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チラシの裏 4枚目

214im@s fantasy9 第三章 第五十七話 1/3:2010/06/05(土) 01:55:20 ID:BVdpDv660
春香女王を直接殺害したのはアレクサンドリア軍…
これを巡り、城内で論争が巻き起こった。



その剣に春香女王の血がついた者全てを処刑するべきとする考えが
城内の大多数を占めた。

千早将軍と真隊長に至っては、その場にすら居合わせられなかったことを生涯の恥とし、
自害しようとさえしたほど。



新たな女王、雪歩が行った最初の国事は先王春香の遺体を埋葬、弔うこと…
見るも無残な、形さえ留めぬその姿にアレクサンドリア中が嘆き悲しみ、怒りに打ち震えたが
その次には、その問題を自ら解決することだった。



今なさねばならぬことは果たして何か。

殺害した兵士達を処刑し、戦力を大幅に減らすことか。
千早将軍や真隊長に責を負わせ処刑し、同じく大幅に戦力を減らし、城の、国の士気を下げることか。



…事実を、多少曲げるほかなかった。



千早将軍や真隊長を中心としたアレクサンドリア軍の必死の抵抗も空しく、貴音により直接殺められたと。
だが、無駄であった。


兵士達は強く心残りに思っている。あの場で他者にそれをなすりつけようとしたこともまた。

強く、何より強く自らを呪っている。

例えば酒場で酔いつぶれ、自分の罪を話し、泣きじゃくることもあろう。
…そんなふとしたきっかけで、噂として街に一気に知れ渡るのだ。


そして、そのことを知った者には、そのことに深い憤りを覚えるものもいれば…
事実をひた隠す新王雪歩の、生前の春香女王との間の溝を原因として真実を隠しているのだとするものもおり

中には、雪歩王女が春香女王を殺めたのだとする風説まで広まっていった。



大陸中が疑心と憤怒と絶望という、新たなる霧に包まれていた。





「…お願い、いい加減に解って欲しいの…!
 私は不届き者とされても裏切り者とされても構わないから…
 …千早ちゃんや真ちゃんが死んでも、兵士のみんなが死んでも何もならない…
 貴音を倒すことが全てだって…… …誰も二人を責めていないし…兵士の皆だって操られただけなんだから…」


ベッドに腰掛け、新たな女王は肩を落としながらも、必死に二人を見つめていた。
「…しかし」


「…女王のするべきことがあなた達の処刑…?  皆は…そう言うけど……私はそうは思わない…
 女王として、私はあなた達に共に戦って貴音を倒して欲しい…
 人間として、私はあなた達、私のために力を尽くしてくれる、良くしてくれる皆を失いたくないの…」


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