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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 3●
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プロバイダー規制や本スレの空気などでSSを投下できない人が、
本スレの代わりにこっちでSSを投下するスレ。
sageるとIDが???になるので恥ずかしい人にはお勧め。
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背中からとんでもない悲壮感を噴出してるかなみを見送り、顧問がいる部室棟へ侵入、必殺の弱みを使ってプールの一レーンを借りることに成功。
「ううう……気をつけてたのに、気をつけてたのに……。一体どこで仕入れてくるのよ、そんな写真!」
「コミケ等」
見た目はボーイッシュで普段は男らしい格好を好む先生の、ありえないほどフリフリロリロリした衣装で決めポーズしてる写真を片手に高笑いする。
「ところでこの服何? さくら? CCさくら? 今更感が強いですが、今でも根強い人気が俺内部であるのではにゃーんとか言え」
「はにゃーんッ!」
殴られはしたが、そんな感じでプールを借りられたので、今度は男子更衣室へ向かう。さて、と。
「……あー、涼しいわね。……あー、楽しい。……ふん。ばか」
「独り言とは楽しそうで何よりですね」
「うっさい! ……え、あれ?」
「どした、狐につままれたような顔をして」
実際にかなみのほっぺをふにーっと引っ張る。やーらかくて素敵。
「え、だって、水着ないんじゃ……?」
「購買部で買った」
「……わ、わざわざ?」
「かなみと一緒に泳ぎたかったからな」
やめて。そんな染み渡るような笑顔見せないで。そこまで喜ばれると恥ずかしいです。
「はっ! ……へ、変態。そこまであたしと一緒に泳ぎたかったなんて、泳いでる最中にあたしの身体を触るつもりね!?」
「酷い言われようだ。もう泳ぐのやめようかなあ」
「えっ、嘘! やだ、ダメッ!」
かなみは俺を抱きつくようにして引き止めた。
「……あ、いや、冗談なんだけど」
「うっ! ……う、うぅ〜! ず、ずるい!」
冗談と気づき、かなみは俺からぴょいんと離れると顔を真っ赤にして俺を責めた。
「ずるいと言われても」
「わざとそーゆーこと言ってあたしを抱きつくように仕向けた! ずるい!」
「や、そこまで好かれてるとは思ってませんでした」
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「だっ、誰がアンタなんかを好きってのよ!? あ、アンタなんてだいっ嫌いなんだからっ!」
「へー」
「う、嘘なんかじゃないわよ! ホントのホントに嫌いなんだからねっ!」
「じゃあ、そんな嫌いで嫌いでしょうがない俺と一緒に泳いだりはしないのだな?」
「……お、泳ぐけど。一緒に泳ぐけど! でも嫌いなの!」
「ほへー」
「超馬鹿にしてえ! 嫌いなの! ホントにホントにホントにホントに!」
「ライオンだー」
「富士サファリパークは関係ないッ!」
「あれ歌ってるの和田アキ男とみせかけ、実は違う人らしいな」
「知んないわよっ! ……て、ていうか、なんかさ。そっちはどうなのよ」
「何が」
「だ、だから、その……あ、あたしのことをさ。その……す、好き? とか、そーゆーの」
「え」
「……や、やっぱなし! 今のうそ! なんもなし!」
かなみは素早く水に潜ると、ぴうーっと潜水したまま泳いでいってしまった。
「ふ……甘いぞ、かなみ! ぼくドザエモンの異名を持つ俺に勝てると思ったか!」
近くの水泳部員が「水死体……?」と怪訝な顔をしているのを尻目に、かなみを追いかける。
「わっ、なんか来た! くっ、来るなっ、ばかっ!」
「ふふん。俺様から逃げられると思ったら大間違いだ!」
かなみの尻目掛けざぶざぶ泳ぐ。目の前の尻がふりふり動くたび、俺の運動能力が+1されるのを確かに感じる。
10mほど泳いだ所でかなみを捕獲成功。後ろからがっしとかなみを掴み、動きを封じる。
「うー! ううー!」
「こら、暴れるな、ばか」
「馬鹿はそっちよ! 馬鹿、馬鹿馬鹿馬鹿!」
「馬鹿でいいから落ち着け」
「うぅー!」
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「まあ、なんだ。答えを言う前に逃げられたので、一応は言っておこうと思いまして」
ぴたり、とかなみの抵抗が止んだ。じぃーっと物言いたげな視線が俺を貫く。その視線の持ち主の耳元に顔を近づける。
「うっ……ばっ、ばかっ!」
口を開く前にかなみは俺を突き飛ばすと、ばしゃばしゃと水をかけた。
「ぷわ。ぷわ。ぷわ」
「ばっ、ばか! ばかばか! ばかばかばか!」
「馬鹿馬鹿言うな。ぷわ。自覚はしてる。ぷわ。ていうか水をかけるのやめろ。ぷわ。まだ言ってないんだから」
「うっ、うるさい、ばか! アンタの気持ちなんてどーでもいいわよ! どっちにしろ、あたしはアンタなんて大嫌いなんだからっ!」
「嫌いであろうとなかろうと、俺の気持ちは別に」
「わ、わーっわーっわーっ! 聞こえない聞こえない聞こえないーっ!」
「ちくわ大明神」
「全く関係ないッ!」
聞こえてるじゃん。
「うう……なによ、この敗北感は!」
「知らん。ていうかなんか疲れた。もう普通に泳ごうぜ……」
「そ、そうね。普通が一番よね」
そんなわけで、かなみと一緒にしばらく泳ぐ。
「あー……涼しくて気持ちいいわねー。プールって大好き!」
「全くだな」
「でしょ? アンタもそう……」
油断してるかなみに背後からすいーっと近づき、耳元でぽしょぽしょ囁く。
「!!!!?」
そしてすぐさますいーっと逃げる。
「こっ、こら、ばか! そ、そういうこと言うだけ言って逃げるとかずるい! ばか、ばかばか!」
「いやははは、これでも人並みに羞恥心がありましてね。ああ、返事はまた後日で結構」
「ばか、ばかばか、ばかばかばか! 今すぐ返事言わせろ、ばかーっ!」
真っ赤な顔で泳いでくるかなみから逃げるぼくドザエモンだった。
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>>441
かなみさん超可愛い
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数日描かなかっただけで、うまく描けなくなるかなみさんマジツンデレ。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1587.jpg
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>>443
GJ!!
何か一気に来たな
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本スレでもここでも続けてくれるのはいいことだ。
二人ともgjだぜ
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>>441
ええい!どうしてこうお前の書くかなみさんは超かわいいんだ!
顔がニヤケてしかたがないwww
>>443
表情いいな、GJ!
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冗談じゃなくにやけが収まらないんだがどうしてくれようこのGJ共め
どっちのかなみさんも素晴らしすぎるだろjk
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・ツンデレを褒めまくってみたら
「へぇ。かなみのお弁当、美味そうだな」
『何よアンタ。いきなり来て、人の弁当ジロジロ見ないでよね。失礼じゃない』
「ああ、気に触ったならゴメン。いや、通り掛かっただけなんだけどさ。何かやけに美味
しそうに見えて。おばさん、料理上手なんだな」
『へ? えっと、その……違うわよ。確かにその、ウチのお母さん、その……料理は上手
いけどさ。これはその……』
「どうしたんだよ。別に俺相手に言いにくい事なんてないだろ? 言いたい事あるなら遠
慮せずに言えって」
『あぅ……これは、あたしが……その……作ったのよ。ウチのお母さん、今月からパート
始めたから……朝、忙しくなって、だから……』
「そうなんだ。でも、自分で作るなんて偉いじゃん。朝、結構早起きしなくちゃならないんだろ?」
『ま、まあね。でも、お母さんがさ。こういうのも花嫁修業の一環だと思いなさいって言っ
て…… あたしはさ、面倒くさいなって思うけど。でも、作らないとお昼が購買のパンに
なっちゃうし……』
「それでもやってるんだから大したもんだって。それに、かなみってお弁当作るセンスあ
るんだな。彩りとか栄養とか、ちゃんとバランス考えた作りになってるじゃん」
『あたしだって女の子なのよ。それくらいは考えて料理くらいするわよ。ていうか、アン
タもしかして、あたしが料理下手くそだとか思ってたの?』
「いやいや。前に調理実習の時もおすそ分け貰ったじゃん。あれも上手かったけどさ。け
ど、単品で作るのと、お弁当でいろんな料理を作るのはまた違うし。それに、女の子だか
らって言うけど、友子なんて料理はからきしダメじゃん」
『友子はもっぱら食べる専門だからね。それに、料理してる暇があったら、少しでも記事
になるネタを探し回りたいって言ってたし』
「ま、アイツらしいよな。けど、だからこそ、別に男とか女とか関係なく、料理って一つ
の才能だと思うぜ。俺なんて、作れるって言ったらインスタントラーメンくらいだし」
『何でそんな褒めるのよ? 何か気持ち悪いんだけど。むしろからかってるとか、バカに
してるんじゃないでしょうね?』
-
「まさか。本気で美味そうだと思ったから言ってるだけだぜ。そもそも、最初はかなみの
手作りとか知らなかったじゃん」
『ま、まあそうだけどさ。でも、何かアンタにそんな褒め方されると、背筋がゾワーッと
なんのよ。マジで』
「そりゃあ申し訳ない。けどさ。しょうがないじゃん。実際に美味そうだし見栄えもいいし」
『わ、わかったから、もう言わなくていいわよ。褒めてくれてありがと。これでいいでしょ?
だからもうあっち行ってよね』
「その……かなみさん」
『何? 急にさん付けとか、逆に気持ち悪いんだけど』
「あー、いや。その、お願いがあってさ。だからここは、ちょっとかしこまろうかなって」
『ふーん。お願いね。分かった。言うだけ言いなさいよ。ただし、期待はしないでよね』
「じゃあ、期待しないで言うけどさ。出来ればそのシュウマイ、一つくれないか?」
『やだ』
「即答かよ。断るにしても、少しは考えてくれたっていいだろ?」
『だって、何であたしがせっかく自分の為に作ったお弁当を、タカシなんかに分けてあげ
なくちゃいけないのよ。意味が分かんない』
「俺が、かなみ手作りのお弁当を、ちょっとだけでも味見したいって言うんじゃ理由にならない?」
『なる訳ないでしょ? 大体、何でアンタがあたしのお弁当を食べたがるのよ。自分のが
あんでしょーが』
「いや。それはそれとして。つか、ほんのちょっとだけでいいんだよ。かなみのお弁当が、
見た目通りに美味しいのか、確かめたいだけだから」
『失礼な事言うわね。そりゃ、胸張って美味しいとまでは言わないけどさ。一応、ちゃん
と食べられるものは作ってきたつもりよ。大体、自分のなんだもん。不味いもの作って来
るわけないじゃない。アンタのならともかく』
「そりゃまあそーだ……って、俺のだったら不味いの作って来んのかよ!!」
『例え話よ。大体、ほら。あたしが、アンタのお弁当作るとか……その……死んでもあり得ないし』
「俺の弁当を作るのは、死ぬよりも辛い苦行だとおっしゃるか」
『だから例えだっての。いちいち本気にしないでよ。とにかく、あたしのお弁当は米粒一
つだって分けてあげないから。ほら。諦めて自分の席戻ってご飯食べて来なさいよ』
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「一応言っとくがな。タダとは言わないぜ。貰うからには、それ相応のお礼はしないとな」
『お礼? お礼って何よ?』
「お? 食い付いて来たな」
『バ、バカ言わないでよ。一応聞いとこうかなーってだけよ。あげないことには変わりないわよ』
「ふぅん。ま、いいや。じゃあ教えるだけ教えるってことで」
『いいから。もったい付けずにとっとと言いなさいよ』
「ああ。もし、かなみがそのシュウマイ一個くれたら、美風堂のカスタード&ホイップシュー
クリームをおごってやろうかなって」
『ホントに? 今、あたしそれ、すっごくハマってるんだけど。あのホイップのほわっと
口の中で溶けるような感じとか、皮のサクサク感とか、ホント最高なのよ。あれ』
「でも、高いんだっけ。3個入りで600円とか」
『うぐ…… そうなのよね。別に買えないって程じゃないんだけどさ。気楽に手を出すの
にはちょっと躊躇っちゃうのよね。うちはそんなにお小遣いくれないし……』
「だよな。そんなかなみに、何とシュウマイ一個で奢ってやろうって言ってるんだぜ? ど
うだ? 悪い話じゃないだろう」
『う…… で、でも、タカシにシュウマイをあげるって言うのはちょっと……』
「どうしても、嫌か?」
『その……嫌って程じゃないけど、抵抗が……』
『(だって、あげるつもりで作って来てないから、全然心の準備が出来てないし…… 何か、
お弁当分けるのって、恋人同士みたいで気恥ずかしいし……)』
「まあ、無理強いは出来ないからな。けど、残念だな。俺にとっては、かなみの弁当はシュ
ウマイ一つでも、美風堂のシュークリームに全然勝る価値があるのに」
『わ、分かったわよっ!!』
「あん?」
『そっ……そこまで言うなら、その……一つくらい分けてあげるわよ。でも、その……勘
違いしないでよね。あたしはただ、その……シュークリームに惹かれただけなんだから。
タカシに褒められたからとか、そんな事は全っ然関係ないんだからねっ!!』
「分かってるよ。そんじゃ、かなみのお許しも頂いた事だし、遠慮なくいただきまーす」
『ちょ、ちょっと待ちなさいよっ!!』
「何だよ? まだ何かあるのか?」
-
『手掴みで食べようとしないでよ。汚いわね。箸、使いなさいよね。ほら』
「ああ。悪いな。サンキュー。そんじゃ、あらためていただきまーす」
『ど……どうぞ……』
ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ……
『(ど、どうしよう…… タカシが、あたしの作ったシュウマイ食べてる…… 口の中で咀
嚼して、ゆっくり味わってる……)』
モギュモギュ……ゴクン……
「フゥ……」
『ど……どうだったのよ? 食べさせてあげたんだから、感想の一つくらいは言いなさいよね?』
「うーん……」
『な、何なのよ。唸っちゃって。美味しかったの? それとも……口に、合わなかった……?』
「かなみ」
ビクッ!!
『なっ……何よ急に…… 真面目な顔で呼ばないでよね。もう……』
『(は、早くしてよ…… こっちは心臓が破裂しそうな程、緊張してるのに…… 何で難し
い顔してるのよ…… もしかして、言い辛い事でもあるの? ねぇ、早く……)』
「あのさ。お前のシュウマイだけどさ……」
『何なのよ、もう!! いい加減、もったいつけて区切るの止しなさいよね。時間の無駄
なんだから。聞くこっちの身にもなってよ!!』
「ああ。悪い。いや、何て言うか上手く言えないんだけどさ……」
『(そこで口ごもるって……やっぱり、何か失敗したのかな? もう早くして……不味いな
ら不味いで諦めるからぁっ…… お願い……っ!!)』
「お前のシュウマイ……ってさ。その……」
『(またそこでっ……!! ああ……もうダメェ…… ドキドキして死んじゃうっ……!!)』
「何か、プロが作ったみたいだな」
『…………え?』
「いや、本当に。お世辞とかじゃなくて。見栄えも綺麗だし、皮も上手く包んであるけど、
何よりも、肉がすっごいジューシーだ。これなら、中華料理店で出しても、全然問題なく
行けるだろ」
-
『う、ウソでしょ。いくら何でも大げさ過ぎだって。いくらなんでもプロみたいなんて、
そんな事絶対無いわよ。だから、褒められ過ぎると、却ってウソ臭くって嬉しくないんだってば。』
「いやいやいや。褒め過ぎじゃなくて、マジで。自分でも食ってみろよ。絶対、ぜーった
い、かなみのシュウマイは一級品だから。見た目でシュークリームより高価だと見抜いた
俺の鑑定眼は、全く狂って無かったぜ」
『わ、分かったわよ。もういいからあっち行ってよね。もうこれ以上はあげないわよ。あ
と、シュークリームの件、忘れないでよね?』
「ああ。だから、今日の放課後、ちゃんと空けとけよな。それとも、もう何か用事入って
る? でなきゃ明日以降でもいいけど」
『と、特に無いわよ。ていうか、先延ばしにすると、うやむやにされそうだもん。ちゃん
と、今日ご馳走して貰うからね』
「了解。んじゃ、後でな」
『ホントに、もう…… 何考えてんのよ。今まで一度もあたしのお弁当に興味持った事無
かったくせに…… 何で、今日に限って……』
『(もしかして……本当に、私の作ったお弁当だから……タカシが興味持ってくれたとか……
ないない。そんな事、あるはずないわよ…… でも、彩りもキレイだって言ってくれたし……
シュウマイも、見た目から美味しそうだって……)』
パクッ……
『(うーん…… 我ながら、不味くはない……かな? けど……タカシは、プロみたいだっ
て。本当かな……もし本当だったら…… タカシの為に毎日お弁当作ってあげたら……なーんて……)』
『うはっ!! まっさかー。そんなのないない。無いってば!!』
〔どうしたんですか? かなみさん〕
『へ!? い、委員長、どうしたの?』
〔いえ。かなみさんこそ、何かニコニコと嬉しそうに笑いながら手を振って…… 何かい
いことでもあったんですか?〕
『なっ!? 何でもない!! 何でもないから!!』
〔そ、そうですか…… それならいいんですけど……〕
『(あっぶなー…… でも、タカシにあれだけ褒められたんだもん。イヤでも嬉しそうな顔、
出ちゃうよ……)』
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「なー、友子。あれで良かったのか? お前が、今日はかなみが手作り弁当持って来たか
ら、とにかく褒めまくれって言うからさ。とにかくやってみたけど」
[ナイスよ、別府君。これでかなみの心はもう、落ちたも同然ね。それにしても迫真の演
技だったわ。遠目に観察してたけど、あたしでもあれだけ褒められたら、この人の為に尽
くそうって思っちゃうかも]
「いや。実際あいつ、弁当作るの上手だったし。まあ、多少は大げさに脚色したけどさ」
[それでいいわ。これでかなみは、間違いなく明日からお弁当を作り過ぎて来るから。別
府君は、お昼持って来ちゃダメよ?]
『ホントかよ。もしかなみが作り過ぎて来なかったら、俺、昼飯なしだぞ? 購買のパン
なんて、速攻で売り切れんだからさ』
[分かった。じゃあその時はあたしの手作り弁当を別府君にあげよう。それでどうだ?]
「断る。お前の料理下手さは、クラスで知らない奴はいないくらい有名だからな」
[ぶーっ。失礼な奴。せっかくの女の子の手作り弁当を断るなんて。じゃあもういいわよ。
昇竜軒のとんこつチャーシュー麺大盛りプラス餃子ゴチで。これならいいでしょ?]
「よし。それで手を打った」
[ま、かなみがお弁当持って来ないなんて有り得ないから。そもそも、もし、なんてない
んだけどね]
「お? エライ自信有り気だな?」
[そりゃ、かなみの親友ですもん。これで別府君は、毎日かなみのお弁当を食べさせられ
るわよ。イヤだって言ってもね]
「そっか。まあ、友子の言う事を信じて、楽しみに待ってるとするか」
[そうしなさい。かなみもきっと喜ぶわよ。顔には出さないけどね。あーあ……いーな。
青春してさ……(ボソッ……)]
「ん? 最後、何て言った? 良く聞き取れなかったけど」
[何でもないわよ。さ、そろそろ戻ろ。あたしと別府君で変な噂が立ったら大変だもん。ね?]
「ま、そりゃねーと思うけどな。まあ、話も終わったし戻るか」
[うん]
[(……ちょっと、かなみが羨ましいかな……)]
『(タカシってば、何が好物なんだろ? そだ。今日は一緒に帰るんだから、その時に聞き
出そう。明日、お弁当持って行ったら喜んでくれるかな……? エヘヘ……(/////////////))』
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以上
議論の骨休めに書いてみた
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GJ
かなみの弁当食べたい…
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ついでに投下
お嬢ご乱心
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1588.jpg
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アニメにすぐ影響されるお嬢可愛い
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男が友人と話してる会話を理解できるようになって、
自分も男と、男の好きなものの話ができるようになろうとしたのが発端なんだよきっと
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目がきらきらでかわいいなw
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(自炊)男に負け続けているツンデレ
「ほい、美琴。これ」
『何だ、タカシ? 今、読書中なんだ。邪魔をするな……っ!? こっ、こんな所で渡すな。バカ!!』
「だって、たかがこれ返すだけで人気のない所に呼び出すってのも大げさだろ。それと
も、放課後に二人っきりで、とかの方が良かったか?」
『くっ…… もういい。さっさと寄越せ。ホントにお前はデリカシーのない奴だな。全く……』
[ちょっとちょっと。何なのよ。その怪しい感じは。おねーさんに内緒で何やってんのかな〜?]
『ほら。お前のせいでまた、うるさい奴に感付かれたじゃないか』
「別に、コソコソ隠す事でもないと思うんだけどな」
『お前がどう思うと知った事か。私が迷惑なんだ』
[まあまあ。お友達をそう邪険に扱わなくたっていいじゃない。ホント、美琴ってば冷
たいんだから]
『お前のその、人のプライバシーに首を突っ込みたがる性格も何とかしろ。人には静か
にして欲しい事もあるんだ。でないと、本当に友達を失くすぞ』
[あら? 心配してくれるんだ。ありがとう。美琴ってば、優しいなあ]
『別にお前のためを思って言ってるわけじゃない。あくまで一般論として言ったまでだ』
[でも、ご忠告は感謝するわ。で、別府君。美琴に何を渡したの?]
「ああ。弁当箱。昨日、美琴に昼の弁当を作って貰ったからさ」
『こらっ!! ちょっとは人の話を聞け。このバカ!! それとタカシ!! あっさり
と私が弁当を作った事をバラすな!! 誰にも話すなと言っただろうが』
「いや。友子に変に隠すとさ。あることない事噂話として広められるからさ。それだっ
たら、最初から正直に話した方が余計な誤解招かないし」
『そ、それはそうだが……じゃなくて!! 正直に話しても、誤解されることには変わ
りないはないだろう!!』
[まあまあ、美琴。そう興奮しないの。教室中に聞こえるわよ]
『うっ…… と、とにかくだな。もうお前は席に戻れ。質問にはもう答えただろう?』
[そうは行かないわよ。ふっふ〜ん、美琴ぉ]
『フン。何だ?』
-
[また、突っ張っちゃって。そう照れなさんな。彼氏の為に、愛妻弁当をこっそりと作っ
てたのがバレたくらいで]
[ほら、みろ。何が愛妻弁当だ。私は、こんな奴と付き合った覚えはないし、ましてや
妻でもないのに愛妻弁当など作るいわれなどない]
[えー? だって、別府君の為に、お弁当作ってあげたんでしょ? 普通はさ。そうい
う事するのって、彼氏彼女の関係だから、じゃないの? でなきゃ、美琴が一方的に別
府君を好いているか]
『そんな事有り得るか!! 私がタカシの事を好きなどと……考えただけでも背筋が寒くなる』
[心臓の辺りがキュンって、こう……こそばゆくなるような感じじゃなくて?]
『違う!! いい加減タカシも否定しろ。ニヤニヤ笑って見ているだけじゃなくて!!』
「いやあ。友子にからかわれて真っ赤になってる美琴は可愛いなあって」
『かっ…… 可愛いとか言うなっ!! お前に言われてもちっとも嬉しくないぞ!!』
「いや。別にお世辞とか喜ばせようと思って言ってるわけじゃないから。美琴が嬉しい
嬉しくないは関係ないし」
『ううう〜〜〜っ!!(////////)』
[お? すっごい真っ赤になった。リンゴみたい]
『うるさいな、もう!! とにかく、これは単なる賭けの罰ゲームで、仕方なく一食分
だけ弁当を作っただけだ。もう二度とこんな事はしないぞ』
[罰ゲーム?]
「そう。俺と美琴がテストの度に、点数競ってるの、友子知らなかったっけ?」
[それは知ってたけどさ。でも、今日まだ2学期の初日じゃん。一体いつ勝負したのよ?]
『これは、その……1学期の期末試験の分だ。このバカが…… 現代文と世界史で高得
点を叩き出すものだから……』
「期末試験後って、もう授業ないからさ。学校も半分で終わるじゃん。だから、やっと
その精算って事で」
[なるほど。で、どうだったの?]
『どうだったって……何がだ?』
[別府君に手作り弁当を作ってあげた感想よ。やっぱり、男の子の為にお弁当作るって、
いつもと気分が違うでしょ? ましてや別府君なら……ねぇ?]
-
『フン。別に何てことはない。私はいつも自分の為に弁当を作っているからな。一人分
増えただけの話だ』
[またまたまた。別府君はどうだったの?]
「そりゃ、念願の美琴の手作り弁当だからな。美味かったさ。唐揚げにシュウマイにポ
テサラに金平に卵焼きに……」
[わぉ? かなり気合入ってるじゃない。全く気のない素振りして……このこのっ♪]
『やめろ。つつくなこのバカ。私の食べたいものと、コイツのリクエストを足したらそ
うなってしまっただけだ』
「あ、そうそう。ごはんに海苔で絵が描いてあったっけ」
[え? どんなのどんなの?]
「何か、怒った顔が描いてあって、セリフでバーカ!!って」
[アハハ。美琴らしい]
『笑うな。せめてこれくらいしないと、気が晴れなかっただけだ。全く、こんな奴の為
に何で私が弁当を作るハメになるんだ。もう二度と作らないからな』
「でも、賭けに負けた時はまた作って貰うかもしれないぞ。俺は美琴の弁当なら毎日だっ
て食いたいからな」
『バカを言うな。もうお前の思い通りにはさせん。次こそは私が勝つからな』
[次こそはって……まだやるつもりなの?]
『当たり前だろう。このままタカシに負けたまま終わるわけには行かないんだ。次のテ
ストでは、絶対に私が勝ってコイツに屈辱的な罰ゲームをさせてやるんだからな』
「ま、無理だって。今度も俺が勝つよ。美琴の方が頭はいいけど、本番に弱いっていう
致命的な弱点があるからな」
『う、うるさい!! 今までにも私が勝ったことはあるじゃないか。勝負はやってみな
いと分からないぞ』
[ね、ね。ところでさ。今までの美琴と別府君の対戦成績ってどうなの?]
『こ、細かい事は聞くな。お前には関係ないことだ』
[じゃ、別府君。教えてくれる?]
「ああ。定期テストは俺の2戦全勝。これは全教科の平均点勝負な。あと、教科ごとの
小テストは7勝2敗ってとこだな」
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『あっさり答えるな、このバカ!! 私の許可も取らずに勝手な事をするな。これじゃ
あ、私が隠した意味がないじゃないか』
「いや。美琴は答えづらいだろうなと。俺に連敗中とか、認めたくないだろうからさ」
『当たり前だ。というか、連敗中とか言うな!!』
[へーえ。意外。別府君って、そんなに頭良かったんだ。いや。それとも美琴が頭悪い……
とか? 高校に来て落ちこぼれた?]
『バカを言うな!! 私は悪い点など取っていない。ただ、コイツの要領がやたらいいだけだ』
「定期試験は得意科目に集中してるし、小テストは教師のクセ読めば、大体いつ出すか
分かるぜ。ちなみに、多分次の英語は小テストだな。夏休み中にどれだけみんなが勉強
したか、試してみるとか言って」
『な……? そ、そうなのか?』
「いや。勘だけどな。でも、今までも大体当たってたし、まず間違いないだろ。あの先
生は不意打ち大好きだし」
[へー。すごい。確かに言われてみるとその通りだわ。ん? どうしたの、美琴。頭を抱えて]
『い、いや。何でもない……』
「もし小テストなら、もちろん勝負だよな? 美琴」
『あ、当たり前だ。英語は私の得意科目だしな。準備不足とはいえ、お前に負けたりはしないぞ』
「よし。じゃあ、罰ゲームの内容な。美琴が負けたら、明日の昼休みに屋上で膝枕して
くれ。耳掻きのオプション付きで」
『なっ……!!(/////////////) だだっ……ダメだダメだそんなの…… もうちょっと簡
単なものにしろ。小テストなんだから……』
「じゃあ、美琴は何を望む? その中身で俺も考え直すわ」
『そうだな。それじゃあ、その……週末、映画はどうだ? お前の奢りで“初恋物語〜
ツンとブーンの最後の夏〜”を見に行くと言うのは。お前は、こういうベタなラブロマ
ンスは苦手だろう? お前の悶え苦しむ姿を見て楽しんでやる』
「うげ。それはちょっと鳥肌もんだな」
『そうだろう。覚悟しておけ。しかも、チケットもお前に買いにやらせるからな。全く、
似合わない事この上ないな。フフッ』
「ま、いいけど。それならやっぱ膝枕耳掻きで」
-
『だっ……だからそれはダメだと…… もうちょっと軽いのはないか? た、例えば……
そうだな。肩揉み程度とかなら……』
「自信、ないんだろ?」
『な……っ!! バカなことを言うな。私がお前なんかに負けるわけ無いだろう。例え
これまで、偶然が重なったとしても、次回以降は一回もお前に勝ちを譲る気はないからな』
「じゃあ平気じゃん。どっちにしても、美琴が勝つんだからさ。条件を緩くする必要な
んてないだろ?」
『グッ…… 分かった。勝てばいいんだろう。勝てば。こうなったら、意地でもお前の
3連勝は阻止してみせるからな』
「よっしゃ。その意気だろ」
[ね、ね。ちょっと聞くけどさ。今までの罰ゲームってどんなのがあったの?]
「えっと……だな。期末が弁当だろ? 中間は俺とお前が名前で呼び合おうって言うの
で、あとは美琴をケーキ食べ放題に連れて行ったのと、美琴のトレーニングに丸一日付
き合わされたのと、手作り菓子を作って貰ったのと……」
[よーするにあれね。二人とも、罰ゲームにかこつけて、ラブラブな恋人生活満喫して
るだけじゃない……]
『全く、コイツのせいで、屈辱的な目に遭わされてばかりだ。次からはもう、お前の思
い通りにはさせないからな』
「臨む所だぜ。2学期も、俺が返り討ちにして美琴を圧倒してやるからな」
キーンコーンカーンコーン……
〔はーい、みんな席に着いて。それじゃあ授業を始めます。と、その前にぃ〜♪ みん
な、夏休みの間どれだけ真面目に勉強してきたか、まずはそれを確かめたいと思います。
今から、簡単なテストをするから、みんな教科書ノートは机に仕舞ってください〕
「(来たぞ、美琴)」
チラッ……
『(……来たな。タカシ)』
チラッ……
〔はい。じゃあ行き渡りましたね。時間は15分。それじゃあ、始めて〕
「『(勝負!!)』」
[(……全く、二人とも仲の良い事で)]
-
[で……結局また負けちゃった訳だ]
『う、うるさいっ!! 見るなこのバカ!!』
[うわ。別府君すっごい幸せそうな顔してる。全くこの幸せ者が]
『私は全然幸せじゃない!! というか、もういいからあっちに行け!!』
[はいはーい。じゃあ、二人とも仲良くお幸せにね〜っ♪]
『フン。全く、私が何でこんな事……』
「美琴の膝……マジでチョー気持ち良いぜ……ムニャ……スー……スー……」
『でも……まあいいか……クスッ……』
この後美琴が、友子の入れ知恵で、互角の環境で勉強した方が公平だからと、タカシ
に一緒に勉強するよう持ちかけ、色仕掛けで集中力を失くす作戦に出たとか何とか、そ
んな妄想もあるが詳しくは省く。
あと、最近は尊大といえば日笠陽子ボイスが脳内で定着しつつある俺であった。
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>>465
GJ
日笠陽子には同意。クールで大人っぽい尊大だとみゆきち、ダウナーツンデレは花澤さんって感じ。
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>>465
GJ!
ふたりとも素直じゃないなww
個人的にダウナーはチアキ風みのりんボイスのイメージ
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ちょっと時期外れなネタだけど6レスいただきます
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〜幼稚園〜
「みことちゃん、あしたいっしょにはなびみにいこうよ!」
『うん、いいよ!!やったやった、タカくんとおでかけだ〜!』
【尊、タカシくんと花火大会に行くの?】
『あっ、おかあさん!』
「こんにちは、おばさん!あの、みことちゃんとはなびたいかいにいってもいいですか?」
【あらあらデートのお誘い?それなら浴衣着て行きなさいな尊!おばあちゃんがあなたの為に用意してくれたのがあるのよ!】
『ホント!?うわ〜い、ゆかたきれるんだ〜やった〜!!』
「わあ、よかったねみことちゃん!」
『エヘヘ、タカくんもたのしみにしててね///』
-
〜中学生〜
「悪い尊、待たせちゃったか?」
『遅刻だバカ者!全く、いっそのこと一人で行こうかと思ったぞ!?』
「ゴメンゴメン、出掛け際にちょっとトラブっちゃってさ・・・ってあれ、浴衣じゃないの?」
『浴衣?・・・ああ、あれは着るのが面倒だから止めておいた。お母様は最後まで着て行け着て行けとうるさかったが』
「え〜俺今の尊の浴衣姿見れるの楽しみにしてたのになぁ」
『花火を見て、適当に出店をブラブラするだけだろう?それなら身軽な服の方がいいじゃないか』
「まぁそれはそうなんだけどさぁ」
『私は浴衣を着て来るつもりはない、これでこの話は終わりだ。さあ早く祭の会場に行くぞ。
・・・ああ、それと遅刻したから今日のお金は全部貴様持ちだからな』
「うええぇ、マジすか!?」
『私を待たせたんだからそれぐらいは当然だろう?ほら、つべこべ言わず歩け!』
「な、なんだかなぁ。・・・ま、せっかくの祭なんだし、俺も楽しみますか!」
『・・・すみません、とりあえずラムネを一本とわたあめを一つ、それとフランクフルトを・・・』
「ってもう買ってるし!?」
-
〜高校生〜
「尊の奴、約束の時間に遅れてくるなんて珍しいな。まさか、何かあったんじゃないだろうな・・・」
『・・・はぁ・・・はぁ・・・す、すまんタカシ、待たせてしまったか!?』
「おっ、着いたか。大丈夫だよ尊、俺も今来たとこだか・・・・・」
『着付けに時間がかかってしまってな。ううむ、やはり慣れないことはあまりするべきでは無かったか・・・』
「み、尊・・・その姿・・・!?」
『・・・なんだ、その顔は。本当は浴衣など着たくはなかったのだが、お母様が自分のお古を着て欲しいとうるさかったから仕方なく着たんだ。
言っておくが、お前の為でもなんでもないから変な勘違いはしないように』
「いやいやいや、尊が浴衣姿で来てくれただけで御の字だよ!!いやあ、本当に似合ってるなぁ」
『・・・・・当然だろう!なにせ私が着ているんだからな!!///』
「?? どうしたんだよ尊、顔真っ赤だぞ?熱さにでもやられたか?」
『・・・・・そ、その通りだ!ここだとなんだか熱くてかなわん!ほら、さっさと出発するぞ!』
「あっ、ちょっと待てよ」
(ギュッ)
『ひゃああああ!?お、おおお、お前っ、いきなり、何をっ!!!?』
「何って、人多いからはぐれないよう手を繋いだだけだけど」
『バッ、バカ者!!これでは周りに変な誤解を与えるというか、なんというか・・・その・・・///』
「あーゴメンゴメン、それなら離すな」
(パッ)
『あっ・・・』
「あら、もうこんな時間かよ。場所無くなるとヤバいし、早く行こうぜ尊!」
『・・・ううぅ、後少しだったのに・・・(ボソッ)』
「・・・ん、俯いたりしてどうしたんだ尊?」
『・・・ええい、何だかイライラしてきたぞ!?今日のお代は全部お前持ちだからな!!異論は許さんっ!!』
「ちょwwwテラ理不尽www」
-
〜大学生〜
「尊〜まだかよ〜?早くしないと花火始まっちゃうぞ〜?」
『う、うるさい、もう少しで終わる!!・・・・お母様、こ、これで大丈夫でしょうか?』
【安心なさい尊、これ以上無いってくらい似合ってますから。ほら、タカシ君のこと30分以上も待たせているんでしょう?】
『は、はい、分かりました・・・!』
(ガチャッ)
『・・・スマン、かなり待たせてしまったな』
「お〜ようやく出て・・・来た・・・」
『ま、全く、デリカシーのない奴だなキミは!?女性に着替えが遅いと言うのは普通禁句なんだぞ!?(ドキドキ)』
「・・・・・・」
『・・・な、なんだ、いきなり黙り込んで。もしかしてわ、私に見とれてしまったのか!?本当に仕方のない奴だなっ!!(ドキドキドキ)』
「・・・本当に似合ってるよ。尊、凄い綺麗だ」
『なっ・・・き、キミに綺麗なんて言われても、ぜ、全然嬉しくなど無いし、むしろ私からすれば綺麗なのは当然であって、
こんな私の姿を見れたキミはもっと私に感謝したりほ、褒めたりするべきだし、
でもどうせキミの語彙能力じゃ到底私は満足させられないのは明らかだし、
え、ええと・・・////』
【ふふっ、にやけた顔を隠し切れてませんよ尊。嬉しいなら嬉しいと素直に言えばいいのに。こんばんはタカシ君】
「あ、お久しぶりです!」
【ねぇタカシ君、一ついいことを教えてあげましょうか?】
『なっ・・・ちょ、ちょっとお母様!?』
【・・・尊、あなたは少し黙っていなさい(ギロッ)】
『・・・・!?(ビクッ)』
「(す、すげぇ・・・あの尊を一言で黙らせやがった・・・てか超怖ぇ・・・さすが尊の母親だ・・・)」
【尊たらね、口では今日花火大会に行くのが面倒だの、行きたくないだの言ってたんだけど、本当はずっと楽しみにしてたのよ。
今着てる浴衣だってね、今日の為に何ヶ月も前からコツコツお金を貯めて、
いろんなお店に何回も何回も下見に行って、タカシ君の喜びそうなのを選んできたんですよ】
『・・・・・ううぅ/////』
【だから、今日は尊のことを思いっ切り楽しませてあげてくださいね。もし悲しませでもしたら・・・(キラーン)】
「(ぞくっ・・・)は、はいぃぃぃ!?全力で頑張らせていただきますっ!!!」
【ふふっ、それでは、娘のことよろしくお願いします。尊も頑張ってきなさいな】
『・・・・(こくこく)』
-
「・・・・・・」
『・・・・・・』
「・・・なあ尊?」
『・・・・・うるさい、今は気分が悪いから話かけないでくれ』
「さっきの話・・・その・・・本当なのか?」
『・・・ッ!ああそうだよ、今日の花火大会をずっとずっと前から楽しみにしていたさ!!
この浴衣だって、キミが似合ってると言ってくれそうなものを必死に探したんだ!!
ほら、こう言えばキミは満足かっ!!?ああ私のうろたえる姿が見れてキミは大いに満足だろうな!!』
「うん、満足だよ。お前がそこまで気合入れて準備してくれてたのが正直意外だったからさ」
『・・・・ふん、キミみたいな男でも一応私の恋人なんだ。これぐらいしたって何も問題はないだろう』
「その台詞、自分じゃ冷静に言ったつもりだろうけどな、お前今顔真っ赤だぞ」
『なっ・・・!?い、いちいちうるさい奴だな!!ほら、さっさと出発するぞ!さっさと来い!!////』
「へいへい、わかりましたよ。ほら、はぐれるといけないから手貸せって(ぎゅっ)」
『あっ・・・あ、あのなタカシ、一つお願いがあるのだが・・・・?』
「ん、どうしたんだよ、急にしおらしくなって」
『その・・・・手を繋ぐのは嬉しいんだが・・・指を絡める・・・こ、恋人握りをしてみたい・・・////(かあああ)』
「・・・ふぅ、了解しましたお姫様、こちらでよろしいでしょうか?(ぎゅっ)」
『・・・ん、よろしい』
「よ〜し、そんじゃ行きますか」
『・・・ふふっ、ああ行こうかタカシ!』
-
〜番外編 結婚後〜
「どうだい尊、準備できたかな」
『はい、大丈夫です。に、似合っていますか・・・?』
「もちろん!とてもよく似合っているよ!」
『・・・ありがとうございます。それにしてもこの浴衣、高かったでしょう?こんなに無理をしてくれなくてもよかったのに・・・』
「いつも尊には苦労をかけてるからね。プレゼントくらいは良い物を送りたいんだよ」
『・・・その気持ちは嬉しいんですけど、あなたは少し勘違いをしています』
「勘違い?」
『・・・あなたが選んでくれた贈り物だったら、私は何だって嬉しいんですよ・・・?////』
「・・・やれやれ、尊も変わったねぇ。昔のお前だったら、『ふん、仕方ないな!お前が ど う し て も と言うなら受けとってやらないこともないぞ!!』とか、
『べ、別にこんなものを貰ったからって嬉しくなんかないんだからな!』とか言っただろうに」
『む、昔は昔です!あの時の私は、あなたの前では中々素直になれませんでしたから・・・ああ、今思い出しても恥ずかしい・・・!!』
「ははっ、俺は今の尊も昔の尊も変わらず大好きだよ」
『あっ・・・ふふふっ・・・あなたには敵いませんね・・・』
「お互い様だよ。さて、そろそろ花火始まるけど、どうしようか?」
『せっかく準備してもらって悪いんですけど、今日はここから花火見ませんか?
私・・・この浴衣姿は、あなただけに見てもらいたいんです・・・///』
「うん、そうだね、尊がそうしたいならそうしようか」
『・・・ふふっ、ありがとうございますタカシ・・・!』
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最後で虫歯になりそうになった
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>>474
何この激甘夫婦
尊大祭りとか嬉しすぎる
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>>474
素晴らしい
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尊大から敬語への進化でこれほど悶えるとは思わなんだ
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>>474
最後甘過ぎるwwwww
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歯が砕けた
GJ!!
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>>474
歯が溶けた
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歯が生え変わった
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たまには上機嫌なツンデレさん。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1591.jpg
某サイン会に当選していたので僕もゴキゲン。
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>>483
GJ!! カワええなぁ
何か手を握りたくなる
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>>483
かなみさんちょっと太った?
アッーーーーーーーーーー!!
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幸せ太りというやつです。
でも相変わらず胸は・・・ボギャ
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>>483
GJ!!
こういう時こそ、笑顔のお前って可愛いよなとか言ってデレんデレんにさせてあげたい
-
【俺の嫁がかなみ】
「若い身空で結婚、それも学生婚とな。ほほう」
朝食後、コーヒーをごくごく飲みながらぽけーっと呟いてみる。
「ねー、アンタよく何もないところに向かってぶつぶつ呟いてるけど、病気? 脳の」
人が折角色んな人に分かりやすく俺達の状況を説明しているというのに、俺の嫁であるところのかなみが酷いことを言う。そして色んな人とは誰だ。アレか、俺の脳内劇場に出てくる観客か。じゃあ俺は頭の病気だ。
「そうです」
「あー、やっぱり」
「やっぱりとか言うな」
「あははっ。……あ、あの、違うよね? 本当は病気とかじゃなくて」
「当たり前だろうが。何を心配そうな顔をしてる」
「しっ、心配なんてしてないわよ! た、ただ、本当だったらヤだなーとか、介護大変だなーとか、一緒に出かけらんなくなっちゃうなーとか……」
言ってる内に想像してしまったのか、かなみの顔がどんどんと暗くなっていく。
「ぐええ」
そこで、急に泡吹いて倒れてみる。
「!!!!?」
すると、目に見えてかなみがパニックを起こしたので必死でなだめる。
「嘘です、嘘ですから!」
「う、うそ……?」
涙目で力なくぺたんと座ってるかなみに、何度もうなずく。
「そ、そーゆー嘘は禁止! ……な、泣いちゃうじゃない、ばか」
「いやはや。ごめんな」
「……おいしいご飯食べさせてくれるなら、ゆるす」
「分かったよ。今度一緒に牛丼食べに行こうな?」
「牛丼!? 女の子連れで!?」
「おいしいよ?」
-
「お、おいしいけど……デートなんだからもうちょっと気合入れた場所に連れて行きなさいよ!」
「や、そういった場所には疎くて」
「はぁ……今度そういう雑誌買ってくるから、ちゃんと調べること! いいわね!?」
「超めんどくせえ」
「何か言った!?」
「何も言ってないです」(半泣きになりつつ)
「そっ。ならいいのよ」
「でも、かなみの作る飯は美味いので、そこらの店では太刀打ちできないかと」
これは世辞でもなんでもなく、俺の嫁が作る飯は信じられないくらい美味い。いや最初は正直勘弁してくださいと逃げては殴られるレベルだったが、それを堪えて毎日食ってたら次第に俺好みの味になり、今ではそこらの弁当では吐いちゃうほど。なに、信じられない? じゃあ今すぐ吐いてやる!(今日も電波と会話中)
「こう、うお……ぐええ」
「なにをいきなり吐こうとしてるか!」
吐瀉物を探そうと口に指を突っ込んでたら、かなみに止められた。
「もー、アンタってばいついかなる時でも訳が分からないわね」
「かなみの飯の美味さを証明しようとしたら、なぜか吐かざるを得ない状況に自ら追い込まれたんだ」
「説明されても分かんないわよ……」
言われてみると本当だ。俺の思考は謎に包まれていると言えよう。
「そ、それより。……そんなあたしの作るご飯が好きなの?」
「好き。愛してる。結婚してください」
「……も、もうしてる」
かなみの手を取ったら、そんな恥ずかしい台詞で切り伏せられた。かなみはかなみで顔を赤くして視線をさ迷わせてるし。ええい。
「……う、ううーっ! もうっ! 恥ずかしいじゃないの! 変なこと言わせないでよ、ばかっ!」
「思わぬ展開に俺も驚いてるところだ」
「も、もー。……ばか」
かなみは俺の手を取り、ちらちらとこちらを見た。そして視線が合うと、ぼしょぼしょと何やら呟き始めた。
「あ、あのさ。……あたしと結婚して、嬉しい?」
「当然」
-
「……あ、あたしも。……ってぇーっ! 何よ、このむず痒空間! ああもうっ、痒い痒い痒いっ!」
「おまーから始めたんだろーが」
「ううう……あ、ああーっ!?」
「今度は何だ。破水でもしたか?」
「まだ妊娠すらしてないッ! ……た、種はいっぱい仕込まれたケド」
だから、そういうことを赤い顔でごにょごにょ言うな。
「じゃ、じゃなくて! 時間っ! 遅刻!」
「はっはっは。余裕を持って起床→朝食のコンボを決めたのに遅刻なわけぶくぶくぶく」
「時計見ただけで泡吹くなっ、ばかっ!」
「ぶくぶく……いや、あまりの時間の過ぎっぷりにびっくりして。これは好きな人と一緒にいると時間が早く過ぎてしまうというウラシマ効果に相違ありませんね?」
「ウラシマ効果じゃないけど……そ、そう。す、好きな……ああもうっ! アンタ恥ずかしい台詞言いすぎっ!」
「ゲペルニッチ将軍」
「だからといって全く意味のない台詞を言えってコトじゃないっ!」
「よく俺の言わんとしたことがすぐに分かったな。流石は俺の嫁」
「う……うっさい! そ、そんなこと言われても、別に嬉しくなんてないんだからねっ!」
「今日も俺の嫁は可愛いなあ」
「う……うぅーっ! 可愛いとか言うなッ!」
「分かった、分かりましたから殴らないで。顔の形が変わります」
この嫁は照れ隠しに人をたくさん殴るので、俺の命が日々危機に晒されるスリル満点の新婚生活と言えよう。普通の新婚生活がいいよ。
「ともかく、遅刻するので行きましょう」
「わ、分かったわよ。それより血拭きなさいよ。血まみれよ」
ハンケチで顔をぐいぐい拭われると、それだけで血が止まった。この特異な能力があるおかげで今日も僕は生きていられます。ていうか毎日殴られた結果備わってしまったのだけど。
「ん! 今日もいいおと……ぶ、ぶさいくね!」
「旦那に向かって今日も失敬だな、おまいは……」
「う、うっさい! ほら、行くわよ馬鹿!」
かなみに手を引っ張られ、今日も登校する俺たち夫婦なのだった。
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こんな嫁が欲しいです
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ちょっと婚姻届もらってくる
と思ったら履歴書を持っていた
なにを言って(ry
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デート中とかそんなの。
元ネタなんて誰も分からなくてもいい。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun1595.jpg
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かわいいいいいいいいい
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んーなんだっけ、赤いスイートピーの歌詞?
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起きたら二つもGJきてた!ヤッタネ!
ちょっと時計を投げ捨てながら婚姻届もらってくる
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俺がいない間に素晴らしいGJが!!
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寝る前に良いものが見れたぜ!
というわけで4レスほどいただきます
-
「うっし、そろそろ寝るかな〜」
『ふむ、私も寝るとするか』
「な〜尊そんじゃさっ!いっし・・・!!」
『却下!』
「・・・却下すんの早ッ!?てか、まだ具体的なこと一言も言ってないぞ!?」
『ふん、どうせお前のことだから「一緒に寝ようぜ〜」とか「尊の布団入ってもいいかな〜」とでも言うつもりだったんだろう?』
「ぐっ・・・よ、よくわかったな尊・・・!」
『何年一緒にいると思ってるんだ。お前の単純な思考回路などとっくの昔にお見通しだ』
「それはさりげない惚気と受けとってもよろしいか?」
『勘違いするな。単細胞な男に長年付き纏われ続けた女の悲しみの叫びだと知れ』
「うわ、ガキの頃からの幼なじみになんて言い草だよ!?というかこれでも一応お前の夫なんだぞ?」
『ああ、 一 応 な』
「ううぅ・・・お母さん・・・新婚だっていうのに嫁がめちゃくちゃ冷たいです・・・」
『なんと言われようが嫌なものは嫌だ。何が悲しくてお前と一緒の布団で寝なければいかんのだか。
・・・・そもそもだ、事あるごとに一緒に寝ることを強要してくるが、お前は人を抱きまくらか何かと勘違いしてるんじゃないか!?』
「だって尊抱いて寝ると、温かくて柔らかくて気持ちいいんだもん!特に頬っぺたとかスリスリするt(バキッ)・・・ぐほぉっ!!?」
『ひっ、人が寝ている間に何しているんだこの変態が!!恥を知れ、恥を!!////』
「ゴホッ・・・ゴホッ・・・ひっ、酷い・・・ただの夫婦のスキンシップじゃないかぁ・・・」
『夫婦とはいえ人の寝込みを襲うとは度し難い男だな貴様は!・・・ああ、実に気分が悪い!先に寝かせてもらう!!(バサッ)』
「あっ、ちょ、尊!?」
〜選択肢〜
・諦めて一人で寝る
・それでも諦めない
-
「・・・・・まっ、本気で嫌みたいだし今日はこれくらいにしておくか」
『えっ・・・!?』
「お前も疲れてるだろうに悪かったな。そんじゃお休み!(バサッ)」
『なっ、タカシちょっと待っ・・・!!』
「・・・・ぐ〜・・・ぐが〜・・・」
『・・・お、おい、わかりやすい狸寝入りはやめろ!まだ私の話は終わってないんだぞ!?(ゆさゆさっ)』
「ぐご〜・・・ぐご〜・・・」
『ほ、ホントに寝てる・・・・・・くっ、くそっ、なんて空気の読めない男なんだコイツは!?そ、そこはもう少し・・・・食い下がるところだろうが!!』
『さすがにもう一度お願いされたら私だって考えてやらなくもなかったというのに!!この軟弱者め!!』
『今日ぐらいは頬っぺたをす、スリスリするぐらいなら許してやろうと思ったのだかな!後で後悔しても遅いんだからなっ!!』
「・・・すぴ〜・・・すぴ〜・・・」
『うぅ・・・・くぅぅぅ・・・・せっかくのチャンスだったというのにぃ・・・!////』
『はぁ・・・今日は一人で寝よう・・・(しょんぼり)』
BADEND
〜次の日、心底不機嫌な尊に叩き起こされる〜
-
ニア・それでも諦めない
「なぁ、どうしてもダメか尊?」
『・・・・・・』
「頼む、この通りだ!俺と一緒に寝てくれよ尊!!」
『・・・・・本当にうるさい奴だ。そんなに私と寝たいのか・・・?』
「うん、寝たい!!」
『幼稚園児かお前は。はぁ・・・なんでこんな男と結婚してしまったんだか・・・』
「とか言ってさ、プロポーズされた時泣いて喜んでたじゃんかw」
『あ、あれは・・・・忘れろ!私の人生の中でも1番の汚点だ///// ・・・・だがまぁ結婚してしまったからには責任を取らなければいけないか・・・』
「!! ということはっ!!」
『ほら、さっさとスペースを空けろ。念の為に言っておくが、私はこんなことはしたくは無いんだからな!お前がどうしてもと言うから、仕方なくなんだからなっ!!』
「ええもう、そんなことは重々承知してますとも!(ニヤニヤ)」
『・・・なんだそのにやけ面は。気持ち悪いぞ』
「へーへー、そいつはすみませんでしたね〜」
『・・・ほら、もっと離れないか。肩が触れているだろうが』
「おいおい、肩が触れるぐらいいいじゃないか〜」
『気を許せば何をされるか分からないからな。用心するに越したことはない』
「えらく信頼されてることでw・・・・とりあえずスペースの確保はこれぐらいにしとこうぜ?」
『ん、そうだな。ほらさっさと寝ろ!私早く自分の布団に戻りたいんだ』
「大丈夫大丈夫、もう寝ますよ〜。・・・ってなんで背中向けて寝てるんだ!?」
『・・・別に。お前に顔向ける必要もないだろ?』
「ふぅ・・・ま、いいか。んじゃ電気消して(パチッ)お休み、尊!」
『ああ、お休み・・・・・我慢だ、我慢だぞ尊!コイツが眠ったら早急に自分の布団に戻るんだ!それまでの辛抱だ!!』
「尊ゴメン、少し黙ってもらっていいかなw」
-
〜30分後〜
「予想はしてたけどさぁ・・・」
『くー・・・・・むにゃむにゃ・・・・・』
「誰だよ、俺と一緒じゃ眠れないとか言ってたのはwめちゃめちゃぐっすりじゃないか」
『すー・・・すー・・・(ぎゅっ)』
「しかも、がっちり抱き着かれてるから身動きも取れないしwさてさてこれはどうしたもんか」
『んー・・・・すりすり・・・♪』
「ははっ、尊言えないよなぁ・・・寝ぼけてると自分から頬っぺたすりすりしてくるなんてさ。知ったら発狂するぞ、コイツw」
『くぅ・・・いい気持ち・・・!』
「・・・でもマズイ、この状態じゃ俺が眠れない。明日朝早いしなぁ。仕方ない、俺が尊の布団で寝るしかない・・・・ってうわっ!?」
『コラッ・・・どこに・・・行くつもりだ・・・?・・・お前は・・・黙って眠っていればいいんだ・・・(ぎゅうぅぅぅ)』
「ちょ、み、尊!?」
『ふふふっ・・・タカシの腕の中・・・暖かくて・・・すごい気持ちいい・・・』
「!?」
『こんな風に眠れるなんて・・・私は・・・幸せ者だなぁ・・・ふふふふっ・・・』
「・・・やれやれ、明日の朝絶対文句言われるんだろうなぁ。ま、こんな尊の姿が見れるならそれもいいか(なでなで)」
『えへへ・・・////』
END
〜次の日、上機嫌な尊と一日をすごす〜
-
God job
-
great job
-
excellent
job
-
Perfect
-
Amazing
-
(自炊)男の進路が気になるツンデレ
高校2年の2学期ともなると、そろそろ卒業後の進路を考えなくてはいけない時期だ。
3年生は理系と文系でクラスが別になるので、まずはどちらに進むか。そして、自分の
成績と照らし合わせて、志望校や志望学部なんかも進路指導調査票に書いて提出しなけ
ればならない。しかし、提出が明日だというのに、ボクはまだ、どうしようか決めかねていた。
『別府君てさ。どこの大学……第一志望だっけ?』
新学期最初のクラス委員会が行われた帰り道。副委員長の別府君と並んで歩きながら、
ボクは聞いた。すぐに、ぶっきらぼうな返事が来る。
「美府理科大の理学部だって前にも教えなかったか?」
もちろんボクは聞いている。しかも回数が3回だって事も、いつどこで聞いたかも。
だけどボクは、不機嫌そうにこう答える。
『確かに聞いたかも知れないけど、覚えてないよ。その場の興味で聞いただけなんだし、
君の事にそれほど興味ないもの』
「じゃあ聞くな。答える方が面倒くさい」
多分、冷静に考えれば彼の方が正しいんだろう。けれど、内心では気になって仕方が
ないボクとしては、冷たく突っ撥ねられると、どうしても苛立ちを抑えることが出来なかった。
『いいじゃない。別に聞いたって。答えたからって何かが減る訳でもないでしょ?』
「そうだな。しゃべった分だけ、俺のカロリーが減るかな」
別府君にしては珍しく、ウィットに富んだ返事をして来た。それとも、ただの嫌味な
のか。いずれにしても、ボクが全く面白みを感じなかったのは事実だ。
『ああ。そうなの。それが嫌だったら、一生ずっとしゃべらなければいいじゃない。誰とも』
ケンカ腰のボクの態度にも、別府君は憎たらしいほどに冷静に答える。
「別に減るのが嫌だとか言ってないだろ。委員長が何かが減る訳じゃないって言ったか
ら、減りそうなものを言っただけだ」
『でも、聞かれるのは嫌だから答えたんじゃないの? 嫌味たらしい。言っておくけど、
人間誰しも、別府君みたいに効率よくは生きられないの。悪かったね。フン』
畳み掛けるように言うと、別府君はボクを少し見つめてから視線を逸らし、小さくた
め息を吐いた。それっきり言葉は無く、ボク達は少しの間、無言で並んで歩いていた。
-
――何よ、もう。いいじゃない。それくらい、面倒くさがらずにしてくれたっていいのに。
確かに、何度も聞くボクも悪いのかも知れない。だけど、やっぱり思ってしまうのだ。
万が一にも、理系じゃなくて文系へ――出来れば、ボクの志望出来そうな大学へ――進
路変更してくれないかと。
『……よく、理系なんて行く気になるよね。面倒くさいのに』
不貞腐れ気味に言うと、別府君は意外そうに答えた。
「そうか? 先の事を考えると、文系の方がめんどくさいと思うけどな」
『何で? だって、理系ってそもそも勉強が難しいし、勉強だけじゃなくて実験とかも
多いじゃない。文系の学生なんて、遊んでる人の方が多いくらいなのに』
多少、偏見が混じっているかも知れないけど、でも、ボクの意見は間違っていないは
ずだ。大体、誰に聞いても大学の勉強は単位を取るのが主目的で、後はバイトだとかサ
ークル活動だとか、本来の意義とは違う方に精を出す学生が多く、真面目に勉強の為に
通ってる人なんてほとんど見かけないそうだし。
「特に目的も無く、単に就職の手段としてしたくもない勉強に精を出す方が、考えよう
によっては余程大変だと思うんだがな。その点、理系なら自分の専攻した学問に集中出
来そうだし、やることが決まってればその方が楽でいい」
ハァ、とボクは小さくため息を吐く。言われてみれば確かに、一つの事に集中出来る
方が楽なのかもしれないが、それでもボクにとっては、あの複雑な計算式とか、実験と
かを考えると、承服し切れない所もあるのだ。
『でも、文系だからって必ずしもいい加減って訳じゃないじゃない。学者になる人だっ
て大勢いるんだし』
そうだそうだ、と自分の言葉に自分で頷く。国文学だって英文学だって、或いは経済
学や法学にせよ、一つに取り組んで勉強できる事は文系にだってたくさんある。
しかし、別府君は、ボクの言葉をあっさりと一蹴した。
「興味の持てる事があればな。けれど、生憎俺は、現代文も古文も英語も苦手でな。進
む道が分からないのに、楽する為だけに適当に選べば、結局後で苦労するだろ」
『で、でも歴史は得意じゃない。世界史とかさ。そういうのはどうなの?』
何とかリカバーしようと試みたが、これも即座に切り捨てられた。
-
「史学は人による解釈が様々だからな。同じ史料を読んでも全く違う解釈をする学者が
いるし、どの史料が正しくてどれが間違いかを正確に判断出来るなんて無理な話だし。
仮説から検証なら、物理の方が数字で導き出せるだけに、曖昧さはないしな」
何となく、別府君の言っている意味は分かる。分かるけど、何故かボクは納得したくなかった。
『だけど、めんどくさいとかめんどくさくないとか、そんな事で進路を決めちゃってい
いの? それとも、何か研究テーマとか、もうやりたい事あるの?』
まるで先生のような言い草で、ボクは別府君を問い質した。もし、これでやりたい事
があるとか言われたら、もう別府君の気持ちは翻しようがない。無言の別府君を、ボク
はドキドキしながら見つめて返事を待った。
「いや。今んところはまだ決めてないな。とりあえず、物理が得意だから、そっち方面
がいいかなって思ってるくらいで……」
『ほら。いい加減じゃん。その程度の事で進路を決めたりしたらダメなんじゃないの?
大学に行くだけだったらそれでもいいかも知れないけど、将来の仕事の事とかもちゃん
と考えないと』
ちょっとホッとしたボクは、ここぞとばかりに別府君に反論する。しかし別府君は、
ちょっと困った顔で視線を逸らした。
「……別に、委員長に俺の将来を心配して貰う必要なんて、ないと思うんだけどな」
その言葉に、ボクはハッとして思わず口を押さえた。体がカッと熱くなるのを感じる。
『べ、別に別府君の将来を心配して言ったわけじゃないってば!! その、何ていうか、
一般論っていうか……あくまでちょっとした忠告として言っただけで、ついおせっかい
って言うか……別に、ボクは別府君がどうだろうと関係ないんだけどさ』
慌てて言い訳をすると、別府君は視線を前に向けたまま、ぶっきらぼうに言った。
「じゃあ、何も俺の進路を、そうムキになって否定する事ないだろ? 大体、今は理系
志望者は減ってるからな。むしろ職に就くにも有利なんじゃないかとも思うんだが。そ
れに、上手く行けば研究室に入って、そこから紹介して貰えるしな。そうすれば、スー
ツ着て汗だくになりながら、何社も説明会に回らなくて済むかも知れないし」
『う…… まあ、確かに別府君に、就活なんて似合わなさそうだけど……』
-
ボクの兄が去年だか一昨年だかに就職活動をしていたけど、似合わないスーツを着て
会社説明会や面接に出掛けたり、ネットでいろいろと情報集めたりエントリーしたり、
友達と情報交換したりしていたりして、本当に地道で大変そうだなと思った。あの兄が
出来て別府君に出来ないとは思えないけど、でもやはり想像は付きづらい。
「悪かったな。それに、どのみち進路票の提出って明日だろ? 今更変えるのもバカバ
カしいしな。俺には多分、こっちの方が合ってるんだろう」
別府君の言葉に、もう答える気力も無く、ボクは俯いて歩く。このままだと、別府君
は間違いなく理系クラスに行ってしまうだろう。ボクの進路とか関係無しに。いや。気
にする方がおかしいのかも知れないけど、それでもボクは気にして欲しかった。
「ところで、委員長は進路票はもう出したのか?」
何気ない問いに、ボクは反射的に顔を上げて別府君を見つめた。真顔でボクを見下ろ
すその視線とまともにぶつかってしまい、一瞬ボクの思考から全てが飛んだ。
『え……?』
「いや。だからさ。進路票、出したのかって」
その言葉に、ボクはようやく我に返る。慌てて視線を逸らし、俯いたまましばらくど
う答えようか迷ったが、結局ボクは、正直に答えてしまった。
『えっと……その……まだ……』
「珍しいな。委員長が、提出物をギリギリまで出さないなんて。いつもは出したか出し
たかって、人にせっつく方なのに」
ちょっと驚いた声の別府君に、ボクは顔を上げて睨み付ける。
『うるさいな。さっきも言ったけど、進路ってすごく重要な事なんだから、ただ書いて
出せばいいってもんじゃないの。君みたいに適当には決められないんだから。分かる?』
すると、別府君の口が一瞬開きかけ、そして閉じた。何か言い返そうとでも思ったの
だろうか。でも、少しして別府君の口から出た言葉は違っていた。
「委員長はさ。英語が得意なんだし、言語学とかそっちの方に進んだ方がいいんじゃな
いか? 好きなんだろ? 英語」
『そんな、得意だからとか好きだからとか、その程度で短絡的に決めるものじゃないで
しょ? 言ったじゃない。進路って将来の人生に係わる重要なものなんだから。大学は
それでいいかも知れないけど、語学が生かせる職なんて限られてるんだし』
-
別府君の意見に、そう説教しつつ反論すると、別府君は鞄を持ったまま、器用に両手
を組んで後ろ頭に当て、ストレッチをするように体を逸らす。
「そんな、深く考える事もないと思うんだけどな。英語ってそれだけでスキルになるじゃ
ん。選びようによっては、役立つ分野だと思うけどな」
『別府君みたいに、ボクは単純な思考回路じゃないの。こればっかりは、ちゃんと考え
て選ばなくちゃいけないんだから』
偉そうに言うと、別府君は肩を竦めて言った。
「ま、こればっかりは俺がどうこう言う問題じゃないからな。まあ、しっかり考えてか
ら決めればいいんじゃないのか? どうしても提出期限に間に合わなさそうなら、先生
にでも相談すりゃいいし」
『言われなくても、ちゃんと考えて決めますよ。別府君と違ってね』
最後につい、余計な一言を付け加えてしまったが、別府君はただ、もう一度肩を竦め
ただけだった。
その夜、進路希望票を机の上に置きつつ、ボクは何度もため息を吐いていた。
『……どうしようかな……』
昼間、別府君には偉そうな事を言ったが、ボクは未だ、文系か理系かすらも決めてい
なかった。決められなかった。
『どう考えても、成績的にはこっちなんだけどな……』
ボクの成績は、圧倒的に英語と古文、現代文に偏りがちである。歴史の成績は世界史
日本史問わず水準以上。一方、理数系となると平均点を取るのがやっとである。
『どのみち、センター試験受けるから、全部勉強はしなくちゃいけないんだけどさ……』
いや。もっと楽な方法もある。先生は、ボクの成績なら推薦で合格出来るんじゃない
かと言っていた。勧めてくれた大学は、私立だが、そこそこ難関に位置する大学だ。
『別府君なら、迷わず推薦選ぶよね……』
また、彼の顔を思い出して呟く。そう。ボクがこんなに悩んでいるのも、全部別府君
のせいなのだ。
『別府君は……平気なんだろうな…… 3年になって、理系と文系でクラスが分かれて、
ボクと違うクラスになっちゃっても……』
-
椅子の背もたれに寄りかかり、天井を見上げて深いため息を吐く。人には将来の事を
ちゃんと考えろとか言って、一番直近の事しか考えていないのはボクの方だった。
『別府君のことだもの。違うクラスになったら……違う大学になったら…… どんどん
ボクの事なんて忘れちゃうんだろうな……』
所詮、ボクなんて、別府君にとっては単なるクラスメート。おせっかいで、よく話し
掛けて来たりするだけの女子に過ぎないんだろう。
『ボクは……ボクなりに、頑張ってるつもり……なんだけどな…… でも、憎まれ口ばっ
か叩いてるから、そっちの印象の方が強いよね……』
体を起こして、もう一度進路票に向き合う。このまま、彼に心を置き去りにしたまま、
自分の得意な方に進むか。それとも……
『ダメだ…… ううん。分かってる。分かってるんだけど……正解は……だけど、けど……
絶対、後悔するから…… それも分かってるから……』
結局、夜が白み始めるまで、ボクはシャープペンを弄ぶ事しか出来なかった。
二日後の帰りのホームルームの後だった。
『一杉さん。帰る前に、ちょっと国語科準備室、寄ってかない?』
まるでお茶にでも誘うような口調で先生に言われた。
『え? あ、はい』
ボクはすぐに頷く。クラスの誰も、ボクと先生のそんなやり取りに注目する人がいな
いのも、ボクが委員長で先生からの呼び出しなんてしょっちゅうだからだろう。だから
ボクも慣れっこなはずなのだが、今日はさすがにちょっと緊張している。先生の呼び出
しがなんなのか、分かっていたから。
『悠。先生の用事ってすぐ終わりそう? だったら、待ってよっか?』
友香がそう言ってくれたが、ボクは首を振る。
『ううん。もしかしたら時間、掛かるかも知れないからいいよ。先帰ってて』
一つには、帰り道に余計な詮索をされるかも知れないのを危惧して、ボクは断った。
しかし友香は、にんまりと意地の悪い笑顔でこんな事を言った。
『あら? 今日はあたしを追い払っても、愛しの別府君とは一緒に帰れないわよ。だっ
て、もう先帰っちゃったみたいだし』
-
だけど、いい加減その程度のからかいでは動じなくなっているボクは、抜く手も見せ
ずに友香のおでこにベチン、とデコピンをしてから文句を言い返した。
『全く。別府君は関係ないっていつも言ってるじゃない。たまたまタイミングでも合わ
ない限り、別に一緒に帰る必要なんてないんだから。今度そんな事言ったら承知しない
からね』
『あーうー…… もう十分痛いってば……』
懲りるという言葉を知らない友香には、これくらいやってもバチは当たらないのだ。
ボクはフン、と一つ、荒い鼻息だけ残して教室を出て行った。
続く
全部で3回くらいになる予定。
-
出来ればこちらが悶え死ぬ前に投下して頂けるとありがたい
gj
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久しいな、僕っ娘委員長
楽しみにさせてもらう
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気になるぅぅ!
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(自炊)男の進路が気になるツンデレ その2
『はい、どうぞ』
『あ、すみません』
国語科準備室に行くと、本当にお茶とお茶菓子が出て来た。もう出されてしまったも
のを断る訳にも行かないし、ボクは恐縮して頷く。
『これ、主任先生の出張みやげで“なごやん”っていうお菓子なの。先生も食べたけど、
美味しかったからさ。食べて食べて』
『い、頂きます……』
一口、お茶を飲んでからお菓子を一つ貰い、封を開けて口に入れる。カステラみたい
な生地のお饅頭で、中は白餡が詰まっており、和菓子独特のほんのりとした甘さが口の
中に広がる。
『どお? 美味しいでしょお? まだあるから、遠慮しないでね』
『あ、はい……』
口直しにお茶を口に含みつつ、ボクはうっかりすればまだ高校生に見えなくもない、
童顔の担任を見つめる。一瞬、用事と言うのは、本当にお茶をご馳走する為だけに呼ば
れたのかと思ってしまうくらい、何かのんびりした気分にさせられてしまう。すると、
油断した所で、先生がいきなり切り出した。
『それで、今日呼んだのはね。先生、ちょっと一杉さんにお話があるの』
『え? あ、はい』
うっかり緩みそうになった心のタガを締め直すと、ボクは姿勢を正して先生を見つめ
た。すると先生は、笑顔で手を軽く振る。
『そんな、緊張しなくってもいいから。もうちょっとリラックスして』
『は、はい』
そうは言っても、進路の話だって分かってる以上、緊張せずにはいられない。先生は、
書類の束から、一枚の紙を抜き出した。
『話って言うのは、これの事』
先生が、ボクに進路希望票を示して見せる。そこには、一昨日の夜に、朝までかかっ
て悩んだ末に書いた進路先が書かれている。
『はい』
-
ボクが頷くと、先生は真面目そう、というよりも、ちょっと残念そうな顔をした。
『本気なの? 美府理科大って。先生、一杉さんは、絶対英文学とか外国語の方に進む
と思ってたんだけど』
ボクは、小さく頷いた。
『はい。今、得意だからとかそういうのだけじゃなくて、将来の事もいろいろと考えて、
悩んだ上で選んだ事ですから』
『でも、一杉さんって、物理とか得意じゃないじゃない。あなたの学力だったら、文系
なら六大学も狙えると思うんだけど。ちょっと、もったいなくない?』
『それももちろん考えました。そういう事も含めて、ちょっとチャレンジしたいなって。
苦手だから嫌いっていう訳でもないですし』
先生の質問が分かっていただけに、ボクの答えは淡々としていて明快だった。もう、
何度も頭の中でシュミレートしていたから。本当は今でも、理数系の何が面白いのかは
理解出来ないけど、理解したいとは思っている。それが、別府君を理解する事にも繋が
るのなら。
『分かった。先生からしてみると、すっごく残念だけどぉ…… でも、一杉さんが頑張
るって言うなら仕方ないっか。どーせ、あなたの事だもん。先生が何て言ったって、聞
かないでしょーし』
『はい』
ボクは、ちょっと笑顔になって言った。先生が認めてくれて、ちょっとホッとしたの
だ。多分無いだろうとは思っていても、もし反対されて親を巻き込む事態になったらど
うしようという不安もあったのだ。
『ま、一杉さんならあと一年あれば何とかするでしょ。いっそ、明治の理工学部とか狙っ
ちゃう?』
本気とも冗談とも付かない笑顔で言うものだから、ボクの方が思わず引いてしまった。
『そ、それはさすがに無理かと…… でも、美府理科大は、今のところの実力を考えて
の事ですから。来年、進路を決める時には、もっと上の大学を狙えたらいいな……とは、
思ってますけど……』
『そうねそうね。さすが一杉さん。頑張れっ♪ ファイトッ♪』
こんな可愛らしい応援されると、ボクとしては、理由も理由だけに何となく照れ臭く
なって、身を縮み込ませてしまうのだった。
-
準備室を出ると、友香が待っていた。
『お疲れ様。悠。お勤めご苦労様』
『先に帰ってていいって言ったのに……』
ため息を吐くボクに、友香は笑顔を浮かべ、唐突に肩を抱いて来た。
『冷たいこと言わないの。親友なのにさ』
『普通、自分で親友とか言っちゃうかな…… とにかく、うっとうしいから、離して』
肩を揺らして拒絶の反応を示すが、友香は全然意にも介さなかった。
『まーまー。良いではないですか。これも、親愛の証ですよ』
だけど、ボクには分かっている。こういう態度の友香は、絶対に何か含みを持ってい
るに決まっている。それも、ボクにとっては非常に不都合な事だ。
『言っとくけど、先生に何を言われたかは話さないからね』
先手を打って釘を刺す。しかし友香は首を振った。
『聞かないわよ。そんな事』
意外に思って友香の顔を見つめた途端、友香はニンマリと笑顔を見せて言葉を続けた。
『だって、分かってるもの。進路の事でしょ?』
『へ……っ?』
驚いて友香から体を離そうとするが、肩をがっちりと掴まれてしまい、ボクは体を動
かす事が出来なかった。友香はクスッと微笑み、ちょっと得意気に語る。
『だって、昨日進路票を提出したこのタイミングだもん。それに、どんな理由かも分かっ
てるし。悠ってば、理系の学部を選択したんでしょ?』
『何で知ってんの!?』
さすがにボクも、驚きの余り叫んでしまう。しかし、友香はさも当然と言った感じで頷いた。
『幼馴染を舐めちゃいかんぜよ。だーって、悠が進路で悩んでるって言ったら、それし
かないもん。どーせ、別府君が理系の大学に進学するからでしょ。ま、そーいうのも良
いわよね。好きな男の子と、同じ大学に行きたいってのもさ。羨ましいな。悠は』
『違うってば!! 別に別府君の進路なんて、ぜんっぜん、まっったく、関係なんてな
いんだから!! あくまでその……ボクが、ボクの将来のことまでじっくり考えて、考
えて、考えた挙句の結果なんだから。そんな……友香が考えてるような浮ついた気持ち
は、全然ないんだからねっ!!』
『じゃー、別府君が文系だったとしても、悠は理系を選択したんだ』
-
『あ……当たり前じゃない。そんな事……』
『今、ちょっと声のトーンが下がったね?』
『下がってない!! 友香は先入観持ち過ぎなの。勝手にカップリングして妄想するの
はともかく、それをボクに押し付けないでよね』
どうして友香には、いつもいつも、ボクの心が見透かされてしまうんだろうかと、ボ
クは不思議に思う。単にボクが単純なだけなのだろうか。それとも、さすがに付き合い
が長いだけに、ボクの性格を隅々まで知り尽くされているからだろうか。
『はいはい。じゃあ、そういう事にしとくとして、一つだけ教えて?』
すんなりと頷くと、友香は人差し指をピトッとボクの鼻の頭に当てて、軽くクリクリ
と弄る。ボクはそれを振り払おうと身悶えしたが、肩を抱きかかえられていては、腕を
自由に動かす事すらままならなかった。まるで、連行されている捕虜みたいだ。
『ボクの顔をおもちゃにしないでってば!! とりあえず、離してよね。話はそれから』
そう言っても、友香は全然腕に込めた力を緩めようとはしなかった。
『悠がちゃんとあたしの質問に答えたら、離してあげる。でないと、逃げられちゃうか
も知れないしね』
『逃げたりなんてしないってば。それにどうせ、今逃げたからって、この先も友香から
は逃げられないんだから』
不機嫌極まりない口調で答えると、友香はウンウン、と頷く。
『さすが、付き合い長いだけあるわねー。褒めてあげるわ』
今度は、頭をグリグリと手で撫で回された。さすがのボクも苛立ちが頂点に達する。
『鬱陶しいっての!! いいから、質問あるなら、早く言ってよ』
声を荒げて急かすと、友香は片手でまあまあという仕草をしつつ、頷いた。
『ゴメンゴメン。じゃ、聞くけどさ。悠の志望校って、美府理科大じゃない?』
『何で知ってんの?』
咄嗟に聞き返して、ボクは心の中でしまった、と思った。案の定、友香はしてやった
りの笑顔を浮かべて、ボクの肩をポンポンと叩く。
『ほうら。やっぱり別府君と同じ志望校じゃん』
友香の指摘に、ボクの顔がカーッと熱を帯びて行く。
『そ……それはたまたまなだけだってば!! ボクの今の学力だと、美府理大がちょう
どいいくらいなんだから、そうしただけで……』
-
『でもさ。別府君の志望校は知ってたよね? あたしが知ってたくらいなんだし』
友香の指摘に、グッと言葉が詰まってしまう。知らなかったと言いたかったけど、ど
うせウソ臭くなってしまうし、友香に掛かればあっさりと見破られてしまうだろう。だ
けど、沈黙は頷いたも同じだった。
『やっぱり。知ってて書くって事は、やっぱり意識したんじゃないの?』
ボクの肩から手を離すと、友香はクルリとワザとらしく回ってボクの前に立ち、人差
し指で顔を指した。ボクは、うううっと唸りつつも、反論を何とか試みる。
『だ、だって別府君が同じ志望校だからって、変える方が悔しいじゃない。大体、そこ
まで嫌じゃないし。それに受かるかどうかも分からないでしょ?』
友香は、うんうん、と頷きながらボクの言葉を聞く。それから、大げさにため息を吐
いて言った。
『ま、悠がどんな理由だろうと構わないけどね。でも、やっぱり親友より男を取るかあ……
いーな。恋愛にそこまで賭けれるってさ。あたしもそんな恋、したいよ』
『人の話、これっぽっちも聞いてないでしょっ!! この、バカ!!』
友香の勝手な言葉に、ボクは真っ赤になって怒鳴った。友香は、アハッと可愛らしく
笑ってそれをかわすと、ボクの顔を見つめて聞いてきた。
『……ところでさ。悠、今日は暇よね?』
『さも当然のように言わないでよ。まあ……暇だけど……』
何かちょっと、認めるのが悔しいなと思いつつ、ボクは頷く。すると友香は、笑顔で
こう提案してきた。
『それじゃさ。今から悠の頑張ろう会って事で、ミスド行こう。ね?』
『は?』
ボクは思わず怪訝そうに聞き返す。ボクの頑張ろう会って、意味が分からない。来年
が受験生なのは、友香も同じなのに。
『いや。だからさ。恋の為に敢えて茨の道へと踏み出す悠をさ。励ましてあげないとっ
て事よ。うん』
腕組みをして頷く友香に、ボクは噛み付かんばかりに反論する。
『だから、恋の為じゃないってば!! 何度言ったら理解すんのよ!!』
しかし、友香は頷いただけで、ボクの怒りをサラッと流してしまうと、ボクの手を握っ
て歩き出す。
-
『とにかく行こっ♪ あたし、お腹空いちゃったからさ。ドーナツ食べたくてしょうが
ないんだ。ね?』
『ちょっと待ってよ。それって単にドーナツ食べたいだけじゃないの?』
ボクの言葉に、友香は振り向くと首を振った。
『ノンノン。ちゃーんと、悠にはたっぷりと励ましやらアドバイスやら、差し上げます
から安心して』
『それって、ボクを単に話のネタにしたいだけのクセに……』
半ば諦め混じりの呟きに、友香はとんでもないとばかりに首を振った。
『そんな事無いってば。あ、そうそう。睦とか葉山さんとか呼ばないとね。こんな美味
しい話を独り占めにしたら怒られるわ』
『やっぱりそうじゃない!! ていうか、呼ばないでよね!!』
しかし、抵抗空しく、友香の電話は無事に二人に繋がってしまい、ボクはミスドで、
3人の女子によるハードな尋問を受けるハメになってしまったのだった。
続く
ちょっと不調気味なのか、台詞と台詞の繋ぎに苦労する……
-
をつ
-
すごくいい
-
(自炊)男の進路が気になるツンデレ その3
数日後の放課後。久し振りにボクは、別府君と帰る機会を得ることが出来た。いつも
のように隣に並んで歩き、今日は何を話そうかと考えていると、意外なことに、別府君
の方から話し掛けてきた。
「あのさ。お前――」
『え? 何?』
自分からはあまり話さない別府君がいきなり口を開いたものだから、ボクは驚いて聞
き返してしまった。すると別府君が、真顔でボクを見返して来る。何となく、別府君が
このまま話題を打ち切ってしまいそうな気がして、ボクは慌てて前言を打ち消す。
『いや、いいよ。その……続けて』
「あ、ああ」
別府君は頷くと、何となく言いにくそうな感じで口を開く。
「その……さ。お前、美府理科大にしたんだって? 志望校」
『な……何で知ってるの?』
一瞬、驚いて聞き返す。しかし、ボクがその事について考える間もなく、別府君が答えた。
「いや。千早から聞いたから」
『ああ……』
友香の顔が浮かび、ボクは、諦めに似たため息と共に頷く。こないだはミスドで、三
人で勝手に人の恋をダシにして盛り上がってたっけ。いくら否定してもちっとも聞かないし。
『で、他には何か言ってたの?』
ちょっと不安になって、別府君に尋ねる。余計な事をベラベラとしゃべられたとした
ら、恥ずかしくて別府君の前に顔なんか出せなくなってしまう。
しかし、ボクの不安は当たらなかった。別府君は、首を左右に振って、それを否定した。
「いや。何か、ニヤニヤしながら、どうしてか知りたかったら、お前から直接聞けって
言われただけだ。自分から、言うだけ言っといてな」
ボクは、小さく安堵の吐息を吐く。まあ、それはそれでいかにも友香らしい。相手の
興味をくすぐるだけくすぐって放置する辺りが。
『で、何? 理由とか……知りたいの?』
-
別府君の顔色を窺いつつ、聞いてみる。が、別府君はボクの顔をチラリと見ただけで、
頷きも否定もしなかった。ちょっと間を置いてから、口を開く。
「いや。ちょっと興味はあるけどな。別に知りたいって程じゃない。言いたくなければ
別にそれでいいぞ」
相変わらずの淡白さ。こうなって来ると、何だか逆に、こっちの方から突っ込みたく
なってしまう。
『興味……あるの? ボクの進路に?』
自分で言ってから、自分の言葉にドキリとしてしまう。もし、別府君がボクの事に、
少しでも興味を示してくれたのなら、それはそれで進歩なのかも知れない。
ボクの質問に、別府君は僅かに頷く。
「ああ。まあ……委員長は、文系の大学に行くと思ってたからな。ちょっと意外だなっ
て思った。それだけだけどな」
『イメージだけで、人の進路まで勝手に決めつけないでくれない? そういうの、良くないよ』
ちょっとお説教口調で言うと、別府君は困ったように頭を掻いた。
「いや。俺ならそうするってのもあるからな。得意科目があるなら、そっちを選択した
ほうが楽だし。古文や英語が得意なら、俺も文系に進んだと思うぞ」
『進路を決めるって、そういう物なの?』
ちょっと呆れた口調で聞き返す。この間、将来の事が云々かんぬん言っていたけど、
それは嘘だったのだろうかとも思ってしまう。しかし、別府君はあっさりと頷いた。
「ま、俺にとってはな。特にしたいものも分からないのに、より努力の必要な方に行く
なんて、有り得ないし」
『人生にはチャレンジだって必要なの。若い時の苦労は買ってでもしろって言葉、聞い
た事ない?』
しかし、ボクの言葉に、別府君は首を傾げただけだった。
「さあな。いずれにしても、俺には縁が無いな」
あっさりと答えられて、ボクはまた、ため息を吐く。
『だよね。大体、志望校にしてからが、美府理大だもん』
すると、ボクの言葉に別府君が僅かに怪訝そうな顔をした。
「何だ、それ。美府理大で何かマズい事でもあるのか?」
-
ボクは、大仰に首を左右に振ってそれに答える。
『別に。ただ、楽してるなーって。別府君なら、もうちょっと上の学校を狙えるのに。
本来なら、滑り止めに選ぶ所じゃないの?』
「何も、無理してレベルの高い大学を狙う必要はないだろ。受験料も無駄になるしな。
俺は、確実性の高い大学を選んでるだけだ。浪人して、もう一年勉強漬けになるのは勘弁だしな」
別府君らしい合理性だとは思う。それに美府理大は、別段低レベルと言う訳でもなく、
施設も揃っているし、何人かは有名な教授もいるらしい。ボクも、志望校に選んだ以上、
さすがにその程度は調べた。とはいえ、引っ込みの付かなくなってしまったボクは、別
府君の言葉に納得するわけには行かなくなっていた。
『だったら、せめて一つは、チャレンジする大学を受けてみてもいいんじゃないの? 今、
ここで勉強しておく事は、絶対無駄じゃないと思うんだけど』
「受験の為だけの勉強が、将来に役立つとは思えないな。それに、上の大学はセンター
必須だろ? 英語や国語が足を引っ張るから、どうせそこで上には行けないさ」
サラリと言ってのける別府君を、ボクは意地でも説得したくなった。意味のないとこ
ろでムキになるのは悪い癖だと自分でも分かってはいるのだけど、どうしてもしないで
はいられなかった。
『苦手なものがあるなら、克服しないと。ボクだって、そうしたいから理系に進むんだ
もの。キミ一人だけ、逃げようとするなんて、ズルイと思う』
「は? いや。よく意味が分からん。俺が、何に逃げてるって?」
『だから、苦手な物からだってば。今の実力じゃダメでも、一年努力すればどうなるか
分からないのに。最初から限界を決め付けるとか、そういうのは、良くないと思う』
ボクは、別府君の進路を遮るように前に立つと、両手を腰に当て、いかり肩で別府君
を睨み付ける。別府君は立ち止まると、困った顔でボクを見つめる。
「じゃあ、何だ。委員長は、俺がどこの大学を受験すれば気が済むんだ? そこを受け
るって言えば気が済むのなら教えてくれ」
その言葉から、ボクは別府君がこの場を適当に流そうとしていると感じて首を振った。
『別に、どこの大学ならなんてのはないよ。けれど、別府君の実力なら、もっと高いレ
ベルの大学が目指せるはずだと思ったから、そう言っただけだもの。具体的な大学名は、
先生にでも相談して決めてよ』
-
そう言って、ボクは別府君に背を向けてゆっくりと歩き出す。しかし、心が落ち着い
てくると、今度は何だか複雑な気分になった。別府君に努力して欲しいのは確かだけど、
でも、もし彼が頑張って成績を上げたら、今度はボクの手の届かない学校に行ってしま
うかもしれない。
――それは……イヤだな…… せっかく、別府君と同じコースを選択したのに……
別府君と同じ大学に行きたい。だけど、別府君が頑張る姿も見たい。矛盾しているの
は分かっているけど、どっちもボクの本心だった。
「……あのさ」
ボクの横を、同じようにゆっくりと歩いていた別府君が、声を掛けて来た。
『何?』
冷静を装いつつ、ボクは聞き返す。本当は、別府君に何を言われるのかと、かなりド
キドキしているのだけれど。
「努力しろとか、苦労しろとか言うけどさ。そんなの、どこで分かるんだ?」
『え……?』
ボクは、顔を上げて別府君を見つめた。別府君もこっちに軽く視線を流しているが、
表情はいつもと同じで、何を考えているのかは全く読めなかった。
「いや。委員長にさ。俺が努力したとして、それをどう分かって貰えればいいのかなって思って」
『そんなの、ボクにアピールすることじゃないでしょ? 自分の為の努力じゃない。ボ
クを満足させる為にとか、そんなのおかしいから』
突き放したようにボクは答えた。ボクの為に頑張るって言うなら、それはそれで嬉し
いけど、でも、何となく違うような気がする。大体、ボクが別府君に何かを頼んでいる
訳でもないし。それに、別府君の事だから、どうせボクからうるさい事を言われるのが
うんざりだからとか、そんな理由に決まっているし。
「けれど、委員長からそう言われて努力するなら、少しは認めて貰えないとな。努力し
たからって成績が上がる保障はないし、それでまた、頑張ってないだの努力が足りない
だの、結局楽したんじゃないかとか思われたら、バカバカしいからな」
『う……』
-
その言葉に、ボクは思わず考え込んでしまった。もちろん、ボクは別府君が努力すれ
ば、絶対それに気付くと思っている。だって、いつもちゃんと見ているもの。だけど、
別府君からすればそんなの分からないし、確かにボクなら、いかにも言いそうな言葉で
はあったからだ。
「成果も上がらないし誰からも認められないんじゃ、そんなの結局無駄な努力って事に
ならないか? まあ、目標があるなら、それに越した事は無いけど、努力する為に目標
を作るってのもおかしな話だしな。だったら、自分の出来る範囲でやった方が――」
『ま、待ってよ』
言い負かされそうになって、ボクは慌てて言葉を途中で遮った。
『だったら……せめて、ボクが努力したって認めてあげればいいの? もっとも、本当
に別府君が努力したなら、だけど』
すると、何故か別府君は視線を逸らし、鼻に親指を当てて軽く擦る仕草をした。
「まあな。委員長が言ったとおり、それもおかしな話だけど、でもまあ、努力しろって
言った本人に認められれば、まあ仮に結果が出なかったとしても、胸の空く思いはするな」
『だったら、ボクが見てあげればいいんでしょ?』
咄嗟に出た言葉に、ボク自身が驚く。別府君も、ちょっと驚いた顔でボクを見つめた
ものだから、ボクは恥ずかしくなって視線を逸らしてしまった。
「見るって……どう、見るんだ?」
別府君が聞いてくる。そんな事、考えてもいなかったからボクはどうしようかと一瞬
迷った。だけど、すぐに思いつく。ボクと別府君の間なら、これしかないと。
『……毎週木曜か金曜に……図書室で勉強しよう? そうすれば、ボクも別府君がどれ
だけ勉強してるかとか……分かるし。委員会とかで時間が取れなかったら、その……土
曜日に図書館で、とかでもいいから』
弱気になりそうな心をグッと堪えて、ボクは提案する。男の子にこんな約束をするな
んて、ボクにとってはそれだけでも物凄い勇気の必要な事なのだ。今、勢いに流されて
いなければ絶対言えなかっただろう。そして、言い終えた今は、死にたくなるくらい恥
ずかしかった。断られたらどうしようと、泣きたくなる想いで、ボクは返事を待った。
「……ハァ……めんどくせーな」
『……え?』
-
ちょっとうんざりした別府君の口調に、ボクは顔を上げた。どうとも判断の付かない
言葉だが、臆病なボクの心は、不安の方に気持ちがぐら付く。しかし、別府君はすぐに
言葉を続けた。
「ま、受験とかってそういうものだしな。いっそ強制的に時間とか決められた方が、自
己管理しなくて楽でいいか。それに、委員長がいれば、英語や古文も教えて貰えるしな」
『ちょっと!! 何、それ? 誰も教えてあげるなんて言ってないじゃない!!』
そう抗議したが、ボクは内心、すごく嬉しかった。別府君がボクの申し出を受け入れ
てくれた事に。そして、これから毎週一回は、彼と一緒に二人だけの時間を過ごせる事に。
「分からない所があれば、調べるなり人に聞くなりするのも努力のうちだろ? だった
ら、得意な奴に聞くのがもっとも手っ取り早いだろ」
正論ぽく押し込まれると、ボクは頷かざるを得なかった。もとより、ボク自身が本当
は、頼りにされるのは嬉しかったから。
『う……それはそうだけど…… でも、最初からボクを頼りにするのはダメ。どうして
も分からなかったら、その時は仕方なく教えてあげるけど、でも、ボクに聞くのは最後
の手段だからね。いい?』
強がってそう言うと、別府君は頷いた。
「分かってる。あんまり頼りにすると、それはそれで、また怒られるからな。それは鬱
陶しいし」
別府君の言葉が、ザクッと胸を刺す。自分でも何となく分かってはいるけど、ボクの
お説教は、やっぱり鬱陶しいのか。しかし、その心を隠して、ボクは強気に言い返す。
『ボクだって、したくてお説教してるわけじゃないの。別府君がだらしなかったりいい
加減だったりするから、ついつい言っちゃうんだから。自分が悪いんだからね。ちゃん
と反省してよ』
「はいはい。分かってるって。反省すればいいんだろ?」
『ほら。またそうやって適当に流す。別府君はそういう所が一番いけないんだからね』
「ちぇっ。全く、どう言えば委員長に許してもらえるんだか」
苦り切った顔の別府君に、ボクは思わず顔を綻ばせそうになってしまう。それをグッ
と堪えると、また厳しい顔つきに戻って言った。
『あと、英語や古文を教えるのはいいけど、その代わり、別府君もボクに数学や物理を
教えてよね。ボクだって、少しでも上の大学に行けるよう、努力するんだから』
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「分かってるよ。イヤだって言っても聞いてくるんだろうし、俺もそれで教えて貰えな
くなったら困るからな。ちゃんと、委員長でも分かるように教えてやるから」
『何それ? まるでボクが理数系はまるでダメみたいな言い方じゃない。失礼しちゃう』
ボクの抗議に困った顔をする別府君に、とうとうボクはおかしくなって笑顔を見せてしまった。
『ま、いいよ。とにかく、楽しないで、ちゃんと努力する所を見せてよね。分かった?』
「分かったよ。ま、出来る範囲で、だけどな」
別府君と別れてから、ボクは浮かれた気分で家への道を歩いていた。しかし、途中で
フッと、その気持ちが不安に変わる。
『努力……かあ…… 偉そうな事、言っちゃったけどな』
動機で言えば、ボクの努力は不純だとも思う。だって本当は、別府君と一年でも長く、
同じクラスでいたいから。そして、出来れば同じ大学に入って、最低四年は一緒に過ご
したいから。
『けど……ボクも、逃げちゃいけないんだよね……』
将来に想いを馳せれば、それでも、あと五年半しかない。もし、一緒の大学に行けな
ければ、一緒にいられるのは一年半だ。その一年半で、週に最低一度、二人きりの時間
を作ることが出来たのは、神様がくれたチャンスなのかも知れない。
『ボクも……努力、しなくちゃね。勉強じゃなくて……ちゃんと、ボクの気持ちを……
別府君に、伝える努力を……』
その結果がどうだろうと、だ。浮かれ気分を引き締め、心臓に拳をグッと強く押し当
てて、ボクは心に誓ったのだった。
おしまい
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乙ぅぅぅぅ
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をつ
続編として
勉強会の様子をば
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電車でニヨニヨしたじゃないか
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>>532
久々だな。GJ!
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線路に上がってたSS素敵でした。
心から、GJ。
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落書き貼って寝る。
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