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第8回電撃short3

46イラストに騙された名無しさん:2003/05/03(土) 23:50
 右手に茶碗、逆手にお箸。それぞれ持ちて少女は茶漬けをすする。ずずずっと。
 ちゃぶだい越しに向かって座る、オヤジが同じく茶漬けをすする。ずずじゅっと。
「おいしいか? 娘よ」
「――全然だよ、お父さん」
 言いつつ娘はごくりと飲み込む。言われて父はま、仕方ないかとため息をつく。
「具、つくしだけだしなぁ」
「味だってしょうゆしかないじゃん」
 少女の茶碗を覗いて見れば、そこには確かにつくしとご飯がほんのり赤づき茶に浸って
いる。つくしのへたが残っているあたり、素人料理も良いとこだった。
「ねー、お父さん。地面生えてるほかのものさ、食べれないかな」
「ぬう。父さんだって食べたいが、地面のアレは雑草以外のなんでもないぞ? 食べたら
腹壊すかもしれないぞ?」
「実験台はお父さんだよね?」
 言われて父は目をそらし明後日を見つめて「なはは」と笑う。
 変な部屋だった。
 なんせ、四面の壁や床や天井が、天然の土で出来ていて、扉も窓もありゃしない、完全
なまでの密室であり、されども生活用具の一式は、ガスや水道天井には光ファイバーなど
など、食べ物以外はほぼ全てそろっている。問題はその食糧で、米としょうゆとあとは地
面に生えている、つくしなどの食べれる野草ぐらいしか、二人が食べれるものは無い。
 して、この二人には記憶が無い。
 気付けば、この部屋の中で倒れていたから。
 実は二人、出会うまでの記憶がない。気付いてから二人でいろいろと、回りにあった物
を調べに調べ、自分達がここから出れないことを悟り、置いてあった漫画を読んで、たぶ
んセーラー服を着ているほうが娘であって、腹巻しているほうが父だということにして、
んで自分達は一体全体何者なんだと推理している真っ只中である。


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