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第8回電撃short3
72
:
つくし誰の子2/3
:2003/05/05(月) 21:19
この時代、僕らの体は五十年もたない。
昔の人が無茶やったせいで、僕らは今かなりむごいことになっている。
どんな無茶かというと、何に使うつもりだったのかしこたま溜め込んだシャレにならない
ウィルスや菌を、うっかり世界中にこぼしたらしい。そのせいで僕らはみんな、生まれた時
からある病気にかかっている。
「生まれ落ちたその瞬間から寿命がものすごい勢いで減っていく病気」だ。個人差はある
けど、人類がその病気に冒されてからというもの、寿命は五十歳が定説になっている。
それも、都会の病院で定期的に適切な治療を受ければという話で、医療技術の行き届か
ない地方に住む人々の寿命は、都会の人の二割引きというところだ。
僕の村はここを地方と呼ばなきゃどこを呼ぶというくらいのド田舎で、母ちゃんは来年
四十歳になる。
母ちゃんもいっしょに都会にくればいいのに―――とは言えなかった。田舎から都会へ
移住するにはものすごくお金がかかるのだ。村の人は一生村の人、世界はそういうこと
になっている。
ただ、みんな一回だけ都会の人になれるチャンスがある。十二歳のときに役所で受ける
知能指数検査だ。この検査でものすごくいい結果が出たら、政府が無条件でその子を
都会の学校へ進学させてくれる。中学から大学までエスカレーター式の全寮制の学校で、
そこを卒業した人の多くは「病気」を撲滅するための研究者になる。
僕は一生に一度しか買えない宝くじを当てた訳だ。でも。
「僕、行きたくないよ」
もう何度も捏ねた駄々をまた蒸し返す。僕は母ちゃんが一緒じゃないなら宝くじなんか
ほしくなかった。
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