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第8回電撃short3

7難民344の作品その1:2003/05/02(金) 01:51
 え? ええ。はい。入学式の日です。よく覚えています。そうです。あの、霧が出てい
た日です。その日は姉が大学の入学式でして……え? 私ですか? 私は、散歩をしてい
たんですよ。ええ、朝にです。みんなが起きる前のことです。え? 何故か……ですか?
さぁ……何故でしょう。とにかく、そんな気分だったんです。すみません。あまり深い理
由はないんです。
 公園に行きました。近くに、広い公園があるんです。時間が時間だから、誰もいません
でした。霧に包まれた公園は、どこか、神秘的で……でも何か、恐ろしげに感じました。
辺りは静まり返っていて、私一人がどこかに置いてきぼりにされたような……。
 空気はひんやりと冷たくて、私もひんやりしていました。落ち着いた感じというか、夢
の中のような……。しばらくは、公園内をぶらぶらとしていたんです。霧越しに見える淡
いピンクの桜を見たり、芝生の間から見えるつくしを見たり。鳥が一斉に飛び立つ音も聞
きました。ああ、春なんだなぁ――と思いました。それなのに朝の空気は、そんな季節を
感じさせないから、不思議ですよね。え? あ、すみません。話を先に進めます。はい。
すみません。私、要領が悪いんです。
 公園を出て、河川敷のほうまで行きました。ええはい。その間、誰ともすれ違ってはい
ません。はい。朝が早かったもので。さらさらと流れる水の音は、少し、怖かったです。
ええ。怖がりなんです。だから、あの時見たものも……ああいえ。分かってます。そこの
ところを、聞きたいんですよね。ええ。すみません。


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