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第8回電撃short3

76人類の英雄 2/3:2003/05/05(月) 23:28
 じいさんにとってこのロボットは孫娘のようなものだったんじゃないだろうか。
 そんな考えが頭をよぎる。
「……じいさん、情が移ったか?」
 思わず苦笑する俺の顔をロボットが覗き込んでくる。
「あのっ、最優先事項とすべきものをお申し付けくださいっ!」
「最優先事項?」
「はいっ、一番大きな目的を命じて頂ければ、後は自分の判断で動くようになってます
から」
 改めてじいさんの能力に驚かされる。完全自律型の思考データを入れるには、少なく
ともあと二十年はかかると言われている。もう実現させていたのか。
 ひょっとしたら、まだこれは試作機なのかもしれない。
「じいさんは――いや、前のマスターは何を最優先事項にしてた?」
 ロボットは軽く目を細め、まるで昔の事を懐かしむような表情で、
「『この星の希望』です」
と答えた。
 ――この星の希望。
 じいさんらしいな、と思って嬉しくなる。じゃあそれで頼むよ、と言うとロボットは、
「はいっ! この星の希望のために一生懸命つくしますっ!」
と満面の笑みと共にぴょんと飛び跳ねた。そういうプログラミングなんだろうか。じい
さんはやっぱりロリコンなのかもしれない。
「それではとりあえず――」
 ロボットはゆっくりと後ずさりをし、ドアの前でぴたりと足を止めた。顔はこちらを
向けたままで、何かを警戒しているように見える。
 そして、にこり。
 どこか冷たい笑みだ、と感じたのは、気のせいでは無かったらしい。


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