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第8回電撃short3

75人類の英雄 1/3:2003/05/05(月) 23:27
 ロボットを守って死んだ科学者。
 その言葉にはいくらかの軽蔑が込められているが、俺はじいさんの事が好きだったし、
尊敬していた。もちろんその気持ちは今でも変わらない。
 だからこそ、命をかけてじいさんが守ったというロボットを引き取ることに決めた。
 しかし、である。
 目の前に立たせたロボットを見ていると、どうもじいさんへの尊敬が薄れてくるのだ。
 じいさんは希代の天才だった。それは実感できる。実物は圧倒的だ。このロボット、
一見するとどうしたって小学校に入学したての女の子にしか――そう、問題はそこだ。
 じいさんがロリコンだったか? その点はまず置いておこう。
 生前のじいさんの口癖はこうだ。
『ロボットは特定の人間や国家のために存在するものではない。もっと大きなもののた
めに存在するものである。だからこそ、ロボットに特別な感情を持ってはならない』
 この言葉通りなら、目の前のロボットはじいさんの命よりも優先されるべき何かがあ
ったはずだ。そうでなければおかしい。
「……だけどなぁ」
 ため息まじりにつぶやいた時、ピピピ、という起動音に合わせてロボットの瞳がぱち
りと開いた。
「おはようございますっ! マスター!」
 まるで邪気の無い笑みを向けてくる。
 じいさんはこのロボットと一緒に階段から落ち、そして死んだ。その程度の衝撃では
壊れるはずのないロボットの頭部を、まるで宝物を守るかのように抱きしめて倒れてい
たらしい。


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