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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 3●

5103/7:2010/09/23(木) 18:51:13 ID:???
「史学は人による解釈が様々だからな。同じ史料を読んでも全く違う解釈をする学者が
いるし、どの史料が正しくてどれが間違いかを正確に判断出来るなんて無理な話だし。
仮説から検証なら、物理の方が数字で導き出せるだけに、曖昧さはないしな」
 何となく、別府君の言っている意味は分かる。分かるけど、何故かボクは納得したくなかった。
『だけど、めんどくさいとかめんどくさくないとか、そんな事で進路を決めちゃってい
いの? それとも、何か研究テーマとか、もうやりたい事あるの?』
 まるで先生のような言い草で、ボクは別府君を問い質した。もし、これでやりたい事
があるとか言われたら、もう別府君の気持ちは翻しようがない。無言の別府君を、ボク
はドキドキしながら見つめて返事を待った。
「いや。今んところはまだ決めてないな。とりあえず、物理が得意だから、そっち方面
がいいかなって思ってるくらいで……」
『ほら。いい加減じゃん。その程度の事で進路を決めたりしたらダメなんじゃないの?
大学に行くだけだったらそれでもいいかも知れないけど、将来の仕事の事とかもちゃん
と考えないと』
 ちょっとホッとしたボクは、ここぞとばかりに別府君に反論する。しかし別府君は、
ちょっと困った顔で視線を逸らした。
「……別に、委員長に俺の将来を心配して貰う必要なんて、ないと思うんだけどな」
 その言葉に、ボクはハッとして思わず口を押さえた。体がカッと熱くなるのを感じる。
『べ、別に別府君の将来を心配して言ったわけじゃないってば!! その、何ていうか、
一般論っていうか……あくまでちょっとした忠告として言っただけで、ついおせっかい
って言うか……別に、ボクは別府君がどうだろうと関係ないんだけどさ』
 慌てて言い訳をすると、別府君は視線を前に向けたまま、ぶっきらぼうに言った。
「じゃあ、何も俺の進路を、そうムキになって否定する事ないだろ? 大体、今は理系
志望者は減ってるからな。むしろ職に就くにも有利なんじゃないかとも思うんだが。そ
れに、上手く行けば研究室に入って、そこから紹介して貰えるしな。そうすれば、スー
ツ着て汗だくになりながら、何社も説明会に回らなくて済むかも知れないし」
『う…… まあ、確かに別府君に、就活なんて似合わなさそうだけど……』




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