【6月8日 AFP】イエメンの首都サヌア(Sanaa)で7日、反体制派の支持者らが、砲撃による負傷の手術のためにサウジアラビアに出国したアリ・アブドラ・サレハ(Ali Abdullah Saleh)大統領の政権復帰の阻止と、大統領権限を引き継ぐ暫定評議会の設置を求めて、サレハ大統領不在中の職務を代行するアブドラボ・マンスール・ハディ(Abdrabuh Mansur Hadi)副大統領の邸宅に向けてデモ行進した。
英エジンバラ大学(University of Edinburgh)で9月から教鞭を取るシリア情勢の専門家、トマス・ピエレ(Thomas Pierret)氏も「側近たちはみな、この独裁政権に改革などありえないことを分かっている。独裁が強力な制度に基づく場合なら改革も可能だが、世襲制ではそれは望めない」と同感する。
一方、ドイツ国際安全保障研究所(German Institute for International and Security Affairs)のフォルカー・ペルテス(Volker Perthes)所長は、政権側に鎮圧をあきらめる気配は現在全くないようだと指摘する。「政権側は、混乱を長引かせたいようにさえ見える。支持者は大勢いる。逆に反体制派は弱く、国内外で組織を作り始めたばかりだ」
人権団体「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」によると、シリアでは反体制デモが本格化した3月中旬以降これまでに、民間人1309人、治安部隊341人が死亡した。また、1万人が身柄を拘束され、1万5000人が周辺国のトルコやレバノンへ国外避難している。(c)AFP