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投稿するまでもないSSスレ 7/7

1名前が無い程度の能力:2008/03/20(木) 14:04:00 ID:oLnzbUDc0
創想話に投稿するまでもないSS用スレ。
理屈なんていらない、東方に熱い想いがあるというなら
とにかくそれをぶちまけろ! 長編・短編どちらもOKだ!

前スレ
投稿するまでもないSSスレ 6/6
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/6306/1201010640/

関連サイト
プチ東方創想話ミニ
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SSを書いている人へ
なぜ自分が書いたSSが評価されないのか
どうしてイタイヤシと叩かれなければならないのか
U-1ってなに?って思ってる人
こうすれば、貴方のSSは生まれ変わる
『 メアリ・スー 』 テストで自己診断。これで皆は貴方のSSにメロメロだ!!
ttp://www.imasy.or.jp/~hir/hir/marysue/marysuefaq_j.html
ttp://iwatam-server.dyndns.org/column/marysue/

関連スレ
【夢夢嫁嫁】東方キャラとイチャつくスレ14【夢嫁嫁】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/6306/1205947173/l100
【こんなSS】 貴方に合うSSを探すスレ 第3話 【どうですか】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/6306/1205951152/l100
幻想郷のキャラをいぢめるスレ 8.1
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/6306/1205947364/l100
SSの実力向上を目指すスレ スレ立て待ち

14名前が無い程度の能力:2008/03/25(火) 22:53:54 ID:anLt7hoE0
早苗x魔理沙xアリスネタが最近好きかも。
聖ZUN学園の影響か・・

15名前が無い程度の能力:2008/03/25(火) 23:01:17 ID:F9xJD0Xs0
何その面白そうな学園。
よし、自分も調子に乗って投下しよう。

↓ここから最後の行まで。

『ナニな事を思い出した、チルノの一人遊び』

昔から寒さに包まれていた気がする。
世界がずっとずっと、春も夏も秋も無い時、寒さに抱かれていた。
そのうち世界はあったかくなった。寒さは、暖かさによって消されていった。

暖かくなるものを寒くするには凍らせたらいい。
全てを凍らせていくうちに、一人の変な妖怪に捕まった。
いつものように凍らせてみたら、凍ったまま動いてきた。

「年中涼しいままの場所まで連れてってあげるから、そこに住みなさいな」

そっと抱きしめられて、真っ暗な闇に包まれた。
それが目を閉じた時の闇だとわかって、そのままにしておいたら、湖にいた。
それから紫色を見るたびに、時々そのことを思い出す。


春。これから冬がどこかに行って、暫く雨が降ったら大嫌いな夏がやってくる。
一年中涼しいっていうのは嘘だった。
花を凍らして砕くのは楽しいけど先のことを考えると嫌になる。
そういえばカエルはまだ見ない。まだどこかで寝てるんだろう。

今日は誰も来ない。何となく水を凍らせる。
薄く広く。なるべく広げたら一気に割る。
小枝を細かく折る楽しさに似てて、とても楽しい。
だけど、しばらくしたら飽きた。

今度は大きな氷を作ってみる。
ほとりより少し進んだところの方が作りやすいから、そこからゆっくりと。
少し、また少し、大きくなるように頑張ってみる。
両手よりも、もっと沢山。凍らせて凍らせて。どこまでも凍らせて。

そのうち、端っこの方から砕けてくる。そこを凍らせると別のところから砕けてくる。
どこも砕けないようにすると、息を止めてるような感じでいっぱいっぱいだ。

「やーめたっ!」

力を抜く。すると、一斉にいままで凍らせてた氷が砕けて、湖にゆっくりと波が広がった。
あたいの力が起こした氷と波が、湖に広がって消えていった。氷もだんだんと溶けていった。
ついに跡形もなく氷も波も湖へと溶け込んでいった。
難しいことはよくわからないけど、これが世界なんだと思う。
ゆらゆらゆれる水面と、それに映る空を見ながら、そう思う。

だけど考えたところでどうしたらいいのかわからない。
あたいは凍らせることしか出来ない。飛んで凍らせる。冷たい温度の中に私はいる。
あたいが冷たい温度だ。凍らせれば動けなくなる。動けなければ攻撃は出来ない。

考えるだけ考えたら、やっぱり凍らせることの出来るあたいは最強だった。

16名前が無い程度の能力:2008/03/25(火) 23:11:01 ID:anLt7hoE0
聖ZUN女学院 鴨さんが作ったオリジナルssなのだが
これのアリスが壊れすぎて大好きw
早苗が主人公

変態アリスと普通の魔理沙のマリアリがたまらん

17midy:2008/03/25(火) 23:17:34 ID:anLt7hoE0
とりあえず今執筆中のSS投下してみる
東方の細かい設定は知らないので間違っていたらすまん
文才もないので読みにくいし餓鬼くさいかも。推敲もまだしてない
誰が喋っているかわかるようにと気をつけてはいるが・・・
あくまで執筆中なので・・・と先に言い訳と謝罪を言っておく。
内容はネタではなく鬱系です・・・
甘いモノにはスパイスを

ここ人形が大量に休む館の中、テーブルを挟んで空色服の魔女にニコニコと微笑ましい顔をしながら
身振り手振りも交えつつ語りかけてくる白黒魔女。なんとも平和を象徴するかのようなこの風景。
ゆっくりと甘い流れの至福の時間。微笑む白黒。なんとも無邪気な笑顔。なんとも無防備な仕草。
こんな所を後ろから妖怪に襲われたら簡単に潰されちゃいそうな、それぐらい私の事を信頼してくれている。
白黒の語る冗談に対して、相槌を打ちつつ、時には突っ込み、追加で頭を叩いてやったりもする。
「痛いぜ痛いぜ、痛くて死ぬぜ」
「それで馬鹿が治るのならもっと叩いてあげるわよ」
このように触れ合ってのコミュニケーションは、私の時間をとても満たしてくれるものだった。
弾幕合戦の時は全く触れることすらできないのに、この時間だけは特別だった。
私よりも小柄な体躯に、さりげなく触れることが出来るのだから。届かないはずのものに。

でも時々ふと思う事がある。もし急にこの関係が崩れてしまったら、私はどのような反応をするのだろうか、と。
今は笑顔で絶えないこの私が、急に笑わなくなるのだろうか。泣き出すのだろうか。壊れてしまうのか。
それとも何も感じないのか。私は人形ではないし、自制心はあるつもりだ。
だから、もし、の場合だがきっと前者の2つだろう。

18midy 2:2008/03/25(火) 23:18:27 ID:anLt7hoE0
ある程度雑談を交えた後、今、白黒の魔女──魔理沙は私部屋の中心のソファーを勝手に陣取って、
肘掛に背中を預けてやや仰向けの体勢で、足を伸ばしてリラックスしている。
その状態で勝手に引っ張り出してきた私の魔導書を、黙々と読みふけっている。
会話の途中に手に入れたばかりの珍しい魔本の話をしたのがまずかった。
その行為を無理やり止めない私も、お互いの信頼があるからこそ許してしまう。
私は魔理沙がどんな箇所を読んでいるのか、何に興味を持っているのか、それとも構ってもらいたいのか
「どう?何か発見できた?」と、魔理沙の後ろにさりげなく回りこんで本を覗き込む。
帽子は被っていないので、魔理沙の金色の頭部の横に自分の顔を並べると、とても良い香りが鼻をくすぐる。
・・・・・・実は魔理沙がどこを読んでいるかなんてどうでもよかった。甘美で芳醇なこの香り。とても幸福な香り。
魔理沙に少しでも近寄れるなら。この香りを好きなだけ満喫できるなら・・・
その為ならばこの本アゲチャウ☆なんて思ったり思わなかったり。あぁ・・・・・・幸せ・・・幸せが身体に満ちていく。
この香りさえあれば、ご飯何合でもいけちゃう。可愛いなぁ、魔理沙。私にも可愛いって言って欲し──
「なぁ、アリス」
「へっ、あっ、なあに魔理沙」
急に振り向かれ声を掛けられる。視線が交わる。魔理沙可愛いよ魔理沙。
「アリスってさ・・・・・・・・・・・・」
(ドキッ、可愛いクリンとキリッとした目で見つめないで〜〜〜〜あああぁ・・・もうだめかm)
「・・・鼻息荒いよな」
ガッ。
情けない。途中までドキドキしていた私が情けない。可愛いとか言われるかと思・・・・・・って
「鼻息荒いって何よ!!殴るわよ!!」
「殴ってから言うなよ・・・痛いぜ・・・」
「いつもは荒くないわ!普通よ!ただちょっと・・・今だけは・・・その・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・魔理沙の髪が・・・とても・・・・・・いい香りだったから・・・つい・・・」
前半荒く、後半呟くようになってしまう。魔理沙はそのギャップと台詞に混乱しながらも
「ん・・・・・・そうか・・・・・・・・・嬉しいぜ・・・」
と照れ隠しのつもりなのか、魔理沙はまた本に視線を戻す。耳が軽く紅潮しているのがわかる。
この反応が可愛い。この可愛い頭をワシワシとナデナデしたくなる。この無防備な頭。無防備な後頭部。
ただの少女の頭。撫でたい。帽子に抑えられていた事によってできた微妙な癖ッ毛がまた哀愁をそそる。
この蜜のような甘い時間。肺の中に溜め込んだ魔理沙臭。幸せ。この時間がいつまでも続いたらいいのに。
この関係がもっともっと深くなれば、もっと甘くなるのかな。
繊細で、綺麗な髪を纏い、触れるのさえ躊躇われるような、ガラス細工のような。
そんな魔理沙の後頭部が目の前にある。無防備である。
そっと頭を撫でてやることも、急に抱きつく事も可能である。何でも可能だ。
ウホッと変な顔をしていても後ろ向きだからバレない。逆にどつくこともできる。
冗談で叩いても簡単に壊れそうな脆い頭────もし、とても強い衝撃を与えたら?思いっきり殴ったら?
この雰囲気に合わない、ぶち壊すような衝撃をこの頭に────
ふと思っていることと逆の考えが頭を通過していった。
いけない、何を考えてしまったのだろう、そんな事をしたらいけないとわかっている。
殺意だの恨みだのなんて恐ろしい考えは沸く理由がない。
信頼してくれているのだから。そんな事するわけないし、何故私が魔理沙に危害を与えなくちゃいけないのか。
憎いわけではない。むしろその逆である。心の底から大好きなのだ。対する魔理沙は私の事を単なる友達
だと思っているかもしれない。私はそれ以上の関係を望んでいるのだが、進展させる勇気がない。
この関係が壊れてしまうことが怖い。

19midy 3:2008/03/25(火) 23:19:59 ID:anLt7hoE0
・・・・・・それにしても無防備すぎる。あれだけ口喧嘩も交えたこともある私が
無言で後ろに立っていても、まったく怖気ないとは。それほど私の事を信頼しているのか。
例えばの話だが、この頭に思いっきり後ろから力を加え、全てをぶち壊してしまったらどうなるのだろう。
痛いぞアリス、とか言うの?痛いを通り越しているのに?それとも当たる直前に危ないぜ、とか言って避ける?
こんな雰囲気で後ろから強い衝撃を不意に加えるなんて常識ではありえない。避けれない。
でももし・・・──────ぐっまただ、なぜこのような考えをしてしまうのだろう・・・
この幸せな時間を自らぶち壊すだなんてどうかしてる。いや、実際はぶち壊さない。
壊してしまった自分と今の自分を比べて、今がどれだけ幸せなのか計ってみただけ。それだけである。
そう、今は幸せを存分に味わうべきである。

魔理沙の香りが芳醇すぎて脳が犯されたに違いない。考えを切り替えなくては───
「あ、魔理沙?そういえば紫さんからスイーツ(笑)、簡単に言えば果物だけど、
さっき分けてもらったの。多分あっちの世界からくすねてきたものだと思うけど、
すぐ痛んじゃいそうだし、一人では多いから一緒に食べる?」
「おっ、ケチなアリスにしては気前がい──ゴフッ
アリスの水平チョップ。それをこめかみにモロにうけ、魔理沙はソファから転げ落ちる。
「誰がケチよ、誰かと一緒に食べたほうが美味しく感じるでしょ?まぁ、仕度してくるから
おとなしくまってなさい」

汁が服につくのを防ぐため、軽くエプロンをかける。さて取り出しましたのは緑色の球体。
所々ひび割れているのかスジが大量に浮いている。あっちの世界ではこれが普通らしい。
紫はメロンだと言っていた。西瓜と同じように切り分け食べるのだ。とりあえず8等分ぐらいに切り分ける。
タネは西瓜より取り除くのが非常に楽だった。黄緑色をした果肉が剥き出しになる。
このままかぶりつくのもいいが、年頃の乙女のする行為ではない。
なので食べやすいよう、皮と果肉の境を見極めながらそれにそって切り込みをいれ、さらに直角に包丁をいれ
一口サイズの四角い緑の欠片にとアレンジを加えた。
他にはブドウと呼ばれるものもある。これは知っているので軽く水洗いをしておく。
ただ、紫が言うにはこのブドウには『タネが無い』らしい。
タネが無い植物や果物なんてあるわけない。いろいろな意味でありえないだろう。
♀と♀で子供が作れちゃうぐらいおかしな話だ。まぁ私と魔理沙だったら不可能じゃないけど・・・
何を考えているんだ私。
えっともうひとつ、確かパインとかいう果物・・・・・・・・・・・・・・・なんぞこれ。
円柱の形をした銀光する塊。銀色・・・・・・パインは黄色と聞いたのだが。
果物とは思えないぐらい硬い。つつくとカツンカツンと音がする。
食べれるのかしら、これ。自然の産物とは思えないほど綺麗な円柱である。まるで人工的に作られた容器・・・・・
・・・・・・・・あ、あらいやだ私ったらそうよこれは確か缶詰と呼ばれるものよ忘れてたわオホホホh

20midy 4:2008/03/25(火) 23:20:54 ID:anLt7hoE0
・・・・・・それにしてもこんなものどうやってあけるのだろうか。どこからでも切れます。なんて表示はなかった。
とりあえず包丁を手にする。しかしこの硬さから想像するに、包丁のほうが刃こぼれする可能性が高い。
切れぬものなどほとんどない。その切れぬものが目の前に。柔らかいものなら簡単に切り裂けるのに。
柔らかいもの・・・野菜、肉とか。人間の皮膚だって簡単に貫ける。これでグサァッとやっちゃえば簡単にコロリと
いっちゃうだろう。丈夫でいて脆い人間。でも実際に包丁で人を切ったことなんて無い。当然だが。
────もし、これで人を刺したらどんな感触なんだろう。死んだ肉と違って生きている肉。
刺された刺激に筋肉が強張って刃の通りが悪くなるのだろうか。それとも逆に綺麗に押し込まれていくのだろうか
そんな事をした自分はどんな反応を、どんな表情をするのだろう。
私ならすぐ冷静になれるはず、でもそれは想像の中。
実際に目にしたら・・・・・・どうなる?反応を見てみたい。自分の反応を。自分を知りたい。どうなるのか。
生きているけど抵抗する暇もない無防備な生き物を・・・・・・無防備・・・・・・さっきの少女。
甘い世界にいたはずなのにいきなり後ろから刃を突きたてられたら?理解をする前に死んじゃうのかな。
なぜ刺されたのかも、何が起こったのかもわからないのかな。そもそも殺される理由なんて無いんだし。
自分はここでは死の可能性が全く無い、そんな所で死んだらどんな表情を?死んだことさえ気づかないのかも。
それにはどのくらいの力を出せば。どこに刺せば───
「おーい、アリス〜まだか〜〜?」
ハッ、壁を隔てた部屋の向こうから聞こてきた声で我に戻る。
「あ、あと少しだからもうちょっと待っててね」
まただ、例え妄想だとしても、これは危ない。最近になってよくこのような妄想が頭をよぎるようになった。
人里ですれ違った、全く知らない赤の他人。この人を殺しても自分とは面識が無いわけだから
まず私は疑われないだろう。野次馬として現場に戻り、死んだ人の表情を・・・どんな表情?
安らかな死に顔?それとも殺される直前の表情?恐怖に歪んだ表情?何が起こったのか理解できない表情?
ああああぁあ駄目よ駄目よダメダメ
なぜこんな考えをしてしまうのか。考えるだけで実行する気は全く無い。が力強く包丁を握っていたことに気づく。
包丁の刃身に自分の顔が反射して映る。普通の表情、落ち着いた表情。そう、ただ考えていただけ。実行はしない
壊しては駄目だ。この甘い日常をなぜ壊す必要がある。考えるのはやめよう。日常に戻そう。

「うおぉおおお甘くてうんめぇええええ、なんぞこれーーーー」
さっきまで緑の欠片を睨んでいた魔理沙であったが、一口かじっただけでこれである。
「ん、あらほんと、西瓜やリンゴとは全く違うのね。これはほんとに美味しいわ。」
「見た目からは想像できないこの汁に溢れた禁断の果肉。優しく、甘く、柔らかく・・・・・・
口に馴染む!馴染むぞぉおフハハハハお口の中がマスタースパークや〜〜」
優しく甘く柔らかい表現とマスタースパークは噛み合ってない気がするが、そこはスルーしておく。
「これはメロンっていう果物よ。それとこれが種がないブドウ。・・・・・・でもう一つあるんだけど、
開け方がわからないのよ・・・・・・」
「なに、それは本当かね・・・・・・それは・・・気の毒に・・・」
私も2きれめのメロンを・・・・・・ってあれ?無い。見えない?違う。何も違う。
あ、なんだ、魔理沙の口のなかか。そうかそうか、消えたわけじゃなかったんd・・・
「って!!!!くぅおら魔理沙〜〜〜!!!!私の分は!!!なんでほとんど食べるのよ!!!」
「なに、それは本当かね・・・・・・それは・・・気の毒に・・・」
「私はまだ一切れしか食べてないのよ?」
「なに、それは本当かね・・・・・・それは・・・気の毒に・・・」
駄目だこいつ。あまりの美味しさに意識がとんでる。
恍惚な顔しやがって・・・その無防備な顔に正拳突くらわしてやろうか?
くっ・・・可愛い。只でさえかわいいのに、ほむほむと口をゆっくり動かして・・・・・・・
あぁぁぁあぁんらめぇぇえその表情可愛すぎる!!怒りを忘れちゃうぐらい可愛い!!反則よ反則!
世界のどんな果物よりも、その魔理沙の表情のほうが素敵過ぎる!!可愛EEEE
あぁ・・・もう私はそれでお腹いっぱい・・・・・・

21midy 5:2008/03/25(火) 23:21:48 ID:anLt7hoE0
「いや〜〜美味かったぜ。やっぱ二人で食べるとさらに美味いな」
「私はほとんど食べてないけどね」
でも嬉しかった。過程はどうあれ二人で食べたという結果が残ったのだから。
「食べやすいサイズに切ってくれてあったし、気が利いてるよな〜〜だからアリスは好きだぜ!!」
「ぬぁっあああぁ・・・そ、そそう。それは・・・気の毒でよかったわね」
あぁああぁあああああ落ち着け〜〜落ち着け私。落ち着くのよ。
魔理沙は『友達として好き』だと言ったのだ。また勘違いしてしまう所だったわ。
ここで妄想にふけったらまた変態と指をさされてしまうわ。
周囲には変態アリスとかなんとか思われてるけど根は純粋なのよ。乙女よ。
ただ周囲の影響が強すぎるだけ。特に、幻想郷一恋に鈍感な癖に『恋符』なんて
つけちゃってる魔理沙が悪いのよ。そのギャップが可愛いじゃないの。男勝りの癖に乙女ボイスとかもうね。
言っておくけど私は変態じゃないからね!!・・・・・・・・・・・・誰に向かって言ってるんだろう私・・・・・・
あ、そうよ、目の前の魔り・・・あれ?いないわ。ん、キッチンのほうから音がするわ。そこかしら。

「ぉ、こんなに美味いもん食べさせてもらったからな。礼として食器は洗って片付けておいたぜ」
「え・・・・・・魔、魔理沙・・・・・・どうしたの?変なもの食べた?」
「いや変なものも何も今極上スィーツを食べただろうが。まぁこれで借りは無し。と」
食器を洗っただけで借りは無しとか・・・まぁ私も餌与えただけで借りを作ろうなんて疚しい考えは無いからいいけど

そして魔理沙はまたソファーの肘掛に背を預け足を伸ばすと、さっきの魔導書の続きを読み出した。
(もうちょっと会話したりと構ってくれてもいいのに・・・)
以前、アリスは弄りがいがある とかなんとか言ってたからちょっと期待してた。
あ、別にMとかじゃないわ、いたって普通、普通よ。
丁度位置的には魔理沙の背後にいるわけだ。
(ん〜なら私が襲っちゃおうかしら・・・・・・そしたら・・・
魔理沙好きよなんだアリスもか実は私も好きだったんだあらそうなのじゃあ今からいい事しましょ
大丈夫よ私も初めてなんだから え そうよ魔理沙の為にとっといておいたのよあんだめよいきなryふじこlp;@)

22midy 6:2008/03/25(火) 23:22:24 ID:anLt7hoE0
無理よ無理よこんな都合よくいくわけがない。失敗したら関係が壊れるってレベルじゃない。
急に抱きつくのもやめたほうがいいし・・・・・・折角無防備な魔理沙が目の前に・・・・・・
───自分を裏切ってこの少女を壊してみたら?怒りも、怨みも、理由なんて無い
ないから逆に。もしかしたらいいほうに転ぶかもしれない。そんなわけないわ
どうせ人間いつかは死ぬ、なら最愛の人をこの手で。何を馬鹿な、嫌よ
そこに人形を作っていた工具が出たままだろう、それで思いっきり壊すとどうなる。そんな事しないわ
自分の目の前で最愛の人が亡くなる恐怖に耐えれるか、試してみないか?知りたくないわ
知るのが怖いのか、いずれ愛する人は離れていく、そうなる前に。ずっと私の物よ、失うことなんてさせない
失うとやはり狂ってしまうのを認めたくないのか。そんなわけない、私は・・・平気
本当に平気か、知りたくないか、恐怖を克服できる心の持ち主か。・・・・・・・・・
自律人形を作るに当たっても恐怖を克服できないと無理だ。・・・・・・・・・
ここには2人以外誰もいない、誰も見てない、だからいつ死んだかなんて誰にもわからない。・・・・・・
自分のものにしたいのだろう、自律人形と彼女を、でもいまのままじゃ両方無理だ。・・・・・・どうして
恐怖から逃げているからさ、知りたくないか、自分の弱さ、それを知りたいなら嘘をつけ。
自分を裏切れ。新しいものが欲しいなら、既存のものを壊さなければならない。
自律人形にも恐怖の表情が必要だ、怯えた顔、後悔する顔、表情とは別の意志を巧みに操る事だって必要だ
自分に嘘をつく人形、自律人形。そうだ、作るには足りなかった。陰に属する表情が───
自律人形、人形でありながら人と同じよう自分で考え自分で動く。それには陽の属性だけではだめだ。
人と同じなら、人と同じ反応をせねばならない。泣くところで笑ったりしたらそれこそ奇態だ。人ではない。
恐れ、憎しみ、恨み、偽り・・・その他の表情も作らなくては。他人が死んだ時の表情も、最愛の人が・・・・・・
え、それって殺せって事?無理よ嫌よするわけないわ。・・・・・・もし魔理沙が死んだら・・・・・・嫌よ
考えたくも無い。嫌よ嫌よ、想像しただけで涙が溢れてしまう・・・・・・想像で・・・・・・こんなにも
もしそれが真実になったなら・・・・・・どんな表情?それとも私は壊れてしまうのかしら・・・・・知りたい?
知りたくない、知る機会にも出会いたくない。でも自律人形の表情に・・・嫌よ知りたくない。いらない。
知りたい?知りたくない。どんな表情?知りたくない。知りたくない。どんな表情?知りたくない。
知りたくない知りたくないいらない知りたくない知りたくない表情は知りたくない知りたくない
知りたくない知りたい知りたくない知りたくないどうなるの知りたくない知りたい私は知りたくない
知りたくない知りたくないゴッ知りたくない知りたくないドサッ知りたくない知りたくない知りたくない
知りたくない知りたくない知りたくない知りたくない知りたくない知りたくない知りたくない知りたくない


「じゃあそろそろ帰るぜ、また続き読みたいからまた近いうちにくるけどな」
「あら、わかったわ。結構外は暗いから気をつけてね」
「なんだ、アリス、気持ち悪いぞ」
「何よ人が折角心配してあげてるのに」
「いやいや、そういう優しさがアリスのいい所だ」
「褒めたって何もでないわよ」
そんなこんな会話を交わした後、日がほとんど落ちてしまった夕闇の中、白黒魔女は闇に溶けていく

あんな服の色だからすぐ見えなくなっちゃうわね。無事に家に帰れるかしら・・・・・・
まぁ大丈夫でしょう『魔理沙』なら。・・・・・・さてと、あの容器・・・あら?
次『魔理沙』が来てくれた時の為、また一緒に食べた、という結論にするため
なんとしてでもあの容器を開けなくちゃ、とキッチンに足を向けたのだが・・・無い。
パインの缶詰の事だ。さっきまでここに・・・・・・
・・・・・・あぁ『魔理沙』がちゃっかり盗ってったのか。
フフッ────やっぱり『魔理沙』は魔理沙ね。

23midy 7:2008/03/25(火) 23:23:22 ID:anLt7hoE0
朝早く、それもまだ目が覚めて数分も経っていないのに玄関から私を呼ぶ声がする
誰よこんな朝早くから・・・・・・常識が無い人だわ と愚痴をこぼしつつも
軽く身だしなみを整え玄関に向かう
呪文の鍵を解いて、ドアを開けると
「・・・霊夢?こんな早くから何しに来たのよ」
と不機嫌を露にして喋る。
霊夢はしばらく私を睨んだ後、
「あなた、何か隠してない?」
と少し怒気が篭ったような口調で言うと、勝手に私を押しのけ家の中に上がりこむ
「ちょ、ちょっと霊夢?何勝手に上がってるのよ!!非常識ね!」
上海、蓬莱もアリスの怒声を聞きつけたのか、部屋の置くからふわふわと飛んできた。
妖怪か!ゴシュジンがアブナイ!!!と、
しかし目の前にあるのは霊夢の顔。知っている顔が目の前にあり、敵ではないのか?と人形達は混乱する
困ったような表情をする人形達を霊夢はしばらく睨んでいたが、
「ねぇ、あなたの人形で一番優秀なのはこの子達?」
「え?、えぇそうよ?」
「ふぅん・・・・・・・・・・・・なんとなく嫌な勘がしたんだけれど・・・・・・」
「勘?まさか勘がするってだけで人の家に朝早くから上がりこんだの?」
人形を注視していた霊夢が、その場でクルリと玄関にいるアリスに身体を向ける
「ええ、でもなんか違うみたい」
なんという人騒がせな・・・
「悪かったわね、邪魔したわ・・・」
ズブッ

あぁ・・・こういう表情もするんだ・・・・・・



『霊夢』は玄関から外へ出て、森の隙間からこぼれてくる日を浴びる。眩しい、という表情をする。
「悪かったわね、邪魔したわ」
「当たり前よ、こんな時間にいきなり来るなんて非常識にも程があるわ」
「だから謝っているじゃないの。それにしてもよくできた人形達ね」
「優秀でしょ?私のお人形は。貴女の勘も中々のものだけどね」
それはどうも、と霊夢はふわりと浮き上がると、来た道を戻っていった。
やっぱり霊夢は自分の勘に忠実なのね。人形には勘、なんて概念存在するのだろうか

朝は少し騒ぎがあったけど、それ以外は何も起こらない平穏な日であった。
今頃『魔理沙』は『霊夢』と神社の境内でお茶を飲んでいるのかしらね。
お茶も食事も、いつもと変わらない日常。そうでないと意味が無い。

自分も人形を弄る。独りで。独りなのだが周りには上海蓬莱がいる。だから独りではない。
寂しくはない。そのまま窓の外が薄暗くなるまで、工房に篭る。
そしていつもどおり夕食の準備をする。本来食べなくても平気なのだけれど
これが私の日常なのだから───

24midy 8:2008/03/25(火) 23:24:10 ID:anLt7hoE0
─────────やっぱりいつもの日常になるのはまだ早いのね
私は家を覆うように頑丈な障壁を張らす、張り終わると同時にとてつもない振動、轟音が家を襲う
5秒ほどで振動や音が鳴り止む。家具や食器などが落ちる音が聞こえる。あーあ。
障壁はいまだ破られてはいない。片付けるの大変だわ、そんな事を考える、が
再び凄まじい振動や轟音が唸り始める。さっきより激しく、長い。15秒くらいだろうか。
障壁は未だ余裕で持ちこたえている。
・・・が折角用意したテーブルの上の食事は、床にぶちまけられたりと酷い惨状だった。
着席する前だったからよかったものの・・・・・・
「出てきなさい!アリス!!!」
外から怒声が聞こえる。やれやれ、今日は訪問者が多い日だわ。
玄関から外に出ると、丁度正面45度の高さに障壁を挟んで、黒い影──
永遠に幼く紅い月 吸血鬼レミリア・スカーレットである。

私はいつもと変わらない表情を保ちつつ、障壁の向こう側にいる吸血鬼に問いかける
「あら、城主様が直々に何しに来たのかしら?」
「あなたを殺しに来たの」
「さて、どうしてかしら?私はいつもの日常を満喫していただけよ?」
「とぼけても無駄よ、幻想郷を塗り替えるなんてさせないわ」
「塗り替える?私が?とんだ誤解だわ。人違いよ、帰りなさい」
「私に気づいて障壁を張ったって事はすこし遅かったかしら・・・・・・
・・・・・・まぁいいわ、今日貴女は死ぬという運命なのだから」
成る程、ある程度の運命は把握できているという事か。
だから私が日常生活を送ろうとしている事が大雑把にわかるのね。
そして運命をある程度操れる。ある程度、だが。
「ふぅん・・・・・・それで、今日私が死ぬの?」
「そうよ、運命だから抗うことはできないわ」
「ふふっ、"今日"ね。"今"じゃないのね、安心したわ」
「あまりかわらないわ。さぁ、殺してあげるからこの障壁を消しなさい。
そうすれば最低限の損傷で終わらせてあげる」
「言われなくてもそのつもりよ、ただ少し待ってくれる?」
そういうとアリスは障壁を解除し、数歩前へ足を踏み出す。
そこでくるりと向きを180度変える。つまり家と向き合う形となる。
家に向かって手を翳し何か呟くと、今度はアリスと家の間に障壁が現れる。
その行為が終わると、アリスはまた向きを変え、レミリアの目を見る。
「家の中には大切なものがあるから、失いたくないの。」
そういってさらに家からかなりの距離をとり離れる。
そして軽く地を蹴り、宙に浮かび、高さ的にはレミリアと同等ぐらいまで上昇する。
互いの距離はそれでもかなり離れている。
アリスの腕には魔本GofAを抱きかかえている。
アリスの動きが止まるのを見計らってか、レミリアは口を開く。
「中々殊勝な心がけね。もうすぐ主がいなくなると言うのに。
でも素直な子は好きよ?苦しまないよう殺してあげる」

25midy 9:2008/03/25(火) 23:25:22 ID:anLt7hoE0
アリスが不気味な微笑を掲げながら問いてくる
「ねぇ、どうして私がここに住んでいるかわかる?」
「・・・・・・・・・・・・ふん、どうせ死ぬのに知る必要なんてないわ」
「ここにはね、魔力が溢れかえっているの。魔法の森って呼ばれるのも不思議じゃないくらいにね」
「だからなんなの?今更命乞い?」
「どんなに破壊しても再生する不思議な森。ここなら本気をだしても構わない。
貴女は運命を操れるらしいけど、私だって操師、一級品のね。あなたを操れば運命だって操れるわ」
「抗うつもり?たかが妖怪ごときがこの私に?・・・・・・はぁ、冷めちゃったわ。
もういいわ、運命どおり早速殺してあげる、それも残酷に!!」
言い切ると同時に手から物凄い波動を飛ばす。スペルではない。殺すのが目的だけのそれ。
スペルカードルールではない。ただの殺し合い、スペル宣言等不要。
逃げ場も与える必要なんてない。ただ殺せばいい。本気の一撃。
アリスに向かって轟音とともに殺意の塊が飛んでくる。避けきれない。避けさせない。
いや、轟音が耳に届く前に、既に塊が彼女に被弾していた。物凄い波動が、そこを中心に飛び散り、
足元にある木々をなぎ倒していく。その一瞬の光景に置いていかれた轟音が、木々が倒れていく絵と同調する。
「・・・しまったわ。もっといたぶるつもりだった・・・・・・の・・・・・・に??」
噴煙が風に流され、塵となったアリスを確認しようとした。が、
アリスは微笑を保ちながら、浮いているのだ。傷一つ見当たらない、服のほつれなども無い。
本気の一撃だったはず。あんなものを喰らって耐えていた生き物なんていまだかつて見た事が無い。
狼狽するレミリアを見てアリスは鼻で笑う
「フフ、これが貴女の本気?久し振りに本気をだせると思ったのに、がっかりだわ」
レミリアの頬を冷たい水が滑り落ちる
(この私が、たかが妖怪ごときに恐怖を???ありえないわ、運命は絶対よ)
震えているレミリア。生き物に対する恐怖など今までかつて味わったことが無い。
生き物の頂点なのだから当然である。声が出ない。震えが止まらない、歯を食いしばっても、体が言う事を聞かない
「いい表情ね。一生で初めての恐怖を味わった顔かしら。参考になるわ。とても、ね。」
レミリアは歯茎から血がだらだらと溢れている。歯を食いしばることで恐怖に打ち勝とうとしているのだ
「───っぐぁあああ、妖怪の分際でえええええああああああああああ」
怒り。その力を借り恐怖を乗り越え、アリスに対し、さらに激しい死の塊を放出する
強大な力を、吸血鬼のプライドを、怒りを、運命に抗う哀れな虫ケラに対し全てをのせてぶち込む。

瞬間、目の前が紅き閃光で真っ赤に染まる。一瞬遅れて、脳を揺さぶるかのような轟音、もう音と呼べないくらいの
衝撃が身体を駆け巡る。追い討ちをかけるかのように凄まじい風圧、それだけで白黒のスペカの数倍はある。
その力に耐え切れず、術者本人も吹き飛ばされる。光と音と圧力と、もう自分がどこにいるか、どっちが天か地か
なにもわからない。別世界に放り込まれたような、そんな感覚。

26midy 10:2008/03/25(火) 23:27:18 ID:anLt7hoE0
やがて光は収まり、視界が開けてくる。
空が見える。姿勢は丁度地面と平行に、仰向けになっていたらしい。
ゆっくりと姿勢を戻し、周囲を見渡す、丁度右手側に巨大なクレーターが開いている。
これは本当に自分がやったのかと思うぐらいに大きく深く抉れている。いくら魔法の森と言えど
修復はできるのk───
「やればできるじゃない。でも私の本気には全然足りなかったわ」
後ろから声
わかってる
でも理解できない
「それに力の扱いが下手ね。幻想郷の全域にこの事が気づかれちゃったじゃない」
無事であるはずがない
きっと瀕死だ
いや死んでるのかも
幻聴だ────息をするのも忘れ、ゆっくりと声のするほうに振り返る──
いや、息ができなかった、振り返ることも出来なかった、身体が自分を忘れてしまった
「あら?震えているわよ?恐怖や絶望しているのかしら?どんな表情か、見せて?」
視界にゆっくりと空色の服を着た少女───アリスが映る。
「ふぅん、素敵ね」
にっこりと微笑を浮かべる傷一つ無い彼女の顔を見て、私は意識を失った。

「あ、レ、レミリアお嬢様お帰りなさいませ!!」
紅い館に戻った時出迎えてくれたのは、緑の服を着た中華風の門番、紅美鈴である
「あ、それにそちらはアリスさんでしたか」
と、レミリアと一緒に飛んで来たアリスにも頭を下げる
──と、顔を上げるや否や、美鈴が切羽詰った表情で質問を投げてくる
「お嬢様、つかぬことをおききしますが、さっきの──
「あぁ、気にしなくていいのよ、力の遣い方を間違えただけだから」
とレミリアが払うように手を振りつつ言葉を遮る。横にいるアリスもそれにつづいて口を開く
「そうだ『レミリア』、力の遣い方、教えてあげるわ」
そう言うとアリスは美鈴に向かって右手の手のひらを突き出す

お嬢様の事を呼び捨てだなんていつのまにそんなに仲良くなったのか
それとこの手のひらは?さっきの爆音も気になるし・・・
「ふふ、素敵だわ美鈴、それが今から何が起こるかわからないって表情ね」

「ア、アリスさん?貴女、い、今何を・・・」
いつのまに駆けつけてきたのか、メイド長十六夜咲夜がそこに立っていた。
「あ、『美鈴』あなたはいつもの日常に戻っていいわ」
「は、わかりました」
『美鈴』は軽く頭を下げるといつものように門の前に就く。
「えっと・・・咲夜さん?素敵ね。それが見てはいけないものを見てしまった表情ね」
「言いなさい!今美鈴に何をした!!!!」
咲夜はナイフの切っ先をこちらに向けて怒声を浴びせる
「何って、日常業務に戻ってもらっただけよ?貴女も仕事、あるんでしょう?」
しれっというアリス。よく見ればお嬢様もどこか雰囲気がおかしい。威厳、カリスマ
その類の気配が無い。仕方が無い、無理やりにでも口を割らせるしか───

「ここがフランドール様の寝室でございます」
「この館は素敵ね。あのパチュリーの苦虫を噛み潰した表情、最高だったわ。
ありがとう『咲夜』、貴女はもう仕事に戻っていいわ」
「では失礼します」
『咲夜』は軽く会釈をし、一歩後退した後綺麗にくるりと後ろを振り返り、薄暗い階段を上っていく。
巨大な扉がある。その先にこの館最後の目標がいる。
扉を隔てて声が聞こえる
「だぁれ?だれかきたの〜〜?まりさ〜〜?」
「いいえ、私よ、アリスよ」
「ふぅ〜ん、そっかぁ・・・・・・・・・ねぇ、遊んでくれる?」
「いいわよ、遊んであげる」
「ホント?やったぁ〜〜〜〜〜〜早く入って〜〜」
巨大な扉、それにもかかわらず全く音を立てずゆっくりと内側へと開いていく
闇の中、フランドールの表情は中々確認できないので、魔力を少し使い、
光を発光する球体を宙に漂わせた。この程度の光なら、日光じゃなければ問題はない。
その光に照らされ、純粋無垢、汚れを知らないフランドールの顔が闇に浮かび上がる。
「ねぇねぇありすぅう〜〜〜何して遊ぶの〜〜〜?」
「そうねぇ、─────

とりあえずここまでなんだが、長すぎてすまない・・・
しかも(言い訳以下略)

27名前が無い程度の能力:2008/03/25(火) 23:32:09 ID:6jhFnno20
ガクブルジョワー


ちゃんと終わらせてくれ!
そんなところで終わったら怖すぎるだろ!!

28名前が無い程度の能力:2008/03/25(火) 23:47:07 ID:F9xJD0Xs0
は、はわわわ…こわいよう

29名前が無い程度の能力:2008/03/25(火) 23:55:34 ID:UqGOs0F20
なぁに、これはホラーな人形劇さ!

・・・・・・そう思い込むことで私は恐怖を超克する、超克したい、超克させて!

30名前が無い程度の能力:2008/03/26(水) 00:17:58 ID:ff2t.oAs0
そこで切るなー!
なんという生殺し。読者的な意味で。

31midy:2008/03/26(水) 00:19:36 ID:iSg4cS..0
ここからの展開が・・・難しいのだ。
脳内ではストーリーが二つ以上分岐されちゃっているから・・・・・・
とりあえず長文読んでくれてthx

32midy 11:2008/03/26(水) 01:04:18 ID:iSg4cS..0
今日も博麗神社はいつもと同じ日常を送っている。
簡単に開くのに、事実上の開かずの箱を覗き込み落胆し、落ち葉をいつもの定位置にかき集めてから処分し、
境内でお茶を飲む、紅白の腋巫女がいる。
今日も紅魔館はいつもとかわらない日常を送っている。
門番が撃退され、寝巻き魔女の機嫌を損ない、銀光りのナイフに追い掛け回される白黒魔女
それを見て笑う城主に、何がそんなに楽しいのかわからなく、ずるいと駄々をこねる妹
湖では蛙を凍らせて遊ぶ氷妖、迷いの竹林では人型の兎が嘘をつき、とある所では庭師が庭の手入れをしている
人里ではいつものように賑やかだ
その他の場所でも、みんないつもと同じ日常を送っている。

いつもと違うところと言えば
腋巫女の勘が冴えなかったり、時間を止めることがなかったメイドがいたり、日傘からはみ出た日光に
触れているにも関わらず平気な顔の吸血鬼だったり
それでも今日の日常は夜が訪れ、日が閉じる。

今日も博麗神社は昨日と同じいつもの日常を送っている。
簡単に開くのに、事実上の開かずの箱を覗き込み落胆し、落ち葉をいつもの定位置にかき集めてから処分し、
境内でお茶を飲む、紅白の腋巫女がいる。
今日も紅魔館は昨日と同じいつもとかわらない日常を送っている。
門番が撃退され、寝巻き魔女の機嫌を損ない、銀光りのナイフに追い掛け回される白黒魔女
それを見て笑う城主に、何がそんなに楽しいのかわからなく、ずるいと駄々をこねる妹
湖では蛙を凍らせて遊ぶ氷妖、迷いの竹林では人型の兎が嘘をつき、とある所では庭師が庭の手入れをしている
人里ではいつものように賑やかだ
その他の場所でも、みんないつもと同じ日常を送っている。

昨日と同じ事なのだが、今日も
腋巫女の勘が冴えなかったり、時間を止めることがなかったメイドがいたり、日傘からはみ出た日光に
触れているにも関わらず平気な顔の吸血鬼だったり
それでも今日の日常は夜が訪れ、日が閉じる。

今日も博麗神社は昨日と同じいつもの日常を送っている。
簡単に開くのに、事実上の開かずの箱を覗き込み落胆し、落ち葉をいつもの定位置にかき集めてから処分し、
境内でお茶を飲む、紅白の腋巫女がいる。
今日も紅魔館は昨日と同じいつもとかわらない日常を送っている。
門番が撃退され、寝巻き魔女の機嫌を損ない、銀光りのナイフに追い掛け回される白黒魔女
それを見て笑う城主に、何がそんなに楽しいのかわからなく、ずるいと駄々をこねる妹
湖では蛙を凍らせて遊ぶ氷妖、迷いの竹林では人型の兎が嘘をつき、とある所では庭師が庭の手入れをしている
人里ではいつものように賑やかだ
その他の場所でも、みんないつもと同じ日常を送っている。

昨日と同じ事なのだが、今日も
腋巫女の勘が冴えなかったり、時間を止めることがなかったメイドがいたり、日傘からはみ出た日光に
触れているにも関わらず平気な顔の吸血鬼だったり
ただ昨日と違うことと言えば、雨が降っているにも関わらず誰も雨傘を刺していなかった。
それでも今日の日常は夜が訪れ、日が閉じる。

今日も幻想郷では日常が。永遠に。繰り返される。

33midy 12:2008/03/26(水) 01:04:53 ID:iSg4cS..0
考えることは出来ても学習することは出来ない自律人形。考えてはいるのだが、日常なので考えを変える必要が
ないのだろう。行動が制限されない限り、同じ考えを保ち続ける。
何か障害物が発生した場合のみ判断して避ける。
目が合ったら挨拶をする。台詞は昨日と同じ。なので返す言葉も同じ。


日常。なんとも甘い味なのだろうか。永遠に壊れることの無い関係。私が話しかければそれに話を合わせてくれる。
幾日たっても老いることの無い人間。異変も起きない。甘美たる世界。芳醇な時間。至福な空間。
───ただ、同じ味ばかりでは飽きてくる。いくら美味しくても毎日同じメニューでは飽きてくる。
ならちょっぴりスパイスを加えることにしよう。

今日は魔理沙を家に呼んでみた。勝手に本を読み、時には私を弄ってくれる。なんか幸せ。
家に泊まってもいいわ、と言ってみた。まだ外は明るいから帰るぜ。と言われた。

今日も博麗神社は昨日と同じいつもの日常を送っている。
簡単に開くのに、事実上の開かずの箱を覗き込み落胆し、落ち葉をいつもの定位置にかき集めてから処分し、
境内でお茶を飲む、紅白の腋巫女がいる。
今日の紅魔館は昨日とは違う日常を送っている。
門番は退屈そうに欠伸をし、寝巻き魔女は本を読みふけり、メイド長は雑務をこなす
それを見て笑う城主に、何がそんなに楽しいのかわからなく、ずるいと駄々をこねる妹
いつもの日常であるはず。でも、何かが狂った。いつもの・・・・・・日常が。
湖では蛙を凍らせて遊ぶ氷妖、迷いの竹林では人型の兎が嘘をつき、とある所では庭師が庭の手入れをしている
人里ではいつものように賑やかだ
その他の場所でも、みんないつもと同じ日常を送っている。

今日も魔理沙を家に呼んでみた。勝手に本を読み、時には私を弄ってくれる。なんか幸せ。
ある程度暗くなると家に帰ろうとする魔理沙。そこを無理やりとめる。
まだ外は明るいから帰るぜ。と言う魔理沙。それでも無理やり行く手を遮り説得する。
まだ外は明るいから帰るぜ。と言う魔理沙。それでも無理やり行く手を遮り説得する。
まだ外は明るいから帰るぜ。と言う魔理沙。それでも無理やり行く手を遮り説得する。
それを繰り返すうち、本当に外が暗くなってきた。
かなり暗くなってしまったな。と言う魔理沙。今日は家に泊まってもいいわ、と言ってみる
おっ、ケチなアリスにしては気前がいいな、お言葉に甘えるとするぜ

34midy:2008/03/26(水) 01:20:13 ID:iSg4cS..0
即興で適当に書いた。推敲も糞もなかった。
むしゃむしゃして書いた。
逆に⑩で切っておけばよかったかと後悔している

35名前が無い程度の能力:2008/03/26(水) 08:47:40 ID:9GIpyP.k0
ひいぃ!?
マジ怖いよ!オリエンタルホラーだよ!

36名前が無い程度の能力:2008/03/26(水) 09:13:14 ID:42gidKok0
なにげにハインラインの「人形使い」系の話になっているのが
主人公がアリスだけにナイスマッチング

表現が雑な部分の文章ちゃんとリライトして
アリスが最強すぎることの説得力をもっと持たせられたら
(霊夢のときみたいに不意を突くとか)
更にいい感じになるんじゃなまいか

37名前が無い程度の能力:2008/03/26(水) 10:33:51 ID:wQTunS0M0
これはかなり面白い
正に『不思議の国のアリス様』

38midy:2008/03/26(水) 12:30:41 ID:iSg4cS..0
まだこの話の続き執筆してはいるんですが、進まない・・・

また別の話書き出しちゃった・・・

39名前が無い程度の能力:2008/03/27(木) 01:04:31 ID:FU0LURnE0
なんか最初話の振りというか
本来書きたいことを書く流れに持っていくため
どうでもいいことを書くんだが
書いていくと後になって、そこと「どうでもいいこと」の部分が繋がってたりと
様々な複線がうまれたり
自分でも驚く罠・・・一種のトランス状態かな

文才とかその他のレベルは大してあがらんが。

40名前が無い程度の能力:2008/03/28(金) 01:38:54 ID:77zmpWH60
誰か・・・アリマリでいいから投稿してくれ・・・
そーそーわ読みたいのに規制くらって読めたことなど全く無い。

執筆しても投稿できないし・・・

41midy:2008/03/28(金) 19:58:21 ID:77zmpWH60
上海「只今よりSSを投下する!!!」
蓬莱「といってもこのスレ活気がないぜ・・・」
和蘭「東方の細かい設定は知らないので間違っていたらすまない。あと餓鬼臭い」
仏蘭「ちょっぴりオリジナル設定が入っているので、そこ違うからとの指摘は・・
露西「はぁ、なんだか眩暈がするわ」
白黒「 『SSを投下する!!!』だっておwwwww」
紅白「腋を見ろ。話はそれからだ」
乙女「文才もないので読みにくい。推敲ほとんどしてない。投稿するまでもないssだから」
倫敦「ママー何あれ〜
西蔵「しっ、駄目よ、みちゃいけません
藁「鬱な話ですが、まだ執筆中です。とりあえず前半の第一部を。
京「ちゃんと前半のフラグも後半でへし折るから安心したまえ。言い訳は大量にある」
黒白「なぁ、アリス、マスタースパーク撃っていいか? 」

42midy:2008/03/28(金) 19:58:43 ID:77zmpWH60
The genius girl should sleep.


置いていかれる
努力をしても追いつけない。
なぜ・・・・・・?あのカメですら、昼寝していた兎に追いつけたと言うのに───


「ぐっ、あぁぁぁああ駄目だぜ〜〜ここから進まないぜ〜〜」
そう机の前に開いたノートに声を張り上げているのは魔法の森に住む普通の魔法使い、霧雨魔理沙である。
彼女は常に努力を重ねている。血の滲む様なそんな努力を。誰よりも。それは一人前の魔法使いになるために。
だがその努力を決して他人には見せない、気づかせない。
平然とした顔でみんなと並びたいから。手加減してほしくないから。同情して欲しくないから・・・・・・

式は合っている。でもどうしても矛盾してしまう箇所が出てきてしまう。
一向に解ける気配のないパズル。答えは見えているのに、辿り着けない。
「あぁああ、もうっ!!」握った拳で机を叩く。八つ当たりなど本来好ましい行為ではない。
だが、一向に解けないもどかしさと、収益を得られず時間だけが無駄に過ぎていくことに焦燥を感じずには
いられない。
人間の命は短い。だからこそ焦るのだ。焦ってはいい結果が出ないことは知っている。それでも焦ってしまう。
周りには怪物だらけである。力と時間の尺が人間とは遥かに違う。だからこそ努力で追いつきたい。無駄にできない。
化け物と自分を比べて悔やむほど、自分は愚かではない。根本が違うことぐらいわかっている。
それでも私は努力する。努力で追いつけないものはないのだから。
────ただ、例外が一人いる

43midy 2:2008/03/28(金) 19:59:24 ID:77zmpWH60
所変わってここ、博麗神社の境内でお茶をすするのは紅白腋巫女こと、博麗霊夢である。
のんびりお茶を啜っていたのだが、顔を上に向け空を仰ぐと、「ん、来る頃かしら」と呟やきながら立ち上がり、
台所のほうから別の湯のみと、沸かしたお湯を下げて、また境内に戻ってくる。
お茶を啜る姿勢やら、立ち上がる時に「よっこいしょっ、とぉ」なんて言う所が特におっさん臭いのである。
また改めて座りなおすときも、「うぃっしょぉっと」なんて言う所がますます(略
『楽園の素敵な巫女』こんな寂れた神社のどこが楽園なのだろうか、
こんなおっさん臭い少女のどこが素敵な巫女なのだろ─うわなにをすrhおこlp

霊夢が鎮座し、一息ついた所であれは来た。
「いよっ、霊夢、相変わらずおっさ───
地面に足が着く前に、飛来する追跡機能付き座布団が魔理沙の腹を抉り、箒の上から叩き落とす
背中からモロに落ち、「酷いぜ酷いぜ、酷くて死ぬぜ」なんて事を抜かす。
まぁいつものことである。〜くて死ぬぜ、と言う割りに死んだところは見た事が無い。あっても困るが。
砂を払ってからいつもの指定席、霊夢の横に座り、専用の湯のみに茶を注ぐ。
いつ来てもこのお茶がいい温度なのは、やはり霊夢の勘により、魔理沙の訪れるタイミングを見計らっているのか。
相変わらず勘が鋭く、どこまでお見通しなのか複雑な気持ちになる。
ともあれ、こういうところが非常に憂い奴なのである。おっさん臭い乙女。新たなジャンルの発掘だ。
まぁこれが相変わらずの日常なのだ。

ふと魔理沙が尋ねる
「なぁ霊夢、仕事はいいのか?神事なんだろ?」
「あら、この庭をみてわからない?今日はいつもより頑張ったのよ」
───あぁ、この巫女は日本語がまともに話せない残念な子だったのか。楽園で素敵というのは頭の事うわ何をすry

・・・・・これで頑張ったと言うのだろうか、いや、本人が言うのなら間違いない。頑張ったのだろう。
「・・・・・・これで・・・か?」
「なによ、文句あるなら貴女がやりなさいよ、丁度箒も持っているんだし」
「違うぜ、何も違うぜ霊夢。この箒は掃除するための箒じゃないんだぜ!!」
掃除をするための箒ではない。本来の役割を果たしていない所が、まさにどこかの巫女と─うわだからやめrフジコ

44midy 3:2008/03/28(金) 19:59:54 ID:77zmpWH60
箒はただのアクセサリーではない。空を飛ぶためである。
魔理沙は幻想郷で唯一、物を利用して飛ぶという不思議な魔女だ。
魔理沙が箒を使って飛ぶのには理由がある。
表向きは、いかにも魔女っぽいだろ?という理由である。
でも実は、箒を使わないと満足に飛べない。からである。
さらにおまけの理由としては 努力によって荒れた手を誤魔化すためである・・・

ペンダコ、豆、血豆、擦過傷、その他もろもろを努力によって出来たと気づかせないためである。
箒を握っているから、と。それで隠しきれるとは思えないが、ある程度はそれで誤魔化してしまう。
回復魔法を使えば、と思うのだが豆を直す魔法だのそんなピンポイントな魔法を魔理沙が使えるわけが無い。
それにいくら他人から隠すといっても、自分にとっては誇りの証。努力の結晶なのである。
魔法で消すのは躊躇われる。人間らしく自然治癒が一番なのだ。


魔理沙ほどの魔女が、なぜ箒を使って飛ぶのか、いや、使わないと飛べないのか。
それは彼女が落ちこぼれだったからである。
凄腕の魔法使いと名高い霧雨家一族。代々優秀な魔法使いばかりが溢れる一族。
それでも一族の中では一応優劣はある。
優秀たるものは名を世間に知らしめ、さりとて優秀ではない下のほうとはいえど、一般の魔法使いからみれば
かなりの魔力を持っていた。
そのなか魔理沙だけは、特別、とびぬけて落ちこぼれであった。
空も飛べず、魔法も大して撃てず、体躯は小柄で、霧雨という名を汚すだけの存在。
呼吸をする程度と同等の簡単な魔法ですら満足に撃てなかった。
ついに魔理沙は、まだ2ケタにも満たない歳にもかかわらず、一人で修行してこいと
家から追い出された。形はどうあれ、事実上の勘当である。霧雨という苗字も剥奪されていた。
力なきものがこの幻想郷で一人で生きるなんてことはまず不可能である。食事など生活面での問題ではない。
もし妖怪に襲われたら抵抗する術がないのだ。つまり・・・・・・ここから先は考えるのが嫌だった。

その落ちこぼれである私が、今や幻想郷でも頂点に君臨する吸血鬼などと対等に渡り合っているのだ。
『努力』それがあればどこまでも登っていける。超えられないものなどないと、そう信じていた。
只一つの例外を除いて───

45midy 4:2008/03/28(金) 20:00:41 ID:77zmpWH60
「───魔理沙?どうしたの柄にもなく真剣な顔して」
「ん、あ、あぁ、ちょっと過去を思い出してな」
ふぅん
そう一言だけ返すと霊夢はまたお茶を啜りだす。
・・・・・・
・・・・・・
「『暇』ねぇ・・・」
・・・・・・
・・・・・・
しばしの沈黙が続く。いくら仲が良くても会話が途切れることぐらいある。
魔理沙も特に用事も話題もないのにこの神社へ来る。だから特に話すことなんてない。
時が、ゆっくりと、流れていく。どんなに遅くなっても時は止まらず、ゆっくりと感じていても
実は平等に、残酷に、時間は冷たく流れていく。さっきまで焦っていた自分はどこにいったのか。
あれは一人でいるときだけの私。焦る私を誰にも見せたくない。
外面の私は霊夢と同じく呑気にまったりしている、そういう役なのだ。焦るのは一人になった時でいい。
…一人の時、か。霊夢は何をしているのだろうか。私と同じように演技して、内と外と使い分けているのだろうか。
誰かの前では無気力巫女を、一人の時には───

聞いてもいいのだろうか。真実が聞けるのだろうか。聞いてどうするのか。
やっぱり自分と同じなんだと安心するのか。苦労してるのは自分だけじゃないと。みんなそうなんだと。
・・・・・・それが違ったら? ・・・・・・え? だから、違ったら? それはどういうことだ?
自分と違い、使い分けてない、つまり一人の時も今と同じ状態だとしたら・・・?
だからなんだ、私は霧雨魔理沙だ、他人が努力しようが何してようが関係ない。ひたすら努力するだけだ!
他人を見ている暇なんて無い!知っても何もかわらない!!
・・・・・・じゃあなぜここに来る、気になるのか? 何をだ! 他人が努力しているところをみて安心したいのだろう?
私は私だ!!怯えてなんかいない!!
・・・・・・じゃぁ聞いてみようか。本人に。望む答えが返ってくるといいけどね・・・
・・・・・・
・・・・・・
「───魔理沙?やっぱりどこか悪いの?家に帰って休んだら?無理しないほうがいいわよ?」
ほらみろ、霊夢も一人になりたいと、私を家に帰して一人になって、早く精進の続きがしたいのだ。
......じゃあ聞こうか?平気だろ?確信が持てたんだろ?怖くないはずだ。
「ん、いや、そうじゃないぜ、どこも、悪くなんかないぜ」
「そう?ならいいけど・・・・・・・・・・・・魔理沙、なんか言いたいことでもあるんでしょ?
喋り方がぎこちないわよ?」
「う、あ、その・・・・・・(相変わらずの的確で鋭い勘だぜ・・・)」
「魔理沙は嘘付くの下手なんだから、さっさと吐いたほうが楽よ」
「う・・・・・・・・・・・・(キクシカナイダロ、キクナライマダロ、レイムノ カン ニハサカラエナイ)
・・・・・・・・・・・・・・その・・・霊夢ってさ・・・」
「ん?なぁに?」
「その・・・・・・なんというか・・・・・・修行というか、精進というか・・・・・・なんか努力していることって・・・あるのか?」
「あぁ、なんだそんな事、まさかそんな事で思いつめていたの?」
私の真剣であった質問に対し、微笑を交え返答する
「んーそうねぇ、本当は巫女として、もっと掃除をしたりと神事をやらなければならないのだけれど・・・
参拝客がこないからねぇ、最低限の神事はするけど、それ以上は気分によるわね、アハッ」
駄目巫女である。そんなだから賽銭箱も開かずの箱と呼ばれてしまうのだ
──違う。聞きたかったこと、知りたかったことはこれじゃない。この事ではないのだ
もっと核心に寄ろう
「んっとな霊夢、仕事が無い時間や一人の時は何をしてるんだ?なんかこうーー、スペルの特訓やら修行みたいな
・・・・・・こっそりと努力みたいな事を・・・・・・・・してるのか?」
なぜここだけ口調が弱くなるのか。どんな答えでも平気なはずだ。
そもそもこっそりと努力しているのなら内緒にし、他人に教えないはず。
それでも多少の動揺や言葉によって、僅かぐらいなら伺う事も出来るかもしれない。

46midy 5:2008/03/28(金) 20:01:17 ID:77zmpWH60
────しかし霊夢の口から出た言葉は私の期待をぶち壊すのには十分すぎる威力だった
「特訓?懐かしい言葉ね、私が巫女を受け継ぐ前の事かしら。あの時は大変だったわ、もうこりごりよ──
私は霊夢が話しているにも関わらず立ち上がると
「すまん霊夢、用事を思い出した、じゃあな」
霊夢の顔も見ずに口早に言葉を言い放ち、箒を掴むと素早く空へ溶け込んだ


わかっていた。霊夢、博麗の巫女は何にも捕われること無い存在という事が。
その存在ゆえにどんな返事が返ってくるのかも。
もしかしたらという期待、それに身を委ねることがそもそもの間違いだった。
一か八か、とか、やってみなきゃわからないよ、とかは愚劣な考えであると。もし駄目だったらどうするの?
やってみて聞いてみて駄目だったら、責任は誰が?なおかつ、この結果はわかっていたのに。
巫女は嘘をつけない。そもそも霊夢が嘘をつくような性格ではない。真実しかいえない。自分に忠実に生きる。
だから裏と表を作る必要なんてない。──気づいていたのに
博麗霊夢は天才である。どんな敵にも負けることはない。だから努力なんて必要ない。
わかっていたのに──

同じ人間であるはずなのに。なぜこうも差が開く?弾幕をやれば常に私が負け越しだ。
血の滲む努力。その結果を味わいたくて挑むのに。報われない努力。浪費した無駄な時間。
霊夢は今も境内でお茶を飲んでいるだろう。私が式に頭を悩ませているときも、境内で寝ているだろう。
それが博麗霊夢なのだから。

47midy 6:2008/03/28(金) 20:01:47 ID:77zmpWH60
うさぎとカメの童話?努力があれば天才に勝てる?何を馬鹿な。
こっちが苦しい思いをしてるのにあっちは寝ていたんだぞ。こっちは休む暇もないというのに。
勝負の最中に寝る?どれだけ舐められた話だ。それでやっと勝てた。勝たせてもらえた。1回だけな。
もう一度やったら勝てる?無理だろ?兎は散歩程度、こっちは満身創痍。その程度で兎は勝てる。なんだこの差は。
これでも勝てないのか?兎はいつでも休める。いつでも追い越せる。いつでも勝てる。練習も必要ない。
さらに・・・・・・もし兎が本気をだしたら?・・・・・・もう・・・話にもならない。
どうすれば勝てる?努力だけで、天才を。どうすれば追いつける?

私が複雑な道を隅々まで散策し、やっと理解した森の迷路も、霊夢は 勘 の一言で迷うことなく抜けてしまう
どうすれば勝てる?どれだけの努力で、天才に。どうすれば並ぶことができる?

努力は天才に勝てない。追いつく事もままならない。差を縮めることが出来ても、天才は努力を少し用いただけで
簡単に突き放す。天才だって努力を使えるのだ。兎のようにずっと寝たままじゃない。
どうすれば勝てる?努力しかないのに、天才を。どうすれば追い抜ける?

悔しい。勝てない。ずるい。報われない。目標までまっすぐ走ることしか出来ない努力。
イレギュラーには対応できない。天才は、天才だ。何にでも対応できてしまう。
努力はその出来事に対し、また努力を重ねて対応せねばならない。
天才はずるい。苦労もせずに。なんでも手に入る。それでいて自分の欲に対する時間はたっぷりと用意されている。
『暇』と何度も口にすることが出来るくらい。
ずるい。憎い。勝てない。ずるい。卑怯。憎い。憎い・・・・・・
───これでは只の八つ当たりじゃないか、霊夢は何も悪くないのに・・・・・・
『天才』その2文字が与えられるか否かで、人生が決まるとしたら。私は永遠なる敗者だとしたら・・・
・・・・・・違う!!私は霧雨魔理沙だ!!!そんな理由で屈するものか!!!!!!

箒に魔力を込めて、スピードをあげていく。どんどん加速する。帽子は魔法で脱げなくしてあるので問題ない。
箒に抱きつくように身を屈め空気抵抗を減らす。さらに速度を増していく。
眼下に広がる森は、まるで緑の砂嵐かのように後ろに吹き飛ばされていく。
誰にも追いつかれない。私だけの世界。全てを流す彗星のごとく──
このスピードは幻想郷一だと自負している。
どうだ、これがあの飛べないマリサか?違う!!努力によって生み出された霧雨魔理沙だ!!

48midy 7:2008/03/28(金) 20:11:38 ID:77zmpWH60
自分の家が見えてきたあたりで減速を始め、ゆっくりと下降していく。
──おや、家の前に誰かいる。あちらは既にこちらに気づいていたらしく、目線が交わる。
七色人形─(略)─アリスである。「ちょwwww」とアリスの呟きが聞こえたような聞こえないような

「ぉ、アリス、何しに来たんだ?」
「貴女に盗まれていた魔本の内容が実験に必要になってね、取りに来たのよ」
「失礼な、借りていただけだ。まぁ、必要なら返すぜ、待ってな」
私は玄関の鍵を解除しようと、扉に手を掲げ──
「ねぇ、魔理沙。貴女、いま何か悩みでもあるんじゃないの?」
不意に放たれる言葉に私の手が止まる。
「な、なんの事だ?私は悩みなんて──
「ほら、その反応でバレバレなのよ、さっきは凄い飛ばしていたみたいだし、今も視線をすぐ逸らすし、
貴女との付き合いは長いからね、すぐわかるわ」

確かにアリスとの付き合いは長い。真面目で、純粋で、誰に対しても優しく、穏やかな性格のアリス。
私は何かと話し相手になってもらったり、からかったりと弄らせてもらったり、口喧嘩をしたり、
それでいて熱を出したときには真っ先に飛んで来て、看病してもらったりと、かなりお世話になってきた。
誰よりも心配してくれるし、誰よりも話を真剣に聞いてくれる。
私は友達として、親友として、アリスとの居心地は悪くなかった。
むしろ幻想郷でも唯一甘えることができる相手なので、私に安らぎを与えてくれる、慈愛に満ちた存在だった。
幻想郷で、私の事を一番よく知っているのもアリスかもしれない。
私は少なからず、彼女に好意を抱いているのだ。

それにしてもどうして私は自然な嘘がつけないのだろう。
正直すぎる自分を褒めていいのか落ち込むべきなのか・・・
まぁここは嘘を吐いても無駄なようだし、アリスに頼るしかないか。

49midy 8:2008/03/28(金) 20:12:15 ID:77zmpWH60
「はぁ、相変わらず散らかっているわね」
部屋に入るなりこの惨状をみたアリスが愚痴をこぼす。
足の踏み場を僅かに残して、価値があるかわからないガラクタで埋め尽くされ
壁際には本の山も積み上げられている。少しぐらい片付ければ広くなるのに。

・・・・・・といってもアリスは魔理沙がどうして片付けないか、理由は薄々気づいていた。
片付けることができないんじゃない。寂しさを紛らわすため、わざと散らかしているのだ、と。
自分と同じく、寂しいのだ。こんな大きな館、魔理沙の体躯にとっては大きすぎる館。
広ければ広いほど、そして殺風景であればあるほど孤独感を感じてしまう。
孤独がどんなに苦しいものか、辛いものか、自分もよく知っている。
私はそれを紛らわすために、人形を作った。今では大切な家族。今はもう寂しくなんか無い。
ただ・・・まだ魔理沙にはそのような関係のモノがこの家にない。魔理沙はまだ少女。
甘える相手が必要だ。だから私はこうやってたまに訪れる。理由なんて適当でいい。
会話をするだけでもいい。彼女の笑顔が見れればそれでいい。彼女が幸せならそれでいい。
私は少なからず、彼女に好意を抱いているのだから。



「───そして、ここの式がこうなっているわけ。わかった?」
「う〜ん・・・わかったようなわからないような・・・」
「まぁ、そうね、ちょっと魔理沙には苦手な魔法かしら。ここの部分を道具か何かで代用すれば
なんとか使えるぐらいにはなるわよ」
ふむ、『道具』か。何も全て自分の身体だけで生み出す必要はない。
霧雨家の教えでは道具を使わず己の肉体ひとつで・・・がモットーだっただけに、
その発想になかなか辿り着かなかったのだ。だけど勘当された身だから、霧雨家の教えに沿う必要は無い。

50midy 9:2008/03/28(金) 20:13:48 ID:77zmpWH60
「・・・で、この式の事が悩み?違うでしょ?嘘は言ってないみたいだけど、誤魔化してもだめよ、
本当はもっと大きい悩みがあるのでしょ?」
なんでもお見通しという訳か。確かに本来の相談したい悩みとは違うことを話してしまった。
それでも私の話は真摯に受け答えてくれる。私の事を心配してくれている。
私の中の悩みを真剣に取り除こうとしてくれている。
そう、彼女をもっと、信頼してもいいんじゃないのか。


「はいおまたせ、どうぞ」
アリスは私の前にコトンと、すっかり冷めてしまった緑茶を暖かいものに淹れ直してきてくれた。
以前私とアリスは、緑茶か紅茶かどっちが美味いかと、些細な事で喧嘩をした事もあった。
その時もアリスは一歩引いて、緑茶の美味しい入れ方を私に聞いてきたのである。
その後は互いに教えあい、和解したのはいいが、緑茶と紅茶を両方同時に飲む羽目になった。
今日のこの緑茶はアリスが淹れたものである。私が淹れるお茶よりは、若干味は落ちるが、
温度とは違う、何か別の温もりがとても暖かかった。

私とアリスはテーブルを挟むように、向き合うようにして椅子に座っている。
アリスは音を一切立てずに緑茶を啜る。目を閉じて口を湯飲みから離し、
なかなか緑茶もいいものね。と独り言を呟く。
コトッと湯のみをテーブルに静かに置くと、私の目を見ながら口を開く
「それで、貴女のお悩みは?」
─私の悩み、か。黙っていては進まないし、溜め込むのもだめだ。
打ち明けるしかない、と決意を固めると、私もアリスの問いに答える

51midy 10:2008/03/28(金) 20:14:17 ID:77zmpWH60
「時々、自分の努力は無駄なんじゃないか、って思うことがあるんだ
でも、私が生きているのは努力のおかげだし、無駄なもんかって思ってる
でも、ある存在のせいで、それが簡単に否定されてしまうんだ。私の努力を否定されるって事は
私自身の存在を否定されるのと同じ。それがたまらなく悔しいんだ」
この間もアリスは静かに聞いてくれている。私の放つ言葉を全て受け止めてくれる。
私は言葉を紡ぐ
「努力するのは結果がほしいからだ。どんなにきつくても結果のためなら努力をする。
力を、時間を、魂を注ぎ込む。努力をすればするだけそれ相応の対価ってものを得てもいいはずだ。
でもそれは無理だって事はわかってる。どんなに費やしても得るものが何もない時だってある。
逆に失うこともある。でもそんな事はどうでもいい。とある存在は、何も努力もせず、
何も失わず、それでいて時間もかけず、欲しいときにその結果を得ることができる。
その存在が・・・憎くなってしまったんだ。憎むべきではないのに。憎んではいけないのに。
ただの嫉妬。その存在は何も悪くない。でも憎んでしまう。どうしたらいい?この私は・・・
・・・・・・どうすれば・・・・・・・」
私は今まで溜め込んでいたもの、それが一度口からこぼれると止まらなかった。
最後まで搾り出してしまいたかった。この大量の言葉の濁流ですら、アリスは真摯に受け止めてくれた。
「どうすれば、か。貴女が何を結果として望むか、にもよるわね。
貴女はその子に勝ちたいのか、それとも対等になりたいのか、
それともそれ相応の"貴女が望んでいる結果"にしたいのか、ね。」
存在と言っただけなのに、その子、と言った。
(私が誰を憎んでいるのかも、お見通しって事か)

52midy 11:2008/03/28(金) 20:14:41 ID:77zmpWH60
私が何を結果として望んでいるか・・・・か
その子──霊夢に勝ちたい。でも今までの戦績から言って叶うはずの無い望みだった。
努力を重ねる度に、破壊されていく。どんだけ高く積み上げても、簡単に。
造るのは難しく、壊すのは容易い。高ければ高いほど、積み上げるのはより難しくなっていく。
その分丈夫になるはずだった。それなのに、簡単に、あっさりと。
でも逆に、私が霊夢のを崩そうとしてもできないのだ。彼女は何も積んでいないから。
ただ、天を突き上げるような巨大な土台。それが眼前に広がっている。
霊夢は積み上げるとしたらその頂上からだ。私は遥か下からだ。
───勝つ。その望みは叶いそうになかった。

対等にするとはどういう事か。確かに力が均衡になれば嬉しいが、無理な話である。
私が努力で霊夢の実力に追いつく?それじゃ今と変わらない。・・・・・・なら逆か?
私が無気力になれば・・・・確かに負けて無駄になる努力ならば
最初から努力しないほうが何も失わず好きな事ができてマシではあるが・・・・・・
馬鹿げている。私は自分を捨てるつもりは無い。
───対等。これも理想ではあるが、結局無理なのである。

それと・・・・・・私が望んでいる結果?それ相応の"私が望んでいる結果"?・・・・・・どういうことだ?
私が望むもの・・・・・・対等でいたい。それでいて努力で勝ちたい。結果が欲しい。
努力が結果として実感できればいい・・・・・・
霊夢のところに登るのは無理がある。じゃあどうやって対等に?自分が下がる?
違う・・・・・・じゃぁ・・・・・・・・・・・・・・・登るのも、下がるのも駄目なら。他に・・・・・・・・・?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

53midy 12:2008/03/28(金) 20:15:15 ID:77zmpWH60
「──どうかしら。何か答えは出た?」
「うーむ、出そうででないんだ。あと少しなんだがなぁ・・・」
「・・・・・・そう・・・・・・私としては今のままの魔理沙でいてほしいわ・・・・・」
急に口調が変わり、視線をテーブルに落とし、呟くアリス。
「私としてはね、魔理沙の力になりたいの。でもその望みを叶えると魔理沙が魔理沙じゃなくなっちゃう
気がして怖いの・・・・・矛盾しているわよね・・・・・・私」
私が私でなくなる?いや、いつもキノコとか食べて頻繁に我を失ってるせいか耐性がついてきたみたいで
案外平気になってきたんだよな。うどんげの目だって平気だし・・・
「魔理沙、危なくなったらすぐ戻ってきてね。
私が貴女に出せる答えは私の経験の中からしか出せないの
だから、探せば答えはもっと沢山あると思う。だから───
「わかってるってアリス。これでも私は霧雨魔理沙だぜ?下手な事はしないさ」
「・・・・・・そう・・・・・・私、魔理沙を世界の誰よりも信じているからね」
心から心配してくれるアリスの言葉を遮ってしまう。
その後のアリスの台詞も、軽く流してしまった。
答えがすぐ手に届きそうだったから、焦ってしまったのだ。
アリスの言葉を最後まで聞けていたら、私は何も失う必要なんてなかったのに・・・・


アリスはあの台詞の後、すぐに帰っていった。
私は答えを見つけたらそれを得るまで止まらない性格、というのを知っていたのだろう。
実験に必要で取りに来た魔本とやらは、探す様子もなく、結局何も持ち帰らなかった。

54midy 13:2008/03/28(金) 20:15:48 ID:77zmpWH60
アリスから聞いた言葉と自分の中に閃いた言葉を何度も何度も咀嚼する。
何を結果として望むか。それ相応の結果。自分が登るのにはまだまだ高すぎる。
さりとて別の柄杓を平等にしたって意味が無い。登ることも、下がることもできない。
どうすればいいのか。スタート地点を同じ高さにすればいい。でもどうやって?
相手が降りてきてくれる訳でも・・・・・・・・・・・・・・・・・・?・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そうか、そうだよ、相手を下ろせばいい。自分が駄目なら相手に動いてもらえばいい。
手加減をしてもらうわけではない。本気でいい。ただ土台を、壁を、取り除けばいい。
また一歩、考えが進む。この一歩。ゴールに一歩近づくことが、それが楽しい。

霊夢と私との壁、私と圧倒的に違うところ。それはどこか。その答えは簡単だった。
霊夢だけが持つ特別な『勘』である。相手の心を読んでいるかのような、張られた弾幕にたいし、どこが危険かの勘。
それでいてイレギュラーにも対応できる。危険を察知し対応する。
自分の力で避けていない。磁石の同極のように、勝手に避けれてしまう。
目の前に迫った弾もほぼ無意識に、最小限の動きで避けてしまう。
もし、その『勘』を取り除けたら・・・・・・

相手の全力を全力で持って叩き潰す。それが本来の魔理沙である。
いつもならこんな考えは浮かばない。浮かんでも実行しようとは思わない。
焦りが、答えが見えた喜びが、霊夢に対する憎しみが、この考えを正当化してしまった。
努力に対する結果が欲しい・・・・・・と。


「ぅーむ・・・・・・答えを見つけたのはいいが、あと一歩で辿り着けないぜ・・・」
『勘』を取り除くためにはどうすればいいのか。それさえ出来れば霊夢に勝てる。
その事を考えるだけで、身体が疼く。もうすぐ勝てる。あと少しだ・・・
・・・・・・だが方法だ。そのあと一歩を進めるための方法だ。その方法がさっぱり浮かばない。

────以前にもあった気がする。あと一歩で届くのに届かなかったもの・・・・・・
それもつい最近。えっと・・・・・・アリスとの会話に・・・・・・・・・
魔理沙は唸りながら考える。思い出す。あの時の会話。アリスが何を言っていたか。
『ちょっと魔理沙には苦手な魔法かしら。ここの部分を道具か何かで代用すれば
なんとか使えるぐらいにはなるわよ』
っ───閃く。繋がる。道が出来た。私は答えに触れることができた。触れると同時に飛びついた。
力いっぱい抱きしめる。この瞬間が気持ちいい。───そう、『道具』を使えばいいのだ。

55midy 14:2008/03/28(金) 20:16:21 ID:77zmpWH60
道具を使うことに閃いたのはいいが、どんな道具を使えばいいか考えてはいなかった。
足元に散乱するガラクタの山を見定める。・・・・・・正直どれも役に立たないものばかりだ。
こんなので霊夢の『勘』を取り除けるのだろうか。難にせよ、ガラクタの量が多すぎる・・・
一つ一つ試していたら、日が暮れるどころか何日、何ヶ月、何年要するかわからなかった。
でも折角アリスが私に導いてくれた答え。アリスの経験のなかから私の為に用意してくれた答え。
『私が貴女に出せる答えは私の経験の中からしか出せないの』
何かひっかかる。
・・・・・・経験?アリスも以前、このような事があったのか?誰かが憎くて追いつきたいときが。
それに追いつくために道具を使ったことが。・・・・・・・・・・・・何の道具だ?
アリスなら何の道具を使うんだ?アリスはいつも人形を遣っている。でも、それだったら現在進行形だ。
私も人形遣いになれと?・・・・・・違う気がする。人形では人形でも別の・・・・・・相手に効果を及ぼす人形。
間接的に効果を与える人形。相手が目の前にいなくても術をかけることができる人形・・・・・・
──あれか?あれの事か?確かにあれなら可能だ。魔女が使っても違和感は無い。魔術なのだから。
私がこの答えを掴んだ理由。 憎いから。 ならピッタリかもしれない。
早速作業に取り掛かろう。 霊夢が負けた時の悔しそうな表情。久し振りに拝んでやるとするか!!

いつもの魔理沙の悪い癖だ。周りが見えない。目標に全力でぶつかってしまう。後先の事を考えない。

材料は家を探したら簡単に見つかった。さすが宝の宝庫。──さっきと言っている事が違う気がする
材料や裁縫道具を机に並べると、人形作りを開始する。
人形を作ることなら以前アリスに教えてもらったから大丈夫だ。アリスほど器用ではないが、
それでも一応要点は捕らえてある。
粗雑な造りだが、術を施す為の大事なところはしっかりと丁寧につくっていく。
特徴を出来るだけ捉え、反映させていく。仕上げに紅白の布を纏わせると完成した
─────藁で編みこまれた人の形が。

56midy:2008/03/28(金) 20:16:53 ID:77zmpWH60
少々休憩

57名前が無い程度の能力:2008/03/28(金) 20:32:00 ID:Sbr.1JTc0
設定やらそこらへんへの突っ込みは他人に任せるとして


メール欄のことな
投下している間はsageで
投下し終わると同時にageるようにすることをお勧めしておく

個人的な意見だけど


さて読むか……

58midy:2008/03/28(金) 20:34:12 ID:77zmpWH60
ぁ・・・見事に逆をやってしまっていた・・・
すまない。
続き少しずつ投下してくよ

59midy 15:2008/03/28(金) 20:36:32 ID:77zmpWH60
「あら、いつのまに来ていたの?まっててね、湯のみとってくるわ」
翌日、博麗神社を不意に訪れた私をみて、多少驚いたようだ。
得意の『勘』で私の事を察知できていない。効果はあるようだ。
早速実感できた自分の努力に、身体が悶える。快感が身体を駆け巡る。

境内で、二人並んで座り、またいつものようにお茶を啜り、他愛も無い雑談も交える。
魔理沙が尋ねる
「なぁ霊夢、仕事はいいのか?神事なんだろ?」
「あら、この庭をみてわからない?今日はいつもより頑張ったのよ」
どうみてもいつもと同じである。
「ほほぉ、確かにいつもより綺麗だ」
「魔理沙、なんだか今日はご機嫌ね、やけにニヤニヤしてるじゃない」
「ん、あ、あぁ、ちょっといい事があってな」
ふぅん
そう一言だけ返すと霊夢はまたお茶を啜りだす。
・・・・・・
・・・・・・
「『暇』ねぇ・・・」
・・・・・・
・・・・・・
しばしの沈黙が続く。いくら仲が良くても会話が途切れることぐらいある。
魔理沙も特に話題もないのにこの神社へ来る。だから特に話すことなんてない。
だが用事はあった。
「『暇』か・・・・・・ならさ、霊夢、久し振りに弾幕らないか?」

そうね、やりましょうか。霊夢はそう返した。嫌な勘が全くしなかったからである。

60midy 16:2008/03/28(金) 20:37:05 ID:77zmpWH60

魔理沙は独り、家に供えてある薄暗い実験室で不敵な笑みを浮かべていた
「うふ、うふふふ、うふふふふふふふふアハハハハハハハ」
笑いがこみ上げてきて止まらない。身体から溢れる快感が、声となって漏れ出す。
当然だった。あの霊夢を、まさか開幕レーザーで撃ち落せるとは思っていなかったからだ。
挨拶程度の最初の一発。それがモロに直撃したのだ。当たる寸前の霊夢の表情。驚愕の表情。
たまらない。
いつもはなぜこんなにも当たらないのかというぐらい、スイスイ避ける。擦れはすれど、直撃なんて滅多にない。
ただのまぐれか試すために。あまりにもあっけなさ過ぎたために、霊夢をもう一度誘い、弾幕りあった。
一方的だった。流石に開幕レーザーはよけたものの、露になる霊夢の焦りの顔。
そこにもう数発撃ち込み、6発目のレーザーを撃ったところで直撃した。
まぐれではない。
地面に墜落しかけた霊夢を助けると、
「どうしたんだ霊夢。いつもより調子がわるそうだぜ?」
と"心配した顔"を作って慰めてやる。
そうみたいね、今日はおとなしくしているわ──といつものように明るく返事が返ってきた。
やはり霊夢は霊夢だ。負けた事を全く気にした様子はない。

敗北を僅かしか味わったことの無い霊夢。勝ち続けていた霊夢にとって負けなんて些細なもの。
挫折を味わったことの無い無垢な顔。その純粋たる、汚れのない微笑を含む霊夢を見ていると、
また憎しみが込み上がってきた。なぜ負けたのに笑っていられる。なぜ落ち込まない。
今日はおとなしく──だと?現状維持でいいと思ってるのか?それで次は勝てると、そう思ってるのか。
敗者の気持ちも、努力の苦労も、何も知らないくせに!!!!!

61midy 17:2008/03/28(金) 20:38:18 ID:77zmpWH60
予想以上に、効果が如実に現れたことに喜びを抑えきれない。努力の力。そう、本来の姿はこうあるべきなのだ。
紅白人形を握り締めると、その感触が酷く手に馴染む。
自分が作ったからか、それとも彼女が『努力と道具の天才』だからか。

魔理沙自信その『道具』の才能に気づいていなかった。知らなかった。自分には何もない。全くとりえが無い。
無い所か、普通以下だと思っていた。何をやっても人並み以下。唯一、私が掴むことができるのは努力だった。
天才でも、貧才でも、だれでも得ることが出来る自分を高める力。
この私でも扱えるものはこの世には努力しかないと思っていたからだ。

違った。彼女はしっかり努力以外の才能を持っていた。
ただ、環境が環境だけに、その才能に気づくことは出来なかっただけであった。
最初にその才能を開花させたのは、勘当され、道なき道を歩き、行き倒れそうになった所を森近 霖之助という
男に助けられた時である。彼は魔理沙に魔力増幅装置を作ってあげた。
試作品であったそれは、大した力は持っていない。実際、彼も使ってみたが少し魔力が高まる程度。
当時の魔理沙は、そこまで魔力ももっていなく、この男と同程度であった。だが、多少の足しになればと、
無いよりはマシだと、作ってあげたのだった。

彼は驚いた。魔理沙が掴んだそれは、異常なまでに魔力を発生させていたからだ。
魔理沙はどちらかというと器用なほうではない。しかし彼女の才能がそれを目覚めさせた。
コツ、癖、使い方・・・掴んだだけで、握っただけで、それの仕組みを無意識に理解していた。

普通の魔法使い魔理沙が誕生してから、幻想郷にその名が知れ渡るのも、時間は掛からなかった。

箒を使いこなし、幻想郷最速の名を手に入れた。努力を積み上げ、地位を確立していった。
圧倒的な魔力を持つ怪物相手に、対等に、それ以上に渡り合った。

魔理沙は自分の存在を否定されるのが嫌だった。とても嫌な事だった。
だからこそ、認めてもらうために努力を積み重ねた。いずれ、霧雨家の名を継いでも恥じないように。

62midy 18:2008/03/28(金) 20:38:46 ID:77zmpWH60
そこにあの巫女が現れた。同じ人間だし、同じ年頃だし。とても親近感を覚えていた。
私の事を気にかけてくれる。声をかけてくれる。それは嬉しかった。
でも、心から心配された事はなかった。ただ勘にもとづいて心配をしてくれるだけで、
相手の心を読み取って心から心配してくれているわけではなかった。
別にそれが不満だったわけではない。博麗の巫女なのだから、誰か一人だけに好意をもってはいけない。
誰に対しても平等に。だから彼女の周りには妖怪やらなにやらが親しみを持って寄って来る。
常に誰かに囲まれているのが、私にとってとても羨ましかった。常に誰かに必要されている事も、妬ましかった。
なにより幻想郷を護る博麗大結界の管理者だ。存在が、存在感が私と全く正反対だった。

派手な事をしたりアピールをしたり。そうでなければ誰も私を見てくれない。
霊夢は何もしなくても、みんなが振り向く存在だった。

持ち前の勘でふらりと出かけては、幻想郷でも名を馳せる強豪どもをいとも簡単に蹴散らし
たった一人で、異変を幾度と沈めていった。ここに親友がいるのに、一度も頼られたことはなかった。
誰かに頼る必要がないくらい、彼女は天才だったから。

私はいつのまにか嫉妬を覚えるようになった。私の持っていないものを全て持っている。
彼女自信は望んでいないのに、何もかもを。持たざるものである私を嘲笑うかのように・・・・・・

光が強ければ強いほど、私の影は濃く強くなっていった。

同じ人間の癖に・・・・・・

───私は力強く紅白の藁人形を握り締めていた。

63midy 19:2008/03/28(金) 21:31:27 ID:77zmpWH60
次の日も、いつもと同じ日常を装い、霊夢の様子を見に行く。

「おっす霊夢、調子は戻ったか?」
「ん?あら、魔理沙じゃない。心配しなくても大丈夫よ」
やはり今日も私が来たことに、声をかけるまで気づいていなかった。
今日は珍しくお茶も飲まずに、境内に座っていただけだった。
いつもの雑談を交え、会話が途切れたところで今日も弾幕らないかと誘ってみた
霊夢は首を横に振って、まだ調子は完全じゃないみたいなの、だから今日はやめておくわ
と、微笑を交えて断る。
私は、なんだ、つまらないぜ、という素振りを見せる。
「あ、そうだわ、今日とてもいいお茶が手に入ったの、一緒に飲みましょう」
そう言って霊夢は立ち上がる──瞬間霊夢の身体がふらりと揺れたと思うと、
急にこちらに倒れこむ。地面に激突する寸前で私は霊夢の身体を受け止めた。
「おい、なんだ、全然調子よくないじゃないか、風邪でもひいたか?」
ハハ、ばれちゃったわねと苦笑いをすると
「昨日の夜あたりからなんか身体がだるいのよ・・・」
「ふーむなるほど、風邪薬程度なら私が作ってやるぜ?」
「あらほんと?助かるわ、頼めるかしら?」あいかわらず微笑をくずさない
「あぁ、任せろ!!数日分をまとめて精製するから少し時間はかかるけど、夕方頃にはできるだろ。
 またその頃来るぜ。」
うん、ありがとう、待ってるわ。とまた微笑を返す。
私は箒にまたがり、
「じゃ早速作ってくるぜ、またな、霊夢」
と告げると大空へ溶け込んでいった。


風邪の具体的な症状を聞くのを忘れていたが、だるい、といったので
普通の風邪薬を調合する。これぐらいならお手の物。数日文を纏めて作るので量は多いが、手早く精製する。
それに少しアレンジを加え、滋養強壮等、身体に嬉しい効果もわずかに与える。
魔理沙印の特製オリジナル普通の風邪薬の完成だ。
この風邪薬の中には毒だとかは入っていない。作るなら完璧に作る。それが魔理沙のプライドだ。
それに、純粋に霊夢に元気になってほしいからだ。また霊夢と弾幕りたいからである。
元気になった霊夢が、私に負けないようにと努力する所を見たいのである。
そしてまた、友達として競い合いたいのだ。

64midy 20:2008/03/28(金) 21:32:03 ID:77zmpWH60
薬は宣言どおり、夕方には完成した。
それを数本の小瓶に分けて入れ、しっかりと詮をしたあと風呂敷で落ちないように包む。
玄関から外に出ると、あたり一面夕焼けに染まっていた。
ん、時間もばっちりだ。と唸ると玄関に簡単な鍵の呪文をかけておく。
箒にまたがり、箒前方の先端に風呂敷を結わえると、
「さ、準備完了だぜ、待ってろよ霊夢」
帽子を被りなおし、箒の柄を握る。地を蹴って、夕焼けの空へ包まれていく。


「おーい、霊夢〜作ってきたぞ〜」
・・・・・・・・・・・・
返事が無い。
境内にはいないので、きっと中で寝てるのだろう。
勝手しったる人の家の如く、靴を脱ぎ勝手に家の中に入っていく。
「霊夢〜?どこだー?」
・・・・・・・・・・・・
いないぜ?
いつも寝てるとしたらこの部屋の筈だが、ここにもいない。
どこにもいないぜ?
他の部屋も、風呂も、厠も、境内の下も、賽銭箱の中も、どこにもいなかった。
「ったく霊夢、待ってろっていったのに・・・まぁいいか、ここに置いておけばわかるだろう」
一番よく利用する部屋のちゃぶ台のうえに風呂敷を下ろす。ついでに用法・用量を正しく守って・・
と一筆したためると、ついでに棚の一番奥にあった茶筒を拝借して、「帰るか」と、来た道に飛び立っていく

65midy 21:2008/03/28(金) 21:32:37 ID:77zmpWH60
家についた頃には大分日が落ち、薄暗くなり始めていた。
玄関の鍵を解除し、家の中に入る。箒を玄関の脇に立てかけ、帽子も帽子掛けにかけておく。
スカートの中からさっき借りてきた茶筒を取り出す。筒は綺麗でなかなか高級な茶のようだ。
筒をくるくる回し見定める。開けられた形跡は無い。まだ未開封のようだ。えっとこの茶は・・・
おぉ!?    な   ん   と
『玉露』ではないか!!うぉ、まじか、あの貧乏巫女が・・・・・・
しめしめ、早速いただくとするか。
湯を沸かす準備をし、茶漉し、急須、湯のみ等を用意する。
さてと、「時は満ちた!!!!」茶筒に手をかけ、蓋を────バゴタンッ!!
不意に玄関の扉が強烈に開け放たれ、その大きな音に驚いた私はとっさに茶筒を背中に隠す

玄関にいたのはアリスだった。
アリスは私と目が合うなり
「あ、あああああぁ、マ、魔理沙ぁああ、魔理沙ぁあああああああ〜〜」
声を震わせながら私に思い切り抱きついてきた。それも顔を涙でぐっしょりと濡らし、目も顔も真っ赤であった。
「れれ、れっ、レ、霊夢が、霊夢があぁぁぁぁあああああああああ〜〜」
「ま、まぁ落ち着けアリス、どうしたんだ?何言ってるかわからないぜ?」
泣きじゃくるアリス、身体を痙攣させ、嗚咽を漏らしながら、目からは大量の涙が濁流していく

(げ、まさか茶を盗んだことがばれたのか?それにしてもアリスを疑うなんて酷い奴d──
「霊夢が、霊夢がっ、ぁあ、ウッグ、し、しんじゃった、の、殺されっ、たの、うああぁぁああああああん」
アリスはそれだけ言うと、大声で泣き叫びつづけた
──へ????私は耳を疑った。

────死んだ?霊夢が?   殺された?誰に?

確かにアリスは霊夢が死んだと言った。でもあの天才が死ぬなんてありえない。
でもアリスが嘘をついてるようには到底見えない。
幻想郷で最強かと恐れられるぐらい強いのだ。あの霊夢が殺されるなんてあるわけない。
開かずの賽銭箱が、満腹になるぐらいおかしな事だ───




彼女の存在の大きさ故か、既にその事は幻想郷全土に瞬く間に広がっていた

───────博麗霊夢は死んだ───────
と。

66midy 22:2008/03/28(金) 21:33:17 ID:77zmpWH60
最初に彼女の死体を発見したのは、半妖であり─(略)─の上白沢慧音であった。
日課である人里の警護にあたっていると、里の外、森の生え際辺りの場所に、
低俗な3流妖怪が群れている事に気づく。
単に群れているだけかもしれないが、里を襲ってくる危険性もある。
だが3流妖怪程度なら、簡単に蹴散らせる。
害はないほど離れている距離とはいえ、人里を守る慧音にとっては見逃せない事だった。
下手したら用事で外に出た里のものが襲われている可能性もあるのだ。
最悪の事態だけはどうしても起こって欲しくない。
その事を願いつつ、慧音は現場へ向かった。


「────遅かった。か」
妖怪を追い払った場所には見事に"食事"された死体。
真紅の衣装を所々裂かれて、息絶えていた死体。
マナーも節度も無い、散らかった肉片。
衣装、体躯から見るに、まだ10代ぐらいの女の子であろう。
里を守り、人を守る慧音にとってその事実は、酷く自分を呪った。
私がいながら、守れなかった。自分の無力さを嘆く。
いつのまに里を出たのだろう。それを見逃してしまった自分を憎んだ。
自分に向けて込みあがる怒りを抑えつつ、死体の身元を確認する。

里のものではなかった。この顔は里にはいない。一瞬の安堵。
自分に対する罪が微かに軽くなったような気がした。
だがそれと同時に震えと恐怖が身体を支配する。
真紅に染まった衣装に見覚えがある。
特徴的な衣装。この衣装は本来紅白である。このオリジナルな体裁の衣装は彼女しか着ない。
目を疑う。
震えが強くなる。脈が速くなる。
この顔は知っている。

───博麗───霊夢?????????????

67midy 23:2008/03/28(金) 21:34:40 ID:77zmpWH60
博麗霊夢が、幻想郷のバランスを保つために提案したスペルカードルール。
これは強すぎる存在と、弱い存在の差を埋めるために提案した、弾幕ごっこである。
どんなに力を使おうが相手を死までは追いやってはいけない。そういうルールだ。
─だが、今回の件は弾幕ごっこではない。殺し合いである、それも一方的な。
3流妖怪は幻想郷でもかなり弱いほうの存在ではあるが、力をもたない人間にとっては
恐怖の対象でもある。無秩序な故か、弱すぎる存在故か、彼らにはスペカルールが適用されない。
スペルカードルールはある程度力を持った者を対象に提案されたルールなのだから。
それ故に、妖怪は人間を喰らい、人間は妖怪を退治する。
そしてその、法外の輩に、この少女は"食事"されてしまった。

誰か別のものが霊夢を殺したとしても、霊夢を殺せるような実力を持った者が
里に近づいた等、そんな気配はまったくなかった。そもそも霊夢を殺せるぐらいの実力者なんているのだろうか
ルールによっても守られている。ルールに従わなくていいのは、三流妖怪等である
つまり殺されたと言うのだから、この辺りの妖怪の仕業である。

幻想郷最強と噂される博麗霊夢が、まさかこんな低俗な妖怪に手をかけられ命を落とすなんて・・・

この事件は、偶然近くを通りかかった、鴉天狗、─(略)─文によって、すぐさま広まってしまった。
───────博麗霊夢は死んだ───────
アリスの元にも、そしてアリスの口から魔理沙のもとへ・・・・

68midy 24:2008/03/28(金) 21:35:25 ID:77zmpWH60
「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!!!!!!」
さっきまで笑っていた霊夢。さっきまで会話していた霊夢。あんなに強くて、自分の理想だった霊夢。
「何故死んだ!!!!!!!!!」

                『ありがとう、まってるわ』
それが最後に聞いた、最後の台詞だった。最後に見た、霊夢の笑顔だった。
何故待っていてくれなかった!!!!何故出かけた!!!!!!!何故・・・・・・

隣では、崩れたように床に座り込み、痙攣と嗚咽交じりに泣いているアリスがいる。
かという私も、視界がとてつもなくぼやけて、アリスかどうかもわからなかった。
目から次々と溢れる涙。止まらない涙。いつ止まるかわからない濁流。
私の大切な友達である霊夢を失ってしまった。
いつも笑顔だった霊夢。常に気を使ってくれる霊夢。誰にでも優しい霊夢。
「くそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」

            ────彼女はもう、笑わない────

69midy 25:2008/03/28(金) 21:53:00 ID:77zmpWH60
──────ここは・・・・・・?・・・・・・・・あぁ、自分の研究室か・・・・・・・・・・・・・・・・
いつのまにか、私は私の家にある研究室の中心にだらしなく座り込んでいる事に気がついた。
目の前には、割れて粉々になった大量の実験器具、何かの粉末も大量に飛び散っている
水滴が1滴ずつ落ちる音。壁際に設置された机の上から、水が滴り落ちていく。
紙切れが散乱し、壁にも所々に穴や染みを作っている。
理解を超えるこの光景に、しばらく宙を見つめ、ボーっとしていた。
─っ。手が痛む、腕全体が激痛を走らせる。片手をゆっくりと自分の前に掲げてみる。
浅く抉れた大量の傷跡。アザもその間を縫うようにして痛々しく走っている。
着ている服の白いエプロンドレスは、様々な薬液や、粉末、それに私の腕から流れ出る血によって
とても変な色合いに染まってしまっていた。
瞼も腫れているようで痛い。

・・・・・・・私は暴れてしまったのか?
いつのまにここに入ったのかは覚えていない。
軋む身体を無理やり立ち上がらせ、部屋を出ようと歩き出す
何か鋭い破片を踏んだのだが、全身の痛みに比べれば些細なものだった。

70midy 26:2008/03/28(金) 21:53:27 ID:77zmpWH60
「ア、アリス?」
部屋を出ると、すぐ正面にアリスが横たえていた。
姿勢的にも寝ているだとか、その様子ではないことがすぐわかる。
アリスの頬を叩きながら、肩を揺らして呼びかける
「ア、アリス!!!大丈夫か?起きろ、アリス!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・う・・・・・・あ・・・・・魔理沙?・・・・・・・・よかった。・・・・・戻ったのね・・・・・」
『戻った』?・・・・・・そうか、やっぱりあまりのショックに私は気が狂ってしまっていたのか・・・・
対するアリスも、華奢で綺麗な白い腕に擦過傷が数痕刻まれている、
その肌に似合わない色を纏ったアザも浮いている。
「あ・・・・・・・・・アリス・・・・・ま、まさかその傷は私がやってしまったのか?」
「ん、あぁいいのよこれぐらい、気にしないで。魔理沙がいつもの魔理沙に戻ってくれたから、それだけで十分よ」
「う・・・あ・・・で、でも・・・・・・・」
「私より魔理沙のほうが酷い怪我よ?さ、治療しましょ?」
確かに、私のほうが全身傷だらけで、腕は鮮血で真っ赤だ。忘れていた痛みが蒸し返してきた。
服は裂かれて、破れ、薬液やら血やら涙やら鼻水やらでいろんな意味で酷い。

服を脱ぐのは傷に触るので、腕など露出している部分からアリスが治癒魔法を施してくれた。

治癒魔法といっても簡単に扱えるような魔法ではない。かなりの高等魔法だ。
魔法は壊すことは至極簡単なのだが、壊れた物を治す事は相当難しいとされている。
よって使い手はかなり少なく、重宝されているのである。
アリスもその使い手の中の一人であり、幻想郷でもトップクラスの器用を誇るアリスにとって
ある程度の傷を回復するのはお手の物である。

71midy 27:2008/03/28(金) 21:53:57 ID:77zmpWH60
暖かい光が私の腕を包み込むと、痛みが安らいでいく。少しずつ傷が塞がっていくのがわかる。
血にまみれているせいか、傷が塞がっても見た目の痛々しさは残ってはいるが、痛み自体はほとんど消えた。
腕がとても暖かい。温度ではなく、感情的な暖かさだ。
眼下に迫るアリスの顔。
スッと通った鼻筋、潤いを保った柔かそうな唇、汚れの無い澄んだ蒼瞳、美しく光を反射する滑らかな金髪。
そのバランスたるや、魔理沙はアリスが幻想郷の中で一番美人じゃないのかと思うぐらいだ。
とてつもなく美しい。それでいて微笑んだ顔はとてつもなく可愛い。慈愛に満ちたアリスの顔。
近い、息が掛かるほどの距離。高まる心音。
顔を上げたアリスと不意に目が合ってしまう
「ん?どうかしら、まだ痛みは残っているの?」
「あ、ああ、も、もう大丈夫だぜアリス、ありがと、だっぜ」
─胸が高鳴る。この気持ちはなんだろう。ドキドキする、この感情は──

アリスは一通り私の治療を終えると、自分の身体を治療し始めた。
光を発する手で傷口を触れていく。触れた箇所から次々と傷跡が消えていく。
術者本人に対する治癒魔法の効力はとても大きい。自分の波長で回復するのだから当然である。
またしても妙に艶かしいその行為に、見惚れてしまっていた。
「ほら、ボーっとしてないで、服を脱いで洗濯しなさい。解れた所は修繕してあげるから」



またアリスに迷惑をかけてしまった。それどころかアリスを傷つけてしまったのだ。
我を失っていたとはいえ、その事実は酷く私の心を痛めつけた。
アリスだって数少ない友達を失って悲しいだろうに、私の事を心配してくれた。
これ以上アリスを悲しませるわけにはいかない。これ以上アリスを傷つけるわけにはいかない。
アリスは私を信じてくれていた。アリスを裏切るわけにはいかない。
私がアリスにしてやれる事、何かないものだろうか・・・・・・

72midy 28:2008/03/28(金) 21:54:51 ID:77zmpWH60
「じゃ、私もそろそろ家の人形達の様子を見に行かなくちゃならないから、今日はこの辺で帰るわ」
とアリスは私に笑顔を向ける。
「おぉ、そうか、すまなかったな、迷惑かけてしまって・・・」
「あら、謝るなんて魔理沙らしくないわね」
「私だって謝るときは謝るさ。それに本当に悪かったと思っている」
「その様子じゃ明日は大雪かしらね」
「な、なんだよそれ!私が反省しちゃ悪いのか?」
「ううん、私は元気な魔理沙が見たいだけ。次は笑っている魔理沙もみたいわ。
知ってる?魔理沙の笑顔はとても可愛いのよ?」
「─────っ」
「ふふっ、じゃあね」
真っ赤な顔をした魔理沙を残して、アリスは暗闇に近い空に溶け込んでいった。

なんだかんだ言って魔理沙はちょっと元気がでた。
アリスの気遣いが、アリスのさりげない励ましが、私の心までも治してくれていった。



・・・・・・それにしても酷い有様だ。ほんとに自分がやったのかと思うぐらいである。
実験室の中を改めて覗き込む。
いくら魔法や衝撃に耐える構造をしているとはいえ、派手に暴れてしまっては流石の壁も音を上げる。
危険な薬品は丁度切らしていて良かったものの、貴重な薬剤や高価な器具が台無しであった。
(暴れるならもっと器用に暴れろよ・・・)

片付けようとも思ったが、片付けが苦手な魔理沙にとっては骨の折れる作業である。
それに加え、今日はいろいろな事が起こりすぎた。まずは身体を休めるのが先決だ。
決してめんどくさいわけではない。多分。

73midy 28:2008/03/28(金) 21:55:24 ID:77zmpWH60
カサンッ
足に何か当たり、それは転がっていく。近くのガラクタの山にぶつかってそれは動きを止めた。
─む、なんだ?
私はそれを拾い上げる。筒の形をした容器。茶筒だ。
これは・・・・・・綺麗な茶筒、高級な茶筒。そう、霊夢の所からくすねてきていた、玉露の茶である。
霊夢が棚の奥に大切にしまっていたお茶・・・・・・
『そうだわ、今日とてもいいお茶が手に入ったの、一緒に飲みましょう』
霊夢が言っていた。いいお茶とはきっとこれの事だ。まだ茶筒は開けられた形跡は無い。
私と飲むために、あけずに取っておいたのだろう。
いつ来るのかもわからない私を、大好きなお茶を我慢してまで待っていくれた。
一緒に味わうために。喜びを分かち合うために。

でももうこの茶は彼女とは飲めない。彼女はもういないからだ。

疑問が沸く。
なぜ霊夢は出かけたのだろう。何故霊夢は人里に?
何か用事でもあったのだろうか。私が戻ってくるまでの短い時間を急ぐほどの。
薬を買うのだったら人里か永遠亭にいくのだが、それは私が作ってやると言った。
だから別の用事だ。私たちが人里にいく思い当たる理由といえば、残るは材料調達ぐらいなものだ。
食材を求めて・・・しかしそれほど急ぐ理由ではあるまい。体調が悪いと言ってたならなおさらだ。
じゃあ何故?・・・・・・私は手元の茶筒に目を向ける。茶に関係する何かだろうか?
湯のみやら急須やらは足りている。無ければ私が持っていく。茶を飲むのに必要なもの。
茶菓子とか・・・・・・・・・・・・──まさか
まさか霊夢は茶菓子を買いに?高級な茶には高級な茶菓子が最高の組み合わせだ。
高級な菓子など霊夢の家には普通置いて無い。そこまで金銭的余裕はないからだ。
私と一緒に飲むために、私と一緒に食べるために、私と一緒に味わうために・・・
霊夢は私のために・・・・・・人里に行く途中、妖怪に襲われて命を落とした。
私のために・・・・・・

「くそっ!!!」
私は持っていた茶筒を思いっきり壁に投げつけた。
ゴンッと鈍い音を立て床に落ち、茶筒の蓋が外れ、中から緑葉が飛散する。
部屋に茶の香りが満ちていく。芳醇で、若葉のさわやかな香りが鼻を撫でる。
お茶としては申し分ない香り。本来なら最高の香りのはずだった。
今はとても悲しい香りとなってしまった。

ハァ・・折角心も落ち着いてきたのに何をやっているんだ私は・・・

私は飛散した茶葉の元へ近寄りしゃがみ込むと、手でそれをかき集め始めた。
茶筒に少しずつ戻していく。仄かな香り、心地よい香り、悲しい香り、持ち主がいない香り。
サラサラと音を立てて茶筒の中に注がれていく。
一本も残さず、全てを筒の中に戻した。
霊夢が私の為に用意してくれた茶。ならばこれを飲まなければ霊夢に失礼だと思ったからだ。
もう一度蓋をし、棚の一番良く見えるところに置いた。
これから毎日、いつも霊夢とお茶を飲んでいる時間と同じ時間に、少しずつ飲んでいこうと思う。
霊夢と一緒に。

74midy 29:2008/03/28(金) 21:59:07 ID:77zmpWH60
@@@
あれから数日がたった。普段の日常に戻りつつもある。葬式も参加した。でも何も覚えてない。
ただ霊夢の存在がどれほど大きかったか、集まった顔ぶれでわかった。でもその日の事は思い出したくない。
博麗の巫女が死んだという事は、幻想郷自体が崩壊する危険性があるのだが、
急遽、2Pカr、もとい東風谷早苗という巫女が、博麗の巫女になる儀式を執り行い、
博麗の巫女と成り代わることで、危機は免れることができた。

ちなみにまだ実験室の掃除はしていない。気が進まなかったからだ。
だが流石に数日も実験室に入れないんじゃ困る。なんとなく習慣になっていたから落ち着かないのだ
今日は特に用事はないので、暇つぶしも兼ねて実験室の掃除をすることにした。

─これは酷い。数日間放置しただけあって、あの日よりも汚くなっている気がする。
なんかもっと放置しておけば新種のキノコが栽培できるんじゃないかと思うぐらいだ。
だが断る。

私は小さな箒。掃除するための箒を手にし、まずは粉々になった器具の欠片を掃き集める。
(こんな大量の高価な器具を壊せたなんて、さぞかしその時は気持ちよかっただろうな)
なんて事を思いつつ、手を動かしていく

──グニュッ

ん?何か踏んだみたいだ。感触からして器具の類ではない。
薬液が中途半端に乾き、微かに湿り気が残ったその物体を摘み上げる。
・・・・・・なんだろう。藁の塊に布切れが巻いてある───
───藁人形だった。それも今は亡き博麗霊夢を象った藁人形。
薬液で変色しているものの、特徴的な巫女衣装を纏っている。

私は簡単な呪いを霊夢にかけた。殺すような酷いものではない。
ただちょっとハンデを持ってもらっただけだ。いや、平等にしただけだ。したつもりだった。
『勘』を取り除いた霊夢。
それは全く脅威ではなく、とてつもなく弱かった。
どうでもいい弾に自分から突っ込んでいってしまうぐらい惨めな弱さだった。

そんな霊夢が妖怪に襲われたら?あの日はそれに加え、ふらふらともしていた。
ふわふわではない。

75midy:2008/03/28(金) 21:59:59 ID:77zmpWH60
休憩。鬱な話ですんません。

76midy:2008/03/28(金) 22:17:27 ID:77zmpWH60
***************

魔理沙が飛び立った後、霊夢は茶菓子の残りが少ないことに気づく。
「折角いいお茶が手に入ったんだし、たまには豪華にいきたいわね」
魔理沙も私の為に薬を作ってくれるみたいだし、夕方までもう少し時間があるから
ちょっと出かけようかしら。悪い勘はまったくしないわけだし、大丈夫ね。
そう思って霊夢は人里に向かって、ふわりと飛び立ったのである。

魔法の森上空を飛ぶ霊夢。
「えっと・・・・・・こっちだったかしら?」
何故かわからないが、方角がわからなくなってしまう。
「う〜ん、確かいつもこっちに飛んでいた気がするわ」
遥か彼方に見える景色を頼りに進んでいく。
しばらく進んだ所で、開けた地が視界の奥に映った。
人里である。ほっ、よかった。博麗の巫女であるこの私が迷うなんて飛んだ笑いものになってしま──

──ぅ
緊張が緩んだ瞬間急に視界がぼやけ、全身を気だるさが襲う。
「な、なんなの?これ・・・」
今日の朝から起こるようになった、体の異変である。
時々急に襲ってくる倦怠感。
風邪の症状としてはちょっとおかしい。
──ぅぐっ
急に身体全身の力が消え、博麗霊夢は墜落していった。
魔の者が住む、魔法の森に・・・・・・


妖怪の住処が所々に点在している魔法の森に墜落してしまった霊夢。
当然、音を聞きつけた妖怪共は、その音のした場所に群がってくる。

77midy 31:2008/03/28(金) 22:18:11 ID:77zmpWH60
「うっ」
腕が痺れる。背中が重い。呼吸がしにくい。
木の枝によってある程度の衝撃は抑えられたものの、それでもかなりの高さから落ちたのだ。
・・・・・・・・─・・・・・・・─
視界のどこかで、何かが動く気配。それも一つではない。
霊夢は身体の激痛に耐え、周囲を見やる。
そこには複数の妖怪が、霊夢に視線を向けて、不気味な笑いを帯びていたのであった。

いつもなら簡単に追い払うことができる霊夢。ただ今日はいつもと違った。
霊夢が放つ弾幕は見当違いの方向に飛来し、なおかつ妖怪による薄い弾幕にすら被弾
してしまう。危険な予感は全くしない。それでもこの状況はどうみてもやばかった。
もっと早く気がつくべきだった。『勘』がうまく働いていない事を。

その事を今更ながら理解した霊夢は、弾幕が最も薄い、それでいて妖怪がお留守の一角を
視界に捉えると、一気に駆け出した。妖怪に背を向け逃げ出したのだ。
木の根に足を取られ何度も転がった。
時折飛んでくる弾がわき腹にあたり、呼吸も困難になった。
それでも走って逃げようとした。ここで飛んだら間違いなく木に激突するからだ。
今やあの最強の博麗霊夢ではない。ただの逃げ惑う少女であった。
必死に走った。走った転んだ。既に満身創痍だ。立ち上がる間もなく襲い来る弾幕と暴力
どこに向かって走っているのかもわからない。勘が使えないため出口もわからないのだ。

78midy 31:2008/03/28(金) 22:18:49 ID:77zmpWH60
どれくらい走ったのだろう。
何度も行く手を遮られ、その都度、妖怪がいない空間を見つけては突っ走っていった。
──ふと視界の片隅に光が見える。外だ!!!魔法の森の出口だ!!
私は進路を変え、その方向に向かって走り出した。森さえ抜ければ──!!?
突如視界が塞がる。急に現れたものに弾き飛ばされ、私は地面を転がされた。
全身を激痛が支配する。それだけでも意識が飛びそうなくらいだ。
それでも、顔だけは起こし、状況を確認する。
確認し終えた私は、もう立ち上がる気力も残っていなかった。
僅かな希望。それを絶対的な絶望へと刷りかえられたのだから。

出口方面には妖怪が、私の後ろにも妖怪が、私の左右にも、上にも。
・・・・・・囲まれていた。どうやら、遊ばれていたらしい。
逃げ惑う私を見て、嘲笑っていたらしい。
妖怪が少しずつ近寄ってくる。
包囲の幅を狭めてくる。
妖怪の足が、
手が、
視界を
遮って



       
       ──約束守れなくてごめんね・・・・・・・・魔理沙──

79midy 32:2008/03/28(金) 22:19:30 ID:77zmpWH60
****************

・・・・・・もしかしたら・・・・・・・・・いや、もしかしたらではない。
確実だ。
博麗霊夢が死んでしまった原因。それを作ったのは・・・・・・私だ・・・・・・
この私、霧雨魔理沙だ。
友達でいたかった。対等でいたかった。頼って欲しかった。
そもそも殺すつもりなんてなかった。

あの霊夢の事だから、勘が多少薄れても十分強いと思っていた。

呪いの効果が強すぎた。『勘』をまったく取り除けるなんて思ってなかった。
呪いの効果が効きすぎた。体調を低下させるなんて望んでいなかった。

これだけの効果が出たんだ。私にも影響がでてもいいはず。
呪いは術者に返る。と言われるくらいだからな・・・・・・
でもあれから数日たっても影響は全く無い。
気が狂ったのはあまりのショックであり、今は普通に戻っている。
おかしい。
全く呪いを受ける気配が無い。
忘れた頃にやってくるのか?
それでも遅すぎる。
どうしてだ???

80midy:2008/03/28(金) 22:21:12 ID:77zmpWH60
ここから結末を2つに分けようと思います。
どっちもバッドエンドですが・・・・

鬱な話ですいません。
文才もなくて(言い訳略)
分岐後は修正中ですので近いうちに投稿をします。

81名前が無い程度の能力:2008/03/28(金) 22:54:07 ID:JzG5xoA60
まとめてソソワに……っていま止まってるか。

鬱話と死話は苦手なんだが、ついつい引き込まれてしまう。
う〜む怖ろしい……

82名前が無い程度の能力:2008/03/28(金) 23:30:49 ID:VkchMZ020
スレに貼るよりtxtうpしてリンクURI張って欲しかったぜ

83名前が無い程度の能力:2008/03/29(土) 00:35:46 ID:Djh6OxE60
NGEEEEEEEEE
さすがにこんだけあると読みにくい……

84midy:2008/03/29(土) 01:14:10 ID:g9NDlsAs0
完成したらウrlにうpさせてもらうよ・・・・

さて分岐1
投稿するまでも無いssだからほとんど推敲はしていない。
それにまだ続くよ
長すぎてすまない、すぐ終わるように・・・・

だが永夜返し!!

85midy 33:2008/03/29(土) 01:15:06 ID:g9NDlsAs0
分岐ルート***************1


効果が強かった。それは呪い全てが圧し掛かったせいだ。
怨み、憎しみ、怒り。それらを対象の形を模した人形にぶつけることで、
相手に影響を及ぼす。
しかし、どんなに思いが強くても、下手にぶつければ、思いがこぼれてしまう。
そのこぼれた分が、自分へと返ってくるのだ。
思いを針のように変え、相手の急所を貫く。その事を的確にこなせないと駄目なのだ。

今思い返せば、私は違和感無くそれをやっていたような気がする。
それは単に憎しみが強いからだと思ってた。
─違う。あの時、藁人形を掴んだ私は何を感じた?
何を思った?何を知ることができた?

私は素人であり、そもそもこんな事をするのは初めてだ。
それにもかかわらず、あの時私が藁人形を掴むと妙に手にしっくりときた。
それでいて、どこが急所なのか、どこに刺したらいいのか、どう刺せばいいのか、
無意識に脳に流れ込んできた。
私はそれに従っただけだった。

そしてそれはどうやら的確すぎたようで、如実に霊夢に影響を及ぼした。
零れた思いも無く、完全に伝わった。
『勘』を奪われた霊夢。
もうそれは、天才ではなく、力を持たないただの人間だった。ただの少女だった。

86midy 34:2008/03/29(土) 01:16:09 ID:g9NDlsAs0
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんだ・・・・・・・・・・・そういうことだったのか
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・うふ・・・・・・・・・・・・・・・・うふふ・・・・・・・・
うふふふ、うふふふふふふふふアハハハハハハハハハハハ!!!
なんだ!!!霊夢は天才じゃなかったのか!!!ただの人間だったのか!!!!
勘さえ奪われてしまえば、何も出来ないクズだったのか!!!!!
私はそんなものに憧れていたのか!!!!!何も努力をしない、人間のクズ!!!!!!!!
アハハハハハハハハハ死んでも当然だぜ!!!!!!!!
それ相応の結果なんだ!!!!!!!頑張ったもののみが生きることが許される世界!!!!!!!
そうだよ!!!そうあるべきなんだ!!!!!!!!!!!!!!走らない兎は永遠に眠っていればいいんだ!!!!!!!」



「ならそうだよな、世界を塗り替えなくちゃあいけない。正しき世界へと、あるべき世界へと!!!!
まずは・・・・・・そうだな、邪魔者を排除するべきだぜ・・・・・・・・・・」

人里には一人、白黒の衣装を身にまとい、黒い心に白い仮面を被せて歩く、魔女がいた。

「へい、まいどありっ!!!!いやー商売を始めてから、そんなに買ってくれた子久し振りだよー
それにしてもそんな大量の藁や布を、一体何に使うんだい?」
「いや、ちょっと研究で使うんだ。すまないな急に用意してもらって。感謝するぜ」
「それには及ばないさ、こちとら商売だからな、血を吐いてでも客の要望に答えねば商売あがったりさ」
「倒れちゃったら元も子もないぜ?まぁ身体に気をつけて頑張っていってくれよ。じゃぁな」
「おうっあたぼうよ。お嬢ちゃんも若いのにしっかりしてるねぇ、気をつけて帰るんだぞ」




「うふふ、そうだよな、ああいう人こそが報われるべきなんだ。早速貢献してしまったぜ、うふふふ」
不気味な笑いを浮かべつつ、魔法の森上空を滑空しているのは、白黒の衣装を着た魔女、霧雨魔理沙である
手には大きな袋を抱えており、中には大量の布がぎっしりと詰め込まれている。
箒の柄の先端部分には大きく膨らんだ風呂敷が結わえられており、中にはみっちりと藁が放り込まれているのである。

87midy 35:2008/03/29(土) 01:17:41 ID:g9NDlsAs0
何軒か店を回ったが、無理を言う魔理沙の要望に答えてくれたのは
最後に訪れた里の端のほうにある、寂れた小さな店の一軒だけだった。
それ以外の店では、要望を言うと突き返され追い払われたり、
お得意様の客以外無愛想であったり
そもそもやる気があるのかという店ばかりだった
そういう気に食わない店はこっちからお断りだった。

「ったく、不公平だぜ。慧音があんなにも頑張って里を守っているというのに、なんだあの堕落した人間たちは。
これはちょっと、修正する必要があるよな。当然だぜ。それに慧音の負担が少しでも楽になるなら、慧音のためにも
なるんだしな」


「流石にこれだけの数をこなすと、疲れるぜ・・・・・・だがこれは正しいことなんだ。
得るものに比べれば些細な事さ、・・・・・うふふ」
『努力』それを使うことで世界がどんどん変わっていく。その実感が、その充実感が魔理沙を満たしていく。

「さてと、私の創造を邪魔する奴をまず消していこうか、聞いたところ、あいつは寝てばっかりらしいからな
式に全てを任せ、楽をしているそうじゃないか、消えてもらって当然だ。
うふふ、殺すつもりは無いぜ?別の世界へ散歩してもらうだけだ、
それに式神は負担が減って楽できる。いい事だろ?うふふふふふふ」


*********
ここは幻想郷のどこかにあるという"迷い家"
ここにある物を持ち帰ると幸せになれるとかなれないとか。

そこには1人のおば、もとい足の臭─スイマセンゴメンナサイヤメテマジd
芳醇な香りを身に纏う、うら若き乙女で絶世なる美女、八雲 紫と、2匹の式神が住んでいた。
いつもはもふもふした声や、猫のような声が聞こえるのだが・・・・・・・
今日はやけに空気が重々しい

88midy 36:2008/03/29(土) 01:18:25 ID:g9NDlsAs0
「紫様・・・・・・・朝食の準備が整いましたが・・・・・・いかがなさいますか?」
そう言うのはスッパ─略─紫の式神、八雲 藍である。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「紫様、少しでも食事を取らないとお体に触りますよ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いらないわ・・・・・・・・・・・」
「で、でも・・・・
「いいの、ほっといて頂戴。何もいらないの。貴女達二人で食べてなさい。二度は言わないわ」
「・・・・・・・・・・・・・は、わかりました・・・・・・・・・・・」

3人分の食事が用意されている居間に戻った藍に、黒猫の怪、橙が寄って来た
「あれ?紫様は?どうしたの?今日も食べないの?」
「あぁ、また、なんだ。すまない」
「そっかー・・・・」
残念そうに俯き、指を咥える橙。
その格好で少し唸ったかと思うと、口から指を離し、
「なんだか、紫様、そーしきってのに出かけて以来、変わっちゃったね。
ねぇ藍様、そーしきってなぁに?何をする所なの?何があったの??」
「うーん、橙にはまだ随分と早いかな。さ、ご飯が冷めてしまうから食べましょう?
今日は橙の大好きな鯵の開きが丸ごと一匹なのよ」
「ん、あ、わーい、本当だぁ、藍様、早く席について、早く早くぅ〜」
(そう、まだ橙が知るにはとてつもなく早い。できれば一生関わらないようにと願うよ)


布団の中に蹲り、目からの涙により布団が濡れていく。頬にあたる部分が湿っていて冷たい。
「どうして・・・・・・霊夢・・・・・・・・・どうして・・・・・・・・・・」
霊夢の葬式、この八雲紫も立ち会っていた。
彼女は霊夢の事をかなり気にかけていて、とても可愛がっていた。
博麗の巫女として、自分が選定した少女。
彼女の性格なら、誰ともうまくやっていける。幻想郷のバランスを保ってくれる。
幻想郷を任せられる。そう思ったからだ。
事実、異変が起こればすぐに異変を解決し、あらゆる事態を収めていった。
妖怪同士の力の差をなくすための平等で特別なルール、それも定めてくれた。
期待以上に頑張ってくれたのである。
ただし彼女はまだ少女であり、それだけの異変を解決するのは身体に過度の負担が掛かってしまう。
その負担を僅かでも減らすため、実は内緒でこっそりと協力してあげていた。
ばれない様に見守って、それでいてピンチの時はさりげなく力を添える。
しかし、その行為は戦ってる当の本人よりも疲れを感じてしまった。
境界をフル活用しているのだから当然である。
小さく大きさを保った境界の中から覗き込み、気づかれない程度の弾を撃つ。
その反動のせいか、家に帰ると死んだように眠ってしまう。
藍はその事に薄々気づいてはいるらしいが、橙は私の事をずっと眠っているおばs
眠り姫だと思っているようだ。
永い夜の異変の時は、気づかれてしまったらしく、隙間に手を入れてきて私の腕を掴むと
「あんた強そうね。異変解決するから手伝って」
と無理やり引っ張られ壁をやらされたのである。
どこぞの誰かも知らないのに信頼するとは、流石霊夢だ。
私はその時一緒に戦ったが、私の力が無くても十分すぎるくらい成長していた。
今度は隙間からではなく、直に目に焼き付けることができ、霊夢の成長を確認することができた。

89midy 37:2008/03/29(土) 01:18:47 ID:g9NDlsAs0
もう、私の力はいらないわね。ちょっと寂しいけど、親離れする時期かしら。

その異変以降だろうか、力を添えることは無くなったものの、霊夢と直接会話を交わしたり、
一緒にお酒を飲んだりと、以前より充実した仲になっていった。
あっちの世界からくすねてきたものを霊夢にあげると、とても喜んでくれた。
霊夢が落ち込んでいるときには元気を取り戻し、笑ってくれる。
その笑顔を見るためには何でも盗って来たと言っても過言ではない。
結局、盗って来るのにも力を使うため、家に帰ると死んだように眠ってしまう。
藍はその事に薄々─略─ 橙は眠る素敵な美女と評してくれた。
そして数日前、あっちの世界から適当に盗って来たお茶を渡すと霊夢は異常なほど喜んでくれた。
お茶が好物だとはご存知ありませんでした。まさか奇声まであげられるとは・・・・
とびっきりの笑顔で微笑んでくれた。
そしてそれが、私の見る最後の笑顔になるなんて・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・布団が冷たい・・・・・頬が冷たい・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・布団が冷たいわ!!!!!」
ガバッと布団を跳ね上げ飛び起きる。丁度頭の位置には大きな染みが。
(げ、私泣いていたのかしら・・・・)
近くに備えてある鏡台を覗き込む。
キャッ!!!
驚いて尻餅をつく。
鏡の中にいる目と顔を真っ赤に染めた化け物と、目があってしまったからだ。
落ち着くのよ私。あれは鏡よ。鏡なの。
訂正する
鏡の中にいる目と顔を真っ赤に染めた、うら若き乙女であり美しすぎる美女と、目があってしまったからだ。
とにもかくにも、こんな顔をあの子達には見せられない。
布団も濡れていて気持ち悪いし・・・・
という事で、隙間の中に入ることにした。

90midy 38:2008/03/29(土) 01:19:27 ID:g9NDlsAs0
音も何もない世界。自分以外の存在がいない世界。空間という次元を超越した世界。
こんな孤独な世界にできれば入りたくなかったのだけれど・・・・
(霊夢・・・・・どうして?どうして死んでしまったの?・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・ここは自分以外何も存在しない世界・・・ね・・・・・・・・・死んだらこんな感じなのかしら・・・・
・・・・・霊夢・・・・・・・・・)
また霊夢の事を思い出すと、頬を熱いものがなぞっていき、それがいつまでもとまらない。
止まるどころか、次々と溢れ、頬を掻き毟っていく。

             『うふ、うふふふ』
不意にどこからか笑うような声が聞こえる。
聞こえるはずがない。ここには私以外何もないはず。でも聞こえた。
どこから?誰の?ありえない。
周囲を見渡しても誰もいない何もない。あるはずない。

──んぐっ!?
急に眩暈、吐き気、頭痛が同時に襲ってくる。
──がはっ
身体が苦しい、全身が軋む
な、なんなのよ・・・・これ・・・・
身体が焼けるように熱くなり、鉄のように冷たくなっていく
途端、身体から力が抜けていく。
ぐっ・・・・迷い家に向けて隙間をこじ開け、とりあえずこの空間から出──
これ以上開かない!!!僅かに開いて、迷い家にある私の布団が覗くものの、
それ以上開かないのである。腕2本を通すのがやっとのようなそんな大きさだ。
それでも境界に手をかけ、無理にこじ開けようとする。
少しずつ閉じていく隙間。力が入らない。藍!!藍!!!!!!
式神の名を呼ぼうとも声が出ない。無常にも閉じていく隙間──


─── プツン ───

91midy 39:2008/03/29(土) 01:20:23 ID:g9NDlsAs0
「橙、今私の名を呼んだか?」
「んー?むぐむぐ、呼んでないよー?むぐ、むぐ、どうしたの?」
「ん、そうか・・・・・・・・・・・・紫様かな?ちょっと様子を見てくるよ」
う〜ん、起きたのかな〜寝言でしょ〜 と言う橙を残し、私は紫様の寝室へと向かった。

「紫様、呼びましたか?・・・・・紫様?」
寝室にはめくれ上がった掛け布団が放置されており、敷布団の上には紫様がいなかった。
「むぅ・・・・起きたのならば布団を片付けてから・・・・──ん?」
奇妙なものが布団の横に落ちているのが目に映る。
白い2つの皿、いや、皿ではない。白い塊。・・・白い布。・・・あぁ、紫様の手袋か。
びっくりしたなぁ、もう・・・・そういって腰を屈め拾い上げる

──ぐにゅ

・・・・・・・え?????????
入っている。中に何かが。手袋の形に沿うように。・・・・・・・
・・・・
・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・手だ。



居間に戻ると未だに魚を貪る橙。私の分の魚が無くなっている。
「むぐ、あれぇ藍さまどうしたの?紫様は?起きてこないの?」
「あぁ・・・・・そうみたいだ」
「ふぅん・・・・・紫様ずっと寝てるね」
「あぁ・・・・ずっと・・・・だ・・・・・・・これからも・・・・・ずっと・・・・・」
「ねぇねぇ、紫様の分食べちゃってもいーい???」
「あぁ・・・・いいよ」
「わーーい、じゃぁもーらぃ〜〜〜」


紫様はついに起きてくることは無かった。ずっと・・・・寝ているだけなんだ。

92midy:2008/03/29(土) 01:22:31 ID:g9NDlsAs0
本当はここまで長くなる予定ではなかったんだが、
書いてるうちに伸びてしまった。
長編だから仕方ないとはいえ・・・・
もともと活気の無いスレだからいいとは思うけど
読んでくれる人に対しては申し訳ないと思う。
それにまだまだ続く・・・・・

93名前が無い程度の能力:2008/03/29(土) 02:48:51 ID:aJXQLPdUO
GJです
ストレイボウが魔王になったらこんな感じかな

94名前が無い程度の能力:2008/03/29(土) 08:59:54 ID:g9NDlsAs0
ライブドアライブwww

95midy 40:2008/03/29(土) 14:38:06 ID:g9NDlsAs0
********************

「次は・・・・・そうだな。
なんの努力もなしに、私を凌いで幻想郷最速とか言ってる鴉がいたな
うふふ、記者なら記者らしく、自分の足で歩いたらどうなんだ?うふふうふうふふふ」

もう私怨でも何でも良かった。幻想郷に害を及ぼす輩。努力をしない輩は消えて当然だからだ。
嘘を何でも報道しまくる鴉、彼女には蝋で固めた翼を与えた。羽ばたけない翼を。

誰か人の為になる事、それをするのがとても愉快だった。とても快感だった。


「魔理沙〜、魔理沙いる〜〜?」
ぉ、アリスだ
「どうしたんだアリス。あ、生憎私の家はまだ散らかってるぜ?だからちょっと入るのは勘弁してくれ」
「ん?じゃぁ私の家でもいいかしら、話したいことがあるんだけど立ち話じゃあれだしね」




アリスの家は素敵過ぎる。とても心地よい香りが漂っているし、可愛い家具が綺麗に並べてあるし、
心が安らぐような微笑を含む人形も、それに・・・・
「可愛いアリスもいるし。あぁ〜〜こんな所に住みたいぜ〜〜〜」
「んもぅ、魔理沙ったらぁ」
しまった。つい声に出してしまった。
ん、まぁアリスの反応が可愛いからいっか。

96midy 41:2008/03/29(土) 14:38:27 ID:g9NDlsAs0
2体の人形が紅茶を運んでくれた。
可愛すぎる。つい、ちょっかいをだしてじゃれあってしまった。
テーブルを挟んで座る私とアリス。なんとも幸せな時間である。

「あ、それでね話したいことってのは幻想郷の異変についてなのよ」
「異変??異変なんてあのレイ・・・・(あぁ、霊夢はもういないのか)
いや、なんでもない、それでどんな異変なんだ?」
う〜ん、とアリスは少し考えるような仕草をすると
「それがね、人里に変な病を訴える人が増えていてね、いきつけのお店が休業しちゃったりと
いろいろ大変なのよ。そういう異変を真っ先に嗅ぎつける文さんも変な病にかかっちゃったみたいで
まだその話は広まってないみたいだけど・・・・・・魔理沙は何か知っているかしら?」
「変な病?いや、知らないぜ。初耳だぜ?アリスは大丈夫なのか?」
「うん、私は今の所大丈夫みたいだけど・・・・・・病気の事は永遠亭に行った方がいいのかしら?」
「いや・・・・・・任せろ、そんな異変私に任せろ!!私がアリスを守ってやるさ。
もうアリスを傷つけたくないし、傷つけられたくない。泣かせたくないし泣かせられたくない。
だから私に任せろ!!私を誰だと思っている。霧雨魔理沙だぜ?
そんな呪い、私がぶっとばしてやる!!!アリスを守ってやるんだ!!!」
(あぁ・・・この眼。どこまでもまっすぐなこの眼。目標をまっすぐ捉える汚れの無い純粋な眼。
私はこの魔理沙に魅かれたんだった。私の孤独を取り除いてくれる魔理沙。
ふふっ、どうやら私は魔理沙の事を大好きらしい。心から愛しているらしい。
どうしようもなく好きみたい。・・・・・・でも・・・・・・私"呪い"だなんて言ったかしら)

確かにこの症状は呪いだと、アリスもわかっていた。そして異変が起こるその直前に、
里で大量の藁と布を求めていた小さな魔女の話も聞いていた。でも・・・・・・まさか、ね。

97midy 42:2008/03/29(土) 14:38:49 ID:g9NDlsAs0
魔理沙は自宅にある木製の椅子に腰掛ける。口元には不適な笑みが。
「うふふ、そうだ、まだアリスの為に何もしてやれてない。アリスの為にも、
アリスがこれ以上傷つかないためにも、危害を加えられる恐れがある奴らを抑えこまなければな」


まずは吸血鬼、それから図書館の魔女もそうだな。雑用ばかりの小悪魔が可哀相だ。
メイド達も門番だって頑張ってくれているし、決まりだぜ。
吸血鬼の姉妹の人形と、紫色の魔女の人形を作り上げる。

その晩以降、紅い館の城主は未来が、運命が読み取れなくなった。急に目の前が真っ暗になるようなそんな恐怖に
悩まされるようになった。
城主の妹は何も破壊することができなくなった。ただの血を吸う少女と成り果ててしまった。
図書館の魔女は文字が読めなくなってしまった。どの本を手にとっても解読できないのだ。
その日以来3人の娘は睡眠時間が徐々に増えていき、やがて起きなくなった。

うふふ、やはり私は天才だ。道具と努力の天才だ。今更ながら気づいたぜ。
これだけ呪っても影響が無いなんてな。うふふうふふふもっと早く気づくべきだったぜ。

次はあいつかな。家来の庭師が大変そうだぜ。うふふ
息をする死んだように眠る死人。なんとも滑稽な話だぜ
その次は兎の館の姫辺りかなうふふふ努力が結果になるというのは、楽しいぜうふふふふふ

98midy 43:2008/03/29(土) 14:39:08 ID:g9NDlsAs0
今日は久し振りに博麗神社に行ってみた。
そこには霊夢ではない別の巫女、東風谷早苗が箒をもって掃除をしていた。
「あら、こんにちわ。えっと魔理沙さんでしたか。もうすぐ掃除終わるのでそこで座って待っていてくださいな」
「いや、様子を見に来ただけだぜ。それにしても綺麗だな。全部一人でやったのか?」
「えぇ、とても大変な事なのですが神事なので欠かすことはできません。それに私、これに生きがいを感じて
いますし・・・・・・・あ、○○さんのおばあさん、こんにちわ」
振り向いたところには普通の年寄りが、その老婆も早苗に挨拶を交わすと、
なんと賽銭箱のなかにお金を放り込んだではないか、正気か?おばあさん、その賽銭箱は開かずの・・・・・・
そう思っていると後から来た若者も賽銭箱に・・・・・・
信じがたい光景だった。奇跡が、今目の前に2回も。嘘だろ・・・・・・恐る恐る賽銭箱の中を覗き込む。
「ぎゃあああなななななんだこれは!!!」
「え、何って賽銭箱ですけど・・・どうかしました?」
「いや、賽銭箱ってのはこう、いつも空っぽでお金を入れるものじゃないだろ?
こんな満腹な賽銭箱は賽銭箱じゃないぜ」
「アハ、魔理沙さんは冗談がお好きですねぇ。そのお金は神社の修復に当てたりとするんですよ。
この神社古いせいか凄い軋んでますからね。それでも余ったものは、貧しいものへと寄付したり、
いろいろ役立てるんです」
この光景を、この話を霊夢が聞いたらなんと思うのだろうか・・・・・・
「よし、私はそろそろ帰るぜ。これからも神事に頑張って励んでくれよ、じゃぁな」
「ええ、ありがとうございます。それでは魔理沙さんもお体にお気をつけて」


まさかこんなに変わるとは思っていなかった。巫女というものは常に無気力なものだと・・・・・・
ならば私ももっと頑張る必要があるな。もっともっと世界を変える必要があるぜ。

99midy 44:2008/03/29(土) 14:39:28 ID:g9NDlsAs0
コンコン、「魔理沙〜いるかしら?」
「ぉ、アリスか、いま開けるぜ」
相変わらず可愛く美人なアリスがドアの前に立っていた。
「うん、また今日も話したいことがあるの。異変についてなんだけれど・・・入ってもいいかしら?」
「ん、あーー悪い、まだ片づけが終わってないんだ」
「あら、なら私も手伝うわよ?魔理沙一人じゃ大変でしょう?」
「ん、いや、いいぜアリス、有難いが私が散らかしたんだしな。自分でやるさ。
それよりもアリスの家行ってもいいか?私あの雰囲気がとても落ち着くんだが」
「ん、・・・もぅしょうがないわねぇ」



「それでね、異変の事なんだけど、また犠牲者が増えたみたいなの。
それも幻想郷では名のある人たちばかりなのよ。これだけ広まっていたら魔理沙の耳にも何か入っていると
思うけど・・・」
「う〜ん・・・・・・そういう話は聞かないなぁ。だが安心しろアリス。私はアリスを守る。
犯人を見つけ出して懲らしめてやるぜ!」
(やっぱり・・・既に誰かの仕業とわかっているかのような言い方・・・)
「・・・・・・そう・・・・・・私、魔理沙を世界の誰よりも信じているからね」

その後アリスとわかれると、私は博麗神社に様子を見に行った。
庭には落ち葉一つ無く、賽銭箱は腹を満たし、境内の床を雑巾で拭いている巫女がいた。
私は軽く挨拶を交わすと、その場をあとにした。

もしこれが本当の巫女だとしたら、霊夢はどれだけ堕落した巫女だったのだろう。
私は人里にも向かうと、大体めぼしをつけ、自宅に戻り、裁きを下していった。
効果が如実に現れる様をみて、私は震えが止まらなかった。

それから数日間は天狗や河童の里にも赴き、同様に裁きを下していった。
これほどまでに私を満たしてくれたものはあったのだろうか
「うふふふぐふふふふふあはははハハハハひゃひゃひゃひゃバババババハハハッハッハハ」
笑が止まらない。実感が気持ちいい。今までの努力が全て甘い蜜となる。
その美味しさときたら至高の一品だ。涎が垂れる。止まらない。幸せだ。最高だ!!!
もっとだもっともっともっと。もっと欲しい。身体が疼く。人のためにもなる。
これ以上の正義なんてないぜ!!!

100midy 45:2008/03/29(土) 14:39:52 ID:g9NDlsAs0
・・・しかし段々スペースが足りなくなってきたな・・・・流石に寝室でやるのは嫌だぜ・・・
コッコッ「魔理沙?魔理沙いる?」
「ぉ、今開けるぜ」
ドアの前にはアリスが、しかし今日はなんか落ち込んでいるというか思いつめてる様子だった。
「ア、アリス?どうしたんだ?雰囲気が重いぜ??・・・・誰かに何かされたのか?アリス?」
「う、ううん、心配してくれて嬉しいわ。でも私は平気よ。誰にも、何もされてないわ。
それより、今日はクッキー焼いてきたの。一緒に食べようかなっと思って。中、いいかしら?」
アリスはクッキーが入っている籠を目の前に掲げる。
「ん、悪いアリスまだ家の中は無理なんだ。片付けてはいるんだがなかなか進まなくてな」
「・・・・・・そう・・・・・・私、魔理沙を世界の誰よりも信じているからね・・・・・・だから・・・・・・」
アリスはそう言ってクッキーの入った籠を無理やり魔理沙に押し付け、魔理沙はそれを抱きかかえる形となる。
籠からは香ばしい香りが漂う。
「だから・・・・・ごめんなさい!!!!!!」
言うと同時にアリスは魔理沙を突き飛ばした。籠を抱える魔理沙は受身もとれず、思いっきり床に叩きつけられる。
その横をアリスはするりと抜け、魔理沙の家の中に土足であがりこんでいった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
壁には無数の藁人形が無数に磔られていた。全てが不気味に笑っている。壁全てを覆いつくされ、隙間も無く、
びっしりと。他の部屋に繋がる廊下の壁も、他の部屋の壁も。薄暗い部屋、視線を大量に感じる。
大量の藁人形。
その中には見覚えのある姿をした形が──
「なんだ、ばれてしまったな。それにしても突き飛ばすなんて酷いぜ。
まぁ安心しろ、その中にアリスを加えるつもりは全く無いぜ。
なんせ、私はアリスの事を幻想郷の誰よりも愛───
「魔理沙・・・・・・・人形で人を殺すことができるのは知ってる?」
「ん?あぁ知っているぜ。だけどそんな物騒な事はするつもりないけどな──アリス?どうした?
泣いているのか?どうしたんだ?やっぱり誰かに?呪いをかけるなら私がやってやる。
誰なんだ?何をされた?教えてくれ!!」
「・・・・・・心配してくれてありがとう。やっぱり魔理沙は魔理沙ね。そういう所が大好きよ・・・・・・・
でも・・・・・・・・・・・・・・・・・・もう終わりにしましょう?」
そういうとアリスはスカートの中から2体の人形を取り出す。
とても精巧に作られたそれは、藁人形だとは言われなければわからない精密っぷりである。
特徴も完璧に捉えられているし、人目で誰と誰の人形かわかった。
青い空色のロングスカート、金髪に赤いカチューシャ、細かい所まで完璧に。
黒いスカートに白のエプロン。金髪に黒い三角帽子を被っている元気な笑顔の人形。
それは、どうみてもアリスと魔理沙の人形である。

101midy 46:2008/03/29(土) 14:40:21 ID:g9NDlsAs0
アリスはそれを大切に抱きかかえながら家の中心付近にある柱へと歩み寄る。
そこにはまだ数体しか磔にされていない。
アリスは手に持った二つの人形を両方手前を向くようにして、重ね合わせる。
手前にアリス人形を、その後ろにいる魔理沙人形を何かからかばうように重ね合わせる。
柱の開いた空間にそれを左手で押し当てる。いつのまにか左手の人差し指と親指で何かを摘んで持っている。
五寸釘だ。それもアリス人形の心臓部分に尖を突きつけている。その後ろには魔理沙人形。
右手には木槌を。───まさか
「や、やめろアリス!!!!!やめるんだ!!!!」
「ごめんね、魔理沙。私はあなたの事が大好きよ」


魔法の森に、何かを打ち付ける乾いた音が響いたその時から、
幻想郷の異変は次第に収まっていった・・・・・・・・・・


            (ごめんね・・・・・・・・・・魔理沙・・・・・・・・・・)



魔法の森の一つの小さな家には、寄り添って眠る二人の美少女がいた。
その少女達は、もう永遠に起きることが無い・・・・・・・・・・・・・・

102midy:2008/03/29(土) 14:42:28 ID:g9NDlsAs0
以上で完結です。
長すぎる。との声もあるので最後のほうは少し省略してしまいました・・・
すいません。
投稿するまでもないssですので終盤は推敲もあまりされていません。

もしこのままでもよければウrlとかうpしようと思います。
餓鬼臭い文章ですみませんが、感想もらえれば嬉しいです。

103名前が無い程度の能力:2008/03/29(土) 15:02:43 ID:Noijra9I0
何というデスノート…

104名前が無い程度の能力:2008/03/29(土) 17:16:03 ID:g3alGY/Y0
とりあえず全文をtxtにまとめてうp

以下素人視点からの戯言
何章何話とかいう形である程度分けるといいかもしれない
そうすると推敲もしやすくなると思う(個人的には)
それとこれは俺の好みの問題だが、「・・・」が多すぎる気がする
「…(三点リーダ)」使うともう少しすっきりするかも
内容に関してじゃなくてすまん

105名前が無い程度の能力:2008/03/29(土) 18:34:41 ID:oFd1l6/E0
こういうのもヤンデレになるのだろうか。


でだ、次は明るい話を頼む。カオスでもギャグでもいいから。
マジで。俺の精神のライフはとっくに0だよ!!こわすぎるよ!
ホラーってレベルじゃねーぞ! O....TL

106midy:2008/03/29(土) 19:23:59 ID:g9NDlsAs0
ほとんど無修正ですが投稿テスt
ttp://coolier.sytes.net:8080/th_up2/src/th2_9649.txt

107midy:2008/03/30(日) 03:18:05 ID:kvWEgSRw0
「さぁ……始めようか……」


ここ博麗神社の庭に、白黒の衣装─どうせわかると思うから略。そうだよ可愛い魔理沙だよ─魔理沙が、
帽子を深々と被り、不適な笑みを掲げつつ立っている。
その正面には、賽銭箱によりかかり、虚ろな表情をしながら
虚空を見つめる博─紅白。腋。わかるでしょ?─霊夢の姿があった。
そして魔理沙を遠巻きに多数の妖怪が包囲している。その顔ぶれたるや、幻想郷では名高いものばかり。
どの妖怪も、魔理沙に視線を集めている。
誰もピクリとも動かない。静けさが騒がしいくらい…

ザッ!!

最初に動いたのは魔理沙だった。
右手を、スカートのポケットの中に不意に潜り込ませたのだ。

それに反応し、周囲の妖怪は迎撃の態勢を取る。
霊夢は未だに動かない。何かを諦めたかのような表情のままだ。

魔理沙はポケットからしっかりと握りこまれた手をゆっくりと出す。

周囲の妖怪は姿勢を崩さない。

魔理沙の手は握られたままだ。

周囲の妖怪は視線を外さない。

魔理沙の握られていた手が僅かに動く。
親指が、人差し指の第二間接の上に乗りあげると同時に、親指の上に奇妙な物体が露になった。
コインである。

周囲の妖怪の視線がそれに集まる。それでも妖怪の呼吸音が聞こえるくらいの静けさ。

魔理沙は一瞬親指に力を溜めると、コインを思い切り弾き飛ばした。

ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン....

それは綺麗に放物線を描いて飛んでいく
その軌道は賽銭箱に吸い込まれていく

コトン…

…カチャ




「ポウッ!!!!」






すいません。Mジャクソンのスムースクリミナルです。
宴会の片付けの事を思うと・・・・の霊夢と
宴会を始めようか。これは場所賃だぜとry魔理沙

一部の人しかわからないネタですいません。
いや、なんかネタをかけってアリスが言ってた。
とりあえずアリスの名をどこかに出さないと気がすまない。

108名前が無い程度の能力:2008/03/30(日) 07:11:50 ID:My/c9h..0
春。
どこかの亡霊が悪さをすることも無い、いつもどおりの春。
深く降り積もっていた雪は何時しか溶け、茶色い地面が顔を出す。
眠りについていた動物たちは目覚め、雪の下で耐えていた芽は一斉に咲き乱れる。
見あげれば、梅の花はとうに満開を過ぎ、桜が今か今かと待ち構えている。
それを見た人間も、心なしか暖かくなってしまう季節、春。

春。

春なのに。





魔理沙「だからー、ズズッ、春なのにって考えがおかしーよなー」
アリス「まったくよね、クシュン、私たちにとっては『春だから』なのにねー」
霊夢「いいからあんたら永遠亭にでもいってきなさい」

109名前が無い程度の能力:2008/03/30(日) 07:38:46 ID:hrlrUB860
なんだこれ
ここまで読む気がしないのも初めてだ

110名前が無い程度の能力:2008/03/30(日) 11:22:48 ID:kvWEgSRw0
>>109
マリアリを書け
話はそれからだ。

111名前が無い程度の能力:2008/03/30(日) 11:41:11 ID:986qDWg60
>>109
だからまでもないスレに投稿したんだろうに

112名前が無い程度の能力:2008/03/30(日) 12:52:46 ID:SBYHDSMM0
さすがにこの長さはtxt投下にしてほしい

113名前が無い程度の能力:2008/03/30(日) 14:06:29 ID:kHhcqgTM0
txtとか外部経由は専ブラで見づらいから止めてほしい。
本人が「投稿するまでもない」っていうんだから
別に長くてもいいと思う




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