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チラシの裏 4枚目

224im@s fantasy9 第三章 第六十話 3/3:2010/06/07(月) 04:15:09 ID:p11sUdjg0
「そろそろ、1年ほどになるのではありませんか」
心当たりのある時間だった。
「……何が…ですか」



貴音は話す。
「私が春香女王の元に初めて訪れたときからですよ」
「…」



「少し話をしましょうか …その頃のことについて」
「その…頃?」



1年前…貴音は始まりの黒魔道士を携えアレクサンドリアにやってきていた。

「私がかの前女王に献上させて頂いたのがあの黒魔道士です。あなたも戦ったからよく覚えておいででしょう
 あの青い服を着た、小さな小さな黒魔道士です」
「………!?」



「ビビ殿。そう呼ばれていますね
 彼は実に出来がいい。魔力も強く、トランス能力を備え、他の黒魔道士より頑丈に出来ている…寿命が長い。」
「何が言いたいのですか」



貴音は座り込む。
「あのビビ殿は特殊製だったのです 黒のワルツたちとは異なる方向で。
 それが何がかと聞かれればこう答えるしかありませぬ
 『新鮮な魂を使っていた』と」

魂を選別する…嫌気の差す言葉だ。
「新鮮な魂…それが何だっていうの」



「わかりませんか?」
「…」




「私は記憶力が悪いのですが…確かあの時期、ありませんでしたか?
 町を行く馬車による事故で、一人の少年の命が意識を失ったらしいこと…そして、何故か当時の技術ではなす術がなく
 その命が尽きてしまわれたこと」


「……っ!!?」
関係がないだろう。
その時期に起こったこと…自らの弟の死のことを、忘れもしないその出来事を。
「私が女王の間へ伺った際、あなたの表情が優れなく…私が聞いたのでしたね」



貴音は続けた。

その言葉を。
「何故なす術がなかったのでしょうね…激しく打ったのは腹。頭をぶつけ…意識がたまたま薄れただけだったというのに」



…青ざめる。
「……待って、まさか…」




「私はあなたに嘘をついていました。…私はそう、あなたの弟の死は存じておりました
 いえ…あなたの知らぬことも私には解っておりました」



「…そんな」
「手ごろな素材が何か必要でして… 医療機関に少し前に問い合わせてあったのです
 若く、才能を備えた優れた魂が 何か一つ…
 
 ええ。あなたの弟殿の死因は、馬車に轢かれたことではございません…」







「黒魔道士第一号『ビビ』の精製です」


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