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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 3●

5081/7:2010/09/23(木) 18:50:29 ID:???
(自炊)男の進路が気になるツンデレ

 高校2年の2学期ともなると、そろそろ卒業後の進路を考えなくてはいけない時期だ。
3年生は理系と文系でクラスが別になるので、まずはどちらに進むか。そして、自分の
成績と照らし合わせて、志望校や志望学部なんかも進路指導調査票に書いて提出しなけ
ればならない。しかし、提出が明日だというのに、ボクはまだ、どうしようか決めかねていた。
『別府君てさ。どこの大学……第一志望だっけ?』
 新学期最初のクラス委員会が行われた帰り道。副委員長の別府君と並んで歩きながら、
ボクは聞いた。すぐに、ぶっきらぼうな返事が来る。
「美府理科大の理学部だって前にも教えなかったか?」
 もちろんボクは聞いている。しかも回数が3回だって事も、いつどこで聞いたかも。
だけどボクは、不機嫌そうにこう答える。
『確かに聞いたかも知れないけど、覚えてないよ。その場の興味で聞いただけなんだし、
君の事にそれほど興味ないもの』
「じゃあ聞くな。答える方が面倒くさい」
 多分、冷静に考えれば彼の方が正しいんだろう。けれど、内心では気になって仕方が
ないボクとしては、冷たく突っ撥ねられると、どうしても苛立ちを抑えることが出来なかった。
『いいじゃない。別に聞いたって。答えたからって何かが減る訳でもないでしょ?』
「そうだな。しゃべった分だけ、俺のカロリーが減るかな」
 別府君にしては珍しく、ウィットに富んだ返事をして来た。それとも、ただの嫌味な
のか。いずれにしても、ボクが全く面白みを感じなかったのは事実だ。
『ああ。そうなの。それが嫌だったら、一生ずっとしゃべらなければいいじゃない。誰とも』
 ケンカ腰のボクの態度にも、別府君は憎たらしいほどに冷静に答える。
「別に減るのが嫌だとか言ってないだろ。委員長が何かが減る訳じゃないって言ったか
ら、減りそうなものを言っただけだ」
『でも、聞かれるのは嫌だから答えたんじゃないの? 嫌味たらしい。言っておくけど、
人間誰しも、別府君みたいに効率よくは生きられないの。悪かったね。フン』
 畳み掛けるように言うと、別府君はボクを少し見つめてから視線を逸らし、小さくた
め息を吐いた。それっきり言葉は無く、ボク達は少しの間、無言で並んで歩いていた。




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