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第8回電撃short3

13難民381の作品その1:2003/05/02(金) 01:53
 窓際から見える学生服の人達が羨ましい。 
 僕もあの事故がなければきっと今頃はあそこで友達と話し合っていたんだ。そう思うと何処か寂しい気持ちになってしまうのがわかった。
 入学式前日の事故。僕の人生はそこから変わっていったんだ。コンビニへ買い物に行った帰りに、信号を無視した僕はトラックに跳ねられた。
跳ねられ、蹲っていたその時は痛い、というよりも怖い気持ちが強かった。このまま死ぬのだろうか、もう一生誰とも口をきくことは出来ないのだろうか。自分でも不思議だけれどあの一瞬で
たくさんの事が頭に思い浮かんできたんだ。
 運転手がすぐに救急車を呼んでくれたおかげで一命は取り留めたけれど、代わりに僕は自由を奪われた。
足が麻痺して、歩くことができなくなったのだ。事故は自分の責任。それに、足が動かなくなった事も自分の責任だ。だから、込み上げてくる怒りは何処にもぶつけることが出来なかった。
数日たつと、その怒りさえ麻痺してきた。怒りが麻痺すれば、妬みが起こる。窓際から見える学生服を着こんだ彼らを殺したい、と思った事さえあった。
「春樹、大丈夫だよ。きっと足は動くようになる。お医者さんも言ってたでしょ? 動く確率は0%じゃないって」
 お母さんが毎日のように言うその言葉が胸に痛い。
 自分を心配してくれている事は本当に有り難いけど、どうしてもその言葉には――君の足が動くのは限りなく0%に近いんだよ、と言われているように思ってしまう。
こんな自分が大嫌いで、いつも最後はお母さんに謝ってしまう。お母さんはそれを聞くたびにきょとん、としているけどきっと僕が言いたいことはわかっていてくれている気がする。


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