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第8回電撃short3

101真夜中の幽霊:1/3:2003/05/25(日) 02:12
学校の怪談1:「夜の教室には、いじめを苦に自殺した生徒の霊が座っている」

 月明かりだけが差し込む、本来なら誰もいないはずの教室。だが、後ろの戸から足音を殺して教室に忍び込んだ俊介は、窓際の席に座る「誰か」を見た。
 ガタンッ!
 静寂の中、足に引っかけてしまったゴミ箱の倒れる音がひときわ甲高く響き渡る。詰襟姿の影は、音に反応したかのようにゆらりと頭を動かし、ゆっくりと俊介の方へと振りかえろうとして――
 俊介は、無言のままアストラル社レーザー銃L485を構えた。照準を設定、引き金を引く。ジリジリと空気の焼ける音と共に、一条の光が人影の脇をかすめ、黒板で破裂して焦げ臭い煙をあげる。
「何者だ! 名前と所属クラス、担任とそいつのニックネームを三秒以内に言え! いくぞ、1――2――!」
「……え? あ、あの、ちょっと……」
「――3!」
 再び光線が人影の近くをかすめる。固まったままの人影に俊介は足早に近づき銃口を押しつける。
「こんな時間に教室に潜んでいた理由を正直に答えろ。おまえも奴らの仲間か?」
「ひっ! う、撃たないで! ぼ、僕は幽霊ですぅ!」
「ふざけるな。いいか、正直に答えるならば――」
「嘘じゃないです! その証拠にほら」
 幽霊はすっと手を伸ばし、銃身に触れた。銃身の筒がその手を素通りする。俊介は眉をひそめたが、とりあえず銃を下ろした。
「そう言えば、このクラスには幽霊話があったな。それか?」
 こくこくと幽霊が肯く。俊介は、足早に教室の後ろの生徒用ロッカーに向かいながら、
「ふむ。で、幽霊のおまえがこんな夜中に学校にいた訳は?」
「いや、なんでって言われても……幽霊ってそんなもんですし……」
「黙秘か、まあいい……よし、まだ没収されてなかった!」


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