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第8回電撃short3

21みーちゃん:2/3:2003/05/02(金) 03:05
「――美樹ちゃんは、学校へ行くの、楽しい?」
「おねえちゃんはがっこうへ行くの、たのしくないの?」
 不思議そうに問い返され、私は言葉に詰まった。実はこの頃、色々な事がありすぎて少し人間不信となり、学校へ行くのが嫌で嫌でたまらなかったのだ。それが口調に出てしまったらしい。美樹ちゃんは心配そうな顔をして見上げてくる。
「そんなことないよ。今日はちょっと疲れているけど、いつもはとても楽しいよ」
 私は慌てて微笑を作った。いくら私が嫌でも、小学校に上がったばかりの美樹ちゃんにまで不安にさせる必要はない。
「よかったー! つくし、つくし、つくしー! つくしーをたべーるとー♪」
 美樹ちゃんはにっこり笑って、また元気に歌い出した。
 その楽しそうな顔に、だんだん私の気持ちまで明るくなってくるようだった。そう言えば、私にもこんな頃があったっけ……あの頃は毎日が楽しくて仕方なかったような気がする。いつからかな、小さなことにもすぐ幻滅して、何もかもが嫌になってしまう癖がついたのは? 本当に、ほんのちょっとした、些細なすれ違いなのにね……

 気がつくと、朧月を見ていた。ぼんやりした外灯、手の中には摘んだばかりの土筆。見回しても何もかもがそのままで、ただ美樹ちゃんだけがいなかった。
「……美樹ちゃん? ……美樹ちゃんっ!?」
 迷子、事故、誘拐――様々な可能性が頭をよぎり、私は真っ青になった。周囲を探し、来た道を引き返してまた戻り、叔母の家に息を切らして走り込む。


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