したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

第8回電撃short3

17難民387の作品その2:2003/05/02(金) 01:55
誰かがドアを開けて、辛気臭い美術室に進入してくる。
「私はオーストラリアへ行くわ」
この脈絡ない登場の仕方と話し方はアオイ先輩(僕と同級生なのに先輩と言われている子)だ。
「はぁ?」
「自慢の英語力を駆使して、豪州で一旗あげるってわけ」
勝利者の笑みといったものを浮かべたまま、黒板に一番近い窓を開けて、風を浴びた。
「意味がわかりませんよ……、なんつぅーか日本から、東京から逃げるんですか?」
「そこんとか勘違いするのがお子ちゃまだって言うの、こういう場合は戦略的撤退」
彼女は窓の外の春風に掻き乱される薄く染めた髪を手で押さえた。
「で、どの分野で成功するですか?」
「油彩画」
高校の美術部に僕以上に来なかった人が?
「夢って良いですね。んじゃ、ぜひがんばって成功してください」
「表現する楽しさを知ったから無敵よ。クラッカー1枚っきりで1週間で絵を描きつづけることも可能よ」
そう言って、名残惜しそうに窓を閉め
イーゼル越しの僕に見せ付けるように黒板に白線の線描をし始めた。
単純化された体育館が書かれ、そこに棒人間とでもいうような人物が書き加えられていく。
壇上に居るの宇宙人か校長だろう、その舞台袖でフランスパンを持っているのはブラバンだろう。
その光景は始業式、終業式、もしくは入学式か、卒業式だろうか、いや他にもあったかな……
「さぁ、これはなんでしょう?」
彼女は自信たっぷりにそういうと、黙考する僕を置いて、教室から走って出ていった。
また戻ってくるような気がしたので、一応、考えられる範囲で解答を出し尽くしておく。
彼女は上履きではなく、来客用の緑のスリッパを履いていた。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板