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第8回電撃short3

115513-514改:2004/09/12(日) 20:31
 さっき言った通り、アヤノはアイドル歌手とフランス人形を足したような外見をしてい
る。と俺は思う。それが華道でも極めていそうな正座をするのだ。似合うはずがない。
 ついでだから周囲の評価も言っとくと、俺の相方で、現代格闘研究会の部員であるとこ
ろの真山隆司は、『んー? ガキっぽいのでパス』と言っていた。が、この年増好きの抜
かす事は無視して良い。次にウチのクラスが密かに誇る、(要するに誇ってないって事
だ)《お笑い高校生ウルトラクイズ》制覇のオタク四天王は『激萌え! あれで気弱なと
ころも見せてくれたら萌え死ぬ。一度で良いからあの眉をハの字にしてみたい! むしろ
今からレッツセクハラ!?』とコメントしていた。ああ、大丈夫だ。ちゃんと殴っておい
た。『萌え』と言うのがイマイチ良く分からないが、クラスの女の子がネコの写真を見て
『きゃーカワイイ。萌え萌え〜』と言っていたあれと同じなのだろうか? ならつまり可
愛いという評価だ。他には、…………居ないな。
 知り合い、と言うか、暫定的中立勢力や敵は多いのだが、友人と言える奴は少ない事に
気付いた。寝起きなのに鬱が入る話だ。くそ。
 あー、アレだ。俺が寝起きな理由は、ここが俺のマンションだからだ。現にケツの下に
はベッド代わりにしたソファーがあるし、俺の格好はダークグレーのスウェットだ。
 このマンションはワーカホリックな両親が俺に置いて行ったもので、あの二人は一度も
足を踏み入れた事がない。部屋は──広いな。少なくとも、高校生の一人暮らしには分不
相応だ。
 まあ、あれだ。あの両親は子供を千尋の谷底に丁寧に置き去るタイプだからな。例えば
俺は、小さい頃から書籍類に不自由した事はないが、何かを教えてもらった覚えが一切な
い。料理だって十歳になった日に道具と本を渡されて、『がんばれ』って凄え良い笑顔で
言われたからな。いや、まともに作れるようになるまでが地獄だった。
 閑話休題だ。昔のことを思い出してると眠くなる。
 ええと、アヤノが何故ここに居るのかに関してはだな、
「先輩先輩ぃ〜。聞いてますか? 寝ぼけてませんか? 聞いて下さいってばぁ〜!」
 いや、普段は語尾に『ッス』とかつけるし、一人称は『自分』、口癖は『イチイチ腕立
てッス!』だからな。騙されるなよ? ああ、イチイチ腕立てってのは一分間に百回の腕
立てをやる事だ。『グラウンド十周』と同じようなものだな。
 アヤノの声で意識レベルが上がった。俺はいつの間にやらアヤノの手元を凝視していた
ようだ。服を畳む滑らかな手つきが、普段の印象とかけ離れていたためか、少し見とれて
いたようだ。
 そのぼーっとした頭で、俺はそれでもやるべき事を思い出し、アヤノに返事をした。
「あー、聞いてる聞いてる。分かったから続けろ」
 返事をしたのに、アヤノの不機嫌顔は戻っていない。『あー』の時にあくびをしたの
と、スウェットの裾から手を突っ込んで脇腹を掻いたのが良くなかったらしい。
「先輩最近冷たいッス……」
 ん、口調が戻ってるな。俺のリアクションが余程気に入らなかったのか。
 まあいい、それよりも、俺にだって言い分はある。
「たりめーだ。何が悲しくて朝っぱらから『リュージ先輩がどうした』だの『リュージ先
輩がああ言った』だの聞かなきゃならんのだ。お前は俺をホモにでもする気か?」


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