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Tohazugatali Economic Review

1831とはずがたり:2017/08/22(火) 00:32:02
>>1830-1831
その政策の結果はどうかといえば、実は何も起きていない。インフレ率の最新データは0.4%であり、トレンドはひいき目に見ても横ばいに過ぎない。日本の経済成長、雇用、あるいは貿易に対して、政府・日銀の政策は、良くも悪くも目に見える効果を与えていないのだ。

殉教は奇跡的に、だがほぼ機械的に改宗を促すと信じていた3世紀のキリスト教神学者テルトリアヌスと同じくらい、フリードマンも間違っていたことになる。

日本の例から得られる全般的な教訓は明らかだ。それは、シンプルな経済原則には注意しろ、ということである。人間の性質はどこでも同じかもしれないが、現代的な繁栄の仕組みは複雑だ。テクノロジーは世界中どこでもますます似通ったものになっているものの、豊かさを得て、それを維持し、失うありかたは、国によってバラバラなのである。

どの国の経済も、往々にして、つかみどころのない社会的要因から影響を受け、頻繁にさまざまな方向に押しやられ、予測不可能な変化を遂げているように思われる。

経済学は、明確で測定可能なパターンや、普遍的で定量化できる法則を備えた「厳密な科学」になることは不可能だ。経済学はむしろ社会学の1部門に近く、何事においても確固たる結論に到達することがほとんどない、やっかいな学問分野なのである。

日本ウォッチャーやあらゆる国の経済専門家志望者にとって、この国が示す法則破りの慣例は、2つの大きな教訓を提示している。第1に、一見して普遍的だったり、時代を超えた真理のように見えたりするものが、実はそうでないことが多い、ということだ。第2に、日本が原則に従っているときは注意しろ、ということである。

1970年代当時、トップダウンの行政指導や、工場・会社での責任共有に代表される日本独自のビジネス文化が、この国のとどまるところを知らない急速な経済成長の秘訣だ、と多くが考えていた。実際は、日本の繁栄が世界の先進国にほぼ追いついた頃、成長は減速した。

金融市場ではなかなか理解が進まず、熱狂的な日本支持者は、このような例外的な国では、ほぼどんな資産価格も高すぎるということはない、と主張していた。

だが、金融の世界における重力は、どこであっても下方向に働く。

日経平均株価は、いまだ1989年のピーク時の半値水準にとどまり、東京の住宅用不動産価格もピーク時から6割下がっている。日本の独特のあり方は経済学者の注意をかき乱すかもしれないが、その日本でさえ、財務的な価値を経済の現実から永久に切り離しておくことはできないのである。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)

1832とはずがたり:2017/08/24(木) 10:13:21

人口減少は経済成長にはマイナスでは無いってのが今の所の経済学の結論だが日本の特殊性>>1830-1831を考慮に入れるに人口減少で経済成長も凋む特殊例になるのかも知れぬ。

日本特殊論に逃げずに人口減少と成長を論じると,人口減少が経済に打撃を与えるのは労働生産性が低い部門が多くてしかも其処から労働力を引き抜けない場合である。
で,日本の労働生産性は大して高くない。大学のせいにされてる事もあるけど,個人的には米農家や小商店等自民党支持層が日本の労働効率を下げてるんだと思う。

日本の先進国陥落は間近、人口減少を前に成功体験を捨てよ
THE PRODUCTIVITY REVOLUTION
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/08/post-8155_1.php
2017年8月8日(火)11時20分
デービッド・アトキンソン(小西美術工藝社社長、元ゴールドマン・サックス金融調査室長)

20170815-22cover_150.jpg<ニューズウィーク日本版8月8日発売号(2017年8月15&22日号)は「2050 日本の未来予想図」特集。少子高齢化で迫りくる人口大減少。国際的な舞台で現在の影響力を維持できなくなった日本の未来像は中国の衛星国か? 近づく恐ろしい未来に日本人はどう立ち向かうべきか、「窮地に活路」を示す7つの未来予想をまとめた。この特集から、「もはやデフレや日本的資本主義は口実にできない」と説くデービッド・アトキンソン氏による寄稿を転載する>

先進国経済の中で、2050年の日本経済を予想することはとりわけ難しい。

他の先進国の場合、発展する中国経済の影響や欧米の金融危機などさまざまな苦難があっても、政府や学者、経営者などが対策を打ってきた。改革とイノベーションによって経済成長を持続させてきた実績があるため、エコノミストは過去のデータからの「延長線」を引っ張ることで予想が可能となる。

日本でも改革は昔から求められてきた。だが90年代に社会や経済の現状が固定化し、著しい低迷が続いている。92年から25年間ほとんど経済成長していない。ピーク時に日本のGDPはアメリカの70%だったのが、今では4分の1となった。イギリスと比べても、4・1倍から1・8倍に縮小。誰も日本のこうした姿を予想できなかった。

今後、2050年の日本経済をエコノミストが好む延長線予想でみると、人口激減による国の借金と社会保障の負担増大のため、先進国の地位から陥落する結論しか出ない。感情論を抜きにして、計算機をたたけば一目瞭然だ。

その結論から目を背けようと、誰もが日本経済のパラダイムシフトを予想に組み込もうとする。ただ、25年間もそうしたシフトを求めながら、デフレだの日本的資本主義だのと口実ばかりで、いまだに改革ができない。今さらパラダイムシフトを2050年の予想に入れるのは困難だ。

繁栄した最大の理由は人口
ただ人口激減を前に、これまで曖昧にしてきた大改革はもはや避けられない時期に入った。今までは適当にやり過ごしてきたかもしれないが、これからは復活か堕落しかなく、1つの大きな分かれ目となる。アメリカ以外のほとんどの先進国が大変な人口減少時代を迎えるなか、最も早くかつ極端に影響を受けるのが日本経済だ。

日本はGDPで見れば、世界第3位と優位に立っている。「日本には技術があり、日本人は勤勉だから」とよく言われる。それは基礎だが現実に今まで経済規模が大きかったのは、人口が多いという理由に尽きる。GDPは人口と生産性の掛け算だ。日本の人口は約1億2700万人と先進国の中では圧倒的に多く、アメリカに次ぐ2位だ。統計的にも、先進国のGDPは人口と極めて強い相関関係がある。感情論を捨てて客観的に見れば、日本経済が世界第3位の経済となっている最大の理由は人口だ。

1833とはずがたり:2017/08/24(木) 10:13:45
>>1832-1833
イギリス人の筆者がこうした冷静な分析をすると日本をこき下ろしていると誤解され、「イギリスのGDPは日本の約半分。それはイギリスの労働者がいいかげんで、技術力は半分だから」と反発を受けがちだ。だが深く分析しなくても、人口約1億2700万人の日本と約6600万人のイギリスとで、経済規模はどうなるかは子供でも計算できる。「イギリスの技術力は日本の半分。日本のものづくりなくして、あなたの国は成り立たない」と言っても議論にならない。

戦後の日本の自国民人口成長率は先進国の中で断トツで、高度経済成長の1つの主因となった。そうした人口激増でできたさまざまな余裕から、日本の経済力や日本的経営を妄信し、「日本に普通の経済原則は通じない」との勘違いが生じたのではないだろうか。

ただこれからは、今まで日本経済の優位性をもたらした人口の規模や増加は、先進国の中で最も速いペースで逆行する。今までの働き方や稼ぎ方を維持しようとすれば、日本経済はどんどん縮小。1000兆円以上の借金と社会保障の負担によって崩壊するだろう。

ロボットには期待できない
GDPは人口と生産性で構成されているから、人口減少社会で経済を維持して高齢者を支えるためには、生産性向上で乗り切るしかない。まずは、デフレや日本的資本主義といった口実や妄想をいち早く捨てること。計算機をたたいて、生産性を軸に全ての経済常識を再検証し、生産性を高める方向に切り替える必要がある。

経済を量と質の両面から見ると、経済の質は生産性に当たる。日本の生産性は国民全体で見ると世界27位だが、労働者に限ればスペインやイタリアより低く、先進国で最下位レベル。日本の生産性の低さは労働者の質の問題ではなく、経営戦略の問題だ。経営者に生産性向上への意識が低く、経済の変化に賢く対応できない。経営的に最も安直な戦略である価格破壊をして、しわ寄せを労働者に押し付ける。非正規雇用問題や格差拡大、賃金低迷は全てここから始まっているのだ。

日本の生産性問題は、高品質の割に価格が低過ぎるといった理由も指摘できる。最近の宅配業界の問題はその典型だ。生産性とコストの意識がない経営者が何にでも耐える社員を苦しめて、誰が見てもおかしい戦略を継続してきた。経営者の独り善がりであのようなサービスを実施して、社員がもらうべき給料を払ってこなかった。調査すらせずに、「顧客はそれを求めているので変えられない」と言いながら、いざ継続できなくなるとすぐにやり方を変える。消費者側も何の文句も言わない。やはり経営の問題だ。

こうした高品質・低価格とは別の問題もある。今の経済からして付加価値が低過ぎて経済合理性がないのに、低価格によって何とか延命しようとしている商品だ。人口がこれから減少する以上、日本の生産性向上を阻んでいる経済活動をやめて、貴重な人口を生産性のより高い商品に振り向ける必要がある。昭和で役割を終えた商品を補助金で支えることもやめるべきだろう。

こういった問題は人工知能(AI)やロボットの活用ではごまかせない。既にネットの導入によって世界的に生産性が上がっているなかで、日本では生産性が低いまま。ロボット導入でもそんなにメリットなど期待できない。

日本社会が改革に弱いのは、特に60代以上の世代を中心に、戦後の成功をベースにした日本経済優越主義者が多いからだ。改革の必要性を感じていないどころか、否定ばかりする。日本経済の現実を冷静に分析し、それに基づく改革を着実に実行することが急務だ。

高齢者問題に対応するため、日本は世界一生産性の高い経済大国、最先進国となる必要がある。付加価値の高いものを徹底的に追求する、とにかくイノベーションを求める。人口が減る分だけとにかく稼ぐ。それだけだ。

1834とはずがたり:2017/08/24(木) 21:26:21
全部の日本の組織がこれやん。。

潰れる会社に必ずいる「静かな殺し屋」の正体
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170716-00179756-toyo-soci
7/16(日) 15:00配信 東洋経済オンライン

平常時は一見円滑、自覚症状ないまま進行し、ある日突然牙をむくサイレントキラー。大手の破綻・優良13社を対象に、再生機構等が派遣した専門家や複数企業を知るOBなど87名にインタビューを実施し、アカデミックな方法論で破綻企業の分析を志した。『衰退の法則』の著者で、日本人材機構の小城武彦社長が見いだした破綻企業の共通要因に、あなたの会社は心当たりがないだろうか。

■成功・失敗、責任の所在がはっきりしない会社

 ──共通項の第一が、経営陣の予定調和的な意思決定だと。

 ガチンコの議論をしない。いつも会議はシャンシャンで終わって、そうなるよう事前調整するのがミドルの仕事。経営会議の場で幹部同士がガチンコの議論をするのはよしとしないから、基本的に全会一致。事前に誰かから反対意見が出ようものなら、事務局から「オマエ、調整が足りない」と言われ、上程を先送りするわけですね。

 全会一致にこだわるのは、やはりギスギスしないほうがいいという価値観が強いから。上位者が何か言って、みんなで「おっしゃるとおり」と過度に同調する。そして他部門の話には口出ししない。意見すべきときでも言わない。全体最適でなく部分最適になってる。

 ──PDCA(計画・実行・評価・改善)が回っていないのも共通点。

 はい。特にC(評価)とA(改善)は犯人捜しと解釈され忌避される。だから成功・失敗、責任の所在がはっきりしない。これもオフィシャルな場での対立は回避すべきという作法です。大風呂敷広げて始めるけど、その後どうなったかわからない。結果はうやむや、誰も責任を取らない。

 ──問題が棚上げされたまま、再構築のタイミングを逃してしまう。

 全会一致を前提にするかぎり、すっかり角が取れた毒にも薬にもならない折衷案に変容してしまって、本当に必要な角張った解決案は上がらない。で、ズルズルズルと衰弱死に向かうわけですよ。これが衰退のいちばんの原因なんですね。

 全方位丸く収まるお膳立てを根回しできるミドルが“できるヤツ”と評価される。今はやりの“忖度(そんたく)”です。自分の意見は控えて上の考えを忖度し、紙に落として会議を通す調整ができる人間。当然有力者の近くにいるほうが有利なので、政治的影響力を持つ派閥、学閥、本流部門などに属していることが大事な出世条件になる。そして出すぎず、気が利くこと。

 ──つまり便利な人。

 そう、上から見て便利なヤツ。「おお、そうだ。これが俺のやりたいことなんだよ」と褒められ、「はい、わかりました」とガーッと調整して、「常務、これで通せます」「よし、会議にかけろ」と。でシャンシャン会議を無事通る。そして「オマエよくやった」と彼を上に引っ張り上げるわけです。

 ポイントは、そのミドルが社内調整しか知らないこと。そんな人間が経営陣に昇格して、まともな議論などできるわけがない。自分も踏襲してきた作法をわざわざ乱すインセンティブはないですからね。実力より社内政治と根回しと人間関係で勝ち上がってきたから、戦略的思考がない。それでその会社のヌルッとした会議は変わらないまま、日々回っていく。これがサイレントキラーです。

1835とはずがたり:2017/08/24(木) 21:26:35
>>1834-1835
■空気を読む日本独特の文化が拍車をかける

 ──衰退惹起(じゃっき)サイクルと表現されていますけど、それを回す方向に作用するのが、日本人が強く持つ相互協調的な文化であると。

 日本人って空気読むでしょ。それがサイレントキラーの根底にある。他人の目を気にしながら物事を進めるというのが文化的に刷り込まれている。その“癖”がなぜ怖いかって、環境が安定しているときは誰も問題意識を持たない。

 ──それを断ち切るには、人事部門が牽制機能を発揮しているかどうかが1つの着目点ですね。

 そうです。衰退惹起サイクルに歯止めをかけるくさびです。

 優良会社の人事部は、各部門に人を入れ、客観的な情報把握に努めている。有力者が子飼いを一本釣りで引き上げようとしても、人事部のほうが一人ひとりの客観的データを持っているので、チェックが入るわけです。したがって本当に実力がある人、誰もが納得する人しか役員に上がらない。それは裏で人事部が機能しているのと、PDCAがちゃんと回っていて、データを基に論理的立案ができ、かつ実行した人かどうか検証してるから。単に空気読んでおべんちゃら言ってる茶坊主は偉くならない。

 ──ほかに衰退サイクルを回さない重要なくさびは? 

 経営陣が現場や現実を基にロジカルな議論を尊ぶという規範の存在。これはすごく大事です。幹部が持論と経験談一本やりだと若い人は口を挟めない。おまえは青い、経験が足りない、で終わりでしょ。顧客接点にいるのはだいたい若い人です。要は、最近売れ行きが悪いとか、お客から苦言が出たとか、営業の最前線でアラームが鳴ったとき、それがちゃんと経営の中枢に届く仕組みになってることが大事。ダメな会社ではいくら危機意識を訴えたって、事前の根回しのところで排除されちゃうか、角が全部取れて訳のわかんない文書になって会議に上がったりする。

■悪気のない愛社精神で、衰退への道をひた走る

 ──衰退サイクルの自走……。

 自走は因果関係なんです。親玉たちが意思決定を予定調和的にやっていて、そうできるよう一生懸命ミドルが調整し、そのシステムに貢献したヤツが偉くなり──の循環。そんな連中だから社内政治力はあるけどリテラシーは低い。このサイクルが回っているかぎり直りようがないじゃないですか。しかも厄介なことに誰にも悪気がない。みんな愛社精神満載で、一生懸命仕事して衰退サイクルを回してるんですよ。だから一度回りだすとこれを止めることはそうとう難しい。

 ──自分の会社にサイレントキラーが潜んでいないかどうか、どの辺に注目したらいいですか? 

 まずはどんな人が偉くなっているか。忖度するのが上手、派閥・学閥・保守本流に属してる、気が利くだけ、なんてヤツばかり偉くなってる会社はヤバイでしょうね。いい会社で偉くなっている人は、能力と人格、やっぱり衆目一致する人物ですよ。何であの人偉いの? って人はいないんです。

 それと雑談のテーマ。昼飯や夜の飲み会、たばこルームで、ダメな会社はほとんど人事の話をしてますね。社内の人間関係とか。いい会社は顧客や競合、市場、製品の話などをしています。さらに、幹部の話がちっとも論理的じゃなくて、持論と経験談、個人的感想に終始してるようだと、危ないですね。

中村 陽子 :東洋経済 記者

1836とはずがたり:2017/09/15(金) 18:54:53
えっ、約8割が目標未達 日本企業のコスト削減に「3つの傾向」
https://www.j-cast.com/kaisha/2017/08/27306617.html
2017/8/27 18:00 印刷

コスト削減に取り組む日本企業のうち、8割近くが目標を達成できないでいることが、デロイトトーマツコンサルティングの調べでわかった。同社がアジア太平洋地域(APAC)の企業におけるコスト削減の調査結果をとりまとめた「2017 APAC Cost Survey」を、2017年8月24日に発表した。

日本企業には、他国企業と比べて3つの傾向が根強く見て取れるという。

低い目標設定、高い未達率

デロイトトーマツコンサルティングによると、日本企業のコスト削減をめぐる現状から、「低い目標設定と高い未達率」「部門や機能に限定したアプローチ」「不明確な意義」の、3つの傾向が浮き彫りになった。

日本企業は、調査対象の13%がコスト削減の目標値を「5%以下」、39%が「5〜10%」、42%が「10〜20%」に設定していた。

じつに94%が目標設定を「20%未満」に設定。これはAPAC平均の合計79%を15ポイントも上回り、大きくかい離している。

低い目標設定のうえ、一方で目標を達成した企業の割合もわずか23%と少ない。APAC平均の30%を7ポイントも下回った。

日本企業の場合、部門や事業部、機能、地域を限定するコスト削減の施策に取り組む企業の割合が50%にのぼる(複数回答可、APAC平均は63%)。すべての部門や事業部、機能、地域で一律にコストを削減する企業は33%(同51%)。また、全社的にコストの構造を分析、管理して再構築する企業は33%(同62% )で、これらを大きく上回っている。

日本企業には、部門や機能ごとのコスト削減には注力するが、全社的な取り組みには消極的になる傾向があるとみている。

そもそもコスト削減への理解が得られない

日本企業にコスト削減を阻害する要因を聞くと、「コスト削減の取り組みが弱い、位置づけが不明瞭」と「取り組みの導入・実施局面における課題の不在」がそれぞれ43%、「社員のコスト削減取り組みに対しての理解/受け入れの欠如」が38%で、上位を占めた。

コスト削減の実施にあたり、多くの企業が従業員の意識改革やそもそものコスト削減への理解を得ることが難しいとの回答を寄せたという。

デロイトトーマツは調査結果を踏まえ、日本企業が抱えるコスト削減の課題として「明確で高い削減目標の設定不足」「全社単位での横断的な削減施策の計画不足」「取り組み全体を推進する人材不足」をあげている。

なお、調査は2017年1〜2月に実施。日本と中国、香港、シンガポール、インド、オーストラリアの年商1億5000万超の企業299社が対象。

1837とはずがたり:2017/09/15(金) 18:55:36

決算書は「読めた方がいい」は間違い。読めなきゃアウト!
ダイヤモンド・オンライン 2017年9月4日 09時00分 (2017年9月11日 05時48分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/economy_g/20170904/Diamond_140799.html

『週刊ダイヤモンド』9月9日号の第一特集は「会社の数字がわかる反復練習 決算書100本ノック!」です。財務を理解し決算書を読み解くことは、働く人の必須スキルとなりました。実際のエピソードが超豊富な、楽しく易しい週刊ダイヤモンドからの100本ノックを是非、受け取ってください!
「決算書は読めた“方がいい”というのは間違っています。読めなきゃダメなんです」。そう説くのは、首都大学東京大学院の松田千恵子教授(経営学)だ。
 金融機関や格付け機関などで働き、多くの経営者と接してきた松田教授は、「日本企業幹部の決算書、財務への理解のレベルは残念ながら低い。中堅の社員では売上高と利益くらいしか理解していないこともある」と明かす。
 かつては決算書を理解する必要性が低かった。右肩上がりの経済が長く続く時代には、売上高の伸びさえ気にしていればよかったからだ。
 その後、日本経済が停滞すると、企業にはよりうまくもうけ、筋肉質な財務体質になることが求められた。本特集で後述する貸借対照表(BS)や、さらにはキャッシュフロー計算書(CF)を重視する経営だ。
 ただし、それも深く根付くには至らず、この20年間で日本のビジネスパーソンの財務スキルはほとんど上がらなかった。「CFはおろかBSにすら気が回っていない経営幹部も多い」(松田教授)。
 ところが、近年、急激に決算書への関心が高まっている。本誌2017年6月10日号「会計&ファイナンス」特集は、週刊誌としては異例の2度の大幅増刷を行ったほどだ。
 背景にはさまざまな事情がある。まずは2000年代に入って企業の買収が盛んになったことだ。買収に当たっては買収先企業の財務状況を把握しなければいけないし、買収された側も共通の理解が必須になる。
 また、14年には企業に積極的な情報開示を求めるコーポレートガバナンス・コードの策定が閣議決定された。
 そして、決算書の数字から算出できる経営指標のROE(自己資本利益率)を欧米並みに引き上げるべく、日本企業の目標ROEを8%にすべきだという報告が経済産業省よりなされ、企業は効率的な経営を求められるようになった。
 企業の財務への注目度はますます高くなるばかりなのだ。
挫折した経験がある人は
やり方が間違っていた可能性が高い
 ところが、そこで働く人たちの理解度が低ければまったく意味がない。せっかく、会社が数字を基に方針を立てても、それぞれの社員が財務のことを理解できていなければ、浸透していかない。
 社員の側から見れば、会社が自分に対して何を求めているのかが分からないということになる。端的に言えば、評価されず出世できないのだ。
 例えば、成長を果たすというミッションを課された場合。バンバン安売りをして販売数を拡大させればいいのか、それともきちんともうけを確保すべきなのか。そういう共通理解がないまま突っ走れば、立ち往生してしまうだろう。
 さらに、前出の本誌6月10日号では、総合商社やソフトバンクグループといった企業で「ファイナンス」という事業の収益などを評価する高度なスキルが現場でも求められている様子を描いた。そのファイナンスのスキルを身に付けるには、まずは決算書を読めなければいけないのだ。
 ただし、決算書、財務諸表を読み解こうとして挫折した経験がある人もいるはずだ。
 それはやり方が間違っていた可能性が高い。というのも、一部の会計、財務の指南書や大学の授業は簿記や仕訳から始まるため、難解に感じるからだ。
 しかし、その種のスキルは決算書を“作る”ために必要なのであって、“読む”ためには必要がない。これまでの経験から簿記や仕訳といった言葉にアレルギーがあるなら、いったん忘れてほしい。
 実は決算書は、やり方を間違わなければ、とても簡単に楽しく理解できるものだ。特に企業の実際のエピソードに沿って読み進めれば、自然と決算書の構造が頭に入ってくるだろう。そのやり方なら、反復練習のようにたくさんの量をこなしても、苦しくないはずだ。
 そこで、本特集では、「決算書100本ノック!」と銘打って、多くの事例を用意した。決算書の書面を丸々100枚載せるにはスペースが足りないため、一部抜粋の場合もあるが、100以上の企業の財務データを掲載している。
 パート1の前半では超初級者向けの説明をしているので、理解している人は読み飛ばしてもOKだ。
 決算書は、読み解くことができるようになれば、そこから企業の苦悩や喜びといったドラマがまるで立体映像のように飛び出てくるような面白いものなのだ。ぜひ、肩の力を抜いて読み進めてほしい。

1838とはずがたり:2017/09/15(金) 19:52:03
これなら俺も解るかな。。(;´Д`)

伝説のコンサルタントが教える あまりにやさしい会計の本
小学4年生の算数で決算書はわかる
http://www.diamond.co.jp/book/9784478012345.html

1843とはずがたり:2017/09/24(日) 21:16:41
面白いw

金融・投資・マーケット企業・経営
60過ぎたら、退職金で会社を買いなさい
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51636
500万円で優良企業の社長になる方法【前編】
三戸 政和
プロフィール
株式会社日本創生投資 代表取締役社長。1978年兵庫県生まれ。同志社大学卒業後、2005年ソフトバンク・インベストメント(現SBIインベストメント)入社。ベンチャーキャピタリストとして日本やシンガポール、インドのファンドを担当し、ベンチャー投資や投資先にてM&A、株式上場などを行う。2011年兵庫県議会議員に当選し、行政改革を推進。2014年地元の加古川市長選挙に出馬するも落選。2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行なっている。また、事業再生支援を行う株式会社中小事業活性の代表取締役副社長を務め、コンサルティング業務も行なっている。

人生100年時代。退職後少なくとも10年は働かなければよい老後は送れないと言われるが。その選択肢はあまりに少ない。ここで、大胆な提案をしてみたい。思い切って会社を買って、社長になってみませんか?

誰でも会社の社長になれる

突然ですが、皆さんのなかに「社長になりたい」という願望を持っている人、あるいは持っていたという人はどれくらいいるでしょうか。

サラリーマンとして働くなかで、社長になることはひとつの「夢」であるはずです。もしあなたが大企業の社員なら、今いる会社の社長になることは考えていなくても、いずれ役員になり、関連子会社の社長になることを望んでいるかもしれません。

しかし現実は甘くありません。ただでさえ優秀な人材が集まっているなかで、そこまで出世するには相当な実力と運、そして根回しが必要です。40代になれば自分がどのあたりまで出世できるのか、おおよそ見えてきますよね。「自分はせいぜい課長か、よくて部長で定年を迎えるのだろうな…」と、漠然と諦めている人もいるのではないでしょうか。

60歳で定年、定年後再雇用制度を利用して65歳まで働いて退職、引退。それからは死ぬまでは余生……。それが現在の大多数のサラリーマンが辿る道です。しかし引退後あなたが、自社でも関連会社でもなく、これまで縁もゆかりもなかった会社の社長になれるとしたら、どうでしょうか。

今回私は皆さんに、社長になれる道をお教えします。60代で定年退職して終わるのではなく、中小企業の社長に“天下り”して、社長としてしっかりと老後の資産形成をしてから引退する……そんな道が、あるのです。

私は2005年に日本最大級のベンチャー投資会社「ソフトバンク・インベストメント」に入社しました。日本とシンガポールに駐在し、1000社を超える企業の発掘・精査、株式公開支援、M&A戦略、企業再生戦略などを行いました。

その後、兵庫県議会議員を経て、ロンドンで神戸ビーフのプロモーション会社の立上げを行い、2016年に、主に売上高30億円未満の中小企業をターゲットにした投資会社「日本創生投資」を起業。現在、総額30億円のプライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)を運用しています。中小企業を売買する事業承継(M&A)のプロフェッショナルとして社会問題を解決していこうと考えています。

こうした経験を通じて今、私が強く感じているのは、「日本には成長の可能性がある中小企業がたくさんある」ということ。またその一方で、後継者がいないという理由で、消滅の危機にある中小企業がたくさんある、ということです。ビジネスマンの「引退後」を豊かにすることと、日本の中小企業を活性化させること…この両方を叶えるのが、「会社売買」なのです。

80歳まで働く必要アリ?

ロンドンビジネススクール教授のリンダ・グラットン教授とアンドリュー・スコット教授の共著『ライフ・シフト―100年時代の人生戦略』が、世界中に衝撃を与えています。いま、ビジネスマンは生き方の変更を迫られていることは、ご承知でしょう。

本書の中で紹介されている将来の寿命に関する予測(米カリフォルニア大学バークレー校とドイツの学術機関マックス・プランク研究所の共同研究による)によれば、2007年にアメリカ、イタリア、フランス、カナダなどの先進国で生まれた子供の半数以上が104歳以上生き、日本で生まれた子供の半数以上が107歳以上生きるそうです。

また、現在20歳の人の半数以上が101歳以上、30歳の人の半数以上が98歳以上、40歳の人の半数以上が95歳以上、50歳の人の半数以上が92歳以上生きるといいます。

1844とはずがたり:2017/09/24(日) 21:16:59

どうやら私たちは、これまで想定していたよりもはるかに長生きする可能性が高いようです。「人生80年」と思って生きてきたのに、実際は、100歳以上生きるかもしれないのです。それはつまり、リタイア後の生活が長期化するということ。定年退職後の余命を20年と見積もっていたものを、2倍の40年に見積もり直さなくてはなりません。

年金支給額が減り、退職金も期待できず、医療費や税負担が今後ますます上がっていくのに、60歳で退職、数千万円程度の貯金では、「悠々自適なセカンドライフ」などと呑気なことを言ってはいられません。もし年金のほかに夫婦で月々20万円の貯金を切り崩して使うとするならば、40年間で9600万円が必要になります。そのほかに、病気や怪我、子供、孫のイベントなど、何にどれだけかかるかわかりません。

そこから始まる40年もの長い老後を、“老後破産”することなく生き残るためには、現役時代を延ばすしかないのかもしれません。実際『ライフ・シフト』には、これからは、「教育→仕事→引退」という3つのライフステージのうち、2番目の「仕事」のステージが長くなり、引退年齢が70〜80歳になるだろうと書かれています。

しかし現実には、日本のほとんどの企業がそんな年齢まで雇ってはくれません。退職後に再雇用制度を利用してもたいていは65歳までです。

飲食店には手を出してはいけない

確かに、大企業勤めの人で、役員になり、天下りで関連会社の社長になることができれば、引退を延長することができ、それなりの報酬と2度の退職金を貰えて安泰です。

それが叶わなかった場合、65歳から新たな就職先を探しても、よほど特殊な技能や資格を持たない限り、求人はほとんどないのが実情です。では60代で退職したものの、老後資産が十分にない人は、どうしたらいいのでしょうか。

私はしばしば、退職後の飲食店経営に夢を持つ人に出会いますが、断言しましょう。それだけは絶対に止めた方がいい。飲食業の経験がない人が、「コーヒーが好き」「ジャズが好き」「酒が好き」「料理が好き」などという趣味の延長で、喫茶店や居酒屋、バーなどを始めてしまうことです。失敗して財産をすべて失うどころか、借金を背負ってしまい、悲惨な末路を送る可能性が極めて高いです。

私はこれまでさまざまなビジネスモデルを見てきましたが、飲食店経営は最も難しいビジネスの一つです。立地の選定、資金繰り、店舗作り、商品企画、仕入れ、原価管理、製造管理、採用、人事管理、マーケティングなど、経営学のあらゆる要素がすべて詰まっているからです。それでいて店舗は固定されて動かすことはできず、食中毒や、持ち逃げなどリスクは多く、利益率は非常に低い。素人が安易に始めてできるようなものではないのです。

そもそも私は脱サラ起業には反対です。ベンチャーキャピタリストとして多くの起業家に投資をしてきた経験からいえば、新たに会社を創って軌道に乗せるというのはとてつもなく難易度が高い。日本では起業して5年後に残っている会社は15%、10年後に残っている会社は、たったの5%しかありません。

あなたが今まで培ってきた知識と経験をほぼそのまま生かすことができ、他社に比べて明確な優位性があり、最初から多数の顧客がついていて、初年度から黒字が確実であるのなら、起業もいいかもしれませんが、一つでも当てはまらないならば、やめた方がいいです。赤字がつづいて、将来の見えない恐ろしさに耐えることができる精神力を持っているひとはまれです。

そんな「ゼロイチの起業」より、私がお勧めしたいのは、知識と経験を活かせる中小企業を見つけ、個人でM&Aをして、経営を引き継ぐこと……つまり、「会社を買う」ことなんです。

日本はいま、「後継者不足」

はっきり言って、日本のビジネスマンは0から1を立ち上げるのは得意ではありません。ほとんど上手くいきません。一方で、すでに回っている事業をマネジメントし、10を15にしたり、100を110にするのは得意です。大企業にはそうした経験とノウハウがある人はたくさんいます。起業するより、10年以上生き残っている会社の社長をやる方が、はるかに現実的・効率的であり、向いているのです。

一般的にM&Aと聞くと、ある程度大きな規模の会社が、それよりも少し小さい会社を買収するイメージを持つ人が多いかもしれません。買収によってマーケットシェアを拡大したり、多角化したり、事業の一貫性を高めるなど、資金的余裕のある企業が取る成長戦略のイメージです。

しかし現実には、売上高数千万円から数億円程度の小規模経営の会社を、同じような規模の会社や個人が買収するといった、小さなM&A案件の数は増えつつあります。なぜなら今、会社を買って欲しいと考えている社長が多くいるからです。

1845とはずがたり:2017/09/24(日) 21:17:19
>>1843-1845
現在、日本の会社は約420万社がありますが、そのうち大企業はわずか0.3%。1万2000社しかありません。日本の会社の99.7%を占めるのは、中小企業です。その中小企業の多くが今、後継者問題に直面しています。

日本の中小企業の多くは同族経営であり、かつては息子や娘婿、弟や甥が、家業として、社長を継ぐ親族内承継がほとんどでした。しかし今、子どもが跡継ぎになりたがりません。大学を出て、大手企業に就職し、それなりに給料をもらって都会で生活している子供たちは、わざわざ実家に戻って町工場や工務店や店舗などの経営を継ぐという道を選択したがらないのです。

中小企業の社長も、自分たちの子供に会社を引き継いでもらうことを強制したくないという意識が強くあります。このようにして、新陳代謝が生まれていないことから、日本の社長の平均年齢は高齢化の一途を辿り、1990年の54.0歳から現在は59.2歳に上昇しています。

帝国データバンク発表の『2016年社長分析』によれば、国内企業の3分の2にあたる66.1%が後継者不在で、その割合は上昇傾向にあります。社長の年代別に見ると、社長が60歳代の会社で54.3%、70歳代で43.7%、80歳以上でも34.7%が後継者不在。事態は深刻です。

中小零細であるほどこの傾向は顕著で、売上高10億円〜100億円未満の会社で57.5%が、売上高1億円〜10億円未満の会社で68.5%が、売上高1億円未満の会社で78.2%が後継者不在だそうです。

会社を売りたい人がいる

親族に跡継ぎがいない場合、次に従業員が事業承継者の候補に挙がりますが、それも簡単ではありません。中小企業は、社長がワンマン経営を行っていて、従業員には単純な業務しか任せていないような会社が多いからです。腕のいい職人はいたとしても、経営全般を任せられる人がいないのです。

こうした場合、健全経営で、財務状態が良く、今後も事業継続が可能であっても、「社長が亡くなるか、働けなくなれば廃業」という道を辿るしかありません。そんな中小企業が日本中に山ほどあるのです。

業績が低迷し、資金繰りも悪化して将来の展望も見いだせないような企業は、廃業した方がいい場合もあります。しかし財状状態が悪くなく、当面の資金繰りにも問題がないのに、後継者がいないので、廃業せざるを得ない…という会社も数多くあるのです。

言わずもがな、廃業という選択はできる限り避けたいものです。廃業すれば従業員を解雇しなければなりませんし、顧客や仕入れ先など、取引先にも迷惑がかかります。連鎖倒産を引き起こしてしまうかもしれません。そのような事態は、地域経済への影響も大きいことから取引銀行も、国も、地方自治体も、誰も望んでいません 。

後継者がいない社長にとって、相応の金額で買ってくれるのであれば、経営を引き継いでくれる他社や人に会社を譲りたいと考えるのは、当然のことなのです。そこで出てくる最後の選択肢がM&A、つまり「会社売買」なのです。こうした背景から今、多くの社長が会社の売却先を探しています。

では、縁もゆかりもない個人が、どのようにして会社を買うのでしょうか。そもそも、そんなボードゲームのようなことが可能なのでしょうか。じつは、現代において会社を買うことは、全く難しいことではないのです。これから、その手順についてお話しましょう。

 取材・構成/嶺竜

1846とはずがたり:2017/09/24(日) 21:17:45
>>1843-1845

企業・経営
世の中には500万円で買える会社がこんなにあった!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51638
500万円で優良企業の社長になる方法【後編】
三戸 政和

では一体、どうやって会社を買えばよいのか。実は会社を買うのは、いたって簡単なのです。今回はその手順を教えましょう。

まずは「売り情報」を探す

「会社を買う」上でまず必要になるのが、会社の売り案件情報を得ることです。今、世の中にどんな会社が売りに出ているのかがわからなければ、検討のしようがありません。当たり前のことですが、どうやって「売り案件」を探すのか、ご存じない方も多いでしょう。

かつて、会社の売買情報は、極秘情報でした。会社を“売りたい”社長は、社員や取引先などに気づかれないよう、自分で売り先を見つけるか、銀行や証券会社にこっそり相談し、買ってくれそうな会社を探してもらって、極秘裏にM&Aの交渉が行われました。

なぜなら、「社長が会社を売ろうとしている」という情報が漏れ、不安に思った社員に詰め寄られたり、取引先に引き上げられたりすることを恐れたからです。

さらにはオーナー社長が会社を売ることは、“身売り”と言われ、とてもネガティブなイメージがあったのです。ですから、よほどの資産家でもない限り、個人が会社の「売り」情報を得ることはできなかったはずです。

しかし時代は変わり、20年ぐらい前から、中小企業を専門にしたM&A仲介会社(両社の間に入って売買契約を仲介することでアドバイス料や仲介手数料を得る)が現れました。M&Aにネガティブなイメージを持つ人も少なくなった結果、売り物件の情報は、簡単に仕入れることができるようになりました。今では売り案件情報をインターネットで見ることができます。

ためしに、インターネットで「M&A 案件」で検索してみてください。M&A仲介会社等のサイトが表示されます。各社のサイトに行くと、まるで不動産情報サイトのように、売り案件の一覧が載っています。

おそらく、多くの方が知らないと思いますが、実は、会社経営者の間で、この「ネットを通じた会社売買」は盛んにおこなわれていて、そこには個人も参加可能なのです。

たとえば、先日株式上場したM&Aの仲介会社「ストライク」が運営する「SMART」というサイトには、以下のような企業の一覧が載っています

・ コンセプト系飲食店の運営/直近売上高5〜10億円/関東
・ タクシー事業/直近売上高1〜5億円/関西
・ 腕時計の製造販売/直近売上高15〜億円/関西
・ 介護事業/直近売上高2億円/関東

・ 歯科クリニック/直近売上高1〜5億円/関西3店舗
・ 海外での自動車卸売・代理店業/直近売上高5〜10億円/ロシア極東
・ 建設業・太陽光事業/直近売上高1〜5億円/東海

・ ソフトウェア受託開発事業/直近売上高1億円以下/中部エリア
・ 水産加工業、水産食品販売業/直近売上高約6億円/北海道
・ 鋳造/直近売上高10億円/西日本

多種多様な業種業態の会社が売りに出ています。見ているだけで面白いです。

ここから詳細ページに進むと、売上高、営業利益、従業員数、譲渡スキーム、譲渡理由、会社の強みなどが書かれています。インターネット上では会社名は伏せられており、簡単に特定できないように情報に幅を持たせてありますが、十分、検討材料になります。

興味を持った会社があれば、サイトに個人情報を入力して会員登録しすれば、より詳しい情報を教えてもらえる仕組みになっています。また、ネット上に情報が掲載されておらず、登録して初めて情報が見られる会社もあります。

さらに興味を持ち、購入を検討したいとなれば、M&A仲介会社と契約を結んで社名を教えてもらい、相手社長との面談、デューデリジェンス(企業の価値評価)、M&Aの交渉に入るといった流れになります。

1847とはずがたり:2017/09/24(日) 21:17:55

また、各都道府県も事業承継に力を入れています。公的支援として各都道府県に「事業引継ぎセンター」が設置されており、全国の商工会議所等と連携して、地場企業のM&Aの相談とマッチング、サポートを行っています。お住まいの都道府県名と、「事業引継ぎ」で検索してみてください。事業引継ぎセンターのサイトが出て来るはずです。

前出のM&A仲介会社が扱う会社は売上高数億円〜100億円程度の会社がほとんどで、購入するには億単位の資金が必要なものが多いですが、事業引継ぎセンターには、夫婦とアルバイトで回しているような売上高数千万円程度の会社も含まれていて、数百万円もあれば買える会社もたくさんあるのです。

決して難しい仕事ではない

なぜ私が「会社の購入」をお勧めするかといえば、読者のみなさんのなかには、中小企業経営に必要十分な知識と経験がある人が大勢いるからです。

ある程度の規模の企業で中間管理職を勤めた人であれば、自分がいた業界で、従業員が15人から30人ほどの会社であればマネジメントできるでしょう。事実、それぐらいの人数を部下として従えて、十数年間働いてきたのですから。ノウハウや経験は十分にあるのです。

何よりも大きなメリットは、今、経営が成り立っている会社を、設備も、顧客も、従業員も、仕入れ先も、取引銀行も、そのまま引き継ぐことができる点です。

きちんと利益が出ている会社であれば、とりあえずは、今のままの業績を保つことができればいいわけです。マネージャー経験のある人にとって、決して難しい仕事ではありません。それから会社をよく見て、よくないと思える部分に改善の手を入れていけばいいのです。

それに、実は中小企業は業務改善によって利益率を上げやすい。大企業にいた人にとっては“当たり前”の管理ができていない企業が少なくないからです。商品ごとの利益管理や在庫管理、従業員の労務管理等が“甘い”会社は多いです。

例えば、昔からの取引関係を相見積もりも取らずそのまま続けていたり、販売に力を入れれば入れるほど赤字になる商品を何の疑問も持たずに一生懸命売っていたり、年に数個出るか出ないかの在庫を大量に持っている、などです。

こうした会社は、前の会社で使っていた管理システムを入れて業務を効率化する、仕入れ先と交渉して原価を下げる、IT管理を導入する、新規営業をするなど、大企業がやっている“普通のこと”をするだけで、業績が大きく改善する中小企業が多いのです。

ポテンシャルは高いのに、経営のやり方が良くないために、業績が悪い中小企業は少なくありません。PE(プライベート・エクイティ)ファンドが狙うのはこうした会社です。

事業そのものは良いが、経営のやり方を間違えているために、多少赤字になっているような会社を安価で買収する。簡単なテコ入れをして黒字化させ、売り先を見つければ、会社の価値は5倍にも10倍にも跳ね上がる可能性があるのです。

そういう方法があるのだ、ということを、まずは知ってください。

老後の収入に二つのメリット

さてここから、老後の「資産形成」という観点で、お金のことを考えてみましょう。会社を買うことで、あなたの老後の収入に、大きく2つのメリットが生まれます。

1つ目は、役員報酬です。たとえば60歳から70歳までの10年間、会社を経営し、手取り1000万円の役員報酬をきちんと貰っていれば、収入の総額は1億円になります。それで100年時代の余生に必要な、月々20万円×40年間分のお金が得られるのです。

もちろん会社の業績が良ければ、役員報酬はもっと高くてもいいでしょうし、接待交際費など会社に経費もつけることができ、税務メリットも享受できます。

2つ目は、エグジット(会社売却)によって出る利益です。会社の評価額の算定方法はさまざまですが、中小企業のM&Aでは、「純資産(資産と負債の差額)+営業利益の3〜5倍」程度で算出するのが一般的です。純資産も営業利益も横這いであれば売買益は出ませんが、業務改善によって営業利益が増えれば、評価が上がり、投資額の何倍もの利益を得ることが可能になります。

ごく単純化して話しますと、例えば純資産がほぼゼロで、経常利益が500万円の会社を1500万円で買ったとします。業務改善をし、経常利益を2000万円に上げることができれば、売却価格は6000万円になり、4500万円の利益が出ます。

一定の利益が出ている会社を、借入れを組み合わせて購入すると、売買益はより大きくなります。毎年の利益から借入れを返していけるからです。

1848とはずがたり:2017/09/24(日) 21:18:16
>>1846-1848
もう少し規模の大きな話をしましょう。例えば、最終利益が1億円出ている会社を、1億円を自己資金で、4億円を銀行から借入れて、5億円で購入したとします。この会社を4年間経営した後、売却したとしましょう。業績が完全に横這いであれば、売却額は同じ5億円です。

しかし銀行から借り入れた4億円は、毎年の1億円の利益で利息を含めて返してしまっているため、売れた5億円はすべて自分の懐に入ります。4年間、横這いの経営をしていただけで、1億円が5億円に化けるのです。もし最終利益を1.5倍にすることができれば、1億円が7.5億円になります。

これは投資ファンドが得意とする、レバレッジド・バイ・アウト(LBO)という手法です。

さてここまで、会社売買の「いい話」ばかりしてきましたが、「もし経営に失敗してしまったら…」という恐怖心があるのではないでしょうか。

もちろんリスクはある。が…

会社というものは、いい経営をしていても、潰れる時には潰れます。会社が倒産した場合、投資した資金が戻ってこないのは仕方がないとしても、貯金や自宅などの財産がすべて没収されてしまうようであれば、生きていけません。そのようなリスクはとても負えないと考えるのが普通でしょう。

中小企業が銀行から融資を受けるためには、社長が連帯保証人となり、会社が倒産したら社長に返済義務があると、みなさん思っているのではないでしょうか。事実、これまでの日本はそうでした。今の中小企業の経営者の多くが融資に対して個人保証をしています。

しかし今なら、会社は「無担保無保証」で買えます。

近年、国の要請のもと、日本商工会議所と一般社団法人全国銀行協会によって、「経営者保証に関するガイドライン」が策定され、「法人と個人が明確に分離されている場合などに、経営者の個人保証を求めないこと」と示されました。

これにより、新規の融資の際に個人保証をつけない方針が示されたとともに、事業承継時においては、経営者保証が解除されるように指導されることになったのです。そうでなければ親族外への事業承継は進まず、中小企業の倒産が増え続けるからです。

つまりM&A(会社売買)のリスクは基本的に「株式取得に必要な買収資金のみ」になったのです。

その買収資金についても、財務状況によっては社長個人保証なしに法人(会社)が銀行から借りることが可能なため、さらにリスクを限定することができるようになりました。企業選定にあたっては、社長個人保証が不要であることを一つの条件にすればいいのではないでしょうか。

また昨年4月には中小企業の事業承継を促進するための「承継円滑化法」が施行されました。政策金融公庫の融資や保証協会の特例措置などが受けやすくなり、親族以外の事業承継がしやすくなりました。

このように、「会社を買う」環境は年々整ってきているのです。個人で会社を購入し、社長になる、というのは夢でも何でもないことなのです。

もちろん、なかには買ってはいけない「危ない会社」もあります。あるいは、タチの悪い仲介会社が、あなたを騙そうとするかもしれません。そういう人たちが存在していることは、否定しません。また、会社を経営することがどれだけ大変かは、皆さんの想像するとおりです。経営者になるにあたって、資質や資金的な余裕は必要でしょう。そのようなトラブルや注意点は、また機会があれば紹介したいと思います。

そうしたリスクはあるけれども、これからの社会では、何もしないでいることも一つのリスクになるのです。そのなかで、万人に向いているわけではなくとも、「会社の購入が、退職後の選択肢のひとつである」ことを、皆さんに知っていただきたいのです。

セカンドライフをいかに過ごすか。夫婦でのんびりと旅行をするのもいい。夫婦それぞれに趣味を持ち、自分の時間を楽しむのもいい。住みたい場所に移住するのもいいでしょう。

しかしそのためには、多くの人は、60代定年ではたぶんお金が足りません。資産運用や再雇用、あるいは飲食店経営…さまざまな選択肢があるなかで、あと10年、「社長」として働くという選択肢についても、検討してみてはいかがでしょうか。

(取材・構成/嶺竜一)

1849とはずがたり:2017/09/24(日) 21:23:45
金融・投資・マーケット企業・経営
飲食店経営に手を出したら、その先には「地獄」が待っている
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52348
町中華は残り、あなたの店が潰れる理由
三戸 政和

筆者は前回掲載記事で、退職後の選択肢として、退職金で会社を買うことを薦め、逆に多くの人がやりがちな「退職後の飲食店経営」については否定的に書いた(>>1843-1848)。これには、大きな反響が寄せられた。

特に、規模を問わず飲食店を経営したことがある人たちからは、本記事を読んでこぞって「その通りだ!」という反応を示してくれた。

それでも、脱サラや退職を機に飲食店をはじめたいと思っている人は、後を絶たない。自分好みに味付けした食事を出す店や居心地の良い空間を作りたいと思い、飲食店経営を安易にはじめてしまう人も減らない。なぜか。飲食店経営の厳しさを語る人がほとんどいないからだ。

飲食業は「勝てないビジネスモデル」

筆者は、ベンチャーキャピタリストとして1000以上のビジネスモデルを見てきたと同時に、自身でも事業のゼロからの立ち上げ、飲食業も含めさまざまな投資案件を見極めている。現在、投資実行している会社の売上合計は60億円で、4億円の営業利益を出している。

この経験から感じたのは、飲食業は「基本的には勝てないビジネスモデル」だということである。これはもう、断言してもいい。

もちろん、飲食店経営に夢を持つのは自由だし、成功しているところだってあるのは事実だ。しかし、ここで述べる事だけは、少なくとも頭に入れておいてほしい。

実際に、日本政策金融公庫が行なっている「新規開業パネル調査」における業種別廃業状況において、調査期間の5年間(2011年から2015年)における全業種の廃業率平均が10.2%であるのに対し、飲食店・宿泊業の廃業率は18.9%となっている。

これは、全業種を通して1番の廃業率だ(ちなみに、2番が情報通信業で15.8%、3番目が小売業の14.5%)。まず、データが飲食店経営の難しさを物語っているのである。

事前の情報・リスク把握をせずに、安易に事業をはじめて過酷な競争環境で負け続け、初期の設備投資で資金が枯渇してしまう…というのが「飲食業の負けパターン」なのだが、今回は具体的に、どのような理由で飲食業が「勝てないビジネスモデル」なのかをお伝えしたいと思う。

なぜ、郊外のさびれた中華店が存続するのか

まず、「上」をみてみよう。外食産業の売上高トップは、すき家やなか卯を運営するゼンショーで、売上高は5400億円。一見大きな数字に見えるが、外食産業の市場規模が25兆円であることを考えると、たったの2.4%のシェアしか有していない。

さらに外食産業のトップ10企業の売上を合計しても2.2兆円、全体の8.7%のシェアにしかならない。独占的な企業がないということは、外食という産業が、毎年毎年、数多くのプレイヤーが新規参入し、競争に敗れながら退出している「レッドオーシャン」であることを示している。

25兆円市場は、参入の余地も多いが、それだけ激しい入れ替わりが起こっているということだ。

さて、ここでひとつクイズを出したい。大手外食チェーンが倒産することもある一方で、あまり美味しいとも思わない中華料理店が、数十年も続いていることもある。みなさんの家の近くにも、いわゆる「町中華」が何店舗か存在するだろう。なぜ、そんな中華料理店が存続するのか?

1850とはずがたり:2017/09/24(日) 21:23:55

これには、いくつか理由がある。一番大きいのは、人件費がほとんど掛からないことだ。町中華には、夫婦で切り盛りし、忙しい時間帯には子供も手伝うようなお店が多い。また、自分の店で食事をとれば食費も浮くので、生活にかかる経費を大きく落とすことができる。さらには、店と自宅が共用であれば、家賃負担も大きくならない。

飲食ビジネスの言葉で、FL比率というものがあるのをご存じだろうか。Fはフード(食材原価)、Lはレイバー(人件費)である。これを売上の55%以下に落とさないと、採算が合わなくなり、経営が傾くと言われている。

食材原価を抑えるために、一皿ごとの食材量を細かく計算したり、同じ食材を他に転用できるようにメニューを工夫したり…と涙ぐましい努力を日々行わなければならないのだ。だいたいのお店の日替わりランチメニューが、前日の夜の食材転用であるのは、みなさんご承知の通りである。

また後述するが、人件費の調整は、アルバイトのシフト編成なども絡まって、さらに難しい問題となる。

ここで何が言いたいかといえば、あなたが飲食店を開くことに対して家族の理解があり、家族が手伝うことで人件費・運営費が下げられるなら、まだ可能性がある。逆に、いちから食材コストを管理し、人を雇うということになれば、まずはこの「町中華」に勝たなければならないのだ。

これがいかに難しいかは、あなたの家の周りの飲食店を思い浮かべていただければ分かるだろう。チェーン店は残るが、突然オープンした謎の居酒屋はすぐに姿を消す。一方で、町中華や、中国人が家族で経営する中華料理店は、なぜだか残っていたりする…。ピンとくる方も多いだろう。

「やってみようかな」が誤り

さらに、外食は箱ビジネスであり、立地に左右され、簡単に動くことができないのも、戦いを厳しくする大きな理由の1つである。隣に新しい競合店ができても、その場で戦い続けなければならない。また、その界隈に同様の店が乱立してしまえば、新しいもの好きの人々はそちらに行ってしまうだろう。

一度流行りのイタリアンが出来れば、「この地域はイタリアンが流行る」と評判がたち、似たような店が乱立する…これも思い当たるところがあるだろう。飲食店を作ってしまえば消耗戦が余儀なくされる。

実は、欧州などはこうした過当競争を避けるため、厳格にライセンスビジネス制を敷くなど、行政が参入障壁を作っている。たとえば、ストリートごとにアルコールを提供できる店舗数を決めており、その提供時間なども22時までとか、0時までとか取り決めがある。また、火を使っていい店舗やダメな店舗というライセンスも店舗ごとに付与されている。

飲食店としては、アルコールの提供ができなければ利幅が小さくなるし、火を使えないとメニューの幅が狭くなるので、これらのライセンスが付与されたストリートの場所取りが激しく行われている。

ロンドンやパリでは、この営業権と呼ばれるライセンスの争奪戦が過熱していて、人が集まる繁華街で飲食店を開設しようとすると、数億円を超える営業権を購入しなければならなかったりする。善し悪しあるが、相応の体力がなければ始められないということは、「やってみようかな」という程度の考えの人の参入を防ぐことにつながっている。

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一方日本は、このような参入障壁がない上に、コンビニやスーパーの惣菜など、他業界との競合も多いことから、利用者が飲食店に求める味のレベルは高くなり、提供価格は驚くほどに安い。いや、利用者にとってはいいことなのだが、飲食業者にとっては、厳しい条件が2つものしかかってくる。

1851とはずがたり:2017/09/24(日) 21:24:11
>>1849-1851
美味い料理を出しても、流行らない

他業界も含めて、強豪ひしめくなかで勝ち続けるためには、その場の雰囲気や料理やお店のストーリーを大切にしていかなければいけない。例えば、宮崎の地鶏を自社の養鶏場から直送し、中間マージンを排除することで、「いいものを安く食べられる」という触れ込みで店舗を拡大した「塚田農場」を想像いただきたい。

宮崎、地鶏、産直…これらを分かりやすくイメージした「農家風の店舗」というストーリーを利用者に提示し、快進撃を続けてきた。ところが、2012年からモンテローザグループが「山内農場」という、非常に似通ったブランドの店舗を増やしていくなど競合が増加すると、塚田農場の既存店売上高は33ヶ月連続で前年度を下回る形となった。

つまり、お客さまが感動するストーリーやプレゼテーションが集客には必要だが、それらは特許のような形で保護できるものでもないので、模倣されやすい。実は、この模倣こそが飲食店ビジネスの難点なのだ。

また、消費者は基本「新しもの好き」である。新業態のなかでも定着するのはほんのわずかであり、飽きられる前に新業態を展開していかなければならない、という苦しみに追われ続けることになる。

ゲリラ戦のような戦いを強いられる日本の飲食業界だが、これに追い打ちをかけるのが、人材確保の問題だ。

人口減少社会に突入し、全業種において人材確保が難しくなってきているなか、「低賃金」「重労働」などブラックな印象が強くなっている飲食業界は、アルバイトの採用において大きなビハインドを背負っている。

そのようななか、アルバイト代を浮かすために、正社員として採用した従業員をサービス残業で働かせ、FL比率を下げる…というのが業界としての「ならわし」になってきている。それが現実だ。

とはいえ、個人で飲食店を経営する場合、新たに「正社員」を雇う余裕はない。家族や知人が働いてくれればいいが、あなたの店で働いてくれる人が頭の中に何人浮かぶだろうか? 浮かばない場合は求人を出さなければならない。求人を探すコストがどれだけかかるかご存じだろうか…?

外食が一番難しいビジネスモデルである

前述の通り、飲食業は、市場環境をみればゲリラ戦のような状況で、血を血で洗う戦いが繰り広げられている。ビジネスは戦争だというが、最も激しい戦闘が繰り広げられているのが、飲食業界なのだ。

そこで勝ち残るためには、武器となる食材や兵士となるスタッフはもちろん、ノルマンディーを攻略するような見事な作戦…つまりは時流にそったコンセプト作りやストーリー作りが大切なのである。

さらには、どういう形で利益をあげるのか、原価率をどう下げるのかを考え抜いたビジネスモデルの構築も必要な上に、商売の状況は日々移り変わりゆく水商売。ミスのない在庫管理や原価計算などがとても重要である。

設備投資にも多くのカネがかかり、箱ビジネスなので移動することもできないという外部環境に依存することから、自助努力では対応できないリスクもある。

はっきりいおう。飲食業は、経営学の本に載っているフレームワークを全て詰め込んで、ようやく土俵にあがれるような、極めて困難なビジネスなのである。料理に自信があるからといったぐらいのことでは、どうにもならない。

脱サラや退職金で、趣味程度にはじめるような気軽さは許させる余地がないということは、ご理解いただきたいのだ。

今日もまた、全国の各地で飲食店がつぶれ、そして新たな「廃業予備軍」が誕生している。筆者自身、コンサルティング業務を行う中で、そうした悲劇を何度も目にしている。その姿をみるたび、飲食業界の難しさを知り、その実態を伝えていなかければ、と思っている。

1852とはずがたり:2017/09/24(日) 21:29:19

飲食店経営に手を出して地獄を見る人の「三つの共通点」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52856
だから止めておけといったのに…
三戸 政和

飲食業界は「飽和状態」である

前回、<飲食店経営に手を出したら、その先には地獄が待っている>>>1849-1851という記事を執筆・公開したところ、多くの反響をいただいた。定年後の生き方が話題になるなか、会社を辞めて飲食店を始めようと考える人が増えているのだろう。加えて、実際に飲食店業を営んでいる方からも「その通り」「手を出すべき業種ではない」と共感の声があがった。

しかし、残念なことに「飲食店は素人が勝てないビジネスであることは分かったが、それでも夢を追いかけたい」という、定年間近の方々のコメントが多くあったのも事実だ。

一体なぜなのか、理解に苦しむ。夢を追いかけることを止めはしない。だが、現実は甘くない。失敗してもいい…あなたはそう思うかもしれない。しかし、妻(夫)や子供たちは、あなたの夢破れたあとどうなるのか。

実際、記事公開から1ヶ月も経たないうちに、私の通勤路にあったラーメン屋が姿を消した。開店したのは、わずか1年前である。オーナーが懸命に貯めてきた資金と長年の夢を、たった1年で取り崩し、消えていったのだろう。

まずはこの図をご覧いただきたい。中小企業調査室が今年4月に発表した、開業と廃業の関係を示したものだ。


拡大画像表示
宿泊業と並び、飲食業は「高開業」かつ「高廃業」の業種に括られている。これが示すところはひとつ。飲食店は参入障壁は低いが、つぶれる可能性も相当高いということだ。

厚生労働省大臣官房統計情報部が発刊している「衛生行政報告例」を覗いてみると、2009年度時点での全国の飲食店の数は144万店とされており、毎年、16万店ほどの飲食店が新規出店しているという。これは、ほかの業種ではありえない数字だ。この業種の人気の高さがうかがえる。

ところがその5年後、2014年の「衛生行政報告例」を覗くと、飲食店施設数は142万店、と微減していることが分かる。日本の外食市場は、完全に飽和状態にあるのだ。さらに、数が増えていないということは、毎年新規出店と同じだけの数がつぶれていることになる(微減なので、新規出店以上に廃業が多い、ということだ)。

もう一度、声を大にして伝えたい。素人が、飲食店経営に手を出すのはやめなさい。そこには、絶対に地獄が待っています。

今回は、それでも諦めきれないという人のために、飲食店を始めようとする人が陥る「3つの罠」を紹介し、その「地獄」の実態を改めて見せていきたい。

独りよがりの店を作りがち

まずは、「プロダクトアウトの罠」を紹介しよう。多くの飲食店がつぶれる理由は、この罠にかかってしまうことにある。

「マーケットイン」「プロダクトアウト」という概念をご存じだろうか。ごく簡潔にいえば、マーケットインは市場や消費者のニーズからビジネスやサービスを考えることで、プロダクトアウトはサービスを提供する側の発想でビジネスを行うことだ。

会社経営をはじめる際に必要な概念なのだが、会社経営をわかっていない素人がビジネスをスタートする際、必ず「プロダクトアウトの思考」に陥り失敗する、と言われている。そして、特にこの思考に陥りがちなのが、飲食店業を始めようとする人なのだ。

会社を定年退職して、退職金で自分の思うようなカフェやレストランを始めようとした場合、とかく「自分の作りたい料理を提供して、内装にこだわって、使いやすい設備をいれて…」と、考えがちだ。顧客が何を望んでいるかではなく、「自分が何をやりたいか」しか考えない…これがプロダクトアウトの発想だ。

気持ちはよくわかる。だが残念なことに、これが失敗の始まりなのだ。

脱サラでそば屋を始める、というケースが典型だ。自分自身がそば好きで、職人も気取れる。こねて茹でるだけなので簡単にも見え、それなりに美味いそばをつくれば、客が来る…と勘違いしがちだ。

しかし、かけそばは、売値の割に原価が高く、単品ではほとんど利益がでない。トッピングやサイドメニューで利益を出さねばならないのだが、そんなことまで考えている人はほとんどいない。

1853とはずがたり:2017/09/24(日) 21:29:35

また、おでん屋をはじめようと考えるのは、愚策中の愚策だ。これもまた「おでん屋でもやろうかな。おでんは好きだし、原価も安そうだし」という、プロダクトアウト型の発想で始めてしまいがちな業種だ。

みなさんは、おでんを年に何回食べるだろうか。カレーやラーメンより多く食べる、という人は少数だろう。おでん業態の顧客の来店頻度は低く、素人ハダシではコンビニのおでんとたいして味の差も出ず、かつ庶民的な食べ物とのイメージが強いため高単価では提供できない。加えて季節商品であることから、夏場は閑古鳥が鳴く。家賃などの固定費の支払いに戦々恐々とする日々が続くことになる。

これらの失敗を避けるためにも、飲食店を始めるなら少なくともマーケットインの発想に立たなければならないのだ。

「いま、世の中にはどういった店(食べ物やスタイル)が求められているのか。出店するならどこがいいのか。そのエリアの競合店舗を考えると、どういった店であれば勝てるのか…」

こんなことを、リサーチしながら延々と考えていく。その結果「この場所でこの業種なら勝てる、生き残れる」という道を見出すことが正解なのだ。

「投資回収」という発想をもたないから

次に問題となるのは、内装や設備などにお金をかけ、初期費用で手持ちの資金が圧迫するという「罠」だ。これを「投資回収の罠」と呼びたい。

ビジネスを始めるときに、「はじまり」を考える人はいても、「終わり」を考える人は少ない。実は、これが大問題なのだ。前回の記事では、飲食店業は戦争と同じだと指摘したが、戦争と同じく、「終わり」を考えないと、地獄への入り口に片足を突っ込むことになる。

「終わり」とはなにか。それは、初期費用にかけたコストを、どれぐらいのスパンで回収するかという計画のことである。

退職金が2000万円あったとしよう。この2000万円を投入する計画を立てるのは簡単だ。だが、「回収」まで考えられる人は少ない。

この目安にもつかえる会計用語に「減価償却」という言葉がある。ほとんどの人が知っているだろうが、簡単にいえば、店を出す際にかかる最初の費用を、経営を続ける年数で「費用」として認識していくということだ。

よくある飲食店のケースで考えてみよう。20坪くらいの小さな店を賃貸で構えようとすると、保証金や礼金、仲介手数料などでまず500万円くらいがかかる。これに加えて、設計内装や厨房機器、POSなどの設置・導入に300万円くらいかかる。また、出店時の広告費(チラシやHP制作)なども考えると、合計で大体1000万円ほどになる。

ここまで考えるのはそう難しくはない。が、この金額を回収する計画を立てられるだろうか。

【PHOTO】iStock
いったいどのくらいの期間でこの初期投資を回収しなければならいのか。飲食店の流行り廃りや競合店舗の進出などを鑑みると、通常は3年。銀行で初期資金を借りている場合、返済計画を考えても、最低5年以内での回収をしなければならない。

1000万円を5年間で均等割りしていくので、年間200万円、つまり月々17万円ほどを取り返さなければいけない。これが減価償却費の概念だ(あくまで、ごく簡潔に表現したものだが)。銀行への返済金額も、おおよそこのような目安感になってくるはずだ。

これに家賃が坪単価1万円だとして、光熱費などを合わせた月々の支払いが30万円となり減価償却費とあわせて47万円となる。

前回の記事ではFL比率の説明をしたが(食材原価と人件費を売り上げ全体の60%以下にしないと、その店は回らない、ということ)、最低限の利益確保として必要なFL比率を60%、最終的な利益を2%残そうとするだけでも、店を回すには月に240万円は売り上げないといけないことになる。

・売上高(100%) 240万円
・食材原価+人件費(60%) 144万円
・家賃など固定費+減価償却費(20%) 47万円
・消耗品や販促費などその他販売管理費(18%)43万円
・営業利益(2%) 6万円
それだけ売り上げても、なんと利益は6万円しか残らない。恐ろしい話である。

その店、満員に出来ますか?

では、「月に240万円の売上を立てる」。このことが具体的にイメージできるだろうか。

月240万円を売り上げるために考えなければならないのは、「席数」と「満席率」である。まず20坪の店舗面積で、どれだけ客席を取れるかを考える。席数の取り方は、業態や不動産物件によっても変わる。牛丼屋は肩を寄せ合って食べても苦にならないが、割烹料理では個室が求められるから席数は多くとれない。気に入った不動産物件のまん中に柱があれば、うまく席数が配置できずに席数が減ったりする。

1854とはずがたり:2017/09/24(日) 21:29:58

「満席率」は、その席数のうち、何席が現実的にうまるのかという数値で、4人がけの席でも2人で使われたら、満席率は50%となる。

これらの席数を、一日(あるいは時間当たり)何回使えるかを示すのが回転率だ。

牛丼屋だとすぐに食べて店を出ていくので、ランチ時なら5回転。20席あれば、一時間で100人をさばける。逆に割烹料理のランチだと、お客は1時間居座って帰らないから、回転率は低い。一日に1回転がやっとで、20席なら一日20人だ。席も広くとるから、満席率は70%程度。結局14人しかさばけないことになる。

客が平均して支払う金額を客単価というが、牛丼屋が500円だとすれば、ランチに100人来て売上5万円。割烹料理のランチが4000円だったとすると、ランチ売上が5万6000円となる。客単価で8倍違えば、回転率の5倍の差は埋められる。

ただ、割烹料理の家賃(牛丼屋よりは広いので、必然高くなる)まで考慮すると、割烹料理のランチ営業は大きく不利となる。だから、割烹料理屋のランチは、ディナーに来てくれる客をつかまえるための「お試し利用」の意味と、前日に余った食材を消費するためにあるのだ。

このかけ算で売上が出来上がっていくのだが、さらに変数は存在している。ランチタイムとディナーでは同じ店でも客単価は異なる。場所によっても、オフィス街であれば土日の客入りは少ないので回転率は低くなり、昼間の住宅街であれば、ランチタイムは回転率を期待することはできないだろう。

飲食店は、装置産業に近い部分もあることから、安定して席を埋めることが重要となる。そのために、朝の喫茶店は、「モーニング」で軽食を提供することで客を呼び、ランチタイムには、ダラダラと居座られないよう「禁煙タイム」を導入する。

一方で、愛煙家を呼び込むために、ランチの時間を過ぎれば、喫煙可とする飲食店も多い(これで喫煙、禁煙両方の客を取り込むことが可能だ)。居酒屋メニューを提供する吉野家のちょい飲みは、牛丼業態で最も弱い、夜の時間に立ち寄ってもらうための打ち手だ。

では、このような計算式をベースに、月240万円を売り上げるには、どのくらいのお客さんを呼ばなければいけないのかを考えたい。

20坪のお店で、26席取れ、満席率が70%で、2回転する業態を想定する。一日に36人が来てくれる計算だ(26席×70%×2回転=36.4)。客単価が2,500円だとすると、一日の売上が9.1万円となる(2500円×26席×2回転×70%=9.1万円)。これで週に一回休むとすれば、月商240万円程度となる(9.1万円×26日)。

つまり、一回で2500円使ってくれるお客が毎日36人くればなんとかなるのだが…あなたが夢みるお店は、平均で2,500円使ってくれるお客さんを毎日36人集めることができるだろうか。

「友達がきてくれる」は、大間違い

ここで、3つ目の罠が登場する。それは、「友達の罠」だ。友達が来てくれれば、店は何とかなる、と思い込んでしまう罠である。

あなたには、何人の友達がいますか。オリコン調べでは、友達の数の平均は、学生で44.8人、20代で21.4人、30代では15.1人と、年齢をかさねるにつれ減っている。悲しいが、これが現実だ。仮に、この友達が全員、毎日あなたの店に来ても、目標売上の半分にしかならない。計算式は割愛するが、売上が半減すれば、いっきに月20万円の赤字となる危険性を秘めている。

逆に尋ねよう。あなたの周りにも、友達あるいは知人がオープンしたお店があるだろう。あなた自身は、そのお店にどのくらいのペースで行っているだろうか。最初の数回足を運んだら、その後は、なんとなく足が遠のいているということがほとんどのはずだ。

一般に、初めてお店に来たお客さんが再訪する率は40%といわれている。2回目に来てもらえる率が32%。3回目に足を運んでくれる割合は、26%となり、4回目も来てくれるようになるには、23%となる。4回来てくれた人は、常連になりやすいともいわれている。つまり、36名の常連客を確保するには、新規で160名が店に訪れなければならない(160名×23%=36名)。

当然、その36名が、毎日店に来るわけではない。「マイボイスコム」の調査では、全ファミリーレストランの来店頻度について、月に1回以上と答えた人が全体の20.0%、月に1回程度が27.4%、数ヶ月に1回程度が52.7%となっている。このデータをもとに考えると、同じ店に2、3ヶ月に1回来てくれたら「御の字」なのである。

仮に常連客が2ヶ月に1回来てくれると考えた場合、月の営業日数が26日だから、52日に1回しか来てくれない。常連客だけで店を回せるようになるには、160名に52日をかけた8320人が新規で来店しなければ、月の利益6万円を達成することができないことになる。

1855とはずがたり:2017/09/24(日) 21:30:29
>>1852-1855
ここで落ち着いて考えて欲しい。あなたの友人知人の数は、8000人を超えていますか(残念ながら、Facebookの友達上限数は、5000人だ)。

自分の店の場合、常連客はもっと増えるし、もっと定期的に増えるはずだ…そう考えるのは自由だが、そうした「希望の屍」が積みあがってできたのが、このデータなのだ。

ひとつの変化で、一気に大赤字

このように「回収」と「集客」がいかに難しいかが、マーケットインの発想を持てばおのずと見えてくるのだ。当然、あなたが競合する外食チェーン店は、これらの数値を緻密に計算し、システム化しながら、日々の係数管理もおこなっているのである。

また、これまで見てきた数値は、仮置きの計算であり、不動産の条件や業態、近隣の競合状況や、人件費の変動などによって、すぐに変わってしまうものである。

さらに前回も少し触れた「人手確保」の問題も出てくる(いうなれば、4つ目の罠だ)。大手外食チェーンであれば、従業員が突然辞めても、近隣の他店舗から緊急で人を派遣することで対応ができたり、正社員とアルバイトで全体の人件費を調整することができる。人材採用も採用センターで一括して行うことから、人材難のご時世でもなんとか人手を確保できる。

一方で、個人経営の飲食店では、手伝ってくれる予定だった奥さんが病気にでもなれば、融通の利く働き手を欠き、人手確保にも奔走しなくてはならない。ここで、アルバイトを雇うとなれば、当然、FL比率が上がってしまい、当初の収支計画が大きく変わってくる。

また、店の料理が職人に依存するような業態であれば、その職人が辞めてしまえば、メニュー構成も変更せざるをえない。これは決して割烹料理などに限らない。たとえば、焼肉における肉の加工などであれば、職人が加工するのと、アルバイトのような素人が加工するのでは、利用できる肉の割合が10%は変わってくる。これは、直ちに、原価率に影響をおよぼす。

このようなことを避けるために、焼肉チェーンの牛角は、セントラルキッチン方式を取り、加工センターで効率的に加工した肉を店舗に送り、店舗では皿に盛り付けるだけという業務改善を行った。

牛角は「人に依存しないビジネスモデル」で勝ちパターンを作りあげたが、個人レベルでここまでできるとは考えにくい。規模の経済が働く、チェーンならではの戦い方なのである。

自分の力ではどうにもならないこと

さて、最近の起業ブームの中で、「ピボット経営」という言葉がよく使われるようになっている。事業の大まかな軸はずらさず、トライアンドエラーでビジネスのあたりをつけ、事業の形を変えながら、収益があがる事業を特定していくという経営手法だ。

消費者の嗜好サイクルの変化が早くなり、ニーズを先読みしてサービスを提供することが必要となってきている時代だ。一つの事業に大きく投資するのではなく、怪我を負わない程度で勝負し、勝てなければ次の事業に挑戦していく…これをバスケットボールのピボットに例えているのだ。

ところが飲食店経営では、このようなピボットを踏むにも、簡単に業態変更はできないうえ、店舗の移動もできない。個人経営の飲食店は資本力もなく、設備投資の大きい飲食店経営で、トライアンドエラーを繰り返しにくい。初打席で初安打を打たなければいけないのだ。そんな「超高校級」の才覚の持ち主はどれだけいるだろうか。

別に夢を持つ人を揶揄したいのではない。30年間立派に会社勤めをした人や、若くて意欲のある人に、飲食店ではなく、ほかにも才能を活かせる道があるはずだ、と伝えたいだけだ。

進むべき道は飲食店だけではないのだから。

1856とはずがたり:2017/09/27(水) 11:30:27
イギリスの団体が策定した大学ランキングではイギリスの大学がトップになってるし,なんで人間って公平な基準を考えられないバカなんだろうね。。(;´Д`)

日本の競争力、9位に後退=香港躍進で―世界経済フォーラム
https://news.goo.ne.jp/article/jiji/business/jiji-170927X617.html
07:07時事通信

 【ロンドン時事】世界の政財界トップが集まる「ダボス会議」を主催するスイスのシンクタンク、世界経済フォーラム(WEF)は27日、2017年の国際競争力ランキングを発表した。日本の総合順位は137カ国・地域中の9位で、前年の8位から後退した。低下は2年連続。鉄道などのインフラが高い評価を得たものの、香港が前年の9位から6位に躍進したことで順位が押し下げられた。

 首位の座は9年連続でスイスが維持し、2位は米国(前年は3位)、3位はシンガポール(同2位)。香港は空港などのインフラの質が世界トップで、企業に有利な税制も評価された。

 日本はインフラの質が4位(同5位)となり、インターネットなどの技術普及度も15位(同19位)に上昇。財政状況や物価など「マクロ経済環境」が93位(同104位)に上がった。

1858とはずがたり:2017/10/22(日) 11:18:51
自身の一票を生かすために ゲーム理論の専門家に聞く
https://news.goo.ne.jp/article/asahi/politics/ASKBN562SKBNUTIL03N.html
01:08朝日新聞

 22日投開票の衆院選では、民進党が分裂したこともあり、小選挙区に多くの候補者が立候補している。特に強く支持する政党や候補者がいない場合、有権者はだれに投票すればいいか迷うかもしれない。自身の一票を生かすために、いくつかの方法がある。

 まず、自分が求める候補者の資質や政策に基づき、最も合うと思う候補者を選ぶ方法だ。他人の行動を踏まえ、合理的に利益の最大化をめざす「ゲーム理論」が専門の船木由喜彦・早稲田大政治経済学術院教授(60)は、この方法を「誠実投票」と呼ぶ。

 一方で、そういう候補者がいたとしても、自らの感覚や報道などで当選が極めて難しいと判断した場合、自分の一票を「死票」にしたくないと思う有権者もいるだろう。

 その場合、自分からみてベストではないが、勝機がある別の候補者にあえて投票することで一票を生かす「戦略的投票」(船木教授)がある。

 例えば、A、B、C、Dの4候補者のうち、自分が支持する候補者Cが最下位で、他の3人から大きく引き離されている場合。「誠実投票」でそのままCに票を投じると「死票」になる可能性が高い。このため、仮にAとBが接戦で、Bが自分の考えにより近い候補者であれば、Bに投票する方法だ。

 船木教授は「自分の目標によっては、『戦略的投票』は最善とは限らないが、自身の考えを少しでも投票結果に反映することができ、死票を防ぐ効果がある」と解説する。

 今回の衆院選は、野党が分裂して新党ができたことや、そこに加わらなかった無所属の候補者も立候補したことで、一つの選挙区に多くの候補者が立つ例が多い。このため、船木教授は「従来の衆院選より、こうした戦略的投票が増えるのではないか」と話す。(多田晃子)

1859とはずがたり:2017/11/04(土) 09:05:40
ノーベル経済学賞のセイラー教授が提唱する「ナッジ」が重要な理由
Forbes JAPAN 2017年10月10日 16時35分 (2017年10月12日 11時06分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/economy_clm/20171010/ForbesJapan_18041.html

米シカゴ大学のリチャード・セイラー教授がノーベル経済学賞(ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞)を受賞した。同教授をはじめとする「行動経済学者」たちは、心理学と意思決定理論、経済学、社会学を融合させ、世界に対する私たちの見方を変える重要かつ成熟した経済学の一分野を創り出した。

セイラー教授らは経済学者ケインズのいう「アニマルスピリッツ」を科学的なアプローチで捉え、お金の問題や日常の決断に関する非常に重要な判断基準を私たちに示してくれた。同教授が現代の最も重要な経済学者である理由は、以下に挙げる行動経済学の4つの考え方のためだ。

1. 「ナッジ」は「ナッグ」より重要

米国でベストセラーとなったシカゴ大学法科大学院教授、キャス・サンスティーンとの共著「実践 行動経済学 健康、富、幸福への聡明な選択」(原題: Nudge)の中でセイラー教授は、私たちが金融行動においてより良い結果を得るためにはどうすべきかについて議論している。

教授らによれば、私たちは何かのやり方を変えるよう「ナッグ(しつこく文句を言う)」されたときよりも、「ナッジ(肘で軽く突く)」されたときの方がずっと良い結果を出す。

例えば、退職後に備えて蓄えておく必要があることは、私たちの誰もが分かっていることだ。だが、企業年金制度(401k)の大半は、私たちに貯蓄することを「自発的に選択」し、蓄えに回す金額を設定し、どの投資信託を買うか選ぶことを求める。だが、それではほとんどの人たちにとっては、(要求が)過剰なのだ。そのため、貯蓄が不足する人が大半になる。さらに、米国ではおよそ半数の雇用者が、退職金制度を設けていない。

そこで、セイラー教授とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のシュロモ・ベナルツィ教授は、「セーブ・モア・トゥモロー(Save More Tomorrow、明日はもっと貯めよう)」というプログラムを考案した。一定の金額を401kへの積み立てに回すことを基準とし、貯蓄を増やすよう従業員たちを「ナッジ」するというものだ。

つまり、「貯蓄しない」ならそれを選ばなければならない。この場合、大半の人は貯蓄をするようになる。自動的に貯蓄する401kプランに加入している人は、その他のプランに入っている人の3倍以上、貯蓄をしている。

2. 「簡単さ」が重要

私たちは金融行動に関して、あまりに複雑な意思決定を強いられている。セイラー教授はかなり以前に、そのことに気付いていた。そこで教授は、選択に関する基本設計概念「選択アーキテクチャ」を改善することに注目した。

1860とはずがたり:2017/11/04(土) 09:05:52
>>1859
教授は、選択肢の提供の仕方が違いを生むと考えている。例えば、加入するクレジットカードを選ぶとき、支払うことになる料金や手数料を事前に確認できたらどうだろうか?規約や規定を苦労して読むよりも、選びやすくなるのではないだろうか。

3. 経済学は理論である前に「人間」の問題

経済学、そして何が市場やお金を動かすのかといった問題については、多くの大理論がある。だが、何が起きているのか突き詰めて考えていくと、問題は最優先されていない私たちの感情や意思決定にあるということが分かる。

伝統的な経済学は私たちが自らの利益のために行動する「合理的行為者」であるとの見方を維持している。だが、それではなぜ、私たちは常に株式市場の頃合いを測り、最も高い費用がかかる信用取引を行い、最も良い株を選ぶことができると考え、そして損失を出すのだろうか?

セイラー教授らが注目するのは、実際には私たちの脳がどのように働いているかという点だ。私たちは繰り返し、良くない決断をする。それは、私たちの感情が合理的思考を抑え込むためだ。

4. 重要なのは金融知識の「使い方」

米国ではほとんどの人が、緊急時のための貯蓄が不足している。連邦税の還付を受ける納税者に、自動的にその還付金を貯蓄に回すことを選択できるようにしてはどうだろうか。

また、401kに加入する人は、列挙されている数十もの投資先の中から、自分が投資するものを選ばなくてはならない。その負担を強いる代わりに、ポートフォリオは事前に設定しておき、加入後にそれぞれのリスク許容度や年齢、キャリアに応じてカスタマイズできるようにしてはどうだろう(ターゲットデートファンドは、すでにこのような形態を採用している)?

あるいは、個人の信用情報や収入に基づき、利用可能な住宅ローンやクレジットカード・ローンの中で最も低金利の商品を即座に見つけることが可能なアプリケーションを開発してみてはどうだろうか。はるかに効率的に、そして簡単に、貯蓄ができるようになるだろう。選択肢が多いことがより良い選択肢だとは、限らないのだ。

行動経済学の科学が直面する課題は、私たちが退職後に個人の尊厳を維持することを支援し、金融に関するその他の目標を達成することを支援するということだ。当然ながら、行動経済学には今後なすべきことが数多くある。だが、私たちはお金の問題に関して、以前より安全な世界にいる。セイラー教授の優れた働きのおかげだ。
John Wasik

1861とはずがたり:2017/11/11(土) 18:13:26
コピペ・引き写し…会計士の卵12人、論文盗用で処分
https://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/ASKCB4TS8KCBULZU00V.html
16:46朝日新聞

コピペ・引き写し…会計士の卵12人、論文盗用で処分
会計士は、試験合格だけでなく、実務補習などを終えると活動できる
(朝日新聞)
 公認会計士試験に合格し、登録に必要な実務補習を受ける補習生12人が提出した論文に、他の文献を引き写す盗用行為が見つかり、処分されていたことが分かった。東芝の不正会計問題などで「監査の質」が問われており、「再発防止策を早急に講じるべきだ」との声があがっている。

 盗用行為をしていたのは、金融庁から実務補習団体として認定を受ける「会計教育研修機構」(東京)に通う補習生12人。今春から夏にかけて提出した論文で、ウェブサイトからコピー&ペーストしたり、他の資料や文献を引き写したりしていた。

 会計士試験に合格しても、2年以上の業務補助と3年の実務補習を修了しないと、会計士として活動できない。実務補習では課題研究として、論文を3年で6回提出して単位を取得する。

 過去にも盗用行為があったため、今回論文をチェックしたところ、数十人の論文で盗用とみられる部分が見つかった。機構はこのうち、盗用部分が大半を占めた12人について、提出論文を無効にしたり、所属する監査法人に通知したりするなどの処分をした。

 朝日新聞の取材に対し、大手のあずさ監査法人と新日本監査法人は、各3人の補習生が盗用していたことを認め、全員を厳重注意処分にしたことを明らかにした。監査法人トーマツも補習生1人を降格処分とした。PwCあらた監査法人は、人数を明らかにしていないが、該当者を厳重注意処分にしたという。

1864とはずがたり:2017/11/21(火) 15:01:03

2017.10.12
神戸製鋼も…名門企業が起こす不正の元凶は「世界一病」だ
http://diamond.jp/articles/-/145364
窪田順生:ノンフィクションライター

 鉄鋼3位の名門、神戸製鋼所で「不正ドミノ」が起こりつつある。

 10月8日、アルミニウムや銅の製品の一部で、契約した製品仕様に適合するようにデータを改ざんして約200社に出荷していたと発表したかと思いきや、11日には他部門にも調査を広げたところ、鉄粉でも同様の改ざんが行われていた疑いが出てきた。

 実は、神戸製鋼は昨年もグループ会社で、ばね用ステンレス銅線の強度を偽って出荷したという「前科」がある。「申し訳ありません、再発防止に努めます」と殊勝な顔をして謝るのだが、ほどなくして次から次へと新たな不正が発覚するという、まるでかつての三菱自動車のような「不正のフィーバー」状態に陥っている恐れもある。

 また、8日の会見で梅原尚人副社長は、社員数十人が関与していたことを認め、約10年前から行われていたケースもあったと明かしている。つまり、一部の人間が行っていたわけではなく、「平常運転」として組織全体に蔓延していた可能性も否めないのだ。

 このあたりはぜひとも社内調査や、メディアのみなさんの調査報道で明らかにしていただきたいと思うのだが、その一方で個人的には、今回のような「不正ドミノ」を招いた元凶は、ある「病」ではないのかと考えている。

 それは、「世界一病」である。

「は?『大企業病』は知っているけど、そんなの聞いたことがないぞ」、という声が聞こえてきそうだが、実はこれ、日本の基幹産業を担う大企業から小さな町工場まで、ありとあらゆる業種や企業に蔓延している、かなりポピュラーな病なのだ。

 ザックリとその「症状」を紹介すると、組織をあげて「世界一」というスローガンを大合唱して技術の細部、組織内の評価、そして業績の拡大ばかりにとらわれて、知らず知らずのうちに安全や品質を軽視してしまうという「モラルハザード」である。

1865とはずがたり:2017/11/21(火) 15:01:27
>>1864


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2017.10.12
神戸製鋼も…名門企業が起こす不正の元凶は「世界一病」だ

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A
A
かれこれ30年以上も
「世界一」を追求してきた

 神戸製鋼所の「世界一病」はかなり重い。たとえば、いまから30年前には、後に副社長となる森安正常務(当時)がこのようにおっしゃっている。

「日本の鉄鋼は世界で一番高いといわれるが、品質が一番いいのだから当たり前でしょう」(日経産業新聞1988年11月28日)

 この「世界一」への強い執着は2000年代に入っても一向に衰えを見せない。「品質に対する日本のユーザーの目は世界一厳しい」「顧客に鍛えられた結果、技術力が大いに高まり、負けない自信がある(日経産業新聞2004年10月15日)と真岡製作所の所長さんが述べたかと思うと、鉄鋼業界再編の動きが加速してくなかで、犬伏泰夫社長(当時)も「量」を追う買収ではなく、「技術力に磨きをかけて勝負する」(日本経済新聞2007年5月31日)と宣言した。

 つまり、神戸製鋼所という企業は、もうかれこれ30年以上も「世界一の技術」を追い求め続けてきたということが言えるのだ。

「素晴らしいことじゃないか、こういう企業が日本のものづくりを支えているのだ」という意見もあろうが、それは「外野」の人間だから言える。

 当たり前の話だが、神戸製鋼所にお勤めの方たちは、「世界一の技術」だけを追い求めていればいいというわけではなく、企業としての利潤も得なくてはいけない。しかし、原材料高や中国事業での損失処理によって、2017年3月期の連結純損益は2期連続の赤字に沈むなど、その事業環境は厳しい。

 そこで想像してほしい。何年も何十年も「世界一の技術」を追い求めるように教育されている人たちが、このような苦しい戦いを強いられるようになったらどうなるだろうか?

 業績が悪化したからといって、「世界一の技術なんてできません」という泣き言は決して許されない。偉大な先人たちが何年、何十年も「たすき」をつないできた、企業の根幹をなす目標だからだ。そのプレッシャーに押しつぶされそうになりながら、同時に数字という「結果」も出さなくてはいけない。



1866とはずがたり:2017/11/25(土) 14:10:52
<三菱マテ系不正>「日本のものづくり」不信に拍車 毎日新聞社 2017年11月24日 21時49分 (2017年11月25日 00時00分 更新)
https://www.excite.co.jp/News/economy_g/20171124/Mainichi_20171125k0000m020132000c.html
三菱マテリアル子会社の不適合品の出荷状況


 三菱マテリアルの子会社(三菱電線工業、三菱伸銅、三菱アルミニウム)が自動車や航空機向けなどに出荷した素材製品の検査データを書き換えていた問題は、出荷先が274社と広範囲に及んだ。神戸製鋼所に続く品質データ改ざんで、改めて日本のものづくりのあり方が問われそうだ。

 問題の三菱マテリアル子会社3社が扱う素材は鉄道車両や航空機、自動車などに幅広く使われており、取引先各社は不適合品の使用状況や安全性の確認に追われている。相次ぐ「品質偽装」が日本のものづくりへの信用低下に拍車をかける事態となっている。

 JR東海の柘植康英社長は24日、東京都内での記者会見で「(不適合品の使用は)1次製品、2次製品、いろいろな可能性がある。調査しないと(不適合品の使用の可能性は)何とも言えない」と述べ、事実確認を急ぐ構え。MRJ(三菱リージョナルジェット)を開発する三菱重工業子会社も「取引の有無を含めて確認中」という。英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は、航空機大手の米ボーイングと欧州エアバスも自社製品への使用状況を調査中と報じた。

 自動車では、トヨタ自動車が国内工場への不適合品の納入がないことを確認したほか、マツダは3社からの直接購入はないと明らかにした。ホンダも二輪、四輪と芝刈り機などの汎用(はんよう)製品では直接購入はないという。他の自動車大手は状況を確認中だが、取引先経由で購入している部品も含めた安全性の検証には時間がかかりそうだ。

 東京商工リサーチによると、三菱マテリアルと子会社3社の直接取引先は仕入れ先で1617社、販売先で1052社に上り、7?8割は中小企業。「安全確認や出荷停止で取引が見直されたりすれば、経営体力の乏しい企業の業績への影響が懸念される」(同社)。世耕弘成経済産業相は、24日の閣議後の記者会見で「公正な取引の基盤を揺るがす不正事案」と批判、実態把握とともに出荷先への対応を急ぐよう指示した。

 先に不正が発覚した神戸製鋼所では、三菱重工が調達先の変更を検討する考えを表明。川崎重工業やJR西日本が費用負担を請求する姿勢を示している。

 経営コンサルタントの小宮一慶氏は「競争が激化するほど質を高め、利益につなげるのが日本のものづくりの強み。逆に品質をごまかすのは日本を代表する企業としての矜持(きょうじ)を欠き日本製の信用を裏切る行為だ」と批判。「取引の開始時には品質をチェックするが、その後は『大企業だから安心』とみなす取引慣行が甘えを許している面もあるのでは」と指摘する。【和田憲二、古屋敷尚子】

1867とはずがたり:2017/11/28(火) 07:39:47

なかなか興味深い。企業も主義主張で顧客を囲い込む時代になったらどうなるかな?
基本的に自民党支持の企業は使わない気概でいるけどそんなんしたら使える店無くなっちまうからオーナーが自民党議員とかはジョイフル以外は使うの避けてるし零細商店は使わずイオンを使おうと頑張っている。毎時の消費行動が政治斗争なのだw日常は刺戟に満ちあふれているなぁ(・∀・)

もう企業に「必要以上の利益」はいらない
プレジデントオンライン 2017年11月27日 09時15分 (2017年11月27日 13時51分 更新)
https://www.excite.co.jp/News/economy_clm/20171127/President_23697.html

企業は利益を追求する存在だといわれる。だが「『必要以上の利益』はいらない」と明言する企業がある。世界49カ国で930店以上を展開するイギリス発のコスメブランド「ラッシュ(LUSH)」は、意図的に上場を避け、社会貢献など利益にならない活動に熱心に取り組んでいる。その狙いを英国本社の経営幹部に聞いた――。

■パッケージを必要としない「裸」の商品
「あなたにとって、そのパッケージは本当に必要ですか?」
イギリス発のコスメティックブランド、「ラッシュ(LUSH)」が今、商品を通じて消費者にこう問いかけている。
同社の2017年のクリスマスシーズンのテーマは「ネイキッド・クリスマス」。店頭にはカラフルなボトルが並んでいるようにみえるが、よくみると石鹸のようにボディソープやボディローションを固めたものだ。一連の商品はパッケージを必要としないため、同社では「ネイキッド」と呼んでいる。

ラッシュは創業以来、ゴミの削減を続けてきた。「ブラックポット」と呼ばれる商品容器は100%リサイクルプラスチックを使用しており、全店舗で容器回収も行っている。またビニールにみえる袋は、土に還る生分解フィルムだ。イギリスでソープの量り売りを始めた1995年から、ネイキッド商品の販売を開始しており、パッケージを必要としない「裸」の商品は同社のアイコンのようなアイテムだった。クリスマスのキャンペーンは、こうした取り組みを改めて強く打ち出したものだ。店頭にはネイキッド商品だけでなく、その隣にはボトル入りの商品も並んでいる。つまり、買う側はどちらでも好きに選ぶことができる。選択肢を設けることで、ゴミの削減について消費者に考えてもらう、というのが、キャンペーンの趣旨だ。

■重いメッセージを楽しく伝える
クリスマスにはプレゼント需要が増える。カラフルでユニークな商品が多いラッシュにとっては非常に重要なシーズン。リピーターだけでなく、初めてラッシュを訪れるお客さんに、ラッシュのポリシーを伝えるのにうってつけ。そのため、シーズン商品の8割をネイキッド商品で埋め尽くし、メッセージをクリアに表現した。
ラッシュは意志をハッキリと示す企業だ。今年、10周年を迎えた「チャリティポット」というハンド&ボディローションの商品は、社会問題に取り組む小さな草の根団体やプロジェクトへの寄付を目的としたもので、これまで日本国内では508の団体、プロジェクトに総額5億2000万円の寄附を行っている。
昨年は、インターネットへのアクセスを遮断する国などへの抗議として、「エラー404」というバスボムを発売した。これは浴槽に入れるとゴールドのラメがキラキラ光る入浴剤で、湯にとけると「インターネット遮断に立ち向かう#KeepItOn」というメッセージが浮かび上がってくる。重いメッセージを楽しさでくるんで伝えるのがラッシュ流だ。
また、イギリスの本社ではイギリスのEU脱退に反対する姿勢を明確に表明した。つまり、自社が政治的に左派の思想を持っていることも隠さない。

■同性のパートナーがいることを自然に話せる
さらに人材採用においては、いわゆるLGBTフレンドリーな企業としても有名である。数社を経て、現在、ラッシュで広報を務める、自身もゲイという小山大作さんは言う。
「ラッシュで働き始めて、自分が自然に自分自身でいられるってこういうことなんだ、と痛感しました。それまで勤めていた企業で無理をしていた自覚はありませんでしたが、やはり、自分を押し殺していた部分があったんだな、と思いました。私だけではなく、さまざまなセクシャリティを持つ社員がいます。弊社では、雑談中に自然に同性のパートナーがいることを話せますし、時には家族と同僚と一緒に余暇を過ごすこともあります。積極的にオープンにするかしないかはそれぞれの選択ですが、オープンにしたとして、誰もそれを奇異と捉えない社風の中で働ける。気持ちが楽になり、これがあるべき姿だと確信しました」

1868とはずがたり:2017/11/28(火) 07:40:18
>>1867
動物の権利擁護、環境問題、LGBT、フェアトレード、地域再生などの、多方面にわたる社会問題に、コスメを媒介にコミットするラッシュの方針の核はどこにあるのか。2017年9月、ロンドンで行われた同社のイベントで、CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)としてデジタル全般、ブランド構築や商品開発を手掛けるジャック・コンスタンティン氏に話を聞いた。

――ラッシュは非上場企業ですね。なぜ上場しないのですか。われわれは上場企業ではできないことをやっていきたい。私企業で居続けるために、意図的に非上場を選択しているのです。上場するとしがらみが増え、やりたいことを100%できなくなる可能性がありますからね。私たちは顧客に生活を彩る楽しい商品を提供していますが、同時に地球上にいるあらゆる生き物がよりよく生きられる権利を持つという希望も、商品を通じてシェアしたいと考えています。

――私企業の問題点として、一部の経営陣が暴走する可能性があると思いますが、そうならないための対策をお持ちですか。
良い商品の開発による利益追求と社会貢献の両立、という志から離れ、道を踏み外すことのないように、時期は未定ですが、社員には自社株を持ってもらい、シェアホルダーとして意見をしっかり言ってもらえる制度を整えることを検討したいと思っています。
また、若いジェネレーションの感度の高さには目を見張るものがあります。若者たちの声に耳を傾ければ、われわれ上の世代を良い方向に引っ張っていってくれる、という明るい希望も持っています。

■お金がほしいのは誰でも当たり前

――ラッシュの考える「社会貢献」とは、どういうものでしょうか。
ゴミの削減なり、寄付なり、何かしら社会に貢献できる部分を持ったイノベーティブな商品を開発することが、私たちの社会貢献だと思います。私たちの哲学を支持するかどうかに関わらず、商品を買っていただければ自然と社会貢献ができる――。
そんなバランスがちょうど良いと考えています。
毎年利益を出すと同時に社会貢献を続ける。その2つを同時に実現していくことは、顧客の信頼を得ることにもつながります。そのためには、常に正直で、透明性の高い企業であることが大切です。そして、支持してくださる顧客が増えるほど、社会に対するインパクトが大きくなり、よりさまざまな貢献が可能になるはずです。

――サステナビリティを意識した施策やキャンペーンを行う企業が増えています。一方で、たとえば、ファスト・ファッションのブランドは、リサイクルの推奨をしながら、さばき切れないほどの服を安価な労働力を使って作っています。一見、ちぐはぐな取り組みのようにも見えなくもない。企業の社会貢献活動が「ファッション」として「消費」されているように感じることがあります。この傾向について、ラッシュはどう考えていますか。
ちぐはぐに見える一面があるのは否定しませんが、基本的に良い傾向だと思っています。多くの企業は今、変化の途上にあるのでしょう。利益、つまりお金がほしいのは企業であれ、個人であれ、当たり前です。ただ、他人や自然環境をないがしろにして、必要以上の利益を得るといった傲慢な姿勢の企業は支持されなくなってきたのではないでしょうか。
今後の企業はサステナビリティを無視できなくなるはず。そんな社会全体が向かっている方向に進む列の最初に並んでいる企業の一つが弊社だと考えています。

私たちは今、サステナビリティに加えて、Regenerative、つまり再生を意識しながら、新しい価値を生み出したいと思っています。コツコツと私たちがやるべきことを積み上げていきたいですね。私たちはコスメで世界を変えたいと思います。

■「大企業」でも、透明性を高く
ラッシュは現在、世界49カ国で930店以上を展開している。それでも、1995年にイギリスの郊外、ドーセット州でスタートした当時のポリシーを見失っていない。「大企業」でありながら、正直で、透明性の高い企業であり続けているように感じる。その企業哲学を文字通り、“肌”で感じられる「ネイキッド・クリスマス」というキャンペーンは、一見に値するように思う。
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中沢 明子(なかざわ・あきこ)

ライター・出版ディレクター

1969年、東京都生まれ。編集者を経て独立。女性誌、ビジネス誌を中心にインタビューやルポルタージュ、書評を手がける。著書に『埼玉化する日本』、共著に『遠足型消費の時代』、プロデュース本に『ケチケチ贅沢主義』など。
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(ライター・出版ディレクター 中沢 明子 撮影=中沢明子)

1869とはずがたり:2017/11/28(火) 16:49:33
今年の今こそタイムリーな記事。

>近年、経営者層の報酬額が上昇したことで、中間管理職を含む一般社員(正社員の大半)は、会社の責任になるようなことは経営者たちに任せておけばいい、と考えるようになった。「社員の一人一人が、あたかも社長であるかのように会社のことを考える」という熱気は、大半の社員から失せた。むしろ、経営者の報酬に比べて大いに少ない報酬で「我慢」して働いていることを、会社に対する貸しのように思うようになった。
>しかも、名門メーカーや大手商社で2億円台、三菱重工でも1億円台後半といった経営トップの報酬は、本人たちが感じる責任(株主代表訴訟のリスクもある)や、成果の意識(円安が原因であっても取りあえず最高益ではないか、等)や、他社の経営者の報酬との比較の中で、こちらもあくまで「本人たちにとっては」だが、そこそこに頑張ればいい程度の、中途半端な報酬額になっているように見える。
>すなわち、一般社員と経営者層と、両方でインセンティブの劣化が起こっている。

元々企業なんてもんはいい加減ってのも説得力有るけど,日本の中途半端な高額報酬はトップにも社員にもマイナスってのは示唆深いな〜。

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2016.4.6
日本企業は劣化したのではなく、もともといい加減だった
http://diamond.jp/articles/-/89146
山崎 元:経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員? バックナンバー一覧へ

立派だったはずの日本の事業会社が
急激に「劣化」している

?筆者は、過去も現在も大まかには金融業界の人間なので、1990年代から2000年代前半にかけて、山一證券や日本長期信用銀行が破綻したり、全国の大きな駅前ごとに支店があるような大銀行が、いわゆる不良債権を抱えるだけでなく、それを隠し、しかも、十分に隠し切れもせず、ついには公的資金の注入を受けるに至った「情けなさ」を身近に見てきた。

?しかし、「お金」ばかりを追っている金融業は浮わついた「虚業」だとしても、「ものづくり」を中核とする日本の事業会社は、それなりに「しっかりしている」とされていた。例えば、経済団体(もはやなくてもいい存在だと思うが)のトップは、金融業種から選ばれることはほとんどなく、事業会社のトップが就任して、格の高い勲章をもらうのが常だった。

?しかし、原発に関する安全管理が結局のところできていなかった東京電力も、かつて経団連のトップを出していた企業だ。また、大規模な決算の誤魔化しに「チャレンジ」してそれが露見し評判が地に落ち、生き残りのためにのたうち回っているように見える東芝も、かつては経団連会長を出した「名門」だった(いまだに強制捜査の対象にならないのは「名門」だからなのだろう)。なお、東芝に関しては、先般の東芝メディカルの独禁法逃れとしか言いようのない売却過程も仕事の進め方が「粗末」だった。売るなら、必要な手続きに間に合うタイミングで物事を進める必要があったし、そもそも、東芝メディカルは売るべき対象だったのだろうか。

?電機大手では、三洋電機はその名が消えた。シャープは時間切れギリギリに偶発債務の問題を突かれて鴻海精密工業に買い叩かれた。かつて「技術のソニー」と呼ばれたソニーにも旧日の輝きはない。

?他方、名門メーカーよりも財界的な序列は一枚落ちるが商社もひどい。

?財閥系の大手商社、三菱商事と三井物産は、それぞれ今期決算に対して大幅な黒字予想だったものを、3月に入ってから一転して赤字に(三菱商事は連結純利益3000億円の黒字予想を、1500億円の赤字に一回で修正した)。資源関連の投資の減損処理が主な原因だが、投資のリスク管理が十分できていたのか、また、上場企業として情報の出し方が適切だったのか(資源価格の下落は去年の段階で十分わかっている)、その「仕事ぶり」に疑問なしとしない。

?小うるさい繰り言のようで恐縮だが、どうも「立派だ」とされていた日本企業のあちこちで、急激な「劣化」が起こっているように思えてならない。

?最近、筆者が個人的に接する範囲でも、満足に挨拶ができない大手広告代理店マンや、上場銘柄のコード番号も知らない大手証券マンなどと会って、彼ら一人ひとりがというよりも、企業全体の劣化が心配になることがある。職場に緊張感が欠けているのではないか。

MRJも大型客船も遅延
三菱重工よ、お前もか

?さて、日本企業の劣化をいよいよ心配させる話が、最近、また起こった。

?今度は、三菱グループの真の中核企業ともいうべき三菱重工だ。同社をグループの中核と呼ぶことには、銀行も商事も反対はするまい。

?同社では、国産初のジェット旅客機であるMRJが試験飛行に成功した明るいニュースがあったが、このMRJも初号機の納入が当初予定よりも1年程度遅れそうな見込みだ。

1870とはずがたり:2017/11/28(火) 16:49:57
?そして、同社の祖業である造船事業で、同社が受注・製造した大型客船2隻の製造が順調に進まず、1800億円の特別損失を計上した。受け渡しが遅延した上に、結局受注額の2倍近いコストが掛かったようだ。

?同社については、大型客船事業の存廃に関して特別委員会を設けて検討するのと共に、株式や不動産を2000億円程度売却して、損失の財務的な穴埋めをする意向が報じられている。

?もちろん、製造業においては、大型の機器の製造や新製品開発のプロジェクトが予定よりも遅延することがあってもおかしくはないが、兵器も作っているあの三菱重工が、製造現場を十分コントロールできていない様子を見ると、防衛マニアでなくても心配になる。

?企業以外の分野を見るとしても、エンブレムに加えて、競技場の設計で揉めて、果たして工期が間に合うかどうかが心配される新国立競技場の問題を抱える2020年の東京オリンピックを巡るあれこれも、著作権、納期、コスト等、各種のリスク管理に異常を来している感じがする。重要な場面で、「仕事」が、普通に期待される水準を満たしていないという意味で、東京オリンピック関連のドタバタも同類の問題だと思える。

?企業に話を限るとしても、広範な日本企業の「劣化」は、なぜこんなに目に付くようになったのだろうか。

?筆者が思いつく原因が2つある。

仮説1.もともと「企業は、いい加減」

?一つ目は、我ながら冷静だと思う想像なのだが、「日本企業はもともとひどかったのだが、それが近年、見つかりやすくなっただけではないか」という可能性だ。

?ついでに言うと、「日本企業」が特に悪かったり、劣化したりしたわけではないのではないか。そもそも、「企業」というものは、世界的にいい加減なものなのなのだと考えることが妥当なのではないか。

?不良債権問題があり、「飛ばし」などの不正もあったバブル崩壊後の日本企業は、株式持ち合いなどもあり、株主の権利がないがしろにされ、コーポレート・ガバナンス(企業統治)が十分機能していないのだと批判された。

?しかし、ガバナンスが進んでいたはずのアメリカの企業にあっても、共に意図的な巨大粉飾事件と言うべき、エンロン事件もあればワールドコムの問題があった。また、ネットバブルの時代も、サブプライム問題から金融危機に至る時期も多くの大手金融機関でガバナンスがまともに機能していたとは言い難い。金融業界の「プレーヤー」にとって、顧客もカモだったし、自分が勤める会社の株主(資本家!)もカモだった。合法的だが半分詐欺のようなビジネスが、彼らの高額報酬の裏に存在した。

?その後、日本にもコーポレート・ガバナンスのアメリカ的強化を良しとする「風」が吹いた(企業統治で商売したい人々や、社外取締役の天下り先を作りたい官僚などが自分に都合良く感化されたのが実態だろうが)。委員会設置会社などという大袈裟な仕組みを持つ企業が登場したが、ガバナンス優等生とされた、東芝やソニーがどうなったかは、読者がご存じの通りだ。

?例えば、社外取締役とは、そもそも人事権者(通常は経営者)に都合良く選ばれ、おだてられた素人であり、企業経営のプラスになるような存在ではない場合が多い。しばしば、経営者の報酬アップに賛成するための、応援団員に過ぎない。

?つい張り切って、社外取締役の批判に話が逸れてしまったが、話を元に戻そう。

?要は、ビジネスがたまたま順調であるか、実態以上に評判がいい幸運な企業のどちらかでない限り、どんな業種・業態であっても、企業というものは、第三者たる個人が感心するような立派なものではないのが普通だと仮定しよう。

?今まで幸運で立派に見えていた企業の幸運が続かなくなると、企業はあっという間に劣化して見えるようになる。そういうことなのではないだろうか。

仮説2.インセンティブの劣化

?しかし、たとえば、あの三菱重工の造船所(長崎)の現場に、仮に労働者の中に不慣れな者や外国人が多いとしても、サボったり、タバコの吸い殻を捨てたりする者がいるような状況を、かつてなら許しただろうか。それらは、「悪い」上に「恥ずかしいことだ」として、職場の地位に関係なく非難する者が現れて、駆逐されていたのではなかろうか。

?また、大手商社にあって、例えば経営企画職の社員や、IR(インベスターズ・リレーションズ)の担当者であっても、資源価格の明白な下落に対して、減損処理発生の可能性を市場(株主と投資家)に伝えるべきだと、自分の職の問題だとしてアクションを起こす者がいなかったのだろうか。経営トップに漫然と判断を任せるだけなら、彼らにさしたる存在価値はない。

?それぞれ直接顔を見たわけではないのだ。仕事に対する「やる気」自体があちこちの現場で低下しているように思える。そのために、仕事として任されたことが、かつてなら「常識だろう」と思うレベルで実行されなくなってしまう事例が頻発しているのではないか。

1871とはずがたり:2017/11/28(火) 16:50:53

?こうした「現場のやる気」の低下の原因として、筆者のアタマに思い浮かんだのは、行動経済学では有名な、イスラエルの保育園の「お迎え」を巡る話だ。確か、前に読んだことがあると思い、探したら、iPadの中から見つかった。『その問題、経済学で解決できます。』(ウリ・ニーズィー、ジョン・A・リスト著、東洋経済新報社)の中にその話はあった。

?著者のニーズィー教授らが行った実験によると、保育園の「お迎え」に遅刻する親に対して罰金(米ドルで3ドルほど)を課することにしたところ、罰金のない状態よりも遅刻する親が顕著に増えたというのである。

?この場合、親たちは遅刻の意味を、「約束を破ることの罪悪感」から「3ドルのコストで償える迷惑の価値」に読み替えた(注:筆者の解釈である)。従って、「私は3ドル払う用意があるのだから、遅刻することは許される選択肢の一つだ」と考えるようになったので、罪悪感なしに遅刻できるようになったのだ。

?著者たちは、罰金の反対側のインセンティブについても実験している。イスラエルの募金の日に慈善目的の募金を集めるに当たり、募金集めに向かう高校生180人を60人ずつ以下の3グループに分けた。

【グループ1】慈善事業の意義を十分に説いて募金集めに向かわせる。

【グループ2】グループ1に聞かせた話に加えて、集めた募金額の1%相当の報奨金を個人に払うと約束して募金集めに向かわせる(1%は集めた募金の中からではなく別途払われることが事前にはっきり告げられている)。

【グループ3】集めた募金額の10%が払われると告げて募金集めに向かわせる。

?グループ1に金銭的なインセンティブはなく、グループ2は募金の意義に加えて募金集めの成果を損なわない金銭インセンティブが1%あり、グループ3は10%とグループ2よりも大きなインセンティブがある。

?結果を見ると、一番お金を集めたのは金銭的なインセンティブがないグループ1で、最もダメだったのは、グループ2だったという。実験結果について、著者は「この話のキモは、お金はたっぷり支払うか、あるいはまったく支払わないかのどちらかでないといけない、ということだ」と書いている。

?仕事の意義を押し付けつつ、仕事の成果によって金銭的な報酬の差を少々つけると焚きつける、日本企業の多くが導入している「成果主義」は、「所詮仕事はカネのためなので、カネ相応に働けばいい」という気分につながって、現場に関わる社員たちのインセンティブを、かえって劣化させているのではないだろうか。

一般社員も経営者層も報酬が
インセンティブとして機能していない

?ちなみに、日本企業の成果主義は、経営者周辺の社内エリート層と(筆者は「経営茶坊主」と呼んでいる。典型的な部署名は「経営企画部」だ。経営者が本来の機能を果たしていないから、こういう名前の部署が存在するのだろう)、マーケティング上彼らに巧みに取り入った人事コンサルタント会社の作品だが、社員の仕事自体に対するやる気や責任感を、かえって後退させている。

?加えて、近年、経営者層の報酬額が上昇したことで、中間管理職を含む一般社員(正社員の大半)は、会社の責任になるようなことは経営者たちに任せておけばいい、と考えるようになった。「社員の一人一人が、あたかも社長であるかのように会社のことを考える」という熱気は、大半の社員から失せた。むしろ、経営者の報酬に比べて大いに少ない報酬で「我慢」して働いていることを、会社に対する貸しのように思うようになった。

?しかも、名門メーカーや大手商社で2億円台、三菱重工でも1億円台後半といった経営トップの報酬は、本人たちが感じる責任(株主代表訴訟のリスクもある)や、成果の意識(円安が原因であっても取りあえず最高益ではないか、等)や、他社の経営者の報酬との比較の中で、こちらもあくまで「本人たちにとっては」だが、そこそこに頑張ればいい程度の、中途半端な報酬額になっているように見える。

?すなわち、一般社員と経営者層と、両方でインセンティブの劣化が起こっている。

?いずれにしても、共にプロフェッショナルの意識を持つ、同僚どうしが、相互いに仕事の質を評価する中で、「恥ずかしいことはできない」と思うような緊張感が、日本企業の仕事の「現場」から、後退しているのではないか。

1872とはずがたり:2017/11/28(火) 16:51:07
>>1869-1872
?前掲書の結論を踏まえると、「お金をたっぷり支払う」ことを現場単位まで導入する資力は日本企業にはなさそうだ。さりとて、報酬が仕事のインセンティブとして大きな意味を持たないような世界で、「仕事」に対するプロフェッショナリズムに基づく緊張感を鍛え直すのも、難しそうだ。

?次善の策としては、せめて経営トップ層が、報酬水準も含めて現場の社員ともっと近づくことだが、彼らは、当面、「ROE(自己資本利益率)」や「ガバナンス(企業統治)改革」を旗印に、お友達の社外取締役を味方につけて、自分たちの報酬水準を上げつつ企業を経営することに忙しい。

「インセンティブ」は、プラスにもマイナスにも働く「くせ玉」だが、日本企業は、このコントロールに成功していないように思える。最近の「劣化」事例のなにがしかは、この要因で説明できるのではなかろうか。

1873とはずがたり:2017/12/01(金) 19:36:49
なんかぬるい所も山程あるな。。教育論から労働論だからどこのスレ対象だろね。。

バブルおじさんの跋扈こそが日本の大問題だ
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171201-00197092-toyo-soci&pos=2
12/1(金) 6:00配信 東洋経済オンライン

『「ワンオペ育児」は流行語でおしまいではない』(11月25日配信)や『会社に閉じこもる大人は1ミリも成長しない』(11月28日配信)では「ワンオペ育児」の問題点や日本企業の「働き方改革」について論じてきました。『育児は仕事の役に立つ 「ワンオペ育児」から「チーム育児」へ』を執筆した、浜屋祐子氏と東京大学准教授の中原淳氏に加え、ライフネット生命保険の創業者である出口治明氏が、2人の現在の研究をもとにこれからの日本にとって何が必要なのかを話し合いました。

■なぜ学校は選挙や政治について教えないのか

 浜屋:日本人は「自分たちの社会や環境をよりよく変えたい」という意識が足りないのではないかという話があります。確かに、身近なところでは投票率をとっても、国政選挙ですらやっと5割を上回る程度です。これはなぜでしょう。

 出口:これには、中学校や高等学校での教育に問題がある気がします。僕は選挙や政治に関する教育が足りなすぎると思っています。以前、津田大介さんと対談したときに「選挙の3原則」というお話をしました。まず1番目は、選挙というものは、自分で出したおカネを、このように使いたいと意思表示することだ、ということです。

…  我々は平均的に、収入の4割くらいを税金と社会保険料としておさめています。それほど払っているのに、その使い道に文句をつけないなんて、どうかしてますよね。そのことがまず第一です。そして、原則の2番目は「そもそも立候補する人の中にはロクな人がいない」ということです。

 中原:な、なるほど(笑)。

 出口:これはウィンストン・チャーチルの言葉です。「自分を含めて、立候補する人間はみんなろくでなしだ」と。目立ちたがり屋とか、出しゃばりとか、モテたい人とか、ひと旗揚げたい人とか、だいたいろくな人はいない、と。「選挙とは、そういうろくでもない人の中から、相対的にマシな人を選ぶ忍耐のことをいう」と、100年前にチャーチルが言っているのですよ。

 その後に「だから民主主義は最低だ。過去に試みられてきた王政や貴族政などほかのあらゆる政治形態を除いては」と続きます。この言葉を知っているだけで、「ろくな候補がいないから、選挙に行かない」などと言う人は勘違いしているということがわかります。

 浜屋:政治家は立派な人のはずだ、といった思い込みは辞めたほうがいいわけですね。

 出口:こうした当たり前のことを中学生、高校生にきちんと教えてほしいですね。ちなみに第3の原則は選挙の方法です、選挙前には必ず事前予測が出ます。それを見てどうするのか。自分がその候補者でいいと思ったら、方法は「投票する」「棄権する」「白票を出す」の3つのうちどれでもいい。

 棄権したり、白票を出したりするのは、結局、事前予測の優勢候補が通るのでその候補者に投票することと結果は一緒になるのです。もし、それが嫌なら、違う人の名前を書いて投票する以外に手はありません。棄権が増え、投票率が下がると「政治不信極まれり」などと言われますが、それは誤りです。(とは註:優勢が決まらない選挙区もあるから言葉足らずやで〜)

 浜屋:棄権や白票は、予測通りになることを「信任している」という意思表示となるわけですね。確かに、そうしたことは教わらないですね。

 出口:教えられてないですよね。そうした当たり前のことをやっぱりみんなが意識したら、政治も少しは変わる気がします。…

 中原:学校教育で教えられていないものと言えば、政治や選挙の問題もそうなのですが、もう1つ思うのは、おカネのことです。

 … もともと「生きるため」に僕たちは「働く」わけですよね。そして「生きていく」ためには稼ぐ必要があります。しかし「いったいいくら稼げばよいのか」わからないのに、僕たちは「働くこと」を教えてしまいがちです。やっぱり、おカネのことも、しっかりと子どもと対話しなくてはならないのではないでしょうか。

■思考停止が「飯、風呂、寝る」の人生を招く

 出口:わたしは、教育の目的は2つしかないと思っています。1つは「人間は考える葦」なので、自分の頭で、自分の言葉で、自分の意見を言えるようになる。そのために、一生勉強し続ける、というのが根本だと思うのです。でも、それだけではなくて、社会で生きていくための武器、たとえば選挙や税金、おカネなど、直面せざるをえない事柄について生きた知識を教えるのが、教育のもう一つの目的だと思っていて。それが全くないですよね。…

1874とはずがたり:2017/12/01(金) 19:37:25

 浜屋:武器や防具という意味では、私は労働法についても、ぜひ教えたほうがいいと思っています。この本を書いてから、30代前半くらいまでのママたちとお話しする機会が増えました。その中で「夫の勤務先での働き方が明らかにおかしい、話を聞いているとパワハラだと思う」などと不満や不安を訴える方に複数出会いました。

 そして、夫がブラック職場から逃げる術を持たずにいることが、家庭では妻をワンオペ育児の状況に追い込んでいます。お話を伺った方々には、「ぜひ逃げる応援をしましょう」というアドバイスをしました。ほんの基礎知識程度でいいので、自分の身を守ることに役立つ武器や知恵がちゃんとあるということを学生時代に知っておくことが大事だと思います。

 出口:渡辺和子さんの『置かれた場所で咲きなさい』(幻冬舎)という本がベストセラーになりましたが、咲けない場所もあります。『置かれた場所で咲きなさい』の意味はせっかくご縁があって置かれたのだから、咲けるように頑張ってみようよね、ということですが、頑張っても頑張っても咲けなければ、「チェンジ」したほうがいいに決まっています。…

 浜屋:…一生1社だけで働くといった時代はもう終わっているのだから、もっと軽やかに「チェンジ」があることを前提にして、たくましく働き続けることができる自分になることを考える時代だと思います。

 出口:そもそも一括採用、終身雇用、年功序列、定年というものは、すべて人口の増加と高度成長を前提にした「工場モデル」が作り出したものですから。ガラパゴス的事例な労使慣行であるということを理解しなくてはいけません。



 浜屋:長時間労働は、学ぶ意欲と思考力という、これからの日本にとっていちばん大事なものを削いでしまっているんですね。

 中原:それとともにやる気も削がれてしまっている気がします。

 出口:今、中原さんがいちばん力を入れていらっしゃる研究について教えてください。

 中原:今やっているのは、それこそ「長時間労働是正と人材開発」に関する研究です。パーソル総合研究所さんと中原研究室で「希望の残業学」と呼ぶ共同研究プロジェクトをやっています。この研究の目的は3つです。

 まず、PCシャットダウンなどの強制的な長時間労働是正策の「効果」を明らかにすることです。こうした強制策を実施するためには、どのようなことに配慮しなければならないかを考えます。2つ目は、長時間労働を生み出す「職場の風土」や「上司のマネジメント」は何が課題なのかを掘り下げていきます。3つ目は、「長時間労働を解消した、その先にある未来 すなわち希望」を描き出すことです。

 個人で言えば、働きがいや健康がどのように向上するのか。組織的に見たら、どのように生産性が上がるのか、そうした「その先の希望」を明らかにすることを目的にしています。これを6000人の調査で明らかにしていきます。

■全く「チェンジ」しない長時間労働大国日本

 出口:それは、楽しみですね。本になったらぜひ読みたいです。長時間労働については、わたしはいつも次のように説明します。日本の正社員の平均労働時間は年間2000時間弱です。パート・アルバイトを入れると1700時間くらいになりますが、とりあえず正社員だけということにして、2000時間働き、夏休みは約1週間です。

 それで、この3年間の成長率は1%もありません。一方、ヨーロッパの平均労働時間は年間1500時間を下回ります。 ということは、500時間も少ないということになります。夏休みは約1カ月なのに、成長率は2%弱なのです。どちらがいいですか? という話ですよね。昔はなぜ年間2000時間でも頑張れたのかといえば、年平均7%成長していたからです。7%成長ということは、72の法則(72÷年利(複利)%=2倍になるために必要な年数)で10年で所得が倍増するということを意味します。

 浜屋:ちょっと想像つかないくらいすごい時代ですね。自分たちの金銭的な豊かさに対して抱く展望が、現在とは全く異なる。

 出口:今の中国がそうです。10年前にGDPが500兆円だったのが、今は1000兆円ですから。10年で倍になったから、年間2000時間の長時間労働で、夏休みがなくても我慢できたんですよ。

 浜屋:確かに目に見えて生活が豊かになっていくような時代なら、我慢もできたのかもしれないですよね。

 中原:メディアの報道を見ていると、長時間労働が大きな問題となっています。企業もさまざまな取り組みをして、働き方改革がけっこう進んでいるように見えるのですが、今回、6000人規模の調査をやっていてわかったことは、実態は高度成長期の時代から全く変わっていない部分もあるということでした。

 詳細は2018年2月に明らかにしていきます。報道ばかり見ていると、あたかも働き方改革が進み、みな残業をしていないように見える。ですが、思ったよりも社会が変わるのは時間がかかるということです。

1875とはずがたり:2017/12/01(金) 19:37:53
>>1873-1875
 出口:働き方改革は全く進んでいない、と。そういえば、先日、驚くべき話を聞きました。男性が100%育休を取っているという某保険会社で働いている社員に聞いたら、「最低1日は休め」と上司から命じられ、みんな1日休んで、男性の育休取得率100%と言っているというのです。
 … とんでもない話だと思いました。「男性は育休を100%取っています」というPRのためだけにやっているなんて……。でも「働き方改革やっています」と喧伝している企業の中には、こういう類の話が山ほどあります。

 浜屋:今こそ、働き方改革を本気でやらないと立ちゆかない、これはもう経営課題ですよ、とさんざん言われているのに、経営者の方々に、まだ火がつかないというのはどうしてなのでしょう。

 出口:いちばん大きい理由は、今の日本の経済界を動かしている人々が、製造業の工場モデルの時代に長時間労働して成功体験を得て、そこでのし上がってきた人々だからです。わたしが働き方改革の話をすると、必ずと言っていいほど、60代くらいのおじさんから手が挙がります。

 「出口さんの話はよくわかりましたが、でもやっぱり若いときは徹夜するくらいの根性で仕事をしないと、仕事を覚えないんじゃないですか?  自分も何回も徹夜しましたが、ものすごく充実感がありました」と。「これについて出口さんはどうお考えですか?」といった質問が必ず出るんです。

 中原:また来た! となるわけですね。

 出口:はい。もう面倒くさいので、ワンパターンの答えを用意しています。「きっとそのとおりだと思います。わたしの勉強が足りないだけなのだと思いますので、若い頃の徹夜や長時間残業がイノベーションにつながったり、生産性を上げたり、その労働者がマーケット価値を上げた、つまり高値で転職できたといったデータや論文があったら、ぜひわたしに送ってください。勉強して意見を変えますから」と。その後何かを送ってきた人は1人もいません。(とはコメ:若い頃の徹夜があって今の俺があると思うけど俺の場合昼迄眠れたからなw)

 中原:それはそうでしょうね(笑)。

 出口:あともう1つ加えています。「長時間労働による充実感はもう30年以上前に、世界の脳研究者が答えを出しています」と。「長時間働いたり、徹夜をしたら、脳は疲れるので、モルヒネのような麻薬を出します。本人は充実感を感じるのですが、それは麻薬物質による幻覚症状なので、生産性は全く上がっていません。脳研究者の本をぜひ読んでください」と。(とは註:これ(脳内麻薬)が大事やねん。これあるから延々と考えられんねん。その後暫く考えられへんけどな。)

 中原:僕は多くの企業の中に、2種類の派閥があるような気がしています。1つは、専業主婦の奥さんがいて子どもが2人という感じの典型的な家族を持っている長時間労働肯定派。もう1つは当たり前のように共働きで働いて子育てもしている長時間労働反対派。なぜそう思うかと言うと、特に伝統的な企業では、どんな働き方改革をやっても、必ずどちらからか文句が出るという話を聞くからです。

 出口:おっしゃるとおりで、両方の派閥の人に配慮するから、どちらからも文句が出るのですよね。僕は、長時間労働肯定派の人々を「バブルおじさん」と呼んでいます。バブルおじさんと共働きの若い人たちの両方を満足させるというのは無理ですよね。…

■バブルおじさんに欠ける当事者意識

 浜屋:少し擁護させていただくと、バブルおじさんも「まだら模様」だと思います。たとえば、娘が社会人になって「結婚して子育てしながら働き続けたいけど、どうしよう」と悩んでいるといった話を聞いたりするうち、「あっ、そんな企業はいかんな」と気づいた、という「バブルおじさま」にお会いしたことがあります。

 それに、思いがけず家族の看護や介護を経験して価値観が180度変わったと話す方もいます。やはり自分や身近な人の体験に接して、やっと気がつくものなのかもしれません。

 中原:… 長時間労働やワンオペ育児は戦後の高度成長のごく一時期だけの特殊な形態だったわけですから、それがもうすでにきしみ始めている。

 出口:というか、全部なくなってしまったのです。人口が減り始め、高度成長が消え、工場モデルは消えました。要するに日本の高度成長社会を支えた要因がすべて消えているのです。だから、やっぱり働き方を根本から考え直さなければいけない時期に来ているのです。

井上 佐保子 :ライター

1876とはずがたり:2017/12/09(土) 20:23:14

2017年12月9日 / 08:40
コラム:実感なき好況、低賃金と格差拡大は世界共通
https://jp.reuters.com/article/column-wage-gap-world-economy-idJPKBN1E20C8
Jamie McGeever

[ロンドン 6日 ロイター] - 先進国はどこも賃金の伸びが鈍く、貧富の差が拡大し、生産性の伸びが低い。しかしそうした暗雲に目を奪われていると、世界経済は活況を呈しているという、今年最も注目すべき事実を忘れがちだ。

今年世界で生み出された財とサービスは、80兆ドル前後の見通し。来年の成長率は約3.5%と予想されており、2011年以来で初めて4%に届く可能性さえある。世界金融危機が起こる前であれば、4%程度の成長は珍しくなかったが。

来年の世界経済が4%成長するということは、世界の生産が約3兆ドル増え、その分が消費や投資に回されることを意味する。英国の1年の国内総生産(GDP)に匹敵する額だ。

これは各国中央銀行による大規模な金融緩和の規模をもしのぐ。中銀は世界経済が自律的な成長過程に入ったことに自信を深め、徐々に緩和の規模を縮小している。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BAML)のエコノミストチームは「世界経済は2016年半ばに始まったミニ好況の最中にある」と分析し、来年の成長率は3.8%と、今年の実績見込み3.7%を上回るとの見通しを示した。大半の主要国が潜在成長率を上回る成長を遂げそうだという。

バークレイズはさらに高い4.0%成長を予想している。
どうみても朗報、のはずだ。

<ワーキングプア>

問題は、これを朗報と感じられない人の数が増え続けていることだ。経済が力強く成長し、失業率が下がっている国々も例外ではない。

米国、英国、ドイツその他の国々で、就業者数は過去最高水準にまで増えているが、賃金が伸びず、豊かになったと感じられていないのだ。

米国の失業率は4.1%と、金融危機直後の2009年の10%から大きく下がった。しかし09年以降の賃金上昇率は年平均2.2%で、一度も3%を上回ったことがない。危機前の平均は3%を優に超えていた。

ユーロ圏の現在の賃金上昇率は1.4%と過去最低に近く、危機前の平均2.3%から低下している。失業率が2013年のピークから大きく下がっているにもかかわらずだ。

英国では欧州連合(EU)離脱を決めた昨年の国民投票以来、インフレ率は上がったのに賃金の伸びは低いため、第二次大戦後で最も長期間にわたって労働者の生活水準が低下を続けている。

特に苦しんでいるのは、最も貧しい層だ。多くの人々は職にこそ就いているが、パートタイムや短期契約、あるいは労働時間が保証されず働いたときだけ給与をもらう「ゼロ時間契約」で働いているのが実情。「ワーキングプア」の貧困度合いは深刻化している。

これに伴い、多くの指標で所得格差は拡大している。世界人口のうち、最も豊かな1%が今では富の半分を所有。この所有割合は2008年の43%から拡大しており、縮小に転じる兆しは見られない。

新興国に目を転じよう。BAMLの予想では、来年の成長率は5%で、数百万人の雇用が創出され、数十億人の購買力が増す見通しだ。世界最貧国が徐々に豊かになっている。

クレディスイスによると、今後5年間で2億3000万人が「中所得層」に上ってくる見通しだ。

ただ、新興国でも多くの人々は豊かさを実感していない。

中国では過去5年間に「ペイデイローン」と呼ばれるサラ金が急増した。今まで規制が緩かったことが一因だが、政府は現在、与信規制に乗り出している。来年の経済成長を大きく損なうことなく、こうした改革を実行できるかどうかが試される。

1877とはずがたり:2017/12/13(水) 09:04:18

熱統計力学の応用とか行けると思うんだけどねえ。俺にその能力がない。

一般均衡の幻想 現実経済を分析できず
https://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/arata-yoshiyuki/01.html
荒田 禎之 研究員
「マクロ経済学には大きく新古典派経済学とケインズ経済学の2つがあり......」

大学の学部生向けの教科書ではこのような教え方をすることが多い。そして、財政・金融政策に話題が移ると、多くのページを割くのはケインズ経済学についてである。しかし、これがマクロ経済学の基本と思って大学院に進んだならば、その学生はひどく戸惑うことになるだろう。多くの大学院でまず勉強する内容は、ケインズ経済学の延長線上にあるものではなく、完全な別物と言っても過言ではないからだ。

この状況は1970年代にマクロ経済学に起きた激変を反映したものである。キーワードは「ミクロ的基礎付け」だ。

例として、インフレ率と失業率が逆相関するという「フィリップス曲線」を取り上げよう。今、マクロデータを検証してフィリップス曲線が観察されたとする(図・P1)。しかし、だからといって、政策当局がその曲線上の点を都合よく選ぶことができると考えてはならない。

仮に政策当局が失業率を下げようとインフレ率を上げる政策に踏み切ったとしても、企業や家計がこの政策変化から将来のインフレ率を完全に予測できるならば、価格をそのインフレ率に合わせて変更しさえすれば、企業や家計にとって実質的な変化はなく、失業率も変化しないからだ。インフレ率が上がるだけである(図・P2)。

これは、企業や家計の形成する期待によっては、政策変化がフィリップス曲線そのもの、つまりはマクロ変数の関係を変化させてしまうことを意味している。マクロ変数だけを見ていてもどうしようもないのだ。そこで、企業や家計というミクロの経済主体の行動、特に合理的な個人の最適な行動にまでさかのぼってモデル化し、それをベースにマクロ変数の関係についての議論をするべきだ、ということになる。これが「ミクロ的基礎付け」と呼ばれるものである。

ルーカスの勝利宣言
このミクロ的基礎付けという考えは、70年代以降、中央銀行の政策論議の範囲を飛び越え、マクロ経済学のありとあらゆる分野を席巻することになった。そして、このミクロ的基礎付けを持っていないとして、それまで経済学の主流を占めていたケインズ経済学は厳しい批判にさらされ、葬り去られることになる。

例えば、87年のルーカスの講義録にはその考えがよく表れている。ルーカスは「近年の最も興味深いマクロ経済学の進展は、インフレや景気循環のようなマクロの問題が、ミクロ経済理論の一般的なフレームワークの中で扱われるようになったことであり、この進展が進めば、マクロという言葉自体も使われなくなるだろう」と述べている。そして、ケインズ経済学について「理論にそぐわない、理解し難い現象が現れた時に、それは何か全く別の経済理論の証左だと言いたくなる誘惑に屈服したものである」と切り捨てている。

この見方から言えば、ミクロ経済学とマクロ経済学を隔てるものは存在しない。現在広く受け入れられている動学的確率的一般均衡論(DSGE)もこの見方を踏襲し、個人の最適行動から議論がスタートするという点では同じである。そのため、論文の中心を占めるのは、家計や企業など経済主体の最適な行動をいかに解くかであり、大学院のマクロ経済学で扱う内容もここに焦点が置かれることになる。

1878とはずがたり:2017/12/13(水) 09:04:43
>>1877
この流れは、ルーカスが2003年に米国経済学会の会長講演で行ったマクロ経済学の「勝利宣言」にまで至る。その冒頭でルーカスは「いかなる実際的な目的に照らしても、恐慌を防ぐというマクロ経済学の中心的課題は解決をみた」と明言した。しかし、その5年後、1930年代の大恐慌以来の金融危機、リーマン・ショックが世界を襲ったのである。

さて、このミクロ的基礎付けを、アローやドブリューによって完成されたとされる一般均衡論から見てみよう。

一般均衡論は、合理的、利己的な個人が価格を基に市場で取引を行えば、社会的に効率的な状態、均衡に自然に達するという「見えざる手」の理論的な背景とみなされ、多くの経済学者にとってある種の「心のよりどころ」のようなものである。

一般均衡論でいう均衡とは「市場参加者が与えられた価格で、どの財をいくら売り買いするかについて最適な行動を行い、かつ全体として見た時、超過需要も超過供給も発生していない状態、またそのような価格」を意味する。

この均衡の存在は、経済学的に見ても自然な仮定の下で証明できることが知られている。しかし、一般均衡論の議論はそれで終わりではない。均衡があると言ってもその均衡は一つに定まるのか(唯一性)。また、もしその均衡から外れた場合、ちゃんと均衡に戻るのか(安定性)。均衡を分析するにしても、そもそもそこに向かうのでなければ分析の意味がない。残念ながら、ゾンネンシャインらの一連の研究から、これらの問いに対し否定的な結論が導かれている。

つまり、ミクロの経済主体が全て同じ(同質性)など、強い仮定を置けば唯一性も安定性も担保できるが、経済主体は皆異なる(異質性)というようなより現実的な仮定の下では、唯一性も安定性も何ら約束されないのである。比喩的に言えば、個人の合理性からは「見えざる手」は見えないのみならず、存在もしないのである。

ここで注意すべきは、実際の経済主体が合理的であるか否かを議論しているのではなく、仮に合理的としてもマクロレベルで言えることがほとんどないという点である。前述のアローは86年の論文でそのことを次のように簡潔に表現している。

「集計レベルでは、合理的な行動という仮定は一般に何のインプリケーションも持たない」

この結論を素直に受け入れれば、個人の合理性というミクロ的基礎付けを分析の正当性の根拠にしようとしたここ数十年のマクロ経済学の歩みは、その根本的な部分に深刻な問題を抱えたままのように思える。少なくとも、かつてケインズ経済学を葬り去った時のように、ミクロ的基礎付けが明確か否かで事の正否を決めるのは行き過ぎではないだろうか。

マクロ経済の新しい展望
実際、DSGEや一般均衡論の枠組みから離れて、異なるアプローチで経済現象を理解しようという試みはある。例えば、一般均衡論で価格システムは、モノでも労働者の給料でも全く同じであるが、法律や制度、慣習などの要素を重視する研究もある。また、経済主体間に働く相互作用、特に価格システム以外のものに注目し、景気循環や金融市場のパニックを「集団現象」という立場から理解しようという試みもある。

もちろんこれらのアプローチは、今もさまざまなアイデアが提起されているが、いまだにもがいている段階と言わざるを得ないだろう。また、1つの原理から全てを統一的に理解するというものでもないため、不完全で、時には泥臭く見えるかもしれない。しかし、その泥臭いもがきからこそマクロ経済学の新しい展望が開けるものと、私は考えている。

『週刊エコノミスト』2016年5月31日号(毎日新聞社)に掲載

1879とはずがたり:2017/12/13(水) 09:06:48
>>1877-1878
>この流れは、ルーカスが2003年に米国経済学会の会長講演で行ったマクロ経済学の「勝利宣言」にまで至る。その冒頭でルーカスは「いかなる実際的な目的に照らしても、恐慌を防ぐというマクロ経済学の中心的課題は解決をみた」と明言した。しかし、その5年後、1930年代の大恐慌以来の金融危機、リーマン・ショックが世界を襲ったのである。
筆者はミクロ的基礎付けがあってもリーマンショックは防げなかったと批判したいらしいが,現代のマクロ経済学はリーマンショックの恐慌化を防いだじゃあないか。
まあどっちかゆうたらケインズの復活で防げたとも云えるんじゃがw

1880とはずがたり:2017/12/13(水) 09:14:27


木村正人
欧州インサイドReport
土壇場でひっくり返されたブレグジット合意 初めて見えたEU離脱のほのかな光明
http://www.newsweekjapan.jp/kimura/2017/12/eu-13_1.php
2017年12月06日(水)16時40分

[ロンドン発]12月4日の月曜日はイギリスの欧州連合(EU)離脱交渉・第1フェーズのデッドラインだった。イギリスが離脱清算金額をめぐり大幅に譲歩したため、第2フェーズの通商協議にようやく入ることができるという楽観論がイギリス、EUの双方から流れていた。

北アイルランド国境問題
欧州議会のブレグジット(イギリスのEU離脱)担当、ヒー・フェルホフスタット元ベルギー首相は午前11時20分すぎ、ジャン=クロード・ユンケル欧州委員長らと和やかに打ち合わせする写真をツイッターに投稿し、こうつぶやいた。

「ユンケル委員長との会議で、私はイギリスで暮らすEU市民が不透明でコストがかかる煩わしい手続きをしなくて済むようにすべきだと主張した。EU市民の権利は保障されなければならない。彼らは善意でイギリスにやって来た。それに相応しい敬意を持って扱われる必要がある」

午後零時45分ごろ、ドナルド・トゥスクEU大統領(首脳会議の常任議長)もうれしさを隠しきれないようにツイートした。

「私が月曜日を好きな理由を知っていますか! ブレグジット交渉で北アイルランド国境問題が進展したことをアイルランドのレオ・バラッカー首相と電話で話したあと元気が出てきた。EU首脳会議に向けて(通商協議に入る前提となる)十分な進展に近づいている」

第1フェーズでクリアしなければならないハードルは400億〜600億ユーロの離脱清算金とEU市民の権利保障、そして最後の最後まで残ったのがアイルランドと北アイルランドの国境問題だ。

アイルランドは自由に人やモノが行き来できる現状の維持を求め、テリーザ・メイ英首相を閣外から支える北アイルランドのプロテスタント系政党・民主統一党(DUP)はイギリスの他地域と同じ扱いになることを要求していた。

アイルランド独立後もイギリスに帰属した北アイルランドでは1968年以降、プロテスタント系住民とカトリック系住民が血で血を洗う抗争を繰り広げ、3600人が死亡した。98年のベルファスト合意で双方が協力して自治政府を確立した。

かつては英軍兵士が検問に立った国境を北アイルランドからアイルランドに越えても道路標識がマイルからメートルに変わるだけで、出入国管理局もなければ税関もない。気づかなくなった国境は北アイルランド和平の象徴なのだ。

このジレンマを解消するため編み出されたのが「レギュラトリー・アライメント(規制上の調整)」という誰にもはっきりと説明できない言葉だった。アイルランドがこの言葉をのみ、離脱交渉は第1フェーズから第2フェーズに向けて動いたかに見えた。

メイ首相がユンケル委員長とランチをともにしていた午後2時、DUPのアーリーン・フォスター党首が突然、「我々の立場は明確だ。北アイルランドはイギリスの他地域と同じようにEUを離脱しなければならない」とテレビで声明を読み上げた。

英紙デーリー・テレグラフによると、ブリュッセルでテレビを見ていたイギリスの外交官が「なんてこった」とうめき声を上げた。DUPが閣外協力を止めれば、メイ政権は崩壊する。

メイ首相は席を立ってフォスター党首に電話を入れ、「アイルランド島とグレートブリテン島の間のアイリッシュ海に国境ができるわけではないのよ」と説得したが、フォスター党首は首を縦には振らなかった。

ユンケル委員長とメイ首相は記者会見で落胆の色を隠せなかった。交渉は継続されることになった。次のEU首脳会議は12月14、15の両日。それまでにメイ首相がフォスター党首を説得できなければ、イギリスは何の合意も得られないままEUを去るか、EU離脱を断念する事態に追い込まれるかもしれない。

DUPに対するメイ首相の根回しが足りなかったのか。それとも、いつでも拒否権を発動できるぞというDUPの政治的パフォーマンスに過ぎないのか。真相は分からない。

ただ、アイルランドと北アイルランドの国境を現状のまま維持する「レギュラトリー・アライメント」はまだ全容こそ現していないものの、EUとイギリスの間にも当てはめることができる。

その意味ではこれまで全く先が見通せなかったブレグジットにわずかだが、一筋の光明が差したと言えそうだ。

1881とはずがたり:2017/12/25(月) 13:49:59
<経団連>新会長に中西宏明・日立会長 18年6月就任
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171116-00000005-mai-bus_all
11/16(木) 8:00配信 毎日新聞

 ◇豊富な海外経験

 来年6月に任期満了を迎える榊原定征・経団連会長(74)の後任に、副会長の中西宏明・日立製作所会長(71)が固まった。榊原会長は2期4年の任期を終える来夏に退任する意向を表明しており、後任の人選は年内にも発表する見通し。経団連会長に日立出身者が就任するのは初めて。経団連会長は現職の複数の副会長から会長が選ぶのが慣例となっている。

 榊原会長は次期経団連会長について(1)日本を代表するモノ作りの製造業(2)国際的に知名度があるグローバル企業(3)安定した黒字企業--を必要条件に挙げていた。日立はこの3条件を満たしており、榊原会長は最終的に財界活動や海外経験が豊富な中西氏に絞り込んだ。

 中西氏は1970年、東京大学工学部電気工学科卒業後に日立入社。コンピューターエンジニアとして活躍し、副社長を経て2010年に社長に就任した。日立は09年に巨額赤字を出したが、社会インフラ事業に経営資源を集中させることなどで経営改革を主導。米国子会社のトップも務めた。経営者としてのリーダーシップと豊富な国際経験が高く評価された。経団連では14年に副会長に就任。安倍政権では「未来投資会議」の議員を務め、政権と近い点も決め手となった。

 経団連会長は、これまで新日本製鉄(現新日鉄住金)、トヨタ自動車、東京芝浦電気(現東芝)が複数の会長を出してきた。日立は前回、14年の経団連会長の改選時に当時の川村隆会長が打診を受けたが、年齢や健康不安を理由に固辞した経緯があり、財界活動に消極的と見られてきた。中西氏は一転して財界活動に積極的で、安倍政権の成長戦略に貢献したいとの考えを示しており、会長就任を受け入れる見通しだ。【川口雅浩】

1882とはずがたり:2017/12/27(水) 15:42:18
人工衛星「まいど1号」の姿勢制御を担当、大阪の日本遠隔制御(株)が破産
東京商工リサーチ 2017年12月27日 12時15分 (2017年12月27日 15時18分 更新)
https://www.excite.co.jp/News/economy_g/20171227/Tsr_tsr20171227_01.html

 日本遠隔制御(株)(TSR企業コード:570419719、法人番号:8122001008630、東大阪市永和2-2-12、登記上:三重県松阪市白粉町392、設立昭和51年11月、資本金3600万円、代表取締役:江崎晶子氏)は12月26日、大阪地裁より破産開始決定を受けた。破産管財人には坂川雄一弁護士(はばたき綜合法律事務所、大阪市北区西天満4-8-17、電話06-6363-7800)が選任された。
 負債総額は金融債務を中心に約32億円だが、債権調査により大幅に増加する可能性がある。

 電子制御機器の製造販売業者。産業用大型無人ヘリコプター向け無線操縦システムやRCヘリコプター用ジャイロセンサーなどの市場占有率は高く、自社ブランド「JP PROPO」は世界中のラジコン愛好者からの支持を得て自社ラジコン大会を主催していたほか、社員の世界大会制覇などで高い知名度を有していた。
 平成21年には東大阪宇宙開発(協)の人工衛星「まいど1号」の姿勢制御部門を担ったほか、近年ではドローン分野に進出。業容拡大基調に乗って、27年11月には紀北橋本エコヒルズ「小峰台」に約30億円を投じて工場新設を発表。関連会社の合併などもあり、28年3月期には売上高約41億200万円をあげていた。
 しかし、業容拡大の一方で、28年中旬以降は取引先に対する支払の遅延がたびたび発生するようになり、信用不安説がささやかれるようになった。さらに、不透明な決算操作の疑いが浮上するなどして対外信用は急速に低下し、新工場建設計画も頓挫。借入金返済の延滞や税金滞納が発生し、保有不動産の差押えや競売が相次ぐなどして資金繰りの逼迫が露呈した。
 これに対し、事業を選別するなどして対応してきたが状況は好転せず、一部債権者から破産を申し立てられていた。

1883とはずがたり:2017/12/27(水) 18:36:16
経済学では選好パラメーターは一定と措くことが多いけどStigler & Becker(1977)辺りが云ってたらしい。論文の表題はラテン語みたいだけどどんな意味か判らん(;´Д`)
で,勿論,変化するってのも調べられてて,災害時にリスク回避的になったり主観的割引率が高くなったりするらしい(Voor et al. 2012, Cameron & Shah 2013)。まあ予想は付くけどねえ。

Reference

Stigler, George J. and Gary S. Becker. 1977. “De Gustibus Non Est Disputandum”
American Economic Review. 67: 76-90.

Voors, M., T. Turley, A. Kontoleon, E. Bulte, and J. A. List (2012): “Exploring whether
Behavior in Context-Free Experiments is Predictive of Behavior in the Field: Evidence from Lab
and Field Experiments in Rural Sierra Leone,” Economics Letters, 114(3), 308?311.

Cameron, L., and M. Shah (2013): “Risk-Taking Behavior in the Wake of Natural Disasters,”
NBER Working Paper 19534, National Bureau of Economic Research.

1884とはずがたり:2017/12/27(水) 20:26:58
面白そうだ。日本企業はアメリカ程転職市場が発達してないけど,アメリカは大学で専攻した事を職種にしてキャリアを積んでいくけど,日本は大学で遊んで企業に入って企業specificな人的資本を蓄積して会社に滅私奉公を強いられる。

http://www.nber.org/papers/w9679
Firm-Specific Human Capital: A Skill-Weights Approach
Edward P. Lazear
NBER Working Paper No. 9679
Issued in May 2003
NBER Program(s):Labor Studies


http://www.jstor.org/stable/10.1086/648671?seq=1#page_scan_tab_contents
JOURNAL ARTICLE
Firm‐Specific Human Capital: A Skill‐Weights Approach
Edward P. Lazear
Journal of Political Economy
Vol. 117, No. 5 (October 2009), pp. 914-94

1885とはずがたり:2017/12/27(水) 21:44:51
Patentと云えばJudd (1985)の古典的研究─パテント期間を入れた微分差分方程式を解く!残念ながら陳腐化や人口成長とR&Dが相殺し合う定常状態(内生的成長しない)の分析となる─が避けて通れないが,特性方程式に含まれるラグ項の係数がパテント長に依存する効果を無視していて正確ではないらしい。友人が合ってるかどうか解らないっていってたのはこれかあ??

Beretta & Kuang (2002)はその辺しっかり解いててラグの増大に寄って安定化が起こりうるらしい。パテント長が無限のRomer model (1990)もArnold (2000だっけ?)が安定的だといってたけど。

更に日本人のTsuzuki, Shinagawa, Inoue (2015)なども財政政策にタイムラグを入れる形で微分差分方程式を解いてるようだ。WPなのは未だ何所にも載ってないのかな?大事なテーマだと思うけどあんま受けよくないのかなあ。。

Reference
Arnold 2000 J.Macroecon

Beretta, E. and Y. Kuang 2000 "Geometric stability switch criteria in delay defferential systems with delay dependent parameters," SIAM Journal of Mathematical Analysis 33, 1145-1165
http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.15.1042&rep=rep1&type=pdf

Judd, K. 1985 "On the performance of patents" Ecta 67, 355-347

Romer 1990 JPE

Tsuzuki, E., S. Shinagawa, T. Inoue 2015
Equilibrium determinacy in a continuous time New Keynesian
model with monetary and fiscal policy lags
http://www.waseda.jp/fpse/winpec/assets/uploads/2015/06/No.E1503Tsuzuki_Shinagawa_Inoue.pdf

金融政策ラグと均衡の決定性 都築・品川
http://klibredb.lib.kanagawa-u.ac.jp/dspace/bitstream/10487/14564/1/43-05.pdf

1886とはずがたり:2017/12/28(木) 09:14:53
>>1883
ラテン語出来る友人(持つべきものは朋である)に問い合わせたところ蓼食う虫は好き好きのような意味ではないかとの事。

de gustibusは「味、味覚について」
non est disputandumは「議論するべきではない」
だそうな。

英語は好きではないけど英語を客観的に見る為にもドイツ語はやりたかった(二外は漢字好きだったので中国語を選択した)と思ってるけど,ラテン語もやってもいいかも♪
イタリア語やスペイン語やポルトガル語が出来る様になるかもしれないしw

ガストは一陣の風(gust/英語)だと思ってたけどもしかしてラテン語か!?と調べて見たら矢張りイスパニア語由来だった♪

http://www.yuraimemo.com/2241/
■「GUSTO(ガスト)」の由来
「より身近に、より気軽に、我が家の食卓代わりに」
その信念をもとにスペイン語で「おいしい」を意味する「GUSTO」から名付けられたのだそう。

1887とはずがたり:2017/12/28(木) 11:07:53
安倍による日本潰しの結果がこれだ。

労働生産性、G7でまたも最下位 米国の3分の2
https://www.j-cast.com/kaisha/2017/12/22317273.html
2017/12/22 10:12 印刷

日本の労働生産性が、国際的にみて低いことがわかった。経済協力開発機構(OECD)データに基づく、日本の時間当たりの労働生産性(就業1時間当たりの付加価値)は、前年比1.2%上昇の46ドル(4694円)だった。日本生産性本部が2017年12月20日発表した。

政府は生産性向上に向けた各種政策を展開しており、日本の労働生産性は7年連続で増加したものの、OECD加盟35か国中20位と前年と順位は変わらなかった。

製造業の労働生産性、もはや輝き失う......
今回の結果は、米国の3分の2の水準にあたり、主要先進7か国(G7)の中では最下位が続いている。就業者が増加傾向にあることが生産性低下の要因となっている。国内総生産(GDP)が拡大した一方、1人当たりの労働時間が減少した。

就業者1人当たりの労働生産性は8万1777ドル(834万円)で、順位は2016年同様の35か国中21位。こちらもG7のなかで最も低い水準となっている。

また、製造業の労働生産性水準は9万5063ドル(1066万円)。順位でみると、1995年以降では最低タイの14位となる。1995年、2000年には主要国で最も高かった日本の製造業の労働生産性水準は、2000年代に入って大きく後退。かつての優位性を失っている。

1888とはずがたり:2017/12/29(金) 17:24:53

経済超入門 ゼロからわかる経済学&世界経済の未来 (ニューズウィーク日本版ペーパーバックス) 単行本(ソフトカバー) ? 2017/12/13
ニューズウィーク日本版編集部 (編集)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4484172399/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4484172399&linkCode=as2&tag=newsweekjapan-22&linkId=800271bd6654cdd74ab286333100f170

出典を教えて欲しいなあ>アメリカの場合、複数の主要な世論調査結果を総合したハフィントン・ポストの報道によると、国民の10人に6人が「この国は間違った方向に進んでいる」と考えていた。ピュー・リサーチセンターの調査では、3人に2人が「子供の世代は自分たちの世代より貧しくなる」と憂えていた。
本には載ってるのだろうか?

世界の85%が希望の時代、米欧日が不安の時代となった理由
http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2017/12/85.php
2017年12月28日(木)17時30分
アフシン・モラビ

<問題は貿易の不均衡ではなく、希望の不均衡。欧米社会が不安に満ちあふれ、新興国が未来を楽観する新たな時代に、私たちはどう生きるべきか(※『経済超入門 ゼロからわかる経済学&世界経済の未来(ニューズウィーク日本版ペーパーバックス)』より抜粋)>

今の時代には、繁栄も機会もつながり(コネクティビティー)も、かつてないほどあふれている。昔より寿命は延びたし、教育の機会も(とりわけ女性にとっては)飛躍的に増えた。先進的な医療が普及したおかげで、1世代前なら助からなかったはずの命がたくさん救われている。

ではなぜ、欧米社会で、こんなにも多くの人が不満をいだいているのか。アメリカの場合、複数の主要な世論調査結果を総合したハフィントン・ポストの報道によると、国民の10人に6人が「この国は間違った方向に進んでいる」と考えていた。ピュー・リサーチセンターの調査では、3人に2人が「子供の世代は自分たちの世代より貧しくなる」と憂えていた。

イギリスも似たような状況で、フランスやイタリア、ドイツはもっと悲観的だ。何しろユーロ圏の先行きは不透明で、景気も停滞している。ただし西欧諸国は、2世代ほど前にもっとひどい経験をしている。約5000万人の犠牲者と計り知れないほどの破壊をもたらした第二次大戦だ。

もちろん、長い目で見れば楽観的なマクロ的予想をすることもできる。だが人々は限られた時間をミクロな市民として生きている。みんなリアルな世界を生き、リアルな混乱を経験し、リアルな不満をいだく。そして今の欧米社会には混乱と不満、怒りが満ちている。欧米に暮らす私たちは今、「不安の時代」を生きているようだ。

では欧米以外の、世界の「残り」の部分(つまりアジアとアフリカ、中南米)はどうか。中国やインド、アジアやアフリカの新興諸国(ベトナムやインドネシア、ナイジェリアやエチオピアなど)に目を向ければ、これらの国々に暮らす人々には新たな希望と楽観主義が芽生えている。

1889とはずがたり:2017/12/29(金) 17:25:03

欧米の親は子供の未来を案じているが、中国やインド、ナイジェリア、エチオピア、ベトナムをはじめとする新興国の親は子供の将来を楽観している。そして、自国は正しい方向に進んでいると固く信じている。ちなみに「残り」の人々は世界の総人口の85%を占める。つまり「85」派は概して希望に満ち、「15」派は不安と怒りにさいなまれているということだ。

なぜこんなことになったのか? 欧米社会(日本もここに含まれる)は物質的に「残り」の地域より豊かだ。欧米の人はきれいな空気を吸い、安全で種類豊富な食べ物を口にし、自由で公正な選挙に参加し、個人の能力を伸ばす機会にも恵まれているはずだ。もちろん比較対照の問題はあり、新たな「怒りの政治」の問題もある。欧米人は質の高い生活に慣れていて、そうした生活を送る権利があると信じている。だから給料が上がらず、職を失い、生活が不安定になれば不満をいだき、腹を立てやすい。

「15」派を凌駕する「85」派
実際、アメリカでもヨーロッパでも中流層の暮らしは苦しくなっている。とくに高卒の労働者はきつい。雇用機会は狭まり、これまでの常識が通用しない。しかもアメリカでは、この15年で肉体労働者の平均寿命が縮まっている。絶望したくなるのも当然だ。

ラジオを聴き、テレビやインターネットの情報サイトを見ればわかる。今では人々の失望感が、あっという間に怒りや憎悪へとふくれ上がっていく。アメリカのラジオのトーク番組は怒りに満ちている。テレビのニュース番組も罵り合いの場になった。誰もが反対意見に異を唱えるだけでなく、相手を邪悪な存在と考えたがる。

フェイスブックなどソーシャルメディアはフェイク(偽)ニュースの舞台となり、偽情報は瞬時に世界に広まっていく。かつて、元英首相のウィンストン・チャーチルは言ったものだ。

「真実がズボンをはく間に、?は世界を半周している」

ヨーロッパでもポピュリストやナショナリストの政治家が、いかがわしいスローガンを使って既存の政治家やイスラム教徒や移民への憎悪をかき立てる。こうしたスローガンは有権者を引きつけるが、有権者が置かれた苦しい状況の救いにはならない。こんな状況にどうして陥ったのか?

17世紀イギリスの哲学者トマス・ホッブズの言葉を借りれば、人間はもともと野卑で野蛮で短命な存在だった。しかし18世紀後半に始まる産業革命で、欧米諸国では「中流層」と呼ばれる人が増え、大量消費の時代が来た。西欧諸国は早くからアジアやアフリカ、中南米に植民地を広げ、その豊かな資源を巧みに搾取していたが、産業革命後は搾取の規模もペースも格段に上がり、「残り」の地域との格差をますます広げることになった。

20世紀の初頭まではヨーロッパに世界の人口の4分の1が住み、10大都市のうち9つまでは欧米にあった。2度の大戦を経た後も欧米が歩みを止めることはなく、建設と創造と革新を続け、人々はより豊かに、より健康になった。教育水準は高まり、自由の幅は広がった。20世紀後半に先進国の仲間入りをした日本は、「欧米化」したと形容されたものだ。

しかし1980年代になると「残り」の地域が追いかけてきた。中国は世界の工場となり、貿易額で世界一となった今や世界経済、とりわけアジアと新興諸国の経済に大きな影響を及ぼしている。インドも90年代から躍進し、この20年で新興市場の輝く星となった。

もちろん、中国にもインドにも問題はある。中国国民はかつてないほどの購買力を手にしたが、いまだに政治的自由がない。エリート層も、最近の急速な資金流出に不安をいだいている。インドでも中流層は飛躍的に増えた。しかし国民の大半は今も汚れた空気を吸い、清潔なトイレなど望むべくもなく、ひどい貧困にあえいでいる。

1890とはずがたり:2017/12/29(金) 17:25:17
>>1888-1890
それでも「85」派が楽観的なのはなぜか。まず、40歳以上の中国人なら、人口の90%近くが極貧だった時代を知っている。ごく最近、80年代初めのことだ。今の極貧人口は10%を下回る。そして10代半ばから30代のミレニアル世代は本物の不況を知らない。だから未来は明るいと信じる。事情はインドやナイジェリア、エチオピア、ベトナムでも大差ない。

「85」派の国にも大都市が出現している。ドバイや上海、深?、バンガロールなどで、今やシンガポールや香港に追いつく勢いだ。ナイロビやアブダビ、サンティアゴがこれに続く。新興地域の企業が先進国企業との競争に参戦し、勝利を収める例もある。エミレーツやエティハド、カタール、トルコなど中東の航空会社は、ルフトハンザドイツやエールフランス、米ユナイテッドと肩を並べ、凌駕する場合もある。

中国のアリババ・ドットコムはアマゾン・ドットコムを蹴散らし、滴滴出行(ディーディーチューシン)はウーバーの中国事業を買収した。イギリスの名門ジャガーはインドのタタ・モーターズの傘下にあり、ゴディバはトルコの食品会社に買収された。通信業界でもインドのバーティ・エアテルやアラブ首長国連邦のエティサラート、エジプトのオラスコム・テレコム、南アフリカのMTNグループが世界市場で欧米企業に挑んでいる。フィリピンのファストフード市場では、地元のジョリビーにマクドナルドやバーガーキングが苦戦を強いられている。それでも軍事力では欧米が圧倒しているが、孤立主義に傾く欧米諸国が軍事力に訴える可能性は低い。

そうなると残るは経済力の勝負だが、実はGDPも中流層も貿易もとっくにアジアへ流れている。アジアには世界のGDPの約3分の1が集中し、さらに増えている。30年までには世界の中流層の3分の2をアジア人が占めているだろう。今でも輸入額ではアジアがアメリカやEUを上回っている。米大統領のドナルド・トランプは中国との貿易不均衡を大騒ぎしているが、憂慮すべきは自国と「残り」の諸国における「希望の不均衡」だ。

「希望の不均衡」が逆転した
20世紀の後半、欧米は経済でも貿易でも、政治でも軍事でも大衆文化でも世界を牽引してきた。その結果、欧米人はさまざまな分野で優越感をいだいた。もちろん「希望」でも優越していた。あの頃は欧米の寛容な資本主義が希望をほぼ独占していた。所得が上昇し、技術が進歩し、国が正しい方向に向かっていると信じられたからだ。

そんな時代は終わった。今では希望の不均衡が逆転している。欧米諸国の人々は今、中国やインドや新興諸国の人々に比べると、概して将来に希望をいだいていない。希望は数値化できない。希望でものを買えるわけでもない。しかしアルバート・アインシュタインは言う。「数えられるものはどうでもいい、数えられないものこそ大事だ」と。ならば希望は大事だ。

今後、ヨーロッパは希望の欠如で混乱するだろう。16年のイギリスとアメリカがそうだったように、希望の欠如が暗い影を落とし、左右のポピュリストや民族主義者が大きく躍進することだろう。特定の集団を「敵」に仕立てるやり口が横行し、外国人の排斥と社会の分断が進み、穏健な中道派は居場所を失うだろう。

世界の85%が希望の時代を生きているときに、15%の欧米諸国は不安な時代を生きているようだ。この分断が世界を揺るがし、私たちの社会や政治、そして生きざまをも変えていく。いま必要なのは「15」派が希望を取り戻すことだ。減税や金利の操作よりも、「85 」派と「15」派が等しく希望をもてる世界をつくり出すことだ。トランプをはじめ、欧米のポピュリストたちは人々の怒りを増幅させるすべにたけている。彼らに、希望を増幅させるすべもあることを祈ろう。

※この記事は新刊『経済超入門 ゼロからわかる経済学&世界経済の未来(ニューズウィーク日本版ペーパーバックス)』(ニューズウィーク日本版編集部・編、CCCメディアハウス)https://www.amazon.co.jp/gp/product/4484172399/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4484172399&linkCode=as2&tag=newsweekjapan-22&linkId=800271bd6654cdd74ab286333100f170からの抜粋記事です。

1891とはずがたり:2018/01/12(金) 14:59:17
2012年の記事

ザ・ジセダイ教官 知は最高学府にある
早稲田大学で話題の講義! 竹内幹先生に「実験経済学」を学ぶ【前編】
http://ji-sedai.jp/special/kyokan/TakeuchiKan_01.html
2012年06月25日 更新

1892とはずがたり:2018/01/15(月) 11:33:58
行動経済学の簡単で網羅的な教科書目をとおさんとあかんなあ。四半世紀前にはそんなの無かったから基本的知識が欠けとる。。


2006年10月30日 (月)
参照点依存性
http://moulindelongchamp.cocolog-nifty.com/blog/2006/10/post_d082.html

経済学で想定する経済人は、同じ個人であれば100円に同じ効用を見出すとされていますが、実際には200円が100円に減ったときと、10円が100円に増えたときとでは、手元にある100円は同じはずなのに、その100円に対する感覚(効用)は違います(当然、後者の方が嬉しい)。これは多分誰でも分かりやすい感覚で、人の効用は、絶対的な水準ではなくある点(参照点)からの変化によって決定されます。これを参照点依存性といいます。

今日、京都3Rの未勝利戦(芝1800m)にマイネルヴルメリオが出走し3着でした。先週はマイネルクルーガーが未勝利戦に出走し同じ3着で、その時は嬉しかったのに今日はレース後大いに落胆している自分を発見しました。

この差がどこにあるかというと、クルーガーが全くの人気薄であったのに対してヴルメリオが1番人気に押されていたからです。1番人気であるという時点で私の参照点は「1着」になり、それを下回る3着という結果だったので落胆した、というわけです。獲得賞金は同じはずなのに、参照点が違うのでその獲得賞金から得られる効用は全然違っている自分を発見し、「なるほど、これが参照点依存性か」と納得しました。

参照点依存性というのは面白く、例えば人にモノを提案する際にある参照点を示すと、人の判断は参照点に引きずられてしまいます。バザールなどで最初に値段をふっかけるのもこの参照点依存性の特質を利用した商法です。そのまま値札に100円とかかれていたら買わないものも、最初に「1000円で売ってあげよう」と言われ、その後交渉後に200円で買うことになったとしても得したような気分になるというわけです。

以上、再び「行動経済学」からの受け売りでした。この本は経済学の比較的硬めの本ですが、amazonの「この本を買った人はこんな本も買っています」の欄にはマーケティングの本が紹介されており、マーケティングの分野で応用されているみたいですね。

2006年10月30日 (月) ラフィアン, 日記・コラム・つぶやき, 競馬 | 固定リンク

https://www.jstage.jst.go.jp/article/proer2000/34/0/34_0_315/_article/-char/ja/
参照点依存型選好を考慮した非利用価値評価
https://www.jstage.jst.go.jp/article/proer2000/34/0/34_0_315/_article/-char/ja/
T OKUYAMA 著 - ?2006 - ?関連記事ある財や環境質に対し, 個人はどのような基準のもとにその価値を判断しているのであろうか.環境評価論では, 伝統的経済理論に従い, 効用水準に絶対評価基準を仮定してきた.しかしながら, 実験経済学の分野では, 個人の価値評価が何らかの比較対象との相対評価基準に依拠しているとの報告がある. 本研究の目的は相対評価を基準とした選好関係を仮定し, 環境質の利用価値および非利用価値評価に用いるためのモデルを構築することにある.基本モデルとしてトラベルコスト法を用いる.まず, 相対評価を考慮した環境 ...

1893とはずがたり:2018/01/15(月) 12:42:27
昔聴講した西村周三先生の授業内で購入した応用ミクロ経済学がなかなか面白かったし行動経済学の先駆的な所もあったんだけどどっか這入り込んでしまった。どこいったかなあ。。。先生が絶版になって未だ少し手許に余ってると良いながら講義内で売ってくれたのも良い思い出である。

行動経済学 -- 伝統的経済学との統合による新しい経済学を目指して 単行本(ソフトカバー) ? 2014/3/31
大垣 昌夫 (著),? 田中 沙織 (著)
https://www.amazon.co.jp/%E8%A1%8C%E5%8B%95%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6-%E4%BC%9D%E7%B5%B1%E7%9A%84%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6%E3%81%A8%E3%81%AE%E7%B5%B1%E5%90%88%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E6%96%B0%E3%81%97%E3%81%84%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6%E3%82%92%E7%9B%AE%E6%8C%87%E3%81%97%E3%81%A6-%E5%A4%A7%E5%9E%A3-%E6%98%8C%E5%A4%AB/dp/4641164266/ref=sr_1_13?ie=UTF8&qid=1515987498&sr=8-13&keywords=%E8%A1%8C%E5%8B%95%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6+%E5%85%A5%E9%96%80

行動経済学入門 単行本 ? 2017/4/28
筒井 義郎 (著),? 佐々木 俊一郎 (著),? 山根 承子 (著),? グレッグ マルデワ (著),? & 1 その他
https://www.amazon.co.jp/%E8%A1%8C%E5%8B%95%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6%E5%85%A5%E9%96%80-%E7%AD%92%E4%BA%95-%E7%BE%A9%E9%83%8E/dp/4492314970/ref=sr_1_5?ie=UTF8&qid=1515987498&sr=8-5&keywords=%E8%A1%8C%E5%8B%95%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6+%E5%85%A5%E9%96%80

セイラー教授の行動経済学入門 単行本 ? 2007/10/27
リチャード・セイラー (著),? 篠原 勝 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%BC%E6%95%99%E6%8E%88%E3%81%AE%E8%A1%8C%E5%8B%95%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6%E5%85%A5%E9%96%80-%E3%83%AA%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%BC/dp/4478002630/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1515987498&sr=8-1&keywords=%E8%A1%8C%E5%8B%95%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6+%E5%85%A5%E9%96%80
応用ミクロ経済学 ハードカバー ? 1989/11
西村 周三 (著)
https://www.amazon.co.jp/%E5%BF%9C%E7%94%A8%E3%83%9F%E3%82%AF%E3%83%AD%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6-%E8%A5%BF%E6%9D%91-%E5%91%A8%E4%B8%89/dp/4641065284

1894とはずがたり:2018/01/16(火) 19:47:56

一流誌と五大誌に論文を複数掲載させたことのある国内経済学者のリスト
http://blog.goo.ne.jp/lemon-stoism/e/a575ba461849d3a1be46a5185fa925f5
2014-11-14 01:02:33 | 社会

一流誌と五大誌に論文を複数掲載させたことのある国内経済学者のリスト。ジャーナルの選定基準。大阪大学の安田洋祐氏が運営。安田氏は経済学でも改ざんなどの不正行為があるとツイートし紹介した事がある。このリストに載っている人、載っていない人はどういう評価なのだろう。なぜこんなリストを作ったのだろう?経済学もIF(impact factor)は重要なのか。経済系は概して理系より少し低いIFのようだ。選考基準で五大誌にあがっているAmerican Economic ReviewとEconometricaのIFはそれぞれ3.150(2010),3.504(2013)。実証経済学のトップジャーナルとしてあがっているAmerican Economic Journal Applied EconomicsのIFは2.76。生命科学系や材料科学系などではIFが1未満だと一番低い部類だが(関連1、関連2)、経済学ではトップジャーナルがこのようなIFだから1未満の学術誌の割合は理系よりずっと高いだろう。経済学論文は理系論文よりずっと読まれないのか?運営者の安田洋祐氏が言うには選考基準に載った論文掲載数が3編以上だと優れた研究者を除く危険があり、1編以上だと凡庸な研究者を載せて可能性があるので2編以上載せた研究者を対象にしたという。2編以上という基準は凡庸な研究者を含む可能性を排除するために採用した意図的に高い基準だという。5編以上だとスーパー、10編以上だとハイパーな研究者と評価。

経済学は一流誌に載せるのがかなり難しいのか?私の知るある理系分野の一流誌にIF約7の雑誌があり、研究者の間では評価の高い一流誌で、ある程度注目される成果が載るというコンセンサスがあるが、論文2編以上載せた研究者ならいっぱいいると思うし、そんなに高評価という印象はない。博士課程の学生なら優秀と判断されると思うが。これは著者が実験系より少ない理論系でも同じ。

だから私は2編以上という条件が優秀さを判断する基準になる事に対して「経済学は理系より論文の本数の基準が低そうだ」という印象を持った。もちろん低いから楽だとかレベルが低いといっているわけではない。おそらく理系に比べて経済学は一流誌に論文を掲載させるのが難しいのだろう。上で述べたIF約7の雑誌も掲載させるのは難しいと思うが、経済学はもっと難しいのか。さすがにネイチャー、サイエンス、セルに比べれば掲載難易度は格段に下がるだろう。たぶんネイチャーの姉妹誌よりも掲載難度は下がると思う。

国内経済学者のリストを見ると一橋大、京大、慶応大、神戸大、阪大、東大の研究者が多い。九大は1人、東北大は1人、北大は3人、名大は4人、筑波大は3人。まず間違いなく優秀な研究者はもっといるでしょうね。海外で研究する日本人研究者リスト。

論文が掲載された雑誌名で研究者の評価を判断する事について前に記事を執筆した。掲載論文誌名で評価するのは理系も経済学も変わらないようだ。

1895とはずがたり:2018/02/06(火) 14:03:37
左翼批判は良いから勝者総取りをどうやって勝者の貢献への配分を認めつつ改めて行くかである。そこを云わないと無責任は免れ得ない。

昨今の「脱成長論」は富裕層の無責任だ|大阪大学・安田洋祐
Forbes JAPAN 2018年2月6日 08時00分 (2018年2月6日 13時26分 更新)
https://www.excite.co.jp/News/economy_clm/20180206/ForbesJapan_19631.html?_p=all

経済格差や環境汚染が進むなか、成長を志向する現在の資本主義に課題はないか。NHKで放送されたドキュメンタリー「欲望の資本主義」でナビゲーターを務め、そんな疑問をノーベル経済学賞受賞のジョセフ・E・スティグリッツ教授はじめ、世界の賢人たちにぶつけたのが、大阪大学准教授でゲーム理論を専門とする経済学者の安田洋祐だ。

資本主義は本当に人の幸せに寄与するのか。理論と現実の両面に目を向ける安田に聞いた。

岩佐:書籍『欲望の資本主義』で、 安田先生は「成長を前提とした資本主義はこれからも成り立つのか」という質問を経済学者たちにぶつけられていました。安田先生ご自身はどう思われていますか。

安田:「これからは資本主義を諦めて低成長をしよう」という論調には、僕は反対です。そもそも資本が資本を生み出すというのが資本主義の本来的な意味ですから、資本主義が続く以上はある程度の成長は自然に起きると思っています。

こうした脱成長論はリーマンショック以降の先進国の成長率が下がっているから出てきました。しかし、近年は日本も含めて成長率は回復傾向にあります。これがあと2年も続けば資本主義終焉論はなくなるのではないでしょうか。

「成長」の主語を明確にしなければいけない

岩佐:日本ではそもそも、成長を前提にすること自体を疑問視する声もあります。

安田:「成長」という言葉の主語を明確にしなければなりません。主語が「一人ひとり」であれば、多様な価値判断が認められるべきなので、成長を前提とした物質的な豊かさから解放されたいという欲望は認められるべきでしょう。

ただ、主語が「国」であれば話は別です。国全体が成長を諦めたら雇用が増えませんよね。僕はミクロのレベルで成長を諦めるのは構わないですが、マクロレベルでの平均的な成長は諦めるべきでないと思っています。この点では、番組(NHK「欲望の資本主義」)の中で資本主義は成長を前提としないと言っていたチェコの経済学者トーマス・セドラチェクとは異なる立場ですね。

岩佐:マクロとミクロを切り分けて考えるべきだということですね。しかし、国民の大半が成長を望まなくなったら、マクロの意思も変わるのではないでしょうか。

安田:本当に全国民が貧しくなってもかまわないと考えれば変わるかもしれませんが、そんなことはまず起こりません。現在、日本国民の約6分の1は所得の中央値の半分以下である「相対的貧困」の状態だと言われています。こうした人たちが来年の収入が今年より少なくてもかまわないと考えるでしょうか。

基本的に脱成長論を唱えるのは、自分の収入が少し下がっても問題ない富裕層です。一方で国がゼロ成長になって真っ先に職を失うのは貧困層。国全体のパイを増やさなければ、貧困層の救済は実現しないでしょう。かつてマルクス主義や社会主義に傾倒したのも、都市部に住むインテリ層でした。表面的には聞こえの良いイデオロギーを実践すると一番割りを食うのが貧困層だとわかったのが、ソ連の社会実験だったのだと思っています。



岩佐:成長を前提とした資本主義は成り立たないという富裕層の無責任な発言によって、貧困から抜け出せない原因が生まれているという一面があるわけですね。

安田:はい。弱者の救済を謳う点では表面的に聞こえが良いので反論しづらいですが、実践されると逆に弱者を追い込んでしまうというケースは少なくありません。そこに欠けているのは一歩先の視点です。

例えば日本の借地借家法では借主側の権利がとても強く、住人がすぐに追い出されることはほとんどありません。立場の弱い借主を守る素晴らしい法律のような気がしますが、この追い出せないリスクを考慮して、貸主は面倒を起こしそうな人に家を貸すことを避けようとする。賃貸物件も、リスクの小さい単身世帯向けばかりになってしまいます。結果として、住むところをそもそも借りることができない弱い借主がこの法律によって生まれている、という皮肉な状況になってしまいました。

だから制度設計は難しいのです。一見、弱い人の立場を守ろうとした法律が、彼らをさらに窮地に陥らせてしまう危険性があります。こうした想定までしたうえで、本当に弱者のためになるのかを考えて制度を設計する必要があったのではないでしょうか。

経済学の理論は、貧困層をどのように救うのか。次回、安田が現代経済学の抱える矛盾にメスを入れる。(第2回に続く)
岩佐 文夫

1896とはずがたり:2018/02/09(金) 14:40:48

ペットボトルの水が約500円、それでも「幸せ」の国
https://www.asahi.com/articles/ASKDP3T3DKDPUHBI00W.html?ref=goonews
コペンハーゲン=下司佳代子2018年1月14日18時08分

 デンマークは国連の幸福度調査で、常に上位だ。

 税金は高い。給与の約半分は所得税で取られ、消費税率は25%。商品の店頭価格も高い。首都コペンハーゲンのコンビニでペットボトルの水を買うと500円近い。これでも幸せ?

 街で聞くと「幸せ。社会が守ってくれるから、寝る場所や食べ物に困らず、心配事が少ない」と元外交官ガーティ・スタインケさん(71)は誇らしげだ。

 「10人に聞けば9人は『税金…

1897とはずがたり:2018/03/04(日) 19:57:09

普通の主婦が倒産寸前の町工場の社長になったワケ
ダイヤ精機社長 諏訪貴子
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20171124-OYT8T50013.html
2017年11月25日 07時12分

 32歳の専業主婦が、倒産寸前の町工場の社長に――。11月24日に始まったテレビドラマ「マチ工場のオンナ」(NHK、金曜後10時)の舞台は、少子高齢化や経営難などを理由に数を減らす町工場だ。後継者がいないなどの理由で2016年度に、休業・廃業に追い込まれた中小企業は過去最多となった。そうした流れに逆らうように、若くして町工場を継ぎ、経営を立て直した女性社長がいる。ドラマのモデルになったこの女性を、東京都大田区にある小さな工場に訪ねた。(聞き手・メディア局編集部 鈴木幸大)

 ドラマのモデルとなったのは、精密金属加工の「ダイヤ精機」の2代目社長・諏訪貴子さん(46)だ。13年前、夫は勤務する会社で米国赴任が決まっていた。6歳になった一人息子とともに渡米し、家族3人で新しい生活の準備をしていた。夫と子どもを家庭で支える主婦だった諏訪さん。社長になる決意をしたのは、父の突然の死だった。

「余命はあと4日です」
 2004年4月のことだった。…父の保雄が体調を崩し、会社から病院に運ばれたと聞いて駆けつけた
 「余命はあと4日ほどだと思います」
 父は、1964年に「ダイヤ精機」を創業。大手自動車メーカーなどから自動車部品用のゲージ(測定機具)や金型などの設計・製造を請け負っていた。

 社長である父が、数日後にいなくなってしまう。
 事業継承に必要な準備をしなければいけない、と自らを奮い立たせた。翌日、会社を訪れ、社長室の棚や机の引き出しをひっくり返した。

 預金通帳がない。金庫が開かない。社印が見つからない。当時、従業員は30人弱。父は1人ですべてを取り仕切っていた。

 入院から4日目、父は息を引き取った。
 声の出なくなった父は、メモ帳に金庫の暗証番号を書きとめた。それが、父の“最期の言葉”になった。64歳だった。

待望の赤ちゃん誕生に落胆
 私には、1961年に生まれた兄・秀樹がいた。3歳のときに白血病を患い、わずか6歳で他界した。

 父は、将来、ダイヤ精機の跡取りになる男の子を望んでいた。兄を失った父にとって、待望の子どもが私だった。しかし、赤ん坊の誕生を知らせる電話に父は落胆した。

銀行に見限られた“素人社長”

 父が亡くなった後、2004年5月、社員や取引先に要請される形で社長を引き受けることになった。
 社員は好意的に2代目を迎えてくれた。ところが、就任間もなく会社を訪ねてきたメインバンクの支店長と担当者は違った。
 銀行は合併先を用意し、社長退陣のシナリオを提案してきた。ついこの間まで主婦だった“素人社長”を早々に見限っていたのだ。

 バブル崩壊後、ダイヤ精機は長引く景気低迷で、売り上げはピークの半分以下の約3億円に落ち込んでいた。社員数は当時と同じまま。リストラや身売りを提案されても仕方ない経営状況だった。

 それでも、私は突然の退陣提案に頭へ血が上り、「冗談じゃない。とにかく半年待って。それまでに結果を出すから」と何の当てもなく啖呵たんかを切った。

 1か月前まで主婦だった創業者の娘である私が、社長に就任してわずか1週間で5人のリストラを断行した。
 「なんてことするんだ。このやろう」
 古参社員の1人は食ってかかってきた。「社長になってほしい」と私に求めた社内の雰囲気は一変した。
 5人のリストラで、月に200万円ほどの人件費を削減。経費を見直し、とことん切り詰めた。

 意図せず“お飾り”の社長ではなく、実権を握るという意思を社内に表明することになった。

 これまでのやり方に慣れているベテランからは抵抗されることもあれば、罵られることもあった。
 言い争い、ぶつかり合い、そして、歩み寄った。最初の1年は、新生「ダイヤ精機」の経営を模索する私と社員との格闘の時間だった。

1898とはずがたり:2018/03/04(日) 19:57:24
>>1897
「どうしてボクは生まれてきたの?」
 社長就任から4年が過ぎた2008年9月、リーマン・ショックが起きた。影響は半年後に表れ、受注が8〜9割減という状態になり、ついに赤字に陥った。

 自らの給与を手取り2万円にし、貯金を取り崩した。赤字があと3か月続けば、資金が底をつくという状態だった。

 絶体絶命の危機を乗り越えたのは、海外生産に舵かじを切るメーカーに向け、海外生産用のゲージ(測定機具)の受注を確保したことだ。熟練工がミクロン単位で磨き上げるゲージは、高い加工技術が求められ、海外での現地調達が難しかった。自動車メーカーの生産拡大を追い風に、需要は急激に膨らんだ。

…以前、こんな話を母から聞いた。病魔と闘い、小学校にも行けなかった兄がある日、「どうしてボクは生まれてきたの?」と母に尋ねたという。返答に困った母は、口を閉ざしてしまった。
 もし、兄が生きていれば、父の後を継ぎ、社長としてその答えを見つけられたかもしれない。兄の代わりに生まれた私は、その答えを探さなきゃいけない。

休廃業が相次ぐ小規模事業所
 中小企業庁によると、中小企業の経営者年齢は高齢化しており、2016年の休廃業・解散件数は2万9583件で過去最多となった。資本金1000万円未満の小規模企業は、後継者不足や休廃業が進み、1999年の423万社から2014年に325万社へと落ち込んでいる。

 父が亡くなって13年が過ぎた。
 「私が社長になる」。残念ながら、父にこの言葉を伝えられなかった。寝たきりでもいいから、社長としてふんばっている私を見てほしかった。

 安定した経営基盤の構築や事業継承は、多くの中小企業にとって課題だ。熟練の技術者は高齢になり、若手の採用・定着もままならい。

 だから、大企業では当たり前の社内研修を始めた。ものづくりの現場は、職人気質で口数が少なく、ぶっきらぼうな社員が多い。あいさつや整理整頓を徹底。ホウレンソウ(報告・連絡・相談)のあり方、品質・コスト管理などを一から指導した。

 「自分たちは先輩から技術を盗んで覚えた」とベテランは主張する。
 これに、「何も教えてもらえません」と若手はとまどう。

 私は、ベテラン社員を説得し、「今の子は自分から行動しない」「教えてあげればきっとできるから」と考え方を改めてもらった。人材の採用、育成、技術継承は町工場が生き残るために最も大切なことだ。

小さくても強い工場になる
 少子化などで国内の市場は縮小していく。大田区にある製造工場は、従業員9人以下という小規模事業所が8割を占めている。今後、小さな町工場が生き残り、存在感を出すにはどうしたらいいか。

 熟練工は、当たり前のことを、当たり前のようにやってきた。だが、その技術力やクオリティーを十分にアピールできていない。どんなに素晴らしいものを作っても、自分の製品をすごいとは言わない。それが美徳のように思っているからだ。

 IT化による生産管理の効率化、製品のPR、そして、新たな市場開拓……。たとえ小さな工場であっても、「強い工場」にならなければならない。

 これまで自動車メーカーからの受注が主だったが、医療、電機、機械など別業種にも取引先を広げることを考えた。そして、国内だけにとどまらず、海外からの受注を受けることも目指す。
 「社員が大田区にマイホームを建てられるような会社にしたい」
 それが、この会社で社長にしてもらった私の夢になった。

プロフィル
諏訪 貴子( すわ・たかこ )
 1971年、東京都大田区生まれ。成蹊大工学部卒、自動車部品メーカーのユニシアジェックス(現・日立オートモティブシステムズ)入社。2004年、父の急逝に伴い、ダイヤ精機の2代目社長に就任。「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2013」大賞受賞。著書に「町工場の娘」(日経BP)など。

1899とはずがたり:2018/03/09(金) 11:30:19

倒産件数の3.5倍も…企業の“人手不足廃業”が止まらない
日刊ゲンダイDIGITAL 2018年1月17日 09時26分 (2018年1月18日 05時30分 更新)
https://www.excite.co.jp/News/economy_g/20180117/Gendai_436293.html

“隠れ倒産”が高止まりしている。

「ここ数年、廃業や解散など、倒産件数にカウントされない企業の消滅が増加傾向にあります。経営不振から廃業を選ぶ中小企業が多いのです。だから市場では、廃業のことを『隠れ倒産』と呼びます」(市場関係者)

 15日、東京商工リサーチが公表した休廃業・解散企業数(2017年)は2万8142件だった。前年比では4.8%減と3年ぶりに減少したが、件数そのものは14年、15年より増加している。

「倒産件数は14年に1万件を割り込み、減少傾向が続いています。一方で廃業はほぼ横ばいながら、倒産の約3.5倍に達してます。特に建設業や飲食をはじめとするサービス業の廃業が顕著です」(東京商工リサーチ情報本部の増田和史氏)

 建設業と飲食業に共通しているのは人手不足だ。建設現場では、20年の東京五輪をにらんだインフラ整備などが続き、人手不足は深刻になっている。

「飲食店では、人件費アップに踏み切らないとアルバイトが集まりません。たとえば商店街で細々と経営する中華料理店やそば屋などは、人件費のコストアップは経営を直撃します。資金難で動きが取れなくなる前に自ら廃業を選ぶ店主は増えています」(流通関係者)

 政府は、有効求人倍率が1.56倍(11月)で、完全失業率は2.7%の低水準と、雇用環境の改善をアピールしている。だが、中小零細企業は人手不足や人件費高騰に頭を抱え、廃業を選ぶ経営者が続出しているのだ。

「中小零細企業にはもうひとつの人手不足問題があります。後継者がいないため、廃業に追い込まれるケースです。実際、17年に廃業した経営者の年齢は70代が36%と最多でした」(増田和史氏)

 後継者が見つからず、アルバイトも雇えない“人手不足廃業”だ。追い込まれた中小零細企業に対し、「倒産する前に廃業したほうがいい」とうながす金融機関があるらしい。

「倒産件数を増加させたくない安倍政権の意向だといいます」(金融関係者)

 見た目の倒産減少をうのみにしてはいけない。

1900とはずがたり:2018/03/11(日) 12:19:34
中国中産階級はなぜ「焦って」いるのか―中国紙
http://www.recordchina.co.jp/b180002-s10-c30.html
人民網日本語版配信日時:2017年6月4日(日) 22時20分

時代が発展すると、ややゆとりある暮らしを意味する「小康」という言葉は人々の視野から消えていき、「中産階級」が新時代のトレンドワードになった。中産階級の暮らしはどのようなものだろうか。各種の報告から浮かび上がってくるのは、相当の収入と立派な仕事がありながら、不安と焦りに駆られて生きる中産階級の人々の姿だった。揚子晩報が伝えた。

中産階級は仕事や家庭、子どもの教育、資産価値の上昇などいろいろなことで焦っている。蘇寧金融研究院の専門家は、「中産階級は社会の中で最も焦っている人々であり、焦りは経済が発展すると必ず通らなければならない段階であって、過度に恐れる必要はない」と話す。

▽「焦り」は中産階級集団の顔

年収がどれくらいあれば中産階級といえるのだろうか。中国国家統計局が発表した調査結果では、6万?50万元(1元は約16.3円)が中国の都市部中所得層の世帯年収の標準になる(平均世帯人員を3人とする)。より幅広い見方をすると、中産階級は頭脳労働に従事する人が大半で、主に給与や報酬で生活しており、一般的に教育水準が高く、専門的知識や高い職業能力を備え、世帯の消費能力もそれなりに高い。経済的地位、政治的地位、社会的・文化的地位も高く、今の社会では中間レベルにいる人々ということができる。

異なる見方をする人もいる。就職情報サイト・智聯招聘が発表した「2017年中国ニュー中産階級調査報告」によると、年収10万?50万元の人々がニュー中産階級と定義されるという。

中産階級にはどのような特徴があるだろうか。英国誌「エコノミスト」の報道では、「中国の中産階級は世界で最も焦っている人々」だ。智聯招聘の報告では、ニュー中産階級の3分の1が焦りを感じ、うっかりするとうつ病になる可能性があり、「いつも焦っている」と「時々焦っている」を合わせると、95%にもなるという。

同報告から容易にうかがえるのは、中産階級には現状に対する明確な認識と未来に対する限りない迷いがあり、相当の収入や立派な仕事が喜びと慰めを与えてはくれるものの、不安と焦りがキリキリと心を悩ませてもいるということだ。

▽時間に焦る:残業が非常に多く自分の時間がない

同報告によると、中産階級の半分以上が残業を当たり前のことと考えており、残業時間が増えると子どもと遊ぶ時間はもとより消費する時間さえなくなる。同研究院の江瀚特約研究員は、「時間への焦りが中産階級が最初に感じる焦りだ。時間が大量に奪われてしまうと、心理状態に影響することもあり、ひいては世帯全体も焦りの気持ちに包まれたりする」との見方を示す。

▽教育に焦る:子どもに立派になってほしい気持ちが強いが、やりすぎるとうまくいかなくなる

江研究員は、「中産階級は若いときに教育や努力を重ねて現在の暮らしを手に入れた人たちなので、『経路依存症』になり、次世代にも同じやり方を引き継ぐことを求める。資産は継承できるが、ソフトパワーは継承できない。中産階級は子どもの教育に気力と財力を惜しまず投入するが、教育に対して焦りすぎたり重要視しすぎたりしてうまくいかなくなってのたうち回り、果ては家族の仲が悪くなったり、親子関係が壊れたりするケースも少なくない」と話す。

1901とはずがたり:2018/03/11(日) 12:19:48
>>1900-1901
▽資産運用に焦る:失業を恐れ、インフレを恐れ、資産価値の目減りを恐れる

統計をみると、中国の中産階級の収入の93%は給与で、失業すれば瞬く間に苦境に陥ることになる。そこで資産の価値を高めたいと焦るのが普通のことになる。インフレが世界の中産階級を苦しめている。中国の中産階級の特殊性がどこにあるかというと、住宅に対する見方にある。住宅は硬直的需要だが、価格が他の消費財に比べて10数倍から数十倍も高く、購入制限や賃貸制限もあり、中産階級が最も強く焦りを感じるものとなっている。

▽支出に焦る:住宅ローンでいっぱいいっぱい

江研究員は、「中産階級は表面的には家も車もあって、相当の暮らしをしているようにみえるが、不動産ローン、自動車ローン、クレジットカードの支払いをすると、毎月の収入はほとんど残らないという人が大半だ」と分析する。

また江研究員は、「多くの場合、中産階級の焦りは往々にして社会保障システムがまだ不完全であることに由来し、多くの人が自分の将来を心配する。実際、焦りは中国の経済発展プロセスにおけるごく当たり前の現象であり、米国や欧州などの発達したエコノミーはどこも焦りを経験している。特に経済の成長ペースのギアチェンジ期やモデル転換・バージョンアップ期には、こうした焦りの気持ちがさらに顕在化する。焦りの現象がみられる場合、重視しなくてはならないが、過度に恐れる必要はない。各世帯で不労所得を増やす方法を考えるなど、世帯自身が変わる必要がある。また社会全体で学習意欲や競争意識が高まり、世帯資産の構成がより多様になり、ひいては世帯のリスク対抗力が高まるよう後押しする必要もある。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

1902とはずがたり:2018/03/14(水) 22:04:45
麻生氏進退「早過ぎる」=森友問題で日商会頭
https://news.goo.ne.jp/article/jiji/business/jiji-180314X062.html
20:00時事通信

 日本商工会議所の三村明夫会頭は14日の定例記者会見で、「森友学園」問題をめぐる財務省の文書改ざんに関し、麻生太郎財務相の進退論が浮上していることについて「責任問題を議論するのは早過ぎるし、軽々に触れるのは軽率だ」との考えを示した。

 三村氏は佐川宣寿前国税庁長官の国会招致を念頭に「国会での議論を聞いた上で、物事を判断すべきだ」と述べ、麻生氏の責任への言及は避けた。

1903とはずがたり:2018/03/30(金) 07:12:52
2018年2月1日 / 19:34 / 2ヶ月前
視点:日本に必要な3つの改革、まずは幼少期教育に重きを=ヘックマン氏
https://jp.reuters.com/article/2018-views-japan-james-heckman-idJPKBN1FL4AL
ジェームズ・ヘックマン シカゴ大学教授/ノーベル経済学賞受賞者

[東京 1日] - ノーベル経済学賞受賞者のジェームズ・ヘックマン米シカゴ大学教授は、今後日本が優先的に取り組むべき政策分野として、教育改革、労働・競争政策の見直し、人口高齢化対策の3つを挙げる。

中でも教育改革については、質の高い幼少期教育の提供が重要だと指摘。人的資本の基盤を拡大することは、人口問題への対策としても有効だと説く。

同氏の見解は以下の通り。

<スキル形成と創造性重視の教育>

日本は若い世代への教育を改善することで、人的資本の基盤を拡大すべきだ。そのためには、社会的流動性の促進を目的として、質の高い教育を幼少期の早い段階から始める必要がある。

教育の主要目標として、受験にはあまり重きを置かないことだ。人生の成功にとって重要なスキルやクリエイティビティを評価すべきだ。


学生が創造的であると同時に確かな情報に基づく議論で権威に挑戦できるように、教育する。権威への白紙委任や丸暗記の学習は減らす。そして学校や人生において、第2、第3のチャンスを与えるべきだ。

人間は、家族や学校、周辺環境によって形成し得る多様なスキルを有している。能力は、遺伝的特徴によって不変なわけではない。賢い介入によって発展させることが可能なのだ。

多くの若者にとって見習い制度や職場内研修が重要な機会となること、そして大学が万人のためにあるわけではないことも認識すべきである。

<柔軟な労働市場と産業の新陳代謝>

第2に、日本は雇用や産業参入に関する規制を減らすべきだ。変化に適応できる、より柔軟な労働市場、製品市場を創造しなければならない。

職場のルールや企業参入規制(の見直し)を通じ、変化に適応しやすくする。働く人の移動を容易にする一方で、生産性の低い企業が退出し、生産性の高い企業が取って代わることを許容すべきだ。

<2種類の人口高齢化対策>

第3に、日本の人口は高齢化が進んでおり、フレッシュな人材が必要だ。ゲストワーカー(海外からの一時的労働者)の受け入れプログラムを通じたものでもよいから、移民にもっと門戸を開くべきである。

しかし、移住者を日本社会に同化させ、エンクレーブ(居留地)形成を避けることによって、日本の伝統的な価値観は守るべきだ。

そして、人口を有効な大きさまで押し上げるためのもう1つの道は、最初に述べたように、包括的なスキル形成を目指す(教育)政策を通じて、人々のスキルを強化することである。

――関連記事:教育無償化に見るエビデンス軽視の危うさ=中室牧子慶大准教授

*本稿は、特集「2018年の視点」に掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。

(編集:麻生祐司)

1904とはずがたり:2018/03/30(金) 12:25:51
搾取と時間だそうな。なんだか面白そうだ。

Exploitation and time
Author links open overlay panelRobertoVeneziani
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022053105001535

1905とはずがたり:2018/04/01(日) 19:54:57

2017.12.23
優柔不断なリーダーはやたらと「情報」を集め、
決断力のあるリーダーは「○○」を重視する。
http://diamond.jp/articles/-/151185
荒川詔四:㈱ブリヂストン元CEO

1906とはずがたり:2018/04/02(月) 11:20:03
なぜ「すぐやる人」ほど仕事が遅れるのか
一生懸命やっても評価されない理由
http://president.jp/articles/-/24038?cx_referrertype=mail
スキル 2017.12.22
元日本IBMエグゼクティブ・プロジェクト・マネジャー 木部 智之

「いま、自分がどこにいるのか?」を見失ってはいけない

(前略・フルマラソンに於いて)大切なことは、自分の目の前の1kmが、

・最初の1キロなのか
・中盤の1キロなのか
・最後の1キロなのか

を知ることです。

そのために必要なのが「全体像を捉える」ことです。

一見すると、すぐに行動にとりかかるほうが、先にゴールに着けるように思えるかもしれません。

けれども、「即・行動」は「無計画」とも言い換えられます。今、自分が歩き出している道が間違った道だったり、ひどく遠回りの道である可能性もありますから、全体像を捉えるほうが大事なのです。

重箱の隅ばかりつついていないか?
仕事もまったく同じです。

よく、「あの人は重箱の隅ばかりつつくよね」などと言われることがあります。全体のバランスを考えず、些末なことばかりにとらわれ、こだわっていることを揶揄する言葉です。

では、そのような人たちはなぜ重箱の隅をつついてしまうのでしょう?

答えは明らかで、今、自分がつついている場所が「重箱の隅」であることに気づいていないからです。

重箱の全体像がわかっていなければ、自分がつついているところが隅なのか真ん中なのか、把握することができません。

たとえば、作成中の資料のデザインに凝りすぎて、最も重要なコンテンツがストンと抜け落ちてしまったり……。自分自身は一生懸命やっていたにもかかわらず、最終的に良い結果を出すことができず、「あの人は仕事ができない」という評価に至る悪いパターンです。

1907とはずがたり:2018/04/02(月) 11:20:14
>>1906
ゴールから逆算して走り出すために、全体像を把握する
仕事をする上で大切なのは、「まず、全体を把握すること」です。

そして、「その中から重要度を見極めること」です。

最初に仕事の全体像を押さえた上で到達すべきゴールを決め、そこから逆算して手段や到達方法を考えます。それからようやく「さあ、仕事に着手!」という流れが理想なのです。

どんな仕事でも、使える時間と費用は限られています。どんなにいいアイデアが100個出たとしても、その100個のアイデアを全部実行することはできません。実行するときは、限られた時間とカネで実行できる10個に絞る必要が出てきます。

「何を実行し、何を捨てるのか?」

この取捨選択をするためには、全体像がわからないと適切な判断ができません。

上司は全体像を知りたがっている
私が若手だった頃、会議の席などで、上司からしばしば「いま話しているものの総量はいくつなの?」「全体がわからないと判断できないな」という指摘をされました。

当時は「なぜそんなことをいちいち確認するのか?」と理解できませんでしたが、自分がリーダーとして大きなチームを率いる今となっては、その意味がわかるようになりました。

私が、ある部下から「今週は、他のものを後回しにして、このタスクに注力したいです」と相談されたとしましょう。

ですが私は、とっさに判断できません。なぜかというと、ほかのことも含めた全体像がわからないからです。

これがもし、「全体で見たときに、そのタスクがどれほどの重要度なのか」「後回しになる他のものに影響はないのか」といった全体にかかわる情報もあったなら、ただちに判断もでき、スピーディーにゴーサインを出すことも可能です。

上司はモノを催促していない。情報を知りたいだけ
ときおり部下に「あの資料、いつまでに作る予定?」と聞くと、「すみません! 急いで明日、提出します!」と焦って答えてくる人がいて、「別に急いでいるわけじゃないんだけど……」と残念に思うことがあります。

上司である私が求めているのは、その「資料そのもの」ではありません。

「作業は順調なのか」「いつぐらいに資料が手元にくるのか」というスケジュール感を知りたいだけなのです。

(以下有料)

1908とはずがたり:2018/04/11(水) 13:23:28
"間接部門を子会社に統合"が失敗する理由 プレジデントオンライン 2018年4月11日 09時15分 (2018年4月11日 13時11分 更新)
https://www.excite.co.jp/News/economy_clm/20180411/President_24870.html

2000年代なかば、間接部門を子会社に統合する「シェアード・サービス」という経営手法が大流行した。だが現在は死語になりつつある。成功例がほとんどないからだ。なぜ試みは失敗したのか。同志社大学の加登豊教授は「最大の問題はグループ経営の視点の欠落だ」と指摘する――。

■数多くの企業が横並びで設立
今回の一穴:グループ会社の中にシェアード・サービス会社がある。
前回に続き、子会社について検討してみたい。取り上げるのは、シェアード・サービス会社である。
経営に関する「流行り言葉(buzzwords)」の大部分は1年もしないうちに忘れ去られる。しかし、言葉は死語になっても、経営の実態に、その死語が生み出した痕跡が残ることがある。有用でない言葉は、忘れた方が良い。しかし、その時には、痕跡も合わせて消し去ってしまわないといけない。企業には、このような痕跡がたくさん残っており、それが経営の大きな足かせとなっている。
その典型例の一つが、シェアード・サービス会社(この言葉が何を表しているかがわからない読者も多いだろう。すでに死語だから仕方がないが)である。子会社のうちでも、特に大きな問題をかかえているのは、2000年初頭に数多くの企業が横並び的に設立したシェアード・サービス会社である。
シェアード・サービスは、米ゼネラル・エレクトリック(GE)が経理部門の合理化をはかるために導入したと言われているが、わが国では、長引く不況による業績低迷、連結会計制度への移行等も影響して、グループ企業のそれぞれが有する間接部門を統合し、経費削減を図るとともに、業務効率化を達成し、グループ連結経営を強化する等を目的として、採用された。
その際、経理、情報システムおよび情報セキュリティ、人事部の中の教育研修機能、総務、法務などの業務が、子会社であるシェアード・サービス会社に移行した。
狙いは、グループ企業内に分散している間接業務要員を子会社に集結させ、専門性をさらに高め、グループ企業以外の顧客を獲得して収益を上げ連結経営に寄与することにあった。また、間接部門要員を子会社に出向・転籍させることで、親会社の人件費負担を軽減できるというメリットもあると考えられた。

■効率化も進まず、外部顧客も獲得できず
しかし、シェアード・サービス化で効果を上げている企業は少ないばかりか、新たな多くの問題を生むことになったのが現実である。
まず、親会社の人件費負担については、親会社と子会社の支払い給与の差額のみを出向者に対して親会社が負担するので、確かに効果があるように思える。しかし、企業グループ全体としては、支払い給与総額は変化しない。そもそも、親会社の人件費軽減という発想そのものに、グループ経営の視点が欠落していることを知らなくてはならない。
グループ会社といっても、会社ごとに業務の進め方等について独自の考え方やシステムがあったため、同一業務を担当する人員を集結させても、すぐに業務が円滑に進んだわけではない。業務の統一化に向けて、多くの時間と調整を行っても、相違はなかなかに埋まらなかった。つまり狙い通りには専門性は高まらなかったのである。シェアード・サービス会社設立時に、グループ各社の担当者全員を移籍するという「配慮」が働いたため、必要以上の人員を各シェアード・サービス会社が抱え込むことにもなった。
また、グループ外企業との取引を実現するためには、営業活動が不可欠であるが、それは容易でなかった。当然ながら、コンタクト先の企業には、売り込もうとする業務を担当する間接部門が存在しているし、同種業務を行うシェアード・サービス会社を設立していたからである。いくら優れたサービス、安価なサービス提供を訴えても、新規顧客の獲得は困難を極めることになる。
間接業務担当者の中には、かつて、営業の経験がある者がいたとしても、営業の専門職ではない。このような人たちに、他社への営業は荷が重かった。そのため、営業活動は、出身母体であるグループ会社に向けられることになる。そもそも、企業内の間接部門は多くの場合コストセンターであるから、間接業務の価格設定をどのように行い、いくらに価格を決定するかも判断できなかったのである。連結最適ではなく部分最適を求めてしまった結果、シェアードサービスの価格が、外部のサービスより高くなり、かえってコスト高を招くこともあった。

1909とはずがたり:2018/04/11(水) 13:23:50
>>1908
結果は悲惨を極めているにも関わらず、その深刻さが認識されているとはいえない。グループ全体で見れば、シェアード・サービス会社運営のための費用が増大し、連結売上や連結利益へのシェアード・サービス会社の貢献は、微々たるものだからである。また、本体企業から出向・転籍となった人々のモチベーションは低い。
つまり、シェアード・サービス化は、親会社の単体発想に基づいた、合理化や経費節減でしかない。
単体レベルに見れば、親会社では間接要員は大幅に縮減され、人件費も大幅に圧縮されている。これは公務員数の削減を迫られた政府が、数多くの独立行政法人や大学法人の設立を通じて、公務員や国立大学の教職員数を減少させた方策と酷似している。

■親会社に専門家がいなくなった
加えて、シェアード・サービス化してはいけなかった業務まで子会社に移管したことの代償は大きい。
まず、シェアード・サービス会社に各種間接業務の専門家を移籍させた結果、親会社に当該業務の専門家の層が薄くなってしまった。特に、会計・ファイナンスについて深い知識を持つ者が少ないことは、企業経営に関する判断や意思決定に支障が生じることにつながる。現時点では、問題はないだろうが、あと10年もすれば、会計・ファイナンスに疎い経営陣が、陣頭指揮をとるという極めて危険な事態に直面することになるだろう。
情報システムについても、同様のことが言える。また、人事部から、教育・研修業務を抜き出してシェアード・サービス化した企業も少なくないが、人材育成が企業にとって極めて重要であるという事実からすると納得がいかない。企業における人材育成は、異動、OJT、自己研鑽と並んで教育研修の四つを巧みに組み合わせることで、成果を上げることができるのであるが、教育研修業務を切り離してしまえば、円滑な人材育成に支障が生じるからである。
「経験学習」の研究によれば、「6:3:1の法則」があるという。
6割が自分自身の経験、3割が上司・同僚・部下の経験、そして1が研修教育による経験から構成されているという。ただ、それぞれの経験を獲得するために費やされる時間を考えれば、研修教育から得られる時間当たりの知見のウエートは極めて高くなる。このような重要な教育・研修の機能を子会社とはいえ、別会社に委ねることには問題があるだろう。

■問題克服のための二つの方策
以上のことから、間接業務をシェアード・サービス会社に移管するという決定は、期待された効果をほとんど生むことがなかったばかりか、企業に大きなダメージを与え続けているのである。それでは、この問題をどのように克服すればいいのだろうか。
方策は二つある。一つは、シェアード・サービス会社がグループ会社に頼らない経営に大きくかじを取り、高収益を実現できる企業へと変身することである。そのためには、提供するサービスの質を向上させ、他社に対する営業を強化し、社員数を大幅に削減し少数精鋭組織となることが不可欠である。
もう一つは、連結会計に貢献が少ないすべてのシェアード・サービス会社を解散し、再び、間接要員を親会社を含むグループ会社に再配置することである。現状を維持するというのは、「何もしない」という意思決定を行うことであるが、これは最悪の意思決定である。何もしなければ、企業力は静かにそして確実に弱っていくことになるだろう。
シェアード・サービス会社設立に限らず、「失われた20年」と呼ばれている時期に企業がとった施策を一度すべて棚卸しする必要があるだろう。
なぜなら、純粋持ち株会社の解禁やコーポレート・ガバナンスの強化など、バブル経済崩壊からの脱出のための方策の大部分が、低迷をさらに長期化させたからである。経験から学ぶことの重要性は「経験学習」の研究からも明らかである。ただ、経験・体験することだけでは意味がない。経験・体験を深く洞察し、内省を得ることが極めて大切である。「内省なき経験」は百害あって一利なしであることを確認してほしい。
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加登 豊(かと・ゆたか)

同志社大学大学院ビジネス研究科教授

神戸大学名誉教授、博士(経営学)。1953年8月兵庫県生まれ、78年神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程修了(経営学修士)、99年神戸大学大学院経営学研究科教授、2008年同大学院経営学研究科研究科長(経営学部長)を経て12年から現職。専門は管理会計、コストマネジメント、管理システム。ノースカロライナ大学、コロラド大学、オックスフォード大学など海外の多くの大学にて客員研究員として研究に従事。

1910とはずがたり:2018/04/11(水) 17:37:08
なんと!フーバーはばらまいたのか?!多分ばらまきはしないという信条は持ってたけどばらまいたのかな。フランクリンはばらまくという信条でばらまいたけど。

2016.10.24
筈井利人「一刀両断エコノミクス」
政府の経済政策は、経済を悪化させるという歴史的事実…不況期は「何もしない」が最善
http://biz-journal.jp/2016/10/post_16985.html
文=筈井利人/経済ジャーナリスト

今から87年前の1929年10月24日といえば、経済の歴史で最も重要な日付のひとつである。「暗黒の木曜日」と呼ばれるこの日、ニューヨーク市場で株式相場が暴落し、史上最大規模の世界恐慌(大恐慌)の始まりを告げたからだ。

 一般に流布する説によれば、大恐慌発生時の米大統領フーバー(共和党、任期1929年3月?33年3月)は自由放任主義を信じ、経済対策をやらなかったため不況を深刻にしたといわれる。

 しかし、それは嘘である。これから述べるように、フーバーは政府による経済介入を積極的に行い、それが裏目に出て、不況を大恐慌に悪化させてしまったのだ。

積極的な公共投資

 たとえばフーバーは公共事業に消極的だったといわれるが、それは事実に反する。むしろすばやく行動した。

 フーバーは暴落翌月の11月23日、州知事全員に電報を打ち、州の公共事業計画を拡大するよう協力を求めた。知事らは協力を誓い、同24日、商務省は州と公共事業で協力するための組織を設立する。

 一方、連邦政府の建造物計画に4億ドルを増額するよう議会に提案し、12月3日、商務省は公共事業計画を促進するため公共工事局を新設する。さらに船舶連盟を通じて造船への補助金を増やし、公共事業にさらに1億7500万ドルの予算増額を求めた。

 翌30年6月末には、フーバーは州と市に対し、さらに公共事業を拡大し失業を解消するよう要請している。7月3日、議会はコロラド川のダム建設など9億1500万ドルもの巨額の公共事業予算を承認した。このダムはフーバーの名にちなんでフーバーダムと呼ばれる。

 フーバーは政府による公共工事だけでなく、民間投資の維持・拡大も促した。29年11月、ホワイトハウスの閣議室に鉄道会社の社長らを集め、建設・改修投資の続行と拡大を要請した。これを受けて鉄道会社側は10億ドルの支出計画を発表した。これは同年に連邦政府が予算を割り当てた全プロジェクトの3分の1強に相当する大きな金額だった(『アメリカ大恐慌・上巻』<アミティ・シュレーズ著/田村勝省訳/NTT出版>)。

 会計年度ごとの政府支出をみると、30年度(29年7月〜30年6月)から34年度(33年7月〜34年6月)まで、公共工事を含む連邦政府支出はほぼ一貫して増加している。30年度(33億ドル)から32年度(47億ドル)にかけては42%も増えた。33年度には前年度比6100万ドル(1.3%)減っているが、同年度が始まるのは32年7月1日で、すでに大恐慌に入って3年近い。そのときまでフーバーは財政支出を着実に増やしたのである。

 財政収支をみると、30年度こそクーリッジ前政権から引き継いだ黒字を維持したものの、31年度は赤字に転じ、32年度には赤字額が国内総生産(GDP)の4%に達した。国内総生産が4年間で3割近く急減した影響もあるが、一方で財政赤字の絶対額も5億ドル(31年度)から27億ドル(32年度)へと5倍強に跳ね上がっており、対GDP比率を押し上げた(『学校で教えない大恐慌・ニューディール』<ロバート・マーフィー著/マーク・シェフナー他訳、大学教育出版>)。

 財政赤字の対GDP比4%という数字は、減税やイラク戦争で赤字が大きく膨らんだジョージ・ブッシュ(子)時代の3.6%(2004年度)を上回る高水準である。フーバーの政策は、積極的な財政出動を唱えるケインズ主義そのものの対応だったといえる。

1911とはずがたり:2018/04/11(水) 17:37:28
>>1910
市場の自由な調整

 このようにフーバーは財政支出を積極的に増やしており、財政出動に消極的だったという俗説は誤っている。さらに重要なのは、そうした財政出動にもかかわらず、経済が回復しなかったという事実である。

 フーバーと対照的に、不況時に政府は手出しせず、市場の自由な調整に任せたほうがよいという伝統的な考えは、当時の政権内にもあった。その代表的論者は財務長官のアンドリュー・メロンである。

 フーバーより20歳近く年長のメロンは、南北戦争後の1870年代に起こった恐慌について、政府の景気対策などなかったが、わずか1年のうちに経済は再びフルスピードで作動し出したと話して聞かせた。メロンが主張した処方箋は「労働を清算し、株式を清算し、農民を清算し、不動産を清算」し、経済から「腐敗物」を「一掃」し、高い生活費を引き下げ、勤勉と効率的な事業を奨励することだった。

 これまで本連載でもたびたび取り上げたように、公共工事やデフレ対策、賃金の人為的な引き上げといった政府の経済対策は、経済を改善するどころか、むしろ悪化させる。メロンの意見は過激に聞こえるかもしれないが、正しいことを言っている。

 しかしフーバーは、以前の経済構造は単純で、当時のやり方はもはや通用しないとして聞き入れなかった。メロンから「人間の本質が60年で変わることはない」と反論されたが、経済介入の方針を頑として変えようとしなかった。

 フーバーは公共事業だけでなく、企業に労働賃金の引き下げをしないよう要請したり、農産物を買い支えたり、経営危機に瀕した銀行や企業に公的融資を行ったり、さまざまな経済介入を行った。フーバーの後任大統領、フランクリン・ルーズベルトが行ったニューディール政策の原型はフーバーの政策にあると指摘する経済学者もいる。

しかし、ニューディール政策が俗説と異なり、恐慌の解決に役立たなかったのと同じく、フーバーの介入政策はむしろ不況を悪化させ、労働者の4人に1人を失業に追いやった。

政治家にとっての不都合

 いつの時代も政治家というものは、政策の失敗を認めようとしない。フーバーは32年秋、不況が深刻になっていたにもかかわらず、演説でみずからの政策について次のように誇らしげに振り返った。

「何もしなければ、破滅していたでしょう。しかし私たちは困難に立ち向かい、米国史上もっとも大規模な、経済の防衛・反攻計画を民間企業と議会に提案し、実行に移しました。……経済危機に際し、これほど広い分野で指導力を発揮する責任があると考えた政府はそれまでありませんでした」

 この言葉からも、フーバーが自由放任主義と「小さな政府」を信じていたという俗説が嘘であることがわかるだろう。フーバーは逆に政府介入主義と「大きな政府」を信じていたのだ。そしてそれが不況を深刻な恐慌に悪化させた。

 しかしこの事実は、今の先進各国の政治家にとっては都合が悪い。大恐慌の犯人が経済介入だとすると、不況を口実にしてさまざまな経済対策を行い、有権者の人気取りをすることができなくなってしまうからだ。

 こうして「フーバーの自由放任が大恐慌の原因」という嘘は、今も消えることなく、政府に親しい学者やメディアによって世間にまき散らし続けられるのだ。
(文=筈井利人/経済ジャーナリスト)

1912とはずがたり:2018/05/14(月) 16:55:10
おいおい全部英語だと書き込めないとか辞めてくれ

Chayanov,A.V. (1966) The Theory of Peasant Economy : AmericanEconomic AssociationTranslationSeries,1-268, Thorner,D,,Kerbly,B., & Smith, R,E,F,Eds.

1913とはずがたり:2018/05/15(火) 11:52:41
スマートに働くアメリカ人に対して泥臭い長時間労働のど根性日本人。時は金なりの解釈で既に泥沼にはまり込んでると云えよう。ベンジャミン・フランクリンを学び直せ。

時は金なり(Time is money)の語源とその本当の意味とは?
https://fukuokatomotake.com/archives/441
お金 2016.09.03 2017.12.16

『時は金なり』とアメリカ合衆国建国の父
『時は金なり』という諺(ことわざ)があります。時間はお金と同じように非常に貴重なものなので無駄に浪費してしまうことなく、できる限り有意義に使いましょうといった意味合いの言葉になります。

この『時は金なり』という言葉は英語から来ています。英語の『Time is money(タイム イズ マネー)』が語源になります。この言葉もおそらく一度は聞かれたことがあるんじゃないでしょうか?

日本語の『時は金なり』という言葉は、この『Time is money(タイムイズマネー)』の考え方が日本にやって来たときに日本語に翻訳された言葉なのです。

この『Time is money(タイムイズマネー)』を言ったとされるのが、アメリカ合衆国建国の父の1人で、100ドル札紙幣の肖像画にも描かれている、政治家、作家、物理学者として多方面で活躍したベンジャミン・フランクリンという人です。

彼が著した、Advice to a Young Tradesman(邦題:若き商人への手紙)のなかに

『Remember that time is money』

という言葉が記されてます。

直訳するのであれば『時間はお金そのものであることを忘れるな』といった意味になります。

また、彼の別の著書『自伝』のなかでは、彼の信念を13の項目にまとめたうちのひとつである『勤勉』の項目において、

「時間を空費するなかれ。つねに何か益あることに従うべし。無用の行いはすべて断つべし」

という言葉も残しています。

こうした言葉から、時間を浪費することがどれだけ人生を無駄にすることに繋がるのか、そして、時間を浪費するという選択をするのはいつも自分で、自分の望む人生が実現するのを妨げているのは周囲の人や環境などでは決してなくて、いつも自分なんだということをよく理解して生きていたことが伺えます。



『時は金なり』の言葉の本質は機会費用(opportunity cost)の概念にある
この『時は金なり(Time is money)』という言葉はまれに、「時間は全てお金に換算して考えないとダメ」であったり「時間は全てお金に換金することを前提に考えるべき」といった誤解をされる方もいらっしゃいますがこれは誤りです。

というのも、『時は金なり(Time is money)』という言葉は機会費用の考え方の重要性を私たちに教えてくれている言葉だからです。

機会費用(opportunity cost)とは、別の選択肢を選んでいれば手に入ったはずの利益を差す言葉です。



1914とはずがたり:2018/05/30(水) 11:43:37
貧困すれはあるけどマクロ分配スレないな。。

The Direction of Technical Change
Chad Jones
Stanford GSB
https://web.stanford.edu/~chadj/DirectionTechChange.pdf

1915とはずがたり:2018/05/30(水) 11:44:06

労働スレでもいいかもしれんが。。

The Impact of IT on the Labor Market
https://economics.mit.edu/files/12118
Daron Acemoglu
MIT
September 2016.

1916とはずがたり:2018/06/17(日) 20:41:15
サミュエルソンもフリードマンもユダヤ人なのか。
ユダヤ人はパレスチナを侵掠した侵略者として好きではないが,日本人故に欧米人的の迫害的な差別意識は理解出来ないから彼らが壮だからと云って評価は全く変化しないが,ガロアもユダヤ人だと聞いた事がある。だからどうだって感じだけど,京都人の部落差別と似た様な感覚があるのだろうか?

なぜ日本の経済学者は富豪や優れた投資家ではないのか?――元経済記者が、退職後に株投資を始めた理由
https://excite.co.jp/News/economy_clm/20180617/Harbor_business_168356.html
HARBOR BUSINESS Online 2018年6月17日 08時44分

◆経済記者には、株の誘惑が絶えない

 私は新聞社を退職するまで、株との縁はほとんどありませんでした。新聞社は記者が株式売買をすることを厳しく禁止しているからです。どこかの企業の株を買えば、何かの関係でその企業について書く場合、好意的な記事を書いてしまうかもわかりません。最悪のケースとしては、事前にある企業の株式を購入しておき、適当な時期にその企業の提灯(ちょうちん)記事を書き、株価が上昇した段階で売り逃げ、利益を得ることも可能です。

 そればかりではありません。経済記者は日頃取材のため、多くの経営者、経営幹部と会います。それが仕事だからです。取材の過程で「この記者は、ガードが甘い」と見くびられると、悪魔の手が伸びてきます。「近く重大ニュースを発表するよ。今のうちにうちの株を買っておくと儲かるよ」「近く上場するので、上場前に何株か安く分けてあげるよ」などと誘われ、それに乗ってしまう。

 その結果、重大ニュースどころかベタ記事(1段見出しの記事)にもならないような記事を針小棒大に書かなくてはならなくなる。後者の場合は株取得後、「A社、近く上場」などの記事を書き、上場後、株価が上昇したところで売り抜ければ、インサイダー(内部者取引)として金融商品取引法違反として逮捕されます。

 特に経済記者には誘惑が絶えません。身を厳しく律する必要があります。新聞社幹部が新人記者を前に記者の心得を話す場合、必ず株取引の禁止を強調するのはそれなりの理由があるわけです。それに記者志望で入社してきた新人は、お金のことにそれほど興味はありません。ニュースを発掘し、それを記事にまとめることにやりがいを感じる者が大半です。

 私も気持ちは同じで、新聞社に入社した時、密かに心に誓ったことがあります。それは「苦手(にがて)をつくらない」ということでした。言いにくい相手にこそ、位負けなどせず堂々胸を張って向かい合う。相手が質問されたくないと思っていることを正面から質問する勇気です。そのためには、取材先、取材相手から決して借りをつくらない生き方をすること、このことを肝に銘じて記者生活を送ってきました。

 その私が、なぜ株取引に興味を持つようになったのでしょうか。

◆ケインズもサミュエルソンもフリードマンも株をやっていた

 私が株に興味を持ったのは、海外の著名な経済学者が株や為替、商品などの取引に関心を持ち、実践してきたことを知ってからです。株や商品取引などでそれなりの成果を上げた学者として、イギリスのジョン・メイナード・ケインズが有名です。

 ケインズといえばマクロ経済学の創設者として知られていますが、象牙の塔に引きこもる純粋培養型の学者ではありません。官僚、実業家、投機家などの顔を持つ実務家でした。若いころから株式投資や為替、商品取引などに興味を抱き、実践し、成果をあげています。

 ケインズが母校・ケンブリッジ大学の財政立て直しのため、同大の正会計官に就任したのは1924年、41歳の若さでした。それまで大学の基金運用は法律によって信託証券と土地に限定されていました。ケインズは法律が定める正規の基金とは別に、大学が裁量権を持ち、運用できる別のファンドを立ち上げました。そのうえで政府証券、外国政府証券、さらに株式投資や商品投機まで運用対象を広げ、辣腕を発揮して財政立て直しに成功しました。それが評価され、終生、同大学の正会計官の地位を保持することになりました。

 もう一つ忘れられないことがあります。私は駆け出しの記者だった1970年頃、日本経済研究センターから1年間、米国・ニューヨークのマンハッタンにある民間の経済研究所、カンファランスボード(CB)に、トレーニー(研修生)として出向、経済予測の勉強をしていました。

 その頃、新聞社のニューヨーク支局長のYさんが、著名な経済学者、ポール・サミュエルソン教授(マサチューセッツ工科大学)、ミルトン・フリードマン教授(シカゴ大学)に相次ぎインタビューすることになり、「めったにない機会だから」と声をかけてくださり、同席させていただいたのです。

1917とはずがたり:2018/06/17(日) 20:41:27

◆サミュエルソン「理論を実証するためにも、株取引は大切だ」

 インタビューが始まる前の雑談でサミュエルソン教授は、名前は憶えていませんが「どこそこの株を売ってかなり儲かった」という話を得意気にしていました。「理論を実証するためにも、株取引は大切だ」という趣旨のことを言っていたのも覚えています。

 別の日、フリードマン教授とのインタビューの時でした。インタビュー途中に突然電話がかかってきました。フリードマン教授はインタビューを中断し、電話の置いてある近くのデスクに腰を掛けて、証券会社らしき相手に対し、大きな声で手を振り上げながら「今すぐ○○ドルで売れ」などと指示していました。おそらく為替か株の取引だったのではないかと思います。

 5分ほどで電話が終わると、何もなかったようにインタビューの続きを始めました。サミュエルソン教授もフリードマン教授もその後に、ノーベル経済学賞を受賞したアメリカを代表する経済学者です。彼らの提唱する経済学を勉強していた私にとって、理論とは別に株式投資や為替、商品取引などに実際にお金を投資して、自分の経済理論を検証している姿を見て、なにかとても新鮮に見えました。

 というのは、その頃の日本の経済学者、とりわけ理論経済学者の間では、「株でお金儲けするなんてもってのほか、学者にとって恥ずべき行為だ」とする見方が一般的だったからです。事実、私もその当時の著名な理論経済学者が「株をやっている」という噂など聞いたことはありませんでした。

 なぜ、欧米の著名な経済学者の間で株式投資をする人が結構いるのに、日本ではいないのだろうか。それどころか、日本では、お金儲けのための株式投資は「学者の風上にも置けない行為」として軽蔑されてきました。この違いがどこからくるのか、長い間私には疑問でした。

◆「輸入学問」だった日本の経済学

 いろいろ考えた結果、一つの仮説として「当時の日本の経済学はまだ輸入学問の段階にあったからではないか」と考えました。英国や米国で発展した経済学の理論を正確に理解して日本人に伝えることが当時の経済学者の最優先課題だったように思います。

 実際、日本の著名な理論経済学者は、英国や米国の経済状態、金融制度などには精通していました。それに反し足元の日本の経済状況、例えばGDPの規模、公定歩合の変遷、就業者数、失業率、貿易規模などについてはあまり具体的な数値を知りませんでした。

 駆け出しの経済記者にとって、欧米の経済事情に精通している日本の理論経済学者が肝心の日本の経済事情をあまり知らないことに違和感を覚えました。当時の日本経済は完成度の高いアメリカ経済と比べて成熟度が低く、日本独特の商習慣や産業の二重構造、消費者行動、労働慣行などが混然一体となって経済活動に影響を及ぼしていたため、アメリカで完成された経済学の理論はうまく適応できなかったのです。

 日本経済の後進性も、やがて時間が経てば成熟度が高まり、企業も消費者もアメリカ型に近づいてくるはずだ。そうなれば米国生まれの経済理論も適応できるようになるだろう。それまでは、遅れている日本経済について詳しく知らなくても構わない――こんな思いが当時のわが国経済学者の間で強かったのではないかと推測できます。

 後日談になりますが、アメリカから帰国後、日本の著名な経済学者に会った際、「サミュエルソンやフリードマンは株式投資や為替取引で儲けているようですね」と話を向けると、「彼らはユダヤ人ですからね。お金に強い執着心があるのでしょう」と一蹴されてしまいました。

1918とはずがたり:2018/06/17(日) 20:41:42
>>1916-1918
◆それぞれの国には、それぞれの経済活動、発展の仕方がある

 経済学は社会科学です。同じ科学と言っても、物理学や化学、天文学などの自然科学とは違います。人々の消費行動、企業行動などをつぶさに観察して、さまざまな仮説や理論を導き出し、体系化したものが経済学です。人々の消費行動や企業行動には、それぞれの国の歴史や文化、宗教などが色濃く投影されています。従って、それぞれの国の経済活動、発展の仕方は一様ではなく、逆に驚くほど多様化しています。

 欧州やロシア、日本、中国やインドなど、長い歴史・文化を持つ国と、資本主義の歴史しか持たないアメリカとでは、経済政策、経済発展の仕方は大きく異なります。誤解を恐れずにいえば、自然界の法則のように、世界どこでも通用する法則は経済の世界には存在しないということです。それぞれの国にはそれぞれの国の歴史や文化、宗教などの影響を受けた独特の経済発展の仕方、姿があるということになります。

 このように考えると、経済学は純粋科学というよりも「実学」そのものではないかと思うようになりました。実学ならば、現実に役に立たなければ意味がありません。新聞社を退社したら、欧米の著名経済学者に倣(なら)って、それまでの経済記者として培(つちか)ってきた知識や企業分析を生かして、ひとつ私なりに株式投資に挑戦してみようと、密かに思うようになったのです。

【石橋叩きのネット投資術3】

<文/三橋規宏>
みつはしただひろ●1940年生まれ。1964年慶応義塾大学経済学部卒、日本経済新聞社入社。ロンドン支局長、日経ビジネス編集長、科学技術部長、論説副主幹、千葉商科大学教授、同大学名誉教授、環境を考える経済人の会21事務局長等を歴任。主著は『新・日本経済入門』(日本経済新聞出版社)、『ゼミナール日本経済入門』(同)、『環境経済入門』(日経文庫)、『環境再生と日本経済』(岩波新書)、『サッチャリズム』(中央公論社)、『サステナビリティ経営』(講談社)など。

1919とはずがたり:2018/06/27(水) 21:25:25
資本論に対する負債論?!

自己責任論者・本田圭佑が転向? W杯前にオキュパイ運動の理論的支柱が書いた反資本主義の書『負債論』を推奨した謎
2018.06.27
http://lite-ra.com/2018/06/w.html?utm_source=onesignal&utm_medium=button&utm_campaign=push



 本田は5月1日のツイートで「最近読んだお気に入りの本。シェアしたいと思ったくらいなので是非。」として、デヴィッド・グレーバー『負債論 貨幣と暴力の5000年』(酒井隆史監訳、高祖岩三郎・佐々木夏子訳/以文社)を紹介したのだ。本田のこのツイートのおかげで定価6000円プラス消費税という、結構な価格の一冊がAmazonでも一時品切れとなるなどの事態となった。

 しかし、驚いたのは本田が紹介したその『負債論』の中身だ。本田が推薦するくらいだから、新自由主義丸出しの本かと思いきや、まったく逆。著書のグレーバーはロンドン・スクールオブエコノミクス教授であり文化人類学者にしてアナキスト、反資本主義運動の活動家だ。2011年9月に始まったウォール街を占拠する「オキュパイ・ウォール・ストリート運動」にも関わり、「われわれは99%」というスローガンを作り出した人物でもある。

 そして『負債論』は、そのグレーバーが、世界を覆う資本主義や貨幣が実際は国家と暴力に裏打ちされてきたということを人類史的に立証し、負債を作り出すことで維持されてきた資本主義の限界を示す、明らかな反資本主義の本なのだ。

 グレーバーと対談したこともある思想家の矢部史郎氏は『負債論』についてこう解説する。

「グレーバーの『負債論』は、世界中で大きなインパクトをもって迎えられているようです。それは、数年前に話題になったピケティ以上のものがある。このインパクトの理由を端的に言うと、古典派経済学の祖アダム・スミスの学説を根本からひっくり返したことです。これはマルクス以来誰もなしえなかった画期的な成果です。“物々交換の面倒くささを解消するために貨幣が発明された”というのが古典派経済学による貨幣の創設神話ですが、『負債論』は物々交換から貨幣が生まれたのでなく、むしろ仮想貨幣と“信用”を軸にした取引のシステム、“人間経済”がブツとしての貨幣に先行していた、と説いています。そして、「義務と負債は本来おなじではないに関わらず、義務は負債の論理によって説明されること、そこに暴力と貨幣による数量化という二つの要因が深く関わってくる」という話を軸に、5000年の人類史を俯瞰しながら負債の歴史が語られる。グレーバーが描きなおす経済史は、ある意味ではマルクスよりも深く、マルクスよりも説得力を持って、アダム・スミスの嘘を暴いている。グレーバーは、私たちが日ごろ感じている経済学者たちのうさん臭さを、人類学の知見によって見事に表現したのです」

ピケティも絶賛する反格差の活動家の書をなぜ本田圭佑が薦めたのか
 たしかに、矢部氏の言うように、同書は2011年の出版以来、資本主義の本質と問題点を明らかにした書として、リベラル知識人や経済学者の間で非常に注目されてきた。『21世紀の資本』で知られる経済学者のトマ・ピケティも「『負債論』、愛しています(I Love Debt)」とコメント。また、ベーシックインカムの導入と1日3時間労働の提唱で話題になった『隷属なき道』(ルトガー・ブレグマン著/文藝春秋)にも大きな影響を与えたといわれる。ブレグマンは「数えきれないほど多くの人々が、仕事人生の全てを、自ら無意味と思う仕事に費やしている」という、グレーバーの論を踏まえた論を展開している。

 さらに、『負債論』はニューヨーク・タイムズやフィナンシャル・タイムズなどでも絶賛されるなど、世界的ベストセラーとなっている。

 そういう意味では、日本のリベラルの間でももっと注目されるべきだと言いたくなるくらいの良書なのだが、しかし、不思議なのは、自己責任論者の本田がなぜそんな本を推薦しているのか、だ。…

1920とはずがたり:2018/07/01(日) 18:46:16

いや,こっちかな。。

Returns to scale in research
https://aiimpacts.org/returns-to-scale-in-research/
2016-07-06 Featured Articles, Intelligence explosion, Pace of AI Progress (Without Feedback), Speed of AI Transition 0
When universities or university departments produce research outputs?such as published papers?they sometimes experience increasing returns to scale, sometimes constant returns to scale, and sometimes decreasing returns to scale. At the level of nations however, R&D tends to see increasing returns to scale. These results are preliminary.

Background

“Returns to scale” refers to the responsiveness of a process’ outputs when all inputs (e.g. researcher hours, equipment) are increased by a certain proportion. If all outputs (e.g. published papers, citations, patents) increase by that same proportion, the process is said to exhibit constant returns to scale. Increasing returns to scale and decreasing returns to scale refer to situations where outputs still increase, but by a higher or lower proportion, respectively.

Assessing returns to scale in research may be useful in predicting certain aspects of the development of artificial intelligence, in particular the dynamics of an intelligence explosion.

Results

The conclusions in this article are drawn from an incomplete review of academic literature assessing research efficiency, presented in Table 1. These papers assess research in terms of its direct outputs such as published papers, citations, and patents. The broader effects of the research are not considered.

Most of the papers listed below use the Data Envelopment Analysis (DEA) technique, which is a quantitative technique commonly used to assess the efficiency of universities and research activities. It is capable of isolating the scale efficiency of the individual departments, universities or countries being studied.

Paper Level of comparison Activities assessed Results pertaining to returns to scale
Wang & Huang 2007 Countries’ overall R&D activities Research Increasing returns to scale in research are exhibited by more than two-thirds of the sample
Kocher, Luptacik & Sutter 2006 Countries’ R&D in economics Research Increasing returns to scale are found in all countries in the sample except the US
Cherchye & Abeele 2005 Dutch universities’ research in Economics and Business Management Research Returns to scale vary between decreasing, constant and increasing depending on each university’s specialization
Johnes & Johnes 1993 UK universities’ research in economics Research Constant returns to scale are found in the sample as a whole
Avkiran 2001 Australian universities Research, education Constant returns to scale found in most sampled universities
Ahn 1988 US universities Research, education Decreasing returns to scale on average
Johnes 2006 English universities Research, education Close to constant returns to scale exhibited by most universities sampled
Kao & Hung 2008 Departments of a Taiwanese university Research, education Increasing returns to scale exhibited by the five most scale-inefficient departments. However, no aggregate measure of returns to scale within the sample is presented.
Table 1: Sample of studies of research efficiency that assess returns to scale
Note: This table only identifies increasing/constant/decreasing returns to scale, rather than the size of this effect. Although DEA can measure the relative size of the effect for individual departments/universities/countries within a sample, such results cannot be readily compared between samples/studies.

1921とはずがたり:2018/07/01(日) 18:53:22
>>1894

日本人経済学者の業績比較 1
https://rpubs.com/mixingale/251962
川口康平
2017年2月20日

国際的に認められた査読誌に論文を掲載することは経済学者にとってもっとも重要な仕事の一つです。社会科学の役割はいま・ここにある一個の社会を超えた社会一般にとって意義のある普遍的な洞察を導出することにあり、国際的に認められた査読誌の編集者と査読者に対して自身の研究の意義を説得することはそのための第一歩だと位置づけられるからです。

この観点からみて懸念すべき論点が河野太郎衆議院議員から最近提起されました。日本の主要な国立大学に所属する経済学者の過半数は過去10年間査読論文を全く書いてこなかったのではないか?というのです。

河野氏が依拠してるのは、二神孝一、神谷和也、芹澤成弘、柴田章久の四名によって書かれ、大阪大学社会科学研究所のディスカッション・ペーパーとして刊行された「9大学経済学研究科及び附置研究所の研究業績比較調査(2015年)」という論文です。この論文(以下阪大論文)は、大阪大学、東京大学、京都大学、一橋大学、神戸大学、名古屋大学、東北大学、北海道大学、九州大学の経済学研究科および附置研究所の教員の業績リストを独自の方法で評価・比較した論文です。

具体的には、Web of ScienceのArticle Influence Scoreに基づいて経済学の査読誌をTop20、Top50、Top100、Top200に分類した上で、各教員の各ランクの査読誌への論文の掲載数を計算、これを部局ごとに平均や中央値で評価しています。ここでは「掲載数」は著者数で割った値として定義されていることに注意してください。例えば、ある教員がTop20のジャーナルに論文を掲載して、その著者数が2だった場合は、0.5とカウントされます。Top20のスコアが1.5だった場合、2006-2015年のあいだにTop 20のジャーナルに掲載した論文の1/著者数の和が1.5になっている、ということになります。その結果が以下の表です。:

阪大論文p.6より
なんとTop 200の査読誌に至ってもなお対象となった14部局のうち11の部局において、論文掲載数の中央値が0になっています。この結果を受けて河野氏は次のように書いています:

大半の大学が、論文掲載数の中位値が0、つまり「その部局の過半数の研究者が、当該期間に当該リストの学術誌へ掲載した論文数がゼロである」ということに驚きました。これはどう解釈したらよいのでしょうか。これは経済学部独特の結果なのでしょうか。

さて、この結果をどう解釈すればよいのでしょうか?

阪大論文は議論の出発点として意義のあるものです。しかし、その手法には不適切な点と不十分な点があります。不適切な点は各部局において比較対象となる教員の選定基準です。不十分な点は比較のスコープの取り方です。 以下順にみていきましょう。

対象となる教員の選定基準の問題
阪大論文の問題点
阪大論文では各部局の常勤教員を対象として各部局の掲載数、一人当たり掲載数、個人掲載数の中央値を計算しています。しかし、常勤教員のなかには「経済学の国際的査読誌への掲載数」によって業績を評価することが適切ではない教員が多数含まれています。

まず、多くの大学の研究科は教養科目を教えるために語学や数学の教員をかかえています。留学生のメンター的な役割を担う教員が含まれている場合もあります。大学付属の研究所にはこのような教員は配置されません。これらの教員を「経済学」の査読誌への掲載をもって評価するのは明らかに不適切です。

次に、大学によっては、経済史などの歴史学系教員、公共政策などの実務家教育教員など、「国際的」査読誌で業績を評価することが必ずしも適切ではない教員が含まれています。

こうした教員も含めて「国際的」査読誌で評価すべきであるという意見はありえます。また、どのような教員を一つの部局に配置するかという人事戦略も含めて部局間のパフォーマンスを比較したいというのであればこうした教員を対象範囲に含めることも正当化されるかもしれません。

しかし、比較分析の基本は属性をそろえることです。まずは、それぞれの部局において「国際的査読誌への掲載数によって業績を評価すべきだというコンセンサスが取れているタイプ」の教員(以下近経教員と呼ぶ)に絞って、統制のとれた比較を行うべきです。

各大学のどの教員が「近経教員」にあたるのか外部からは定かではないという分析上の難しさはあります。それでも、各大学の教員二、三人に独立に裏取りをすれば十分対応できる話です。阪大論文では教員リストをつくる段階で各大学の教員に直接コンタクトをとって確認をしているようですが、その際にあわせて「近経教員」のリストをつくることは可能であったし、そうするべきだったと思います。



1922とはずがたり:2018/07/07(土) 08:54:42
産業政策・財界・経営学スレでも立てようかな。。

「産業革新投資機構」経営陣にコマツ・坂根氏ら
https://asahi.com/articles/ASL734TLBL73ULFA019.html?ref=goonews
2018年7月4日13時16分

 世耕弘成経済産業相は3日の閣議後会見で、官民ファンド、産業革新機構を引き継いで今秋に設立する「産業革新投資機構」の経営陣を明らかにした。取締役会議長にコマツの坂根正弘相談役(77)、社長に元三菱UFJフィナンシャル・グループ副社長の田中正明氏(65)が就く。今秋までに開く臨時株主総会で正式に決める。

 新会社は、現在の機構のように企業などへの直接投資はせず、傘下のファンドに投資を担わせ、新会社はそのファンドを管理する。世耕氏は「政府が基本方針を示し、あとは投資や運用のプロにお任せする」と話した。

 産業革新機構は2009年設立。ジャパンディスプレイなどの経営不振企業に投資したが、情報公開が不十分で運用の透明性が不足しているとの批判もあった。すでに投資した案件は新会社とわけて管理し、志賀俊之会長ら現経営陣が引き続き、かかわる見通し。

1923とはずがたり:2018/07/16(月) 22:24:45
私も途中迄読んで停まっている。。

新古典派的な考えは多分にマリー・アントワネット風で,なんで貧乏から抜け出せないの?富裕層になりたければ貯蓄をすればいいじゃない,である。

だから新古典派を超克すべき現代人としては何故貯蓄出来ないのかを考えなければならない。
自分の意思で貯蓄しないで貧乏なままならそれは自己責任って奴である。自己責任を超えたところで貯蓄出来ない部分を補正出来るかにあって,それの原資として富裕層からの課税はあって然るべきだがそれはその目的の為であって野放図に拡大して良いものではない,と新古典派に毒された俺としては思う。

実はみんな読み切れない トマ・ピケティ『21世紀の資本』を簡単図解 恥をかかないために
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42199
週刊現代講談社
毎週月曜日発売

せっかく買ったんだから、読まなきゃなあ。でも、そんな時間もないし?『21世紀の資本』ブームに乗りたくても乗れない人にご朗報。600ページ超の内容も、たった6つの図で理解できるんです。

金持ちの資産に課税せよ
フランスの経済学者トマ・ピケティ氏が来日した。1月29日からの3泊4日の分刻みのスケジュールをこなし、後述する東大での講演会も大盛況となった。

今や雑誌・テレビに引っ張りだこのピケティ教授。だが、彼の著書で、現在日本で13万部のベストセラーとなっている『21世紀の資本』を読破した強者はどれほどいるだろうか。何せ注釈を抜きにしても608ページに及ぶ専門用語をちりばめた大著である。実のところ、多くの人が読み切れていないのではないか。

そこで、どんな内容なのかを押さえておくため、単純明快な図解を試みた。ここに示した6つの図に目を通せば、『21世紀の資本』を直感的に理解できるはずだ。

ポイント1『21世紀の資本』におけるピケティの3つの功績。

(1)最大の功績は、それまであまり注目されず、データも不十分だった「格差論」を歴史的なデータに基づいて示したことだ。約15年もの歳月をかけて、世界の税務データを収集した。

(2)そのデータを惜しみなく、インターネット上の「世界トップ所得データベース(WTID)」において無料公開している。これは、格差についての議論がより活発になることを願ってのことである。

(3)ピケティ教授は格差を是正するために、富裕層への累進課税を提唱している。いままさに、この是非を巡って世界中で大きな論争が巻き起こっているのだ。

少子化が大問題

ポイント 2財産の成長率は、労働によって得られる賃金の成長率を上回る。

株や不動産、債券などに投資することで財産は増えていく。こうした財産の成長率は、給与所得者の賃金が上がる率よりも、常に高くなる。これがピケティ教授の理論の核心である。(とは註:算術級数的にしか労働所得は増えないけど幾何級数的に資産は増えるという指摘ですな。食糧生産は算術級数的にしか増えないけど人口は幾何級数的に増えるから飢餓が発生する,故に晩婚と節制せよとマルサスは説いて予想を外した。)

では、財産の成長率が賃金の成長率を上回ると何が問題なのか。

主に資産運用によって財産を築いている富裕層は、株や不動産を保有しているだけで、多大な利益を獲得できる。一方、平均的労働者は働けども賃金はゆるやかにしか上がらない。賃金を貯蓄したところで大きく増えるわけでもない。こうして格差が広がってしまう。(とは註:労働者階級も貯蓄出来るなら同じ率で増える筈である。そうなってないとするならば利率が100万円よりも100億円の方が良いか,19世紀の労働者みたいに生存賃金で貯蓄が出来ないか,貯蓄出来ない性格のものが富裕層になれてなくてできる家計が富裕層になってるかのどれかである。此処はそう大した指摘でないような気がする・・。)

1924とはずがたり:2018/07/16(月) 22:25:02

ポイント3「持てる者」はより豊かに、「持たざる者」はより貧しくなる。

こうした状況は今後も続 くのか。カギとなるのは技術革新である。将来的にバスが自動操縦になれば、運転手は不要になる。会計ソフトの導入で、経理事務員は減っていく。このよう に、最新技術を導入すると作業効率は上がるが、労働者は職を奪われる。富裕層はそうした技術に投資して、ますます儲かるばかりだ。(とは註:此処だな。儲かるなら投資すれば良いだけだが,労働者が失業して投資が出来ないまま固定化してる可能性がある。)

ポイント4 21世紀は「相続」によって格差がさらに肥大化していく。

「重要なのは、格差の大きさそのものではなく、格差が正当化されるかどうかだ」

ピケティ教授は、後述する東大の講義でも、そう強調していた。たしかに、機会が平等に与えられた上で、努力して得た財産に差が生まれるのは仕方ない。しかし近年は、働かずとも相続によって利益を増やしている層が増大している。

特に、先進国では少子化が進んでおり、祖父母や両親の財産を子息が一身に受け継ぐことも少なくない。裕福な家庭に生まれた人は、さらに裕福になることが約束されているということだ。こうした事態は、真面目に働いてきた労働者の不満につながる恐れがある。

ポイント5 1910~1950年代は格差が小さかった例外的時代。

昔はそんな格差はなく、いまが「たまたま」格差社会なのだという意見もある。だがピケティ教授は、2度の世界大戦があった'10年~'50年代こ そ、「たまたま」格差が小さかったに過ぎないと反論する。インフレや急激な経済成長によって格差が拡大することを恐れた政府が意図的に経済に介入した結果 だというのだ。

5のグラフをもとにピケティ教授は、日本滞在中にもこう力説した。

「21 世紀中に、格差は19世紀に近い水準にまで広がるでしょう。グローバル化の進む中で、格差を是正するためには、累進課税を世界で一律に適用することが考えられます。そうすることで、富裕層がタックスヘイブン(租税回避地)で税金逃れをするのを防ぎ、情報の透明化を進める。日本はそのリーダーシップをとるべ きです」

ポイント6『21世紀の資本』の警告は日本にも当てはまるのか。

当てはまらないという意見もある。日本はアメリカに比べて高所得者上位の間で年収の幅が小さい。加えて欧米に比べて相続税が高く設定されているからだ。(とは註:日本の税制による所得再配分効果は低いと云う研究結果があるようだ。相続税だけではダメということか,他にもなんかあるのかね?)

し かしピケティ教授は、「日本は典型的な格差社会だ」と断言する。日本の高所得者上位5%には大企業の一般社員クラスが相当するが、そのシェアは25・ 98%を占める。非正規雇用者の拡大や最低賃金の低さによって、下位層の所得が低下。その結果、正規雇用者層が上位に押し上げられているためだ。ピケティ 教授が続ける。

「非正規雇用者も、正規雇用者と同様に財産を増やすチャンスを与えられるべきです。

そのために富裕層への課税を行うことを提案しますが、税率の設定は難しい。日本の最高税率は、1970年代には75%でしたが、今は45%と下がっていま す。最高税率が下がるとともに、経済成長率も下がった。ここにどのような因果関係があるのかを再検討して、課税について議論を進めるべきです」

誌上中継?ピケティ教授vs.東大生
「将来、金持ちになる僕らは悪者ですか?」

そのために勉強してきたのに
「あなたが教えているパリ経済学校の学生も、僕たち東大生も親が裕福なんです。だから、いい学校に行けたし、将来も金持ちになると思う。ピケティ教授は、富裕層への累進課税を唱えていますが、僕たちはどう受け止めればいいのでしょうか」

東大生の大胆な質問に場内は沸いた。1月31日、東大本郷キャンパスで行われたピケティ教授の講演会でのひとコマだ。会場には500人もの学生らが詰めかけ、約1時間の講演の後、質疑応答となった。

1925とはずがたり:2018/07/16(月) 22:25:34
>>1923-1925
冒頭の質問をしたのは、工学部2年生の男子学生。恵まれた環境で不自由なく育った己を、心のどこかで恥じる気持ちがあったのかもしれない。ピケティ教授は彼の心情を汲み取ったかのように答えた。

「親は選べませんよ。家が貧しくても、金持ちでも、何ら恥じることはない。出自に関係なく、いかに将来、世界に貢献できるかということが大切なんです。

ただ、格差によって教育の機会が阻まれてしまうのはいただけない。それが次なる格差を生むことになり、悪循環が繰り返される。民主主義なのですから、我々一人ひとりが平等な社会を目指して動き出せば変わるはずです」(とは註:もし人的資本形成のみが問題なら,先ずはそういう大学へ行くという選択肢があることを義務教育のうちにちゃんと提供する事,そしてそれを可能とする教育資金が提供されること,そしてこれへの財源として目的税として富裕層に課税すれば後は良い。若者の教育と老後の介護を除けば後は平等に財政支出されるべきだ。過疎だ零細企業だだからと云って本来は保護されるべきではない。自分で選らんだ職業なのだから。一定の配慮は要るだろうが全員にベーシックインカム保証してあらゆる産業保護・地域保護など10年20年かけて停めちまうべきだ。)

また「21世紀の(望ましい)政治」についてコメントを求められたピケティ教授は、こう答えた。

「経済の発展にとって政治の役割は重要です。アメリカでは、最高裁判所が政治献金を表現の自由として上限なく認めてしまって、何を考えているのやら。〝平等〟の解釈がおかしいと思いますよ」

ある男子学生はこんな不満をぶつけた。

「日本でも、格差に関する議論が活発になっていますが、単なる政治イデオロギーの押しつけです。

もっと学術的な根拠に基づいて議論をするべきではありませんか。だから、論争ばかりで格差がいっこうに是正されないのだと思えます。学者はこの議論にどう参入できますか?」

東大生らしい発言だ。ピケティ教授は、冷静に答えた。

「我々は、みんな市民なのだから、学者がエライわけでもない。それに、学術というが、特に経済学は歴史や実証を重視すべきで、数式のお遊びになってはいけない。経済や社会の問題を述べるのに、複雑な数式なんて必要ありませんから。

ただ、学者にはデータを集める時間がある。それを世界に向けて公開し、議論をより有意義なものにできるなら、学者冥利に尽きるというものです」

予定時間を終了しても、学生たちの挙手は止まらなかった。

経済学部3年生の男子学生は、複雑な心境を語る。

「格差の拡大が望まれないことは理解できます。でも、自分が生きているうちに資本主義のあり方を考え直さなきゃいけないほど大きな変化があるとは思えない。

だったら、やっぱり富裕層に入っておきたい。そのために、がむしゃらに勉強してきたんです。富裕層への課税に反発もするし、国がそのような政策をとるなら、海外に逃げたくもなります」

東大生協でも書籍売り上げランキング1位に輝く『21世紀の資本』。講演後、売れ行きに拍車がかかっているという。賛否はどうであれ、ピケティ教授の警告は、確実に未来のエリートたちに届いているようだ。

「週刊現代」2015年2月21日号より

1926とはずがたり:2018/07/17(火) 22:41:20

なぜ今、誰も「アベノミクス」という言葉を口にしなくなったのか
人気記事ビジネス2018.07.10 863 by 高野孟『高野孟のTHE JOURNAL』
https://mag2.com/p/news/364608

ここ最近、まったくと言っていいほど耳にしなくなった「アベノミクス」という言葉。政権に至っては意図的に避けているとすら思えてしまう状況ですが、やはり「失敗」だったのでしょうか。これまで何度もアベノミクスについて検証を重ねてきたジャーナリストの高野孟さんは自身のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』で、「日本経済全体には何も目覚ましいことは起きていない」とし、実質GDPは旧民主党時代にも及んでいないと指摘しています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2018年7月9日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:高野孟(たかの・はじめ)
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

もう誰も口にしなくなったアベノミクス──いい加減ヤメにしたい発展途上国型の発想
日本銀行の7月3日の発表によると、6月末のマネタリーベースは503兆円と初めて500兆円台に乗った。アベノミスクが発動される直前の2013年3月末の138兆円に比べて、365兆円も増えて約3.7倍にまで膨らんだ訳で、金融の「異次元緩和」もここに極まれりというところだが、それでいて日本経済全体には何も目覚ましいことは起きていない。

物価変動を反映しているので生活実感に近いとされる実質GDPで見れば、端的な話、13〜17年の5年間を通じて一貫してプラス成長ではあるけれども、平均1.1%で、安倍晋三首相が悪罵の対象としている旧民主党政権時代の3年間の平均1.9%には及ばない。消費は伸びておらず、雇用は増えてはいるがそのほとんどは非正規で、雇用の質は劣化し、従って賃金も上がらない。だから消費も伸びないという悪循環である。

異次元緩和に踏み切れば、たちまち物価上昇率2%程度の好ましいインフレ状態が生まれ、それに乗って財政投入や成長戦略など第2、第3の矢を放てば新しい成長が実現するという話だったのではないか。ところが、肝心の物価2%目標は6度も先送りされた挙げ句、この春にはとうとう事実上の無期限延期という行方不明状態に陥った。そうするとその先の財政再建目標も放棄せざるを得なくなる。

こうなるともう、安倍首相自身も「アベノミクス」を口にするのも恥ずかしく、取り巻きや御用学者も含めて誰もその言葉を口にしなくなってしまった。本来なら、野党もマスコミも、国民を不幸にしている根源はこれだとアベノミクスの失敗を厳しく追及し、その責任を取らせるところにまで追い込んでしかるべきだが、どうもそうなっていないのが不思議である。

基本設計が間違っている
本誌はアベノミクスの間違いについて、それが始まる前から指摘し続けてきたが、改めて要点を述べる。

第1に、「デフレ克服」という目標設定そのものの間違いである。デフレとは本来、「物価下落と景気後退が同時に進む」ことを警戒して言う用語であり、それが急激に進む場合はデフレ・スパイラルと言って特に警戒しなければならない。ところがいつしか「物価の持続的な下落」それ自体が悪であるかのように言われ出し、なおかつその原因は通貨供給量が不足していることにある──と、話がどんどん横滑りしていった。

1927とはずがたり:2018/07/17(火) 22:41:32
>>1926
そうではなくて、藻谷浩介が早々と『デフレの正体』(角川新書)で説いたように、日本はすでに人口減少社会に突入し、中長期的に見て慢性的な需要不足にならざるを得ない構造になりつつあって、そこでは、量的拡大による「成長」という従来の発展途上国型の目標設定を止めて、質的充実による「成熟」という先進国型の目標設定に切り替えなければならない。

第2に、通貨供給量を増やせばデフレが治るという発想が間違いであることに加えて、それを「異次元緩和」でマネーをジャブジャブ状態にすれば、人々は「カネが余っている」と錯覚して喜んで消費に走るだろうという、米国起源の「インフレ期待説」とかいう「ブードゥー(呪術)経済学」がこれに輪をかけた。人間をこれほどまでに馬鹿にしたエセ経済学がノーベル賞を得たというのは謎だが、安倍首相もその邪教に引っかかって信者の列に連なったのである。

マネーはどこへ行ったのか?
第3に、それにしても「異次元緩和」で日銀が繰り出したマネーは一体どこへ行ったのか。どこへも行かず、ほとんど日銀構内から外へ出ていないというのが事の本質である。

確かに日銀はマネーの供給を激増させたが、それをいきなり空からバラ撒くことなど出来るはずもなく、国債を購入することを通じて世の中に染み渡らせようとする。しかし、自ら直接に債券市場で購入することは出来ないので、民間銀行など金融機関が保有する国債を買い上げて、その代金を、各銀行が日銀内に設けている日銀当座預金に振り込む。日銀が増やしたマネーは主に国債購入に向かい、そのため日銀は国債発行残高の4割以上をも抱え込み、その結果として民間銀行が日銀内に持つ当座預金もマネタリーベースの増加とほぼ並行して増加して385 兆円となった、という訳である。

日銀当座預金はゼロ金利ないし一部は逆金利なので、置いておいても得にならないどころか損になる場合もあるので、各銀行は急いで引き出して貸出などに回すだろうと想定されていたのだが、案に相違して各銀行は一向に引き出さず、そこにマネーがジャバジャバに貯まってしまったというのが、385兆円という数字である。なぜなら、日本経済は全体として人口減少=需要減退基調に入っていて、旺盛な資金需要に乏しく、多少なりともあったとしても大企業はみな内部留保の形で借り入れせずとも投資に回せるマネーを持っているし、銀行も貸出よりも預金が上回る傾向が長く続いていて、日銀当座預金を取り崩さなければならない理由がないからである。

もちろん、銀行が成熟時代の質的充実に狙いを絞って人々の知恵に向かってリスクを賭けて貸出をするノウハウを蓄えていれば、実はいくらでも貸出先はある。しかし日本の銀行は明治から150年、土地担保でしか金を貸したことがなく、それがバブル崩壊による不良債権の山となって死ぬほどの思いをした後には、はっきり言って、どうやって金を貸したらいいのか分からないでいるのである。

こうして、この期に及んでまだ「成長」を目指して金融政策を動かそうとする政府の発展途上国型の発想と、それで金余りになってもダイナミックな先進国型の投融資のノウハウを持たない銀行の発展途上国型の体質とが相俟って、せっかくの異次元緩和にもかかわらず、この国の経済にはほとんど何も起きなかったのである。

それでも何とか景気の落ち込みは回避されているじゃないかと思うかも知れないが、それは、異次元緩和当初のショック療法による株高と円安の効果を持続させるために、官邸主導で為替、株式、債券の3市場を事実上の“国家管理”下において操作しているからで、こんな中国も顔負けの“社会主義市場経済”的なやり方は、そういつまでも続かないのではないか。

1928とはずがたり:2018/07/29(日) 15:23:20
中小企業、大廃業時代へ 年5万社減、地域崩壊の危機も
https://asahi.com/articles/ASL6X2T9ML6XULZU002.html?ref=goonews
編集委員・中島隆〈中小企業担当〉2018年7月17日10時32分

 みなさん、ご存じですか? 日本にある企業の99・7%が中小企業で、働き手の7割が勤めていることを。「社会の主役は中小企業だ」と宣言する文書が閣議決定されていることを。そんな主役たちが姿を消し続ける――それも「平成」の断面図です。(編集委員・中島隆〈中小企業担当〉)

国会決議への機運 しぼむ
 6月5日、東京・永田町に、中小企業の経営者200人近くが集まった。

 全都道府県にある「中小企業家同友会」の面々だ。理想の経営者になって会社を強くしようと勉強する。自助努力だけではどうしようもない経営環境をよくする運動をしている。政治的な色は、ない。

 みんなの悲願は、民主党政権下の8年前に閣議決定された、ある宣言を国会の決議にすること。国会議員たちの決意を聞こうと集まったのだった。

 「中小企業憲章」と名づけられた宣言は、こんな一文で始まる。

 「中小企業は、経済を牽引(けんいん)する力であり、社会の主役である」

 こうも記されている。

 「政府が中核となり、国の総力を挙げて……どんな問題も中小企業の立場で考えていく」

 大企業偏重の社会を変えたい。中小企業庁があるからいいでしょ、ではなく、政策を全省庁で横断的に考えてもらう仕組みにしたい。そのためには、党派を超えて国会全体で意思表示することが必要だ。集まった人たちは、そう思っていた。

 けれど……。

 与野党の国会議員らはあいさつに立つものの、国会決議への意欲は、ほぼ語られなかった。

 「今は自民・公明政権さ、民主党時代のことは関係ないね」。福岡から来た中村高明さん(77)にはそうとしか聞こえなかった。

 〈命をかけて経営しとる人たちの思いを踏みにじるんか? あきらめんぞ〉

 中村さんは、福岡は直方市生まれ、慶応大卒。西日本鉄道に入るも、ベアリング屋を営む父が亡くなったので故郷に戻り、産業機械の「紀之国屋」として年商25億円にまで成長させた。

 福岡県中小企業家同友会に入ったのは1987年。2年後、平成になり、そして、バブル崩壊。多くの中小企業が倒産するのを目の当たりにした。

 あれは1998年、山一証券などの破綻(はたん)による金融危機まっただ中のころのことだった。経営者仲間にこう打ち明けられた。

 「銀行が、融資している5千万円をいったん返したら1億円貸すと言うとる。会社を大きくできるぞー」

 その経営者は、銀行に5千万円を返したが約束の融資はされず、会社は倒産した。うれしそうに夢を語っていた彼は、中村さんの前から姿を消した。中村さんは怒った。

 〈銀行のだまし討ちやないか!〉

 銀行が貸したカネを強引に回収する、いわゆる「貸しはがし」だ。貸してくれない「貸し渋り」もあって、多くの中小企業が社会から消えていった。

 中村さんが音頭をとり、全国の同友会メンバーらが署名活動をした。中小企業や地域への優しさで銀行を格付けする、そんな法律をつくりませんか、と。

 2003年までの3年間で集まった101万人分の署名は、国会に提出された。さらに、1009の地方議会が法律制定を求める意見書を国に出した。

 法律はできなかったが、成果はあった。たとえば、金融機関が中小企業に融資する際にその企業と直接関係ない第三者を保証人にすることは原則禁止、が実現した。

 もっとも、社会の大企業偏重は…

1929とはずがたり:2018/07/29(日) 15:27:14
ぐう

Endogenous growth and structural change through
vertical and horizontal innovations
WWZ Working Paper 2017/05 Anton Bondarev, Alfred Greiner
https://edoc.unibas.ch/61312/1/20180306092835_5a9e513322bad.pdf

1930とはずがたり:2018/07/29(日) 15:27:42
まあ

Global Warming and Technical Change: Multiple Steady-States and Policy Options
Bielefeld Working Papers in Economics and Management No. 03-2018
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=3112116
31 Pages Posted: 30 Jan 2018

1931とはずがたり:2018/07/29(日) 15:28:12
ぐぐう

The effects of unionization in an R&D
growth model with (In)determinate
equilibrium
Chung-Hui Lai and Vey Wang
7. November 2010
https://mpra.ub.uni-muenchen.de/27748/1/MPRA_paper_27748.pdf

1932とはずがたり:2018/07/29(日) 15:28:35

よお

Optimal R&D investment with learning-by-doing: Multiple steady-states and thresholds
https://ideas.repec.org/p/bsl/wpaper/2017-06.html

1933とはずがたり:2018/07/30(月) 08:55:53
MTS サービスのご紹介
Medical Translation Service-blog英文医学論文の投稿を支援するMTSのブログ
https://medicaltransblog.wordpress.com

1934とはずがたり:2018/08/18(土) 23:53:01
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1116734086/3724

尾崎芳治氏死去 京都大名誉教授、経済史
https://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20170920000212

 尾﨑 芳治氏(おざき・よしはる=京都大名誉教授、経済史)17日午前0時42分、老衰のため京都市伏見区の特別養護老人ホームヴィラ稲荷山で死去、84歳。京都府出身。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は妻好子(よしこ)さん。後日お別れの会を開く。

【 2017年09月20日 23時10分 】

1935とはずがたり:2018/08/28(火) 19:15:19

想田和弘
?@KazuhiroSoda

ノーベル賞受賞者のクルーグマンが警告している。このままだとアメリカもポーランドやハンガリーに続いて独裁国家になる、ポイントオブノーリターンはすぐそこだと。彼がまだ知らないのは、日本は恐らく既にその地点を過ぎているということだ。Why It Can Happen Here

Why It Can Happen Here
We’re very close to becoming another Poland or Hungary.
https://www.nytimes.com/2018/08/27/opinion/trump-republican-party-authoritarianism.html
Paul Krugman
By Paul Krugman
Opinion Columnist

1936とはずがたり:2018/09/01(土) 23:44:21
この手の話から説明しないと行けない事に愕然とする。

そもそも経済成長重視派が上げ潮派とかと云われてケインズ的なばらまき政策派で絶望を感じてるとこなんだけど。

日本は法学部が威張ってて経済的な考え出来る奴が主流を握ってないからな。

"毎日牛丼なら幸せ"は裕福な年長者の誤認
低所得者を苦しめる「左派」の幻想
政治・社会 2018.5.13 #経済 #リベラル
https://president.jp/articles/-/25098
PRESIDENT Online

「成熟社会」に入った日本では、衣食住は格安で手に入る。もう経済的な豊かさを求めるのはやめよう――。「左派」「リベラル」を名乗る一部の識者はそう主張します。しかし「ゼロ成長社会」で苦しむのは所得の低い人です。「成熟」を強調する識者は、もう「成長」が必要ないくらい自身の所得が高いだけなのではないでしょうか。ブレイディみかこさん、松尾匡さん、北田暁大さんの3人は、経済を語ることの重要性を訴えます――。
※本稿は、ブレイディみかこ、松尾匡、北田暁大『そろそろ左派は〈経済〉を語ろう レフト3.0の政治経済学』(亜紀書房)の第1章「下部構造を忘れた左翼」を再編集したものです。

「再分配」と「経済成長」は対立しない
【北田暁大(東京大学大学院情報学環教授)】先ほどブレイディさんがおっしゃった「Left(左翼)」の定義(編注:富と力は社会のすべての部分で分配されるべきだと信じる政治的な集団)で言うと、一応日本の左派の間でも「富の分配」の問題は議論されているんですよね。でも、なぜかそれが「成長」の問題とは切り離されて考えられてしまっている。


ブレイディみかこ、松尾匡、北田暁大『そろそろ左派は〈経済〉を語ろう レフト3.0の政治経済学』(亜紀書房)
【松尾匡(立命館大学経済学部教授)】日本では再分配と経済成長が、まるで対立するものであるかのように思われているような気がします。

【ブレイディみかこ(保育士・ライター・コラムニスト)】そこが不思議なんですよね。よく、「分配しないのなら成長しなくてもいい」みたいなことを言う人がいるし、どちらが先かで論争になっていることもある。「成長か分配か」という対立軸も欧州にはほとんどありません。ずっと疑問に思っているんですけど、なんでなんでしょう?

【松尾】経済成長というと、大企業がウハウハ儲かるというイメージを持たれているのかもしれませんが、たとえば福祉サービスに使うお金が世の中全体でどんどん増えて、失業者が福祉労働者として雇われていくことでも経済成長はするんですよね。もちろん経済成長の必要性を訴える人にもいろいろな主張があるので、中には「成長は必要だけど再分配は必要ない」と言う人もいます。でも、本来は成長と再分配というのはお互いに排他的な関係にはないので、普通に両立できるはずのものなんですよ。

「誰かが得なら、誰かが損」という誤ったイメージ
【北田】そもそも社会全体のパイが小さくなってしまっているのだから、小さくなってしまったパイの切り分け方を変えるだけじゃなくて、きちんと全体のパイを大きくしていく経済成長も目指さなければならないのは当然ですよね。「成長か分配か」という二者択一ではなくて、松尾さんのおっしゃるように、その両立を目指すことが必要です。二兎ではなく同じ事柄の二側面です。

【松尾】両者が対立するもののように考えられてしまうのは、おそらく、「誰かが得をしていたら、その分、裏で誰かが損をしているに違いない」というようなイメージがあるからじゃないでしょうか。でも、一般に市場での競争が、こういう「食うか食われるか」の弱肉強食のイス取りゲームになってしまうのは、いまの日本のような、むしろ適切な経済成長がない長期停滞の時代なんですよ。適切な経済成長があれば、誰かのイスを奪うことなく誰もが仕事を得て豊かになれるはずなので、格差や貧困の問題を解決しようとしたら、まずはデフレを脱して景気をよくすることを考えなければなりません。

【北田】わたしは成長を言わずに分配だけを主張することは、ともすると「増税して社会保障に充てればいい」とか「どっか余っているところからぶんどってくればいい」という緊縮的な発想に陥りがちで、すごく危なっかしいと思います。パイが限られているということを前提に、その分け合い方を争うわけだから、それこそ弱肉強食のイス取りゲームになってしまいます。



1937とはずがたり:2018/09/05(水) 16:50:43
アベノミクスのツケ…エンゲル係数が“最悪”視野に急上昇中
2018年9月4日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/236750/1

 ここにきて、エンゲル係数の上昇が再び話題になっている。

 2016年(年間)に29年ぶりの高水準となる25.8%を記録。このとき安倍首相は、「(エンゲル係数の上昇は)生活スタイルの変化が含まれている」とトンチンカンな話をしていた。

 もちろん、エンゲル係数というのは「消費支出に占める食費の比率」で生活水準を表す指数。数値が高いほど生活水準は低くなるのが一般的だ。

 直近統計の6月家計調査(総務省)では26.6%まで上昇した。

■2016年の25・85%を上回る

 第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏によると、直近1年間(17年7月〜18年6月)のエンゲル係数は25.88%で、16年(25.85%)を小数点の単位で上回ったという。

 驚かされるのは食料品の物価上昇率だ。10年前と比較(07年と17年)すると、何と11.8%も値上がりしている。この間の消費者物価は3.3%の上昇に過ぎないので、食料品がいかに高くなったかが分かる。

 株式評論家の倉多慎之助氏は言う。

「安倍政権は経済界に対し、賃上げ要請を続けていますが、食費が10%以上も上昇したら、エンゲル係数は上昇して当然でしょう。サラリーマンの生活水準は低下しているのです」

 エンゲル係数の推移を調べると、06年から12年までは23%台で安定していた。ところが、第2次安倍政権が発足(12年12月)した以降に急上昇している。13年は23.6%、14年24.0%、15年25.0%、16年25.8%……。17年は25.7%と前年を下回ったが、現状は再び上昇傾向だ。

「海外のエンゲル係数は、米国15%、ドイツ18%、英国20%といったところです。日本は本当に先進国なのかと疑いたくなるような数値です」(市場関係者)

 アベノミクスは官製相場をつくり出し、一部の富裕層こそ潤っただろうが、庶民生活はいっそう苦しくなった。このままだと、今年は過去30年間で“最悪”のエンゲル係数になりかねない。

1938とはずがたり:2018/09/13(木) 12:25:48
統計所得、過大に上昇 政府の手法変更が影響 専門家からは批判も
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/448833/
2018年09月12日 06時00分

 政府の所得関連統計の作成手法が今年に入って見直され、統計上の所得が高めに出ていることが西日本新聞の取材で分かった。調査対象となる事業所群を新たな手法で入れ替えるなどした結果、従業員に支払われる現金給与総額の前年比増加率が大きすぎる状態が続いている。補正調整もされていない。景気の重要な判断材料となる統計の誤差は、デフレ脱却を目指す安倍政権の景気判断の甘さにつながる恐れがある。専門家からは批判が出ており、統計の妥当性が問われそうだ。

 高めになっているのは、最も代表的な賃金関連統計として知られる「毎月勤労統計調査」。厚生労働省が全国約3万3千の事業所から賃金や労働時間などのデータを得てまとめている。1月に新たな作成手法を採用し、調査対象の半数弱を入れ替えるなどした。

 その結果、今年に入っての「現金給与総額」の前年比増加率は1月1・2%▽2月1・0%▽3月2・0%▽4月0・6%▽5月2・1%▽6月3・3%-を記録。いずれも2017年平均の0・4%を大きく上回り、3月は04年11月以来の2%台、6月は1997年1月以来21年5カ月ぶりの高い伸び率となった。安倍政権の狙い通りに賃金上昇率が高まった形だ。

 しかし、調査対象の入れ替えとならなかった半数強の事業所だけで集計した「参考値」の前年比増加率は、1月0・3%▽2月0・9%▽3月1・2%▽4月0・4%▽5月0・3%▽6月1・3%-と公式統計を大きく下回る月が目立つ。手法見直しで、計算の方法を変更したことも誤差が生じる要因とみられる。

 誤差に対しては、経済分析で統計を扱うエコノミストからも疑義が相次いでいる。大和総研の小林俊介氏は「統計ほど賃金は増えていないと考えられ、統計の信頼性を疑わざるを得ない。報道や世論もミスリードしかねない」と指摘。手法見直し前は誤差が補正調整されていたことに触れ「大きな誤差がある以上、今回も補正調整すべきだ」と訴える。

 厚労省によると、作成手法の見直しは調査の精度向上などを目的に実施した。調査対象の入れ替えは無作為に抽出している。見直しの影響で増加率が0・8ポイント程度上振れしたと分析するが、参考値を公表していることなどを理由に「補正や手法見直しは考えていない」(担当者)としている。

=2018/09/12付 西日本新聞朝刊=

1939とはずがたり:2018/09/13(木) 12:26:21
>>1938

内閣府統計も過大? 「雇用者報酬」厚労省の上振れ数値使う 菅官房長官「適切に対応」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180913-00010001-nishinpc-soci
9/13(木) 10:31配信 西日本新聞

 政府の所得関連の統計に今年に入って高めの数値が出ている問題で、内閣府が作成する統計「雇用者報酬」も過大に推計されている可能性が高いことが12日、西日本新聞の取材で分かった。高めの数値を示している厚生労働省の統計を基に算出しているため、上振れしているとみられる。内閣府は、厚労省の統計数値が過大になっている可能性を認識しながら推計を続けていたとみられ「今後の対応を検討中」としている。

 雇用者報酬は賃金の動きを示す重要統計の一つで、四半期ごとに国内総生産(GDP)と同時に公表される。今年に入っての前年同期比増加率(名目ベース)は1〜3月期が3・1%と、1997年4〜6月期以来の高水準を記録。4〜6月期は4・1%と、現行の統計が始まった94年1〜3月期以降で最大の伸び率となった。いずれも2017年平均の1・9%を大きく上回り、賃上げでデフレ脱却を目指す安倍政権にとって歓迎すべき結果となっている。

 ただ、この増加率は、今年1月の作成手法見直しで所得指標が高めに出るようになった厚労省の毎月勤労統計を用いてはじいている。内閣府は1月以降も、同統計の誤差を考慮することなく通常通りの算出方法を続けているといい、推計が大きくなりすぎていることが想定される。

 内閣府の担当者は取材に対し「毎月勤労統計の上振れにより、雇用者報酬も上振れする可能性があると認識している」と問題意識があることを認めた上で「詳細な情報が必要なので、厚労省と相談しながら対応を検討している」と説明した。

 経済分析の専門家も、厚労省統計の高めの数値が他の統計に連鎖する事態を憂慮している。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長は「雇用者報酬も実勢より上振れしていると考えられ、所得関連統計の信頼性が問われている」と指摘。「基となる統計が上振れしているのでやむを得ない面はあるが、内閣府は厚労省の協力を得て推計値を見直すべきだ」と訴えている。

■「政府の統計、適切に対応」 菅官房長官
 政府の所得関連統計の作成手法見直しに伴い、統計上の給与総額が高めに出ていることに関し、菅義偉官房長官は12日の記者会見で「政府の統計は、統計委員会の専門家の議論を踏まえて適切に対応している」との見解を示した。

 統計の誤差が指摘されているのは厚生労働省の「毎月勤労統計調査」。今年1月に調査対象の事業所を入れ替えるなどした結果、現金給与総額の前年比増加率が大きすぎる状態が続き、エコノミストからも批判の声が出ている。菅氏は「統計の精度を向上させる観点から変更を行った。比較可能な数字を参考として公表している」と述べた。

西日本新聞社

1940とはずがたり:2018/09/18(火) 11:22:06

2018.9.18
アベノミクスがあと3年続けば日本の産業衰退が一気に露呈する
https://diamond.jp/articles/-/179874
金子 勝:立教大学大学院特任教授・慶應義塾大学名誉教授

 いま景気はどうにかもっている。だが、それをアベノミクスのおかげとするのは早計だろう。「デフレ脱却」を掲げたアベノミクスが想定するプロセスは効いていないからだ。

 2018年6月の消費者物価上昇率は、生鮮食品を除くコア指数で0.8%だが、さらにエネルギーを除くコアコア指数は0.2%にすぎない。「2%物価目標」にはほ ど遠いうえ、消費者物価上昇率を押し上げているのは、トランプ大統領のイラン制裁の伴う石油などエネルギー価格の上昇が原因であり、日銀の金融緩和の効果ではない。

 たしかに、ジャブジャブの異次元金融緩和で倒産件数は減っている。だが、それによって新しい産業が生まれているわけではない。

 有効求人倍率の上昇は生産年齢人口(15〜64歳)の減少の影響が大きい。「働き方改革」でも裁量労働制や高度プロフェッショナル制度に関する恣意的データが作られたように、自らに都合良い数字を並べ立てているだけで、実質賃金の低下と労働時間強化は改善される見込みはない。

アベノミクスによる
「見せかけの好景気」は破綻する
 結局のところ、アベノミクスのもとの「好況」は、円安誘導や赤字財政のファイナンス、日銀の株買いに支えられた「見せかけの景気」にすぎないのだ。

 そのことは実体経済でも同じだ。

 製造業では、中国のハイテク化とともに中国への素材部品や半導体製造装置などの輸出が伸びていることで、景気はどうにかもっている。しかし、これは当初のインフレターゲット派の想定するプロセスと違って、従来からの円安誘導による既存産業の輸出にすぎない。

 しかも、米中貿易戦争の悪影響が懸念され、いずれ中国自身が自前で生産するようになるだろう。

 自民党総裁選では、経済や雇用指標の「改善」などを背景に、安倍首相の「3選」が有力視されている。しかしアベノミクスがあと3年続くと、どうなるのか。

 異次元緩和にとって金利上昇がアキレス腱である。そして、すでに米国が利上げに転じている中で海外から金利上昇圧力がかかってきて、限界が露呈し始めている。

 2016年10月に公表された財務省の試算によれば、金利が1%上昇すると、国債の価値が67兆円毀損する。日銀も24兆円の損失を被る。日銀も年金基金も金融機関も潜在的に膨大な損失を抱えて動きがとれなくなる。

 さらに2017年1月の財務省の試算によれば、金利が1%上昇すると、国債利払い費を含む国債費は3.6兆円増え、金利が2%上昇すると7.3兆円増加する。長期的に考えれば、国の借金は1000兆円を超えるので、単純計算で考えても、金利1%の増加でさらに国債費は膨らみ、財政危機をもたらす。

 つまり、金利の上昇は財政金融を麻痺させ、ひいては日本経済を著しい混乱に陥れるのである。

 だからこそ、異常な低金利を維持するために、日銀は永遠に国債を買う量的金融緩和をやめるにやめられず 、出口戦略を放り投げて続けざるを得ないのだ。簡潔に言えば、アベノミクスとは戦時経済と同じ“出口のないネズミ講”なのである。

 つまりあと3年は、安倍首相に「政治任用」された黒田日銀総裁が緩和政策を続けるのかもしれないが、それは将来の大きな危機をもたらす「マグマ」をため続けるようなものであり、米FRBが利上げ政策をとっている以上、日銀だけが緩和政策を続けようとしても、金利上昇を抑えられるかはわからない。

 こう考えると、アベノミクスとは、成功した途端に破綻する「詐欺」ということになる。

 仮に消費者物価が上昇した場合、それは金利の上昇をもたらす。実質金利(利子率―物価上昇率)がマイナスだと、銀行経営は成り立たなくなっていくからだ。

1941とはずがたり:2018/09/18(火) 11:22:24
>>1940



所得再分配だけでは不十分
「利権化」した規制緩和
 アベノミクスの主要政策である異次元金融緩和は、ゾンビ化した古い産業や企業を生き残らせるために機能している。そして古い産業構造を維持するためにむちゃな財政金融政策を続ければ、未来の世代に回されるツケはますます膨らむだけだろう。

ただ、所得の再分配を前面に掲げるだけの野党、とくに左派やリベラル派も同じ穴のむじなになりかねないことを自覚すべきだ。

 これだけ格差と貧困が広がれば、再分配政策の重視は当然の主張であり、必要な政策転換のひとつである。だがそれだけでは不十分なのだ。

 ある程度、潜在成長力があった20世紀的枠組みの下では、マクロ経済政策で微調整すれば経済成長の持続可能性が高まるという考え方でよかった。しかし、産業構造の大転換が起きている中で、既存産業の成長力が衰え、これだけ財政赤字を急速に累積させてもGDP成長率は停滞したままである。

 今やICT、IoTとエネルギー転換によって産業構造が大きく転換しようとしている。こういう時代状況の下では、所得再分配政策に組み替えただけでは日本経済は持続可能になり得ない。

 再分配政策重視でやればいいという発想は、しばしば左派やリベラル派のモデルとなってきた北欧福祉国家に対する誤解から来ている。

 バブルが崩壊した1990年代以降、北欧諸国は国家戦略を立てて先端産業に対するイノベーション研究開発投資や起業支援や教育投資に力を注いできた。スウェーデンやフィンランドのIT産業、デンマークの風力発電など自然エネルギー産業、そしていまはノルウェーの電気自動車の躍進などが典型だ。

 経済成長か再分配かの二者択一ではなく、目指すべきは雇用を創り出す経済成長と所得再分配の適切な組み合わせによる政策体系なのである。

 もちろん、経済成長を重視するといっても、規制緩和政策で市場任せでは新しい先端産業への転換は実現できない。前述したように、それは不作為の責任放棄であり、ましてや安倍政権では、構造改革特区や国家戦略特区のような規制緩和政策は利益誘導政治の巣窟と化している。

 そしてイノベーションは速度が命なので、研究開発のためには企業横断的・研究機関横断的なオープンプラットフォームづくり、そして若手研究者・技術者の育成と活躍の場の提供が重要になってくる。

 一方でこうした激しい技術転換が起きる時には、政府が常に正しい判断をする保証はない。情報公開と決定プロセスの徹底的な透明性、公正なルール、若手研究者・技術者の育成と予算の配分が不可欠になる。

 ところが、安倍政権ではここでも全く逆の方向に向かっている。「縁故資本主義」が横行しているからだ。



 限界が見えてきたアベノミクスがいよいよ機能不全に陥った時、先端産業で敗北した日本の産業の悲惨な状況が一気に露呈していくことになるだろう。安倍政権は限界まで金融緩和を続けていくだけで、日本の未来のことは何も考えていないのだ。

(立教大学特任教授 金子 勝)

1943とはずがたり:2018/10/05(金) 13:20:04
ドイツの構造改革
―経済成長・健全財政の両立と課題―
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2018/rev18j06.htm/
2018年9月26日
国際局 白木紀行*1、新見朋広、有泉友香、西岡慎一*2
*1現・金融機構局
*2現・総務人事局

全文 [PDF 382KB]
要旨
近年のドイツでは、他のユーロ圏諸国よりも経済成長率が高く、同時に財政の健全化も進んでいる。これには、種々の構造改革、なかでも、2000年代前半を中心に実施された労働市場改革や年金改革の影響が背景にある。年金や失業保険の給付削減は、財政支出を抑制したほか、高齢者や失業者の就業意欲を引き上げた。雇用の促進・柔軟化策は、企業の採用意欲を高めたほか、求人・求職のマッチング機能を向上させた。こうした効果が相乗的に発揮されて、労働投入の拡大を軸とした経済成長と財政の健全化が実現したと考えられる。ただし、一連の構造改革は、国内で格差拡大を招いたほか、他のEU諸国からはドイツに対してEU全体に配慮した財政拡大を求める声があがっている。ドイツの構造改革の帰趨は、国内の経済・財政の先行きにとどまらず、EUの経済安定化や統合深化への影響の面でも注目される。

日本銀行から
日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
内容に関するご質問等に関しましては、日本銀行国際局国際調査課(代表03-3279-1111)までお知らせ下さい。

1945とはずがたり:2018/10/08(月) 15:38:30
日本の製造業「壊れつつある」?米紙が分析
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00460670?twinews=20180206
(2018/2/6 05:00)



click here
【ニューヨーク=時事】「日本の製造業モデルが壊れつつある」。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は4日、製造業で品質データ改ざんなどの不祥事が相次ぐ日本企業の現状にこう警鐘を鳴らす分析記事を掲載した。

同紙は「日本の産業競争力を高めたのは、戦後に構築された製造業モデルだった」と指摘。生産現場の無駄を徹底的に排除する「カイゼン(改善)」などの取り組みに触れつつ、「(米国の品質管理手法と)勤勉さや細部へのこだわりを重んじる日本の価値観がうまく結合した」と評価した。

ただ、バブル崩壊以降、長期雇用を保証されて技能を磨いてきた熟練労働者が減ってきたと説明。「職人」の減少により生産現場の力が弱まっているにもかかわらず、日本の企業経営者の多くが工場で起きた問題への対処を現場任せにしたことを問題視した。

1946とはずがたり:2018/10/08(月) 15:40:23

支持してて高まったのか不支持で高まったのかその辺全部明示して欲しいのお

毎日新聞世論調査
安倍改造内閣に「期待」8%
https://mainichi.jp/articles/20181008/k00/00m/010/051000c
毎日新聞2018年10月7日 20時55分(最終更新 10月7日 22時34分)

 毎日新聞は6、7両日に全国世論調査を実施した。2日の内閣改造で安倍内閣に対する期待が高まったか尋ねたところ、「期待できない」が37%で、「期待が高まった」の8%を大きく上回った。最も多かったのは「変わらない」の47%。内閣支持率は37%で9月の前回調査から横ばい。不支持率は1ポイント減の40%で、3月の調査から7回連続で不支持が支持を上回った。

 麻生太郎副総理兼財務相を留任させたことについて、「評価する」は25%にとどまり、「評価しない」が61%にのぼった。自民支持層は、「評価する」48%と「評価しない」44%がほぼ拮抗(きっこう)。「支持政党はない」と答えた無党派層は、「評価する」17%、「評価しない」69%。人事刷新による政権浮揚効果に影響した可能性がある。

 女性閣僚は改造前の2人から片山さつき地方創生担当相1人に減った。安倍内閣で最少になったことに関し「女性の閣僚をもっと増やすべきだ」は38%、「女性の閣僚を無理に増やす必要はない」は50%だった。

 自民党総裁選で首相と戦った石破茂元幹事長が率いる石破派から山下貴司法相を起用したことについては、「評価する」51%、「評価しない」31%となった。

 主な政党の支持率は、自民党31%▽立憲民主党11%▽公明党4%▽共産党3%▽日本維新の会2%▽国民民主党0%--など。無党派層は40%。【平林由梨】

調査の方法
 10月6、7日の2日間、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて作った固定電話と携帯電話の番号に調査員が電話をかけるRDS法で調査した。固定では、福島第1原発事故で帰還困難区域などに指定されている市町村の電話番号を除いた。固定は18歳以上の有権者のいる823世帯から503人の回答を得た。回答率61%。携帯は18歳以上につながった番号617件から502人の回答を得た。回答率81%。

1948とはずがたり:2018/10/23(火) 09:48:49

2018-10-13
今年度のノーベル経済学賞非受賞者に込められた意味
http://d.hatena.ne.jp/himaginary/20181013/Why_not_Weitzman
経済 |

「Nobel Prizes in Economics, Awarded and Withheld」と題されたEconospeakエントリでピーター・ドーマンが、今年度のノーベル経済学賞は誰が受賞したかよりも誰が受賞しなかったかに注目すべき、と書いている。以下はその末尾。

The reality is this is a nonprize for Weitzman, an attempt to dismiss his approach to combating climate change, even though his position is far closer to the scientific mainstream than Nordhaus’. An example of the enlistment of the uncritical media in this enterprise is today’s New York Times, where Binyamin Appelbaum writes:

Mr. Nordhaus also was honored for his role in developing a model that allows economists to analyze the costs of climate change. His work undergirds a new United Nations report on the dangers of climate change, released Monday in South Korea.

Wrong. The work Nordhaus pioneered in the social cost of carbon is mentioned only twice in the IPCC report, a box in Chapter 2 and another in Chapter 3. The reason it appears only in boxes is that, while the authors of the report wanted to include this work in the interest of being comprehensive, it plays no role in any of their substantive conclusions. And how could it? The report is about the dangers of even just 1.5o of warming, less than the conventional 2o target, and far less than the 3+o Nordhaus is comfortable with. Damages are expressed primarily in terms of uninhabitable land and climate refugees, agricultural failure and food security, and similarly nonmonetary outcomes, not the utility-from-consumption metric on which Nordhaus’ work rests.

The Nordhaus/Romer combo is so artificial and unconvincing it’s hard to avoid the impression that the prize not given to Weitzman is as important as the one given to Nordhaus. This is a clear political statement about how to deal with climate change and how not to deal with it. The Riksbank has spoken: it wants a gradual approach to carbon, one that makes as few economic demands as possible.

(拙訳)

実際のところ、今回はワイツマンへの非授賞であり、彼の立場がノードハウスの立場よりも科学界の主流派に遥かに近いにも拘らず、彼の手法を気候変動と闘う手段として退けようとする試みである。無批判なマスコミがその試みを支持した事例は今日のニューヨークタイムズで、そこでビンヤミン・アッペルバウムは以下のように書いている:

ノードハウス氏も、経済学者による気候変動コストの分析を可能にしたモデルの開発への貢献で表彰された。彼の研究は、月曜に韓国で公表された気候変動の危険性に関する新たな国連報告書の基盤となっている。

これは間違いだ。ノードハウスが切り拓いた炭素の社会的費用の研究は、IPCC報告書では2章と3章の囲み記事で2回言及されているに過ぎない。囲み記事にしか現れていない理由は、報告書の著者たちが包括性に鑑みてその研究も含めようとしたにも拘らず、実質的な結論にそれが何ら寄与しなかったためである。どうして寄与することがあろうか? 報告書は僅か摂氏1.5度の温暖化の危険性を取り上げているが、それは通常目標の2度よりも小さく、ノードハウスが満足している3度強よりも遥かに小さい。損害は主に、住めなくなる土地や気候難民、農業の不作や食料安全保障、および同様の非金銭的な影響の形で表されていて、ノードハウスの研究が依拠している消費の効用の指標で表されてはいない。

ノードハウスとローマーの組み合わせはあまりにも不自然で説得力を欠き、ワイツマンに与えられなかった賞がノードハウスに与えられた賞と同じくらい重要、という印象は避けられない。これは、どのように気候変動に対処すべきで、どのように対処すべきでないか、と言うことについての明確な政治的声明である。リクスバンクは、炭素についてはできるだけ経済への負担が少なくなる段階的な方式で行きたい、と述べたのである。

1949とはずがたり:2018/10/23(火) 09:49:01
>>1948

以下はその前段の概要。

ノードハウスは何十年もの間DICE(Dynamic Integrated Climate-Economy)と呼ばれるモデル*1を弄って、気候変動の勢いを弱める限界費用がその下で耐え忍ぶ限界費用と等しくなる「最適な」気候変動量を求めようとしていた。そこから「炭素の社会的費用」である最適な炭素価格が導き出される。同費用は現時点で導入されるべきとされており、金利の割合で時系列的に上昇することが許容される。1990年代初頭に最初に出されたDICEを用いた研究で彼は、CO2トン当たり5ドル、2028年のピークには20ドルまで徐々に上昇する炭素税を推奨していた。彼の「最適」政策では、計画の最終期に大気中のCO2が1400ppm以上、地球温暖化の進行が摂氏3度以上になると予想されていた(ノードハウス(1992))。

その後、ノードハウスは気候変動がもたらし得る経済的費用に対する懸念を少し深めたが、同時に脱炭素社会の経済成長について、対策抜きの場合でも楽観的になっていった。最新の研究で彼は、2015年にトン当たり31ドル、その後年率3%で増やす炭素税を提唱した*2。これも3度以上の温暖化をもたらす。同じ論文でノードハウスは、温暖化を2.5度に抑える最も効率的な炭素税はトン当たり107-184ドルの間である、と計算しており、それに比べると彼の提唱する炭素税はいかにも小幅である。一方、パリ協定の目標は2度で、大半の科学者はそれが我々が許容すべき温暖化の上限であると考えている。

炭素税1ドルはガソリン1ガロン当たり1セントに相当する。従ってノードハウスの提案は、エネルギー価格の他の様々な要因による変動に比べれば微々たるものに過ぎない。換言すれば、彼への授賞は気候変動の重要性に関するものとスウェーデン中央銀行の声明が喧伝したのとは裏腹に、ノードハウスは、問題は大したことは無く、導入が容易でほとんど気にもならないエネルギー価格調整によって解決できる、というほぼすべての気候科学者が否定する立場の主要な代弁者である。この道を進めば、我々は気候黙示録の大いなるリスクに直面することになる。
ノードハウスだけが気候経済学者というわけではない。実際、彼はハーバードのマーチン・ワイツマンと長年に亘り論争を繰り広げてきた*3。ワイツマンは炭素の社会的費用の手法を頭から否定しており、合理的な政策は最悪の結果を避ける保険の原則に基づくべき、としている。彼の「陰鬱な理論」では、合理的な前提の下で、テールイベントの可能性はカタストロフの程度の増加ほど急速に低下しないため、予想されるコストは際限なく上昇する、ということが示された(ピーター・ドーマンの以前のエントリでの解説)。このことは気候変動のシナリオに当てはまる。当然ながら、炭素排出の制限にはより積極的な対策が必要、と考えるドーマンのような学者は、ワイツマンの研究をしばしば引き合いに出してきた*4。

またワイツマンは、気候変動の議論に関する貢献とは全く違った分野においても、環境経済学における巨人である。彼は不確実性下の環境政策について独自の研究を行っており、経済学理論の他の分野でも大いに貢献している(cf. ドーマンによるワイツマンの不確実性問題分析の解説)。仮に温室効果が全く存在しなかったとしても、彼は最高の賞の候補となったであろう。
従って、ノーベル経済学賞の受賞者について経済学者が取り沙汰した時には、ノードハウスは常にワイツマンとセットになっていた(直近では、2人にパーサ・ダスグプタを加えたタイラー・コーエンがその例[邦訳])。気候変動対策をゆっくりやるべき、という経済学者と、早急にやるべき、という経済学者の組み合わせは論理的である。しかし実際には、ノードハウスはワイツマンではなく、内生的成長理論のポール・M・ローマーとのペアで受賞した。ここでローマーの業績を云々するつもりはないが、リクスバンクの委員会が、研究が漠然としか関連していない2人の経済学者を結び付けたのは興味深い。いかに多くのコメンテーターが後付けで正当化しようとも、両者の共同受賞を予測した人は記憶にない*5。

1950とはずがたり:2018/10/23(火) 09:57:53
>我々の現在の知識からすると、損失が僅かに留まることが一番確からしい。しかし、事態が遥かに悪化する可能性も存在する

>だから、要はこういうことだ。どんな期待厚生の計算においても、カタストロフが起きる小さな可能性が期待損失の大部分を占める。ロンボルグが正しい可能性が99%あるとしても、1%の可能性でGDPが9割減少する大惨事が起きるものとしよう。その小さな可能性を無視してしまいたいところだが、リスク回避度が中程度の人でも(たとえば相対的危険回避度が2の場合)、厚生の期待損失はGDPの0.5%ではなく、10%以上になることがすぐに分かる*2。

2009-11-01
ワイツマン「カタストロフの可能性を考慮しない費用便益分析は意味が無い
http://d.hatena.ne.jp/himaginary/20091101/weitzman_on_climate_change

A.R.N.さんのこの記事を読んで、そういえば例の騒ぎに絡んでクルーグマンが温暖化対策と費用便益分析について何か書いていたな、と思ったら、10/17のブログエントリだった。

(拙訳)
>ワイツマンの論文は、温暖化対策に関するかのスターン・レポートの後に巻き起こった議論の論点をシフトさせる試みだった*1。ニック・スターンは、強力な温暖化対策を主張する際に、「割引率」ゼロを用いた。つまり、将来世代と現在の世代を等価に扱った。多くの経済学者がこれは不合理だと論じた。我々は、他の決断に関しては、金利をはじめとする諸々の要因によって将来をかなり割り引くのに、温暖化だけ別にする理由が分からない、というわけだ。高い割引率を用いれば、温暖化対策に今払うべき努力は少なくて済むことになり、将来のおそらく今より裕福な世代に費用をもっと多く負担してもらうことになる。

>ワイツマンが指摘したのは、しかしながら、温暖化ガス排出の影響について我々があまりにも知らない、ということだ。そしてその知識の不確実さが意味するのは、我々が行動しない場合に完全なカタストロフが起きるリスクが大いにある、ということだ。このカタストロフのリスクこそ対策の原点となるべきであり、それは段階的な様子見的な対策よりも、素早く思い切った行動の必要性を示している、と彼は論じる。

この議論は私を確信させた。私が早急な温暖化対策を強く主張するのは、この議論が一つの主な理由になっている。

さらに、昨年の7月29日には次のようなことを書いている。

1951とはずがたり:2018/10/23(火) 09:58:06
>>1950
(拙訳)
>カタストロフの経済学

>メディアのヘッドラインを賑わせてはいないが、温暖化の経済学をどのように考えるべきかについて非常に重要な議論が進行している。キープレイヤーはマーティ・ワイツマンで、彼は単純なことを指摘した(ただしとても難しい数学を使ってだが)。Env-Econで彼の論点がうまくまとめられている。

>温暖化問題は基本的には不確実性の問題だ。我々は、自分の惑星で、二酸化炭素の水準を産業革命以前の水準から倍増させるという実験を行なっている。何十万年もの間、濃度がこれほど高いことは無かった。これが意味することについて、我々はあまり知らないと言っていいだろう。この不確実性について取り組むことは決定的に重要だ。極端な結果――分布の厚い裾――は、多くの研究において重要であるし、それが中心テーマであるべきだ。

>この論点が如何に重要であるかは、ビョルン・ロンボルグの最新の論説を見れば分かる。そこで彼は、温暖化が世界のGDPに与えるマイナス効果は0.5%以下に過ぎず、排出ガス削減のために大金を注ぎ込む価値は無い、と論じている。


ワイツマンの主張は、第一に、我々はそのことを確実に知ってはいない、ということだ。我々の現在の知識からすると、損失が僅かに留まることが一番確からしい。しかし、事態が遥かに悪化する可能性も存在する(マーティは既存の気候モデルをサーベイして、たとえば摂氏20度の平均気温の上昇といった本当に破滅的な変化の可能性が1%くらいあると示唆している)。


だから、要はこういうことだ。どんな期待厚生の計算においても、カタストロフが起きる小さな可能性が期待損失の大部分を占める。ロンボルグが正しい可能性が99%あるとしても、1%の可能性でGDPが9割減少する大惨事が起きるものとしよう。その小さな可能性を無視してしまいたいところだが、リスク回避度が中程度の人でも(たとえば相対的危険回避度が2の場合――経済学に詳しい人なら何のことかわかるだろう)、厚生の期待損失はGDPの0.5%ではなく、10%以上になることがすぐに分かる*2。

問題は、遠い将来の確率の低いカタストロフを防ぐために、人々に適度な犠牲を払うことを納得させられるか? とうことだ。

ちなみに、ここでリンクされているEnvironmental Economicsブログでは、以下のような興味深い試算も紹介されている。

(拙訳)

ワイツマンの議論を極端に解釈して、GDPのすべてを温暖化対策に充てるべき、と受け止める人もいるかもしれない(急いで付け加えるならば、それは間違った余計な解釈だ)。…
多くの経済学者はスターンの高い見積もりを、基本的に数字をでっち上げたことによるものとして批判した(たとえば、非常に低い割引率を使うなど)。ワイツマン(そしてピンディックも)は必ずしもそうとは限らないことを示した。必要なのは、極端な事態の可能性を真面目に考えることだけなのだ*4。…

1952とはずがたり:2018/10/23(火) 09:59:44
持続的発展ではワイツマンは表彰できないんだなw

カタストロフィーとかカオスとかの時に受賞するのかもしれない

1953とはずがたり:2018/10/30(火) 21:57:55
娘の難聴分かっていれば…小5で判明、遅れた療育 新生児検査「異常なし」に盲点
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181030-00010000-nishinp-soci
10/30(火) 9:55配信 西日本新聞

 「小学5年の娘が、最近になって難聴だと分かりました」。福岡県内のゆり子さん(30代、仮名)から、無料通信アプリLINE(ライン)を通じて特命取材班に相談が寄せられた。生後間もなく、耳の聞こえを調べる新生児聴覚スクリーニング検査を受けた際は「異常はなかった」という。どういうことか。

 「2歳になっても全くしゃべらなかった」というゆり子さんの娘。名前を呼んでも反応がなかったという。「新生児聴覚検査では異常なしだったし、娘の背後で物音を立てると振り向くので『やっぱり聞こえてる』と思っていた」。保育士や言語聴覚士などに相談したところ、知的障害の疑いを指摘された。

小5になった今年、担任教諭から「耳が聞こえていないと思う」と指摘
 知的障害の特別支援学校に入学した後、病院に足を運んだものの、医師の見解は「言葉が出ないのは知的障害のためでしょう」。ゆり子さんはその言葉を受け止めるしかなかった。

 娘が小学5年になった今年、担任教諭から「耳が聞こえていないと思う。口元を見ている」と指摘された。聴覚のありとあらゆる検査を受けようと決心し、やっと、難聴の一種「オーディトリー・ニューロパチー」であると分かった。加我君孝東大名誉教授によると「音自体は聞こえるが、不明瞭に聞こえるため、言葉として聞き取ることができない」のが特徴という。

なぜ、新生児聴覚検査で分からず?
 なぜ、新生児聴覚検査で分からなかったのか。

 新生児聴覚検査は、自動ABR(自動聴性脳幹反応)とOAE(耳音響放射)の2種類。加我名誉教授は「オーディトリー・ニューロパチーはOAEだと正常と出る。『何も悪くない』と言われやすいが、断言しては駄目なんです」。OAEで調べられるのは内耳まで。一方、自動ABRは内耳と聴神経を同時に調べることができるため、検査に引っ掛かるという。ゆり子さんの娘はOAEを受けていた。

厚生労働省「検査は自動ABRで実施することが望ましい」
 厚生労働省は既に、都道府県などに対し「検査は自動ABRで実施することが望ましい」と呼び掛けている。日本耳鼻咽喉科学会も同様に推奨しているが、自動ABRの検査機器は約250万円。OAEは約100万円強で、検査がより短時間で済むことなどから、普及が進んでいない。

 大分県によると、同県内の検査実施施設のほとんどはOAEを採用し、福岡県では分娩(ぶんべん)を扱う診療所88施設の約半数はOAEという。長崎県では、2016年度に同県で生まれて検査を受けた新生児9848人のうち、約4人に1人がOAEを受けている。

この難聴を広く知ってほしい、母の願い
 今まで知的障害児として教育をしていた娘に、手話を教え始めたというゆり子さん。みるみる上達する娘を見ていると「知的障害の程度は、実は軽かったのではないか」「自動ABRを受けられていたら、今ごろ話せていたかもしれない」と思わずにいられない。

 九州大医学部耳鼻咽喉科の中川尚志教授は「適切な時期に適切な介入をしていれば、二次的な知的障害が防げ、障害が今より軽減されていた可能性がある」と話す。

 「障害は不便だけど不幸じゃない。けれど、周りの大人が不便に気付いてあげられないのは、子どもにとって不幸ではないでしょうか」とゆり子さん。自動ABRの普及とともに、親や医師、教育関係者ら子どもに関わる全ての大人に、この難聴を広く知ってもらうことが願いだ。

娘の難聴分かっていれば…小5で判明、遅れた療育 新生児検査「異常なし」に盲点
オーディトリー・ニューロパチーの仕組み
◆オーディトリー・ニューロパチー
 1996年に論文発表された「新しい難聴」。九州大医学部耳鼻咽喉科の中川尚志教授によると、通常、空気の振動である音は鼓膜で受け止められ、内耳にある有毛細胞で電気信号に変換。信号は有毛細胞からシナプスを介して聴神経で運ばれて脳に伝わり、言葉として認識できる。オーディトリー・ニューロパチーの場合、内耳までは正常だが、有毛細胞から聴神経に信号の伝達がされない、もしくは聴神経がうまく機能せず、信号が十分運ばれないことが原因とみられる。「1000人に1、2人とされる先天性難聴の5%程度」とする海外文献もある。

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西日本新聞社

1956とはずがたり:2018/12/13(木) 13:51:07

岩田年浩
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A9%E7%94%B0%E5%B9%B4%E6%B5%A9
岩田 年浩(いわた としひろ、本名:山名 年浩(やまな としひろ)、1946年1月14日 - )は、日本のマクロ経済学者。企業や学校法人、財団法人、社会福祉法人の顧問も務める。専門は、経済成長論、経済学教育論(第2回経済教育学会賞受賞)。経済学博士。

京都市出身。これまでに関西大学教授、京都経済短期大学学長、経済教育学会会長、文部科学省現代社会問題審議委員などを歴任。全国山名氏一族会会長(備後山名家当主:山名宗全から数えて27代目、清和天皇から数えて46代目)でもある。

略歴
1946年1月14日、京都府京都市に生まれる。戸籍名は山名年浩(やまなとしひろ)。父方の姓は岩田、母方の姓は山名。父は西日本軽金属鋳物工業組合・理事長で、大阪中小企業団体中央会の設立メンバーでもあった岩田年之助(通産大臣表彰2回、中小企業長官表彰1回、大阪府知事表彰3回)。祖父は真宗生命保険(現、大同生命保険)の創業者である岩田幸七(大同生命保険の設立メンバーでもある)。

学歴
1974年 大阪教育大学大学院教育学研究科(修士課程)修了
1980年 神戸商科大学(現兵庫県立大学)大学院経済学研究科(博士課程)修了、経済学博士
職歴
1980年 大阪経済法科大学講師
1982年 大阪教育大学助教授
1994年 関西大学総合情報学部教授
2010年 大阪経済法科大学客員教授
2012年 京都経済短期大学学長
学外における役職

末永隆甫先生・菊本義治先生のこと
http://iwata-yamana.jp/diary/pg194.html
 岩田 年浩

 1975 年の4 月に私は教育系大学を出た後に教職に就き、兵庫県立の神戸商科大学(現在、兵庫県立大学)の大学院に入学しました。

当時は、マルクス経済学の権威も強く、マルクス研究者も多くいました。そのかなりは『資本論』体系の解釈に重点を置かれ、近代理論に対してはイデオロギー批判をするのがほとんどでした。その中で、近代経済学(当時の多くはケインズ派の数理経済学)そのものを研究する内在的批判の潮流がありました。一橋大学の杉本栄一氏はその道の人で、近代理論の最新形態を精緻に批判的に研究されていました。その弟子の一人がケインズ左派的な色濃い末永隆甫先生でした。同じく経済学と言いながら二つの経済学は没交渉(価格や利潤などのキーワードの概念からして異なる)で、マルクス自身が近代経済学の最新のものを取り上げる研究者としての立場であったのに、超越的なイデオロギー批判ばかりになっている状況は日本の経済学界固有のおかしな状況でした(マルクス経済学者が中心となった経済理論学会の会員数は1970 年に860 人で現在約900 人、理論計量経済学会――後に日本経済学会は1970 年に870 人で現在約3000 人)。

ところが、大学院での授業は英書(印象に残るのは、R.F.Harrod, M.Dobb, R.G.D.Allen, J.A.Kregel 等)の経済理論と数理経済学のテキストが多く、早く内在的批判の立場で経済学を勉強したい私の思いとは違い最初は大いに焦りました。

この大学院には、数理的マルクス経済学者置塩信雄氏の最初のお弟子さんである菊本義治先生が若くしておられましたが、こちらはコンプリートな数理モデルにリアルな要因を込めて、体系の安定不安定を見出すというものでした。近代理論のほとんどが安定性を帰結する中で、不安定性を帰結されていました。このお二人を除く教員はほとんどの方が新古典派数理経済学の立場で、二つのゼミは相互乗り入れのようになっていました。この二人の先生の授業を中心に受けましたが、いずれも、これぞ科学という印象が強かったです。難解な数式の展開を自分でするのには苦労しましたが、当時のこれらの先生方の教育スタイルは厳しく、こちらは先輩のやり方を知り、同輩や後輩には負けてはならないと緊張する、あっという間の院生時代でした。

このころの経験は浅学非才の私に研究と教育への自信を与え、いろいろなことに関心を広げてくれました。

末永先生は以後近代理論の合理性の検討や新たに登場してきた、マネタリズム批判へと向かわれました。目の病気を患われながら、晩年まで、英書に親しまれ研究論文を教え子に送ってこられたのは強く印象に残っています。菊本先生の方は多くのお弟子さんを育てられ、繁茂の状を呈されています。

1957とはずがたり:2018/12/13(木) 13:52:56
https://sikyo.net/-/1084944
末永隆甫
すえなが たかすけ
1919 - 2004
大阪市立大名誉教授 元神戸商科大学長 経済学 神戸市
命日まであと43日です。
亡くなってから14年322日過ぎました。
85歳で亡くなりました。もし現在も生きていたら99歳です。
1919年に誕生、2004年01月25日に亡くなりました。
生誕99年が経過しました。没後14年が経過しました。
暮らした時代は、大正(8年間)、昭和(64年間)、平成(16年間) です。
次の法要は1年43日後、2020年01月25日の十七回忌です

ラディカル派経済学 (1976年) - ? 古書, 1976
末永 隆甫 (編集), 磯村 隆文 (編集)
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%A9%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AB%E3%83%AB%E6%B4%BE%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6-1976%E5%B9%B4-%E6%9C%AB%E6%B0%B8-%E9%9A%86%E7%94%AB/dp/B000J9RZL4

現代の経済理論 上 単行本 ? 1981/3
末永隆甫 (著)
https://www.amazon.co.jp/%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E3%81%AE%E7%B5%8C%E6%B8%88%E7%90%86%E8%AB%96-%E4%B8%8A-%E6%9C%AB%E6%B0%B8%E9%9A%86%E7%94%AB/dp/4623008266

1958とはずがたり:2018/12/13(木) 13:57:11
阪南大学・経営情報学部・伊田昌弘の研究室
大学院時代(神戸)
http://www2.hannan-u.ac.jp/~ida/me-kobe.htm

何故,私が大学院で神戸へ行ったかと言うと,「マルクス経済学の現代化のためにケインズと結婚する」という目標を達成せんがためであった。ケインズとはマクロ経済学の創始者の名前である。

私は,当時新進気鋭の学者として全国的に注目されていた菊本義治先生の門を叩くことになった。菊本先生はマルクスの「資本論」を独自に数学で解釈された置塩信夫先生の門下であり,この目標に近づけると考えたからであった。

が,しかし,この目標はほどなく崩壊した。実は菊本先生はじめ,世に言う「置塩学派」とは,巷間言われている「マルクスとケインズの結婚」ではなく,「マルクスと新古典派の結婚」だということが少し勉強してわかったからだ。新古典派とは近代経済学の王道,すなわちメーンストリーム(主流派)をいう。その基礎はワルラスの均衡論をはじめ経済主体別のミクロ経済学だ。決して英国ケンブリッジ大学のポスト・ケインジアンではないのだ。おまけに私のいた学校は,「新古典派の牙城」ともいうべき,当時そうそうたる先生方ばかりであった。しかも,こっちは真面目に近代経済学なんぞ勉強したことない。こりゃ,ヤバイ所にへ来ちまったな!とは思ったもののあとへは引けない。しかたがない。泣く泣くお勉強するしかない。冬の瀬戸内海や淡路島の見える垂水の丘(星陵台)を幾度泣き泣き,ひとりでトボトボ帰ったことか・・・。

…国際マクロをやり,多国籍企業の直接投資をやっているうちに何とか修士論文を書いたが,博士課程の時の入学試験で数学ができなかったといって師匠菊本先生から大目玉を食らってしまった。修士論文を評価していただいた保坂直達・山宮一人先生に本当に申し訳なかった。当時師匠から頂いたお言葉は,「俺の顔にだいぶ泥を塗ってくれたのぉ」だった。が〜ん。

博士課程に入ってからは,師匠のゼミに属しながら,3年間ほど六甲まで置塩先生のゼミへ通わしてもらい理論経済学のお勉強と,多国籍企業にはまってしまったために安室憲一先生のゼミにも通わせてもらった。小西一彦先生のマーケティング論も「マンtoマン」で勉強させていただいた(サシなので毎回報告なのは言うまでもない!)。結局この時期は経済学科にいながら,経営学科の科目を約半分履修するというとんでもない状態になり,また履修科目外で他大学の置塩先生の所で学ばせていただき,経済研究所の斎藤清先生から大型汎用コンピュータを教えていただくという「荒技」をこなすことになってしまったのであった。

転々バラバラの勉強スタイルである。しかも結構忙しい。「蛸壺型=専門性」がことさら重視される学会の風潮の中で,私は分野の違うものをかなり一生懸命追いかけていた。私の周辺ではこのようなスタイルの者は皆無であったように思う。場合によれば,私は,そういった専門家から「さげすみの対象」であったかもしれない。しかし,私の中では直感的ながらも「おぼろげな輪郭」で,来るべき時代の社会科学のエッセンスが点と線でつながっていたようにも思う。もちろん,悩んで悩んでの末である。

しかし,いったい,どうしてこのようなことが可能だったのであろうか。

それは,①私の興味があればそっちに行ってしまうというフレキシビリティ溢れるいい加減さと,②闊達自由な学風を尊び,事実,同じ門下でありながら,誰一人同じ分野の専門家を作らなかった師匠の菊本義治先生に負うことが大きい。特に師匠には本当に感謝・感謝である。



「マルクス経済学」→「近代経済学」→「経営学」・「コンピュータ」→「国際企業と情報統計」といった私の学問遍歴が,後に「工学」→「哲学」→「統計学」→「都市経済学と情報統計」とこれまた変てこりんな学問遍歴を持つ木下滋先生(故人:阪南大学初代経営情報学部長)の目に止まり,阪南大学に来たのかもしれない。

置塩先生の所でお勉強した理論経済学が今,どれだけ私の中で血肉化されているかは疑問だが,それでも学問の厳しさと論理の一貫性ということだけは,十分人並みに身につかせていただいたと思っている。今でも理論モデルを見ると直感的に判ってしまうのは,「置塩-菊本」という学問体系のおかげである。



1959とはずがたり:2018/12/29(土) 21:43:24

マルクス『資本論』は何を間違えた?〜商品の価値を決めるのは労働量ではない〜
2018/5/28
https://bizgate.nikkei.co.jp/article/DGXMZO3064412017052018000000?n_cid=TPRN0002

1960とはずがたり:2018/12/29(土) 21:44:03
What’s the Matter With Europe?
Paul Krugman
By Paul Krugman
Opinion Columnist
https://www.nytimes.com/2018/05/21/opinion/europe-euro-democracy-wrong.html?partner=rss&emc=rss
May 21, 2018

1961とはずがたり:2018/12/31(月) 14:08:53
「日本人は働き過ぎ」って本当? 調べてみた。
日本の労働者は豊かさを失いつつあるように思える。
https://www.huffingtonpost.jp/rootport/working-too-much_b_11078414.html
2016年07月20日 11時35分 JST | 更新 2016年07月20日 11時35分 JST

1962とはずがたり:2019/01/05(土) 22:47:36
「エビデンスに基づく政策形成」とは何か
前財務総合政策研究所研究官
https://www.mof.go.jp/pri/research/special_report/f01_2017_08.pdf
山名 一史
財総研『ファイナンス』2017.8

1963とはずがたり:2019/01/14(月) 17:41:35

労働分配率、43年ぶり低水準 17年度66.2% 人件費抑制鮮明
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180905/mca1809050500006-n1.htm
2018.9.5 05:51

 財務省が発表した2017年度の法人企業統計では、企業が稼ぎを人件費に回す割合を示す「労働分配率」の下落が続いた。17年度は66.2%でバブル期にも及ばず、43年ぶりの低さ。蓄えを指す「内部留保」や業績が高水準でも、利益をため込む企業の姿勢に変化は見られない。政府の賃上げ要請も響かず、デフレ脱却の鍵を握る個人消費の活性化がおぼつかない構図を表している。

 労働分配率は企業が原材料を仕入れ、より高値で売ることなどで生じる「付加価値」から、賃金や福利厚生費に充てた割合を示す。金融・保険業を除く統計では、リーマン・ショックの起きた08年度に近年のピークの74.7%に達した後、ほぼ一貫して下落。1974年度(65.1%)以来の低水準だった。

 企業は通常、賃金体系の激変を避けるため、労働分配率は好景気の時に下がり、不況時ほど上がりやすい。分析には物価動向や賃金額そのものを考慮する必要もある。だが、バブル期すら下回ることに対し、ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長は「企業にとって賃金を上げる余地が十分にあることを示す」と指摘。経営側の人件費抑制姿勢に加え「労働者側もデフレマインドが根強く、かつてほど賃上げを要求しないことが原因だ」と話す。

 17年度の企業の内部留保は446兆円超と過去最高を更新。さらに営業利益は08年度の2.3倍に拡大し、4年連続で最高額を記録した。対照的に、従業員の賃金は1.1倍にとどまる。

 BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「経済のグローバル化により、企業が好調でも平均的な労働者へは利益が回りづらい構造になっている」と指摘。富裕層への課税強化などで所得再分配機能を高める必要があると主張した。

1964とはずがたり:2019/01/27(日) 18:59:58
なんと。

https://twitter.com/nikkei/status/1089388650171957248
日本経済新聞 電子版
認証済みアカウント
@nikkei

一般はがきで100%、年賀はがきで25%の国内シェア。戦前から逓信省の指定工場だった老舗の印刷会社が破綻したきっかけは、創業者の死去に伴う相続。そして粉飾決算でした。【2018年 読まれた記事】

1965荷主研究者:2019/02/11(月) 10:05:25

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39724330X00C19A1L31000/
2019/1/8 0:00 日本経済新聞 電子版 北関東・信越
信州の商都・松本 多彩なイベントで集客
松本の底力(上)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39782400Y9A100C1L31000/
2019/1/9 0:00 日本経済新聞 電子版 北関東・信越
長野・松本の活力支える製造・農業 周辺市との連携課題
松本の底力(下)

1966荷主研究者:2019/02/11(月) 10:34:04

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/266381?rct=n_hokkaido
2019年01/13 05:00 北海道新聞
札幌ビズカフェ4月活動停止 IT集積「サッポロバレー」の象徴 企業支援枠組み増え

2000年、札幌駅北口に生まれた札幌ビズカフェ。IT分野の起業家らの交流拠点として注目された

 ITベンチャーの起業を支援してきた、NPO法人札幌ビズカフェ(札幌)が4月末で対外的な活動を停止することが分かった。札幌に拠点を置くIT企業などが参加してきたが、自治体や道外企業が主体の起業支援の枠組みが増え、近年は存在感が低下していた。2000年代前半、IT企業が札幌に集積し、「サッポロバレー」と呼ばれていた時代を象徴する組織が、平成の終わりとともに役割を終える。

 札幌ビズカフェは、IT企業の経営者らでつくる前身の団体が2000年、札幌駅北口の北区北7西4の建物内にカフェを設け、活動を開始。商談の場などとして開放し、起業家の相談にも応じてきた。

 その後、拠点を中央区南1西4のビルに移し、最近は起業家育成イベントなどを手掛けていたが、「(新たな事業モデルで急成長を目指す)スタートアップ企業や起業家を発掘するイベントが増えるなど、ビズカフェが唯一無二の存在ではなくなってきている」(石井宏和代表理事)と判断。理事会で活動停止を決めた。

 法人に残る資金を使って、これまでの活動をまとめた書籍を今夏に出版し、19年の歴史に終止符を打つ。法人は解散せず、名称変更し、食と観光の分野で新産業育成を目指す組織に衣替えする。新組織には石井代表理事のほか20社程度の経営者らが参加する予定だ。

 札幌ビズカフェは、インターネットが普及した00年代前半、IT産業で起業を志す若者や投資家らの交流する場となり、「サッポロバレー」の象徴的な存在だった。(宇野沢晋一郎)

1967とはずがたり:2019/02/19(火) 13:55:20

吉田元首相「統計正確なら戦争なかった」 幼い麻生氏に言い聞かせ
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201902/CK2019021902000147.html
2019年2月19日 朝刊

 毎月勤労統計の不正調査に関する十八日の衆院予算委員会の集中審議で、麻生太郎副総理兼財務相が祖父の故・吉田茂元首相から、不正確な統計をもとに日本が戦争に突き進んだと聞かされていたことが話題に上った。

 立憲民主党の長妻昭氏が麻生氏の著書「麻生太郎の原点 祖父・吉田茂の流儀」の記述を紹介した。

 著書によると、戦後の連合国軍総司令部(GHQ)による占領時代に、マッカーサー最高司令官から「日本の統計はいいかげんで困る」と苦言を呈された際、当時の吉田首相が「当然でしょう。もし日本の統計が正確だったら、むちゃな戦争などいたしません。また統計通りだったら日本の勝ち戦だったはずです」と切り返したという。

 長妻氏は「戦前、戦中は統計がいいかげんで、権力者の意のままに使われた。非常に示唆に富む話だ」と指摘。麻生氏は、長妻氏に「事実か」と問われ「小学生ぐらいの時に何回か聞かされた。おおむねそういうことだ」と答えた。 (清水俊介)

1968とはずがたり:2019/02/20(水) 17:19:28
わんぱくふりっぱー by あ〜る

https://www.investopedia.com/terms/f/flipper.asp
Flipper
Reviewed by Will Kenton
Updated May 30, 2018
What is a Flipper

A flipper is an investor who buys a stock, often an IPO, in order sell it for a quick profit, or who buys and sells homes for quick profits.

1969とはずがたり:2019/03/14(木) 20:44:18
W.ペティ著・大内兵衛・松川七郎訳の岩波文庫の『租税貢納論 他一篇』(1952)を入手♪

いきなりアイルランドとおぼしき国名がアイァランドとなっている。エールでもないけど昔はアイァランドと呼んだのか?

調べてみた。

https://www.iwanami.co.jp/book/b248522.html
アイァランドの政治的解剖
著者 ペティ 著 , 松川 七郎 訳
通し番号 白101-3
ジャンル 書籍 > 岩波文庫
日本十進分類 > 社会科学
刊行日 1951/06/25

この本の内容
ペティはイングランド王国の富強成就のために,17世紀後半の新植民地アイルランド社会を「解剖」した.その分析の理論は価値論であり,ここに市民社会の解剖学としての経済学は,統計的実証と一体をなしつつ「政治算術」の提唱にむかって発展する.資本主義社会の分析の先駆的著作として含蓄多き古典である.


むぅ,当時はやはりアイルランドをアイァランドと云ったようだ。

アイレともゲールとも違うしなあ。。。

https://www.y-history.net/appendix/wh0603_2-057.html
1937年にアイルランドの政権を握ったデ=ヴァレラが憲法を制定し、国名をゲール語でエールとした。
 1937年にアイルランド自由国の選挙で勝利したデ=ヴァレラは、独立国家であることを宣言し、新憲法を制定(38年発効)して国号をエールとした。エール Eire はアイレまたはエーレとも表記し、ゲール語(アイルランドの固有の言語)でアイルランドのことを意味する。従って国名を改めたわけではなく、憲法でも英語表記ではアイルランドとするとされている。また独立国家としたことで、イギリス国王の王冠への忠誠を廃止を決めたので、事実上イギリス連邦から脱退することとなった。ただし、正式な脱退は第二次世界大戦後の1949年のことで、そのときに、国号をアイルランド共和国としたが、エール(アイレ)も併用されている。


暫定的結論…よく判らん

1970とはずがたり:2019/03/14(木) 20:49:52

自由貿易主義「租税貢納論」について 
https://www.rakuraku-boeki.jp/column/world-movement/2013-05-08

作家・佐藤優のコラム「保護主義か、自由貿易か」(文藝春秋2013年5月号)を読みました。

このコラムで著者は、「TPPの本質は自由貿易ではない」ということを一番言いたかったと思うが、著者が引用している「租税貢納論」 に興味がひかれたのでご紹介したいと思います。

英国の経済学者ウイリアム・ペティが17世紀に書いた「租税貢納論」(岩波文庫)によると、

もともと関税とは:
・中世の時代は、貿易取引で貨物を運搬するということはかなり危険であった。
・海賊に遭遇するリスクが高く、その損失補償として保険料(=関税)が徴収されていた。

このような時代に「租税貢納論」が主張していることとは:
・関税で国内産業の保護は必要だが、税率をできるだけ低く抑え、
・外国の進んだ技術を積極的に導入すべし

この時代に保護主義を批判して自由貿易主義の考え方が論じられています。

ウイリアム・ペティの含蓄のある言葉も引用しておきます。
「賢明な医者は自分たちの患者に対して、むやみ余計な世話をやくものでないということ。
自然の動きに対してはお手盛りの激烈な施薬で対抗するよりも、むしろこれを観察しそれに従うものである。
政治学や経済学においても、同じ方法が用いられなければならない」

2013/05/08

1971とはずがたり:2019/03/15(金) 09:19:51

https://www.ir.nihon-u.ac.jp/pdf/research/publication/02_34-2_03.pdf
『国際関係研究』(日本大学) 第34巻2号 平成26年2月
ペティの『賢者一言』と戦時租税論
吉 田 克 己

1 はじめに

ウィリアム・ペティ(William Petty)は,イギリスの17世紀重商主義期において,経済学,財政学,統計学に関する多くの著作を公刊した。それらのうち,財政的著作としては,『租税および貢納論』(A Treatise of Taxes and Contributions, 1662)と『賢者には一言をもって足る』(Verbum Sapienti, 1691)(以下,『賢者一言』と略称)が主要な体系をなしている。これら両著作は,その成立の社会的諸事情において相通ずるものをもち,しかもその主題においても一致している。すなわち,両著作とも,当時のイギリスにおける最大かつ緊急の経済問題であった財政の基礎確立のための租税政策を提示する目的をもって執筆されたものである。『租税および貢納論』をペティの租税論と呼ぶならば,『賢者一言』はかれの戦時租税論と呼ばれるべき著作であるといってよい。

イギリスは,1652年からの第一次対オランダ戦争につづき,第二次対オランダ戦争(1665-1667年)に当面した。この戦争は,イギリスにとっては苦戦となることが予想され,また同国の財政も危機に瀕していた。そこで,イギリスは,この戦争に勝利するためには豊富な戦費の確保が不可欠であるとして,巨額の戦費調達の方策を講じた。しかし,ペティの眼には,こうした政府によって採用された戦費調達方法は妥当性を欠くものとして映った。そこで,ペティは,かれが新たに考案した政治算術的方法(数量的分析方法)を駆使しつつ,新たな合理的戦費調達方法を示す目的をもって『賢者一言』を執筆したのである。

2 戦時における公共経費の調達方法

17世紀初頭より,オランダの台頭は目覚ましく,漁業・海運業・外国貿易に基づいて著しく繁栄し,その中頃にはどのような国をも寄せつけないほどの強国に成長していた。第二次対オランダ戦争は,第一次対オランダ戦争と同様に,世界貿易の至上権を掌中に収めて覇権国となっていたオランダに対する,後発国イギリスの武力による挑戦であった。イギリスのオランダに対する宣戦布告は,1665年3月4日に発せられたが,戦費を調達するための準備はその前年からすでに始められていた。政府によって策定された戦費調達の方法は,①月割税(Monthly Assessment)を新たに追加徴収すること,②炉税(Hearth Tax)を担保としてロンドン・シティから借入をすること,③炉税の直接徴収制を放棄して徴税請負制を採用することにより,請負人(farmers, undertakers)からの前貸しを得ること,を柱とするものであった。


すでに述べたように,ペティは,すべての国民が公共経費の負担に全面的に参加すべきであると考えていた。したがって,国民の収入は資産からの収入と労働からの収入とからなると考えたペティにあっては,当然に租税負担はこれら両者に配分されることになる。そして,その配分の割合については,総収入に占める資産による収入1,500万ポンドと労働による収入2,500万ポンドの割合に応じて,3対5とすべきであると考える。ここで,ペティは,明らかに,労働と資産とを税源として質的に同等のものとして捉えようとしている(17)。換言すれば,ペティは,労働者を資産保有者と同様に,租税を支払うことができる潜在的能力をもった階層として理解しているのである(18)。こうした観点から,ペティは,労働に対して課税されていない現行税制を,「租税負担を過去の財産にかけようとし,現存の諸々の能力〔労働〕を無視している」(〔 〕内は,筆者),また,「貧民に対する虚偽の慈悲心が,......かれらの怠惰をゆるしている」(19)といって批判している。ペティにあっては,労働も資産と同様に,公共経費に対して貢献すべきものであったのである。しかも,ペティは,さほどの困難をともなうことなくこのことが可能であるとして,「もし,イギリス臣民が,......20分の1だけ多く働き,20分の1だけ少なく消費するならば,かれらは自分たちの国王をしてその現有軍事力に二倍するものを維持せしめるであろう」(20)といっている。


ともあれ,ペティは,政治算術的方法によって公共経費が資産保有者と労働者の二つの階層により3対5の割合で分担されるのが妥当であることを導き出した。



こうして,ペティは,第二次対オランダ戦争のための戦費調達方法について,資産に対する地租・家畜などへの租税・動産税・家屋税,国民に対する内国消費税・人頭税こそが最善であることを力説する。そして,この提案の内容は,第三次対オランダ戦争(1672-1674年)の直前から戦後にかけての1671年から1676年までの間に執筆されたといわれている『政治算術』(Political Arithmetick, 1690)においても,基本的にはほぼそのまま踏襲されている。

1972とはずがたり:2019/03/18(月) 21:01:47
先日は『ビゴー日本素描集』岩波文庫を入手して大いに楽しんだが,今日は複合不況で有名な宮崎義一の本を入手☆
『転換期の資本主義 80年代の展望』(NHKブックス)という題からも解るように1982年と80年代初頭の本である。

イギリスのECC加盟問題だったり不況を克服したと云う意見が出た所の石油危機だったり余りマクロ経済学って進展してない感じもw

1973とはずがたり:2019/05/12(日) 17:09:38

日本で「中小企業」が激減している根本理由
「後継者がいない」だけではない
https://toyokeizai.net/articles/-/206331
塚田 紀史 : 東洋経済 記者
2018/02/04 15:00

1986年の87万をピークに製造業事業所数は今や半減。日本から中小製造業は消えてしまうのか。『日本の中小企業』を書いた明星大学経済学部の関満博教授に聞いた。

中小企業が激減
──長年現場を歩かれた実感は。

とにかく事業者数の激減ぶりはすごい。とりわけ製造業は減少が止まらない。

個別産業への訪問をずっと続けているが、最近遭遇したのはたとえば糸染めや印刷製本関連の打ち抜き。糸染め業者は30年前に全国に1000以上を数えたが、今80。東京に限っていえば、90あったものが今や8にとどまる。装置産業の糸染めは、海外にミシンとともに出ればいい縫製と異なり、繊維関連でも国内に残った。残ったのはいいが、仕事は100分の1以下。儲からなくなって後を継ぐ人が極めて少ない。

もう1つの打ち抜きは簡単にいえば厚い紙を打ち抜く作業を手掛ける。ピーク時、全国に100ぐらいあったのが、今は5〜6。そのうち続きそうなのは1業者のみ。ここだけは後継ぎがいる。

──創業も少ない?

国は新規創業を促そうと、各種の政策を打ち出している。ベンチャーキャピタルの創成やインキュベーター施設の開設もその一環。だが、それも閑古鳥。IT関係を含め創業意欲が非常に低下している。

数が減る一途なのは初期投資額が大きすぎるから。まともなものづくりをするうえで特にそう。今や中古旋盤1台を50万円で買って始めるといったのでははなからダメで、高額のマシニングセンターや放電加工機を入れないとスタートできない。それだけで1億円かかる。30代前半以下の男に1億円用意しろと言ってもそれは無理だ。とても始められない。

──飲食店や介護福祉では創業が目立ちます。

今、創業でいちばん目につくのは女性が手掛けるカフェ。数百万円つぎ込む。ただこれも、開業から短期で消えていくか、「居抜き」で誰か代わりの人が入る形が多い。創業が旺盛といえるのは介護福祉のみだ。ケアマネジャーや訪問看護の人が常駐して、住宅街のガレージを改修して事務所が作られる。この業種は増えているが、儲かる商売ではない。介護保険制度の中でやっているのだから、事業ともいえない。ほとんどボランティアみたいなものだ。

事業所は減り、新規創業は芳しくない。この面でも一つの時代が終わりつつある感じがする。

1974とはずがたり:2019/05/12(日) 17:09:58
>>1973

日本での承継の難しさ
──後継ぎが確保できないから?

よく知らない人は「親子でなくても継げる技能のある人がいればいいのでしょ」と言うが、仕組みのうえで事実上日本では無理なのだ。第三者が継ぐのを金融機関が認めない。たとえオーナー社長が指名しても、その人は代表権を持てない。貸金を保証する能力がないからだ。最近、名刺に社長とあるが、代表取締役と書いていないケースをよく見掛ける。オーナーの債務の保証がないかぎり、事実上承継にならない。

社長指名を受けても自身の妻から断られるケースも少なくない。「このちっぽけな住まいも担保に入れるぐらいなら、定年までサラリーマンで十分。あとは年金をもらって小さく生きましょう」と。


関 満博(せき みつひろ)/一橋大学名誉教授。1948年生まれ。成城大学大学院経済学研究科博士課程単位取得。東京都商工指導所、専修大学助教授、一橋大学教授などを経る。著書は『地域経済と地場産業』『フルセット型産業構造を超えて』『空洞化を超えて』など130冊に達する(撮影:大澤 誠)
──M&A(企業の合併・買収)がよくいわれます。

これもまた難しい。そもそもまず儲かりそうもない会社は誰も買わない。少し儲かりそうだとしても、日本の会社の場合は社長に価値のある場合が多い。あの社長だからこの会社はもっていると。日本の中小企業の価値は、突き詰めれば社長であったり特定の技術者の価値であることも多い。現場に行くと日本での承継の難しさをしみじみ感じる。

──製造業は中国の印象が強い。

中国の深センに行きその熱気にくらくらした。もう民間企業が3万社を超え、その多くがまず外資に勤めての独立組。開発部隊を含めて、M&Aが盛んなのもいいところだ。たとえば医療機器を手掛ける友人は2年前に、何社か買うことになろうと言っていたが、この間訪れたら、すでに5社買ったという。一つのビルに集合させて、開発から組み立て加工までを手掛けている。

「待ちの企業買収」ではない。売り案件ではなく、自ら欲しい会社、ギンギンに光る会社を探し出し、話をつける。しかも、出資比率51%以上は必須で、社長も替える。事業は新社長に任すが、マネジメントは手放さない。そういう社会を見ると、日本の状況はいかにも寂しい。

──ただ、この本の半分以上は日本での起業・承継の成功例です。

全国を見て、模範的な起業・承継をしているケースを盛り込んだ。勇気を持って進めてほしいとの願いを込めている。日本国内で創業してほしいし、承継もできる環境にしてほしいが、一気にはできない。そこで、足で歩いて収集した際立った例を取り上げた。



1975とはずがたり:2019/05/24(金) 11:35:27
「毎月勤労統計調査」数値に誤りの疑い 厚労省が公表延期
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190524/k10011927111000.html
2019年5月24日 11時15分

働く人の賃金などを調べる「毎月勤労統計調査」について、厚生労働省は、昨年度の確報値を24日公表する予定でしたが、一部の数値に誤りがあった疑いが分かり公表を延期しました。

「毎月勤労統計調査」は、働く人の賃金や労働時間について厚生労働省が全国の事業所を1か月ごとに調査し、公表している統計です。

24日は、昨年度とことし3月の確報値を公表する予定でしたが、厚生労働省によりますと、一部の数値に誤りがあった疑いがわかり公表を延期しました。

誤っていた疑いがあるのは、賃金の算出に用いられる働く人の数の去年7月分の推計値で、この影響で公表済みの調査結果についても修正する可能性があるということです。

厚生労働省は今後1週間をめどに、数値やその影響について精査したうえで公表するとしていて「ご迷惑をおかけしおわび申し上げます」と話しています。

「毎月勤労統計調査」の結果は雇用保険や労災保険の支給額に反映されますが、厚生労働省は「現時点では数値の修正があったとしてもわずかで支給額への影響はないと考えられる」としています。

この統計をめぐっては調査方法をめぐる不正が明らかになり、一連の統計不正問題が発覚するきっかけとなりました。

1976とはずがたり:2019/05/24(金) 17:53:32
2016年12月の記事。あれから2年半経ってもうぬかされているのやろか??

日本は、ついに「1人あたり」で韓国に抜かれる
生産性向上を阻む「昭和の思考」という呪縛
https://toyokeizai.net/articles/-/149624
デービッド・アトキンソン : 小西美術工藝社社長
著者フォロー
2016/12/16 5:00

1977とはずがたり:2019/05/31(金) 17:57:29

IMD世界競争力ランキング:シンガポールがトップ、日本は30位に順位を下げる
IMD International 2019年05月29日 12時36分
From 共同通信PRワイヤー
https://japan.cnet.com/release/30327199/

ローザンヌ(スイス)、2019年5月29日/PRニュースワイヤー/ ? スイスのビジネススクール、IMDが毎年発表するIMD世界競争力ランキング (リンク )最新版では、シンガポールが2010年以来初めて、世界で最も競争力のある経済国の地位に返り咲きました。米国は首位から陥落。一方、経済的な不確実性が、欧州諸国の順位を下げました。

日本は、25位から30位に順位を下げました。経済の停滞、政府の債務に加え、ビジネスの効率性の低下が主因です。


特にビジネスの効率性の分野では、調査対象63か国中、46位となり、昨年の36位から大幅に順位を落としました。

特に、「生産性と効率性」「経営慣行」「姿勢と価値観」といった領域での低下が目立ちました.

これは、グローバル化とデジタル化が加速する経済社会における日本の準備度に関する企業心理の低下を示すものです。

一方、持続可能性に関する長期的な基準においては、日本は「持続可能な開発」で一位、「環境関連の技術」で2位にランクされました。

シンガポールは、技術的インフラの先進性、スキルの高い労働力の調達の容易さ、ビジネスに向いた入国管理法、新規事業設立のプロセスの効率性などが寄与する形で、首位に上り詰めました。香港特別行政区は、その低税率、整った事業政策環境、事業資金の調達のしやすさにより2位につけています。

本ランキングからは、ドナルド・トランプ大統領の税制諸改革の第一波がもたらした当初の自信は米国内では消えたように見えます。世界最大の経済国である米国は、依然としてインフラや経済活動の水準において世界をリードしていますが、その競争力は、燃料価格の上昇、ハイテク輸出の減速、ドル価格の変動により打撃を受けました。

このランキングをまとめているIMD世界競争力センター (リンク )の所長、アルテューロ・ブリス (リンク )IMD教授は次の様に述べています。「国際的な政治状況や貿易関係が急激に変化し、世界市場の不透明さが高まったこの一年、諸制度の質こそが、さらなる繁栄に向けた取り組みを統合する要素になってきたようです。国の制度的枠組みの強さが、企業が投資やイノベーションに取り組むための基盤となり、その結果、市民の生活の質が高まるのです」

多くのエコノミストが、国の長期的な経済の健全性には国の競争力が極めて重要であると考えています。国の競争力は、企業が持続可能な成長を実現することを助け、雇用を生み、究極的には市民の福祉を向上させるからです。

1989年に始まったIMDの世界競争力ランキングは、調査対象の63か国それぞれに関して、235の指標をまとめて算出されます。ランキング算出では、失業率、GDP、健康・教育への国の支出などのハード・データと、社会的結束や分離の度合い、グローバリゼーション、腐敗などのテーマに関する、経営幹部やマネジャーを対象としたアンケート調査からなるソフト・データの両方を、幅広く考慮しています。

スイスは、その経済成長、安定したスイスフラン、質の高いインフラにより5位から4位に順位を上げました。

今年最も順位を上げたのはサウジアラビアで、26位から13位に上がりました。

上位10の国は、シンガポール、香港特別行政区、米国、スイス、アラブ首長国連邦(2016年には15位)、オランダ、アイルランド、デンマーク、スウェーデン、カタールです。

ベネズエラは、インフレ、資金調達の悪さ、経済力の弱さによりランキング最下位に留まったままです。

―関連画像はAP Images(リンク http://www.apimages.com/)より入手できます―

IMDビジネススクールについて:IMDは、スイスに根差し、世界に展開するビジネススクールです。リーダー育成と組織変革に特化し、組織と個人に持続的なインパクトを生み出します。経営幹部教育の分野で、世界トップクラスの評価を維持しており、日本でも多くの先進企業のリーダー育成に携わっています。

1978とはずがたり:2019/05/31(金) 18:01:11

韓国産水産物検査は対抗措置でないと厚労相
2019/5/31 11:05 (JST)
https://this.kiji.is/507012351431214177
c一般社団法人共同通信社

 根本匠厚生労働相は31日の記者会見で、韓国産水産物のモニタリング検査を6月から強化することについて「国民の健康を守る観点から行う」とし、韓国による禁輸への対抗措置ではないと改めて強調した。

1979とはずがたり:2019/05/31(金) 18:01:33
https://rocketnews24.com/2019/05/29/1215203/amp/?__twitter_impression=true
家中を緑化したくてスーパーの「豆苗」を約1カ月育ててみた結果 → 凄まじい成長と共に異変が起きた……
mai 8時間前

1980とはずがたり:2019/06/04(火) 14:09:51
なんだカーライル全然見えてない奴だったじゃん。

経済学は階層秩序を前提としない「陰鬱な科学」である
https://ameblo.jp/tilleulenspiegel/entry-11853773827.html
2014-05-18 10:24:44

欧米の経済学者が書いた教科書やエッセイを読むと、以下のような格言が、しょっちゅう出てくる。

・経済学は「陰鬱な科学」(dismal science)である。
・オウムに「需要と供給」という言葉を教えれば、経済学者の出来上がり!

出典が明示されていないことも多々あるが、これら(とは註:これは間違えで後者はカーライルではなくサミュエルソンの言葉。Thomas Carlyle(1795-1881)は需要と供給と言い出したAlfred Marshall(1842-1924)よりずっと前の人)はスコットランドの歴史家・評論家であったトーマス・カーライル(1795〜1881)が言い出したことだそうだ。



もっとも、どういった事情で彼がそんなことを言ったのかについて、最近まで私は知らなかった。

これらの格言を紹介している経済学者たちも、そこのところはよく知らないらしく、たいていは

・『人口論』で人口爆発と食料の不足を予測したロバート・マルサスのせい
・労働者の数が増えると、その分だけ賃金が低下し続けるという『鉄則賃金』を提唱したデイビッド・リカードのせい

といった古典派の経済学者たちが労働者、ひいては人類の未来を暗く予測したからだという説明に落ち着いていた。

結局、これらは技術革新という要素を全く無視した理論だったので、実際は予想ができなかった技術革新の連続によって、人類がこういった悲惨な末路をたどることはなかった。

さて、このようにカーライルによる経済学批判の背景が不明なまま今日まで過ごしてきたのであるが、最近、早稲田大学の若田部昌澄先生がお書きになった『経済学者たちの闘い[増補版]――脱デフレをめぐる論争の歴史』(東洋経済新報社)を読んで驚いた。

経済学者たちの闘い(増補版): 脱デフレをめぐる論争の歴史/若田部 昌澄

何と、カーライルは黒人差別を正当化する文章の中で、経済学を「陰鬱な学問」と呼んだというのだ。

当時、産業革命によってイギリスは経済的に成長していたものの、同時に産業化の弊害も目立っていた。

資本家が賃金に投じる金額が非常に少なく、労働者は劣悪な環境で一日十六時間も働かされ、得られる給料は、生活できるギリギリの水準、といったことが当たり前だったのである。

大都市にはスラムが形成され、汚染物質が河に流れ込み、スモッグが空を覆いつくしていた。

若田部先生によると、こうした産業化の弊害について、カーライルはイギリスにおける奴隷制の廃止(1830年代末)に原因を見出していたという。そして書き上げた『黒人問題論』(1849)の中で、経済学を批判したのだった。…

1981とはずがたり:2019/06/04(火) 14:10:31
トーマス・カーライルのプロフィール
http://earth-words.org/archives/3456

トーマス・カーライル(Thomas Carlyle/1795年12月4日-1881年2月5日/男性)は、スコットランド/ダンフリーズ・アンド・ガロウェイ出身の歴史家・思想家・評論家。ヴィクトリア朝時代(19世紀)のイギリスを代表する言論人として知られる他、ドイツ文学の研究やゲーテとの往復書簡でも著名な人物。エディンバラ大学の学長などを歴任。(参考文献:ウィキペディア+楽天ブックス)

著書
主な著書に『英雄崇拝論』『フランス革命史』『オリバー・クロムウェル』『衣装哲学』『過去と現在』などがある。

トーマス・カーライルの名言集

自分よりも優れた人を
称賛できる心。

それが人間が持ちうる
最も素晴らしい心である。

自分より身分の
低い人に対する接し方に、
人の偉大さは現れる。

明確な目的があれば、
どんなに険しい道でも
進むことができる。

その一方で、目的がなければ、
平坦な道でさえ
進むことはできない。

一生の仕事を見出した人には、
ほかの幸福など必要ないのです。

勤労はつねに、
人類を悩ます
あらゆる疾病と悲惨に対する、
最大の治療法である。

失敗の最たるものは、
失敗した事を自覚しない事である。

目的を持たない人は、
やがては零落する。

まったく目的がないぐらいなら、
邪悪な目的があるほうがましである。

雄弁は銀なり。
沈黙は金なり。

火が光の初めであるように、
つねに愛が知識の初めである。

どんな確信も、
行動に変わらなければ、
価値は無い。

その思想が
たとえ高潔なものであっても、

人間の最終目標は、
思想ではなく、行動である。

すべての偉業は、
最初は不可能だと言われていた。

人間にとって最優先課題は、
この世で自分がなすべき
仕事を見出すこと。

人生で最も大切なことは、
はるか彼方にあるものを、
見ようとすることではなく、

目の前にはっきり見えるものを、
きちんと実行すること。

働くことができない、
人間として使命を
果たすことができない。

これが結局、
人間の唯一の不幸なのである。

人が出来ることを
すべてをしないなら、

そのうち、
しなければならないことすら、
出来なくなる。

いつだって心は、
頭より先に物事をつかんでいる。

一度でも心から全身全霊をもって、
笑ったことのある人間は、
救いがたいほどの悪人にはなれない。

1982とはずがたり:2019/06/07(金) 17:08:06
焦点:仏「介入主義的」政策の限界、FCA統合撤回で露呈
https://jp.reuters.com/article/fca-renault-france-idJPKCN1T807W?utm_campaign=trueAnthem:+Trending+Content&utm_content=5cfa174cfe86c30001b410e1&utm_medium=trueAnthem&utm_source=twitter
Reuters Staff

[パリ 6日 ロイター] - 欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)(FCHA.MI)と仏ルノー(RENA.PA)の統合案が突然撤回されたことで、図らずもフランス政府の介入主義的な産業政策の限界があらわになった。こうした政策は常に、政治的な要求と冷厳な経済合理性をうまく釣り合わせるのが難しい。

FCAは、統合案を撤回したのはルノーの大株主(持ち分15%)であるフランス政府の姿勢に原因があるとしている。

フランス政府は、FCAの統合案がうまくいかなかったのはルノーと日産自動車(7201.T)の連合維持にばかり気を取られていたためだと指摘する。だからこそフランス経済・財務省は、交渉を進める前提として日産の支持を求めたのだ。同省のある高官は「統合撤回は政治介入とは無関係だ」と断言した。

しかしフランス国立科学研究センター(CNRS)のエコノミスト、エリー・コーエン氏は、フランス政府がこれまでと同じように、統合による経費節減を促すと同時に雇用を守ろうという矛盾を追求したとの見方を示した。

政治的な懸念の存在は、短期的な痛みをもたらすリスクがどんな長期的なメリットをも一掃してしまいがちなことを意味する。コーエン氏によると、結果として政治的な懸念に基づいたフランス政府の決定が、ルノーを行き詰まっていた日産との連合に縛り付けてしまったという。

<損なわれる競争力>

フランス政府は、今後も戦略的な国内産業が危機に直面した場合に自らの発言力を放棄しようという気配は見えない。

ルメール経済・財務相は議会で「われわれいかなる産業再編の機会にも前向きである姿勢は変わらないが、ルノーと国家の利益を確保するため、性急には行動しない」と強調した。

マクロン大統領には、ルノーのような国家を代表する企業が絡む大型ディールが思うようにならなかった場合、その政治的リスクを無視する余裕はない。

極右勢力からの批判や「黄色いベスト」の抗議運動にさらされているマクロン政権は、既に米ゼネラル・エレクトリック(GE)(GE.N)による人員削減計画に伴う東部地域での雇用維持に苦戦を強いられているからだ。

2014年にアルストムのガスタービン事業を買収したGEは当時、フランス政府に雇用創出を保証していたが、その後需要減退のため約束の撤回を迫られ、人員削減を余儀なくされている。

マクロン政権は今年、アルストムが独シーメンスと鉄道事業を統合して中国勢に対抗できる欧州屈指の企業を誕生させるという計画が、欧州連合(EU)欧州委員会に却下されるという逆風にも見舞われている。欧州委は、やはりフランス政府が関与した同国の造船会社をイタリアの同業フィンカンティエリと合併させる計画も厳しく審査中だ。

企業に対する公的な介入が当たり前になっている国では、政府が何もせずに企業経営陣にディールを任せきりにしていると、どうして動かないのかと批判を浴びかねない。最近では、スイスのセメントメーカーのホルシムと仏同業ラファージュの合併などはフランス企業側が弱い立場で合意が成立したため、フランスの影響力を保持するために政府がもっと何かできたのではないかとの声が出ている。

しかしCNRSのコーエン氏は、政府主導のディールにおいて実際には不可能な政治的要求と経済合理性の両立が求められることで、結局は企業が中国勢などとの競争激化に対して脆弱な状態に置かれるままになってしまうと指摘した。

コーエン氏は「短期的な政治面の配慮を重視するほど産業上の戦略が打撃を受け、必要だが実現されない合併や買収が多くなり、 欧州の産業全体の力が弱まるだろう」と警鐘を鳴らしている。

(Leigh Thomas記者)

1983とはずがたり:2019/06/19(水) 23:43:16

ブランシャールが発言!!

消費増税は無期限延期を 元IMF幹部が異例の反対論
有料記事
https://www.asahi.com/articles/ASM6H0G94M6GUHBI059.html
ワシントン=青山直篤 2019年6月19日07時00分

 先進国が「長期停滞」に陥り、格差は縮まらず、賃金や物価も上がりにくい。金利を低く抑える金融緩和は限界で、政府がさらに財政出動すべきだ――そんな論調が勢いを増している。各国に財政再建を求めてきた国際通貨基金(IMF)でチーフエコノミストを務めた、オリビエ・ブランシャール氏もそうした論者の一人だ。かつて在籍したIMFとは大きく異なる論を唱える背景は何なのか。

 ブランシャール氏は朝日新聞の取材に応じ、安倍政権が10月に予定する消費増税に反対する姿勢を示した。「消費増税を実施すれば不況になるかもしれない一方、債務残高の国内総生産(GDP)に対する比率は大して改善しない。日本銀行の金融政策ももう使えない」と指摘。「日本経済が十分に強いと言えるなら、(増税で)歳入を増やしたり、歳出を削減したりできるだろうが、私は当面はその時期ではないと思う」との見方を示した上で、「私なら期限を定めず延期して、『引き上げられる時期が来たら直ちに引き上げる』と言うだろう」と述べた。

 長期停滞の要因でもある少子化…

残り:759文字/全文:1192文字

1984とはずがたり:2019/06/23(日) 23:12:46

近年のインフレ不可能経済は収穫逓増とか脱労働とかでモノの生産が柔軟に出来てしまうからだと思っている。

ロボットが普及する経済におけるインフレ動学
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2019/wp19e09.htm/
2019年6月21日
笛木琢治 *1
前橋昂平 *2

全文掲載は、英語のみとなっております。

全文 [PDF 1,518KB]
要旨
本稿では、近年、世界的に急速に進展しているロボットによる労働代替(ロボット化)が、インフレ動学に及ぼす影響に焦点をあて、実証・理論両面から分析を行った。まず、18か国のロボット装備率(=ロボット稼働台数÷雇用者)を含むパネルデータを用いた実証分析を行い、ロボット装備率が高くなるほど、需給ギャップに対するインフレ率の反応が小さくなることを示した。そのうえで、ロボットとして解釈可能な労働との代替性の高い資本の存在を考慮したマクロ経済モデルを用いて、同資本の生産性が上昇すると、資本による労働代替が進み、需給に対する企業のコスト変動が抑制され、価格の調整が緩慢になるメカニズムを明らかにした。

1985とはずがたり:2019/08/07(水) 20:24:31

高齢化なんだろうけど,一億総その日暮らし化もそれなりにありそうだ。。。

2019年08月06日17:00
日本の貯蓄率 韓国以下に激減 安倍さんもう底をついたよ
http://blog.livedoor.jp/googleyoutube/archives/51966061.html

①高齢化のためか?
退職者が増えれば貯金を取り崩し、貯蓄より消費が上回る人々が多くなるはずだ。だから、通常、高齢化は貯蓄率の低下を招くとされる。
日本の家計貯蓄率低下も第1に高齢化が要因としてあげられることが多い。ところが、日本と同様、高齢化が進んでいるドイツでは貯蓄率が必ずしも減っていないのだ。
また、まだ日本ほど高齢化が進んでいない韓国で貯蓄率が大きく低下している。
すると、日本の家計貯蓄率低下も高齢化だけのせいにしてよいのか疑いが生じる。

②社会保障に期待できるためか?
老後の備え(老齢年金)、あるいは失業、病気への備えに対して政府の財政支出が占める割合が多ければ、
個人は貯蓄する必要性が薄れるため貯蓄率は低くなるはずである。
確かに、福祉先進国のスウェーデンの貯蓄率は、以前はかなり低水準だった。

1986とはずがたり:2019/09/01(日) 22:37:55
今をときめく(!?)池戸氏が師事したとかいう宍戸氏。しらんかったがこんな人が居たのか。

宍戸駿太郎
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%8D%E6%88%B8%E9%A7%BF%E5%A4%AA%E9%83%8E

経歴
通商産業省に入省した後、1963年に経済企画庁総合計画局の計量分析担当官を経て、経済企画庁審議官となり、筑波大学副学長、国際大学学長を務めた。日本経済に関して、一貫して創造的な分析・提言を行い、2006年(平成18)年には国際レオンチェフ賞を受賞した。また、亡くなる直前まで国家ビジョン研究会のメンバーとして、日本経済の行方を多角的に分析を行ったり、講演会を行っている。

主張
消費税増税には反対しており[1]、増税することによりアベノミクスが腰折れし失敗する可能性を主張していた。従来、消費税とは付加価値税と命名されており、消費税を導入することによるデフレ効果は輸出を除く全産業に波及することになり、家計消費者が打撃を受けるだけでなく、財政支出、設備投資、住宅投資に波及する。また、これらを緩和するための政策として、政府は複雑な減税措置の実施に膨大な時間と費用が掛かるが、これら低所得者層や企業に対する対策に政府は追い回されることになる。EUなどの人口の少ない国では、GDP(国内総生産)に占める輸入品比率が大きく、デフレ効果が海外に漏出する割合が大きい。そのため、複雑な軽減措置に費用と時間をかけても、税収の確保は比較的可能であるが、日本のような経済大国では、GDPに対する輸入比率は約10%前後と小く、デフレ効果は国内で拡大し、総需要、生産、雇用の衰退が大きくなる。結果として国家収支は減収となる。本来、消費税は国家収支の増収を目的に実施されるものであり、GDPが5%以上成長している場合にはそれが見込めるが、経済が横倍やデフレ状態にある財政状態では逆に悪化する可能性が高いと考えていた。

小泉政権下での主張
政権以前の内閣府中期マクロモデルは、ニュー・ケインジアン型モデルと呼ばれる需要先行型モデルであり、これは日本が官学共同で開発したマクロモデルであり、国内外の評価も非常に高いものであった。しかしながら、小泉政権以後はIMF型の開発途上国型のマクロモデルに改悪してしまい、これらは高度市場経済の変動予測モデルに適しておらず、一次産品国(原料)ないし旧ソ連型供給先行モデルと同じであり、経済が高度化した先進国で、このようなマクロモデル使用にて短中期の予測を試みている国は皆無であり、マクロ経済政策を根底から誤り、重大な政策ミスであることを指摘していた。

1987とはずがたり:2019/09/01(日) 22:38:35

https://wezz-y.com/archives/65039
池戸万作

1983年東京都生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業、中央大学経済学研究科博士前期課程修了。公的機関での事務職や民間企業での経理職の傍ら、2010年より、日本経済復活の会に参加し、故・宍戸駿太郎(元筑波大学副学長、元国際大学学長)氏より、経済学の教えを受ける。その後、社会人大学院生として、平成日本のマクロ経済動向を研究する。現在は、同会の幹事、薔薇マークキャンペーンの経済政策アナリスト、国会議員の経済政策ブレーンなどを務める。趣味はカラオケ、国内旅行。

1988とはずがたり:2019/09/04(水) 21:02:43
「増税より消費意欲伸びていないこと心配」経済同友会代表幹事
2019年9月3日 16時26分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190903/amp/k10012061451000.html?__twitter_impression=true

経済同友会の櫻田代表幹事は3日の記者会見で「増税よりも消費意欲が伸びていないことが心配だ」と述べ、来月の消費税率の引き上げよりも、将来不安を背景とした消費意欲の弱さに懸念を示しました。
この中で櫻田代表幹事は「消費税率引き上げを前に駆け込み需要が起きていないというのは政府が対応してきたことも理由の一つで『山が低ければ谷が低い』というように、駆け込み需要の反動は少ないだろうと思っている」と述べました。

そのうえで、櫻田代表幹事は「より心配しなければならないのは、消費増税の問題以上に消費意欲が伸びていないことだ。先日、政府が公的年金について財政検証をしたが、将来への不安が消費者の財布のひもを締めていて、そこに大きな課題があると思う」と述べ、年金などの社会保障制度について消費者が不安を感じていることが消費が伸びない背景だという認識を示しました。

1989とはずがたり:2019/09/06(金) 09:29:29
財務省また“インチキ統計” 計算方法変更で設備投資「増」
公開日:2019/09/05 15:00 更新日:2019/09/05 16:38
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/261383

 コッソリと統計手法を変更して、「うまくいっている」ように見せるのは安倍政権の十八番だ。これまでも毎月勤労統計の賃金偽装やGDPカサ上げなどがあったが、新たに法人企業統計の「設備投資の伸び率」でもインチキが発覚した。従来方法ならマイナスになるはずが、プラスに転じていたのだ。消費増税前の突然の計算方法変更はあまりに不自然だ。

 ◇  ◇  ◇

 問題の統計は、財務省が2日に発表した今年4〜6月期の設備投資の推移(季節調整済み前期比)。製造業が4・3%減と振るわなかったものの、非製造業が4・7%増で、トータルでは1・5%増と辛うじてプラスに浮上している。

 ところが、注釈には〈設備投資はソフトウェアを含む〉と記してあるが、前期(1―3月)までは〈ソフトウェアを除く〉となっている。財務省に聞いた。

「季節調整で統計を均一化するためにはデータの蓄積が必要です。ソフトウエアを含む設備投資のデータは2001年から取っており、十分なデータが揃ったので、今回から変更しました」(財務総合政策研究所調査統計部の担当者)


 しかし、報道発表資料には今回から変更された旨の記載はなく、統計のプロか、設備投資オタクでない限り、気がつかない。せめて、従来手法での数値があればいいが、報道発表資料にはなく、虫眼鏡でしか読めないような元データをあたるとようやく見つかった。その数値を見て驚いた。

 ソフトウエアを除く従来手法だと、非製造業の設備投資は0・1%増にとどまり、トータルでは1・6%減とマイナスだったのだ。

 10月の消費増税の1カ月前に公表される経済統計には、誰もが敏感になっている。マイナスが露呈すれば、増税のブレーキになりかねない。財務省は、わざとこのタイミングで統計手法を変更し、マイナスを隠したのではないか――。この点を問うと、「そのような意図は全くありません。報道発表資料の記載項目含め、公表方法は次回から改善できるか検討したい」(前出の担当者)と回答した。次回7〜9月期の発表は消費増税後。それなら“正直ベース”でもいいということか。

 経済評論家の斎藤満氏が言う。


「2001年からデータを蓄積しているのであれば、昨年や一昨年でも統計方法を変更できたはず。また、誤解を招かないために、消費増税後に変更することもできたはずです。変更したことの説明も不十分で、悪い数字を出したくないから、このタイミングでコッソリ変更したとみられても仕方がありません。統計を小細工して、数字をよく見せようとする安倍政権の体質は一向に変わっていないということです」

 毎勤統計では、安倍首相が掲げた3%賃上げの「2018年官製春闘」に向けて、厚労省は密かに「補正処理」を行い、賃金額をカサ上げした。15年に安倍が「GDP600兆円」を打ち出すと、内閣府は「その他」項目を使い、上振れするよう計算方法を変更している。

 安倍政権が倒れない限り、統計のインチキは連綿と続く。

1990とはずがたり:2019/09/14(土) 11:35:50
会社は大きくても「中小企業」 資本金の形骸化
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO88412190T20C15A6000000/
第31回 資本金
2015/6/24

マネー達人の公認会計士・税理士の山田真哉さんに旬のマネートピックについて聞くコラム。今回のテーマは「資本金」です。いまの税法では、資本金が1億円以下の企業は売上高や利益が大きくても中小企業に分類され、多くの税制優遇が認められています。そもそも資本金とはなんなのか、山田さんに聞いてみました。

■法律や制度によって異なる定義

――政府は税制優遇の対象となる中小企業の基準を見直す検討に入るようです。資本金と聞いて記憶に新しいのは、経営再建中のシャープが一時、資本金を1億円に減資することを検討したというニュースですね。

「中小企業の定義は法律や制度によって異なります。例えば中小企業基本法では、製造業なら『資本金3億円以下または従業員数300人以下』、小売業なら『資本金5000万円以下または従業員数50人以下』を中小企業と定義しています。しかし、法人税法では業種を問わず、原則、資本金1億円以下を中小企業、1億円超を大企業に分類しています。そして中小企業は税制優遇が受けられるようにしているのです」

――どのような税制優遇があるのでしょうか。


「まず、法人税の軽減税率が適用されます。大企業の法人税率は所得にかかわらず23.9%です。一方、資本金1億円以下の中小企業は、所得が年800万円以下の部分は19%、さらに租税特別措置法で2016年度末までは15%に軽減されています。法人住民税、法人事業税などの税率も低くなるため、中小企業と大企業では実効税率が違ってきます。資本金1億円以下なら外形標準課税も対象外です。もっとも、外形標準課税は計算も面倒なので中小企業には荷が重いという理由もあります」

■あの大企業も「中小」

――本来は中小企業を育成するために設けた優遇措置だと思いますが、実は、誰もが知っている著名な大企業でも資本金1億円以下の企業が結構、あるようです(「大きな『中小』企業、それぞれの主張」参照)。

「何千億円もの売上高がありながら、減資をして資本金1億円以下になり、税法上の中小企業になっている会社も何社か知っています。すでに大きな会社で、多額の融資を受けたり、新規取引先を開拓したりする必要が少ない企業ですと、資本金を大きくするよりも、小さくして税制優遇を受けた方がはるかにメリットは大きいんです」

――株式上場を目指さない企業が資本金を大きくするメリットはないんですか?

「名よりも実をとるなら、メリットはあまりないといっていいでしょうね。僕の会社も数年前に、出資してくれる方がいたので資本金が1000万円を超えたんですが、法人住民税の均等割が7万円から18万円にいきなり上がってしまいました」

「自分も中小企業を経営していて思うのですが、中小企業は信用力が低くて不利ですので、元気な会社を増やすためにも税制優遇は必要です。しかし、資本金を基準に税制上の中小企業を決めるのではなく、売上高や利益など、別の基準を設けるほうが実態に合うと思います」

――では、そもそも資本金ってなんでしょう。

「資本主義の大元。企業の元手です。かつては最低資本金制度があって株式会社は1000万円、有限会社は300万円の元手が必要でしたが、撤廃されました。背景には製造業中心の産業構造からサービス業への変化もあります。製造業は工場を造ったり機械を導入したり、最初にかなり元手が必要ですが、ネット関連ビジネスに代表されるように、それほど大きな資金がなくても事業を興せるようになりました。最近では金融機関や取引先なども、企業の信用判断をする際に資本金が大きいか小さいかということはあまり気にしなくなりました」

1991とはずがたり:2019/09/14(土) 11:36:01
>>1990
「もちろん、資本金1円でも会社がつくれるとはいえ、20万円とか50万円とかあまりに資本金が小さすぎると、本気で商売する気はあるんですか? という感じがします。だけど、999万円か1001万円かとなると桁数の差だけですからね。僕のお客さんでもあえて資本金を999万円とか888万円にしている方もいらっしゃいます。資本金が1000万円未満ですと、消費税の優遇措置が受けられる可能性がありますので」

■異例の大幅減資

――23日に株主総会で承認されたシャープの中期経営計画によると、総額2250億円の資本増強をして、資本金は大幅に減額するということです。上場企業の大幅減資はかなり異例の事態ですね。

「図をみてください。バランスシートを簡略化したものです。お金の入り口には大きく分けて『負債』と『純資産』の2つがあります。負債はいずれ返さなくてはいけないお金なので『他人資本』、純資産はもらったもので返さなくていいので『自己資本』という呼び方もします。シャープの場合、減資のほかに銀行に対する2000億円の債務を株式に振り替える計画もありますから、他人資本が減って自己資本が増えることになります」

――自己資本の中に資本金も含まれているわけですね。

「そうです。純資産と資本金はめったに同じ額にはなりません。例えば5000万円の出資金が集まったとして、それをすべて資本金にする必要はないんです。5000万円の中の2500万円を資本金にして、それ以外のお金を資本準備金に回すことができます。純資産のうち、半分ぐらいを資本金が占めている企業もあれば、資本金の割合はごくわずかという企業もあります」

――シャープの場合、資本金を減らして利益剰余金の欠損を補填するということです。

「資本金は法律上、なかなか自由には動かせません。資本金を減らすことで、それだけ自由に使えるお金が増えることになります。配当金も出しやすくなります。そうなると、なおさら資本金は必要ないということになります」

■バランスシートで家計をチェック

――個人の家計にもバランスシートの考え方を取り入れると健全性がわかりますね。

「個人だと家や車や家財が資産、住宅ローンが負債ということになるでしょうか。純資産は目に見えないというか、つまりは資産と負債の差額ですからね。もし家を購入してから資産価値が大きく下がり、住宅ローン残高が多額に残っているというのなら、いくら預貯金があっても債務超過になっている可能性があります。昔から欧米ではバランスシートをつけた上で、いくらまで借金できるのかを考えるそうですよ」

――日本とはずいぶん違いますね。

「日本では毎月の返済率が25%以下なら大丈夫とか、年収の5倍までなら借りられるとかずいぶんおおざっぱですよね。純資産を増やしていく家計になることを目標にしたいですね」

(聞き手は電子編集部 手塚愛実)

小売業、「中小企業化」相次ぐ ポイント還元対象が狙い?
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190815-00000110-kyodonews-bus_all
8/15(木) 17:57配信共同通信

 スーパーなどの小売業で資本金を5千万円以下に減らし、法律上「中小企業」になる動きが広がっていることが15日、分かった。帝国データバンクによると、今年1〜7月に減資したのは412社に達し、前年同期の252社から6割以上増えた。この全てが中小に「格下げ」したわけではないが、10月の消費税増税に伴うポイント還元事業の実施店が中小企業に限られており、対象に滑り込む狙いがあるようだ。

 減資は地場の中堅企業に目立つという。一般的に信用力と関わる資本金の減額は、好ましい経営戦略とは言いにくい。政府の景気対策で販売合戦の激化が見込まれることが、こうした事情を生んでいる。

1992とはずがたり:2019/09/28(土) 16:46:19
ラーナーの独占度で有名な(というかそれでしか知らない)ラーナーが機能的財政なんてのを提唱したことを知った。
財政学では出てきたんだろうけどすっかり忘れてた。

ブリタニカhttps://kotobank.jp/word/%E6%A9%9F%E8%83%BD%E7%9A%84%E8%B2%A1%E6%94%BF-51325に寄ると再分配機能や財政の健全性と云った側面を無視し経済の安定性のみに焦点を宛てたもので不十分という評価だそうな。

そこを(少なくとも日本の劣化コピー版の)MMTは資産=借金で大丈夫という構図で何やっても大丈夫といってるんだな。

インフレ昂進が確実視されてるときに大損覚悟で国債買う阿呆がどこにいるのかってとこが全然解決してへんぞ。

08/01/2019 / 最終更新日 : 09/27/2019 komodon-z
MMTの懐疑的入門(番外編)入門への入門
https://komodon-z.net/2019/08/01/mmt0/

1993とはずがたり:2019/10/04(金) 15:08:32

「中小企業の改革」を進めないと国が滅びるワケ
アトキンソン「中国の属国になるシナリオも」
https://toyokeizai.net/articles/-/302864
デービッド・アトキンソン : 小西美術工藝社社長
2019/09/20 5:10

オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏。
退職後も日本経済の研究を続け、日本を救う数々の提言を行ってきた彼が、ついにたどり着いた日本の生存戦略をまとめた『日本人の勝算』が刊行されて8カ月。生産性を高める具体的な方法を示した新著『国運の分岐点?中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか』(講談社+α新書)が刊行された。…

「日本が中国の属国になる」シナリオのリアリティー

日本の人口動態を細かく分析していけば、生産性を高めるしかもはや道がなく、国も民間も真っ先に取り組まなくてはいけない最優先課題であるということは、これまで東洋経済オンラインの連載や著書、講演などでも繰り返し申し上げてきた通りです。

この生産性向上を、過去に頓挫したさまざまな改革と同じく、「ほかにも方法があるはずだ」「生産性を急に上げることが現実的に難しい」「最低賃金を1000円に上げたら、企業の倒産は続出するぞ」などと先延ばしにすれば、日本社会に致命的なダメージをもたらし、後世に大きな負の遺産をもたらすのは間違いありません。そこで、今すぐに手をつけなくては手遅れになるという警告も含めて「国運の分岐点」としました。

では、具体的に生産性を上げるにはどうすればいいか。わかりやすく言えば、「中小企業改革」です。今の日本の産業構造では、生産性向上はほぼ無理です。タブーとされてきた中小企業部門にメスを入れないと、どんなに技術とイノベーションで人口減少に対応ができると言っても、生産性は改善しません。

その詳細については、この記事の後半で説明しますが、この中小企業改革は中小企業経営者からすれば、簡単に受け入れられるものではありません。現状にそれなりに満足をしている中小企業経営者からすれば、わが身を破滅に追い込むようなものであって、猛烈な反対が予想されます。

しかし、先ほども申し上げたように、これを先延ばしにすればするほど、未来の日本の傷口が広く、深いものになってしまいます。これまでのように360万社ある中小企業を手厚く保護して、彼ら全員に元気になってもらおうという従来の優遇・猶予政策では、残念ながら日本全体は沈んでいくのです。

そこで、ぜひとも日本の皆さんに、なぜ「中小企業改革」に取り組まないといけないのかを真剣に考えていただくため、もしこれに取り組まないとどのような最悪の未来が待っているのかということを考察した結果が、「中国の属国」なのです。

もちろん、これは中国が日本に攻め入ってきて、支配されたり、主権を奪われたりという話ではありません。改革をしないままで人口減少して、国力がすっかりと落ちてしまった日本に、さまざまな形で中国経済が関与をしてくるという「経済的属国」です。…

中小企業改革=中小企業の統廃合

さて、タイトルの真意をご理解していただいたところで、今回は「中小企業改革」についてお話をしていきましょう。

そのように聞くと、ほとんどの人が、日本のものづくりなどを支えている中小企業の強みをどうやって生かすのかという改善策、日本の中小企業がこれまで以上に元気になるためにはどうするか、というような方向性の話を想像することでしょう。しかし私が申し上げているのはそういう類の改革ではありません。

人口減少という未曾有の危機に直面した日本が、この窮地を抜け出すためには、およそ360万社ある中小企業をどうすればいいのか。これまでよしとされてきた中小企業を中心とした産業構造がはたして今の日本に適しているのか。つまり、中小企業そのものを根底から変えるという「中小企業改革」なのです。

●簡単に言えば、中小企業改革とは、今の360万社弱ある中小企業を、200万社弱に統廃合することです。

このような方向性の改革は、なぜか日本ではほとんど語られてきませんでした。「聖域」なのではないかと心配してしまうほど、中小企業そのものに苦言を呈する論調はないのです。

事実、ネットで検索をしてみても、中小企業の働き改革や、中小企業の経営改革の記事は山ほどありますが、中小企業そのものを改革すべきというような記事はほとんど見当たらないのです。

1994とはずがたり:2019/10/04(金) 15:09:03
>>1993
ただ、厳しいことを言わせていただくと、今の中小企業をすべて生かして、経営を改善する程度や、働き方を変える程度という、表面的な改革の議論をしているうちは、これから日本にやってくる危機を乗り切ることはできません。「中小企業改革」をすることなく、日本の明るい未来はやってこないのです。

その中小企業改革の神髄は、中小企業の規模を大きくして、大企業と中堅企業を増やすことです。人口が減るので、それは結果として中小企業の数が減ることを意味します。

なぜ中小企業の数を減らさなければならないか

まず、企業の規模が大きくなればなるほど生産性が上がる、という経済の大原則があります。これは日本も例外ではなく、業種別・都道府県別の平均企業規模と、生産性は見事なほど一致しているのです。だから、生産性向上は企業の規模が拡大することを意味します。

企業規模が大きくなれば分業ができますので、社員の専門性が上がって、一人ひとりが自分のスキルを最大限に発揮できるようになります。小さな企業よりも利益が集約されて、絶対額が大きくなりますので研究開発や人材開発などにも力を入れることができます。そして、中堅・大企業は体力があるので、生産性に大きく影響を及ぼす輸出をすることができます。

日本の中小企業の中には大企業に負けない技術力を持っているとか、大企業の中にも生産性の悪い会社だってあるとか反論をする方もいらっしゃるかもしれませんが、それはあくまで個々の特殊ケースであって、国の経済全体を考えれば、カギが企業規模にあるのは疑いようのない事実なのです。

中小企業だって頑張っている、技術レベルの高い労働者が犠牲となると言われますが、根拠がありません。合併をすれば、その労働者はより安定的な職場でより豊富な経営資源を活用して、中小企業で発揮できなかった自分の技術を最大限まで発揮できます。要するに、中小企業で働いていることによってスキルが高くなったという事実もなければ、中小企業で働かないといけないという事実もないのです。

また、規模が大きくなれば社員の働き方にも余裕ができるので、有給休暇の取得率が上がります。当然、産休や育休の取得もハードルも下がりますので、女性活躍を促すことができます。

要するに、政府が進める「働き方改革」というのは、企業の規模を大きくすることによって初めて可能となるものであって、それがなくしては、女性活躍や有給休暇に関する、どんなに厳しい規制をしても、どんなにPRをしてもそれほど効果はないということなのです。

最後の3は、世界一の技術大国だ、ものづくり大国だと言いながらも、なぜ日本からアップルやグーグルなど、ベンチャーから世界的大企業へ成長する会社が現れないのか、ということが大事な視点です。

ベンチャー企業というのは、人口が増えている国で多く誕生します。世界的に見れば、新しい企業というのは、起業する時点の技術などをベースにしているので、その国の平均生産性よりも高い生産性を最初から実現していることが多いです。つまり、人口が増えれば増えるほど、産業構造の中で、生産性の高い企業の割合がどんどん増えて、生産性の低い企業による悪影響が希薄化されるのです。

かつての日本のように人口が右肩上がりで増加している国というのは、国が上手な中小企業支援策を実施すれば、ソニーやホンダのようにベンチャーから成長を遂げた大企業が増えて、国全体の生産性も向上していくのです。

しかし、残念ながらこれからの日本ではそのような好循環は期待できません。人口が減るので、新しい企業も減ります。生産性の低い企業による悪影響は、希薄化されるどころか顕在化していくのです。

以上の3つの理由を突きつめれば、結局のところ、問題は日本に非常に小さな規模の企業、つまり中小企業が他の先進国よりもあまりに多すぎるということに集約します。日本経済を客観的に俯瞰すれば、中小企業が多いことで、産業構造が非効率となるなどさまざまな弊害をもたらしているのは明らかです。

「中小企業神話」を打ち破れ

ただ、中小企業改革に強固に反対するような人々は、日本が高度成長してから、世界第2位の経済大国にまで発展したことと、同時発生的に小さな規模の会社が増えたことをあたかも因果関係があるように、混同しているだけです。それが日本の中小企業神話の根源です。

実はもともと日本は中小企業が多かったわけではありません。それがいつかをたどっていくと、日本の人口が右肩上がりで増えていた1964年というタイミングを境にして、中小企業の数が爆発的に増えているのです。

ここから日本は世界でも有数の「中小企業大国」となって、産業構造がどんどん非効率になって、現在のような先進国でダントツに生産性の低い国となる道を歩み始めるのです。人口増加時代の下、その問題は表面化しなかっただけで、今となって、人口減少によって表面化しています。

1995とはずがたり:2019/10/04(金) 15:10:19
保護や財政支出減らす
・稲作農家・過疎地・中心市街地(商店街)・土建屋・中小企業=New!!

保護や財政支出増やす
・保育所・労働基準監督署・児童相談所・交叉点改良・

この法律が日本を「生産性が低すぎる国」にした
アトキンソン「中小企業基本法が諸悪の根源」
https://toyokeizai.net/articles/-/305116
デービッド・アトキンソン : 小西美術工藝社社長
2019/10/03 5:30



前回の記事>>1993-1994に対するコメントの中に、よくある誤解に基づいたものがありました。極めて重要なポイントですので、ご紹介したいと思います。

「町のラーメン屋が多すぎるといって10軒を1軒にまとめたところで中国には勝てません」

私の主張はまったく違います。今は10軒のラーメン店の裏に10社の企業があるので、10軒のラーメン店をそのままにして、それを所有している企業を2、3社にまとめようということです。

日本の生産性が低いのは「働き方」の問題ではない

さて、日本の生産性が一向に上がらず、デフレからも脱却できないという厳しい現実に対して、これは日本人に働き方に問題があるからだと主張する方たちが多くいらっしゃいます。

日本人はすばらしい能力をもっているのに、働き方が悪いのでその実力が引き出されていない。だから働き方を変えれば景気もよくなっていく、というのが彼らの主張です。

しかし、経済分析の世界では、これは「願望」というか、まったくの見当外れな分析だと言わざるをえません。これだけ大きな国の経済が「働き方」程度の問題によって、20年も停滞することなどありえないからです。

では、何が日本の生産性を低くさせているのでしょうか。これまで30年にわたって、日本経済を分析してきた私がたどり着いた結論は、「非効率な産業構造」です。高度経済成長期から引きずっている時代錯誤な産業政策、非効率なシステム、科学的ではない考え方などが日本の生産性を著しく低下させているのです。

ただ、日本国内ではこのような意見を掲げる人はほとんどいらっしゃいません。政治家、エコノミスト、財界のリーダーたちの大多数は経済低迷の要因を、「産業構造」に結びつけず、ひたすら「労働者」へと押し付けています。

このあまりに”残念な勘違い”を象徴しているのが、「働き方改革」です。

残業を減らし、有給休暇を増やす。女性にも高齢者にも、働きやすい環境を作る。そうすれば、労働者のモチベーションが上がって、これまで以上によく働く。その結果、会社の業績も上がるので景気がよくなる。

驚くほど楽観的というか、ご都合主義な考え方です。繰り返しますが、この程度の施策で巨大国家の経済が上向くのなら、日本はとうの昔にデフレから脱却しています。20年も経済成長が滞っているという事実こそが、労働者個人の頑張りでどうにかなる問題ではないことを雄弁に物語っているのです。

日本に欠けているのは「徹底した要因分析」だ

そこで次に疑問として浮かぶのは、なぜこうなってしまうのかということでしょう。なぜ表面的な経済議論しか行われないのか。なぜ国の舵取りをするリーダーや専門家から、泥縄的な解決策しか出てこないのか。

1つには、日本では「徹底的な要因分析」をしないという事情があります。この30年、多くの日本人と議論を交わして気づいたのは…原因の説明は表面的な事実をなぞるだけで、「なんとなくこういう結論になるだろう」と直感的な分析をしているのです。

どういうことかわかっていただくため、多くの識者が唱える「女性活躍で生産性向上」という主張を例に出しましょう。

生産性の高い先進国では女性活躍が進んでいるという事実があります。一方、生産性の低い日本では、女性活躍が諸外国と比較して際立って進んでいないという、これまた動かしがたい事実があります。この2つの事実をもって、専門家たちは、日本も諸外国並に女性に活躍してもらえば、諸外国並に生産性が向上するに違いない、と主張しているのです。

確かにそういう理屈も成り立つかもしれませんが、実はここには大きな落とし穴があります。「日本の女性活躍が諸外国と比較して際立って進んでいない」ということの要因を分析できておらず、「日本は伝統的に女性が蔑視されている」「働きたくても保育所が不足している」という、なんとも大雑把な話しか語られていないのです。

1996とはずがたり:2019/10/04(金) 15:11:16

このあたりの要因分析を徹底的に行えば、「保育所さえあれば女性が活躍できる」という極論がいかに表面的な分析に基づく主張かということは明白です。

海外の要因分析では、女性が活躍できていない国は、労働人口の中で、規模が小さくて経済合理性の低い企業で働く労働者の比率が高いという傾向があることがわかっています。

これは冷静に考えれば当たり前の話です。●小さな企業は産休や育休、時短などの環境整備が難しいので、どうしても女性が働き続けることのハードルが高くなるのです。これが一次的な問題です。女性を蔑視する価値観や保育所の数などは、あくまで二次的な問題にすぎません。

…このような要因分析をロクにしないまま「女性活躍」を叫んで、働くように女性の背中を押しても、生産性向上につながるわけがありません。

これは同じく生産性向上が期待されている「有給休暇」についてもまったく同様です。

生産性が高い国では、有給休暇取得率が高い傾向があります。そして、日本は有給休暇取得率が低いということで、これを高めていけば、生産性も上がっていくだろうというわけです。しかしこれを本気で進めるのならば、そもそもなぜ日本の有給休暇取得率が低いのか徹底的に要因分析をしなくてはいけません。

日本では、「日本人の真面目な国民性が関係している」「日本は集団主義で職場に休みにくい雰囲気がある」と、これまた直感的な理由しか出てこないでしょうが、●海外では「有給取得率は企業規模と関係する」という要因分析がなされています。大企業になればなるほど有給取得率が上がり、小さな会社になればなるほど下がることがわかっているのです。この傾向は万国共通で、日本も例外なく当てはまります。

つまり、●アメリカの有給取得率が高いのはアメリカ人の国民性ではなく、単にアメリカの労働者の約50%が大企業で働いているから。日本の有給取得率が低いのも日本人の国民性ではなく、単に日本の労働者の中で大企業に勤めている人が約13%しかいないからなのです。

長く分析の世界にいた私からすれば、国民性うんぬん、労働文化うんぬんというのは、科学的な分析から目を背けて、自分たちの都合のいい結論へと誘導していく、卑劣な論法だと言わざるをえません。

日本の低迷の主因は伸びない中小企業

さて、このように日本の専門家があまりしてこなかった「要因分析」というものを、日本経済を低迷させている諸問題に対して行っていくと、驚くべきことがわかります。

実は日本経済の低迷も、女性活躍や有給取得率でもそうだったように、最後は必ず「小さな企業が多すぎる」という問題に突き当たるのです。低賃金、少子化、財政破綻、年金不足、最先端技術の普及の低さ、輸出小国、格差問題、貧困問題……さまざまな問題の諸悪の根源を容赦なくたどっていくと、「非効率な産業構造」という結論にいたるのです。

それはつまり、日本が他の先進国と比べて、経済効率の低い小さな企業で働く人の比率が圧倒的に多く、そのような小さな企業が国からも優遇されるということです。実は日本は、生産性の低い「中小企業天国」と呼べるような産業構造になっているのです。

このような話をすると、「小さな企業が多いのは日本の伝統で、普遍的な文化だ」とこれまた漠然とした主張をする人たちが多くいらっしゃいますが、実はこれも表面的な分析に基づく”残念な勘違い”なのです。

歴史を振り返れば、小さい企業が多いのは日本の普遍的な文化だと言えるような客観的事実はどこにも見当たりません。むしろ、ある時期を境にして、現在のような「他の先進国と比べて小さな企業で働く人の割合が多すぎる」という産業構造が出来上がっていったことがよくわかります。

では、その時期はいつかというと、「1964年」です。

この年、日本はOECD(経済協力開発機構)に加入しましたが、その条件として突きつけられたのが、かねてより要求されていた「資本の自由化」でした。当時の日本では、資本が自由化されれば外資に乗っ取られるかもしれないという脅威論が唱えられ、護送船団方式など「小さな企業」を守るシステムが続々と整備されました。つまり、1964年というのは、日本を「低生産性・低所得の国」にした「非効率な産業構造」が産声を上げたタイミングなのです。

日本を「生産性の低い国」にした中小企業基本法

そして、この「1964年体制」を法律面から支えたのが、前年に制定された中小企業基本法です。

同法は当時、「中小企業救済法」とも言われたほど、小さい企業に手厚い優遇策を示したものです。同時にその対象となる企業を絞り込むため、製造業は300人未満、小売業は50人未満とはじめて「中小企業」を定義しました。

しかし、これが逆効果となってしまいます。優遇措置を目当てに、50人未満の企業が爆発的に増えてしまったのです。

1997とはずがたり:2019/10/04(金) 15:12:47
>>1995-1997
中には、企業規模を拡大できるにもかかわらず、優遇措置を受け続けたいということで、50人未満のラインを意図的に超えない中小企業まで現れてしまったのです。非効率な企業が爆発的に増え、なおかつ成長しないインセンティブまで与えてしまいました。

中小企業を応援して日本経済を元気にしようという精神からつくられた法律が、優遇に甘えられる「中小企業の壁」を築き、「他の先進国と比べて小さな企業で働く労働者の比率が多い」という非効率な産業構造を生み出してしまったという、なんとも皮肉な話なのです。

それでも1980年代までは人口が増加し続けたため、経済も成長を続けました。しかし1990年代に入り、人口増加が止まると、この生産性の低い非効率な産業構造の問題が一気に表面化してきました。

ちなみに、●日本の生産性を議論する際に必ず出てくるのが、日本では製造業の生産性が高く、サービス業の生産性が低いという事実です。この現状を説明するためによく言われるのが「日本人はものづくりに向いている」「サービス産業の生産性が低いのは『おもてなし』の精神があるからだ」という”神話”のような話ですが、実はこれも非効率な産業構造ですべて説明ができます。これもまた、単に中小企業基本法の影響なのです。

この法律で、中小企業が製造業では300人未満、その他は50人未満と定義されて以降、日本ではこれに沿うような形で企業数が増えていきました。その影響もあって、製造業はどうしても他の業種よりも規模が大きくなりました。

規模が大きければ生産性が高くなるというのは、先ほども申し上げた経済学の鉄則のとおりです。一方、日本のサービス業は圧倒的に規模の小さな事業者が多く乱立しているという事実があるので、当然、生産性は顕著に低くなるというわけです。

「守りに特化」した経営は暴走していく

「1964年」と聞くと、ほとんどの日本人は東京オリンピックを連想すると思います。しかし…オリンピックの前年からすでに景気は減退していました。急速なインフラ投資の反動で、オリンピック後の倒産企業数は3倍にも急増しています。1964年からの「証券不況」も事態をさらに悪化させて、被害拡大防止のために日銀は公定歩合を1%以上下げました。しかしこれも焼け石に水で、1965年5月には山一證券への日銀特融を決定し、同年7月には、戦後初となる赤字国債の発行も行いました。

この不況が、「資本の自由化」が引き起こす「外資脅威論」にさらに拍車をかけます。「乗っ取り」や「植民地化」という言葉にヒステリックに反応するうち、やがて財閥系や大手銀行系が手を取り合い、買収防止策として企業同士の持ち合いも含めた安定株式比率を高めていきます。1973年度末の法人持株比率はなんと66.9%にも達しました。

この「守り」に特化した閉鎖的な経済活動が、護送船団方式や、仲間内で根回しして経営に文句を言わせない「しゃんしゃん株主総会」などを定着させて、日本企業のガバナンスを著しく低下させていったことに、異論を挟む方はいらっしゃらないのではないでしょうか。

このようにとにかく「会社を守る」ことが何をおいても優先されるようになると、経営者に必要なのは調整能力だけになっていきます。数字やサイエンスに基づく合理的な判断をしないので、他人の意見に耳を貸さず、とにかく「直感」で会社を経営するようになっていくのです。その暴走がバブルにつながります。

そんな「暴走経営」がこの20年、日本経済に与えたダメージは計り知れません。

ものづくりメーカーは、社会のニーズや消費者の声よりも、企業側の「技術」や「品質」という直感が正しいと考える「product out」にとらわれ衰退しました。そしてバブル崩壊後も、データに基づいた客観的な分析をせず、直感に基づく表面的な分析をして抜本的な改革ができなかった結果が、この「失われた20年」なのです。

このように日本経済の衰退を要因分析していくと、「1964年体制」に原因があることは明白です。つまり、「1964年は東京オリンピックで日本の飛躍が始まった年」というのは残念ながら間違いで、実は経済の衰退をスタートさせてしまった「国運の分岐点」なのです。

「1964年体制」がつくった産業構造を元に戻すことは容易なことではありません。その動かぬ証が、1990年代から実行されたさまざまな日本の改革がことごとく失敗してきたという事実です。その結果、国の借金は1200兆円にまで膨らみました。

人口減少などさまざまな「危機」が迫る日本には、もはや悠長なことを言っている時間はありません。日本経済を立て直すためにも、古い常識や”神話”を捨てて、数字と事実に基づく要因分析を、すべての国民が受け入れる時期にさしかかっているのです。

1998とはずがたり:2019/10/09(水) 12:35:50
中小企業>>1993-1997に続いててこれは酷い。。

加谷珪一
経済ニュースの文脈を読む
日本が成長できない本当の理由 企業は設備投資をドブに捨てているようなもの
https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2019/10/post-81.php
2019年10月08日(火)14時30分

<平均名目成長率を寄与度で分解したグラフからは興味深い事実が読み取れる。アメリカとドイツは経済構造と成長の実態が合っており、つまりこれは両国の設備投資は有効だということ。その一方で日本は......>

前回の記事では、壮大な経済政策を打ち出さなくても、個別の問題について適切に対処するだけで、日本経済は十分に成長できると述べた。個別に対処すべき課題の中でも特に影響が大きいのが企業の設備投資である。日本企業の設備投資は、極めて効率が悪く、これが全体の成長に深刻な影響を及ぼしている。設備投資の内容を精査するだけで、日本経済の状況は一変するはずだ。

日本設備投資は深刻な問題を抱えている
経済成長において企業の設備投資が果たす役割は大きい。定義上、工場や店舗などに対する設備投資はGDP(国内総生産)にカウントされるので、設備投資が増えれば、その分だけ国民の所得も増え、経済成長に貢献する。だが個人消費とは異なり、設備投資の役割はその年のGDPを増やすことだけではない。

工場や店舗といった設備は、5年、10年先の収益を生み出す事業基盤であり、設備投資が多ければ多いほど、将来のGDPも増えるというメカニズムが働く。エコノミストらが設備投資の動向に注意を払っているのはこうした理由からだ。

だが、設備投資の増加で経済が成長するというメカニズムが働くためには一定の条件が必要となる。それは、時代に合った適切な設備投資が実施されることである。いくら設備投資が成長の原動力になるといっても、役に立たない設備にばかり投資していたのでは、それは消費(浪費)と同じであり、それに見合う成果が得られないのは当然である。

設備投資を原動力に経済を成長させるためには、将来、生み出す収益が大きい設備に資金を投じ、投資効率を上げる必要がある。だが困ったことに、日本の場合、設備投資の中身に深刻な問題を抱えている。

zu001寄与度.jpg

図は日米独の過去7年間における平均名目成長率(自国通貨ベース)を寄与度で分解したものである。これを見れば、リーマンショック以降、各国が何を原動力に経済を成長させてきたのかが分かるのだが、グラフは興味深い事実を示している。

米国は経済成長に対する個人消費の寄与度が高く、ドイツは個人消費の割合が低い代わりに輸出と設備投資の比率が高い。米国のGDPは個人消費が7割を占めているので、個人消費の伸びで経済を成長させるという図式と整合性が取れている。ドイツは個人消費の比率が低く、製造業の輸出や設備投資が経済のエンジンとなっている国なので、経済構造と成長の実態が合っている。

投資をしても、それが成長につながっていない
ところが日本は両国とは全く様子が異なる。日本の成長率がそもそも低いという話はとりあえず横においておくが、個人消費の寄与度が低く、成長の多くを設備投資そのもので実現していることが分かる。もし設備投資が輸出産業によるものであれば、その分だけ輸出が増えることで、成長を実現しなければならないが、日本の成長における純輸出の寄与度はほぼゼロ(実際はごくわずかなマイナス)である。逆に店舗や物流施設など内需向けの投資であれば、個人消費が伸びる必要があるが、グラフからも分かるように日本の個人消費は壊滅的な状況だ。

1999とはずがたり:2019/10/09(水) 12:36:16
>>1998-1999
日本は設備投資を積極果敢に行っているものの、その年の所得にしかなっておらず、将来の収益につながっていない。つまり日本の設備投資は有効に活用されていないのだ。これはマクロ的なデータなので、個別企業の様子を示したものではないが、具体的なケースは容易に想像できる。最初に頭に浮かぶのはシャープのような事例だろう。

シャープはもともと、家電を得意とする消費者向けの電機メーカーだったが、本格的に液晶デバイス事業への転換を図り、液晶関連の生産ラインを大幅に拡大した。ところが、液晶の価格破壊が一気に進んだことから、同社は巨額の設備投資負担に耐えられなくなり、巨額赤字を連続して計上。2015年3月期には累積の損失が1兆円近くに達し、経営危機に陥った。

液晶がもはやコモディティ(汎用品)となっており、一気に価格破壊が進むことは業界の誰もが認識していたはずだが、なぜかシャープは設備投資に邁進し、大方の予想通り、液晶事業は巨額の損失をもたらした。

シャープが行った数兆円の設備投資は、投資したその年に限っては、購入した資材や支払った人件費などを通じて経済に貢献したかもしれないが、十分な収益を生み出していないため、その後の経済成長にほとんど寄与していない。シャープの例は極端にしても、こうしたムダな設備投資があちこちで行われているのだとすると、設備投資全体の効率は大きく低下する。日本はまさにこうした状況にあり、これが低成長の原因となっているのだ。

有能な経営者をトップに据えるしか解決方法はない
安倍政権は、日本企業が設備投資に対して消極的であることが成長を阻害しているとして、企業の内部留保を問題視。これを取り崩して設備投資を増やすよう何度も経済界に要請してきた。これに加えてGDPの計算方法を変更し、中間生産としてGDPにカウントしていなかった研究開発費をGDPに参入するなど、設備投資を重視する姿勢を鮮明にした。

これまで計上していなかった費用を設備投資に算入すればその分だけ名目上のGDPは増えるのは当たり前だが、すでに投資して効果が得られなかった費目を設備投資にカウントし直したところで、個人消費や輸出が増えるわけではない。設備投資の金額が大きくなった分、個人消費や輸出の割合が低下し、投資効率という点ではむしろ悪化するという皮肉な結果となっている。

状況を整理すると、日本の設備投資は深刻な問題を抱えており、これが全体の成長を阻害しているのだが、根本的な問題は「額」ではなく「質」にある。そうだとすると、内部留保課税や設備投資減税といった施策を実施して投資総額を増やしても、ムダな投資が増えるだけで、長期的な成長には寄与しない。

経済学の世界では常識的な話だが、どの設備投資に効果があるのか、政府が事前に予見することは不可能である(これが実現可能なのかという学術的な議論はかなり以前から存在しているが、予見は不可能という形で決着している)。そもそも、国会議員や公務員にそのような資質があるならば、彼等に企業を経営させれば、半永久的な成長が実現できるはずだが、当然、そのようなことはあり得ない(むしろ彼等はもっとも企業経営に向いていない)。

効果的な設備投資を実現する唯一の手段は、適切な市場メカニズムを通じて、有能な経営者を企業のトップに据えることである。政府にできることがあるとすれば、ガバナンス改革を強化し、国民の経済活動を貯蓄から投資にシフトさせることで、企業の行動原理を変化させることだ。その意味では、アベノミクスの中で唯一、効果を発揮しているともいえるガバナンス改革については、もっと強力に推し進めていく必要があるだろう。

結局のところ、日本経済を復活させるカギとなるのは、企業経営という個別の課題解決であり、その原動力となるのは、最終的には国民一人ひとりの経済行動ということになる。

2000とはずがたり:2019/10/09(水) 12:38:35
中小企業が足を引っ張り>>1993-1997投資行動もぼろぼろ>>1998-1999のなのに6位!?
そんなに高いの?!日本ってダボス会議にカネいっぱい出してたっけ??

国際競争力、日本6位…女性労働者の数などで一つ後退
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20191009-OYT1T50168/
2019/10/09 11:41

 【ジュネーブ=杉野謙太郎】ダボス会議を主催するスイスの「世界経済フォーラム」は9日、2019年版の国際競争力ランキングを発表した。141か国・地域のうち、日本は前年より一つ順位を下げ、6位だった。

 前年2位のシンガポールが1位になり、米国は2位に後退した。香港は3位に入ったものの、採点対象のデータが今年春までのもので、6月からの抗議運動の影響は考慮されていない。

 ランキングは、マクロ経済の安定性や健康など12の分野103項目を採点して作成された。日本は前年に続き、健康寿命の長さや交通網の整備で高評価を得たものの、労働市場の流動性の低さや、男性に対する女性の労働者の少なさなどで評価が低かった。

2001とはずがたり:2019/10/12(土) 23:24:55



https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/joes.12175
ARTICLE
CAUGHT IN THE MIDDLE? THE ECONOMICS OF MIDDLE‐INCOME TRAPS
Pierre‐Richard Agenor
First published: 22 August 2016
https://doi.org/10.1111/joes.12175
Cited by: 20

Tetsushi Sonobe, Middle-Income Trap in Emerging States, Emerging States and Economies, 10.1007/978-981-13-2634-9_7, (153-177), (2018).
Emerging States and Economies pp 153-177| Cite as
https://link.springer.com/chapter/10.1007%2F978-981-13-2634-9_7

2002とはずがたり:2019/10/15(火) 08:06:13
ノーベル経済学賞に米研究者3人 世界の貧困削減へ実験的手法
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191014/k10012131111000.html
2019年10月14日 18時53分

ことしのノーベル経済学賞の受賞者に、世界的な貧困の削減のため、実験的な手法を取り入れた、いずれもアメリカの大学の研究者3人が選ばれました。

スウェーデンのストックホルムにあるノーベル賞の選考委員会は、日本時間の午後7時前、ことしのノーベル経済学賞の受賞者を発表しました。

受賞したのは、
いずれもアメリカのマサチューセッツ工科大学の
▽アビジット・バナジ-氏と、
▽エスター・デュフロ氏、
それに、アメリカのハーバード大学の
▽マイケル・クレマー氏の3人です。

ノーベル経済学賞の選考委員会は、授賞の理由について、世界的な貧困の削減のために、途上国の実際のデータを使い、因果関係を分析する実験的なアプローチを取り入れたことを評価したとしています。

デュフロ氏「受賞は多くの研究者を代表するもの」
このうちデュフロ氏は46歳。ノーベル経済学賞としては、最年少の受賞者で、女性では2人目となります。

デュフロ氏は受賞が決まったあと電話会見に臨み「受賞できるとは思っておらず恐縮だ。3人の受賞は貧困問題に取り組むたくさんの研究者を代表するものだ」と喜びを語りました。

また「貧しい人たちは絶望的で怠惰だと考えられがちだが、私たちの研究のゴールは科学的な証拠に基づいて貧困に立ち向かうことだ」と述べました。
評価された「実験的なアプローチ」とは
ことしのノーベル経済学賞の受賞者に決まった3人が評価された「実験的なアプローチ」とは、実際に途上国の特定の町や村を実験のフィールドとして使い、そこにあるさまざまな社会的条件と貧困の緩和の因果関係を探る手法です。

たとえば、貧困を緩和するのに何が必要かを探るため、ビジネスを行う際に少額の資金を貸し出してもらった人と、資金の貸し出しを受けなかった人の両方のグループを観察し、結果にどのような違いが生じるか分析したということです。

その結果、資金の提供を受けたかどうかは、貧困の緩和に欠かせない人々の健康や教育、それに女性の社会参加などといった要素には、あまり影響を与えないことがわかったということです。
「貧困の削減 どういった政策が効果的か明らかに」
ことしのノーベル経済学賞に、世界の貧困の削減に関する研究を続けたアメリカの大学の研究者3人が選ばれたことについて、ノーベル経済学賞に詳しい慶應義塾大学の坂井豊貴教授は「3人は発展途上国で徹底したフィールドワークを行って、貧困を削減するにはどういった政策が効果的なのかを明らかにした。世界的に貧富の差が広がる中、こうした研究に光があたったのかもしれない」と評価しました。

一方、ノーベル賞の中で唯一、日本人受賞者がいないのが経済学賞です。これについて坂井教授は「ことしも日本人が受賞できなかったことは残念だが、不況に関する研究などで海外で活躍している研究者もいる。簡単に受賞できるとは思えないが、来年以降に期待したい」と話していました。

2003とはずがたり:2019/10/15(火) 10:31:54

2019.8.6
アベノミクスの6年間で、日本と中国の格差はさらに拡大した
先端分野では、もはや及ぶべくもなく…
野口 悠紀雄
早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問
一橋大学名誉教授
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66244

多くの人が、アベノミクスの6年間で日本経済は順調に成長したと思っている。確かに、企業利益が増加し、株価は上昇した。

日本のGDP(国内総生産)がこの間に増大したことは事実である。名目では2012年の495兆円から2017年の547兆円へと10.4%増加した。実質では、495兆円から532兆円へと7.4%の増加だった。

しかし、ドルベースで見ると、円安が進行したため、6.2兆ドルから4.9兆ドと21.5%も減少したのだ。

一方、世界の多くの国が、この間に日本を超えるスピードで成長した。

アメリカの名目GDPは、16.2兆ドルから20.4兆ドルへと20.0%増加した。この結果、日本のGDPとの比率は、2.6倍から4倍にまで拡大した。

さらにショックなのは、中国との関係だ。中国のドルベースGDPは、8.6兆ドルから12.0兆ドルへと40.2%も増加した。日本のGDPとの比率は、1.4倍から2.5倍に開いたのだ。

中国は、GDPの規模で大きくなっただけでない。

経済の中身が質的に進歩した。とりわけ、IT分野における進歩が目覚ましい。

新しいサービスが次々と誕生し、それが市民生活に浸透して、中国社会を変えたのである。

ここで強調したいのは、こうした変化の多くが、日本でアベノミクスが行なわれている期間に起きたという事実だ。

例えば、IT大手企業のアリババ(Alibaba、阿里巴巴)だ。同社がニューヨーク証券取引所に上場したのは、2014年のことである。

現在のアリババの時価総額は4384億ドルだ(2019年7月)。これは、世界第7位であり、日本で最大のトヨタ自動車の時価総額1756億ドル(世界第46位)の2.5倍である。

中国のIT産業を牽引しているのは、バイドゥ(Baidu、百度)、アリババ、テンセント(Tencent、騰訊)だ。これら3社は、頭文字をとって、「BAT」と呼ばれる。バイドゥは検索とAI技術、アリババはEコマース、テンセントはソーシャル・ネットワーキング・サービスのサービスを、それぞれ提供している(なお、テンセントの時価総額は、4371億ドル)。

フィンテック(金融部門におけるITの活用)の分野で、この数年間のうちに中国企業が急成長した。

では、アベノミクスの期間、日本は何をやったのか? 何の意味もない金融緩和政策だ。構造改革や規制緩和がかけ声ではいわれたが、新しい産業が登場したわけではい。

むしろ、これまで日本の主力産業であった分野での企業の衰退・劣化が目立つ。

「日の丸半導体」企業であるルネサス エレクトロニクスは、2019年5月に、国内外の13工場で長期生産停止に踏み切った。グループ従業員の5%に当たる1000人近くの希望退職を募っている。フラッシュメモリーを手掛ける東芝子会社の東芝メモリも、米投資ファンドを中心とする日米韓連合の傘下となった

それに続いて、「日の丸液晶プロジェクト」であるジャパンディスプレイ(JDI)が危機的な状態になった。1000名規模の早期希望退職者の募集や、役員報酬と管理職の賞与減額などを予定している。いったんは台湾のパネルメーカーや中国の投資ファンドなどで構成される台中3社連合から金融支援を受けることで合意したのだが、先行きは不透明だ。

2004とはずがたり:2019/10/15(火) 10:32:09
>>2003
中国のフィンテック企業がいま何をやっているのかを見ておこう。

電子マネーは、中国で広く普及している。2大サービスは、アント・フィナンシャルが運営する「アリペイ(支付宝)」と、テンセント(騰訊控股)が提供する「ウイーチャットペイ(微信支付)」だ。

ほとんどゼロのコストで送金できる。誰でも、どんな店舗でも、特別な装置や審査なしで利用できる。アリペイとウイーチャットペイの利用者は、それぞれ10億人近くになっている。電子マネー取引額は約150兆円といわれる。約5兆円の日本と比べると、30倍以上もの差がある。

アリペイは、各国の企業と提携して、アジア、ヨーロッパ、アメリカなど34か国以上に進出している。国外利用者は約2・5億人いるといわれる。
日本では、ようやくQRコード決済が始まろうとしているところだ。一方、アリペイは2017年9月、顔認証だけで支払いができる新決済システム「スマイル・トゥ・ペイ」を導入した。これが広がれば、決済にスマートフォンさえ必要なくなる。

保険の分野でも新しい試みがある。

衆安保険は、糖尿病患者を対象とした医療保険を提供している。テンセントが開発したタッチパネル式の測定端末で血糖値のデータを取り、血糖値が規定値を下回れば、保険金が増額されるようになっている。

金融インフラの面においても、中国が世界的な規模で指導権を握ろうとしているのだ。

2018年第2四半期(4月から6月)には、ファーウェイが四半期ベースでアップルを抜いて世界第2位になった。

通信機器の分野でも、ファーウェイの躍進が目覚ましい。基地局ベンダーの売上高シェア(2018年)で、スウェーデンのエリクソンについで世界第2位になった。全世界市場規模213億ドルのうち、エリクソンが29.0%、ファーウェイが26.0%、ノキアが23.4%のシェアを占めている。

以上で見た中国ハイテク企業が成長したのは、中国政府がアメリカIT企業を中国から閉め出したためだと言われることがある。

例えば、グーグルは、2006年に中国市場に参入し、中国市場でのシェアがバイドウ(百度)に次ぐ2位になった。しかし、2010年1月、厳しい検閲に関して中国政府と意見が合わず、2010年3月に、中国本土での検索サービスから撤退した。

このように、中国IT産業成長の背景に、中国政府の保護があることは間違いない。そして、BATがこれまで提供してきたのは、アメリカで始まった新しいビジネスモデルの模倣でしかなかった。アリババはAmazon の、テンセントはFacebookの、そしてバイドゥはGoogle の、それぞれ模倣だった。

しかし、最近では、模倣とばかりはいえない状況になっている。

人材が成長し、巨額の開発資金が投入されているからだ。その結果、基礎的科学技術力が高まっている。論文数やコンピュータサイエンス大学院で世界1になっていることが、それ示している。

中国の成長は「本物」であり、それがゆえに、アメリカは重大な関心を持たざるをえないのである。

2005とはずがたり:2019/10/27(日) 20:01:45
川崎市の町工場 3分の1が浸水
10月25日 17時24分
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20191025/1000039315.html
台風19号で広い範囲が浸水した川崎市では、町工場が集積する高津区と中原区にまたがる地区で、組合に加盟する企業の3分の1で浸水被害が出ていることが分かりました。

川崎市では台風19号の影響で多摩川の支流があふれたほか、川沿いの5つの排水路で下水などが逆流してあふれる「内水氾濫」が起き、内水氾濫による浸水だけでもおよそ92ヘクタールに広がっています。
このうち、製造業の町工場などが集中する高津区と中原区にまたがる地区の「下野毛工業協同組合」が調べたところ、加盟する企業60社のうち3分の1を超える22社で浸水被害が出ていることが分かりました。
このうち、超精密部品の金属加工などを行う会社では、1階が70センチほど浸水し機械89台中、81台が水につかって動かせない状態だということで、高価な研磨機の交換など被害額は3億円以上にのぼるということです。
組合の副理事長も務めるこの会社の手塚健一郎社長は、「50年以上地域にいる人も浸水の記憶はないと話していて想定を超える雨になった。行政とも連携して復旧を進めていきたい」と話しています。
川崎市では、別の組合などさらに多くの企業で被害が出ているとみて、来週にも市内4つの組合の報告をもとに被害状況をまとめ、支援策を検討するとしています。

多摩川沿いで浸水した川崎市高津区の企業では、社員が工場の2階から浸水の一部始終を記録していました。
高津区下野毛にある機械の制御盤の製造会社では、台風19号が接近した今月12日から13日にかけ、社員の飯田繁治さんが妻と娘とともに工場の2階に避難していました。
飯田さんが撮影した写真には、12日午後6時ごろ、工場周辺がひざの高さぐらいまで浸水しているのが記録されていて、ピークとなった午後9時ごろには駐車場のトラックの運転席や電信柱の中ほどなど、地面から1メートル以上水位が上がっている様子が分かります。
飯田さんは「はじめはそれほど濁っていない水だったが夜から泥水が押し寄せ、あっという間に水位が上がり1階のドアも開かず2階にいるしかなかった。会社の1階はかさ上げしてあるのに水が入ってきて呆然としました。こんな経験は初めてです」と話していました。
工場では、1階に置いてあった工具や納品予定だった制御盤などが泥や水に浸かったため、洗浄や部品の交換に追われているということで、本格的な操業再開は来月上旬を目指しているということです。

2006とはずがたり:2019/11/19(火) 21:21:41

Acemogluのスライドttps://economics.mit.edu/files/12118みてて,説明抜きでいきなりHSD,HSG,SMC,CLG,GTCってのが出てきて,何じゃらほいと思って調べたら↓だった。知らんがな。。アメリカでは普通の単語!?

2007とはずがたり:2019/11/19(火) 21:21:58
>>2006の続き

https://twitter.com/adam_tooze/status/980897661661278208
Adam Tooze
@adam_tooze
Wage stagnation in the US since the 1970s is directly linked to educational level. HSD-high school dropout; HSG-high school graduate; SMC-some college; CLG-college graduate;
GTC-greater than college. OECD citing Acemoglu and Autor 2011 https://oecd-ilibrary.org/docserver/2e2f

2008とはずがたり:2019/11/19(火) 21:22:20
>>2006-2007を一遍に投稿しようとすると刎ねられた。。何故だ??

2009荷主研究者:2019/11/19(火) 22:40:37

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/359109?rct=n_hokkaido
2019年10/29 05:00 北海道新聞
コールセンター「ベルシステム24」、札幌に第2本社開設へ

 コールセンター大手のベルシステム24(東京)は来年春までに本社機能の一部を札幌に移転し、「第2本社」を開設する。オペレーターの訓練方法を考案する教育部門などを集約する。全国の拠点で勤務者数が最も多い北海道に採用関連の部門を集約し、効果的に人材を確保する狙いがある。

 札幌市北区北7西1のオフィスビル内にある同社北海道支店(約450平方メートル)と同じフロアに開設する。今年6月から本社機能を移す準備に入っており、年内に約60人を新規採用して計約140人態勢とする。

 第2本社に移すのは訓練方法を企画する部門や、従業員の応募状況など採用に関するデータの管理部門。新たな訓練方法は、札幌での試行を踏まえて全国の拠点に順次導入する。

 同社は8月にオペレーター候補者向けの就業支援施設「SUDAchi(すだち)」を北海道支店内に開設しており、同様の施設を各地に普及するための部門も集約する。このほか、文字入力などの事務作業を自動化する技術「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の導入を支援する部門も移す。

 同社は札幌で約5400人、旭川で約千人を雇用しており、人材確保の観点からも北海道を最重要エリアと位置付けている。本社機能移転には札幌市の補助金を活用する予定で、同社の広報IR室は「札幌は新しいものへの抵抗感が少なく、実験的な取り組みを採り入れやすい。札幌の雇用創出にも貢献したい」としている。(石井努)

2010とはずがたり:2019/11/22(金) 10:05:27

http://www.ide.go.jp/library/Japanese/Publish/Download/Report/pdf/2005_04_22_03.pdf

新しい経済成長論」の概要と関連する議論については膨大な文献があるが、それらをまとめた代表的なテキストブックとして、レベル別にWeil[2005]、Jones[2003]、Barro and Sala-i-Martin[2004]、Aghion and Howitt[1998]などがある。このなかでも特にWeil[2005]に象徴されるように、最近のテキストブックにおいては、かなりのページを割いて開発途上国に関する言及が増えている。またRay[1998]のように、経済発展論・開発経済論のテキストブックにおいても「新しい成長論」に対する章を設けるなど、両分野における相互乗り入れは活発になってきている。

Weil, D. A.[2005]. Economic Growth, N.Y.: Addison Wesley.
https://www.amazon.co.jp/Economic-Growth-International-Student/dp/0273769294

Ray, Debraj[1998]. Development Economics, Princeton: Princeton University Press.
https://www.amazon.co.jp/Development-Economics-Debraj-Ray/dp/0691017069

2011とはずがたり:2019/11/26(火) 14:51:06

余暇への時間・金銭投入に関する一考察
http://risk.ier.hit-u.ac.jp/Japanese/pdf/dp18-3_rcesr.pdf
阿部修人、稲倉典子、小原美紀
2018年3月

国民経済計算の手法が確立する前の20世紀前半に、Pigou(1932)は家事労働を国民所得から除外する場合の問題点を指摘し「もし、ある独身男性が、彼のために家事をおこなう家政婦や調理人と結婚するならば、国民所得は減少する(Pigou (1932: 32)、筆者訳)」と議論している1。

Pigou, A. C. (1932) The Economics of Welfare, Fourth edition, Macmillan & Co. Ltd., London.

上級マクロ経済学Summer 2015講義ノート(RBC)
Naohito Abe
http://www.ier.hit-u.ac.jp/~nabe/rbc2015.pdf

RBCに関する初期の入門および様々な応用に関しては、多少古くなったが

Thomas F. Cooley ed. [1995]Frontiers of Business Cycle Research, Prince-ton University Press.

は、最初の章が導入用のテキストとして非常によく書かれている。また、不完全競争や国際経済、金融への応用も詳しく述べられており、この分野で論文を書こうとするものであれば、持っている価値は今でも十分にある。

RBCは完備資本市場における景気循環モデルなのである。

5線形近似手法(Linear-Quadratic Methods)

この手法はもともとBlanchard and Kahn[1980]により開発されたものであり、King, Plosser, and Rebelo [1988a, b]がさらに利用しやすい形に拡張して紹介したため、Blachard-Kahn法あるいはKPR法とも呼ばれる。

基本的なアイディアは、Policy FunctionsがPredetermined Variablesに関して線形である、と仮定し、線形関数の中で、「もっともらしいもの」を選ぶというもののである。

6カリブレーション

数式の変形を行う際には、関数形を特定化するほうが便利である。そこで、この節では、カリブレーションと呼ばれる手法により、関数形やパラメターの値を特定化する。

では、Cooley ed.[1995]に従い、先のモデルに関数構造とパラメターを組み込んでみる

余暇消費時間はほとんど一定であり、実質賃金は一定の率で上昇している。一人当たり消費と実質賃金がほぼ一定の率で成長していることも考慮すると、これは消費と余暇の代替の弾力性が1であることを示唆する。すなわち、瞬時的効用関数もコブ・ダグラス型である。

ここで、1/σは異時点間の弾力性であり、この推定は非常に困難であることが知られている。なぜなら、σの水準は均斉成長経路自体には影響を与えず、そこへの移行過程にのみ影響をあたえるためである。(→cの成長がある場合はオイラーEqを通じて影響を与えるけど。)

2012とはずがたり:2019/11/26(火) 18:59:28
Pritchett (2001) やBenhabib & Spiegel (1994)が教育がどっか行ったと騒いだが,これらの結論は近年,より正確なデータで修正されうる事を一部の研究,Cohen and Soto (2007)やFuente and Dom\´enech (2006)等で修正を迫られているようだ。good data, good resultsだそうだが安倍に汚された日本はデータが穢いんであかんな,,こんなんだから成長できひん┐('〜`;)┌

■②Cohen, D., Soto, M., 2007.“ Growth and human capital: good data,
good results. ”, Journal of Economic Growth 12, 51?76.
https://www.parisschoolofeconomics.eu/docs/cohen-daniel/cohen-soto-2007.pdf

人的資本はこの20年に少なくとも3回は大きく進路を変えた継続中の話題ongoing topicsである。

先ずはLucas (1988)やRomer (1990)…人的資本が長期の定常成長をもたらすのが決定的な特徴

Mankiw, Romer, Weil (1992)…新古典派的な投入要素として扱い人的資本そのものでは内生成長をもたらせないとした→新"修正主義者":経済成長に於ける人的資本の役割は強調されすぎ。

(とは註:Benhabib & Spiegel 1994やPrinchett 2001の流れは俺も前に見付けていた。理論的にはJeonsのscale effects批判がそれに対応。)

Fuente and Domenech (2006)ではこれらの両極端な結果が人的資本の計測に関わっていると明らかにした。
概念上明確な定義が存在してこなかった。
学修年限は良いproxyだと長いこと認識されてきた。
併し単純にデータにさっと目を通しても学修年限の成長率が最も早い地域はとても低開発の国である。だから平均学修年限average years of schooling を二倍にしたからといって人的資本ストックが二倍になるとは信じられない。

次ぎに直面するのはデータの信頼度そのものである。

■②De la Fuente, A., Dom´enech, R., 2006. ”Human capital in growth regressions:
how much difference does data quality make?”, Journal of European
Economic Association, 4 (1), 1?36.
http://www.iae.csic.es/investigatorsMaterial/a9167121855archivoPdf2774.pdf

We then construct indicators of the information
content of our estimates and a number of previously available data sets and examine their
performance in several growth specifications.

2013とはずがたり:2019/11/28(木) 22:29:10
Labour share developments over the past two decades: The role of technological progress, globalisation and “winner-takes-most” dynamics

ECONOMICS DEPARTMENT WORKING PAPERS No. 1503By Cyrille Schwellnus, Mathilde Pak, Pierre-Alain PionnierandElena Crivellaro
http://www.oecd.org/officialdocuments/publicdisplaydocumentpdf/?cote=ECO/WKP(2018)51&docLanguage=En

Over the past two decades, real median wage growth (実質中央値賃金成長) in many OECD countries has decoupled(分離された) from labour productivity growth, partly reflecting declines in labour income shares(一部は労働所得シェアの低下を反映して). This paper analyses the drivers of labour share developments(労働シェアの進展[変化]の推進要素) using a combination of industry-and firm-level data. Technological change in the investment goods-producing sector(投資財生産部門の技術変化) and greater global value chain participation(より巨大な地球規模のヴァリューチェーンへの参加) have compressed(押し込む) labour shares, but the effect of technological change has been significantly less pronounced(顕著←pronounce:発音する・宣言する) for high-skilled workers(技術進歩の高熟練労働者への(負の?)効果ははっきりしない). Countries with falling labour shares have witnessed(目撃する→経験する[目の当たりにするって感じか]) both a decline at the technological frontier(技術的尖端からの脱落(?←減退),技術フロンティアの低落??生産性フロンティア?) and a reallocation of market shares toward “superstar” firms with low labour shares(低労働シェアの総取り優秀企業への市場シェアの再配分) (“winner-takes-most” dynamics). The decline at the technological frontier mainly reflects the entry of firms with low labour shares into the frontier rather than a decline of labour shares in incumbent frontier firms, suggesting that thus far(此迄の所) this process is mainly explained by technological dynamism rather than anti-competitive forces(反競争的力?→独占力?).

2014とはずがたり:2019/11/28(木) 23:47:28
ふ〜む。。

THE FUTURE OF PRODUCTIVITY:MAIN BACKGROUND PAPERSFRONTIER FIRMS, TECHNOLOGY DIFFUSION AND PUBLIC POLICY: MICRO EVIDENCE FROM OECD COUNTRIESBy Dan Andrews, Chiara Criscuolo and Peter N. Gal
http://www.oecd.org/economy/growth/Frontier-Firms-Technology-Diffusion-and-Public-Policy-Micro-Evidence-from-OECD-Countries.pdf
Table 2.Firm age at entry into the global productivity frontier
SectorLabour productivity frontierMFP frontier

2015とはずがたり:2019/11/29(金) 00:22:38
The Decline of the U.S. Labor Share
https://www.frbsf.org/economic-research/files/wp2013-27.pdf
Elsby, Michael W L, Bart Hobijn, and Aysegul Sahin, (2013) "The Decline of the U.S. Labor Share," Brookings Papers on Economic Activity, No. Fall.

Over the past quarter century, labor’s share of income in the United States has trended downwards, reaching its lowest level in the postwar period after the Great Recession(大恐慌後の戦後期[こんな言い方あるのか?!]で最も低い水準に達した). Detailed examination of the magnitude, determinants and implications of this decline delivers five conclusions(この減少の大きさ,決定要因及び含意を詳細に調べることに拠って5つの結論を得た). First, around one third of the decline in the published labor share(公表された労働シェアの減少の1/3が) is an artifact(人工物) of a progressive(進歩的な→漸進的な) understatement(控えめな表現) of the labor income of the self-employed underlying the headline measure(自営業の基礎にある大見出しの計測器の労働収入??). Second, movements in labor’s share are not a feature solely of recent U.S. history(最近のUS史のみの特徴では無い): The relative stability of the aggregate labor share prior to the 1980s(1980年代より前の比較的安定した総動労シェア) in fact veiled substantial(実態のある→しっかりした), though offsetting(offset:埋め合わせる・相殺するもの),movements in labor shares within industries(産業内の確固たるしかし相殺的な動きで実際には隠されていた). By contrast, the recent decline has been dominated by trade and manufacturing sectors. Third, U.S. data provide limited support for neoclassical explanations based on the substitution of capital for (unskilled) labor to exploit(利用する・搾り取る) technical change embodied in new capital goods(新しい資本に体化された技術進歩を利用する為の(非熟練)労働の資本への代替という新古典派に基づいた説明に対するサポートは限定的である). Fourth, institutional explanations based on the decline in unionization(労働組合組織率の低下に基づいた組織論的説明) also receive weak support. Finally, we provide evidence that highlights the offshoring of the labor-intensive component of the U.S. supply chain(アメリカのサプライチェーンの労働集約的な構成要素の海外移転) as a leading potential explanation of the decline in the U.S. labor shareover the past 25 years.

本文より
The headline measure published by the Bureau of Labor Statistics (BLS) (BLSより公表されたheadline measure代表的尺度??) historically fluctuated around a mean of close to 64 percent from the immediate postwar period to the mid-1980s.
Thereafter, aside from a brief surge(急上昇・サージ電流は雷等に拠る電流急上昇) surrounding the tech bubble at the turn of the21st century(21世紀の変わり目の), this measure has displayed a downward trend, averaging around 58 percent in recent years, 6 percentage points below the level that prevailed during the first four decades of the postwar period.


2016とはずがたり:2019/12/05(木) 13:00:48
労働市場の二極化
IT の導入と業務内容の変化について
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2009/02-03/pdf/073-090.pdf
池永 肇恵(一橋大学准教授)

スキル偏向型技術進歩 (SkillBiased Technical Change: SBTC) 仮説
1990 年代には, 特にコンピュータ化に代表される技術革新が高スキル労働者に対する相対需要を増大したことが所得格差をもたらしたというスキル偏向型技術進歩 (SkillBiased Technical Change: SBTC) 仮説が盛んに唱えられていた。

SBTC 仮説への疑問
▲Card and DiNardo (2002)や▲Lemieux (2006) などは賃金格差の拡大は1980 年代の一時的な現象であり, 技術革新以外の要因 (実質最低賃金の低下や労働組合組織率の低下など) あるいは教育や経験の向上といった労働力構成の変化を反映しているとして,を呈した。

●Autor, Levy and Murnane(2003) (以下 ALM) の5分類
SBTC 仮説の発展形として, コンピュータ技術が労働需要をどう変えるかの理論を展開した。
ALM は非定型的か定型的か,知的作業か肉体作業かなどの観点から,
非定型分析業務 (Nonroutine analytic tasks),
非定型相互業務 (Nonroutine interactive tasks),
定型認識業務 (Routine cognitive tasks),
定型手仕事業務(Routine manual tasks) ,
非定型手仕事業務(Nonroutine manual tasks)
の 5 タイプの業務に労働者を分類した。

コンピュータ化が定型手仕事及び定型認識業務に代替して労働需要を減少させる一方, 非定型分析及び非定型相互業務を補完して労働業務を増加させることを示した。

●Goos and Manning (2007) …イギリス

●Spitz-Oener (2006)…ドイツ


●Autor, David, Frank Levy and Richard J. Murnane (2003) ?The Skill Content of Recent Technological Change: An
Empirical Exploration" Quarterly Journal of Economics, 118(4), 1279-1333.

Autor, David, Lawrence Katz and Melissa Kearney (2006) ?The Polarization of the US Labor Market," American
Economic Review, 96(2), 189-194.

Autor, David, Lawrence Katz and Melissa Kearney (2008) ?Trends in US Wage Inequality: Revising the Revisionists," Review of Economics and Statistics, Vol. 90(2), 300-323.

▲Card, David and John E. DiNardo (2002) ?Skill-Biased Technological Change and Rising Wage Inequality: Some Problems and Puzzles," Journal of Labor Economics 20, 733-783.

●Goos, Maarten and Alan Manning (2007) ?Lousy and Lovely Jobs: The Rising Polarization of Work in Britain," Review of Economics and Statistics 89, 118-133.

▲Manning, Alan (2004) ? We Can Work It Out: The Impact of Technological Change on the Demand for Low-Skill
Workers," Scottish Journal of Political Economy, Vol. 51(5), 581-603.

●Spitz-Oener, Alexandra (2006) ?Technical Change, Job Tasks, and Rising Educational Demands: Looking outside
the Wage Structure," Journal of Labor Economics 24, 235-270.

2017とはずがたり:2019/12/06(金) 13:08:09

>>2011
>では、Cooley ed.[1995]に従い、先のモデルに関数構造とパラメターを組み込んでみる
>余暇消費時間はほとんど一定であり、実質賃金は一定の率で上昇している。一人当たり消費と実質賃金がほぼ一定の率で成長していることも考慮すると、これは消費と余暇の代替の弾力性が1であることを示唆する。すなわち、瞬時的効用関数もコブ・ダグラス型である。
>ここで、1/σは異時点間の弾力性であり、この推定は非常に困難であることが知られている。なぜなら、σの水準は均斉成長経路自体には影響を与えず、そこへの移行過程にのみ影響をあたえるためである。(→cの成長がある場合はオイラーEqを通じて影響を与えるけど。)

まんまCooleyというよりその中のCooley & Prescott 1995(Cooley ed. 1995 Ch1)だったようだ。
http://online.sfsu.edu/mbar/ECON702_files/Cooley%20and%20Prescott%201995.pdf

…, certain features of specification of preferences are tied to basic growth observations for the U.S. economy. There is evidence that per capita leisure increased steadily until the 1930s. Since that time, and certainly for the postwar period, it has been approximately constant. We also know that real wages (defined as real average hourly rotal compensation[償い・埋め合わせ・代償・給与] ), including benefits and contributions for social insurance) have increased steadily in the postwar period. Taken together, these two observations imply that the elasticity of substitution between consumption and leisure should be near unity. ...

2018とはずがたり:2019/12/10(火) 11:04:53
<Regime Switch の経済学>
人的資本vs研究開発vs資本蓄積
Funke & Stlulik 2000 EER

人的資本vs資本蓄積
Galor & Weil AER 2000
Galor & Moav QES 2004
Iaccopetta 2010 EER
Peretto 2015 EER

研究開発vs資本蓄積
Zilibotti 1995 EER
Matsuyama 1999 ECTA
Irmen 2005 JECD

<人的資本蓄積のパズル>
Pritchett 2001 World Bank Econ Rev
Jones 1995 QJE
Benhabib & Spiegel 1994 JME

解…より精巧なデータで説明力up
Cohen & Soto 2007 JEG
De Fuente & Domenech 2006 JEEA
Hanushek & Woessmann 2012 JEG

<研究開発のパズル>
Abramovitz and David 1973 AER
Hayami and Ogasawara 1999 JJIE
Krugaman 1994 Foreign Aff
Young 1995 QJE

解…catch up効果(R&Dの寄与度の過小評価傾向)
Barro & Sala-i-Martin 2004, Ch.10
Aghion & Howitt 1998, Ch.12

2019とはずがたり:2019/12/10(火) 20:39:18

労働分配率の低下は続くのか賃金とインフレの上昇が遅れるもう一つの理由
http://www.camri.or.jp/files/libs/982/201711081720166664.pdf
BNPパリバ証券 経済調査本部長・チーフエコノミスト 河野 龍太郎
月刊資本市場 2017.10(No. 386)

 人手不足に対し企業が省力化投資を進めているから、緩やかな賃金上昇が生産性上昇に吸収され、物価上昇が思ったように進んでいない。これがインフレ率上昇の遅れに対する日本銀行の最近の説明である。ただ、省力化投資によって生産性が上昇するから、それが実質賃金の上昇にもつながり、そのことはトレンド成長率や自然利子率の上昇をもたらすはずだから、現在の金融政策を維持していれば金融緩和度合いは強まり、いずれインフレ率も高まるはずだと日銀は付け加える。 しかし、ICT技術などを使って、割高な労働が割安なロボットやソフトウェア、AIなどに置き換わるだけなら、生産性が上昇し経済全体のパイが拡大しても、労働分配率が低下し、必ずしも実質賃金の上昇にはつながらないかもしれない。

…労働需給が逼迫すればある程度は賃金上昇が生じるであろうし、需給ギャップの改善が続けばインフレ率もある程度は上昇するはずである。しかし、誰しもが考えていた以上にそれらが鈍いのは、労働分配率の低下という構造要因が大きく影響しているのではないか、ということである。

…新興国を含め世界のインフレ率の上昇が鈍いのも、また日本と同様に完全雇用にある米国、ドイツの賃金上昇が相変わらず緩慢でインフレ上昇が遅れているのも、労働分配率の低下が大きく影響しているのではないか。

…まず事実確認だが、90年代以降、日本の実質賃金が低迷している主因は、生産性上昇率が低下していることである。…いで、実質賃金を抑制している要因が労働分配率の低下である。

…なぜ労働分配率が低下したのかが今回のテーマの一つである。

…お、2000年代以降、交易条件の悪化も実質賃金の下落に大きく影響したが、これは原油価格の上昇が続いたことが主因である。ただ、中国の高度成長の終焉と資源バブル崩壊によって、2010年代半ば以降、原油価格は大きく水準を切り下げた。このため、2010年代後半以降は、原油は大きな問題にはならないと思われる。原油安で交易条件は改善し、むしろ実質賃金を押し上げる要因になる。

労働分配率低下の三つの仮説

 労働分配率の低下を説明する理論は、最近、慶応義塾大学の鶴光太郎教授が論じているように、大きく分けると三つある。一つ目はイノベーション仮説であり、二つ目はグローバリゼーション仮説、三つ目は社会規範の変化仮説である。筆者は、これまでのレポートでも論じている通り、どちらかと言えばイノベーションの影響が大きいと考えている。ただ、後述のように、これらの三つの要因はいずれも分かち難く、相互に作用しているというのが筆者の解釈であり、複合要因仮説が筆者の立場である。

割高な労働が資本によって代替

一つ目のイノベーション仮説は、極端に言えば、割高になった労働が割安なロボットやAIに置き換えられているというものである。…

労働分配率低下のメカニズム

 割高な労働が割安な資本に置き換えられるため、経済効率も改善し、経済全体のパイも多少は拡大する。資本装備率の上昇によって、労働生産性が上昇する訳である。いや、物的資本があまり増えないとすれば、TFP(全要素生産性)の上昇で労働生産性が上昇することになる。しかし、その果実を受け取るのは、新たなビジネスモデルのアイデアを含め、資本の提供者や新たなビジネスモデルの執行者である。つまり、資本やアイデアに対し有利なイノベーション(資本偏向型のイノベーション)、あるいは高スキル労働に対して有利なイノベーション(スキル偏向型のイノベーション)が進展しているということである。…

好循環が現れない理由

この時、問題になるのは、資本やアイデアの出し手や高スキル労働者は高い所得を得るが、支出性向が低いため、所得の多くが貯蓄に向かうことである。さらに企業そのものについても、今や多額の物的投資を必要としないため、利益の多くは貯蓄に回る。一方で、支出性向の高い中間層や中間下位層の所得は殆んど増えない。

2020とはずがたり:2019/12/10(火) 20:39:43
瓦解する日銀のシナリオ

 イノベーションが実質賃金の上昇にはつながらず、労働分配率の低下をもたらしているとすれば、冒頭で紹介した「省力化投資によって生産性が上昇すればいずれは実質賃金が上昇し、トレンド成長率と自然利子率の上昇につながるから、金融緩和度合いが増し、インフレ上昇につながる」という日本銀行のシナリオが崩れる可能性がある。効果のないまま、漫然と弊害の少なくない金融緩和を続けることになるのではないか、それが、筆者の大きな懸念である。

…イノベーションがもたらす労働分配率の低下や所得格差の拡大について、私たちが長い間、その可能性を考慮してこなかったのは、マクロ経済全体で考えた場合、労働と資本の代替の弾力性は決して高くはなく、コブ=ダグラス型の生産関数を当てはめ、代替の弾力性は1程度と考えてきたためである…

そのように考えてきたのは、理論的にもっともらしいという理由からではなく、戦後、先進国の多くで、労働分配率が実際に安定していたからである…

ピケティ教授の指摘は、戦中・戦後に続いた経済格差の縮小(グズネッツ教授によって発見された逆U字カーブにおける経済格差の低下局面)は、資本主義の歴史で見れば、あくまで一時的な現象に過ぎないというものである。…

こうした議論の中で、筆者が注目した論考は、昨年、米欧で話題になった、元世銀のエコノミストのブランコ・ミラノヴィッチ教授のグズネッツ波形理論である。逆U字波形は一度限りの現象ではなく、産業構造の大きな変化が生じる際に、繰り返し生じるというものである。19世紀の産業革命期と同様、80年代以降、先進国で不平等が再拡大したのは、ポスト工業社会への移行が始まったためで、資本やアイデア、高スキルを持つ勝ち組と、それらを持たない負け組の2極化が再び始まったからなのだと解説している。…

グローバリゼーション仮説

労働分配率の低下を説明する二つ目の仮説はグローバリゼーション仮説である。

言うまでもなく、90年代、2000年代に中国経済が世界経済に組み込まれ、世界の工場となったことの影響が大きいが、当初は、中国で農業部門の余剰労働が工業部門に完全に吸収され、人件費高騰の開始と共に、高度成長が終焉すれば、先進国の実質賃金や労働分配率への影響は和らぐと考える人も少なくなかった。しかし、現実に起こっていることは、中国の人件費高騰後、割高な人件費を避けるため、より賃金水準の低い途上国に生産拠点をシフトさせるという動きであって、国内への生産回帰ではない。…

筆者自身は、前述した通り、イノベーション仮説とグローバリゼーション仮説を明確に分けることは難しいと考えている。仮に先進国で割高な労働が安価な資本によって代替されたのが主因だとしても、電算機器や情報通信機器などの資本財価格の下落は、中国を始めアジア新興国へのアウトソーシングなどによってもたらされたからである。複合的な影響というべきだろう。現在の第四次産業革命も、スマホなどのハードウェア生産が新興国にアウトソーシングされ、安価になったから可能となったのである。…

2021とはずがたり:2019/12/10(火) 20:40:04
>>4019-4021
労働組合の影響力の低下など、社会規範の変化仮説についても、イノベーション仮説やグローバリゼーション仮説と切り分けることは難しい。利益が上がっていても、労働組合が弱体化し、資本市場からのプレッシャーで、従業員のサラリーを簡単に上げることができなくなっているのは、間違いなく社会規範の大きな変化が影響している。ただ、資本市場からのプレッシャーに経営が大きく左右されるようになっていることは同時に、グローバリゼーションの大きな影響とも言える。また、非正規雇用を増やし人件費を抑えること自体が社会規範の変化であると同時に、経営イノベーションとも言える。

…市場参加者好みの、ゴルディロックス・ストーリー(とは註:ゴルディロックスの原理 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B4%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%81%AE%E5%8E%9F%E7%90%86 経済の緩やかな持続的成長と低インフレ率を言う。この場合、市場親和的な金融政策が可能になる。ゴルディロックス市場は、消費財の価格がベア市場 とブル市場の価格の間にあるときに可能になる。)がしばらく続く可能性がある。

…ちろん、ゴルディロックス・ストーリーというのは、後知恵で見ればまやかしとなる可能性が高い。…支出性向の低い経済主体の所得が増え、支出性向の高い経済主体の所得が抑制されることは、貯蓄と投資を均衡させる自然利子率の低下をもたらし、金融政策の有効性をさらに低下させる可能性もある。元日本銀行理事の早川英男氏は、後述するオーター教授のスーパースター企業仮説を元に、市場集中度の高いIT企業の出現によって、貯蓄が積み上がり自然利子率の低下で、金融政策の有効性が低下する可能性を指摘している。

…リスク資産はもう十分に割高だが、さらなる資産価格上昇を正当化するような理論が語られ始めていること自体が金融不均衡の蓄積が始まっていることの現れという可能性もある。

最後。労働分配率の低下を説明する最近話題の理論は、MITのオーター教授らのスーパースター企業仮説である(とは註:スーパースターの経済学はそもそもシカゴ大の労働経済学者のSherwin Rosen「スーパースターの経済学」1981年)。…IT独占企業の出現が労働分配率の低下をもたらしていると論じている。…高いスキルを持つ限られた従業員は、多くの場合、同時に株主でもあり、高い所得を獲得している。…

鶴光太郎『労働分配率低下の“真犯人”「スター企業」の興隆主因か』日本経済新聞・経済教室 2017年9月14日

早川英男『スーパースター企業が招く長期停滞』週刊東洋経済・経済を見る眼 2017年9月16日号

ブランコ・ミラノヴィッチ著、立木勝訳『大不平等 エレファントカーブが予測する未来』みすず書房 2017年

Autor, D., Dorn, D., Lawrence F.K., Patterson, C., and Van Reenen, J.(2017),“The Fall of the Labor Share and the Rise of Superstar Firms”, NBER Working Paper No.23396

Elsby,M.,Hobijn,B.,andSahin,A.(2013),“The Decline of the U.S. Labor Share”, Brookings Papers on Economic Activity, vol47,no.2,pp.1-63

Karabarbounis,L.,Neiman,B.(2013),“TheGlobalDeclineoftheLaborShare”,NBERWorkingPaperNo.19136.

2022とはずがたり:2019/12/20(金) 12:06:36
大学院生の時に個人の行動を分子レベルの分布として近似して集計できるのでは無いかと思って熱統計力学のテキストを買ったは良いけどずっと放置してきたが世界が俺に追いついたようだ♪というか皆が気付いてたけど

”Physicists’ approach to studying socio-economicinequalities: Can humans be modelled as atoms?”
Kiran Sharma and Anirban Chakraborti
https://arxiv.org/abs/1606.06051

A brief overview of the models and data analyses of income, wealth, consumption distributions by the physicists, are presented here(物理学者による所得分布等のモデルとデータ分析の簡単な概観が述べられている). It has been found empirically that the distributions of income and wealth possess fairly robust features, like the bulk of(〜の大部分) both the income and wealth distributions seem to reasonably fit both the log-normal and Gamma distributions, while the tail of the distribution fits well to a power law (as first observed by sociologist Pareto)(実証的に,所得と富の保有の分布はかなりロバストで,所得と富の分布の大宗bulkはかなり対数正規とガンマ分布に似ている一方で分布の尾tailの分布は(社会学者パレートに先ず観測された様に)冪法則に良くfitしている). We also present our recent studies of the unit-level expenditure on consumption(単位水準消費支出?) across multiple countries and multiple years, where it was found that there exist invariant(不変量・不変の) features of consumption distribution(消費分布に不変量の特徴→消費分布が一定である特徴?): the bulk is log-normally distributed, followed by a power law tail at the limit. The mechanisms leading to such inequalities and invariant features for the distributions of socio-economic variables are not well-understood. We also present some simple models from physics and demonstrate how they can be used to explain some of these findings and their consequences.

B.K. Chakrabarti, A. Chakraborti, S.R. Chakravarty and A. Chatterjee, Econophysics ofIncome and Wealth Distributions (Cambridge University Press, Cambridge, 2013).

S. Sinha, A. Chatterjee, A. Chakraborti and B.K. Chakrabarti, Econophysics: An Introduc-tion (Wiley-VCH, Berlin, 2010).

F. Slanina Essentials of econophysics modelling (Oxford University Press, Oxford, 2013).

M. Patriarca, E. Heinsalu, A. Singh and A. Chakraborti, “Kinetic Exchange Models asDDimensional Systems: A Comparison of Different Approaches”, in Eds. F. Abergel et al.,Econophysics and Sociophysics: Recent Progress and Future Directions(Springer, Milan,2017), pp 147-158.

グループデータからの所得分布の推定
西埜晴久
http://www.cirje.e.u-tokyo.ac.jp/research/workshops/stateng/statpaper2013/stat0412.pdf

所得分布の研究は古くからある研究であり,所得分布は,社会保障,労働,財政,マクロ,消費,経済統計など多くの領域にまたがる問題である.橘木俊詔(1998)『日本の経済格差』および,大竹文雄(2005)『日本の不平等』が,日本の経済格差の問題について大きな論争を呼びおこした.その結果,日本の不平等度が米国より高いということはないが,90年代以降,少しずつ上昇していることにはコンセンサスができてきている.一方,Journal of EconomicInequalityが2003年に発刊されるなど,世界的にも所得格差の問題は関心を集めている.

所得分布で用いられる…々の分布についてはKleiber and Kotz (2003)に詳しい説明がある.そして,本研究では2パラメータのパレート分布および対数正規分布を用いる.…指数分布の部分順序統計量にもとづく推定の研究はSaleh and Ali(1966)など,1960年代に盛んに行われていたが,Saleh and Ali (1966)では,この推定量をABLUE(Asymptotically BLUE)としている.

Nirei, M. and W. Souma (2007). “A Two Factor Model of Income Distribution Dy-namics,”Review of Income and Wealth,53, 440?459.

Saleh, A. K. Md. E. and M. M. Ali (1966).“Asymptotic Optimum Quantiles for theEstimation of the Parameters of the Negative Exponential Distribution,”Annals ofMathematical Statisitcs,37, 143?151.

Singh, S. K. and G. S. Maddala (1976). “A Function for Size Distribution of Incomes,”Econometrica,44, 963?970.

Kleiber, C and S. Kotz (2003).Statistical Size Distributions in Economics and Actu-arialSciences, Wiley, New York

2023とはずがたり:2019/12/20(金) 12:07:08
>>2022
ただ調べてみると古典的な話題ではあってPareto分布に対してその生起メカニズムも提唱されてきた様である。分布を生起するメカニズムも変化する中で分布の動学をどう記述できるかかな?

経済現象における分布
岩田曉一
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbhmk1974/3/1/3_1_35/_pdf
行動計量学3巻1号1975年,35〜41

パレート分布はVilfredo Pareto(1897)によって各国の所得の階層別分布の調査を通じて経験的に見出された分布である.xを所得,N(x)をxより大なる所得を得ている個体(個人あるいは家計)の数とすると,ある最低所得x_0より大なるxについて,
N(x)=βx^{-α} (x≧x_0)

パレート分布は現在の所得分布を記述するものとしては適切とはいえない.19世紀のParetoの時代には,納税者の所得だけが対象となったという事情もあり,観察される所得の全範囲にわたってかなりよくパレート分布があてはまったと考えられる.このようにパレート分布は所得の分布としてはそれほど適切ではないが,企業の資産規模分布,従業員規模分布などには非常によくあてはまる.


3.パレート分布の発生の理論

パレート分布がなぜ実現するかについての理論としてはChampernowne(1953),Simon(1955),Mandelbrot(1960)等の理論が主要なものである.…
Champernowneは英国とウェールズの1951〜2年の所得の税務統計資料から,所得の対数値が等間隔になるように所得の階層を切ったときに,階層間の個体の移動の割合が,所得の大きさと無関係にほぼ一定になるという観測事実から出発する.


Simon(1955)はf(i)=(a/ik)bi(ただし,iは正の整数値を取る変数,a,b,kは正の定数)で示される逆J字型の歪んだ分布が,社会学,生物学,経済学など広範な分野に共通に見出されることを指摘する.そしてそれらがG.U.Yuleによって発見された分布,f(i)=AB(i,ρ+1)(25)ただし,Aとρとは一定値,B(i,ρ+1)はベータ関数…く近似されることを指摘…

Champernowne,D.G.(1953) A model of income distribution. Economic Journal,63,318-351

Mandelbrot,B.(1960) The Pareto-Levy law and the distribution of income.International Economic Review,1,79-106.

Simon,H.A.(1955) On a class of skew distribution functions. Biometrika,42,425-440

家計調査におけるジニ係数の計測についての一考察
各務和彦
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/repository/E0041343.pdf
国民経済雑誌 第216巻 第6号 抜刷平成29年12月

ジニ係数は均等分配線とローレンツ曲線で囲まれた面積の2倍として定義されており, ローレンツ曲線と密接な関係がある。 そして,IritaniandKuga(1983) で指摘されているように, ローレンツ曲線は所得分布と対応関係があり, ローレンツ曲線や所得分布の推定は, ジニ係数の計測と関連した, 統計学や計量経済学における重要な課題の一つとなっている。

…ループ・データで分析をする場合には, さらに注意すべき点がある。 例えば,McDonaldandRansom(1979a,b) で述べられているように, 推定結果は関数型の選択や推定方法に敏感であったりすることが指摘されている。…

ローレンツ曲線の推定においても, 様々な注意が必要である。 例えば,Slottje(1990)では,Gastwirth(1972) で提案されたノンパラメトリックな方法を併用しながら, パラメトリックな方法によるジニ係数の計算を推奨する一方で,SchaderandSchmid(1994) は, パラメトリックなローレンツ曲線をあてはめることは, ドイツのデータにおいては, ジニ係数の精度の観点から問題があることを指摘している。 ただし, 後述するように, パラメトリックにジニ係数を計算する方法は, ローレンツ曲線による方法だけでなく, 所得分布の推定からも可能である。 しかしながら, これらの方法を比較した研究はないと思われる。 そこで, 本稿では実証分析で広く使われ, あてはまりがよいと言われている, 対数正規分布,Dagum分布(Dagum,1977), Singh-Maddala分布 (Singh and Maddala,1976) を取り上げて, 総務省によって報告されている 『家計調査報告』 (以下, 家計調査) の勤労者世帯におけるジニ係数の推定の精度を分析する。…

Dagum,C. (1977) “A new model of personal income distribution: Specification and estimation,” Ecomomie Appliquee 30,413-437

McDonald,J.B. and Ransom,M.R.(1979a) “Functionalforms,estimation techniques and the distribution of income,” Econometrica, 47, 1513-1525.

McDonald,J.B. and Ransom,M.R.(1979b) “Alternative parameter estimators based upon grouped data,” Communications in Statistics, A8, 899-917.

Singh,S.K.and Maddala,G.S.(1976)“A function for size distribution of income,” Econometrica,44,963-970

2024とはずがたり:2019/12/22(日) 17:52:53

本気で考える、日本の労働生産性はなぜ万年ビリなのか?
https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2019/04/post-69_1.php
2019年04月02日(火)15時25分

<日本の労働生産性は1970年代以来ずっと、先進国中最下位の座にある。付加価値が低く、労働集約的な日本のビジネス......なぜこのようなビジネスしかできないのか>

日本の労働生産性が先進諸外国と比較して著しく低いことは、すでに多くの人が認識しているだろう。だが日本の生産性の低さは今に始まったことではなく、40年以上も前から先進国では最下位という状況が続いている。日本人の賃金が上昇しないのも、働き方改革がうまくいかないのも、多くは生産性が低いことが原因であり、この部分を是正しない限り状況は改善しない。

日本企業は社員数が多く、労働時間が長い

日本生産性本部がまとめた2017年における日本の労働生産性(時間あたり)は47.5ドルで、主要先進国では最下位だった。1位の米国は72ドル、2位のドイツは69.8ドルなので、日本の生産性は米国やドイツの3分の2程度しかない。日本の労働生産性が先進国中最下位なのは1970年代からずっと変わっておらず、日本の生産性がよくなったことは一度もないというのが現実だ。

マクロ経済的には労働生産性と賃金には密接な関係があり、基本的に生産性が向上しないと賃金も上がらない。過去20年で日本の賃金は大幅に低下したが、生産性が伸びていない以上、賃金が上がらないのも当然である。生産性が高い国は労働時間が短くなる傾向が顕著なので、日本において長時間残業が横行しているのも、生産性の低さで説明がつく。つまり生産性が低いことは、労働者にとってあらゆる面でマイナスになると思ってよい。

では、どうすれば生産性を上げることができるのだろうか。その処方箋を考えるためには、生産性の定義をはっきりさせておく必要がある。

生産性を決める要素は、①付加価値、②労働者数、③労働時間の3つである。生産性は、①付加価値を労働投入量(②×③)で割って求められるので、生産性を上げるには、①付加価値を上げるか、②労働者数を減らすか、③労働時間を減らすのかの3つということになる。つまりたくさん稼ぐか、人を減らすか、労働時間を減らすしか生産性を上げる方法はない。

日本の生産性が他国と比べて低いということは、稼いでいないか、社員数が多すぎるか、時間をかけすぎているのかのいずれかということになる。たいていの場合、3つのすべてが該当しており、日本の場合も例外ではない。

例えば日本企業では、1万ドルを稼ぐために、平均すると29人の社員を動員し、7時間超の労働を行っている。ところが米国企業は、労働時間こそ日本と同じ7時間だが、社員数はわずか19人である。ドイツは25人と社員数は米国より多いが、労働時間は1時間以上も少なく6時間弱で済んでいる。つまり日本企業は、大人数で長時間労働しないと同じ金額を稼げていないということになる(図1)。

消費経済へのシフトに失敗したのが原因?

つまり日本企業が行っているビジネスは、諸外国と比較すると付加価値が低く、労働集約的と言い換えることができる。では日本企業はなぜそのようなビジネスしかできないのだろうか。その理由を探るためには、生産性が長期的にどう推移してきたのか知る必要がある。

図2は日本と米国の労働生産性の推移を1970年から比較したものである。労働生産性はドルベースで比較するが、現実の為替レートは相場に左右されるのでかなりの上下変動が発生する。このため、生産性について分析する際には購買力平価を用いてドル換算するのが一般的であり、この分析も購買力平価による為替レートを適用している(使用するデータなどにより冒頭で紹介した日本生産性本部の結果とは若干の差違が生じている)。

2025とはずがたり:2019/12/22(日) 17:53:22
>>2024-2025
グラフを見ると米国と日本の労働生産性には大きな差があり、今も同じであることが分かる。だが両国の生産性の差は時代によって違っている。灰色のグラフは、日本の生産性が米国の何割だったのかを示したものだが、1970年代と80年代は日本と米国の生産性の差が縮まっていた。1970年には米国の5割以下だったにもかかわらず80年代後半には米国の6割まで上昇している。

ところが1990年代以降は、多少の上下変動はあるものの、ずっと米国の6割程度のままで推移している。

グラフはちょうど1990年前後を境に傾きが変わっているが、ここはバブル崩壊の時期と重なる。さらに細かく分析すると、バブル経済が絶頂だった1980年代後半に生産性の差が急速に縮まっていることが分かる。つまり、バブル期において生産性の差が縮小し、バブル崩壊とともに日本の生産性が伸び悩んだということだが、一連の状況から何が分かるだろうか。ヒントになるのは製造業の国際的な競争力低下と消費経済へのシフトである。

消費経済へのシフトにも、高付加価値型製造業へのシフトにも失敗した

1990年代に日本企業の国際競争力低下が顕著になったことは多くの論者が指摘しており、これに異論を挟む人は少数派だろう。先進国の多くは工業国として成長するが、その後、後発国に追いつかれ、国際競争力が低下するという流れになることは歴史が証明している。日本も例外ではなく、そのタイミングがちょうど90年代だったと考えれば辻褄が合う。

ここで先進国には2つの選択肢が出てくる。ひとつは米国のように消費を中心に経済を発展させる、いわゆる内需経済にシフトするというやり方、もうひとつはドイツのように極めて付加価値の高い工業に特化するというやり方である。

日本は1980年代に「内需拡大」が叫ばれ、米国型消費経済への移行が模索された。だが一連の政策はバブルを誘発し、その後始末に失敗したことから、失われた30年のきっかけを作ってしまった。だがバブル期にだけ、生産性格差が大幅に縮小していたという事実は、消費経済への移行が生産性向上に効果があることを示すひとつの材料といってよい。

日本は消費経済への移行に失敗したわけだが、工業国としての生き残りもうまくいかなかった。ドイツは競争力を失った分野から次々と撤退し、医療器機やバイオ、重電など、極めて付加価値の高い分野にリソースを集中した。

ドイツが行った努力はそれだけではない。高付加価値製品を売っていくためには、相手とのコミュニケーションが重要となるが、ドイツは徹底した英語教育を行っており、非英語圏としては突出した英語通用力を誇っている。

競争力の低い企業を市場から退出させるため、失業した労働者の保護を徹底するとともに、経営者に対しても債務超過の放置を許さないといった厳しいルールを定めている。ドイツのGDP(国内総生産)は日本の7割強しかないが、ドイツの輸出は日本の2倍以上もあるというのが現実であり、製造業の分野では日本はドイツに完全敗北した。(とは註:ドイツの輸出が2倍とあるが,EU向けの輸出を単純に輸出とカウントしているなら違和感ある)

認めたくはないが、日本は消費大国にも、製造業大国にもなれなかったということであり、これが生産性が伸び悩む最大の原因となっている。まずはこの状況を真摯に受け止め、今後はどちらの道を選択すべきなのか徹底的に議論していくよりほかないだろう。

加谷珪一>>1998-1999>>1645-1646
経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

http://k-kaya.com/

2026とはずがたり:2019/12/22(日) 17:53:51
>日本企業の生産性が海外で飛躍的に上がっても、国内の生産性の上昇には一切つながらないのです。すなわち、生産性の高い企業が国内での生産を縮小、海外での生産を積極的に進めることで、日本の労働生産性は私たちが実感している以上に低下しています。日本のように海外で稼いでいる企業が多いほど、労働生産性は低下していく関係にあるというわけです。

>2つ目の問題点は、日本では企業全体に占める小規模企業(零細企業)の割合が高いということに加えて、中小企業が支える雇用の比率は先進7カ国(米・英・独・仏・伊・日・加)の中で最も高いということです。
アトキンソン氏の中小企業が日本の足を引っ張ってる論は此処>>1993-1997

日本の労働生産性が半世紀も先進国ビリの理由
企業の積極的な海外進出はマイナスに働く
https://toyokeizai.net/articles/-/280601
中原 圭介 : 経営コンサルタント、経済アナリスト
2019/05/29 4:50

日本経済の未来を考えるうえで、今後の労働生産性の水準は最も重要な指標の1つだといえます。現状はどうなのかというと、2017年の日本の1時間当たりの労働生産性は47.5ドルであり、経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国の中では20位と下位に甘んじています。

おまけに、この労働生産性の水準はアメリカの72.0ドルの3分の2程度にすぎず、データが取得可能な1970年以降、先進7カ国の中で最下位の状況が続いているのです。
出典:日本生産性本部「労働生産性の国際比較2018より」(OECDのデータを基に日本生産性本部作成)



海外で稼ぐ企業が増えるほど、日本の生産性は低下する

ただし、各国の労働生産性を単純に比較して、ランキングで日本の位置を確認するとなると、ある種の強い違和感を持たざるをえません。というのも、こうした労働生産性に関する国際比較では、簡易に数字を比較する以前に留意しなければならない問題点が少なくとも2つはあるからです。

1つ目の問題点は、日本企業の稼ぎ方が大きく変わってきているということです。かつての日本の製造業では、国内で自動車や家電を造り、それを海外に輸出するのがお決まりのパターンとなっていました。

ところが今や、現地のニーズに合わせるためだけではなく、生産効率をいっそう高めるために、現地での生産を大幅に増やし続けています。大企業・中小企業にかかわらず、生産性が高い企業ほど、アメリカや中国、東南アジアなどに拠点や工場を持つようになっているのです。とりわけグローバルに活動する企業は、収益性をできるかぎり高めるために、最適かつ効率的な投資をつねに心がけています。



実のところ、日本企業の海外への直接投資の残高は、2018年9月末時点で185兆円にまで拡大し、過去10年間ではアメリカやアジアを中心に3倍近くに増えています。製造業の工場建設や小売業の拠点新設に加えて、M&A(合併・買収)の件数も年々増加しているのです。

その結果として、日本企業の海外での稼ぎを示す直接投資収益は、2018年に初めて10兆円の大台を突破しています。日本企業はかつてのように輸出で稼ぐのではなく、海外展開を進めることによって現地で稼ぎ、その収益を日本国内に戻す流れが強まっているというわけです。

しかしながら、グローバルに事業を展開する企業が海外で賃金の安い従業員を雇い、高い付加価値を生み出していたとしても、それは国内の付加価値額には加算されない仕組みになっています。
【労働生産性=国内のアウトプット(付加価値額または生産量)÷インプット(労働投入量または労働者数×労働時間)】

という式で計算されるので、日本企業の生産性が海外で飛躍的に上がっても、国内の生産性の上昇には一切つながらないのです。すなわち、生産性の高い企業が国内での生産を縮小、海外での生産を積極的に進めることで、日本の労働生産性は私たちが実感している以上に低下しています。日本のように海外で稼いでいる企業が多いほど、労働生産性は低下していく関係にあるというわけです。

中小零細企業の割合が圧倒的に高いという弱み

2つ目の問題点は、日本では企業全体に占める小規模企業(零細企業)の割合が高いということに加えて、中小企業が支える雇用の比率は先進7カ国(米・英・独・仏・伊・日・加)の中で最も高いということです。

日本では全企業の99.7%が中小企業であるのに対して、アメリカでは99.7%、ドイツでは99.5%、イギリスでは99.9%と大きな違いは見られません。ところが、日本の卸売業・小売業などのサービス業では、アメリカやドイツ、イギリスと比べて小規模の企業の割合が高く、国土が狭いにもかかわらず事業所数が多すぎるという難点があるのです。

2027とはずがたり:2019/12/22(日) 17:57:16
>>2026-2027
例えば卸売業・小売業の分野では、従業員が10人未満の事業所数のシェアはアメリカでは50%程度であるのに対して、日本では80%程度とかなり高い状況にあります。
※各国の中小企業の定義は、従業員数や売上高、総資産でも違いがあり、厳密には一律に比較できない。例えば、従業員数で判断すれば、アメリカの中小企業は500人以下、ドイツは500人未満、イギリスは250人以下、日本は製造業・建設業が300人以下、卸売業・サービス業が100人以下、小売業は50人以下となる。

そのうえ、日本では中小企業が支える雇用の比率が一貫して70%前後で推移しているのに対して、アメリカでは50%前後、ドイツやイギリスでは60%前後と日本より低い状況にあります。そのために、日本の中小企業はアメリカの中小企業と同じ付加価値を生み出すために、2倍以上の従業員を雇っている計算になっています。

現実に、卸売業・小売業・サービス業で従業員が5人以下、あるいは製造業・建設業・運輸業などで従業員が20人以下の小規模企業(中小企業の中の分類)は企業全体の90%近くを占めていて、雇用全体の25%を担っているのです。中小企業または小規模企業は平均的に生産性が低く、日本全体の労働生産性の水準を大幅に引き下げているというわけです。

賢明な政治家や専門家たちであれば、日本は労働生産性を高めようと、さまざまな対応策を考えていくと同時に、以上のような日本の抱える問題点を踏まえたうえで、本質的かつ慎重な議論をしなければなりません。

日本経済にとってグローバルに活躍する企業が増えるのが好ましいという前提では、労働生産性を必ずしも大幅に引き上げる必要性はなくなってくるからです。現時点では日本とアメリカの労働生産性は30%超の開きがありますが、今後の日本企業による海外進出の増加を加味すれば、およそ半分の15%程度の差に縮めるだけでも経済の底上げは十分にできるのではないかと考えている次第です。

ただし、アメリカとの差をおよそ半分の15%程度に縮小するだけでも、どうしても避けて通ることができない道があります。日本の非製造業に属する中小企業が、アメリカの中小企業に比べて圧倒的に生産性で劣っていることを考えれば、中小企業の中でも小規模企業を今の半分に淘汰しなければならないということです。

地方ほど小規模企業の割合が大きいので、小規模企業の大幅な削減は地方の疲弊に結びついていくことが避けられません。たとえ経済全体で合理化を進めるためとはいえ、今の安全網がない状況下において、多くの小規模企業をドラスティックに淘汰してしまっていいのでしょうか。

非常に心配しているのは、多くの経済の専門家たちが労働生産性の国際比較では日本の生産性が著しく低めに出るという要因をあまり考慮することなく、生産性の向上そのものが最も大事であると大合唱しているところです。その考え方の中には、中小企業の大半を潰した先の視点が含まれていないからです。

中小企業の思い切った淘汰を進めるためには、それによって失われる雇用が容易にほかの産業に移動できるようにしておかなければなりません。すなわち、雇用の受け皿となる新しい産業がいくつもつくり出されていなければならないのです。それは、労働市場の流動性を高める以前にどうしてもやっておかなければならないことです。…

解決策の「成長産業育成」はそぶりだけだった日本

だからこそ、2019年4月4日の記事「令和の時代に国民が豊かになるたった1つの方法」で申し上げたように、これからの日本は新しい成長産業の育成に力を入れていくことが必要不可欠であるのです。

そこで政府が成長戦略として実行しなければならないのは、生産性の低い産業・企業を金融緩和や補助金によって延命させることではなく、そういった産業・企業で働いている人々のために新しい雇用を生み出すこと、換言すれば、生産性の高い成長産業をつくり出すということです。

当然のことながら新しい成長産業には、工場の海外移転や自動化が進む製造業や、AIやRPAの導入で人員削減が進む業界、賃金が低いサービス業などからの雇用の受け皿にもなってもらいます。

こんな簡単なことはわかっているはずなのに、なぜ政府がこれまで成長戦略を推し進めることができなかったのかというと、その成果が目に見える形で表れてくるまでには、普通に考えて10年単位の時間を要することになるからです。政治にとって何よりも優先されるのは、成果が出るのがずっと先の政策ではなくて、目先の選挙で投票してもらえる政策を実行するということです。

ですから、政府は目先の景気を何とかよくしようとして、バラマキ的な支出を繰り返してきたというわけです。したがって、政府は成長戦略を実行するそぶりは見せるものの、結局のところ、日本の将来を考えて真剣に取り組もうとはしてこなかったのです。今、本物の政治が求められています。

2028とはずがたり:2019/12/22(日) 20:29:54
>日本のサラリーマンは世界(主要先進国)でいちばん仕事が嫌いで会社を憎んでいるが、世界でいちばん長時間労働しており、それにもかかわらず世界でいちばん労働生産性が低い

>大企業は日本を見捨てて海外に出ていき、ベンチャー企業は育たず、外資系企業は日本に参入できず、結果として大企業のリストラと非正規への置き換えだけが進んだ

>経済学者の神林龍氏は、『正規の世界・非正規の世界』(慶應義塾大学出版会)で、通説とは異なり、「失われた20年」でも全体としては「正規」の割合は減っていないと指摘している。たしかに「非正規」は増えているものの、その割合は自営業者の減少とほぼ一致しているというのだ。…それにもかかわらず若い女性の「非正規」が大きく増えたのは、それまで「無業者」だった層からの流入で、専業主婦が働くようになったことでほぼ説明できる。

>ゼロ年代の日本の労働市場では、20代男性で「正規」が減って「非正規」が大きく増えた。これは日本企業が、中高年正社員の雇用を守るために新卒採用を抑制したことを示している。…平成の日本の重要な変化を挙げるとするならば、そのひとつは「働かない若い男」がものすごく増えたことだろう。彼らは怠けているわけではなく、その多くは以前なら「正社員」として企業に所属できただろうが、バブル崩壊の直撃を受けたことで労働市場から排除されたのだ。

2019.04.11
日本の生産性が低いのは、我々が「合理性」を憎んでいるからだった
こうして我々の国は貧しくなった
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64021
橘 玲 作家

日本の生産性は主要先進諸国のなかで最下位だ。なぜそこまで生産性が低いのか。新著『働き方2.0vs4.0』を上梓した橘玲氏は、日本が実は前近代的な身分社会だからだと喝破する。

主要先進国で最下位の生産性

平成もいよいよ終わりつつあるが、この30年間の変化をひと言でまとめれば「日本がどんどん貧乏くさくなった」だ。

国民のゆたかさの指標としては1人当たりGDP(国内総生産)を使うのが一般的だ。日本はバブル経済の余勢をかって1990年代はベスト5の常連で、2000年にはルクセンブルクに次いで世界2位になったものの、そこからつるべ落としのように順位を下げていく。

2017年の日本の1人当たりGDPは世界25位で、アジアでもマカオ(3位)、シンガポール(9位)、香港(16位)に大きく水をあけられ、いまや韓国(29位)にも追い越されそうだ。

主要7カ国(英・米・仏・伊・独・加・日)では首位から6位に転落し、かつては世界の15%を占めていたGDPも30年間で6%に縮小した。訪日観光客が増えて喜んでいるが、これはアジアの庶民にとって日本が「安く手軽に旅行できる国」になったからだ。

なぜこんなヒドいことになるのか。経済学的には、その原因は「日本の生産性が低いから」と説明できる。

経済成長に関する実証的事実を包括的に整理した研究によれば、第二次世界大戦後の米国の1人当たり経済成長率の8割は生産性上昇によって説明できる。また、各国間の所得水準のちがいの半分以上は生産性格差によって生じている。

生産性と賃金のあいだには頑健かつ強い正の相関関係があり、生産性の高い国ほど国民の平均賃金が高いし、生産性の高い企業に勤める従業員ほど賃金が高い(森川正之『生産性 誤解と真実』日本経済新聞出版社)。

事実(ファクト)を見るならば、日本の労働生産性はアメリカの3分の2しかない。OECD加盟国35カ国中20位、主要先進7カ国ではデータが所得可能な1970年以降、最下位がつづいている。

そうなると、当然のことながら、次なる疑問は「日本の労働生産性はなぜこんなに低いのか」になる。

日本人は合理性を憎んでいる

労働生産性が低いというのは、かんたんにいうと、過労死するほど働いていてもぜんぜん儲かっていないということだ。とりわけ日本は製造業に比べてサービス業の生産性が低く、たいして効率的とも思えないヨーロッパの国と比べても半分しかない。これは控えめにいっても驚くべきことだ。

私は日本人の「生産性」が低いのは、日本が「先進国のふりをした前近代的な身分制社会」だからだと考えている(詳細は新刊の『働き方2.0vs4.0』に書いた)。

2029とはずがたり:2019/12/22(日) 20:30:07

… 

ここ(とは註:https://togetter.com/li/1332708 氏の主張ツイートへの反応まとめ)からわかるのは、多くのサラリーマンが職場の不合理で非効率的な慣行にうんざりしながら、それを変えることができないまま耐えているという現実だ。

読解力・数的思考力、ITスキルのような仕事に必要な能力を測定するPIAAC(国際成人力調査)では、日本はOECDの参加24カ国中ほぼすべての分野で1位だ。それを考えれば、日本の労働者の能力が欧米に大きく劣っているとは考えにくい。

それなのになぜ日本人の労働生産性はアメリカ人の3分の2しかないのか。その理由は、日本の社会の仕組みや会社の働き方が間違っているからだろう。こうしてようやく安倍政権は、「働き方改革」「生産性革命」を掲げるようになった。

平成の「失われた30年」のあいだ、「知識人」もメディアもこの単純な事実(ファクト)をひたすら無視してきた。それは彼らが「日本人/男性/一流大学卒/正社員/中高年」という属性をもつ日本社会の主流派(マジョリティ)=「おっさん」で、社会の仕組みを変えると自分たちの既得権が脅かされることに気づいていたからだ。

その結果、「外国人/女性/高卒・中卒/非正規/若者」という少数派(マイノリティ)が犠牲にされることになった。平成のあいだに広がった「格差」は、この単純な図式でほぼ説明できるだろう。

会社嫌いなのに長時間働く日本人

「エンゲージメント」は、会社への関与の度合いや仕事との感情的なつながりを評価する基準だ。エンゲージメントの強い社員は仕事に対してポジティブで会社に忠誠心を持っており、エンゲージメントが低いと仕事にネガティブで会社を憎んでいるということになる。当然、社員のエンゲージメントが高い会社ほど生産性は高くなる。

近年になってエンゲージメントの重要性が認識されるようになって、コンサルタント会社を中心にさまざまな機関による国際比較が公表されている。

日本経済のもうひとつの「不都合な真実」は、ほぼすべての調査において、日本の労働者(サラリーマン)のエンゲージメントが極端に低いことだ。――世界22カ国のエンゲージメントレベルを評価した調査では、トップはインドの評価点25%で、メキシコが2位で評価点19%、アメリカは中間で評価点1%、日本は最下位で評価点はマイナス23%だった。

1人当たりの平均年間総実労働時間を見ると、1980年代の日本は2000時間を超えて先進諸国で圧倒的に長かったが、2015年には1719時間まで減少してアメリカ(1790時間)と逆転した。

それにもかかわらず、日本の15〜64歳の男性は世界でもっとも長時間労働をしている。なぜこんなことになるかというと、短時間労働の非正規雇用が増える一方で、そのしわ寄せが正社員の長時間労働とサービス残業につながっているからだ。

これをまとめると、日本のサラリーマンは世界(主要先進国)でいちばん仕事が嫌いで会社を憎んでいるが、世界でいちばん長時間労働しており、それにもかかわらず世界でいちばん労働生産性が低いということになる。これがかつての経済大国・日本の「真の姿」だ。

だがこの国ではこの30年間、右(保守派)も左(リベラル)もほぼすべての知識人が「アメリカ」や「グローバリズム」に呪詛の言葉を投げつけ、年功序列・終身雇用の日本的雇用慣行こそが日本人を幸福にしてきたとして、「(正社員の)雇用破壊を許すな」と叫びつづけてきた。事実(ファクト)に照らせば、こうした主張はすべてデタラメだ。日本的雇用=日本の社会の仕組みこそが、日本人を不幸にした元凶なのだ。
生産性が高い工場を海外へ移転

経済学者の深尾京司氏は、『「失われた20年」と日本経済 構造的原因と再生への原動力の解明』(日本経済新聞出版社)で次のような興味深い事実を指摘している。

1990年に存在した42.5万の工場のうち56%にあたる23.9万の工場が2003年までに閉鎖された。新設された工場は10.1万しかなく、結果的に工場数は28.6万へと1990年に比べて33%減少した。

次にこの工場を生産性で分類したところ、「生産性がもっとも低いグループ」では4.25万の工場のうち73%にあたる3.10万が消滅した。ここまでは誰もが当然だと思うだろうが、不思議なのは、「生産性がもっとも高いグループ」でも、4.24万の工場のうち47%にあたる2.00万が消滅していることだ。

2030とはずがたり:2019/12/22(日) 20:30:28
>>2028-2030

生産性の低い工場が閉鎖され、生産性の高い工場が増えれば、国全体の生産性は上がる。ところが日本では、生産性の高い工場も同時に閉鎖されたためにこの効果がはたらかず、生産性が低迷したというのだ。

なぜこんなことになったのか。その理由は大企業が安価な労働力を求めて工場を海外に移転したことと、国内での生産拡大を子会社に移してリストラを進めたことだ。その結果、一部の製造業で生産性が高まったものの、その効果は全体には波及しなかった。

アメリカでは社歴の若いベンチャー企業が多くの雇用を創出したが、日本は開業率がきわめて低いため同様の効果はなかった。外資系企業は生産性が高いが、日本経済は対内直接投資が少なく、外資による雇用創出も期待できなかった。

ここから見えてくるのは、大企業は日本を見捨てて海外に出ていき、ベンチャー企業は育たず、外資系企業は日本に参入できず、結果として大企業のリストラと非正規への置き換えだけが進んだという残念な現実だ。

こうしてパイが縮小するなかでそれぞれの利害が対立することになり、日本はぎすぎすした社会になっていった。保守派やネトウヨ(日本人アイデンティティ主義者)は「韓国・中国」に罵詈雑言を浴びせるが、彼らがゆたかになったことと、自分たちが貧乏になったことはなんの関係もない。

正社員から排除された若年男性

経済学者の神林龍氏は、『正規の世界・非正規の世界』(慶應義塾大学出版会)で、通説とは異なり、「失われた20年」でも全体としては「正規」の割合は減っていないと指摘している。たしかに「非正規」は増えているものの、その割合は自営業者の減少とほぼ一致しているというのだ。

それと同時に、これも通説と異なって、20代の女性でも「正規」の割合は減っていない。たしかに90年代と比べると10ポイントちかく少なくなっているものの、これはバブル期にかさ上げされた分がなくなったからで、その比率は(もともと低いものの)80年代とほぼ同じなのだ。

それにもかかわらず若い女性の「非正規」が大きく増えたのは、それまで「無業者」だった層からの流入で、専業主婦が働くようになったことでほぼ説明できる。

ただし、これは通説がすべてまちがっているということではない。

ゼロ年代の日本の労働市場では、20代男性で「正規」が減って「非正規」が大きく増えた。これは日本企業が、中高年正社員の雇用を守るために新卒採用を抑制したことを示している。それと同時に目を引くのは、バブル崩壊直後の1990年代前半から「無業者」の割合が大きく増えていることだ。
〔PHOTO〕iStock

「無業者」には失業者(働く意思があり求職活動をしている者)も含まれるが、それ以外は「働く意思はあるが求職活動はしていない者」か「働く意思もない者」だ。

平成の日本の重要な変化を挙げるとするならば、そのひとつは「働かない若い男」がものすごく増えたことだろう。彼らは怠けているわけではなく、その多くは以前なら「正社員」として企業に所属できただろうが、バブル崩壊の直撃を受けたことで労働市場から排除されたのだ。

ここで挙げた調査は2007年のもので、それからすでに10年以上が経っている。

内閣府は3月26日、「40〜64歳のひきこもり状態の人が全国に61.3万人いる」と発表した。2015年度に実施した調査では15〜39歳の「若年ひきこもり」は54.1万人と推計されたから、中高年のひきこもりは若年層を上回ることになる。

「就職氷河期」と新卒が重なったロスジェネ世代の多くがすでに40代に達していることを考えれば、この結果に驚きはない。20代や30代で「無業」だった者にとって、40代になって働きはじめるのはきわめて困難だろう。

平成の日本は経済成長(生産性向上)よりも正社員の雇用を優先し、合理性を憎んであらゆる「改革」を頑強に拒んだとことでどんどん貧しくなっていった。その結果、職場は不合理なパワハラやセクハラの温床となって、サラリーマンは会社を憎み、仕事に疲弊し絶望している。しかしそれでも彼ら/彼女たちはまだマシで、その背後には膨大な数の「無業者」がいる。

元号が令和に変わって、私たちはいよいよこの不都合な現実を突きつけられることになるだろう。

2031とはずがたり:2019/12/23(月) 10:23:25
立命館の綜合心理学部。帝塚でもそんな感じがあったように記憶しているし,文学部から心理学部が独立していく傾向にあるねぇ〜。
統計学部や歴史学部の成立はどうかな?

2016.5.25 up
心理学×経済学?
昨今注目されている行動経済学とは
森 知晴
http://www.ritsumei.ac.jp/psy/column/34/

行動経済学(Behavioral Economics)は「心理学と経済学(Psychology and Economics)」とも呼ばれる領域の学問です。創始者はダニエル・カーネマン、エイモス・トヴェルスキーという心理学者で、カーネマンは行動経済学を唱えた功績でノーベル経済学賞を受賞しています。



行動経済学は、私たちの行動や選択に寄り添って展開される

行動経済学が古典的な経済学と異なるのは、状況を正確に把握し自己の利益を常に最大化するような完璧な主体を想定するのではなく、より現実の人間に近い不完全な主体を想定することです。行動経済学を代表する分野をいくつか紹介しましょう。

一つ目は、「確率と意思決定に関する分野」です。従来の経済学では、確率を正しく読み込み計算したうえで行動する主体を想定してモデルを組み立てていました。しかし、さまざまな検証の結果、確率に対する認識にゆがみがあることがわかりました。株価などを扱うファイナンスの分野では、確率に対する認識が重要です。

二つ目は、「時点上の意思決定に関する分野」です。従来の経済学では、人間は「現在」と「未来」のような異時点間でも一貫した選択を行うと想定してモデルを組み立てていました。しかし、さまざまな検証の結果、一貫した選択を行わない主体が多いことがわかりました。特に、未来よりも現在を重要視してしまう「現在バイアス」と呼ばれるゆがみが生じます。「現在バイアス」は、年金などの社会保障や教育投資のような長期にわたる行動、身近なものではダイエットでも重要になってきます。

三つ目は、自分以外のことを考慮して行動する「社会的選好」です。従来の経済学では、自分の利益のみを最大化するような主体を想定していました。しかし、さまざまな検証の結果、他者の状態を考慮したり、相手の行動に合わせて行動したりする主体がいることがわかりました。このような「社会的選好」の行動は、人間関係が重要視される労働分野で重要となります。



2032とはずがたり:2019/12/23(月) 10:47:15

嘗てSchumeterは二条城を見て素晴らしいこれが搾取の結果なら私は搾取を肯定すると云ったとどっかで読んだ(多分根井先生の著書のどれか)が,今さらっとインターネットで調べてみても出てこないなあ。

贅沢財が非分割性があるってのは金融資産もそうなんだけどその辺が不平等と経済発展を動かすモデルがあると面白いんだけど。

連続数学でやってきたので離散数学は苦手なんだけど,有限の特許期間など微分差分方程式を解くなど,離散系も奥深そう。
有限の特許期間はLin and Shampine (2018)が the patent length does not essentially matter with respect to endogenous growth (or at least its qualitative properties)と結論付けてからはまあ良いかなって感じ。

Lin, H.C., Shampine, L.F., (2018) "R&D-based calibrated growth models with finite-length patents: A novel relaxation algorithm for solving an autonomous FDE systems of mixed type" Computational Economics 51, 123?158

寧ろ贅沢品の離散性を連続性に置き換える,昔セミナー聞いて面白くて,テキストも買った奴をまた引っ張り出してきたいが,書名失念。今度大学行った時に要チェックだな。忘れそうだけど。。

2033とはずがたり:2019/12/23(月) 10:56:09
>>2032

cオペレーションズ・リサーチ
離散凸解析のすすめ
室田 一雄
http://www.orsj.or.jp/archive2/or58-06/or58_6_311.pdf

離散凸解析は,整数格子点の集合のうえで定義された関数を,凸解析と組合せ論の両方の視点から考察する理論であり,離散最適化,オペレーションズ・リサーチ,システム解析,ゲーム理論,数理経済学,離散幾何などへの応用がある(図1).M凸関数,L凸関数の概念,共役性および双対性が理論の骨格であり,種々の問題に対してアルゴリズムが開発されている.



以上のように,1変数関数の場合には,式(1)で離散凸性の概念を定義することによって,凸拡張性,局所最適と大域最適の同値性,離散ルジャンドル変換,フェンシェル型双対定理,離散分離定理など,離散凸関数が持つべき性質が得られる.第2節で線形計画について列挙した定理(Conv, LocalOpt, DualPair, MinMax,Separ)に対応する定理がすべて揃っていることに注目されたい.このように,「1変数離散凸関数の最適化理論」は簡単にでき上がる.しかし,これを多変数関数に拡張することは自明でない.離散凸解析は,組合せ論的な考察に基づいてM凸関数とL凸関数という概念を定義し,この拡張を実現した理論体系である.



1980年代に,KelsoとCrawfordはゲーム理論の文脈で効用関数の粗代替性に着目し,この条件下である種のゲームに均衡が存在することを示した.2000年以降の研究により,粗代替性がM凸性と等価であることが明らかとなり,離散凸解析とゲーム理論(数理経済学)との交流が始まった



(M凸関数とL凸関数の説明→略w)



M凸関数とL凸関数は,共役性や双対性といった数学的に美しい構造を持っているだけでなく,計算の観点からも扱いやすい対象である.

室田一雄,離散凸解析,共立出版,2001.

室田一雄,離散凸解析の考えかた,共立出版,2007.

室田一雄,塩浦昭義,離散凸解析と最適化アルゴリズム,朝倉書店,2013.

田村明久,離散凸解析とゲーム理論,朝倉書店,2009

2034とはずがたり:2020/01/06(月) 20:03:37
日銀の某君と内生的成長にカルボ入れて金融政策(貨幣供給量成長率)が成長率に影響を与えるってモデル考えたの10年位前だけど(結局完成せず・・),なんか似た様なモデルが出始めてるみたいだ。

上のはCIA制約で3%インフレが最適,下のはメニューコストで-2%が最適という結論らしい。

Inflation and economic growth in a Schumpeterian model with endogenous entry of heterogeneous firms
Chu, Cozzi, Furukawa, Liao
European Economic Review 98, 2017, 392-409

ttps://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0014292117301319
・This article analyzes the effects of monetary policy on economic growth via a cash-in-advance constraint on R&D investment.
・We also calibrate the model to aggregate data of the US economy and find that the growth-maximizing inflation rate is about 3%, which is consistent with recent empirical estimates.

MPRA DP
tps://mpra.ub.uni-muenchen.de/77543/1/MPRA_paper_77543.pdf

The optimal inflation rate under Schumpeterian growth
Oikawa & Ueda
Journal of Monetary Economics 100, 2018, 114-125

tps://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0304393218303970
・An endogenous growth model with creative destruction and menu costs is constructed.
・With the calibrated model, the optimal inflation rate is about ?2%.

2035とはずがたり:2020/01/07(火) 13:29:11
>>2034
t消しすぎだ。。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0304393218303970

2036とはずがたり:2020/01/19(日) 00:10:28
>>1993-1997 >>2026-2027

増える倒産 社長がいない! 社員もいない!
https://www3.nhk.or.jp/news/special/sakusakukeizai/articles/20200114.html
企業の倒産が増えています。

「景気は緩やかに改善している」と聞きますが、金融担当の柴田明宏記者、いったい何が起きているのでしょうか?


倒産が増えたって、本当ですか?

柴田記者

民間の信用調査会社、帝国データバンクによりますと、2019年に、裁判所に破産などの法的な手続きとって倒産した企業の数は8354件でした。前の年の2018年より3.6%増えました。

2000年以降の企業の倒産数は、2009年の1万3306件をピークに、おととし2018年には8063件まで減少しました。しかし、去年は、前の年より300件近く増えてしまいました。

また別の調査会社、東京商工リサーチのまとめでも、去年の倒産は8383件と1.7%増えました。こちらの調査では、リーマンショックの影響で企業倒産で増えた2008年以来、11年ぶりに増加に転じたとしています。


どうして倒産が増えているのですか?

柴田記者

売り上げの落ち込みなど業績不振が、倒産の大きな理由なのは間違いありません。

ただ、よくみると「後継者がいない」「従業員が集まらない」という理由で経営を諦めてしまう企業が増えているのです。

帝国データバンクによりますと、高齢になった経営者が、誰かに経営を託そうとしたものの後継ぎが見つからず、事業継続を諦めた倒産が460件、人手不足で従業員を確保できず、会社がまわらなくなった倒産が185件ありました。

いずれの理由も調査を始めた2013年以降、最も多くなっているんです。


確かに近所でも、後継ぎがいないため店を閉める、という話を聞きます。

柴田記者

そうですよね。日本全体の高齢化が進んでいるように、経営者も高齢化しているのです。

経済産業省によりますと、日本企業の経営者の平均の引退年齢は70歳なのだそうです。2025年には日本企業の約6割にあたる245万社の経営者が70歳を超え、代替わりが必要になると試算しています。

しかし、そのほぼ半数の127万社で、後継者が見つかっておらず、このままだと廃業するおそれがあると警鐘をならしています。 その中には、ものづくりに欠かせないニッチな技術を持ち、日本経済を支えてきた、たくさんの町工場などが含まれます。

しかし、息子や娘がほかの企業に就職して後を継ぐ気がない。後を継ぐにも相続税などがかかり二の足を踏む。誰かに事業を譲り渡そうとしても、関心を持ってくれる人や会社が見つからない。そういった理由で事業の継続を諦めてしまうのです。

そこに人手不足が拍車をかけています。最低賃金も上昇しているため人件費が増え、採算が取れなくなって倒産に至るケースも増えているんです。


それは深刻ですね。何か支援はないんですか?

柴田記者

後継ぎ探しでは相続税や贈与税の支払いを猶予する税制面の後押しがあります。

また、商工会議所が中心になって、各地に「事業引継ぎ支援センター」を設けて専門家が、事業を引き継いでくれる会社探しを手伝ったり、金融機関が、事業を買い取ってくれる買収先の会社をあっせんしたりする取り組みもあります。

ただ、後継者を探すのには数年かかることも多く、時間との戦いだ、という専門家もいます。それまでに経営者が病気などでリタイアしてしまうケースも少なくないと心配しています。

信用調査会社は、後継難に従業員を集める人件費の高騰。そこに原材料費や物流費の上昇もかさなって、「ことしも倒産件数は増加するおそれがある」と慎重な見方をしています。

2037とはずがたり:2020/02/20(木) 08:11:20
三井vs三菱 グループの命運左右する東芝・三菱自動車の行方
https://www.msn.com/ja-jp/money/companies/%e4%b8%89%e4%ba%95vs%e4%b8%89%e8%8f%b1-%e3%82%b0%e3%83%ab%e3%83%bc%e3%83%97%e3%81%ae%e5%91%bd%e9%81%8b%e5%b7%a6%e5%8f%b3%e3%81%99%e3%82%8b%e6%9d%b1%e8%8a%9d%e3%83%bb%e4%b8%89%e8%8f%b1%e8%87%aa%e5%8b%95%e8%bb%8a%e3%81%ae%e8%a1%8c%e6%96%b9/ar-BBYtUDK?ocid=st
2019/12/31 15:00

 今後の三菱と三井の命運を握るのは、“問題企業”の行く末だ。「その代表分野は『電機』です」と指摘するのは、『経済界』編集局長の関慎夫氏。

「いわゆる総合電機メーカーは長らく独立系の日立、三井系の東芝、そして三菱系の三菱電機という序列で見られており、かつて三菱電機は売上高で“万年3位”と揶揄されました。ところが東芝が不正会計で一気に赤字転落するとその後もなかなか浮上できず、ついに三菱電機が売上高で東芝を抜くようになりました」

 ただし、三菱電機は単なる「敵失」で浮上したのではないと関氏が続ける。

「もともと三菱電機は利益率の高さという強みを持ち、地味ながら1990年代から一貫して『選択と集中』と言い続けました。実際これまでに携帯電話やパソコンといった先の見えない事業をバッサリ切り捨てる一方で、FA(ファクトリーオートメーション=工場自動化)に必要となる産業メカトロニクスなどに経営資源を集中して、コツコツと業績を伸ばしました」(関氏)

 東芝も2000年代までは「選択と集中」を進める会社として称賛されたが、半導体や原子力への注力が裏目に出た。現在の東芝の方向性にも関氏は疑問を抱く。

「東芝は経営再建のため、医療事業の東芝メディカルシステムズや半導体事業の東芝メモリなど、今後成長が期待できる分野まで切り離しました。三菱電機と違って将来性が見られず、この先の再浮上は厳しいでしょう」(関氏)

 もともと三井グループとの繋がりが深く二木会(*)にも名を連ねる東芝だが、現在の車谷暢昭・会長兼CEOは旧三井銀行出身で三井住友銀行副頭取まで務めた人物。三井物産とも提携するなど、三井カラーが濃くなっている。それゆえに、東芝の低迷は三井にとって頭の痛い問題だ。

【*三井グループは毎月第二木曜日に中核企業の社長が集まり、情報交換を行なう「二木会」を開催している】

 一方の三菱にとっては、三菱自動車の行方が不安材料となっている。三菱自動車は、三菱グループの軸である三菱重工業からスピンアウトした会社であり、その都度の三菱グループの力量によって運命を左右されてきた。

「2004年に三菱自動車が大規模なリコール隠しで経営不振に陥った際は三菱重工、旧東京三菱銀行、三菱商事が支援して苦境を脱しました。しかし2016年の燃費不正の際は三菱グループが弱気になり、間隙を縫って出資した日産自動車に救済された。グローバルに競争が激化する自動車産業の中で、三菱自動車は日産と組むことで年間1000万台以上を販売する『1000万台クラブ』の仲間入りを果たし、将来の展望が開けた面がありました」(関氏)

 しかし、頼みの綱である日産がゴーン事件で迷走し、三菱自動車は3度目の危機に追い込まれた。困難を自力で回避できず、他力を頼らざるを得ないところに三菱自動車の根本的な弱みがある。

 対して、自動車業界の盟主であるトヨタ自動車は三井との結びつきが強い。

「トヨタの生みの親である豊田佐吉の豊田自動織機を三井物産が支援したほど両社の関係は古い。戦後すぐにトヨタが経営危機に陥った際も窮地を救ったのは三井銀行でした。

 特に近年はトヨタファイナンスなどトヨタの金融系事業から三菱UFJ系(旧東海銀行)の幹部が一掃され、三井住友銀行系がトヨタの販売金融を担う体制に刷新されました。トヨタが新規に始めた自動車リース事業のほか、系列の損保や住宅事業でも三井グループとの関係が強化されています」(関氏)

※週刊ポスト2020年1月3・10日号

2038とはずがたり:2020/04/07(火) 09:49:38
要素代替の弾力性
宮澤和俊
2019 年度大学院「家族の経済学」の補足
https://www1.doshisha.ac.jp/~kmiyazaw/undergraduate/Elasticity_of_substitution.pdf

わが国における労働分配率についての一考察
西崎 健司・須合 智広 西崎 健司・須合 智広
Working Paper 01-8
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2001/data/cwp01j08.pdf

労働分配率の低下に関するサーベイ
財務総合政策研究所上席客員研究員/愛知学院大学
三好 向洋
https://www.mof.go.jp/pri/research/special_report/f01_2018_08.pdf

2039とはずがたり:2020/04/10(金) 16:04:28

企業と政府の不効率性は目に余る。。

>日本は判断基準となる項目別で、「ビジネスの効率性」が46位と低く、ビッグデータの活用や分析、国際経験、起業家精神は最下位と厳しい。
>「政府の効率性」も38位

英独仏辺りはどの辺だ?

日本の競争力は世界30位、97年以降で最低 IMD調べ
2019/5/29 4:11
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45399600Z20C19A5000000/

2019年世界ランキング綜合順位(括弧内は前年)

1(3)シンガ
2(2)香港
3(1)米国
4(5)スイス
5(7)アラブ首長国連邦
6(4)オランダ
7(12)アイルランド
8(6)デンマーク
9(9)スウェーデン
10(14)カタール

14(13)中国
28(27)韓国
30(25)日本
32(43)インドネシア

2040とはずがたり:2020/04/10(金) 16:15:47
>>2039
英独仏の内,ドイツが17位に入っているけど英仏は上位20圏外か。

英仏等は旧大国が自国のやり方などが残存してると解釈出来る感じもあるけど,韓国も意外に低効率なんだなぁ。こんなとこ迄似ている日韓兄弟国。

【国際】IMD世界競争力ランキング2019、首位シンガポール。日本は30位で凋落止まらず 2019/06/04 最新ニュース
https://sustainablejapan.jp/2019/06/04/imd-world-competitiveness-ranking-2019/39996

 スイスのビジネススクールIMDの世界競争力センター(IMD World Competitiveness Centre)は5月28日、国ごとの競争力を示した2019年版「世界競争力ランキング(World Competitiveness Ranking)」を発表した。同センターは1989年に同ランキングの発表を開始し今年で31回目。2019年版は世界主要国63ヶ国・地域が対象となった。

 同ランキングでは、235の指標を用いて集計。指標の71%は雇用統計や貿易統計といった公式定量データを基にしており、残り29%は、公式統計では把握しづらい「マネジメント慣行」「腐敗」「適応性」「アジリティ」等の内容をIMDが実施する経営幹部意見調査「Executive Opinion Survey」の結果をもとに算出している。同調査では今年度版は6,000人以上の回答を得た。

 国ごとの競争力を測るランキングでは、他に世界経済フォーラムが発表している「Global Competitiveness Report(世界競争力レポート)」がある。これら2つが世界的に非常に有名。

IMD世界競争力ランキング2019
1.シンガポール
2.香港
3.米国
4.スイス
5.アラブ首長国連邦(UAE)
6.オランダ
7.アイルランド
8.デンマーク
9.スウェーデン
10.カタール
11.ノルウェー
12.ルクセンブルク
13.カナダ
14.中国
15.フィンランド
16.台湾
17.ドイツ
18.オーストラリア
19.オーストリア
20.アイスランド

 首位はシンガポールで、昨年の3位から2つも順位を上げた。2位は2年連続香港。米国は昨年から2つ順位を下げ3位となったが、上位3ヶ国は、過去数年3位までを独占し続けている。ブレグジットに揺れる英国は3つ順位を下げ23位。日本は30位で、過去4年の推移は、26位、26位、25位、30位と1997年以降で最低順位となった。東アジアでも、上位20位以内に入った中国、台湾のほか、韓国の28位をも下回った。25位のタイより評価が低かった。

 首位のシンガポールは、分野別で1位はないものの、「経済パフォーマンス」「政府効率」「ビジネス効率」「インフラ」の4部門で全て6位以内と高位に付けた。2位香港は、「政府効率」項目では首位だが、「インフラ」22位と伸び悩んだ。米国は「経済パフォーマンス」「インフラ」の2項目で首位だったが、「政府効率」が23位と低迷した。「ビジネス効率」項目の1位はUAE。

2041とはずがたり:2020/04/10(金) 16:16:31
>>2040
 首位のシンガポールは、分野別で1位はないものの、「経済パフォーマンス」「政府効率」「ビジネス効率」「インフラ」の4部門で全て6位以内と高位に付けた。2位香港は、「政府効率」項目では首位だが、「インフラ」22位と伸び悩んだ。米国は「経済パフォーマンス」「インフラ」の2項目で首位だったが、「政府効率」が23位と低迷した。「ビジネス効率」項目の1位はUAE。

【国際】IMD世界競争力ランキング2019、首位シンガポール。日本は30位で凋落止まらず 2
(出所)IMD

 日本の項目別ランキングは、「経済パフォーマンス」16位、「政府効率」38位、「ビジネス効率」46位、「インフラ」15位。政府効率とビジネス効率が大きく足を引っ張っている。ビジネス効率では、過去5年間で25位から46位と大きく順位を下げた。さらに細部を見ると、マネジメント慣行が63カ国中60位と下から4番目。生産性&効率も56位と下から8番目でかなり深刻な状況。政府系金融と物価も59位と極めて低い。企業の競争力にとって非常に需要な「姿勢&価値」でも51位で非常に悪かった。日本の凋落が止まらない。

【参照ページ】Singapore topples United States as world’s most competitive economy

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

2042とはずがたり:2020/04/26(日) 01:18:41
やれやれ,金持ちめ,抜かりないのお

2020年4月24日 / 01:39 / 1日前
米億万長者の資産、新型コロナ危機下で10%増加=調査
https://jp.reuters.com/article/billionaires-coronavirus-idJPKCN2252Y8

[23日 ロイター] - 米アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)創業者のジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)やテスラ(TSLA.O)のイーロン・マスクCEOなど米国の億万長者(ビリオネア)の資産合計が、新型コロナウイルス危機下でおよそ10%増加したことが、米シンクタンクの政策研究所(IPS)の調査で明らかになった。

米経済はリセッション(景気後退)に直面しているが、ビデオ会議の急増などを背景にビデオ会議システムを手掛ける米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM.O)などの株価が急騰。これが億万長者の資産拡大に寄与している。

一方で、米新規失業保険申請件数は過去5週間で約2650万件に上っており、調査の共著者であるチャック・コリンズ氏は「非常に不平等な犠牲を伴っている」と述べた。

調査によると、今年1月1日から4月10日にかけて、米億万長者34人の純資産は数千万ドル増加。ベゾス氏やマスク氏、ズームのエリック・ユアンCEOを含む億万長者8人の純資産合計は10億ドル増加したという。

マスク氏が18.5%保有するテスラ株は年初から73%上昇。ベゾス氏が15.1%保有するアマゾン株は今年に入り31%上昇した。

調査によると、米億万長者の過去10年間の資産増加率はインフレ調整後で80.6%に達した。

2043とはずがたり:2020/06/09(火) 11:05:09
「あきらめ時だ…」 休廃業・解散、今年5万件ペース
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59799750Q0A530C2EA3000/?n_cid=NMAIL007_20200531_A
2020/5/31 2:00

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、中小企業の経営が急速に悪化している。2020年の休廃業や解散は、推計で5万件にのぼりそうだ。中小企業は日本の雇用の7割を占めており、5万社がなくなれば失業への懸念も高まる。雇用や資金面での政府・自治体の支援策を、中小・零細の企業に早急に行き渡らせることが必要だ。

調査会社の東京商工リサーチによると、新型コロナによる直接的な影響で倒産した企業が29日までに192社となった。20年の倒産合計は、7年ぶりに1万件を超える見通しだ。

だがこの数には、支払いの遅れなどがないまま事業をたたむ休廃業や解散は入っていない。経営者の高齢化や人手不足で事業承継問題が深刻化し、16年から休廃業と解散は年4万件以上の高水準で推移している。

そこにコロナによる需要減が追い打ちとなり、20年の休廃業と解散は19年比15%増の5万件に膨らむと推計する。00年の調査開始から最多だ。景気回復時期も見通しにくく「廃業や解散がさらに増える可能性もある」(同リサーチの原田三寛氏)。


「コロナがなければ、別の展開もあった……」。山形市の漬物店、丸八やたら漬。1885年創業で、市中心部にある国の登録有形文化財の蔵と一体になった店は街のシンボルだ。だが観光客の急減で4〜5月の売上高は例年の6割減となり、31日に閉店して6月末メドに解散すると決めた。

建物だけは残す計画もあったが、コロナで立ち消えになり、土地を売却して金融負債を返済する。新関芳則社長(66)は「倒産して従業員や取引先に迷惑をかける前に自主廃業した方がいい」と話す。

中小・零細企業が自主的な休廃業を選ぶ理由について、東京商工リサーチの原田氏は「新型コロナがもたらす変化に対応するには投資が必要。弱っている中小はそれができない」と指摘する。

「あきらめ時だ」。うどんすきで知られる料亭「東京美々卯(みみう)」。大阪本店から1973年にのれん分けした東京法人は、清算の道を選んだ。外出自粛などで足元の売り上げは9割減り、20日に首都圏の全6店を閉めた。「コロナは長期化する。このままだと倒産のリスクが出る」(担当者)と判断した。

高齢化した経営者の廃業への決断をコロナが後押しした面もありそうだ。19年に休廃業や解散した代表者のうち、84%が60歳以上で39%が70歳代だった。「借り入れや保証融資を受けても返済が心配で、事業を続ける意欲がない。デジタル対応も難しい」(弁護士)

4月に廃業した東京・銀座の老舗弁当店も、後継者がいなかった。70歳に近い店主は「設備投資をしても、回収できる見込みがなかった」と肩を落とす。

大阪府東大阪市の金型町工場の社長(77)は「50歳代の社員が定年になるまでは続けたい」と、家賃と給料に充てるために自分の生命保険を解約した。日本政策金融公庫の低利融資もあるが、「老い先短い身で借金を増やせない」と悩む。

27日に閣議決定した2020年度第2次補正予算案では中小零細企業の家賃負担を軽減するため約2兆円の関連費用を計上。「持続化補助金」など3補助金も計1000億円かけ拡充された。

法政大学経営大学院の丹下英明教授は「M&A(合併・買収)やIT(情報技術)投資などへの前向きな支援金も必要だ」と指摘する。事業再生支援が専門の宮原一東弁護士は「負債が重い事業者などは(金融機関からの)融資を受けるハードルが高い」と強調する。

緊急事態宣言は解除されたものの、人々が自由に移動や行動できない「制限経済」の中で、中小零細の苦境が続く。第1次・2次補正予算案で合計1兆6000億円を計上した雇用調整助成金。手続きの煩雑さなどから支給が決定されたのは22日時点で約90億円にとどまる。20年に5万社が休廃業や解散すると、20万人の従業員に影響が出るという。中小企業を迅速に支えなければ、多くの雇用を失うことになりかねない。

(中藤玲、東大阪支局長 高橋圭介)

2044とはずがたり:2020/06/12(金) 15:23:35
2020.06.11
JALとANAが合併へ…? 銀行員が明かす「驚愕の再編シナリオ」
コロナで「産業地図」は激変する…!
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/73054
小野 一起作家

コロナショックは、われわれ日本人の日常生活や社会の仕組みから、ビジネスの在り方までを根こそぎ変えてしまう。特に影響が大きそうなのが日本企業への影響だ。ではいったい、これから日本の産業界、金融界はどのような姿に生まれ変わっていくのか――。

今回、新作小説『よこどり 小説メガバンク人事抗争』で銀行の在り方について独自の切り口で迫った作家の小野一起氏が、企業の内情に詳しいメガバンクの現役幹部、元日銀幹部など最前線を知る行員たちと緊急対談。「現在の銀行のビジネスモデルは消滅する」「生き残れる会社、死ぬ会社の意外な差」「JAL、ANAは合併へ…!?」「3メガバンクは『1社』に再編へ」など……銀行員たちが驚くべき実情を次々に明かした!



メガバンク部長A … これだけ、オンラインでのやり取りが増えると、その便利さとともに「何が足りないか」を知るきっかけになったと思います。たとえば、うちでいうと経営会議はオンラインに切り替えて意外と不便がない。本部の仕事では、融資の適格性をチェックする審査部門や人事、経営企画などは、かなりの業務がテレワークへの切り替えが可能なことがわかりました。

一方で意外と盲点だったのは、支店のバックオフィスの業務です。融資の書類審査でハンコを照合するといった仕事です。これは別会社に切り離しているのですが、8割ぐらいの行員が店舗に出勤しないと仕事が回らない。

また意外な発見だったのは、資金運用をやっているトレーディング部門が、出勤しないと仕事がうまく進まないことです。

元日銀幹部B(50代)…あえて言えば、融資業務で不動産担保を見る目がある銀行員は多いから、今は信託銀行にしか認められていない不動産ビジネスの規制を緩和すれば、多少は稼げるかもしれません。ただ、まず当面の生き乗りを考えれば、損益分岐点を改善しなければいけない。店舗や人員の過剰にまず手を付ける必要があります。

小野 産業再生機構は、不良債権問題の解決に向けて、経営危機に転落した企業に出資や融資を実施、企業の体質改善やビジネスモデルの転換に取り組んだ上で、出口で株式を民間企業に売却した。カネボウやダイエーなど日本を代表する企業が、再生を果たしました。再生のプロが企業の再建に当たり株式価値を高めた点が重要で、政府に数百億円規模の利益を還元しましたね。

コロナショックによる経済の落ち込みを政府や中央銀行が支えることは重要です。ただ難しいのは大盤振る舞いが政治的な人気取りに利用され、単なるバラマキに陥ってしまうことだと思います。

メガバンク部長A … ANA、JALの航空大手2社は大変な苦境に陥っている。今は政府系の政策投資銀行とメガバンクで資金繰りを支えています。… これは、あくまで例え話ですよ。その時、政府は、この出資金の出口について、どう考えるか。コロナショックが要因ですから経営責任を求めるのは酷でしょう。ただ、再編を求めることはできる。つまりJALとANAの合併を実現するわけです。両社が合併すれば、グローバル競争で勝ち組の一角に入れる可能性は高まります。少なくとも、アジアを代表する航空会社の一つにはなれそうです。


2045とはずがたり:2020/06/24(水) 22:11:58
うおっ

三菱商事が業界盟主から「陥落」する日、旧来型エリートの迷走と凋落
ダイヤモンド編集部 重石岳史:記者
https://diamond.jp/articles/-/235070?utm_source=display&utm_medium=TW&utm_term=CFL&utm_campaign=CFL&utm_content=Article
特集 最後の旧来型エリート 商社
2020.4.20 5:35 有料会員限定

新型コロナウイルスの感染拡大で日本経済への打撃が日増しに深刻化する中、商社業界で、ある歴史的な転換点が静かに近づいている。業界の盟主として常にトップ商社に君臨し続けた三菱商事の株価が急落し、時価総額で伊藤忠商事に追い抜かれようとしているのだ。近年の三菱商事の迷走ぶりを見れば、それは「コロナショック」による偶発ではなく、必然の成り行きだと分かる。特集『最後の旧来型エリート 商社』(全13回)の#1では、そんな旧来型エリートの実像に迫る。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)

商社業界に押し寄せるコロナ禍の衝撃
時価総額で三菱商事に迫る伊藤忠
「伊藤忠商事が三菱商事を逆転する日は近い」(アナリスト)──。株式市場でそうささやかれる“下克上”が、今まさに現実に起きようとしている。4月16日の終値ベースで三菱商事の時価総額は3.51兆円。対する伊藤忠は3.35兆円。かつて3兆円もの開きがあった両社の差は、1600億円程度まで縮まっている。

 激変のトリガーとなったのは新型コロナウイルスの感染拡大だ。5月に予定される2019年度の決算公表を前に、商社業界にはコロナショックの嵐が吹き荒れている。

 まずは丸紅が3月25日、3700億円の一過性損失を計上すると公表。当初2000億円の黒字としていた19年度の純損益予想を1900億円の損失に下方修正し、上場以来最大の赤字に陥ることが判明した。

 その翌日には三井物産が500億〜700億円の減損損失が生じる可能性があると公表。住友商事も4月8日、従来の純利益予想3000億円から1000億円程度下振れする可能性が生じたと発表している。

 いずれもコロナショックによる世界経済の停滞や資源需要減の影響をもろに被った形だ。同じような事業ポートフォリオを持つ三菱商事も、資源や自動車ビジネスの環境悪化で純利益予想の5200億円到達は不可能というのが大方の見方である。一方、非資源に強い伊藤忠に大きな減損はなく、ほぼ予想通りの5000億円で着地するとみられている。

2046とはずがたり:2020/06/26(金) 00:07:59
2017年2月16日
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トランプ大統領にも止められない、
アメリカの「雇用の喪失」と「富の二極化」の先にある未来
[橘玲の世界投資見聞録]
https://diamond.jp/articles/-/118272?page=2

ライシュの「リベラリストとしての敗北宣言」
?何年か前、ライシュはある発電所で働く従業員向けに講演を頼まれた。当時、この発電所では従業員たちが労働組合をつくるかどうかを検討しているところだったが、組合結成に反対票を投じようとしていた一人の若者が、自分はいまもらっている14ドルの時給が妥当で、それ以上もらえるような仕事はしていないといいだした。

?この場面はライシュがカリフォルニア大学で行った授業をもとに制作されたドキュメンタリー映画『みんなのための資本論』(ジェイコブ・コーンブルース監督/サンダンス映画祭審査員特別賞)にも収録されているが、「働く若者にこんなことをいわせる社会は間違っている」という怒りが伝わってくる。こうしてライシュは、「公教育を立て直すだけではダメだ」と考えるようになった。

?ライシュ自身ははっきりとは書いていないが、その理由は明快だ。国をあげて抜本的な公教育改革を行なえば貧困層からクリエイティブクラスの仕事に就く若者が増えるだろうし、もちろんこれは素晴らしいことだが、同時に「能力主義」の神話を強化することになるからだ。

?アメリカに蔓延する「能力主義」をライシュは、「人間の価値は労働市場の評価によって決まる」という価値観だという。10億ドルのボーナスを受け取る投資銀行のCEOはそれだけの価値があり、時給14ドルの若者にはそれだけの価値しかないのだ。

?このような価値観の社会で高所得者への課税を強化し教育にさらなる公費を投入できたとしても(これ自体がほとんど実現不可能だが)、すべての若者がクリエイティブクラスになれるわけはなく、現実には成功者はごく一部にちがいない。だとすれば、それでも落ちこぼれた多くの若者たちの自己評価はどうなるのか……。

?こうしてライシュは、「自助努力」「自己責任」と訣別して、アメリカ社会の制度を批判する。『最後の資本主義』の9割(あるいは95%)は、「アメリカはなぜこんな不道徳な社会になったのか」の詳細なデータに基づく告発だ。

?だがライシュは、富裕層やグローバル企業を「悪」、貧困層を「被害者」として単純に断罪するわけではない。そこにはアメリカの公教育と同じく、「こうなるほかはない」制度的な必然がある。

?アメリカ憲法修正一条は「市民が政府に対して請願する権利」を保障しており、これが政府や政治家に対するロビー活動の根拠になっている。さらに最高裁判所は2010年、右派市民団体「シティズン・ユナイテッド」が連邦選挙管理委員会に対して起こした裁判で、企業(法人)にも人格権を認め、憲法に定められた「言論の自由」が保障されているとの判決を下した。これによって政治広告に対する企業支出を制限した2002年の超党派選挙改革法(マケイン=ファインゴールド法)は憲法違反となり、企業の政治活動が無制限に解禁された。

?そうなれば企業は、自社のビジネスにすこしでも有利になるようさまざまなロビー活動を行なうようになるだろう。株主は企業収益の拡大を望んでいるのだから、そのような努力をしない経営者はさっさと解雇されてしまうにちがいない。

?だが話はこれだけでは終わらない。高徳の株主と経営者のいる企業があって、不道徳なロビー活動はいっさいしないと宣言したとしよう。これは美談かもしれないが、その企業のビジネスモデルや諸権利はたちまちライバル企業のロビー活動によってむしりとられ、事業を継続できなくなってしまうだろう。そうなれば株主が大損するばかりか、従業員も仕事を失って路頭に迷ってしまう。企業による「請願」が広く認められた制度のもとでは、道徳的であろうがなかろうが否応なくライバル企業と同等の、あるいはそれ以上のロビー活動をするしかないのだ。

?アメリカの高級住宅地に暮らす親たちは、子どもによりよい教育環境を与え、自分たちの不動産の価値を守ろうと努力している。そこになんら不正なところはないが、それが間接的に貧困地区の公教育を荒廃させている。

?同様に大企業も、株主の期待にこたえ従業員の生活を守るために、政治に関与してすこしでも有利な条件を引き出そうと努力している。そうしたロビー活動の一つひとつには不正なところがないとしても、それが積み重なると市場のルールは大きく歪められ、富める者がよりゆたかになり、貧しいものがより貧しくなる不道徳な社会ができあがるのだ。――これがライシュの「リベラリストとしての敗北宣言」だが、だったらどうすればいいのか?

2047とはずがたり:2020/06/26(金) 00:09:53
2017年2月16日
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トランプ大統領にも止められない、
アメリカの「雇用の喪失」と「富の二極化」の先にある未来
[橘玲の世界投資見聞録]
https://diamond.jp/articles/-/118272

?このコラムでも何度か紹介したが、クリントン政権で労働長官を務めたリベラル派の経済学者ロバート・ライシュは、1991年に世界的ベストセラーとなった『ザ・ワーク・オブ・ネーションズ』で、21世紀のアメリカ人の仕事はクリエイティブクラスとマックジョブに二極化すると予言した。それから25年後、ドナルド・トランプが大統領に選出される前年に出版された『最後の資本主義』は、ライシュの勝利宣言であると同時に、敗北宣言でもある。

?勝利したのは経済学者としてのライシュで、敗北したのはリベラリストとしてのライシュだ。原著のタイトルは『Saving Capitalism』となっているが、そのうえでライシュは、「資本主義を救い出さなくてはならない」と述べる。これはどういう意味なのか、その主張を検討してみよう。

ブルーワーカーの仕事がなくなり、サービス業の賃金が下がった
『ザ・ワーク・オブ・ネーションズ』でライシュは、より正確には、将来のアメリカ人の仕事は(1)ルーティン・プロダクション(定型的生産)サービス、(2)インパースン(対人)サービス、(3)シンボリック・アナリティック(シンボル分析的)サービスに分かれると述べた。『最後の資本主義』では、四半世紀を過ぎた時点で自らの予言と現実が比較されている。

?ルーティン・プロダクション・サービスは工場労働などの「繰り返しの単純作業」で伝統的なブルーカラーの仕事だが、部下の仕事を繰り返し監視する仕事や、標準的な業務手順を遵守させる管理業務、定期的なデータ入力やデータ検索などのバックオフィスの仕事も含まれる。

?1990年当時、こうした仕事に従事するアメリカ人は被雇用者全体の25%程度だったが、テクノロジーの進歩とグローバル化(新興国の低賃金労働者への置き換え)によってその割合は着実に減少していくとライシュは予測した。

?2014年時点で当時と同じ方法で調べたところ、ルーティン・プロダクション・サービスに従事するアメリカ人の割合は20%以下まで減っているばかりか、物価調整後の賃金の中央値は15%も減少していた。

?インパースン・サービスは小売店の販売員、ホテルやレストランの従業員、介護施設の職員、不動産仲介業者、保育園のスタッフ、在宅医療従事者、フライトアテンダント、理学療法士、警備員など、「人間的な接触が欠かせないために人の手によってなされる仕事」だ。

?1990年時点でこうした仕事に就いているアメリカ人は約30%で、ライシュはその数が増加する一方、賃金は下がると予想した。かつてルーティン・プロダクション・サービスで働いていたひとたち(主にブルーワーカー)がインパースン・サービスでしか仕事を得られなくなり労働力の供給が増えることに加え、ATMやコンピュータ制御のレジ、自動洗車機、自動販売機、自動給油機など省力化のテクノロジーとも競争することになるからだ。

?2014年時点で「対人サービス」の仕事は米国全体の半分ちかくを占め、新たに創出された雇用の大半がこの職業区分に属していたが、その賃金の中央値は物価調整後の数字で1990年の水準を下回っていた。ライシュが予想できなかったのはテクノロジーの急速な進歩で、Amazonはドローンによる配達を計画し、Googleの自動運転車は450万人にのぼるタクシーやバス、トラックの運転手、清掃業従業員の雇用に深刻な脅威を与えている。

?シンボリック・アナリティック・サービスは「問題解決や問題発見、データ、言語、音声、映像表現などのシンボルを操作する戦略的媒体」にかかわる仕事で、エンジニア、投資銀行家、法律家、経営コンサルタント、システムアナリスト、広告・マーケティングの専門家、ジャーナリストや映画製作者、大学教授などが属する。…これを要約すれば、「知的でクリエイティブな仕事」のことだ。

?1990年、ライシュはシンボル分析の専門家が米国の被雇用者の20%を占めており、その割合も彼らの賃金も増えつづけると予想した。

?現実に起きたのは、ライシュの予想をはるかに上回る富の集中と格差の拡大だった。いまやアメリカでは、最富裕の上位400人が所有する富が下位50%の富の合計を上回り、上位1%が米国の個人資産の42%を所有している。

?下位50%の家計が所有する富の割合は1989年時点では3%だったが、2014年時点では1%まで下落した。1978年、上位0.01%の家計は総じて平均的家庭の220倍裕福だったが、それが2012年には1120倍に達している。物価調整後の数字で比較すると、フルタイムで働くひとびとの週当たり賃金の中央値は2000年以降下落しており、時給の平均も40年前より低くなった。

?このように、ライシュの予言はすべて的中した。これが「経済学者としての勝利宣言」だ。

2048とはずがたり:2020/06/26(金) 00:26:22
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%82%BA%E2%80%9521%E4%B8%96%E7%B4%80%E8%B3%87%E6%9C%AC%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E3%81%AE%E3%82%A4%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B8-%E3%83%AD%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BBB%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%A5/dp/4478210187
ザ・ワーク・オブ・ネーションズ―21世紀資本主義のイメージ (日本語) 単行本 ? 1991/10/1
ロバート・B・ライシュ (著), 中谷 巌 (著)

https://www.amazon.co.jp/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%81%AE%E4%B8%96%E7%B4%80-%E3%83%AA%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%AA%E3%83%80/dp/447800076X
クリエイティブ・クラスの世紀 (日本語) 単行本 ? 2007/4/6
リチャード・フロリダ (著), 井口 典夫 (翻訳)

https://www.amazon.co.jp/%E6%9C%80%E5%BE%8C%E3%81%AE%E8%B3%87%E6%9C%AC%E4%B8%BB%E7%BE%A9-%E3%83%AD%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BBB-%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%A5/dp/4492444408/ref=pd_lpo_14_img_1/355-3764222-0241837?_encoding=UTF8&pd_rd_i=4492444408&pd_rd_r=cccb6f4a-2cb2-4ef5-846c-e04ab2a60851&pd_rd_w=jenGq&pd_rd_wg=aMD5D&pf_rd_p=4b55d259-ebf0-4306-905a-7762d1b93740&pf_rd_r=X337AYBB8J6Z08ZM4GDE&psc=1&refRID=X337AYBB8J6Z08ZM4GDE
最後の資本主義 (日本語) 単行本 ? 2016/12/2
ロバート・B. ライシュ (著), Robert B. Reich (原著), 雨宮 寛 (翻訳), 今井

2049とはずがたり:2020/06/27(土) 00:35:23


能力向上期間の決定要因
米田 耕士
(名古屋大学大学院)
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2007/11/pdf/040-050.pdf

人的資本が減価する要因については, 前述の加齢・傷病による消耗 (wear)や, 技術進歩による陳腐化などが指摘されている(De Grip and Van Loo, 2002)。

De Grip, A. and J. Van Loo (2002) ?The Economics of Skills
Obsolescence: A Review," De Grip, A., J. Van Loo, and K.
Mayhew eds. The Economics of Skilles Obsolescence: Theoretical Innovations and Emripcial Applications, Elsevier, pp. 1-26.


他方, 能力の陳腐化を扱う海外の研究 (Neuman and Weiss, 1995; Ramirez, 2002) では, 高学歴者
ほど, 技術進歩の影響による能力の陳腐化が大き
いとされ, こうした現象は 「ビンテージ効果」 と
呼ばれている。

Neuman, S. and A. Weiss (1995) ?On The Effect of Schooling
Vintage on Experience-earnings Profiles: Theory and
Evidence," European Economic Review, 39, pp. 943-945

Ramirez, J. V. (2002) ?Age and Schooling Vintage Effects
on Earnings Profiles in Switzerland," A. De Grip, J. Van
Loo, and K. Mayhew eds. The Economics of Skilles Obsolescence: Theoretical Innovations and Emripcial Applications, Elsevier, pp. 83-99

2050とはずがたり:2020/06/27(土) 00:45:19

〜近年の労働分配率低下の要因分析〜
田中 吾朗・菊地 康之・上野 有子
https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/dp183.pdf

近年、多くの研究やIMFやOECDなどの国際機関の分析で、世界的な労働分配率の低下傾向が指摘されている。

IMF (2017)、OECD (2012)

International Monetary Fund (2017) “Understanding the Downward Trend in Labour Income Shares,”
Chapter 3, World Economic Outlook, April 2017.

OECD (2012) “Labour Losing to Capital: What Explains the Declining Labour Share?,” Chapter 3,
OECD Employment Outlook 2012.


ほとんどの国で、マクロの分配率低下の多くの部分を産業別の分配率の変化によって説明できることが、複数の研究で明らかにされている

Karabarbounis and Neiman (2014)、IMF (2017)、OECD (2012)

Karabarbounis L. and Neiman (2014) “The Global Decline of the Labour Share,” Quarterly Journal
of Economics, vol. 129, no.1, pp.61-103.


Karbarbounis らの研究によれば、従来使われてきた1国の業種別データではなく、国×業種別の分配率データを用いて推計すると代替の弾力性は 1.25 となり、資本財の相対価格低下要因が、世界全体の分配率低下のおよそ半分を説明できるとの結果が得られた 26。ただし、既存の既存研究でも代替弾力性が1を超えるか否かは見方が割れており、1を超えないとする研究成果も複数見られる 2

Lawrence (2015)は、技術革新が急速に進んだ場合、労働の限界生産物の増加が資本の限界生産物の増加
を上回り、労働と資本の代替弾力性が 1 より小さいことと相まって、労働分配率の低下につながると論
じた。また Oberfield and Raval (2014)は、アメリカの事業所データを用いて弾力性が 1 より小さいとの
結果を得ている。


例えば Acemoglu らの最近の研究では、技術進歩が労働市場に影響を及ぼす経路として、①自動化と並んで②
新たなタスクの創出の二つの変化をモデル化し、一定の条件下で自動化は労働分配率にマイナスの影響を及ぼす一方、新たなタスクの創出は分配率を押し上げるとの含意を得た上で、アメリカでの長期的な分配率の低下傾向は、前者が後者を上回っていた結果であるとの解釈をしている 37。

例えばグロスマンらの研究では、生
産性の伸びの低下と労働分配率の低下を同時に説明するため、人的資本の蓄積(大卒比
率の長期的な動向)に着目した。これによると、人的資本を蓄積した労働力は、蓄積し
26 Karabarbounis and Neiman (2014) 27 Lawrence (2015)は、技術革新が急速に進んだ場合、労働の限界生産物の増加が資本の限界生産物の増加
を上回り、労働と資本の代替弾力性が 1 より小さいことと相まって、労働分配率の低下につながると論
じた。また Oberfield and Raval (2014)は、アメリカの事業所データを用いて弾力性が 1 より小さいとの
結果を得ている。 28 Karabarbounis and Neiman (2014)、Lawless and Whelan (2011) 29 Elsby et al. (2013)、Arpaia et al. (2009) 30 Acemoglu and Autor (2011) 31 OECD (2018A) 32 Siegenthaler and Stucki (2014) 33 Perugini et al. (2017) 34 Akerman et al. (2015) 35 Fukao and Perugini (2018)
7
ていない労働力と比べて資本との補完性が高いと考えれば、資本蓄積が進むにつれ労働
者もより多くの人的資本を蓄積するようになる。他方、技術進歩のペースが低下すると、
最適な人的資本レベルが下がり、均衡状態での労働分配率も低下するとしている 36。

2051とはずがたり:2020/06/27(土) 01:00:12
中小企業を潰そう!キャンペーン①

「アベノミクスは大失敗」と言える4つの根拠
今すぐ総括を行い経済政策を修正すべきだ
>>1681-1684
中原 圭介 :経営コンサルタント、経済アナリスト 2016年05月31日

大企業の製造業がいちばん労働生産性は高く、中小零細企業の非製造業がいちばん低くなるわけですが、大雑把に言って、大企業の製造業は労働生産性が1500万円程度であるのに対して、中小零細企業の非製造業はその3分の1の500万円程度にしかなりません。ところが、中小零細企業全体の労働分配率は優に7割を超え、大企業の5割程度よりもずっと高くなっているのです。中小零細企業のコストの大部分が人件費なのですから、労働生産性が引き上げられない限り、賃金の引き上げも難しいといわざるをえないでしょう。

日本の労働生産性が半世紀も先進国ビリの理由
企業の積極的な海外進出はマイナスに働く
>>2026-2027
中原 圭介 : 経営コンサルタント、経済アナリスト
2019/05/29 4:50

中小零細企業の割合が圧倒的に高いという弱み

2つ目の問題点は、日本では企業全体に占める小規模企業(零細企業)の割合が高いということに加えて、中小企業が支える雇用の比率は先進7カ国(米・英・独・仏・伊・日・加)の中で最も高いということです。

日本では全企業の99.7%が中小企業であるのに対して、アメリカでは99.7%、ドイツでは99.5%、イギリスでは99.9%と大きな違いは見られません。ところが、日本の卸売業・小売業などのサービス業では、アメリカやドイツ、イギリスと比べて小規模の企業の割合が高く、国土が狭いにもかかわらず事業所数が多すぎるという難点があるのです。

例えば卸売業・小売業の分野では、従業員が10人未満の事業所数のシェアはアメリカでは50%程度であるのに対して、日本では80%程度とかなり高い状況にあります。
※各国の中小企業の定義は、従業員数や売上高、総資産でも違いがあり、厳密には一律に比較できない。例えば、従業員数で判断すれば、アメリカの中小企業は500人以下、ドイツは500人未満、イギリスは250人以下、日本は製造業・建設業が300人以下、卸売業・サービス業が100人以下、小売業は50人以下となる。

そのうえ、日本では中小企業が支える雇用の比率が一貫して70%前後で推移しているのに対して、アメリカでは50%前後、ドイツやイギリスでは60%前後と日本より低い状況にあります。そのために、日本の中小企業はアメリカの中小企業と同じ付加価値を生み出すために、2倍以上の従業員を雇っている計算になっています。

現実に、卸売業・小売業・サービス業で従業員が5人以下、あるいは製造業・建設業・運輸業などで従業員が20人以下の小規模企業(中小企業の中の分類)は企業全体の90%近くを占めていて、雇用全体の25%を担っているのです。中小企業または小規模企業は平均的に生産性が低く、日本全体の労働生産性の水準を大幅に引き下げているというわけです。

2052とはずがたり:2020/06/27(土) 01:00:34
中小企業を潰そう!キャンペーン②

「中小企業の改革」を進めないと国が滅びるワケ
アトキンソン「中国の属国になるシナリオも」
>>1994-1994
デービッド・アトキンソン : 小西美術工藝社社長
2019/09/20 5:10

日本の人口動態を細かく分析していけば、生産性を高めるしかもはや道がなく、国も民間も真っ先に取り組まなくてはいけない最優先課題である…

では、具体的に生産性を上げるにはどうすればいいか。わかりやすく言えば、「中小企業改革」です。今の日本の産業構造では、生産性向上はほぼ無理です。タブーとされてきた中小企業部門にメスを入れないと、どんなに技術とイノベーションで人口減少に対応ができると言っても、生産性は改善しません。

その中小企業改革の神髄は、中小企業の規模を大きくして、大企業と中堅企業を増やすことです。人口が減るので、それは結果として中小企業の数が減ることを意味します。

なぜ中小企業の数を減らさなければならないか

まず、企業の規模が大きくなればなるほど生産性が上がる、という経済の大原則があります。これは日本も例外ではなく、業種別・都道府県別の平均企業規模と、生産性は見事なほど一致しているのです。だから、生産性向上は企業の規模が拡大することを意味します。

規模が大きくなれば社員の働き方にも余裕ができるので、有給休暇の取得率が上がります。当然、産休や育休の取得もハードルも下がりますので、女性活躍を促すことができます。

この法律が日本を「生産性が低すぎる国」にした
アトキンソン「中小企業基本法が諸悪の根源」
>>1995-1997
デービッド・アトキンソン : 小西美術工藝社社長
2019/10/03 5:30

海外では「有給取得率は企業規模と関係する」という要因分析がなされています。大企業になればなるほど有給取得率が上がり、小さな会社になればなるほど下がることがわかっているのです。この傾向は万国共通で、日本も例外なく当てはまります。

つまり、●アメリカの有給取得率が高いのはアメリカ人の国民性ではなく、単にアメリカの労働者の約50%が大企業で働いているから。日本の有給取得率が低いのも日本人の国民性ではなく、単に日本の労働者の中で大企業に勤めている人が約13%しかいないからなのです。

歴史を振り返れば、小さい企業が多いのは日本の普遍的な文化だと言えるような客観的事実はどこにも見当たりません。むしろ、ある時期を境にして、現在のような「他の先進国と比べて小さな企業で働く人の割合が多すぎる」という産業構造が出来上がっていったことがよくわかります。

では、その時期はいつかというと、「1964年」です。

この年、日本はOECD(経済協力開発機構)に加入しましたが、その条件として突きつけられたのが、かねてより要求されていた「資本の自由化」でした。当時の日本では、資本が自由化されれば外資に乗っ取られるかもしれないという脅威論が唱えられ、護送船団方式など「小さな企業」を守るシステムが続々と整備されました。つまり、1964年というのは、日本を「低生産性・低所得の国」にした「非効率な産業構造」が産声を上げたタイミングなのです。

日本を「生産性の低い国」にした中小企業基本法

そして、この「1964年体制」を法律面から支えたのが、前年に制定された中小企業基本法です。

同法は当時、「中小企業救済法」とも言われたほど、小さい企業に手厚い優遇策を示したものです。同時にその対象となる企業を絞り込むため、製造業は300人未満、小売業は50人未満とはじめて「中小企業」を定義しました。

しかし、これが逆効果となってしまいます。優遇措置を目当てに、50人未満の企業が爆発的に増えてしまったのです。

2053とはずがたり:2020/06/27(土) 01:20:44
https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/dp183.pdf
労働分配率の低下は近年注目を浴びている

IMF (2017)、OECD (2012)

International Monetary Fund (2017) “Understanding the Downward Trend in Labour Income Shares,”
Chapter 3, World Economic Outlook, April 2017.

OECD (2012) “Labour Losing to Capital: What Explains the Declining Labour Share?,” Chapter 3,
OECD Employment Outlook 2012.

https://www.mof.go.jp/pri/research/special_report/f01_2018_08.pdf
先進国のみならず世界全体で低下傾向にある。
(Blanchard(1997), Karabarbounis and Neiman
(2014), Autor et al. (2017), Dao et al. (2017)))

Blanchard, Oliver (1997)“The Medium Run,”Brookings Papers on Economic Activity, Vol. 2, pp. 89?158

Karabarbounis, L. and B. Neiman (2014)“The Global Decline of the Labor Share,”The Quarterly Journal of Economics, Vol. 129, No. 1, pp. 61?103, feb, DOI:http://dx.doi.org/10.1093/qje/qjt032.

Autor, David, David Dorn, Lawrence Katz, Christina Patterson, and John Van Reenen (2017)“The Fall of the Labor Share and the Rise of Superstar Firms,”Technical report, National Bureau of Economic Research, Cambridge, MA, DOI:http://dx.doi.org/10.3386/w23396.

Dao, Mai Chi, Mitali Das, Zsoka Koczan, and Weicheng Lian (2017)“Why Is Labor Receiving a Smaller Share of Global Income? Theory and Empirical Evidence,”Technical report, International Monetary Fund.

これらを説明する為に労働者の2類型に注目されるものも多い。

労働者のスキルの違いによる資本と労働間での代替性の違いに注目した研究成果 29では、資本との代替性が高いのはもっぱら低スキル労働者で、高スキル労働者は資本と補完的とし、労働と資本の組み合わせに応じて、代替弾力性は1を超える場合と下回る場合の両方あると考えられている 30。

29 Elsby et al. (2013)、Arpaia et al. (2009)
30 Acemoglu and Autor (2011)

例えばグロスマンらの研究では、生
産性の伸びの低下と労働分配率の低下を同時に説明するため、人的資本の蓄積(大卒比率の長期的な動向)に着目した。これによると、人的資本を蓄積した労働力は、蓄積していない労働力と比べて資本との補完性が高いと考えれば、資本蓄積が進むにつれ労働者もより多くの人的資本を蓄積するようになる。他方、技術進歩のペースが低下すると、最適な人的資本レベルが下がり、均衡状態での労働分配率も低下するとしている 36。

Grossman et al. (2017)

Grossman et al. (2017) “The Productivity Slowdown and the Declining Labor Share: A Neoclassical
Exploration,” NBER Working Paper 23853, Sep. 2017.

そもそもRomer1990もHとLからなっていた。

これに機能的な差違を加えた研究にTran-Nam, Truong, and Tu (1995) and Kuwahara (2006).などがある。

更にHori2011JEZNには生まれた時に持った技能でHとLを選択するモデルもある。

近年の特徴の一つに人的資本の陳腐化がある。
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2007/11/pdf/040-050.pdf
技術進歩による陳腐化などが指摘されている(De Grip and Van Loo, 2002)。

De Grip, A. and J. Van Loo (2002) ?The Economics of Skills Obsolescence: A Review," De Grip, A., J. Van Loo, and K. Mayhew eds. The Economics of Skilles Obsolescence: Theoretical Innovations and Emripcial Applications, Elsevier, pp. 1-26.


他方, 能力の陳腐化を扱う海外の研究 (Neuman and Weiss, 1995; Ramirez, 2002) では, 高学歴者ほど, 技術進歩の影響による能力の陳腐化が大きいとされ, こうした現象は 「ビンテージ効果」 と呼ばれている。

Neuman, S. and A. Weiss (1995) ?On The Effect of Schooling Vintage on Experience-earnings Profiles: Theory and Evidence," European Economic Review, 39, pp. 943-945

Ramirez, J. V. (2002) ?Age and Schooling Vintage Effects on Earnings Profiles in Switzerland," A. De Grip, J. Van Loo, and K. Mayhew eds. The Economics of Skilles Obsolescence: Theoretical Innovations and Emripcial Applications, Elsevier, pp. 83-99

ここでは毎期毎期人が技能を選択する様な局面を考えたい。

2054とはずがたり:2020/07/01(水) 20:08:55

こんなんやってるからクソみたいな意志決定しかできひんねんヽ(`Д´)ノ

https://togetter.com/li/1551434
社内Zoom会議について日本企業がコンサルに「部長や役員を大きく表示してほしい」や「部長や役員を上座に表示できませんか?」と尋ねた話

2055とはずがたり:2020/07/02(木) 20:26:58
全国で累計250件発生 「新型コロナウイルス」関連破たん状況【6月16日17:00 現在】
6/16(火) 17:41配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/c0d8496981d7ea0f7ea0c87af98b0d846f83a459
東京商工リサーチ
コロナ関連破たんは全国で累計250件に

 6月16日17時現在、「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)は、全国で250件(倒産176件、弁護士一任・準備中74件)に達した。2月2件、3月23件から4月は84件に急増、5月も83件と同水準で発生していた。6月は16日に新たに5件の破たんが判明し58件となり、前月を上回る月間100件ペースで推移している。



【都道府県別】
 都道府県別では、福井、和歌山、鳥取、高知の4県を除く43都道府県で発生している。東京都が55件(倒産46件、準備中9件) で最多。以下、大阪府22件(同15件、同7件)、北海道17件(同14件、同3件)、静岡県と兵庫県が各13件の順。

【業種別】
 最多は緊急事態宣言の発令で来店客の減少、休業要請などが影響した飲食業が37件。次いで、インバウンド需要消失や旅行・出張の自粛が影響した宿泊業が35件。このほか、百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)が31件と続き、個人消費関連の業種が目立つ。
 このほか、休校や飲食店休業の影響を受けた食品関連(製造、販売)32件、工事案件が減少した建設業12件など、多岐の業種に広がっている。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。

最終更新:6/16(火) 17:41

2056とはずがたり:2020/07/16(木) 22:42:53

日本の労働生産性は「韓国以下」世界34位の衝撃
最新版「世界ランキング」の凋落が止まらない
https://toyokeizai.net/articles/-/362247?display=b
デービッド・アトキンソン : 小西美術工藝社社長
2020/07/16 5:35

退職後も日本経済の研究を続け、日本を救う数々の提言を行ってきた彼は、このままでは「①人口減少によって年金と医療は崩壊する」「②100万社単位の中小企業が破綻する」という危機意識から、新刊『日本企業の勝算』で日本企業が抱える「問題の本質」を徹底的に分析し、企業規模の拡大、特に中堅企業の育成を提言している。
今回は、日本の労働生産性が世界と比べてどれほど低いかを解説してもらう。

世界34位に落ちた日本人の労働生産性
前回の記事(MMTでは解決しない「日本人の給料安すぎ問題」)では、MMTで政府支出を増やしても労働参加率には上限があるため、結局、長期的には構造的な問題にメスを入れて「労働生産性」を高める必要があることを説明しました。

では、日本の労働生産性は、実際どれほどなのでしょうか。今回は、最新のランキングをご紹介します。

最新の世界銀行のデータによると、2019年の日本の労働生産性は前年より1つランクを落とし、世界第34位でした。目を覆いたくなるような低い順位です。

このランキングは各国の購買力調整後の数字を比較しているので、為替やデフレの影響は調整されています。デフレを言い訳にして、日本の労働生産性が極めて低いという現実から目を背けることは許されません。

驚いたことに、直近の日本の労働生産性は韓国(1991年時点では世界51位)や、トルコ(同47位)、チェコ(同35位)、スロベニア(同33位)といった国にまで抜かれてしまいました。つい最近まで、こと経済に関してはまったく足元にも及ばないと思っていたこれらの国々は、日本を凌ぐ勢いで労働生産性を伸ばしているのです。逆に言うと、日本の労働生産性がそれだけ著しく伸び悩んでいるということです。

労働生産性の低さは、日本経済の最大の問題です。なお日本の労働生産性は、日本経済が絶頂期にあった1991年でも世界26位と決して高くはなかったので、構造的な問題であることが推察できます。

この連載で何回も説明しているように、日本の全体の生産性が世界28位となっている理由は、労働参加率が向上しているからです。毎年毎年、多くの人が、労働生産性が低く、それゆえ給料水準も低い仕事をするために採用されています。

とはいえ、日本の労働生産性もまったく上がっていないわけではありません。実際、1991年以降、現在までに日本の労働生産性は1.2倍に増えています。しかし、世界銀行が定義している高所得国の生産性は、同期間に1.4倍になっているのです。

1991年の日本の労働生産性は高所得国の89.2%でしたが、2019年には75.8%まで下がって、1991年以降の最低水準に落ち込んでいます。

日本人の給料が低迷している原因は結局、生産性が高くなっているにもかかわらず、労働生産性があまり上がっていないからです。

2057とはずがたり:2020/07/16(木) 22:43:03
>>2056
労働生産性を高めるのは経営者の責任だ
日本人の労働生産性が低いという話をすると、「自分はがんばっているのにバカにされた」と怒りを覚える人がいるようですが、経済学的には、労働生産性を高めるのは第一義的に経営者の責任です。また、実際に労働生産性を大きく高めることができるのは、経営者やそれに準ずる経営層だけです。

労働生産性を高めるために労働者1人ひとりができることは、きわめて限られます。なぜなら、労働者自身は通常、機械化を決める権利も、自分がどんな仕事をするかを選ぶ権利もないからです。生産性の低い仕事を機械化したうえで、より生産性の高い仕事に労働者を再配分するという決断は、経営者しか下せないのです。

では、なぜ日本の経営者はこれまで、労働生産性を高めてこられなかったのでしょうか。その根本原因は多かれ少なかれ、政府の経済政策と規制にあります。

日本政府はこれまで、小規模事業者を中心に、成長しない企業も、経済合理性を失った企業も守りすぎていたのです。政府に守られた企業は創意工夫をしなくても存続できてしまうため、経営者は経営を改善したり成長を目指したりするモチベーションを失ってしまいました。その結果、労働生産性の低い企業が蔓延してしまったのです。

要は、意図的ではないにせよ、経営が下手な企業経営者に同情するあまり、多くの国民を低賃金の地獄に叩き込んできたのです。その象徴が「低すぎる最低賃金」であり、拡大し続ける「非正規雇用」であり、途上国からの「外国人労働者」です。

先週の記事にも書いたとおり、MMTによって政府支出を増やしても、それによって比較的容易に生産性を高められるのは完全雇用を達成するまでです。それ以降、政府支出を活かすには、労働生産性を高める政策、産業構造の改善を促進する政策が不可欠です。そうしないと、政府支出を継続しても、ただインフレになるだけです。

2058とはずがたり:2020/09/20(日) 19:55:25
中央卸売市場制度って日本人の大発明なんだぜ①〜⑫
「卸売市場法」、(おろしうりしじょうほう)、と読みます。
https://togetter.com/li/1328813
この法律がいかに画期的なものであるのか、それを解説しているのですが、「市場とはいったいなにか」、市場の哲学といったものを考えた人がいます。

2059名無しさん:2020/09/25(金) 13:58:25
https://news.yahoo.co.jp/articles/2333b1c7dd309969f5c5a66f4817c3c68b8436c8
「日本の宝・中小企業」をイジメる菅総理は、「悪」なのか
9/22(火) 8:19配信

 「そんな弱い者イジメのような政策より、手をつけなくちゃいけないことが山ほどあるだろ!」と怒りのあまり、気がヘンになってしまう方も多いのではないか。

 「秋田初の総理大臣」「農家出身の苦労人」「実はシャイでパンケーキ好き」など好感度の高いキャラから、60?70%という高い支持率を得た菅総理が、中小企業の再編圧力を強めていくらしいと報道されたところ、早くも一部からブーイングが出ているのだ。

 ご存じのように、日本は他の先進国と比べて際立って生産性や賃金が低い。これは日本企業の99.7%を占め、全労働者の7割が働く中小企業の生産性が低く、低賃金が常態化しているからだという指摘がある。生産性と賃金を上げるには、再編や統合で企業規模を大きくすることが最も効果的であることが各国のデータでも明らかになっている。

 そこで菅総理としては、補助金と優遇策で「保護」に重きを置いてきた中小企業政策を、「成長促進」へと大転換させていくという。これに中小企業経営者、また彼らからよく相談に乗るコンサルタントの皆さんが猛反発。ネットやSNSに寄せられる怒りのコメントを要約すると、ざっとこんな感じだ。

「企業規模が大きくなると生産性や賃金が上がるなんて話はデマだ! 小さい会社には世界に誇る高い技術力や人材の強みがあるのだ!」

「現実を分かっていない弱者イジメだ! 小さくても技術力の高い町工場などが大企業に吸収されろというのか!」

「中小企業を目の敵にするのではなく、すべての会社が生産性を上げられるようにすべきだ!」

 彼らの怒りの根底にあるのは、「すべての中小企業は日本の宝なんだから、潰れないように国が応援しなくてはいけない」という考え方だ。生産性が低いのも、賃金が低いのも、中小企業に厳しい世の中が悪い。中小企業は「弱者」であり、税金でもなんでも使って手厚く守ることが「正義」なのだから、「もっと会社を大きくして生産性を高めなさい」などと冷たく言い放つ菅総理は「悪」である、というロジックなのだ。

2060名無しさん:2020/09/25(金) 13:58:51
>>2059

中小企業経営者という”おいしい立場”
 こういう考え方になるのは、個人的には分からんでもない。仕事柄、かなりの数の中小企業経営者と会ってきた。社員の雇用を守るため、独自の技術やサービスを守るため、自分の給料ゼロで頑張るような方もたくさんいらっしゃった。そういう中小企業経営者の立場に立てば、「ケッ、何が生産性だよ、中小企業の厳しい現実を知らねえのか」とツバを吐きたくなる気持ちは痛いほど分かるのだ。

 が、当たり前だが世の中は、そんな「下町ロケット」に登場するような「清貧」の中小企業経営者ばかりではない。「弱者保護」という制度をフル活用して、中小企業経営者という”おいしい立場”にあぐらをかいている方も存在するのもまた事実だ。

 実際、中小企業経営者が、株主や外部監査から厳しい目にさらされる大企業経営者と比べ物にならないほど、会社を私物化しやすいことに異論を挟む者はいないだろう。全国に、自分の財布と会社の財布をごちゃ混ぜにして、夜の交際費や高級外車を経費として計上する中小企業経営者が山ほどいる。愛人を秘書や経理担当者として働かせていたなんて話もドラマの中だけではなく、そのへんで普通によく聞かれる。

 また、製造業は従業員300人以下、サービス業は50人以下という中小企業の条件を満たせば、税制面などで優遇が受けられる。そこに加えて、妻や親戚を役員にして報酬を支払うなど、大企業ではあり得ないほどダイナミックな節税や蓄財が可能なのだ。

 ただ、そんな中でも実はあまり知られていない「おいしさ」が、経営者が労務問題に真摯(しんし)に向き合わなくていいということである。

社長は「雇用主」&「恩人」
 一般的に、社長と社員数名という家族的な雰囲気な会社では、賃上げだ、労働条件の改善だなどというシビア話し合いは行われることが少ない。「信頼関係で成り立っている」と言うと聞こえはいいが、悪く言えば、労働基準法や最低賃金法を度外視したブラック経営を、人間関係でうやむやに押し通せる側面があるのだ。

 例えば、そのような小さな会社で、残業代未払いや最低賃金ギリギリで働かされる従業員が、「社長、これじゃ生活できないので少し給料を上げてもらえませんか?」と頼んだとしよう。しかし、社長から「すまん、今は厳しいからもうちょっと我慢をしてくれ」と言われたら従業員は労基に駆け込むだろうか。不満をグッと抑えて受け入れるのではないか。社長は「雇用主」である一方、自分を拾ってここまで育ててくれた「恩人」でもある。そんな父や兄のような存在が困っているのなら、少しでも役に立つのが人の道だということで強硬な姿勢に出られないのだ。

 人件費に頭を悩ます経営者側からすれば、これほどありがたい話はない。また、性悪説に立てば、この関係性を悪用する恐れもある。つまり、実際は経営的に余力があっても、「ウチは厳しい」「大きな仕事が入ったら還元する」と情に訴えて従業員の人件費を圧縮することもできてしまうのだ。

 先ほども申し上げたように、苦しい状況の中で必死に頑張る中小経営者の方もたくさんいらっしゃる。しかしその一方で、従業員に低賃金重労働を強いながら、おいしい思いができるということで、あえて会社を大きくせず、中小企業にとどまっている経営者も実はかなり存在しているのだ。

 それがうかがえるのが、昨年の消費増税時に起きたこの現象である。『消費増税のポイント還元対象狙い? 小売業「中小企業化」相次ぐ』(SankeiBiz 2019年8月21日)

 ご存じのように、昨年10月の消費増税に伴って、国が税金を使ってポイント還元事業を行ったが、あれは大企業は関係なく、中小企業が対象だった。そこで、どうにかこの制度の恩恵を得ようと、スーパーなどの小売業で資本金を5000万円以下に減らして法律上、中小企業になる動きが広がった。実際、帝国データバンクによれば、今年1〜7月に減資したのは412社に達し、前年同期の252社から6割以上増えたという。

2061名無しさん:2020/09/25(金) 13:59:13
>>2060

成長せずに「現状維持」
 たかだか数カ月の優遇策を受けるため、これだけの数の事業者が「小さい企業」になることを選択した。ということは、1964年に中小企業基本法が制定され、中小企業保護政策が続いたこの56年間で、あえて会社を大きくせず、小さい企業にとどまった事業者の数もすさまじいことになっているはずだ。

 そのあたりを分析しているのが菅総理の経済政策に大きな影響を与えていると指摘されるデービッド・アトキンソン氏だ。著者『国運の分岐点 中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか』(講談社α新書)の中から引用しよう。

 『もっとも注目したいデータは1975年以降1995年までの企業の増減の中身です。この間、日本企業は約170万社増えますが、そのうち、約150万社が従業員数10人未満の企業です。もっとも生産性の低い、給料が少ない企業です。この増え方は異常ですし、それ以上に重視したいことは、それらの企業の多くが20年経っても従業員数10人未満のままで、伸びていないことです』(P.106)

 64年を境に日本では中小企業保護政策の追い風を受けて、小さな会社がドカンと増えた。優遇されるところに新規参入や起業が活発になるのは当然だし、それ自体は悪いことではない。問題はこの大量にあふれた小さな会社が10年、20年経ってもまったく成長せず、「現状維持」を続けていることだ、とアトキンソン氏は指摘している。

 つまり、この30年間、日本だけが先進国の中で唯一経済成長できていないのは、「成長しない小さな会社」が社会にあふれかえっている側面があるからだ。というと必ず「なぜ成長しなくちゃいけないんですか、現状維持じゃダメなんですか!」と蓮舫さんみたいなことを言い出す人がいるが、中小企業経営者の場合それは「オレはブラック経営者だ」と白状しているに等しい。人口減少や原料高騰など外部環境が目まぐるしく変わっていくなかで、成長しない企業が生き残るには固定費を切りつめるしかない。その中で最も手をつけやすいのは人件費である。つまり、会社を守るための低賃金重労働が常態化するのだ。

2062名無しさん:2020/09/25(金) 14:00:30
>>2061

志半ばで頓挫するシナリオも
 世の中に小さな企業がたくさん生まれたら通常、歩む道は「成長」か「廃業」だ。つまり、アップルやアマゾンのような世界的企業とまではいかなくとも、社員3人で始めたベンチャーも10人、20人と増えていくものである。それができないということは、事業モデルに致命的な欠陥があるか、社長が会社経営に向いてない。こういう事業者が廃業や倒産に追い込まれることで「新陳代謝」と「競争」が促されて、市場が健全化していく。

 しかし、日本では64年以降、小さな会社を手厚く保護しているので、事業モデルが破たんした会社でも潰れることなくギリギリのところで持ちこたえている。そのおかげで、零細企業経営者は社長でいられ続けているわけだか、その立場を守っているのが低賃金を強いられている従業員であることを忘れてはいけない。

 この複雑な構造が、日本で「中小企業改革」が進まない最大の理由だ。中小企業の規模が大きくなって賃金も上がっていけば、そこで働く労働者からすればありがたいし、社会的にもメリットがある。が、それは必ずしも中小企業経営者の「幸せ」には直結しない。

 これまで述べてきたように、小さな会社が大きくなると、これまでのような私物化はできない。また、真面目に働く低賃金労働者を「情」でコントロールすることも難しくなる。日本社会や労働者のメリットと、中小企業経営者のメリットが一致しないのだ。

 この利益の衝突はそのまま、「日本の低い生産性と賃金を変えるには、中小企業の再編・成長を促すしかない」という人と、「中小企業をイジメたら、失業者が街にあふれかえってこの国はおしまいだ!」という人たちとの間の「終わりのない激論」になっている。

 そう考えていくと、菅総理が目玉政策と掲げる「中小企業基本法の見直し」も先行きはかなり不透明だ。場合によっては、志半ばで頓挫するシナリオもある。

「菅おろし」が進む
 霞ヶ関官僚が安倍さんのモリカケのような「菅のアキレス腱」を、シンパの記者と必死に探し回っていることからも分かるように、「時代が変わったんだからいい加減そろそろあんたたちも変わりなよ」と迫られた既得権益側というのは、どんな手を使っても相手を潰しにかかる。まさしく「やられたら、やり返す、倍返しだ」の世界なのだ。

 実際、「中小企業保護こそ正義」という人々による「菅おろし」の動きが着々と進んでいる。

 例えば、日刊工業新聞は9月20日に、経産相幹部の「菅総理はアトキンソン信者」というコメントを紹介して、おかしな占い師にハマった芸能人のような感じで揶揄(やゆ)している。ご存じのように同紙は会社案内で、「中小企業振興に努めてまいりました」と胸を張るほど、中小企業経営者に優しい媒体として知られている。中小企業政策を担ってきた経産省のエリートにとって、これまでの方針にダメ出しをするアトキンソン氏の存在が疎(うと)ましいのは言うまでもない。

 こういう反発をものともせず、菅総理は「成長しない中小企業」の既得権益にバッサリ切り込めるのか。それとも、「造反官僚」たちの内部告発によって「倍返し」されてしまうのか。

 中小企業をめぐる「正義」と「悪」の戦いは、ある意味でドラマ「半沢直樹」よりも面白いかもしれない。

(窪田順生)

ITmedia ビジネスオンライン

2063名無しさん:2020/09/25(金) 14:00:54
https://news.yahoo.co.jp/articles/264ec1a39944a573687424e7539a9e0f78fde55d
「最低賃金上げ」で中小企業が淘汰の可能性 経産省警戒
9/25(金) 7:15配信

 菅義偉政権の中小企業政策に注目が集まっている。菅首相が持論とする「最低賃金(最賃)の引き上げ」を強力に実施すれば、経営基盤の弱い中小企業が淘汰(とうた)される可能性があるからだ。首相は早速、梶山弘志経済産業相に「中小企業の再編促進などによる生産性の向上」を指示。新政権は、税制上の優遇措置などを定めた中小企業基本法の見直しに踏み込むという観測も出ている。経産省はこれまで、一定の新陳代謝を促しつつも積極的に企業数を減らす手法を取ってこなかっただけに、省内には政策転換への警戒感も漂う。

 「『引き上げありき』ということではなく、上げられる環境づくりがまず第一だ」。首相が自民党総裁選で最賃の全国的な引き上げに言及したことに関連して、梶山氏は今月18日、再任後初の閣議後会見でこう強調した。

 首相は官房長官を務めていた頃から最賃引き上げの推進派。昨年5月の経済財政諮問会議では、最賃引き上げについて「5%程度を目指す必要がある」という新浪剛史サントリーホールディングス社長の発言を引き取り、「私が言いたいことを全部言ってくれた」と強調した。世耕弘成経産相(当時)は「中小企業・小規模事業者の現場では、現行の引き上げペースが精いっぱいだ」と、大幅な引き上げには慎重な姿勢を示した。

 政府の成長戦略には今年度中に、「中小企業の生産性向上に向けた事業統合、再編を促すために予算・税制などを含めた総合的な支援策を示す」と明記されている。

 首相の考えている「再編促進」が、従来の政策の延長線上にあるのか、最賃の大幅引き上げや中小企業基本法の見直しを含む“荒療治”となるのかは判然としない。同省幹部からは、「最賃の引き上げで中小企業の数を減らすという手法を取るとすれば、乱暴だ」と警戒する声も上がる。

 もっとも、中小企業は新型コロナウイルスの感染拡大で青息吐息だ。首相も資金繰りなどを着実に支援する考えで、すぐに中小企業政策の転換が行われる可能性は小さい。梶山氏は会見で「まだ、首相から具体的な指示があったわけではない。大きな意味での中小企業対策ということだ」と話した。(高橋寛次)

2064名無しさん:2020/09/25(金) 14:02:09
https://news.yahoo.co.jp/articles/296e531c126c8b7bf95f665824666f53a269ea0a
菅義偉首相「孫正義潰し」の一手は「側近官僚を公取委員長に」
9/24(木) 6:34配信

 9月18日、官邸で菅義偉首相(71)と会談した武田良太総務相(52)が、記者団に対して息巻いた。
「100%、やる――」

 菅首相の目玉政策のひとつである「携帯電話料金の引き下げ」について、事務方に対して具体的な検討を進める指示をすでに出したことも、武田総務相は明らかにした。首相直々に「至上命令」と伝えられたのか、「1割(値下げ)とかいう程度では改革にならない」とまで、ぶち上げた。

 菅首相と大手携帯キャリアとの因縁は、菅首相が官房長官を務めていた2018年8月に、「携帯電話料金は4割下げできる余地がある」と発言したことから始まった。第1次安倍内閣での初入閣が、電波を所轄する総務大臣だった菅首相だけに、この政策は「悲願」と言えるものだ。

 これまで、その菅首相の前に “天敵” として立ちはだかってきたのが、ソフトバンクグループを率いる孫正義氏だった。

「2018年11月、孫正義氏が決算説明会の場で菅官房長官の『値下げ発言』に触れはしなかったものの、『(新料金プランは)実質4割値下げにあたる』『ギガバイト単価は欧米事業者と比べても、我々は世界でもっとも安い事業者のひとつではないか』と “反撃” したこともありました」(経済紙記者)

 経済ジャーナリストの松崎隆司氏も語る。

「2018年の『値下げ発言』の際には、菅氏が発言して以後、NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクという大手キャリア3社の時価総額は、合わせて3兆5000億円も減りました。その結果、各社は政府の顔色をうかがう形で、通信料金を2割から4割下げられる料金プランを設定しました。

 政府はさらに、『楽天モバイル』の参入を後押しし、最近では番号移行制度の手数料の原則廃止も進めています。企業間競争を煽って、料金値下げに持っていこうということでした。しかし、想像以上に消費者側の “大手志向” が強く、現状は政府の思惑通りの値下げが実現していないのです」

 そのため、携帯キャリアへのさらなる圧力を強めようと、菅首相は自民党総裁選の段階から、「大手キャリアの寡占状態が続くなら、携帯電話事業者が支払う電波利用料の引き上げもやむなし」と、牽制をおこなっていた。だが、それには「電波法」の改正が必要であり、時間がかかる。

「そこで菅氏は、“二の矢” を準備していたのです」と、ある政治部記者は話す。

「菅氏の官房長官時代、長く内政担当の官房副長官補を務めた古谷一之氏(65)が、9月16日付で公正取引委員会の委員長に就任しているのです。

 この人事が内定したのは、安倍政権時代の2020年3月ごろ。もともと菅氏は、『古谷氏を官房副長官にしたい』という意向を持っていましたが、これが安倍前首相に蹴られ、菅氏は『官房副長官がダメなら』と、すかさず古谷氏を公取委員長に据えたのです。

 古谷氏は就任会見で、『料金値下げが実現するよう貢献したい』と、菅氏の意向に沿うような発言を早速しています。公正取引委員会には、消費者保護目的の排除措置命令を出すことで、携帯料金の是正を求める権限がありますから」

 さらに、2020年7月に総務省官房長に就任した前内閣総務官の原邦彰氏(56)は、古谷氏とともに2019年の “お代替わり” について宮内庁との折衝を担当するなど、互いに気脈が通じている。

「この人事も、原氏を総務事務次官に据えるため、菅氏が差配したといわれています」(同前)

“天敵潰し” へ、菅首相が仕掛けた包囲網は完成しつつある。

2065とはずがたり:2020/10/26(月) 19:20:56
日本の所得と富の分配 (日本語) 単行本 ? 1994/9/1
石川 経夫 (編集)
https://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E6%89%80%E5%BE%97%E3%81%A8%E5%AF%8C%E3%81%AE%E5%88%86%E9%85%8D-%E7%9F%B3%E5%B7%9D-%E7%B5%8C%E5%A4%AB/dp/4130401394

2066とはずがたり:2020/10/28(水) 14:46:58
労働時間が減ったけど生産量はそれ程減らなかったのか。。

2020年8月14日11:04 午後2ヶ月前更新
米労働生産性、第2四半期は7.3%上昇 11年ぶりの高い伸び
ロイター編集
https://jp.reuters.com/article/usa-economy-productivity-idJPKCN25A1WX?taid=5f369dc166390400019c9c00&utm_campaign=trueAnthem:+New+Content+(Feed)&utm_medium=trueAnthem&utm_source=twitter

 14日、米労働省が発表した第2・四半期の非農業部門労働生産性(速報値)は、季節調整済みの年率で前期比7.3%上昇し、2009年第2・四半期以来11年ぶりの高い伸びを記録した。写真はイリノイ州で2019年6月撮影(2020年 ロイター/Kamil Krzaczynski)
[ワシントン 14日 ロイター] - 米労働省が14日発表した第2・四半期の非農業部門労働生産性(速報値)は、季節調整済みの年率で前期比7.3%上昇し、2009年第2・四半期以来11年ぶりの高い伸びを記録した。

市場予想は1.5%上昇。前四半期は0.3%低下していた。前年同期比では2.2%上昇した。

労働時間は43.0%減と、統計を開始した1947年以降で最も落ち込んだ。生産単位当たりの報酬を示す単位労働コストは12.2%上昇し、前四半期の9.8%から伸びが拡大。前年同期比では5.7%伸びた。

2067名無しさん:2020/11/20(金) 10:44:57
https://news.yahoo.co.jp/articles/941a58408e6dead8b883d79e1f7154aa58559fab
アトキンソン氏vs日商・三村会頭 中小企業政策で衝突
11/20(金) 7:00配信

 政府は19日、「成長戦略会議」を首相官邸で開き、「中小企業改革」を議論した。菅義偉首相のブレーンで、中小企業再編を主張する元金融アナリストのデービッド・アトキンソン氏と、同氏の主張に懸念を示す日本商工会議所(日商)の三村明夫会頭が正面からぶつかる展開となった。

 首相は中小企業の再編促進策に意欲を示す。同会議の事務局が「合併による中小企業の規模の拡大を支援すること等を通じて、労働生産性の向上を図るべきではないか」と問題提起し、議論がスタートした。

 アトキンソン氏は会議に示した資料で「中小企業の生産性は長年低迷」と指摘し、現状を打開するには「最低賃金の段階的な引き上げが有効」と主張した。中小企業を再編し、賃上げに耐えられる「強い中小企業」を創造する必要があるとの考えを示した。

 三村氏は、雇用に占める中小企業の割合は東京・大阪の大都市を除くと「8割超」に上るとするデータを提示した。そのうえで「小規模企業の減少は都市への雇用流出につながり、地方の衰退を加速させている」との主張を展開。中小企業が地方の雇用の受け皿になっていることを強調し、慎重な対応を訴えた。

 会議後、三村氏は記者団に「色んな政策手段で生産性を上げることが必要。一つの政策をやったらすべてのことが解決するとは限らない」と、早急な再編論に釘を刺した。

 同会議は中小企業改革などの生産性向上策について、年内に中間報告をとりまとめる予定だ。(相原亮、諏訪和仁)

朝日新聞社

2068とはずがたり:2020/11/20(金) 11:21:50
569 自分:とはずがたり[] 投稿日:2020/11/20(金) 11:21:36
日本のR&D投資は重複が多いから無駄が多いと云うのは昔から云われてた様だ。

後藤 晃 (1989) "研究開発と技術革新" 後藤晃・小峰隆夫・古川彰編『新・日本経済論』東洋経済新報社

後藤 晃・若杉龍平 (1984) ”技術政策” 小宮隆太郎・奥野正寛・鈴村興太郎編『日本の産業政策』東大出版会

根津利三郎 (2003) "国際社会からみた日本の科学技術政策" 『研究 技術 計画』 第16巻 第3・4号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsrpim/16/3_4/16_KJ00002340204/_pdf/-char/ja

野田英雄"経済成長モデルにおける産業R&Dと特許システム"内の記述

2069とはずがたり:2020/11/23(月) 20:22:18
日本の労働生産性は「韓国以下」世界34位の衝撃
最新版「世界ランキング」の凋落が止まらない
https://toyokeizai.net/articles/-/362247
デービッド・アトキンソン : 小西美術工藝社社長
2020/07/16 5:35
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オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏。
退職後も日本経済の研究を続け、日本を救う数々の提言を行ってきた彼は、このままでは「①人口減少によって年金と医療は崩壊する」「②100万社単位の中小企業が破綻する」という危機意識から、新刊『日本企業の勝算』で日本企業が抱える「問題の本質」を徹底的に分析し、企業規模の拡大、特に中堅企業の育成を提言している。
今回は、日本の労働生産性が世界と比べてどれほど低いかを解説してもらう。

世界34位に落ちた日本人の労働生産性
前回の記事(MMTでは解決しない「日本人の給料安すぎ問題」)では、MMTで政府支出を増やしても労働参加率には上限があるため、結局、長期的には構造的な問題にメスを入れて「労働生産性」を高める必要があることを説明しました。

『日本企業の勝算』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら)
では、日本の労働生産性は、実際どれほどなのでしょうか。今回は、最新のランキングをご紹介します。

最新の世界銀行のデータによると、2019年の日本の労働生産性は前年より1つランクを落とし、世界第34位でした。目を覆いたくなるような低い順位です。

このランキングは各国の購買力調整後の数字を比較しているので、為替やデフレの影響は調整されています。デフレを言い訳にして、日本の労働生産性が極めて低いという現実から目を背けることは許されません。

驚いたことに、直近の日本の労働生産性は韓国(1991年時点では世界51位)や、トルコ(同47位)、チェコ(同35位)、スロベニア(同33位)といった国にまで抜かれてしまいました。つい最近まで、こと経済に関してはまったく足元にも及ばないと思っていたこれらの国々は、日本を凌ぐ勢いで労働生産性を伸ばしているのです。逆に言うと、日本の労働生産性がそれだけ著しく伸び悩んでいるということです。

労働生産性の低さは、日本経済の最大の問題です。なお日本の労働生産性は、日本経済が絶頂期にあった1991年でも世界26位と決して高くはなかったので、構造的な問題であることが推察できます。

この連載で何回も説明しているように、日本の全体の生産性が世界28位となっている理由は、労働参加率が向上しているからです。毎年毎年、多くの人が、労働生産性が低く、それゆえ給料水準も低い仕事をするために採用されています。

労働生産性ランキング
2019年
順位 国・地域名 労働生産性($)
1.ルクセンブルグ 241,894
─.マカオ 209.215
2.アイルランド 186,516
3.シンガポール 164,154
4.ブルネイ 136,523
5.アメリカ 136,523
6.ノルウェー 128,768
7.スイス 125,139
8.カタール 118,000
9.ベルギー 123,282
10.サウジアラビア 118,902
─.香港 118,000
11.デンマーク 118,000
─.プエルトリコ 113,752
12.オーストリア 113,752
13.フランス 111,303
14.オランダ 110,301
15.イタリア 109,380
16.スウェーデン 106,969
17.ドイツ 105,884
18.フィンランド 104,885
19.オーストラリア 99,307
20.アラブ首長国連邦 99,307
21.スペイン 95,385
22.アイスランド 95,254
23.カナダ 94,813
24.イギリス 94,007
25.マルタ 92,715
26.イスラエル 92,715
27.クウェート 82,175
28.ギリシャ 82,175
29.スロベニア 81,507
30.トルコ 81,407
31.韓国 81,006
32.チェコ 80,507
33.ニュージーランド 79,508
34.日本 78,147
35.バーレーン 76,052
(注)東堂生産性は購買力調整済み
(出所)世界銀行データをもとに筆者作成

2070とはずがたり:2020/11/23(月) 20:23:06
>>2069
とはいえ、日本の労働生産性もまったく上がっていないわけではありません。実際、1991年以降、現在までに日本の労働生産性は1.2倍に増えています。しかし、世界銀行が定義している高所得国の生産性は、同期間に1.4倍になっているのです。

1991年の日本の労働生産性は高所得国の89.2%でしたが、2019年には75.8%まで下がって、1991年以降の最低水準に落ち込んでいます。


日本人の給料が低迷している原因は結局、生産性が高くなっているにもかかわらず、労働生産性があまり上がっていないからです。

労働生産性を高めるのは経営者の責任だ
日本人の労働生産性が低いという話をすると、「自分はがんばっているのにバカにされた」と怒りを覚える人がいるようですが、経済学的には、労働生産性を高めるのは第一義的に経営者の責任です。また、実際に労働生産性を大きく高めることができるのは、経営者やそれに準ずる経営層だけです。

労働生産性を高めるために労働者1人ひとりができることは、きわめて限られます。なぜなら、労働者自身は通常、機械化を決める権利も、自分がどんな仕事をするかを選ぶ権利もないからです。生産性の低い仕事を機械化したうえで、より生産性の高い仕事に労働者を再配分するという決断は、経営者しか下せないのです。

では、なぜ日本の経営者はこれまで、労働生産性を高めてこられなかったのでしょうか。その根本原因は多かれ少なかれ、政府の経済政策と規制にあります。

日本政府はこれまで、小規模事業者を中心に、成長しない企業も、経済合理性を失った企業も守りすぎていたのです。政府に守られた企業は創意工夫をしなくても存続できてしまうため、経営者は経営を改善したり成長を目指したりするモチベーションを失ってしまいました。その結果、労働生産性の低い企業が蔓延してしまったのです。

要は、意図的ではないにせよ、経営が下手な企業経営者に同情するあまり、多くの国民を低賃金の地獄に叩き込んできたのです。その象徴が「低すぎる最低賃金」であり、拡大し続ける「非正規雇用」であり、途上国からの「外国人労働者」です。

先週の記事にも書いたとおり、MMTによって政府支出を増やしても、それによって比較的容易に生産性を高められるのは完全雇用を達成するまでです。それ以降、政府支出を活かすには、労働生産性を高める政策、産業構造の改善を促進する政策が不可欠です。そうしないと、政府支出を継続しても、ただインフレになるだけです。

2071とはずがたり:2020/11/23(月) 20:26:26
マクドナルドのロゴは「M」の字ではなかった!意外と知らない企業ロゴの意味
11/20(金) 6:01配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/078b1c6cd267a18083554abdf2395e698b0040d5?page=1

2072とはずがたり:2020/11/23(月) 20:32:41
日本をダメにした経営者だけどここまでダメだと暗澹たる気持ちになる。

こんなんだから投資機会に適切な意志決定できひんねん。

まともな入社試験課せば皆勉強するわ,ぼけ。何もせずに愚痴ばっかこぼしてんじゃねーよ。

経団連が学校に喝「人材育成の気概を持て」
2020年11月22日 08:01
https://www.news24.jp/articles/2020/11/22/06766967.html

2073名無しさん:2020/12/01(火) 23:50:42
https://news.yahoo.co.jp/articles/ad87c133733018449ebb8a549809ee1cc0be44ec
中国が輸出管理法を施行 梶山経産相「企業はしっかり備えを」
12/1(火) 16:56配信

 【北京=三塚聖平】中国が、国家安全に関わる戦略物資や技術の輸出を規制する「輸出管理法」を1日に施行した。中国の安全保障に害を及ぼすとみなした企業をリスト化して禁輸措置をとることが可能となり、対中圧力を強めている米国に対抗する狙いがある。施行までに管理対象となる品目を公表していないなど、運用をめぐる不透明さに海外で懸念が強まっている。

 同法は、安全保障に関わると判断した物資や技術などを当局がリスト化して輸出を制限する。対象品目を輸出する際には、事前に輸出先や使い道を中国当局に申請し、許可を得ることが必要になる。特定の外国企業をリスト化して輸出を禁止できるようにするなど、米国などに対する報復措置を整える狙いが鮮明だ。

 管理対象品目には、中国が世界の生産シェアの6割強を占めるレアアースが入るとの見方があり日本企業も警戒している。

 梶山弘志経済産業相は1日の閣議後記者会見で、同法については「どのように運用され、どんな品目が対象になるのか依然として明らかでない」と指摘。日本企業に「米中それぞれの市場における事業が阻害されないよう、しっかりと備えてほしい」と求めた。問題が起きれば政府が支援する意向も示した。

2074名無しさん:2020/12/02(水) 10:06:51
https://news.yahoo.co.jp/articles/d6e1162b73b574829b823df11e0e503029be6d5d
出張、見合わせ→注意に緩和 経団連がコロナ指針を改訂
12/1(火) 20:22配信

 経団連は1日、オフィスや工場といった職場で新型コロナウイルスの感染を防ぐためのガイドラインを改訂した。政府の要請で5月に作ったが、冬場を迎え、換気や湿度維持を呼びかける一方、出張の判断は原則「見合わせ」から「注意する」に緩めた。

 冬には換気がおろそかになりがちなため、「1時間に2回以上、窓を開ける」に加え、「寒冷期はこまめに」などと明記した。飛沫(ひまつ)の広がりを防ぐために「(加湿器などで)適切な保湿」も挙げた。

 国内外への出張は「不急の場合は見合わせる」から「地域の感染状況や出張先の感染防止対策に注意する」に緩めた。経団連の古賀信行・審議員会議長(野村ホールディングス特別顧問)はこの日、西村康稔経済再生相らとのテレビ会議で「エビデンス(証拠)に基づき、あまりにも不合理なものは改定していかないと社会が回らないという面もある。その時々の状況に合わせていく」と話した。一方で、札幌市や大阪市など感染が急拡大している地域への出張は控えるべきだとした。(諏訪和仁)

朝日新聞社

2075名無しさん:2020/12/06(日) 11:06:51
小池知事と菅首相は「不作為の罪」上限なき政府補償で国民守れ 藤井聡・京大院教授〈週刊朝日〉
12/6(日) 8:02配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/adcb4b61e5a683248e3eaa028af29b7fb3721496

2076名無しさん:2020/12/06(日) 11:20:14
「Go To」は史上最悪の経済政策かもしれない
12/5(土) 11:01配信
東洋経済オンライン
https://news.yahoo.co.jp/articles/57292802f93cd79ccb915b880159434dc09aa096

2077名無しさん:2020/12/06(日) 13:15:34
https://news.yahoo.co.jp/articles/aafbeaac5ee20c4266cd0133c1f3c447509de71b
労働者協同組合法が成立 地域支える仕事後押し
12/5(土) 10:13配信

 議員立法による「労働者協同組合法」が4日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。組合員が出資・運営し、自ら働く「労働者協同組合」に法人格を与えるのが柱。地域の課題に応じた仕事をこれまでより簡単に事業化でき、雇用創出や地域活性化につながると期待されている。公布から2年以内に施行する。

 労働者協同組合はワーカーズコープなどの名称で清掃や介護、福祉、子育て支援といった事業を行っているが、JAや生協のように根拠法がなかった。組合員が組合と労働契約を結び、組合員の5分の4以上が事業に従事することなどが設立の要件だ。法人格を持つことで、社会的信用や労働者の法的保護も向上する。

 法案は超党派の「協同組合振興研究議員連盟」(河村建夫会長)を中心に検討。先の通常国会で全会派共同で提出されたが、継続審議となっていた。

「地域思いの仕事」広がれ 埼玉・ふじみ野市「そらまめ」
 労協は介護や子育て支援など地域を支える仕事を担い、全国で数万人が働くとされる。地域に必要なデイサービスを運営し、食事に使う野菜を自ら栽培する埼玉県ふじみ野市の労協「そらまめ」を取材した。(石川大輔)

デイサービス、家事支援…困り事解消へ
 そらまめは、出資者でもある組合員15人が自ら働く労協だ。デイサービスの食事は手作りにこだわり、材料の野菜は隣接する農園で栽培。利用者は楽しみを兼ねて畑仕事を体験する。通常のデイサービスでは手間がかかる農園を持つことは少なく、組合員の思いが事業の方針を決める労協ならではの活動だ。

 組合員として働くのは、看護師や地域の主婦。他にも東日本大震災からの避難をきっかけに移住した人や、引きこもりから脱した人など、そらまめの在り方に賛同して多様な人が集まった。1人5万円の出資金で加入し、1人1票の議決権で経営に参画する。

 そらまめの前身は、東日本大震災の避難者を支えるため、2011年に地域の主婦らがつくった集まりだ。避難者・市民が交流する畑づくりが好評で、そこには高齢の避難者もいた。デイサービスは、日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会の支援で、12年から企業組合として始めた。代表の島袋俊子さん(66)らが「地域に食と農、介護が必要とされている」と感じ取ったことから生まれた事業だ。

 そらまめの組合員は、地域貢献を第一に考えている。地域で暮らす中で人助けを求めるサインを見つけ、仕事につなげる。「例えば、あそこのおじいさんが体が動かしにくくて困っているといった話を聞くと、何とか支えられないかと考える」(島袋さん)。実際に、掃除など高齢者の日常の手伝いを30分間750円で引き受ける仕事も始めた。

 地域住民が事業を支えてくれるのも、労協ならではだ。長年交流している人や利用者の家族が気軽に野菜作りを手伝ってくれる。移転などで費用が必要だった時は「協力債」を買って応援してくれた。「地域を支える仕事が地域に支えられる」形が自然と出来上がった。

法整備進めば行政と連携も
 今後、労協が法人格を持ち、認知度も高まることで行政との連携もしやすくなる。日本労働者協同組合連合会埼玉事業本部の藤谷英樹本部長は「地域の支援や活性化につながる仕事が、より活発に生まれてくる」と期待する。

 島袋さんは「人の困り事を仲間で解決するときに労協の仕組みが役に立つ。地域に必要な仕事は多く、もっと多くの人に協同労働を始めてほしい」と願っている。

日本農業新聞

2078とはずがたり:2020/12/14(月) 14:14:31
https://twitter.com/tohazugatali1/status/1338325408295444482を書いてて思ったが,組合の漁業長も社民の活動家のお爺ちゃんも街角の年金爺婆夫婦がやってて真面目に若夫婦がやってる店が太刀打ちできない激安定食屋も生き甲斐ってとこは同じで社会の脚を引っ張ってるなあと思った訳である。

一歩進めてマルクスの(ヘーゲルの?)自己実現としての労働みたいなのはこういう利潤無視で自分が好きでやってるやつが近い(搾取されてない?現実は搾取する側に回っている?!)訳で,AIのシンギュラリティ以降は年金の代わりにベーシックインカムで皆が趣味で働いて小遣い稼ぎぐらいになればいいのかも。

ただ更にもう一歩進めて,社民党の爺さんや漁協の上層部や激安定食も社会の害悪や迷惑になっている以上,人間が自分で自己実現の場を選択してもなかなか碌でもないことしか選べなくなりそうな事を示唆しているのかも知れないw

若者と爺が同じ漁業組合でぬるく働いて同じ様な所得を得たとして,爺向けの商品が高く,子育て世代向けの商品が安く結局どちらもハッピーみたいな世界が市場経済が準備出来るか解らないのでインカムに差をつけるという話になると利権やら何やらが暗躍するダークな世界になりそう。

職業選択に関しては新古典派経済学は合理的な経済人が適切な選好持っててちゃんとしたの選びそうってな想定してそうだけど,そんなの無理だが,一方のマルクスの一般大衆観ってどんなもんなんでしょうねえ。

2079とはずがたり:2020/12/29(火) 22:10:32
中国経済、28年に世界一 日本は4位転落―英調査
2020年12月27日17時16分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020122700200&g=int

 【ロンドン時事】英有力シンクタンクの「経済経営研究センター(CEBR)」は26日に公表した世界経済の年次報告書で、中国の経済規模が2028年に米国を抜き世界一になるとの見通しを示した。昨年時点の予測から5年前倒しした。一方、日本は30年にインドに抜かれ、現在の3位から4位に転落するという。
 中国が経済規模で長期にわたって世界一を維持してきた米国を抜くことになれば、象徴的な出来事となりそうだ。CEBRは報告書で「中国が新型コロナウイルスの流行を巧みに抑え込んだ一方、西側諸国は長期的成長力に打撃を受けた。この結果、中国の相対的な地位が向上した」と指摘した。

2080名無しさん:2021/01/04(月) 15:27:08
https://news.yahoo.co.jp/articles/483b5b2451715fbd248a7d73df03a8930d493932
地方経済盛り返しへ結束確認 経済3団体の互例会
1/4(月) 14:06配信

 金沢商工会議所、金沢経済同友会、石川県経営者協会の経済3団体による新年互礼会は4日、金沢市のANAクラウンプラザホテル金沢で開かれ、約270人がコロナ禍に見舞われた地域経済の盛り返しに向けて結束して取り組むことを確認した。

 主催者を代表してあいさつした安宅建樹金沢商工会議所会頭は「コロナが経済に与えた打撃はリーマン・ショック以上だ。日本、地方経済にとって正念場の年になる」と述べ、経済の回復にはワクチン接種、経済対策、米中貿易摩擦がキーワードになるとの認識を示した。

 谷本正憲知事、山野之義金沢市長が祝辞を述べ、福光松太郎金沢経済同友会代表幹事の発声で乾杯した。高松喜与志県経営者協会長が中締めした。冒頭、金沢3茶屋街の芸妓衆が素囃(すばや)子(し)を披露した。今年はコロナ対策のため、立食形式をやめて弁当の持ち帰りにしたり、閉会時間を早めたりと、感染防止策を徹底して開催した。

北國新聞社

2081荷主研究者:2021/02/04(木) 22:42:54

https://www.niigata-nippo.co.jp/news/economics/20210107591607.html
2021/01/07 11:00 新潟日報
三菱商事新潟支店、2月で閉鎖
グループ会社や本店が取引継承

 三菱商事(東京)が新潟支店(新潟市中央区)を2月末で閉鎖することが6日、分かった。同社は、各事業のグループ会社移管や国内拠点の見直しを進めており、その一環で撤退を決めた。県内の取引はグループ会社や本店の各部門が引き継ぐ。

 同社は、国内に支社と支店約10カ所の拠点を構える。新潟支店は1956年開設。エネルギーや食品など幅広い商材を取り扱い、県内のガス会社やメーカー、小売店などと取引を行ってきた。

 同支店によると、同社は各事業の専門性が高まっていることなどを背景に、30年ほど前から分社化を進めてきた。近年はほとんどの業務が各グループ会社に移され、支店で直接取引する事案は少なかったという。

 かねて拠点の見直しを進めていたことや、各グループ会社の県内での事業が順調に進んでいることなどから、新潟支店の営業を終えることにした。支店閉鎖は新型コロナウイルス感染拡大の影響によるものではないとしている。新潟支店に勤務している社員数人は、本社や県内にあるグループ会社の拠点に移る。

 新潟支店の吉田健支店長は「ウイルス禍の中、撤退するのは心苦しいが、既にグループ会社が県内の事業を軌道に乗せている。引き続きグループ全体で県内での業務に取り組みたい」とした。

 総合商社の支店では、2019年10月に三井物産が新潟支店を閉鎖している。

2082荷主研究者:2021/02/04(木) 23:19:48

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJB08CBB0Y1A100C2000000
2021年1月13日 20:10 日本経済新聞 広島
広島に本社機能移転、コロナでじわり広がる 定着に知恵

2083名無しさん:2021/02/09(火) 07:51:56
https://news.yahoo.co.jp/articles/67d34829638b0cfcc7390ca0e887269c2f80ba05
経団連会長、森氏発言は「日本社会の本音出た」 広がる批判に「SNS恐ろしい」
2/8(月) 19:15配信
毎日新聞
 経団連の中西宏明会長は8日の定例記者会見で、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言について「日本社会にはそういう本音があるような気がする。それがぱっと出てしまったかもしれない」と指摘した。

 中西氏は、森氏の発言について「コメントは控えたい」と断った上で、日本社会は「女性と男性を分けて考える習性が強い。我々の会社(中西氏が会長を務める日立製作所)でもダイバーシティー(多様性)の話をすると、ついつい女性と男性を分けて考えてしまう。私自身も、(そのような考えが)ないかといえばそうじゃないだろう」と述べた。その上で「女性や男性を前提に発言したり考えたりする時代ではない。ダイバーシティーを意識した組織運営や人事をやっていくべきだ」と語った。

 森氏の発言についてネット交流サービス(SNS)で批判が広まっていることについては、「SNSは恐ろしい」と話した。【土屋渓】

2084名無しさん:2021/03/01(月) 13:11:37
https://news.yahoo.co.jp/articles/f85c1f9d281eef173b9bbab93393345ea6979648
“横浜再開発トリオ”DeNA南場智子氏「経団連副会長」起用が示唆するもの…次期社長は総務省OB
3/1(月) 9:06配信
日刊ゲンダイDIGITAL
 日本経済団体連合会(経団連)の新任の副会長にIT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)の南場智子会長(58)が起用される方針だ。副会長に女性が就任するのは初めてのこと。3月の会長・副会長会議で内定し、6月の定時総会を経て就任する見通しだという。現在の副会長は18人。

 南場氏は津田塾大卒業後、米コンサルタント会社のマッキンゼーに入社。「マッキンゼー日本支社長だった大前研一の一番の弟子を自認している」(横浜市関係者)という。

 1999年には携帯向けポータルサイトを運営するDeNAを創業。2015年には横浜DeNAベイスターズのオーナーに就任。こちらも日本のプロ野球で初めとなる女性オーナーであった。

 そもそも日本の企業では女性社長が少ないため南場氏がことさら話題になるのだろうが、DeNAはIT企業といっても主力事業はスマホゲーム。楽天やサイバーエージェントのいる新経済連盟と違い、建設、商社、銀行など伝統的な企業が多い経団連の中では異色。南場氏就任の背景に政治との近い距離感が影響しているのかと勘ぐりたくもなる。

 実際、南部氏は菅総理と近い。南場氏は竹中平蔵パソナ会長など菅総理のブレーンが並ぶ成長戦略会議のメンバー。DeNAの本社は渋谷だが、関連会社のDeNAベイスターズや横浜スタジアムは横浜市の関内エリアが本拠地だ。横浜は菅義偉総理の選挙区もある地元だ。今年元旦にはテレビ神奈川の「報道特別番組 菅義偉総理新春に語る」で菅総理と新春対談をし、菅総理から親しげにエールを送られている。

 この対談で南場氏は、「日本の大企業は新卒一括採用をして40年間ずっと同じ終身雇用を前提としているところが多くて、同じ組織でずっと輝き続けることが本当に可能なのか。その40年間同じ組織でイノベーションが可能なのかといえばムリがある。それが日本経済の生産性の足を引っ張っているものだと思うんです。もっともっといろんな人材が動く。特にリーダーシップが動くことが重要で、そのためには兼業副業というのが重要で、特に副業というのは転職に向けた現実的な第一歩になるわけで、企業もぜひ社員に対して副業を解禁し、かつ副業者をもっと採用するべきことを推進すべきだと思うんですね」と意見を述べている。

 一見すると正論だが、南場氏が批判する象徴のような存在が経団連と自民党である。その両者へ南場氏が距離を縮めるわけは知る由もないが、財界への自身の売り込みだとすれば鼻白む。竹中平蔵氏の女性版にならないことを期待したい。 

■球場の買収と改修に巨額投資

 目下、横浜市(林文子市長・74)では菅政権とともにカジノ・IR誘致による山下ふ頭エリアの再開発を推進しており、市民から大ブーイングが起きている。”ハマのドン”こと藤木幸夫氏ら港湾業関係企業も反対しているが、地元経済界はおおむねカジノ賛成という状況だ。その論争の裏で目立たないが、関内エリアでは横浜市とDeNAが中心となって再開発構想が進んでいる。菅総理、林市長、南場氏は新自由主義的な「横浜再開発トリオ」ともいえる関係であり、勢いをつけている。

 官庁街の関内エリアには三井不動産、東急電鉄、京浜急行も参画するスポーツタウン構想という再開発計画が起きており、その地理的な意味も含めて中心にいるのが横浜スタジアムだ。横浜スタジムそのものの所有者は横浜市だが、経営主体はDeNAの連結子会社(孫会社)の株式会社横浜スタジアム。

 2015年、林文子市政下でDeNAベイスターズが100億規模のTOB(株式公開買い付け)要して、横浜スタジアム社の株を76.87%所有することになった(2019年現在)。横浜市は5.75%保有する第2位の大株主。球団と球場を一体化しないと効果的な経営はできないというのはもっともだったが、ヘソになる球場を所有していなければ関内エリアの再開発もグリップできない。

「横浜スタジアムのDeNA買収も南場会長と林市長でやりました。2人は親しいどころではない関係です」と、地元建設業関係者は話す。林横浜市政と南場DeNAは二人三脚で再開発を進めてきている。ボールパーク構想はいつの間にか横浜市と連携するスポーツタウン構想に拡大している。

2085名無しさん:2021/03/01(月) 13:11:47
>>2084

85億円をかけて横浜スタジアムを増築改修
 球場改修も政治日程に歩調を合わせていた。東京五輪である。

 国立競技場が所在する明治神宮外苑も、2020年東京五輪をテコに再開発できた。そもそも明治神宮外苑は一般市民の寄付や勤労奉仕により造営された公益性の高い土地。そのため、ゼネコンらが営利目的で再開発することができなかったが、東京五輪という大義名分を引っ張ってきたことで再開発が実現した。横浜スタジアムもそもそもは市民株主の資金を原資に作られた球場。過半数を占める大株主は存在しなかったが、市民株主らから買い取ることでDeNAが3分の2以上を保有する安定株主になった。そして東京五輪では野球とソフトボールの会場になっており、2020年に向けて85億円を注ぎ込んで増築改修が実施された。

 しかし2月の竣工直後に新型コロナウイルス感染症が感染拡大したため東京五輪は延期。プロ野球も無観客試合を強いられることになった。今後の観客動員ビジネスに赤信号が灯った。

 そのようななか、横浜スタジアムでは昨年10月末、神奈川県、横浜市、DeNAらがコロナ対策の入場規制緩和実証実験を3日間実施した。11月半ばのバッハIOC会長来日に合わせるかのようなタイミングだった。実際、菅総理も横浜スタジアムでの実証実験を引き合いに出して、バッハ会長から五輪が実施できることを確信したとの言葉を引き出したというが、いかにもである。この3日間の実験データによって五輪開催を断行できるものではないだろう。

■新社長は総務省OB

 ゲーム事業から投資をしてスポーツ事業、地域再開発へと戦略的にシフトするDeNAでは、南場会長が6月から財界活動に乗り込むのに合わせたように、4月に社長を交代する。

 菅総理長男による接待で不祥事にまみれた総務省(郵政省)出身者の岡村信悟取締役兼COO(51)だ。岡村氏は2016年、南場氏に口説かれて同省情報流通行政局から転職。横浜スタジアム社長(現在は会長)を経て、現在はDeNAベイスターズの社長と同社のスポーツ事業を歩んできている。スポーツ事業を中心とした企業の社長になるために育てられてきたといえよう。

「なぜ総務省の人が社長になったのかわからない」と横浜スタジアム株主企業の関係者も首をかしげる。南場氏がいて目立たなかったが、今後、横浜市再開発の中で存在感を見せることになるのだろうか。

最終更新:3/1(月) 9:06
日刊ゲンダイDIGITAL

2086名無しさん:2021/03/13(土) 17:38:59
https://news.yahoo.co.jp/articles/4d95369e94554e50a93a4bb4dded6a6b04b176e4
コロナ禍での営業休止や時短が打撃 「ネットカフェ」の倒産、過去最多を更新
3/13(土) 14:02配信
帝国データバンク
大手でも相次ぐ前年割れ、限られた利用者の奪い合い進み体力勝負は熾烈化へ
 ネットカフェなど複合カフェ業界が新型コロナの影響で打撃を受けている。帝国データバンクの調査では、2020年度(昨年4月〜今年2月)に発生した、漫画喫茶やネットカフェなど「複合カフェ」事業を主力とした企業の倒産が累計10件に上り、過去最多を更新した。年度ベースで倒産が10件に達したのは初めてで、例年にないハイペースで推移している。

 複合カフェ業態は、2000年代前半からいわゆる「時間消費型ビジネス」として注目され、都市部を中心に全国で店舗数が増加。漫画やPCを備える半個室タイプのものから、各種ゲームやシャワールームなど多様なニーズに対応する設備も充実している。そのため、学生やサラリーマンなどのから根強い支持を得て市場規模を拡大させてきた。日本複合カフェ協会によれば、複合カフェは2021年2月時点で合計942店舗 となり、全国で1000店規模に迫っている。

 しかし、新型コロナウイルス感染拡大で緊急事態宣言が発出され、全国的に人出が急減。また、ネットカフェに休業要請が出されたことで4〜5月にかけて営業休止や時短営業を余儀なくされた店舗も多く、売り上げに大きな打撃を与えた。

 宣言解除以降も客足は鈍く、ネットカフェでは在宅勤務の普及、「夜の街」の人出激減といった影響を受けてサラリーマン層の需要が振るわないほか、休校やオンライン授業により学生需要も戻らず、稼働率は引き続き低水準で推移。昨年には首都圏にも店舗を有し、ネットカフェとして知名度の高かった「メディアカフェ ポパイ」(広島)の運営企業が経営破綻するといったケースも発生 しており、大手・中小ともに厳しい業況が続いている。

コロナ禍の休業要請や時短営業が打撃 大手で相次ぐ前年割れ、宣言解除も客足戻らず
 ネットカフェをはじめとする複合カフェは、最新スペックPCによるインターネット利用や漫画・雑誌の閲覧など多彩なサービスを揃え、かつ安価な時間制料金によるコスパの良さを背景に利用者数が増加してきた。他方で、漫画や設備の陳腐化による客足低下を防ぐために絶えず先行投資が必要なほか、出店数が増加するなかで同業他店との利用者獲得競争、スマホゲームやサブスク型の漫画読み放題アプリの台頭などで「暇つぶし」消費が多様化するなど異業種との競合も激化しており、売り上げが伸び悩むケースもみられていた。

 そのため、複合カフェ各社は独自性の打ち出しやターゲット層の絞り込みといった差別化戦略も推進。豪華な個室のアピールやアメニティの充実、シャワー室の設置で長期滞在ニーズも対応するなど、店舗イメージ改善や施設の快適性を向上させてきた。その結果、サラリーマンから女性客、友人同士など、顧客層と利用シーン双方の多様化に成功。各社が得意とする分野で、比較的安定した成長を可能とする土壌が形成された。

 しかし、昨年3月以降は新型コロナの感染拡大に伴い三密を避ける動きが利用者に拡がったほか、自治体の要請による営業休止や時短営業といった影響で売り上げが急減した。宣言解除以降は各社とも全店営業を再開したものの、特にドル箱だった繁華街の店舗などで期待された集客の戻りが遅れており 、各社で苦戦がみられる。

 紳士服大手のAOKIが運営する複合カフェ「快活CLUB」を含むエンターテイメント事業は、20年4-6月期で前年から3割の売り上げ減少となり、以降12月まで前年を割り込む水準が続いている。外食大手のDDホールディングスが運営する「グランサイバーカフェ バグース」などアミューズメント事業、「自遊空間」(ランシステム)、「アプレシオ」(総合エンターテインメント事業、MCJグループ)といった主要各社の複合カフェ事業も、前年を大幅に下回る水準で推移が続いている。各社とも、緊急事態宣言の発出による一部休業や時短営業などが影響したこと以外に、宣言解除以降も客足の戻りが鈍かったことが響き、前年に比べ業績の落ち込みを余儀なくされた。

2087名無しさん:2021/03/13(土) 17:39:09
>>2086

客足が伸び悩むなかでの「緊急事態宣言」再発出 需要の冷え込み長期化も想定、各社体力勝負続く
 複合カフェ業態の今後は、コロナ禍の収束動向に加え、特に利用単価の高いオフィス街や繁華街の人出回復に大きく左右される とみられる。こうした厳しい経営環境のもと、複合カフェ各社も生き残りに向けた取り組みを強化。複合カフェ業態が強みとする充実したオンライン設備、個室タイプなどプライバシー性能や快適性の高さを生かし、在宅勤務者やオンラインで就職活動する学生などに利用メリットをアピールする。

 巣ごもりの拡大でレジャー目的の利用が急速に萎むなか、ネット環境が必須となるビジネス顧客の新規需要を掘り起こし、新しい利活用ニーズに育てることで業績悪化を最小限に食い止めたい考えだ。

 ネットカフェ「自遊空間」を全国に展開するランシステムは、テレワーク対応店舗を拡充し新たな顧客層の取り込みを図るほか、自動入退場システムやクレジット決済 による事前予約システムの導入で完全セルフ化を推進。感染防止に向けた取り組みも強化することで安全性をアピールし、ネットカフェ需要の喚起を目指す。

 ただ、今年1月に再度発出された緊急事態宣言の影響もあり、複合カフェ需要の冷え込みは今後も長期化することが予想される。一方、各社が店舗展開を積極的に進めてきたことから、都心・郊外店ともに限られた利用者を取り合う形で競争が既に激しくなっており、業態全体では飽和感も急速に高まりつつある。

 今後は、需要の本格回復までは不採算店整理や新規出店の凍結など各社で体力勝負の様相を呈するとみられ、大手チェーン店が中心となった業界再編 も進む可能性がある。

2088とはずがたり:2021/04/05(月) 13:40:59
二神先生最終講義

置塩
1.マルクス・リカードの労働価値説(価格理論)
2.資本主義は不安定である(ハロッド的不安定性)

ΔI=F(Y-Y^F) Y=生産量 Y^F=生産能力

長期→長期均衡→リカード・スラッファ 

「固定資本を含む体系における利潤率と価格の決定」
六甲台論集
1985

p(1-a)=ra+wl

p=(1+r)ap+wl

生産函数が固定係数 スラッファ体系

資本を考慮

ケンブリッジ資本論争 → 固定資本を他部門化・耐用期間も一般化

Kでええやん。by二神

微分ゲーム
六甲台論集


「ハロッド・置塩型投資関数について」
松山商大論集 1989
Kalmanフィルターの応用

準成長循環 ─ Goodwin-Harrod ─
季刊理論経済学 1991

2089荷主研究者:2021/04/11(日) 21:11:20

https://webun.jp/item/7740224
2021.03.17 00:10 北日本新聞
伊藤忠富山支店を閉鎖へ 3月31日

 伊藤忠商事は31日、富山市牛島町の複合ビル「アーバンプレイス」内にある富山支店を閉鎖する。組織改編の一環で、金沢市の北陸支店も同日閉鎖する。

 同社によると、富山支店は1973年に開設し、現在の従業員数は4人。主に県内の電力や繊維企業との取引を担っていた。閉鎖後の業務は東京や大阪からの出張などで対応する。

 広報担当者は「拠点を置くよりも出張対応の方が費用対効果が高いと判断した。取引先には説明済みで、影響はない」としている。

2090とはずがたり:2021/04/14(水) 22:36:32

日本企業こんなのばっかりやな。。

コストでは中国に敵わないけど品質では…とかもう云えなくなってるな。

京セラと東洋紡、長年の品質不正 日本企業に大打撃
米UL規格不正(上)
2021年4月14日 16:00 [有料会員限定]
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC089580Y1A400C2000000/

繰り返すな品質不正 製造業が今やるべきこと

日産、神鋼、三菱マテリアルの蹉跌から学べ
2018.1.9
山崎 良兵
https://business.nikkei.com/atcl/report/16/122800192/122800001/
日経ビジネス電子版編集長

どうなる2019年 データ改ざん、検査不正...... 揺らぐ信頼、膿は出し切ったか!?
https://www.j-cast.com/kaisha/2019/01/01347235.html?p=all
2019年01月01日18時00分

2017年〜18年にかけて、東芝や神戸製鋼、日産自動車、宇部興産、SUBARU、スズキ、三菱マテリアル、日立化成...... 誰もが知っている有名企業が、品質不正に手を染めていた。続々と表面化した品質不正だが、果たして「膿」は出し切ったのだろうか――。

過去の不祥事にフタをして決算をごまかしていた光学機器メーカーのオリンパスや「チャレンジ」の大号令の下で不正会計に手を染めた東芝、国土交通省に提出する排気ガス・燃費データを改ざんした日産自動車やSUBARUと、ここ数年、企業の不正が後を絶たない。

2018年には、スルガ銀行の書類改ざんによる不適切融資が明るみに出たほか、SUBARUでは新たなデータ改ざんが見つかった。

2091荷主研究者:2021/05/04(火) 21:38:50
>>2089
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJB295V40Z20C21A3000000/
2021年3月29日 19:55 日本経済新聞 富山
伊藤忠商事去って丸紅来る 商社、北陸の拠点再編

2092荷主研究者:2021/05/04(火) 21:44:18
>>2091
https://webun.jp/item/7743777
2021.03.30 00:49 北日本新聞
丸紅が富山に北陸支店 20年ぶり県内拠点

 大手商社の丸紅は1月に富山市内に北陸支店を開設し、今月から本格的に営業を始めた。同社が県内に拠点を設けるのは20年ぶり。柿木真澄社長が29日に県庁を訪れ、新田八朗知事に報告した。

 同社は2001年に富山県、06年に石川県の拠点を閉鎖しているが、近年は国内市場の取り組みを強化。ビジネスチャンスが期待される地域として再び拠点を設けた。

 北陸支店は同市桜橋通りの富山フコク生命第2ビルの7階にある。北陸3県をエリアとし、グループ会社15社を束ねる。支店長を含めて3人体制で、今後増員を見込む。

 北陸支店を富山に設けた理由はものづくりの会社が多いことや、北陸電力などの企業があることが理由としている。

 県庁で知事が「商社のネットワークで富山を売り込んでほしい」とPR。柿木社長は「富山には良い企業がたくさんある。できる限り問い合わせに対応していきたい」と述べた。

2093とはずがたり:2021/05/13(木) 01:32:51
経済ニュース超解説加谷珪一
日本経済、低迷の元凶は日本人の意地悪さか 大阪大学などの研究で判明
2021年05月12日(水)11時48分
https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2021/05/post-143.php

<十分な内需があるはずの日本が、他の先進国のように成長できない大きな要因は、日本人のメンタルにあった>

日本経済はバブル崩壊以降、30年にわたってほとんど成長できない状況が続いている。日本が成長できなくなった最大の理由は、経済の屋台骨だった製造業がグローバル化とIT化の波に乗り遅れ、国際競争力を失ったことである。

だが、成熟した先進国は豊かな消費市場が育っているので、輸出競争力が低下しても国内消費(つまり内需)で成長を継続できるケースが多い。実際、アメリカやイギリスは、製造業の衰退後も内需を原動力に高成長を続けている。

日本は他の先進諸国と同様に、十分な内需が存在しているはずだが、どういうわけか日本の国内消費は低迷が続いており、これが低成長の元凶となっている。

一部からは消費増税が原因であるとの指摘も出ているが、税は経済学的に見て成長を根本的に阻害する要因ではなく、しかも欧州各国が15〜20%という高い消費税率であるにもかかわらず順調に成長している現実を考えると、この理屈は当てはまらない。

日本だけが消費を拡大できない理由は、長年、謎とされてきたが、近年、経済学と脳科学を組み合わせた学問の発展によって、ヒントになりそうな研究成果が得られている。簡単に言ってしまうと、日本人は諸外国と比較して「意地悪」な人が多く、他人の足を引っ張る傾向が強いというものである。

他人の足を引っ張る行動が多い
大阪大学社会経済研究所を中心とした研究グループによると、被験者に集団で公共財を作るゲームをしてもらったところ、日本人はアメリカ人や中国人と比較して他人の足を引っ張る行動が多いという結果が得られた。

日本人は、他人を他人と割り切れず、互いに相手の行動を邪魔しているわけだが、この実験結果は身近な感覚としてよく理解できるのではないだろうか。

日本では何か新しい技術やビジネスが誕生するたびに声高な批判が寄せられ、スムーズに事業を展開できないことが多い。その間に他国が一気にノウハウを蓄積し、結局は他国にお金を払ってその技術やサービスを利用する結果となる。

成功者は基本的に妬まれるので、自身の経験を積極的には他人に語らず、成功のロールモデルも共有しにくいが、これでは消費経済が活発化するわけがない。

従来の経済学では、人間は合理的であるとの大前提があり、内面には立ち入らない基本原則があった。このため、メンタルな部分についてはあえて触れないでいたわけだが、多くの専門家が、日本が消費経済を拡大できないことにはメンタルな部分が影響しているのではないかと疑っていた。

一連の研究結果は、何となく分かっていた事実を改めて顕在化したものと考えてよいだろう。大阪大学はこうした新しい研究を積極的に行っており、同大学の別の研究グループによると「新型コロナウイスルに感染するのは自業自得だ」と考える日本人の比率は11.5%と、中国の4.83%やアメリカの1%などと比べて突出して高かった。

複数の研究が似たような結果を示していることの意味は大きい。消費経済低迷の根本原因がメンタルにあるのだとすると、厄介な問題ではあるが、逆に考えれば、この部分さえ改善できれば、劇的な効果が期待できるということでもある。

これからの時代はますます消費経済が成長のカギを握る。日本を再び成長軌道に乗せるには、社会全体での改革が必要なのかもしれない。

2094とはずがたり:2021/05/14(金) 03:25:25
これは他人事ではない研究だ。息子がすくすく育ってるから他は結構最悪だけどまあ幸せである。

人生の幸福度を調査「47〜48歳が最低…最高値に達するのは82歳以上」
https://www.fnn.jp/articles/-/22769
Live News α
話題
2020年1月21日 火曜 午後8:30
アメリカ・ダートマス大学の教授が「人生の幸福度と年齢の関係」について調査
幸福度が最も低い年齢は先進国で47.2歳、発展途上国で48.2歳
日本は49歳で、そこから徐々に回復し82歳以上で最高値

人生の幸福度 47〜48歳が最低
アメリカ・ダートマス大学のデービッド・ブランチフラワー教授が、人生の幸福度と年齢の関係について調査したところ、世界132カ国で、年齢とともにU字型カーブを描き、中年で最も幸福度が下がる傾向があることがわかった。

この記事の画像(9枚)
人生における幸福度が最も低い年齢は、先進国で47.2歳。発展途上国で48.2歳。
日本は幸福度が最も下がるのは49歳で、そこから徐々に回復し、82歳以上で最高値に。

幸福度に影響を与えるとされるのは年齢により変化するものが多く、収入や子どもの有無に加え、健康や障害、結婚など、既婚者は単身者や離婚経験者に比べ幸福度が高いとの結果も。

40代といえば、失業や別居などのライフイベントが起こりやすいことから幸福度が下がることが考えられると調査を行った教授は分析している。

あなたの人生の幸福度、マックスは何歳の時だろうか。

2095とはずがたり:2021/06/29(火) 17:35:07


2020-05-24 / 最終更新日時 : 2021-02-09 小川製作所
019 日本の中小企業は本当に多いのか!?
https://bangking-yeah.com/2020/05/24/small-company/
1. 国ごとの企業数の比較
現在日本の生産性は、中小企業が多いために伸び悩んでいるという意見が多いようです。

今までのブログで日本においては、中小企業の数が圧倒的に多く、こういった中小企業では付加価値を生み出す力や従業員に支払う給与水準も低いという事がわかりました。
 参考記事: 製造業の付加価値とは?
https://bangking-yeah.com/2021/02/07/manufacturing-value/
 参考記事: 「労働生産性」って何だろう?
https://bangking-yeah.com/2020/11/05/labor-productivity/
もちろん、中には高付加価値な中小企業もたくさんあると思いますが、平均値で見れば大企業との差は歴然としています。

日本経済の行き詰まりには、この中小企業の数が圧倒的に多く、統廃合が進んでいないため、非効率であるといった専門家の指摘も多いようです。

それでは、本当に日本の中小企業の数は多いのでしょうか。

今回は、OECDの統計調査をもとに、国際的に日本の企業数がどの程度の規模なのかを見ていきたいと思います。

大企業数 2017年 OECD
図1 大企業数
(OECD統計データ より作成)

中小企業数 2017年 OECD
図2 中小企業数
(OECD統計データ より作成)

まず、図1と図2にそれぞれ大企業と中小企業の数をグラフ化しました。

出展は、OECDの公開しているデータベースのうち、Structural Business Statistics(ISIC Rev.4)です。
産業ごとの企業数が集計されていますが、今回は05〜82 金融・保険業以外の企業となります。

この統計では従業員数1〜249人を中小企業、250人以上を大企業としています。

韓国、チェコ、メキシコのデータはありませんでした。

その代わり、ブラジル、ルーマニア、ブルガリアの非OECD国のデータを入れています。

いずれもアメリカが一番多く、日本も上位に位置しています。

G7各国も高水準です。

アメリカでは大企業が2万6000社、中小企業が421万5000社にもあります。

日本は大企業が1万1000社、中小企業が280万3000社ですね。

2. 人口あたりに直してみると・・・
さて、各国の企業数が分かっても、それぞれの企業数が本当に多いのか、少ないのかいまいちわかりません。

人口当たりの社数を見てみた方が、相対的な比較ができるのではないでしょうか。

人口 2017年 OECD
図3 人口
(OECD統計データ より作成)

まず、各国の2017年時点での人口を図3に示します。

やはり、アメリカ、日本を始めG7各国の水準が高いですね。

先に見た企業数をこの人口で割って、並べ替えてみましょう。

大企業数 対人口比 2017年 OECD
図4 大企業数の対人口比率
(OECD統計データ より作成)

中小企業数 対人口比 2017年 OECD
図5 中小企業数の対人口比率
(OECD統計データ より作成)

図4、5はそれぞれ各国の人口百万人当たりの大企業、中小企業の数となります。

人口の比率で考えると、アメリカ、日本の水準はかなり低くなりますね。

アメリカは人口百万人当たり大企業が80社(36か国中29番目)、中小企業が1万3000社程度(同36番目)です。

日本は人口百万人上がり大企業が87社(36か国中25番目)、中小企業が2万2000社程度(同33番目)です。

面白い傾向としては、大企業数の人口比率では、ドイツが高い水準(147社、4番目)です。

逆に、中小企業の人口比率ではイタリアが比較的高い水準(6万1000社、11番目)に位置します。

ドイツは大企業に集約していき合理化を図っている姿が見えてきますし、イタリアは中小企業が乱立している状況がよくわかります。

日本、アメリカは絶対数では多くの企業数を誇りますが、人口比率で考えれば必ずしも企業数は多くないという事がわかりました。

少なくとも日本は中小企業の数が多すぎる、というわけではなさそうです。

昨今では生産性の低い中小企業が多く、日本経済の足を引っ張っていると取り沙汰されることも多いと思います。

しかし、決して企業数として多すぎるわけではないという事が分かったと思います。

したがいまして、中小企業を統廃合して淘汰していく事が、必ずしも日本経済復活の解決策になるわけではないと思います。

問題は”生産性の低い”中小企業が多い事ではないでしょうか。

2096とはずがたり:2021/08/15(日) 10:45:48

物作りスレ必要だなあ

部品が造れなくなる日 「図面品質の劣化」がトヨタにまで
近岡 裕 日経クロステック
2021.06.08
有料会員限定
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/05665/?n_cid=nbpnxt_twad_2106_010&twclid=11417002676936613889

2097とはずがたり:2021/09/17(金) 01:03:17
円安の「麻薬」に頼り続け、日本円の購買力は70年代に逆戻り
https://diamond.jp/articles/-/282276
野口悠紀雄:一橋大学名誉教授

2098とはずがたり:2021/09/17(金) 01:06:01
>>2097
 円安で輸出企業の利益が増加する。それは、賃金の対外購買力が減少するからだ。

 このメカニズムは見えにくいので、日本では革新勢力も含めて円安を求めてきた。そして、技術革新への真摯な努力がされなかった。

 この結果、日本円の購買力は1995年頃の半分となり、70年代前半の水準に逆戻りしてしまった。

● 日本円の購買力は大幅低下 円安は成長阻害要因という「真実」

 「実質実効為替レート指数」という概念がある。これは日本人が外国でどの程度のものを買えるかを示す指標だ(指数の詳しい説明は後述)。

 この値は1995年頃から低下を続けていたが、最近時点の値は70年代前半と同程度になってしまった。

 70年代前半は固定為替レートの時代で、1ドル=360円。私はこの時代に学生としてアメリカにいたが、貧乏生活を強いられた。その時代に逆戻りとは信じられないことだ。

 この現実は筆者だけでなくすべての日本人にとって大きなショックだろう。なぜこんなことが起きたのか?

 日本は深刻な病に侵されているのではないか?

 これを考えるために、まず、ドル表示での1人当たりGDPの推移を見てみよう(図表1)。

 日本の値は90年代の中頃までは増加したが、それ以降は横ばいになってしまった。他方で、他の国は成長した。

 2010年に対する20年の値の比を見ると、図表2のとおり、日本だけが低下している。

 こうなるのは2つの理由がある。

 第1は、円で評価した1人当たりGDPが顕著には成長しなかったことだ。いま一つは、為替レートが円安になったことだ。

● 政治は円安を求める 民主党もアベノミクスも円安政策

 為替レートの決定メカニズムは複雑だ。しかも日本の政策だけで円安になるわけではない。

 しかし、日本の政治に円安を求めるバイアスがあることは間違いない。

 円高になると、「日本の危機だ」と言われ円安を求める強い圧力が生じる。

 例えば金融危機が起きた1990年代後半からから2000年頃にかけても、そうした圧力が高まった。そして、2000年代初めに大規模な介入政策が実行された。

 また、10年頃にも円高が進行し、民主党政権は円安政策を取った(ただし、成功しなかった)。

 13年からのアベノミックスでは顕著な円安政策が取られた。

 このように、政治は自民党、民主党にかかわらず、円安を求めてきた。では、なぜ円安を求めるのか?

 円安になれば、輸出企業の利益が増えるからだ。そして株価が上がる。この相関関係は統計的にも明らかに見られる。

 企業の利益が増えることも株価が上昇することも、人々に歓迎される。したがって、経済政策は円安を求めることになる。

● 利益を増やし株価を上げる 「心地よい円安」のメカニズム

 では、円安になるとなぜ企業の利益が増えるのか?つぎのような簡単な数値例で説明しよう。

 いま、日本国内で300万円に評価される自動車を作っているとする。これに要する人件費(賃金)が100万円だとする。そして、企業の利益は300万円の1割である30万円だとする。

 為替レートが1ドル=100円だとすると、この車をアメリカに輸出すれば、3万ドルで売れる。日本企業の利益は3000ドルだ。

 ここで、何らかの理由によって、つぎの年の為替レートが1ドル=110円になったとしよう。

 アメリカでの販売価格3万ドルは不変だが、日本での受け取りは330万円になる。そして企業の利益はその1割である33万円になる。企業の利益が増加するので株価が上がる。

 円安になるだけで、何も努力せずにこうしたことが起きるので、「心地よい円安」と言われる。円高になれば、これと逆のことが起きる。

● 「魔法のトリック」は、 労働者の対外購買力の低下

 以上は、一見したところ魔法のように見える。

 しかしここには「トリック」があるのだ。それは、労働者の賃金が100万円のままで変らないことだ。

 これがトリックなのは、労働者がアメリカで買えるものは減るからだ。1ドル=100円のときには、100万円の賃金で1万ドルのものを買える。しかし1ドル=110円になれば9091ドルのものしか買えなくなる。

 つまり、ドルで評価した労働者の賃金が安くなるのだ。

 国際的な観点から見れば、賃下げが行なわれたことになる。しかし、それは日本の国内では、なかなか気づかれない。

 企業が賃上げをすれば、労働者の対外購買力が減った分を補填できるが、企業の利益は減る。労働者は対外購買力が減ったことに気づかないので、もちろん企業は賃上げをしない。

 円安で企業利益が増えるのは、魔法ではなく、気づかれにくい形で「賃金カット」ができるからだ。

 つまり、労働者の負担によって企業利益が増えるのだ。

 本来は労働者の味方であるはずの民主党までが円安を求めたことを見ても、以上のメカニズムがいかに気づかれにくいものであるかが分かる。

2099とはずがたり:2021/09/17(金) 01:06:14

● 為替レートが購買力平価なら、 購買力を維持できる

 では、上の例で、日本の労働者が2年目も1年目と同じものを買えるようになるには、為替レートはいくらである必要があるか?

 この条件を満たす為替レートは、「購買力平価」と呼ばれる。

 上の例で言うと、2年目も1ドル=100円であれば、日本の労働者は2年目にも1年目と同じものをアメリカで買うことができる(賃金は100万円で不変とする。また、物価も変わらないとする)。

 したがって、(1年目を基準時点とする)2年目の購買力平価は1ドル=100円だ。

 購買力平価によって評価された1人当たりGDPの値は、図表3に示されている。

 図表4から分かるように、為替レートが購買力を維持するように動いたなら、日本の1人当たりGDPも、2010年から20年の間に5%程度の成長ができたことになる。中国や韓国の高成長には及ばないが、アメリカの成長率の半分くらいにはなった。

 そうならずに図表2のように落ち込んでしまったのは、実際の為替レートが購買力平価より円安だったからだ。

● 実質為替レート指数は 2010年からでも3割低下

 「実質為替レート指数」というのは、現実の為替レート(上の例では、第2年目に1円=110分の1ドル)と、購買力平価(1円=100分の1ドル)の比率を100倍した値(上の例では91)をいう。

 これは、ある国の国際的な購買力がどのように変化したかを、基準年次を100として示すものだ。

 冒頭で述べたのは、2010年を100とする実質実効為替レート指数だ(「実効レート」は、対ドルだけでなく、さまざまな通貨との関係を総合的に示す指数)。

 この値が、現在では70程度になっている。つまり、日本人の国際的な購買力は10年に比べて3割程度低下したわけだ。

 この値は、1995年には150程度だった。だから、いまの日本人は、その頃の半分以下の価値のものしか外国で買えない。そして、これは70年頃と同じ状態ということだ。

2100とはずがたり:2021/09/17(金) 01:06:32
>>2097-2100
● 円安という「麻薬」で誤魔化して、 技術開発、生産性向上を怠った

 技術革新などによって日本国内の生産性が上がれば、円高になっても企業の売り上げや利益は増えるので、株価も上がる。それだけでなく賃金も上がる。

 1980年代頃までの日本では、このようなことが起きた。

 ところが、90年代中頃から日本経済は変質した。

 生産性が上がらなくなったのだ。図表3に見られるように、購買力平価で評価した1人当たりGDPがほぼ横ばいになってしまった。

 このため、円高になると輸出企業の売り上げや利益が減って、株価が下がる。そのため、市場の実勢に逆らって円安を求める圧力が強まった。

 日本の生産性が上がらなくなったのは、日本が新しい技術体系(とりわけ、インターネットを中心とする情報技術)に対応できなかったためだ。

● 隠れた賃下げのトリック 見抜けないできた革新勢力

 ところが、円安になれば、企業の利益が回復し、株価が上昇するので、あえて技術革新をする必要性は感じられなかった。

 技術開発には投資が必要だし、労働者の配置転換も必要だ。そんな努力をしなくても、円安で誤魔化せるのなら、そのほうがずっと楽だ。

 円安とは痛み止めの麻薬のようなものなのである。本当に必要だったのは、技術開発による生産性の向上だった。

 しかし実際に行なわれたのは、国際的に見た日本人の賃金を下げることによって、利益を増大させることだった。

 それが続いて、ついに「50年前に逆戻り」というところまできてしまった。これは、経済成長率が鈍化したことと、円安になったことによってもたらされたものだ。

 自民党が企業利益や株高を追求するのはやむを得ないかもしれない。問題は、労働者のための政治勢力であるはずの革新勢力が、隠れた賃下げのトリックを見抜けなかったことだ。

 そして、いまに至るまで騙され続けている。その責任は重い。

 (一橋大学名誉教授 野口悠紀雄)

2101とはずがたり:2021/10/14(木) 08:38:57
ノーベル経済学賞に米大学の研究者3人
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211011/k10013302101000.html
2021年10月11日 21時08分

ことしのノーベル経済学賞に、社会に起きた変化の前後などを比較する「自然実験」と呼ばれる手法を確立し、労働市場の分野で大きな研究成果を挙げたアメリカの大学の研究者3人が選ばれました。

スウェーデンの王立科学アカデミーは、日本時間の11日午後7時前、ことしのノーベル経済学賞の受賞者を発表しました。

受賞が決まったのは、いずれもアメリカの大学の研究者で、カリフォルニア大学バークレー校のデビッド・カード教授、それに、マサチューセッツ工科大学のヨシュア・アングリスト教授とスタンフォード大学のグイド・インベンス教授の3人です。

授賞理由について、王立科学アカデミーは「『自然実験』と呼ばれる手法を使って、労働市場に関する新たな知見を提供した」としています。

経済学の分野では、一般的に社会実験でものごとを証明することが難しいとされますが、3人は、社会に起きた変化の前後などを比較する「自然実験」と呼ばれる手法を確立しました。

そして、カード氏は、労働者の最低賃金を引き上げた場合に、負担が増した企業は雇用を減らすはずだとされていた常識が必ずしも正しくないことを自然実験の手法を用いて実証するなど、労働市場の分野で大きな研究成果を挙げたことが評価されました。

インベンス教授「親友と賞を共有できること知り感動」
受賞が決まった3人のうち、アメリカのスタンフォード大学のグイド・インベンス教授は電話で会見し「こちらの真夜中に電話がかかってきて受賞を知りました。私は寝ていましたが、親友であるヨシュア・アングリスト氏とデビッド・カード氏とともに、この賞を共有できることを知って、感動しました」と喜びを語りました。

そして「経済学はとてもおもしろい学問で、この分野でのキャリアを考えている若い人たちにとってすばらしい選択です。興味深い問題がたくさんあり、民間の企業で活躍する経済学者もいます」と話し、経済学を志す若い人たちにエールを送りました。
専門家「労働や教育分野への貢献明らか 受賞は非常に順当」
ことしのノーベル経済学賞にアメリカの大学の研究者3人が選ばれたことについて、ノーベル経済学賞に詳しい慶應義塾大学の坂井豊貴教授は「ノーベル経済学賞は受賞者を聞いて驚く年もあるが、ことしは本当に驚かなかった年だった。経済学という非常に実験がしにくい分野で、社会でたまたま起きた変化を実験のように見立てて理解する手法を確立した。特に労働や教育の分野への貢献が明らかで、受賞は非常に順当だった」と述べました。

また、人々の暮らしへの影響として「最低賃金についての議論という面では、日本の政策にも大きな影響を与えていると思う。最低賃金を上げるのは、一般的に喜ぶ人が多いが、政策としては企業が雇用に消極的になり失業率が上がるのではないかと懸念の部分も出てくる。ただ、カード氏らの功績で、わりと安心して最低賃金を上げても大丈夫だということが分かった」と指摘しました。

一方で、ノーベル経済学賞に日本人が一度も選ばれていないことについて、坂井教授は、マクロ経済学の研究で世界的に知られるアメリカ・プリンストン大学教授の清滝信宏さん(66)を有力候補として挙げたうえで「来年以降も受賞への期待が続くだろう」と述べました。

2102とはずがたり:2021/11/07(日) 17:41:07

中国経済、28年に世界一 日本は4位転落―英調査
2020年12月27日17時16分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020122700200

 【ロンドン時事】英有力シンクタンクの「経済経営研究センター(CEBR)」は26日に公表した世界経済の年次報告書で、中国の経済規模が2028年に米国を抜き世界一になるとの見通しを示した。昨年時点の予測から5年前倒しした。一方、日本は30年にインドに抜かれ、現在の3位から4位に転落するという。
【新型コロナ】「第3波」の今こそ再考 なぜ中国は感染拡大を抑制できているのか

 中国が経済規模で長期にわたって世界一を維持してきた米国を抜くことになれば、象徴的な出来事となりそうだ。CEBRは報告書で「中国が新型コロナウイルスの流行を巧みに抑え込んだ一方、西側諸国は長期的成長力に打撃を受けた。この結果、中国の相対的な地位が向上した」と指摘した。

2103とはずがたり:2021/12/15(水) 15:36:38

国交省、統計書き換え 8年前から、データ二重計上―法違反の恐れ、事実関係調査
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021121500397&g=eco
2021年12月15日12時55分

 建設業の受注動向を示す国の「建設工事受注動態統計」について、国土交通省がデータを書き換えて二重に計上し、過大に推計されていたことが15日、分かった。8年前の2013年から行われ、国内総生産(GDP)などにも影響が及び、統計法違反に当たる恐れがある。同省は今年4月から正確な集計方法に改める一方、過大計上が始まった経緯など事実関係の調査を進めている。
斉藤国交相、統計データ書き換え認める 岸田首相「遺憾、再発防止を」―衆院予算委

 この統計は建設業者が公共機関や民間企業などから請け負った国内工事の受注実績を集計したもの。GDPの推計などに反映され、国が特に重要と位置付ける基幹統計に当たる。
 斉藤鉄夫国交相は15日の衆院予算委員会で過大計上の事実を認め、陳謝。岸田文雄首相は「大変遺憾だ。二度とこうしたことが起こらないよう再発防止に努めなければならない」と述べ、調査を徹底する考えを示した。立憲民主党の階猛氏への答弁。階氏は第三者委員会で調査すべきだと指摘した。

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2104とはずがたり:2022/07/28(木) 09:53:38
アホかw

「亡くなっても賛否両論を作り出す“安倍晋三”の巨大さ感じる」“国葬”の是非にイェール大・成田悠輔氏
7/26(火) 20:05配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/017c545f5bc3af7a30770a46716ea1287429b01a

2105とはずがたり:2023/04/07(金) 22:16:51
東大と京大の違いを「両利きの組織」から読み解く
長内 厚 によるストーリー ? 12 時間前
https://www.msn.com/ja-jp/news/money/%E6%9D%B1%E5%A4%A7%E3%81%A8%E4%BA%AC%E5%A4%A7%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84%E3%82%92-%E4%B8%A1%E5%88%A9%E3%81%8D%E3%81%AE%E7%B5%84%E7%B9%94-%E3%81%8B%E3%82%89%E8%AA%AD%E3%81%BF%E8%A7%A3%E3%81%8F/ar-AA19z2Tg?ocid=msedgntp&cvid=1b921994f40f4520959f25a481aed492&ei=9



カルチャーの違いを
コンティンジェンシー理論で説明

 両者の違いは何であろうか。東大は決められたルールや制度、組織に則って一般教養も専門科目もしっかりと身に着けようとさせるカチッとした(Tight)組織である。一方で京大は、とにかく自由に学べばよく、ルール、制度、組織を緩やかに(Loose)設計している。これはコンティンジェンシー理論でいうところの機械的組織と有機的組織に通じる話である。

 コンティンジェンシー理論とは環境適応理論とも呼ばれ、技術システムが異なれば有効な組織のシステムも異なるという考え方である。バーンズとストーカーという学者は、1961年にイギリスの電機メーカーの組織の調査を通じて、技術の変化率が緩やかな場合にはカチッとした機械的組織(官僚組織をイメージしてもらえればよい)を、変化が激しい場合には有機的組織(京セラのアメーバ型組織や自由な雰囲気のアップルのような企業をイメージしてほしい)が有効であるとした。

 昨今、早稲田の同僚の入山章栄教授が、マイケル・L・タッシュマンとチャールズ・A・オライリーという学者の「両利きの経営」の議論を日本で流行らせて、ビジネスの世界ではちょっとしたバズワードになっている。ただ、もともとタッシュマンらは両利きの組織(Ambidextrous organization)という話をしていて、この両利きの組織という言葉は、コンティンジェンシー理論という組織論の文脈の中で、ロバート・ダンカンという学者が1976年に書いた論文で概念化したものである。ダンカンはイノベーションの創出の段階によって、最適な組織構造は異なるということを示した。

 一方で、今日知られているタッシュマンらの両利きを理解するためには、二つの古典的な研究の話をする必要がある。一つは、ジェームズ・マーチという学者が1991年の論文で示した探索(exploration)と活用(exploitation)という概念だ。深化、深耕とも訳されている。

 この二つの訳の存在は、探索と深化の解釈がかつて二つの流派に分かれているところに起因している。一つの解釈は、探索とは新たな知識の組み合わせを伴う組織学習であり、exploitationとは、現在の製品を改善する効率化と捉える考え方で、これは活用のイメージに近い。

 もう一つは、探索を異なる技術トラジェクトリー(軌跡)への大きな変革を示すのに対して、exploitationを温存的で連続的な変化と捉えているので、単なる活用ではなく、深化、深耕であると考える。

 いずれの立場にしても探索は多様性の追求であり、柔軟性の確保など、既存の技術に囚われない組織学習を示し、活用とは探索よりも改善や効率性を重視する連続的な組織学習であると考えられている。

 少し話を脱線させると、入山教授は探索と活用を「知の探索」「知の深化」と訳しているが、活用か深化かは解釈の違いとして、マーチもタッシュマンらも、そもそもは探索と活用を組織構造の文脈で語っており、知識の話ではないので、筆者としてはとても違和感がある。なにもここで書かないで、隣の部屋に聞きに行けばいいだけの話ではあるが……。

 閑話休題。タッシュマンらの両利きにつながるもう一つの先行研究は、ウィリアム・J・アバナシーという学者が1978年に記した『生産性のジレンマ』という話だ。アバナシーはフォードの全米の工場の調査を通じて、生産性の高い工場ではヒット商品が生まれず、ヒット商品が生まれる工場は総じて生産性が低いという発見をした。

 これは製品開発のライフサイクルの中で、前半は様々な製品の可能性を試す製品そのもののイノベーション(製品イノベーション)が求められるのに対して、製品の仕様が固まる(ドミナントデザインの形成)と、今度は効率的に安く製品を作るための生産工程のイノベーション(工程イノベーション)が中心になるという、イノベーションの時系列的変化の存在を示すものであった。

2106とはずがたり:2023/04/07(金) 22:17:15
>>2105-2106
 タッシュマンとオライリーの両利きの組織がダンカンのそれと異なるのは、マーチの探索と活用の議論と、アバナシーの生産性のジレンマを結び付けたところにある。タッシュマンらは、イノベーションには製品イノベーションと工程イノベーションが交互に訪れるダイナミクスがあり、それぞれに探索と活用の性質を持った組織が求められることを示した。要はマーチとアバナシーを足して2で割ったような話が、当初のタッシュマンらの両利きの組織である。

 組織論における探索と深化の議論では、深化の訳語のニュアンスの解釈が今日では多数派だと思われるが、タッシュマンらが生産性のジレンマの議論と対応させたのは、工程イノベーションと活用であり、工程イノベーションとはもはや製品そのもののイノベーションが含まれない、効率化のプロセスと考えられるので、筆者は両利きの文脈では探索と活用の方が適切なのではないかと考えている。

「両利き」議論の根底にある変化する国立大学への危機感

 と、ここまでの話であれば、コンティンジェンシー理論だけで説明がつくのであるが、なぜここで両利きの話までしているかというと、昨今の国立大学の変化に危機感を覚えているからである。

 国の研究予算の大半は、東大と京大につぎ込まれている。その中で東大は深化、活用的な研究が強く、京大は探索型の研究、たとえば山中教授のiPS細胞のように、非連続でこれまでなかったような発見に強いということが言える。山中教授自身は神戸大学の出身であるが、京大の研究組織が非連続なイノベーションに適していたのであろう。

 しかし、昨今日本の研究力の低下が叫ばれており、それと呼応するように京大が京大らしくなくなってきているという話も聞く。国立大学が独立行政法人化し、国立大学法人として自身の組織の財政を考えなければならない中で、財源は国に頼る構造は依然として変わらない。余談だが、東大は財源の8割が国からの支出で、早稲田は逆に8割が自前の収入である。早稲田の自由独立の学風は、国に財布を握られていないからでもある。

 一方でこれまで早稲田同様に、多様性はあるが非効率的であり探索が得意な京大には、国からの財源確保のために一律に国の方針に従うような大学運営が迫られているともいわれている。要は、京大が第二東大化しているのではないかということである。

 タッシュマンらの主張をもとにすれば、技術や市場の不確実性は常に循環してくるので、あるタイミングで効率よく特定の研究だけをすれば短期的な成果が出ることはあるかもしれないが、長期的に考えれば、探索のない研究組織は、時代の大きなパラダイムシフトに対応できないということになる。

 無駄のすべてが必要とは言わないが、無駄は遊びであり多様性の源泉である。効率性だけで科学技術を考えるのはいかがなものであろうか。京大の自由な学風という大いなる無駄は、日本の非連続な科学研究の受け皿になっているのではないだろうか。管理が行き届きとてもきれいになった京大の構内を見ていると、そうした一抹の不安を感じるのである。

 最後に余計なことを言えば、折田彦市先生像くらい復活させる度量が欲しい。

(早稲田大学大学院 経営管理研究科 教授 長内 厚)

2107とはずがたり:2023/05/08(月) 01:24:24
面白いw
恥ずかしながら今知った

https://www.youtube.com/watch?v=d1z_2k9iYZ4
【2022イグノーベル】資本主義は才能のある人に不利である【ゆっくり解説】【雑学】

2108とはずがたり:2024/03/03(日) 21:57:41


2016-09-22
コンビニ人間の経済学
https://himaginary.hatenablog.com/entry/20160922/Baumol_vs_Roy

Dietz Vollrathが、サービス部門というのは生産性はそれほど低くないかもしれない、という考察を導き出したAlwyn Youngの2014年のAER論文(WP)を紹介している。

エントリの冒頭でVollrathは、一般にサービス部門の低成長性はボーモルの病で説明される、という点を指摘している。それによると、サービス部門は本質的に製造業に比べ生産性が低いが(∵サービスは時間単価で提供されることが多いが、1時間のサービスは1時間未満では提供できない)、所得弾力性は高いため(=皆が豊かになるとサービス部門への需要は増える)、時間の経過と共にサービス部門の従業者が増え、経済全体の生産性が低下する。それに対しYoungは、サービス部門の従業者が増えると人員の平均的な質が下がるためにサービス部門の生産性が低下するのではないか、というある意味においてボーモルの病を引っ繰り返した仮説を提示しているとのことである。




このYoungの研究についてVollrathは以下の点を指摘している。

ロイ効果の時系列的変化を示していないため、90年代のように全体の生産性成長率が高かった時期と2010年代のように低かった時期で同効果がどのように違うかが分からない。
ロイ効果では全体の生産性成長率の減速は説明できない。ロイ効果を調整した場合、EUでは真の生産性成長率が高くなり、米国では低くなる。ロイ効果で説明できるのは、減速がボーモルの病のせいではない、ということに限られる。ただ、それでも重要な貢献である。
この話を20世紀初頭の農業と製造業に当てはめた場合、縮小しつつあった農業の生産性成長率は過大評価され、拡大しつつあった製造業の生産性成長率は過小評価されていたことになる。すると、20世紀半ばの生産性成長率は高かった、というロバート・ゴードンの説はもっと極端なものになるのかもしれない。

2109とはずがたり:2024/03/10(日) 18:23:59
https://www.hrbrain.jp/media/human-resources-development/mece

MECEとは?

MECEは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字を取った造語です。直訳すると「互いに重複せず、全体として漏れがない」という意味になりますが、「漏れなく、ダブりなく」という意味合いで使用されています。
MECEがなぜ必要か?

ビジネスは、世の中で起きている問題や課題の解決策を見つけ、世の中を幸せに、便利にしていくことがゴールです。課題が大きく複雑であればあるほど、論理的でシンプルに切り分ける必要があります。この「切り分け」に漏れやダブりがあると、問題を解決できなかったり、何度も同じ事を繰り返すことになり非効率です。非効率であることは、ビジネスでは好ましい状態ではありません。MECEは、これらの漏れやダブりを減らすための、重要な考え方です。

2110とはずがたり:2024/03/28(木) 14:35:27
ソンバルト
Liebe, Luxus und Kapitalismus. 2. Auflage. Wagenbach Taschenbuch Nr. 103, Berlin 1967. [16]
『恋愛と贅沢と資本主義』金森誠也訳、論創社、1987年。講談社学術文庫、2000年。ISBN 406-1594400
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%BE%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%88

恋愛と贅沢と資本主義 (講談社学術文庫)
ヴェルナー・ゾンバルト、 金森 誠也 | 2000/8/9
https://www.amazon.co.jp/s?k=%E3%82%BE%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%88&i=stripbooks&__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=1I8J9XL23YTPU&sprefix=%E3%82%BE%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%88%2Cstripbooks%2C158&ref=nb_sb_noss_2

呪われた部分 (ちくま学芸文庫) 文庫 ? 2018/1/11
ジョルジュ・バタイユ (著), 酒井 健 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/%E5%91%AA%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%9F%E9%83%A8%E5%88%86-%E3%81%A1%E3%81%8F%E3%81%BE%E5%AD%A6%E8%8A%B8%E6%96%87%E5%BA%AB-Georges-Bataille/dp/4480098402

Bataaille, Georges (1949) "La Part maudite, Essai d'economie generale -- La Consumation", Les Editions de Minuit, 1949


『ホモ・ルーデンス 文化のもつ遊びの要素についてのある定義づけの試み』
(著:ヨハン・ホイジンガ 訳:里見 元一郎)
2018.04.28
https://news.kodansha.co.jp/5985


ホモ・ルーデンス 文化のもつ遊びの要素についてのある定義づけの試み (講談社学術文庫) 文庫 ? 2018/3/11
ヨハン・ホイジンガ (著), 里見 元一郎 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%9B%E3%83%A2%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%B3%E3%82%B9-%E6%96%87%E5%8C%96%E3%81%AE%E3%82%82%E3%81%A4%E9%81%8A%E3%81%B3%E3%81%AE%E8%A6%81%E7%B4%A0%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E3%81%AE%E3%81%82%E3%82%8B%E5%AE%9A%E7%BE%A9%E3%81%A5%E3%81%91%E3%81%AE%E8%A9%A6%E3%81%BF-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E5%AD%A6%E8%A1%93%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%83%A8%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%82%A4%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%82%AC/dp/406292479X


遊びと人間 (講談社学術文庫) 文庫 ? 1990/4/5
ロジェ カイヨワ (著), 多田 道太郎 (翻訳), 塚崎 幹夫 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/%E9%81%8A%E3%81%B3%E3%81%A8%E4%BA%BA%E9%96%93-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E5%AD%A6%E8%A1%93%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%A7-%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%A8%E3%83%AF/dp/4061589202/ref=pd_bxgy_d_sccl_1/357-5037225-1256928?pd_rd_w=Sa0y9&content-id=amzn1.sym.c08e496a-dd36-425a-9334-23b47b787a67&pf_rd_p=c08e496a-dd36-425a-9334-23b47b787a67&pf_rd_r=HVKDHY5SYST2FYPD6K5H&pd_rd_wg=Fhf5V&pd_rd_r=33b44bfc-0be1-4570-adb8-f5c26574f791&pd_rd_i=4061589202&psc=1


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