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第8回電撃short3

1名無しさん:2003/05/02(金) 01:07
もう締め切りは過ぎちゃいましたが、
この企画に便乗してお題小説を書いていきたいと思います。
みなさん、どんどん曝しちゃってください。

2名無しさん:2003/05/02(金) 01:08
以下、電撃オンラインからのコピペ。
_________________

大人気のこのコーナーでは、みんなの“三題噺”を大募集!
決められた三つの題目を上手に取り込んで、ショートストーリーを作ってね。
優秀作品は随時ホームページに掲載していくぞ!
さらに、最優秀作品は「電撃hp」に掲載されるのだ!
も、もしかして、電撃作家への道がまた一つ開かれるかも〜!?
ジャンルは、ファンタジーでもミステリーでもSFでも何でもアリ!
もちろん、ホームページからメールで応募も可能だけど、
原稿用紙やワープロ原稿で郵送の投稿もOKだぞ!

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第8回の題目はこれだ!!
(題目)『入学』『キリ』『つくし』

★お題を使用するときのヒント
「霧」でも「斬り」でも、とにかく発音が合っていればOKだよ!
うまく組み込んで面白いストーリーをつくってね!

※「キーリ」や「〜き、り〜」とお題の間に句読点や文字を打つと失格になるよ!
※2000字オーバーも失格になるので気をつけよう!!

3名無しさん:2003/05/02(金) 01:10
公式サイト
http://www.mediaworks.co.jp/users_s/d_hp/short/main03.html

すでに応募済みの作品の投稿も歓迎します。

4難民323の作品その1:2003/05/02(金) 01:49
右手に茶碗、逆手にお箸。それぞれ持ちて少女は茶漬けをすする。ずずずっと。
 ちゃぶだい越しに向かって座る、オヤジが同じく茶漬けをすする。ずずじゅっと。
「おいしいか? 娘よ」
「――、全然だよ、お父さん」
 言って娘は茶碗を置く。言われて父はま、仕方ないかとため息をつく。
「具、つくしだけだしなぁ」
「味もしょうゆしかないじゃん」
 少女の茶碗を覗いて見れば、そこには確かにつくしとご飯がほんのり赤づき茶に浸っている。というかつくしって食べ物なんだろか。
「ねー、お父さん。地面生えてるほかのものさ、食べれないかな」
「ぬう。父さんだって食べたいが、地面のアレは雑草以外のなんでもないぞ? 食べたら腹壊すかもしれないぞ?」
「ひもじいよぅ、ひもじいよぅ!」
 部屋の中にはちゃぶ台一つとベッドが二つ、水道とガスと調理用具と炊飯器が整備され、棚には米と山のような本としょうゆが
置いてある。多分どっかに空気穴さえ生えている。が、この部屋に木などは少しもありはしない。壁は土、床も天井も全て土。
だったら扉はどうなんだと問われれば、一つもないと言うしかない。そう、この部屋は密室なのである。
それでも天井には光ファイバーが生えており、床から生える植物達が元気を誘う。されどそれらはつくしのほかに食べれたものじゃあ全然なくて、二人は途方にくれている。
 して、この二人について話をしよう。実は二人、出会うまでの記憶がない。
 というか、気付けばこの密室に、いきなり二人で倒れていた。何がどうだか全く解らず、回りにあった本を読み、
今自分はどういう状況なのかをそれぞれ自分で調べあい、やっとのことでとりあえず制服を着てる方が娘で、腹巻していて腹が出ていて禿げ始めの方を父親と定義して、
で、ワシらはナニモノなんだろうと話がおよんだのが今日のいまである。

5難民323の作品その2:2003/05/02(金) 01:50
「ねーねーお父さん、あたしが思うにさ、あたし達多分ロボットだよ」
「――なんだそのロボットってのは」
「人間じゃなくてさー、体が全部機械で出来てるの」
「ふむ。それならワシらの記憶が無いのも説明できるな」
「でしょー? たぶんそれだよー。ねね、ためして見ない?」
 ちなみに二人はすでに色々試している。魔法使いとか超能力者とかエスパー伊藤とか。
そんなものじゃないと、あたし達がこんなところにこんな状態でいるはずないじゃんとかいう娘が主張したがために。誰かに閉じ込められたとかいう考えは浮かばないらしい。
「して、どうやってわしらがロボットだと証明する?」
 言われて娘はむっふっふ〜と得意げに笑顔を作り、
「カタナでひとつき!」
 父は言われて固まって。
「……は?」
「ロボットだったらきりつけたら血が出ないの! 人間だったら血がでるの!」
「――血って、よく物語の主人公が出してるアレ?」
 父は顔を蒼くしつつも一つ問う。
「アレだね!」
 言って少女は丸く笑う。

6難民323の作品その3:2003/05/02(金) 01:50
「もし人間だったら?」
「……ま、大丈夫でしょう」
「であってたまるかぁぁぁぁっ!」
 娘は能天気に言い放ち、父は叫んで立ちつつちゃぶ台返して鼻息荒くぜーはーする。
「貴様は何もわかってない! アレはな、流したら痛んだぞ! 苦しいんだぞ!」
「流したことあるの?」
 記憶自体は一週間分ぐらいしかない。
「無い! 無いが痛そうだ!」
「大丈夫だよー、指の先っちょ切るだけ」
 言われて父は固まって、一瞬考え、
「やっぱだめだ! 事をせくんじゃない!」
「だってさ、今床が春だしさ、たぶん外も春なんだよ。あたしは制服着てるしさ、ニュウガクシキシーズンっていうらしくてさ。今学校行かなくていつ行くのよ!」
「だからってそんな急がなくても」
「だから、切ってみれば解るんだって」
 言って少女は包丁を持ち、親父の方を見、ギラリと笑う。
「……ね?」
 されど父には未知の恐怖に勝てはせず、「――すまんっ!」
 叫んでいきなりにげだした。
「あー! こらまてーーっ!」
 狭い部屋に逃げ場所はなく、ぐるぐる二人は回りつづける。天井でも、ピンホールカメラがぐるぐる回り動いている。

7難民344の作品その1:2003/05/02(金) 01:51
 え? ええ。はい。入学式の日です。よく覚えています。そうです。あの、霧が出てい
た日です。その日は姉が大学の入学式でして……え? 私ですか? 私は、散歩をしてい
たんですよ。ええ、朝にです。みんなが起きる前のことです。え? 何故か……ですか?
さぁ……何故でしょう。とにかく、そんな気分だったんです。すみません。あまり深い理
由はないんです。
 公園に行きました。近くに、広い公園があるんです。時間が時間だから、誰もいません
でした。霧に包まれた公園は、どこか、神秘的で……でも何か、恐ろしげに感じました。
辺りは静まり返っていて、私一人がどこかに置いてきぼりにされたような……。
 空気はひんやりと冷たくて、私もひんやりしていました。落ち着いた感じというか、夢
の中のような……。しばらくは、公園内をぶらぶらとしていたんです。霧越しに見える淡
いピンクの桜を見たり、芝生の間から見えるつくしを見たり。鳥が一斉に飛び立つ音も聞
きました。ああ、春なんだなぁ――と思いました。それなのに朝の空気は、そんな季節を
感じさせないから、不思議ですよね。え? あ、すみません。話を先に進めます。はい。
すみません。私、要領が悪いんです。
 公園を出て、河川敷のほうまで行きました。ええはい。その間、誰ともすれ違ってはい
ません。はい。朝が早かったもので。さらさらと流れる水の音は、少し、怖かったです。
ええ。怖がりなんです。だから、あの時見たものも……ああいえ。分かってます。そこの
ところを、聞きたいんですよね。ええ。すみません。

8難民344の作品その2:2003/05/02(金) 01:51
先輩は、死体というものを見たことがありますか? え? ああ、おばあさんの……そ
うですか。私は、初めて見たんです。はい。あれが、初めてでした。今でも、よく覚えて
います。忘れようとしても忘れられないんです。何度も夢に見ます。夢の中で、その人は
むくりと起き上がって……。すごく、恐ろしいんです。まるで私を恨んでいるようで……
私、あの人に取り付かれてしまったんでしょうか? いえ。なんとなくそう思ったんです。
やっぱり殺されたりしたら、この世に未練があるでしょうから。
ええ。そうです。見つけたのは、川原に降りたところです。ああそうです。その、ベン
チが並んでいるところです。え? 誰かを見たか……ですか?
いいえ。見ませんでした。はい。不審な人は、誰もいませんでした。それは間違いあり
ません。何より私は恐ろしくて、他の事は……。
霧の中でどうして気付いたのか、ですか? 物音が、したんです。はい。ゴミ箱が、倒
れる音です。はい。警察の方にもお話しています。実際に倒れていたそうです。私……で
すか? いえ。分かりません。見ていません。動転していたんです。紐で……首が絞めら
れていて……。はい。そうです。目が、剥き出しで…………。
すみません。ええ。大丈夫です。あのときから私、少し情緒不安定なんです。すみませ
ん。ええ。大丈夫です。すみません。
小柄な人でした。ええ。ニュースでは姉と同い年で……詳しいことは知りません。ニュ
ースを見るのも恐ろしくて……。
え? お知り合い……だったんですか? 先輩の? そう……だったんですか。それで、
この話を聞きたかったんですね。え? 恋人だったんですか? そんな……すみません。
知りませんでした……ごめんなさい。先輩は、お姉ちゃんの、恋人なのに、私は何も知ら
なくて……すみません。辛い、ですよね。ああすみません。泣いたりして。先輩のほうが
……辛いのに……。

9難民344の作品その3:2003/05/02(金) 01:51
え? 紐が、見つかっていないんですか? 首を絞めていた紐が? そうなんですか。
ちっとも知りませんでした。すみません。
姉……ですか? ええ。家で、まだ寝ていましたよ。はい。間違いありません。え? あ
の、意味が、よく分かりません。何を言ってるんですか? 違います。そんなことありま
せん。姉はあの人のことは知らないと言っています。姉を、疑っているんですか? 姉が
先輩を自分のものにするために、その人を殺したと?
違います! 何でそんなことを言うんですか? 何を言っているんです。私は姉の後を
つけたりなんかしていません。公園で一斉に鳥が飛び立ったのは、そこで殺人が起こった
証拠? 姉が公園でその人を殺して、私が姉に嫌疑がかからないようにその人を川原に運
んで、証拠になりそうな紐を処分した? どこにそんな証拠があるんです! え? 動転
してるのに何故、小柄かどうか覚えているか、ですか?
もう、いいじゃないですか。やめましょう。もうイヤです。その人が帰ってくるわけで
はありません。悲しいことですが。先輩も、姉と幸せに……違います! 姉は、姉は関係
ありません! 姉はずっと家にいました。そうです。そう……私、私です。私は、先輩が
好きだったんです。だから、あの人が邪魔で……そうです。私が全てやったんです。私が
殺したんです。姉は関係ありません。姉は無関係です。姉は……

10難民358の作品その1:2003/05/02(金) 01:52
 合格通知が来ていたので、入学手続きにいくと「あんたの名前はありません」と言われた。
どうやら、あの合格通知は誰かが仕組んだドッキリカメラだったようだ。
 そう考えてみれば、不審な通知だった。外は普通の長四茶封筒だったし、中にはインクジェ
ットプリンタで出力したみたいな紙が一枚。消印はうちの町内にある郵便局のだった。でも、
初めてだったからそういうもんだと思ってた。
 くそー、だまされた。
 俺はさっそく、ドッキリを仕掛けた奴に復讐することにした。犯人の目星は付いている。
俺より先に不合格が決まっていたノブアキ、こいつに間違いない。
 早速殺しに行った。俺の将来を台無しにしたんだから、殺されても仕方がない。俺は
バイト帰りのノブアキを暗い夜道で襲撃した。
「なんだよおまえ、何する!」

11難民358の作品その2:2003/05/02(金) 01:52
 ノブアキはばれたことに驚いて抵抗したが、ノブアキ殺戮マシンを持っていた
俺の敵ではなかった。
「よくも偽者でぬか喜びさせてくれたな! 死ね!」
 ノブアキは最期まで自分の罪を認めなかった。
「助けてくれ!」と俺の足元に跪いて懇願するノブアキに止めを刺した後、俺は
考えた。ひょっとしたら本当に人違いだったのかもしれない。だとしたら、ノブア
キにはかわいそうな事をした。
 俺はハタと気付いた。
 そうだ。あいつだ。あいつが犯人だ!
 あいつとは前に付き合っていた彼女で、名前をつくしと言う。俺にふられた事を
逆恨みして、俺の人生をめちゃめちゃにするつもりで犯行に及んだに違いない。
 間違いない。
 俺は胸にみなぎる確信のもと、早速つくしを殺しに行った。つくしはちょうど新し
い男と玄関先で話し込んでいた。俺は「ノブアキ殺戮マシン」の名前を急遽「つく
し殺戮マシン」と変えて、つくしに襲い掛かった。

12難民358の作品その3:2003/05/02(金) 01:53
「あんた誰よ!」
 最初の一撃を避けてつくしが叫ぶ。
「俺を忘れたのか!」
「あんたなんか知らない」
 つくしは俺が手にしたマシンを見て顔を引きつらせた。いい気分だ。俺は新しい男ごと
つくしをめった裂きにした。つくしは泣いて許しを請ったがもちろん許さない。
「おまえが送ってきた偽者の合格通知で、俺の人生はめちゃくちゃだ!」
「知らない、知らない、知らない!」
「うるせえ! 死ね!」
 新しい男も戦いに加わり、戦闘は激しさを増したが、俺はついに二人を成敗した。
足元に転がるつくしと新しい男を見下ろし、勝利の余韻に浸った。
「悪は、滅した」
 遠くでサイレンの音がする。騒ぎを聞きつけて、誰かが通報したんだろう。さっさと帰ろう。
 あれ? 足が動かない。
 思っているよりダメージが大きいのかもしれない。そういえば腹が痛い。
 あれ?
 なんで赤いんだ?
 それに、どこだここは?
 あれ?
 あれ?
 あれあれ?
 なんだかよくわからなくなってきたぞ。
 だいたい、俺はどこを受けたんだ……?


「昨夜十一時過ぎ、会社帰りの男性を襲った能代智弘容疑者は、もみ合ったさい自分の
腹部に包丁が刺さり、今朝早く収容先の病院で亡くなりました。能代容疑者はいわゆる
司法浪人で、最近では引きこもりぎみになり、家族ともほとんど話をしていなかったと言
うことです。襲われた男性は能代容疑者と高校時代の同級生で、家も近くにありますが、
襲われる理由はまったく思いつかないと話しています」

13難民381の作品その1:2003/05/02(金) 01:53
 窓際から見える学生服の人達が羨ましい。 
 僕もあの事故がなければきっと今頃はあそこで友達と話し合っていたんだ。そう思うと何処か寂しい気持ちになってしまうのがわかった。
 入学式前日の事故。僕の人生はそこから変わっていったんだ。コンビニへ買い物に行った帰りに、信号を無視した僕はトラックに跳ねられた。
跳ねられ、蹲っていたその時は痛い、というよりも怖い気持ちが強かった。このまま死ぬのだろうか、もう一生誰とも口をきくことは出来ないのだろうか。自分でも不思議だけれどあの一瞬で
たくさんの事が頭に思い浮かんできたんだ。
 運転手がすぐに救急車を呼んでくれたおかげで一命は取り留めたけれど、代わりに僕は自由を奪われた。
足が麻痺して、歩くことができなくなったのだ。事故は自分の責任。それに、足が動かなくなった事も自分の責任だ。だから、込み上げてくる怒りは何処にもぶつけることが出来なかった。
数日たつと、その怒りさえ麻痺してきた。怒りが麻痺すれば、妬みが起こる。窓際から見える学生服を着こんだ彼らを殺したい、と思った事さえあった。
「春樹、大丈夫だよ。きっと足は動くようになる。お医者さんも言ってたでしょ? 動く確率は0%じゃないって」
 お母さんが毎日のように言うその言葉が胸に痛い。
 自分を心配してくれている事は本当に有り難いけど、どうしてもその言葉には――君の足が動くのは限りなく0%に近いんだよ、と言われているように思ってしまう。
こんな自分が大嫌いで、いつも最後はお母さんに謝ってしまう。お母さんはそれを聞くたびにきょとん、としているけどきっと僕が言いたいことはわかっていてくれている気がする。

14難民381の作品その2:2003/05/02(金) 01:54
寝室の中で一人になると僕はいつも春の陽気に誘われるように眠りにつく。夢の中の僕は二本の足で歩くことが出来るから。
夢に入ると僕はいつも一面の平野を歩いている。いつも同じ風景。緑色の草花が子犬がえさをもらう時と同じで必死に訴えかけるようにして日光を欲しがっている。
たまたま、その日の僕は平野に座り込んだ。ふと、見下げるとお尻の近くにつくしが生えている。そのつくしは口を持っていて僕に喋りかけてきた。
「君はいつもなにもしようとはしないね」
 僕はつくしが話している事よりもつくしが話した事に驚いた。
「だって、仕方ないじゃないか。なにもしようとしないんじゃない。出来ないんだもの」
 咄嗟にそう言ったのはつくしが僕を見下しているように思えたからだ。
「それは甘えだよ。足が動かなければ何も出来ないなんて本当に思っているの? 足が動かなくても必死で何かをしようとしている人はたくさんいるよ?」
「でも、僕はまだ子供なんだ。だいたい、君だってそこで土に植えられているだけじゃないか」
 僕の声は大きくなっていた。
「僕は違うよ。必死で生きているんだ。土から養分をもらって、太陽から日光を貰っている。君とは違うだろ?」
「何も違わない! 僕だって必死に生きてるし、食物だって食べてる! 何が違うのさ」
「君は、自分で何かしようと思ったことがあるかい? 自分で何かをやり遂げようとして、必死に努力したことは? ないだろう。だからそんな甘えた事が言えるんだ」
「違う!! ――何で君は僕を傷つけようとするの……」
「君を助けたいから言ってるんだ。僕は君の事が好きなんだよ。だから、諦めてほしくない。0%に近くてもいいじゃないか。それでも可能性はあるだろう? 必死に頑張ればきっと君は歩けるよ」
「神様が僕を見捨てたんだ! だから、絶対歩くことなんて出来ない!」
「神様なんていないんだよ。いるとしたらそれは幻想だ。人生は神様が決める物じゃなくて自分がどれだけ必死で努力をするかで決まるんだ」

15難民381の作品その3:2003/05/02(金) 01:54
 そこで、僕の夢は覚めた。
 おもむろに、窓の近くに置かれている棚を見れば、そこには花瓶がおいてあり中学時代の友人達から一本のつくしが送られていた。
 花瓶の横に手紙が置いてあり、その中には『春樹とはずっと友達でいたいから、今日からはいつもお見舞いにきます。だから、春樹も頑張れよ』
と、書かれてあった。
 その日から、僕はリハビリを初め、今もこうして努力を続けている。
 全ての人間には努力の終わりがなく、キリがない。だからこそ、必死で生きて栄光を勝ち取ろうとするんだ。
 僕も栄光を勝ち取る日まではきっと全てを諦めないでがんばり続けると思う。窓際から見える彼らにも生きていくことはすばらしい事なんだよ、と伝えたいな。
 

           終わり。

16難民387の作品その1:2003/05/02(金) 01:55
コメント:ラノベとは違う作法で書いてみた。

桜の木々はこの街に分散して存在しているけど
僕達の卒業式の当日であり、桜の開花予想日のど真ん中の今日は
街中が一本の桜みたいで、校門から見渡す僕の学校は
さすが地域一番の桜の名所と感嘆するしかない風景だった。
ポカンと開けている口に桜の花びらが入ってきた。

窓の外は真っ白な陽光に桜吹雪が眩しいかったけど
この美術室は、卒業式の喧騒から切り離された沈黙と
直射日光を遮断した上質な暗闇を保っていた。
僕は空のイーゼルを前に坐り、そんな美術室の油絵の具の空気を満喫していた。
残像として微かに残る入学式のピュアな気持ちを掘り起こして弄んぶ。
そして次は、初めて美術部に入った時の期待。
色褪せた不安が胸に去来すれば、入試の前日は一日中絵を描いていたことを
気恥ずかしさで身体をよじれば、修学旅行の時のハジケっぷりを思い出した。
まだまだ、このような甘酸っぱい思い出は続くけど、
この回想が、ついさっき終わった卒業式で抱いたわずかな虚無感で終わることだけは判っていた。
校舎は変わらない、季節はただ繰り返すだけ
だけど、僕は変わることに気がついて新鮮な感銘を受けた。

17難民387の作品その2:2003/05/02(金) 01:55
誰かがドアを開けて、辛気臭い美術室に進入してくる。
「私はオーストラリアへ行くわ」
この脈絡ない登場の仕方と話し方はアオイ先輩(僕と同級生なのに先輩と言われている子)だ。
「はぁ?」
「自慢の英語力を駆使して、豪州で一旗あげるってわけ」
勝利者の笑みといったものを浮かべたまま、黒板に一番近い窓を開けて、風を浴びた。
「意味がわかりませんよ……、なんつぅーか日本から、東京から逃げるんですか?」
「そこんとか勘違いするのがお子ちゃまだって言うの、こういう場合は戦略的撤退」
彼女は窓の外の春風に掻き乱される薄く染めた髪を手で押さえた。
「で、どの分野で成功するですか?」
「油彩画」
高校の美術部に僕以上に来なかった人が?
「夢って良いですね。んじゃ、ぜひがんばって成功してください」
「表現する楽しさを知ったから無敵よ。クラッカー1枚っきりで1週間で絵を描きつづけることも可能よ」
そう言って、名残惜しそうに窓を閉め
イーゼル越しの僕に見せ付けるように黒板に白線の線描をし始めた。
単純化された体育館が書かれ、そこに棒人間とでもいうような人物が書き加えられていく。
壇上に居るの宇宙人か校長だろう、その舞台袖でフランスパンを持っているのはブラバンだろう。
その光景は始業式、終業式、もしくは入学式か、卒業式だろうか、いや他にもあったかな……
「さぁ、これはなんでしょう?」
彼女は自信たっぷりにそういうと、黙考する僕を置いて、教室から走って出ていった。
また戻ってくるような気がしたので、一応、考えられる範囲で解答を出し尽くしておく。
彼女は上履きではなく、来客用の緑のスリッパを履いていた。

18イラストに騙された名無しさん:2003/05/02(金) 02:03
>>4-17
これで全部だよね。乙〜!

19イラストに騙された名無しさん:2003/05/02(金) 02:09
387は序盤が冗長だと思った。いらない描写が多いんじゃないかな。
でも先輩が登場してからは雰囲気が出て、かなりいい感じになった。
会話が切なくてほろ苦くて、清々しい泣きがあったよ。
ただ、ラストはオチてるのかオチてないのかよくわからなくて残念。
来客用のスリッパっていう小道具は、オチに持ってくるにはちょっと弱い気がするし。

20みーちゃん:1/3:2003/05/02(金) 03:04
 空には、朧に月がかかっていた。
「――え、なに、美樹ちゃん?」
 どうやらぼんやりしていたらしい。慌てて私は、握った手をぐいぐいと引っ張る従妹の美樹ちゃんに尋ねた。黄色い帽子にランドセルを背負った美樹ちゃんは、
「みーちゃん、さっきからなんども、おねえちゃん、ありがとーっていってたのー!」
と、あどけない顔を膨らませる。
「ごめん、ごめん……いえいえ、どういたしまして」
 そうなだめながら、私は思い返す。ああ、そうか、さっきまで美樹ちゃんにつきあって公園で土筆を探していたんだっけ……?
 夜道を照らす外灯がぼんやりとした輪を作っていた。猫のさかり声が遠くの屋根から響いて聞こえ、シチューの香りがどこからともなく漂ってくる。
「みーちゃん、つくしさんをあした、みんなに見せるのー! つっくしさーん、つっくしさーん、なんじゃーらほーい♪」
 美樹ちゃんはすぐ機嫌を直し、腕をぶんぶん振りながら、童謡の節を借りて元気良く歌い始める。
 なんとなく空気の生暖かい、奇妙な夜だった。そんな中、美樹ちゃんの明るい声だけがやけに大きく響く。
「みーちゃんね、きょう、がっこうで字がうまいってほめられたのー! それとね、それとね――」
 歩きながら美樹ちゃんは楽しそうに学校での出来事を話している。私は尋ねた。

21みーちゃん:2/3:2003/05/02(金) 03:05
「――美樹ちゃんは、学校へ行くの、楽しい?」
「おねえちゃんはがっこうへ行くの、たのしくないの?」
 不思議そうに問い返され、私は言葉に詰まった。実はこの頃、色々な事がありすぎて少し人間不信となり、学校へ行くのが嫌で嫌でたまらなかったのだ。それが口調に出てしまったらしい。美樹ちゃんは心配そうな顔をして見上げてくる。
「そんなことないよ。今日はちょっと疲れているけど、いつもはとても楽しいよ」
 私は慌てて微笑を作った。いくら私が嫌でも、小学校に上がったばかりの美樹ちゃんにまで不安にさせる必要はない。
「よかったー! つくし、つくし、つくしー! つくしーをたべーるとー♪」
 美樹ちゃんはにっこり笑って、また元気に歌い出した。
 その楽しそうな顔に、だんだん私の気持ちまで明るくなってくるようだった。そう言えば、私にもこんな頃があったっけ……あの頃は毎日が楽しくて仕方なかったような気がする。いつからかな、小さなことにもすぐ幻滅して、何もかもが嫌になってしまう癖がついたのは? 本当に、ほんのちょっとした、些細なすれ違いなのにね……

 気がつくと、朧月を見ていた。ぼんやりした外灯、手の中には摘んだばかりの土筆。見回しても何もかもがそのままで、ただ美樹ちゃんだけがいなかった。
「……美樹ちゃん? ……美樹ちゃんっ!?」
 迷子、事故、誘拐――様々な可能性が頭をよぎり、私は真っ青になった。周囲を探し、来た道を引き返してまた戻り、叔母の家に息を切らして走り込む。

22みーちゃん:3/3:2003/05/02(金) 03:06
「おばさん、警察に電話を! 美樹ちゃんがいなくなっちゃったんです!」
 玄関に出てきたおばさんはぼんやりと私を見つめ、怪訝そうに口を開く。
「――美樹がどうかしました?」
「だから、いなくなっちゃんです、ちょっと目を離した隙に!」
「でも、美樹は……」
 なぜ話が通じないのだろうと、じれったく靴を脱いで家に上がろうとした瞬間、不意に私は気がついた。ああ、そうか、美樹ちゃんは……
「……あ、いえ、何でもないです。すいません、突然、変なことを言い出したりして」
「いいえ――それより良かったら、夕食を食べていかない? あの子も喜ぶだろうし」
 おばさんがそっと目を伏せて勧める。私は黙って頷き、家にあがった。
 台所に行く前に六畳の和室に寄る。室内の簡素な仏壇の前には、赤いランドセルがぽつんと置かれていた。入学式の前の日、ようやく届いたランドセルを背負った美樹ちゃんは、嬉しさのあまり周りも見ずに道路へ飛び出していったのだと、おじさんは言っていた。あれからもう二週間も経ったんだな……。
――美樹ちゃんは本当に学校へ行きたかったんだね
 線香をあげ、私は無邪気な笑顔のままの美樹ちゃんの遺影に軽く手を合わせる。
――……ひょっとしたら、落ち込んでいた私を励ましに来てくれたのかな? 
 遺影の中の美樹ちゃんは無邪気な顔で微笑んでいた。
 私は手の中の土筆を、そっとランドセルの上に供えた。

23イラストに騙された名無しさん:2003/05/02(金) 03:18
一本書いてみたので、添削をお願いしますm(__)m

ちょっと……を使い過ぎたかなあと気になっているんですが、うざったいでしょうか?

24イラストに騙された名無しさん:2003/05/02(金) 07:55
とりあえず、この中で何を決めるのか知りたいんだけど。

25イラストに騙された名無しさん:2003/05/02(金) 16:44
>>323
避難板にレスがついているので簡潔に…。
不思議な雰囲気があった。これは作者の財産とおもわれ。
ただ、ラストに行くほど雑な印象を受けた。
>>344
一人の会話で話が進むが、ショート作品なのでありと思った。
しかし、話全体に絞込みの甘さのような雰囲気が漂っている。
プロット段階で練ったらいい作品になると思った。
>>358
3人も殺したと妄想しながら実際に殺したのは一人?
落ちに(ありがちだが)文句はないが、面白く読んだだけに拍子抜けした。
>>381
作者が語りたい事がストレートに伝わる作品と思った。
ただ、避難板にもレスがついていたが、花瓶とつくしのセットはないと思う。
この表現で小説のリアリティーに関して、とても損をしたと思った。
代案だが「花をたくさん生けた花瓶の横に、つくしが一本、ひっそりと置かれていた」
なんてどうだろう。
これは読者である俺の勝手な意見なので、聞き流してくれ。
>>387
好感を持った。
ただ、センテンスが長すぎる。これはラノベに限らすセンテンスは短い方が読みやすい。
言葉はきれいなのだが、気持の上を滑ってしまい、残らない感じがした。
それから冒頭の一行目に「ポカンと開けている口…」を持ってきたらどうだろう。
文章的にそのほうがインパクトがあり、直ちに状況を読者に伝えられると思うのだが…。
他の香具師の意見を聴きたい。
ラスト一行は映像がきちん浮かび、俺は好きだった。
全体をこんな風にしてくれたらよかった。(勝手な感想なので気にしないで欲しい)
>>みーちゃん
ストーリー(落ち)はありがちで損をしていると思った。
主人公がみーちゃんが死んだ事を思い出すなんて手を使わずに、
承知の上で語り合っても良かったのでは?
その分、少女の心情に文字数を割けた気がする。
コレは俺の好みなので、あくまで参考ということで…。

同じ言葉が続いて出てくるのは見苦しくなる事があるので注意した方がよさそうだ。
置き換えられるなら別の言葉にした方が無難と思う。

それぞれ個性が出ていたと思う。以上、色々スマソ。

26381:2003/05/02(金) 17:13
ぬあ、漏れの作品読んでくれてありがとうございました。
後に出てきた作品がすごくよかったんで、少し出したの後悔してた所でした(藁

271/3:2003/05/02(金) 20:27
便乗してさらしてみます。
 
 早々に大学への入学も決まり受験勉強も終わって、僕の前には膨大な時間が広がってい
る。友人たちの多くはまだ受験戦争の真っ只中にいて、僕にだけ時間があった。
 誰も遊びに誘うことができず、かといって家でだらだら過ごすのも今の僕には耐えがた
かった。理由は簡単だ。半年前、まだ十歳の弟が交通事故で死に、両親は抜け殻のように
なっているのだ。家の空気は鉛より重くなっている。あんなところで一日過ごしていたら、
きっと僕は窒息してしまう。
 無論僕だって、弟の死にショックを受けていないわけではない。しかし両親と僕とでは、
悲しみの表し方が違うようだ。僕は両親のように、そこまで悲しみに打ち沈んで、精神を
壊してしまいたくはない。弟がそんな姿を見て喜ぶとも思えない。
 でも今のこの家に長くいたら、僕もそのうち両親のようになるんじゃないかと思われた。
それは嫌だった。僕は弟の死をしっかり受け止めて、地に足をつけて生きたい。
そこで僕は、両親に旅行をしたいと申し出た。一人旅だ。高校最後の思い出にもいいだ
ろう。とにかく家を出たかった。
 両親は虚ろな表情で簡単に了承した。分かっているのか疑問だったが、それでも僕は自
分の気持ちを優先させ、旅行を決定した。
 行く先は西にしようと決め、京都は定番だから、広島辺りにまで足を伸ばしてみようと
思った。世界遺産も回ってみたい。
 出発の日、母親に挨拶しても、返事は返ってこなかった。僕は溜め息をついた。
 元より確固とした計画を立ててはいず、案の定のんびりとした旅になった。
 しかしのんびりとしたのがいけなかったのだろうか。それとも両親を家に置いてきた事
に対する後ろめたさからだろうか。流麗な姫路城を眺めても、僕の胸の内に去来するのは
弟の事ばかりだった。
 果たして僕は、弟の事を好きだったのだろうか?

282/3:2003/05/02(金) 20:28
 年の離れた弟を、僕は疎ましく思っていたかもしれない。跳ね回ったり喚くその姿を、
鬱陶しく思っていた。かといって小さな弟にそれをぶつける訳にも行かず、僕は鬱憤を
溜めていって、弟もそれを感じていたかもしれない。弟は僕を怖がっていたんじゃないか?
嫌っていたんじゃないのか?
 僕は溜め息をついた。せっかくの旅なのに、僕は弟の事ばかり考えている。
 その日のうちに広島まで来て、宮島まで足を伸ばした。当然、厳島神社に行くためだ。
 安芸の宮島は風光明媚なところだった。島全体が豊かな自然に覆われ、何か神秘的な力
が宿っているようだった。
 閉門される間際になって厳島神社に入ったのだけれど、海に浮かぶその神社は、見事と
しか言いようがなかった。海上の鳥居は傾きつつある日もあって、それは美しかった。
 それでも今の僕はそちらに緩慢な視線を投げるだけで、神社という生と死の境界を思わ
せる地に、更に弟を思い出している。
 賽銭を入れ鈴を鳴らし、目を閉じ手を合わせる。平日の夕方のここは静かで、耳を澄ま
すと平家の亡霊でも現れそうだった。
 海辺まで寄って、彼方を眺める。波音の中に、平曲が聞こえてきそうだ。あの世とこの
世の領域が曖昧になっているのかもしれない。
 このまま眺めていたら、幼い安徳帝が壇ノ浦から帰ってくるかもしれないと思った。何
も知らずに死んだ安徳帝。弟も何も知らなかった。突然死んだ。安徳帝と一緒に弟もやっ
てきて、僕を連れに来るだろうか?
「どうかしたんかいね?」
 突然の声に、僕は肩を震わせ振り返る。見ると、小柄な老人が立っていた。
「あんた、暗い顔しとるよ」
「え?」

293/3:2003/05/02(金) 20:29
「まー若いうちには色々あるけぇの。何を考えとるのか知らんが、あんた、自殺でもしよ
うとしとるように見えるよ」
 僕はぎくりとした。なぜかは分からない。もしかしたら僕は、それを旅の目的としてい
たのかもしれない。
「夕日の海は不吉に見えるけぇ、今度は日の出の時間に来てみ。いろいろ考えも変わるだ
ろうよ。たいぎぃかもしれんがな」
 老人は去っていった。僕はそのままぼうっとして、冷たい風に吹かれていた。
 その日は宮島で一泊し、翌朝は夜明け前から行動を始めた。老人の言葉が頭に残ってい
た。朝の島は霧に包まれ、厳粛とした雰囲気だった。
 走って身体を温め、神社に行く。神社は六時半から開かれ、日の出にはまだギリギリ間
に合う。入場して朝日の見える方に走ると、老人がいた。
「よく来たね」
 老人は屈託なく笑った。僕を待っていたようだった。
「ほれ」
 老人の指の先で、今まさに太陽が昇ろうとしていた。日の出と共に霧が払われ、言い表
せない美しい光景が広がり、僕の心の闇を払ってくれる。
 僕は思いもかけず、胸を打たれた。
「宮島は島自体が神様じゃけぇな。朝日もそうじゃよ。魂が洗われるじゃろう?」
「え? じゃあこの神社って、もともと平家の為に作られたんじゃないんですか?」
「違う違う。この島全体を、奉っておるんよ」
 僕の安徳帝への妄想も、払われてしまったようだった。
 僕は少し、素直な気持ちで、弟に祈りをささげた。

30イラストに騙された名無しさん:2003/05/02(金) 23:11
>>20
素直に萌えて、素直に泣けました。
うまい。いや、脱帽です。

31イラストに騙された名無しさん:2003/05/02(金) 23:22
>>27
謎の老人とか、なんかつげ義春の旅情モノみたいでいいねw
ただ、これだけの分量で”弟の死を巡る主人公の魂の遍歴”を描くのは難しい。
読んでいて、全く感情移入することができなかった。

与えられた文章量は少ない。
いきなり宮島からはじめて、情景描写の中で弟への想いなりを
主人公に吐露させた方がよかったかも。

32イラストに騙された名無しさん:2003/05/02(金) 23:26
>>27の最大の欠点は、スレの趣旨にあっていないことだな。

3327:2003/05/02(金) 23:40
レスありがとうございます。
>>30
ありがとうございます。素直にうれしいです。
おごらずもっといい作品を書きたいです。
>>31
2000字は確かに厳しかったっす……
そうですね。いきなり初めた方がいろいろ書けたかも。
>>32
え? あってません? 
「入学」「きり」「つくし」を入れればいいと思ってたんですが……
すみません。あんまりよく分かってなかったみたいです。

3427:2003/05/02(金) 23:42
>>30
って俺へのレスじゃないやん。は、はずかしい。忘れてくれー

35イラストに騙された名無しさん:2003/05/02(金) 23:51
お前楽しいな。
微笑しちまったよ

3632:2003/05/03(土) 00:33
>>27
い”つくし”ま神社かぁっ!!
そうかそうか、よくそんなの思いついたな、すっげえ!
……ハァ、素で気がつかなかったよ。正直すまんかった。

37イラストに騙された名無しさん:2003/05/03(土) 01:09
なんかしっとり系が多いけど、短いんだからもっと軽いノリのほうがよくないか?
まあ、単なる俺の嗜好だが。

38イラストに騙された名無しさん:2003/05/03(土) 01:21
 おー、感想がついたー。25さんに30さん、読んでくれてありが㌧♪

>>25
>主人公がみーちゃんが死んだ事を思い出すなんて手を使わずに、
>承知の上で語り合っても良かったのでは?
 あ、その手もあったか……指摘された通り、字数の関係で少女の方の背景は匂わす
だけになってるんで、もう少し書き込んでも良かったですね。なるほど。

>同じ言葉が続いて出てくるのは
 ラストですね(TДT) 推敲ミスですた。ちくしょー!

>>30
 ありがとー。ほめられて只今舞い上がっております(AA略
 よっしゃ、次もがんばるぞ!

39イラストに騙された名無しさん:2003/05/03(土) 01:32
>>37
>もっと軽いノリのほうがよくないか?
 あ、それは漏れもちょと気になった。しっとり系って電撃のカラーに合うのかなあ?
 まあ、ここでは関係ないんだけど、実際に投稿した場合「これ、ウチのカラーとは
違う」という感じで、はねられたりしないかな?

40イラストに騙された名無しさん:2003/05/03(土) 01:41
電撃は、泣きの入ったウェットな作品が結構多いと思う。

41イラストに騙された名無しさん:2003/05/03(土) 02:16
あり? そうなんだ。
なんとなく派手というかポップな面が印象強かったんで、
電撃はそっちのカラーなんだと思てたよ。

42イラストに騙された名無しさん:2003/05/03(土) 02:26
つうか、俺の読んでるのがキノやブギーやミカタやフルハシなだけかもw
あっけらかんとした感じの奴はあまり読んだことがない。

43イラストに騙された名無しさん:2003/05/03(土) 03:04
これから曝すヤツは、是非とも作品にかっこいいタイトルを付けてくれ。
その方が感想書くときにやりやすいと思った。

44イラストに騙された名無しさん:2003/05/03(土) 11:02
>16-17
好きな雰囲気。
ただ、前半(16の部分)は不要だと思う。
そのせいか最後が物足りない印象。

>20-22
巧い。すごくまとまっていると思う。
ぱっと見では、『……』と『――』が多すぎるかも、
と思ったが、読んでみると気にならなかった。

>27-29
前半が冗長。27の部分は無くても良かった。
好みの問題かもしれないが、主語の『僕が』『僕は』が多すぎると思う。

45イラストに騙された名無しさん:2003/05/03(土) 17:14
足が動かなくなる奴
クサイ。短編に必要な意外性にチト欠ける。

広島
前半の前ふりが長すぎる。この3分の1でも長いくらい。
3行くらいになるといいかも

と、印象を語ってみる。

46イラストに騙された名無しさん:2003/05/03(土) 23:50
 右手に茶碗、逆手にお箸。それぞれ持ちて少女は茶漬けをすする。ずずずっと。
 ちゃぶだい越しに向かって座る、オヤジが同じく茶漬けをすする。ずずじゅっと。
「おいしいか? 娘よ」
「――全然だよ、お父さん」
 言いつつ娘はごくりと飲み込む。言われて父はま、仕方ないかとため息をつく。
「具、つくしだけだしなぁ」
「味だってしょうゆしかないじゃん」
 少女の茶碗を覗いて見れば、そこには確かにつくしとご飯がほんのり赤づき茶に浸って
いる。つくしのへたが残っているあたり、素人料理も良いとこだった。
「ねー、お父さん。地面生えてるほかのものさ、食べれないかな」
「ぬう。父さんだって食べたいが、地面のアレは雑草以外のなんでもないぞ? 食べたら
腹壊すかもしれないぞ?」
「実験台はお父さんだよね?」
 言われて父は目をそらし明後日を見つめて「なはは」と笑う。
 変な部屋だった。
 なんせ、四面の壁や床や天井が、天然の土で出来ていて、扉も窓もありゃしない、完全
なまでの密室であり、されども生活用具の一式は、ガスや水道天井には光ファイバーなど
など、食べ物以外はほぼ全てそろっている。問題はその食糧で、米としょうゆとあとは地
面に生えている、つくしなどの食べれる野草ぐらいしか、二人が食べれるものは無い。
 して、この二人には記憶が無い。
 気付けば、この部屋の中で倒れていたから。
 実は二人、出会うまでの記憶がない。気付いてから二人でいろいろと、回りにあった物
を調べに調べ、自分達がここから出れないことを悟り、置いてあった漫画を読んで、たぶ
んセーラー服を着ているほうが娘であって、腹巻しているほうが父だということにして、
んで自分達は一体全体何者なんだと推理している真っ只中である。

47323一訂版1/2:2003/05/03(土) 23:52
「流したことあるの?」
「無い! 無いが痛そうだ!」
「大丈夫だよー、指の先っちょ切るだけ」
 言われて父は固まって、一瞬考え、自分の指から血を流しつつ、「血が止まらん……」
などと言いつつ体が冷たくなっていく様を考えて、ああ、大丈夫が自分、頑張るんだ自分!
などと妄想の中の自分に対してエールを送り、その中で隣に控えた娘は心配そうに、「ごめ
ん、ごめんねお父さん」などと言っており、されど指から流れる血は止まらず、妄想の中の
父は「ああ、すまんなぁ……、お前と一緒に地上に行こうと約束したのに」言いつつ幸せそ
うに「光が……みえる」言ってがくりと力無く倒れ、「お父さーーん!」と娘は涙を流して
叫び、ああお涙頂戴の名シーンなどと父は自分の妄想に浸りつつ、
 されど現実の娘はブキミに笑い、
「ね、やっぱやろ?」
 父はガキリと固まる。
「だってさ、いま床の草が春だしさ、たぶん外も春なんだよ。あたしは制服着てるしさ、
春ってニュウガクシキシーズンっていうらしくてさ。今学校行かなくていつ行くのよ!」
「だからってそんな急がなくともいいだろが!」
「だから、切ってみれば解るんだって」
 言って少女は包丁を持ち、親父の方を見、ギラリと笑う。
「……ね?」
 されど父には未知の恐怖に勝てはせず、
「――すまんっ!」
 叫んでいきなりにげだした。
「あー! こらまてーーっ!」
 狭い部屋に逃げ場所はなく、ぐるぐる二人は回りつづけている。
 天井でも、CCDの監視カメラがぐるぐると回りつづけている。
 ふいに監視カメラの音が止まる。静かに隠し扉は開いていき、されど二人は気付かない。

48323:2003/05/03(土) 23:55
ども、改訂版です。いろいろ頑張ってみました。
最後まで書き上げてみては、とのアドバイスを貰ってましたが、
とうとう意地で『2000文字』以内に収めてしまいました。
というかですね、あと3000〜4000文字、本当に続けていたところで面白くは無さそうだったので、
少しだけ代えての提出です。
オチの弱さ自体はどうしようもありませんでした……。ダメ人間であります。
よろしくお願いいたします。

49イラストに騙された名無しさん:2003/05/04(日) 00:18
近場の奴の感想を。

>難民387
 やはり前半、もう少し肩の力を抜いた方が良かったかと思います。せっかくキャラ
同士の掛け合いや雰囲気がいい感じなのに、そこに行くまでに敬遠されてしまう可能性
あり。文章自体は悪くないのに、もったいないなと感じました。
 それから漏れも25さんの「ポカンと……」を前に持ってきたら、という案に同意。
冒頭は読者との初対面に当たるので、第一印象は親切にしておいた方がよいかと(^^

>27
 話の方向性自体は好きです。文章も丁寧で好感が持てますた。
 ただやはり状況説明の長さが気になります(普通の小説なら全然問題ないのですが、
なにぶん掌編で字数が限られているので……)。31さんが述べていますが、最初に厳島を
出してその描写を交えながらの回想、みたいにした方がベターかと。まあ、単に見せ方の
問題なんですが(^^


 うーん、他の人の指摘の繰り返しですが、漏れもそう感じる、ということで。

50イラストに騙された名無しさん:2003/05/04(日) 00:47
>>48
おーい、慌てるな。真ん中が抜けてるYO!
それと46の下当たり、ちょっと消し忘れっぽいのがあるけど?

新しく書き足した部分については面白くなってる。
ただ、個人的趣味だけど、
>「ひもじいよぅ、ひもじいよぅ!」
は好きだったんで残して置いてほしかったかなw

51323一訂版真ん中:2003/05/04(日) 01:56
「ねーねーお父さん、あたしが思うにさ、あたし達たぶんロボットだよ」
「――なんだそのロボットってのは」
「人間じゃなくてさー、体が全部機械で出来てるの。生まれた瞬間大人だったりするの」
「ふむ。それならワシらの記憶が無いのも確かに説明できるな」
「でしょー? たぶんそれだよー。ねね、ホントにロボットかどうかためして見ない?」
 ちなみに二人はすでに色々試している。魔法使いとか超能力者とかエスパー伊藤とか。
その手のもんじゃないとこんなところに居るはず無いし、その手の物ならここからどうに
か脱出できるんじゃないかという娘の意見からである。誰かに閉じ込められたとかいう考
えは浮かばないらしい。お人良しなものである。
「して、どうやってわしらがロボットだと証明する?」
 言われて娘はむふふと得意げに笑顔を作り、
「カタナでひとつき!」
 父は言われて固まって、
「……なにぃ?」
「ロボットだったらきりつけたら血が出ないの! 人間だったら血がでるの!」
「――血ってのは、よく本の主人公が出してるアレか?」
 父は顔を蒼くしつつも一つ問う。
「アレだね!」
 言って少女は丸く笑う。
「もし人間だったら?」
「……ま、大丈夫でしょう」
「であってたまるかぁぁぁぁっ!」
 娘は能天気に言い放ち、父は叫んで立ちつつちゃぶ台返して鼻息荒くぜーはーする。
「貴様は何もわかってない! アレはな、流したら痛いんだぞ! 苦しいんだぞ!」

52323:2003/05/04(日) 02:00
ど、どうも恐縮です。ほんますいません。
なんか少なくなったなぁとか思ったんですが、あ、ラッキーって思って投稿しちゃいましたね。
ああああああ、すみません。更に感想ありがとうございます。
ひもじいよぅ、は残したかったんですが、あっちゃいけないかなぁなどと考えて消してしまいました。
うむむ。ダメですね。
面白くなっているとの評、ありがたいです。ホントに。

53323:2003/05/04(日) 02:18
あー、やっと解りましたよ。>実は二人〜の下りですね。
なんど読んでも解らなかったから、わかんなかったですって言おうと思ってたんですけど
解って良かった。後者が消し忘れですね。……ああ、情けなや……。

54イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/04(日) 05:16
>>53
しっかり!

55イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/04(日) 15:06
このお題って一生変わらないの?

56イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/04(日) 15:37
ここは第8回short3のスレだからな。
第9回のお題が発表になれば、また新しいスレが立つだろう。

57イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/04(日) 16:36
>>46
改稿して読みやすくなった。
しかし、オチの問題がそのまま残ってしまっている。

唐突に監視カメラが出てくるが、これについて「誰が、何のために監視しているのか?」という部分が
謎のまま残ってしまっているので、少しばかり不完全燃焼気味になる。
「落ちが腑に落ちない」と言えば分かりやすいかな?
いっそ「あたし達たぶんロボットだよ」の部分から始めてしまい、父と娘のドタバタを1000〜1500くらいに
切りつめ、残りの部分で監視している人達にスポットを当て、そちらでオチを作るのも1つの手かもしれない。

以上、ど素人の勝手な意見なので、無視してくれても別に構わない。

58イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/04(日) 20:10
>>46(密室父娘)
改訂版待ってたよ!
相変わらず会話が魅力的。時々寒いけど、面白さの瞬間最大風速なら髄一だと思う。
ただ、地の分には相当修行が必要。
たとえば、”言われて父は目をそらし明後日を見つめて「なはは」と笑う。→変な部屋だった。”
というつながりがどうも不自然だったり。
”実は二人、出会うまでの記憶がない”という部分を先に書いておいて、
その直後に部屋の描写をすれば問題なかったと思う。
それと意識してやってると思うけど、古語の珍妙な使い方、イクナイ!

最後に、オチは無理やりつける必要はなかったんじゃないかな。
二人の実りのない会話で終わって、結末をぼかすという書き方もあり。
『この二人、これからどうなるんだろう』と思わせつつ終わるのも一つの手法だと思った。

>>46の小説、俺が編集なら、「文章の上達次第で商品になるかも」って判断する。
俺はとても好きなので、そのセンスを大事にしつつ頑張ってホスィです。

59イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/04(日) 20:30
>>46
ようやくわかった。>>46の作品には「阿部公房」的匂いが漂っている。
これは勝手な思い込みかもしれないが、まねしてできるものではないので、この感覚はマジうらやましい。
他の作品もこんな感じなのか? 知りたいぞー。
>>57さんがロボットの部分から始めるといいかも…と書いているが、それではいい味の出ている部分が削れてしまう。
いや、単に自分が気に入っているだけだが、あまりに惜しいもので。スマソ

これはショートショートなのだから完全にSFにしてしまうか、
不条理小説に徹してしまうか、という事なのかもしれない。
短い文字数で表現するのだから、どっちつかずは印象を散漫にするのかも。

勝手なゴタクを並べた。すまんかった。

6058:2003/05/04(日) 21:03
>>59
おおむね同意。そして、>>57の提案には反対。
よかった、>>46を応援してるのは自分だけかと思ってたよ。
しかし、これだけ語ることが多いのも、
凄い可能性を感じさせる一方、小説としてヘタすぎるからなんだよな。
って、ちょっとそれは言いすぎかw いや、マジに応援してるし。

61323:2003/05/04(日) 21:33
感想どもですー。
>>57
あ、やっぱりオチはダメですか。
ロボット〜から始めてもいいとは思うんですけど、
茶漬けをすする親子が気に入って書いてるようなもんなので、
削りたくないっていうのが本音です。でも、一度その方向を試してみるのも良いかも、ですね。

>>58
そんな待っててくれた方がいましたか! ありがたやありがたや。(拝)
ええ、やっぱり地の文ですねぇ。どうも、大丈夫かなって思うラインが変ですね。
もうちょっと感覚を一般的にしないといけませんね……。修行足らずですや。
んで、やっぱり突っ込まれますね。古語。いやぁ、難民に「面白いわけではないが、読めた」
なんてレスがあったんで、「読めたんならいっか〜」とか思っちゃいまして。
細かく言ったら、ズとかシテとかサレドとかになるんでしょうが、単純に私が気に入った言葉で使ってました。
なるたけ使用量減らしていったほうがいいんでしょうねぇ……。ありがとうです。
更にオチですが、ああ、その手がありましたね。そっちは確かに上手くやれたら楽しそうですね。
……う、上手くやる自信がない……。が、頑張ります。

>>59
……えーと、そんな恐れおおい。
安部公房って人がどういう人かは忘れましたが、
それでもなんか有名な人だってことは解ります。
……や、やっぱり怖いですね……。そういう風に言われると。
ロボットの下りから始めることですが、とりあえず続きの500字程度を書いてみたいとは思います。
いや、自分も序盤が惜しいと思ってるだけです、ハイ(汗。

むぅ。不条理小説に徹してしまうか、SFかと聞かれたら、SFを選んでしまいそうですが……、
難しいですね……。

あ、ついでに。私の別の作品はって聞かれたら、ここに晒した「オンエア」がそうです。
他のは今の雰囲気とだいぶ違うんであんまり晒したくないですね……。がたがたぶるぶる。

本当に、皆さんありがとうございます!

62323:2003/05/04(日) 21:37
……、省略されてるし、書き込む前にレスをチェックしてなかったし。
重箱菌に侵されてますかね。ぬぅ。
>>60
ぬぅ。やっぱりヘタレですか。ええ、言い過ぎなことは無いと思いますよ。
ダメだと思ったらやっぱだめなんですから。くぅ。
応援、ありがとうございます。気合入れて来ます。

6358:2003/05/04(日) 22:03
>>61
オンエアの作者って聞いた瞬間、俺は応援するのをやめたw
見守るような温かいまなざしが、ギラギラしたライバルを見るまなざしに変わったわけで。

64323:2003/05/04(日) 22:09
ぬぅ。もうちょっと軽く行きましょうよ……ってのはエゴですかねw
まぁ、地の文が入ってきたらあの通りですから、まだまだ遠いにゃ遠いんですけどねぇ。
切磋琢磨でいきませう!

65イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/04(日) 22:15
>>61
57です。言葉足らずだったので補足させてもらいます。

57で私が言いたかったのは、お茶漬けを食べながら「ロボットじゃないの?」という会話をすれば
もう少し短くなるんじゃないかな? ってことです。
お茶漬けのエピソードは確かに面白いとは思いますし、私もけっこう気に入ってます(笑)
が、ストーリー進行上という見方をすると、実は無くても問題ないシーンだと思うんです。
2000字(原稿用紙5枚)という少ない枚数で、ストーリー上不要なシーンを入れるというのは
もったいのではないか、というのが貧乏性な私の考えです。
この2つのシーンを1つにまとめられれば「面白くてストーリー上必要なシーン」になるし、
枚数が減った分は気のきいたオチなり別のドタバタなりを書けば、もっと楽しめそうな予感がしました。

という訳で、私が言いたかったのは「削る」ではなく「1つにまとめる」です。
言葉足らずで満足に批評もできないヘタレでゴメンナサイ。

余談ですが、ここに投稿された作品の中では323さんの作品が一番気に入ってます。

66323:2003/05/05(月) 14:33
感想ありがとうございます。
確かに、要らないシーン、ですよねぇ……。
足して二で割ることが出来れば、そりゃ当然それがベストです。
難しそうですケド。頑張ってみます。
満足に批評も出来ないって言われてますが、んなこたありません。
足りないところをずばりと批評して下さったんですから、
もう十分な批評であります。太鼓判おさせてもらいます。

ご期待に添えるよう、頑張りますね。ありがとうございました。

67白昼幻想1/3:2003/05/05(月) 17:35
 長年連れ添い、自分によく尽くしてくれた妻が死に、私は一人で暮らすようになった。
 一人で暮らすとは言っても、娘がしょっちゅうやってきて、色々と世話を焼いてくれたから、生活には何の問題もなかった。やってきた娘は、最近物忘れのひどい私を心配し、たびたび一緒に暮らすことを提案したが、断っていた。娘婿の存在が気になったからだ。別に彼を嫌っているわけではなかったが、この年になって、他人と暮らす気にはなれなかった。
 しかし妻の死は、予想以上に重く私にのしかかってきた。一人には慣れたが、ぼんやりすることが多くなったようだった。何やらやる気が起きず、いつでも体中を倦怠感が包んでいた。
 そんな中ある時、昼間、縁側で独りぼんやりしていると、妻の幻影を見た。
 妻の幻影はお茶を淹れ、笑い、自分の肩を叩いてくれた。孫が中学に入学するなどということも話してくれた。嬉しかった。私も妻を隣に寛ぎ、かつてのように会話を交わした。
 それからしばしば、妻の幻影は私の前に現れた。
 幸せだった。幻影でも何でも、今でも妻は、傍にいてくれる。今までと何も変わっていないように感じた。
 そんな、白昼夢のような、えらく現実感のある幻想の中、私は生きていた。
 しかし妻の幻影は、夜にはほとんど現れなかった。
 夜になると、私は一人だった。
 寝床で独りじっとしていると、耳の奥でキーンと音が鳴っているのが聞こえてきた。僅かでも動けば布団のざわめきが部屋中に響き、静寂は強調された。天井は高く、真っ暗だった。目を閉じれば闇は更に深まった。周囲に気配はなかった。
 ふいに、切なくなった。
 妻が本当は死んでいることを思い出したからだ。そして妻が自分の中でどれだけ大きな存在だったかを、改めて知った。寂しいと思った。夜に押し潰されてしまいそうだった。

68白昼幻想2/3:2003/05/05(月) 17:35
 それを振り切ろうと悶々とするうち、深い眠りに落ちて行った。
 翌日起きると、もう日は高く昇っていた。珍しく寝過ごしたようだ。昨夜、妙な考えに捕らわれてしまったせいだろう。
 寝覚めにお茶を淹れようと台所に行くと、流しに誰かが立っていた。目を細めて見ると、それは妻だった。私はほっとした。
「……おはよう」
 妻は振り返ると、昔と同じに柔らかく微笑んだ。
「遅かったのね。ちょっと待ってて頂戴。お茶を淹れるから」
 しばらく、妻の背中を見詰めていた。間違いなく妻だった。よかった。妻はまだ、私の傍にいてくれる。
 テーブルの前に湯呑みが置かれ、それを手に取る。妻は流しに戻り料理を再開し、私はそれを静かに眺めつつ、お茶に口をつけた。
 唐突に、違和感を覚えた。
 おかしい。妻ならこんな温度にお茶を淹れるはずがない。これでは熱すぎる。妻はいつでも、最適な温度でお茶を淹れてくれた。
 訝しく思い湯飲みを覗き込み、眉を顰めて妻の背中に目を向けた。
「な……」
 愕然とした。奈落の底に叩き落されたようだった。
 そこに立っていたのは、娘だった。
「どうしたの、お父さん」
 振り返った娘に、私は答えることができなかった。何なんだこれは。娘を妻と見間違えるほどに、妻は私にとって大きな存在で、そこまで自分は、独りを寂しく思っていたのだろうか――いや違う。そうじゃない。そういうことではない。今、初めて実感した。
 自分は、ぼけているんじゃないのか?

69白昼幻想3/3:2003/05/05(月) 17:36
 恐ろしい考えだった。戦慄すべきことだった。もしかして、今までの幻影もそうだったのだろうか? 私は娘と妻の区別もつかなくなるほど、耄碌してしまっていたのだろうか? だから娘は、しきりに自分と暮らさないかと誘ったのだろうか?
 自分の手を見た。にわかに震えている。だがすぐに決断しなくてはいけないことを、私は知っていた。そうしなければ自分は忘れてしまうかもしれない。分からなくなってしまうかもしれない。だから今すぐ、問い質さなければならない。
「なぁ」
「ん?」
「……俺は……ぼけてるのか?」
 娘の身体は、瞬間硬直した。それで十分だった。私は自分を、老人ホームに入れてほしいと切り出した。それが最良だろう。娘に迷惑をかけたくはない。
 それからの私の行動は早く、友人のツテで老人ホーム入りを強引に決めてしまった。娘は話し合うことを望んだが、それは無意味だろう。それもすぐに、私は忘れてしまうだろうから。
 老人ホームには、もう完全に呆けてしまった人物や、幼児化してしまった者もいた。自分はよかったと思う。自らの意思でここに来られたのだから。
 今は、この老人ホームで暮らし、時々は娘や孫も来てくれる。それは時として妻の姿をしていたが、ここにいるのなら、それもまた楽しかった。
 周囲には、私と同じ枯れた老人が溢れ、皆まるで赤ん坊のようだった。ここには暖かい静寂があり、穏やかな死がすぐ傍に横たわっている。この狭いベッドで、妻や娘や孫が見守る中、緩慢に死んでいけたら、幸せだと思う。

70イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/05(月) 17:36
うはあ。軽いのって要望があったのに、またしっとりしてすみません。
しかもじーさん主人公だし。ライトノベルじゃないっぽいし。
どうも二千字って縛りが自分にこうさせてるような……
しかも微妙に気に入らんし。323=15氏の作品とかみてると、なんか鬱になってくる。
逝ってきます……
あ、ちなみに「つくし」は冒頭、「きり」は三つ目にあります。タイトルてきとー。

71つくし誰の子1/3:2003/05/05(月) 21:19
「つくし誰の子、スギナの子」
 母ちゃんは変な節で歌いながら、土手のつくしをぷちぷち摘んでいく。
 母ちゃんはこの貧乏くさい草を甘辛く煮たのが大好きで、毎年春になると僕を連れて
川っぺたの土手へ摘みに来る。
「つくしってスギナの子供なんだよ、知ってたかい?」
 ちなみにスギナというのは、つくしが終わる頃に入れ替わりで生えてくる緑色のツンツン
した草だ。スギナの勢いがよくなってくると、つくしはいつの間にか枯れてなくなってしまう。
 母ちゃんは毎年この「つくしスギナ親子説」を唱える。同じ根っ子から生えてつくしが先
だから「スギナの子」。でも別につくしが育ってそのままスギナになる訳じゃない。つくしは
枯れるまでつくしのままだし、スギナも最初からスギナの形で生えてくる。だから本当は
姿の違う兄弟という方が近いんだけど、僕はそれは突っ込まないことにしている。
「今度からつくしを摘みに来るのも一人だねえ」
 僕は唇を噛んで黙々とつくしを摘んだ。
 母ちゃんは明日から一人になる。僕が都会の全寮制の学校へ入学するからだ。そこは
一度入学したら、卒業するまで帰って来られない。
「もう一回一緒に摘めたらいいねえ」
 鼻の奥がツンとした。鼻の奥から逆流して鼻水になった涙を、僕は母ちゃんに聞こえない
ようにそっとすすった。
 もう一回なんて―――二度と来ない。

72つくし誰の子2/3:2003/05/05(月) 21:19
 この時代、僕らの体は五十年もたない。
 昔の人が無茶やったせいで、僕らは今かなりむごいことになっている。
 どんな無茶かというと、何に使うつもりだったのかしこたま溜め込んだシャレにならない
ウィルスや菌を、うっかり世界中にこぼしたらしい。そのせいで僕らはみんな、生まれた時
からある病気にかかっている。
「生まれ落ちたその瞬間から寿命がものすごい勢いで減っていく病気」だ。個人差はある
けど、人類がその病気に冒されてからというもの、寿命は五十歳が定説になっている。
それも、都会の病院で定期的に適切な治療を受ければという話で、医療技術の行き届か
ない地方に住む人々の寿命は、都会の人の二割引きというところだ。
 僕の村はここを地方と呼ばなきゃどこを呼ぶというくらいのド田舎で、母ちゃんは来年
四十歳になる。

 母ちゃんもいっしょに都会にくればいいのに―――とは言えなかった。田舎から都会へ
移住するにはものすごくお金がかかるのだ。村の人は一生村の人、世界はそういうこと
になっている。
 ただ、みんな一回だけ都会の人になれるチャンスがある。十二歳のときに役所で受ける
知能指数検査だ。この検査でものすごくいい結果が出たら、政府が無条件でその子を
都会の学校へ進学させてくれる。中学から大学までエスカレーター式の全寮制の学校で、
そこを卒業した人の多くは「病気」を撲滅するための研究者になる。
 僕は一生に一度しか買えない宝くじを当てた訳だ。でも。
「僕、行きたくないよ」
 もう何度も捏ねた駄々をまた蒸し返す。僕は母ちゃんが一緒じゃないなら宝くじなんか
ほしくなかった。

73つくし誰の子3/3:2003/05/05(月) 21:19
「つくしは尽くし。知ってるかい?」
 母ちゃんはそう言いながら、土の上に字を書いた。
「つくしはね、スギナを増やす胞子を撒くために生えてくるんだよ。そして、スギナが生えて
くる頃にはもう枯れてなくなってしまう。一族が増えるために尽くして尽くして、役目を
終えたら消えてしまう」
 母ちゃんが何を言おうとしてるのか分かったけど、僕は分かることが嫌だった。分からない
くらい僕がバカだったら母ちゃんとずっと一緒にここにいられたのに。
「母ちゃんはお前を増やしたからもういいんだ。お前が学校へ行って、病気をなくす研究を
したら、もっともっと増える。いつかみんなが長生きして幸せに暮らせるようになる。母ちゃん
鼻が高いよ、みんなのためにたくさん尽くす子を産みましたって神様に言えるからね」

 そしてやっぱり、母ちゃんとつくしを摘んだのはそれが最後だった。
 僕が学校へ行って二年目の春、やっぱりつくしの出る時期に、母ちゃんが死んだという
電報が村から届いた。卒業するまで帰れない鉄の掟は、身内が死んでもやっぱり鉄で、
僕は寮でこっそり泣いた。見えない錐に胸を突かれたようだった。その傷は目に見えない
くせに息が詰まるほど鋭く痛んだ。
 いつの間にかその痛みをやり過ごす方法を覚え、その事にまた傷つき―――
 もうすぐ、母ちゃんと最後につくしを摘んでから、十回目の春が来る。
 卒業式が終わったら、その足で村に帰ろう。村の人が立ててくれた母ちゃんの墓を初めて
参ろう。そして自慢してやるんだ―――
 あなたの息子はよくやっていますよ。あなたの葬儀にも帰らずに学問を修めて、この春から
は病気退治の研究者です。あなたが神様の前で大いばりできるように、みんなのために
がむしゃらに尽くしていますよ。
 墓参りには、菊の代わりにつくしをしこたま摘んで供えてやろう。母ちゃんはきっと向こうで
好きな味に煮るだろう。

74イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/05(月) 21:40
自分でやってみると激しく難しいね、2000字+三題。
小説書くってよりパズルを解く感じだ。ショート書いたことないので
よけい難しかった。
お目汚し失礼しました。

75人類の英雄 1/3:2003/05/05(月) 23:27
 ロボットを守って死んだ科学者。
 その言葉にはいくらかの軽蔑が込められているが、俺はじいさんの事が好きだったし、
尊敬していた。もちろんその気持ちは今でも変わらない。
 だからこそ、命をかけてじいさんが守ったというロボットを引き取ることに決めた。
 しかし、である。
 目の前に立たせたロボットを見ていると、どうもじいさんへの尊敬が薄れてくるのだ。
 じいさんは希代の天才だった。それは実感できる。実物は圧倒的だ。このロボット、
一見するとどうしたって小学校に入学したての女の子にしか――そう、問題はそこだ。
 じいさんがロリコンだったか? その点はまず置いておこう。
 生前のじいさんの口癖はこうだ。
『ロボットは特定の人間や国家のために存在するものではない。もっと大きなもののた
めに存在するものである。だからこそ、ロボットに特別な感情を持ってはならない』
 この言葉通りなら、目の前のロボットはじいさんの命よりも優先されるべき何かがあ
ったはずだ。そうでなければおかしい。
「……だけどなぁ」
 ため息まじりにつぶやいた時、ピピピ、という起動音に合わせてロボットの瞳がぱち
りと開いた。
「おはようございますっ! マスター!」
 まるで邪気の無い笑みを向けてくる。
 じいさんはこのロボットと一緒に階段から落ち、そして死んだ。その程度の衝撃では
壊れるはずのないロボットの頭部を、まるで宝物を守るかのように抱きしめて倒れてい
たらしい。

76人類の英雄 2/3:2003/05/05(月) 23:28
 じいさんにとってこのロボットは孫娘のようなものだったんじゃないだろうか。
 そんな考えが頭をよぎる。
「……じいさん、情が移ったか?」
 思わず苦笑する俺の顔をロボットが覗き込んでくる。
「あのっ、最優先事項とすべきものをお申し付けくださいっ!」
「最優先事項?」
「はいっ、一番大きな目的を命じて頂ければ、後は自分の判断で動くようになってます
から」
 改めてじいさんの能力に驚かされる。完全自律型の思考データを入れるには、少なく
ともあと二十年はかかると言われている。もう実現させていたのか。
 ひょっとしたら、まだこれは試作機なのかもしれない。
「じいさんは――いや、前のマスターは何を最優先事項にしてた?」
 ロボットは軽く目を細め、まるで昔の事を懐かしむような表情で、
「『この星の希望』です」
と答えた。
 ――この星の希望。
 じいさんらしいな、と思って嬉しくなる。じゃあそれで頼むよ、と言うとロボットは、
「はいっ! この星の希望のために一生懸命つくしますっ!」
と満面の笑みと共にぴょんと飛び跳ねた。そういうプログラミングなんだろうか。じい
さんはやっぱりロリコンなのかもしれない。
「それではとりあえず――」
 ロボットはゆっくりと後ずさりをし、ドアの前でぴたりと足を止めた。顔はこちらを
向けたままで、何かを警戒しているように見える。
 そして、にこり。
 どこか冷たい笑みだ、と感じたのは、気のせいでは無かったらしい。

77人類の英雄 3/3:2003/05/05(月) 23:30
「百万人ほど、人間を殺してきますね」
 はっきりと、ロボットはそう言った。幼い表情のまま紡がれた言葉は冗談のようでも
あり、だからこそ逆に恐ろしく思える。
「――な、何をバカな事を!」
「あれ? 前のマスターと同じ事をおっしゃるんですね。でも、止めようとしたところ
でこれだけ距離があれば無理です。前みたいに後頭部の停止スイッチを押すなんて不可
能です」
 絶望的だ。じいさんの作ったロボットがどれだけの力を持っているか。
 そんなの分かりきっている。きっと、確実に目的を果たすだろう。
 足に力が入らず、その場に座り込んでしまった俺に、ロボットは最後の一言をかける。
「人類にとってもそのほうがいいんです。よかったですね、あなたは人類の英雄ですよ」
 
 それきりロボットは帰ってこない。
 ニュースは怖くて見ていない。ここの水と食料が尽きて、どれくらいになるだろうか。
 力の入らなくなった四肢をだらしなく地面に放り出す。
 意識が朦朧とする。このまま眠ってしまえば、二度と起きることは無いかもしれない。
 ――あの時のじいさんこそが、人類の英雄だったんだ。
 薄れていく意識の中で、ちらりとそう思った。

78イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/05(月) 23:33
『入学』が1の8行目
『つくし』が2の18行目
『きり』が3の13行目です。
1700字いってないので少ないっぽいです。
『人類の英雄』作者でした。

79イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/06(火) 00:08
>>67白昼幻想
キレイにまとまってる作品だと思いました。
文章の点で突っ込むところはほとんど無く、読みやすかったです。
問題は、老人がボケに気付いて老人ホームへ行く、というオチの弱さですね。
SSとしてはこういう路線もあるでしょうが、どうなんでしょうかね。
SSが面白いといわれる場合、構成において秀でてるものがあるとき、
それは三種類に分けられるんじゃないかって思うんですよ。
オチのギャップとテーマ自体のショック性、そして話のキレイさです。
このお話の場合、テーマ自体のショック性が秀でるべきものに値するのではないでしょうか。
そうするとですねもう二三段階上ぐらいの、ショックが欲しい。
具体的には、そうですね、じいさんがボケていることを認めたがらず、
最後の最後に認めるまでの苦悩を二転三転させて描くとか。……別物ですかね。

読後感自体がさっぱりしているのも、やっぱりなにか問題じゃないかなと思います。
鬱展開には鬱展開の終わり方を、と思ってしまうんですよね、私は。
……あ、これは個人的な趣味ですね。すみません。

以上、なんか語ってしまった上に素人批評ですが、お耳汚しの無いことと願います。

80イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/06(火) 00:26
>>つくし誰の子
比較的、おもしろいとは思いました。
さっぱりとした文体の中で、展開は悲しく進んで、最後に胸をはって終わる。
未来に希望をもてる感じです。
ただ、設定に矛盾が多すぎます。
ウィルスや菌がばら撒かれてって書いてありますが、
んな自体になって寿命が五十までになるだけだったら、
現代生物兵器が泣きますよ。ホントに。
先天的障害がたくさん出たりとか、色々あるんじゃないかって突っ込みたくなります。
……いや、たまたまそうなったてのもアリかも知れませんが、私はここは納得行きません。
更に、12歳の時に受ける知能指数検査でたまたま〜みたいに説明されていますが、
その手の試験がたまたまである試しは無いんです。努力して受ける別のガキも居る筈なんです。
本当に宝くじのようなものなら、試験の名前を別モノにして欲しかった。ちょっち引っかかります。
ついでに、母親がわたしはもう増やしたから良いんだよ……なんてこと言っておりますが、
人類は、ワンカップルに二人は生まなきゃ減ってきます。減らしてますよお母さん!

話の展開は一本道といった感じですが、キレイに進んでます。
頑張って下さい。もうちょっと面白くなれると思います。

81イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/06(火) 02:42
>>75
ワラタ。
細かい感想は後で書くけど、完成度高いね。
楽しませてもらいました♪

82イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/06(火) 17:09
-つくし誰の子-
切ない話ではないか! しかも起承転結が明確な作品と思う。 
泣きのツボを作者は良く心得ているとみえる。
「鉄の掟は、身内が死んでもやっぱり鉄で…」というフレーズがいい。
少年の気持とその社会を一気に表現している。うまい。
一方で、人物描写がないので「かあちゃん」の顔(姿)が思い浮かばないのが残念。
例えば「細い背中」とか「面長の顔」等、一言でも入れるべきと思うのだが…。
それは少年と母親がつくしを摘む場所も同じ、どんな場所か簡単に書いて欲しかった。
色々書いたが、この話は素直に泣けた。

>>80さんが「12の時に受ける知能検査…」というくだりに疑問を持っているようだが、
ここは主人公の主観による説明なので俺は違和感を覚えなかった。
一生に一度のチャンスを得たのに、主人公はありがたく思っていないと解釈したのだが。
「僕、行きたくないよ」とも書かれているし。作者の意図は違うのかな……。
生物化学兵器のことは>>80さんの指摘に沿って調べた方がいいと思う。

しかし、次々に作品が発表される。感想は遅れて書いてもいいんだよな?

83イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/06(火) 21:01
>>80さん>>82さん、ご批評どうもありがとう。

>一生に一度のチャンスを得たのに、主人公はありがたく思っていないと解釈したのだが。
これは、>>82さんのように解釈してもらえると作者としてはうれしい。
しかし、>>80さんのようにそう解釈してもらえない人も作ってしまったという時点で私の負け。
でも「試験」と「検査」は違うと思うんだけど。検査はいい点取ろうとして受けるんじゃなくて、
元々の資質を何らかの方法で一方的に測定されるもんだと思ってる。
でもまあ、受験社会のようなものを想像させてしまった時点で私が力不足なんですが。

病気のくだりは、少年の不正確な主観による語りでざくっと説明することで、読者に
「ああ過去にこんな状況になるような何かがあったんだな」という想像を委ねる
つもりだったんですが、単なる描写不足に終わってしまいましたなー。
母ちゃん減らしてるやろ、という突っ込みは、確かにその通りなんですが
「後に繋げた」という感じでね。
個人的に、100あることを100きっちり伝えるより、語りきらずに隙間を作る方が
好きなんですが、字数が少ないと描写の取捨選択がシビアになるので、今回頂いた
突っ込みは私が取捨選択するべき部分を読み間違えたということです。
大変勉強になりました。ありがとうございました。

8480:2003/05/06(火) 22:40
いえ、違うんです。
寝て起きてゆっくりと考えて、どう考えても自分の考え方は
いちゃもん以外の何でも無いと気付きました。
勝手なこといって本当にすいません。
穿った見方をして、最初の生物兵器の所で突っかかり、
まだまだ出てくるんじゃないかなぁとか思いつつよんだらそう思えただけです。
こういうところは単なる細かい揚げ足取りにしか過ぎないのですから、
私みたいな存在に気にとられる必要はありません。
十分面白い作品です。間違い無いです。本当に、すいません……。

8567:2003/05/06(火) 23:05
>>79感想ありがとうございます。
実はこれを書く際、鬱展開で終わらせることも考えていました。
そっちの結末では、主人公は自分がボケに気付いた事すら忘れてしまい、
悩む事すらせずに再び幻影を見るようになる、という話なんですが、
タイトルからしたらこっちのほうが妥当ですね。鬱で終わらせるのは漏れも嫌いではないです。
ただ自分としては、この展開をさっぱりと書きたかったわけで、読後さっぱり感は狙いです。
本当なら、そのさっぱり感の中に、主人公は全然救われてないという悲壮感のような余韻を残したかったんですが、
それを出すためにはSSは短すぎ、何より力量不足のために無理だったようです。
こう考えると、最大の失敗は、SSにこのテーマを選んだことにあるような気がします。
やはり一発どんでん返しが、SSでは最も効果的でしょうから。
SSの作法に慣れてなく、その点はまったく失念しており、かなり勉強になりました。
おそらく、短編、中篇、長編に見合ったテーマもあるのでしょう。
その点をあまり深く考えたことがなかったので、批評は大変有益でした。
ありがとうございます。

あ、あと、漏れは一人よがりの文になってないかいつもびくびくしてるので、
読みやすかったという感想はメチャメチャ嬉しいです。

86つくし誰の子の作者:2003/05/06(火) 23:46
>>84
おーいおーい、批評する側にそんなにへりくだられたらおいら悪い奴みたいだお。
次に何か書くときは80さんみたいな穿った見方する人にも納得してもらえる
ようなものを書くぞということがパワーになるんだからさ。
いつか勝ちにくるから、そのときも忌憚ないご意見期待してます。

87イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/08(木) 04:14
>白昼幻想
重々しいけど、結構さくっと読めたし味わいがあったよ。
「布団のざわめきが部屋中に響き」など、不適切な表現が目立つのが残念。
老人の一人称の割には若さが漲っているのも気になる。
あと、オチが”痴呆”というのは普通すぎて期待を裏切られた。
さっぱりな終わり方は、個人的に気持ちよく読めたのでよかったです。

>つくし誰の子
感動しますた。でも、牧歌的な物語かと思いきや
いきなりSF的なガジェットが登場したのにはびっくりしてしまった。
こういう形で読者を裏切るのはよくない。近未来の物語を描きたいなら、
冒頭の情景描写からそのことを匂わせておいた方がいいと思ったよ。
あと、自分も”主人公が学校行きを嫌がっている”という風には読めなかった。
この文脈だと、お母さんと別れるのが嫌で駄々をこねているようにも読み取れる。
学校行き自体は、長生きできるんだから当然喜んでるんじゃないかと。
以上、色々文句を言ったけれど、全体的には素晴らしかったです。

8867:2003/05/08(木) 19:56
>>87
感想どうもありがとう。
えーと、「布団のざわめき」は、わざとそういう表現にしました。
不適切なのは了解してましたが、書いた時にはそのほうがいい感じだと思ったんです。
でも後からみて、更にそれだけ取り出されると、やっぱり変ですね。反省してます。
老人なのに若くなってしまうのは、漏れが若いのと、実力が全然足りてないからでしょう。
努力します。落ちは……確かにいたって普通ですね。
やっぱりSSでは、もっと意外性を狙ったほうがいいですね。
やはり批評されると、いろいろ勉強になるものです。多謝。

89イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/08(木) 22:01
>>人類の英雄
感想遅れてスマソ。
ラスト直前、物語の暗転の仕方が印象深く、こりゃうまいと思ったよ。
ただ、結末に至るカタストロフの描写が薄すぎて、尻切れトンボな印象を受けた。
ここまであっさり書く必要はあったのだろうか。
主人公がえげつない死に方するとか、ガツンとくる描写が欲しいところ。
ラストが成功すれば、かなりいい感じになると思いますた。

90イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/16(金) 02:31
正直スレ違いかもしれんが、ほかにいい場所を知らない&今廃れてるから利用させてくれ。
第7回のに送ったやつなんだが、いまだになんで落ちたのかわからん。
どこがまずかったのか、言ってくれると嬉しい。



 里美がマンションの三階にある家に着くと、ドアの前に花束が置いてあった。見事な赤いバラだった。
 ――?
 心当たりがない。
 ……疲れのせいで幻覚を見ているんだろうか。
 たしか今日は、鞄を落として困っていたお爺さんを手伝って一緒に探しまわって、その後は駅で体調を崩した女の人の介抱をした。
 損な性格ね、とか人によく言われる。知らない人によくそんなに関われるね、とも。
 でも、人が困っているのを見ると、どうしても助けてしまうのだ。そうしないと、逆に心が疲れてしまいそうな気がして……
 そんなことだから、疲れのせいで幻覚を見ているのかと、里美は思ったのだ。
 しかし、それならこの甘い香りは――?
 手を伸ばしてみる。
 掴んでみる。
 確かな茎の感触。
 ……。
 少し考えてから、里美はおもむろに花束を小脇に抱えた。
 そして、ドアに鍵を差し込もうとする。
「それ、持って入るんですか?」
 不意に、廊下の奥から声がした。奥は照明が切れかかっていて、暗い陰になっている。
 陰から現れたのは茶髪の少年だった。黒目がちの大きな瞳で、こちらを見ている。
「え、ええ」
 戸惑いながら、里美は答えた。
 ――誰だろう、この人……?
 里美はじっと彼のことを観察する。

91イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/16(金) 02:32
 柔らかそうな撥ねっ毛に、不健康そうな白い肌。出てきてからずっと微笑みを浮かべている。幼ない印象を受ける中性的な顔だち。
 着ているジャケットは、濃い茶……一瞬、それが血の色に見えて、里美は慌てて頭を振った。よく見ればチョコレート色じゃないか。
「誰が置いていったのか、わからないんですよ。気持ち悪いでしょう?」
 少年は、里美の視線を気にしている様子はない。
「……ううん。でも、これを置いてった人が悪い人だとしても、お花に罪はないでしょう? こんなに一生懸命咲いてるのに、捨てるなんて……」
「この花束が、誰かが怨念をこめたものだったとしても?」
 少年は微笑みを崩すことなく、続ける。
「お花だって、好きで怨念とか、こめられたわけじゃないわ。だから元々の気持ちだって――綺麗に咲きたいって願う気持ちだって、残ってると思うの。だったら、私はその気持ちを信じたい」
「……強いんですね」
 少年は息を漏らすと、笑みを深くした。煙のような息がその笑みを覆う。
 ――何が強いんだろ?
 里美は首を傾げ……そこで、肝心なことを聞き忘れていたことに気づいた。
「あなた……誰? ずっとあそこにいたの?」
「ただの通行人ですよ。お気遣いなく」
 そう言って、少年は里美の脇を通り、階段の方へ行こうとした。
「寒かったでしょ。ウチで温かいものでも飲んでく? すぐ用意するから」
「――いいんですか?」
 初めて、少年の顔が笑みから外れた。口をぽかんと開けている。
「だって、あなた見るからに寒そうなんだもの。顔色悪いし――」
「そうじゃなくて、こんな見ず知らずの男を家に上げていいんですか? 羊に化けた狼かもしれませんよ、僕は。それからこの顔色は地です」
 再び、少年の顔に笑みが戻る。
 里美もつられて、笑った。
「自分からそんなこと言う人は、何もしないわよ。ふふ」

92イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/16(金) 02:33
 そして、持ったままだった鍵を、鍵穴へ差し込む。
 と――
「わかりました」
 背中の空気が、がらっと変わった。悪寒のようなものを感じ、里美は振り返る。
 そこには、相も変わらず笑顔の少年がいた。しかし、その纏っている雰囲気に、さっきまであった柔らかさのかけらも――
「あなたの強さは、僕らの妨げになる」
 突然、花束が震え――次の瞬間、里美は花に顔を掴まれた。
「ひっ――」
 里美は引きつった声を漏らす。
 花束はもう、バラの花束ではなかった。同じ赤の花束ではあったが、それは血まみれの、無数の掌たちだった。
 顔から必死で引きはがそうとする。しかし花たちは、蠢きあって里美の顔面にくまなく取りつき、強い力で引っ張り続ける。血でぬめっているはずなのに、しっかりとした力で引っ張られる。
 そして里美は見てしまった。
 花たちが自分を引き込もうとしている空間――包み紙の奥。そこが深い暗黒になっているのを。
 底のない、永遠に落ち続けるかのような深淵が広がっているのを。
「やっ、や――」
 とうとう、里美の足が地面から浮いた。必死で足をばたつかせ抵抗する。
 暗闇の淵に手をかけようとして、紙が破れる。破れても破れても闇はなくならない。
 そこからは一息だった。
「――――!」
 悲鳴とともに、里美の体は闇に取り込まれた。

 地面に転がる包み紙を拾い上げると、少年はそれを細かく破りはじめた。
 そしてそれを乗せた手を、手すりの向こうへ伸ばす。
 風に舞い上げられたそれは、散り散りになって街の夜景に混じっていった。
「……あなたのような、相手のことを素直に信じられる強さを持った人は、僕らにとって邪魔なんです。人は疑いの心を持つからこそ恐れを持ち、恐れの心が『未知なる闇』の領域を保たせる…………」
 空気に掻き消えてしまいそうな声でそう呟いた少年は、再び廊下の奥へ向かい――闇に溶けていった。

93イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/16(金) 15:52
 最初に断っておくけど、あくまで「一人の名無し」の意見なんで。
気に入らなかったり、納得できなければ、スルーOKだし、そうした方が良い。

 ぶっちゃけて言うと、あなた文章力はあると思うよ。
せめて二・三作程度は読んでから言いたいけど、少なくともこれ読んだ限りは
十二分に合格できる(short3にエントリー可)なレベルの文章力だよ。

 んで、題材の方なんだけどね、やりたい事や言いたい事は分かる。
この手のストーリーやキャラ観・世界観を気に入る奴は、アナタ以外にだって
絶対にいると思う。
でも、ウケるネタではないと言うか、良い意味での読後感が沸いてこない感じ。
(別に、人に優しい女性が理不尽な目にあったからとか、そんな事が理由じゃない)

 それと、個人的に表現に引っかかってしまう部分がいくつかあった。
これは「おかしい」と言うよりは、「俺ならこう書く」ってだけだから。

>……疲れのせいで幻覚を見ているんだろうか。
から、
>しかし、それならこの甘い香りは――?
って部分。主人公が優しい人間だと説明を兼ねているのは分かるんだけど、
目の前に有るのに、幻覚と言うと少し不自然。俺なら、
>まさか、こんなところに捨てられてるのだろうか。
>生憎と、里美にバラを届けてくれるような男性は、知り合いに居ない。
>彼女は友人の間では心優しい女性として知られている。
>実際に今日だって、鞄を落として(中略)介抱だってした。
>でも、その彼女の優しさを知る男は一人もいなかった。

それと、あげ足取りに近いけど、里美の前に男が現れた時に、
「これ、ひょっとして貴方の?」
とか訊く台詞を入れたほうが自然に感じるかも。
(2000字の縛りの中では難しいだろうけど)

それと、
>「ただの通行人ですよ。お気遣いなく」
この前にある里美の台詞は何かを気遣った言葉ではないので、「お気遣いなく」は
おかしい。近い台詞を使いたいなら、
>「ただの通行人ですよ。ご心配なく」
とか、少しニュアンスは変わるけど、
>「ただの通行人ですよ。怪しい者ではありません」
かな。(これでも不自然な気がするが)

最後に、里美が少年を部屋に招きいれる時の台詞が、これもまた不自然。
>「寒かったでしょ。ウチで温かいものでも飲んでく? すぐ用意するから」
別に気にするほどじゃないけど、俺なら
>「ねぇ、あんなところに居たんじゃ寒かったでしょ。
>ちょっとウチで温かいものでも飲んでいかない? すぐに用意できるから」
だと、自然に招き入れている感じが出せるんじゃないかと思う。

 最後にもう一回言っておくけど、これ全部あくまで俺の意見なんで。
さらに言わせて貰うと、エントリーじゃないが電撃short3の受賞作品って、
時々納得できないものがあるから、自信作が落ちたくらいで考え込まない方が良いよ。
 流し読みなんで読み間違えがあるかもしれないし、レスに誤字があるかもしれないけど、
あったら鼻で笑い飛ばして、レスごと忘れてくれ。

94イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/16(金) 18:57
一読しましたが、文章もこなれているし、構成も悪くないし……
もし落ちた理由を探すとしたら、後はテーマや感覚的なもんじゃないかな?
以下、漏れの私感なんで、あまり当てにはならないけど。

まず、この話が万人に受けいけられるかと言うと、厳しいかと思う。
話を煎じ詰めると「善人だから損をする」という構造だし、全体を通じ、里美に好感を
持たせる書き方をしているから、それをひっくり返されるのは基本的に後味が悪いやね。

で、これを受け入れさせるには、後味の悪さを消す、あるいは逆に昇華させてしまって
それ自体を味にしてしまう、のどちらかの処理が必要になってくるんだけど、その点が
弱かったように感じますた。

まあ、筆力はあると思うんで、これに懲りず別の作品で挑戦してみたらどうでしょう?
後、この系統で攻めるなら似たような感じの作品を研究してみて、この辺をどう、
処理しているのか調べてみるのもいいかも

(余談だけど、漏れはこの話からふと悪魔の花嫁@少女漫画を連想しました。年がバレる(^^;)

9590:2003/05/17(土) 00:28
お、ふたりも読んでくれた人が。どうもサンクス。

>>……疲れのせいで幻覚を見ているんだろうか。
>から、
>>しかし、それならこの甘い香りは――?
>って部分。

これは、疲れている→なぜ→里美の性格の説明→男を家に入れる性格的伏線
というつながりの上で狙って書いたことなんで……
まあ、花の心当たりに関する描写としてみたら93氏のほうが何枚か上手だね。修行あるのみ。

それからセリフについて指摘をもらったが、ほとんど字数との兼ね合いでああいう感じになっていると思っていいよ。
もともと、セリフが弱点だって人から言われやすいところではあるんだけどね……


>少なくともこれ読んだ限りは
>十二分に合格できる(short3にエントリー可)なレベルの文章力だよ。

確かにエントリーはされたことがあるよ。二回ほど。
ほかのエントリー作品で文章力が弱いものをみるにつけ、じゃあ漏れはそれを武器にしようと認識してるのが現状。というかアイデアやサプライズに自信がないのね。
それまで作品に自信がないなかでエントリーされてたから、自分に力があるのかよくわからなかったんだけど、これは初めて自信満々で出せたもんなのよ。
それで落ちたから、こんなところに持ち出したんだけど。



>で、これを受け入れさせるには、後味の悪さを消す、あるいは逆に昇華させてしまって
>それ自体を味にしてしまう、のどちらかの処理が必要になってくるんだけど、その点が
>弱かったように感じますた。

実はこれ、ホラーを狙ってたのね。
それがただ後味の悪いものにしかなってなかったってことは、「昇華」ができてなかったんだろう。
言われてみれば、漏れはろくにホラー系は読んだことが無いし。研究不足か。

解決策としてぱっと思いつくのは、
・里美を善人でなくす
・展開に救いを持たせる
ぐらいかなぁ。まあこの話自体はもう闇に葬るものだから、今後に生かせればいいか。

9693:2003/05/17(土) 08:38
スレの流れと関係なくて悪いけど、short3の第9回の投稿開始っていつから?
第8回が終わったのに、まだ始まらないし。

97イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/17(土) 13:17
グラチャン&電撃学園終了後と思われ。

9893:2003/05/17(土) 21:32
なるほど、そうなのか。
ありがと。

993人目:2003/05/18(日) 04:38
「後味が悪い」というより93の「読後感がない」がふさわしいと思う。
「どっかのだれかが殺されたって」と言われたら
「ふうん」としか言いようがない。それと同じ。

100イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/18(日) 15:12
100ゲトー!
初の100レスオーバーはこのスレかぁ。

101真夜中の幽霊:1/3:2003/05/25(日) 02:12
学校の怪談1:「夜の教室には、いじめを苦に自殺した生徒の霊が座っている」

 月明かりだけが差し込む、本来なら誰もいないはずの教室。だが、後ろの戸から足音を殺して教室に忍び込んだ俊介は、窓際の席に座る「誰か」を見た。
 ガタンッ!
 静寂の中、足に引っかけてしまったゴミ箱の倒れる音がひときわ甲高く響き渡る。詰襟姿の影は、音に反応したかのようにゆらりと頭を動かし、ゆっくりと俊介の方へと振りかえろうとして――
 俊介は、無言のままアストラル社レーザー銃L485を構えた。照準を設定、引き金を引く。ジリジリと空気の焼ける音と共に、一条の光が人影の脇をかすめ、黒板で破裂して焦げ臭い煙をあげる。
「何者だ! 名前と所属クラス、担任とそいつのニックネームを三秒以内に言え! いくぞ、1――2――!」
「……え? あ、あの、ちょっと……」
「――3!」
 再び光線が人影の近くをかすめる。固まったままの人影に俊介は足早に近づき銃口を押しつける。
「こんな時間に教室に潜んでいた理由を正直に答えろ。おまえも奴らの仲間か?」
「ひっ! う、撃たないで! ぼ、僕は幽霊ですぅ!」
「ふざけるな。いいか、正直に答えるならば――」
「嘘じゃないです! その証拠にほら」
 幽霊はすっと手を伸ばし、銃身に触れた。銃身の筒がその手を素通りする。俊介は眉をひそめたが、とりあえず銃を下ろした。
「そう言えば、このクラスには幽霊話があったな。それか?」
 こくこくと幽霊が肯く。俊介は、足早に教室の後ろの生徒用ロッカーに向かいながら、
「ふむ。で、幽霊のおまえがこんな夜中に学校にいた訳は?」
「いや、なんでって言われても……幽霊ってそんなもんですし……」
「黙秘か、まあいい……よし、まだ没収されてなかった!」

102真夜中の幽霊:2/3:2003/05/25(日) 02:14
 ロッカーから段ボール箱を引き出し、俊介は手早く中身の検分を始めた。その肩越しに、幽霊がおそるおそる覗き込む。
「なんですか、これ?」
「見ての通りだ。こっちがプラ爆、こいつはGM万能ナイフ……ビンゴ、携帯食料だ!」
「あ、あのー、状況がよく呑み込めないんですが……?」
「なに!?」
「すすす、すいません! も、もし良ければ、そんな物騒なもので何をしようというのか、教えてもらえたら嬉しいかなーって、ただそれだけなんです、ごめんなさい」
「つまりだ、昨日、ウチのクラスがBCVに感染していたのが発覚して、全員、強制処置が取られたのは今朝のeNewsで知っているよな?」
「い、いえ。朝はダメなんです、日光に弱いもんで」
「不健康な奴だな――で、BCV感染者の処置ってのは、結局のところ殺すってことだ。だから俺は看守から銃を奪って逃げ、学校に身を守る物を置いていたのを思い出したんで、それを確かめに――」
 その時、窓からさっとまばゆい探査光が差し込まれ、教室中を明るく照らし出した。とっさに身を伏せた俊介が舌を鳴らす。
「ちっ、嗅ぎつけられたか! おい、幽霊、おまえ、行って偵察してこい!」
「えっ、僕がですか? い、嫌です! 相手もレーザー銃をもっているんでしょ?」
「がたがたぬかすな! おまえは幽霊だ、銃なぞ関係なかろう!」
「そ、そんなこと言ったって、怖いものは怖いんです。それに、だって――」
「うるさい! とっとと行け!」
「は、はいぃっ……」
 幽霊の姿がすっと消える。俊介は窓際に伏せたまま、息を殺し、気配を探る。
 照明は一度当てられたきりで、学校は再び暗闇に包まれた。三分――五分――押し殺したような静寂の中、俊介は汗ばんだ手を拭き、銃を握り直す。
 不意に俊介はあることに気がつき舌打ちした。あの野郎、逃げたな……
 刹那。
 コツッという小さな、だが紛れもない足音。俊介はとっさに銃を戸口に向ける。
 その時――

103真夜中の幽霊:3/3:2003/05/25(日) 02:14
 閃光が交差し、破壊音が響き、窓ガラスが割れ……一連の騒動の間、幽霊は木陰に身を震わせて隠れていた。やがて、校舎に静寂が戻り、昇降口から戦闘服の集団が音もなく出てくる。撤収する彼らの後ろ姿を見送りながら、幽霊はそろそろと隠れ家から出ようとして――
「おいっ!」
 ぎくっ、と背中が硬直した。おそるおそる振り返る。そこには頭を半分吹き飛ばされた俊介の姿が浮かんでいた。
「で、出たぁ! ひ、ひいぃ、許して、これには訳が――」
「逃げた件については後でじっくり話すぜ。とりあえず、おまえは今すぐあの連中の後をつけてこい」
「は? あの、それは?」
「決まってるだろ、復讐戦だ。こんな目に合わされたからにはきっちり片をつけてやらないとな」
「は、はあ」
「しっかり探ってこい。それから、今度は逃げようったって無駄だぜ。俺も幽霊になったんだ、どこに行こうが必ず見つけだしておまえの枕元に……」
「わ、わかりましたぁ――それで、僕はいつまでつきあえばいいんですか?」
 涙目になって尋ねる幽霊に、俊介は無慈悲な笑みで応えた。
「もちろん俺が成仏するまでだ」

104101:2003/05/25(日) 02:17
 怪談をネタに何本か書いてみて、そのうち評判の良さそうなのを投稿しようかと
思っているんですが、完成しているのはまだこれだけ……(^^;
 できあがったら他のものも晒してみたいので、どうかよろすくお願いします。

105イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:21
キャラが非常に良い感じ。
ただ科学と幽霊を関係さす意味が良く分からないかなー。
まあ、それぐらいしか言うことない、いいよ。

106イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:21
晒してたURLと違うのね・・・・。
しかも下げだからいつ晒すのかと思ってたw

107イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:22
確かに言うことないよなー、上手だし。
後はこのテンションが継続できるかだな。

108イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:22
このノリが続いて、ストーリーが良ければ言うことないね。

109イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:23
なぜこっちに晒す?

110イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:25
何となくフルメタ書いている人の小説が思い浮かんだ。
文体とか似てません?

111イラストで騙す予定の名無しさん:2003/05/25(日) 02:27
ストーリーがよければほんと言う事なし。
ただこれが本当の意味での最終関門(((((( ;゚Д゚)))))ガクガクブルブル

112101:2003/05/25(日) 02:28
>106,109
 あ……ミスった……
 マジボケですヽ(`Д´)ノ ハズカシイヨオ!!!!

113101:2003/05/25(日) 02:41
 感想thx! スレ間違えてあたふたしていますが、読んでくれてありがとーです。

>105,107,108
 ありがとー(・∀・)
 勢いがあるかがすごく気になっていたんで、安心しました。
 (推敲しているうちに初めが勢いを削がれていないかと心配だったでつ)
 科学との関係は「幽霊に銃突きつける」というネタのためです。
 突っ込まれたら、漏れも答えられませんw

>110
 うぃっす、漏れも頭の中で「宗介だなー」と思ってますた。

>>111
 ですね……ストーリーかぁぁぁ……

114513-514改:2004/09/12(日) 20:28
 脇腹が痒い。
 眠い。うるさい。
 頭がイマイチ回っていない。
 最後のを改善するため、俺はタオルケットを蹴り退け、ヘタり気味のクラッチを繋ぐよ
うに思考を開始した。
 この世には望んで手に入るものとそうでないものがあって、容姿を始め身体的な特徴は
後者にカテゴライズされる。当然以前の問題として、たまにしか意識されないけどな。
 人はその中で妥協なり努力なりをして何者かになるんだが、欲を言えば俺はもっとマイ
ルドな外見が欲しかった。
 う〜ん。嫌な思い出が走馬灯のように駆け巡る。
 要求する外見のマイルドさを具体的に言うなら、道路にはみ出し、横一列になって歩い
ている女子高生の集団をちらっと見ただけで『ひっ』とか言われない程度だ。いや違う。
俺は断じて睨んだりしていない。危ないな、と少し思っただけだ。それで『ひっ』はない
だろう? 俺はそこまで目つきが悪いのか? まあいいや、忘れよう。うん。
 その点、目の前にいるこの娘、逆島アヤノは、自分の容姿に対して俺と逆方向の不満を
抱いているのだそうだ。俺から言わせてもらえば贅沢な悩みで、俺もアヤノに『贅沢な悩
みだ』と言われた事があったりするが。
 別に俺もアヤノも自慢で言ってはいない。一九〇以上の背丈がある奴に訊いて回れば、
十人目ぐらいで『別に背が高くたって良い事ない』と苦々しく言う奴が見つかるはずだ。
 そのアヤノの外見だが、なんと言うか、ガムシロップをリッター単位で使ったような、
実に甘ったるいパーツを、気合いの入った表情でまとめた感じか。髪はショートだし、眉
は平素から逆ハの字だ。形自体は良いと思うんだがな。まあ、あれだ。何を隠そうこいつ
は、現代格闘研究会なんていう部活でマネージャーやってるからな。性格も話し方も体育
会系だ。身につけてるものぐらいは周りの影響で洒落てたりするが。
 そのオシャレアイテムであるところのヘアクリップが、俺の視線の先で揺れている。ア
ヤノはなにやら俺の服を拾い集めているようだ。
「なにやってんだよ?」
 俺が訊くと、アヤノが振り返った。動作に恐ろしくメリハリがあるため、制服のスカー
トが振り回されているように見える。そのままスタスタとこちらに歩いて来て、座りなが
ら答えた。
「散らかってるのが気になったんです」
 律儀な奴だ。座り方も正座だしな。
 しかし、こう言ってはなんだが、アヤノには背筋の伸びた正座が似合わない。

115513-514改:2004/09/12(日) 20:31
 さっき言った通り、アヤノはアイドル歌手とフランス人形を足したような外見をしてい
る。と俺は思う。それが華道でも極めていそうな正座をするのだ。似合うはずがない。
 ついでだから周囲の評価も言っとくと、俺の相方で、現代格闘研究会の部員であるとこ
ろの真山隆司は、『んー? ガキっぽいのでパス』と言っていた。が、この年増好きの抜
かす事は無視して良い。次にウチのクラスが密かに誇る、(要するに誇ってないって事
だ)《お笑い高校生ウルトラクイズ》制覇のオタク四天王は『激萌え! あれで気弱なと
ころも見せてくれたら萌え死ぬ。一度で良いからあの眉をハの字にしてみたい! むしろ
今からレッツセクハラ!?』とコメントしていた。ああ、大丈夫だ。ちゃんと殴っておい
た。『萌え』と言うのがイマイチ良く分からないが、クラスの女の子がネコの写真を見て
『きゃーカワイイ。萌え萌え〜』と言っていたあれと同じなのだろうか? ならつまり可
愛いという評価だ。他には、…………居ないな。
 知り合い、と言うか、暫定的中立勢力や敵は多いのだが、友人と言える奴は少ない事に
気付いた。寝起きなのに鬱が入る話だ。くそ。
 あー、アレだ。俺が寝起きな理由は、ここが俺のマンションだからだ。現にケツの下に
はベッド代わりにしたソファーがあるし、俺の格好はダークグレーのスウェットだ。
 このマンションはワーカホリックな両親が俺に置いて行ったもので、あの二人は一度も
足を踏み入れた事がない。部屋は──広いな。少なくとも、高校生の一人暮らしには分不
相応だ。
 まあ、あれだ。あの両親は子供を千尋の谷底に丁寧に置き去るタイプだからな。例えば
俺は、小さい頃から書籍類に不自由した事はないが、何かを教えてもらった覚えが一切な
い。料理だって十歳になった日に道具と本を渡されて、『がんばれ』って凄え良い笑顔で
言われたからな。いや、まともに作れるようになるまでが地獄だった。
 閑話休題だ。昔のことを思い出してると眠くなる。
 ええと、アヤノが何故ここに居るのかに関してはだな、
「先輩先輩ぃ〜。聞いてますか? 寝ぼけてませんか? 聞いて下さいってばぁ〜!」
 いや、普段は語尾に『ッス』とかつけるし、一人称は『自分』、口癖は『イチイチ腕立
てッス!』だからな。騙されるなよ? ああ、イチイチ腕立てってのは一分間に百回の腕
立てをやる事だ。『グラウンド十周』と同じようなものだな。
 アヤノの声で意識レベルが上がった。俺はいつの間にやらアヤノの手元を凝視していた
ようだ。服を畳む滑らかな手つきが、普段の印象とかけ離れていたためか、少し見とれて
いたようだ。
 そのぼーっとした頭で、俺はそれでもやるべき事を思い出し、アヤノに返事をした。
「あー、聞いてる聞いてる。分かったから続けろ」
 返事をしたのに、アヤノの不機嫌顔は戻っていない。『あー』の時にあくびをしたの
と、スウェットの裾から手を突っ込んで脇腹を掻いたのが良くなかったらしい。
「先輩最近冷たいッス……」
 ん、口調が戻ってるな。俺のリアクションが余程気に入らなかったのか。
 まあいい、それよりも、俺にだって言い分はある。
「たりめーだ。何が悲しくて朝っぱらから『リュージ先輩がどうした』だの『リュージ先
輩がああ言った』だの聞かなきゃならんのだ。お前は俺をホモにでもする気か?」

116513-514改:2004/09/12(日) 20:33
「だって先輩以外に相談できる人居ないんスよ〜」
「作れ」
「無理ッス〜!」
「お得意の気合いだ」
「気合い入れても無理ッス! 自分の友達、みんなリュージ先輩のファンなんスから」
 まあ、アヤノの発言のあとに解説するまでもないと思うが、隆司はいわゆるモテ男だ。
そしてアヤノは隆司に惚れている。でもって俺は、部室でアヤノが隆司のスポーツウェア
を胸に抱いているのを発見し、うわヤバっていうかナニやってんのコイツ、ストーカー? 
とか固まっている間に目が合い、──以来相談役となっている。
 超面倒臭え。
 視界が狭まっている。眠気はもうあまりないのだが…………ああなんだ、半眼になってる
のか。
 その翳った視界の中で、アヤノは居心地悪そうにもぞもぞとし始めた。こいつは動いて
ないと落ち着かない種類の人間だからな。まあ、『ちゃんと座ってる』って目的があれ
ば、長時間座ってる事もできるみたいだが。つまりは、手持ち無沙汰なのがダメなんだろ
う。
 俺がそんな事を考えていると、アヤノはおもむろに立ち上がり、勝手知ったるといった
感じでキッチンに向かった。
「先輩。コーヒー飲んで良いッスか? 先輩の分も淹れるッスよ?」
 カウンター越しにアヤノの上半身が見える。あ、ここリビングなんだよ。昨日借りたゲ
ームやってて力尽きてな。
「ブラックはダメだ」
「分かってるッスよ。これでも敏腕マネージャーッス」
「敏腕が余分」
「はいッス。む〜」
 取りあえず返事してから不機嫌な声を出すあたりが筋金入りな感じだ。
「つーかさ、こういうのは隆司にやってやれよ」
「コ、コーヒー……ッスか?」
「いや、朝勝手に部屋に入ってきて、叩き起こすところから」
「勝手にって、カギに自分の指紋も入ってるじゃないッスか」
 ウチのカギは指紋照合だからな。親しい奴のは入れてある。んでいつぞや、『これって
どう登録するんスか?』とか聞いてきたので教えてやったら、勝手に登録しやがった。ま
あこのへんは、登録抹消しない俺も俺かも知れないが。
「おめーはカギが開くならどこでも入るのか? それ以前に俺のプライバシーを考えろ。
オナニーでもしてたらどうするつもりだ」

117513-514改:2004/09/12(日) 20:34
 どうやらコーヒーは本格的に淹れるらしく、アヤノはドリッパーやらろ紙やらが入って
いる棚を探っていたが、俺の言葉で、見えていたケツがぴたりと動きを止めた。
 そして、なにやら押さえた声で、
「先輩、それセクハラ気味ッス」
「その発言は彼氏でもない野郎の部屋に上がり込んでる時点で不許可だ」
「はいッス。…………むぅ〜」
 もちろん思うところがあるのだろう。アヤノは口を噤んだ。
 それを見て、まったくその通りだと、俺は自分の言葉に相槌を打った。
 本当に、何を考えているんだろうな。高校生の、五分に一回はエロい事考えてるような
年代の男が、あまつさえ一人暮らしをしている部屋に上がり込むなど、エロ女かバカ女の
やる事だ。アヤノはどちらでもないと思うのだが、と言う事は、…………俺って安全牌に見
えんのか?
 いっぺん襲ってやれば認識を改めるだろうか。
 いかん。考えるとそういう気分になってくる。ただでさえ朝だし。
 ああもうウゼえ。超絶面倒臭え。
 頭をバリバリと掻くと、湿った髪のまま寝てしまったため、結構パンク調な寝癖になっ
ているのが分かる。
 ため息をついた俺の耳に、コーヒー用の薬缶がコポコポと鳴るのが聞こえてきた。
 暫くそれをBGMに外を見ていたら、視界に白い湯気が掛かった。それを辿ると、マグカ
ップに突き当たる。そして手が見え、しなやかで筋肉質な腕が見え、童顔と言ってもクレ
ームは出ないであろう、整った顔が見えた。
「はい、先輩の分ッス。カフェイン抜きでミルクとプロテイン入りッス」
 エラい晴れがましい笑顔だ。っていうか、
「プロテイ──なんて事をしやがる。……まあいいや。ご苦労であった、褒めてつかわす」
「うわ、めちゃめちゃ偉そうッスね……」
 カップを受け取って口を付けたが、まだかなり熱い。どうやらカップを予熱していたよ
うだ。そつのない事だな。
 苛ついていた頭がコーヒーの良い香りで解され、その隙間から思考がこぼれた。
 ──アヤノは俺の好みのタイプじゃない。
 コーヒーを一口啜り、プロテインが無ければうまいだろうと告げると、アヤノは100ル
クスは出ていそうな笑顔を浮かべた。
 ──好みのタイプじゃない、はずだ。


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