010/06/01(火) 00:13:52 ID:3jLXaHSw0
「刀魂放気!」


予備で持っていた盗賊刀・オーガニクスを両手で持ち前に突き出す。
すると真っ黒な力がオーガニクスから放たれ…

「目が…!」
サイネリアを包んだ。視界が真っ暗な闇で覆われる。


「隙…」
オーガニクスをテンペストで投げ…
「あり!」

ルーントゥースでサイネリアの体を切り裂く。



「う…」
サイネリアはよろける。

「おまけぇ!!」
地上から跳び、ランブルラッシュを決める。

盗賊刀で四連斬り、その後三回連続で叩く。
そして…

「ぃやあああっ!!」
「うううーっ!!」
渾身の一撃。

サイネリアは遠くまで飛んでいった。



「く…」
ゆらりとよろめく。

暗闇に加え連続攻撃。こちらの優勢…勝利は目前。そう思われたが…

「…う…!!」
サイネリアの視界…暗闇に、真っ白い光が浮かんだ。

ペンダントとイヤリング、二つのクリスタルが放つ輝きは視界の闇をも射抜くらしい。


そうだ。この光だ。
この光がある限り…
「負けられマセン…」

美希が跳ぶ。最後の一撃を決めに。



この光は、絵理を助け出すためのクリスタルが放つもの。
これがある限り諦められない。その光こそが今は彼女のセンパイ、絵理に等しいのだ。
「負けられマセン!!!」

「っきゃああああ…!」

美希の体が突如として吹き飛ばされる。
サイネリアの体が、突如として激しく発光し始めたのだ。



「はぁああああああああああああああああああ」
その色は紫。


「あれは…」
ドリルが思わず口を覆う。

…明らかだった。その光は…




「トランス!?」



紫色の光の中から新しいサイネリアが姿を現した。

爪が、服が、髪飾りが……
全てが体と混然一体となった…そういう形をした『生物』としての姿。



隆起した背骨が翼のよう。
「はぁああああああああああああああああ!!!!」

地面に突き立てられた拳を中心に、衝撃波が発生。サイネリアの周囲50mを吹き飛ばす。

193im@s fantasy9 第二章 第五十一話 1/3:2010/06/01(火) 00:14:40 ID:3jLXaHSw0
「あああああああああああああ!!!」
超高速で近づき、爪で斬りあげる。


「わぁぁあ!!」
凄まじい力は打ち上げる方に働いた。
鮮血を撒き散らしながら美希の体が宙へ浮く。



「あ”あ”ああああ!!」
サイネリアが拳を頭上へ突き上げると拳を中心に真っ黒なフィールドが生成される。


暗黒の、高重力空間。
重力魔法として知られる『グラビデ』と同じものだ。



「う!!」
地が、岩が、枯れ木が剥がれ次々にサイネリアの拳に一瞬にして集まる。
それは直径50cmほどの巨大な球になっていた。






そして美希も引き寄せられる。
地面への自然落下も乗せて。

「たぁぁぁああああ!!」
あらゆる物を寄せ集め巨大なグローブと化したサイネリアの拳が美希に激突する。



拳に集まった物体が一瞬にして粉砕される。
美希の体も激しく乾いた地面を転がる。

194im@s fantasy9 第二章 第五十一話 2/3:2010/06/01(火) 00:16:47 ID:3jLXaHSw0
「やぁあああああああああああああ!!」
落下するより早く、サイネリアは美希を追い跳ぶ。

「…う」

何とか、足を地面に下ろし踏ん張る。
目前にはサイネリア。


「はぁああ!!」
サイネリアが爪を突き出してきた。

その爪の間にルーントゥースの刃を挟み込み
「!?」
ぐるりとルーントゥースを捻り
「う」

弾き飛ばす。
「うぁあああああああ!!」
サイネリアの小さな体はたちまち吹き飛んだ。

「……く」
立ち上がる。

「冷静になりなよ」
構える。

「…センパイを助ける手段を失うわけには行きませんカラ」
方法は違えど、どうやら絵理という人物を助けるために必死になっている点は同じらしい。

「勝てるもんなら勝って見なさいよ!!」
サイネリアが本気になった。
両足両足を開き、目を見開く。

「これ以上強くなるつもりなの…!?」

炎のごとき闘気に包まれる。
それと同時にサイネリアの傷が見る見るうちに塞がっていく…
「行きマスよ!!」



ドリルは見ていた。
「…凄い生命力… ただじゃ倒せないよ
 ……何とかしてくれないと…回復のペースに間に合わない!!」


だが速さはサイネリアが数段上なのだ。

「はぁぁぁあああああ!!!」


右前方、左後方、右後方、左後方、右前方、真後ろ、左前方、真上、真右、左後方、右前方。



次々に移動し爪を使い切り裂いてくる。

「…!!」
ペースが速い。
相手は恐ろしいペースで傷を癒しているというのに。

凄まじい速さの回復とダメージ。一気に差が開く。



だがここで。
「はぁぁああああ!!!」
美希の髪が短くなる。トランスだ。


「!」
トランスは今まで、よほど実力の開いた相手を除き必勝パターン。
しかし相手もトランスし、その上で驚異的な生命力を持つ相手にも果たして通用するのだろうか。

盗賊刀を振りかざし、美希はサイネリアへダッシュする。
一方のサイネリアも美希へダッシュ。


交差。

「うぐ…」
サイネリアの胸から鮮血が飛び散る。

「…」
一方の美希には何も変化なし。


そう思われたが。
「う!!」
突然、血を吐き始めた。

195im@s fantasy9 第二章 第五十一話 3/3:2010/06/01(火) 00:19:35 ID:3jLXaHSw0
「流石の生命力デスね、もう効果が現れマシタ。 一応勝ちにはこだわらせてもらうわよ」
振り向く。
「…どういう…?」

「この拳は出来れば使いたくなかった。 アタシの奥義、『秘孔拳』
 これを食らった者は例外なく、時間を置いて心臓が破裂するという暗殺拳」

「直に…」
血をぬぐう。
「死にたくなかったら、アタシとの決着をつけて
 そこにいる娘にレイズでも唱えてもらうことデスね」

サイネリアは構える。
「…逃げないの?」
「逃げ回ってこうやって勝っても楽しくナイ これを使ったのはアンタの死に物狂いの力を引き出すため、
 そしてアンタのトランスが解けて尚決着がつかなかったときのため」

拳を握る。
「トランスの解けたアンタと戦い続けるのは冷めマスから」

早く決着をつけなければ。美希はもうすでに動いていた。
「タイダルフレイム!!」
まずは地を切り裂き炎の洪水。

「!?」
炎に包まれたサイネリアが押し流される。


「フリー……」
右手の拳に左手を沿え、後ろへと下げ…
「エナジー!!」
溜めた力を解放する。


「な!!」
自由自在…飛行せず、視界の範囲のどんな場所からでも爆発させることの出来る力。
一発、二発、三発、四発、五発…


「シフトブレイク!」
サイネリアの体に雷を集中。

「うううう…」
そして足元から一気に大洪水を巻き起こし、水の力でサイネリアを巻き上げる。
「雑魚散らし!」
「ストラサークル5!!」

同時に技を放つ。
美希はサイネリアの落下地点めがけ、巨大な竜巻を発生させる。
サイネリアは落下しつつある体を高速回転させる。

「…!!」
回転の方向は反対。
サイネリアは不可思議な魔法の竜巻へ飲み込まれていく…
しかし。

「はぁああああああ!!!」
サイネリアが竜巻を貫いた…
回転をねじ切り更に回転数を増し、鋭い爪で美希に襲い掛かる!

「う!」
勢いよく回転した、切れ味の良い渾身の爪は刺さることはせず。
ルーントゥースを粉々に粉砕。
美希を抉り斬った。深く深く、腹の奥までを。

「…!!!」
そして散らばった盗賊刀と美希の体は
きりもみ回転を起こし、宙へと巻き上げられる。


「美希ちゃん!!」
「美希姉ちゃん!」
美希はそのまま地面へ力なく叩きつけられる…

「…!」
かと思われた。



「!!」
回転が止まった瞬間、突如として、飛び散ったルーントゥースの破片が眩い光に包まれ…


「な…」
空から、意思を持ったが如く正確に、一直線にサイネリアの元へ四方から飛んできた。


「う………くう…!!!」
ぐさり、どすり、ごすり、ぶちゃり。

四方からサイネリアの体に刺さった光の刃は地面へ到達……。
そしてその瞬間、地面が大きく大爆発…


粉々に砕け、巨大なクレーターを作り出したのだった。

196im@s fantasy9 第五十一話 1/4:2010/06/01(火) 02:26:59 ID:3jLXaHSw0
トランス時だけ使える美希の技、『ミールツイスター』を受け…
「………」
焦げ付いた血溜りの中で倒れるはサイネリア。

「…う」
だがその驚異的な生命力で傷を塞ぎかろうじて立ち上がった。




「ごほっ…」
よろめく。最早戦う力はないだろう。

「…どうやら、決着みたいデスね
 ペンダントと…イヤリングならそこにある。
 …持っていきナサイ」



「…解った」
美希達はそこへ向かおうとするが…
「…待ちナサイ」

「……トドメは刺さなくていいの?
 そうじゃないと決着にはなりまセンよ」


美希は腹を押さえながらも言う。
「もう勝負なんてついたようなもんだよ
 そっちももう持ち前の生命力が働かず、普通にピンチなみたいだし」



「…何か忘れてマスよね」



「……!!!」
激しい出血と内出血。


美希はそのまま、目を見開き地面に倒れた。
「美希ちゃん!!」


「…馬鹿な奴デスね
 早くトドメを刺せばアンタの勝ちだったのに……」



よろけながら、サイネリアがその場を去っていく。
「待って…クリスタルを持ち去るつもり…?」

「負けを認めたつもりだったけど… コイツが早くアタシを殺さないから。
 アイツは自分の甘さに負けたんデス」
歩いていく。



ドリルはレイズで美希を再生させる。
「……」


ビビが口を開く。
「…美希お姉ちゃんが自分の甘さに負けたっていうなら、
 そっちの勝ちでもないんじゃ…」

立ち止まる。
「口の達者なガキですネ…
 ……けどそれならどちらの勝ちでもない、って?」
「…」



「いいデスよ。
 けどルールは、『勝ったら返す』って物デシタよね?」

「あ!! …そ、それは…」
「別にいいわよ。
 アンタ達と違ってこっちはピュアなの そんな卑怯な真似はしマセン。
 下手にここに放置して、またあのロン毛に取られたりしたら最悪デス

 …グダるのも何だし、今日はここで引き上げてやりマスか」

サイネリアはクリスタルを残し去っていった。







現在、やよいと美希はそれぞれ瀕死。
二人とも、亜美の家で休ませることとなった。

197im@s fantasy9 第五十一話 2/4:2010/06/01(火) 02:27:41 ID:3jLXaHSw0
「………」
ドリルは一人、ボートに乗っていた。
亜美の家の地下から。



「……美希ちゃんが大変なのに私、今は何も出来ないよ…」

ボートの中で膝を抱え、一人で波に揺られる。


「………夕日、きれいだなぁ」
町の外へ。


ここからでも、石作りのマダイン・サリの全景は見える。
…召喚壁が目立つ。



「…?」

耳をすますとかすかに何かが聞こえる。
…歌声。

以前…ダリの村でドリルが歌っていたものと同じ。




「………この歌…は」
町から聞こえる。…どうして。
アレクサンドリアの中の誰も、この歌を知る者はいなかったのに。
いや…今まで出会った…誰も。



「…私…この夕日を…」

見たことがある。






頭が痛い。
…記憶が…記憶がフラッシュバックする。



「…う…」
赤々と燃える火。


荒ぶる波。


「…」
吹きすさぶ嵐に崩れる土壁。




マダイン・サリの惨劇。
……そして嵐の中心、雲の上にあったもの…


「………!!」
それは。








「ゆきぴょんが気を失ってる!急いで!!」
ビビと亜美、マミが家の中へ運ぶ。

それから暫く。
ドリルが、目を覚ました。



「……みんな」
美希ややよいの傷は動けるレベルにまで回復していた。

「…何があったの?」




全てを話すときがきた。

198im@s fantasy9 第五十一話 3/4:2010/06/01(火) 02:28:11 ID:3jLXaHSw0
「私ね…小さい時の記憶がないんだ」
「……え?」


「4歳以前の時の記憶。
 ただ忘れてるだけだと思ってたんだけど…今日、わかっちゃったの」



「…アレクサンドリアで育ったのは本当だよ?
 けど…けど。…それは4歳の頃からだったんだ」

美希は話す。
「…4歳……それまでは…?」



「私は……ここで生まれて、その時まで育ってたんだよ
 マダイン・サリで。」


記憶がない理由。召喚の力を自分が持つ理由。大陸の誰も知らない歌を自分が知らず口ずさんでいた理由。



「……マダイン…サリで…?じゃあ…」

「うん。12年前にあった、この町が壊れたあの時に、
 私はアレクサンドリアからお母さんと一緒に逃げ出したんだ
 …凄い嵐の中を、私がさっき倒れてたような船でね。」


「クポポ…。」
「…ゆきぴょんが…この村の…
 …でも、それなら何で角がないの?」



「解らない。…小鳥さんならきっと、何か知ってるんじゃないかな
 角のことも…知っている限りの召喚のことも…
 船で死んだ、私のお母さんも」

「……アレクサンドリアの女王…じゃない、母親?」


「同じ頃に死んだって言われてる。当時難病にかかっていた、
 本物の王女…春香姉さまを助けるために、禁呪に手を出して。

 姉さまは助かる見込みがないからと、
 お城の人たちが政的に狙われる危険性があるからって隠されていた
 春香女王の妹のことを世に話した、っていうお話なんだけど…
 …本当は、王女でも何でもなかったんだね。

 母さまが死んで、姉さまが助かって…私の存在は世に知られたままだから、
 そのままの成り行きで二人の王女っていう形になったらしいの。」



「…」
「姉さまは優しかったよ。礼儀作法も知らない私に色々教えてくれて。
 …自分も、女王になって色々忙しかったはずなのに。」



家族だと思ってた人は家族じゃなくて…
本当の家族は死んでいた…。

ドリルが抱えたショックは大きいものだろう。
「…だからね」


「…私、早く貴音さんを止めなきゃならないんだ
 姉さまを助けるために。」




話を聞いていた亜美が口を開いた。
「…ゆきぴょん」
「うん?」


「…おかえりなさい!」

「うん、…ただいま」




「…亜美、決めたよ
 大人になるまで村を出ちゃダメだって言われてたけど…

 みんなについていく!」


おぼろげながらも思い出された過去。

美希、ドリル、ビビ、亜美、やよい…
5人は、次の戦いを最後にするべく、その夜をすごすのだった。

199im@s fantasy9 第五十一話 4/4:2010/06/01(火) 02:28:50 ID:3jLXaHSw0
そして、出発。
瓦礫のマダイン・サリを行こうとすると…



「ちょっと待った!」

昨日聞いた声が現れた。




「…サンポール」
「サイネリアよ!!」



「あー!亜美を捕まえた人だ!
 何何ー!?ミキミキに性懲りもなく挑みにきたの!?」


「あれくらいで勝ったとも負けたとも言わないで欲しいデスね
 最後まで立ってたのに、クリスタルを置いていってあげたのは誰だと思ってんのよ」
「ううううう!!」


「で、何しに来たのサロンパス」
「サイネリアデスって。
 アンタにしてやられた感じがどうにも気に食わない。
 …あのロン毛に付き合うのも、クリスタルがアタシの手を離れたままもシャクだし
 これから旅さしてもらいマス」


「…この暇人!」
「何デスかこのチビー!!」
「どう見てもサラダ油の方がチビでしょ!いい歳なのに!」
「じゃあ半端なチビ!」
「これから成長するもん!!」

亜美とサイネリアはすぐにでも戦闘を始めそうだ。


「いいよいいよ、人数が多いほうがいいし。
 …で、サゴジョウさん。いいの?これから戦う相手知ってる?」


「貴音デショ?
 アイツ、トレノで一番の金持ちのキングと同一人物なんデスよ」
「ああー、確かあそこに盗みに入ったことが」
「何でそれを覚えててアタシを覚えてないかな。
 まぁいいデス。モグネットによるとちょっとこれから楽しいことになりそうだし
 見物も兼ねて、ね」




「むーーーーー…」




こうして仲間は6人に増え…決戦の地、イーファの樹へ。



「楽しいことって何?」
「…この大陸に来てるらしいんデスよ
 ……アレクサンドリアが…」


「春香女王がね」

200im@s fantasy9 第二章 第五十二話 1/3:2010/06/03(木) 01:17:58 ID:VtqHco6Y0
一行は貴音との決戦の地、イーファの樹へ。
だがそこにアレクサンドリア軍もいるという…

決戦までの道中、ドリルはサイネリアに聞いてみる。
「…ねぇサイネリアさん」
「何ですカ?」


「…千早ちゃんや真ちゃん、あずささんとも戦ったんだよね」
「まぁ楽勝デシタよ
 アタシと同格くらいには強いだろう一番腕の立つ奴は疲れきってて…
 残りの二人はついで程度の強さしかない位かな」


「…殺したの?」
「そこで3人を殺すようなアタシなら、昨日ロン毛からも庇わずアンタ達をそのまま殺してた所デスね」


「…そう、か 生きてるんだ…」
「あの状態でこんな大陸のど真ん中に放置となると危険ではありマス。生きていると断定は出来マセン」


「…けどあの3人なら大丈夫だよ」
「うん、私もそう思う。…どこかで会えれば、傷を治してあげて戦力になると思うんだけど…」
「…再会もそこそこに即戦力に?道理ではあるけど、人遣いの荒い姫様デスね」
「…そ、そういうつもりは…」

「『つもり』?発言の真意がどうこうより姿勢だと思いマス
 謝罪じゃなしに自分を守る言葉から… これからあの国はどうなるやら」


…場の空気が重くなる。
「…けど『これから』ってどういう意味?」
「……いーえ?別に… この戦争の後に、世間的には元凶たる女王の妹の立場となると
 それなりのご覚悟が必要なんじゃないデスカ?ってね」

本当にそれだけだろうか。



話しながら、イーファの樹へたどり着く。



「霧がないからモンスターも消えてるはず…急いでいかなきゃね」
「…霧がない?この大陸は元々霧なんて…」


「霧の大陸の霧はここで作られたんだよ。けどみんなでイーファの樹の本体を倒して止めたの
 もう戦争もモンスターもあの大陸じゃ起こらないと思うな」


「………霧を…止めた…!?」

サイネリアもにわかには信じられない様子。





と。

「ふふ…快晴の空に霧も最早ない、か…
 いつもより一層、イーファの樹が美しく見えますね…」




美希達の視界の遥か上空に…銀色の翼が現れた。

…銀竜。

201im@s fantasy9 第二章 第五十二話 2/3:2010/06/03(木) 01:19:33 ID:VtqHco6Y0
「まさに今日という日のための美しい青空…
 私がこれまでの偽りの仮面を捨て、新たなる私を知らしめる日。
 …今から笑いを堪えることが出来ません」

そしてその上に貴音…霧の大陸の戦争の黒幕が…。



「…イーファの樹の…幹の上の方に行ったよ!!」
ビビは暗闇で見えぬ目をこらす。


「葉のちょっと下辺りか…」
「あれ葉っていうのかな…?」

そして一行は根を渡る。



「結構近づいたつもりなんだけど…」

幹の近くまではやってきた。
だが…昇る術がない。



「……………」
ひとまずサイネリアに何とかならないか視線を送る。



「何でアタシに」
「いや、力ならありそうだなと思って」
「アンタたちほとんどアタシより背高いデショ!!」

「…けどどうかなー ドリル一人ならミキがおぶって行けるけど他の皆は……」
「…」



「…ここで戦うメンバーを決めておくってのはどうデス
 アレクサンドリアとの対決もありマスし、4人くらいで」



「…仕方ないね」

だがメンバーは選ぶほどでもない。
美希とサイネリアは戦闘要員。ドリルは召喚がある。
「残り2人…」

「白魔法が使える亜美に…幅広い戦い方の出来るやよい、安定したダメージを与えられるビビ。」

時間はない。直感で選ぶこととなった。
「……やよいかな、いざって時の力が強いし」
「わかりました!!頑張りますね!!」


「それでこの4人だけど…ミキはやっぱりやよいをおぶるよ
 サロゲートさんは普通に昇って。ドリルだけど…」
笛を吹く。


「呼びましたかーーーーーーーーーー!!!」


地の果てからアイが現れた。
「アイの力ならドリルをおんぶするくらい簡単だよね?お願い!」
「雪歩先輩をですね!はい!解りました!!!」
「え?あの、こんな小さい子に…ひゃああ!!!」

片手でドリルを持ち上げる。
「いきますよーーーーー!!」
「やめてぇぇぇぇぇぇぇ」
そして、幹の上へ。



「力なき者は力を持つ者の前には無力… そしていつも生き残るのは力強き者
 それが自然の摂理。 ふふ…実に長かった。」



「貴音!!」
幹の上で対峙する。

最後に戦うべき相手…貴音に。
「ほぅ…このタイミングで現れるとは思ってもみませんでした」

「私はアレクサンドリアの王女、雪歩。
 あなたにお聞きしたいことがあります」

「今更になってですか?聞きたいのは戦争の黒幕が私ということか、それとも黒魔道士達を作り出したのが私であることか」
「どちらもです」


貴音は銀の長い髪をかきあげる。
「残念ですが…どちらも私では御座いません」

202im@s fantasy9 第二章 第五十二話 3/3:2010/06/03(木) 01:20:38 ID:VtqHco6Y0
「黒魔道士は私から、かの女王・・・あなたの姉にその製法を教えたに過ぎませぬ
 魂を寝かせた霧という名の豚骨スープを煮込み… 人形という器の中に、黒魔法という麺を入れるのです」
「やめて…!!」

「塩の方がお好みですか?豚骨なら理解していただけると思ったのですが
 私としては味噌や醤油…キムチなども」

「ふざけないでください!!」
「聞きたいことをお話しているのに身勝手な方です…
 魂の絞りカスから出来た、心なき人形ですよ?らあめんに例えるのも本来汚らわしい」
「…魂の絞りカス……まさか霧!?」

ソウルケージも似たようなことを言っていた。霧は何かを作る際に生じた廃棄物であると。
「あなた方が知るには早すぎるのではないでしょうか」


「あなたは何も感じないんですか…!?沢山の人の命を奪って…!」
貴音ははぁ、と息をつく。
「だから何だというのですか?あなたはこれまで16年間生きるのに
 どれほどの命を糧として来たか解るのですか?」
「けど!!」

「少なくとも無益な殺しはしないと申されるでしょうが。
 あなた方の命が果たして今まで殺してきた全ての命の価値と秤にかけて果たして価値あるものなのか。
 いえ、それ以前に、有益無益など殺された命からしてみれば何の意味も、理解も出来ぬのではありませんか?」


「まぁ、少なくとも貴方の姉君には頭が下がります
 あれほどの命を奪い、尚且つあらゆる方から庇われ、挙句その妹は
 矛先を全て私に向けているのですから…さぞかし価値のある方なのでしょうね?」


その瞬間。轟音が鳴り響く。
「!!」


「さぁ、舞台の幕が上がったようです 観客の皆様 どうぞお楽しみください」
「待て!!」
一斉に攻撃を仕掛けようとするが………

「退屈でしたらよい遊び相手をご用意させていただきましたよ」

貴音は青い球を3つ放り投げると銀竜に乗る。
「わ!?」
青い球は枝の上へ落ちると霧を発し………



「!」
「これは霧の魔獣と呼ばれる特別なる魔物 あなた方には丁度良いでしょう」

バサリと霧を振り払うかのように銀竜は羽ばたき、貴音を乗せ海へ向かっていった。
「キュリリリリリリリリ」

現れたのは、魔獣という言葉のイメージからは程遠い、幼虫のような生き物。
沢山の針を背に、もぞもぞと足を動かし……目は沢山存在し光り輝いている。


「霧は魂と関係あるような言い方だったよね…」
「…今は考えている場合じゃないよ!!」
戦いを始める。


後方からはアレクサンドリア軍、前方からは霧の魔獣。
どちらが危険かは火を見るより明らか。
魔獣から逃げることを考えなければ…そう思ったが。




「…ねぇ美希ちゃん!!」
「何…!」
振り向かずに、霧の魔獣からの攻撃を防御している。


「アレクサンドリア軍の…姉さまの攻撃がおかしいの!!」
「え…?」

「……四条さんは砲撃に巻き込まれないために銀竜に乗って逃げたんじゃない…」
「え!?」
「アレクサンドリア軍は私達を殺すために砲撃を始めたんじゃない…!」
「…やっぱりデスか」



「戦ってるの!! アレクサンドリア軍と銀竜… 姉さまと四条さんが!!」

203im@s fantasy9 第二章 第五十三話 1/3:2010/06/03(木) 02:39:05 ID:VtqHco6Y0
アレクサンドリア軍が動いたのは貴音との交渉のためだと思っていた…
違う。

春香は、貴音を倒すために軍を挙げていたのだ。



「どうして…」
「最後の邪魔者だったってことデショ アタシたちにあんな任務をよこした強欲女デスし
 何をしたってもう驚きゃしないわよ」
「サンゴ礁さん!!」
「今になっても庇おうとだなんて馬鹿らしいっての。
 さっさとこいつらを倒して見物しようじゃないの 世界最大の、クズの博覧会をね」


サイネリアは雑魚散らしを使い霧の魔獣の一匹を撃破。
やよいはアクアブレスでもう一匹を押し流し吹き飛ばす。
「はぁぁっ!!」
美希は盗賊刀を振り回し最後の一匹を撃破。

アレクサンドリアと貴音の戦いの様子を見守るのみとなった。







海の上は真っ赤。
…それら全て、アレクサンドリアのおびただしい数の軍艦の色だった。

「けど四条さんも必死になるわけだよ。あれほどの大軍を相手にするんだから
 ブルメシアとリンドブルムから奪ったものも沢山積まれてるんだと思う。
 霧の大陸の、考えうる最高戦力…」
「決着はすぐついちゃいますね、私達も逃げないと…」

「…まぁ、すぐに着くと思いマスが」




サイネリアには…大軍など見えなかった。


…そう。相手が悪い。
貴音を相手にするには…あまりにちっぽけな小部隊。






「……くう、あの大尻女…!!」

母船から空を見上げる春香は、苛立ちに顔を歪ませていた。


何発砲撃しようとも全く当たる気配がない。それどころか…




「うぁぁぁあ!!!黒魔道士が爆発したぁぁぁ!!」
「!?」


船の上に大量に用意された、強力な魔法を唱えるため配備された黒魔道士の集団も力の使いすぎによる『暴発』。
自滅したのである。


「砲弾ならまだあるでしょう!撃って撃って撃ちまくるの!!
 春香女王は強い!春香女王は賢い!春香女王は戦がうまい!」
自己暗示も空しい。

204im@s fantasy9 第二章 第五十三話 2/3:2010/06/03(木) 02:39:37 ID:VtqHco6Y0
「……空しい…悲しいほどですね」


貴音は悠々と空を舞っていた。



「こちらからも少しは仕掛けましょうか」
銀竜が低空飛行に入る。




「来たぞおおおおおおおお!!」

一斉砲撃。だが全くかすりもしない…



「あ、ああああああ…!!!」

船の甲板に向かい大きく羽ばたくと衝撃波が発生。



軍艦一隻をいとも簡単に転覆させる。
「それでは私も」



魔力を指先に集め…

「…ファイガ」




指から放たれた魔力はその隣の軍艦へ飛び大爆発を起こす。
「ぎゃあああああああああああああ!!!」
「ああああああああああああああ!!」
「うぇぁあああああああ!!」



潮の匂いに混じり、焼け焦げた鉄の匂いが辺りに満ちていった。



「ひ、ひいいいいいいいい!!」
アレクサンドリア軍は一斉砲撃するが…

「ふむ」
銀竜の真上に作られた重力球に引き寄せられ、貴音にはかすりもせず。



次の合図で重力空間の向きが反転すると、一斉に暗黒の空間から砲弾が放たれ……

「うぉあああああああああああああ!!!」
「きゃあああああああああああああ!!!」

放たれたとおりの軍艦に返り、木っ端微塵にそれを破壊した。





「楽しめませんね…」
サンダガを次々に詠唱。

見渡す限りの軍艦を次々に雷の槍で貫いていった。

205im@s fantasy9 第二章 第五十三話 3/3:2010/06/03(木) 02:40:13 ID:VtqHco6Y0
「さて…1割は沈めたでしょうか」
銀竜が…艦隊を離れ陸へ戻っていく。
「さあ、当てて御覧なさい
 私を失望させるものではありませんよ」






「貴音が陸に…
 …ふん、身の程知らず…私の力をとくと御覧なさい!!」




最新式の黒魔道士達を集める。そしてその中心に、一つの宝石を置く。
「さぁ後悔しなさい…」


その名を叫ぶ。
「召喚獣・バハムートの前で!!」







暗雲が立ち込める。
その中心に、真紫の光柱が一本。



「ふふ…」
貴音は笑っていた。

「…ふふ、あははは!!」
春香も。



「……」
亜美は、光景を信じられないようだった。


「…あれは!」
ドリルの口元が歪む。勝利を確信したのだ。

「…」
その傍らの美希は…一目見たときから惚れていたその顔を今までにない目で見ていた。
死を…望む者の顔を。



勇あるものに力を授ける、竜王。
召喚士の力により巨大なる炎を放つもの。
伝承では月に住まうともされる幻獣神。
その大きさは一つの半島に匹敵するともされるもの。



何者をも焼き尽くす、最強の破壊者…バハムート。

206im@s fantasy9 第二章 第五十四話 1/3:2010/06/03(木) 02:40:54 ID:VtqHco6Y0
巨大な翼、鋭い角、爪、牙。何者より硬き黒き鱗…

強大なる最強の召喚獣を前に
「…美しい。」

貴音は恍惚の表情を浮かべていた。




「最強の召喚獣の手で最期を迎えなさい!!『メガフレア』!!」



春香の合図で、それは口に膨大なエネルギーを集中させ始めた。




空間が歪む。
ひとたび当たればたちどころに海さえ蒸発させるような、熱気…光。

荘厳なる竜王の顔が覆われる。




そして…


「ふふ」
放たれた。



銀竜が陸を離れた数秒後に着弾…陸地を削り取り、空中でそれを昇華させ、海さえも枯らす。


「ふふ、あははははは!!逃げろ、逃げろ!!逃げろ!!!逃げろ!!!!!」

春香は笑いが止まらない。
先ほどまで我が軍を圧倒してきた彼女が、逃げ惑っているのだから。



当たればイーファの樹といえどひとたまりもないだろう。
次々に放たれたメガフレアを貴音は避け続ける。


そのたびに山が崩れる、大地が溶ける、海が割れる。


天変地異…生きた災害。カタストロフィ。


兵士達も、起きていることが信じられぬようだった。
春香の笑い声だけが、メガフレアの轟音に消されていた。





「勝負あったな…」
美希も思っていた。


「うん…やっと気づいてくれたんだ 四条さんが全て悪いってこと」
「…本気で言ってるの、ゆきぴょん…」



「…え?」
ドリルは笑顔だった。

だが。



「十分です」
貴音の一言と共に、その禍々しき期待もすぐに崩れることとなる。

207im@s fantasy9 第二章 第五十四話 2/3:2010/06/03(木) 02:42:25 ID:VtqHco6Y0
「…え?」
ドリルは目を疑った。
有り得ないものがそこに現れていた。



灰に染まった空の中心に、目が現れていたのだ。
巨大な…とても巨大な、一つの目。




「ん…?」
春香も気に留めていなかった。



…ドリルは覚えていた。
…あの目にはいつか会ったことがある。



そう
12年前 マダイン・サリを離れることになった、あの日。


…マダイン・サリを滅ぼしたのがあの目であることを。
「四条さんが…あの召喚獣を従えていた!?」


「ゆきぴょん、何言ってるの…亜美、あんな召喚獣見たことないよ…」
「え?じゃあ…」

聞くまでもなかった。



「よく見ておくことです」
貴音は海を離れ…一行の傍に来ていた。




「雪歩殿。貴方の希望が一つ潰える時を。」

その瞬間…背筋が凍りついた。



目が、歌ったのだ。
人とも、獣とも、機械ともつかぬ呪いのメロディを。

不協和音。
大気が歪み、海が踊り、地に亀裂が入る。



「さぁ、バックコーラスも加わりますよ」


「あぁああああああああああああああ!!!」
「ああああああああああああああ!!」
「やあああああああああああああああああああああああ」
「ぎゃああああああああああああああ!!」
「うあぁあああああああああああああああああああああああああああああああああ」



人々の悲鳴。
一体何が起こっているのか。

…人だけではない。バハムートさえも、もがき苦しみ始めたではないか。

ドリルの隣に貴音が現れた。
「…何をしたんですか…」
「さぁ。」


「何を!!」


「…あなたは、いい目をしていましたよ 今の今まで… …気に入りました」


言った瞬間…。
そしてメロディは突然止むのだった。

「………!?」
「罪な方…あなた達から全てを奪いたくなる」

そして海を向いた。


「『バハムート』」
手招きすると、バハムートが向き直り、突然貴音の方へ静かに羽ばたいてきたではないか。

208im@s fantasy9 第二章 第五十四話 3/3:2010/06/03(木) 02:42:56 ID:VtqHco6Y0
「…う、うう…な、なんで…どうして……」
春香は這い蹲り、貴音に従うバハムートに戸惑いを隠せないでいた。

「…四条さんが…バハムートを操っている!!!!」
ドリルは髪をかきむしる。

信じられない。一体何が。何が起こったというのだ。
「あの…目のせい!?
 …じゃあ、…じゃあこれから…」



だが。

「…戻りなさい」
そして貴音の命令でバハムートは突然消えた。

…メガフレアでアレクサンドリア軍を攻撃するつもりではなかったのか。

「メガフレアを放ちたかったのですが…
 あなた達を見ていたら、少し考えが変わりました」


「あなた方がいとおしい。…チャンスを与えたくなったのです♪」
貴音は可愛らしく微笑む。


「まさか春香を逃すつもりじゃ…」
「ええ、そのつもりです 簡単な、私の設けた機さえ掴んでいただければ」


貴音は去った。
「目…全てを奪う…生かす『チャンス』…」

ドリルは何も考えられずにいた隣で…
美希は一つの像を結びあげた。



亜美も勘付いていた。
「ミキミキ…いや、流石にないよね…そんな酷いこと…?」
「…」
「ねぇったら」

「ドリル、急ごう」


あの目を食らったものが、貴音の意のままに操られるのだとしたら。
その対象さえも、彼女の意のままであるのだとしたら。

「貴音は、バハムートで春香を殺すつもりじゃない…」





「『人』で殺すつもりなんだ!!」

209im@s fantasy9 第五十五話 1/3:2010/06/03(木) 04:04:03 ID:VtqHco6Y0
「確か、何か召喚獣がイーファの樹に封印されてたはずだよ!」
「カーバンクルは…」

「カーバンクルは違うよ!あれはイーファの樹を封印していた方!
 ここに封印されていたのは別の召喚獣だよ!」



亜美の言葉どおりなら、召喚に失敗した危険な召喚獣ということになる。
だがもう迷ってはいられない。

行くのだ。沢山の人間を不幸に突き落とした女王ではなく、仲間の姉を助けるために。



「間に合って…間に合って!!間に合って…!」
イーファの樹の枝をひた走る。




そして。
「あった…!!…これなら、これなら姉さまを助けられるよ…ありがとう亜美ちゃん!」

召喚碑に手を触れると宝石がポロリと取れる。



すぐさまそれを召喚する。
「召喚獣…リヴァイアサン!!」




バハムートが幻獣神なら、こちらは幻獣王。
バハムートに遠く及ばないまでも、強力な召喚獣である。

だが今用いる力はそれではない。
彼を召喚し、海を渡りアレクサンドリアの艦隊へと急ぐのだ。



「急がないと…急がないと!!」



大海原から一本の水柱が飛び出、翼を持つ海竜の姿を形作る。


「ミキも行く。もし何もなかったら…春香女王がドリルに何かしないとも限らない」
頭に二人は乗り、凄まじい速度で海を、まるで何も抵抗がないかのように軽やかに泳ぎ進んでいく。





「姉さま!!」

「…雪歩」





美希の読みどおりだった。


頭を抱えてよろける春香…を中心に、
抜き身の剣を持ち震える沢山の兵士の群れ。




「ぐぇあああああああああああああああ!」
「ああああああああああああああああ!!!」
「へああああああああああああああ!!」


怒号を発する。
彼らに…最早理性などない。



海のど真ん中。おびただしい数の兵士。泳いで助かる場所ではない。

210im@s fantasy9 第五十五話 2/3:2010/06/03(木) 04:07:38 ID:VtqHco6Y0
「姉さま、早く…早く!!」
「私は…私は…」

「いいんです、…いいの!!早く逃げて!!早く…!!」
手を差し伸べる。

「ドリル…!!」
そのドリルを後ろから支える。


「…雪歩……」
手を伸ばす。



春香は目を閉じる。

セピア色に染まった記憶の奥底に、ズブ濡れで泣きじゃくる子供がいた。
…手を差し伸べたのは自分。

目の前にいるのは成長した、一人の王女。自分の妹。


「…私は… 思う通り生きた」
死への恐怖が…和らいだ気がした。
『あの気持ち』が消えた。

その瞬間…

春香の指が、兵士により切断された。
「雪歩も…思うとおり生きなさい」

「…姉…さ……」
顔に血しぶきがかかる。


「ぎえぇあああああああああああああああああああああ!!!」
「はああああああああああああああああああああああ!!!」
兵士が次々に春香を刺し始める。
「…!!!」

腹を一突き。
「ごぼっ」
血を吐く。

「てあぁぁぁあああああ!!」
右肩を上から貫く。

「しねぁああああああ!!!」
左足の甲を貫く。

「うりゃああああ!!」
左肩から先を切断。

「うぁああああああ!!!」
背中から腹にメッタ刺し。

「おああああああ!!!」
右足太ももから先が切断される。

「ああああああああ…!!!!」
倒れた春香の背から腹をぐさりぐさりと、氷を砕くように刺す。

「…ゆ」
顔をあげる。

「…き」
微笑む顔を作ると…

「ゃ…いや…」

雪歩は飛び出した。
「いやああああああああああああああああああああああああああ!!
 いあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
もがく。
「いやああああ、いやああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!
 ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
美希は必死に取り押さえる。
「いやああああああああああああああ!いやあああああああああああああああああああああああああああああああ!!
 ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
だが無情にも、
左足、股関節、首、左わき腹、右わき腹、足首、膝。
次々に刺され、崩れ、血しぶきを上げていく。

「ね…え、さま…ねえさま…」

震える、凍える、目が血走る。
雪歩は最早生きる死ぬなど解らない。
ただその首を、首だけになった姉を、助けるべく美希を振り切り飛び出そうとする。

だがその首にもとうとう…。



「…!!!!」
美希は雪歩の眼を覆った。

211im@s fantasy9 第五十五話 3/3:2010/06/03(木) 04:09:27 ID:VtqHco6Y0
「……………あ。…あああああ…うぁぁぁああああ!?」
「な、何よこれ…!?」
「ど、どういうことだ…誰の仕業だよ!」
「誰の仕業だよ誰の仕業だよ誰がやった誰がやった誰がやった誰がやった」
「俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない俺じゃない」
「違う、違う違う違う違う違う違う違う」


砂浜は狂気の渦だった。

貴音を倒したはずもないのに、皆、剣には血がベットリ。
残されたのは春香の服と何か。
…一体誰が…
最早解りきったことだというのに。

「………雪歩さま……?」
「一体…これはどういうことだというの…」
漸く、真と千早も駆けつけた。



「…」
雪歩は、赤いものを掬っている。



「ふぅ…誠に残念です、生きる術を与えたつもりでしたが。」
ドリルの背後に、貴音が姿を現した。

「…」
返す言葉がない。

「御覧なさい、実に可笑しいではありませんか。
 責任の擦り付け合いが始まりましたよ 実に醜いもの……」



「私はこうはなりたくないものです
 私は生憎多忙ゆえ、ここで失礼させていただきますが」
雪歩は立ち上がった。


「………」
その目は最早死すら恐れていなかった。


それを受けるは…
…バハムートを見たときと同じ目だった。
「美しい」


目を見開く。
「…ああ、この殺意は私に向けられている 確かに向けられている」

口を歪にゆがめる。
「あれほどまでに純粋だった、あの雪歩王女の…純粋な、何よりも醜く宿った、美しい殺意が。
 私に向けて抱かれている、…実に光栄。」

その言葉に拳が、震える。

「…少しだけ、時間を取りましょうか?」




「ぅ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!」

夕暮れの海岸で、地の底から捻り出すが如き叫び声と共に、
戦いとも呼べないものが…始まった。

212im@s fantasy9 第二章 第五十六話 1/2:2010/06/04(金) 00:42:18 ID:lnaxie/M0
貴音の周りに、光の球が輪になって現れた。これが彼女の武器らしい。
雪歩は拳を前に突き出す。


「ふ…」
だが貴音に届かず、阻まれる。


「はぁあああああ!!!」
美希も攻撃するが…

「!?」
指先で盗賊刀を止められ…


「!!」
赤黒いエネルギーの球に引き寄せられ…
「う…!!」

「死んでおしまいなさい」
放たれたその球と運命を共に。貴音の遥か前方に吹き飛ばされ、岩に激突。

苦しむまでもなく力尽きた。



「お前の罪は死んでも償いきれないわよ…!!」

続いて千早。
宝剣・セイブザクイーンに力を込めるが…
「下らない…」

その力は放たれる前に貴音に背後を取られ
「綺麗でしょう」
眩く輝く、光の輪に当てられ
「ァぁああああああああああああ!!!」
遥か上空へと打ち上げられた。


「この人数となると、全員をじっくり相手というわけにも行きませんね」

ビビに対しては光の輪から、純白の輪を放つ。
「うわああああああああああ!!」
真っ白な光の波動に焼かれ、青白い炎を上げてその場に倒れた。



そしてそれに続くは…
「食らいなさい」
遠隔操作による魔法攻撃だった。


真っ赤な火花により、貴音を中心とした一帯が焼け野原に変わる。

美希のフリーエナジーや、千早のショック同様、
何もない場所から突然エネルギーの爆発が生じたのだ。




貴音への攻撃のチャンスをうかがっていたものは全て…見るも無残に焼かれていった。
「ぁああああああああ!!!」
サイネリアも、
「うぉあああああああああ!!!」
真も、
「っきゃあああああ…!!」
あずさも、
「うぐ…」
やよいも、
「わあああああああああ…!!!」
亜美も、マミも…


そして、混乱の極致にあったアレクサンドリア軍も。



「殺さずに、加減するのもなかなか難儀なものです」
砂浜に立っているのは二人だけだった。



「さて…残るはあなただけですか」

213im@s fantasy9 第二章 第五十六話 2/2:2010/06/04(金) 00:43:44 ID:lnaxie/M0
ドリルの腕を掴んだまま。
「ご安心を。皆、暫くすれば目覚めることでしょう」


禍々しく、貴音の眼が歪んだ。
「それより。」



貴音は、ドリルにこの場でとどめを刺す気でいた。



ドリルの首を絞め…
「可愛がって差し上げますよ」


貴音は雪歩に深く口付けをした。

「………!!!」
声が出ない。




「…!!!」
貴音の手を振り解き…


舞の杖を腕から虚空から呼び出す。
アーモデュラハン戦で用いた、融合型の召喚魔法。


腕に持ち、雷帝の裁きを貴音に食らわせようとする。
しかし…。



「…!!」
素手で貴音はそれを止めた。
唇を塞いだままである。


そして…
「ん…ぅ…ぅあああ…」
その手を手で覆い、ギリギリと握り潰した。

「…う…ごほっ…けほっ…」
そして唇を離す。


…貴音の腕力はそれほどでもない。
だが…

焼ける。手に込められた圧倒的な魔力で…
手が…焼ける。今にも焦げ落ちてしまいそうなほどに。

「う…あぁ、ああああああああああ……!!!」



もう、歯向かう力すらない。
「それでは私はここで失礼を…」





「…『雪歩女王』」


…全ての力を挫かれ、雪歩は、力なく砂浜に顔を埋めるしかなかった。


ただ… ただ。

214im@s fantasy9 第三章 第五十七話 1/3:2010/06/05(土) 01:55:20 ID:BVdpDv660
春香女王を直接殺害したのはアレクサンドリア軍…
これを巡り、城内で論争が巻き起こった。



その剣に春香女王の血がついた者全てを処刑するべきとする考えが
城内の大多数を占めた。

千早将軍と真隊長に至っては、その場にすら居合わせられなかったことを生涯の恥とし、
自害しようとさえしたほど。



新たな女王、雪歩が行った最初の国事は先王春香の遺体を埋葬、弔うこと…
見るも無残な、形さえ留めぬその姿にアレクサンドリア中が嘆き悲しみ、怒りに打ち震えたが
その次には、その問題を自ら解決することだった。



今なさねばならぬことは果たして何か。

殺害した兵士達を処刑し、戦力を大幅に減らすことか。
千早将軍や真隊長に責を負わせ処刑し、同じく大幅に戦力を減らし、城の、国の士気を下げることか。



…事実を、多少曲げるほかなかった。



千早将軍や真隊長を中心としたアレクサンドリア軍の必死の抵抗も空しく、貴音により直接殺められたと。
だが、無駄であった。


兵士達は強く心残りに思っている。あの場で他者にそれをなすりつけようとしたこともまた。

強く、何より強く自らを呪っている。

例えば酒場で酔いつぶれ、自分の罪を話し、泣きじゃくることもあろう。
…そんなふとしたきっかけで、噂として街に一気に知れ渡るのだ。


そして、そのことを知った者には、そのことに深い憤りを覚えるものもいれば…
事実をひた隠す新王雪歩の、生前の春香女王との間の溝を原因として真実を隠しているのだとするものもおり

中には、雪歩王女が春香女王を殺めたのだとする風説まで広まっていった。



大陸中が疑心と憤怒と絶望という、新たなる霧に包まれていた。





「…お願い、いい加減に解って欲しいの…!
 私は不届き者とされても裏切り者とされても構わないから…
 …千早ちゃんや真ちゃんが死んでも、兵士のみんなが死んでも何もならない…
 貴音を倒すことが全てだって…… …誰も二人を責めていないし…兵士の皆だって操られただけなんだから…」


ベッドに腰掛け、新たな女王は肩を落としながらも、必死に二人を見つめていた。
「…しかし」


「…女王のするべきことがあなた達の処刑…?  皆は…そう言うけど……私はそうは思わない…
 女王として、私はあなた達に共に戦って貴音を倒して欲しい…
 人間として、私はあなた達、私のために力を尽くしてくれる、良くしてくれる皆を失いたくないの…」

215im@s fantasy9 第三章 第五十七話 2/3:2010/06/05(土) 01:57:43 ID:BVdpDv660
「…戦うしかないね」
「ええ…。」

千早と真は庭を歩く。


「…ごめんなさいね 春香様のご意思に背いてでも、奴を警戒できていれば…」
千早は城と城下を遮る掘の脇を歩いていた。

「お互い様だよ。ボクなんて気づいていた姫様をあろうことか
 アレクサンドリアに連れ帰そうと躍起になってたからね。
 ………言ってはならないことだけど…もう、時間は戻らないからね」

千早は水面に映った自分を見る。
「時間は戻らない…か」



「何より、当の雪歩様がボク達を心配してるんだよ?
 兵士の皆も、ボクや君さえ自分のけじめのために命を絶とうとしてた時に。
 …一番死にたいのはあの方だと思うよ …ボクらよりずっと年下なのにさ」


「だから…生きよう。千早」
「…ええ」



「…あら…私達って雪歩様と同年代だったような…」
「……千早大丈夫?ボクら春香様や雪歩様より結構上だよ?」

「…そ、そうだったわね…うん。何かそんな気がしただけ」
思わぬドジに頬を赤らめる。



「…時間は戻らない、か…」
「…」

たどり着いた場所は、春香が眠る墓の前。
水面がゆらゆらと揺れ…


風に長い髪が流れる。
「…真」
「?」


「私にあの時決断させたあれを貸してくれる?」
「あれ…?
 …ああ。昔ボクが千早を倒した時に持ってたあの剣…?
 あれがきっかけでそこまで恐ろしく強くなったんだっけ?元からボクなんかより強かったのに。」
「ええ。」


真の剣を借りる。
「いや何でボクの剣を…?千早自分の剣持ってるよね」



「今までの私を覚えていてね」
「『誰の真似だよ』」





そして千早は目を閉じ…
自らの後ろ髪に剣を潜らせる。


さらさらと流れた髪は風に乗り…空へ舞って行った。




「…どう、かしら」
口元が恥ずかしさで歪みながら、千早は真を見る。

「うっ」


「ま、真!?」
春香女王の墓の前に謎の血の跡と、謎の美女の出現。

城内が騒然となった。






「ああ、千早ちゃん髪切ったのね…そりゃ真ちゃん鼻血出すわ…」
事を一発で理解した小鳥は書斎で一人、ピヨピヨしていた。

216im@s fantasy9 第三章 第五十七話 3/3:2010/06/05(土) 01:58:43 ID:BVdpDv660
一方トレノの、マダム石川の屋敷そばのレストランにて。

「ミキミキまたカードー?何回負けてんの亜美に」

雪歩と分けた、四つのうち二つのクリスタルを首から提げた亜美に…
カードを抜き取られるは美希。
「仕方ないよ、ミキ今傷心中だもーん もっかいやろもっかい」
「カード全部なくなっても知んないかんねー」


そこに、オークションでレア物を手に入れた鈴木が現れる。
「本当のこととは言え、そんな言い方するなら大丈夫そうデスね」

あの屋敷は貴音のアジトだったはずだが今でも頻繁に利用してるらしい。



「ほいひいれすーーー♪」
向かいのテーブルで青ざめるビビをよそに、やよいは何杯も何杯も飯を平らげていた。


「ちょっと僕散歩してくるね…」
ビビは席を離れ、用事があるからと出て行った。

「あら。この街を長くうろつくと危ないわよー」
あずさは酒を浴びるように飲み上機嫌だ。

「いや、この街の外だから…」
「今ならモンスターもあまり出ないでしょうけど…どこに行くの?」
「ちょっと、昔住んでたうちに…」




ビビが立ち上がった、その時だった。





「大変だぞ『ブリ』、美希君!!」

真っ黒なブリ虫が飛び込んできた。高木だ。
「ぎやああああああああああ」
サイネリアによるカウンターパンチで吹き飛ばされる。



「…アンタらの知り合いデスか」
「リンドブルムの王がブリ虫になったこと知らないの?」

「ああー…」


それはともかくである。
「大変なのだ『ブリ』、美希君 …アレクサンドリアが…

 アレクサンドリアがバハムートや魔物に襲撃されているのだよ『ブリ』!」

217im@s fantasy9 第三章 第五十八話 1/2:2010/06/07(月) 02:07:18 ID:p11sUdjg0
「すんなりと入り込めたものです」
時間を少し遡り、アレクサンドリア街中の広場。

前王を死に至らしめた、銀髪の死の商人がここにいようと誰が思うであろうか。
彼女の背後に、宙を切る闇の如き黒と血の如き赤で彩られた悪魔の翼。

「気に入りました …素晴らしき能力です、『ディアボロス』」
彼女と悪魔の…ただならぬ姿も、声も、気配も… 誰にも察することが出来ない。
それがその悪魔の能力であるからだ。





「新たなる女王の誕生を祝い疲れ、街は静かな眠りについていますね…
 明日が来ることを何一つ疑いも、せずに」


貴音は広場の中心、英雄の像から城を眺め囁く。
「ですが宴はまだ終わりではありませんよ…」

次第に語気が強くなる
「いえ…、むしろここからが本番。
 この美しいアレクサンドリアの都を明るく照らす、
 灯りをともして見せましょう…!」



「今宵あくまで私は裏方に徹しましょう。舞台に立つのはそう、あなたですよ…」

宝石を宙に高く飛ばす。
「バハムート」



「そして… さぁ、ディアボロス 準備を」
背後の悪魔は言葉も、唸り声一つあげずにアレクサンドリアの空へ羽ばたき始める。
続いて宵闇を手の平の中に集め…球の形にした。


そして…

218im@s fantasy9 第三章 第五十八話 2/2:2010/06/07(月) 02:07:48 ID:p11sUdjg0
「た、大変です!! きょ…きょきょ、巨大なドラゴンが街に火を…!!!」
「ええっ!?」

雪歩女王は飛び起きるが…

「これは…!!」



思わず目を疑った。
バハムートが空高くから、炎の球を雨あられと降らせているではないか。




天から目にも止まらぬ勢いで落下し、家々を粉々に粉砕し…道に大穴を開けていく炎の球。
「バハムート……」



それだけではなかった。真の部下が駆け込んでくる。
「女王様! 城下に奇怪な魔物が徘徊し、人々を襲っております!!」


「特徴はわかりますか!?」
「棘の多い殻を背負った虫のようなもので、脚がモゾモゾと動き、目が沢山の…」

雪歩にはすぐに解った。
「…霧の魔獣…!!」


「恐ろしく強く、凶暴でまるで歯が立ちませぬ!」
「…対抗できるのは真隊長と千早将軍くらいのもの… 人々を一人でも多く助け出し、避難させてください!
 霧の魔獣と遭遇しても戦わぬよう心がけてください!」
「はっ!!」



指示を出す。
「私も…戦わなくちゃ」

両手を重ねる。
「シヴァ…イフリート…」
その両手それぞれの指にはめられた指輪、トパーズとオパール。
その力を最大限に使い、召喚獣の王に挑む。


「召喚・イフリート!!」
アレクサンドリアの空を突っ切り、また一つ炎が落下する。
炎の球となり、身を縮こまらせたイフリートが城めがけ飛んで来たのだ。

「ふんっ……!!」
魔法的存在である召喚獣の、物理的な衝突。
プロテスとシェルを両方かけた上で魔力の壁を作り、イフリート召喚による被害を減らす。


「ぉおおおおおおおおっ!!!」
巨大な耳を持った獣人の姿をした炎神イフリートは…


「ぬ… …ぐおおおおおおおおおおお!!!」
一瞬、目にした相手に怯んだ後、バルコニーから飛翔、バハムートへと向かっていった。



「召喚・シヴァ!!」
今度は自らの体の中に召喚を行う。


杖を天に掲げると、雪歩の体を中心に吹雪の渦が発生。
そして足元からどんどんと大きな氷に覆われていく。
精神が統一される。


そして…目を開ける。


「いきます…!」
真っ白な肌に、蒼白の氷のドレスを身に纏った、シヴァと融合した雪歩の姿がそこにあった。
「どれだけ食い止められるかな…」




「ゴゥゥゥウウウウウ…」
イフリートと並び、アレクサンドリアの空でバハムートと対峙する。


「…」
恐ろしく巨大な竜王。
果たしてこれを、シヴァの力とイフリートの助力で倒すことは可能であるのか…。

219im@s fantasy9 第三章 第五十九話 1/3:2010/06/07(月) 02:08:34 ID:p11sUdjg0
「さぁ行くぞ千早!!」
「ええ!」


城から、燃え盛るアレクサンドリアの町に下り剣を抜くは千早将軍と真隊長。
「もう足手まといにはなるつもりはないよ!」
「そうね…あなたは随分強くなったもの 戦いましょう!」




全ては、愛するアレクサンドリアの民のため。
街に徘徊する霧の魔獣を打ち滅ぼすべく、彼らは奔走し始めた。その手に持った己の信念…
…この刃にかけて。





「見つけた!!」
霧の魔獣に背後から跳びかかり剣を刺す。
「ギァァァァァァウ…!!」

素早く剣を引き抜き、振り向いた霧の魔獣の、沢山ある細い脚を叩き切る。
「ギォオオオオオオオオ!」
「うう!!!」

反射的に霧を口から噴射してきた。


「く…」
「真!!」
千早がケアルラをかけて回復。


「…ごめん千早!」
回復した真は渾身の力で剣を振り下ろす。


「まず一匹!」
「近くで鳴き声が聞こえるわ、追いかけましょう!」



「ギャアアアアアアアアアオ!」
屋根の上だった。


「下がって!!」
剣に力を込め…
「は!!」

ショックを放つ。
強力な圧力は霧の魔獣を内部から粉砕、霧散させた。


「…! させるか!」
千早の背後から近づいてきた個体の眼に剣を刺す。


「ギァァァァァァオ!!」
突進してきたが…
「…ぅああああああああああ!!」
「ギョォォォォォォ」
推し負けず、剣を更に深く深く押し込むと消滅していった。

220im@s fantasy9 第三章 第五十九話 2/3:2010/06/07(月) 02:09:04 ID:p11sUdjg0
「…ごめん」
「僕と比べたらずっと隙少ないよ
 …それより、あまり大技を出すのは控えていた方がいいかもよ」
「ええ。そうしておくわ」


気配がなくなった。通りへと移動する。



「!」
「キェェェェェェ」
左手側の家の窓を突き破り一体。
「グァァァァァゥ」
通りの手前側から一体。


「どうやら避難は進んでいるようね…」
「ああ、人の悲鳴もしないし、奴らが人を咥えている様子もない」

戦いに入る。


「『雷鳴剣』!」
「『アーマーブレイク』!!」

凄まじい勢いで距離を詰め、雷と共に鋭い一撃を放つ技と…
敵の防御を突き崩す、荒々しい一撃。


「ギァァァァァウ!!!」
「ゴォォォォォ!!」

倒して進むと、大きめの広場に出た。
ここにも霧の魔獣。

「…ふう、これだけの数となると、なかなかやるね」
「敵はまだ沢山いるのよ、大丈夫!?」
「ああ、大丈夫だ 千早は?」
そう言うと相手に向かっていくが…

「誰に聞いているつもり!?」

それを上回るスピードで千早は跳躍、
霧の魔獣の足元に眩い光を撃ち出す『ストックブレイク』を放つ。
「絶妙なコントロールだね…」
ブルメシア城を一撃の下に破壊した大技だ。

「私自身が町を破壊するわけにはいかないでしょう」




進んでいく。

「いた!!」
真が跳びかかるが…
「危ない、真っ!!」

千早の体に、霧の魔獣の針のような脚が食い込む。
見つけた一匹とは別に、真の死角からもう一匹が現れていたのだ。

「くっ」
「千早…!!」


「…はぁぁぁあ!!」
セイブザクイーンの一撃で霧の魔獣は真っ二つに。


「はぁ…」
「千早」
「『ケアルガ』…!」

不意打ちにより食らった傷を癒す。

221im@s fantasy9 第三章 第五十九話 3/3:2010/06/07(月) 02:09:50 ID:p11sUdjg0
「…大丈夫なのか。」
「大丈夫だとか、大丈夫じゃないとか」
真と息をそろえた攻撃で
「言っている場合じゃないでしょう!」
霧の魔獣を倒す。




「…僕は何としても守るべきものを守るんだ!」
「そうよ 私も同じ」



「絶対に生きるんだ 千早」
「そうね 私の部下達も待っていることだし」
「違う それだけじゃない」



進んでいく。いよいよ城門広場が近づいてきた。
「何?」


「僕は、この国を守りたい この国にいる人たちも、姫様も守りたいんだ」
「…」


「そして守りたいものには…千早!!君も含まれているんだからな!」
「…!?」

思わずきょとんとする千早。


「…え、ええ」
そんな間にも霧の魔獣は現れる。
「…だからこの戦いを早く終わらせて、戻ろう」

…数が多い。
「ええ…そんなに早く終わってくれたらいいのだけど!」

3体、4体、5体、6体…



「…千早 こうやって話せるのはここまでかもしれない」
戦いは激化しそうだ。


「ええ、そのようね」
背中あわせに、霧の魔獣に囲まれた中心に立つ形になる。


真の背中につくは短い髪の感触。
「だから今言ってしまったついでに言っておく」


「僕は!!」


「いえ、話さないで!その続きはまた二人で生きて会った時に!!」
駆け出した。

222im@s fantasy9 第三章 第六十話 1/3:2010/06/07(月) 04:11:42 ID:p11sUdjg0
「はぁ…  …真…   真ぉ……?」


息を切らせた千早は、霧の魔獣を追い払った後に辺りを見回すが
そこには誰もいない。

「…はぐれた、みたいね」
解っている。そんなことを言っている場合ではないと。


霧の魔獣の気配はないが…千早は、見ていない地域を当たることにした。




「…!」
尖った鎧の、斧を持った兵士の一団が町を走っていく。


どうやら加勢の、リンドブルムの兵士達のようだった。
「…リンドブルムの戦士達よ、我らがために加勢頂き、感謝します!」


「…………」
「…………」

その言葉に反応せずに、兵達は城へ向かっていく。


「…」
何か不審な点があった気はしたが、気にしている場合ではない。
千早は町を行く。










「メガフレアはまずまずでしたが…
 霧の魔獣は思ったほど人を殺していないようですね…つまらない」
貴音は広場の石像に腰掛け、事態を眺めていた。




「…まぁ、希望を与えておくのも良いことでしょうか
 …おや」
路地裏から、一人の少女が現れた。

「…」
黒い髪、小柄な身長、色黒な肌。異質な感じのする少女だった。



「…?」
貴音は、自らの前に立った少女を不可思議に思った。
聞こえないはずの声で少女に話しかける。


「あなたはこの石像を見つめているのか、それとも…」




炎に照らされ明るいその広場は…少女に影を作る。
その瞬間。
「…!!」

ドスン。

凄まじい力でディアボロスへ向けエネルギーの爆発が起こった。
ディアボロスは翼でガードする体勢を取るが・・・
「っ!!」
威力を増した二発目には耐え切れず…無数の蝙蝠になっていった。

223im@s fantasy9 第三章 第六十話 2/3:2010/06/07(月) 04:12:13 ID:p11sUdjg0
「…」
貴音の姿があらわになる。


「……相変わらず、厄介な技ですね」
石像から飛び降りる。


少女には真っ黒な尻尾が生えていた。
「『黒井』の手の者ですか …名は」



「『響』だ。
 …貴音、これ以上の勝手は許さないぞ」
拳を構えた。


「許さない。…ほう、許されませんか」



かんらかんらと嘲う。
「誰の、どの口でそれをおっしゃっているやら」

貴音の周囲に光の球が輪になって現れる。





「貴音!!」
響を逃げ遅れたと勘違いし助けに現れた千早がそこにいた。

「これはこれは。私の手の者がご迷惑をおかけしました」
貴音は手を広げ、挨拶をする。



「その子を殺そうとしていたの?」


「あなたなら解るのではありませんか?
 その子の眼は、私に怯える者とは違うと」

「…では何だと 部下にはとても見えませんが」



貴音は嘲う。
「視野の狭い将軍ですね」


その瞬間、千早が急に体勢を崩した。
「う…!!!」



体を押さえつけられるような、謎の大きな力。

「…」
響によるものだった。



「彼女は私の部下ではない …ええ、正解です
 しかし敵の敵もまた敵。…その子があなたの敵でないとはどなたも申し上げてはおりませんよ」


千早を放置し話す。
「響といいましたか。あなたの目的は足止めですか?」
「…そうだ」


「では私は大人しくここで待つとしましょう 私はこの方にお話があるのです」




千早は上を向く。
「…?」

224im@s fantasy9 第三章 第六十話 3/3:2010/06/07(月) 04:15:09 ID:p11sUdjg0
「そろそろ、1年ほどになるのではありませんか」
心当たりのある時間だった。
「……何が…ですか」



貴音は話す。
「私が春香女王の元に初めて訪れたときからですよ」
「…」



「少し話をしましょうか …その頃のことについて」
「その…頃?」



1年前…貴音は始まりの黒魔道士を携えアレクサンドリアにやってきていた。

「私がかの前女王に献上させて頂いたのがあの黒魔道士です。あなたも戦ったからよく覚えておいででしょう
 あの青い服を着た、小さな小さな黒魔道士です」
「………!?」



「ビビ殿。そう呼ばれていますね
 彼は実に出来がいい。魔力も強く、トランス能力を備え、他の黒魔道士より頑丈に出来ている…寿命が長い。」
「何が言いたいのですか」



貴音は座り込む。
「あのビビ殿は特殊製だったのです 黒のワルツたちとは異なる方向で。
 それが何がかと聞かれればこう答えるしかありませぬ
 『新鮮な魂を使っていた』と」

魂を選別する…嫌気の差す言葉だ。
「新鮮な魂…それが何だっていうの」



「わかりませんか?」
「…」




「私は記憶力が悪いのですが…確かあの時期、ありませんでしたか?
 町を行く馬車による事故で、一人の少年の命が意識を失ったらしいこと…そして、何故か当時の技術ではなす術がなく
 その命が尽きてしまわれたこと」


「……っ!!?」
関係がないだろう。
その時期に起こったこと…自らの弟の死のことを、忘れもしないその出来事を。
「私が女王の間へ伺った際、あなたの表情が優れなく…私が聞いたのでしたね」



貴音は続けた。

その言葉を。
「何故なす術がなかったのでしょうね…激しく打ったのは腹。頭をぶつけ…意識がたまたま薄れただけだったというのに」



…青ざめる。
「……待って、まさか…」




「私はあなたに嘘をついていました。…私はそう、あなたの弟の死は存じておりました
 いえ…あなたの知らぬことも私には解っておりました」



「…そんな」
「手ごろな素材が何か必要でして… 医療機関に少し前に問い合わせてあったのです
 若く、才能を備えた優れた魂が 何か一つ…
 
 ええ。あなたの弟殿の死因は、馬車に轢かれたことではございません…」







「黒魔道士第一号『ビビ』の精製です」

225朝倉音姫(のぞみ) ◆9v6WO8IB02:2010/06/09(水) 18:38:10 ID:QycogDi20
音姫「というわけで、私が弟くんの結婚した人リスト作ってみるよ。
呼び方は私基準で。それと私からの一言コメント付きだよ。」

夫:ピエット皇帝
音姫「彼は好色だよね…ま、弟くんも負けてないけどねぇ…」
正妻:ゼルダ姫様
音姫「まぁ当然だよね。一番最初に結婚したし、アークライトくんも居ることだし。
え、紫苑さんじゃないのかなって?まぁまぁ、まだ完成してないんだから…」
側室1番:紫苑さん(事実上の正妻。ゼルダ姫とはあんまり会えてないため)
音姫「これもまぁ、当たり前っちゃ当たり前。子供はいたようないなかったような。」
側室2番:クララちゃん
音姫「まぁこれも…当然っちゃ当然?ただ、優先順位的には彼女の方が先のような。レイくんとユキちゃんがいるしね」
側室3番:私
音姫「えーと…コンバインの人たち差し置いてなんで私が3番なのかな?かな?弟くん…ちょっとそこに正座なさい!」
音姉ごめんなさいorz
側室4番:フェイトちゃん
音姫「なんでこうなるのかなぁ〜?弟くん?もういっぺん正座してもらおうかな?」
愛人:コンバインの女の子たちや部下を含め多数存在。代表はナナさん、シオンさん、初流くん
音姫「弟くん…一括りはかわいそうだよ…みんな名前書いてあげなよ」
書いていたらキリないし…いやキリはあるけど。

226乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2010/06/11(金) 23:14:26 ID:yU0gTYSw0
東方ヴォーカル自己流ランキング
エリ「まだ全部聞いたわけじゃないだろ」
全部聞ききれないし、それにこれで完結とも言ってないよ?
エリ「そ、それはそうだけど」
あくまでも『自己流』だしねぇ、それに下だからって嫌いなわけでもないしねw
エリ「ま、まあな」

1 氷結娘
2 Sweet Little Syster
3 永遠のメロディ
4 竹取飛翔
5 願うこの身よ、燃えて月までも
6 Shooting Star
7 Sweets time
8 染まれ紅蓮に繋がれて
⑨ チルノチルノチルノ(変に落チルノ!)
10 新参ホイホイ言わないで
11 ファンシーエディタ
12 Little Lady
13 ときめき☆冷凍パック
14 おでんぱ☆ラヴガール
15 チルノのパーフェクトさんすう教室
16 患部で止まってすぐ溶ける 〜狂気の優曇華院〜
17 エピクロスの虹はもう見えない
18 紅ノ海 -Scarlett Syndrome-
19 Blooms(十字架)Knigh
20 大江山ジャイアントスイング
21 お賽銭(ハート)ちょうだい
22 旅路 -Power of Life-
23 Happy Rabbit's Silver Bullet
24 Blue
25 Scarlett lover
26 魔理沙は大変なものを盗んで行きました
27 Phugoid Heaven

エリ「曲の好みがそのまま反映されてないか?」
そ、それは言わないお約束ッ!

227im@s fantasy9 第三章 第三十七話 1/5:2010/06/12(土) 02:35:37 ID:ICz1rZao0
「言葉もないようですね」


真相から向かうべきは何処なのか、自分が何をするべきなのか。それは明確である。
……だが、それを受け入れるには精神がついていかず…精神がついていけぬことには肉体も言うに及ばず。

「…満足です」
見下ろした千早は打ちひしがれていた。
「さて。あなたがいらっしゃるという事は『黒井殿』も動き出したのですか」

「ああ、そうだ お前に余裕をかましている暇なんでないんだぞ!」


貴音は像にもたれかかり、余裕を崩さない。
「そうですか…」
「お前の計画はこれで潰れる。観念するんだな!!」




「…それは困りましたね?」
まずは貴音は様子を見守るする。


「……余裕だな」

「ふふ、そんなことはありませんが…。
 …それよりも。一体あれはどうしたことでしょうか」

指を指す。
「アレクサンドリア城が燃えていますよ? 『中から』。」

228im@s fantasy9 第三章 第三十七話 2/4(前レスはミス):2010/06/12(土) 02:36:21 ID:ICz1rZao0
「っく…う………!!」
イフリートは敗北…自らも深手を負い重傷。


「力が……」
召喚獣の力も借りることは出来ない。雪歩は城のバルコニーで倒れていた。



「私は…」
何とか、壁にもたれかかり起き上がる。

「…私には、この国を護れないのかな……」



ひとまず体勢を立て直すため、城内へ入る雪歩。
「!!」
するとそこには…




「ウギャァァァアアアアアアア!」
「ウァァァァァアアアア!!!」
「キャアアアアアアアアアアアアア!!!」



「え…  …え」
兵士達の悲鳴と…炎に包まれた絨毯。



「い、一体これは…」



ゴロリ…転がってきたのは、アレクサンドリア兵の体。
「ひっ…」


血まみれの兵士。


「雪歩様ああああああああああああ!!お逃げください!! 一刻も早く!」
「ど、どうして、誰が…」


ガシャリ、ガシャリ…ガシャリ、ガシャリ。



「!!!」
その犯人が入口側からやってきた。


尖った頭の鎧、手に持った長い斧や槍…
アレクサンドリアとはまるで違う、重武装。




「リンド…ブルム………!」


確信した。
…姉の行いを、アレクサンドリアの行いを許さぬ者がいたのだと。


「…」
アレクサンドリアとリンドブルム。この2国の距離から言って、
事が起こってから駆けつけるにはあまりに早すぎる。


予期していたのだ。攻め入る準備をしていたのだ。
…アレクサンドリアの影で蠢いていた黒幕に、加担してでも。

229im@s fantasy9 第三章 第三十七話 3/4:2010/06/12(土) 02:36:51 ID:ICz1rZao0
「死ねぇぇぇ!!」
リンドブルム兵は槍を突き出す。
「危ない!!!」

プルート隊兵士が雪歩の前に飛び出し…
「ぐがぁあああっ!!」
心臓を一突きにされた。…槍は、雪歩に届くことなく止まった…彼の、胸骨に阻まれて。

「ぶぇああああああああああああ!!!」
振り払われ、鮮血と共に壁に叩きつけられる兵士。

「あ、あぁぁぁ…ああああ…!!!」


逃げるしかない。
バハムートに敗れ、疲弊した体でも。

自分達を娘のように想ってくれた高木王。
その裏で、自分達に対する憎しみを募らせていたのだ。
殺したいと思いながら、あの日料理をふるまったのだ。



「どうしよう、どうしよう…!!」

「逃がすな、追え!!追え!!!」


リンドブルム兵は雪歩を追う。


「たすけて、たすけて…」
「うぁああああああああああ!!」


女兵達が通路から飛び出し、一斉にリンドブルム兵に跳びかかった。

「う…!」
「ぐぉ…」
「邪魔だああああああ!!」
斧兵が吼えた。

振り回された斧は女兵の首を斬り、炎の中に放り込む。


「みんな…」



逃げる。兵士の犠牲を無駄にしないために。


階段を上り、通路を行く。
高いところへ、高いところへ…


「逃げなくちゃ、逃げなくちゃ…!!!」


…だが、追い詰められるだけ。あくまでそれは逃げでしかない。…先に道などない。



「死ねぇああああああ!!」

リンドブルム兵が斧を投げた。


「あああ…!!!」
逃げる雪歩。



「…!!!」



足に激痛が走る。
「…あ、ああ…うっ…うう」


膝裏に斧が食い込んだのだ。
「…う、く…」

230im@s fantasy9 第三章 第三十七話 4/4:2010/06/12(土) 02:37:22 ID:ICz1rZao0
脚を引き抜く。
脚から血を流しながら、雪歩はひたすら進み続ける。



広間に出た。
だがもう逃げられない。

…そう思われたときだった。



「…!」


胸元のクリスタルが輝いた。
「え…」



「うぉおぉおあああ!!」
謎の光に阻まれ、リンドブルム兵達が転んだ。


「…これは」


ギィィィ…


広間の奥…屋上へと繋がる扉が開け放たれる。
「これは…」



剣を構えた、2人の兵士の像が立ち並ぶ階段。
先へだけ進めと言わんばかりに、雪歩が像の間を通るたびに、兵士像が剣を交え、後に続く者を防ぐ。



「…」
脚を引きずり、片足で階段を登る。



屋上。ここで何があると…そう思った瞬間だった。

「……え…」

城が…まるで機械のように、変形を始めていた。



「……これを、登ればいいの…?」
城の上層が変形…上へと持ち上がる。
そして、更なる階段が現れている。



一歩一歩登る…アレクサンドリアの街を一望する巨大な展望台のような場所へとたどり着く。
「…ここは……?」

燃え盛る城の最上階。
辺りを見回しても誰もいない…と思った、その時だった。

231乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2010/06/14(月) 10:04:23 ID:NThJ9YMs0
今更萌え二次大戦自己流キャラランキングベスト10

1 ロジーナ(T-34-85中戦車)
2 あかぎ(正規空母赤城)
3 フェアリー(ソードフィッシュ雷撃機)
4 ベローチェ(L3豆戦車カーロベローチェ)
5 レント(Ju-88双発爆撃機)
6 ルーデル(Ju-87シュトゥルツカンプフルークツォイク(急降下爆撃機))
7 レイ(零式艦上戦闘機(二一型?))
8 チハ(九七式中戦車(中戦車(チ)ハ型))
9 クレア(P-40ウォーホーク)
10 ネコ(F4Fワイルドキャット)

232im@s fantasy9 第三章 第六十二話 1/3:2010/06/15(火) 02:45:01 ID:Os6KehOI0
「あ…あぁぁ…あぁぁ…!!!」

赤々と燃えるアレクサンドリア城。
千早はそれを見て震えることしか出来なかった。


こみ上げる笑いを押し殺しながら貴音は言う。
「説明いたしましょうか」


「ぅう…っぐ……ぬ…ぅう…う…あ……!!!」
圧し掛かる天井を頭一つで押し上げるかのような力で千早は…立ち上がった。
「おや、そろそろ弱まる頃合いとは言え見上げた根性ですね…
 何にせよ、現状を把握してからの方がよろしいのでは」

「勝手に…言ってなさい」
敵よりまず、守るべき者…雪歩女王のいる城へ。

足を、膝を、無理やりに引きずりながら。
「なら勝手に言っておくとしましょう
 あの火は霧の魔獣のものでも、バハムートのものでもありません」

貴音は種明かしを始める。
「リンドブルム兵によるものです」


「…ふざけた…ことを……」
一歩ずつ進む。

「本当のことですよ 彼らを殺し、リンドブルムの者たちの前で鎧の一つでも剥いで見れば解ることでしょう
 そこには正規の隊員番号が記されているはずです」

耳を傾けるに値しない。嘘偽り、でたらめであるに決まっている。
「…」
だが。
「『もういなくなったはずの者の』ね」


…千早は思わず歩みを止めた。
「…鎧を奪ったのね」
「奪ったなどとんでもない。彼らはアレクサンドリア憎しの一念で動いているに過ぎません
 私はその背中を押しただけ」

「先王春香殿がリンドブルムを襲撃するとき何をしたか。
 お忘れではないでしょう?召喚獣『アトモス』を。」



「それはリンドブルムの一部を丸ごと削り取り、光すら届かぬ闇の中に引きずり込むものでした」

「私は、その深淵なる闇の中にいる者たちが哀れに思えたのです
 そこで私は考えました 『闇から彼らを解き放つ召喚獣を用意すればよいのだ』と」



「世界から名だたる珍品を集めている私の元には、召喚獣を封じた宝物がいくつか…
 その中の一つ、魔法のランプを使ってみると、…そう。
 主を闇に紛れさせ、闇と常世を行き来するその召喚獣の力を私は役立てたのです」


「それはまさか…」
「ええ、先ほど響と名乗る彼女に倒されたディアボロス。彼が呼び戻したのですよ
 アトモスにより葬られた彼らを…アレクサンドリアへの復讐者として…
 闇から現われ、あなた方を絶望の闇へと招く彼らは
 そう…まさに『闇よりの使者』!」


「…何てことを…!!彼らは、あれからのことを何も知らないでしょう!!」
「闇から解き放たれた喜びとアレクサンドリアへの復讐心以外最早何もないでしょうね
 私は彼らを助けたのです。

 …そのようなことより、さぁ。宴はここからが本番ですよ」

233im@s fantasy9 第三章 第六十二話 2/3:2010/06/15(火) 02:46:21 ID:Os6KehOI0
「ゆきぴょん!!」
「え?」
たどり着いたところに、空から現れたのは亜美だった。


「あ、亜美ちゃん…あの、そのコレは…」

バハムート襲来、霧の魔獣達と千早真の戦い、
リンドブルムの侵攻、クリスタルの光に伴う城の変形。


何から話していいやら全くわからなかった。


「と、とにかく!今は大変かもしれないけど
 亜美達にはしなきゃならないことがあるんだよ!!」

「そもそも亜美ちゃん一体どこから」
「いいから!」


「今始まろうとしているのは召喚士の宿命…
 伝説の『アレクサンダー』の『聖なる審判』だよ」
「…?」
首をかしげるだけだった。

「4つのクリスタルはこのときのためにあったの!
 この光が現れたとき、召喚士は召喚獣に呼ばれてるの!!」


「じゃ、じゃあどうすれば…」
「ま!そこはマダイン・サリで今まで育った亜美に任せて!
 ほらゆきぴょん、まず手を出して」

「う、うん」

屈む必要まではないだろう…背は5cm差、美希と変わらない。
手を合わせる。

「なんか心が落ち着くね…」
「その調子!
 そんで、心の中で亜美の言葉に続けて念じて!」
「あ、はい!!」


クリスタルの光が強くなる中…
二人は詠唱を始める。
「我らの守護神よ 大いなる守護神よ」


「此の地の光が途絶えし 此の地に闇が訪れし」

二人の精神波が、二人の中心で輪を結びはじめる。


「我らの守護神よ 聖なる守護神よ」

輪は二重、三重、四重…次第に大きく、影響を及ぼし始める。

「神に仕ふる者の祈りを聞き届けたまえ!!」



そして祭壇から、城全体を覆うほどの巨大な波動が放たれた。
バハムートの勢いが止まった。







「…」
遠くで、貴音はニヤリと微笑みを浮かべた。

「あ、あれは…」
千早が城を見るとそこには…

巨大なアレクサンドリア城を覆う、純白の翼。
その中から…巨大な召喚獣が姿を現した。

それは巨大な鎧のような…機械のようなその姿。

絶対なる審判を下す存在…聖なる召喚獣。

234im@s fantasy9 第三章 第六十二話 3/3:2010/06/15(火) 02:49:15 ID:Os6KehOI0
「ああ、誠に神々しい…
 炎に喘ぐアレクサンドリアの城を護るべく現われた…
 あれこそが伝説の召喚獣『アレクサンダー』…!」



アレクサンダーは翼を夜空の隅々にまで広げる。
その羽の先の先まで。

そして…

その先端から無数の光が放たれる。



細い細い、光の網が意思を持つかのように天空の支配者バハムートへ四方八方から集まり始める。

バハムートはその光から逃れるべく凄まじい勢いで飛ぶも…


光の網に全身を貫かれ……




瞬く間に消滅した。


「ふふ、あははははは…ははははははははははは」
貴音は満足げに夜空に笑い声を響かせる。

「…」
響が構える。
「如何なさいました」

「お前の考えることなんてお見通しだぞ
 アレクサンダーを手に入れるつもりだろう!」

貴音は響の方へ向き直る。

「ええ。それを止めるためにあなたは来たのでしょう?
 …貴方では力不足です 理解できませんか」
「…ああ、自分ではお前から時間を稼ぐことしか出来ないな」
「アレクサンダーが姿を消すまでですか?
 随分持ちこたえるおつもりなのですね」

しかし、次の一言で貴音の表情が固まった。
「今ガイアにいるのが自分だけとは言ってないぞ」


「…今何と」
「黒井が来ていると言ったんだ
 今、お前の『インビンシブル』の中にいる」

貴音が…黙った。
「…」
「それほどまでにお前の行いは度が過ぎてたってことさ 諦めるんだな」

拳を握り締める。己の計画の失敗を悟ったのだ。
「成る程…共に来ていたのですか」

「…して、黒井殿は何と」
「アレクサンダーを殺すつもりだって言ってたぞ」
「…殺す?」
「お前の計画は、元から成功するはずもなかったってことさ」


「…そうですか」
貴音は蝙蝠となって散ったディアボロスを身に纏い、消える準備を行う。


「…ならば言っておきましょう 止めた方がいいと」
「何だと!?」


「アレクサンドリアの前女王から私の元についた部下がおりまして
 『ある者』を見張らせていたのです
 もう、城に来ている… …今アレクサンダーを殺せば『彼女』にも被害が及ぶかも知れません」

「何のことだ!?」
「私が目をつける者です、あなたにも解っているのでしょう
 彼女は生きて私の前に現われたのです…さぁ、」



そして貴音は消えていった。
「お急ぎなさい、そして黒井殿に伝えなさい
 ……彼女の名前は『美希』」

235<きゅっとしてドカーン>:<きゅっとしてドカーン>
<きゅっとしてドカーン>

236<きゅっとしてドカーン>:<きゅっとしてドカーン>
<きゅっとしてドカーン>

237<きゅっとしてドカーン>:<きゅっとしてドカーン>
<きゅっとしてドカーン>

238乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2010/06/19(土) 20:53:19 ID:uunckU4.0
第二次世界大戦時にB-29に二回も体当たりして二回とも生還して
しかもさらに戦後まで生き延びた人がいたんだって!
エリ「嘘だr…本当かよ」

239乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2010/06/23(水) 16:32:21 ID:4s4sjCFQ0
嫁と嫁候補ー
エリ「おい!」

嫁 アストリッド・バイパー
嫁候補 オーフェリア・バイパー
嫁候補 セシリア・レイン・アーデルハイド
嫁候補 フェアリー
嫁候補(?) ソフィ

エリ「候補のほうが多いって…てかセシリアとフェアリーっておま」
い、いいじゃないか…惚れちまったんだよう…

240Galactic Emperor Piett:2010/06/24(木) 07:16:35 ID:Q.7D011.0
>>239
ソフィ「嫁候補(?)って何よ!(?)って!;」

241乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2010/06/24(木) 16:17:24 ID:l49cnKYs0
>>240
(?)は(?)じゃないか!

242Galactic Emperor Piett:2010/06/25(金) 06:31:58 ID:CQP2AlOA0
>>241
ソフィ「扱いが違うじゃない!
     ふーんだ、どうせファーマスが好きで女の子はもっと好きなビッチですよーだ、ぐすっ……」

243バクテリアン都市改名案:2010/06/25(金) 12:00:08 ID:CQP2AlOA0
フューラー・ヴァイス・シャンツェ(大統領の白い巣)

ファノリオーポリ(ファノリオスの都)

チョールヌィ・オーズィラ(黒い湖)

リクニドス(湖の街)

アラーンジェヴィ・リェース(橙色の森)

ダヴリア(森の街)

ツェーントル・スィーニィ・ヴァロータ(中心の紺の門)

フォイヴォーポリ(フォイヴォスの都)

更に新都建設で
フロクシルーポリ or フロクシルディア or セヴァスタ・フロクシルド
(フロスヒルデの都 or フロスヒルデの街 or 尊厳なる者・フロスヒルデ)

ファノリオス「どうかな?ブリュンヒルデおばさんw」
フォイヴォス「ママの名前も入れてみたよーw」

244バクテリアン都市改名案:2010/06/25(金) 12:20:22 ID:CQP2AlOA0
間違えた、ギリシャ語にFは無かったんだよな;
Flosshildeはlosshilde(Λοσσηιλδε)となります。

ロセイルデーポリ or ロセイルディア or セヴァスタ・ロセイルデ

245乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2010/06/26(土) 10:37:26 ID:q5gKztiM0
>>242-244
だってもとからの予定に君は入ってないじゃ(ry

ブリュンヒルデ「本格的に変えるつもりなのね…まあいいんじゃないかしらw」

246朝倉音姫(のぞみ) ◆9v6WO8IB02:2010/06/27(日) 03:48:28 ID:Vn5MAw4w0
アイマスキャラをポケモンに例えてみたシリーズ(アイドル編)

春香:ピッピ(まとめさん案)
雪歩:グレイシア(雪歩はイーブイ系>雪って氷じゃね?>グレイシア)
伊織:ポッチャマ(ヒカリのポッチャマはツンデレ>アイマスのツンデレは伊織。あと伊織とやよいでプラスルマイナンとか考えた。
もちろんプラスルはやよいでマイナンが伊織)
千早:フリーザー(蒼い鳥的な意味で)
あずさ:ラプラス(包容力がありそう。あと大きいし。)
真:エビワラー(格闘系っぽいイメージだしね)
やよい:プリン(みんなのアイドル的な意味で。あ、でもプリンは歌で眠らせちゃうかw)
律子:メタグロス(メタグロスがスーパーコンピュータ搭載だし、りっちゃん自身も頭いいしね)
美希:ピカチュウ(まとめさん案)
貴音:ブラッキー(月の光を覚える意味で。まぁそんなこと言ったら他のやつも覚えるがイメージが一番近い)
響:ガルーラ(動物いっぱい飼ってたしね。イメージ的にも。)
愛:バクオング(ありえないと思うかもだけど声が大きいイメージから。)
絵理:ポリゴン2(ネットアイドル的な意味で)
涼:サーナイト(男でも女っぽい体つきだしね〜。キルリアとかミミロップでもいいかも。)

247のぞみ ◆9v6WO8IB02:2010/06/27(日) 03:49:01 ID:Vn5MAw4w0
しまった名前そのままだったorz

248Galactic Emperor Piett:2010/06/28(月) 07:27:08 ID:qt1WB2dU0
>>245
ソフィ「昔からマスターのこと好きだったもん……ぐすんぐすん」

ファノリオス「うむに、バクテリアンをギリシャ化するのーw」
フォイヴォス「ママー、ママの名前の街はどれがいい?w」

249乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2010/06/30(水) 21:07:26 ID:4r5WUndY0
>>248
そうだったのか…とはいえなー…うむー…わかった、ついてこれるならついてきさらせ!

ブリュンヒルデ「それもそれで…すごいわねえ… 文句は無いけどねw」
フロス「私の名前の町はいやなのだー!」

250Galactic Emperor Piett:2010/07/01(木) 08:22:20 ID:NTasCmFY0
>>249
ソフィ「いいの……?うんっ、ついていくよ!w」

ファノリオス「えへへ、ありがとw」
フォイヴォス「な、なんで?;」

251名無しさん:2010/07/03(土) 12:46:00 ID:B4wirlRUO
SW見てて思うんだけど、食べ物や酒類の名前ってほとんど出ないよね
ゼロツー「食事のシーンならたまに見掛けるがな」
多分小説版には出てるんだろうけど、読んでないからってか中々手にはいらないから下手に書けないのがまたねぇ
まぁ遠い星の話って書いちゃえばいいんだろうけど
ゼロツー「ちなみにどんなゲテモノ出す気だ?」
案があるのは、スナヘビって意味のワームかね、5m位のでかい奴
身は締まってて煮込むと旨味が出て、砂漠に生えてるモグリサボテン…花だけを地上に出すサボテンってイメージね、その実と一緒に食べるとうめぇって感じで5つある目玉は酒に漬けると滋養強壮なんかに効くって感じ
ちなみに雑食性だね
ゼロツー「…ワームと言ったな、つまり」
まぁぶっちゃけでかいミミズもどきさ

252Galactic Emperor Piett:2010/07/03(土) 16:36:11 ID:IQeyh.Z20
>>251
わお、流石一時間スレ全一ワーム好きのむぅちゃんだぜ!!
アナキンがミミズ貪り食っている話が無かったっけ?アニメで。

ちなみにSW世界の食べ物の名前と分類だけならこちらをどうぞ
http://starwars.cside.ne.jp/bistro.htm

参考までにウーキーペディアの食べ物カテゴリも。
詳細な情報、たまにイラストも入っていますが、英文です。
http://starwars.wikia.com/wiki/Category:Food_and_beverage_stubs

253名無しさん:2010/07/03(土) 16:57:43 ID:B4wirlRUO
>>252
ワームはそこまで好きじゃねーよ
ダンゴムシとかみたいのをオビ・ワンに「イケる」ってすすめてた話だっけか?

サンキュウ、ちょっくら見てみるわ

254Galactic Emperor Piett:2010/07/03(土) 17:17:28 ID:IQeyh.Z20
>>253
でも、むぅちゃん程のクリーチャー好きといったら、ダー君くらいしか……
え?私?私はエイリアン好きであって、クリーチャー好きでは(ry
そう、それw
……おかしいな、アナ坊は『アウトバウンド・フライト計画』ではハンバーガーが好きだったはずなのに;

私もちょっと、手持ちの小説から抜き出しているからしばらくお待ちを。
解説と本文、ウーキーペディアを参考に解説もつけますので。

255スター・ウォーズ世界のお食事(アルコール編):2010/07/03(土) 18:01:19 ID:IQeyh.Z20
アラレヴィ・エール

ビールの一種。

アンドーアン・エール

ビールの一種。荒くれ者で知られるエイリアン種族・アクアリッシュの故郷の惑星アンドーで作られる。

オートラン・ブルー

ビールの一種。極冠の惑星オートのグルメなエイリアン種族オートラン達が作り出したビール。

コレリアン・エール

ビールの一種。人類の故郷のひとつである惑星コレリアで作られる。

ザブラク・ファーメント

発酵酒の一種。ダース=モールの故郷惑星イリドニア産のお酒。

バンサ・ブラスター

発泡酒。ピンクと緑色の層を成しており、タトゥーインで飲まれている。

モン・カラマリ海草マッシュ。

モン・カラマリ達が作る黒いお酒。

リクストロ

アルコール。赤い色をしたお酒。

256スター・ウォーズ世界のお食事(ノン・アルコール編):2010/07/03(土) 18:01:57 ID:IQeyh.Z20
カフ

コーヒーのようなカフェイン飲料。

コッシュ

高級茶の一種。

スコサ

飲料の一種。ぶっちゃけ、ココア。

ブリッブ・ジュース

果実飲料。アナキン=スカイウォーカーの好物のひとつ。

ブルーフルーツ・キントル

高級茶の一種。

マネラン・ジャスパー

高級茶の一種。

257スター・ウォーズ世界のお食事(調味料・野菜・果物・デザート編):2010/07/03(土) 18:03:02 ID:IQeyh.Z20
グリーン・ファイア・ソース

スパイスの効いたソース。メラニーズ料理で多用される。

スウィートウィード

成長が早く、かつ大変甘い植物。もしくはその植物由来の食品添加物。
多くの種族に好まれるが、トゥイレックには毒となる。

サンフルーツ

果物の一種。ぶっちゃけ、オレンジ。

ジュースメロン

果物の一種。美味な果実で人気がある。
おそらく、ウリやメロンのような形をしている。

チョクラム・ツイスト

デザート。

ノブリーペア

果物か野菜。茹でたり煮込んだりして食べる。

フォデュ

メラニーズ料理の一つ。野菜中心のヘルシーな料理。
グリーン・ファイア・ソースを使っているため、スパイシーでもある。

ブリシュト・フルーツ。

果物の一種。サラダやテザートに用いられる。
バーロク産のブリシュト・フルーツは銀河中に名声を博している。

258スター・ウォーズ世界のお食事(加工食品・肉・魚編):2010/07/03(土) 18:03:51 ID:IQeyh.Z20
ソイプロ

合成食品。肉や魚の代用として用いられる。

ヴァルデラニア・グレインフレーク

乾燥フレーク。おいしいわけではないが、賞味期限は長く、非常食やおやつにはうってつけ。
水やミルクで戻して食べるが、そのまま食べてもかまわない。

カーカン・ライベン

焼肉料理。トモ・スパイスという辛口の香辛料で味付けする。

ギジュー・シチュー

ハーグリックというエイリアン種族の郷土料理。きつい匂いが特徴的。

ターシュ・マクサー

ハンバーガーのような食べ物。アナキン=スカイウォーカーの好物のひとつ。

バーベシアン・クラブ

おいしい甲殻類。

バーマット

哺乳類。ステーキや焼き肉などにどうぞ。

フィーロ・エッグ

鳥の卵。バーマットの付け合わせで出ることが多いが、一般的な卵料理に使用しても問題ない。
むしろおいしい。

ホーク=バット

インペリアル=センターに住む鳥類。
大変美味な肉として知られており、パルパティーン皇帝はインペリアル・パレスに特別な飼育所を設け、
極上のホーク=バットを自分と限られたゲストだけに振舞っていた。

259乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2010/07/08(木) 19:55:52 ID:3jhNdHc20
サイレントハンターでドイツの階級が気になったので調べてみたよ!
エリ「え」


ゲフライター・オー・アー 将校候補
ゲフライター・ウー・アー 下士官候補生
ファーネンユンカー 候補生
フェーンリヒ 士官候補生
オーバーフェーンリヒ 上級士官候補生

ゲフライター 伍長(ヒトラー)
オーバーゲフライター 上級伍長
ハウプトゲフライター 先任伍長
ウンターオフィツィーア 曹長
フェルトヴェーベル 軍曹
オーバーフェルトヴェーベル 上級軍曹
ハウプトフェルトヴェーベル 先任軍曹
ロイトナント 少尉
オーバーロイトナント 中尉
ハオプトマン 大尉
マヨーア 少佐
オーバースト・ロイトナント 中佐
オーバースト 大佐
ブリガーデ・ゲネラール 准将
ゲネラール・マヨーア 少将
ゲネラール・ロイトナント 中将
ゲネラール 大将
ゲネラール・オーバースト 上級大将
ゲネラール・フェルトマーシャル 元帥

今回手に入ったのは陸軍の資料だけか…

260乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2010/07/09(金) 19:39:17 ID:PckOwxTo0
うぅ、スルースキル高すぎ…
エリ「落ち込んでる暇は無いだろ、書けよ」
あんたはどこのガーデルマンだ!
…海軍で明らかになったのはこの部分だけやね…

少尉 ロイトナント・ツア・ゼー
中尉 オーバーロイトナント・ツア・ゼー
大尉 カピテーン・ロイトナント
少佐 コルベット・カピテーン(自信なし)
中佐 フレッグテーン・ロイトナント(自信なし)
大佐 カピテーン・ツア・ゼー
准将 フロッテルン・アドミラル(自信なし)
少将 カンターラ・アドミラル(自信なし)
中将 ヴィッツ・アドミラル(自信なし)
大将 アドミラル

261Galactic Emperor Piett:2010/07/09(金) 21:10:47 ID:qzU0EnB.0
>スルースキル高すぎ
おま……>>255-258をスルーしといて何を……;

提督はドイツ語でもアドミラルなのね。上級大将とかはどうなるの?

262建山陣 ◆Free525l1Y:2010/07/09(金) 22:40:12 ID:bCTYIwGc0
第1問:今年7月10日に公開された劇場ポケットモンスターの
    最新作のタイトルは『幻影の覇者 (○○○)』:?

正解:ゾロアーク

エリカ君の答え:「幻影の覇者 ゾ」
「ゾ」しか出てこなかったんかい

陽平君の答え:「幻影の覇者 ゾロリ」
懐かしい。昔大好きでした

純一君の答え:「幻影の覇者 ミュウツー」
ミューツーとか何時の話ですか

浩平君の答え:「幻影の覇者 ダークマター」
うーん、ありそうなんだけどね

セリカ君の答え:「幻影の探偵 コナン」
バーローwwww 誰もそこ変えていいって言ってないしwwww

263乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2010/07/09(金) 22:42:29 ID:PckOwxTo0
>>261
だって見てとは(ry
それに提督のことを言っているわけじゃ(ry

陸軍と一緒でオーバーストゲネラールじゃ…

264建山陣 ◆Free525l1Y:2010/07/09(金) 22:53:45 ID:bCTYIwGc0
第2問:2009年度の流行語大賞に選ばれた言葉は?

正解:政権交代

純一君の答え:トゥース!
カースガ!

浩平君の答え:あると思います!
じゃあえいえんもあるの?

エリカ君の答え:グー!
古い!

セリカ君の答え:僕は死にましぇーん!
もっと古い!

陽平君の答え:便座カバー
何それ?

265建山陣 ◆Free525l1Y:2010/07/12(月) 21:18:11 ID:RF1CCAqU0
第3問:「アジカン」って何の略?

陽平君の答え:ASIAN KUNG-FU GENERATION


純一君の答え:鯵の缶詰
×

セリカ君の答え:アジのカンヅメ
×

エリカ君の答え:アジの缶詰
×

浩平君の答え:アジアンの不細工な方の棺桶
×

266乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2010/07/13(火) 21:55:51 ID:p5LC7fio0
サイレントハンター動画で酷いのあったよ!
エリ「お、おい…」
再現するとこうだね

(上空に対潜爆弾を装備した偵察機登場)
アッーーーー!!(ジリリリリリ
(アラーム!!)

お前、急速潜航は初めてか?力抜けよ

敵機、すごく大きいです…

いい事考えた、お前弁を開いてメインタンクに海水入れろ

まだケツをふいてねぇ

タンクがパンパンだぜ

ああ、次は司令塔だ…

モーマンタイ!

…すごくカオスです
エリ「カオスにもほどがある…」

267乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2010/07/13(火) 23:09:58 ID:p5LC7fio0
『スツーカリート』にはまった…だが『急降下爆撃―スツーカリート2008―』のほうがもっと好きなんだ…
エリ「スツーカリート2008?」
自慢の37mm 露助を串刺し 僕は空飛ぶ破壊神!スツーカ!スツーカ!スツーカ!
ミルクを飲んだら出撃だぁ!スツーカ!スツーカ!スツーカ!♪
ロジーナ「あら、いい度胸じゃないのw」
あ…これはそn(ドカーン

268建山陣 ◆Free525l1Y:2010/07/18(日) 16:12:14 ID:Ti0xZiNc0
第4問:「銅」を英語で言うと?

正解:カッパー

セリカ君の答え:オリンピックサード
なるほど。言いたいことは分かる

純一君の答え:ブロンズ
残念。それは青銅

エリカ君の答え:ブラウンシルバー
茶色い銀…錆びた感じがするのはおいらだけ?

陽平君の答え:ノットスーパースチール
凄くない鉄…よく分からない。
ちなみに金属は「メタル」ね

浩平君の答え:ハイパーネゴシックス
もう訳が分かんない;

269乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2010/07/23(金) 13:26:08 ID:32xiCdm60
コンバットチョロQ ステージ名から元ネタ地名を考えてみる!

グーデロリン国境 不明
マインター森林 不明
チョロンボリ鉄道 不明(コロンビア?)
ナメトルケン橋 ナイメーヘン橋(オランダ)
チャントワープ港 アントワープ港(オランダ)
ワルイサット荒野 不明
オイポン飛行場 不明
ブルットレー氷河 不明
ダンチョビ地下 ダンツィヒ(ドイツ)
ドカスデン市 ドレスデン(ドイツ)
チョロマゲン鉄橋 レマゲン鉄橋 または ルーデンドルフ橋(ドイツ)
カナラベル基地 不明
コロビウス地点 不明(コロッセオ?)
ヘンダナウ港 不明
コロスク街道 不明(カフカース?)
エルチョロロ平原 不明
チョロデンヌ森 コンピエーヌの森(フランス?)
ヒンジャク市 不明
ランガマン基地 不明
トロメイン次元 不明
ジーグプリン線 不明
ガリポリス要塞 トリポリ(リビア)
ダンケロリ高原 ダンケルク(フランス)

前半でこのザマだよ!
エリ「後半のほうが簡単だったんじゃないか?」
ナメトルケン橋がナイメーヘン橋とわかるかボケー!
エリ「遠すぎた橋でわかれよ!」

270文々。新聞号外:2010/07/23(金) 17:13:37 ID:vBI3Nn9QO
文「号外〜、号外だよ〜!」
妖精達が大喧嘩?春早々に大騒がせ

○月○日、魔法の森近辺にて小規模な弾幕ごっこが繰り広げられていたことが周辺の住人の情報により発覚した。
幻想郷では弾幕ごっこはいつもの事ではあるが、今回は普通行われるものよりは大規模なものだったという。
事実、行われていたという地域の周辺には地面に大量に刺さった溶けかけの氷や光弾の被弾跡など弾幕ごっこにしては豪快過ぎるくらいの惨状であったのだ。
そんなお騒がせな弾幕ごっこを行っていたのはチルノ、サニーミルク、スターサファイア、ルナチャイルド(共に妖精)。
何故このようなことになったのかを聞いてみたところ、
「今年こそ異変を起こしてやろうと思ってたからね、まずは氷精の家を襲ってみたのよ。 いやー、まさかこんなことになるとはねえ。」(サニーミルク)
「冬の始めごろにあいつらがあたいに宣戦布告しにきたのさ、だから妖精最強が誰かを教えてやろうと思ってやったのよ!」(チルノ)
…と、いかにも妖精らしい理由であった。

自然の象徴である妖精が異変を起こせるとは思えないが、家を壊されたとなれば誰だって怒るであろう。
現在、両者とも弾幕ごっこを続ける意志を見せており、このはた迷惑な妖精の大喧嘩は暫く続く見込みだ。

http://kourindou.exblog.jp/12990219/

271名無しさん:2010/07/23(金) 17:22:11 ID:vBI3Nn9QO
追記

今回の記事は
「東方文花帖〜Bohemian Archive in Japanese Red〜」
「東方三月精〜Strange and Bright Nature Deity〜2巻」
を参考に書かせて頂きました
本編とは大幅に異なるかもしれないのでご注意願います

272Galactic Emperor Piett:2010/07/23(金) 18:12:30 ID:wYdYQs4I0
>>269
おそらく……

グーデロリン国境 ハインツ=ヴィルヘルム=グデーリアン(ナチの将軍)
オイポン飛行場 オイペン(ベルギー・リエージュ州)
ブルットレー氷河 オマール=ネルソン=ブラッドレイ(アメリカの将軍)
カナラベル基地 ケープカナベラル空軍基地(アメリカ・フロリダ州)
ヘンダナウ港 ヘンダーソン飛行場(ソロモン諸島・ガダルカナル島)
コロスク街道 クールスク(ロシア・クールスク州)
チョロデンヌ森 アルデンヌの森(フランス・アルデンヌ県)
ジーグプリン線 ジークフリート線(WW1のドイツの要塞線)

>>270-271
ちょwwwあの子達何やってんのwww

273乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2010/07/23(金) 18:52:19 ID:32xiCdm60
>>272
なるほど…名前のもあるのか…コンピエーヌじゃなくてアルデンヌでしたか…orz
ヘンダナウ=ヘンダーソンって…ちょっと金剛で攻撃してきますね!
っていうか人の名前が元ネタのもあったのか…

274乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2010/07/24(土) 10:54:49 ID:qthUrxVg0
フェアリー「日本の航空魚雷の値段はいくらぐらいですの?」
九一式航空魚雷が2万円です 九四式酸素魚雷が2倍が4万円ですね…
フェアリー「い、意外と安いのですね どうしてそれで日本は負けたんでしょう…」
安いだなんてとんでもない!当時の海軍中佐で280円しかもらえなくて、
しかもそれで楽に食っていける時代で2万は高いですよ!?
仮に280円を28万円としましょう、1発2億円…
フェアリー「な、なるほど…そういう意味ですか…」

魚雷で家一軒建つっていう理由がわかったお…

275乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2010/07/24(土) 10:58:50 ID:qthUrxVg0
しまった、1発2000万か…

276乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2010/07/30(金) 20:19:29 ID:7QvHA0iw0
第二次世界大戦時最も活躍した英国製の戦艦はなんでしょう!?
ロジーナ「ネルソンかロドネイかしら?」
エリ「ここは日本に貢献しました的な意味で『プリンスオブウェールズ』か?」
フェアリー「ヴァンガードかしら…いいえ、違うわね…
       リヴェンジかクイーン・エリザベスかしら」
いいえどれでもありません(キリッ

277Galactic Emperor Piett:2010/07/31(土) 08:25:07 ID:7k.IHRto0
>>276
ソフィ「ふふふ、3人ともうまく引っかかっているわねw」
ソニア「マスターの仰った、英国"製の"というところがポイントです」
ソフィ「イギリスで造った戦艦だから、イギリス海軍の戦艦だけとは限らないのよw」
ソニア「答えを言ってしまっては興を殺ぐのでしょうね」

278Galactic Emperor Piett:2010/07/31(土) 15:32:46 ID:7k.IHRto0
あれ、ミシャ兄950踏んだんだから次スレ立てといてよ。

279乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2010/08/03(火) 20:31:57 ID:20lIFsks0
『A列車で行こう4』のBGM個人的ランキング
エリ「好きだなそういうの」

1:狂った歯車
2:コミックスター
3:街角の女
4:公園の池畔
5:盈虚のはてに
6:電車に揺られて
7:時の流れのまま

こんなとこかな!
エリ「待て、なんでグローバルの曲が入ってるんだ」
グローバルはやったことないけどたまたま聞いて…ね いや、あれはいい、うん

280Aria:2010/08/04(水) 03:25:28 ID:x7axVqzo0
ウィンダって多分ウィンのお姉ちゃんだよね
エリア&エリアル「えっ」
参考:ウィン
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&amp;illust_id=10733111
ウィンダ
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&amp;illust_id=12259061

281乃木平八郎 ◆sRu4/gQPQo:2010/08/04(水) 13:30:19 ID:Te9XYCNM0
メタルマックス3のナースは嫁にしてもいい
シャーリィ「頭冷やせ」


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