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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 3●

5192/6:2010/09/25(土) 00:13:11 ID:???
 ボクが頷くと、先生は真面目そう、というよりも、ちょっと残念そうな顔をした。
『本気なの? 美府理科大って。先生、一杉さんは、絶対英文学とか外国語の方に進む
と思ってたんだけど』
 ボクは、小さく頷いた。
『はい。今、得意だからとかそういうのだけじゃなくて、将来の事もいろいろと考えて、
悩んだ上で選んだ事ですから』
『でも、一杉さんって、物理とか得意じゃないじゃない。あなたの学力だったら、文系
なら六大学も狙えると思うんだけど。ちょっと、もったいなくない?』
『それももちろん考えました。そういう事も含めて、ちょっとチャレンジしたいなって。
苦手だから嫌いっていう訳でもないですし』
 先生の質問が分かっていただけに、ボクの答えは淡々としていて明快だった。もう、
何度も頭の中でシュミレートしていたから。本当は今でも、理数系の何が面白いのかは
理解出来ないけど、理解したいとは思っている。それが、別府君を理解する事にも繋が
るのなら。
『分かった。先生からしてみると、すっごく残念だけどぉ…… でも、一杉さんが頑張
るって言うなら仕方ないっか。どーせ、あなたの事だもん。先生が何て言ったって、聞
かないでしょーし』
『はい』
 ボクは、ちょっと笑顔になって言った。先生が認めてくれて、ちょっとホッとしたの
だ。多分無いだろうとは思っていても、もし反対されて親を巻き込む事態になったらど
うしようという不安もあったのだ。
『ま、一杉さんならあと一年あれば何とかするでしょ。いっそ、明治の理工学部とか狙っ
ちゃう?』
 本気とも冗談とも付かない笑顔で言うものだから、ボクの方が思わず引いてしまった。
『そ、それはさすがに無理かと…… でも、美府理科大は、今のところの実力を考えて
の事ですから。来年、進路を決める時には、もっと上の大学を狙えたらいいな……とは、
思ってますけど……』
『そうねそうね。さすが一杉さん。頑張れっ♪ ファイトッ♪』
 こんな可愛らしい応援されると、ボクとしては、理由も理由だけに何となく照れ臭く
なって、身を縮み込ませてしまうのだった。




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