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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 3●
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椅子の背もたれに寄りかかり、天井を見上げて深いため息を吐く。人には将来の事を
ちゃんと考えろとか言って、一番直近の事しか考えていないのはボクの方だった。
『別府君のことだもの。違うクラスになったら……違う大学になったら…… どんどん
ボクの事なんて忘れちゃうんだろうな……』
所詮、ボクなんて、別府君にとっては単なるクラスメート。おせっかいで、よく話し
掛けて来たりするだけの女子に過ぎないんだろう。
『ボクは……ボクなりに、頑張ってるつもり……なんだけどな…… でも、憎まれ口ばっ
か叩いてるから、そっちの印象の方が強いよね……』
体を起こして、もう一度進路票に向き合う。このまま、彼に心を置き去りにしたまま、
自分の得意な方に進むか。それとも……
『ダメだ…… ううん。分かってる。分かってるんだけど……正解は……だけど、けど……
絶対、後悔するから…… それも分かってるから……』
結局、夜が白み始めるまで、ボクはシャープペンを弄ぶ事しか出来なかった。
二日後の帰りのホームルームの後だった。
『一杉さん。帰る前に、ちょっと国語科準備室、寄ってかない?』
まるでお茶にでも誘うような口調で先生に言われた。
『え? あ、はい』
ボクはすぐに頷く。クラスの誰も、ボクと先生のそんなやり取りに注目する人がいな
いのも、ボクが委員長で先生からの呼び出しなんてしょっちゅうだからだろう。だから
ボクも慣れっこなはずなのだが、今日はさすがにちょっと緊張している。先生の呼び出
しがなんなのか、分かっていたから。
『悠。先生の用事ってすぐ終わりそう? だったら、待ってよっか?』
友香がそう言ってくれたが、ボクは首を振る。
『ううん。もしかしたら時間、掛かるかも知れないからいいよ。先帰ってて』
一つには、帰り道に余計な詮索をされるかも知れないのを危惧して、ボクは断った。
しかし友香は、にんまりと意地の悪い笑顔でこんな事を言った。
『あら? 今日はあたしを追い払っても、愛しの別府君とは一緒に帰れないわよ。だっ
て、もう先帰っちゃったみたいだし』
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