したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

第8回電撃short3

117513-514改:2004/09/12(日) 20:34
 どうやらコーヒーは本格的に淹れるらしく、アヤノはドリッパーやらろ紙やらが入って
いる棚を探っていたが、俺の言葉で、見えていたケツがぴたりと動きを止めた。
 そして、なにやら押さえた声で、
「先輩、それセクハラ気味ッス」
「その発言は彼氏でもない野郎の部屋に上がり込んでる時点で不許可だ」
「はいッス。…………むぅ〜」
 もちろん思うところがあるのだろう。アヤノは口を噤んだ。
 それを見て、まったくその通りだと、俺は自分の言葉に相槌を打った。
 本当に、何を考えているんだろうな。高校生の、五分に一回はエロい事考えてるような
年代の男が、あまつさえ一人暮らしをしている部屋に上がり込むなど、エロ女かバカ女の
やる事だ。アヤノはどちらでもないと思うのだが、と言う事は、…………俺って安全牌に見
えんのか?
 いっぺん襲ってやれば認識を改めるだろうか。
 いかん。考えるとそういう気分になってくる。ただでさえ朝だし。
 ああもうウゼえ。超絶面倒臭え。
 頭をバリバリと掻くと、湿った髪のまま寝てしまったため、結構パンク調な寝癖になっ
ているのが分かる。
 ため息をついた俺の耳に、コーヒー用の薬缶がコポコポと鳴るのが聞こえてきた。
 暫くそれをBGMに外を見ていたら、視界に白い湯気が掛かった。それを辿ると、マグカ
ップに突き当たる。そして手が見え、しなやかで筋肉質な腕が見え、童顔と言ってもクレ
ームは出ないであろう、整った顔が見えた。
「はい、先輩の分ッス。カフェイン抜きでミルクとプロテイン入りッス」
 エラい晴れがましい笑顔だ。っていうか、
「プロテイ──なんて事をしやがる。……まあいいや。ご苦労であった、褒めてつかわす」
「うわ、めちゃめちゃ偉そうッスね……」
 カップを受け取って口を付けたが、まだかなり熱い。どうやらカップを予熱していたよ
うだ。そつのない事だな。
 苛ついていた頭がコーヒーの良い香りで解され、その隙間から思考がこぼれた。
 ──アヤノは俺の好みのタイプじゃない。
 コーヒーを一口啜り、プロテインが無ければうまいだろうと告げると、アヤノは100ル
クスは出ていそうな笑顔を浮かべた。
 ──好みのタイプじゃない、はずだ。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板