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【エルデンリング】黄金律最終報告リマスター版:投稿者【同人拓也】

197名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/01/23(月) 22:26:19 ID:1INPoOOE

マレニア「うう…」

少し唸ってから、マレニアが起き上がる。オレ達の視線はマレニアに釘付けになって空気が一気に張っていく。オレはまず最初にやらなきゃいけないと思ったから、緊張でパンプしたビルダーガタイを張ってから、頭を下げて嫌な沈黙を真っ先に裂く。

拓也「ウッス!すみません!申し訳ないす!ラーヤがいなくなったことは、全部オレのせいです!罰としてマンコを腐敗マンにされても構わないです!」

マレニアの前に立ってオレが深々と頭を下げると、マネージャーとネフェリも口々に謝罪。
マレニアは無表情でオレを見つめると

拓也「グボボ!」

マネージャー「あ!」

テーブルの上から身を乗り出して、片手で拓也の首を締め上げる。マレニアのギン目に睨まれてオレの意識が遠くなる。「頼むマレニア…私達が悪かった…やめてくれ…!」ってネフェリがマレニアの手を掴んで引き離させようとしてるけど、両手で力を込めるネフェリでも神人バワーの腕力はビクともしなくて、マネージャーも「すみませんでした!もう二度とあんなことはしませんから…!」ってマレニアの前で必死で頭を下げる。マレニアの表情が辛そうなものに変わっていくと、俯いてからオレを解放。息が吸えるようになった拓也は酸欠で後ろに倒れ込むところをネフェリにキャッチされる。

マレニア「フフッ…」

マレニア「兄様を待たずに…私は…ここで何をしているんだ…」

マレニア「己の友ではない者が去れば、幼な子のごとく悲嘆に暮れ…拓也の首を締め上げれば…貴公らとの日々に、それを遮られる…」

マレニア「…私の日々ではないというのに…」

マレニアはテーブルに座って、ため息をつく。
疲れ切っていることを、丸めた背中が教えてくる。


マレニア「マネージャー…助けてくれないか……私はもう、迷い疲れたのだ…」


SOSはいつも突然だ。しかも出しているのは神様で、その神様は酒に酔って弱みを全部さらけだしたあとの絶不調ゲロマシーンと化したマレニアだ。これで拒否したら、オレ達はただマレニアに嫌がらせをしただけの罰当たりなイジメっ子だし、そんなことはミリセントの奴も決して絶対に望んじゃいないぜって、オレは眼と乳首だけをキョロキョロ動かしてマネージャーに訴える。ネフェリは「私の準備はできている」って普通に言ったけどね。
マネージャーは顎に手を当てて、しばらく眼を閉じて考えてから答えを出した。


マネージャー「……分かりました。なんとかやってみましょう。滅びの火で黄金樹を燃やす前に、やるべきことはやると言ったのは、私ですからね」

マネージャー「マレニアさん?あなたはミリセントさんの全てを継承していると言っても過言ではありませんから、あなたが探求の末に律を見出す可能性がある限り、あなたの迷いに私達も付き合うべきなのでしょう」

マネージャー「拓也?あなたは私の部屋からバッグを持ってきてください」

拓也「ウッス!」

マネージャー「ネフェリさんはローデリカさんを呼んできてください。彼女ならマレニアさんの力になれるかもしれません」

ネフェリ「わかった」

オレがマネージャーの部屋からカバンを持って戻って来ると、円卓にはローデリカが立っていた。オレにもマネージャーのやりたいことがなんとなく分かったぜ!オーラの泉作戦で、マレニアに付かず離れずのスピリチュアル体験をさせるんだよなって期待が高まる。

マネージャー「それに、ほとんど顔見知りと言っても良いあなたが、私たちのせいで弱ってるんです。お願いするのはむしろ私の方です」

マネージャー「罪滅ぼしをさせてください。お願いします」

そう言ってマレニアにマネージャーが頭を下げると、オレとネフェリも頭を下げた。
マレニアは何も言わなかったけど、頷いてくれたんでOKも無事にもらえたぜ。
いきなりこんなこと見せられてローデリカも困っただろうね(笑)

198名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/01/25(水) 17:31:53 ID:q472nQng


マレニアとストレス漬けの日々   投稿者:ビルダー拓也


続きだぜ!
円卓にローデリカとマレニアを座らせて、マネージャーがカバンを受け取ると、さっそくマネージャーが本題に入る。

マネージャー「さて、まず最初に考えるべきなのは、マレニアさんの解離性同一性障害が偽病であるという可能性についてですが…いいえ、これは考える必要もありませんね。証拠が十分すぎるほど揃ってますので」

ローデリカ「かいり…なんですか?」

ローデリカが病名を聞きそびれると、マネージャーがカバンからミントガムを三枚取ってオレに投げ渡してから、「拓也?それを食べたらローデリカさんに病気の説明をしてください」って言ってくる。オレのメシのことまで考えてくれるなんて流石だよな!オレはミントガムを噛みまくって、濃厚なミントの香りを楽しみながらローデリカに病気の説明をする。
その間にマネージャーは話を続ける。

マネージャー「次に考えるべきことは、マレニアさんの障害を引き起こしているトラウマの根幹、強大なストレスの原因の特定についてですが、これも必要ありません。理由はみなさんもお分かりのはずですので、省略させていただきます」

ネフェリが横目でマレニアをチラッと見たけど、マレニアは静かにマネージャーの話を聞いている。
ローデリカに病気の内容を伝え終わって、オレとローデリカも話に集中。

マネージャー「それで、次は解離性同一性障害そのものの治療法についてですけど…私はさっき言った通りの素人なので、推測しかできません。ここが大問題ですね」

拓也「病気のデータとか、なんかそういうの無いんですか?狭間の地にも医者ぐらい居るんじゃないすか?」

マネージャー「そういう方々がまとめた資料も無いわけではなかったんですが…狭間の地では弱肉強食が当然のように肯定されてますので、厄介な病気についての書物がほぼ無いんですよ。厄介な病人は閉じ込めるか殺してしまう、そんな話ばっかりです」

拓也「マジかよ!チョーSじゃん!」

ネフェリ「…前から気になっていたが、そのSというのはなんだ?」

マネージャー「サドとかサディズムとか、サディスティックとかの略ですよ。拓也は理不尽だと思ったことをそう呼びます。話を戻しますが、解離性同一性障害というのは、強烈なストレスに心が耐えられなくなって罹る病気です。私が思いつく治療法は、そのストレスの源を取り去ること…」

マネージャー「…なのですが、どうすれば取り去れるのかが分からないんです…何故ならマレニアさんのストレス源の大半は、過去に起きた出来事にあるからです」

マネージャーの話を聞いて、マレニアが静かに溜め息をつく。
自分でもうんざりするほど分かってるって感じなんだろうけど、確かにマネージャーの言う通りなんだよね。破砕戦争も終わってるし、マレニアの兄ちゃんのミケラも、聖樹はあったけど本人には会えてない。最大のトラウマになってるラダーンと戦うにしても、ミリセントの心と合体した今のマレニアにとって、ラダーンは色んな意味で二度と戦いたくない相手だよな。デロリアンで過去に行って、ストレス漬けの日々の根暗エピソードを全部解決するぐらいしないと無理なんじゃないかな?

マネージャー「そこで…かなりリスクがある事ではありますけど…ローデリカさんに頼みたいことがあります」

ローデリカ「私に、ですか?」

マネージャー「はい。あなたにしかできないことです…」

と言ってから、マネージャーは躊躇って次の言葉が出てこない。
だからローデリカが先に言った。

ローデリカ「…分かりました。私は、マレニア様を視ればいいのですね?」

マネージャー「すみません、そういうことです」

マレニア「私を視ると?」

マネージャー「はい。ローデリカさんには、生き物の魂や彷徨う霊魂に、干渉する力があるんです。死者の魂に干渉できるとしたら、生者の魂にも出来るのではないかと思いまして」

マネージャー「ローデリカさんにはその力を使って、マレニアさんの心の弱っている部分を避けつつ、今でも解消が可能なストレスの源を探ってもらいます。それしか手はありません」

次の瞬間マレニアがガタッと立ち上がって、椅子の音がオレの心臓を刺激してきたからマジで驚いたぜ。
立ち上がったマレニアがローデリカを見ると、ローデリカがちょっと怯えた顔をしてるせいか、マレニアはローデリカから顔を逸らして背中を向ける。それから「駄目だ」って一言呟いて円卓の壁に背中をつけて、義手のついてない右肩を抱く。ローデリカのことも心配してるんだろうけどマレニア本人が怖がってることもオレには見て分かるぜ。だから拓也はマネージャーに任せてことの成り行きを見守る。

マネージャー「あなたが怖がるのも、分かります。私も怖いです。多分、ローデリカさんも」

マレニア「何が分かる…貴公には知り得ぬことだろう…」

マレニア「酒の席を囲んだことが、そもそも誤りだ…埒もないことを話した…」

マネージャー「そうです、あれは間違いでした。ですから、あなたがやりたくないのなら、私達は別の方法を探します。決めるのはあなたです」

199名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/01/25(水) 17:32:53 ID:q472nQng

拓也は他人に「あなたの自由にしてください」みたいなこと言われるのが苦手なんだよね。自分で自由に選ぶのと、他人に自由に選べって言われるのはなんか違うなりね。だからいつも長々と悩みたくなくて、客とセンパイとウリ仲間とマネージャーからの連絡には即返事を入れて、後から色々準備して出発する。でもマレニアは黙ったままで、ひとりで長々と考えるタイプだった。しかも周りにはオレみたいな待ってる奴がいるし、こういうのって焦るよな。
最終的にマレニアは20秒以上?30秒以下?悩んでから

マレニア「……分かった…貴公らに委ねよう…」

ってシブシブの顔で観念。GOサインを出した。それからはローデリカに言われるがままにオレが義手を持ってきたり、大昔の円卓の英雄が倉庫にしまったままにしてた、霊姿の大輪とかをネフェリが持ってきたりしてから、全員でローデリカの調霊場に移動。ハンマーで剣を打ってる混種のジイさんがチョー嫌そうな目つきでマレニアをジロジロ見てきたけど、ローデリカとはそれなりに話が通じるみたいで、説得に応じて渋々ハンマーを置いて寝始める。拓也は全然武器使わないから、このジイさんの世話に一度もなったことなくて人見知りしちゃうぜ。

ジイさんも寝て静かになったところで、ローデリカが床に座って仕事道具を広げる。よくわかんねえ本とか小さい灯籠?すり鉢?みたいなのとか、蝋燭とかも用意した。これにムチがあったらこれからSMプレイ!って感じになるよね(笑)

準備が完了したらマレニアを座らせて、二人は正面から向かい合う形に。
蝋燭には火が灯されて、霊姿の花は歴史がありそうな小皿に置かれる。
ローデリカの表情もキリッとして、これからはプロの時間だぜっ!

ローデリカ「ネフェリ様、マレニア様に義手を」

ネフェリ「分かった」

ネフェリから義手を渡されたマレニアは、長い剣を下に向けた状態で義手をガシャっと肩にハメると、剣がついてる部分に左手を入れて操作。そのあとチャキッって音がしたら、長い剣が義手から外れて床に置かれた。この義手はミリセントがつけてた義手よりデラックスだけど、じゃあミリセント用の義手を作った奴って誰なんだろう。

ローデリカ「いいでしょう」

今度はローデリカは正座の姿勢になって、両手を両膝に乗せて、掌を上に向ける。

ローデリカ「それではマレニア様。私の両手に、あなたの両手を重ねてください」

マレニアのひび割れた左手と義手の右手が、ローデリカの両手に乗る。それから「眼を閉じて、鈴の音を想ってください」と言われたマレニアは眼を閉じた。それから1分くらい、何かの言葉遊びみたいな、よく分からない質問をローデリカがして、マレニアがそれに答えてくっていう時間が続いたあと、ローデリカが急に眼を閉じて

ローデリカ「入りました。マレニア様、私を感じますか?」

マレニア「…ああ」

とか、ディアロスあたりがスケベ心を出しそうなことを言いだした。あいつミリセントの裸で興奮してたからな、って思い出してから、あいつはミリセントが居なくなった事を知らないんだよなって考えて悲しくなった。

ローデリカ「それでは、行きましょう」

そう言って、いよいよ本番だぜ!ってオレも覚悟したけど、ここからが長い!チョー長い!1分くらい二人とも黙ってたら、いきなりマレニアが苦しそうに「うっ…」ってうめいて、かと思ったら5分くらい二人とも喋らないままだったりする。目もつぶってるし、寝ちゃったのかなって思ったところにまた呻き声が入って、もうスゲー地味な展開になってきてオレもネムネムの顔でシラケ気味。隣のネフェリに「おい、何をやっているか分かるか?」って小声で聞かれたけど、知らねーよそんなのって心の中で返事をする。

ローデリカ「今は、マレニア様の心を、マレニア様と共に歩み、彼女が見た情景を旅しています」

そしたらネフェリに向かってまさかの返事が返ってきて、ネフェリがビクッと反応。
ローデリカは目をつぶって霊視をしながら会話もできるプロ級調霊師だ。
マネージャーはこの様子をじっと見てるんだからすげーよな。

200名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/01/25(水) 17:38:12 ID:q472nQng

ローデリカ「マレニア様の心は、とても複雑です…避けるべき感情が、あたりに渦巻いています」

ローデリカ「本来はとても優しく、慈悲が深い心が…痛みに蝕まれ、引き裂かれているのです」

ローデリカ「…いえ、待ってください」

ローデリカが何かを見つけると、マレニアがまたピクっと動いて、震えながら痛みに耐えるような表情になった。だんだんエクソシストって感じになってきて、緊張感でオレも目を覚まして生唾を飲み込む。

ローデリカ「数多の声が…姉妹のような、割れつつある心が見えます…みな腐敗を恐れ、嘆き、泣き叫び、それでも耐え忍んでいます…」

ローデリカ「…助けを求めています…ですが、近づくべきではないようです…」

ローデリカは見えてる何かから離れたらしくて、マレニアは痛みから解放されたみたいにハァハァ息切らして眼をつぶったまま顔を上げる。まだ心霊旅行中だしヤベーことになんなくて良かったけど、まだまだ油断できそうになくて見てるだけでもキツいぜ!ローデリカの額にも、じんわり汗が浮かんできてる。

ローデリカ「少し、集中を乱しました」

オレ達がヒヤヒヤで見守る中、ローデリカはそう言ってまた黙る。マレニアも静かになると場の空気が固まってまた長い沈黙が続く。でもこの沈黙の中で何をやってるのかは分かったから、マレニアがうめいたらヤベー感情にぶつかったな、静かになったら上手いこと歩けてるなってガタイで分析。うまくやれば感情に邪魔されないで、霊や魂が見たものを見られるローデリカって、CIAになれるかも。

でもオレはもうそろそろ集中力が限界にきてて太ももが攣ってくる。
マネージャーも鼻から溜め息ついて、ハンカチを額にポンポンあてる。
そしてローデリカが「……見えました」と言った時、全員で身を乗り出した。

ローデリカ「私は、聖樹の中にいます。聖樹の根には、マレニア様の心が…」

ローデリカ「…いえ、何かがマレニア様の心に触れています。これはおそらく、すでに残滓となっていますが…元は、無垢金色の光だったようです」

ローデリカ「残滓は、マレニア様の心を縛り、聖樹へと繋ぎ止めていたようですが……ミリセント様の心がマレニア様のそれと溶け合った時に、役割を終えて、力を失ったのでしょう」

ローデリカ「無垢金の光の主は、マレニア様がいかなる形となっても、聖樹に帰れるようにしたのでしょうね…」

ローデリカ「この残滓を辿ってみましょう」

重要っぽい手掛かりを見つけたローデリカがそう言ってから数分。
マレニアは少し息が荒いけど、それだけであとは安定してる、はずだった。

ローデリカ「ああっ…!」

ローデリカが何かを見つけた瞬間に、マレニアの眉間にググッと皺が寄って、呼吸がフゥフゥと戦闘モードに入ってオレたち全員マジ焦り!オレとネフェリは跳びのいて、二人でマネージャーの両手を引いて部屋の隅に下がる。

ローデリカ「そんな…なんてことを…血の流れが見えます…輝きを喪った無垢金に、縋りつき、貪って…」

ローデリカ「きゃあああ!」

拓也「うぉーっす!」

ローデリカが短く叫ぶと同時にオレの心臓もぶっ飛び不全。
意識が飛びそうになったところをネフェリに抱き止められた瞬間


マレニア「モーグ!!」


怒声上げたマレニアがローデリカを跨いで立ち上がり、義手を使ったとんでもないビッグパンチを壁に叩きつけて、拓也の心臓がどくんと不整脈に落ちる。手首から先を石の壁にめり込ませるチョーバワーの爆音に混種のジイさんも飛び起きて、マネージャーが慌ててローデリカに駆け寄る。

マネージャー「大丈夫ですか!?」

ローデリカ「わ…私は無事です…」

ローデリカ「忌み角の者に知られ、危うく命を落としかけましたが、マレニア様が助けてくれました…」

とうのマレニアは、真っ赤な髪がフワッと浮き上がって、風もないのに揺らめいてる。恐る恐る横から顔を見ると、「思い出したぞ…血に酔いし忌み者め…」とか言ってるからどう見てもキレてるしマジで目がイっちゃってる。だけどマネージャーとローデリカの作戦がギリギリで成功したみたいで、マレニアは胸に手を当てて何度か静かに呼吸を入れる。無事に落ち着いたあとは、壁に寄りかかって溜め息。オレとネフェリもホッとひと息だ。マレニアが来てからはとにかく気疲れが多くて、このペースだとオレマジに壊れるな…

201名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/01/25(水) 17:41:02 ID:q472nQng

ローデリカはマネージャーの手を借りて立つと、マレニアに「ありがとうございます…おかげで、あの者に蝕まれずに済みました」と感謝。でもマレニアは強がってるのか本当にそう思ってるのか知らないけど「貴公のためなどではない。彼奴は私の怨敵だ」っていかにも系のかっこいいセリフをキメる。でも可哀想な過去とか色々聞いちゃったあとだから、耳に入る言葉がいちいち重く感じてキツいぜ。ミリセントに解除されたミケラからの言いつけがローデリカに発掘されて、気付いた時にはマジ憎悪キマりの復讐マシーンマレニアの誕生だ。

マネージャー「ローデリカさん、あなたは何を視たんですか?」

ローデリカ「血の加護を受けた魂を視ました…かの魂は、忌み者のものです…」

ローデリカ「私のか細い交信を、手繰り寄せて食らわんとするほどの者でした…いったい、どれほどの力を持っているのか…」

マレニア「…モーグだ」

さっき大声で言ってた言葉をマレニアがまた言う。
モーグウィンって奴の名前は聞いたけど、そこにモーグってのも入ってややこしいぜ。
マネージャーもそう思ってたみたいだ。

マネージャー「モーグ?モーグウィンの話はあなたから聞きましたが…」

マレニア「モーグウィンは、彼奴の夢想する王朝の名だ。所在は、いまだ分からぬがな」

壁に寄りかかってたマレニアは、またローデリカの前にしゃがむ。
マネージャーはおおって感じでちょっと仰反ったけど、目当てはローデリカだ。

マレニア「貴公も、あの忌み者を見たのだろう。彼奴は何処にいる」

ローデリカ「それは私には分かりません…それらを知る前に、モーグに捕らえられかけましたので…」

マレニア「……そうか」

暴れ出したりはしてないけど、かなりイラついてるみたいで気配をビンビンに張り詰めてるマレニア。それからは唇をキュッとしめてローデリカから離れたあと、また壁に背をつけて腕組み足組み、溜め息つきながら、組んだ腕の指で義手をトントン叩いてる。

マネージャー「…マレニアさん、あなたとモーグの間に何があったんですか?」

その指がマネージャーの質問で止まると、昔話が始まった。

202名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/01/25(水) 17:56:34 ID:q472nQng

「…モーグは、血の力を見出した者にして、我が兄ミケラが盟友としたデミゴッドの一人。エブレフェールの助力を得る代わりとして、狂い火の火防を任された者」

「彼奴は忌み捨ての地下を抜け、聖樹へ至ると、兄様に取り入り、やがて王朝の夢を見たのだ」

「その王朝は、叶わぬ夢想にすぎぬ。しかしモーグに叶わぬ夢を追わせる限り、彼奴は狂い火を封じる約定を守り続けると兄様は画策し、盟約を結んだのだ」

「だが彼奴は兄様の助力を利用し、血の貴族を称する輩どもを密かに国々に張り巡らせていた。陰謀の夜が起こる時を予見し、力を蓄えたのだ」

「そしてエルデンリングが砕かれた時、彼奴は夢想を結実すべく暴挙へと及んだ。破砕戦争に他のデミゴッドが乗り出す前に、彼奴は兄様を聖樹から攫い、何処かへと消えた…」

「そして私は、兄様をどのような手を用いてでも探し出すことを誓った。全ては聖樹のため、虐げられし者たちのため、兄様の意志の完遂のためだった」

「私は大ルーンを得て破砕戦争に参じ、血の痕跡ある処の全てに出向き、必要とあらば軍をも率いた」

「リムグレイブ、リエーニエ、ゲルミア火山…多くの戦地へと巡っては、モーグの信奉者どもを…血の貴族を名乗り、血の技に酔う者どもを、皆殺しにした。彼奴らに助力するならばデミゴッドをも斬り伏せていった」

「そうして遂に、モーグの側近と思しき者を捕え、拷問の末に聞き出したのだ」

「モーグがラダーンに取り入り、ラダーンがモーグを匿ったことを」

「そして私は……」

203名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/01/25(水) 17:59:02 ID:q472nQng

マジで血みどろの激ヤバな話聞かされてるぜって拓也が戦慄してたら、途中で話がピタっと止まって、生理がめちゃくちゃ酷くて立ってられない時のオンナみたいにマレニアがゆっくりうずくまる。こりゃヤバいって察知したオレ達はマレニアに駆け寄って、ローデリカがマレニアの両手を取って「私の目を見てください、ここは安全です。ケイリッドは遠くにあり、腐敗は退けられています」って言うと、半泣きで息も絶え絶えなマレニアが落ち着いてくる。

マネージャー「そのあとに、ケイリッドで、ラダーンと戦ったんですね…」

マネージャーが確かめるみたいに恐る恐る言うと、マレニアは涙目で細かく頷く。
少し前に、マレニアがなんで破砕戦争に出たんだろうって考えたことがあるけど、その謎にも答えが出たぜ。マレニアの目的はお兄ちゃん一筋で、大ルーンは初めからどうでもよかったんだなってガタイで納得。オレもセンパイとの約束を最優先にするけど、それでも戦場を駆けずり回って待ち合わせ場所に向かおうとは思わないし、マレニアのお兄ちゃん狂いはかなりイッちゃってるぜ。そりゃさー、オレだって「世界にはオレ達二人だけ!」って気分も分かるけどさ。
なんて考えてると、落ち着いたマレニアが声をまた震わせる。

マレニア「情けない…また私は…我を失いかけて…」

マネージャー「しかたありませんよ。心が粉々に壊れた時の出来事を克服するだなんて、どんな人にだって難しいことです。よいしょっ!」

マネージャーがマレニアの手を掴んで起こそうとしたから、咄嗟にオレとネフェリも協力してマレニアを立たせる。なんかここまで来ると怪我人とかお婆ちゃんとか、手のかかる子供って感じがしてきて、むしろ拓也の母性が刺激され始める。俺がオンナだったら胸が筋肉じゃなくて別のもので張ってたかもね(笑)

マネージャー「大丈夫ですか?」

マレニア「ああ、落ち着いてきた…手間をかけるな…」

拓也「でも前より回復するの早くなってますよ!マネージャーの作戦成功してるんじゃないすか?」

マネージャー「そんなにすぐに結果は出ないですよ。こういうことには時間をかけて向き合わないといけません。マレニアさん、戻りましょうか」

マレニア「……待ってくれないか」

円卓の大テーブルがある部屋に戻ろうとしたマネージャーを、マレニアが呼び止める。
オレとネフェリも「なんだ?」みたいな顔で互いに横目でアイコンタクト。
オレ達を呼び止めたマレニアは、足元に視線をやって悩みながら、途切れ途切れに喋りだす。

マレニア「この不甲斐ない身で…貴公らに頼むべきか…迷っているが…」

マレニア「どうか、頼まれてもらえるだろうか…」

マネージャー「…え…ええ、いいですけど。ネフェリさんと拓也はどうです?」

拓也「ウッス!大丈夫っす!」

ネフェリ「私は構わないが、どうしたんだ?」

そこからまた10秒くらい間を置いて「…私に、モーグを討たせてくれないか」なんて言い出した。
予想はついたけどさぁー、そんなフラフラな状態で戦えるのかよ?

オレがそう言っても「無理は承知だ。だが、彼奴が生きているなど…兄様が今も手篭めにされているなど…私には耐えられぬのだ…」ってまたウルウルの眼で訴えてくるから、こんなの卑怯だよな。拓也だって「センパイが事故って手術と入院費に100万必要だ!」ってもしもレオに言われたら、いつものように即受けして借金でも何でもして払っちまうぜ!

拓也「ウッス!オレは行けまっす!」

ネフェリ「お、おい、少しは考えたんだろうな?」

拓也「こういうのは即決ですよ!マネージャーはどうすか?」

マネージャー「うーん…たしかにマレニアさんの闘病に付き合うとは言いましたよ?ですが私たちも同行するとはいえ、今のマレニアさんの状態でデミゴッドと戦うのは、キツいような気がしますけど…」

マレニア「頼む…今もきっと、兄様は嬲られている…行かせてくれ…」

マネージャー「それにですよ?行きたい気持ちも分かりますけど、モーグウィンという王朝が何処にあるのかはマレニアさんにも分からなかったんですよね?」

マレニア「それは……」

粘るマレニアにマネージャーの正論パンチが飛んで、マレニアもしゅんとして言葉に詰まる。


ギデオン「血の君主の居所を探しているのかね?」


そこに現れたのは、あのギデオン・オーフニール!
コイツが出てくるとロクな事がないって知ってる拓也は、ネフェリと一緒にギン目で威嚇。
ネフェリは斧を構え、オレはケツ突き出して万が一に備える。マレニアもコイツのことは知ってるから、マネージャーを後ろに隠れさせて、義手の緊急作動させて掌に剣を握り込む。

204名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/01/25(水) 18:01:34 ID:q472nQng
ギデオン「ふむ…警戒されたものだ。まだエンシャのことを引きずるのかね?あれはもう、終わったのだよ」

マネージャー「あなたにとっては終わってても、こっちはそうじゃないんですよ!何の用ですか!?」

ギデオン「構えることはない。ひとつ、君たちに情報を提供しようと思い立ったのでね。それに君が円卓にいるのも、マレニアを輩に抗するための戦力として数えているからだろう?誤解を誤解とせずに、終わらせたがっていないのは君ではないかね?」

突然現れて突然情報を提供するなんて言われても信用できねーよ!マネージャーは悔しそうな顔で黙ってるし、ネフェリはギン眼で「今更あなたを信じろというのか?」って言って威嚇の姿勢を崩さない。それでもギデオンの奴は「君たちに聞けとは言わんよ。ただ私が、勝手に話をするだけだ」って言って、こっちの事情はお構いなしでチョーウゼー!

ギデオン「君たちが聖別雪原の祝福を灯したのは、私にとっても僥倖であったのでね。いくつか手駒に知恵を与え、雪原に送り込み、探らせたのだ」

ギデオン「手駒は皆死んだが、彼らの犠牲は、君たちの糧となるだろう」

ギデオン「聖別雪原奥地に灯る祝福から、西の崖に向かい、血の色を探したまえ」

ギデオン「王朝を拡げんとする者達が行き交う、新たに作られた転送門があるはずだ」

ギデオンはそれだけ言い残して本当に帰っていく。オレとネフェリとマネージャーは意外な展開に拍子抜けだったけど、「待て」って言いながらオレ達を押し退けてマレニアがギデオンの後を追ったから、また何か起きそうって思ってオレ達も後を追うと、二人が離れて向かい合ってた。

マレニア「ギデオン…貴公に礼を言う。ありがとう」

マレニアが静かに、小さく礼をすると

ギデオン「君はミリセントの時と同じく愚直だが、同じく誠実のようだ。律無き世においては、誠実さは貴重だ」

ギデオン「今後もずっと、そうであってくれたまえ。ミケラの刃、マレニアよ」

ギデオンはなんか良い感じな言葉を残して、部屋に戻ってドアを閉めた。「ああいう一面を見せて、あの人は私を利用したのだ。お前も気をつけろ」ってネフェリがマレニアの脇を小突く。「ああ、分かっている」ってマレニアは言ったけど、それにしては名残惜しそうにギデオンのドアを見てたし、良いことしてくれた人にはあっさりなびくタイプなのも、やっぱりデカいミリセントなんだよな。

でもこのデカガタイ系神人のことはそろそろミリセントじゃなくて、マレニアとして見てやらないと、ウリ客とのセックス中にセンパイとの思い出でイッちゃうみたいで失礼だし、それだとマレニアが可哀想だからオレも真剣にマレニアの取扱説明書を熟読して、関係構築頑張るぜ!

205名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/01/25(水) 18:05:07 ID:q472nQng


休み明けモーグウィン王朝   投稿者:ビルダー拓也


最近ずっとマレニア関係にかかりきりで探索行ってなかったから、今日はマネージャーからの許可も降りて、久々にメンバーと一緒に探索。メンツはオレ、ネフェリ、マレニアの3人になるはずだったけど、心が不安定なマレニアをそのまま行かせちゃダメでしょってことで、ローデリカとマネージャーがついて来てくれて万全の布陣だぜ。特にローデリカは助けてくれたマレニアにお礼がしたいって、使命感に燃えてる。ラーヤとディアロスもそうだけど、良いところ出てる奴はこういうところが真面目だよな。

マネージャー「あーっ!寒い!」

拓也「ウッス!ウッス!ハクション!」

でも久々の探索が吹雪ふきまくり視界消えまくりの雪原のど真ん中でマジ狂い!
この前典礼街に行った時は冗談で「また来ます!」とか言っちゃったけど、ホントに来ることになるなんて思わねーよ!今回はちゃんと円卓で亀首漬けと勇者の肉塊と蟹を食って来たし、吹雪といっても大声出さないと会話が出来なくなるレベルでもないからまだ動けるけど、生肉団子と苔薬を聖樹で使い切っちゃったから、マネージャーとオレは一発でもヤバい攻撃を貰うとそのまま死ぬぜ!

ネフェリは防寒対策ってことで、ローデリカにもストームヴィル産のデカ布鎧を着せたかったらしいけど、ゴドリックからの施しは絶対に受けませんってローデリカは断固拒否。結局ローデリカはマレニアから朱いデカマントもらって、グルグル羽織って誰よりも一番あったかそうになっている。

マレニア「この雪原に、本当にあるのだろうか…」

とか言ってるマレニアは、朱いマントを外した肩出しドレスに、両足と右手が義肢で、兜もつけて無いから、いよいよ雪原の真ん中に何しに来てるのか分からない格好だけど、「マレニアさん!?あなた寒くないんですか!?」ってマネージャーに言われても「この程度は耐えられる」ってあっさりしてる。ドレス一枚で猛吹雪の中を歩けるマレニアはエベレスト単独無酸素登頂ができるかも。

今回の雪中行軍はマネージャーの地図を頼りに、ガタイがデカいマレニアを先頭にして歩いてるから、オレ達は雪まみれにならずに済んでる。でも横からは容赦なく冷たい風が入り込んでくるからやっぱりキツい!そのまま進んでいくと、前に見た荷車隊に遭遇。運が悪いことに今回はラッパを持ったゾンビに見つかった。マレニアのデカガタイが災いしたぜ。

でもラッパが「パ!」って吹かれた直後に、ラッパ持ちのゾンビの首がぶっ飛んで雪にスポッと埋まる。ラッパに反応したゾンビ達も振り返ったり武器を構えたりした瞬間に首をポンポン飛ばされて、ボウガンを持った剣士?みたいな二人も、一瞬で三枚に下ろされて雪に倒れて見えなくなった。あとには、義手の剣をチャキッと変形させるマレニアだけが立っている。

ローデリカ「これが、マレニア様の剣技…」

マネージャー「やっぱりすごいですね…今見ても怖くなってきます。ミリセントさんがいなければ、今頃…」

ネフェリ「シッ、その話はやめておけ、聞こえるぞ」

四人で見ると、遠くに見えるマレニアの横顔がまたショボショボの傷心気味。「大丈夫だ、気にするな。ミリセントとのことは事故と思え。私たちなら平気だ」ってネフェリのさりげない全力フォローで「ああ、そうだな…」って気を取り直す。離れたマレニアと合流してから少しの間歩くと、吹雪が晴れて凍った川に出る。
そこでマネージャーが地図を開いて場所を確認しながら、それっぽい方向に歩いていくと

マレニア「あれは…」

先頭のマレニアが、遠くに赤い斑点が見える場所を発見。全員でそこに行ってみると、カチカチに凍ったデカい倒木があちこちにある場所に到着。足元には白い草と赤い花がそこらじゅうに咲いている。

拓也「血の色ってこれっすかね?」

マネージャー「多分これでしょう。この雪景色じゃ、他に赤色なんてありませんからね。それではここからは崖側を目指しましょうか」

崖って言っても、こんなに白くちゃ距離感が狂ってどこが崖かも分かりにくいから、また全員で固まりながら地図をたよりに進んでいく。それからは坂を上がって、倒木を回り込んで歩き回る。その間にも拓也のポケットは、途中でむしった青白い植物でパンパンになっていく。そういうことを繰り返していくうちに

マネージャー「あっ」


シロクマに遭遇!

でもデカすぎてシロクマって言っていいのか分かんねーよ!ゴドリックよりデカい激ヤバなワイルドガタイには、束ねた木の枝みたいなバキバキな体毛をビッシリ生やしてるし、なにより上半身と下半身が屈強すぎるだろ。腕の太さなんて拓也の胴体の2倍以上はあるし、こんな食べ物もろくになさそうな場所で何を食ったらこんなガタイが仕上がるのかマジ分かんねー!

マレニア「下がっていろ。ルーンベアは貴公らの格上だ」

マレニアが剣を構えると同時に、ビルダー系シロクマが毛を逆立てまくり筋肉盛り上がりまくり、ギン目剥いて吼えまくりの全身凶器状態に変貌。オレ達がマレニアから急いで離れると、ビルダーシロクマが新幹線みたいなバカげたスピードでマレニアに突っ込んで雪の爆発が起きる。さすがにマレニアでもこれはやべーよ!って思ったけど、それは杞憂で、マレニアはすでにあの構えをしながら空中にとどまっていた。

ネフェリ「勝った…!」

空中のマレニアは真下にいるビルダーシロクマに落下すると、ネフェリとミリセントを9割がた殺した、あの刃の嵐を叩き込む。全身を斬られまくったビルダーシロクマは全身から滝みたいな血を炸裂させながら、肉片をあたりに散らばらせてぶっ倒れると、そのままピクピクと痙攣して血の池を作りながら動かなくなった。強いぜ!グロいぜ!

マネージャー「うわ〜…」

ネフェリ「凄まじいな…」

ローデリカ「い、今何をしたんですか!?マレニア様、あなた様は何を…」

マレニア「この剣技は、水鳥乱舞という。…拓也はミキサー攻撃と呼んでいたがな」

ローデリカ「みきさー?」

「技の名前分かんなかったんで、テキトーに呼んでたんすよ。今は水鳥乱舞って言ってますよ」ってとりあえず嘘ついてみたけど、「言っていないだろ」「いや、言ってます」「本当のことを言え」「言ってないっす」って瞬時に屈服するオレ。だって水鳥乱舞っていっても水鳥って感じ全然ないんだから仕方ねーじゃん。だからオレは「じゃあ扇風機乱舞で」と妥協しながらせめてもの抵抗を図るも「駄目だ」って却下される。

なんてやってたらビルダーシロクマがまさかの復活でマジ狂い!驚いてひっくり返るオレとローデリカとマネージャーに、血のシャワーをあたりに撒き散らしながら襲い掛かってくるも、行く手をマレニアに阻まれて、水鳥乱舞が炸裂する。二発目の乱舞でシロクマは完全に粉々になって血の池に積み上がった。

ネフェリ「あの水鳥乱舞を一度は耐え切るとはな…恐ろしい奴だ…」

マレニア「此奴らは、小黄金樹に近しい木々から、ルーンを啜っている。…ゆえに祝福を溜め込み、英雄の如き強さを得る」

マレニア「この者の力であれば、例えゴドリックであろうと相手にはならぬだろう。貴公らには危険な相手だ」

ネフェリ「デミゴッドをも凌ぐのか!?もはやクマなどとも呼べんな…」

マネージャー「大ルーンに頼るよりも、地道にルーンを溜め込んだ方が強くなるなんて、皮肉な話ですね」

ゴドリックより強いクマを倒したあとは、地図通りの崖に到着。あたりを警戒しながら探索してると、崖の上から少し下がったところに、いかにも系の血まみれな転送門を発見。隠したいなら血ぐらい拭いとけよな。おかげで分かりやすいけどさ。

206名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/01/25(水) 18:11:16 ID:q472nQng

ローデリカ「待ってください。前もってお伝えしたいことがあります」

マネージャー「はい?なんでしょう」

ローデリカ「モーグは前の干渉で、私とマレニア様に気付きました。おそらく今の彼は、マレニア様の力を恐れているでしょう」

ローデリカ「襲撃に備えているはず。どうか、お気をつけて」

マレニア「分かっている」

マレニアが剣から血を拭って、ネフェリが肩をグリグリ回してから両手の斧を持ち直す。準備できましたか?ってマネージャーからの声にも二人は無言で頷く。じゃあ王朝襲撃の開始だぜってことで、拓也は転送門に指を突っ込んでヌルヌルグチョグチョと掻き回すと、手が血でべっとりと濡れる。こいつもう感じてるぜ!なんてふざけてたらネフェリにケツを蹴り上げられて頭から門に突っ込み転送。気付いた時には洞窟の中だった。鉄臭い洞窟に不潔感を覚えた拓也は洞窟を出る。

拓也「あーっ!おぅううっす!」

すると目の前に、あのカエル顔した奴らが20人以上?30人以上?も揃ってて、全員武器を構えた戦闘体制だし、奥には血まみれのバカデカいカラスが4羽と、口を超高速でガチガチ鳴らしてる腐った犬が並んでる。あーあ、こりゃ死んだなって拓也が四つん這いになって絶望してると、オレを飛び越えてマレニアとネフェリが登場。戦いが始まった。

奧にいるカエル人間がケツマン犯されてる時の拓也みたいにビクビク痙攣すると、全身から血のザーメンを針のように飛ばしてくるけど、マレニアがそれを水鳥乱舞で弾き飛ばして、一瞬の空白時間にネフェリが突撃。カエル軍団の最前線に突っ込んで斧に雷を纏わせて振りまくり斬りまくり、ギン目剥いて吠えまくりの戦闘モードで四方向から同時にカエルの相手をする。

そしたら奧にいるカラスが思いっきりジャンプして、頭からマレニアに突っ込んでくる。マレニアは「立つなよ、拓也」と一言いってジャンプ。空中でカラスを斬り上げで串刺しにしてから、カエル軍団の奥の方に突っ込んで、もう一匹のデカカラスを叩き潰す。それと同時にオレの後ろからローデリカとマネージャーが洞窟の中を歩いてくるけど、戦いの音と、四つん這いのままのオレのケツを見て全てを察したから、洞窟の奥に戻っていった。

その間にも、ネフェリと戦ってるカエル軍団のうち、全身が勃起デカマラみたいに真っ赤の奴らが全身から針を出して回転を開始。白いカエルをあらかた斬り倒したネフェリに襲いかかる。一匹の攻撃はクロスした両手の斧で防いだけど、もう一匹から背中をガン掘りされて片膝をつく。そこに他のデカマラカエル軍団が追い討ちをかけに行くけど、二匹のカラスを相手にしてたマレニアが急加速してUターン。ネフェリの周りにいたマラガエル人間を真一文字で真っ二つにした。

ネフェリ「たすかっ…」

そのあと、マレニアは礼を言って立とうとしたネフェリを蹴り飛ばしてオレにぶつけてから、直後に飛んできた二匹のデカカラスと犬軍団を相手にし始める。「流石だな…任せておけば、あとは勝つだろう」ってネフェリはオレを起こしながら聖杯瓶をひと口。でもマレニアの剣とクチバシをぶつけまくってる二匹のカラスのうしろで、犬軍団は走り回ってるだけで何もしてこない。ドッグランやってるんじゃねーんだぞ!

二匹のデカカラスは、クチバシを弾きまくるマレニアに業を煮やして、二匹いっぺんにジャンプ。両足の爪でマレニアを踏み潰しにかかる。でもそれが狙い目とばかりにマレニアが突き上げた剣に、片方のカラスのケツマンコが激しく犯されて切れ痔の浣腸状態に。そこから水鳥乱舞がまた炸裂して、一匹のカラスを体内から粉々にしつつ、ぶっ飛ぶ肉片でもう一匹のカラスと犬軍団を吹き飛ばして、谷底に落としていった。

ネフェリ「片付いたようだ。おい、行くぞ」

ネフェリの合図で、洞窟からマネージャーとローデリカが出てくる。ふたりは血の池地獄状態に堕ちた戦場を眺めてちょっと引いてたけど、引いてたのはオレも同じで、ネフェリ以外の三人で死体や血をぴょんぴょん避けながらマレニアに近づいていく。

マレニア「…待て、妙だ…」

そのオレ達に、マレニアが手を向けて待ったをかける。
「どうしました?」ってマネージャーの質問に「数が足りない」とマレニアが返事をした直後に、カラスの肉片の中から犬が登場!血まみれで飛び出したそいつをマレニアは剣で防いだけど、犬はまるでドリルみたいに体を回転させてマレニアの剣を受け流して、脇腹のあたりに噛みついた。

マレニア「うあぁっ!」

ネフェリ「あっ!?」

拓也「ウッソだろ!」

スクリュー状態で突っ込んできた犬の牙は、ネフェリの斧とミリセントの剣でもすり傷程度しかつけられなかったマレニアの皮膚を、いとも簡単に食い破っていく。「まずい!」ビビったオレを置いてネフェリは駆け出すと、マレニアに噛み付いてる犬に両手の斧を叩き込んで、アックスファックで犬の頭をクラッシュさせた。

ネフェリ「どこをやられた!?傷口を見せろ!」

マレニア「ば…ばかな…野良犬ごときに…!」

ネフェリに抱き起こされたマレニアの脇腹からは大量の血が溢れ出ていて、ヤバイと思ったネフェリは咄嗟に腰巻きの一部を千切って、マレニアの脇腹をキツく縛ると「うぐっ!」ってマレニアの口からうめきが溢れる。オレ達も駆け寄って見たけど、たしかにかなりの出血で手当てされた場所から白カビが少し拡がっている。「やべーよ!祝福探さなきゃ!」「言われなくとも分かってる!」ってオレとネフェリが言い合ってると、ローデリカがすぐ近くに祝福を発見。たすかったーってひと安心しながら灯して休憩を挟む。…はずだった。

207名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/01/25(水) 18:25:46 ID:q472nQng

ネフェリ「どうだ?治ったか?」

マレニア「駄目だ…傷が塞がらない…」

拓也「どういうことっすか!?」

マネージャー「祝福で傷を癒せるのは、褪せ人だけなのかも……拓也?あなたは一度でも、狭間の地をさまよう兵士や動物が、祝福で休んでたところを見たことがありますか?」

拓也「ウッス!無いです!」

やられたぜ!あの犬はモーグの秘密兵器だな!神人の圧倒的な強さはモーグの罠で無力化され、気付いた時には戦える奴がネフェリだけ!「私なら戦える…このマレニアは、いかなる戦場も駆けてきたのだ…」とかマレニアは強がり言ってるけど、ネフェリに先頭を代わって、オレとローデリカに体を支えられて立ってる奴が言っても説得力ねーよ!仕方ないからオレはマレニアをマネージャーに任せて、敵を一度も倒したことがない剣と盾を構える。

2メートル超えの怪我人を抱えながら、オレ達はじわじわ進んでいくと、前方はマジの血の池が拡がってて、デカマラカエル人間があたりをうろついてる。「あれを全て相手にはしてられない。突っ切るしかないぞ」ネフェリはそう言って斧を構えて「私が囮になる。お前たちは走り抜けて、祝福を探せ」とか無茶なことを言ってくる。それじゃあお前はどうすんだよって言っても「頃合いを見て逃げる」って言うだけ。本当に上手くいくのかよ?

マネージャー「あっ!マレニアさん!?」

ローデリカ「だめです!」

でもマレニアはネフェリの作戦をさらに無視して、ローデリカとマネージャーの制止も聞かずに突撃。マジかよぉ!こいつメチャクチャだぜ!しかも走りながら包帯代わりの布も投げ捨てちゃうからもう訳わかんねーよ!「死ぬ気か!?戻れ!」ってネフェリが叫ぶ頃には、マレニアは腹と口から血を噴きながらの決死の水鳥乱舞を放っていた。

ネフェリ「馬鹿なことを!」

ネフェリは走り出して、そのあとをオレも追いかける。マレニアは水鳥乱舞でデカマラカエルの一団を一気に5人くらいミンチにしたあと、そのまま三連斬りでカエルを一匹、横跳び斬りでカエルを二匹撃破。でもあとからきたカエルに背中や腹を殴られて膝をつく。ネフェリも急いで駆けつけるけど、マレニアはまた立ち上がってカエル達を斬りまくって、オレ達が着く頃にはハァハァ息切らして敵を全滅させていた。

ネフェリ「何を考えている!甘えた真似をするな!」

ネフェリに胸ぐらを掴まれてマレニアは説教を食らう。見てみると脇腹の怪我の出血は止まってて、オレは「相手を斬って出血を止めたな」「血は止まってるけど、傷はほとんど塞がってないな」「聖樹で会った時よりも回復力がガクンと落ちてるな」ってガタイで分析。もしかしてマレニアの再生能力って気分で変わるのかな?ネフェリもギン眼でマレニアを睨み付けてるし、神様に説教してるなんてよくよく考えたら凄いことしてるよな。でもマレニアはネフェリを見ないで俯き気味だから、ネフェリも何かを察した。

ネフェリ「…お前まさか…ずっとこうやって戦って来たのか?」

マレニア「私の身など、どのようになろうと構わん…」

マレニア「私の身は腐敗に、心は罪に穢れている…その私にできるのは、剣を振るうことだけだ…」

ネフェリ「はぁ……」

マレニアの言い分を聞いたネフェリは

ネフェリ「お前は、己を犠牲にすることに慣れすぎている。そんな性根でいるから、ラダーンとの戦いでさえも退くことができず、己を犠牲にし、お前すらも望まぬ結果をもたらしたのではないのか」

マジかよぉ!?ネフェリはオレたちが避けてきた話をストレートに言い放った。不意打ちを食らったマレニアは目を見開いて青ざめていき、そこにネフェリはピンタを飛ばすもんだからチョーSだよな!オレ達3人も血の気が引いて「ネフェリさん!?」ってマネージャーからのストップも斧を向けて拒んでくるし、声はキレてるしでもう手がつけらんねー!

ネフェリ「泣くな!お前はずっと、そうやって過去の暗がりに怯えてるつもりか」

ネフェリ「負け戦を不敗と称して、さらわれた兄を迎えにも行けず、己が負うであろう罪と苦しみをミリセントに背負わせ、己の強情さで己さえも破滅させる、そんな昔のお前に、そこまで戻りたいか」

ネフェリ「違うだろう。お前は敵地に赴いた。己が怨敵と定めた者の地にだ。何故来たか言え、言ってみろ」

マレニア「…に…兄様を…救いに…」

ネフェリ「ああそうだ。お前はさらわれた兄を救いにここにいる。昔のお前に行えなかったことを果たしに、敵地へと赴いたのだ。それだけではない。お前は自らの罪をミリセントに押し付けず、こうして自らで受け止め、耐えているじゃないか。お前は変わりつつあるんだ」

ネフェリ「そのお前を、己を犠牲にすることへの誘惑で無下にするな。これから過去の暗がりを照らそうという時に、過去に屈するな」

チョー体育会系の筋肉質なビルダー説教をマレニアに食らわして、ネフェリはひと呼吸いれるけど、マレニアはショボショボの顔で涙目気味。蛮地は病人に説教入れるのかよ!ってオレはガタイで抗議する。ネフェリがそんな抗議が見えないかのようにマレニアを離してその場に座らせると、語りかける口調に説教をトーンダウン。

ネフェリ「お前は知っているだろう…ギデオンに踊らされ、全てを失った私を…だからお前は、いかにして私が再び立ったのかも、すでに知っているはずだ」

ネフェリ「失ったものは、取り戻すか、新たなもので埋めるしかない。…私はギデオンではない、新たな王を探すことにした。お前にも新たな風が吹くだろう」

ネフェリ「ケイリッドは戻らぬが、お前の兄はここにいる。お前の怨敵もここにいる。そしてお前の欠けた心も、今やお前と共にある」

ネフェリ「失ったものを取り戻す。ただ、それだけを考えることだ。私達もそのために、お前について来たのだからな」

説教を終えたネフェリはマレニアから離れて、キョロキョロと見回して敵がいないかを確認する。オレ達はすぐにマレニアに駆け寄って「今のネフェリさんは言い過ぎです…あまり気にしないでください」「そうっすよ!あんな言い方ないっす!」「マレニア様、大丈夫ですか?」って口々にフォローを入れるけど、眼を拭いて立ち上がったマレニアは割と落ち着いていた。

マレニア「…いや…彼女の語った通りだ」

マレニア「私は、間違っていた。今は兄様を救うこと…それのみを想わねばな」

マレニア「ネフェリ、私は浮き足立っていた。ありがとう」

マジ?これって軟着陸?雨降って地固まるってあるけれど、マレニアは落ち着いてるしネフェリも「分かればいい。泣きださないか肝が冷えたぞ。敵地でそれでは困るからな」っていつもの調子に戻ってる。「どうしたんすかね?これ」ってヒソヒソ声でマネージャーに聞くと「多分あれですよ。誰かに言って欲しかったことを、全部言われてスッキリしたとか、そういうことですよ」ってヒソヒソ声で返答。乙女心っていうのは複雑だよな。

208名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/01/25(水) 18:28:42 ID:q472nQng

その間にもネフェリが「見えるだけでも赤いしろがねが3人のみ。守りが今までと比べ、薄すぎる。罠だ」って戦士の勘で分析。ローデリカもそれに乗って「罠で間違いありません。怨みに溢れた巨人達の霊が、怨みの吐口を求めています。術師達が彼らを縛って、使役しているようです」と霊感で分析。そこにオレのガタイ分析をコラージュできると完璧なバランスで良いんだけど、拓也の乳首センサーは沈黙していて萎えたデカマラみたいに垂れ下がっている。

ネフェリ「ならば、まず私が出て囮になる。マレニア、お前は私を狙う術師達を討て」

ネフェリの言葉にマレニアが頷いてプランが決定。オレ達は草葉に隠れて、そこからネフェリが斧をしまったまま登場。棍棒を持ったデカマラカエル達に近づいていく。するとそこでカエル達が一斉に棍棒を掲げて、デカい骸骨を次々に召喚!デカ骸骨達は全員ギン眼を光り輝かせてネフェリにビームを発射。その少し前から走り出していたネフェリの後ろを、青白い炎で焼いていく。その隙にマレニアがデカマラカエル達に近づいて、三連斬りと薙ぎ払いのコンボで次々にカエル達を血の池に沈めていく。カエルを倒すとガイコツも溶けていって、結局ふたりで20秒以下?で全部倒しちゃったから、オレ達も草から出てネフェリとマレニアと一緒に駆け抜ける。

そこでようやく祝福を発見!
マレニアの傷は癒せないけど、座り仕事メインで体が鈍りまくりのローデリカのスタミナとネフェリの聖杯瓶が回復して、さらに探索は続行だぜ。階段を登るとすぐにゾンビの群れが見えて一瞬ゾッとしたけど、こいつら攻撃する気はないみたいで、ただブラブラしてるだけだから平気かなって思ってドンドン進むと、急に水風船みたいにガタイ膨らませて抱きついてくるヤツらがきて、オレはケツ穴を揉まれながらベロチューで迎えられる。血まみれゾンビとのセックスは非対応だぜ!って言うと、マレニアが風船ゾンビたちを両手でキャッチして投げ飛ばし、遠くの岩場で破裂させた。

マレニア「皮肉なものだ…モーグの信奉者が、先の私のようなことをするとは…」

拓也「マジ!?マレニアさん、ラダーンにベロチューしようとしてたんすか!?」

マレニア「そういう意味で言ったのではない。貴公は変わらんな…フフッ」

拓也「あっ、今…マネージャー、今の見ましたよね?」

マネージャー「見てないですけど聞きましたよ。はじめてちゃんと笑ってくれたようですね、ちょっと嬉しいです」

マレニア「なにを…ただの笑みだろう…」

ネフェリ「素直に受け取っておけ。また一歩進んだ証だ」

周りがゾンビだらけなのにちょっと空気が和んだから、やっぱりオレの激エロなフェロモンには人を幸せにする力があるよな。そりゃゾンビもオレの唇を吸いたくなるよな。そのあともゾンビの群れを歩いて素通りしていくけど、デカい肉の塊とかが置いてあってもマレニアの水鳥乱舞で一発だったし、あとの道を練り歩いているゾンビも全然敵意が無い。襲撃への備えって、もしかして最初の敵の群れだけで終わりだったりするのかな?ってガタイで考察しつつ、俺たちは壁の洞窟に入っていく。

209名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/01/25(水) 18:30:59 ID:q472nQng

ネフェリ「暗いな。誰か明かりを持っているか?」

マネージャー「ランタンぐらいならありますけど…あ、これです。点けました。どうですか?」

ネフェリ「5人で歩くにはまだ暗いが、まあいい。拓也、ローデリカ、マネージャーから離れるなよ」

拓也「ウッス!」

ローデリカ「弧゜ッ!」

マネージャー「あっ!気をつけてください、口臭がありますから…」

オレの激エロなフェロモンをまるで悪臭みたいに言ってくるから、マネージャーはこういうところデリカシーが無いよな。洞窟の中を進みながら「もしオレが迷子になっても、激エロのモロホストフェロモンで位置が分かるじゃないですか」って抵抗しても「ただ臭いんだよ」ってネフェリがストレートな悪口で返してくるし、確かにところ構わずエロな空気にしちゃうのは悪いと思ってるけど、エロに生まれたエロの男だから仕方がないんだよね。

ネフェリ「敵だ!」

なんてふざけてたらいきなり襲撃されて、咄嗟に拓也はマネージャーの後ろに隠れたけど、オレの後ろにローデリカとマネージャーがまた隠れようとして、オレたち3人は皇帝ペンギンの群れみたいに車懸の陣で避難。地面にできた血の池から襲ってきたのは、全身を赤と黒の豪華な衣装で覆った、優しそうな顔の血没紳士だ。


血の貴族「モーグウィン王朝開闢するまで血中ブリッジできるよな?」


拓也「ウッス!できまっ…え?マサヒコさん?」

マレニア「マサヒコ…?」

ネフェリ「お前、顔見知りなのか!?」

拓也「あっ、すいません!人違いっす!」

ネフェリが見せた一瞬の隙を紳士は見逃さずに、ネフェリに血のナイフを投げつけて攻撃。ネフェリは咄嗟に斧で弾き返したけど、一発目の影に隠れた二発目を腹にかすって後ずさる。紳士はそれから洞窟の闇に隠れようとしたけど、マレニアは義手の剣をチャキッと変形させた火花で紳士の居場所を特定。三連斬りを仕掛けるけど、また血の池に逃げた紳士を斬る事はできずに空振りする。

「開闢まで血中に沈め」

洞窟の闇の中を、紳士のささやきだけが響いていく。「ここは敵の術中です!駆け抜けましょう!」っていうマネージャーの提案を「灯を持っているのはお前だけだ!この人数で駆ければ誰かがはぐれる!」ってネフェリが却下して、闇の中での戦いが始まった。

「ほら、ネフェリ、笑って」

ネフェリ「うおぉっ!」

耳元で囁かれたネフェリは反射的に斧を振り回すと、そこにはマレニアの剣があって激しい火花を散らす。「お前だったか…あやうく斬るところだ…」「それは私も同じだ。厄介な…」二人は互いに背を向けて武器を構える。

「まずは神人の剣を見せてもらおうか」

マレニア「!」

今度は闇の中から猛スピードの突きが繰り出される。マレニアはそれを間一髪で弾き返して、返す刀を横振りするも

マレニア「うぐっ!」

超低空を駆け抜ける紳士に横振りをかわされて、犬に噛まれた怪我を斬られて悶絶。紳士は更に下からマレニアの顔を狙うけど、顔を逸らして回避したマレニアは同時に水鳥乱舞の構えに移行。それを見た紳士は、襲いかかってくるネフェリの足元に転がってネフェリを転ばせてから、ネフェリの影に血の池を作って姿を消す。水鳥乱舞は放たれることなくマレニアは着地した。

マレニア「逃したか…」

ネフェリ「卑怯者め!姿を見せろ!」

立ち上がって斧を構えたネフェリのブチ切れた怒号が、無限に広がる闇に溶け込んで消える。

「次は闇を往復だ」

拓也「ウッス!」

いきなりオレが耳元で囁かれて、気付いた時にはランタンの火が消えていた。
「ランタンを奪われました!」マネージャーの声が示すとおり、残る明かりは洞窟入り口からの薄暗い光だけ。「やむを得ん…!」マレニアは何か覚悟を決めると、隣のネフェリを掴み上げてオレ達の方にジャンプ。そのままマネージャーとローデリカとオレまで両脇に抱えた。

マレニア「このまま走り切る。覚悟を決めよ」

「マジかよぉ!」「走り切るって、この暗さですよ!?」「マレニア様、それは無茶では…」
口々にオレ達は小鳥のように囀ってみるけど、ネフェリだけは唇をキュッとしめて腹を据えていた。

「バカ野朗!誰が逃げていいって言った!」

闇からの怒声を合図にして、マレニアは闇の中を全力ダッシュ開始!何も見えない闇の中をビンビンに張り詰めた感覚で駆け回り、洞窟の壁にぶつかる前に足でブレーキをかけたり、脚で壁を蹴ったりして、ピンボールのように闇の中を跳ね回って出口を探す。

210名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/01/25(水) 18:53:53 ID:q472nQng

「10往復しろ!」

紳士はそんなマレニアにも追いついてきて、お仕置きとばかりにマレニアの背中に剣によるしばきを入れる。「くっ!」と声を漏らすマレニアの両脇で、グルングルンに眼を回したマネージャーがダウン。ローデリカはキャアキャア悲鳴を上げてるし、オレはセンパイと行ったディズニーランドを思い出しながら強烈な酔いに耐えている。

その間にもマレニアの脚に向かって紳士の血のナイフが命中し、マレニアはオレ達を抱えたまま転倒。
すぐに起きあがろうとするけど、その脚を紳士に踏みつけられて動きを止められる。

血の貴族「おい、誰が休んでいいって言ったんだよ!」

仰向けに倒れたマレニアに向かって、往復斬りと傷痕責めが入って、マレニアが悶絶すると同時にネフェリが斧を振り回して紳士を攻撃。斧は流れるような剣捌きで弾かれたけど、この一瞬だけ紳士はマレニアから離れる。その隙を逃さずにマレニアは両脚を開脚で振り回して、カポエイラの要領で起き上がった。闇の中でもすぐ近くだったから見えちゃったけど「マレニアお前、そんなスケベなパンツ履いてたのかよ!?」って拓也は驚愕。そこは鎖帷子とかじゃねーのかよ!

マレニア「そんなことを気にしてる時か…!」

拘束からの脱出に成功したマレニアはまた闇を駆け抜けていき、今度はゾンビの群れに突っ込んだ。「お前たちに血を仕込んでやるよ!」紳士はそう言ってからゾンビを斬りまくって血の雨を降らせる。ゾンビの血を被ったオレ達は猛烈なガタイの痛みに襲われて悶絶。ネフェリの「この疼きでは出血するぞ!早く抜け出ろ!」の言葉にマレニアは反応して即座にジャンプ!壁を蹴って地面を走り、また闇のピンボールが始まりかけた時、出口が見えた!

マレニア「くっ…!」

出口に向かってマレニアはラストスパートをかける。
それでも紳士は後ろをピッタリついてきて、マレニアの首を斬ろうと剣を振り回してくる。

血の貴族「ほら!血を見せろ!」

拓也「あっあっ、ダメっす!」

でもマレニアのスパートが起こす激エロな振動に、酔いに酔いまくった拓也は耐えられなかった。

拓也「ぐぐ、グボグボ!」

血の貴族「弧゜ッ!」

マレニアの腕から上半身をはみ出させて、我慢できなくなった拓也がたまらずゲロをぶち撒けると、マレニアのすぐ後ろを走っていた紳士の顔面がゲロを余すところなく受け止めて絶頂の声を上げる。紳士はそのまま全身に引きつけを起こして頭から石床に突っ込み、ヘッドスライディングのように地面を滑って停止。マレニアから離れていった。

211名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/01/25(水) 18:56:06 ID:q472nQng

洞窟の外には祝福が見えて、そこに全員で飛び込んでから、祝福を点灯。マジ死ぬかと思ったけどマレニアの全力パワープレイで危機を乗り切った。「お前、また己を…!」ってネフェリはマレニアに怒ろうとしたけど「すまないネフェリ、策が無かったのだ」って満身創痍でダウンしてる奴に言われて、はぁーって溜め息と同時に大人しくなる。ローデリカはマレニアを介抱してるけど、酔いまくりのマネージャーと拓也は並んで大の字ダウンだ。

ネフェリ「まったく、私もとんだ恥を晒した。お前に高説を垂れて、このざまとはな…」

マレニア「致し方ない。闇に慣れた手練れから、皆を庇いながら戦うなど、誰にも出来ぬことだ」

ローデリカ「ですが、これでは無理のしすぎです…神人とはいえ、これだけ傷を負うのは障りがあります」

マレニア「そうだな…」

会話が途切れて、少しだけ静寂が訪れる。
そこに拓也も訪れて、酔いから回復した体で祝福のそばに座ると、ネフェリが肩を震わせ始める。オレが「どうしたんすか?」って言うと、「しかしお前…」って堪え笑いを浮かべてくる。

拓也「え?なにがっすか?」

ネフェリ「お前、あの倒し方はないだろう…フフッ」

拓也「なんすか倒し方って?オレただゲロ吐いただけっすよ?」

ネフェリ「神人すら追い詰めた刺客を、吐瀉物で倒すなど、聞いたこともないわ…」

そう言って腹を抱えてニヤついてくるネフェリに、妙に腹が立った拓也は「しょうがないじゃないすか!気持ち悪かったんすよ!」って反論。ネフェリは声を上げて笑い始めて、ローデリカもつられてフフッと来たのを、口で隠して無かったことにしようとする。

ネフェリはそのまま嫌がらせみたいに「おい、吐瀉物で刺客を倒した者の逸話は、王都や聖樹にはあるのか?」って割とありそうな話をマレニアに振っていく。マレニアも律儀に「あるかもしれぬが、聞いたことはないな」って返すものだからネフェリがさらに調子に乗って「拓也?お前は吐瀉物で新たな律を見つけるんだよな?」とか言ってくる。卑怯者を倒した時はフツーに敵をネタにして弄るんだから、蛮地の勇者ってタチ悪いぜ!しかもそこに

マレニア「拓也?お前は私の騎士団に入れるんだよな?」

とか、絶対に妄想遊びなんかしそうにない奴まで言ってくるから、オレは羞恥心でマジ狂い!ネフェリは笑い転げてるし、ローデリカは「まぁっ…」って言って驚いてる中で、オレは顔を真っ赤にして「ウッス!入りません!」って断固抵抗の意志を見せる。「お前…やめてくれ…!」って腹を抱えてるネフェリが男だったら、そのイケメン顔にキスをして悪い口を塞いでやるところだぜ!

マネージャー「みなさん楽しそうですね…何かあったんですか…?」

酔いから回復してフラフラなマネージャーに、またマレニアが「今、拓也が貴腐騎士団に属したところだ」ってしつこく言ってきて、マネージャーはすぐに半笑いになって「なるほど、私は大役ごめんというわけですか。拓也は薄情ですね」って被せてくる。オレも恥ずかしさと悔しさで言い返そうと思ったけど、ネフェリもあらかた笑い終わって落ち着いてきたし、マネージャーとマレニアも話のオチに満足したらしく静かになった。散々自分達だけ笑っておいてオレは放置かよ!いいご身分だよな!ってプリプリ怒ってると

マレニア「…あの貴き騎士たちは…今も兄様と、私の帰りを待っているのだろうな…」

空気がいきなりしんみりモードに突入。オレがまた置いていかれてると「…ああ、待ち侘びた者を、連れて帰ってやるといい」ってネフェリも祝福を眺めながらしんみり言うから、オレの怒りも行き場が無くなってショボショボになっていく。

マネージャー「ですがマレニアさんの今の傷では、回復にもうしばらく時間が必要でしょう。手当できればいいんですが、ローデリカさんの止血以外に、私たちに出来ることが無さそうなのが痛いですね」

ローデリカ「回復の祈祷なら、マレニア様の傷も癒せるとは思うのですが…私も信仰心が強いわけではないですから…」

怪我の治りが遅いマレニアを心配して、マネージャーとネフェリとローデリカの3人で、マレニアを祝福に休ませたまま、ここから先をちょっとだけ探索することが決定。結局オレはマレニアとネフェリにろくに言い返せないまま祝福を離れていく。アイツが激エロなパンツ履いてるってこと、マネージャーにも教えてやろうか迷うぜ。

拓也「あっ!」

そして階段を登ってすぐに見える広場では、さっき戦ったばかりの血没紳士の用意した、血の池プールによる集団血没プレイが繰り広げられていた。

212名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/01/28(土) 01:06:39 ID:Bbhv4U.Q
この続編超助かる!

213名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/01/31(火) 22:11:26 ID:JgJwEPBA

血の貴族「ほら、しろがね、笑って!」

しろがね1「ウッス!」


血の貴族「名誉ある血の民となったお前の泳ぎを見せてもらおうか!お前は往復だ!」

しろがね2「ウッス!」


血の貴族「お前は全身から針を出して往復だ!」

しろがね3「ウッス!」


血の貴族「バカ野朗!誰が上がっていいって言った!お前は10往復しろ!」

しろがね4「ハァ、ハァ、ス、スミマセン」


目の前で繰り広げられる、縛って沈めて斬りつけて刺してエグっての、あまりにもハードすぎる血没プレイにオレ達全員が絶句するなか、一人で場を支配している血没紳士からの苛烈な調教は続いて、血の池プールを泳ぎまくるカエル人間たちは次々に沈みまくり溺れまくり、白目剥いて吠えまくりの全身出血状態に落ちていく。殺戮としか言いようのないチョーSプレイの内容に銀色の死んだガタイがプールに次々と浮かび上がり、水面を埋め尽くしながらオレ達にも自動的にルーンの嵐が舞い込む。


しろがね5「ぐぐ、グボグボ…」

血の貴族「おい、誰がルーン出して良いって言ったんだよ!」


血の貴族「そこのお前!お前には好きなの仕込んでやるよ!」

しろがね6「ウッス!」

血の貴族「ほらケツ向けろ!十文字槍仕込んでやるよ!」

しろがね6「マジ許してください!」


しろがね7「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ…」

血の貴族「良くやったな!でもこれからだよな!お前は穢らわしい擬血を、高貴なる血に入れ替えるんだよな!」

しろがね7「ウッス!ウッス!」


血の貴族「お前は王朝に入った時の誓いを果たせよ!できるよな!休憩は与えないから、王朝開闢まで血の底に沈め!」

しろがね8「ウッス!」

血の貴族「出来なかったらどうすんだ!?言ってみろ!」

しろがね8「ウッス!忌まわしき黄金律の前に引きずり出され、黄金波によって塵と化します!」

血の貴族「じゃあ始めろよ!」

しろがね8「うぐ…グボグボ…!」

血の貴族「おい、しろがね、お前は王朝開闢まで出来るって言ったよな?え?」

しろがね8「ウッス!すみません!やります!」

血の貴族「ざけんなよ!しょーがねーな!手足切断して血の底に縫い付けるぞ!」

しろがね8「ぐああああ!」

血の貴族「ざけんなよ!誰が死んでいいって言ったんだよ!使えねー!」

血の貴族「いつかお前らに恨まれてモーグ様が殺されても、俺のせいじゃねーからな!」

拓也「ウッス!」

血の貴族「おぅ、生きてたか拓也。血中ブリッジ王朝開闢、できるよな?」

ネフェリ「あっ!?」

マネージャー「拓也っ!?」

ハメられた!あまりにも懐かしすぎる光景に、つい我を忘れてプールに飛び込んでいた拓也に、鬼のコーチの戦技が飛ぶ!でもそこにマレニアの緊急水鳥乱舞が入って、紳士は慌ててバックステップ、オレは間一髪で助かった。あぶねー!生肉団子と苔薬が無いから、もし斬られでもしたら死ぬところだったぜ!

214名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/01/31(火) 22:17:51 ID:JgJwEPBA

マレニア「不安を覚えて来てみれば…このありさまか…」

拓也「ウッス!すいません!つい飛び込んじゃいました!」

プールにプカプカ浮いてるオレの周りでは、プールから上がった瀕死のカエル人間をネフェリが次々斬り倒してるし、こりゃ泳いでる場合じゃねーって判断した拓也は手を差し伸べてくれるマレニアの手を取った。

拓也「あ、ヤベー!」

そのマレニアの背中に紳士はタックルをキメて、派手な血しぶきを上げてプールに水没。助けなきゃって思った拓也も急いで潜水すると、血の海の中ではあのマレニアが、徹底的にあのマレニアが、血没紳士に痛めつけられていた。

血の貴族「マレニア!お前は血中ブリッジ王朝開闢、いけるよな!?義手は手錠で固定するぞ!義足は足枷で固定するぞ!左手はロープで拘束するぞ!」

マレニア「ぐぐ…グボグボ…!」

ヤバいぜ!水を得た魚のように超スピードで動き回る紳士に剣も全部はじかれて、腹筋ボコボコにパンチ食らったマレニアは手も足も出ずにやられてグッタリ。一瞬で義手と義足も外されてプールに固定され、ダルマ状態で首を絞められている。オレは急いで浮上してネフェリに「やべーよ!プール壊さないとマレニアが死んじまうぜ!」って緊急報告。驚愕の事実に焦ったネフェリは相手にしてるカエル人間を斧でファックしたあとにプールに突き落とすと、その場で斧に雷をまとわせて嵐を作り、プールの壁を叩き割って血の池を全部抜いた。

ネフェリ「離せ!」

空のプールに飛び込んだネフェリが、紳士の背中に斧を叩き込むと、紳士は怒りの声をあげてネフェリに剣を振り回す。
でもここにはお前の好きな闇も、血の池もねーぜ!

血の貴族「ぐあーっ!」

ネフェリに向かって突きを繰り出した紳士は、ネフェリからのすれ違いざまのカウンターを胴体に受けて大量出血。そのあとに「マレニア!お前はこのプールで練習してから帰れ!約束だぞ!」って負け惜しみを叫びながら、崖から飛び降りて姿を消した。得意な戦い方を封じたらどうってこと無い奴で助かったぜ。

マレニア「ハァ,ハァ、な…何者なんだ、あれは…」

ネフェリ「これは、手ひどくやられたな…万全ではないとはいえ、あのマレニアをこうまで抑え込むとは…」

ダルマ状態で転がるマレニアに、ネフェリが近づいていって義足と義手をハメていく。マレニアはかなりの恐怖と敗北感を味わったみたいで、寝転がったままハァハァ息切らせて、下唇を噛んで左手で目元を隠してる。あんなの相手に水中で戦ったら誰でも勝ち目はねーよって言っても慰めにはならないだろうから、オレはエチケットを遵守してネフェリを手伝うだけだぜ。でもこうやってマレニアを組み立ててると、デカいプラモデルを作ってるみたいでちょっと新鮮だよね(笑)

マネージャー「とんでもない強敵でしたね…もしかして、今のがモーグだったのでしょうか…」

マレニア「いや、あれではない…あれはモーグの腹心のひとりに過ぎん…あれほどの手練れは、見たことがなかったが…」

ネフェリ「モーグが死んでもオレのせいではない、などと言っていたが、あれで腹心なのか?」

ローデリカ「忠誠を軽く捉え、容易くことを成してしまう者もいます。あれもきっと、そうだったのでしょう…」

マレニアの組み立てが完了すると、目の前のチョーデカい石のエレベーターを見て、マネージャーがこの先を登るか登らないかを分析。その間にマレニアをどうするかって話をネフェリ、ローデリカ、拓也の3人で話し合ったけど、満場一致でマレニアを休ませることに決まった。脇腹の傷はまだ塞がってないし、さっきの紳士の猛攻に全身をやられてるから、身体中が細かい傷とアザだらけだからだ。マレニアは最初「私はまだ…」って言いかけたけどネフェリとのことを考えて

マレニア「…いや…私はここで待つ。昇降機の上は、貴公らだけで見てくれ」

って待機を決める。これだけの連戦で回復もできないんじゃ、神人とはいえ危ないもんな!
良いぜ!俺たちで調べてやるぜ!ってオレが息巻いてると、マネージャーからも報告。「拓也?この昇降機はどうやら動かせるようです。上を少し見て、何も無いようであればマレニアさんを呼んできましょう」とプランが決まる。

拓也「ウッス!行ってきまっす!」

マネージャー「くれぐれも安静にしててくださいね」

オレ達が乗ったエレベーターは、ネフェリのレバー操作と同時にゴリゴリと音を立てて上がっていく。
ローデリカが小さく手を振ると、座って待機してるマレニアも小さく頷いた。

215名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/01/31(火) 22:27:39 ID:JgJwEPBA



マレニア「………」


















血の貴族「前回の約束を果たせよ!」


マレニア「!?」

血の貴族「血中ブリッジ王朝開闢、できるよな!マレニア!今回は犬もたくさん連れてきたからな!」

マレニア「お、お前、まだ…!」

血の貴族「少し休憩を与えたから、王朝開闢まで血の底に沈め!」

216名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/01/31(火) 22:44:31 ID:JgJwEPBA

マレニアを下の方で待たせてる間に、オレ達を乗せたエレベーターは登りきって、デカい広場に到着。エレベーターを降りると広場の奥にメチャクチャデカい卵?蛾の繭?みたいなのが見えて、そこから乾燥しきった干し柿みたいな細い手が伸びてる。「あれがミケラなんすか?なんかデカくないすか?」ってマネージャーに聞いてみるけど、「ギデオンの資料では、ミケラは永遠に幼い神人と書いてましたが…たしかにあの手は相当大きいですね。別人のものじゃないですか?」ってオレの疑問を見透かしたみたいな答えだ。

ローデリカ「あの繭から気配を感じます。まるで眠っているかのよう…」

ネフェリ「手を上げて眠っているとも思えん。お前たちはここで待て、私が探りを入れる」

ネフェリがエレベーターにオレたち3人を待機させて、2本の斧を持ち直して、デカい広場をそろりそろりと進んでいく。繭はピクリとも動かないし、細い手はずっと伸びたままだ。もしかしたらそういう置物かもしれないぜ。

ネフェリ「ん?」

と思ったら繭から伸びる手がいきなりピクっと震えて、そのままだらんと垂れ下がる。「ネフェリさん!生きてます!確認を急いでください!」直後にマネージャーから指令が飛んで、ネフェリは両手に斧を持ったまま走り出す。そこでローデリカが二言。

ローデリカ「何か変です…混ざり合った気配が大きくなりました…」

マネージャー「混ざり合ったって…何がです?」

ネフェリはどんどん広場を進んで行って繭のそばまで来ると、細い手から血が流れ始めた。ネフェリは警戒して戦闘体勢に入って、その様子は遠くのオレ達からも見える。「マネージャー、ネフェリがなんかしてまっす!細い手から血出てません?」ってオレの言葉に、マネージャーとローデリカも話を中断して広場に目をやる。

マネージャー「血があんなに…まさか、遅かったってことですか?」

ローデリカ「いけない!ネフェリ様を下がらせてください!」

マネージャー「どうしてですか!?」

ローデリカ「今、混ざりが解かれました!片方の気配が近づいて、形もはっきりとしました!」

ローデリカ「あの血はモーグです!ネフェリ様!離れてください!」


ローデリカが叫ぶと、ネフェリの目の前に出来ていた血溜まりから、これまたデカい化け物がググッと出現。さっきの紳士が着てた服よりも更に豪華な赤と黒と金の服を着て、SMに使えそうな三叉の槍を持って、頭からはちん毛そのものみたいなツノを生やしている。そいつは細い手を取ってから、こっちまで聞こえてくる囁き声を細い手にかける。


モーグ「私のミケラよ」

モーグ「少しだけ、独りでお待ちください」

モーグ「賓客が参りました。我らの素晴らしき王朝に!」


血溜まりから現れたモーグが寿司屋の社長みてーなポーズを取ると、ネフェリが「おおおお!」って戦いの咆哮を上げる。戦いの開始だぜ!でも同時にオレ達と広場を繋ぐ入り口に小便色の霧が立ち込める。「なんだよこれ!行けねーじゃん!」ってオレがパニくってると「きゃあああ!」ってローデリカの悲鳴。見ると、エレベーターのオブジェがカエル人間に変身して、エレベーターのレバーを武器で叩き壊していた。広場からはすでに戦ってる音が聞こえ始めてて、マレニアを呼ばなきゃってエレベーターの下を覗いて、拓也は絶望に足が竦む。

エレベーターの遥か下では、大量の犬とカエル人間を引き連れてマレニアを追い回してる、あの優しそうな顔の紳士の姿があった。マレニアは飛びかかってくる奴をひとり斬って一匹斬ってって繰り返してるけど、カエル人間の針や犬の噛みつきで少しずつ傷ついていってる。

ネフェリはモーグにかかりきり。マレニアは今にもやられそう。
エレベーターにはカエル人間。マネージャーとローデリカを守れるのは拓也だけ!

拓也「うおぉーっす!」

チクショー、やってやるぜ!
恐怖と絶望を振り払うかのようにオレは剣と盾を構えた。

217名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/01/31(火) 22:51:17 ID:JgJwEPBA

拓也の前に現れたカエル人間は、先っぽが曲がりくねった槍?鎌?みたいなのを持って、側転しながら襲ってくる。オレはそれを横飛びでかわして、通り過ぎたところを斬ろうとするけど武器が全然届かねーよ!カエル人間は側転をやめて今度はマネージャーを斬ろうとするから、オレは剣なんか届かないから盾を肩に密着させて思いっきりタックルをする。でも全然効かなくて、振り回された鎌に殴られて転ばされる。あーあ、ネフェリやマレニアだったら3秒以内にぶっ倒してるのにな、って思いながらまた立ち上がり、今度はカエルの貧弱な下半身を思いっきり剣で殴った。

しろがね人「オアーッス!」

カエル人間はすっ転んで、オレに容易くマウントポジションを許した!下半身をちゃんと鍛えてないからこんなことになるんだぜ!オレは両手に持った剣と盾で、とにかくカエル人間をなぐりまくると、少しは効いてるみたいで悶絶の声を上げ始める。霧の奧からは炎が燃える音と石が砕ける音がするし、エレベーター下では犬が吠えまくってて剣がぶつかる音が掻き消されてる。マネージャーとローデリカは抱き合って震えてるから、オレが頑張んなきゃダメだよな!ここで負けたら拓也の男が廃るぜ!

拓也「おううぅっす!」

マウントとって殴りまくってたら、デカい腹を思い切り突き上げられてオレは後ろにすっ転んで、起き上がったところを鎌の棒の部分で腹を殴られる。でもこれが幸いしたぜ!オレの激エロなゲロは紳士までも即イキさせるマジックアイテムだからだ!オレは吐きそうになったところをカエルの奴に強引にキスしにかかり、カエルのデケー口に特別サービスを注ぎ込む。

しろがね「弧゜ッ!」

ローデリカ「弧゜ッ!」

マネージャー「弧゜ッ!」

オレのゲロを一滴残らず胃に流し込まれたカエル人間は、自分の中から湧き上がる激エロな媚薬フェロモンに脳を犯されてマジ狂い!断末魔みてーなイキ声を上げて自ら死を選ぶように側転しながらエレベーターから飛び降りて、下にいる犬を一匹叩き潰して命が終了。そのあとオレはエレベーターのレバーの折れた部分に手を入れて、なんとか動かそうとするけどビクともしないし、マネージャーに

「エレベーターを動かせるようにするのはいいですが、今エレベーターを動かして下に降りても、マレニアさんの足手纏いになるだけです!ですが霧の奧ではモーグとネフェリさんが戦っていますので、霧の向こうにもいけません!マレニアさんが下で勝つことを祈るしか無いんです!」

って言われた。焦った拓也は、小便色の霧がかかった入り口の横をよじ登って、広場を覗けるアーチ状の穴からギリギリで顔を出す。広場の中では、ネフェリがモーグの血液攻撃を避けて転げ回っていた。モーグの血はめちゃくちゃ熱いらしくて、石に当たると石が真っ赤に燃え上がる。お前エイリアンみてえだな!
ネフェリはその炎も避けながらモーグに近づいて、一発二発と斧を当てていくけど、ダメージは小さいみたいでデカい三叉槍を振り回されて距離を取らされる。それで離れるとすぐに燃える血のシャワーを浴びそうになるから、ネフェリはデカい槍を掻い潜って結局モーグに近づくしかない。

拓也「あぶねー!」

でも近づくとモーグは炎の爆発で迎え撃ってくるから、ネフェリにとっては最悪にやりづらいヤツだぜ!ネフェリは横にダッシュしてモーグの背後に回り込む作戦に移って、それはうまくいって何発かモーグを斬れたけど、かわりにスゲー勢いの槍の横振りを喰らってぶっ飛び、起き上がりながら聖杯瓶を一発キメる。あの聖杯瓶が尽きたらヤバいぜ!

218名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/01/31(火) 22:57:59 ID:JgJwEPBA

オレはマレニアがどうなってるかも気になるけど、ネフェリがどうなっちゃうのかも気になって動けない。マネージャーとローデリカはエレベーター下を覗き込んでマレニアがどうなってるかを確認しようとするけど、その度に紳士からの血のナイフが飛んできて、危うく顔に刺さりそうになるから覗くに覗けない。結局ふたりは諦めて拓也と合流。

拓也「マネージャー!どうすればいいんすか!?」

マネージャー「と、とにかく昇降機のレバーを使えるようにします!棒の部分を何かで代用できれば…」

そういってマネージャーとローデリカはあたりを探すけど、そんなのここにあるわけねーよ!カエル人間の武器は使えそうだったけど、アレもエレベーターの下に落ちちゃって取れるわけない。そんなこと考えてたらネフェリとモーグの方から赤い光が迸った。

モーグ「トレース!」

モーグは三叉の槍を勃起しまくりのデカマラ以上に赤く光らせて、ネフェリの胴体に赤くてデカいコックリングをハメる。ネフェリは一瞬戸惑ったけど、モーグが槍を振り回してくるせいで悩んでる暇も無くなったみたいで、また戦闘モードに入って突撃、モーグの足を斧で斬りまくる。血が出てるのにモーグはまだまだ元気そうで、また三叉槍を掲げる。

モーグ「ドゥオ!」

槍が光ると、またネフェリのガタイに赤いコックリングが装着されて、フラフープみたいになってきた。ここまでくるとオレのガタイも嫌な想像を働かせて、あの光は罠だな、時間が経つと爆発するんだな、時間が来るとネフェリが性転換するんだなと分析が入る。その間もモーグはデカ槍をネフェリに振り回して、ネフェリがそれを避けた瞬間に、避けた先の床に燃える血を投げ込んでジワジワネフェリを追い詰めていく。普通に戦っても強いのに、炎の血と得体の知れない技も使ってきて、コイツは技のデパートかよ!

マネージャー「あ!」

ローデリカ「これは…ルーンが…」

気付くとエレベーターの下から大量の黄金色の光が立ち昇って、ローデリカとネフェリとモーグのガタイに入っていく。マジで川みたいにとんでもない量のルーンだったから、オレの脳裏に最悪の妄想がよぎる。するとモーグが攻撃を止めて、勝ち誇るかのように槍を床に立てて宣言した。


モーグ「おお!ルーンよ!我が王朝を祝福せよ!」

モーグ「マレニアは遂に討たれ、開闢を阻みし者はまたひとり倒れた!」

モーグ「我らが王朝に栄えあれ!」


マジかよぉ!?マレニアが倒された!?信じらんねー!
オレは急いでエレベーターの隅っこまで駆けて行って下を覗こうとしたけど、必死の顔したマネージャーに止められる。「拓也!顔を出しちゃダメですよ!モーグの言葉が正しいなら、マレニアさんを倒した敵は次に私たちを狙うはず。顔を少しでも出せば射殺さてしまいます!」それはそうかもしれないけど、今のが嘘かもしれないじゃん!って言うと、ローデリカも「多くの魂が放たれた感覚はありました…そして、マレニア様の気配も、昇降機の下から消えました…」なんて不吉なことを言ってくる。ミリセントがいなくなった時の光景が頭の中に蘇ってきて、マジ狂いそうになりながらオレはまた壁をよじ登って広場を見た。

ネフェリ「マレニアが…討たれた…?」

モーグ「真実の母の祝福に選ばれし猟犬どもが、恐らくは討ったのだろう」

モーグ「我が賓客よ、褪せ人よ。今こそ我が王朝に血を捧げ、開闢の糧となりたまえ!」

モーグ「ウーヌス!」

槍がまた輝くと、ネフェリのガタイにまたコックリングが装着されて、拓也の全身にも鳥肌が立つ。
「やべーっす!」そうオレが叫ぶと同時にネフェリも走り出す。
斧に雷を纏わせて決死の猛攻に入る気だ。モーグがそんなネフェリの前でまた槍を光らせた。

モーグ「ニーヒル!」

槍が光るとネフェリは全身の穴という穴から、血をドバーっと吹き出してその場に膝をつく。飛び出した血は全部モーグの方に飛んでいって見えなくなる。やべーよ!血を吸って殺す気だ!って拓也は助けを誰かに求めるけど、マネージャーにもローデリカにもどうしようもないし、マレニアは助けに来なかった。頭上を通り過ぎていったルーンがどこからきたのか、オレの絶望が確信へと変わる。ネフェリは震える手で聖杯瓶をキメるけど

モーグ「ニーヒル!!」

モーグの繰り出した二発目でまた全身から血を噴き出すと、意識を無くしてぶっ倒れた。「あーっ!おぅううっす!」オレも絶望と焦燥に駆られて、たまらず体揺らして吠えまくってると、モーグは槍を構えて


モーグ「ミケラは私のものだ!」

モーグ「ニーヒル!!!」


と言って止まった。
槍は突き上げたけど光らないし、モーグは槍を掲げたポーズでプルプル震えてる。
何が起こったのか分かってなくて、オレも鼻水垂らしていると


モーグ「弧゜ッ!!!」

モーグは激エロなフェロモンにイッたみたいに痙攣して、血を吐きながらその場に尻もちをついて、腹や喉を抑えて苦しみだす。マジかよ!オレのフェロモンがモーグに届いたのかよ!って小躍りしそうになったけど、いくら激エロのモロホストのフェロモンでも血を吐いて苦しむほど気持ち良くはないはずだよな。持病でも持ってたのかな?って小躍り乳首で分析をするけど、答えはすぐに現れてくれたぜ。

219名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/01/31(火) 23:34:52 ID:JgJwEPBA

オレはマレニアがどうなってるかも気になるけど、ネフェリがどうなっちゃうのかも気になって動けない。マネージャーとローデリカはエレベーター下を覗き込んでマレニアがどうなってるかを確認しようとするけど、その度に紳士からの血のナイフが飛んできて、危うく顔に刺さりそうになるから覗くに覗けない。結局ふたりは諦めて拓也と合流。

拓也「マネージャー!どうすればいいんすか!?」

マネージャー「と、とにかく昇降機のレバーを使えるようにします!棒の部分を何かで代用できれば…」

そういってマネージャーとローデリカはあたりを探すけど、そんなのここにあるわけねーよ!カエル人間の武器は使えそうだったけど、アレもエレベーターの下に落ちちゃって取れるわけない。そんなこと考えてたらネフェリとモーグの方から赤い光が迸った。

モーグ「トレース!」

モーグは三叉の槍を勃起しまくりのデカマラ以上に赤く光らせて、ネフェリの胴体に赤くてデカいコックリングをハメる。ネフェリは一瞬戸惑ったけど、モーグが槍を振り回してくるせいで悩んでる暇も無くなったみたいで、また戦闘モードに入って突撃、モーグの足を斧で斬りまくる。血が出てるのにモーグはまだまだ元気そうで、また三叉槍を掲げる。

モーグ「ドゥオ!」

槍が光ると、またネフェリのガタイに赤いコックリングが装着されて、フラフープみたいになってきた。ここまでくるとオレのガタイも嫌な想像を働かせて、あの光は罠だな、時間が経つと爆発するんだな、時間が来るとネフェリが性転換するんだなと分析が入る。その間もモーグはデカ槍をネフェリに振り回して、ネフェリがそれを避けた瞬間に、避けた先の床に燃える血を投げ込んでジワジワネフェリを追い詰めていく。普通に戦っても強いのに、炎の血と得体の知れない技も使ってきて、コイツは技のデパートかよ!

マネージャー「あ!」

ローデリカ「これは…ルーンが…」

気付くとエレベーターの下から大量の黄金色の光が立ち昇って、ローデリカとネフェリとモーグのガタイに入っていく。マジで川みたいにとんでもない量のルーンだったから、オレの脳裏に最悪の妄想がよぎる。するとモーグが攻撃を止めて、勝ち誇るかのように槍を床に立てて宣言した。


モーグ「おお!ルーンよ!我が王朝を祝福せよ!」

モーグ「マレニアは遂に討たれ、開闢を阻みし者はまたひとり倒れた!」

モーグ「我らが王朝に栄えあれ!」


マジかよぉ!?マレニアが倒された!?信じらんねー!
オレは急いでエレベーターの隅っこまで駆けて行って下を覗こうとしたけど、必死の顔したマネージャーに止められる。「拓也!顔を出しちゃダメですよ!モーグの言葉が正しいなら、マレニアさんを倒した敵は次に私たちを狙うはず。顔を少しでも出せば射殺さてしまいます!」それはそうかもしれないけど、今のが嘘かもしれないじゃん!って言うと、ローデリカも「多くの魂が放たれた感覚はありました…そして、マレニア様の気配も、昇降機の下から消えました…」なんて不吉なことを言ってくる。ミリセントがいなくなった時の光景が頭の中に蘇ってきて、マジ狂いそうになりながらオレはまた壁をよじ登って広場を見た。

ネフェリ「マレニアが…討たれた…?」

モーグ「真実の母の祝福に選ばれし猟犬どもが、恐らくは討ったのだろう」

モーグ「我が賓客よ、褪せ人よ。今こそ我が王朝に血を捧げ、開闢の糧となりたまえ!」

モーグ「ウーヌス!」

槍がまた輝くと、ネフェリのガタイにまたコックリングが装着されて、拓也の全身にも鳥肌が立つ。
「やべーっす!」そうオレが叫ぶと同時にネフェリも走り出す。
斧に雷を纏わせて決死の猛攻に入る気だ。モーグがそんなネフェリの前でまた槍を光らせた。

モーグ「ニーヒル!」

槍が光るとネフェリは全身の穴という穴から、血をドバーっと吹き出してその場に膝をつく。飛び出した血は全部モーグの方に飛んでいって見えなくなる。やべーよ!血を吸って殺す気だ!って拓也は助けを誰かに求めるけど、マネージャーにもローデリカにもどうしようもないし、マレニアは助けに来なかった。頭上を通り過ぎていったルーンがどこからきたのか、オレの絶望が確信へと変わる。ネフェリは震える手で聖杯瓶をキメるけど

モーグ「ニーヒル!!」

モーグの繰り出した二発目でまた全身から血を噴き出すと、意識を無くしてぶっ倒れた。「あーっ!おぅううっす!」オレも絶望と焦燥に駆られて、たまらず体揺らして吠えまくってると、モーグは槍を構えて


モーグ「ミケラは私のものだ!」

モーグ「ニーヒル!!!」


と言って止まった。
槍は突き上げたけど光らないし、モーグは槍を掲げたポーズでプルプル震えてる。
何が起こったのか分かってなくて、オレも鼻水垂らしていると


モーグ「弧゜ッ!!!」

モーグは激エロなフェロモンにイッたみたいに痙攣して、血を吐きながらその場に尻もちをついて、腹や喉を抑えて苦しみだす。マジかよ!オレのフェロモンがモーグに届いたのかよ!って小躍りしそうになったけど、いくら激エロのモロホストのフェロモンでも血を吐いて苦しむほど気持ち良くはないはずだよな。持病でも持ってたのかな?って小躍り乳首で分析をするけど、答えはすぐに現れてくれたぜ。

220名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/01/31(火) 23:51:40 ID:JgJwEPBA

拓也「おーっ!」


広場の奧の壁に立つのは、あのマレニアだった!
全身傷だらけで義手の剣も血だらけだし、左手には例の歯をガチガチ鳴らしまくってる犬を抱えてて、犬の顔も血で真っ赤に染まってる。小便色の霧もふっと消えて、モーグがぶっ倒れてるってことをマネージャーとローデリカに知らせてから、オレ達三人もネフェリの元へ駆けていく。

マレニア「腐敗した我が血は、さぞ美味しかろう、モーグよ」

ギン目でモーグを睨みつけるマレニアは、ジャンプしてモーグの前に着地。
義手で胸ぐらを掴んで持ち上げると、モーグの巨体が宙に浮く。スゲー!クレーン車みたい!

モーグ「ありえぬ…何故生きている…」

理解が追いついてないモーグに、マレニアは「あのルーンのことなら、あれはお前の犬の仕業だ」と言いながら、左手に抱えてる血だらけの犬を見せつけてから、犬を広場の外に放り投げる。やられたぜ!犬を一匹捕まえて、そいつを武器にして全ての敵を瞬殺したんだな!あの大量のルーンもその時出たんだな!崖を跳んで伝って広場の裏に回り込んでいたから、エレベーターの下から気配が消えてたんだな!モーグに自分の血を吸わせて腐敗をポジらせたんだな!ってオレのガタイ考察にも次々答えがもたらされる。
モーグもそれが分かったみたいで「まさか、このような事が…」って、いかにも作戦が失敗した悪役って感じのセリフを吐く。

ローデリカ「ネフェリさんは生きてます!聖杯瓶も全て飲ませました!もうすぐ目が醒めるはずです!」

マネージャー「よかった…なんとか間に合いました…」

ネフェリもギリギリで助かって、オレもホッと胸とマラを撫で下ろす。
マレニアが片手でモーグを締め上げると、モーグが爪先立ちになった。

マレニア「洗いざらい吐いてもらうぞ、モーグ」

マレニア「兄様をどこへやった?」

221名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/05(日) 06:17:50 ID:0LCL7WDg

モーグ「う…うぐ…グボグボ」

拓也「その持ち方まずいっすよ!オチちゃいますよ!」

マレニアはアドバイスにしたがって、気絶寸前のモーグを床に下ろしてから、気付にピンタを一発飛ばす。「まだ死ぬことは許さん。兄様をどこへやった」静かにブチ切れてるマレニアの前でモーグは牙だらけの口をぐにゃっと曲げて笑ってみせた。

モーグ「今日は賓客が多い…もてなしが追いつかぬようだ…」

モーグのニヤついた顔に、今度はピンタではなくパンチが飛ぶ。牙を6本と口の周りのツノを2本撒き散らして、モーグの頭がボクサーが練習に使ってる小さい玉みたいにブルルンと揺れる。「もう一度聞く。兄様をどこへやった」マレニアの口調もテンションも変わらない。

モーグ「ことを急くな…ミケラは我が王朝と深く関わる…話が長くなるのでな…」

モーグの口からは血と一緒に白カビが流れ出してる。こりゃ先も長くねーなってガタイで分析するまでもない状態だけど、モーグの口からは笑みが離れない。なんでそんなに余裕そうなのかが分からなくて気持ちが悪いぜ。オレの後ろではネフェリが目を覚まして、体から流れた血を拭っている。モーグの敵がマレニア以外にもう一人増えたけど、それでもモーグの表情は勝ち誇っていた。


モーグ「ミケラは、この私を愛したのだ、マレニアよ…」

モーグ「この私に狂い火の守りを任せ、聖樹に妹を残し、私との繭を作り上げるほどにな」

マレニア「…軽々しく、ミケラなどと…」

マネージャー「マレニアさん、今は彼に喋らせましょう。どうせ長くはありません。情報を聞き出したあとは煮るなり焼くなり、あなたのやりたいようにして構いません」

声を震わせたマレニアをマネージャーが静かにさせると「気を遣わせてしまったようだ。続けて構わぬかな?」ってモーグからの挑発が入る。マレニアが挑発に耐えると、話の続きが始まる。


モーグ「ミケラは我が心を見透かし、王朝の開闢に力を貸したのだ。…エルデンリングが砕かれる前に、私が力を強め、国々の貴族共に血の祝福を広めることを、ミケラは見逃した。許したのだ」

モーグ「故に私は、私が望むがままを行ったのだ。ミケラが私に望むというのなら、何者がそれを咎めようか」

モーグ「私は王朝開闢を阻む者を、みな取り除いたにすぎぬ」

モーグ「遺跡に住まう祖霊にすがる者達も、我が領地を荒らす悪意ある星の子らも」

モーグ「ミケラの意思を揺らがせる妹も…そしてあの、最強のデミゴッドたるラダーンさえもな」

その瞬間にメチャクチャな違和感が走って、広場が静かになる。オレも違和感の正体に気づいたからマネージャーを見ると、マネージャーがマレニアに「…話が…違ってる?…」って呆然として顔で語る。そのマレニアは眼を見開いて、手には震えがきていた。

マレニア「……ラダーン?…」

マネージャー「変ですよこれ…だってマレニアさんは…モーグの腹心から聞き出したはず…確か…」

マネージャーの口から腹心って言葉が出た瞬間に、モーグのニヤついた口が吐息を漏らす。
俺の脳裏にまた最悪な妄想が出てきて、サングラスもずり落ちる。

マネージャー「モーグがラダーンに取り入り…ラダーンがモーグを匿っ…た…」

マネージャー「うそ、なにこれ…」

気付きは俺たち全員に伝わっていって、俺は全身に鳥肌が立って冷や汗が吹き出すし、ネフェリとローデリカの顔からも血の気が引いて、驚愕の視線がマレニアの後ろ姿に集まる。決定的な何かが白日の元にさらされて、気付いた時には、何もかもが手遅れだった。


モーグ「この私が、ラダーンなどという愚昧なる者を、信じると思ったのかね?」

モーグ「取り入ってもおらぬ。匿われたこともない。彼奴はこの私に、体よく使われたに過ぎぬ」

モーグ「ミケラの刃、マレニアと相討たせるためにな」

222名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/05(日) 06:27:24 ID:0LCL7WDg


マジ?これって謀り?マレニアはフラフラっと後ろに下がって、義手はブランと垂れ下がって左手はフルフルと震える。俺達は咄嗟に駆け寄ったけど、駆け寄っただけで、かける言葉が見つからない。


マレニア「…何を…お前は…」

モーグ「この血の君主に信奉者はいれど、腹心などおらぬ…我が王朝は私とミケラだけのもの…」

モーグ「血の貴族を称する者達に、私が真実を語る道理はない。語れば、王朝の秘匿が、どこぞの輩に破られるかもしれぬのでな」

話しながらモーグは咳をする。
口からは更に血が流れて、顔の表面には極小の赤いデキモノがいくつか現れ始める。

モーグ「ゆえに、聞き出した真実などというのは、我が王朝には存在せぬ」

モーグ「全ては、破砕戦争を誰も勝ち得ぬもとして、王朝を完全なものとするための布石」

モーグ「謀よ…」

マレニアがその場に崩れ落ちて、ネフェリに背中を抱き止められる。
呼吸は浅く乱れて、顔色は人形みたいに白くなってて、開かれた両目からは涙が伝う。

マレニア「嘘だ…」

マレニア「そのようなことは、ありえぬ…ラダーンは…」


モーグ「フフッ、ラダーンか…」

モーグ「彼奴は悪意ある星々に対し、無力となりつつあった黄金律を、見限ったに過ぎぬ」

モーグ「サリアを襲いし流星にも、エルデの全土に降り注ぐ星々にも、黄金律は無力であり、ラダーンの星砕きの力も無限ではない」

モーグ「希少な重力魔術の使い手がいかに奮起したとて、それでは手が足りぬ。全土を襲う星々を、星々から生じる獣を、悪意と共に来たるアステールの全てを、打ち破ることはできぬ」

モーグの腐敗は更に進んで、赤いデキモノは少しづつ増えてきて、ツノもとうとう一本落ちる。それでもモーグの顔からは勝ち誇った表情が剥がれない。今のコイツは俺たちを、何よりマレニアを弄ぶために自分の命を全部使う気でいる、プロ超えのチョーS野朗だ。

モーグ「ゆえに彼奴は望んだのだ。黄金樹を有する王都を襲い、王位を簒奪し、全土を護る新たな王として君臨することを」

モーグ「ラダーンは黄金律に反旗を翻した。ゆえに律に楯突く裏切り者ではあろう。だがお前の腐敗に落とされるいわれは微塵も無い」

モーグ「マレニアよ。お前はそのような者のいる地を襲ったのだ。お前に奪われる故など無い者たちから、お前は全てを奪ったのだ」

モーグ「土地を枯らし、老兵の首を取り、女子供を腐らせ、彼らの支えとなった男に、尽きることのない苦しみを与えた」

モーグ「故郷も、尊厳も、歴史をも消し去り、全てを泡吹く肉塊と、悪臭を放つ汚泥の山と、蠢く菌糸に永久に変えたのだ」

モーグ「敵と疑わしき者がいる。ただ、それだけのために」


俺たちはハメられた。座っているのも辛くなったマレニアが、床に手をついて涙垂れ流してすすり泣く。全部モーグのデチ上げで、全部ウソなんじゃねーかって可能性も一応考えたけど、ここに来る前のマレニアの話とケイリッドで見た激腐れな光景がそれを否定してくる。

頭の中に、ミリセントと睨み合いになってる最中に大剣を手離したラダーンの姿が映る。なんでラダーンはあの時剣を離したのか、どうしてミリセントを斬らなかったのか、その疑問にモーグの話が組み合わされて残酷な妄想ゲームの始まり。マジで陰惨な可能性が乾くことなく拓也の思考に垂れ流される。

ラダーンは本当は、マレニアが騙されてることを知ってたのかもしれない。でも当時は世界中が破砕戦争でマジ狂い状態だし、しかもお互い敵同士で、マレニアは確かな情報をモーグの部下から聞き出してると信じてた。だからラダーンが口で言っても、マレニアはラダーンを信じなかったのかもしれない。だからラダーンはマレニアのことも見逃そうとしたのかもしれない。あの時の慟哭砂丘でミリセントを見逃そうとしたみたいに。


モーグの頭からツノがまとまって落ちると、その口からもドクッと血が溢れて、口の牙も抜け落ちる。
顔のブツブツは大きいキノコみたいになっていく。

223名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/05(日) 06:31:10 ID:0LCL7WDg

モーグ「ミケラは…あの繭の中にいる…」

モーグ「我が王朝は滅びぬ…我が血は多くの者に継がれ……いつしかミケラも…蘇る…」

モーグ「無垢なる黄金と…我が血が絶えぬ限り…王朝は開闢を待つ…」

モーグ「…我が素晴らしい王朝…モーグウィンは…」


頭がどろりと溶けてモーグは死んだ。そのモーグに近づいていったネフェリは、服だけ残して溶けまくりの死体を斧で突いたあと、モーグが言い残した言葉をたよりに繭によじのぼって中を見る。そのあとに戻ってきて、伏せた姿勢ですすり泣くマレニアに語りかける。

ネフェリ「あの繭を見てきたが、中にあるのはトロルの死体だ。お前の兄はいなかった」

するとネフェリに、目を見開いて涙と鼻水でぐちゃぐちゃになってる顔が向けられて、ネフェリの顔が一気に強張る。

マレニア「ほ…本当…か…?」

ネフェリ「あ…ああ、本当だ。あれは巨人の死体だ」

マレニア「そ…そう、なのか?ローデリカ…そうなのか…?」

突然マレニアに答えを求められて、ローデリカは咄嗟に「はい」とも「いいえ」とも言えなかったけど、それがマズかった。マレニアはヨロヨロと立ち上がって、千鳥足を無理矢理真っ直ぐに進ませてるみたいな動きで、繭に向かって駆け出す。ネフェリは「マレニア!何も無いんだ!」って叫んだけど、それは「何かがある」って言ってるようなものなんだよな。マレニアはそのまま走って繭にすがりつくと、「よせーっ!」ってネフェリの抵抗も聞かずに、繭から伸びる手に額をつけて動かなくなる。

それからは嗚咽が聞こえてきて、一番考えたくなかった展開が来たことに、どうしようもないやるせなさを感じまくりながらオレ達は走る。繭につくと、枯れ木みたいになった手に縋り付いて座ってる、泣いたマレニアがいた。ネフェリには繭の死体が誰のものなのか分からなかったし、マネージャーとオレにも分からなかった。ローデリカは分かってても言わなかった。でも昔のテレビでもやってたけど、双子には不思議な繋がりがあるんだよ。きっとマレニアにはその繋がりが切れたことが分かったんだよな。


「兄様…兄様…どうか起きてください…」

「マレニアが参りました…どうか…どうか起きてください…」

「どうか私を殺してください…もう生きていたくないのです…」

「私を連れていってください…」

「私の兄様…」


繭から伸びる手にすがって泣くマレニアを、俺たちは何も言わずにそっと抱きしめる。
泣きつかれて眠るまでの数分間をずっとそうしていた。
セクハラになっちゃうかも、とかも拓也は考えなかった。

224名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/05(日) 06:39:32 ID:0LCL7WDg


人生窒息プレイ    投稿者:ビルダー拓也


ローデリカからの話だと、モーグウィン王朝で感じた二つの気配は、モーグとミケラのものではあったらしいんだよね。でもミケラの方がイメージが朧げで、誰かに食われて死んでるかフツーに死んでるか判断がつかなかったってさ。訳わかんねーけど、フツーに死んでるならエルデンリングを修復したあとの環樹で生き返らせることもできるみたいだけど、誰かに食われて死んでる場合は、その誰かも環樹に加えないと無理らしいぜ。ミケラの場合は大部分をモーグが信じてる神様に取られてる状態で、エルデンリングを治したり環樹しようとしたりしても無駄らしい。その神様をエルデンリングの追憶とかいうのにしないと駄目とかで、もうどうすりゃ良いのか分かんねーよ。真実の母ってなんなんだよ。

拓也が円卓についたのは随分前のこと。
泣きつかれて寝ちゃったマレニアをみんなで円卓に運んで、とりあえず円卓のテーブルに寝かせたけど、それから先に何をするのかも俺たちは完全にノープランになってて、しばらく円卓の椅子に座って途方に暮れた。一回ネフェリが「金仮面卿はどうなってる」って言って、それにマネージャーが「まだディアロスさんから連絡はありません。置き手紙や伝言の類いも無いです」って返事したけど、会話はそれだけで2時間以上?3時間以下?はみんな無言でブラブラしたり、ちょっと蟹摘んだり、グッタリしたり、泣き腫らしたマレニアの顔を一瞬見てチョー深いため息をついたりの時間だけが過ぎていった。

そのあとマレニアがチョーダルな感じで起きると、俺たちの緊張感も一気にマックスまで上り詰める。ネフェリやローデリカ、マネージャーまで、マレニアを見ても何かを言ってあげようって雰囲気出して、結局何も言えずに通り過ぎてく。大丈夫?って言っても大丈夫なわけないし、兄ちゃんのこと気の毒だったって話も、気の毒なんかじゃすまねーよって話しかける前から自分で答えが分かるしな。だからここは何も話しかけないのがエチケットって感じでいるしかない。
モーグの最後の悪あがきにやられたぜ。腐敗を食らった後に、抵抗せずに長々と語りまくったのもヤツの作戦だったんだな。

マレニア「……拓也…」

そんな状況でいきなり話しかけられて、気まずさと申し訳なさと気遣い心が一気に振り切れた拓也は「はっ、はん、はい!う、ウッス!」ってケツマンを掘られてるみたいな不自然な返事しちゃうけど、マレニアの表情は落ち込んだままでピクリとも動かない。そりゃしかたねーよ。

マレニア「みな…私を避けているな…」

拓也「いえ、アレっすよ!ほら、アレ!違いますよ!」

マレニアのボソッとした声にもオレはテンパって、大祝福の周りにいる奴らもみんな過剰反応。「そ、そういうわけじゃないですよ。かけてあげられる言葉が見つからないんです…」「マレニア様、それは誤解です。私はただ…」って、マネージャーもローデリカも精一杯の気遣いで「いつも通り」みたいなオーラを出すけど、ふたりの言葉も今のマレニアには届かない。

マレニア「…いいんだ……私など…皆を腐らせるだけだ…」

フラフラっと立ち上がったマレニアが、夢遊病患者みたいな足取りで歩いて行くから、心配になったオレ達はその後をついていく。そしたらトープスのいる部屋に入っていってそこから

トープス「マレニア様!?は、話なら聞きました…お、お気の毒に…」

マレニア「頼みがある…私を…殺してくれないか…」

トープス「えぇ!?む、無理ですよ!そんな罪深い、大それたこと!やりたくない!」

マレニア「頼む…もう耐えられない…生きていたくないんだ…」

かなり面倒なことにトープスが巻き込まれかけたので、ネフェリとマネージャーが部屋に乗り込んで終了。部屋から出てきたトープスは「だっ、大体私は鈍石なんだ!聖杯瓶を全部飲み切ったって、あなたの体に小さなアザを作るのが精一杯ですよ!お力にはなれません!不戦の約定を守ってください!」って逃げて行く。部屋に残ったマレニアはマネージャーの両手を握って、鼻を啜って俯いてた。

でもそれからは、マレニアは何処かの部屋の隅っこでグッタリダウンしてるか、円卓をブラついてるか、発作的に殺してくれって誰かに泣きついてるだけのヤツになってきて、もう神人の威厳とか関係ないし、あまりにも哀れすぎてこれがあのミリセントで、あのマレニアなんだって思いたくなくなってくるぜ。デミゴッドを殺して大ルーンを奪えとか言ってた二本指がいた部屋にまで入って行った時は

マレニア「私は…どうすればいいのですか…トープスも…エドガーも…ネフェリも…どうして私を殺さないのですか…?」

エンヤ婆「かわいそうに。さあて、どうしたものだろうねえ…」

エンヤ婆「指様はあんたを殺すことに、躊躇はいらぬと言うだろうが、その指様は止まっておる。確かなことが揺らぐ今、私はあんたに同情してるよ。あんたに神人の座は重すぎたんだ。何の力にもなれんが、今はただ、気の済むまでお泣きよ」

っておばあちゃんに抱きついて子供みたいに泣きまくりだったし、神人とデミゴッドがなにより嫌いな鍛治職人の混種じいさんからまで「哀れ。己で撒いた種ではあろうが、殺してやるのが慈悲というものじゃないか」って、同じ嫌うにしても前より同情的なことを思われてる。

泣き疲れたり泣き止んだりしたら、それから何時間かは円卓のどこかの部屋の隅で死んだように寝る。起きたらその瞬間に心がメチャクチャになって、一人で泣くことにも耐えられない状態に堕ちて他人に助けを求めてさまよう。そんな息継ぎ皆無な人生窒息プレイ状態が二日間くらい続いて、あのギデオンも含めた全員が一度はマレニアに泣きつかれたことがある円卓になってから

マレニア「どうして死なせてくれないんだ…私が生きて、貴公らに良いことなどあるのか…?」

拓也「良いとか悪いとかの話じゃないっすよ!仲間殺して良いわけないじゃないですか!」

マネージャー「ほら、涙拭きますから動かないでください…」

マレニア「やめっ…そんなこと、しなくていいんだ…私など…」

ネフェリ「マレニア、話がある」

ついにネフェリが新テクを開発したみたいで、オレとマネージャーがマレニアからの恒例お悩み相談を受けている時に、ネフェリが奥の部屋から歩いてくる。それから「頼むネフェリ…殺してくれ…もう、私には何もない…すべてを終わりにしたいのだ…」って泣きついて来るマレニアの前に立つ。

ネフェリ「そこまで死を望むなら、ついてこい。マネージャーと拓也もだ」

225名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/07(火) 01:48:49 ID:QK9dodVU

「ちょっと、それどういう意味なんですか?ネフェリさんあなた…」ってマネージャーが混乱するけど、「いいから来い」の一点張りで押し切ってくるし、どう見ても正気じゃないマレニアをなんとかする方法なんて実際オレも思いつかないから、仕方ないから大祝福に触れる。祝福が光でオレ達を包み込む。どこに行くんだよって思ってたけど、到着した先を見て全身の鳥肌がビルダーガタイを凍えさせた。

拓也「は?」

マネージャー「なっ…なんでここなんですか!?」

着いた先はケイリッドだった!
しかも周りの壁とか建物とかを見て分かったけど、ここって赤獅子城じゃん!
やられたぜ!ネフェリは本当にマレニアを殺す気だ!
とうのマレニアは呆然と立ち尽くして何を考えてるのか分かんねーけど、絶対ろくでもないことしか考えてないぜ。

アレキサンダー「おぉ!?久しいな貴公ら!息災で…」

アレキサンダー「…おおぉ…これはなんとも…凄まじい大英雄を連れてきたな…」

チョー久々にあったアレキサンダーは元気そうでツボの隙間が埋まってる。まぁそれは良いんだけど、後ろから出てきたブライヴも最初は再会が嬉しそうな顔をしたけど、呆然と立ち尽くすマレニアを見てすぐに険しい顔になった。

ブライヴ「こいつ……まさか…」

ネフェリ「そうだ、あのマレニアだ。ラダーン祭りに参加したいそうだ」

拓也「マジかよぉ!?」

マネージャー「なな、なに言ってるんですか!?しませんよ!勝手に決めないでください!」

マネージャーとオレの抗議にネフェリが斧を向けてくる。「…そんなの向けられたって、私は引かないですよ!」ってマネージャーが言うと、強烈なボディーブローが飛んでマネージャーは腹を抱えて曙ダウン。オレもギン目で再びネフェリに抗議。「おい、何してる」ってブライヴの声も無視されたし、やべーよ、こいつマジだ!ネフェリの眼は静かだけど、それだけに行動がカチカチに硬くなってそうで、逆らうと何をされるかわからないって空気がビンビンに張り詰めている。

ブライヴ「…その様子では、お前の独断というわけか、ネフェリ」

ネフェリ「ああそうだ。それで、出られるのか?星辰はまだ満ちているはずだ」

ブライヴ「星辰は満ちたままだが…こいつ、本当にマレニアか?随分腑抜けた面ではないか」

ブライヴがマレニアの顔を覗き込むと、マレニアがピクっと反応して、ぎこちなく疲れた顔をブライヴに向ける。「ああ、貴公…ブライヴか……円卓、以来か…」って呟きに、ブライヴは一瞬硬直。そのあと嫌なことを悟ったみたいでマレニアの胸ぐらを掴み上げる。

226名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/07(火) 01:56:39 ID:QK9dodVU
ブライヴ「貴様、食らったな?あのミリセントを…」

ブライヴ「元は己の一部だからと、遠慮も無くか。やはり貴様は好きになれんな」

ブライヴはギン眼で威嚇しながらマレニアに嫌味を言ったけど、掴み上げた相手が眼を見開いて震えはじめて涙をポロポロ流し始めたんだから、相当面食らったと思うぜ。掴み上げた手を離して咄嗟に後退りするブライヴだけど、縋りついてくるマレニアに距離を詰められて尻餅をつき、結局すがりつかれた。

ブライヴ「な、なんだ!?おい!離せ!」

マレニア「私…私はミリセントを、消したくなかった…こんな痛みは、背負いたくなかった…信じてくれ…」

マレニア「ブライヴ、私を殺してくれ…でなければまた、私のせいで誰かが死んでしまう…!」

ブライヴ「お前、本当にマレニアなのか?何があったんだ?」

マレニアはブライヴの胸の中でまた泣き始めて、ブライヴも思わずたじたじ。ネフェリに「掻い摘んで言うが、その女は血の君主に踊らされ、敵ではない者を大勢殺し、ケイリッドを穢し、ラダーンを狂わせ、それでも兄を救えなかった神人。ミケラの刃、欠け身のマレニア本人だ」と大きめの声で教えられて、ブライヴもマレニアを見て信じらんねー!って顔してる。気持ちは分かるぜ。

アレキサンダーとの二人がかりでブライヴはマレニアから離れると、マレニアはアレキサンダーに抱え上げられたまましゃくり上げてて、両手で目の涙を拭いてる。それでも「頼む…頼むから…」ってブツブツ言ってるんだから、流石のブライヴも全てに合点がいったみたいだった。

ブライヴ「なるほど…全てを喪った…いや、喪っていたことを悟ったというわけか」

アレキサンダー「いたわしい…これがあのラダーンと、双璧を成した英雄の姿か。無常なものだ…」

アレキサンダーだけじゃなくて、マレニアを嫌っていたブライヴまで落ち込んで気持ちに深い↓が入ってる。ブライヴはミリセントと仲良かったし、ミリセントはみんなに好かれてた。オレはマレニアとミリセントを同じ奴だとは考えないようにしてるけど、ブライヴは会ったばっかりでそんなの無理だよな。城の真ん中でマレニアのしゃくり声だけが静かに響いてると、城の奥から兵士と騎士を連れたあのおじさんがやってくる。

ジェーレン「マレニア貴様!何をしに現れた!」

ヤバいぜ!マズイぜ!赤獅子城に出てきちゃったから嫌な予感は鳥肌と乳首でビンビンに感じまくってたけど、お祭りおじさんは案の定剣を抜いてて騎士も全員眼を光らせて戦闘モード全開だ。恨み骨髄な相手がいきなり現れたんだからしょーがねーけど、ここで殺し合いなんて勘弁だぜ!オレが気絶したマネージャーを背負っていつでも逃げられる姿勢に入ると、マレニアがアレキサンダーの手から脱出。そのまま騎士達に走っていく。それからオレが待ったをかける暇もなく、突き出された騎士の槍に自分から突っ込んだ。

ブライヴ「あっ…」

マレニア「そうだ、殺せ、私を殺せ…!」

ジェーレン「オーッ!」

騎士の槍はマレニアの腹に食い込んだけど、神人のカチカチな皮膚で止まる。おじさんがマレニアの首筋に剣を振り回したら、それはネフェリが斧で止めた。「何をする!その女は我らが宿敵!邪魔だてするでない!」って吠えるおじさんに「マレニアも祭りに出る」なんて単刀直入に言っていくんだから、おじさんは更にキレまくって唾を飛ばす。

ジェーレン「将軍を今の有り様に貶めた者に、将軍の首を取らせるわけにはいかぬわ!引かせよ!」

ネフェリ「待て。参加するとは言ったが、剣を交えるわけではない。マレニアの言い分を聞いてからでも遅くはないだろう」

ジェーレン「そのようなもの、儂が聞くと…」

だけどマレニアが、腹に刺さった槍を貫通させながら強引に近付いて来ると、流石にビビってみたいで言葉に詰まる。スゲー痛そうな瞬間を目にしてブライヴとアレキサンダーもなんだかんだ心配になってマレニアに駆け寄っていく。「お前、本気なのか…?」ってブライヴにたずねられても、マレニアは目の前のおじさんにずっと殺せって催促の嵐。周りの騎士達も流石に動揺し始めて、互いにアイコンタクトを始める。

マレニア「頼む…ラダーンに謝らねば…死んで詫びを入れさせてくれ…」

マレニア「この首を斬り、彼に捧げてくれ…」

ジェーレンはしばらく黙ると、自分の剣をまた振り上げて、マレニアを貫通してる槍を叩き折る。
それからマレニアの腹から槍を引き抜いて、騎士に武器を下げさせた。

ジェーレン「…敗れを知り、熾烈なる意志の翼も、もはや折れたか…」

ジェーレン「貴様は我らの敵ではない。在りし日の我らの敵は、在りし日の将軍と共に死んだようだ」

ジェーレン「参加を認めるとしよう。ただし、貴様にとっては戦祭りではなく、断罪の地となるだろうがな」

マレニアの参加を認めたおじさんは騎士と兵士を率いて去っていく。後ろ姿は哀愁が漂ってて元気がない。オレはマレニアが殺されなくて良かったけど、これからマジでラダーンに会いにいくとも思えないんだよね。だってそんなことしたら本当に死んじゃうじゃん。本当に殺す気があったら、円卓の不戦ルールなんて無視してマジでその場で殺してたはずじゃん。そうしないんだから脅しだよね、きっと。

227名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/07(火) 02:03:16 ID:QK9dodVU


腐敗で狂ったあと  投稿者:ビルダー拓也


マレニアを殺そうなんて本気で思ってるわけないって拓也の願望も、リフトに乗った時には薄れてきて、転送門をくぐった時には消えていた。慟哭砂丘で目が覚めたマネージャーが怒鳴っても、ネフェリは本当にマレニアを殺す気だ。お祭りおじさんは騎士と兵士を引き連れてきてて、一応ラダーン祭りだから来てやったんだぜって感じでいるけど、多分本当は自分達の敵だった奴の最期を見届けに来てると思うんだよな。アレキサンダーとブライヴもいるけど、二人にマレニアとネフェリを止める気配はない。オレは納得いかなくてガタイで状況を分析。でもメチャクチャ物々しい雰囲気とギン眼のネフェリにビビって動けない。動けたとしてマレニアを止められる気が全然しなくてマジ焦り。

広い砂漠の中をマレニアが一人でトボトボ歩いていく。足取りはフラフラで、砂漠ってこともあって熱射病でやられてる人みたいになってるけど、遠くには一度だけ見たことがある、もう二度と見たくなかったあの小さい山が見える。

マネージャー「こんなのおかしいですよ!あなたたち、おかしいって思わないんですか!?」

マネージャーは一人で大声上げて抵抗。でも誰もマレニアを止めないし、マネージャーにも止められない。オレも早く動きたいけど、完全に動くタイミングを見失ってて全身鳥肌立ちっぱなし冷や汗流しまくり、焦燥感で心臓締まりまくりでもう何をどうすればいいのか分かんねーよ!

ブライヴ「これはマレニアとラダーンの、そしてケイリッドの問題だ。オレに口は挟めん」

アレキサンダー「悲しいことだが、戦士として二人は戦ったのだ。どのような形であろうと、片方が決着を望むのなら、戦いは止められんのだ…」

マネージャー「そんなカッコつけたこと言ってる場合ですか!?人が死ぬところ観にきてるようなものなんですよ!?」

ネフェリ「ああそうだ。観に来ているんだ。戦士の最期のさまをな」

マネージャー「そ、そうだじゃないですよ!今ならまだ間に合います!止め…」

ネフェリ「何が間に合うというんだ?」

ギン目のネフェリにそう言われてマネージャーは言葉に詰まった。オレは何も思いつかないんだからマネージャーは黙ったりしないで何か思いついてくれよ!って心の中で叫ぶ。オレが一人でマレニア掴んで引っ張っても止められない。ネフェリも説得できない。他の奴らも頼れなくて、希望があるのはマネージャーだけ。

ネフェリ「ケイリッドは腐り、人々は病に倒れ、この地の風は穢された。マレニアがモーグに謀られていたとしても、その事実が動くことはない」

ネフェリ「ラダーンは正気を失い、マレニアもまた失った。これも変わらん」

ネフェリ「マネージャー、私に出来たことはなんだ?お前に、拓也に、私たち皆に出来たことはひとつでもあったか?」

ネフェリ「何も無い。全ては終わっていたんだ」

マネージャーは立ったまま、いかにも絶望に打ちひしがれたって感じの顔で手前の砂を見始める。マジかよ!頼れるのはマネージャーだけなんだよ!って強烈な視線を送っても、マネージャーはそれに気付かないで、遠くなっていくマレニアの背中に視線を移して冷や汗ダラダラ流してる。

そのマレニアはオレ達から20メートル以上?30メートル以下?離れたところまで歩くと、そこで止まって小山を眺め始める。遠くの小山はゆっくり動くと、少しづつ近づいてきてシルエットをハッキリさせていく。そいつはある距離まで進むと動きを止めて、一瞬激しく震える。

それから何秒か経ってから、この世のモノとは思えない超絶なブチ切れ咆哮が聞こえてきて、マレニア以外の全員が耳を咄嗟に塞ぐ。それから小山は紫色の光を全身から放って浮き上がり、両手の剣を戦闘機の翼みたいにしてぶっ飛び、何百メートルあったかも分かんねー距離を1秒くらいで詰めてくると、バカデカい轟音とともに砂埃を舞上げてマレニアの前に着地した。

ラダーンが空まで飛べることも分かって、そんな化け物が目の前に現れてもういよいよオレとマネージャーには絶望しかない。マレニアは突っ立ったまま動かない。この状態でラダーンがテキトーに剣を振るとマレニアは斬られて死ぬ。オレの脳裏にはマレニアとは関係ないと思いたかった奴の顔が浮かぶ。拓也のガチガチな脚を動かしたのは、ミリセントがいる円卓の景色だったんだよ。

拓也「おうおうおーっ!」

自分でも何言ってるかわかんねー声を上げながら、オレはマレニアに向かって駆け出した。追って来る奴はいない。多分みんな呆気にとられて動けてないぜ。オレは走りまくってマレニアとラダーンの間に割って入って、大の字ポーズでビルダーマッスルを強調。人間の盾になる。

マネージャー「あっ…」


でもその盾はマレニアにどかされた。
ラダーンに向かって走り出したマレニアは拓也を片手で払いのけてジャンプ。
剣を振り上げ始めたラダーンの首筋に、金の針を突き刺した。

228名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/07(火) 02:06:15 ID:QK9dodVU

マレニアの前に立った時の拓也は脳ドラがキマってて、自分でもなんでこんな事してるのか分からないパキギメ興奮状態だったから、マレニアに突き飛ばされた時もドラマや映画みたいに世界がゆっくりに見えてたんだ。マレニアは右手の義手でオレを叩くと、同時に左手を胸に入れて、光る何かを取り出していた。オレが地面に倒れ込む頃には、光る何かはそのまま線を引いてラダーンの首筋に押し込められていた。

遠くからお祭りおじさんの声が聞こえて、着地したマレニアに向かって何か言ってるけど、目の前のことを見るので精一杯なオレには何言ってるか分からない。ラダーンは苦しそうに首元を押さえて立ち上がると、ラダーンに跨られてたデカくて細い馬が抜け出して、ラダーンの横にピッタリとくっついて顔を覗きこんでいる。とうのラダーンは後ろ側にぶっ倒れてピクピクと痙攣しながら動かなくなった。みんなが駆け寄って来る足音が近づいてくるけど、オレは呆気にとられてマレニアとラダーンを交互に見てるだけだった。

でもその足音がもうちょっとでマレニアを捕まえるって時に、ラダーンが全身から紫の光を出して縦回転。その場に派手な砂煙を上げて着地すると、腕を組んでマレニアを見下ろす。ラダーンの表情はオレのトラウマになった鬼の顔じゃなくなっていて、目には澄んだ光が射していた。


ジェーレン「お…おお…!」

ジェーレン「こ…これは何としたこと!…将軍が戻られた…!」


マレニアのすぐ後ろまで来ていた騎士と兵士はどよめいて、色んな感情が湧き上がったように声をぐちゃぐちゃに上げる。おじさんの「き、貴様何をした!?いや、何が起きた!」って声だけ浮いてたけど、そこにブライヴやアレキサンダー、マネージャーの声もギャーギャー混ざってすぐに誰が何を言ってるのか分からなくなる。

でもラダーンが腕を組むのをやめて、指を揃えた掌を掲げると、砂漠は一気に静かになって、遠くの海が波を打つ音だけが聞こえるようになる。ラダーンを見上げるマレニアの横顔を見ると、目尻に小さな腐敗のヒビができていた。

229名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/07(火) 02:17:26 ID:QK9dodVU

「ラダーン…私は、間違っていた…」

「何もかも全て…間違ってしまった…」

「私は貴公の民を、友を、故郷を壊してしまった…久遠に変わることのない、苦しみをもたらした…」

「貴公に、ケイリッドに…皆には何の咎も無かったというのに…」

「私は……そんな貴公らを…朱き…腐敗に…」

話の途中で堪えきれなくなって、マレニアはラダーンから顔をそらして溢れる涙を手で拭う。なんか分かんねーけど正気になったみたいなラダーンと、自暴自棄になりまくっているマレニアの間に割って入ることなんて出来なくて、拓也はやっぱり見ていることしかできない。止められるかもって考える段階はとっくの昔に遠くに去って、気付いた時には消えていた。マレニアは涙を拭い終わってラダーンをまた見上げたけど、涙はまたすぐに溢れ始める。

「…私は生きてるだけで、誰かを、皆を傷つけるんだ…」

「兄様も…ミリセントも…私を信じた者たちも…」

「貴公が愛した者たちも皆、私のせいで死んでしまった…」

「私は間違っていた…腐敗を持って生まれてきたことが、すでに誤ちだったんだ…」

「だから…貴公にしか…貴公にこそ、頼みたいんだ…」


マレニアは左手で義手の肩を掴むと、義手を外して砂に落とす。
金属が小石に当たる音が小さく響いて、義手の刀が砂に埋まる。


「ラダーン…私を、殺してくれないか…」

「…私など、いなくなってしまった方がいい…」

「もう生きていたくない…もう誰からも奪いたくない…苦しめたくないんだ…」

「…病巣は、焼かれなくてはならない…」

「…そうだろう…?」


涙まみれのマレニアの微笑みは諦め一色に彩られていて、それを見たラダーンも深呼吸を入れる。ラダーンの山脈ガタイから腐敗の匂いのする風が吹いて、その場にいる全員の髪が揺れる。拓也は静かに覚悟して、あれだけ騒いでたマネージャーもひとことだって声をあげない。マレニアを殺してほしくはないけど、マレニアを生かすも殺すも権利はラダーンにだけあるし、どんな結果になっても俺たちは逆らうことは出来なくて、ラダーンの圧倒的バワーの前にはM奴隷になるしかない。ブライヴも、アレキサンダーも、ネフェリも黙ったままラダーンの一挙手一投足を見つめる。全員の視線を集めるラダーンは右手に握り拳を作ると、拳は激しい炎を纏う。

マレニアがその場に跪いたら、みんなは一歩身を引いて、拓也はその場に動けずにいた。
ラダーンは燃える右拳を胸元に持っていって、見たこともない恐ろしい形相で拳に力を込める。
拳の炎はさらに赤みを増していって物凄い轟音を立てながら燃えまくり、太陽みたいになっていく。

「…ありがとう…」


感謝しながらマレニアが目を閉じると、ラダーンは燃える拳を振り上げて、拳を開いた。開かれた拳を見てお祭りおじさんが驚愕の声を上げると、今度はオレも入れた全員がラダーンの燃える掌に釘付けになり、口々に息を飲む。マレニアにも息遣いは聞こえてたみたいで、うっすら眼を開いてから、すぐに視線を奪われてカッと見開く。

開かれた燃える掌には、真っ赤に燃える大ルーンが光っていた。

ラダーンはその燃える右掌を、マレニアの胸に叩きつけた。

230名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/07(火) 02:23:56 ID:QK9dodVU

マレニア「うぐうぅ!」

燃える大ルーンをぶち込まれたマレニアは胸を抱えて悶絶。
全身からルーンの風を巻き起こしながら、左手を砂につけて荒く息を上げる。後ろの騎士達はアレキサンダーと一緒に「おおおお…」って、偉大な何かを見たみたいな声を上げて、ネフェリとマネージャーはオレと同じでマレニアをじっと見つめた。

ルーンの嵐が全部マレニアに吸い込まれると、マレニアはゆっくりとガタイを起こして自分の左手を見る。それからオレ達にゆっくり振り返ったけど、顔の腐敗はほとんど無くなってて顔色まで良くなっていた。それを見たブライヴは腕を組むと「また、それらしい逸話が生まれたようだ」って言いながらニヤつき始めて、なんなんだよって聞くと、ブライヴは赤獅子城に向かって歩いて行った。

ブライヴ「俺はラニの指示を仰ぎに行くとしよう」

ブライヴ「己の燃え盛る大ルーンで、宿敵の腐敗を抑えるなどという英雄的行いを見せつけられては、もはやラダーンを斬ろうにも、気乗りせんのでな」

涙が止まって口も半開きなマレニアが、ブライヴの声でラダーンにまた振り返ると、ラダーンは砂に刺さった義手を摘み上げて、ライターを掃除するみたいに指で撫でていた。「お…おおお…!」ってマネージャーは息を吸いながら驚きまくり。お祭りおじさんは涙を流していた。

マレニア「…どうして…」

呆然顔で見上げてくるマレニアを無視して、ラダーンは義手をマレニアの右肩にハメる。
それから側にいるデカ馬を撫でると、馬はステップを踏んで頭を上下させながら、なんだか嬉しそうにしてる。

マレニア「どうしてだ…なぜだ…」

マレニア「私は…私は貴公を…」

ラダーンは足首の無い両脚に紫色の光を纏わせて、立ち上がってマレニアを見下ろす。
それからマレニアの背中を2回、軽く指で叩いてから、馬の痩せたガタイの砂埃を払う。

マレニア「ラダーン…なぜなんだラダーン…なぜ私を殺さないんだ…」

ラダーンはまたマレニアを無視して、砂に手を突っ込んで穴を掘り、カピカピに乾いた死体を掘り出していく。それを見た騎士や兵士も一斉に散らばって、そこら中で砂掘り大会が始まった。マレニアが死ななくてもいい感じな空気になってきてるのはいいけど、オレにもなんでラダーンがマレニアを殺さないのかが分からない。赤い鎧だったり金色の鎧だったりを着たミイラ状態の遺体が次々掘り出されて、砂丘の端っこに向かって運ばれていく。ラダーンもある程度の数を掘り出すと、遺体を抱えて兵士達について行く。その様子を見てるだけの俺たちの前で、マレニアがお祭りおじさんに「なぜ、私は生かされたのだ…」って話しかける。おじさんは遠ざかっていくラダーンの背中を眺めていた。


ジェーレン「ラダーン将軍は、おぬしを許してはおらん。おぬしを許せば、この地に死した戦士達が、民が浮かばれぬ」

ジェーレン「だが腐敗の悪夢が晴れた今、将軍はおぬしを責めてもおらぬ」

ジェーレン「生きて償え、マレニアよ。赤獅子はここで腐敗をとどめる。お前も生きて、腐敗をとどめよ」

ジェーレン「将軍の慈悲を、次こそは無下にしてくれるなよ」


そう言っておじさんはラダーンの後を追って、オレ達もマレニアに駆け寄る。
マネージャーに後ろから抱きしめられたマレニアは、その瞬間に何かに気付いて、ひざまづいたまま両手を砂につけた。


マレニア「…あの時…」

マレニア「あの時、剣を置いたのは……私のため…だったのか…」

マレニア「私を…ずっと…気遣って……」


信じてやれなかった敵の中に真実を見て、気付けばマレニアはまた涙をポロポロ流してる。マレニアは出会った時からほぼ毎日メチャクチャ落ち込んでるから、重すぎる空気と不安から一気に解放されてテンションに↑が入ってる拓也に「オマエ、その涙腺がいつまでも乾く時がねえな!」って言われると、コイツすすり泣きながら鼻水まで垂らしてる。もうアレキサンダーの中でのマレニアのイメージも地に落ちてるぜ!ネフェリもモノスゲー重い肩の荷を降ろしたみたいで、オレ達に背中向けて腕組みの姿勢でため息をついていた。もうこういうのは勘弁してくれよな!マジでビビったし哀しかったんだぜ!

マレニアの鼻をすする音を背後から聞きながら、拓也は遠くで小さく動くラダーンを見つめる。ラダーンは敵と味方の遺体を文句も言わずに運んで、弔うために丁寧に並べていく。オレ達の方には目もくれず腐敗に軋むガタイも無視して、誰よりも傷つきながら戦場であってもエチケットを守るその姿に、拓也はお父さんにも見たことがない本当の男の姿を見る。心に熱が入ってきて、オレもいつか、ああいうデカくて熱い背中になりたいなって思ったぜ。

231名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/09(木) 22:52:11 ID:2l6KutCI


運命は奧深い  投稿者:ビルダー拓也


ネフェリ「あのままであっても、マレニアの心は晴れなかった。ならば名誉ある戦死はせめてもの救いじゃないか?マレニアもそう望んでいただろうしな」

マネージャー「名誉ある戦死はまったく良くありません!蛮地にありがちな英雄的名誉だけを重んじてる肝い考えです!」

マネージャーが蛮地の倫理観に現代の倫理観で戦いを挑んでるころ、拓也とマレニアはアレキサンダーを背もたれにして座って、砂丘を掘り返しては死体を墓地に運び続けるラダーンを眺める。遠くのラダーンは相変わらずこっちには目もくれずに黙々と作業してて、マレニアも一回お祭りおじさんに手伝いたいって言ったけど、知らねーよ、そんなのって感じで相手にもされなかった。

思えば破砕戦争でヤリまくる前に、ひ弱な馬のためにプロ級の重力魔法使いになって、宇宙人?の侵略から街ひとつ守って、デミゴッドの運命まで止めて、その状態でマレニアと戦って腐敗を食らって流石に休ませてくれって感じでずっとグッタリだったけど、それでもグッタリしてるのに重力魔術を覚えてたり、今も星を止めてるなんてやべーよ。それで今は敵と味方の遺体を1日中埋葬するみたいなペースでずっと働き詰めだし、こんなにハードな毎日を送っているのに泣き言ひとつ言わね〜ってのはすげーなって、オレもマレニアと一緒に思うぜ。

オレに最高のクリスマスをくれたセンパイ以上の男はいないと思ってたけど、今ならオレの雄膣をラダーンに提供しても良いぜ!オレのパンプしたビルダーガタイよりも太い星砕きデカマラで、オレをケツマンごと粉砕しても構わないぜ!なんて淫乱な妄想に耽っていると、隣のマレニアがラダーンを眺めながら話しかけてきた。

マレニア「…ミリセントは、腐敗の中での死を望んでいた」

拓也「え?はっ、はん、はい?」

いきなりの不穏な語り口に「またかよぉ!」って思いながら
俺は服の上から両手で乳首をガードしつつ身構える。

マレニア「だが、その彼女を貴公は気の毒に思い、ケイリッドにて命を救った。彼女は円卓に招かれ、貴公らと共に戦い、多くのものを見た。私が見ることの無かった、輝ける景色を」

マレニア「そして彼女は私へ還り、私が感じ、私が抱えるはずだった痛みを、心と共に私に与えてくれた」

マレニア「痛む心は私を罪へと向き合わせ、聖樹で微睡むだけだった私に、真実を見せた」

マレニア「そして今、私はこうして貴公と共にケイリッドにいる。私が罪を犯し、ミリセントが生まれ、剣を握った地に」


マレニア「…私は兄様と共に黄金律を見限った。回帰性も、因果性も、それが我らを救うことなどないと断じた」

マレニア「だが……私が全てを喪い、あらゆるものを諦めた時…回帰と因果の輪は巡り、私はラダーンに心を救われ、生きよと言われた」

マレニア「私はこの出会いに、運命を感じずにはいられない……貴公らとの出会いが、私に歩むべき道を示したのだ」

そこまで話して、マレニアがこっちを見てきて拓也も恥ずかしくなって、頭を掻いて誤魔化す。恋心とかエロスは全然なかったけどさ、全然無いからこそ、こういう時に胸が高鳴るのは特別なんだよな。それこそマレニアが言った運命みたいな力を信じられるテンションになるんだ。


マレニア「拓也。私の回帰と、因果を巡らせたのは、貴公なのだ」

マレニア「貴公こそが、私の運命だったのだ」

マレニア「ありがとう…あの時ミリセントを…私を救ってくれて」


マジ!?これってお誘い!?そーいう関係になろうってこと!?
オレにその気は全く無いけど、微笑んでくるマレニアはなんかその気なんじゃないかって思えて、俺は慌てて「あー、オレ、男じゃないと駄目なんすよ!すいません!」って謝るけど、マレニアは一瞬キョトンとしてから「ああ、身構えることはない。貴公が考えたようなことを結ぶつもりはない」って苦笑いで済ませてくれたから助かったぜ!マジびっくりさせるなよな!

マレニア「ただ貴公には、確かに頼みがある」

マレニアはそう言うと立ち上がって、オレに左手を差し出してくる。


マレニア「私を、貴公の友としてくれないか。私はこの剣を、多くの者のために奮いたいんだ」

マレニア「ケイリッドのため、将軍ラダーンのため、聖樹のため、そして貴公らのために」

マレニア「どうだろうか」

何かと思ったらそんなことかよ!今更なんだよな。変に身構えて損したな。
良いぜ!その申し出、受けてやるぜっ!

拓也「ウッス!よろしくお願いしまっす!」

オレはマレニアの手にパチンと手を合わせて、硬い握手を交わす。そしたらオレ達の背もたれになっていたアレキサンダーがブルブルとバイブみたいに震えだす。オレの背中で壁オナしてたのかな?

アレキサンダー「おお…おおぉ…!」

アレキサンダー「素晴らしい…なんと美しい光景だ!」

アレキサンダー「神話の英雄が人と交わり、共に戦い、真に尊いものを見出す…これが戦士の物語だ…これこそが英雄譚だ…!」

両側からアレキサンダーに抱えられて、拓也とマレニアの肩がギュウっと密着。マヂ苦しいけど酸欠になるほどじゃなくて、気まずさだけを感じて「あっ、すっ、すいません」って他人行儀でつい謝っちゃうぜ。こういうところが日本人的でオレって奥ゆかしいよな。

232名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/09(木) 22:57:08 ID:2l6KutCI

アレキサンダー「おお…いかんいかん、つい興奮してしまった…この鉄拳アレキサンダーに眼があれば、今頃は涙で水瓶となるところだ」

アレキサンダー「いや…このような事に巡り合い、それでも興奮を抑えていては戦士ではない。戦士の壺が、氷結壺であってはならん」

アレキサンダー「よし!貴公らの友情は、このアレキサンダーが証人、いや証壺となって、後世に長く伝えようぞ!今より戦士拓也と、戦士マレニアの絆は永遠だ!ワッハッハッハ!」

走るアレキサンダーに抱えられたまま、オレ達はネフェリとマネージャーに合流。ふたりの戦いはマネージャーの勝利に終わったみたいで「もういいだろう…全てうまく運んだじゃないか…」「よくないですよ!潔く諦めることは、必ずしも美徳ではないんです!」ってマネージャーからの正論でボコボコにパンチ食らったネフェリが、バツが悪そうにしている。
それから「あ、もういいんですか?」ってマネージャーは、アレキサンダーから降りたオレ達に聞いてくる。

マレニア「ああ、私は大丈夫だ。長らく気を揉ませたことだろう。すまなかった」

マネージャーはマレニアの雰囲気がガラリと変わったことに驚いてて、それはネフェリも同じみたいで、二人で珍しいものを見てるみたいな視線を向ける。それからネフェリがフッと笑って「ラダーンの大ルーンがよほど効いたようだ。通りでギデオンが欲しがるわけだ」なんて言うから「調子のいいこと言わないでください」ってまたマネージャーが反応。

マネージャー「何があなたを変えたのか…それは気になりはしますけど、何が起きたのかは目の前で見ましたし、細かいことをあなたからイチイチ聞き出すというのも無粋な話ですね」

マネージャー「今はただ、あなたが前を向けるようになった事を喜びます。あなたの涙を円卓で見続けるのは、正直かなりキツかったですからね」

マレニア「あ、ああ…見苦しいものを見せてしまったな…」

マネージャー「気にしなくて大丈夫です。それより聞いてくださいよ!ネフェリさんったら、本気であなたをラダーンに殺させる気だったんですよ!?信じられます!?」

マレニア「そうなのか…?」

ネフェリ「あのまま発狂死を待つよりは、ひと思いに戦場にて散らせてやろうと考えただけだ…まだ続けるのか…」

マネージャーはこうなるとしつこくて話がチョーウゼー方に行きがちだ。ネフェリのやったことはダメだけど、結果的にマレニアが立ち直れたから良いじゃん。なんて言ったらオレも巻き添えを食らうから沈黙を通すぜ。結局何分かしてネフェリがヘトヘトになったところで話が終了。アレキサンダーを残して円卓に帰る方に流れがまとまりかけたけど

マレニア「円卓に向かう前に、会っておかなければならない者がいる」

マレニアがそう言うから「誰と会うんだろ?」って思った瞬間答えが浮かんで、あー、アイツとはマジで話つけないとダメだぜって拓也も納得。ネフェリとマネージャーにも大体察しがついたみたいで、また表情が拓也のケツマンみたいにキリっと締まる。折角だからアレキサンダーも入れた4人と1個で、オレ達は慟哭砂丘の渡し船に乗った。慟哭砂丘を出る前に、マレニアがラダーンに別れの挨拶をしてたのが印象に残ったな。

マレニア「ラダーン。私は旅を終えたなら、腐敗を狩ろうと考えている」

マレニア「貴公からの度重なる恩義に、此度こそ応え、我が罪が後世に遺らぬよう、尽力するつもりだ」

マレニア「だから…その時は、私に炎の技を教えてほしい。腐敗を狩る、浄化の技を」

あの時のラダーンは静かにうなずいただけだったし、マレニアもラダーンに礼を言ってこっちに戻ってきただけだった。でも決定的な溝があっても築ける関係性はあるんだなって思って、なんか、うれしかったぜ。

233名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/09(木) 23:04:56 ID:2l6KutCI

慟哭砂丘から出たあとは赤獅子城の祝福で休憩を挟んで、エオニア沼の南岸の祝福に移動。そこからサリアの関門の前まで来ると、マレニアが少し待っててくれって言うから待ってたら、スーパーマリオみたいに崖をぴょんぴょん跳んで登って、上からデケー壺を投げようとしてた巨人の前に立つ。そしたら巨人の奴は腰抜かしてアンアン喘ぎながら逃げていったぜ。やっぱりケイリッドにいる奴にとってマレニアはマヂで怖い存在なんだなって再認識。降りてきたマレニアが「遠眼鏡は持っているか?」なんて聞いてくるから、オレはすかさずズボン下の競パンに手を突っ込んで、拓也の体温がしみついた激エロ遠眼鏡を取り出す。

マレニア「うっ…貴公、まだそこに入れてるのか…」

ネフェリ「慣れておけ。蛮地の者もたまに使う手ではある」

マネージャー「手袋貸しますよ?たくさんありますから」

マレニア「いや、構わない。害にはならないのだから」

マネージャーは人からモノ受け取る態度がなってないけど、マレニアはやっぱり神的に良いとこの出だから普通に手に取ってくれる。マネージャーはこういうところが潔癖症だよなって言っても、これが普通ですけど?みたいな顔してくるのにね。マレニアは受け取った遠眼鏡で関門の奧の小屋を確認。どう?いる?って聞くと

マレニア「ああ。私には気付いていないようだ」

マレニア「下手に近づけば、逃げられるだろう。私はひと飛びに距離を詰める。貴公らは後から来てほしい」

そう言ってから遠眼鏡を拓也のズボンポケットに突っ込んで、その場で大ジャンプ。オレ達が「おお!」って驚いてる間に小屋の前のデカイヌを着地と同時に斬り伏せて、それから小屋に風のように駆け込むと、中からしわがれた悲鳴が聞こえて、オレ達も走って小屋に到着。


ゴーリー「ひいぃ!マ、マレニア様!何故ここに!?」

小屋の中のゴーリーは椅子から転げ落ちていて、そのゴーリーの前には屈んだマレニア。
ネフェリも武器を抜いて「観念しろゴーリー、お前にはもう、ケイリッドの風は穢させん」って言いつつ、小屋の出入り口に仁王立ち。オレはもうひとつの出入り口に立って、ガタイをパンパンにパンプさせてチョーエロの戦闘体制に入り、近づいてきたら即座に唇を奪って乳首を摘み、ケツマンにイエロの瞳をぶっ込む腹積りだ。小屋からちょっと離れたところにはアレキサンダーも待機。ゴーリーの奴も袋のネズミだぜ。

マレニア「ゴーリー…貴公と話したいことが、いくつかある」

マレニアの落ち着いた声色が効いてるのか分かんないけど、ゴーリーはすぐに落ち着きを取り戻して、マレニアの前でひざまづいた姿勢になる。ゴーリーが腐敗の花を大切にしてるっていう話は本当みたいだ。

ゴーリー「わ…私と、何を話すというのですか?」

マレニア「貴公は、ミリセントに渡した無垢金の針に、細工をしたな?」

マネージャー「細工!?」

ネフェリ「細工だと?どういうことだ…?」

マジかよぉ!聖樹で四姉妹を倒したあと、ミリセントがゴーリーの名前を出した時に、オレは針に細工がされてるってテキトーに言ったけど、あれがまさかの大当たりでマジ狂い!あまりにも正確なガタイ分析をしてしまったことに一気に全身に鳥肌が立ち、自らに酔いしれるかのように自分の乳首を弄り回して舌をピロピロしてしまう。ゴーリーはそんなオレに恐怖映像を見るかのような視線を流してくる。オレも優秀すぎる自分のガタイが怖くなってきたぜ。

マレニア「ゴーリーは直した針に、穢れを仕込んだのだ。ゆえにミリセントは花を二度咲かせ、三度目の開花の予感を恐れた」

マレニア「二度の開花までは、ミリセントの周りに酷い腐敗は起きなかった。…歪められたとはいえ、あの針が腐敗を抑えていたのだからな。花が咲いた時、周囲の者はただ蝶を垣間見、腐臭を感じる程度だったろう」

マレニア「だが聖樹にて四姉妹を倒した時、彼女の腐敗は抑えきれぬものとなっていた。歪められた針によって、抑えたはずの腐敗が大きな揺り戻しを起こすように、より強く彼女を蝕み始めてしまった」

マレニア「おそらく……私に何もかもを移さなければ、私がラダーンに放ってしまったものをも越える、もっともおぞましき花として咲いただろう」

マレニア「彼女は、死ぬ事を避けられなかったのだ。だからこそ、もっとも望んだ形の死を、彼女はミリセントのままで選んだのだ」

234名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/09(木) 23:11:53 ID:2l6KutCI

マレニア「聖樹の底にて腐敗に微睡んでいた私は、ミリセントを受け入れることを望んでいなかったが…彼女の選択で、今の私がある」

ネフェリ「そうか、ミリセント…だからお前は…」

マネージャー「私たちは本当に、彼女に何もしてあげられなかったのでしょうか…」

マレニア「打つ手は無かった。花が咲き始めた頃は、ミリセントの記憶も曖昧であり、貴公らはゴーリーの計略など知る由もない」

マレニア「いや…計略にいつ気付くとしても、貴公らは治癒する術を知らぬ身だったのだ。私も彼女も、貴公らに不備があったと思ってはいない」

例え何があってもミリセントは助からなかったって、ミリセントの記憶と心を知ってるマレニアに言われると、辛いけどまだ救いがある感じがするんだよな。これで「こうすれば助かったよね」とか言われてたら立ち直れねーよ。一瞬ミリセントを哀悼するかのような沈黙が流れたあと、マネージャーが何かを思いついた。

マネージャー「あっ…でも、あの金の針に細工が施されてるなら…前までのマレニアさんと今のラダーンさんの腐敗が抑えられてるのも、時間が経ったら…」

マレニア「いいや、あの針は、ミリセントによって私に刺された時に、元の姿を取り戻したのだ。細工も施されず、折られることもなかった時の、兄様の針に」

ゴーリー「なっ…なんと…そのような事が…ありえるというのですか…」

マレニアからの事実にゴーリーは愕然したけど、
顔には出さなかったけどそれはオレ達も同じで、マネージャーも質問を追加する。

マネージャー「一体ミリセントさんは、あの針に何をしたんでしょうか…」

マレニア「マネージャー、新たな律を生む者が何者であるのか、覚えてるか?」

マネージャー「ええ、はい。黄金樹からの祝福を受けていて、自分の望むものを自分の中に見出そうとする者です」

マレニア「そうだ。マネージャー、貴公の読みは正しかったのだ」

マネージャー「え…?」

「なんの話をしてるんだよ?」みたいな顔で固まってるゴーリーの前で、マレニアは立ち上がって、ひと呼吸挟む。


マレニア「…ミリセントは、新たな律を生み出せるほどに、豊かな心を持っていた」

マレニア「だが、彼女は律を見出すことよりも、腐敗に抗い、貴公らの助けとなり、私を救うことを選んだ」

マレニア「ゆえに彼女は、律を生み出すほどの探求…心を針に込めて、あたかも律を生み出すように、歪んだ針を兄様の針に変えたのだ」

マレニア「あのミケラの針こそが、ミリセントの律が変じたものだったのだ」


マレニアからの答えはオレでもビックリするくらいすんなり入ってきた。腐敗に抗ってオレ達を助けるのも実際にミリセントがやってた事だし、マネージャーもミリセントが律を生み出す可能性があるって言っていた。あいつらしい話だよなって思えることが一番大事だぜ。

ゴーリー「ありえませぬ…あの娘が、ミケラの針を直したなどと…」

マレニア「事実だ。ゆえに私は、こうして貴公の前に立った。ミリセントが見い出した兄様の針で、私の腐敗は抑えられ、さらにラダーンの大ルーンにより、残る腐敗もほとんどが焼き滅ぼされた」

マレニア「貴公の知る、朱き腐敗のマレニアは、もはや残滓を残すのみ」

マレニア「エオニアの花は、もう咲かぬ。腐敗の神への供物は、もはや捧げられぬのだ」

ゴーリー「…おお、おおおっ…」

ひざまづいた姿勢のゴーリーは、床に頭を擦り付けて弱々しく哀叫。その様子を見てオレなんかはグレまくって、いい気味だぜっ!って思ったけど、ゴーリーを見下ろすマレニアの目は何故か悲しげで、可哀想な動物でも見てるみたいな表情だ。

235名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/09(木) 23:20:18 ID:2l6KutCI

ゴーリー「なんて、なんてひどい、乱暴なことを…」

ゴーリー「なぜ拒絶するのですか…我ら、朱い腐敗の子らを…」

ゴーリー「ミリセント…マレニア様…」

ゴーリー「そんなにも我らが…お嫌いですか…」

ネフェリ「腐敗の子らだと…?」

マレニア「この者は、腐敗に湧く蟲なのだ。今は人を偽っているにすぎぬ」

マレニアは泣いて伏せてるゴーリーに近付いて、またしゃがんでゴーリーの背中に左手を置く。ゴーリーの泣き言を聞いて、なんでコイツが姉妹をけしかけてまで腐敗の花を咲かせようとしたのかが判明。親に捨てられる悲しさは拓也も知ってるけど、オレは自分の家庭をダメにしちゃっただけで、オレも自分のために親の分身を殺すほどの悪魔じゃないから、ゴーリーのヤツに同情はできても許すのは無理だぜ。

マレニア「…貴公らを、嫌悪しているわけではない。貴公らはただ、生まれたように生きているだけだ」

マレニア「全ては私に罪があるのだ。腐敗の神の呼び声に屈し、貴公らをケイリッドに放った、この私にだ」

マレニア「ゆえに私は、腐敗とケイリッドを繋いだという罪を、償わねばならない。このケイリッドから、腐敗の苗床を全て消し去らねばならない」

マレニア「貴公らさえ良ければ、聖樹に招いてもよい。だがエオニアの沼は枯らし、胞子の山も、淀みし肉も、全て焼き溶かさねばならない」

マレニア「どうか、分かってくれないか」

哀叫して震えるゴーリーは上の口を噛み締めて、顔をゆっくり上げてマレニアにギン目を向ける。
灰色の肌を怒りや悔しさ、悲しさで少しだけ赤らめて睨んでくる視線を、マレニアはまっすぐ受け止めてる。

ゴーリー「なぜです、マレニア様…我らを望まぬと言うのなら、何故生んだのですか…」

ゴーリー「誰が生むように願ったのです…何故腐敗を受け入れ、花を咲かせたのですか…」

ゴーリー「何故その宿運を、受け入れてくださらないのですか…あなた様は、腐敗の律を世に授け、爛熟輪廻の理を巡らす神となるはずだった…!」

ゴーリー「何故我らを愛してくださらないのですか…!」

マレニアはゴーリーの視線から逃げないけど、その目は少し潤んできてて内心かなりこたえてる感じだ。でもオレの激エロなガタイは無慈悲にもゴーリーの考えてることを分析し終えて、オレにゴーリーの一番痛いところ突かせる。頭に浮かんだのは本命クンとオレの関係だ。もうお前のクリスマス・イブは終わってんだよ!


拓也「お前が愛してるのって、マレニアの腐敗だよね?」

拓也「マレニアじゃないじゃん」

オレの言葉を聞いたゴーリーは、前戯ローション無しにケツマンに極太バイブを突っ込まれたみたいな、顔の穴を全部全開にした驚愕顔を向けてくる。そんな顔しても駄目だし、不良のオレにはSが入るから逆効果だぜ!その意気と共に拓也はトドメの追い討ちをぶちかます。

拓也「マジでマレニアのこと愛してたらさ、マレニアが喜ぶお返しをしなきゃダメだよね」

拓也「でも昔から嫌がらせばっかやってさ、そんなんで愛してもらえるわけねーじゃん」


ゴーリー「…おお、おおおぉ…」

ゴーリー「おおおおおぉぉぉ…!」

オレのチョーテクな言葉責めを食らってゴーリーはマジ狂い!その場で丸まって頭抱えて更に哀叫を重ねる。反省したってもう遅いぜ!生んでくれたお返しに、ミケラを探しに行ってたりしたら結果は変わったかもしれねーのにな。「ペット」としてオレを愛した本命クンも、オレを喜ばせてくれたからな。ネフェリも良くやったみたいな顔で頷いてくれるし、これでミリセントも少しは浮かばれるかな。

マネージャー「終わり、ですね…もう彼の計画は、完全に潰えたようです」

拓也「あー、チョーネムー!!円卓帰りたいっ」

マレニア「…ああ、そうだな…もはや用はない。去るとしよう」

ネフェリ「どうした?お前はもう、この男に縛られん。勝利を誇ったらいい」

マレニア「いや、ただ…」

マレニアは足元で突っ伏して泣いてるゴーリーを見る。
ゴーリーは永遠に続くハードS後悔に苦しんでいるままだ。

マレニア「…哀れと、思ってな…」


小屋から出て祝福に向かう途中でも、マレニアは一回だけ小屋に振り返った。でもみんなで呼ぶとすぐに向き直ってオレ達に合流。歩いてる間に「卑劣者相手に慈悲などかけてやらんでも良いだろうに」「私はいいと思いますよ?彼の行いは嫌いですけど、切実な動機だったことも分かりますし」「戦士たるもの、時には慈悲も必要だ。たとえ相手が卑怯であっても、こちらが堂々としていればいいのだ」って色々会話に挟まれてたけど、マレニアは少しだけ疲れた感じで、苦笑いで誤魔化してくだけだった。

236名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/09(木) 23:26:51 ID:2l6KutCI


フリータイム突入   投稿者:ビルダー拓也


全員で円卓に帰ると「今日は、というか今日もですが、かなり疲れましたので一旦休憩です。みなさん自由にしててください」ってマネージャーから許可をもらって各々解散。早速オレはずっと前からテーブルに置きっぱなしになってたマレニアの兜を被って、自室に戻ってイエロの瞳を確認。今日はキメにキメまくって幻覚くんも交えた一人三連結を楽しむぜ!って乳首立たせながらテンションに↑を入れていると、ドアの裏に隠れてたマレニアに声をかけられる。

マレニア「待て、それは私の兜だろう。それで何をするつもりだ」

拓也「ウッス!これから寝るんで、アイマスクにしようかなって思ったんすよね。目隠しして寝ると気持ちいいんですよ」

マレニア「そうか…まぁ、貴公には世話になったことだ。綺麗に使ってくれ」

やった!マレニアは部屋から出て行ったし、あとはキメ放題、ヤリ放題、出し放題の天国だ。
目隠ししてキメると妄想力が補われてプレイに浸りやすいんだって。
でも目隠しに使えるちょうどいい布とかが無いから、マレニアの兜は目隠しに最適だ。

ベッドに飛び込んで仰向けになり、イエロの瞳を口に放り込んで噛むと、一気にあの痙攣がやってきてチンポと乳首がビン勃ち。大の字で手脚をベッドに張ってジャニ系イケメンにガン見でおねだり。しばらくそのまま乳首を遊ばれて喘ぎまくったあとは「実は今日はもう一人来てるんだ」って言われて、腰をバンと跳ね上げて、またがってきた奴にデカマラを提供してやる。「ホントだ、ドロドロじゃん!」センパイの手がオレのケツに回されてそのままプリケツを揉まれ、その快感に酔いしれてる最中で何度も乳首を吸われ全身に甘い痺れが広がっていく。

「じゃあ、エルデンリングを燃やしてくれたら仕込んであげるよ」

いきなり現れた炎系イケメンはジャニ系イケメンとセンパイを焼き尽くし、クスコでオレの穴を広げるとぽっかりとピンク色のアナルが口を開ける。グラス一杯のクリコのシャンパンに催淫剤を溶かし、アナルに流しこむ。「熱い!」「我慢しろよ。これは目玉だ。シャンパンじゃないんだぜ?」シャンパンの泡がピンクの膣壁に流れ込み焼けるような刺激と共に真っ黄色な色に染めていく。「あーっ、熱いっ!」催淫剤入りのシャンパンが膣の奥を焦がす!「うぉー!!」「そのまま委ねろよ!」血流がたぎり、全身が熱くなり催淫剤が脳をかけめぐる。「やめろよ!これはセンパイとの大事な思い出なんだ!」「ほうら拓也、世界も喜んでいるぜ!」オレはそのまま意識がぶっ壊れるほどの快感に襲われて全身硬直。悲鳴に近いイキ声を上げて精子をぶっ放す瞬間

「あ、今出したらマレニアの兜にかかっちゃうかも」

なんて考えがよぎると、直後に部屋に飛び込んできたマレニアに兜を掻っ攫われて、催眠に近い妄想がいきなりブツ切りにされて終了。「綺麗に使うなど信じられんと思ったが…またこんなことをやっていたのか。こんな一人遊びに私の兜を使うな。貴公とて許さんぞ…」大事そうに兜を胸に抱えてジト目を向けてくるマレニアの前で、オレは全身から冷や汗流しながらハァハァ息上げて、全裸大の字で勃起していたけど、あれだけ気持ちよかったのにチンポは先走り汁ひとつ出してない。オレは眼をカッと開けたまま、何が起きたのか分からなくてマレニアを見つめるだけだった。

マレニア「どうした?顔色が悪いな」

狂い火の王「とうとう光が見えちまったな!拓也!」「うおぉーっす!!」マレニアのとなりに立っていたオレは、頭の代わりに黄色く耀く炎を首から噴き上げていた。驚愕の声を上げてベッドから転げ落ちたオレに、マレニアが「…相当ひどい遊びをしたようだな。私はお前の敵ではないぞ」って手を差し出してくる。となりの炎系拓也は「いいや、お前はオレの敵だぜ!マレニア!」「拓也!お前は王都地下に行ってオレを受領してくれるんだよな!?」「お前の世界の人間がイク時に見る光、アレはオレだって知ってたか?拓也?」って次々に増えていく。オレは怖くなって必死でマレニアの手を掴むと「お前ノンケかよ!」って増えた拓也が全員消える。後には全裸でブルブル震えたまま、マレニアの手を掴んでいるオレだけが残された。

マレニア「……拓也?」

拓也「うぉーっす!はっ、はい!なんですかっ!?」

マレニア「しっかりしないか…だからあれほどイエロの瞳はやめろと言ったのだ。貴公の身が持たんぞ」

拓也「う、ウッス!もうやりません!やらないっす!」

マレニア「それなら良いが、念のためにマネージャーに診せる。服を着ろ」

拓也「ウッス!」

マレニア「はぁ…この兜、被る気が失せたぞ、拓也」

イラが入った声色のマレニアに見られながら着替えたけど、その最中にも部屋の隅から「待ってるからな!拓也!」って声が聞こえた気がしたから、心の中で「知らねーよ、そんなの」って返事。もちろん王都地下なんて行くわけねーよ!拘束されなきゃ絶対嫌だぜ!

237名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/09(木) 23:34:47 ID:2l6KutCI

マネージャー「バッドトリップって奴ですね。いつかこうなるんじゃないかと思ってましたよ。拓也?これで懲りましたか?」

拓也「ウッス!懲りました!」

マネージャーに診てもらった拓也はその日は大人しくベッドでゴロゴロ。次の日になると休憩タイムが終了して、メンバーが円卓に集まってまた会議。もう何回会議したのかわかんねーからもう回数は書かないことにしたぜ。今日のメンツは拓也、マネージャー、ネフェリ、マレニア、ローデリカの5人だ。もう慣れたけどオンナばっかりなメンツが続いてるからディアロスやブライヴが恋しくて、オレは一人プチグレてたんで、前は悪いキメかたをしたぜ。みんな悪い奴じゃないけどオレの性欲の吐口には決して絶対になってくれない。もうイエロの瞳も使えないし、妄想でみんなを男にしてバトルセックスさせても神人ガタイのマレニアが圧勝だから面白くないぜ。

マネージャー「さて、せっかく集まってもらって言うのもなんですが、詰まりました。理由はゴーリーの言葉です。まさかあんな形で、マレニアさんに宿っている律を知ることになるなんて思いませんでした」

ローデリカ「マレニア様に律…たしかにマレニア様の中に、熟れた腐敗の力は感じましたが、あれが律だったなんて…」

マレニア「私も、あれが律などとは思わなかった。あのような物でエルデンリングを修復してしまえば、狭間の地は腐敗の混沌に飲み込まれるだろう。幸いにして、私の律をミリセントの腐敗によって立てる、ゴーリーの策謀は潰えたがな」

ネフェリ「ディアロスからは、何か報は入っていないか?」

マネージャー「彼からの連絡はありません。まだ金仮面卿は律を見い出していないようです」

拓也「事故った可能性とかはないんすかね?誰かに襲われてたらヤバいっすよ」

マネージャー「その可能性はまずありませんね。金仮面卿の異常な先見性は、あなたも見たはず。彼の周りに危険は起きえないでしょう。仮に起きても、その時はディアロスさんが金仮面卿を連れて逃げるはずです。彼は無理を押してまで戦うタイプではありませんからね」

マネージャー「なので、今の私たちにできることは、ディアロスさんからの報告を待つ事と、闇雲にこの広い狭間の地を歩いて、それらしい人物をノーヒントで探り出すことだけです。かなり厳しい状況です」

ネフェリが「うーむ…」って腕を組んで悩むと、行き詰まった雰囲気がローデリカとマレニアにも伝わって、気だるい空気が漂ってくる。マネージャーは携帯を弄って資料を見返したりしてるんだろうけど、オレからじゃゲームをしてるようにも見えてくるぜ。オレは何か考えつかないかなって乳首を弄りながら今まであったことをガタイで分析。自分の閃きに賭けるぜ!

ローデリカ「…マレニア様、少しよろしいでしょうか?」

マレニア「ああ、構わない。何用だ?」

ローデリカ「いえ、それほど大事な用ではないのです。ただ、マレニア様が気を取り直されたことが、私も喜ばしくて…ただ、それだけなのですが…」

マレニア「いいんだ。私もまだ、貴公に礼を言っていなかった」

マレニア「ありがとう。貴公のおかげで、兄様を見つけることができた。旅を終えた後は、兄様を弔おうと思う。その時は貴公も葬儀に招きたい」

ローデリカ「わ、私を、ですか?それは…この上ない光栄なのでしょうけれど、緊張しま…」

拓也「うーっす!」

乳首を弄くり回して競パンにキュウキュウと締め付けを感じた瞬間にオレは新テクを開発!ローデリカとマレニアがビクッと驚くのはレアだけど、オレの新テクはマネージャーにも予想が付かない。黄金律に祝福された経験があって、何かを探してる探求者と言ったら、金仮面卿以外でオレが知ってるのはもうコイツしかいない。

拓也「マネージャー!律を見つけそうなヤツいますよ!」

マネージャー「えっ?誰ですか!?」


拓也「ブライヴの主人っすよ!」

238名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/09(木) 23:40:21 ID:2l6KutCI


ラニ系とマレニアどちらも神人   投稿者:ビルダー拓也


続きだぜ!
円卓での新テク披露を経てから、今日は王家の月見場?って祝福から探索を開始。
少し歩くとすぐに、青いクリスタルが生えまくって木と遺跡がそこらへんにある霧深い丘に出る。霧の真ん中にはメルヘンな形の塔がそびえてて、なんだか神秘的。人もいないし天気悪い日のディズニー・ランドみたいでデートにはいいかもね(笑)それにミリセントがラニと会った時に、ここの探索は終わってんだよ。だからヤバそうな奴は全然出てこないし、もし迷ってもマレニアがナビしてくれるから安心だぜ!

でも当のマレニアが表情を硬くしてて、学生時代に水泳部だったオレの、部活で調子が出ない時みたいな顔でいる。ラニと仲が悪かったんだし、イジメっ子の家に遊びに行けって言われたらオレもヤダから気持ちは分かるぜ。マネージャーは「なんですかここ!?すごい綺麗ですね!」って大はしゃぎだけどね。

マレニア「…ラニか…」

ネフェリ「怖いか?」

マレニア「いや、怖気は無い。私はラニには快く思われていないのでな。ミリセントはそうではなかったようだが、注意を払うに越したことはない」

マネージャー「罠を仕掛けてるとは思わないですけどね」

緊張してるマレニアを先頭に進んでいくと、廃墟のひとつから「おお、来たか」ってブライヴが姿を現す。ラダーン祭り以来だなってブライヴはマレニアに絡もうとしたけど、すぐにやめて顎に手をやりながらマレニアをジロジロ観察。「何を見ている」ってマレニアも少しイライラが入る。

ブライヴ「いやなに、前に会った時より、腐敗が引いていると思ってな」

マレニア「兄様の針と、ラダーンの大ルーンの恩恵だ。私も、まさかこのような身になる時が来るとは思わなかった」

マレニア「その身を与えてくれた二人を…私は救えず、害してしまったが…」

来て早々いきなりマレニアが落ち込んじゃって気まずい空気が流れる。ブライヴはその空気を切り替えるかのように「まぁいい、ラニに会いに来たんだろう?ついて来い。ラダーンについては、すでに話を通してある」って案内を始める。オレたちはブライヴのあとを歩いて、正面に見えた塔の左側にある、奥の方の塔に入る。塔の中はオシャレなアンティークが部屋の隅にあるけど、デカいクリスタルが天井と床を縦断してて耐震強度がちょっとヤバ。研究資料みたいのとか、本の山とかもそこら辺に置いたままだし、片付けは苦手なのかもね(笑)

塔の中の階段を上がって、更にエレベーターを登って、そこからまだ階段上がって、いつまで登らせる気だよって思ったところで塔の頂上に到着。頂上の部屋には、あの4本腕の青白い幽体離脱系魔女が椅子に座って待っていた。


ラニ「久しいな、マレニアよ」


マレニア「…ラニ…」

ラニ「話はブライヴから聞かせてもらっている。お前がミリセントだったとはな」

ラニ「フフッ…なかなか分からぬものだ。まさかこのように事が運んでいくとは、お前も思わなかっただろう?」

239名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/09(木) 23:54:38 ID:2l6KutCI


マレニア「…ああ、思いもしなかった…今は、運命さえも感じている…」

ラニ「ほう、お前もか」

マレニア「お前も…?」

ラニ「私もそうなのだ。お前の後ろにいる、滑稽な連中に出会ってからというもの、何もかもが変わってな」

ラニ「おかげで悩みも、悔いも増えてしまったよ」

ラニがフーって溜め息をつくと同時に、ブライヴの耳がブルっと震えたから、犬科動物ってマジでウソが下手だよな!まー円卓で別れる時に隠してることがあるって聞いたけどさ。マネージャーは小声で「なんかまた、インパクトが強い見た目してますね…」「母のレナラとは全く似ていないな…」ってネフェリとヒソヒソ話してる。「聴こえているぞ」ってラニに言われて二人とも静かになったけどね(笑)

マレニア「何を悩み、何を悔いている?」

ラニ「それを明かすべきかも、悩みのひとつだ」

ラニ「…それで、何用があってやってきた?…招待状を出した覚えは、ないのだがな」

用を聞かれてマネージャーがマレニアの横に並ぶと、ラニは4本ある手を胸の前で合わせて微笑む。
それがなんか探られてる気がしてオレの背筋と裏筋にも緊張が走る。「ほう……お前が、あのマネージャーと名乗る者か」ってブライヴからの情報もラニにはバッチリだ。「はい、私は後ろにいる拓也のマネージャーです。よろしくお願いします」って日本式にマネージャーが頭を下げると、何やってんのこの人?みたいな目で見られてオレも恥ずかしくなる。そんなことしても分かんねーよ!って思ったけど「葦の地の礼と似ているな」とかラニは言うんで、掴みは良かったみたいだぜ。

ラニ「まぁいい…それで、私に何用だ?」

マネージャー「はい、私たちはエルデンリングを修復するための、新しい律を探しています」

ラニ「ふむ…修復ルーンか。して、エルデンリングを直し、何を行う?」

マネージャー「私と拓也の目的は、この世界から脱出して、元いた世界に帰ることです。以前は大ルーンを全て集めてエルデンリングを蘇らせようと考えていましたが、将軍ラダーンを倒す事が出来なかったために、色々手を尽くした結果として、大ルーン集めは辞めにしました」

ラニ「世界からの脱出に、元いた世界への帰還か…」

ラニ「…面白い、お前とは話が合いそうだ」

ラニはそう言って4本の手を2対で合わせて、指をリズミカルにパチパチ合わせる。なんか虫みたいで気持ち悪いけど、でもダブル乳首責めとケツマン責めと手コキが同時にできるなんて羨ましいぜ!オレはあと4本追加して、相手と自分を同時に責め壊したいからちょっと足りないらにね。

ラニ「では、その新たな律を探す者が、何故この私に会いに来た?」

マネージャー「律を探しにです。あなたが新しい律を見い出すのではないかと、そこの拓也が思いつきまして」

拓也「え?ここでオレに話振るんですか!?」

マネージャー「本当のことじゃないですか。それとも私は、嘘を言った方がよかったですか?」

拓也「あ、ウス、そういう訳じゃないっす」

マネージャーにはいきなり話を振られるし、ラニは「お前がか。本当にお前は、奇妙な男だな」って挑発した目でクスクス笑ってくるし、マジムカつくぜ!亜人呼ばわりされたこともそうだけど、この世界のオンナはみんなオレのことを変とか妙とか、好き放題言ってくるよな!オレが変になるのはタイプの男の前だけだぜ。

ラニ「お前についても、ブライヴから聞いているぞ、拓也」

ラニ「人並みに優しく、甚だ愚かしく、力は無く、ただ品性に欠けた者」

ラニ「だがお前は、そこのマネージャーと共に、幾人かのデミゴッドを下し、マレニアの身と心を清め、我が兄ラダーンの心をも取り戻した」

ラニ「そのお前が今、マネージャーと共に、私の元へと現れている。ならば私にも、この運命を逃す手は無い」

ラニ「決断する時なのだろう」

4本の腕をまた組み直して、一対は太腿の上で重ねて、もう一対は胸の下あたりで指を合わせた形になる。挨拶するのにもキメポーズが必要なのは分かったけど、ブライヴがオレのことをメチャクチャひどく言ってたのが分かってショック!オレはラニのペットのそれまたペットなのかよ。そのブライヴはこの塔に入ってから全然喋らないし、表情は何かを覚悟したみたいに真剣だ。

ラニ「拓也……お前はかつて、律無き世界の様を…律無き人の世を、私に説いたな」

ラニ「その世の証を私に見せたなら、私も手の内を明かし、呪痕のありかを語るとしよう」

オレが探してるのは律で、呪痕ってヤツじゃないんだけど?って訂正を入れると「呪痕はお前達の探す新たな律、修復ルーンの片割れだ」なんてラニが言ってきて、マネージャーの目の色が変わる。それから「教えない手はないですよ!?拓也!?」って催促が入るけど、いきなりそんなこと言われても、結構前に話したことなんで話は全然覚えてねーし、なんのことっすか?って聞いたらブライヴからのアドバイスが飛ぶ。

「ラニが言うには、お前は『金持ちがいて、貧乏人がいて…』などと言っていたらしいぞ。ようはこの場で、お前の世界がどのようなものかを見せろ、ということだ」だって。いや説明できるわけねーよ!オレの世界がどうなってるかなんてオレだって分からないんだから無理だぜ。でもここで引き下がったら協力してもらえないから、仕方なくマネージャーにヘルプを出す。

マネージャー「しょうがないですね。ちょっと待ってください。こういう時は写真を見せるのが一番です」

って言ってマネージャーは携帯を取り出して写真を漁る。「仕事用携帯にはギデオンの資料以外の写真データがロクにないんで、私の私用携帯を貸します。変にいじったりしないで、写真だけ見せてくださいよ」って警告された。オレも流石にそんなことしないぜってロック解除済みの携帯をゲット。写真を表示してラニに見せていく。

ラニ「おお…お前の世界の空は、より青いのだな。それに、よく澄んでいる」

マレニア「美しいが…黄金樹が見当たらないな…」

ちゃっかりマレニアも見に来てて、そんなに気に入ったんならオレの携帯も見せてやるぜ!って構えたらあっという間にマネージャーに手を払われる。「あなたの携帯の写真なんて見せられませんよ!あなたのブログの写真で大体想像つきます!」だってさ。マジ偏見だよな。ネフェリとブライヴもマネージャーの携帯を遠くから物欲しそうに見てるし、あとでオレのを見せてやることに決めた。

ラニ「人ばかりが見えるが、この者たちは、二本指を信仰しているのか?」

マネージャー「それはピースサインです。平和や親愛を示すハンドサインですね。勝利のVとも言われたりしますね」

ラニ「フン…二本指が平和か…他の絵は無いのか?」

マレニア「指で弾くと次の絵が出てくるぞ」

ラニ「お前、詳しいな…」

マレニア「マネージャーから教わったのだ」

さっきまでのシリアスムードが変わって、なんだかマネージャーが携帯の販売員みたいになってきた。暇になったオレも携帯を開いて写真を出して、ブライヴとネフェリに見せてみると「乳首酷すぎるだろ…」「乾燥途中の干し肝みたいだ」ってまずまずの反応にSのスイッチが入り、オレの独壇場を更に見せていく。「うっ!…こんなもの入れたのかお前…!」「はは、すごいな…よく生きてたな…」ブライヴは鼻を摘んで嫌がってるけどネフェリは慣れてきてるみたいで楽しそうだ。オレの調教が芽吹いてきてるぜ。

そこで拓也は新たなステップってことで拓也の種汁漏らしアワビの動画を見せてやるけど、それはまだ早かったみたいで「うわっ!やめろ!」ってネフェリはマジ拒否してきて、ブライヴなんかは逆に何が映ってるのか理解できなくて「死にかけの陸ホヤ…?」って言って頭を傾げてる。二人とも可愛いところあるよな。

マネージャー「うーん、私の記念写真とか、旅行写真とか、動物の写真ばっかりじゃダメですね。これじゃ世界を知るも何もないです」

ラニ「いや、なかなかに面白かったぞ。だが、たしかに足りぬな」

マレニア「動く絵もあったはずだが…」

240名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/10(金) 00:13:18 ID:Zrpx31Q6

そしたらレオが一瞬真顔になったあと「ああ、そういう設定の店っすか。休憩スペース?PC使ってる奴なんていませんよ」ってブツブツ文句言いながら休憩スペースに入っていく。そこで「パソコンじゃなくても携帯でもいいよ」って言ったら「じゃあオレの友達が今休んでるんで、そいつのでいいすか?」って返事が来る。それでOKを出したらレオとレオの友達が半笑いで言い合いを始めてから、「異世界だって証拠出せよお前」って友達が言ってきた。そこでオレは通話をブライヴと交代して、ラニに4本腕をちょっとだけ動かすように言う。

ブライヴ「こんな物を渡されても、俺には扱えんぞ…どうすればいい?」

拓也「大丈夫っすよ。そのままラニに向ければいいんすよ。画角にブライヴとラニが入れば完璧っす」

ブライヴ「こうか?」

拓也「あーっ!良いっす!いいダス!」

それと同時に電話の向こうが最高潮に盛り上がって「スッゲー!マジじゃねーか!」「おいお前らも来いよ!スゲーことになってる!」って騒がしい声が聞こえてきて、液晶画面越しにジム中のホモが押し寄せてくる。

「女じゃねーか!ざけんなよ!」
「この顔はなに?マジで狼人間みたいです」
「この赤髪の彼すごいカワいくない?ドンピシャなのよね〜、影があって好きだわ」
「マジで最高なサイボーグmachine!」
「拓さん肝いわぁん」
「この人顔かわいいよね…手が4本あるけど…お人形さんみたいなんだ…」
「かわいい子」
「この青い子、皮膚ガンの恐れはないのかな?」
「ビョーキだよね、きっと」

好き放題言われまくってるラニは真顔のままだけど、男に間違えられてるマレニアはかわいいって言葉が引っかかったみたいで困り顔。ブライヴが「見世物じゃないぞ、無礼な奴らだ」って言うと携帯の騒ぎがデカくなって、男の裏声で悲鳴が聞こえる。レオからも向こうに説明が入って、連中も完全に信じたみたいだからここからが本番だぜ。

拓也「これでOKっすよ。何か気になってることとか、聞いてみてくださいよ」

ラニ「私が?」

拓也「ウッス!」

ラニは携帯画面に集まってきたバリウケバリリババリタチな連中を眺めて、ためしにって感じで「では、お前たちの世界の、戦について教えてもらおうか」っていきなり重いテーマをぶっ込んできたから、ホモ連中も苦笑い。「なにっ」「えーっ?せ、戦争っすか?」「第一次大戦とかかしら?」「最近の奴もアリ?」って反応にラニとマレニアが食いついていって、それからは戦争の歴史の講義の始まりだ。あんまり長く話してると電池が切れるから、ホモ連中には携帯で画像を写しながら手早く説明するように要請。連中は面白がって、みんなして携帯出してドンドンやべー話と画像を見せてくる。その度に狭間の地のみなさんの顔もギンギンに真剣な顔つきになっていく。

レオ「…そんで確か、第二次大戦の総死者数は8000万人ぐらいいたらしいんすよ。最多推測が8500万だったかな?この画像とかヤバいでしょ。マジ怖いっすよね〜。街が平地になっちゃってますよ」

ネフェリ「は…8000万…?」

マレニア「ありえない…何を行えば、それだけの者を殺せる…」

マレニアが信じられないものを見るような目付きでそう言うと、奥の色黒マッチョビルダーがチョーエゲツないデータを携帯に写して、アップでこっちに見せてくる。これは核爆弾の実験映像だな、これは広島長崎の被曝写真とか被害写真だな、これは核実験が何年の何処で行われたかの世界分布図を動画にしたものだなって説明も入る。他にも各地の民族浄化やら宗教戦争やらの激しすぎるハードS戦争データが遠慮なくぶっ込まれ、イキナリこんなハイペースで保つのかよ!って思ったけど、やっぱりトラウマを刺激されたマレニアがダウン。貧血を起こしたみたいに壁にもたれかかってマネージャーに聞いてくる。

マレニア「どうしてだ…何故貴公らは、あのような様相を良しとしてきたんだ?あのさまはまるで、破砕戦争の我らと同じだ…」

マネージャー「私は良しとしていないですけど、どうしてでしょうね。それが分かったら、私の世界も永遠の平和に少しだけ近づくと思います。けれど、そうはなっていませんので、みんなどうして世界がこうなっているのかは知らないんだと思います」

マネージャー「私の世界には、世界全てを絶対的に支配して、その内容を世間に伝えてくれるエルデンリングなんてありませんからね」

震えた声でマレニアが溜め息を吐くと、ラニの表情が少し暗くなる。それをレオも察知して「ねぇ、こんな暗い話やめません?なんでジムでこんな気分になんなきゃいけないんすか。キミ子供でしょ?これ学校の課題かなんかなの?」ってラニに聞いてくる。「…そうだな、戦については、もうよい」とラニも話を切り上げた。

241名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/10(金) 00:26:28 ID:Zrpx31Q6

ラニ「…それでは、次はお前たちの、星々の探求を知りたい。構わないな?」

新しいテーマにレオが「えぇ?また難しそうなこと聞くなぁー」って苦笑い。後ろの連中も「星ですって、すごいわね」「マジで最高の研究Theme!」「戦争より良いんじゃない?テーマは戦争より明るいしね」って次々に携帯をタッチしまくって調べまくり騒ぎまくり、店員キレて吠えまくりのお祭り騒ぎになっていく。マレニアも少し休んだら回復して携帯をまた覗く。その間に電池残量が5%も減っててマジヤバ!時間は無駄にできないぜ。

レオ「あった!例えばコレ、ハッブル宇宙望遠鏡なんてどう?すごくないコレ?」

ラニ「なんなのだ、それは」

レオ「宇宙空間にぶっ飛ばした望遠鏡だよ。銀河を観測したり、宇宙の始まりを知るのに貢献したんだって!」

その瞬間にラニはブライヴに命令。
携帯を自分の手元に持ってこさせると、4本の手で携帯をしっかりキャッチして画面と向き合う。

ラニ「お前は…宇宙の始まりを、知っているのか?」

レオ「義務教育で教えられるんだよ。何にもない空間でイキナリ爆発が起きて、その広がり続ける爆発の内側が宇宙なんだってさ。ビッグバンってヤツでみんな知ってるぜ?最近じゃその爆発も本当は無かったんじゃないかって話もあるけど、細かい話は科学者じゃないからわかんないね」

レオが話してる間もジムのホモ連中は次々にそれっぽい画像を見せてくる。そんなにいっぱい見せられても分かんねーだろって思ったけど、ラニはちゃんと目で全部追ってるからすげーよな。というか魂でレオを見ながら、体の方は別々の写真を見ててちょっと怖い。

レオ「うわ!スッゲー!それ煙かと思ったけど、それキミの顔なんだ?魂みたいなもの?」

ラニ「私のことはいい。それよりも、お前たちの星々の探求を知りたいのだが」

「そう急かすなって!」レオは笑いながら次々と情報を提供。他の奴らが入れ替わり立ち替わりでラニに知識を回していって、宇宙の犬とか、有人スペースシャトルとかまで教えていったら、色黒マッチョビルダーが宇宙ステーションからの生中継映像を持ってくる。日本人飛行士が空中の水滴を上の口でキャッチするのを見て、ラニが「これは今起きていることか?」と言うと、ビルダーは静かにうなずいた。そのあとは火星の水とか、エウロパの研究とか有名どころ次々に発表。マレニアとネフェリは何がなんだかって感じでいるけど、ラニはブライヴと一緒に、ただ静かにジムホモ連中の情報に眼を通していって、連中の話の種が全部枯れたところでひと息ついて終了。

ラニ「……なるほどな」

ラニ「お前たちの働きで、私も律無き世を、わずかだが知れたようだ」

ラニ「遠く離れたお前たちには、何の礼もできぬが、感謝しておくとしよう」

ラニ「拓也?私の用は済んだ。あとは好きにするがよい」

レオ「え!?拓也って呼ばせてるんすか!?マジかよすっげ…」

オレはラニから携帯を返してもらった瞬間に通話を切って、携帯を競パンにしまい込むと、ラニが深い溜め息をついて椅子に寄りかかる。ブライヴも腕を組んで、ラニの答えを待つかのように目を閉じる。オレの携帯の電池は残り30%だ。次使ったらアウトだぜ。そしてラニは口を開いた。

242名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/10(金) 00:35:43 ID:Zrpx31Q6

ラニ「…律無き世においても、人は、命は、律に代わる幻想を自ずと見い出す」

ラニ「そして、律を見、律を感じ、律に触れ、律を信じるように、自らの作り上げた幻想に囚われる…」

ラニ「誰もが律など忘れるように、私は星々を目指したというのに……彼らは永遠の闇たる、宇宙にさえも近づいて…」

ラニ「ハハッ…なるほどな、これが私の旅の答えか…」

ラニ「たしかに、これこそ裏切り者に、相応しいことだ…」

ラニ「…一体何を期待していたのだ、私は…」


ラニの言ってることがオレには全然分からなかったけど、マネージャーは今のが全部分かったみたいで、目を見開いて全身に鳥肌を立てている。ブライヴもそこら辺に山積みにされていた本にドカッと腰を下ろして途方に暮れる。「なんの話か、わかるか?」ってネフェリに極小の声でボソリと聞かれたけど、オレは首を細かく横に振るしかない。ラニは椅子から立ち上がると、部屋の真ん中に立ってオレ達全員を眺める。

ラニ「私は過ちを犯した」

ラニ「マネージャー、お前はその様子だと、気付いているな?」

ラニ「だが、お前が語るべきではない。これは私の咎なのだからな」

全員の視線がマネージャーに集まるけど、マネージャーは眼を見開いてラニを見つめたまま。
なににビビってるのか知らないけど、人のこと化け物見るみたいな目で見るなよな!
ラニはブライヴにうなずくと、ブライヴもうなずいた。


ラニ「陰謀の夜により、ゴッドウィンを殺したのは、私だ」

ラニ「そしてゴッドウィンを喪い、マリカはエルデンリングを砕いたのだ」


マジかよぉ!?拓也の人生で聞いたカミングアウト史上最大の爆弾発言に、オレの意識もぶっ飛び射精。そのまま後ろの本の山に突っ込んで異常な痙攣に襲われ、今までの旅路の光景が全て頭の中を新幹線みてーに駆け巡っていく。ネフェリとの出会い、過酷すぎる戦いの日々、ディアロスやミリセントとの出会い、エロすぎるブライヴに強すぎるラダーン、マレニアとの出会い、ミリセントとの別れ、ラーヤとの別れ、ラダーンの起こした奇跡、全部の始まりがラニだと知ってマジ狂い!チョーSだよな!飛びかけた意識の中で眼を開くと、マレニアはその場にへたり込んでいて、ネフェリはラニに飛びかかっていた。

マネージャー「駄目です!」

両手の斧を振り回したネフェリの腰にマネージャーがしがみついて、ネフェリの斧がラニの帽子を掠める瞬間に、ブライヴの剣が斧を受け止める。ラニは「ブライヴ、引け。私に尋常の死は無い」って言ってるけど、ブライヴはそのまま大剣をネフェリに構えた!やべーよ!さっきまでの愉快な空気を返してくれよな!

ネフェリ「離せ!この者の悪行で、どれほどの血が流れたと思っている!」

ネフェリ「謀りの主ラニよ!貴様はあらゆる風を穢した!この斧が貴様の首を斬り落とす!」

ブライヴ「ほう、我が主に刃を向けたか、ならば消えてもらうとしよう」

マネージャー「やめてください!駄目ですって!やめて!」

マネージャーの必死の訴えも二人に無視されて、気付いた時には赤い髪が揺らめいていた。
大剣を構えたブライヴも、斧を構えたネフェリも、マネージャーも、そのやべー気配に一瞬で支配されて、お互いに向けていた武器の刃先と目線を一箇所に集める。全員の視線を浴びまくりながら立ち上がったマレニアの眼は、もう何を考えてるのか想像もできないくらいの迫力ある静けさを放ってて、空気が割れかけの風船みたいに張り詰めてる。

マレニア「引け」

マレニアに言われても二人は武器を下げないけど、遠くで伸びてるオレから見ても分かるレベルで鳥肌立てまくり、冷や汗かきまくり、呼吸乱れて集中乱れまくりの様子が見える。マネージャーはその場に腰を抜かして、聖樹で会った時よりも壮絶な迫力を出しまくるマレニアに目線奪われて動けない。ネフェリとブライヴの間をすり抜けて、ラニがマレニアの前に立った。

ラニ「私は、全てを語らねばならない」

ラニ「聞いてくれるか?」

マレニア「話せ」

マレニアの一言で、ラニの告白が始まった。
やっぱりラニゎ、化け物だったのかな…
でもオレが何も持ってない時にルーンをくれたラニが、化け物なんて思いたくねぇよ!
ブライヴとだってやっと再会できたのにこんなのあんまりだぜ!

243名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/10(金) 00:48:41 ID:Zrpx31Q6



生かさず殺さずのゴッドウィン   投稿者:ルナ・プリンセス・ラニ



「それを語るには、まずはエルデンリングとは何かを、語らねばなるまいな」

「黄金律とも呼ばれるそれは、世の万物を律し、結びつけ、支配する力」

「因果と回帰の輪を巡らせ、何者も死滅し得ぬ、永遠性を形作る理そのものを指す」

「これがエルデンリングだ」


「だがエルデンリングの永遠性は、永遠であるがゆえに停滞を生み、律の停滞は、澱みを生む神々の呼び水となった」

「そしてマリカがゴッドフレイと、さらにラダゴンと子を成した時、律の停滞と澱みは、マリカの子らを蝕んだ」

「ゴッドフレイとマリカの子らたる、モーゴットとモーグには、呪いと言い換えられたもの……黄金樹からの澱みたる忌み角が生じた。まことの呪いは、赤髪と炎であったというのに」

「そして、より深き完全性を求めたラダゴンとの子らたる、無垢金のミケラには、幼き永遠という律の停滞が生じ、マレニアには腐敗の神からの干渉という澱みがもたらされた」

「ゆえにマリカは苦心し、黄金樹を、黄金律を探求した。恐れることなく、禁忌にさえも踏み込んだ」

「そして見い出したのだ。停滞と澱みを避けるためには、流れこそが必要であることを」


「永遠に続く、生から生への輪廻を良しとする黄金律ではなく、運命の死をも加えた、生と死の円環にこそ希望を見出したのだ」

「ゆえにマリカは私の陰謀に手を貸した。運命の死によって、ゴッドウィンを最初の死者とすることで、神をも逆らえぬ運命的死の理を再起せんとした。そして死を除くことで永遠性を得ていたエルデンリングに、死の理を組み入れようとしたのだ」


「だが私もまた、限りある命を良しとしなかった。私の目的はマリカのそれとは別にあり、それを果たすためには、少なくとも私の魂は永遠に保つ必要があったからだ」


「私は律を、生命や魂には知り得ぬ、彼方なる星の世に連れ去ろうと画策した。誰もが律から離れれば、律の永遠性に停滞し、腐敗を招こうとする生命と魂の働きや、律を巡るあらゆる災禍や争いから、皆を解放できると考えた」

「例えそれで、私が律と共に宇宙を歩み、千年の旅の中で、冷たい夜を進むことになろうとも。それこそが私の望みだった」

「ゆえに私は、マリカがゴッドウィンを殺すと共に、自ら生命と肉体を棄て、ゴッドウィンと共に不完全な死者とななった。それにより死の理の成立を不完全とし、マリカの企みを挫いた」

「私が肉体のみを喪った死者となり、ゴッドウィンが魂のみを喪った死者となったがゆえに、マリカは愛する我が子を犠牲にしてまで、手に入れることを望んだ運命の死を……生と死の流れによる理を持ち、停滞と澱みを生じることのない、真なるエルデンリングを喪ったのだ」

「そしてマリカはせめてもと、今ある律の永遠性が、さらなる停滞と澱みを生み出さぬように願い…」

「エルデンリングを、砕いたのだ」

244名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/10(金) 00:54:32 ID:Zrpx31Q6

ラニ「砕かれたエルデンリングは幾つかの大ルーンとなり、二本指により、デミゴッドと神人の神授塔に置かれた」

ラニ「大ルーンを得た者達は、各々が不全なる黄金律に抗うために、力を奮い、破砕戦争を起こし、ついに誰も勝たなかった」

ラニ「ゆえに世界は、いまだ壊れたままなのだ…全ては、私の過ちのために…」

一気に話し終えたラニが帽子を外して胸の下あたりに抱えると、青みがかった黒髪があらわになる。あまりにも衝撃的すぎる内容に、理とか運命の死とか新しい単語もドバーっと入ってきて、思考がショート寸前だった拓也もついに情報の水底で逝った!白目剥けてビクビク痙攣してるとマネージャーにイエロの瞳を鼻先でチラチラされ、黄色い炎の幻と共に目が醒めてなんとかなったけど、ネフェリは鎮痛な面持ちで腕組んで話聞いてたし、ブライヴも大剣を背中に背負って黙ってるから、殺し合いは避けられたみたいだ。あとでマネージャーから話聞き直さないと、オレは何が何だか分かんねーよ。とうのマネージャーも黙ったままで、目を伏せて考え込んでる。

ラニ「マレニア…お前と、お前の兄に起きた悲劇は、ブライヴから聞いている。お前の贖い切れぬ罪も、お前の兄の死も、全ては私に遠因があるのだ」

ラニ「だからこそ、私は裁かれねばならん。お前の手によってな」

ラニ「ライカードの館に行くがいい。そこには、死のルーンを刻まれた石片が納められている」

ラニの言葉に「おい!よせ!」ってブライヴからストップが入りかけたけど、ラニがひと睨みすると、ブライヴは口を噛み締めて上げかけた手を下ろす。いかにも絶対服従みたいな感じで、ラニとブライヴの関係を見てるとセンパイを思い出すぜ。

ラニ「その石片ならば、魂のみの私をも殺せるはずだ。魔女ラニの霊妙なる力が喰えると聞けば、今や正気ではない兄上も、喜んで助力するだろう」

ラニ「躊躇うことはない。もはや魂のみが残る者を罰するには、魂の死こそ相応しかろう」

ラニが言い終えてもマレニアは何も喋らずに、そのまま10秒?15秒?3?の時間が流れる
そのあとにマレニアは、ラニの肩に触れて


ラニ「…なんのつもりだ」

ラニを静かに抱き寄せた。マジ!?この流れでハグ!?また起きた急展開にネフェリもブライヴもワケが分からなくなり、マネージャーも「ほぁっ…!?」って気の抜けそうな極小の声を上げる。オレも当然ビックリしたけど、でも何故かスッと納得できたぜ。出会ったばかりの頃ならともかく、今の善性マジキマリなお前なら確かに許しちゃいそうだからな。


マレニア「…貴公を斬るなど、私にはできない」

マレニア「母様は…女王マリカは私と兄様に、最も神聖たる神人の身を望んだ。なのに私と兄様は不具の身に産まれ、その不具を癒せぬ黄金律を…父と母を拒絶した」

マレニア「…女王マリカは、ゆえに黄金律を探求し、きっと貴公の策に乗ったのだ」

マレニア「私と兄様が、まともに産まれていれば……停滞と澱みが神人にさえも及びうるなど、貴公も母様も、知らずにいられたはずだ…」

マレニア「貴公に何もかもを棄てさせ…永遠の孤独を強いることもなかった…」

マレニア「すまなかった…」

まさかの謝罪にラニは相当ビビったらしくて、こいつマジで言ってる?みたいな顔でマレニアを見上げたあとに、4本の手でマレニアをギュッと押して離れる。マレニアは静かに息を整えて、心を鎮めるように視線を下げてるけど、ラニは悲しいのか困ったのか微妙な感じで眉をひそめる。

245名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/10(金) 01:01:49 ID:Zrpx31Q6

ラニ「どうして、そうなる…その想いは間違っている」

ラニ「お前は腐敗を身に受けたがゆえに、兄や母に、お前の知る全てのものに、負い目を感じているのだろう」

ラニ「しかし、それは過分だ。破砕戦争での身を棄てた戦い。兄への献身と執着。熾烈に強くあろうとしたこと…どれも総ては、過分な負い目から来るものだ」

ラニ「そんなものを、この私に向けるな。お前はただ、罪深い者をひとり罰するだけだ」

ラニからの視線をマレニアは潤んだ瞳で正面から受け止めると、ラニの視線が、まるで怯んでいるみたいにキツくなる。プライドが高いのか怒ってるのか分かんねーけど、ラニの奴は意外と強がってただけなのかもしれないって、敏感な拓也のガタイが感知する。

マレニア「断る。私は貴公を斬らぬ。罰することもない」

マレニア「貴公はもう、すでに己を罰している。裏切り者となじられ、何もかもを棄て、まさに魂をも棄てようとしている者を斬るなど、私にはできない」

マレニア「それに貴公を斬れば、私はラダーンから妹を奪うことになる。私は、彼からの慈悲に仇を送りたくはない」

マレニア「兄様を害し、その命を奪ったのも、血の君主を名乗るモーグだ。あれも、ただ破砕戦争の混乱に乗じ、策謀を働かせたにすぎないのだ」

私が悪い合戦プロ級のマレニアの攻勢の前には、ラニも言葉に詰まる。
ていうかお前ラダーンの妹だったのかよ!ラダーンとは全く似ていません!
ラニは目線を下げて帽子を被ってから、言葉にイラついた溜め息を混じらせる。

ラニ「…お前は…人がよすぎる…」

ラニ「思えばミリセントであった時から、お前はそうだったが…ラダーンも、とんだ歪みを生んだものだ」

ラニ「お前は歪んでいるよ。割れた心をか細い矜持で繋ぎなおし、贖うことに憑かれている」

ラニ「…救う価値など、とうに棄てた私にさえも、それを見出してしまうのだからな」

ラニ「フフッ…困ったものだ…」

ラニ「お前のお人よしぶりは、ブライヴやイジーとよい勝負だろうしな」

ラニが帽子の中で、呆れたみたいな微笑みを浮かべたら、ネフェリがもう我慢できないって感じでラニに一歩踏み出したところを、マレニアに腕を掴まれて停止。「何をする」ってギン眼のネフェリに「頼む、どうか抑えてくれないか」って真剣な顔を向けるマレニアに、ネフェリは舌打ちをしてから部屋の出口前に立つ。

ネフェリ「いかに世のためを思った謀略と言えども、謀りによって今の荒廃を生んだ者を、私は許すことはできない」

ネフェリ「私はラニを斬らん。だが同じ風に吹かれてやるつもりもない。先に帰らせてもらう」

マレニア「すまない、ネフェリ。貴公には、また迷惑をかけてしまった」

ネフェリ「勘違いするなマレニア。これはお前の心根を正したミリセントとラダーンに免じてだ。お前のためでも、そこの魔女のためでもない」

フン!ってマジで不機嫌な感じで鼻を鳴らして、ネフェリは塔から出て行った。
「マレニア、あれが正しい性根というものだ」ってラニに言われても、マレニアは言い返さない。

ブライヴは心底ホッとしたみたいで部屋の隅を見て息をつくけど、マネージャーはまだ何か考えてて、オレもとりあえず即刻血生臭いことにはならなさそうで安心したけど、まだラニの話した激ヤバなテロリスト話をどう受け止めていいか分からないんだよな。皆のために何もかも捨てて頑張ったけど、大失敗して今があるってことは分かってるけどね。

246名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/10(金) 01:10:34 ID:Zrpx31Q6


ラニ「さて、それでは、律無き世の証を示したお前たちに、約束を果たすとしよう」

すっかり約束を忘れてたオレはラニの言葉で思い出して、例の呪痕っすか?ってたずねると、「呪痕ではないが、その在処を示すものだ」って言いながら、ラニはモコモコマントからそこそこデカい彫刻を取り出してマレニアに渡す。

マレニア「…これは…?」

ラニ「それは、カーリアの逆さ像という。カーリア書院に眠る、私の秘密を暴くものだ」

ラニ「書院の先の神授塔に、私の呪痕は遺されている。新たな律が欲しくば、そこに向かうといい。もっとも、その律がお前たちの求めるものかは分からぬがな」

マレニア「…礼を言う。貴公の施しは忘れない」

ラニ「礼か。そんなものを聞いたのは、この身になってからはブライヴとイジー以外からは初めてだ」

ラニ「やはりお前はお人よしだ……もう、いくがよい」

ラニからちょっとデカい像をもらって、俺たちはラニの部屋から出て塔の出口に向かう。一時はマジでどうなるかと思ったけど、なんだかんだでちゃんと新しい律の手掛かりは手に入ってよかったぜ!ラニのやったことが正しいのか間違ってるのかオレにはまだ分かんねーけど、良いぜ!分からないままでも、どうせ修復ルーン使ってエルデンリングを直したら、新しい世の中が生まれるんだし、その時はオレもいないしな。でもオレがいなくなったあとの世界はやっぱり心配。オレが考えても仕方ないけどね(笑)

塔の出口を出てからここにきた時の祝福に向かってると、遠くの後ろから呼び止める声。振り返ると塔の入り口にラニがいて、オレたちはマレニアと一緒にストップ。ラニの言葉に耳を傾ける。


ラニ「マレニア。幼き日の私は、お前を嫌悪していたわけではない。ただ、疑問に思っていただけなのだ」

ラニ「なぜ我が父ラダゴンが、女王マリカの王配となったのか…真実を知らぬ身であった頃、それについて、お前たちには辛くあたってしまった」

ラニ「すまなかったな」

遠くに立ってるラニは、帽子を深く被りすぎてて顔が全然見えない。いつも深く被ってるけどさ。
マレニアは急に子供時代の話を振られて、懐かしむみたいにフッと笑う。

マレニア「私は、兄妹皆が壮健で、ブライヴやイジーを友としていた貴公が、羨ましかった」

マレニア「腐敗に怯え、黄金律を疑い、兄様と母様以外に信じられる者のいなかった私には、貴公は眩しかったのだ」


マレニアはそう言ってから、向き直ってまた祝福に向かう。なんだかわだかまりが解けた感じがして不思議な一体感。思い込みかもしれないけどさ。俺たちもマレニアについて行って、浅く水が張ってる広場の祝福に到着。そしたらマレニアの隣にいつの間にかブライヴが立っててマジビビり!なんでいるんだよって聞くと

ブライヴ「“私の旅は終わった。今はあの者らに付き、支えてやってくれ”…だそうだ」

なんて言うんだから、断る理由も無くてオレもブライヴの復帰を待っていたかのように握手を要求。ブライヴは「こういうのは慣れんのだがな…」なんて照れ臭そうに言いながらキッチリ俺とマネージャーに握手。「また貴公と共に戦えて、嬉しく思う。これからよろしく頼む」ってマレニアにも「またでは無いだろう。まぁ、悪い気はしないがな」ってナチュラルに接してくれる。ネフェリはどうか分かんないけど、アイツのことだからきっと分かってくれるぜ!ラニも粋なことするよな!

たしかにラニは色々企んでたかもしれないけどさ、だからってマリカがエルデンリングを砕くとまでは考えてなかったと思うんだよね。だってもしそんな風に考えてたら、エルデンリングをマリカから奪ってただ宇宙に持っていくだけでいいところを、わざわざエルデンリングをマリカに砕かせてから破砕戦争起こして、そこからエルデンリングを繋ぎ直してそれを宇宙に持っていこうとしてたって事になるから、手間が掛かりまくって大変じゃん!オレの知らねーことは他にも色々あると思うから、詳しいことはマネージャーに任せるけどさ。そういうこと考えても今更なんで、オレはとにかく律探し頑張るぜ!

247名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/10(金) 01:17:23 ID:Zrpx31Q6


【修復ルーンの宅急便】


マネージャー「それでは、早速新しい律、あらため修復ルーンのカケラを取りに行きましょうか」

ブライヴが合流してくれたし、マネージャーの判断でこのまま探索を続行。今日はまだ時間あるしね。マネージャーが地図を開いてカーリア書院を探すと、マレニアがミリセントだった時に探索してた場所らしくて、すぐに書院入口の祝福に移動できた。「以前に訪れた時はひたすら魔術を撃ち込まれ、やむなく退散した。気をつけよ」マレニアの忠告で早くも嫌な予感がしてきて、狭間の地はこんな予感ばっかりで乳首のセンサーもどんどん鋭利になってくぜ。

意味ありげな台座にマレニアが彫刻を置くと、いきなり地震が発生。もう予感が当たってヤバいぜ!激エロな振動に雄膣揺すられてオレが快感でヘナヘナとしゃがみ込むと、地球儀みたいなのがグルグル周りだす。それが止まって揺れも収まるとブライヴにガタイを起こされる。「お前のことだから、今ので妙な気分になったか?」なんて挑発するような笑みを向けてきてマジエロ!オレと長く旅をし過ぎたのか、それともオレを待ちくたびれてムラムラしてたのか、ブライヴはオレの扱いが相当ウマくなってるぜ!

拓也「ウッス!しゃぶらせて欲しいっす!」

エロテクを仕込んできたブライヴにオレの理性も振り切れて、すぐに受け入れ体制が整った拓也はブライヴに抱きつこうとするけど、スルスルとかわされて背後を取られ、首根っこを掴み上げられて子猫のようにぶら下げられる。「お前も変わらんな、拓也。お前も苦労しただろう?」って話を振られたマレニアは「いいや、私の心が乱れていた時は、妙な気はあまり起こさなかった。拓也なりに、私を気遣ってくれていたのだろう」ってオレのイケメンエピソードを暴露する。「ほう…品の無いこと以外に、考えるものがあったのか」なんてオレを愚弄しながらブライヴはマネージャーと一緒に、先へと進むマレニアについていく。オレはこれでも色々考えてんだよ!

そしたら早くも訳わかんねー形の縦穴に到着。マレニアも「妙だな…前はここに昇降機があったはず…」って言いながら、縦穴に身を乗り出してキョロキョロ観察。「カーリアの逆さ像は、書院の真の姿を見せる。この上下反転の姿こそが、この館の真実というわけだ」ブライヴはそう言って、オレとマネージャーを両脇に抱え直してジャンプ。縦穴を飛び越えたら突然指の化け物が三匹上から降ってきてマジ狂い!マネージャーは「ひゃ!」って言ってケツを触られるし、オレはケツマンを指で犯されてアンアン喘ぎながら淫乱に狂っていく。そこはブライヴとディアロスのために取っておいてるんだから邪魔すんじゃねーよ!って思ってケツ筋を思いきり締め上げてガードを固めてると、ブライヴがシッシッて言って指を追い払って、マレニアがあとから来るころには指は影も形もなくなった。

ブライヴ「これでも主の客だぞ、ユビムシどもめ」

マレニア「ユビムシか、お前が飼っているのか?」

ブライヴ「オレが飼っているわけではないが、やつらにも智恵はある。館のささやかな守りだ」

拓也「誰のペットでもいいけどさぁー、人のケツマンコに許可なく突っ込むのは勘弁だぜ!」

マレニア「ケツマンコ…?」

マネージャー「男の肛門を女性器に例える隠語ですね」

マレニア「そんな例えをして、どうするというんだ…」

マレニアにエロ智識をひとつ教え込んで萎えさせながら縦穴ゾーンを抜けると、暗いけどチョー広い場所に出て、水音がすると思って上を見ると水路から水が上に落ちて、天井に溜まってる。すげー!こんなの見たことねーよ!下を覗いたら、下から上に向かってブラブラしてるデカシャンデリアが見えるし、オレはドクター・ストレンジじゃんって騒いで、マネージャーと一緒にすげーすげー連呼しながら超絶デカい縦穴を下へ下へと降りていく。そしたら突然マレニアが止まって、遠くで礼をしてる誰かを指差す。

マレニア「待て、あれがミリセントを追い払った者だ」

ブライヴ「ハハッ!魔術教授のミリアムか!あれを相手にしては、ミリセントでは勝ち目がないな」

ブライヴ「やつは狭間の地で、最もすばしっこい魔術師だ。逃げの速さだけならレナラ様をも超える。今のお前でも、ここで戦ったならどうなるか分からんぞ」

マネージャー「そんなにですか…!?」

マレニア「強敵だった…一太刀も浴びせられなかったよ」

拓也「マジ?すっげー!」

剣士を撃ち殺すのが趣味のプロ級魔術師にオレは手を振りながら、ブライヴに抱えられてさらに下に降りる。そしたら下にあったデカシャンデリアがすぐ近くまできてて、もう上がってるのか下がってるのかわかんねー錯覚状態に陥って頭がクラクラしてくる。デカ縦穴の端っこをグルグル回りながら降りてるから、一番下までは思ったよりも距離があって拓也を焦らしてくる。でもこうやって焦らされてる方がまだ良かったぜ!

拓也「おぅううっす!」

ブライヴは俺たちを抱えたままいきなりダイブ!シャンデリアの上に飛び乗って一気にショートカットしたけど、なんの合図も無かったからマネージャーは叫ぶ暇もなく固まってるし、オレは内臓の浮遊感と着地のエロ衝撃で膀胱を揺すられて白目剥いて勃起。指にいじられて敏感になってるケツマンに熱を感じてくる。

ブライヴ「おい拓也、俺が抱えてる間は騒ぐなよ」

マネージャー「と…跳ぶなら跳ぶって言ってくださいよ!心臓止まるかと思いました!」

ブライヴ「やかましいな…跳ぶぞ。言ったからな」

次の瞬間マネージャーは口をギュッと閉じて我慢に入ったけど、オレは激エロな振動に雄膣を揺すられたばかりでまだ準備ができてない。そこにジャンプが入ってまた内臓が浮遊。オレはこれから来る快感の波を妄想してガタイを仰け反らしておねだりの姿勢を取る。でもこれがマズかった。ブライヴが「おい!」って言って細い足場に着地した頃には、オレはブライヴの手から滑り抜けて、パラシュート無しの自由落下を始めていた。

ブライヴ「おお!」

そこにマレニアからの空中キャッチが入って、そのあとの空中水鳥乱舞でヘリコプターみたいに飛翔。そのまま木製のデカい台座にマレニアは音も無く着地した。死のスリルを感じでギンギンに勃起したオレのデカマラも、激エロな着地衝撃が不発に終わって沈静化。「大丈夫か?」ってヅカ系イケメン顔に聞かれて正気に戻る。「だから騒ぐなと言ったろう。呆れた奴だな」ってあとからきたブライヴに小言を言われて終了。そのあとブライヴが木造の台座のスイッチを踏んで、エレベーターで一気に降りて到着。逆さまのデカいドアを開けたら、雨風が一気に吹いてきてオレのガタイを服の上からエロく濡らしていく。

248名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/10(金) 01:26:46 ID:Zrpx31Q6

ブライヴ「この橋を進んだ先が神授塔だ。拓也が妙な気を起こさなければ、あとは楽なものだ」

マネージャー「急に天気が悪くなってきましたね…今まで雨なんて降ってなかったのに…」

ブライヴ「ここの雨は明けることがない。海の曇天が、常にかかっているからな」

この長い道を雨に降られながら歩くのは気分が暗くなってくるから、ためしにブライヴに「お前は剣で斬られても死なないんだよな」って軽い冗談をぶつけてみると「ああ、オレはラニの影従なのだからな。影は斬れぬだろう」って返してきてくれて妄想ゲームの始まり。「氷の海に沈められても大丈夫だよな」「寒さは得意ではないが、まぁ大丈夫だろう」「高圧電流にも耐えられるよな!」「高圧電流?そんな祈祷は知らんな」「どんな風にやられるんだ?」「知らんと言っているだろう。しかし、お前はどこで影従の本質を知ったのだ?」「は?」そこまでゲームが進んだところで、いきなり黒い炎が飛んできた。

マネージャー「あぶない!」

でもマレニアの咄嗟の抜刀で黒い炎は弾かれて、橋の外に落ちていく。
黒い炎を投げつけた奴は、いつの間にか橋の真ん中に立ってたサイコ系のガタイ盛りまくり高身長で、しかも腹がスゲーデカい!マジかよ?ってくらいデカい!こんな成人病ガタイの奴と狭い橋の上でヤリ合うのかよ?って思った時には第二の炎が投げ込まれる。

マネージャー「わっ!」

拓也「あんっ!」

オレとマネージャーはブライヴに橋の隅の壁に押し倒されて、マレニアとブライヴのペアが成人病ガタイのデブに向かっていく。マレニアの方が早くデブに近づけて、間髪入れずの三連斬り。このまま任せとけば勝てると思ったら、デブが目にも止まらぬ早技で剣を抜いて、マレニアの剣を全て受け止める。コイツは使える筋肉デブだぜ!

マレニアはそのあと体重差を使われて橋の壁に追い詰められて、なおも剣のラッシュが続く。そこにブライヴが突撃の形でデブの背中に剣を突き刺す。そのあまりの剣の大きさにデブはむせ返り、デカい尻尾で背後を薙ぎ払ってブライヴを殴る。そのまま自分の周りに黒い炎を巻き上げて、ブライヴとマレニアに距離を取らせる。「やっべー!コイツただの使えるデブじゃねーよ!」オレがデブの強さに警戒の声をあげると、デブは剣を構え直して、今度はブライヴに剣の高速ピストン。凄まじい速さにブライヴは防ぐのが精一杯だったけど、そこでマレニアが動いた。

デブの背後に向かって駆け出したマレニアに、待ち構えていたような尻尾のピンタが飛ぶ。その尻尾をマレニアは蹴ってデブの頭上を取り、空中からあの水鳥乱舞の構えを取る。ブライヴが全身の毛を逆立てて飛び下がると、マレニアの剣はヘリのローターみたいにチョースピードで振られまくって、とんでもない轟音を上げてデブの高速ピストンとぶつかり合い、激しい火花を散らす。マレニアの剣に追いついてるデブもすげーなって思った瞬間、剣の速さに追いつけたのは最初だけですぐにデブは全身を斬り刻まれてぶっ飛びダウン。橋の壁に叩きつけられて全身血まみれでピクピク痙攣を続ける。

ブライヴ「やれやれ、神肌の貴種が相手とはな…お前がいなかったら、危なかった…」

マレニア「それは私が言うべきことだ。貴公の剣に、また助けられた。ありがとう」

マネージャー「いえ、まだです!」

マネージャーがそう言った直後に、デブは全身から黒い炎を爆発させて復活。全身血まみれのまま再び剣を構えるけど、相手のマレニアとブライヴはすでに戦闘体制に入っていた。でもそこでマレニアが何かに気づいたけど、デブは俺たちに背中を向けてるからマレニアが何に気付いたのか全く見えない。「逃げろ!拓也!マネージャー!」ってマレニアの叫びのあとに、デブがいきなり風船のように全身を増量させて転がってきた!

拓也「うぉぉうす!」

いきなりのターゲットの変更に拓也はマネージャーを抱えて走りまくるけど、あっという間に追いつかれて、頭の後ろに岩が転がるような音が近づいてくる。でも次の瞬間デブとオレの間には、弾丸みたいな速さで跳んできたマレニアがスライディング。そのままデブに向かって突きのポーズを取る。

マレニア「うあぁっ!」

でも軽トラみたいにチョー重いデブのローリングにマレニアはぶっ飛ぼされて壁に激突!ヤバい、死ぬ!って思った瞬間、デブは俺たちから逸れて今度は橋の壁に激突。転がる勢いで壁を乗り越えて橋から落ちていった。マレニアの突きのポーズは、突きでデブを倒すためじゃなくて、刀の反りでデブの軌道をそらすためだったんだってオレの乳首が分析を終えると、マレニアが寄りかかってる壁が崩れた。

拓也「あっ!」

そこにあらわれたのがブライヴ!
遠くから走ってきてたブライヴは大剣を咄嗟に突き出して、マレニアに掴ませていた。
ハァハァ息上げたブライヴはそのままゆっくり剣を上げるけど、そこでまた緊急事態発生。

拓也「やべー!落ちる!」

マレニア「あ…雨で…義手が…」

大剣にぶら下がってるマレニアの義手が水滴で濡れまくって滑っていき、小指が剣から離れる。
オレも手を伸ばしてみるけど距離が遠くて届かない。
そこでブライヴは新テクを開発!「雨が降っているなら、好都合だ…!」ってガタイに力を入れると、ブライブの剣が瞬時に凍結!マレニアの義手の指を氷でガッチリ咥え込んで固定し、ブライヴの腕力が唸るとマレニアは橋の外から引き上げられて、モコモコのマントに抱き止められた。

ブライヴ「はぁ、はぁ、今のは本当に危なかったぞ…気をつけろ」

マレニア「す、すまない…貴公からは、世話をかけられ通しだな…」

偶然ブライヴに抱き止められたマレニアにムラムラジェラシーを感じたけど、それよりなんとか危機を乗り越えた安堵感が勝ってオレもガタイを強調したガッツポーズをキメる。でもマネージャーの「美女と野獣ですね」って言葉にまたジェラシーを感じてマジ狂い!やめろよってプリケツ震わせて怒りだすオレを、ブライヴとマレニアは不思議そうに眺めてたな。オレはいつになったらブライヴのデカマラを咥え込めるんだよ!

249名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/10(金) 01:32:47 ID:Zrpx31Q6


危うく筋肉マンコのボウリングピンになるところだったけど、マレニアとブライヴの活躍で無傷マンコのまま生還した拓也。そのまま全員で塔に入ってデカいエレベーターのスイッチを押しこみ、塔内部のキラキラ輝く神秘的な光景を楽しむ。「前から思ってましたけど、こういう巨大なエレベーターの動力ってなんなんですかね?」ってマネージャーにも疑問が浮かぶ。

ブライヴ「さあな、俺にも分からん」

マネージャー「分からないんですか?」

ブライヴ「ああ。だがケイリッドの塔も、リエーニエのこの塔も、全ては同じ仕組みで動いているらしい。幼き日に、ラニからそう聞いたことがある」

ブライヴ「遥か昔、黄金律が世を支配する前は、祈祷や輝石魔術とも異なる、別の力が世に溢れていた」

ブライヴ「これらの塔も、その名残だ」

マネージャー「…つまり、律が変わるたびに新しい力が生まれて、古い力は忘れ去られていくってことですか。なんだか少し、寂しいですね…」

マネージャーのつぶやきが広い塔の暗がりに吸い込まれて、エルデ不思議発見のレポーターとしての仕事も受けられそうな雰囲気。今でも使える遺跡に乗ってるとエレベーターが止まったから、いよいよ頂上ってことなんで、四人でさらに風も無い外廊下を歩いて階段を上がると、広い屋上?広場?みたいな場所に到着。雨は上がってて、空一面の曇りなのに妙に明るくて、左を見るとバカでかい黄金樹が惜しげもなくガタイを晒してる。広場の中央には誰かが寝転んでる。

拓也「あっ、誰かいるじゃないすか」

そう言って近付いてみてビックリ!寝転んでたのは、全身がカサカサに乾燥しきった干し柿状態のミイラで、服も脚もボロボロ。頭にはちょっとだけ赤い髪が残ってて、背中には虫みてーな形の傷が掘り込まれてる。そのミイラが胸元に抱えていた光も、背中の傷にそっくりだ。

マネージャー「その遺体、まさか、生前のラニさんのものですか?」

マネージャーにブライヴが「そうだ」って答えて、オレは慌ててミイラから離れる。「賢明だな拓也。その遺体を穢したなら、いくらお前でも叩き斬るところだ」ってギン眼のブライヴに、マレニアの雰囲気が若干ピリつく。「私が修復ルーンを回収します。問題は起こしませんよ」ってマネージャーがミイラに歩いていって、ミイラが抱えていた修復ルーンを手にして、オレたちの前に掲げる。

マレニア「あれが呪痕…あのルーンを完成させ、黄金律に組み入れれば…」

ブライヴ「死は黄金律に回帰するだろう。停滞と澱みに流れが生まれ、お前の腐敗は退いてゆき、忌み鬼どもの呪いも解かれる。澱みをもたらす神々も、律に跳ね除けられ、力を弱めていく」

ブライヴ「女王マリカが、娘や息子の生に望んだように」

ブライヴ「そして、恐らく始まるだろう。生と死の円環の律を中心とし、新たな神の支配、新たな王の統治、新たな戦火、新たな災禍がな」

ブライヴ「かつて、ラニが忌避したように。だが、それでこそ生ということなのだろう」

ブライヴ「戦王を夫とした、マリカらしい答えだ」

風の無い広場にブライヴの言葉が響いて辺りが一瞬静かになる。
「…これが、真に正しきことなのだろうか…」ってマレニアが呟くと、マネージャーも続く。

マネージャー「…ええ、確かに疑問はあります…このままでは、同じことの繰り返しになるでしょう」

ブライヴ「待て、ここに来て迷うな。ラニの決意を無駄にする気か」

マネージャー「そうじゃないんです…ラニさんのように律を世界から遠ざけることも、女王マリカのように、律を改善し続けることも、私には間違いではない気がするんです。この修復ルーンも、きっと必要になるでしょう」

マネージャー「ですが、それだけでは足りない気がするんです。私たちが、女王マリカの望んだような新たな律を作れば、たしかに停滞と澱みは消え去ります」

マネージャー「ですが、代わりに新しい何かが生まれる可能性も十分にあるはずです。もし生まれたなら、ブライヴさんの話した通りに、きっと誰かが律の外に弾かれて、ミケラやラニさんのように、律を揺るがす計画を作り上げるはず」

マネージャー「そうなれば、いつかまた律を巡って争いが生まれ、破砕戦争のような大惨事が繰り返されるんです」

250名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/10(金) 01:38:16 ID:Zrpx31Q6

マネージャーの言葉で、ブライヴはマネージャーを睨んだまま黙る。オレのいた新宿にもゲイの居場所が必要なのと同じで、狭間の地でも、祝福されなかったり障害があって生まれてきたりする奴にも、きっと居場所が必要なんだよな。オレも水泳部に入ってなかったら学校で何やってたか分からない。きっとグレにグレまくって同級生とかレイプしてたかもな。

マネージャー「なので、この修復ルーンは一度、円卓のみなさんで話し合って…」

って言ったところで、マネージャーの首筋にナイフが止まった。

マレニア「なにっ!?」

ブライヴ「なんだぁっ!?」

やられたぜ!不意打ちはいつも突然だ!マネージャーの後ろに立っていたギデオンは、マネージャーの首にナイフを当てたまま修復ルーンを奪うと、マネージャーを拘束したまま後ろに下がっていく。「本当に見えなかったのかね?ゴッドウィンをも騙しおおせたというが、ヴェールの力は確かなようだ」ってわけわかんねーこと言ってるギデオンをよく見ると、身体の形が不自然に欠けてて、向こうの景色が見えていた。

マレニア「マネージャーを離せ。彼女には何の咎もない」

ギデオン「咎の有無で、このような事をしているのではないのだよ」

ギデオン「刃に対してもまずは言葉を向けるとは、やはり誠実さは貴重だな」

ギデオンはマネージャーを突き飛ばして広場の端にダッシュ。
マレニアとブライヴとオレも後を追って走ったけど、一番速く追いついたマレニアの剣も空を斬る。

ブライヴ「おお!?」

ギデオンは背中から光る翼を広げて塔の端っこからダイブ。
そのまま遠くの山に向かって小さくなっていった。
これじゃ修復ルーンの宅急便だぜ。送り先は不明だしチョーヤバいけど、マネージャーは助かった。

マレニア「坩堝の翼か…いつの間にあのような祈祷を…」

ギデオンが消えていった方向をギン目で睨むマレニアをおいて、オレとブライヴは突き飛ばされたマネージャーを起こす。「…まさかギデオンにつけられていたなんて…」ってマネージャーは言うけど、命が助かったんだから良いじゃん!って言うと「よくありません!私のせいで修復ルーンが盗られたんです!早く円卓に行かないと…!」って走りだす。

走ったマネージャーについてオレ達も走り出したけど、後ろからマレニアに抱き止められたマネージャーは一気に加速して目の前から消失。祝福に戻っていった。その後を追って俺たちも祝福に走っていって、少し遅れて円卓に帰ってくると、マネージャーは円卓に両手をつけてわなわなと震えてる。

マネージャー「やられてしまいました…Dさんが殺されて、フィアさんも行方不明です…」

マネージャー「エドガーさんからも報告がありました…私たちが留守にしてる間に、イレーナさんに看病されていたロジェールさんという魔法使いも、ギデオンの手の者に襲撃され、死亡したそうです…」

マネージャー「その襲撃犯は、かなり長い時間、この円卓でネフェリさんとエドガーさんを相手に戦っていたようです…今は円卓奧の部屋に、犯人を監禁しています…」

マネージャー「ここの皆さんに、私たちの向かった先を教えておくべきでした…」

冗談じゃねーぞ!意識がぶっ飛びそうになる衝撃の事態に襲われて、オレは慌ててブライヴと一緒に円卓奧の部屋に向かう。ドアを開けて中に飛び込むと、中にはネフェリとマレニアとローデリカの他に、椅子に拘束された全身アワビ男の姿が見える。「他の者たちはどうした?こいつに斬られたのか?」ブライヴがそう聞くと、アワビ男が笑いだす。


糞喰い「やつらは孺子だ。穢れを知らず、知らぬことも知らぬ…そんな者に用はない」

糞喰い「ギデオンは何処だ…ギデオンは何処にいる…」

糞喰い「あやつには宿痾がある…ひどく臭う、生乾きの宿痾がな…」

251名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/10(金) 01:46:58 ID:Zrpx31Q6

またわけのわかんねー奴が現れたと思ったら、そいつもブツブツ言い始めるし、こっちはそれどころじゃねーんだよ!っていう拓也の苛立ちはネフェリにもあって「なぜDとロジェールを殺した。フィアは何処にいる」ってアワビ男に斧を向けてギン眼で脅迫。ブライヴもローデリカに聞いてみたけど

ローデリカ「泣き叫ぶ霊たちの、夥しい嘆きと呪詛が荒れ狂っていて、フィア様を探れません…D様とロジェール様の魂も、見分けがつかないのです…」

って、調子が悪そうにしゃがみ込んでいる。
本棚に寄りかかって腕を組んでるマレニアも、いつ義手に折りたたんだ剣を抜刀するかも分からない雰囲気だ。

ネフェリ「フン…呪詛を振り撒く者を暴れさせ、円卓を呪詛で満たし、ローデリカからの追跡を撒く…ギデオンらしい、非道な行いだな」

ブライヴ「その呪詛の大元はこの男なのだろう?ならば、俺が噛みちぎってくれる」

アワビ男の肩に手が置かれて、ブライヴがデカい口を開けて牙を剥くと、マレニアがブライヴの肩を引いて止める。「早まるな。この者にはまだ、聞くべきことがあるだろう」ブライヴを下がらせてマレニアは一対一でアワビ男と対峙する。

マレニア「再び問おう。Dとロジェールを、貴公はなぜ殺した?フィアを何処へやった?」

糞喰い「フィアなど知らぬな。あれはギデオンが連れ去ったのだ」

糞喰い「双子の男と、魔術師…あやつらは、思えば我とも似ていた」

糞喰い「歪み、身体と釣り合わぬ魂…忌み嫌われる蝕み…」

糞喰い「だが、いずれも求める宿痾とはならぬ。彼奴らは、別の宿痾に苛まれていた」

糞喰い「だからこそ、ギデオンは我を円卓に送ったのだろう。彼奴らが、我が宿痾の塾するのを、阻むことの無いように」

円卓で二人も殺しただけあって、何言ってるんだか全然わかんねーしひとりで嬉しそうにしてるし、こいつマジでイっちゃってる!コイツもギデオンに騙されてこんなことしてるんだろうけど、ギデオンのヤツは何吹き込んだんだよ?ネフェリの代わりがこんな奴とか、本当に「使えるペット」だけが欲しかったんだな。ブライヴも「埒があかん。こんな者に付き合ってられるか」って言って部屋から出ていこうとした時、マネージャーが入ってきた。

マネージャー「二人の死因が分かりました。恐らくは呪殺…死の呪いで殺されたと思われます」

ネフェリ「確かか?この男は、確かに呪霊を放っていたが、死の力を奮ってはいなかった」

ネフェリ「貴様、何をした?」

顎の下に斧をピタッとつけられて、アワビ男は物知り気に溜息なんてついてくる。
なんにも分かってねーなみたいな態度取ってくるけど、こんな奴分かっちゃったらオレもヤバいぜ。
アワビ男はイラついた様子で丸いイボイボ兜を左右に振って、首をポキっと鳴らす。

糞喰い「お前たちも、やはり孺子だ」

糞喰い「神人よ。お前にも見えぬのだ」

なんて挑発したのがアワビ男にとってマズかった!マレニアはアワビ男の兜を義手で掴むと、上に持ち上げてカポっと取る。「見えぬ者に見て欲しいのならば、教えても良いだろう?」って眼を合わせてマレニアは話したかったんだろうけど、兜を取られたアワビ男は急に鳥肌立ちまくり痙攣しまくり、白目剥いて吠えまくりのマジ狂い状態に堕ちたぜ!

糞喰い「おおお!おおおおおお!やめろ!離せ!」

拓也「マジかよぉ!コイツすっげーブサイクじゃん!笑っちゃうぜ!」

マレニア「何を怯えている。私は話をしようとしているだけだ」

糞喰い「俺は糞喰いだ!お前たち皆の呪いだ!俺の顔を返せ!俺に穢させろ!」

マジ狂いのアワビ男に、ネフェリは「なるほど、それがお前の弱みか。使わせてもらうぞ」って近付いて、ボサボサの髪を鷲掴みにして頭を固定。「顔が欲しくばギデオンの居所を言え。蛮地の勇者が、刺客に容赦をするとは思うな」ってギン眼で睨んだところを、アワビ男の唾攻撃が炸裂。
すんでのところでかわしたネフェリはブチ切れて、動けないアワビ男の顔面にコンクリパンチの雨を叩き込む。20発以上?30発以下?のパンチを浴びせると、アワビ男の顔は腫れ上がって、もともと被っていた兜と似たような形に変形する。「顔は返した。何か話せ」っていうネフェリにはエンシャに向けたようなマジSが入ってて、何するかわかんねーパキギメ戦闘モードになっていく。

マネージャー「…いえ、ネフェリさん、もういいです。彼が何を話そうが、それを裏付けるだけの時間はもう無いのかもしれません」

マネージャー「修復ルーンはギデオンに奪われました。全て私のせいです。今の私たちにできるのは、彼が修復ルーンを完成させてエルデンリングに掲げる前に、こちらが先に動いて黄金樹を抑えることだけです」

マネージャー「ネフェリさん、あなたは今すぐ黄金樹前の祝福に移動して、黄金樹への入り口を見張ってください。こちらも滅びの火にすぐに向かわなければなりませんので、応援を出せるかは分かりませんが、余裕ができれば派遣します」

ネフェリ「…ああ、わかった」

ネフェリは渋々って感じで大祝福に走り出す。マネージャーとローデリカも旅支度があるからって、小走りで部屋から出ていった。残ったのはブライヴとマレニアとオレの三人に、全身アワビくんだけだ。ネフェリにボコボコにパンチ食らって大人しくなっているアワビに、マレニアは語りかける。

252名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/10(金) 01:55:23 ID:Zrpx31Q6

マレニア「ギデオンがどうなったのか…貴公がなぜ円卓を襲ったのかは、私も聞かぬ」

マレニア「ただひとつ教えてくれ。貴公は何に呪われた?」

パンチの食らいすぎで朦朧としてるアワビは、マレニアの言葉にピクっと反応。
飛びそうな意識をギリギリ繋いでる感じで、まぶたをピクピク痙攣させながら小声で答える。

糞喰い「黄金律よ…忌み者の心を…何故与えた…」

糞喰い「忌み者の心、そうでない姿…こんなにも苦しきことを…望んだことなどない…」

糞喰い「呪われよ…みな、呪いに祝されるのだ…」

ほとんど独り言みたいなアワビの言葉にマレニアはガックリきたらしく、アワビの肩に手をかけて「貴公も、澱みだったか…」って同情と悔しさが混ざった眼を向ける。「おい、まさかこの男の肩まで持つ訳ではあるまいな」ブライヴはそう言うけど、オレも流石に殺人鬼に同情する気は無いから、マレニアの態度はどうなんだよって思うぜ。

マレニア「肩など持たぬ。この者は我らの敵。だが、故に語らねばならないこともある」

マレニア「糞喰いとやら。貴公を苛む呪いは、呪いではない」

糞喰い「…うっ、ううっ…」

マレニアの話にさらにピクピク痙攣して反応しながら、アワビは意識を取り戻した。

マレニア「貴公を苛むのは、黄金律の澱みだ。律が貴公を忌み嫌っているわけでもなければ、貴公に呪いが与えられたわけでもない」

マレニア「ただ律が停滞し、貴公の姿が、あるべきものから歪められたにすぎない。忌み鬼の角や、マレニアの腐敗、ミケラの幼さと同じように」

マレニア「呪いとは、祖霊の怨霊や、巨人の炎と赤髪などを言う。ゴッドウィンから溢れ出る死も、あるいはそうなのだろう。だが貴公は律に呪われてなどいない。ただ、律が澱んでいるだけだ」

マレニアの語りが進んでいくほど、アワビ男は眼を開ききって椅子をガタガタ震わせる。
「やめろ……やめろ!俺は俺だ!俺だけが糞喰いなのだ!」って顔を真っ赤にして怒り出す。コイツが何で怒ってるのかオレにもようやく分かりかけてきたぜ。嫌われたり蔑まれたりして自分が歪んでしまったことに、呪いっていうちゃんとした理由があって欲しかったから、コイツは俺が呪いだなんて言ってたんだ。

マレニア「違う。お前はただの、普通の男だ」

マレニア「生まれる時に、偶然にも心に病を背負った、それだけの者なのだ」

糞喰い「やめろ…俺は、俺だ…糞喰いだ…」

アワビはそれでも更に粘って、我慢しすぎた勃起チンポみたいにぐっと堪えて敗北宣言を耐えている。
そこにマレニアからの強烈な言葉だけの見えない手コキが入っていく。

マレニア「ならば糞喰いよ、私を見よ」

マレニア「この身の欠けたるを、この身の腐れたるを見よ。しかし我が宿痾は、今やここまで薄れているぞ」

マレニア「拓也に命を繋がれて、ミリセントが私に心を与え、その眼を開かせ、ミケラの針が腐敗を抑え、ラダーンの炎が腐敗を焼いた」

マレニア「律が澱み、更に壊れているというのに、私は腐敗に呑まれず、こうして生きている」

マレニア「ならば律が直され、澱みが流れればどうなるかは、貴公とて分かるはずだ」

糞喰い「やめろ…俺は信じない…俺は、最後まで…」

アワビ男についにイヤイヤが入る。もうこうなったら好き放題やり放題のサンドバッグの完成だ。筋肉マンコ奴隷に落ちる時のオレと全く同じ状態だから、口では嫌がってるけど今頃は全身が性感帯で感じまくりだぜ。でもマレニアはここで責めないから、ある意味テク無しだ。

マレニア「お前が忌み嫌い、やがて祝福とまで呼び、受け入れるしかなかった澱みを、我らは押し流すつもりだ」

マレニア「方法はいまだ定まっていないが…その時が来たなら、お前は普通の男として生き、罪を背負い、裁かれるだろう」


糞喰い「う…ううう…」


マレニアからの全然責めてない言葉責めに感じまくり逝きまくりで、アワビ男は俯いて、こきたねー顔からあらゆる液体を垂れ流し始める。全身アワビマンコ奴隷の完成だぜ!お前にも色々あったのは分かるけど、それで他人を殺したり呪ったりするよりは、乳首を吸ったり男に跨ったりしてた方がよっぽど気持ちいいのにな。コイツにも仕込んでくれる奴がいたならよかったのかもね。

マネージャー「準備できました!巨人の山嶺に向かいましょう!」

ゴドリックからもらった、首元がやたら暖かい鎧を着たマネージャーが、もうひとつの鎧を引きずって部屋に入って来る。オレはこれを着て今度は雪山にアタックをかけるんだなって瞬時にガタイで分析。一日のうちにどんだけ働かせるんだよ!マネージャーってチョーSだけど、世界の命運が掛かってるからオレには拒否権無しだ。エルデの地は本当にトラブルが無くなる時がねーな!良いぜ!これからオレとマネージャー、マレニアとブライヴの四人で夜の雪山4Pの開始だ!

253名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/10(金) 02:25:37 ID:Zrpx31Q6


1日3ラウンドはキツいぜ!   投稿者:ビルダー拓也


マネージャー「ネフェリさんには私の私用携帯を渡しましたので、黄金樹の方で異変があれば私に連絡が入るはずです」

ギデオンの罠に完全に引っかかった拓也が氷結湖の祝福に降り立って、これから筋肉マンコ奴隷としての果てしない夜通し雪中行軍が始まる。冷たい夜風に全身を犯されながら、マネージャーからもらった勇者の肉塊と蟹でエネルギーを補給。見るとブライヴもクシャミして寒そうにしてるから笑ったぜ。「俺は寒いのが苦手なんだよ」「狼なのに寒いのダメなんすか?」「狼でも寒いものは寒いんだよ…」って、それでよくラニのお供が勤まるよな。ラニのいた霧深い塔も、暖房が点いてない冬の自宅みたいに寒かったのにな。

4人で祝福から出発して、右に湖を見ながら、左側の切り立った崖を沿うように歩いていくと、いきなり吹雪がやってきてオレとブライヴの全身を撫で回して来てマジ狂い!ただでさえ寒いのに夜の雪山で吹くんじゃねーよ!って風に吠えると、風から白いドラゴンが顔を出してくる。歩き始めてまだ10分も経ってないのに、いきなりこんなの出てきて滅びの火まで持つのかよ!ドラゴンが口から何かを吐き出そうとした時に、マレニアが出会い頭の水鳥乱舞なんていう極悪戦法を使ったから、ドラゴンのベロが微塵切りにスライスされたのはちょっと可哀想だったけど、襲ってきたのはそっちだからオレのせいじゃねーからな!

白眼を剥いてガタイが失禁硬直するほどピクピク痙攣するドラゴンに憐れみの眼を向けながら、さらに崖沿いに進んでいくと今度はデカい三匹のザリガニに遭遇!カチカチの冷凍食品がオレを冷凍食品にするためにハサミを振り回してくる。その隙にブライヴはマネージャーを抱えて離れたところにジャンプ。マレニアは一匹のザリガニに跳び回し蹴りを叩き込んで転ばせ、腹に三連斬りからの縦斬りコンボをぶっこみ瞬殺。同時にオレはザリガニの一匹に捕まってケツマンをほじくり返される。

拓也「あん!あん!」

激しすぎる冷凍触覚ピストンにマジ狂いしながら、雄膣に凄まじい冷たさを感じて体内から冷やし拓也が出来上がりつつある頃にブライヴが到着。オレを犯してる触覚を叩き斬ると、感覚を失ったザリガニが、もう一匹のザリガニにハサミを叩きつけて仲間割れの開始。その間にオレの緊急手術が始まる。ブライヴに氷のベッドに寝かされて、マレニアに後ろから上半身を抱きしめられ固定。ブライヴはケツの触覚を掴む。

ブライヴ「動くな拓也!下手に動くと尻が破れるぞ!」

拓也「うーっす!おううぅす!」

マレニア「私が拓也を抑える。くれぐれも慎重にな」

ブライヴがそっと触覚を引き抜いていくけど、ガチガチに凍った触覚の冷気で雄膣の内壁とビラビラがくっついてて離れない。「あーっ!おああーっ!」ってとんでもない激痛に襲われて悶え狂いながら、オレは凍った触覚を出産していく。そこに仲間割れを生き残ったザリガニが襲撃。咄嗟にマレニアとブライヴが真逆の方向にそれぞれジャンプ。

マレニア「あっ…」

ブライヴ「あ!」

拓也「ぐわああーっ!」

すると跳んだブライヴの持ってたカチカチの触覚が、チョー強烈なスピードでケツマンから引き抜かれて、雄膣の粘膜がブチブチと裂けて触覚に粘りつき、真っ赤に染め上げる。マレニアは真っ青になったけどね(笑)。拓也の中の激エロなフェロモンがあたりにぶち撒けられて、ブライヴも「臭っ!」って鼻を抑える。お前がぶっこ抜いたのにそりゃないぜ!でもこれが幸いした。ザリガニは激エロな雄膣フェロモンが相当好きな変態らしく、ブライヴが投げた雄膣触覚に跳びついて仲間の一部だったそれを一心不乱にしゃぶりまくる。

マネージャー「今です!逃げましょう!」

拓也のデコイと化した触覚をそのままにして、マネージャーからの指示が飛ぶ。
「すまん拓也!」「拓也!?気を確かに持て!」激痛で内股硬直しながらケツから大量の切れ痔出血を流しつつ、白眼を剥いて痙攣する拓也は、両手を持たれて引き上げられてる宇宙人みたいにブライヴとマレニアに引きずられてザリガニゾーンを脱出。そのあとにそこら辺の教会っぽい建物に連れ込まれて、マネージャーから生肉団子と苔薬による回復が補われる。

254名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/12(日) 11:50:01 ID:cI0CeQ5Q
マネージャー「慟哭砂丘でアレキサンダーさんから沢山貰っておいて正解でした。これが無かったらさっきの戦いで死んでますよ」

ズボンのケツ部分に丸い穴をポッカリ開けて、治りたての拓也がうつ伏せでダウンしてるところにマレニアとブライヴからの再びの謝罪が入る。「いや、命があるだけよかったっす。あと気持ちよかった」って答えるとブライヴに脇腹を小突かれた。「気持ちいいなど言ってる場合ではなかっただろうに。貴公はどこまでも快楽に忠実だな」ってマレニアも呆れていると、マネージャーが祝福を発見。

メリナ「こんばんは」

祝福からメリナがヌッと出てきて、マネージャーがすっ転んで、ブライヴが立ち上がって警戒モード。
「びっ!ビックリさせないでください!」ってマネージャーにも、澄ました様子のままメリナは祝福前に座る。「出て来られるなら、少しは手を貸してもらえないか」ってムスッとしたマレニアに突っ込まれても「ここにもマリカの言霊がある。興味があるなら、聞かせてあげる」なんてポン引きみたいなことを言ってくる。「マリカの言葉?そんなもの、俺は聞き飽きたぞ」ってブライヴの反応も冷たくて、メリナもシュンとして一瞬消えそうになったところでマネージャーから待ったが入った。

マネージャー「時間が無いので巻きでお願いします」

メリナ「わかった。マリカの言葉を、そのまま伝える」

メリナ「戦士たちよ。我が王、ゴッドフレイよ。導きに従い、よくここまで戦ってくれた。あの頂きに、巨人たちを打ち滅ぼし、火を封じよう。そして、はじめようじゃないか。輝ける生命の時代を。エルデンリングを掲げ、我ら黄金樹の時代を」

メリナ「どう?」

マネージャー「助かりました」

お礼をもらってメリナは満足そうに消えていく。マジでこの子は何がしたいのかさっぱりだぜ!でもマネージャーには何か有益だったらしくて「なるほど…」なんて言いながらウンウン唸る。それもすぐ終わって「あとで考えます。今は先を急ぎましょう」って休憩の終わりを宣言。ケツマンえぐってようやく3分休憩だから、メシ休憩を挟むのには何回エビにウリこなさなきゃいけないのか考えるだけでも、治ったばかりのケツが疼いて感じまくり。

教会から出て今度は道なりに進むと、さっき沿って歩いてた崖を、なだらかな坂から攻めることに。途中で野良犬に襲われたけど、モーグウィン王朝のマジ狂い犬に比べたらなんてことなくて、マレニアが刀をひと振りするだけで即逝き。でも更に進むとケイリッドで見たようなデカ犬に遭遇!しかもコイツもエビと同じく冷凍仕様だ。エビと同じならコイツらもオレのケツマンを狙ってるはず。ブライヴとマレニアもそれが分かってたのか、オレ達をその場に待たせて二人で突撃。犬がこっちに気づく前に後ろから襲いかかって、大剣と刀で斬りまくり刺しまくり、犬はビビって転けまくりでろくに抵抗させずに撃破。やっぱり強い!オレはブライヴに駆け寄って脚に股間を擦り付けようとしたけど、途中でブライヴが口の前に指を立てて静かにのポーズ。

ブライヴ「陣地がある。それも、まだ兵がいるようだ」

このチョー寒い夜に外で見張りをやってるなんて正気じゃねえぜ!ブライヴの指差す方を見ると、ボロボロに木で作ったいくつもの柵の間を、デカい松明を持った赤い服の連中が歩いているし、遠くにはデカハンマーを持ったデブもいて、かなり警備が厳重。やっぱ滅びの火って言うだけあってガードも硬いな。なんて考えてると、ブライヴが提案。

ブライヴ「オレが奴らを釣り上げる。奴らを十分に引き付けたなら、水鳥乱舞を叩き込め」

ブライヴ「拓也とマネージャーは柵に隠れていろ」

拓也「ウッス!」

作戦が決まってマネージャーからもGOサインが出ると作戦開始。ブライヴは背中に巨大な大剣を納めながら、決して脚を緩めず、スピードを上げて敵の陣地を駆け巡る。どんなに相手に武器を振り回されても戦わない。それからただひとつ向かうべきマレニアにまで走り込むと、「今だ!」って叫んでジャンプ!ブライヴの後を追っていた連中に向かって、回避不能の水鳥乱舞がぶっ込まれると、20人以上?30人以下?の敵が一気にミンチになってあたり一面に散らばる。チョーグロい!マネージャーも流石に「うっぷ!」って返事のように元気よくゲロを我慢する。

マレニア「…敵とはいえ、一度にこれだけ斬ってしまうと、堪えるな」

ブライヴ「破砕戦争を思い出すか?」

マレニア「少しばかりな。…いや、先を急ごうか」

一瞬気まずい空気が流れかけたけど、ただそれだけで済んだマレニアと一緒に空っぽの陣形を進む。もういちいち凹まなくなってきてて嬉しいぜ!オレはさっきの光景がグロすぎて胃袋が凹んで戻しそうになってるけどね(笑)マレニア本人が一番思ってるだろうけど、心と体の両方に↑を仕込んでくれたラダーンには本当に感謝だ。

マネージャー「…この状況で言うのもアレですけど、狭間の地の空も青いんですね…」

ブライヴ「ん?ああ、夜はな」

空にはバカデカい月が上がってて、その反対方向には黄金樹がそびえてる。そんな夜空を見上げると、オレ達の世界の夜空みたいな暗い青色が広がっている。すっげー綺麗だって感動してたら、ビルみたいにデカいガイコツを見つけてマジ狂い!「うおぉーっす!」って驚愕とともに尻餅をつきかけたところに、マレニアから補足が入る。

マレニア「あれは巨人の骸だ。遥か昔、巨人との大戦では、あの巨躯が武器をたずさえ、ゴッドフレイ王と対峙していたのだ。拓也はケイリッドでも見たことがあるだろう?」

拓也「スッゲー…デッカ…」

マネージャー「いくら巨人って言っても、限度がありますよコレ…ちょっとした島レベルの大きさですよ…」

マレニア「フフッ、島か…確かに今は、彼らがこの地の礎だ」

先を急ぐ雪中行軍の中、少しだけ海外旅行気分を味わう。慣れて麻痺してたけど、よく考えたらオレってすごい体験してるんだよな。チクショー、携帯の充電があるうちにもっと写真撮っとくんだったぜ!そんな気分で崖から伸びてるチョーデカの極太鎖の上を慎重に渡っていく。こんなにたくさん金属使って作るのが鎖ってマジかよぉ!フツーに橋とか架けとけよな!って心の中で愚痴を言いながら、渡り切るのにそこそこの時間をかけて終了。でも渡り切ったあとには、鎖の橋なんてどうでもよくなるような激キマリのヤバ光景が広がっていた。

マネージャー「うそ、ここ行くの…?」

渡った先の雪原には、端っこの崖ぎわまで巨人の冷凍ミイラが立ち往生してて、その死体の周りをデカカラスとデカ犬とトロル?雪男?みたいなのがフラついてる。しかも遠くで乱闘までしてて、肉と肉とがぶつかり合う音がこっちまで響いてきてる。こんなところ進んだら一瞬で拓也はトロルのオナホになっちまうぜ!ブライヴも流石に引き気味で顎の下をポリポリ掻いて黄昏れる。マネージャーは地図を見直すけど、やっぱりこの道を行くみたいで「うーわ…」って言って固まった。

マレニア「進むしかないのなら、左手側の岩壁に沿うべきか…」

マレニア「幸い、紛れられる夜陰もある。見つからぬことを祈ろう」

こんな夜に、こんな寒さでパニックホラーなんてマジ信じらんねー!こんなジュラシック・パーク状態でもマレニアとブライヴならどうにかなると思うけど、オレとマネージャーは見つかった瞬間に歯クソになっちまうぜ。なんて怯えてたんだけど、意外と見つかんなくてスイスイ進んじゃって拍子抜け。そのままヤバそうなところを歩き切った。

ブライヴ「あっけなかったな…」

マネージャー「運が良かっただけですよ…」

デカブツまみれの場所を抜けたあと、崖を跨ぐ太い鎖をまた歩いて向こうに渡る。女王マリカって鎖好きの緊縛フェチなのかな?なんて妄想してるとマネージャーからも質問。「ここの大きい犬には首輪が付いてますけど、もしかして元々はマリカの軍の……いえ、聞いてる場合じゃないですね」「そうだな」ブライヴはそっけなく答えてから、脚をピタッと止める。オレも慣れっこだから、こうやって誰かがいきなり足止めてギン眼になってると嫌な予感がしてくる。あー、見たくない!でも時間はかけていられないから、仕方ないけどブライヴの視線を追っていく。

そしたら遠くの、ラダーンの2倍はデカい山脈ガタイのクマ系巨人と目があった。デカい!ありえないくらいデカい!こんなのがいてよく山が崩れねーなって思うくらいデカいそのクマ系はギン眼でオレたちを威嚇しながら、家ひとつ分はありそうなデケー鍋蓋を引きずっている。

255名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/12(日) 11:51:07 ID:cI0CeQ5Q

拓也「デカ…えっ? デッカ…!」

マネージャー「巨人って、確か滅んだはずじゃ…」

10秒?1分?30秒?どれだけ時間がたったかわからない・・・
突然「おおおお!」という吠え声が遠くから聞こえ、「お前たちは遠くに逃げていろ!」という雄叫びとともにブライヴは大剣を抜いて、マレニアも折り畳んでた刀を展開。オレ達が逃げると同時に、巨人がデケー鍋蓋を両手で掴んでドジョウ掬いみたいな体制に入り、間抜けなポーズに比べて相当エゲツないことをしてきそうな気配を出してくる。走りまくりながらブライヴとマレニアがいる方向にチラッと視線を向けると、巨人は思いっきり雪を掬って、大量の雪崩れが二人を覆い尽くした。

拓也「うわ!飲まれちまったぜ!」

マネージャー「いいえ、まだです!」

マネージャーが言う通り、二人はギリギリで雪崩れを飛び越えてたらしくて、巻き上がる雪煙の中から二人が見える。それから二人は同時に走り出して、先にマレニアが巨人の足元に到着。でも巨人の脚を斬らずに股下を走り抜けるだけで、巨人もマレニアを追ってキョロキョロ。そしたらブライヴも巨人に到着して攻撃開始だぜ!ブライヴが思いっきり大剣を振り回して巨人の足首に何度も何度もバキバキに叩きつけて、マレニアからも強烈な突きが放たれて巨人の脚を犯していく。凄まじい斬りっぷりにここまで音が聞こえてくるけど、巨人はそんな二人をアリを前にした小学生みたいに踏みまくり蹴りまくり。マレニアは全部かわしたけどブライヴは剣で蹴りを防いでぶっ飛び、雪の中に埋まる。

マネージャー「これ、効いてるんですか…?足首に爪楊枝を刺してるようなものでは…」

拓也「爪楊枝でも貫通させればイケますよ!」

マネージャー「中々エグいこと言いますね」

無力なのを良いことに観戦モードで戦いを眺めてると、雪山から飛び出してブライヴが復活。二人で巨人の足首を攻めまくると巨人がローリングして雪崩みたいな音を立てながら二人から距離を取って、鍋蓋を両手で持ち上げる。「ヤッベー!」オレが言うよりも速く、巨人は二人に向かって鍋蓋を振り下ろす。

そこでマレニアが新テクを開発!ブライヴを一瞬でお姫様抱っこすると大ジャンプして、ビルが崩れるみたいな衝撃で叩きつけられてきた鍋蓋を回避。そのあと空中でブライヴを左手に抱え直してから水鳥乱舞!空中でくの字に曲がって無防備な巨人の頭に接近したあと、二人の連携攻撃で巨人の片目を即逝きさせ、叫ぶ巨人の身体を伝って駆け降りた。スッゲー!いきなりの高速戦闘に、進撃の巨人の豪華声優陣によるフルボイスが聞こえてきそうになる。

マレニア「片目を潰した!見えぬ方に回り込むぞ!」

着地した二人が巨人の足元で駆け回ると、巨人は二人を見失って適当に足踏みしまくり、鍋蓋振り回しまくり、髭振り乱して吠えまくりの完全錯乱状態に落ちる。そこからブライヴの氷の剣が巨人の足首に炸裂すると、足首にグルグルに巻かれてた骨と毛束がぶっ飛びバラバラ。無防備になった足首にマレニアからの突きがぶち込まれて貫通。そのまま剣に力を込めて、ボキボキと音を立てながら巨人の足首をレイプ!巨人にも「あーっ!おううぅす!」って雄鳴きが入ると、マレニアはそのまま力任せに剣を振り抜いて、バキャッって音を響かせながら足首を解放骨折させた。

マネージャー「うわ、ホントに爪楊枝貫通させましたね…エグい…」

拓也「ウッス!これでもう動けないっす!」

マレニアの足首責めはまだ終わらない。足首の骨をぶっ飛ばされて粉々にされた巨人が、痛みでフラフラになっているところに、マレニアは水鳥乱舞を放つ。目標はぐちゃぐちゃになってる足首だ。肉と皮で繋がってる足首に乱舞が当たると「あーっ!はーっ!」って巨人がまた雄鳴き。水鳥乱舞は巨人の足首の肉をあたりに撒き散らしながらさらに細かくスライスしていって、遂には足首から先を斬り飛ばしてそこら辺に転がす。強いぜ!エグいぜ!

そこまで下半身を責めまくったせいか、巨人の膝が体重に負けてメリメリと音を立てながら骨折。逆方向に折れ曲がって巨人が両膝を雪原に着く。巨人はまた髭を振り乱して雄鳴きしたあと、折れた足首を掴んでブルブル震える。

ブライヴ「勝負あったか?」

マレニア「いや、気はまだ抜けない。まだなにか…」

何か言いかけたマレニアの前で、巨人は膝から下を思いきり千切り取った!
マジかよぉ!コイツ何してんだよ!オレが言う間もなく巨人はちぎった足を空に掲げて「ああ〜」って恍惚の声を出す。コイツは相当な変態巨人だぜ。マレニアとブライヴも襲い掛かっていいのか悪いのか分からなくなってて、中腰姿勢でタックル前のラグビー選手みたいにピリピリピクピクしている。すると掲げられた足が燃え出したと思ったら、巨人の盛り盛りの胸筋が開かれて目玉が出現。両手も真っ赤に燃えだす。

マレニア「そうか…悪神に供物を捧げたか」

マレニア「気をつけよブライヴ。もはや我らの敵は、悪神へと変わった」

スッゲー遠くにいるからマレニアがなんて言ってるのかほぼ聞こえないけど、ブライヴが耳をビンと勃たせてギン眼で威嚇してるし、悪神って言葉あたりがギリギリ聞こえて何が起こったのかをガタイで把握。またヤベー神様が相手かよ!もしかして滅びの火ってコイツなのかな?これだけデカい奴の炎なら確かに黄金樹も燃えるかもね。

256名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/12(日) 11:56:45 ID:cI0CeQ5Q

巨人はデカい目ん玉以外にデカい口も腹にできたみたいで、大きく仰け反りながら口から火山を爆発!黒いキノコ雲を上げながら大量の炎を辺りに撒き散らしてマジ狂い!オレとマネージャーは全身に鳥肌を立てて脱兎の如く逃走。端っこの崖近くの太い枯れ木にしがみついて、炎の雨の範囲から抜けたけど、ブライヴとマレニアには火の雨が降り注ぐ。

でも灯台下暗しって言うよな。二人は火の雨が降ってくる前に巨人の背中に回り込んで、足元で身を屈めて雨をしのぐ。あたりは燃えまくり爆発しまくり、雪が溶けて湯気出まくりのサウナ状態で、そこに巨人の腹の口からのロウリュが入って、オレとマネージャーが逃げてきたところにまで温風が流れてきて全身汗まみれになる。「あっつい…」首元の布を取ってから、手で顔をパタパタ仰いでるマネージャーの隣で、オレはもう上半身裸になって乳首つまんで悶えまくり。あまりの暑さにサウナの中で激エロ放心してた時を思い出す。

マレニアとブライヴは俺たちがサウナを楽しんでる事もつゆ知らず、燃える手で殴りかかってくる巨人の拳をかわして、ヒットアンドアウェイで少しづつ巨人の全身を斬っていく。そしたら巨人がまたローリングして遠ざかり、両手からフワフワ浮かぶ火の球を出す。あんなの当たるわけねーだろって思ってると、火の球はラジコンみたいに二人をゆっくり追跡。その間にも巨人は炎をバンバン撃って来るから、ブライヴとマレニアは前から横から責められることに。火の球は近くに誰かがいると爆発する仕組みで、マレニアが剣で弾こうとすると爆発してマレニアを火で炙る。神人じゃなかったら今のでアウトだぜ!

ブライヴ「近づけん!左右から挟み討ちだ!」

ブライヴから作戦が伝わって、マレニアとブライヴが反対方向に駆けて巨人の左右に回り込む。そしたらまた巨人はローリングして距離を取ってから、デカい口から炎の海を流してくる。マレニアは炎をジャンプで避けたけど、今度はブライヴが避けきれなくて、扇状に広がっていく炎にジャンプ寸前の足先をやられて、跳んで雪に突っ込む頃には片足を火傷していた。巨人の火の海はこっちに来る頃には消えていて、それでも温風だけはブワっと送り込んで来るから、オレはとうとう競パン一枚だけになって雪の中に大の字ダイブ。マネージャーも鎧を脱いで胸元をはだけさせてハァハァ悶える。

一方そのころ、マレニアとブライヴは延々と続く巨人との鬼ごっこに翻弄されて、ろくに巨人を斬れなくなっている。繰り出される火の球、フワフワ火の球の雨あられに、なんか地面から火柱を噴き出す技まで出してきて巨人はもう全身活火山状態でいよいよ近づけないぜ。だからブライヴもマレニアも走りまくって、巨人を一度斬っては怒涛の炎攻撃のコンボから逃げ回ってる。これじゃあマレニアが大丈夫でも脚を怪我してるブライヴがヤバいぜ!そう思ってるオレはマネージャーと雪合戦を楽しみながら熱を冷ましつつ、ひとりガタイでの分析をしている。

そしてマネージャーからの雪玉を乳首で受けて「あん!」と鳴いた瞬間に新テクを開発!
一瞬一度の接近で大ダメージを与えるにはこれが一番だぜ!
プランを思いついたオレは雪まみれの全身を走らせて少しだけ戦場に近づいて、大声を張り上げた。

拓也「エビだぜ!!ブライヴ!!」

オレの言葉にハッとしたブライヴは、火傷を押して全力で巨人にダッシュ。マレニアも何かを察して巨人の正面に立って水鳥乱舞の構えを取る。巨人の注目は目の前のマレニアに集まって、炎の拳がマレニアに振り上げられた瞬間に

火の巨人「うーっす!!!」

ブライヴのカチカチに凍った大剣が、巨人の褌の隙間に突っ込まれ、ケツマンに根元まで捩じ込まれた。
胸のデカい目ん玉にグルンと白目剥かせて、ビクビクと痙攣を始める巨人。ブライヴが剣をさらに捻ると、こっちにまでメリメリと音が聞こえてきて、巨人の頭がビクビクと跳ねる。無防備になった巨人の前で構えを解いたマレニアも、巨人の後ろに回り込んでブライヴに手をかした。

257名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/12(日) 12:04:20 ID:cI0CeQ5Q

マレニア「このまま引き抜く!力を込めよ!」

ブライヴ「おう!」

二人が「ふん!」と力を込めると、ゴリュゴリュと音がして巨人の褌の間から巨人のアワビ肉が姿を現して「あーっ!おうううぅす!」って巨人も大きく雄鳴き。四つん這いになって必死に痛みに堪える姿勢に入る。ブライヴのガチガチに凍った大剣は、さっきオレの肛門を犯したエビの触覚なんかよりも凶悪に凍りまくってて、巨人のアワビ肉に霜を浮かび上がらせて強力にくっついている。二人から引っ張られてる大剣は半分くらいは抜けかけてるけど、伸びに伸びまくった巨人のアワビ肉を凍結で絡みつかせてるから、本来は抜ける距離まで引っ張ってるのに全然抜けてない。

マレニア「くっ…なかなかに抜けんな…!」

ブライヴ「引いて駄目なら押し込むまで!」

二人は今度は息をあわせて、伸びまくったアワビ肉が絡みまくってる大剣を思いっきり押し込む。「おうおうおお!!」それに合わせて巨人のガタイも前に振られて、剣を刺した肉の部分から滝のような血が溢れて大剣を真っ赤に濡らす。「効いてるぞ!」ブライヴが言うと「ならばまた引こう!」ってマレニアが提案。また巨人のアワビ肉が猛烈なスピードで引っ張られると、ビシって音がして巨人のアワビ肉の表面の粘膜が裂けた。

火の巨人「おうぐわああああ!!」

四つん這いのまま仰け反った巨人がケツをガクガクと震わせて上下の口から泡を吹き始めると、巨人アワビも全体から血を滲ませていって、その細かい傷口にも大剣の氷結が効いてるから、さらにヒビがビシビシ入っていって出血させていく。これはチャンスだぜ!オレは半裸のマネージャーも呼んで湯気が漂う雪原をダッシュ。巨人の体温で強烈なサウナ状態になり、汗まみれになってるマレニアとブライヴのいるところに到着すると、ふたりにガシッと抱きついた。

拓也「全員でピストンだ!」

マネージャー「なるほど、大きなカブですね」

大体やることが分かったマネージャーが「押して!」って合図を送ると、オレとマネージャーの他に、マレニアとブライヴも力を込めて大剣を全力プッシュ。更に奥深くに押し込まれた大剣の周りで血だらけのアワビ肉がデカい風船みたいに膨らむ。その膨らみも「引いて!」って声でオレ達が全力で剣を引くと、ギュンと引っ張られて雑巾搾りみたいに伸びて血を絞り出す。そのたびに「あああ!!ああああ!!」って鳴きが入って巨人の巨大な肉体が波打って痙攣する。ヤバいぜ!4対1の集団レイプになっちまったな!

マネージャー「押して!」

火の巨人「あーっ!!」

マネージャー「引いて!」

火の巨人「おぅううっす!!」

マネージャー「押して!」

火の巨人「おーっ!!うーっす!!」

神人、魔女の従者、風俗業マネージャー…そして競パン姿の拓也に、ケツマンを抉り回されて悶える巨人は、髭振り乱しまくり痙攣しまくり白目剥いて泣きまくりの、山脈筋肉マンコ奴隷に堕ちて、さらにスパートをかけるマネージャーの餌食になる。

マネージャー「全然抜けないので、今度はひたすら引きます!行きますよ!」

ブライヴ「おう!」

マレニア「いつでもいいぞ」

拓也「ウッス!いけまっす!」

マネージャー「じゃあ行きますよ!オーエス!」

それからは全員でオーエス、オーエス言いながら剣をグングン引っ張っていく。アンアン泣き喚く巨人の肛門から最初は3メートルぐらいしか伸びてなかった巨人アワビも、ガチガチに凍った大剣にベリベリ引っ張られていくと4メートル、5メートルと伸びていって、これもう内臓だろってオレが心の中で突っ込むけど、まだまだ剣は抜けません。

拓也「オーエス!」

ブライヴ「オーエス!」

マレニア「オーエス!…オーエス?」

マネージャー「引けという意味のオーイスという言葉が訛ったものです!元々はフランスという国の言葉ですね!オーエス!」

マレニアをまたひとつ賢くしたマネージャーと一緒に、一心不乱に全員で「オーエス!オーエス!」言いながら血まみれの巨人アワビを引き伸ばしていって、ついに巨人のアワビを捻り出していた肛門が決壊。「おおおおぉぅぅうううぅっすうぅぅぅっ!!」というひときわデカい雄鳴きと同時に、伸び切ったアワビに引っ張られて巨人の内臓が出産されてダウン。ケツアナからの血の川で内臓を流しながらピクピク痙攣する巨人に、あの白い煙が立ち昇る。

ブライヴ「やっと倒れたか…しかし、これは流石にむごいな」

マレニア「あのまま戦えば、こちらが危うかったのも確かだが…同じく死なせるにしても、これではな…」

マネージャー「まったく、拓也もひどい作戦思いつきますよね」

さっきまであんなに心をひとつにしてたのに、ブライヴは巨人の死体に引いてるし、マレニアは反省モード、マネージャーはSの入った目つきでオレをジロっと睨むしで、またこういう流れかよ?オレのことを翻弄するなよな!オレもこんなにグロい勝ち方になるとは思ってなかったんだよね。「ところで貴公ら、鎧はどうした?」ってマレニアが尋ねてくるから、オレとマネージャーは急いで鎧を脱いだ場所に走る。雪原がまだ暖かいうちに着ないと、汗が冷えて風邪引いちゃうからな!


ケツマンをほじくり尽くすことで巨人を倒してから、拓也一行はマネージャーの地図を頼りに滅びの火の窯に向かう。マネージャーが言うにはさっきの巨人も滅びの火じゃなくて、ホントの火は窯の中で燃えてるらしい。それで見たら、マジでデカい窯が山に置かれてるだけで笑ったぜ。火山とかの例えじゃなくて本当に窯なんだなぁ。窯からはまた極太鎖が伸びてたから、四人でそこを渡ると窯の縁に到達。覗き込んだら、窯の底で白い灰に埋もれて燻ってる火が見える。

マネージャー「あれが滅びの火…見た目は普通の火に見えますが、消えかけてますね…」

マレニア「あの火で、本当に黄金樹が燃えるのだろうか…」

ブライヴ「手遅れだったか?」

マネージャー「いえ、そんなはずはありません。伝承によれば、この火は消えることがありません。そのはずなんですが…」

おしゃべりしながらデカ窯の縁を歩いていくと、マレニアが祝福を発見。こんなところにもあるなんて黄金樹も気が利いてるよな。まぁオレ達はその黄金樹を燃やしちゃうんだけどね(笑)それからはマネージャーが祝福を灯して全員で休憩。この火をどうやって黄金樹につけるかを考えてると、またメリナが現れる。「あら、メリナさん。今度は何の用ですか?」マネージャーが話しかけると、メリナも祝福の近くに座った。

258名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/12(日) 12:06:30 ID:cI0CeQ5Q


メリナ「狭間の地を、ずっと見てきた」

メリナ「この世界には、修復が必要だと思う…そして、分け隔てない死が」

メリナ「貴方達も、そう思うでしょう?」

マネージャー「え?ええ、それは思ってますよ。それだけでいいとも思えませんけどね。拓也もですよね?」

拓也「ウッス!思ってまっす!でもマネージャーも言ってましたけど、ちょっと方法が思いついてないんすよ」

メリナ「そう……あなた達は、どう思う?」

メリナに話を振られて、マレニアは静かに頷いて、ブライヴは「思ってなければ、ここまでは来んだろう」って鼻で笑う。「そう。その答えが聞けてうれしい」オレ達全員の答えを聞いたメリナは、掌を上にして手を差し出す。

メリナ「黄金樹を燃やしたいのなら、私の手に、貴方達の手を重ねて」

メリナ「まずは貴方から」

いきなり指名されたんで、こっちもすぐに返答する。「ウッス!」オレの手がメリナの手に重ねられると、「少しは悩みなさいよ…」って呆れ声でマネージャーが手を重ねてくる。その上からマレニア、さらに上からブライヴの手が重なる。

メリナ「…ありがとう。私を連れてきてくれて」

メリナ「…さようなら…」


メリナの言葉を最後に、オレ達は全員意識を失った。

259名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/12(日) 12:14:11 ID:cI0CeQ5Q

…はずだった!


メリナ「え?」

拓也「は?」

マネージャー、ブライヴ、マレニアの3人がいきなりストンと熟睡して、残ったのは拓也だけ。
いきなりのことでワケがわからなくて、試しにマネージャーをゆすっても反応無し、マレニアをゆすってもスースー寝息を立ててるし、ためしにズボン越しにブライヴの金玉を揉んでみたけど、嫌がるどころか耳までピクリとも動かさない。マジかよ!今ならブライヴをオレの筋肉玩具にできるかも!そう思って自分の乳首を弄くり回しながら調教プランを考えてると、メリナに声をかけられる。

メリナ「…どうして?」

メリナ「なぜ貴方は、眠らないの?」

そう聞かれて答えたのは、オレとは違う拓也だった。


狂い火の王「ウッソだろお前!コイツ馬鹿じゃねえ!?」

メリナ「あっ!?」

拓也「うぉーっす!?」

狂い火の王「ウッス!拓也っす!」

オレの隣に現れたのは、あの炎系拓也だ!
しかもメリナにまで見えてるみたいで、メラメラ燃えるもう一人のオレの頭が、メリナとオレを照らしてる。やられたぜ!コイツはずっとオレについて来てたんだ!何がなんだか分からないけどとにかくヤバいとしか思えなくて、オレは炎系拓也を組み伏せようとするけど、幻覚みたいに素通りして触れない。

メリナ「お前は、三本指…!」

狂い火の王「オレの炎がさぁ、黄金樹を燃やしたらどうする?新たなる時代の誕生か?」

メリナは懐から短剣を取り出して構えるけど、炎系拓也が「なんだよその態度はオォン?」ってメリナを指差すと、オレの体が勝手に動いてメリナを後ろから拘束。敵じゃなかったはずのオレにいきなり襲われてメリナも「な、何を…!?やめてっ…!」って暴れるけど、オレだってやりたくてやってるワケじゃねーよ!って反論。でも体は勝手に動いて、オレが着てる鎧からオレの手がロープを取り出して、抵抗するメリナをパキギメ腕力で抑えつけながら、亀甲縛りで拘束していく。

メリナ「や、やめて…んっ…!」

拓也「やめろって!こんなのオレの趣味じゃねーよ!」

狂い火の王「うるせーな!コイツを人間扱いなんてしねえよ!」

炎系拓也はオレの鍛え上げられたギリシャ彫刻系ビルダーガタイを使って、さらにメリナをキツキツに拘束していき、完全にメリナの亀甲縛りが完成すると、背中のロープの結び目を手で持って、メリナをチャーシューみたいに持ち上げて窯の外に放り投げようとする。「おおぉーっ!」オレは大声張り上げて必死に抵抗。水没プレイ中に水底で逝きかけてる時以上の必死さで、メリナを窯の外の崖下に落とそうとする手に力を込めて指を固定する。その指も大量の脂汗で滑ってくる。

メリナ「…私のことは、いい…!」

メリナ「貴方は、みんなを助けてあげて…!」

拓也「ふざけんじゃねーよ!遺言みたいなこと言うなって!」

吊り下げられたメリナが最期の言葉を残してくるけどそこは全力拒否だ。オレはここで終わらせるつもりはねーぜ!限界を超えた腕力でメリナを放り投げようとする腕を気力で抑えつつ、オレは走馬灯のように今までの経験を分析。メリナと出会った場所、メリナと話した内容を思い浮かべるけど何にも出てこねー!メリナを持ち上げてる手から指が一本外れる。オレはさらにガタイと乳首を総動員して全力走馬灯分析を開始。ドクドクと脈打つ脳内麻薬の中で、同じように円卓の個室の中で妄想遊びをした時の景色を思い出す。

あの時オレはマレニアの兜を被ってたんだ。
ヤバいキマりかたして、途中でマレニアが部屋に入ってきて、それから炎系拓也が現れたんだ。
それからマレニアの手を取って…

拓也「うーっす!」

限界を超えた思考の中で、ついにオレは新テクを開発!
今にもメリナを離してしまいそうな片腕を、もう片方の腕で掴んで引き寄せて、そのままメリナと濃厚Kiss!
メリナは驚愕の表情で目を見開いて、オレの目と視線を絡ませる。


「お前ノンケかよ!」


炎系のオレは、そう言って消えていった。
「弧゜ッ!」オレとメリナは同時にディープキスに喘いで
オレはメリナを両手で抱えて窯の縁にダイブ。ハァハァ息を切らして生還した。

メリナ「ゲボォ!」

オレが大の字ダウンしてる横で、メリナは亀甲縛り状態で口から大量のルーンを吐き出して悶絶。世にも珍しい空飛ぶ金色ゲロだぜ!オレだって女の子とキスなんて決して絶対にやりたくなったけど、人殺しになるよりはマシだ。オレってマジで紳士的だよな。だからオレは被害者なのに文句も言わずにメリナの亀甲縛りなんか解いている。

メリナ「まさか、霊の体でも…味と臭いを感じるなんて…思わなかった…」

拓也「は?霊?」

メリナ「言ってなかった?」

拓也「う、うっす」

マジかよぉ!あんなにメチャクチャ焦りまくって必死に助けたのに、もう死んでんじゃん!
助けて損したぜ。って思ったけど、あの瞬間に燃えるオレを追い払ってなかったらどうなってたか分からないし、結果オーライかも?まぁメリナから死んでることを前に教えられてたとしても、毎日ヤベー事が起こりまくるからイチイチ覚えてないけどな。

マレニア「うぅ…ん?私は…眠っていたのか…?」

予想外のトラブルに巻き込まれてる間に、マレニアが起きだして、続いてブライヴとマネージャーの目が覚めていって、全員寝起きの半ボケ状態で辺りをキョロキョロ。メリナは溜め息をつきながら祝福に座る。

メリナ「…厄介なことになったみたい…」

メリナ「これから私のする話を、よく聞いてほしい」

260名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/12(日) 12:21:00 ID:cI0CeQ5Q

メリナの話によると、オレは狂い火って奴に微妙に取り憑かれかけていて、メリナが窯の火を立ち昇らせる儀式をしようとすると、狂い火がオレのガタイを燃やして表に出てこようとするらしい。しかもその火が黄金樹を燃やしちゃうと取り返しがつかない大惨事が起きて世界が滅びるなんて聞かされてマジ狂い!ヤバすぎる話は今まで散々されたけど、イキナリ俺自身がヤバい話になって拓也の思考は完全にショート!マネージャーは黄金樹を燃やせなくなったことに頭抱えてるし、どうしてそうなったんだよ!ってメリナに聞くと

メリナ「イエロの瞳の吸いすぎだけで、狂い火を呼び寄せた人なんて、初めて見たわ…」

なんて言うから、今度はマレニアがマジ狂い!両手で胸ぐらを掴んできて「だからあれほどイエロの瞳に頼るなと言ったんだ!どうして君はいつも、ふざけてばかりいるんだ!どうして私の話を聞いてくれなかったんだ!」って、モロにミリセントの口調で涙目のガチ説教をキメてくる。ウッス!す、すみません!気持ち良くって…ってなんとか逃げようとするけど、胸元ではマレニアが顔真っ赤にしてプルプル震えてるし、ブライヴからの心底軽蔑したような冷たい目線が突き刺さって来て、一気に場の雰囲気が地の底に落ちる。

マネージャー「終わった…何もかも全部…」

拓也「え、いや、まだなんとかなりますよ!なりますって!」

マネージャー「なるわけないじゃないですか…この窯の火を、どうやって黄金樹に灯すんです?…何十キロも長い竹竿とか作って、先っぽに火をつけて黄金樹に向けます?」

マネージャー「それとも窯でも投げつけますか?…あの火を抱えて、黄金樹に登りますか?馬鹿馬鹿しい…」

マネージャーの呟きを最後に、そのまま5分くらい何も無い状況が続く。夜の雪山の中、風も無い窯の縁で、みんなで無言で祝福を囲んでるだけの、絶望的な雰囲気ですげーことになってるこの旅の一行の中で、オレは一人祝福から離れて乳首を捏ねて必死に策を捻り出そうとしている。でも今まで散々思いついてきて、オレの中の激エロアイディアはついに底をついていた。

結局オレも祝福に戻って、マネージャーの隣に座る。メリナも、マレニアも、ブライヴも一言も喋らない。あまりに沈鬱な空気に拓也は謝ることもできなくて、誰も「円卓に帰ろう」とも言えない。あーあ、オレがあんなキメモノにハマるからって後悔も口に出来ない。そんな中で軽く風が吹いて来て、黄金樹から葉っぱが一枚降ってくる。マネージャーの足元に落ちた葉っぱは、マネージャーにクシャクシャに丸められて窯の穴に投げ込まれた。

そこでオレの空っぽになった頭に、マネージャーの言葉が煌めく。
「それとも窯でも投げつけますか?」言葉は空っぽの頭を跳ね返りまくって


拓也「うーっす!」

新テクを編み出すスイッチを強引に押し込んだ!
オレは咆哮と共に新テクを開発!急にオレが叫んだことにみんなもビクッと顔を上げてたから、オレはその一人のブライヴに新テクを耳打ち。そしたらブライヴもそのテクに衝撃を受けたらしく数秒間放心。そのあとに急いで祝福に触って姿を消した。これでオレの新テクは完了したぜ。

マネージャー「拓也?…あなた、何をしようとしてるんです?」

マレニア「何もかも、終わってしまったではないか…何を、いまさら…」

ガックリ落胆してる二人に「大丈夫っす!オレ自信あるんですよ!」って言っても全く信じてくれなくて、メリナなんか目線ひとつよこさない。夜も白み始めて、青くて暗いだけだった空にも、少しづつ雲が流れてくると、マレニアとマネージャーも朝日が差す方向を見る。それからマネージャーは眼をカッと開いた。

マネージャー「ま…マレニアさん…マレニアさんちょっと…!」

マネージャーに肩を揺すられて、マレニアが目元に手で影を作って、登る朝日を凝視。
それから「あぁっ!?」って驚愕声を上げて立ち上がったから、オレのテクの正体に気付いたようだぜ。良いぜ!その極上の驚愕顔で、オレもテクを開発した甲斐があるぜ。メリナもマネージャーと一緒に朝日に釘付けで、マレニアは立ったまま左手を胸元で軽く握って、感無量の涙を流す。


ブライヴ「連れて来たぞ!拓也!」


朝日を浴びながら飛んできたのは、あの星砕きのラダーン!
ブライヴを肩に乗せて紫の光を全身から放ちながら、こんな時でも痩せた馬に跨ってるのは相変わらずだぜ。
「窯から降りろ!ここからは将軍の独壇場だ!」ブライヴの言葉を聞いたオレ達は嬉々としたテンションで窯の鎖を駆け降りる。それを確認したラダーンが右手を窯に向けると、窯についた極太の鎖がビンと張り詰めて積もった雪を跳ね飛ばし、地響きと共に大量の瓦礫を滝のように落としながら少しづつ空へ上がっていく。とんでもない光景を見てオレとマネージャーとメリナは、はじめてスペースシャトルが飛んだ瞬間の観光客みたいな放心顔を浮かべる。その中でひとり、マレニアだけが潤んだ瞳でラダーンを見つめていた。

ラダーンが雪山を揺るがす大声で吠えると、持ち上がった窯が一気に加速。
そのまま黄金樹にぶち当たって、耳がおかしくなるくらいの爆発音を響かせながら粉々に砕け散り、黄金樹に巨大な炎が灯された。

261名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/12(日) 12:28:45 ID:cI0CeQ5Q


【フィスト貫通】


圧倒的なバワーで黄金樹を炎で包み終わって、ラダーンが雪原にゆっくり降りてくる。
「やっぱりデカい!」オレからの賞賛の言葉にもラダーンは動じることもなくて、代わりに痩せ馬くんが頭を上下に振って喜ぶ。「まさかこんな手があるなんて、私は思いもしませんでしたよ…」って半笑いのマネージャーに、ブライヴも

ブライヴ「ああ、俺もはじめは拓也の正気を疑ったが…」

ブライヴ「いや、本当に狂っているかもしれんが、確かにこの手しか無いとも思えてな」

って、ラダーンの肩から飛び降りて応える。ことあるごとにオレをバカ扱いするなよな!これでも大学はちゃんと出てるんだぜ!世界救ってやらねーぞ!メリナは燃える黄金樹を見ながら何やら考え中で、マレニアはラダーンを見上げて、ラダーンの極太の人差し指に両手を添える。

マレニア「ラダーン…まさか、貴公が来てくれるとは…」

マレニア「…ありがとう…また貴公に、借りが出来てしまった」

マレニアからの潤んだ瞳の熱視線にも、ラダーンは澄んだ瞳だけを返して静かに頷く。マレニアはラダーンに対して思うことがありすぎるけど、ラダーンはまるで「相手の心の傷には触れないのがエチケット」って感じでいてくれる。それとも自分が激つよのモロ英雄だから矜持がチョー強いのかな。

マネージャー「ラダーンさん、いえ、ラダーン将軍。私からも深く感謝を申し上げます。将軍のご活躍により、私たちも活路を見出せました」

ラダーンに深々と礼をしてから、マネージャーはオレ達に向き直る。「これで黄金樹の入り口は通れるようになったはずです。今すぐに王都に向かいましょう」って言ったところで、メリナから待ったが入って話が中断。

メリナ「いえ、まだ黄金樹には入れない」

マネージャー「なぜです?黄金樹の棘はこれで焼かれたはずですが」

メリナ「黄金樹には、たしかに滅びの火が灯った」

メリナ「でもそれだけでは、黄金樹に死をもたらすことはできない」

メリナ「死のルーンが、もたらされていないから」

ここで拓也の思考は再びショート!死の修復ルーンはギデオンに持ってかれたし、それで死のルーンとか言われても、オレは死のルーンと死の修復ルーンの違いが分からなくてマジ頭おかしくなり、乳首を再び弄り回してガタイ考察を始めるも不発。マネージャーもこのことが気になったみたいで、メリナに質問を飛ばすと、メリナの代わりにブライヴが答えた。

ブライヴ「死のルーンは、黄金律から除かれた死の理だ」

ブライヴ「そして死の修復ルーンは、女王マリカが求めた、律に回帰する死を指す」

ブライヴ「律から除かれた死は、二度と律には戻らんが、律に回帰するために生じた死は、律に戻り得るのさ」

ブライヴからの説明でなんとなく理解できた感じがして、オレの思考回路も元の激エロぶりを取り戻す。ものを噛み砕いて分かりやすく説明できるブライヴって、学校の先生になれるかも。「ということはつまり、律に戻らない死のルーンを入手して、その死で更に黄金樹を攻撃する必要があるというわけですね?」マネージャーからのこの問いにはメリナが答える。

メリナ「そうよ。…でも、それも難しくなってしまったわ」

メリナ「拓也が、巫女の犠牲を阻んでしまった。火の幻視を宿す私が、窯の種火にならなければならなかったのに」

マネージャー「え?あの、何の話をしてるんですか?」

またメリナがわけわかんねーこと言い出したと思ったら、すぐに「私の魂を火の窯に焚べていれば、贄は正しく捧げられて、あなた達は死のルーンへの導きを得られたのに…」とか心底残念そうに言ってくるから、「生贄とか聞いてねーよ!ラダーン呼んどいてよかったぜ!」ってオレが抗議すると同時に、マネージャーとマレニアからもメリナに厳重注意が飛ぶ。「そんなことさせられませんよ!やめてください!」「軽々しく己を投げ打ったところで、貴公の周りの者が苦しむだけだ。貴公もそれを、充分に知り得ているはず」でも二人の注意にもメリナは不服そうだった。ガキってこういう時に頑固だぜ!

マネージャー「とにかく、生贄なんて絶対ダメです!大義のためなら何をしたって許されるんだろうとか、そういうことを考えだしてもロクな事にはならないです」

メリナ「でも貴方達は、死のルーンの導きを得られていない。死が置かれし場所、ファルム・アズラに、導かれていない」

マネージャー「待ってください、今ファルム・アズラって言いました?」

メリナ「ええ」

また聞いたことの無い単語が出てきて、マネージャーになんすかそれって聞く。「大昔に隕石によって破壊された古代遺跡です。かつては獣人たちや竜たちが住んでいたようですが、今はもう存在しない場所のはずです」って知識が提供される。もう存在しない場所に行くなら、マジでデロリアンでも無いと無理じゃん。もしかしてそこに行くためにメリナが犠牲になろうとしたのかな?でもなんでそうなってんの?なんて考えながら小さな気付きを発見。「獣人が住んでたってことならさ、ブライヴに聞けば良いんじゃねーの?」って提案するも、ブライヴ本人に「知らんぞ、そんなもの」って呆気なく流される。

メリナ「ファルム・アズラは、消えてはいない。壊れゆく時の中、その狭間に、今も浮かんでいる」

メリナ「その地を故郷とする獣、黒き剣のマリケスが、死のルーンを持っている」

メリナ「けれど、ファルム・アズラにはもう行けない。崩壊を阻む時のひずみが、運命が、貴方達を拒む」

メリナ「なにか別の手があればいいけれど…」

マネージャー「別の手って……」


マネージャーが途方に暮れかけたところで、手が差し伸べられる。
差し出したのはラダーンだ。

262名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/12(日) 12:33:31 ID:cI0CeQ5Q

しゃがんで白い雪原に右掌を置いて、猫に餌でもあげそうなポーズだけど、ラダーンの眼は怖いくらい真剣だぜ。「貴公とはいえ、時を超えるなど、無謀ではないのか?」マレニアに心配の眼を向けられても、「いくら貴方でも、出来るとは思えない」メリナに忠告されても、ラダーンの瞳はマジのままで揺るがない。良いぜ!乗ってやるぜ!ベロチューにはベロチューを。申し出をされたら断るわけにはいかないしな!オレはラダーンの掌に乗ると上腕をあげてガタイを強調。準備万端の意思を示して、ラダーンの重力を全身に受けて浮かび上がる。

マネージャー「たっ、拓也!?本気ですか!?」

拓也「ウッス!オレは行きまっす!ラダーンを信じますよ!」

オレの男らしい判断は流石に思いきりすぎたみたいで、マネージャーもブライヴも二の足を踏んで互いを見やって、伸るか反るかの二つにひとつのシチュエーションに怯んでる。そんな中、マレニアがラダーンの手に触れた。

マレニア「…私も、ラダーンを信じよう」

マネージャー「あなたまで……時間を超えなきゃいけないんですよ?」

マレニア「たしかに無謀かもしれない。だが私は、そのラダーンに救われた」

マレニア「私は、此度こそ信じたい」

マレニアも全身に紫色の光を受けて浮遊。ラダーンの右肩に乗せられる。
そしたらブライヴも諦めがついたみたいで「まぁ、二の足を踏むうちに、ギデオンに先を越されるかもしれぬからな」ってラダーンに触れて、重力バワーで左肩に引き上げられる。そこまできてマネージャーもやっと観念。「こうなったら、私も行くしかないじゃないですか…」って嫌々ラダーンの手にタッチ。バツの悪そうな顔で重力に包まれてふわりと浮き上がる。

メリナ「そう…貴方達がそう望むのなら、私も止めない」

メリナ「でも、どうか覚えておいてほしい。火の幻視が捧げられなかったファルム・アズラは、貴方達を受け入れていない」

メリナ「触れることも、見ることも、辿り着くことさえ、できないかもしれない。四鐘楼の道も、遥か昔に壊れてしまった」

メリナ「きっと過酷な旅になる。気をつけて」

拓也「ウッス!過酷なプレイには慣れてまっす!地図も持ってるんで、行けますよ!」

オレがダブルバイセップスでガタイを強調すると、オレ達の体が更に高く浮き上がってから、下の方に見えるラダーンも全身に重力をまとって地面と水平に身体を傾けて浮遊。オレ達は降ろされてラダーンの背中に乗る。それで気付いたけど、お前まだ背中の槍抜いてないのかよ!強がるのも大概にしろよな!「あの、槍刺さってますけど、いいんですか?」ってマネージャーもラダーンに聞くけど、モサモサの赤い髪が上下にブワッて動いて意思表示終了。

呆れた感じでマネージャーが槍に掴まったから、ブライヴとオレも槍にしがみつくけど、マレニアはずっと「傷が開くんじゃないか?」とか「本当に痛まないのか?」とか「マントに掴まるのでは駄目なのか?」って何度もラダーンに確認を取る。ここまで来て女々しいこと言ってんじゃねーよ!最後には業を煮やしたラダーンに重力魔法を使われて、体を槍に引き寄せられてビッタリ拘束されたから笑ったぜ。マレニアが窮屈そうにしているところに、痩せ馬クンがラダーンの背中の真ん中に座って準備が完了。「ウッス!行けます!」オレの合図と共に、ラダーンの全身から紫色の光が迸って、オレ達をドーム状のバリアで包む。こんなのファーストクラスのチケット買っても絶対体験できないぜ!

ラダーンはオレ達を乗せた状態で空に上がっていって、輝く水平線に体を向けて光を強めていくと、バリアの表面に紫色の稲妻が走る。「ウッス!行ってきまっす!」加速でぶっ飛ぶ前にオレがメリナに手を振ると、メリナもオレ達に手を振ってくれた。ラダーン空港、滅びの火の窯⇒ファルム・アズラ便のフライト開始だ!

263名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/12(日) 12:43:21 ID:cI0CeQ5Q

「座席とシートベルトと壁があるといいんだよね。だってさぁ、とんでもない振動と突風に襲われてオレ達がかわいそうじゃん!」なんて言いながら、オレは生きて帰れるのかどうかがやっぱり気になる。一応重力のシールドでそれなりに風と振動は防がれてるけど、ラダーンクンは決して絶対にスピードを緩めたりなんかしてくれない。だからオレ達は揺れまくって、風に吹かれまくって両脚なんか浮かせてる。
重力で若干体が固定されてなかったら今頃宇宙にぶっ飛び射精コースなりね。スヤスヤ寝てる痩せ馬くんだけは揺れも風も完全カットされてて、良いご身分だよな!単なる「ペット」として本命クンに愛されたオレとは大違いだ。

マネージャー「まだ着かないんですか!?」

大声で話してるんだろうけど、爆発みたいな強風で耳がおかしくなってるからほとんど聞こえない。「何が!?」「まだ着かないんですかって言ってるんです!」「俺に聞くな!」ブライヴとマネージャーの応酬に、ちょっとだけ余裕があるマレニアが「地図は見られるか!?」って返す。「見れるわけないでしょ!」マネージャーの大声に耳をピクっとさせる馬の声が、拓也の心に聞こえてくる気がする。「円卓の騎士達は弱いな!私を見ろ!将軍が守って下さるぞ!」チクショー、馬ごときが勝ち誇ってんじゃねーよ!って乳首をうねうね動かして反論するけど、馬は眠ったままで、ラダーンがスピードを全く緩めずに旋回を始める。そこでオレの口マンが限界を迎えた。

拓也「ぐぐ、グボグボ!」

マネージャー「あっ!?」

ブライヴ「うわ!馬鹿!」

拓也「弧゜ッ!」

マレニア「待て!」

強烈な酔いと激エロな横Gに内臓を掻き回されてゲロを噴出する拓也。窯の上でつまんだ溶けかけの蟹が猛スピードで全員の顔に降りかかる。でもゲロはラダーンの重力バワーによってみんなの顔に激突する前に停止。そのまま空中をおよいで、オレの口へとゆっくり戻っていって舌にまとわりつき、喉をトロトロと通過していく。

拓也「あーっ!あーっ!ガポッ!あーっ!」

自分のゲロを強制的にゆっくり飲まされて、白目剥いてビクビク痙攣しながらマジ狂いしてる拓也に「…むごい…」「哀れ…」ってブライヴとマレニアからの同情の声が寄せられる。そんな中でもマネージャーはなんとか地図を開いたみたいで「今どこですか!?」ってラダーンに聞く。すると地図に重力の光が集まって赤い点になった。ラダーンってなんでもできるよな!

マネージャー「えっ!?ここですか!?通り過ぎてるじゃないですか!?」

ブライヴ「なにっ!?」

なんかとんでもない事実が発覚したらしいけど、オレは自分のゲロの悪臭に意識がぶっ飛び射精したあとに、そのザーメンも尿道を伝わって精子袋に戻されるという高度な尿道ファックを体験させられてマジ頭おかしくなり、それどころじゃないっ!ケツマンから漏れ出したウンコも重力で逆流して内臓も大混乱で、ラダーンの重力に拓也の全身が犯されるっ!こんなのありえない!

マレニア「ラダーン!貴公、道を間違えたのではないか!?」

マレニアの言葉にラダーンも焦ったのか、飛行スピードはそのままで重力のバリアが強くなって、風と揺れがチョー軽減されてほとんど無くなる。みんなの足がラダーンの背中につくと、それと同時にオレもラダーンの背中に手をついて、抑えられていたゲロとウンコとザーメンの花を咲かせようとする。でもラダーンの精妙な重力操作で全ての穴を抑えられて逆流。全身窒息プレイのあまりの苦しさに「カパッ」って泡が弾けるみたいな鳴きを上げて海老反り痙攣になる。「拓也、気をしっかり持て、息をするんだ」ってマレニアが背中さすってくるけど全然効かない!ファルム・アズラに着く前にオレが逝っちまうぜ!

マネージャー「ふう、だいぶ楽になりました。ですが途中でファルム・アズラらしき建物は見掛けませんでしたし、弱りましたね…」

ブライヴ「導かれる運命に無い者は、辿りつけぬのだろう?やはり、無駄だったのかもしれんな…」

マネージャーとブライヴは腕組んで考えるのはいいけど、オレの事も心配してほしいんだよね。多分この状態が何十分も続いたらこの激しすぎる苦しみは命と共に終わるぜ、と思いながら、あー、意識が遠くなってきてマジに気持ちいい。するとラダーンがようやく瀕死のオレに気付いて重力で持ち上げてくれて、拓也の服を脱がせながら海の上に浮かべた後に、全身の穴を塞いでいた重力を解放して溜まったモノを全弾発射。下に広がる海にウンコとゲロとザーメンが消えていく。こういう時に「ハハハ、おいおい、なんだよあれは」ってブライヴは指差してバカにしてくるからムカつくぜ!マネージャーとマレニアみたいに哀れみの目線だけで我慢してくれよ。

マネージャー「はぁ…どうしましょうか。こうしてる時間も無いのに…」

そうマネージャーが言った瞬間だった。
全てを出し切ったオレはビュンと飛ばされて、空中に浮いた服にスポッとハマって、勢いのままラダーンの背中にべったりくっ付けられる。同時にマネージャー、ブライヴ、マレニアが一斉に宙に浮かされたあと、同じようにラダーンの背中に腹這いにさせられる。

マネージャー「え?え?なんですか?」

ブライヴ「離れない…重力で抑えてるのか…!」

マレニア「ラダーン、貴公…いったい何を…!?」

ラダーンの全身から出てる紫色の光がより一層強まっていく。背中の痩せ馬くんは余裕そうにオレ達を見回して、「まぁ見てなさい」みたいな偉そうな視線を向けてくる。くっそー、ラダーンに気に入られてるからって良い気になってるよな!それから馬がヒヒンといなないて頭を伏せると、一瞬巨大な衝撃が全員に走ったあとにラダーンがとんでもないスピードに加速。音の壁がぶっ飛んだあとに、遠くの山や建物がバカみたいな速さで過ぎ去っていって、空に広がる雲が線になっていく。

拓也「ぉぅうううぅっす!」

マネージャー「ちょっと!?なんですかこれ!?」

オレ達は風も振動も熱も感じてないけど、這いつくばったまま上半身を起こすのがやっとだ。ラダーンは更に加速していく。太陽が頭上を通過したと思ったら次の瞬間には月が出て、もう何回黄金樹の真上を通過したのかわかんねー!「ラ、ラダーン!待ってくれないか!?貴公が何をしているのか分からない!」マレニアが叫んでもラダーンは止まらずに更に加速。ちょっとは喋ってくれよな!腐敗で喉を痛めてるのかな?「どうなってる!?どうしてここまで速く飛べるんだ!?」ってブライヴの疑問に、マネージャーのマネジメント分析が光った。

マネージャー「この加速……重力です!彼は重力の力で加速してるんです!」

マネージャー「彼の意図が分かりました!彼は重力の力を高めて、ファルム・アズラを包む時間のひずみを突き破ろうとしているんです!」

ブライヴ「時間を!?」

マレニア「なんと…そんなことが、可能なのか…?」

マネージャー「重力は物質を、空間を、時間さえも歪ませてしまう力です!ましてや彼には、デミゴッドの運命を司る星を砕き、進むべき時間を機能不全に陥らせたという実績があります!」

マネージャー「彼は今、星を砕こうとしているんです!運命という星を!」

マジかよぉ!伝説の到来はいつも突然だ!エルデの新米冒険者のオレでも知っているようなおとぎ話に放り込まれて、オレは全員鳥肌立てまくり眼を開きまくり、ラダーンは輝いて吼えまくりの史上最強デミゴッド状態に大変身!ついにはひとつの荒れ狂う流れ星と化して、ファルム・アズラがあるはずの場所に急降下。超スピードのまま拳を突き出してスーパーマンパンチを発射すると、なにもない場所で白い大爆発が発生。時空にフィスト貫通をキメて、ファルム・アズラを包む運命は砕け散った。

264名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/12(日) 12:46:20 ID:cI0CeQ5Q

鼓膜がぶっ飛ぶような轟音で耳をキンキンいわせるオレ達を乗せて、ラダーンがゆっくり降りていく。降りた先には、さっきまでは影も形も無かったチョーデカい遺跡が広がっていて、ぶっ壊れかけの破片や建物がそこらじゅうに浮いてて、止まることのない竜巻がビュンビュン回ってる。その陰からデカい竜が何匹もチラチラこっちを見てくるけど、時空の穴を開けて飛んできたラダーンをメチャクチャ警戒している感じで「触れないのがエチケット」って感じで飛び去っていく。遺跡の中に輝く祝福を見つけると、ラダーンはそこにオレ達を降ろして、空中で胡座をかいて腕を組みつつ息をつく。

拓也「しゃあっ、ファルム・アズラに到着!」

マネージャー「すごい…本当に着いちゃった…」

ブライヴ「おお、凄まじい旅路だったな…この誉れは、間違いなくラダーンのものだ…」

ブライヴ「ハハハッ!それに見たか?まさか目の前で時が、運命が砕けるとはな!」

ブライヴ「流石に星砕きと称されるだけはある。まさに神話の英雄よ」

興奮したブライヴが歩き回って、呆然としてるマネージャーに絡んだり、オレとハイタッチしたりしてカワイイポイントを荒稼ぎしている一方で、マレニアは空中で休憩中のラダーンの方へ。また何か話しに行ったな?ってオレも乳首と聞き耳を立てる。

マレニア「まさか貴公の…あの伝説の星砕きを、この目で見られるとは思わなかったよ…」

マレニア「やはり貴公こそ、英雄と呼ばれるに相応しい者だ…誇ってくれ」

ミリセントだった時にもラダーンに「あの」ってつけてるし、このキラキラの横顔といい、実はちょっと憧れてたんじゃねーの?って拓也の邪推が雄膣を駆け巡る。ラダーンはマレニアに向かって口の端を曲げてフッと微笑みを返してから就寝。あれだけのマジキマリな大立ち回りをやったんだからそりゃ疲れるだろうけど、浮きながら寝るなんてコイツ相当器用だぜ。そんなラダーンの寝顔をマレニアはまだ見上げてるから、テンションに↑が入ってるブライヴが絡みにいく。

ブライヴ「マレニア、お前も見ただろう?」

マレニア「ああ…全て見た…運命をも超えうる、英雄の姿を…」

ブライヴ「まったく、お前も腐敗を放ったとはいえ、よくこの英雄と相討ったな」

やられたぜ!勢いにまかせてマズいことを言ったな!ビビったオレとマネージャーに指を指されて、ブライヴもすぐに「しまった!」って感じの顔になる。でもマレニアは意外にも穏やかで、テンションを変えないままラダーンを見上げてる。

マレニア「いや、相討ってなどいない…私は兄様の刃、欠け身のマレニアだ」

マレニア「不敗などではないよ」

またひとつ憑き物が落ちたみたいな横顔につられて、オレとブライヴ、マネージャーもラダーンを見上げる。
空中で寝ているラダーンの胡座には、良い寝顔で寝てる痩せ馬クンの姿が。
本当にお前は良いご身分だぜ!

265名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/12(日) 12:53:18 ID:cI0CeQ5Q


【黒炎好き神肌たちのズルすぎる戦法】


ファルム・アズラの祝福を灯して、周りの景色と地図を照らし合わせるけど、何にも描かれてない所にラダーンが指し示した点が描いてあるだけ。しょうがねーなーって仕方なく周りを見渡して場所の見当をつけようとするけど、結構奥の方に降りたってことしか分からない。上に行けばいいのか下に行けば良いのかも不明。祝福の前に建物の入り口が開いてるだけで、他の場所に行こうにも周りが崩れまくってて道が無い。壊れかけてるって言ってたけど、この様子じゃ完全に壊れてるぜ。しょうがないから建物の入り口をくぐるかって時に、マネージャーが貧血を起こしてマレニアに支えられる。

マレニア「あまり無理をするな。ラニの魔術師塔から、ろくに休めていないだろう」

マネージャー「…たしかにそうですけど…いえ、やっぱり休むべきでしょうか…」

拓也「オレは1日ぶっ通しでセックスしても平気っすけど、マネージャーはそうはいかないじゃないですか」

神授塔で死の修復ルーンのカケラを手に入れて終了になるはずが、ギデオンのせいで円卓、巨人の山嶺、火の窯、ファルム・アズラと一気に移動しまくることになって、その間ほとんど寝ないで来たからマネージャーが限界だ。それで3時間くらい仮眠を取ることになって全員で川の字に寝転がる。風の音がしょっちゅう鳴ってるから寝れないと思ったけどすぐにグッスリ。でも祝福が急にピカッと光ってオレを起こしてくるから、なんだよって起き上がると

拓也「あ!ウッス!久しぶりじゃん!」

祝福の近くには、火山館で会った巻き糞みたいなハンマーを持った騎士と、ラーヤが立っていた。


ラーヤ「お久しぶりです。お元気そうで、何よりです」

オレの挨拶で他の三人ものそのそ起き出したと思ったら、真っ先にラーヤに気付いたマレニアが硬直。幽霊でも見た顔で瞼をパチパチ。ラーヤは普通に「マレニア様も、お久しぶりです。ブライヴ様、マネージャー様も」っておじぎをする。

ブライヴ「おお、ラーヤか。久しいな」

マネージャー「ラーヤさん!? いったいどうやって……いえ、それよりどうしてここに?」

ラーヤ「火山館に帰ったのちに、私は本来の私たちの使命を、果たすことにしたのです」

ラーヤ「今は神へのせめてもの叛逆として、ベルナール様とともに、神を殺しうる力たる死のルーンを探っています。黄金樹が燃え、新たな祝福が灯されたので、この地に足を運んだのです」

ラーヤ「英雄様がお隠れになったことを知り、タニス様も初めは気を落とされましたが、それも昔のことです。どうか、お気になさらないでください」

気にするなって言われても、オレ達はまだいいけどマレニアが気まずいよね。でもここで色々話し合ってる間にギデオンがネフェリと戦ってるかもしれないし、ギデオンが黄金樹の棘を消す別の方法を見つけてるかもしれない。時間もないしマネージャーからのGOサインも出たんで、ギクシャクした空気のまま先に進むことに。ベルナールが戦力になってくれたのは頼もしいけど、拓也は明るい雰囲気が好きだから、会話が無いのはキツいぜ。

そんな鬱憤を晴らすかのように、戦いになったらブライヴ、マレニア、ベルナールの3人で一方的に敵をガン掘りしまくるから、相手が可哀想になってくる。廊下の曲がり角から現れたフルアーマー系の騎士の側頭部にマレニアが飛び回し蹴りをぶっ込んで壁に激突させてから、意識が飛んでる騎士にブライヴとベルナールが突っ込んでデカい武器で全身をボコボコに叩き潰して終了。階段を降りた先の廊下に居た騎士にも、後ろから同じ戦法をぶち込んで倒す。一人倒すのに2秒もかかってなくて拓也も味方ながらに戦慄。次に出会った騎士には曲がり角からのゼロ距離水鳥乱舞がキマったから、何が起こったのかも相手は分かってなかったんだろうな。

そのまま進んで曲がり階段を降りていくと、デカい広場に出る。広場にはいくつもの石の柱が立ってて、明かりは天井の穴からの光とそこら辺に散らばってる蝋燭だけ。床には動物の骨と宝石が置いてある。いかにもインディージョーンズな雰囲気を堪能しつつ進んでいくと、例の小便色の霧が出口にかかった。

拓也「ハメられた!」

マネージャー「敵ですか!?」

ブライヴ「お前はマネージャーとラーヤを連れて部屋の隅に行け!拓也!」

拓也「ウッス!」

二人の手を引いて隅っこに拓也が退避。マレニアの義手が火花散らして刀を変形させると、ブライヴとベルナールも武器を構えて、三人で三角形になって別々の方向を警戒する。それから何秒か経って部屋の暗がりから、神授塔の橋で会った成人病系のデブと、こっちは新顔のひょろ長がコンビで姿を現す。

マレニア「神肌…それも二人か」

ブライヴ「ハハ、これはまた、厄介な手合いがきたな」

ベルナール「神人と影従が、何を怯んでいる」

マレニアとブライヴは馴染んでるけどベルナールは神様が嫌いだから、こんな状況でも二人にピリピリだ。そんなこと言ってる場合じゃない!でも太いのと細いのが同時に黒い火の玉を投げると、三人で散らばってしっかり回避。オレはここでガタイをパンプ強調してエールを送るぜ!

266名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/12(日) 13:04:20 ID:cI0CeQ5Q


三人を様子見するデブとガリに、まずマレニアがしかけていって刀を振ると、デブには刃が当たるけどガリは横跳びで回避して、マレニアに曲がりくねった剣を振って反撃してくる。マレニアが後ろに下がるとデブがマレニアを追って行って、さらにマレニアが下がるとマレニアと入れ替わるようにしてブライヴが突撃。向かってきたガリの腹に大剣を叩きつけて奥に押し込んで、デブとの距離を離す。

デブとガリが離れたところでデブの方にベルナールが駆けていって、マレニアとの2人がかりでデブを前から後ろから責めまくり。ガリは素早い連撃でブライヴを追い詰めるけど、攻撃が途切れたところにブライヴの氷の剣が炸裂して全身霜焼けになって悶絶する。その悶えてるところに噛みつきがキマって、ガリはブライヴにぶん投げられた。このままほっといても勝てるぜ!

デブの方も素早い剣技でマレニアと渡り合ってるけど、その間にもベルナールに身体中ボコボコに殴られて片膝をついて、そこにマレニアの叩きつけるような縦斬りが入ってダルな腹から出血。「良いぜ!三人ともエロいっ!デカい!」って応援を送るオレにも力が入って、マネージャーに「目立たないでください!」って止められる。

先に相手を倒したのはマレニアとベルナールのペアだった。デブが黒い炎を自分の周りに撒いた瞬間にマレニアが飛び上がって、頭上からのゼロ距離水鳥乱舞をキメてデブの頭を粉々にする。強いぜ!グロいぜ!ラーヤもマレニアとミリセントの戦いを思い出したみたいで、ぐっと堪える表情でマレニアの戦いぶりを見てる。そしたらブライヴに追い詰められてたガリが全身から黒い炎を爆発させてブライヴをぶっ飛ばす。コイツもデブみたいに形が変わるのかよ?って思ったら、体をゴムみたいに伸ばしながら剣を振り回して、ベルナールを弾き飛ばしてマレニアに突っ込んでいく。全身白くて膨らんだり伸びたりして、こいつら使い終わったコンドームみたいだ。

そして下手にマレニアに突っ込んだのがガリにとってマズかった。マレニアは超低空姿勢で駆け抜けてガリの剣を掻い潜ってから、すれ違い様に伸び切った胴体を真っ二つに切断。ビチビチ跳ねる下半身をそのまま斬り飛ばして、残った上半身に向かう。そのガリの上半身は手から黒い炎で作った模様を出してから、そのまま床上で逝った!

マレニア「終わりか」

ブライヴ「こんなものか。終わってみれば、呆気なかったな」

二人組が全滅したんで、オレはマネージャーとラーヤと一緒に三人に駆け寄る。ベルナールも聖杯瓶を一発キメただけでほぼ被害無し。「余裕っすね!」「まぁ…今までの相手に比べればな」オレとブライヴが話してる横で、マレニアとラーヤはやっぱり気まずい。二人とも口にはしないけどオレはこういう空気に敏感なんだぜ。やっぱり激エロのモロホストだから人間関係のセンサーも乳首みたいに洗練されてるんだろうな。

マレニア「うっ!」

なんて考えてたらマレニアが背中から刺された!

マネージャー「あっ!?」

拓也「マジかよぉ!」

やられたぜ!いつの間にかマレニアの背後には、死んだはずのデブがピンピンしてる。「ずるいぜ!あの時やっつけただろーっ!」思わず咆哮する拓也。ブライヴとベルナールは慌てて武器を構え直すけど、準備が整う前にデカい尻尾でまとめて殴られて転倒。オレはまたラーヤとマネージャーと一緒に走って避難。マレニアはかなり頑丈だから背中の傷は大したことないけど、刺されたあとに起きあがろうとしたところをデブにうつ伏せの姿勢で組み伏せられて、剣の持ち手で後頭部を殴られまくって意識が飛びそうになってる。マジやべーよ!ってオレが叫ぶと、ブライヴがデブの腹に剣をぶっ刺して動きを止める。それからはブライヴとベルナールのペアがデブと斬り合い開始。かと思いきやデブが自分の周りにまた黒い炎をばら撒いて、手から黒い模様を浮かび上がらせる。

マネージャー「マジかよぉ!?」

拓也「ウッソだろお前!?」

そしたらガリの方まで復活してきてマジ狂い!ハメられた!コイツら延々と復活を繰り返してオレ達を痛ぶるのが仕事のプロ級神肌だ。マレニアもどうにか復活したけど、脳震盪起こしまくりでコンディションバッチリのガリと斬り合うのはやっぱりキツい。剣をガンガンぶつけ合わせてるけど少しずつ押され始める。一方デブは全身から黒い爆発を出してブライヴとベルナールをぶっ飛ばし、あの風船状態でやってくる。

膨らみまくったデブは例のローリング攻撃を開始して、ガリと戦ってるマレニアに激突。2対1でマレニアを責めまくる。ラーヤもたまらず「マレニア様が危ないです!」ってブライヴとベルナールに大声で伝える。でもブライヴがマレニアのいる方に駆けつけようとした時に、ガリが武器を回転させて黒い嵐を巻き起こし始めた!嵐はどんどん大きくなって、こんなもん出されちゃ誰もマレニアを助けに行けない。マレニアは全身を黒い炎に焼かれながらデブのラッシュにスタミナも削られて、フラフラになってるところを嵐が一瞬デカく強まってフィニッシュをキメられる。マレニアが壁にダウンしてるところに、ようやくブライヴとベルナールが到着。でも二人にはデブの巨大化ローリング攻撃が炸裂してマレニア共々ぶっ飛びダウン。残った戦力は拓也だけ。

…のはずだった!
デブとガリが迫ってくるなか、ラーヤがデカい蛇に変身!オレとマネージャーをデカい口で咥えつつ、広場の壁ぎわを走りまわって逃げまくり、時間を稼いでる間にマレニアがまた復活。水鳥乱舞を背後からガリに叩き込んでガリを瀕死にさせつつ、自分の負傷を回復したあと、起き上がったブライヴとベルナールと一緒にまた神肌の二人と激突。ブライヴ、マレニア、ベルナールの三人はここで作戦を変更した。

マレニア「多少斬られても構うな!ひと息に片方づつ斬り潰す!」

オレも身体のどこがGスポットなのかイマイチ分からない客には、パワープレイで押し切ったことも結構あるけど、本物の戦いでもそれって通用するんだな!三人は瀕死のガリに突撃していって、一斉に水鳥乱舞やら氷の剣やらジャンプ攻撃やらをぶっ込みまくってガリを即逝きさせる。それからデブに向かっていって、斬られようが刺されようが関係無いぜって感じで、ガリを復活させられる前にデブを倒すべく猛攻。ブライヴが大剣をぶちこんでデブにガードさせてから、すぐに三人で囲んでとにかく攻撃を浴びせまくる。その猛攻はあまりにも凄まじすぎて、デブは最終的には頭さえ無いダルマになって終了。その姿のまま白い煙を上げて消えていく光景がコンビニの肉まんみたいだったぜ。

と思いきやまたデブが復活!ふざけんじゃねーよ!しつこすぎるぜ!またも復活したデブはいきなりガタイを膨らませて三人を吹き飛ばしてから、太いガタイをさらに太らせてフワリと飛び上がり、拓也の頭上に尻を浮かび上がらせる。「危ない!」そう言ったのはマレニアだけど、オレに尻を晒した時点でデブが負けることは確定しているんだぜ。

拓也「エビだぜ!ブライヴ!」

ブライヴ「はっ!そうか!」

オレからの既テク提案に敏感に反応したブライヴが、ケツを下ろそうとしているデブの真下に飛び込んでから氷の剣を突き上げる。それを見たラーヤが「えっ、それは…」って呟くと同時に、デブの奴はオレをケツで叩き潰すべく急降下。自ら拡げたケツマンに氷の特大剣を根元まで突っ込まれて絶頂の声を上げる。

神肌の貴種「ああああーっ!!」

氷結した大剣に雄膣から冷やされて、激痛と冷たさに全身を硬直させたデブは、白いガタイも相まってアイスクリームに見えてくる。ブライヴがデブアイスを床にゴトっと落とすと、あーそういうことかって感じでマレニアも察したみたいで、ブライヴの剣に手をかける。それから手慣れた手つきで二人でデブから剣を引き抜こうとするけど、ケツアナがメリメリいうだけでやっぱり剣は抜けません。

マレニア「やはり抜けんな…」

ブライヴ「今度は回転させてみたらどうだ?」

マレニア「名案だ」

ブライヴからの地味な新テクは即採用されて、ギュリリィ、ブチチチ、メチメチメチって雄膣を引きちぎる音があたりに響いて、そこに「おぅううぅっす!!おごおおお!!」ってデブのイキまくりな嬌声が被さっていく。「スッゲー嬌声じゃん!そんなに気持ちいいかよ!」「悲鳴だと思いますよ…」盛り上がるオレにもラーヤの控えめな指摘が入って、その間にもマネージャーがマレニアとブライヴを手伝いに行って、更にデブの嬌声が盛り上がっていく。でもその声はベルナールがデブの頭を叩き潰したと同時に終了。ずっぽし抜けた大剣は真っ赤に染まってて、カラーコーンみたいになっている。

ブライヴ「…それで、何が余裕なんだ?拓也?」

全員でハァハァ息切らせる中でブライヴに愚痴られる拓也。「まぁ、いいさ…誰も死なずに済んだ。私はそれで構わない」そう言ったマレニアの傷はほとんど消えてる。「ありがとう、ラーヤ。皆を守ってくれて」マレニアに言われたラーヤは、なんともいえない複雑な困り顔で頭を下げるだけだった。3体2にできる状況だったからよかったけど、ベルナールがいなかったらマジで誰か死んでたかもな。

267名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/12(日) 13:12:49 ID:cI0CeQ5Q


【ハードM調教3発】


続きだぜ!ラーヤが柱の影で服を着終わるのを待ってから、死のルーン探しの旅を再開。変身するたびに服が脱げるのって昔の美少女アニメみたいだよな。なんて考えてるとマネージャーが歩きながら「一応確認しておきたいのですが、いいですか?」ってラーヤに質問を投げる。

ラーヤ「はい、なんでしょうか」

マネージャー「死のルーンを探し出すという目的が、私たちとラーヤさんの間では一致していますけれど、あなた達の目的はあくまで『神を殺すこと』なんですよね?」

ラーヤ「ええ、そうです」

マネージャー「そうですか。私たちの目的は、黄金律を今とは違う形に修復することなのですが、それはそちらの目的と対立する可能性があるような気がするんです」

そう言われてオレも気付いて、ヤバい!ラーヤはどう思ってんだよ?ってラーヤを見ると、足を止めて少し考え込んでから「…そうなるかもしれませんが、それはあまり、考えたくありません…」ってつぶやく。今度はラーヤの代わりみたいにベルナールが「貴公らの求める、律の世の姿次第だ」って口を挟んでくる。嫌な予感がしてきて、拓也の乳首もビンビンに張ってくる。

ベルナール「ラーヤ殿とタニス殿は、ミリセントに奪い合いをよしとせぬ、新たな世の英雄の姿を見た。しかしその英雄は、そこの醜女に摘まれたと聞く」

ベルナール「ゆえに、我らは排律者へと立ち返った。貴公らの見出す律が醜く歪めば、我らは貴公らにも矛を向けるのみよ」

やべーよ!コイツマジでキレちゃってる!奪い合いを押し付けられたせいで神様が嫌いになったのは分かるけど、今は仲間内で険悪ムードになったってしょうがないじゃん!ブライヴは溜め息ついて、それは言わないエチケットのはずだろって感じでいるし、ほとんど名指しで非難されたマレニアはまた凹む。ラーヤからの「マレニア様、どうかお気になさらないでください」ってフォローにも「そうだな…すまない…」って返せるだけ前よりは良くなってるけどさ。

マネージャー「分かりました。つまり、新しい律が掲げられるまでは、私たちは協力関係を維持できるということですね?」

ベルナール「そういうことだ。だが、ゆめゆめ忘れぬことだな」

ちょっと気まずくなっちゃったけど、お互いの方向性も分かったところで改めて出発。広い部屋を抜けて建物の外に出たら、辺りは風吹きまくりで足場なんてろくに残っていない廃墟だ。

マネージャー「うわ…ここを進むんですか…?」

拓也「たっけーっ!」

床の穴とか崖とかから下を覗くと、どこまでが終わりかも分からない真っ白な奈落が広がってる。
一歩踏み外したらそれだけで死ぬぜ。オレ達は一番身軽で頑丈なマレニアを先頭にして進んでいく。

拓也「おううぅす!」

マレニア「拓也?」

すると突然、めちゃめちゃ遠くから赤く光る手裏剣が飛んできて、とんでもないカーブを描いてオレのケツマンに吸い込まれた!マレニアの刀のリーチでも落とせない高度から投げ込まれた手裏剣に、深々と粘膜を切り裂かれてたまらずオレも雄鳴き。マレニアは手裏剣を投げた相手を見つけたみたいで、オレが切れ痔ダウンしてる間に手裏剣投げた獣人を一刀両断。「また尻をやられたのか…なぜお前は尻ばかり狙われる?」ってブライヴにケツを見られるのも慣れてきた。

拓也「オレが激エロのモロホストだから、みんなケツを狙ってくるのかも…」

ベルナール「この男は何を言っているんだ?」

ブライヴ「深くは考えるな。どうせろくでもない」

ブライヴに手裏剣を乱暴に引き抜かれると、「あう!」って声が出て、鋭い痛みが走って全身が一気にピンと真っ直ぐになる。ケツマンの痛みと熱さを打ち消すかのようにプリケツを締め上げてぴょんぴょん跳ねる拓也に、マネージャーからいつもの生肉&苔薬が補われる。これがなかったらエビに抉られたケツに更に手裏剣をもらっていたんだなと思うと、恐怖で全身に鳥肌が立つ。

マレニア「大丈夫か、拓也?先に進むぞ」

先にいる敵をマレニアに倒してもらった拓也は、治りたてのケツを振って進んでいく。それからはどう見ても空中に浮いてるボロボロの柱を渡ったり、崩れた床の上を飛び移ったり、昔やってた栄養ドリンクのCMみたいなことやらされてマジキツい。動き自体は大したことないけど、高所恐怖症の拓也は落ちたら終わりって高さと吹きまくる風が怖くて、緊張と安心の緩急がついた旅路に徐々に狂っていく。

拓也「あーっ!はーっ!落ちるっ!」

マレニア「焦ることはない。踏み外しても、私が貴公を掴む」

ブライヴ「いっそのこと、背負って進む方がいい気がしてきたな」

マネージャー「うわぁっ!?ブ、ブライヴさん!?」

細い足場でグラグラしてるオレを、マネージャーをお姫様抱っこしたブライヴが後ろから飛び越えていく。「さぁ、手を取れ」「う、ウッス!、ウッス!」マレニアが伸ばした手を握って拓也もギリギリで足場を渡り切ると、あとからラーヤとベルナールがあっという間にスイスイ足場を渡っていく。「スッゲー!トビ職人みたい!」「皆が優れているというより、貴公の体幹が悪いのだろう。足腰も鍛えなければ駄目だ」マレニアの無自覚な言葉がいきなり拓也を、徹底的に拓也を痛めつけてくる。手足の力が抜けてオレがその場に四つん這いになって挫折感に震えてると「すまない、少し言い過ぎたようだ…」って謝ってくれたからいいけど。

268名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/12(日) 13:19:43 ID:cI0CeQ5Q

ボロボロの足場を渡ってまた曲がり階段を下って、奥にいた獣人たちもすぐにブライヴ達が倒してくれるから、戦いに関して言えば気楽だけど、とにかく進む道が険しい!更に進んでいくと広い場所に出て、白いドラゴンの化石の前にガチガチに鎧を固めた騎士が待ち構えている。赤獅子城にもこんな奴いたなって思ってたら、騎士の奴はいきなり剣を振り回して襲ってきた。問答無用かよ!でもターゲットはオレたち非戦闘員じゃなくてブライヴだ。

でもこっちには使えるタチが多いぜ!ブライヴが騎士の剣を大剣でガッチリ受け止めると、騎士の横に回り込んだマレニアが横なぎに一閃して、斬られた騎士にベルナールが追い討ちをかけてボコボコにしていく。会話はギクシャクだけど戦闘はスムーズで安心感が違う。リラックスしたオレがケツを揉みしだいてケツマンのコンディションを調べていると、袋叩きにされた騎士が一発逆転を狙って翼を広げて、その衝撃で三人を吹き飛ばしてから一気に急上昇。

マネージャー「いけない!マレニアさん避けてください!」

ぶっ飛びダウンしてるマレニアに向かって、騎士が剣を構えて空中から突撃をしかける。マネージャーの言葉を聞いたか聞かずか、騎士の全力突撃をマレニアは跳んで回避。更に進んでいく剣先はブライヴにかわされて、ベルナールにもかわされて、拓也のケツマンに吸い込まれた!

ラーヤ「あっ!」

拓也「おううぅす!!」

マレニア「拓也っ!?」

騎士のデカい剣がフルスピードでケツマンに叩き込まれ、拓也も意識がぶっ飛び射精。そのまま壁に叩きつけられて横隔膜まで剣をねじ込まれてマジ狂い!内臓を破かれた激烈な痛みに襲われてアウアウ言いながら白目剥いて失禁痙攣してると、剣を遠慮なくズゴっと引き抜かれてケツマンから噴水のように大量出血。背骨も折れて下半身の感覚が無くなる。

オレを襲撃した騎士は瀕死になった拓也のケツマンに盾のツノを突っ込んで、シールド系ボディビルダーと化した拓也を装備しながら、マレニア達と相対する。コイツはまさしく戦闘のプロだ!「くっ…卑怯な…!」マレニアが刀を構えたままジリジリと様子見して、ベルナールも攻めるべきかどうかを迷ってる。そしてオレの意識が消えかけた時にブライヴが新テクを開発!

ブライヴ「その男、もう死んでるぞ」

ブライヴの一言に全員の顔から血の気がサッと引いた時、騎士も全身脱力状態のオレを一瞬見る。その一瞬にブライブは剣を構えて突撃!構えが緩くなった騎士の腹にドデカい穴を開けて地面に縫い付けた。空中に放り投げられたオレはマレニアがキャッチ。「マネージャー!急いでくれ!」オレを抱えたマレニアはマネージャーに駆け寄って生肉と苔薬を拓也に大量補給。「マ…マジ死ぬ…」って意識を取り戻したオレの目に、安心したマレニアとマネージャーとラーヤの顔が映る。その間にも、ブライヴに串刺しにされた騎士はベルナールの巻き糞ハンマーをしこたま顔面にもらってダウン。ぐしゃぐしゃの兜から白い煙を出して消滅した。

ブライヴ「ふぅ…危なかったぞ拓也。戦場では気を抜くな」

マレニア「しかし、命が助かってよかった…本当に死んでしまったかに思えたぞ…」

マネージャー「この生肉が何の肉なのか、相変わらず分からないですけど、体が治るならなんでも良いですよね。選んでもいられない身ですからね」

拓也「ウッス!もう治りましたっす!」

マネージャー「よかったですね拓也。次からはもう少しお尻をガードした方がいいですよ」

広場の騎士を倒してからは、また一度のミスも許されないパキギメアスレチックの続きだぜ!ここ作った奴はチョーSだよな!滑り台みたいに傾いてる瓦礫を飛び移っていくのは、流石にオレとマネージャーにはキツいから、ブライヴに両脇に抱えられてぴょんぴょん進む。その後に屋根の上に祝福を見つけてそこで何分か休憩。兜を脱いだベルナールの顔が渋めのイケメンでオレのマラも硬くなるけど、鎧に隠されて気付かれてないステルス勃起だ。みんなで祝福を囲んで蟹を食ってると、ラーヤがマレニアに話しかける。

ラーヤ「…マレニア様、少々、変わられましたね。以前よりもなにか、暖かくなられたような気がします」

マレニア「…それは…そうかもしれない」

マネージャー「少々じゃないですよ。すごく変わりましたよ。今のマレニアさんの方が素敵です」

マネージャーがそう言うんでラーヤがマレニアを見ると、マレニアが過去話を開始。「兄様を喪い、己の罪を知り、それらに押し潰されようとした時…円卓のみなと、あのラダーンに助けられたのだ」って聞いて、ラーヤは目を丸くして驚いてる。オレもあの展開にはビビったぜ。

ラーヤ「あの星砕きのラダーンが…だから、祝福の前に彼がいたのですね…」

ベルナール「皮肉なことだな。全てをもって神に弓引く時に、神の子の改心を知るか」

ベルナール「貴様らがもっと早くに、思い直していればな」

マレニア「ああ…全て貴公の言う通りだ。すまなかった」

ベルナール「今更だ。律は歪み、我が心は定まった。もはや迷うことはない。黄金樹に弓引く時だ」

全員が蟹を食べ終わって休憩が終了。またオレとマネージャーはブライヴに抱えられて、全員で屋根を飛び降りる。すると降りた先で鷹の群れとドラゴンに遭遇!鷹の群れはベルナールが巻き糞ハンマーを地面に叩きつけた時の赤いフィールドで全滅させたけど、問題はドラゴンの方でそこら中に赤い雷を落としまくる。

269名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/12(日) 13:27:35 ID:cI0CeQ5Q

メチャクチャに落としまくるからオレみたいな非戦闘員は全く動けなくなるけど、狙いは結構雑だからブライヴとマレニアが走っていってドラゴンの頭を2本の剣でファック!ドラゴンは意外と貧弱ガタイらしく、その場で即逝きして消えていく。そこに非戦闘員も合流して落雷地帯は静かになった。

マレニア「竜の落雷とは懐かしいな。拓也の吐精を浴びた時以来か」

ラーヤ「え…!?」

マジかよぉ!世間話みたいなノリでサラッと拓也の触れられたくない話を掘り起こされてマジ狂い!マレニアにとっては旅の仲間を救った誇らしい思い出なんだろうけど、ゲイのオレにはただのチョー恥ずかしい失敗談でしかねえよ!「拓也!?あなたなんてことを!」「お前、流石に分を弁えろよ!相手は神人だぞ!?」マネージャーとブライヴに詰められまくるし、ベルナールには「貴公には排律者の天稟があるぞ」って笑われる。チクショー、マレニアが凹んでる時に気遣ってやるんじゃなかったぜ!

ラーヤ「どういうことですか?…なぜ拓也様の吐精を…?」

マレニア「以前に、ツリーガードの竜雷を拓也が受け、瀕死となった事があってな。追い討ちを仕掛けられる前に私が助けたのだが、その折に吐精を浴びてしまった」

マレニア「王都前に水辺があり、幸いにも汚れは取れたよ。のちに食べた茹で蟹は美味だったな」

旅行の思い出を語るみたいにマレニアは話してるけど、こっちはラーヤも詰めに加わってきて「傷ついたことは責めませんが、なぜ吐精をしてしまうんですか?」「知らねーよ!拓也だって死ぬ時ゎ射精するんだよ!」「瀕死になると吐精するなど、お前は動物か何かなのか?」「プレイで犬になったことはありますんで動物でいいっすよ!」って応酬が続く。「それより先進もうぜ!ギデオンに先越されちゃいますよ!」って言ったら収まったけど、ラーヤとブライヴとマネージャーからの冷たい視線が痛い。オレが好きでザーメン噴水になったわけじゃないって知ってるのに、ラーヤもS入ってるよな。

マレニアにハメられてから、獣人を倒してもらいながら奥に進んでいくと、エレベーターが見えたんでそこを上昇。ついた先の小部屋で祝福を見つけて点灯させてから、小部屋から伸びた階段を上がっていくと、タイムリーすぎる奴と遭遇!「今度は吐精するなよ、拓也」ってブライヴに念を押される。長くて幅が広い曲がり橋の奧には、竜のツリーガードが立っていた。

マレニア「下がっていろ」

義手刀をジャキンと構えるマレニアと一緒に、ベルナールとブライヴがツリーガードに向かって歩いていく。「ここはあのお三方に任せましょう。でも巻き添えが危ないので、今度は目一杯離れておきましょう」マネージャーに連れられて、オレ達非戦闘員は橋の端に待機。橋だけにね。(笑)

ツリーガードがハンマーを高く上げると戦闘員の三人も駆け出す。でも遠すぎて戦いの様子が分からないから、仕方ないから競パンから使い古しのジャニ系遠眼鏡を取り出して戦闘を見守る。見るとツリーガードに最初に攻撃を入れたのは、やっぱりマレニアだった。マレニアは遠くから一足飛びの弾丸みたいな突きを入れてツリーガードを怯ませながら、ほかの二人が接近する隙を作る。ツリーガードは怯みながら強引にハンマーを振り回してマレニアを一発殴るけど、やっぱマレニアは硬くてあんまり効いてないぜ。その隙にブライヴとベルナールが同時に殴りかかってツリーガードをフクロにしていき、怯ませまくってるとこにマレニアも加わってボコボコだ。

拓也「やっぱり強い!」

マネージャー「どうです?勝てそうですか?」

拓也「楽勝ですよ!」

フクロにされたツリーガードは武器に赤い雷をまとわせて、橋に叩きつけて雷の爆発を巻き起こす。ブライヴとベルナールはちょっと逃げ遅れて感電。その場に膝をつくけどまだまだ元気だ。でもその二人に向かってツリーガードが雷の雨を降らせようとしてちょっとヤバくなってきた。やっぱりキツい?なんて思ってると

ブライヴ「おお!」

マレニアが新テクを開発!二人に向かって降ってきた雷の雨に水鳥乱舞を放って、全ての雷を刀でキャッチ!着地と同時に剣を振ってツリーガードに雷の塊を返した!「すごい…! まるで葦の地の忍びのようです…!」ラーヤは興奮気味になったけど、ツリーガードは巧みな馬捌きで雷を回避。マレニアが飛ばした雷はクネクネ曲がりながら上に向かって飛んでいった。

マレニア「試しにと思ったが、やはり上手くはいかぬか」

煙を上げる刀を振って熱を冷ますマレニアの横で、痺れから回復したブライヴとベルナールがまた武器を構えて、ツリーガードを囲むみたいに横に散る。三角形になって三人でツリーガードを攻撃する陣形を取ったから、あとは煮るなり焼くなりのサンドバッグ状態に落とし込むだけだ。マレニアが義手刀をジャキンと持ち直して三連斬りを繰り出すと同時に、上に飛んでいったはずの赤い雷が拓也の背後に降ってきてオレのケツマンに吸い込まれた!

拓也「おううぅす!!!」

マレニア「拓也っ!?」

遥か後ろからオレの絶叫に近い雄鳴きが聞こえて、戦闘要員の三人も嘘だろ?って感じで振り向く。一方拓也は雄膣に入り込んだ赤い雷に、全神経を激しく犯されて意識もぶっ飛び射精。ビンとガタイを張って宙に浮いてから仰向けに倒れ、そのまま弓なりに全身を硬直させてザーメン噴水の出来上がり。マネージャーは即座にラーヤに胴タックルをキメてその場から二人で離脱。オレの精子を浴びることはなかったけど、代わりにオレは全身の性感帯を激エロに刺激されまくって心臓が早鐘を打ち、金玉がバイブみたいに振動して全身の水分を猛烈なスピードで雄汁に変換していく。あまりの刺激に声も出なくて、熱湯風呂に浸かってるみたいに全身が熱い!ガタイの痙攣も度がすぎると筋肉がおかしくなるらしく、オレはその場で死にかけのセミみたいにバタバタ暴れながら息もできない。

ブライヴ「おい、あいつ死ぬぞ!助けに向かえ!」

マレニア「すまない!あとは任せた!」

ベルナール「フッ、排律者が、神人に貸しを作るか」

ブライヴとベルナールは、ツリーガードを相手にガンガン武器のぶつけ合いを始める。超スピードでオレの方にすっ飛んで来たマレニアは、ミリセントの時に学んだらしく、水鳥乱舞でオレのザーメンを弾きながら、マネージャーが投げてよこした例の回復セットをキャッチ。激エロ絶頂で全開になってるオレの口に放り込む。「これで一時は凌げるはずだ」「分かりましたから拓也の精子を弾きながら話さないでください!早く行ってください!」「う…わ、分かった」非常時のマネージャーの押しには、あのマレニアもたじたじだ。

ブライヴ「うっ!臭い!」

ツリーガードの方に蜻蛉返りしてきたマレニアの刀は、白く濁ってテカテカに光ってて、これには鼻が効くブライヴがやられて鼻を摘む。「ふむ、これはこれで、神への素晴らしき冒涜とも言えるな」ベルナールからの拓也の評価がどんどん上がっていくのには笑ったぜ。そしてツリーガードは一瞬開いた三人の隙を見逃さずに、雷をまとわせたハンマーを高く振り上げる。

竜のツリーガード「弧゜ッ!」

でもそれはマレニアの罠だった。渾身の一撃を叩き込もうと大振りになったところを、マレニアの白くべたつく剣を顔に突っ込まれてツリーガードは悶絶。顔に食らった致命傷にオレの激エロなモロホストザーメンが流し込まれて、マジ逝きしない奴はいないぜ!結局ツリーガードはビクビクと痙攣しながら馬と一緒にダウン。顔から激エロな空気を立ち上らせながら消えていった。

戦いが終わって、仰向けでダウンしている拓也を中心に全員が集まる。「きたない」「くさい」とラーヤとマネージャーからは散々言われるけど、オレも自分からこうなったわけじゃないんだよな。たしかに死ぬほど激しい気持ちよさだったけどさ。「おい、生きてるか」ってブライヴに足を軽く蹴られてオレも意識を取り戻す。自分のガタイを見ると、ゴドリックからもらった鎧にいくつもの白い点々が光ってる。「どうして貴公は、そう肛門ばかりを狙われるんだ?」ってマレニアに呆れられるけど、そんなのオレにも分かんないから素直に「知らねーよ、そんなの」って言うと、イラついたブライヴにまた脚を軽く蹴られてヤバい!今は全身性感帯で敏感だからダメだって!って言う間もなく、オレのチンポは残り汁を発射。

マレニア「あっ!?」

マネージャー「うわああっ!?」

ラーヤ「あっ、ひどい!」

オレの放ったザーメンはとうとうブライヴの顔と鎧というゴールに吹きつけられて、小さく滴る。プルプル震えるブライヴが怖いけど、偶然とはいえとうとうやりたかった事をやったぜ!って内心喜んでるオレは、達成感でパキギマリの意識に目の前の光景を焼き付ける。そして「エロいぜ!ブライヴ!」っていう勝利宣言が拓也から告げられて試合終了。

直後にブライヴが拓也の顔面にキックオフをかまして試合再開。レフェリーマレニアからのストップが挟まらなかったらマジで危なかった。ブライヴでイッたあとにブライヴに逝かされるなんて勘弁だぜ。三連続でケツマン犯し尽くされて2回ほど壊れたけど、生肉団子と苔薬の回復セットのおかげでいくらでもいけるぜ!

270名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/12(日) 13:33:03 ID:cI0CeQ5Q

やられたぜ!生肉団子が尽きた!
敵からの攻撃があまりにも激しくて、マネージャーがアレキサンダーからもらってきた生肉団子がほとんどオレに使われたらしい。「くっそー、オレを壊すのが好きな客だらけだぜ!」っていうと、上半身裸で鎧を拭いてるブライヴにギン眼で殺気向けられて、オレもふざけるのをやめてマネージャーの話を聞く。小便色の霧の前で作戦会議だ。

マネージャー「死のルーンが見つかる前に、生肉団子が尽きてしまったのは痛いですね」

マネージャー「メリナさんが言うには、黒き剣のマリケスが死のルーンを持っているはずですが、今までの経験から考えても、そのマリケスと戦う可能性も十分にありえます。そんな状況に、まともに傷を癒せない私と拓也がいるのは、皆さんにとってもあまりにリスクが高いことです」

マネージャー「そこで提案があるのですが、ここに拓也と私とラーヤさんを置いて、みなさんだけで戦いに行くなんてどうでしょうか?」

ブライヴ「駄目だな。お前たち二人が危険だ。獣人が一人襲い来るだけで、手も足も出ずやられるだろう。拓也、お前は死んだって構わんがな」

拓也「ひでー!ちょっと間違ってぶっかけただけじゃん!」

ブライヴ「やかましい。俺の顔など既に傷に塗れているが、ラニから賜った鎧にあんなものをつけたんだ。お前とのこれまでの縁が無ければ、今頃噛み殺しているところだぞ。……話が逸れたが、ともかく俺は反対だ」

マレニア「私も反対する。ブライヴと今の私は、武力のみを頼りに戦う気がある。ゆえに貴公らの奇策には幾度も助けられた。今度もまた、助けられるやも知れぬ」

マレニア「それに、ベルナール殿は貴公らの守りとなってくれるだろう。必要とあらばブライヴにも守らせればいい。マリケスは私一人が相手をしてもよい」

そこで疑問が出てきた拓也は、ここで誰とも無しに質問タイム♪さっきから言ってるマリケスって誰なんだよ?と言うとマネージャーとマレニアから「マリケスは女王マリカの忠実な僕です。確か全てのデミゴッドの死と呼ばれていました」「影従のマリケスはかつて、ラダーンを含めた、あらゆるデミゴッドと神人に畏れられていた。死の力を宿す剣を振るい、あらゆる者に逃れ得ぬ死をもたらす様には、かつての私も心から慄いたものだ」なんていうヤバすぎる情報を提供されて白目剥いてマジ狂い!「そんな激キメのチョーS野朗から死のルーンを奪うなんて出来るわけねーじゃん!ラダーンも呼ばないと絶対無理だぜ!」って言うと、マレニアが渋りだす。

マレニア「貴公の言い分も分かるが…ラダーンはこの地の運命を破り、疲労している。今は戦えぬはずだ」

ブライヴ「そうは言うが、またラダーンへの負い目で語ってはいないか?」

マレニア「それは……確かにそうかもしれんが、事実ではあろう…」

マレニアはラダーンのことになると途端にしおらしくなるけど、確かに今のラダーンはグッスリ寝てるし、全身の腐敗もまだまだ治ってないから、昔のラダーンでもマジキツい相手だったマリケスと戦えるかどうかはオレにも分からない。マレニアとの最強デミゴッドタッグで戦うのもアリかもしれないけど、相手は死そのものを使う怪物を超えた怪物だ。いくらタフなふたりでも死を押し付けられてあっという間に死ぬかもしれない。もしそうなら何人集めても結果が同じになる気がするぜ。というかラダーンのパワーで戦場が砕けて、全員真っ逆さまってパターンもあり得て、オレもラダーンを駆り出すのは間違ってるように思えてくる。

マネージャー「つまり、ラダーン将軍からの援護は無し。私と拓也とラーヤさんは皆さんに同行。そのうえで私たち三人にはベルナールさんが護衛でついて、マレニアさんとブライヴさんの二人は、マリケスを相手にする…ということですか」

マネージャー「…やっぱり危険だと思うんですが、大丈夫ですか?」

ブライヴ「そうは言っても、迷ってはいられんだろう。仮にお前たち三人をベルナールに守らせ、俺とマレニアのみが霧の奥で戦うとしても、やはりお互いに危険だろう?円卓に帰ろうにも刺客がいるかもしれぬだろうし、ネフェリを呼び出せば黄金樹の前を守る者がいなくなる」

ブライヴ「それに、この霧からいつマリケスが出てくるかも知れんのだ。出てきてしまえば、あとは話し合いも、否応も無しだぞ」

全部の意見を聴き終わったマネージャーは20秒以上?30秒以下?考えたあと「わかりました。全員で行きましょう。ギデオンのせいで、私たちには戦力を整える時間すらも無いのかもしれませんからね」って結論を出して、結局全員で先に進むことに。「神人にこうも頼られるとは、今日という日は全く分からぬな」って呆れ笑いの声を上げるベルナールに、マネージャーは「よろしくお願いします。頼りにしていますからね」って言いながら、オレと並んで霧をくぐっていった。

271名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/12(日) 23:00:34 ID:cI0CeQ5Q


【奉仕イヌ最悪!】


霧の向こうには、極太の柱が何本か立つ広くて丸い広場が広がる。真ん中にデカい布の塊が置いてあるけど、あれってマリケスっていうか鞠だよね。他には何も見当たらないし、広場の壁や天井にはデカい穴が空いてるし、いかにも廃墟って感じで何も無い。「なんにもないじゃん。ハズレじゃないの?」オレの言葉にマネージャーも「そうなんですかね?」って怪訝な顔。でもマレニアは義手の掌の刀を持ち直すと、また刀を折り畳んだ。

マレニア「マリケスなら、既に見えている」

マレニアがキリ眼で睨むと、布の塊にしか見えなかったのがゴソゴソ動いて、手にナイフを持った浮浪者みたいになる。確かにガタイは凄いけど見るからに服がボロボロだし、手に持ってるナイフもシワシワで強そうに見えない。あれがマリケスなのかよって拓也は拍子抜けだけど、振り返るとブライヴが全身の毛を逆立てて、いつでも剣を抜けるように中腰姿勢になっている。

マレニア「久しいな、マリケス。貴公はまだ、母様に支えているか?」

マレニアは穏やかな口調でマリケスに話しかけるけど、マリケスはフードを深く被ったままで顔は見えねーし息は荒いし、今にも酸欠で死にそうなくらいハァハァ言ってる。チョー強い化け物だったかもしれないけど今は病気にかかってるとかそんな感じかな?ってガタイで分析しようとしたら、マリケスが喋った。


獣の司祭「お主…マレニアか」

獣の司祭「何故、運命の死に近づく」

マレニア「黄金樹に生じた拒絶の棘を、貴公の持つ死で滅ぼすためだ」

マレニア「砕かれし律に修復ルーンを掲げ、世の停滞と澱みを解くためには、貴公の持つ死が必要なのだ」

マレニア「どうか、譲ってはもらえないか」

会話ができる奴で良かったけど、譲ってくれって言われた途端に全身をバイブみてーにブルブル震わせて息も更に荒くなって、もう「絶対あげない」って考えが見え見えだから、こっちも緊張感が高まってくる。強くはなさそうだけど、あのガタイで殴られるだけでもオレなんか簡単に死ぬぜ。

マリケス「ならぬ…何人にも、盗ませはせぬ」

マレニア「分かってくれ、マリケス。貴公から死のルーンを盗んだのは母様なのだ。貴公は欺かれたのだ」

マレニア「もう母様に、女王マリカとの誓いに、従うことはない。貴公は影従としての使命を果たしたのだ」

なんて言ったのがマズかった!いきなりキレたマリケスは吠えながらマレニアに飛びかかる。マレニアは後ろに下がって間一髪で避けたけど、マリケスは図体の割に動けるみたいで、足の速さがマレニアと同じくらいだぜ。交渉が決裂したんでベルナールはオレ達非戦闘員を連れて柱の影に入って、ブライヴは剣を抜いてギン眼で咆哮。いきなり全力プレーが始まって、マレニアも義手刀を変形させて握る。

マレニア「やめよマリケス!話を…!」

それでも説得しようとするマレニアにまたマリケスが斬りかかるけど、今度はブライヴの氷の剣がぶん回されてマリケスの剣を弾く。「無駄だ!話などもはや通じんぞ!」そう吠えるブライヴから飛び去って、マリケスは地面に手をぶっ刺す。

マリケス「お主らは、黄金律を戻さぬ。ただ変えるのみ」

マリケス「変えられたなら、マリカの世は……黄金律は、もう戻らぬ」

マリケスは喋りながら地面に刺した手を思い切り引き抜いてデケー岩を投げつけてくるし、岩を避けたマレニアはついに突きのポーズを取っちゃうしで完全に戦闘状態に突入。マリカの娘とマリカのペットの殺し合いのシチュエーションで、マレニアも戦いたくないだろうけど、マリケスは決して絶対に停戦なんてしてくれない。

マリケスは今度はそこそこデカい石をいくつもショットガンみたいにピシッと投げてマレニアを狙うけど、手加減無しの突きを繰り出したマレニアには当てられずに腹に一撃をもらって悶絶。その隙にブライヴもまた剣を凍らせて飛び掛かって、マリケスの背中にカチカチの大剣を浴びせかける。

ブライヴとマレニアからの連続攻撃にマリケスもビビって、回転しながら二人を弾き飛ばしたあとに大ジャンプ。距離を離してまた石ショットガンを放つけど、マレニアとブライヴにはもう当たらなくなっていて、二人にすぐに距離を詰められて前から後ろから斬られる。するとマリケスは全方位に向かって刃の形の衝撃波を繰り出して二人をぶっ飛ばした!次から次へと技を繰り出してこいつマジシャンみたいだぜ!

ぶっ飛ばされた二人のうち、ブライヴの方が起き上がるのが遅れた。その隙を待っていたかのようにマリケスは飛び込み突きをブライヴに出す。その突きは大剣でガードしたけど、ブライヴの奴は衝撃をモロに食らって後ろに転がる。同じ影従でもガタイに差がありすぎて大人と子供みたいになってるぜ!

起き上がったマレニアはマリケスに三連続斬りを繰り出すけど、マリケスも三連斬りを使えるみたいでデカい火花が三発散る。でも斬りまくるスピードはマレニアの方が上で、続く刀に二度三度斬られてマリケスはまた悶絶。身体をムクッと起こした後にダウンして荒く息を上げる。

マネージャー「…勝った…?」

拓也「マジ?終わり?」

あれだけ強い強い言われてたマリケスがマレニアとブライヴに圧倒されて、あっという間にへばってた。
意外と大したことなかったな〜今回の戦いは楽勝だな♪それにしても二人の連携はいいな。
倒れてハァハァ言ってるマリケスの左手に、赤い宝石をつけたブローチ?ペンダント?みたいなモノが見える。あんな大事そうなモノ持って戦ってるってことは、宝石が死のルーンって奴に違いない。グロッキー状態のマリケスにマレニアが歩いていくと、マリケスがビクッと身体をこわばらせる。その怯えた犬みたいな姿に庇護欲を掻き立てられて拓也も胸が張り、思わず両乳首に手をのばす。

272名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/12(日) 23:18:01 ID:cI0CeQ5Q

マレニア「マリケス。貴公の死のルーンは、あの夜に多く奪われた、残るはそのひと握りだけなのだろう?」

マレニア「もはや戦う力も無い。その僅かなルーンのために、傷つくことはないのだ」

マレニア「さぁ、ルーンを」

マレニアが手を差し伸べると、マリケスは右手に持ったナイフを宝石に向ける。壊す気だぜ!拓也がそう言う間もなく「壊されます!奪ってください!」ってマネージャーからも指示が飛んで、マレニアはダッシュをかけたけどあと一歩ってところでマリケスのナイフは宝石を粉砕。赤黒い煙が散らばって、マレニアもバックステップで離れる。

マネージャー「遅かった…死のルーンが破壊されたようです…」

やられたぜ!奪われるくらいなら使えなくする鎌倉武士みたいな戦略を取られて、オレ達の計画マジ狂い!黄金樹に死をもたらすことが出来なくなってマネージャーがガックリしてるけど、マレニアとブライヴの様子がおかしい。二人とも剣を下げないし、むしろ今までで一番緊張した表情で赤黒い煙に包まれたマリケスを見ている。何が見えてんだよ?って激エロ遠眼鏡を構えた拓也の眼に、見たこともない光景が映される。

獣の司祭「D…よくぞ死を集めた…お主に、感謝するぞ」

獣の司祭「死よ、今一度、我が剣に」

赤黒い煙が晴れていくと同時にマリケスの服が焼けていって、中から金に縁取られた黒い鎧と引き締まった獣ガタイがさらけ出され、焼けたローブから覗いた黒くて鋭い兜の上に、銀色の髪が広がる。そこにはボロボロの服を着たデカい捨て犬は消えていて、気付くとかっこよさではブライヴさえも超える黒騎士系高身長イケメン狼が黒々とした大剣を構えていた。そのあまりの迫力と激エロさに拓也の乳首もチンポと共に強烈に勃起して鎧の中を暴れ狂う。

拓也「マジエロっ!」

マネージャー「言ってる場合じゃないですよ!非常事態です!」

マネージャー「マレニアさん!彼は死のルーンを壊したのではなく、解放したようです!剣の形に成形できるほどの死を何故持っていたのかは分かりませんが、さっきまでのようにはもういかないはずです!気をつけてください!」

そんなことはバリバリに警戒してるマレニアもブライヴも分かってると思うけど、マリケスは死の力をラニとマリカとライカードに奪われたのに、なんで今持ってんのか全然わかんねー!Dが何かしてたみたいだけど、アイツもギデオンの仲間か何かで、オレ達の知らないところで何かしてたのかよ?殺人は起きるしフィアってオンナは消えるし、オレはもう円卓にいるみんなの事が信じられなくなってきて、ローデリカやネフェリもちょっとだけ怪しく思えてきてマジ疑心暗鬼に落ちそうになる。そんなこと考えてる場合じゃない!

雑念に囚われ始める拓也の見てる先で、ブライヴが吠えてマリケスに斬りかかるけど、今まで見せてこなかった大ジャンプとともにマリケスが宙に浮いて、そこから赤黒い刃をビュンビュン飛ばし始める。マレニアとブライヴはその攻撃を剣で防いだけど、ここでブライヴの剣が真っ二つに折れた!

マネージャー「ウソ!?」

拓也「マジかよぉ!」

剣を一撃で叩き折られたブライヴは赤黒い炎に巻かれてぶっ飛びダウン。マレニアの義手もビシビシ音を上げて軋み始めて、たまらずマレニアも義手を抑えて膝をつく。そこに空中でグルンと回ったマリケスが、赤黒いフリスビーみたいになって突っ込む「あぶない!」マネージャーの叫びが響いて、マレニアは飛び込むように伏せてマリケスを回避。地面を回転しながら滑るマリケスの剣は、石の柱を通り抜けて黒い線を空中に描きだす。

マネージャー「ど…どういうことですか?あの剣、どうなってるんですか…?」

ベルナール「マリケスの剣には運命の死が宿った。死は石を砕かぬが、あの半狼の剣に込められた力は殺したようだ」

マネージャー「そんな…」

ベルナール「貴公らも、覚悟しておくことだ。悲惨たる死を」

ハンマーを握るベルナールの両手がギリっと音を出す。コイツも死ぬまで抵抗をする気だけど、あんな拓也の人生史上最強のチョーSを相手にどうすれば抵抗できるのか全く想像がつかない。倒れたブライヴは折れた大剣を杖にしてどうにか立ち上がって、マレニアもフラフラだ。「マレニア様!死の剣と打ち合ってはいけません!死が義手から這い上がります!」ラーヤからのアドバイスが飛んだ直後に、マリケスもブライヴに向かって飛ぶ。

ブライヴ「うおお!」

上空から襲撃してきたマリケスをブライヴは飛んで回避。でもブライヴが着地すると同時にマリケスはまた飛んで、空中からの縦回転から赤黒い刃を発射!「うあああ!」ブライヴは死の力をモロに浴びて二度目のぶっ飛びダウン。そのままピクピクと痙攣することもなく動かない。「やべーよ!マジ死ぬぜ!」残ったマレニアの前にマリケスが着地すると同時に、オレもブライヴ目掛けて駆け出す。

マネージャー「拓也!?ダメですよ!」

ラーヤ「ベルナール様!拓也様が危険です!連れ戻してください!」

オレを連れ戻しにベルナールが追ってきたけど、これが幸いした。二人いればブライヴを引きずって救助できるからだ。そう思った拓也がブライヴを掴むと、ベルナールもオレの意図を察してブライヴを抱える。そうしてる間にマリケスはマレニアに向かって吠えて剣を上段に構えていた。

ブライヴ「なぜ来た拓也…お前、死ぬぞ…」

拓也「激エロのお前を見殺しにしたら死んだも同然だぜ!」

ブライヴは前に俺は死なないみたいなこと言ってたけど、いくら不死身でも死そのものを大量注射されたらどうなるかわかんねえよ!息絶え絶えで意識朦朧状態のブライヴを二人で抱えながら戦線を離脱してると、オレの背後で水鳥乱舞がぶっ飛ぶ音が聞こえる。
流石のマリケスでもアレを食らったらたまらないぜ!オレは逃げながら後ろを振り返って、それから絶句。

マネージャー「あれは…!?」

剣を振りまくっていたのはマリケスの方だった!
しかも地面に剣をぶっ刺しただけで、マレニアの水鳥乱舞の倍は速い超高速の刃を乱れ飛ばしてて、マレニアを、一方的にマレニアを斬りまくる!全身を超スピードで斬られまくって赤黒い炎に包まれたマレニアはその場にダウン。荒い息をあげてガクガク震えながら起きあがろうとするけど、そこにマリケスの縦回転攻撃が何発も叩きつけられて意識がぶっ飛び気絶。マレニアを戦闘不能にしたマリケスがゆっくりとこっちを向く。

拓也「ウッソだろお前…」

ベルナール「おおおーっ!」

何が起きたか受け止めきれないオレの目の前で、ベルナールがハンマーを構えて突撃。マリケスの懐に潜り込んで殴ろうとするけど、チョースマート体型のマリケスはそのハンマーを軽くかわして剣を振り回す。ベルナールもその剣を必死こいたローリングでかわすけど、マリケスが後ろに下がりながら横回転して剣を振るうと、その先端がベルナールの武器に当たってハンマーの先っぽが砕ける。あのハンマーまで壊れたら何もかも終わりだぜ!そう思った拓也は全身の筋肉を恐怖と焦燥感でパンプさせ、デカい図体のブライヴを一人で引きずっていく。そこに蛇になったラーヤの援護が入った!

273名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/12(日) 23:24:23 ID:cI0CeQ5Q

マネージャー「ラーヤさん!駄目です!マリケスが!」

ラーヤ「ですが、このままでは…!」

ブライヴにかみついたラーヤとオレのガタイバワーで、ブライヴの体はさらに引きずられていって戦線離脱。でもこのままだとマレニアとベルナールがヤバい!そう思った時にマレニアが復活。息を切らせながらマリケスに水鳥乱舞を放つ。でもそれもマリケスの罠だった。

マレニア「うあぁっ!」

ベルナールを助けるために放った水鳥乱舞に、あの死の剣の乱舞を合わせられて、連続で義手越しに死の力を受け止めたマレニアが倒れる!そんなのありえない!マリケスは武器が半壊したベルナールを無視して、さらにマレニアに攻撃を加えるべくジャンプ。でも同時に、ベルナールは武器から赤いフィールドを飛ばしてマリケスの脚先を焼いた。マリケスが本気を出してからようやく最初のダメージを入れられたけど、たった一発攻撃を当てるためにこれだけの犠牲を払って残りの戦いが持つのかよ!

ベルナールからの意外な攻撃に、マリケスは空中でまた回転を始めて向きを変更。今度はベルナールに向かって死の刃の嵐がぶっ込まれて、ベルナールの武器も力を殺されて真っ二つに砕かれる!マジでヤバい!これで戦えるのはもうマレニアだけだぜ!死の嵐に飲まれたベルナールも全身を焼かれてマジ狂い。続いて降ってきたマリケスの横回転斬りを叩き込まれてぶっ飛びダウン。マジで打つ手が無くなってきたところでブライヴが意識を完全に取り戻した。

聖杯瓶を一気に半分以上飲んで、ブライヴは死にかけた身体をどうにか癒してからオレたち非戦闘員に向き直る。「俺はこれから、マリケスの気を引く。お前達はなんとしてでもマレニアを守れ。俺ではマリケスには勝てぬが、奴ならば勝つ見込みはあるからな」ブライヴはそう言って返事も聞かずにマリケスのいる方へ走る。「俺も行くぜ!」って言った拓也のことも無視だ。「拓也、彼の言う通りです…マレニアさんを助け出すんです…腹をくくりましょう」マネージャーの手は震えてて、俺にも恐怖が伝わってくる。マレニアは今もダウンしたままだ。

ブライヴ「マリケス!」

ブライヴが折れた剣の先端部を拾って、マリケスに投げつけて吠える。鎧にガンと衝撃が入ったマリケスはそれでもマレニアに向かって行くから、ブライヴも正面からマリケスにぶつかるしかなくなって折れた剣を振り上げ突撃。マリケスの脚に剣を叩きつけてようやく気を引く。マリケスが逃げ回るブライヴに黒い刃を飛ばしまくってる間に、非戦闘員の三人はマレニアに急行。本当はベルナールもなんとかしなくちゃいけないけど俺達にはそんな余裕なくて、とにかく気絶したマレニアを起こしにかかる。

2メートル超えの神人ガタイを三人で転がして仰向けにさせて、クタクタになってるマレニアをゆすってみたり頬を軽く叩いたりして反応を見る。でも全然起きねーからマネージャーが焦って緊急措置を提案。「拓也!?マレニアさんにキスしてください!時間がありません!」マジかよぉ!?マネージャーからの無茶振りはいつも突然だ。ラーヤはマレニアをゆすりまくって頭をカクカクさせるけどまだ起きないし、ブライヴは逃げるのがキツくなってきてハァハァ息切らせながら柱の影に隠れてる。まったくよー、ゲイのオレにこんなことやらすなよな!

拓也「チキショー!良いぜ!やってやるぜ!」

拓也「いくぜ!起きろ!」

スヤスヤ顔のマレニアに嫌々ながらキスをして、オレは目当ての男たちに分け与えるはずだった激エロ雄フェロモンをマレニアの喉マンに流し込む!ラーヤが自分の眼を塞ぐのも分かるぜ!オレの激エロなモロホストの香りが、神人で友達とはいえオンナなんかに吸われちまってるんだからな!こんな身を切るような犠牲を払ってるんだから起きてもらわなきゃ困るぜ!

マレニア「弧゜ッ!!ゲッホォ!」

痙攣と同時に白目を剥いてフェロモンに反応したマレニアは意識がぶっ飛び覚醒。オレの口にもむせ返るような甘い発酵臭を返してきて、オレも強烈に悪酔いしたかのように仰向けダウン。ドロドロの意識の中でマレニアとマネージャーの声が反響する。「い…今のはなんだ?…一瞬、腐敗が疼いたような…」「すみませんマレニアさん!緊急事態ですので手段は選べませんでした!すぐにブライヴさんを助けに行ってください!」マネージャーの声にオレがブライヴを見ると、空中縦回転斬りを寸でのところでかわし続けるブライヴが見える。

マレニア「ブライヴ…!」

ヨロヨロと立ち上がったマレニアが、軋んでヨレヨレの義手を肩にハメ直して刀を構える。死の力を受けまくってるのにまだギリギリ動ける義手を作ったミケラってすごいぜ。なんて関心してる暇もなく、ブライヴがついに避け損なって赤黒い炎に撃たれて倒れた!ヤバいと思った瞬間にはマリケスの横回転斬りが俺たちに飛んでいて、マレニアの胴体が真っ二つになった。

274名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/12(日) 23:28:14 ID:cI0CeQ5Q


…はずだった!

マネージャー「ラーヤさん!?」

マレニアの前に咄嗟に飛び出したラーヤの前で、赤い光がバーっと散ったと思ったらマリケスの剣が俺達を素通り。マリケスは遠くの柱に頭から突っ込んで瓦礫を浴びている。「貴公…今…何をした?」唖然とした表情でたずねてくるマレニアに、ラーヤは震えながら振り返って手を見せる。

マネージャー「おお!」

ラーヤの手には赤黒い光を帯びた石が握られてて、これでマネージャーも合点がいったみたいに石を指差す。「…ライカード様から賜った石に…こんな力があるなんて…」震える声で呟くラーヤの手を取ったマネージャーが「これは…死のルーン…死のルーンの欠片です!」って言うとマレニアも石を二度見する。マジ?これって反撃のチャンス?急に差してきた光明に拓也の酔いも急激に醒めていく。

マレニア「知っていたのか…?」

ラーヤ「いえ…これを握って、ライカード様に祈りました…マレニア様をお守りくださるように…そうしたら…」

ここで偶然新テクが誕生!ベロチューにはベロチューを、死のルーンには死のルーンだけが対抗できるぜ!マリケスが瓦礫をぶっ壊してまた出てくると、マレニアに向かってまたジャンプ。マレニアは俺達から跳んで離れて、自分に向かってくる死の刃からオレ達を遠ざける。そしてマリケスがまた横回転でマレニアに飛んでいくと

マネージャー「うまい!」

ヘビになったラーヤが石を持って割り込んでいって、マリケスの剣を石の力で弾き返した!凄いぜ!上手いぜ!思えばラーヤは攻撃しようとしたマルギットに噛み付いたり、落ちていくミリセントを助けたりで、体を伸ばしたら動きが素早くなる。蛇人間の性質なのかな?空中で打ち落とされたマリケスは地面に激突して一瞬フラついたから、ようやくこっちにチャンス到来だ!マレニアは待ってましたと言わんばかりにジャンプして、マリケス相手にゼロ距離水鳥乱舞をぶっ込んで斬りまくる。

猛烈なミキサーにマリケスは斬られまくって血を流しまくりの吠えまくりで、苦し紛れに剣を振り回すけどマレニアは懐に潜り込んで回避。下からマリケスの腹に刀をぶち込んで突き上げると、マリケスもゴボッと血を吐いて悶絶。良いぜ!効いてるぜ!戦況が好転したのを知ったマネージャーは瀕死のベルナールにも走っていって聖杯瓶を飲ませる。その様子を見てオレとラーヤも目配せして、オレはブライヴに、ラーヤはマレニアのいる方へ走る。オフェンスはラーヤとマレニアのペアに任せたぜ!

拓也「ウッス!拓也っす!」

ブライヴ「おい拓也…お前、また来たのか…」

ブライヴは死の炎に徹底的に痛めつけられていて、聖杯瓶はまだ残ってるのに飲む気力がない。「いいぜ!口移ししてやるよ!」「よせ…頼む、やめてくれ…普通に飲ませてくれ…」せっかくの提案もブライヴに拒否されて、仕方ないから聖杯瓶をブライヴの口に突っ込んでグビグビ飲ませながら、オレは自分の腰を振ってブライヴにザーメンを飲ませてる妄想を味わう。オレのザーメンで元気になったブライヴは立ち上がって、オレと一緒にマリケスの方を見る。

そのマリケスはまたラーヤに剣を弾かれて、その隙をマレニアに斬られて悶絶している。なんで攻撃を弾かれてるのかマリケスは理解できてないみたいでひたすら剣を振りまくるけど、全部マレニアに避けられたりラーヤに弾かれたりで体力を消耗するだけだ。見るとマネージャーもベルナールの復活に成功してる。体制も整って反撃の始まりが告げられる。

275名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/12(日) 23:35:13 ID:cI0CeQ5Q

…はずだった。


ボロボロになってきたマリケスにまた水鳥乱舞を浴びせようとした時に、マレニアの肩からバキンって音がして義手が外れた!マレニアは振るはずだった右腕がいきなり無くなったせいでバランスを崩して墜落。ラーヤも何が起きたか分かんねーって感じで、床に激突したマレニアを見る。

壊れた義手の方を見ると、今まで一度も腐った事が無かった義手に白と赤の腐敗が少しついてて、拓也はガタイで分析することなく気付いた。やられたぜ!マレニアの義手の力を殺したな!腐敗に抵抗する義手の力が死んだから、肩の接着部分が腐敗にやられてパーツが取れたんだ。

マネージャー「逃げて!」

マネージャーが叫んだ直後に、ラーヤの腹にマリケスの剣が突き刺さる。ブライヴもベルナールも飛び出して、何もかもがスローモーに見えてる中で、マレニアは信じられないものを見るかのような目つきで、倒れていくラーヤを見る。オレも駆け出したけど、ラーヤにたどり着く前にマリケスの咆哮でぶっ飛ばされて仰向けに倒れ込む。

全員が一瞬動けなくなった瞬間がマリケスにとってのチャンスだぜ。マリケスは地面に爪を突き刺して全方位への斬撃攻撃を繰り出して、近くにいたマレニア、ラーヤ、ブライヴ、ベルナールをぶっ飛ばす。ブライヴとベルナールは武器で防いで軽傷で済んだけど、一番近くにいたマレニアとラーヤはモロに食らって、マレニアは右腕が無くなった身体でも器用に受け身を取って着地をキメたけど、モロに食らったラーヤは腹と肩から血を流してピクリとも動かない。オレの方に飛んできたラーヤの石からは赤い光が消えていった。

マネージャー「ラーヤさん…?」

マネージャーの力が無い呼びかけもマリケスの咆哮に掻き消され、気付いた時にはマリケスは飛んでいた。

ブライヴ「おおおお!」

ブライヴも吠えてラーヤにダッシュ!動かないラーヤを掴んで抱きかかえてから急いで引き返すけど、その後ろを縦回転のマリケスが追ってくる。ベルナールも赤いフィールドが使えないからマリケスに走って近づくしかないけど、ベルナールを追い抜かしたマレニアがブライヴからラーヤを受け取る。

ブライヴ「俺達がマリケスを抑える!お前は一度引け!その腕では戦えん!」

ブライヴ&ベルナールのペアが壊れた武器でマリケスの相手をする間に、マレニアはラーヤを抱えてマネージャーのいる方へ走って、そこにオレも合流。マレニアは眼を薄く開いたまま冷たくなってきてるラーヤをゆするけど、パニックを起こすギリギリで踏みとどまってるマネージャーがマレニアを止める。

マネージャー「駄目です!動かさないで!なにか…何か手はあるはずです…」

マレニア「なんでも構わない!早くしてくれ!でなければラーヤが…!」

眼からポロポロ涙を流すマレニアに詰められてマネージャーの思考も高速回転。「ぬくもり石!確か何個かあったはず!」って持ち物を漁って金色の石ころを三つ取り出してマレニアに渡す。マレニアが石をすぐに置くと、暖かい光が一気に広がってオレ達を包み、ラーヤの傷口も塞がっていく。「ぬくもり石は私と拓也には効きませんが、ラーヤさんには効くはずです!間に合ってくれればいいんですが…」マネージャーが呟くと、ラーヤの手を握ってたマレニアに義手が投げつけられた。

ブライヴ「早く義手をつけろ!もう抑えられんぞ!」

折れた剣と折れたハンマーでマリケスにヒットアンドアウェイをかける二人に、マリケスは容赦なく死の炎をぶち込んでいって、避けようが防ごうが関係なしに二人を追い詰める。マレニアは焦りを押し殺しながら義手をつけるけど、義手の接着部分のカビが邪魔をしてうまくくっ付かない。だからオレとマネージャーが義手に手を突っ込んでガリガリ腐敗をこそぎ落としていく。

そうしてる間にブライヴが先にダウンして、ベルナールも何度か死の炎を避けたけど、ついに避けた先で爆発した死の炎にぶっ飛ばされて倒される。ラーヤは生死不明でマネージャーと拓也は戦えない。使える戦力はマレニアだけ。マリケスは呼吸を整えると、俺達に向かってジリジリと様子見しながら近づいてくる。


マレニア「ラダーン……やはり私は、誰の誓いも護れぬようだ…」

マレニア「許してくれ…」


ラーヤの頭をひとなでしてから、マレニアはひとこと呟き走りだす。
「早まんじゃねーよ!」「マレニアさん!?何する気ですか!?」俺達からの声も無視してマリケスに向かって行ったマレニアの胸に、あの死の剣が突き刺さる。オレとマネージャーは凍りついて、吸った息を吐けなくなって固まる。心臓を貫かれたマレニアはグッタリして血をドロドロ溢れ出させていく。マリケスはそんなマレニアを剣から引き抜いて床に置くと、オレ達に向かって歩きはじめた。

拓也「マジかよぉ…」

マネージャー「マレニアさん…どうして…」

多分もう死んでるラーヤを抱えて、マネージャーとオレは動かない。マリケスは拓也の心を、徹底的に拓也の心を打ちのめして、残った一粒の希望も残さずにぐちゃぐちゃに踏み躙ってから、死臭が香る風で吹き飛ばしていった。ブライヴも、ベルナールも全く動けなくて、大きくなっていくマリケスの図体に、奥で倒れてるマレニアも見えなくなる。

最期の時を覚悟すると、マネージャーがオレの手を握ってきたから、オレもその手を握り返す。
その繋いだ手に朱い蝶が舞い降りて、あのマリケスの足が止まった。

276名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/12(日) 23:39:28 ID:cI0CeQ5Q

止まったマリケスの後ろから朱色の光が漏れてきてるけど、オレはもう諦めてるから何が来ても良いぜ。どうせ少しでも動いたらマリケスのデカい剣に真っ二つにされるし、仮に逃げられても今度は死の炎が待っている。もうオレの人生は終わってんだよってグレまくって、手にマネージャーの震えだけを感じていると、マリケスがいきなり飛び上がって、俺達からも、朱い光からも離れたところに着地する。牙を剥いた口から唸り声を上げてるから、何にそんなにビビってんだよって見ると

拓也「は?」

マネージャー「…なにこれ…?」

だだっ広い円形広場の真ん中に、朱く光るデカい蕾?蛹?みたいなのが生えていた。
今までそんなの影も形も無かったのに、いきなりそんな物が現れたから強烈な異物感で、思わず拓也もマネージャーと一緒にマリケスそっちのけで朱い塊を見る。そしたら塊がドバーって音を上げて爆発するみたいに開いて、とんでもない量の朱い花びらを辺りに撒き散らして、拓也の切れかかったガタイが自動で分析を始めて答えを弾きだす。
朱い花びらに触った時の、染みるような小さな痛みは、ケイリッドで味わったあの腐敗のものだった。


マレニア「朱い花は、また開く」


朱色の花びらが透けて消え始めたら、花の中心から義手と義足だけをつけたマレニアが立ち上がる。外れかかってた義手はガチガチに硬くなった白い角質で接着されている。メチャメチャ長くなった赤髪がブワッと持ち上がると、それに絡みつくように、何千匹もの蝶と花が押し固められたみたいな翼が背中から伸びていって、大きく広がりながら大量の蝶を空に向かってばら撒いていく。

拓也「おー…すぅっげ…!」

マネージャー「マレニアさん…その姿は…まさか本当に、腐敗の女神になったんですか!?」

マレニア「貴公らにも、決して見せたくはなかった…このおぞましき、朱き腐敗は…」


マレニアがそう言うとまるで応えるみたいに、マレニアの胸に赤く燃える炎のデカコックリングが浮き上がり、炎が生み出す火の粉がマレニアの翼を包んでいく。広がる火の粉はさらに義手や義足にも纏わりついて、義手の刀が燃え上がる。空を飛ぶ蝶は何匹も燃えて落ちて、マレニアの皮膚に広がる腐敗も火の粉を纏って、侵食を抑えられて引いていく。


マレニア「おお、ラダーン…腐敗に堕ちた私をも、見捨てずにいてくれるのだな…」

マレニア「ならば、どうか皆を守ってほしい。この私の腐敗から」


腐敗の蝶から火の鳥に変わったマレニアが、翼を羽ばたかせて飛び立つと、マリケスの剣の死も一層激しく燃え上がる。そしたらこの場の明るさが幸いしたぜ!空中で翼を広げたマレニアからの光でラーヤも目を覚ました。「マレニアさん!ラーヤさんが起きました!」「おーっ!生きてまっす!」ラーヤの無事を伝えると、マレニアも一瞬安心した表情になってから、またマリケスにギン眼を向ける。

ラーヤ「マレニア様!? そのお姿は…!?」

マレニア「拓也、マネージャー、貴公らはラーヤを連れて、ブライヴとベルナールの元へ」

マレニア「マリケスは、私が抑える」

拓也「ウッス!任せてください!」

オレとマネージャーがラーヤを連れて走りだすと、マリケスがまた飛び上がって縦回転。マレニアも空中で翼を羽ばたかせてマリケスに突撃して、腐敗と炎に祝福された剣と、赤黒く燃え上がる死の剣とがぶつかりまくる見たことのない空中戦が始まった。破砕戦争の延長戦みたいな大迫力バトルに全身に鳥肌を立てながら、拓也はぬくもり石をブライヴとベルナールに提供する。とりあえず全員助かったけど、生肉団子、苔薬、聖杯瓶、そして各種キメモノも武器も無い中で、こんなマジに凄すぎる戦い見せられたら誰もついてこれねーよ!

277名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/12(日) 23:46:28 ID:cI0CeQ5Q

拓也のサウナ激エロ放心みたいなエロい暖かみに当てられてブライヴとベルナールも目を覚ます。「拓也、またお前か…寝覚めにお前の顔ばかり見るのは嫌な…」ってブライヴが失礼なことを言いかけてから言葉に詰まり、空中を飛び回るマレニアとマリケスに釘付けになる。マネージャーはラーヤに服を着せている。

ブライヴ「あれはマレニアか!? 何があいつに起こった!?」

マネージャー「私達にも分かりません…致命傷を負ったことと、意識を失ったことが関係しているのかもしれませんが、ともかく今の彼女は、完全に腐敗を解き放っています」

マネージャー「ラダーン将軍の大ルーンが解き放たれた腐敗と拮抗して、マレニアさんにも何か作用しているようですが、正直私にも、何が何だか分からないです…」

そう言ってる間にもマリケスの死の炎を食らったマレニアが高度を落として、そこにマリケスの縦回転の追い討ちが入る。その追い討ちもマレニアの斬り上げに弾き返されて、次の瞬間マレニアが一転攻勢。腐敗と炎で真っ赤に燃え上がる水鳥乱舞を、次々マリケスに叩き込んで壁際まで追い詰める。空中にネズミ花火みたいな光の線を迸らせて、マレニアとマリケスがガリガリ壁を削りながら超高速で飛び回る。

拓也「スゲー!押してるじゃん!」

ベルナール「死の剣とあれほど斬り結べるとは…マレニアとは、死をも打ち破れる者だったか?」

拓也「あいつは剣で敵を斬ったら傷が治るんすよ!今調子良いみたいなんで、回復力も多分やべえことになってまっす!」

ベルナール「ふん、生きる力に恵まれた者が、生を蝕む腐敗の宿痾に苛まれていたか」

ベルナール「やはり黄金律は、生者に苦しみを望んでいるようだ」

人が必死こいて戦ってるのに皮肉を飛ばすんだから、ベルナールって性格悪いぜ!一方マレニアは空中のぶつかり合いに勝利してマリケスに突きをぶっ込み、隕石みたいなスピードでマリケスごと床に激突。そのままマウントを取ってマリケスと刀を押し合って、自分よりガタイがでかいマリケスの首筋に刀をググッと近づけていく。「このままイッちまうぜ!」オレが応援を飛ばす頃にぬくもり石の光が消えて、ブライヴとベルナールの怪我もほとんど治る。

ブライヴ「今ならば首を取れる!加勢するぞ!」

折れた武器を持ったブライヴとベルナールがマリケスに駆けていって、その間にもマレニアはマリケスを押していくけど、ここでマリケスのやつが新テクを開発!首筋を狙ってくるマレニアの刀に自分から頭を伸ばして噛みつき、口の両端から血を流しながら腕と顎のバワーでマレニアを引き剥がしていく。誰が開発していいって言ったんだよ!マレニアから脱出寸前のマリケスを、ブライヴとベルナールが折れた武器で殴りまくり斬りまくりのリンチ状態に落とし込むけど、武器が壊れてるから効き目がイマイチだぜ。

マレニア「剣の死を解け…マリケス…!」

マレニア「このままでは、本当に貴公を殺してしまう…!」

なまくら状態の武器でも、とにかく殴りまくったらダメージが大きくなる。折れたブライヴの剣でもとうとうマリケスの横っ腹に刺さって吐血させる。それでもマリケスは意地になってウガーウガー唸りながらマレニアを押し返そうとする。こいつは勝負あったぜ!って拓也の確信も束の間で、広場に誰かが入ってきた。


D「黄金律を冒涜せし者どもよ!兄ダリアンの遺志は、このデヴィンが引き継いだ!」

D「貴様らに、運命の死は害させぬ!魔女フィナに与えた末路を、貴様らにもくれてやろうぞ!」

誰だよぉ!乱入してくるとはとんでもない奴だ!
着てる鎧はなんかDぽいけどとにかくテンションに↑入りまくりで別人みたいだし、円卓にいた欲求不満系のバイのウリセン女を殺したことも自白しだしてマジ狂い!猛烈な勢いでオレ達非戦闘員に走ってくるしで只事じゃねーよ!ダリアンもデヴィンも、オレのゲイの知り合いにはいないしな。しょうがないからオレは剣と盾を構えて一応ファイティングポーズを取るけど、あんな戦い慣れしてそうな奴に勝てるわけない!

ベルナール「なにっ?」

ブライヴ「なんだぁっ!?」

D「うあああああ!」

突然の乱入者にブライヴとベルナールもビックリで、マレニアもついチラ見しちゃうけど、一番驚いてるのは絶叫とともに襲われてるオレなんだよね。盾は構えたけど両手で振られまくるDの大剣にバシバシ殴られてすぐに落としたし、オレが振った剣もすぐに絡め取られて、手から抜けてったから打つ手がない。手だけにね(笑)。ラーヤは一回死にかけてスタミナが尽きてるし、マネージャーは元から戦えないから、使える武器は拓也の素手だけ。

マレニア「うぐっ…!」

しかもさっきまで押しまくっていたマレニアが、マリケスに持ち上げられて壁に叩きつけられててマジでヤバい!マリケスと押し合いしてる最中に想定外のDの乱入が起きたせいで、チラ見した瞬間を突かれたな!ブライヴとベルナールが拓也達の方に走ってくるけど、間に合う前にオレがDに殴り倒されて、またラーヤが狙われる!

D「死ね!穢れた魔女め!」

マレニア「ラーヤ!」

マリケスに壁へ追い込まれたマレニアが叫んで、Dの剣がラーヤの首筋に振られる。その瞬間に金属がギャリッて擦れる音がして、Dの持つ金と銀の大剣が朱色の剣に防がれる。マレニアも、ブライヴとベルナールも、ラーヤからは離れすぎてて割り込みなんて絶対無理だぜ。じゃあDの剣を止めたのは誰なんだよ?って思って、Dの剣を止めた細身の剣を目で辿って、巨大すぎる衝撃が心にズブリと挿入される。

拓也「あー、す、、すっ、、げー!」

強烈な感動に仰け反った拓也のガタイの両乳首にも刺激が伝わり、オレの心もマンコにデカマラが結合されて喘ぐだけのMウケペットに堕ちていく。ブライヴも思わず駆け寄るのをやめて立ち尽くし、遠くのマリケスまで俺達を二度見して、ラーヤの眼からは涙が溢れた。

ラーヤ「ああ…ずっと、ずっとそばにいてくれたのですね…」

ラーヤ「私の、英雄様…」

278名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/12(日) 23:58:43 ID:cI0CeQ5Q

Dの剣を防いだのは、あのミリセント!

朱く輝く透明な裸体に、腐敗の蝶とラダーンの炎を纏ってるミリセントは、ラーヤを背後から抱き寄せるようにして立っていて、左手でラーヤをかばいつつ、右手の剣でDの剣を押し返していた。「うーっす!お久しぶりっす!」「ミリセント!お前、生きてたか!」「またあなたに会えるなんて…!」まさかの再会に打ち震えるオレとブライヴとマネージャーの声が響いて、ミリセントはラーヤに流し目の微笑みを見せる。あり得ないはずの再会でその表情はズルいぜ!お前マレニアに取り込まれたんじゃなかったのかよ!?

「マレニアが…二人?」

何が起きてるのかマリケスも分かってないけど、オレ達にも全然わかんねーよ!見るとマレニアも目の前のミリセントにめちゃくちゃ驚いてて、マリケスとマレニアの二人して壁ぎわで組み合ったまま動かない。「やはり魔女か!」Dが大剣を引き戻してから、今度は剣に金色の光をまとわせてミリセントに斬りかかるけど、朱いミリセントはその剣をまた弾いてDの脚を払って転ばせてから、マレニアに眼を向ける。
視線を受け取ったマレニアはうなずいて、拘束を若干緩めてるマリケスの下顎に膝蹴りをぶち込んで脱出。
そのままジャンプしてオレたちの方に飛び込んできた。近くで見ると翼がスッゲーデカい!

マレニア「皆、無事のようだな」

マレニア「ミリセント。貴公の働きに感謝する。ありがとう」

転んだDにブライヴとベルナールが覆いかぶさって取り押さえてる横で、ミリセントはマレニアにうなずく。マリケスは首をパキっと鳴らしてから全身を震わせて毛を逆立てるし、銀色の髪もフワッと浮き上がって、黒い剣の炎をもう一層強くしてきてたまんねー!マジでマリケスの奴を怒らせたみたいだけど、でもこっちにはミリセントが増えて勝てる希望がグンと上がってんだよ!

マレニア「ミリセント。私は砕けた心を、ずっと癒したいと思っていた。痛みを取り去りたいと」

マレニア「だが、心は砕けたままでいい。貴公に会い、貴公に支えられ、貴公の友に導かれ、私は聖樹に篭る腐敗ではなくなったのだから」

マレニア「解き放とう。貴公の、そして私の姉妹たちを」

広げられた腐敗と炎の翼から朱い風と蝶が舞い上がって、中から朱く輝くオンナたちが次々と現れる。マジスゲー!ミリセントがどこから来たのかが完全に判明して、ラーヤもブライヴもベルナールもオンナたちに目移りして視線をキョロキョロ。ミリセントを除いた合計6人の姉妹達は、全員ミリセントと同じく腐敗の風と蝶を纏って、ラダーンの炎を帯びている。一気に有利になって形勢逆転だけど、マレニア含めて全員が素っ裸だから勿体なくて死ぬぜ!なんで女なんだよ!まぁマレニアが男だったら、この空間はチョー激エロすぎて戦いが終わる前に拓也が終わっちゃうけどね(笑)

マネージャー「…ローデリカさんは、あなたの中に彼女達を見ていたんですね…」

ファンタジックすぎる現象にマネージャーも見とれるなか、マレニアは姉妹達と一緒に突撃の構えを取る。
マリケスもそれを合図に赤い光が見えるほどのキレまくった咆哮を上げる。最終ラウンドの開始だぜっ!

ミリセントと姉妹達が一斉にマリケスに殺到すると、マリケスも地面に剣を刺して死の刃の超高速乱舞を放つ。でも姉妹は7人で協力して死の乱舞を全部弾き返して、その合間をぬってマレニアが突撃。マリケスの懐に潜り込んで炎と腐敗のゼロ距離水鳥乱舞をぶっ込んでマリケスを斬りまくり!マリケスは炎に焼かれながら腐敗を食らって悶絶。血を吐いてゼエゼエ息を荒げる。

マネージャー「今です!畳み掛けて!」

マネージャーからの指示が飛んで、ここでマレニアが新テクを開発!これ以上開発するテクがあるのかよ!
マレニアがマリケスの頭上に飛び上がると、姉妹全員がマリケスをグルリと囲んで水鳥乱舞の構えを取り、空中のマレニアからは朱い腐敗の花びらが伸び始める。マリケスは苦し紛れに剣を地面に突き刺して死の爆発を巻き起こすけど、7人姉妹は同時に水鳥乱舞を繰り出して死の爆発を剣の風で受け流し、マリケスを斬りまくって黒い鎧も割ってぶっ飛ばしていく。そして動けなくなったマリケスの背中にマレニアは急降下して剣を突き刺すと

マレニア「腐れ!」

真っ赤に燃える朱い花を満開にさせて、腐敗の大爆発を起こしながら、マリケスの全身の傷口にありったけの腐敗のバワーをぶち込んだ。ラダーンの炎で腐敗の力は弱くなってるかもしれないけど、それでもあの腐敗を傷口に直に叩き込まれたんだからもう生きて帰れねーな!マリケスは案の定全身から朱い煙を吹いたあとに、大量の血を吐いてダウン。ボロボロの鎧の隙間から腐敗の白カビが溢れ出す。

D「おお…黒き剣のマリケスよ…」

D「貴様らよくも…我が兄の次は、死をも弄ぶか!」

取り押さえられたまま暴れるDをブライヴが締め落とすと、マレニアも倒れたマリケスから降りて向かい合う。「マリケス…もう十分だろう…死のルーンを渡せば、せめて楽に送り出してやれる」マレニアからの提案にも荒い息を返すだけのマリケス。腐敗で弱ったガタイの傷からは朱い腐敗が血に混じって流れ出す。完全に決着がついたんで、全員がマリケスの前に集まる。

「…マレニア…」

血の混じったガラガラ声をマリケスはあげて、そのあとに口をピクピク動かすけど、いよいよ死にかけてるみたいで声が出ていない。
マレニアはせめて最期の言葉は聞いてやろうって思ったみたいで、マリケスに近づいて、顔の前でしゃがみ込む。

「我を…恐れよ…」

「…黒き剣の、マリケスを」

そう言い残して、マリケスの顔はカクンと落ちて血を流していく。
「すまない、マリケス」マレニアもそれだけを伝えて、マリケスの兜に手を触れて、腐敗の翼をマリケスに斬られた!

279名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/13(月) 00:04:11 ID:u5QkRMTY

やられたぜ!死んだふりをしたな!倒れた姿勢から身体を錐揉みに回転させたマリケスは、その勢いを使って死の剣を振り回して、マレニアの翼を両方とも切断。死の力にマレニアを犯させる。解放された腐敗の力が消えて、ミリセントと姉妹達も霧のようになってマレニアに戻り、一瞬で深傷を負ったマレニアが苦悶の顔でぶっ飛びダウン!ここまでやってそんなのありえない!

ブライヴ「マリケス!!」

ブライヴとベルナールも吠えて武器を振り上げるけど、ここでマリケスが新テクを開発!腐って脆くなってる自分の片腕を引きちぎって腐敗ガスの煙幕を辺りにぶちまける。マレニアの力が収まったせいかガスの腐敗は強くはなかったけど、オレ達の視界が一瞬消える。その一瞬がマズかった!

動けなくなったマレニアに向かって、マリケスの横回転斬りが振り回される。
でもお前がマレニアを狙うなんてことは予想してたぜ!お前のクリスマスは終わってんだよ!

オレはマレニアの前に飛び出した。
拓也のサングラスは、濃いガスの中でも死の剣の光をクッキリ捉えて離さない。
タイミングはラーヤが全部教えてくれてるぜ!良いぜ!その極上の剣の軌道!

拓也「ウッス!」

オレは手に持った例の石を剣の光に当てて、マリケスの死の流星を食い止める!ラーヤが落としたあの石を拾っておいてよかったぜ。剣を弾かれたマリケスはガタイを仰け反らして悶絶。腐敗のガスは剣の死の力で殺されて消えたから、目の前にいるのはマリケスだけ。

拓也「今っす!」

オレの声でマレニアはハッとして、マリケスに向かって渾身の突きを放つ。
マレニアの刀は死の剣を振り上げかけたマリケスの胸を貫いて、噴水のような血を噴き出させた。マリケスの手に握られた死の剣は、ドロドロに形を崩して溶け始める。そしてマリケス自身も仰向けに倒れ込んで、あの白い煙を全身から立ち上らせていく。
マレニアはマジで瀕死になったマリケスに駆け寄って、傷だらけの頭を抱き上げた。

マレニア「マリケス…何故だマリケス…なぜはじめから、私に死を譲ってくれなかった…」

マリケスの顔に大粒の涙がこぼれ落ちる。
マレニアの言葉が聞こえてるかどうかはオレには分からない。


「…おお、マリカよ」

「黄金律が、また戻る…」


意識朦朧のマリケスは、本当の最期の言葉を言い残して、全身を白い煙に変えて消える。
あとには横座りで泣いてるマレニアと、赤黒く輝く死のルーンだけが残っていた。

280名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/13(月) 00:09:51 ID:u5QkRMTY


卒業祝い   投稿者:ビルダー拓也


マリケスを倒して、マレニアが鼻をすする音だけが聞こえる時間の中で、マネージャーの携帯に着信。マネージャーが電話に出てどこかに歩いていくのを見て、オレ達も我に返ったように動きだす。とりあえずマレニアを裸で放置するのもマズいと思って、拓也はラーヤと一緒にマレニアの弾け飛んだ服を掻き集めて持って行く。ブライヴとベルナールはぶっ倒れてるDにピンタして情報を聞き出そうとする。

ラーヤ「マレニア様、服を…」

マレニア「…ああ、すまないな…」

涙を拭いてから、渡された服を着直してるマレニアの翼は、斬られた所からかなり死のルーンにやられて根本部分しか残ってない。マリケスの最期の置き土産だぜ。腐敗を解放したことで生えた翼だからか分かんねーけど、ラダーンの炎が傷口でチリチリ光ってて、翼が治るのを邪魔してる。「あー、なんか翼治らないみたいっす」「この翼は封じられたままでいい。むしろ、安心しているよ。死と炎が、私の腐敗を退けてくれる」マレニアは話しながらほぼ着替え終わったけど、赤いマントを持ったところで手が止まる。

マレニア「…だが、腐敗が封じられた今、もはやミリセントとも、会うことは叶わぬだろう…」

マレニア「私は二度も、彼女を消してしまった…」

ラーヤ「いいえ、マレニア様。英雄様は今も私たちの側に、そしてあなた様の側にいます。あなた様の優しさ、心の痛みが、その証です」

拓也「ウッス!オレもアイツとまた会えて、マジ嬉しかったっす!」

遠くに行ってもう二度と会えないと思ってた奴と再会できて、そいつも元気にやってるって分かったんだから何の文句も無いんだよね。最初は複雑そうだったマレニアの表情も少し和らいで「…そうだな…そう思うことにするよ」って前向き発言。赤いマントを羽織って着替えが終了。若干雰囲気が良くなったところでブライヴがやってきた。

ブライヴ「Dを絞って分かったが、あの男も何も知らぬようだ。恐らく、あれもギデオンに一杯食わされたのだろう」

ブライヴ「マレニア、お前は大丈夫か?ミリセントはどこに行った?」

マレニア「私なら平気だ。腐敗も、かつてない程に弱まっている。ミリセントは…彼女は、私の内に還っていった。今も私と共にある」

ブライヴ「そうか…お前の中に息づいているのなら、それでいい」

オレ達がミリセントのことを染み染み思ってると、遠くからマネージャーがベルナールと一緒に小走りで合流。
「ネフェリさんから連絡がありました」って言葉に、場の雰囲気がオレのケツアナと共に引き締まる。

マネージャー「金仮面卿とコリンさんとディアロスさんが、王都の闘技場前に現れたとのことです。ネフェリさんは今、彼らと一緒にいるそうです」

マネージャー「そして、ディアロスさんから聞いたらしいのですが、金仮面卿が…」

でもマネージャーが話してる途中で死のルーンが赤黒い炎を噴き上げた!大事な話してるのに邪魔するなよな!って頭にきたけど、マズいぜ!死のルーンの炎になんて当たったらオレとマネージャーは即逝き間違いなしだ。「ヤベー!」逃げる暇もなくそれだけを言い残してオレは飲み込まれ、他のみんなも声を上げる前に炎に包まれて、あたりに闇の静寂が訪れた。

281名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/13(月) 00:19:08 ID:u5QkRMTY

手の甲に落ちた火の粉の熱さで目が覚めると、あたり一面灰だらけの瓦礫だらけで、ガタイを起こすと全身から灰がサラサラと落ちていく。まわりを見たらマネージャーやブライヴ、マレニア、ラーヤ、ベルナールまで灰まみれで起き上がってきてて、遠くにはDが伸びている。見上げた先には、真っ赤に燃える黄金樹がそびえてて、降ってくる灰がグラサンに白く浮かぶ。

拓也「すっげぇ燃えてる!ここまでやれば流石に入れるでしょ!」

マネージャー「死のルーンは無事に効いたみたいですね…ですが棘を焼くのに、ここまでやる事になるなんて思いませんでしたよ…」

マレニア「ここは王都…なのか?なぜここに?」

ブライヴ「黄金樹に本来もたらされるはずだった死が、ようやく王都に現れたのだ。俺達はあるいは、その死に運ばれたのかもな」

ブライヴ「なんせ死を解き放ってやったのだ。死からも、これくらいの礼があってもよかろう」

ブライヴがモコモコマントから灰を落としてると、マネージャーの電話に着信。マネージャーは電話に出てからしばらくハイハイ言って、一瞬不穏な間を開けてから少し話して通話終了。「ネフェリさんによると、今、黄金樹の大聖堂にギデオンが来ていて、私達に指名が入っています。大事な話があるそうなので、いくらでも待つと言っているようです」そのマネージャーの言葉でまた緊張感が高まる。「ついに逃げるのをやめたか」ってブライヴはため息。ラーヤは何かを決心したみたいにひと呼吸入れて、マネージャーに耳打ちする。

そのあとマネージャーから「ラーヤさんからお話があります。ギデオンは待つと言ってますし、少し時間を取ってもいいですね?」って集合の催促があって、早速みんなでマネージャーとラーヤがいる方に集まる。「さ、ラーヤさん」マネージャーの合図で、スピーチが始まる。


ラーヤ「私とベルナール様は、火山館に戻ります。ベルナール様の武具を修復しなければなりませんので、少々時間が掛かるはずです」

ラーヤ「そしてその間に、皆様は黄金樹へと辿り着き、ギデオンを打倒し、どのような形であれ、律の修復を終えるのでしょう。拓也様とマネージャー様の戦いは、終わりを告げるのでしょう」

ラーヤ「ゆえに、私が皆様と共にいられる機会も、今が最後となるはずです。なので今ここで、皆様にお伝えいたします」

ラーヤ「私とタニス様は、火山館は、皆様を信じています。果てなき奪い合い、漁り合いを、黄金律を中心としてあらゆる生命に強いる……そんな世を、皆様が正すことを信じています」

ラーヤ「どうか、良き律をお創りください。良き王を、玉座にお迎えください」

ラーヤ「そして拓也様、マネージャー様。お二人が元の世へ帰ることができるよう、私は祈ります」

ラーヤ「お二人の旅に、一時でも加われたことに、感謝いたします。皆様の戦いに、感謝いたします」

ラーヤ「ありがとうございました。これからも、どうかお元気で」


頭を下げて、ラーヤが短いスピーチを終えると、マネージャーが真っ先にラーヤに握手とハグで感謝を伝える。それで俺も旅の終わりを実感して一気にセンチメンタルになる。修復ルーンの欠片を持ったギデオンが黄金樹の近くに来てるっていうし、後はギデオンから欠片を取り返して修復ルーンを完成させてから、そいつを使ってエルデンリングをガン掘りするだけで、この長くてハードすぎる旅も終わるぜ。そしたらオレも狭間の地から新宿に帰って、いつものウリの仕事が始まる。

そう考えたらなんだか寂しくて、マネージャーとのハグが終わってから俺も握手しに行く。ラーヤはまだ子供だしオンナだから、オレの激エロ成人男性向けのモロホストフェロモンを嗅がせるわけにはいかない。だからオレは息なんか止めて、軽い握手で済ませて次に回す。

ブライヴもオレと同じく握手で済ませたけど、ちょっと照れ臭かったみたいで鼻の先を親指で掻く。マレニアはしゃがんだあとに20秒くらい抱き合ってから離れる。ラーヤの方が哀しそうにするなら分かるけど、お前の方が涙目になってんじゃねーよ!ミリセントの奴に心に↑仕込まれて感情が豊かになるのも大変だよな。

282名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/13(月) 00:24:40 ID:u5QkRMTY

別れの挨拶を終えて、ラーヤはまた頭を下げてから、ベルナールと一緒に灰まみれの廃墟を遠ざかっていく。その背中をオレ達は見ていたけど、「…さぁ、私たちも、そろそろ行きましょう。ギデオンならいくらでも待たせたいところですが」ってマネージャーの言葉で出発。ラーヤ達とは逆方向に歩いていく。そこでまたマネージャーの携帯の着信。相手はまたネフェリで、廃れた闘技場に金仮面卿とコリンとディアロスが向かったって報告が入ったから、全員で闘技場に向かう事に。そしたら


ディアロス「おお!久方ぶりだな」

道の途中でディアロスに遭遇!これから旅が終わろうって時の再会だけど、それでも嬉しいぜ!「エロいぜ!ディアロス!」そう言って再会のハグを食らわせながらラーヤには出来なかった濃厚なkissで唇を吸いまくろうとしたけど、デカい盾で拒否されてショック!ノンケのディアロスの視線はマレニアに吸い込まれていた。やっぱりオレのことは「アブノーマルな旅仲間」としか決して絶対に思ってくれない。そしてディアロスは拓也と違って拒否しようがない衝撃と遭遇する。

ディアロス「マ…マレニア…!?」

「フフッ、そういえばお前は知らなかったな」「色々ありすぎて、こちらからは連絡できませんでしたからね…」楽しげに笑うブライヴと苦笑いのマネージャーの前で、ディアロスは極上の驚愕顔で口をアワアワしてる。マネージャーが伝えそびれてることを知った時から、お前のリアクションが拓也の密かな楽しみだったんだぜ!

マレニア「そうか…貴公は、私を知らぬのだったな。ならばミリセントという名には、聞き覚えがあるだろう?」

ディアロス「ミリセント? …貴公、まさかミリセントなのか!?」

マレニア「久しかったな、ディアロス。貴公に傷を洗われた時は、我ながら情けない声を上げたものだ」

ディアロスはまた口をパクパクさせながら頭を抱えて後退、胸に手を当てたり腰に手を当てたり忙しくポーズを切り替える。マレニアの奴もブライヴと一緒になって悪戯っぽい微笑みで反応を見てる。今は気持ちに整理をつけてるな、何を聞こうか迷ってるなってオレも楽しんでるけどね(笑)
そしてディアロスの会話プランが決まった。

ディアロス「あー…そ、そうか!それで、貴公のことはなんと呼べばいい!?ミリセントか!?」

マレニア「私はマレニアだ。だが分け身であった彼女は、たしかに今も、私の中に生きている」

マレニア「貴公の好きに呼ぶがよい。ミリセントでも、私は構わないぞ」

ディアロス「…い…いや、やはり貴公のことは、マレニアと呼ぼう…こうも違うのだから、同じように扱っては気が引ける…」

ディアロス「ええと、長々と話してしまったな…私は貴公らを呼びに来たんだ。金仮面卿が、貴公らを待っているのだ」

ここでダブルブッキング。ギデオンか金仮面卿か、ふたつにひとつを選ばなきゃならないシチュエーションだと分かったぜ。「じゃあ金仮面卿で」マネージャーの即答で金仮面卿のいる廃れた闘技場に向かうことに。灰がつもりまくっててルートが変わってるし、敵もいないからただの散歩だよね。だからディアロスも暇を持て余してマレニアについての質問の嵐。それに全員で答えていく集中講義の開始だ。

ディアロス「そうか…辛かったな…貴公の無念を思うと、私も辛い…」

ミリセントがマレニアに変わった辺りの話まではディアロスも我慢してたけど、マレニアがモーグウィン王朝でミケラを見つけたあたりの話で、ついに涙腺が決壊。ハリウッド系イケメン顔に涙を浮かべて、元貴族らしくハンカチで眼を拭いている。その様子が気まずいやら面白いやらでマネージャーもオレと一緒に苦笑い。ブライヴも詳しい話を始めて聞いたから、ディアロスを弄ってた元気も無くなって真面目に話を聞いてる。

ディアロス「私もラニアを喪い、救えなかった…いもしない敵を憎み、己の無力さを恥じもしたが、それに比しても貴公の半生はむごすぎる…あんまりじゃないか…」

ディアロス「私なら耐えられない…貴公はどうやって、その痛みを耐えたんだ?」

マレニア「耐えられなかった。心の痛みに苛まれ、円卓の皆に、私を殺すよう懇願したことさえあった」

意外な答えにディアロスはまたビックリ。マネージャーからも「あの時はこたえました。大変な時期でしたよ」って補足も入る。「そ、それならばどうやって…!?」って話に食いつきまくるディアロスに、話の続きが提供される。

マレニア「ネフェリに連れられ、ケイリッドにて再びラダーンに見えたのだ。ネフェリは私に名誉ある死を望み、私もラダーンに殺されることを望んだ。それが道理であると思えたからだ」

マレニア「だが、ラダーンは私を救った。私に大ルーンを与え、腐敗を焼き、罪を償う道を示してくれたのだ」

ディアロス「な、なんと…あの星砕きのラダーンが、貴公を許したのか…?」

マレニア「許されたとは思わぬ。償うこと無く許されるなど、私も求めてはいない」

マレニア「ラダーンはただ、私に慈悲を与えたのだ。私はその慈悲に此度こそ報いるために、総てを終わらせたのちはケイリッドに赴くつもりだ。蔓延る腐敗を焼き、居場所なき蟲人たちを、せめて聖樹へと導くために」

283名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/13(月) 00:30:55 ID:u5QkRMTY

マレニアの話の締めくくりにディアロスが言葉もなく感動に感じまくっていると、そこにブライヴから話の続きが入って、そのうちに話題はラダーンの逸話にシフト。「ラダーンに助力を願った時は、あまりの無謀さに俺も己を嗤ったが、ラダーンはすぐに了承してな。あの懐の深さは何処から来るのだか…」ブライヴの話がオレの新テクにまで進んでからは、仲間内のラダーン伝説語りが始まった。星砕きの伝説は本当だったとか、星を何周も飛べるとか、時空を打ち破れるとかの激つよのモロ英雄エピソードが、全員の口から語られて山積みになっていく。

それからラダーンについての話がさらにヒートアップして、ついには「ラダーンは騎馬戦車にひかれても死なないのだろうな」なんてディアロスの一言でいつもの妄想ゲームの始まり。「ウッス!」と答える拓也に「お前が返事をしたら、お前がラダーンみたいになるだろう」ってブライヴから拒否が入る。

ディアロス「氷の海に沈められたならどうなる?」

ブライヴ「正気である今なら、氷の海に鎖と重りをつけ、深く沈められても上がってくるだろう」

ブライヴ「竜の赤雷ならばどうかは分からんな」

拓也「ウッス!オレは竜の雷食らっても死ななかったんで、ラダーンには全然効かないっす!」

ディアロス「そういえば貴公は、あれを浴びていたな…あの時は参った」

拓也「尿道とアナルと乳首に金属端子つけて、全身の筋肉に電極とりつけて60分電流でのたうちまわれば、ラダーンでも快感で射精します!」

ブライヴ「また訳の分からんことを言い出したぞ」

なんてありとあらゆる妄想ごっこ。その間は「男ってどこの世界でも強さ比べが好きなんですね」「ラダーンを絵物語の如く扱うのには、抵抗がある」ってマネージャーとマレニアは呆れてる。それからもくだらねー話や思い出話をしながら王都を練り歩いていき、ついに棄てられた闘技場に到着。でも金仮面卿の姿が無くて、「おかしいな…先程まではここに居たはず…」ってディアロスが辺りを見渡す。

拓也「道間違えたんじゃねーの?」

ディアロス「そんなはずはない。確かにこの崖ぎわに、コリンと共に立っていたんだ」

マネージャー「それは妙ですね。手分けして探しましょう」

ブライヴ「百智卿にはもう少し待っていただこうか」

そこでオレ達は金仮面卿探しを始めたけど、開始30秒くらいで崖下に跳んだマレニアが金仮面卿を発見。大変なことが起きてて大至急来いって感じのこと言われたんで行ってみると、そこにはコリンもいて、マジでとんでもない事が起きていた!


ディアロス「そんな…金仮面卿…なぜこんなことを…」

コリン「先生は、正気を失った末に、崖から飛び降りたのです…」

コリン「あなたが円卓の方々を呼びに行ったあと…私が先生の元を離れた時に…」

コリン「あっという間でした…先生は、自らの狂気に取り憑かれ、ありもしない目の前の完全性に、手を伸ばしたのです…」


崖の下では、金仮面卿がイエスキリスト系のポーズで死んでいた!マジ信じらんねー!
「ディアロス。これは貴公のせいではない。誰にも読めぬことだ」ってマレニアからすかさずフォローが入るけど、それでもディアロスはショックで、苦虫を噛み潰した顔で悔しがる。「探求の果てが自害とはな…」「彼ほどの人が、どうして自殺なんか…」ブライヴとマネージャーが金仮面卿の前にしゃがんで、ガックリ肩を落とす。でもマネージャーは金仮面卿の胸元に何かを発見。指を指すから見てみると、金色のコックリングが浮いている。

ブライヴ「それは…ルーンか?見たことのない輝きだ」

ディアロス「金仮面卿のルーンだろう…これほど立派なルーンを掲げた方を、喪ってしまったとは…」

マネージャー「…いえ、違います…これは多分、ただのルーンじゃありません…」

金仮面卿のルーンを手に取ってから、マネージャーが携帯を開いて参考資料を次々めくる。
それから血の気がサッと引いて、携帯を持つ手が小さく震える。

マネージャー「…載ってません…」

ブライヴ「何がだ?」

マネージャー「載ってないんです…ギデオンのまとめた、ルーンの大別表…分類表に、書かれてないんです…」

ヤバい空気を察したマレニアも携帯を覗いて、それから固まって金仮面卿のルーンを見る。「英雄達のルーンの形や、王にさえなりえた選ばれし者のルーンさえ載ってる表に、書かれていないルーンなんて…それって…」そこまで言われてオレのガタイも驚愕の真実を導き出して乳首を強烈に刺激!「うーっす!」オレにも雄鳴きが入った頃には全員が察していた。


マネージャー「これは全てのルーンと異なったもの…」

マネージャー「…エルデンリングの…修復ルーンです…」

284名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/13(月) 00:40:59 ID:u5QkRMTY


オレ達を待っていたかのようにバトル   投稿者:ビルダー拓也


修復ルーンを発見したマネージャーはまだまだ念入りに携帯の資料をチェック。金仮面卿が死んじゃったのは悲しいけど、とんでもない置き土産をしていったアイツは最後までオレ達の想像の上を行っていた。ギデオンが持ってるのは死の修復ルーンの欠片だけだから、金仮面卿が作った無傷の修復ルーンを持ってるオレ達の方が有利になったぜ。

ブライヴ「儀式も、力も用いぬままで、金仮面は修復ルーンを……いや、これは本物なのか?」

マネージャー「恐らく本物です。ギデオンも、通常の遺体のルーンはただ消費されるものとして資料にまとめていますが、修復ルーンはそれらとは別枠の資料にまとめています」

マネージャー「私はその別枠の資料の中に、円卓の騎士達がかつて見出しながらも、様々な理由で手放していったとされる、数多の特別なルーンの絵も見たことがあります。目の前にあるこのルーンは、その絵ととても良く似ているんです」

マネージャー「これほど形が整ってはいませんでしたし、強い輝きを放ってもいませんでしたけど…」

マレニア「なんというお方だ…女王マリカでさえも、修復ルーンを見出すためにゴッドウィンを犠牲にしたというのに…」

マレニア「彼はまさに、古今に比類なき大学者だったのだな…」

世界を救う英雄の誕生に、マレニアとブライヴもかしこまって礼をする。ギデオンの資料には金仮面卿のルーンは載ってないかもしれないけど、エルデの義務教育には確実に金仮面卿の名前が載ったぜ。「ディアロスさん、これがあの修復ルーンであるのなら、金仮面卿は自殺したわけではないのかもしれません」マネージャーからもフォローが入って、ディアロスもハッとする。

ディアロス「…そっ、そうなのか?」

マネージャー「修復ルーンは、祝福を受けた人が探求の末に、自分の中に見出すものです。私は探求者が修復ルーンを発見するものとばかり思っていましたけれど……この様子を見る限りでは、探求者は修復ルーンを見つけるのではなく、自分のルーンを修復ルーンそのものに変化させるのかもしれません」

ディアロス「ということは…金仮面卿の命は、修復ルーンに変じたのか?」

マネージャー「ただの仮説ですけどね」

マネージャーもよくこれだけ口が回るよな。オレは見ての通りの肉体派だから、こんなにそれっぽい出まかせなんて言えない。それとも本当にそういう仮説を考えてたのかもね。マネージャーからのフォローでディアロスも気が楽になったけど、今度はコリンがおかしくなって笑い始めるからマジで不気味。

コリン「はは、ははは…修復ルーン?なにを言っているのです?」

マネージャー「どうしましたか?」

コリン「それはただの、先生の誇大妄想の産物にすぎません。それは律を神の手から奪い、大いなる意志さえも届かない空虚な力に変える、忌むべきルーンです。そんなもので黄金律の、何を癒すというのです?」

コリン「やめなさい。すでに探求した完全も、あのように燃えているのです。先生は傲慢な思想に耽溺し、黄金律の完全性を否定せんとした、信仰破綻者だったのですよ」

そう言って燃える黄金樹を指差してヘラヘラしてるけど、コイツがサラッと言った事にオレのガタイがビクッと反応して乳首分析が自動で立ち上がる。ちょっと前にラニが中止にした計画の中身と、金仮面卿のルーンのスペックに似てるところがあってマジヤバ!そこでマレニアからの質問タイム。

マレニア「コリン。黄金律は、確かに貴公の望む完全であったろう」

マレニア「しかし、その完全性の最たる者が私であり、デミゴッドであり、女王マリカなのだ」

マレニア「コリン。貴公は欠け身の神人たる私を、完全な者と思うのか?」

宗教の教祖の娘が信者を否定しちゃって、宗教戦争の始まりだぜ!仕方ないところもあるけど、もうすぐ旅が終わるって時に揉め事はよしてくれよな。って思ったけど、マレニアの語り口は静かだった。

コリン「わかりませんよ…私に完全性が見えるのであれば、先生に導きを求めることもありません…」

コリン「筆記者である私には、もはや何もないのですよ。信じるべき師は偽り者で、黄金樹は今、燃えています。私のあらゆる道程は無に帰したのです…」

マレニア「ならば黄金律が残したものを、信じればよい。黄金樹は燃えても、貴公には多くの物が残ったろう」

マレニア「その命も、その信仰も、その祈祷も、全ては黄金律が貴公に与えたものだ。貴公が筆記者と言うのなら、かつてあった黄金律と、金仮面卿との旅を、全て記して後の世に伝えることだ」

マレニア「貴公がそうしてくれることを、私は願う」

コリンはしばらく黙ってから、鼻で落胆のため息ついてオレ達から去っていく。さよならを言う元気まで無くなってて「彼は大丈夫なんですかね…」ってマネージャーも心配してる。でもドン底から立ち直った経験が豊富なプロ級マレニアは前向きで、「彼が黄金律を忘れぬ限り、黄金律の申し子たる私の言葉も、忘れずにいてくれるはずだ。たとえ私が、完全ではなくとも」ってコリンに期待を込める。コリンはとぼとぼ歩いていって、そのまま灰まみれの街を遠ざかっていった。

285名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/13(月) 00:57:47 ID:u5QkRMTY

マネージャー「さて、この修復ルーンについてですが、どうすべきなのでしょうか」

マネージャー「神から黄金律を遠ざけて、大いなる意志も関わることができないようにするのが、金仮面卿のルーンの性質です。ですがこれはラニさんの計画と被る部分が多いです。もちろんギデオンが欠片を持っている、死の修復ルーンとも性質が異なります」

ディアロス「待ってくれ、死の修復ルーン?そんなものがあるのか?」

ブライヴ「死を欠かすことによって繁栄した黄金律に、死を回帰させる修復ルーンだ。それを使えば、律からは停滞と澱みが消え、腐敗や忌み角も、澱みに招かれし神々と共に去る」

ブライヴ「だがこれを使えば、女王マリカの望んだ新たな治世が敷かれ、律を巡るあらゆる災禍も続いていく。そうなればラニやミケラとは違う形ではあろうが、いずれは律に呪われし者が生まれ、やがて再び律は砕かれるだろう」

ブライヴ「だが幸か不幸か分からぬが、ギデオンが持っている死の修復ルーンは欠片のみ。残りの欠片の所在は不明のままだ」

金仮面卿が修復ルーンを託してくれたのはいいけど、取り扱い説明書ぐらいは付けてくれないと、オレ達もルーンの使い方をマスターできないぜ!だからみんなも迷いまくって、「とりあえず、ギデオンから修復ルーンの欠片を取り返してから決めるなんてどうすか?」っていうオレの意見がすんなり通って笑ったぜ。

それからはマレニアの水鳥乱舞で一人分にはデカすぎる墓を掘ってから、全員で金仮面卿を埋葬。マネージャーは「世界を救うかもしれない人の墓ですから、これでも小さいくらいですよ」って言ってたけど、確かに墓石も無いからその通りなりね。埋葬が終わったらいよいよギデオンに会いに行くことに。ブライヴの剣は折れたままだけど、こっちにはディアロスとマレニアがいるし楽勝だ。ブライヴは噛みつきもイケるしな。

きた道を戻って、デカい石像と例のマシュマロ三人組がいた場所につくと、懐かしい気持ちになりながらそこの柵を飛び越えて、下の灰の山に着地。そこから階段とエレベーターを使って登っていくと、黄金樹の大聖堂に到着。中に入ったら、腕を組んで仁王立ちしてるネフェリと、杖をついて立ってるギデオンが向かい合っていた。


ギデオン「…ああ、ようやく着いたのかね」

ギデオン「それで、エルデンリングに見え、エルデの王となる者は決まったのかね?」


向かいあったまま首だけこっちに向けて話しかけてくるギデオンは、散々待たせてやった割には気にしてないって感じだし、今までの悪行にも全然反省の色が見えなくてチョーウゼー!「お前のクチマンに人間便器マスクつけて、そこに小便するなんてどうすか?」オレの脅しにも完全な無反応。ブライヴ、マレニア、ディアロスの三人も無言で戦闘体制に入るけど、ギデオンはマネージャーからの「死の修復ルーンの欠片は、どこにあるんですか?」って質問にだけ答える。

ギデオン「あれなら、今も私の手の内にある」

ギデオン「しかし、君たちには必要ないだろう。すでにその手には、金仮面の完全律が握られているのではないかね?」

マネージャー「完全律?」

ギデオン「私の目と耳は、金仮面に付き従うコリンとディアロスを見張っていたのだよ。特にコリンという愚鈍には、君たちが手にした修復ルーンの価値など、永久に分かるまい」

ギデオン「あの超越的視座に行き着いた思索の道を、私も識っておきたかった。だがあの愚鈍の筆記が、凡愚のごとき自我により揺らぎ、十分ではなくなった。おかげでついに叶わなかったようだ」

ギデオン「まあいい。ともかく君たちは、選ぶことになった」

ギデオン「その完全律でエルデンリングを修復するのか、それとも死王子の修復ルーンの欠片を奪うために、この私と戦うのか。道は二つにひとつというわけだ」

マジかよぉ!?この圧倒的な戦力差で戦えなんて言うかよ普通!絶対罠だぜ!どうせどこかに兵隊を隠してるな、魔法が飛んでくるんだな、血没紳士が隙を狙ってるなってガタイで分析。あまりにも分かり易すぎる落とし穴にオレもモロ警戒で、逆に全員が攻めにくくなった。「それ、本気で言ってるんですか」ってマネージャーも探りを入れるけど、「それは君の経験に聞けばいいだろう」なんていうさらに混乱させるようなこと言ってきてもう訳がわかんねーよ!本当にオレ達の邪魔をするのが好きな客だぜ。

マネージャー「分かりました。それじゃあ戦いましょう」

マネージャーの決断でマレニアが義手刀をガシャンと変形させる。
これでギデオンも終わりだ。そう思った拓也に、掌を向けてストップを出したのはネフェリだった。

ネフェリ「私にやらせてくれ。一対一だ」

まぁそういうこと言うだろうなって感じはしてたけど、マジで言ってくるんだからネフェリは分かりやすい。「罠かもしれないんですよ?」「それでもいい。罠があるなら吹き飛ばすまでだ」「…じゃあ、危なくなったらマレニアさんを出します」「手出しはするな。これは私と義父の決着だ」言い合いの最後に、ネフェリが卑怯なキーワードを出してきてマネージャーも困った顔をする。家族の話を出されたらオレもディアロスも口出しできねーよ!ヤバくなった時は無理矢理終わらせる方法も色々あるからって、マネージャーも渋々了承。

マレニア「ブライヴ、いざとなったら私はギデオンを斬る。止めてくれるなよ」

ブライヴ「俺が止めると思うか?今斬ってもかまわんぞ」

マレニアとブライヴがヒソヒソ声で話すけど全部聞こえてるぜ!「それでは、合図はどうしますか?」ってマネージャーが言うけど、ギデオンもネフェリもそれは無視だ。それから一瞬静寂が訪れる。「…はぁ、無視ですか。困りましたね、拓也」「ウッス!」オレの声と同時にネフェリが斧を構えてギデオンに襲いかかった。

286名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/13(月) 01:05:22 ID:u5QkRMTY

マネージャー「そんな合図でいいんですか!?」

いきなり駆け出したネフェリの前で、ギデオンがおかしなポーズを取って金色の模様を身に纏う。その直後にネフェリの斧がヒットしてギデオンの肩から出血。そのあとに次々斧を叩き込んでくと、ギデオンから金色の爆発が発生。ネフェリをぶっ飛ばす。

ネフェリを吹き飛ばしたあとはギデオンのターンがやってきて、デカくて青いエネルギーの塊みたいなのをネフェリに連続発射。でもネフェリはぶっ飛んだ先にあった柱でエネルギーを全部防いで、撃ち終わったところにまたダッシュで近づく。そこにギデオンが燃える血を撒き散らした!

拓也「あっ!」

マレニア「あの血は…!」

モーグの技をいつの間にか習得していたギデオンは、そのままネフェリに血の雨を連射。ネフェリは横に跳んで避けていくけど燃え上がる炎に少し足を焼かれる。そこでネフェリは強引に突っ込んで火に脚を焼かれながらギデオンにジャンプ斬り!胸を切り裂くとギデオンもたまらず呻く。そこに追い討ちをかけようとした所でギデオンは後ろに転がる。フケ声なのに動きが軽やかでコイツは使えるジジイだ!

後ろに下がったギデオンは聖杯瓶を一発キメるけど、その隙にネフェリの接近を許して走り斬りをもらう。それでもギデオンは狼狽えずに後ろにまた三回転して、全身から光の輪を放ってネフェリに飛ばす。

マレニア「兄様の光輪…!?」

マレニアが驚く声を上げると同時にネフェリが新テクを開発!
飛んでくる輪に向かって走りながらスライディングを敢行。そのまま輪をくぐり抜けながらフルスピードでギデオンの脚に斧をお見舞いして転ばせ、そこからあの人間洗濯機が発動!オレも熱くなって「いけーっ!人間洗濯機!」って叫んだ時は、マレニアに妙な顔をされた。

ギデオンはその人間洗濯機を倒れたまま全身に浴びて更にぶっ飛びダウン。全身から血を流して戦闘不能になった。「終わりだ、ギデオン」そう言って倒れたギデオンにネフェリが斧をむけると、ギデオンは兜を脱いで、影のある銀髪のイケメン仙人系ジジイ顔を晒した!お前そんな顔してたのかよ!やられたぜ!最期にイケメン顔を晒してオレを惑わせる作戦だな!戦い自体は20秒以上?30秒以下?で終わったけど、こんなことをされたせいでオレのチンポが強烈に刺激されズボン越しに鎧に押し付けられ、体が強制的にくの字になる。「お前はこんな時もそれか…」ブライヴの呆れ顔がさらにオレの気分を煽情的に落とし込む。

マネージャー「…どうやら、終わったようですね。罠は不発に終わったようです」

ネフェリ「…いや、罠など無い」

マネージャー「え?」

ネフェリ「ギデオン…まさか、あえて敗れたのか…?」


ネフェリの疑問に「そのような様だから、お前は凡愚なのだ」って昔の悪態を引用して、ギデオンは鼻で笑う。
二人が決闘してる間は兵隊も、魔法も、血没紳士も出てこなかった。

287名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/13(月) 01:15:14 ID:u5QkRMTY


【黄金樹前で7P】


ギデオン「エルデの王を求める…その意志はよい…だが、女王マリカは、我らには足掻きこそ望んでいる」

ギデオン「ゆえに我らは…王とはなれぬのだ…」

仰向けに伸びてるギデオンに斧を向けるのをやめて、ネフェリはしゃがみ込んでギデオンを見据える。オレはエロくなったガタイをどうにか冷静にさせてから、みんな一緒に二人に寄ってくけど、マレニアは義手の刀を出したままで最後まで警戒モード。

マネージャー「それは、どういう意味ですか?まさか王になるべき人は、すでに決まっているのですか?」

ギデオン「君は理解が、早いな…ならば、君と語らうこともない」

ギデオン「ネフェリ、お前はそれでも、王たる者を見出し…エルデンリングに見えることを望むか…?」

王になるべき奴がもう決まってるなんて初耳だ。じゃあそいつは誰なんだよ?そう聞いてみてもギデオンはネフェリだけを見てて答えない。当のネフェリは外に広がる灰まみれの景色を何秒か眺めてから答える。

ネフェリ「ああ、それが望みだ」

ギデオン「そうか…ならばこれを、持って行くがよい」


ギデオンは懐から、白く光るトゲトゲしたリングを差し出す。
それから「ならばこれを、お前に託そう…死衾の乙女より見出せし律…死王子の修復ルーンを」なんて言い出したからマジビビり!今までの死人が出るくらいの揉め事があってからいきなりこれじゃ、オレにはもう何がなんだかわかんねーよ!「やはり罠か…?」「いや待て、早まるな」ブライヴとマレニアも斬ろうかどうかで迷ってて判断がつかないし、マネージャーもディアロスと一緒に目を白黒させて展開に着いてこれてない。

マネージャー「まさかあなたは、この修復ルーンを完成させるために…」

ギデオン「死に生きる者の王…死王子を識るための謀は、成就した。これはそれによる恵みだが…私には不要なものだ…」

ネフェリ「…なぜ、これを私に…」

ギデオン「お前達の働きにより、私は女王マリカの、遺志を識った…」

ギデオン「これはその事への褒美であり…新しき世における、私の智識の…ささやかな爪痕なのだ…」

ネフェリに斬られたところから血がドクっと流れると、ギデオンの上の口からも血がさらに流れる。
ギデオンはネフェリを見てた視線を外して、暗い天井を眺めて誰にも視線を寄越さない。


ギデオン「知とは…己の無知を知り…知ることの終わりなきを…知ること…」

ギデオン「それはただ…私のよすがだった…」

ギデオン「…それに終わりが来ることなど…決して…知りたくはなかったのだよ…」


そう言いながら、ギデオンは天井を見つめたまま動かなくなる。
血はどんどん流れていって、ネフェリの足先を濡らすと止まった。


ネフェリ「知ることの終わり…ギデオンは何を見たのだろうな…」

マネージャー「これは推測ですが…彼はおそらく、智識との心中を選んだのでしょう」

ネフェリ「心中?」

マネージャー「私たちがエルデンリングを修復すれば、新しい律で動く新世界がもたらされます。…その世界では、彼が識っていった智識は、意味を失います」

マネージャー「女王マリカが、私たちに足掻くことを望んでいたのなら、それは彼の探求を許すものでは無かったのでしょう。彼女の望みは世界の破壊と再生であり、褪人による世界の探求ではなかったのですから」

マネージャー「識った物も残らず、これから識るものも無い。…彼の探求は、そこで終わったんです」

ギデオンがどうして死を選んだかのマネージャー流の解釈を聞いて、ネフェリは深くため息をつく。智識を知るだけじゃなくて、使うことに喜ぶんじゃダメだったのかな?なんてオレは思うけど、敵対してたとはいえ義父を亡くしたネフェリの前でそんなこと言えないぜ。もう少し前か、もう少し後に生まれてれば良かったのかもな。「ギデオン、我が義父よ…あなたは愚かだった…」ネフェリはギデオンの顔に手を伸ばすと、両目を閉じさせた。

ネフェリ「…多く重ねた罪は、許されることはない」

ネフェリ「だがせめて、風と共に逝くがよい。あなたの友たる、ドローレスの元へ」

別れの言葉を言い終わってから、ネフェリはギデオンを抱えて風通しのいい場所に置く。それから「用は済んだ。ギデオンの魂は風が運ぶ。我らは黄金樹のもとへ行こう」と言ったところで、ブライヴが「いいや、そうはいかん」なんて言いだした。

ブライヴ「黄金樹は目の前にあり、もはや戦う敵もいない。俺もラニの元に帰る」

マネージャー「…ここで、お別れなんですか?」

マネージャーの疑問に、ブライヴは折れた剣を見せて返答。
そういうことなら仕方ないぜ。

ブライヴ「ラニから賜った剣が、これではな。今の律の理があるうちに、イジーに修復してもらわねばならん」

マネージャー「…そういう、ことですか…」

ブライヴ「そういうことだ。世話になったな」

モコモコマントを翻して、ブライヴがオレ達から去っていく。ブライヴともお別れかぁって考えたら、ラーヤが帰っていったのもあって寂しさが更に倍になる。本当に行っちゃうのかよって未練がましいこと考えてたら、そしたらマレニアから「待て」って言われて、ブライヴが面倒臭そうにストップして振り返る。マレニアは手を差し出した。

ブライヴ「…喋りすぎたな。別れが湿っぽくなった」

マレニア「ラーヤには良くて、我らには駄目か?」

ブライヴ「握手など、やるべきではないな、まったく」

ブライヴはしょうがねーなって感じで適当にマレニアと握手、それからディアロス、マネージャー、ネフェリと握手を回していって、俺が突き出してたケツには溜め息をついて、それからピンタを食らわしてくれた。お前は本当にオレをよく知ってるぜ!

ブライヴ「もう用は無いだろう。俺は帰るからな。止めるなよ」

ブライヴはまたモコモコマントを翻して、オレ達から遠ざかっていく。
「律が変わるとしても、君は我らの友だ、ブライヴ」
マレニアの言葉に振り向かないまま手を振って、ブライヴは聖堂から出ていった。

288名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/13(月) 01:19:37 ID:u5QkRMTY

ブライヴと別れてから拓也達一行も出発。聖堂から生えてる木の根を歩いて、聖堂の二階に到着。
そのまま女王の間を目指して歩いてると、スッゲー既視感に襲われる。

拓也「このメンツで集まってるの久しぶりじゃん!」

マネージャー「あっ、確かにそうですね」

ネフェリ「リエーニエか…懐かしいことだ」

マレニア「私が円卓に招かれた頃か。あの時はまだ、人形兵の腕を使っていたな」

ディアロス「あの時の話はよしてくれ…拓也と這う這うの体で逃げ回っていた覚えしかない…」

懐かしい思い出トークに花を咲かせながら、女王の間を通過していく。レアルカリア城で食らった人間洗濯機状態は痛かったぜって話にまで発展すると、マレニアから人間洗濯機について質問が飛んだから、何を指して言ってたのかを教えるとネフェリから答え合わせが補われる。

ネフェリ「あの戦技は、故郷では雷嵐と呼ばれている。しかし、洗濯機とはなんだ?」

拓也「ウッス!勝手に服を洗ってくれるカラクリっす!勝手に乾かしてくれる奴もあるんすよ」

マレニア「それは素晴らしいな…」

ディアロス「盾は洗えるのか?」

なんてどうでもいい話をしてたら、あっという間に黄金樹前の広場に到着。全員お喋りを終わらせて神妙な気持ちになって、燃えまくってる黄金樹を見上げる。こんなに派手に燃えてるのに思ったほど空気も暑くないし、黄金樹の奥の方にはいかにも入って来いって感じの入り口と、金色に光る霧が見える。あーあ、この黄金樹に入ったら今までの激ヤバなハードS調教の旅も終わるんだなぁ。結局誰が王になるのか、どの修復ルーンを使うかも決めてないな。

マネージャー「…着いちゃいましたね」

拓也「うす、着きました」

ネフェリ「ああ」

広場の前に立ったまま、何秒間か沈黙があって、マネージャーが喋る。
「…それでは、誰が王になって、どちらの修復ルーンを使うかを決めましょうか」
決めなきゃいけないのは分かってるけど、責任が重すぎてチョー苦しいし、話し合う人数も絶対足りてないんだよな。「…拓也とマネージャーを王にはできないだろう」ディアロスの言葉はもっともで、王になったら帰れないし拓也には政治が分からない。昔は賢ぶって色々政治について話したこともあるけど、あんなのふざけてただけだぜ。

マネージャー「…確かに私と拓也は、王にはなれませんね。なる気も無いですし」

マネージャー「というより、ギデオンの話が事実なら、王は既に決まっているはずですよね」

ネフェリ「ならば、王を決める話し合いなど意味がない。修復ルーンについて語るべきか」

マネージャー「それなんですけど…私と拓也はこの世界の外の人間ですし…全てが終わったらいなくなっちゃうと思うので、本音を言うと話し合いに参加すべきかすらも、怪しいところなんですよ」

拓也「オレにもちょっと、責任重すぎるっす…」

ネフェリが腕を組んで悩み始めると、ディアロスが話の流れをぶった斬ってマレニアを王に据えることを提案。「私が?よしてくれ…私は王の器ではないだろう…」「しかし貴公は神人だろう?聖樹の民を率いてる身でもあるし」「彼らは兄様の手腕と魅力に惹かれたのだ…私など、兵を率いて戦うことしかできなかった…私は王に相応しくない」ディアロスが推したマレニアもそう言って辞退した。ディアロスも「おっと、言っておくが、私も王にはならないぞ。貴族の世にしがみつくことすらも、私は出来なかったのだからな」って激デカ予防線を張ってガード体制。そこで自然と視線を集めたのがネフェリだ。

289名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/13(月) 01:37:20 ID:u5QkRMTY

ネフェリ「…よせ…私は全土の王たり得んぞ」

マネージャー「ですが、ゴドリックやケネスさんは、あなたを王に推していたはずです。血筋や性格的にも、あなたが最も王として務まると思うんです」

マレニア「私も、貴公が王となってくれるのであれば、喜んで従おう。貴公にはその甲斐がある」

ネフェリ「やめてくれないか…私は戦しか知らんのだ…王都の政など、どうすればいい…」

ディアロス「だが貴公が王となれば、弱き者の痛みを知る、最初の王となれるのではないか?政はケネスに任せればいいだろう」

ネフェリ「そうは言うがな…それより修復ルーンの話はどうした?王の話などしないと言っただろう」

王様候補がだんだんネフェリに絞られてきて、推されまくるネフェリは話を修復ルーンの方に戻す。だけど修復ルーンでエルデンリングを直した前例なんてあるわけない。「修復ルーンを使った後の世などは、女王マリカでさえも知らぬだろうしな…」ってマレニアの悩みに全員同意するしかなくて、一瞬で話が行き詰まる。結局一番つらいのは、こんな世界を変える大チャンスが出来上がってるのに、金仮面卿の完全律か、死王子の修復ルーンか、ふたつにひとつを選ばなくちゃいけないシチュエーションだとわかったぜ。

5人でウンウン悩んでると、女王の間の方からデカいモサモサしたシルエットが近づいてくる。ブライヴの奴が用事を済ませて帰ってきたみたいで「ウッス!」ってオレも手を振るけど、女王の間から出てきたそいつはブライヴじゃなかった。

ディアロス「なっ…!?」

マレニア「あ…あなたは…」

マレニア「なぜあなた様が…ここに…!?」



出てきたのは、あのゴッドフレイ!

2メートル超えの激デカガタイのマレニアよりさらにデカい3メートル超級の金剛力士彫刻ガタイの偉丈夫は、右肩にバカみたいにデカい斧を担いで、背中から左肩にかけて透明なデカライオンを背負いながら、恐ろしく鋭い眼光で黄金樹だけを真っ直ぐに見つめて階段を登ってくる。ゴッドフレイが一歩歩くごとに石の階段を振動が伝わって、オレ達の足の裏まで微かに揺らす。

ディアロス「せ…戦王…なぜ戦王が狭間の地に…」

マネージャー「戦王?……ゴッドフレイ!? 彼が、あの…!?」

ネフェリ「王が決まっているとは…こういうことだったのか…」

エルデの地では超大物の登場はいつも突然だ。絶対に会うことの無いはずだった、蛮地に追放されたはずの最初の王に遭遇して、オレ達は気圧されまくり怯みまくり、視線掴まれて鳥肌立ちまくりの歴史の生き証人になっていた。ゴッドフレイはそのまま階段を登ってきて、オレ達の前に来てもペースを全く乱さないからオレ達の方が避けることに。でも戦王はオレ達はおろかマレニアまで完全に無視で、目に入るのは黄金樹ただひとつだ。

ゴッドフレイを通過させて、ディアロスが「最初の王…あのゴッドフレイが玉座に着くのなら…あの方に修復ルーンを渡せばいいのではないか?」ってナイスなアイディアを思いついたみたいなこと言うから、「それでは駄目だ。ブライヴとラーヤの話を忘れたのか」ってマレニアにキツく言われてる。ラニの話もあるし、このまま見過ごしちゃ駄目だって分かってるけど、あんなガタイした奴を呼び止めたら命がいくつあっても足りねーよ!でもマネージャーにはそんなこと関係なかったみたいだ。

マネージャー「待ってください!」

勇気を振り絞ったマネージャーが、黄金樹前の広場を進むゴッドフレイを呼ぶ。でもやっぱり無視されて、ゴッドフレイは遠くで屈んで何かを呟いてる。でもこっからじゃなんて言ってるのか分からないから、今度はマレニアが「ゴッドフレイ王、お話がございます」って言うけどそれも無視されて、気付いた時にはゴッドフレイは黄金樹の中に入りかけていた。そこでネフェリがマジで絶対に言っちゃいけないことを言った。


ネフェリ「私と勝負しろ!戦王!」


その瞬間にゴッドフレイがピタっと止まって、その背中から金色の淡い光が伸びていって、ネフェリとマレニアにまとわりつく。でもゴッドフレイは振り向かない。

「…よくぞ戦い抜いた、円卓の騎士たちよ」

「黄金に挑みし、つわものどもよ」

それから立ち上がって、燃える黄金樹を見る。こいつはこれだけを目指してここに来たんだってオレにも分かるぜ。ネフェリはゆっくりと斧に手を伸ばして、マレニアも義手を変形させて刀を出して、ディアロスは背中の盾に手をかける。

「偉大なるエルデンリングは、確かに、ここにある」

「だが、私は帰ってきた」

「再び、それに見えるために」

ゴッドフレイが振り返ると、背中に張り付いたライオンの霊が吠えまくって、広場に薄く積もった灰を全部吹き飛ばす。緊張感がピークに達したと同時にネフェリは斧を抜いて、マレニアは刀を手に握って、ディアロスは盾とムチを構える。オレとマネージャーは全身の鳥肌に従って避難しようとしたけど、振り返って見たら広場の入り口に金色の霧がかかってた。やべーよ!


「我が名はゴッドフレイ」

「最初のエルデの王として」


両手でバカデカい斧を握ったゴッドフレイは、初めてオレ達5人を見た。
マレニアとネフェリとディアロスは戦士だけど、オレとマネージャーは違うから帰してくれよな!

290名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/15(水) 00:17:31 ID:JzQpMqKo


エルデ王初体験   投稿者:ビルダー拓也


斧が飛んできた!
いきなり飛び上がったゴッドフレイがマレニア目がけて空中でデカ斧をぶん投げる。でもマレニアは咄嗟にオレとマネージャーを突き飛ばしてから回避。デカ斧が床というゴングを鳴らすと、ディアロスとネフェリはゴッドフレイに向かって走りだす。

空中にいるゴッドフレイは丸太みたいにぶっとい腕を振り回して、その推力でマレニアにぶっ飛んで行くけど、マレニアにとってはこれが幸いしたぜ。突っ込んでくるゴッドフレイに鋭い突きの一閃をぶっ込んでカウンターを取れるからだ。でもそれはゴッドフレイにとって幸いした!

ゴッドフレイのヤツは刀で腹を貫かれながらマレニアの頭を左手でガッチリ捕獲。それから冗談みたいにデカい音を上げながらマレニアの顔面に右手のストレートパンチを連打。マレニアの髪が跳ねまくる。オンナが相手でも容赦が無いぜ!ネフェリも焦りまくって、斧をゴッドフレイの背中にモロにぶち当てる。それでもゴッドフレイが止まらないから、今度はディアロスがゴッドフレイの右手にムチを叩きつけて絡ませる。

マネージャー「あっ…」

その瞬間ディアロスが消えた!
マレニアを前蹴りでぶっ飛ばして壁に叩きつけたゴッドフレイは、今度は右手にムチが絡まったのを良いことに、右腕をぶん回すことでディアロスを目にも止まらないチョースピードで振り回す。あまりにとんでもないスピードだからムチの先っぽのディアロスが見えないけど、激ヤバ遠心力にディアロスの握力が一瞬で負けて壁に飛んでいって激突。白目を剥いてダウンした。あんなの食らったら仕方ないけど、ここでもうダウンとか残りの二人が保つのかよ!

気絶してるディアロスに向かって拓也とマネージャーの新宿コンビが走ってる時に、ネフェリが更にゴッドフレイの脛に斧を叩きつけるけど、鉄みたいに硬い脛に刃がまともに刺さらない。そこでゴッドフレイがデカ斧を地面から抜いてネフェリに相対。デカ斧の腹でネフェリをぶっ叩きに行くけどこれはバックステップでかわしたぜ。デカ斧をかわしたネフェリは鈴をチリンと鳴らして、あの透明な鷹を呼び出した。

ぶっ飛んで倒れてたマレニアが起き上がる。鼻と口から血が出まくってるけど、流石は神人って感じで鼻は折れてないし眼も見えてるぜ!義手をガチャっと起動させて三連斬りを放つマレニアに、ゴッドフレイはまた突っ込んで地面に脚を叩きつけて床をバキバキに割って、三連斬りをストップさせる。でもマレニアはゴッドフレイの幻と一度やりあってるから、そのパターンは見抜いてた。

拓也「ウッス!イケまっす!」

床を伝って走ってくる衝撃波をマレニアはジャンプで飛び越えて、そのまま水鳥乱舞の構えに移行!さらにネフェリは鷹と一緒にゴッドフレイの背後に追いついてきて、ゴッドフレイは前から後ろから責められる形に。でもここでゴッドフレイが水鳥乱舞に突っ込んだ!

291名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/15(水) 00:34:47 ID:JzQpMqKo

ネフェリ「なにっ!?」

放たれる水鳥乱舞に何度か斬られながらもゴッドフレイはデカ斧を縦振りして、マレニアに刀で防がせることで乱舞を強制停止させる。マジ重い一撃を防いでマレニアが膝をつくと、ネフェリの戦技がゴッドフレイの背中に一発二発と叩き込まれて、鷹も爪を剥いて上から強襲する。ゴッドフレイはマレニアに防がせたデカ斧に、圧倒的な脚力の蹴りをぶち込んだ。

マネージャー「えっ?」

拓也「は?」

それと同時にマレニアの義手刀が割れた!
剣先側の三割ぐらいの刃がぶっ飛んで転がり、デカ斧が交通事故みたいな音を立てて床にめり込んで破片を撒き散らす。ゴッドフレイの非常識バワーを二度も連続で浴びたマレニアは、完全に膝に来てて動けない。ネフェリの戦技が三発目、四発目とさらに打ち込まれるけど、デカ斧がめり込んだ床が強烈に光って大爆発!爆弾が炸裂したような火柱を巻き上げてマレニアとネフェリをぶっ飛ばし、鷹を一撃で粉砕。黄金樹の枝に届くキノコ雲を噴き上げる。

マネージャー「えーっ!?」

拓也「うぉおおあっす!?」

キノコ雲が上がりきって、ゴッドフレイがデカ斧の風圧で埃を完全に巻き上げると、黄金樹前の広場が真っ二つに割れててマジ狂い!マレニアとネフェリは運良くオレ達のいる側に転がってきたけど、広場の反対側はそのまま土砂崩れみたいにガラガラ崩れていって、灰の風を巻き起こしながら振動と共に倒れていく。こんな化け物倒せるわけねーよ!万全のブライヴとベルナールがいても絶対無理だぜ!

ディアロス「なんて強さだ…これが…褪せ人だというのか…」

振動と騒音で目が覚めてたディアロスの一言でさらに絶望的な事実が判明。ゴッドフレイは褪せ人を率いた『祝福を失くしたデミゴッドか何か』の王様だと思ってたけど、人を率いる人の王ってことが分かってマジ狂い!「ウッソだろお前!?」「人!?見てくださいよこの強さ!こんな強さしてる人が人間のわけないじゃないですか!」口々に言うオレ達の前で、ゴッドフレイは起き上がろうとするマレニアを斧で殴りまくって転がしまくり、次々に人外ぶりを証明していく。

ネフェリは聖杯瓶をキメて、すくんだ両脚を奮い立たせてマレニアを助けるべくゴッドフレイに斬りかかる。同時にディアロスも聖杯瓶キメて大盾を構えて突撃。先にゴッドフレイを攻撃したのはネフェリだったけど、狙いをマレニアからすぐに離したゴッドフレイに迎撃されて、デカ斧の横降りを腹に食らって血を派手に撒き散らす。

マネージャー「あぶない!」

ぶっ飛んだネフェリと転がるマレニアからゴッドフレイは踵を返して、向かってくるディアロスにチョー重い横振りをぶっ込むと、ディアロスの盾が横に真っ二つに割れてディアロスもぶっ飛びダウン。その間にマレニアが起き上がったけど、さっきの大爆発をまともに食らったのもあって全身血だらけで息が上がりまくっている。

そのマレニアに機関車みたいな勢いでゴッドフレイが飛び込んで、マレニアの顔面を踏み砕くべく脚を振り上げる。同時にマレニアの刀が振り切られて、すれ違いざまにゴッドフレイの脇腹を横一閃!更にそのまま、落ちてる刀の刃先を拾ってゴッドフレイに投げつける。飛んだ刃先はデカ斧で防がれたけど、その防いだ瞬間はデカ斧は攻撃に使われない。マレニアは駆け出して

マネージャー「やった!」

フルスピードでゴッドフレイに接近してから、斧を蹴ってゴッドフレイの真上を飛び越えて、そのまま背後に着地してから無防備な背中に刀を突き刺した!やったぜ!これは流石に効くぜ!透明なライオンは吠えまくり、あのゴッドフレイの口から血が流れる!でもゴッドフレイの闘志はむしろ湧き上がって、人間とは思えないデカ咆哮を上げて斧を振り上げる。

拓也「ヤバい!なんかやべーよ!」

強烈に嫌な予感がした拓也の叫びもゴッドフレイの咆哮に掻き消されて、気付いた時には遅かった。
ゴッドフレイの強烈すぎる足踏みは圧倒的バワーで床に突き刺さり、デカ衝撃が半分になった広間全体に伝わって拓也の足裏に直撃!そのまま内臓に伝わって、鳩尾を思いっきり殴られたかのようにオレがゲロダウン。マネージャーにも衝撃がいってて腹を抱えて悶絶している。倒れた姿勢で食らったディアロスとネフェリはオレ達以上に内臓をやられて血を吐き、衝撃の中心にいたマレニアもまた膝をつく。

そのマレニアの顔にゴッドフレイのデカ斧が飛ぶと、マレニアはゴッドフレイから飛び退いてオレ達の方に弾丸スピードで駆け込んで、オレとマネージャーを抱えると広場の壁の上に放り投げる。「そこから動いてはならん!」血を吐き散らしながらマレニアはゴッドフレイの方に蜻蛉返り。ネフェリとディアロスもガクガク震えながら起き上がる。

そこにまた足踏みが床にブッ込まれてディアロスとネフェリがまたダウン!義足がピシって音を出してマレニアも転び、転んだ先にはゴッドフレイの振り上げた足があってマジヤバい!逃げる暇もなく足が発射されて、マレニアの腹に深く突き刺さる。

マレニア「ぐはぁ!」

ミサイルみたいな足を腹にぶち込まれてマレニアは吐血。神人ガタイも一気に限界を迎える。更にゴッドフレイは二発三発とマレニアに足を杭みたいに打ち込んでいき、風圧が遠くにいるオレのグラサンまでカタカタ揺らす。このままじゃマレニアが死んじまうぜ!そう思ってもオレなんかが助けに行ったところで、デコピンで脳みそが弾け飛んでおわりだぜ。

そこでネフェリがゴッドフレイの背中に飛びかかった!マレニアの神人ガタイがゴッドフレイのバワーを受け止めて、床に散る衝撃を軽くしたんだってガタイが分析を弾き出す。ゴッドフレイの首を足でガッチリホールドしたネフェリは、王の脳天に両手の斧を振りまくるけど、斧を振るたびにガキンガキンって鳴っちゃいけない音が鳴ってマジ狂い!人間のくせに頭蓋骨で斧を弾くなよな!

そのネフェリの両手もゴッドフレイの手に掴まれて、マッチみたいにパキって折られて無力化される。それでもネフェリは諦めなくて、使えない両手のかわりに噛みつきで対抗。ゴッドフレイの頭に齧り付くけど、今度は髪を鷲掴みにされて床に叩きつけられてバウンド。ゴッドフレイの身長の3倍近い高さまで飛び上がってから床に落ちて動かなくなる。

でもその間に、ディアロスはマレニアを助け出すことに成功。マレニアは踏まれまくった腹の肉がズル剥けてて内臓が垂れ下がってて、モーグウィン王朝のパキギメドッグにやられた時以上の重体になってる。それでもゴッドフレイは決して絶対に手を緩めてくれない。ネフェリが戦闘不能になったと見るやすぐにターゲットをディアロスとマレニアに変更。警官を皆殺しにする時のターミネーターみたいな圧倒的威圧感で二人に近づいていく。

そこでマレニアが新テクを開発!
自分の内臓に手を突っ込んで腐敗を抉り出してから、そいつをディアロスのムチと自分の刀に塗りたくる。「き…貴公…なんという無茶を…」「集中を欠くな!戦王が来るぞ!」ディアロスがマレニアを心配してる暇はマジで無くて、機関車みたいなゴッドフレイが猛烈な砂煙を巻き上げて突っ込んでくる。マレニアはディアロスを突き飛ばして自分も横跳びしてゴッドフレイを回避。そこから腐敗した刀で水鳥乱舞をぶっ放し、同時にディアロスも腐敗ムチを走らせて、水鳥乱舞で出来た切り傷に腐敗を仕込む。


そこまでやってようやくゴッドフレイが片膝をついて、同時にマレニアとディアロスも倒れ込んで、二人とも荒い息を上げて立ち上がれない。透明なライオンに色がついてきてヤバい!って拓也の乳首が感知。そこにすかさず「ゴッドフレイ王!私の話を聞いていただけますか!?」っていうマネージャーからの横槍が入って、ゴッドフレイもライオンを引き止めた。交渉の時間だぜ!

292名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/15(水) 00:43:00 ID:JzQpMqKo

マネージャー「あなた様の妻、女王マリカの企みは、私たちも知っています」

マネージャー「死を持たない黄金律に、死を回帰させることによって、死の不在が生んだ停滞と澱みを黄金律から取り除くこと。黄金律に流れを生み出して、神人やデミゴッドでさえも逃れられない呪いと腐敗を取り去って、あなた様との治世を盤石なものとすること」

マネージャー「それが彼女の狙いであり、あなた様に託した、願いだったのでしょう」

マネージャー「その計画は、ラニさんの妨害により果たされませんでした。ですが私たちが死王子の修復ルーンと、完全律の修復ルーンを持っている今なら、達せられる可能性もあります」

マネージャー「その可能性を捨てて、このまま戦ってしまえば、片方が全滅するか、もしくは共倒れになるでしょう。ですから今ここで、あなた様にお聞きしたいのです」

マネージャーが交渉してる間に衛生兵拓也はネフェリの元に急行。聖杯瓶を全部飲ませて怪我を完治させる。ディアロスは自力で回復したからいいけど、マレニアの重傷はどうにかしたいぜ。でも治す方法が無いからどうしようもない。祈祷って奴が使えればこういう状況も変わったのかな。マネージャーはひと呼吸入れて、ゴッドフレイもライオンを抑えたままだ。


マネージャー「あなた様のかつての治世は、亜人と混種、小人と病人を迫害し、角を持つ者達を無き者として扱いました。黄金律に祝されぬ民族、文化、思想を弾圧し、いくつもの文明を淘汰していきました」

マネージャー「もちろん、それらは恩恵をもたらしたこともあるでしょう。女王マリカと黄金律が認めていない者は敵であるという思想は、外なる神がもたらした腐敗の流行を抑え、星々より飛来する獣達と戦う意志をラダーン将軍に与えました。血の君主モーグに、大々的に勢力を伸ばすことを躊躇わせることにも一役買いましたし、階級社会を形成して維持するのも容易だったことでしょう」

マネージャー「ですがそれらは同時に、本来ならば敵とはならなかった者達も、黄金律とあなた様方の敵対者にしたのです」

マネージャー「ミケラは虐げられた弱き者たちを救うため、聖樹を求めました。忌み者とされたモーグは王朝を夢想することに逃避し、外なる血の神を呼び込みました。ラニさんは律を月に運ぶことを画策し、ライカードは神を食らおうとしました。そしてラダーン将軍も、人々を救わない黄金律を見限りました。黄金律と女王マリカに見捨てられ続けた者達は、狂い火を呼び込みました」

マネージャー「彼らの行いの根底にあるのは、強者が弱者を虐げ続けることへの否定です。彼らはみな、弱者を救わないあなた様を、女王マリカを、黄金律を否定したのです。ラニさんが女王マリカを妨害しなかったとしても、いずれは誰かがラニさんの代わりを務め、今回とは異なる理由、異なる方法によって、エルデンリングは砕かれていたでしょう」

マネージャー「そのうえで、あなた様にお聞きします。あなた様は再び王となったあと、かつてのような統治をするのですか?」

マネージャー「するのであれば、あなた様に修復ルーンをお渡しすることはできません。ですが統治を改めるのでしたら、私は修復ルーンをお渡ししても良いと考えています。私達も少しだけ話し合いましたが、私達の誰にも、エルデの王など務まらないのですから」


マネージャーからの話を聞いてゴッドフレイは静かだったけど、マネージャーの態度はライオンの癇に障ったみたいで、牙を剥いた低い唸り声が響く。でもゴッドフレイは「もうよい…ずっと世話をかけたな、セローシュよ」なんて言ってライオンを撫でてるし、こいつは好感触だぜ!目が覚めて起き上がったネフェリに「ウッス!なんとかなりそうっす!」って言っておくと「何がなんとかなるんだ?」って答え。気を失ってたせいで何がおきてるのか分かってないなりね。「ゴッドフレイ王。答えをお聞かせください」マネージャーが答えを催促すると


「力こそ、王の故よ」


ゴッドフレイはギン眼で答えて、背負ってるライオンを引き裂いた。
「蛮地の王は、まだ戦っていない」
ゴッドフレイを睨みながら、斧を抜いたネフェリの言葉で、拓也の血の気も引いていた。

293名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/15(水) 00:53:02 ID:JzQpMqKo


7Pでライオンを千切り倒したあとの絶叫殺戮マシーンホーラ   投稿者:ビルダー拓也


「行儀のよい振りは、もうやめだ」

いきなりライオンを引き裂いたゴッドフレイは、ライオンと一緒に自分の鎧も砕き始めて辺りに散らばらせながら圧倒的な筋肉ガタイを曝け出し、ライオンのはらわたまみれでガタイ振り乱して絶叫。地響きみたいな咆哮が全員の鼓膜に突き刺さりみんなで耳を抑える。

交渉の余地が最初から完全に無かったコイツは、暴力には圧倒的暴力を返す、ひたすらに戦いを求め続けるのが本能のプロ級殺戮マシーンだった。あまりのことにマネージャーも驚愕顔で思考がぶっ飛び停止。耳を塞いだ体勢で無防備になって動かなくなってる。マレニアが左手で腹を抑えながら、折れた刀を構え直す。斧を握ってるネフェリの手は、震えていた。


「今より、俺はホーラ・ルー!」

「戦士よ!」


名乗りなおしたゴッドフレイが、斧も何も持ってない素手でマレニアに突撃。マレニアはそのゴッドフレイ目がけて突きのカウンターを放つ。「駄目だ!」ネフェリがそう叫んだ瞬間、刀は掌を貫通して、そのまま握力に止められてマレニアが捕獲された。

ディアロス「え?」

次の瞬間にゴッドフレイは天高くジャンプ!
マレニアを捕獲したまま一気に縦に15メートル以上跳んで、そこから更に黄金樹を蹴って高く跳び、ダメ押しとばかりに空中で腕をぶん回し、推進力で三段目のジャンプを入れて落下。上空100メートル以上からの特大ダイブでマレニアを広場に叩きつけて大爆発を巻き起こす。振動でディアロスとネフェリは浮き上がって、広場全体がガクンと傾く。マジやべーよ!もうオレ達でどうにかなる相手じゃねーよ!

傾いた広場の上で濛々と上がる煙の中、また交通事故みたいな音がしたと思ったら、煙にボンと穴が空いてマレニアが飛び出してきて、黄金樹に叩きつけられる。見ると腹の傷はさっきの特大ダイブのダメージもあってか完全に貫通している。マレニアは黄金樹にめり込んだまま手足をピクピクさせてから止まって、もう生きてるかどうかも分からない。

一方ゴッドフレイは着地したあと、ネフェリにパンチの嵐を浴びせてる。ネフェリは全力で後ろ跳びを繰り返してギリギリで回避しながら、パンチが止まったところで反撃に出る。よく反撃できるよな。でも出鼻に重すぎる足払いを入れられて一回転。空中に浮いてる時にアッパーカットを合わせられて派手にぶち上げられて墜落。うつ伏せに落ちたところを、背中目がけてあの杭みたいな蹴りが飛ばされる。

でもディアロスからのムチがギリギリで間に合って、ゴッドフレイの背中の傷に腐敗入りのムチが命中!ゴッドフレイのターゲットがディアロスに向いて、ネフェリはガタイを震わせて起き上がる。起きるのはいいけど、こんな化け物相手にどうやって戦うんだよ!

ゴッドフレイはまた絶叫をあげると、今度は咆哮がソニックブームを起こして近くのネフェリをぶっ飛ばして、戦闘機みたいな轟音がオレ達全員の耳を麻痺させる。リエーニエのドラゴンにもできない芸当を人間がやっちゃ駄目だぜ。この時点でディアロスは鼓膜の片方がイカれたみたいで、片耳を抑えながら苦悶の表情で膝をつく。

ゴッドフレイはそれからまた天高くジャンプ。半分になった広場の真ん中辺りに激突してから、両腕を肘まで床に刺し込んだ体勢で怪物ガタイに血管を浮き上がらせる。それと同時に床全体が熱を帯びて光り、そこから大爆発が発生!純粋な腕力で放り投げられた大量の瓦礫と衝撃波でネフェリとディアロスが爆風とともに舞い上がって、見えてる限りの黄金樹の枝が全部揺れる。

オレとマネージャーがいる壁の上も砕けて崩壊。「拓也!」「マネージャー!」宙に放り投げられたマネージャーの手をギリギリでキャッチするオレ。爆心地との距離が離れてることが幸いしてギリギリで弱まってる爆風に、拓也はガタイに悲鳴を上げさせて辛うじて耐える。ほぼ縦方向だけに爆風が飛んでるから生きてるけど、少しでも横に広がってたら今頃二人ともバラバラになって広場の外にぶっ飛んでたぜ。

それから時間が経って煙が上がり、オレもマネージャーをどうにか壁の上に引き上げたけど、黄金樹前の広場はもう4分の1しか残ってないし、圧倒的な破壊力をこれでもかって見せつけられて、恐怖すら麻痺してきた拓也もいつの間に小便を漏らしてた。広場の端っこでは土埃と血でドロドロになってるネフェリが、意識不明のディアロスの腕を掴んで引き上げ、広場から落ちるのを必死に抑えてる。

そのネフェリの顔面にゴッドフレイの蹴り上げがブッ込まれて、ネフェリに掴まれてたディアロスがネフェリと一緒にぶっ飛びダウン。ディアロスは動かないし、ネフェリは痙攣してる。そしてゴッドフレイの前にはマレニアが降り立った。

マネージャー「マレニアさん…」

拓也「まだやる気かよ!本当に死んじゃうぜ!」

マレニアの腹には握り拳くらいの大穴が空いてて、そこから血と内臓がダラダラ流れてて、口と鼻から流れる血も止まってないし、右目あたりも腫れてきてる。そんなフラフラ状態でも気力だけで義手を起動!ガシャって音を立てて斬り上げを放つ。

マネージャー「ああ…」

でも刀にわざと当たりに行ったゴッドフレイは、刀を脇で挟んで捕獲。それから刀をブン殴ると、刀を義手に固定してる接合部分がバキッて音立てて床に転がる。マネージャーが希望が消えたような声をもらして、刀を丸ごと奪ったゴッドフレイは刀を黄金樹に投げ刺して、素手状態になったマレニアの前で身を低くして両手を広げる。いつでも組み付けるポーズを前にしても、マレニアは引かない。

拓也「逃げろよ!無理だって!」

当然のごとくオレの叫びも無視されて、満身創痍の素手状態でマレニアはギン目を剥き、両手を握ってファイティングポーズを取る。同時に震える脚で立ち上がったのはディアロスだ。マレニアは自分が引いたらみんなが死ぬと思ってて、実際その通りだけど、この状況でマジで最強の殺戮machineになったゴッドフレイを相手に勝ち目なんてあるのかよ!

294名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/15(水) 01:01:18 ID:JzQpMqKo

あらゆる攻撃をキャッチしてへし折る気満々のゴッドフレイに、マレニアがジリジリと近づいていく。でもゴッドフレイは尽きることの無い無限の闘争心に一瞬で負けて突撃。目の前のマレニアに掴みかかるも、サッとその場に伏せたマレニアの頭上を巨腕が通過して、そこから床を蹴ったマレニアにアッパーカットをキメられる。

顎を打ち上げられたゴッドフレイは、もんどり打ってから懐のマレニアに勢いよく頭突き。両手でガードしたマレニアの足元の床がドガッっと割れて足首までめり込む。この時マレニアの両手は塞がってて、ゴッドフレイの両手は完全にフリーになっていた。

マレニア「ぐっ!」

間髪入れないゴッドフレイの抱きつきが入って、鯖折り状態でもがき苦しむマレニアに、ここで幸運の女神が微笑む。腹からはみ出た内臓がゴッドフレイの胴体の傷に押しつけられて、ついにゴッドフレイも腐敗に感染!あの戦王の傷口から白いプツプツが流れ始めて、口からも朱い煙が漂い始める。でもその口は笑っていた。

マレニアがそれに気付いてハッとした瞬間、ガッチリと両腕でマレニアを咥え込んだゴッドフレイはまた飛び上がって天高く飛翔。黄金樹の樹皮にぶつかると

マネージャー「ああっ!?」

燃える黄金樹の樹皮を思い切り蹴って、広場に隕石みたいなスピードでぶっ込みまたしても爆発!ゴッドフレイに蹴られた樹皮には陥没が出来てて表面がバリバリに捲れ上がってる。瓦礫を巻き上げてまた割れていく広場は、とうとう6分の1にまで小さくなってもう広場でもなんでもないぜ!今のゴッドフレイにとっては黄金樹さえもどうでも良くなってて、頭にあるのは目の前のマレニアただ一人。

隕石の落下地点から全身血まみれのマレニアが放り投げられて、空中を飛んでいく。そのマレニアを追い越すスピードで飛び上がったゴッドフレイのダブルハンマーが空中で炸裂して、直撃点から球状に広がったソニックブームが瓦礫と灰をぶっ飛ばし、ほぼ同時に黄金樹の樹皮にマレニアが命中してまた爆発!広場が駄目になったからって今度は黄金樹がリングかよ!

黄金樹に叩きつけられたマレニアは完全に白目を剥いてて意識がぶっ飛び気絶。半分に斬られた状態の腐敗の翼を背中から生やし始めながら落下を始めたところで、ゴッドフレイからの踵落としの追加が脳天に直撃。とんでもないスピードで黄金樹の表面を砕きながら落下して、広場の残骸にぶち当たってバウンドしてからダウンした。

その衝撃でマレニアの意識は気絶から覚醒。ガクガク震えて起き上がりながら背中の翼にラダーンの炎を纏わせて、翼が欠けた火の鳥状態になる。でもゴッドフレイはそんなことお構いなしで、変身途中のマレニアにも容赦無くダブルハンマーで突っ込んで、広場の残骸に爆発と共に二人で潜り込む。それから広場だった場所の基礎部分がドカンドカン音立てて揺れまくり、オレとマネージャーも落ちないように必死に堪えつつ、ディアロスもネフェリを抑えて歯を食いしばって揺れに耐える。そしたら基礎の横方向に大穴が開いて、今度は灰まみれの王都の方で爆発が起きてキノコ雲が上がり、オレは激エロ遠眼鏡を取り出す。とうとう戦いの舞台は広場の残骸でも黄金樹でも無くなった!

マネージャー「めちゃくちゃですよ…」

灰まみれの王都の民家にぶち込まれたマレニアに、同じく王都に飛び出したゴッドフレイの隕石みたいな踵落としが迫る。マレニアは短い翼を羽ばたかせて辛うじて回避したけど、ゴッドフレイという隕石をモロに食らった民家が一撃で粉々になり、大量の瓦礫がマレニアに浴びせかけられる。息も絶え絶えで瓦礫を避けて走り回るマレニアには、もはや弱りきった腐敗バワーとラダーンの大ルーンだけが生命線だ。

そして瓦礫をどうにか避け切って灰の丘に脱出したマレニアの前に、またしてもゴッドフレイが立ち塞がって、両脚と両腕を広げた頂点捕食者のポーズでマレニアを逃してくれない。血が流れまくり腐敗舞いまくり、大ルーンが胸で光って燃えまくりのマレニアは打ち合う覚悟を決めて、またしてもファイティングポーズ。灰都ローデイルで第二ラウンド開始だぜ!

でも破砕戦争のツートップの称号は伊達じゃない。またしても突っ込んでくるゴッドフレイの動きに合わせて、腕をキャッチして背負い投げ。灰の山にゴッドフレイを突っ込ませてから、取った片腕に両足をからめて腕ひしぎ十字固がキマった!

拓也「あーっ!イケる!」

マレニア「おおおお!」

腐敗女神ガタイに渾身の力を込めたマレニアがギン眼で吠えて、関節技がゴッドフレイの腕をメリメリと伸ばしていくけど、ゴッドフレイがまた咆哮を上げた瞬間に伸びた腕がビタっと止まってビクともしなくなり、マレニアはそのままガチガチの片腕に持ち上げられて、ラオウVS雲のジュウザ状態に落とし込まれる。そこからゴッドフレイは全力バワーで腕を振り抜いた。

295名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/15(水) 01:08:59 ID:JzQpMqKo

でも散々殴られまくったマレニアは戦王のやる事も見切り始めてて、腕が振られる瞬間に絡みを解いてゴッドフレイにド派手な空振りをさせてから、その隙に背中を取って投げっぱなしバックドロップ!ぶっ飛んだゴッドフレイは民家の壁に叩きつけられたあと、その顔面に両足揃えのドロップキックが追加される!強いぜ!上手いぜ!壁が割れてゴッドフレイが民家にめり込み、マレニアの膝蹴りが追い打ちで放たれる。

でも膝蹴りは民家の壁穴を叩いた。壁穴から素早く脱出したゴッドフレイは、マレニアの真横に回り込んでフックを使い、テンプルを打ち抜いてマレニアを一瞬グラつかせる。その一瞬に戦王はさらに胴回し回転蹴りを合わせ、マレニアが縦回転してダウン。直後に重すぎるサッカーボールキックを食らったマレニアは、灰をぶち上げながらデカい竜の化石に叩き込まれる。直後にゴッドフレイも突っ込んで竜の翼の根元が大爆発。地響きを立てながら折れた翼が灰に沈んでいく。一方竜の化石の上では、爆心地から抜け出したマレニアに凄まじい拳の嵐が吹き荒ぶ。

防戦一方になったマレニアはあらゆるパンチと掌底を紙一重で回避。一発避けるごとにゴッドフレイの拳がデカい竜の化石に掠ったりブッ込まれたりして、みるみるうちに竜の化石も崩れていく。それでも拳を避け続けるマレニアに対して、ゴッドフレイは両手を天に掲げて、この世のものとは思えない化け物そのものの絶叫を上げ、渾身の力で両手を振り下ろす。

その瞬間にデカ竜の化石の全身が大爆発!デカ竜に残った翼が全部粉々になって腕も落ちて、遠くからでも白い波が見える程の衝撃波が王都全体に伝わり、王都中を覆う灰の山を僅かに縦揺れさせる。デカ竜の化石に残ったのは下半身と胴体のほんの一部、そして長くて細い首と頭だけ。その首の上を全速力で逃げていくマレニアの背後に、蒸発した汗を闘気のように纏わせるゴッドフレイが迫ってくる。

とうとう竜の頭の先まで追い込まれたマレニアが決死のダイブ。マリケスに短くされた腐敗の翼を羽ばたかせて空中に逃げるけど、その背中にミサイルと化したゴッドフレイの飛び後ろ回し蹴りが炸裂!竜の頭が跡形もなく吹き飛ぶと同時に、マレニアが翼だけを空中に残してぶっ飛んできた!

マネージャー「こっちに来る!?」

拓也「うおぉーっす!」

壁の上からオレとマネージャーが飛び降りると、さっきまでオレ達がいた場所がドバーっと粉砕して超高速のゴッドフレイが通り過ぎていき、マレニアが広場の残骸に落ちる一方で、ゴッドフレイは黄金樹に突き刺さって停止。それからオレ達が立ってる6分の1広場の残骸に降り立つ。

オレ達は焦りまくってマレニアの方を見ると、全身血まみれのマレニアはうつ伏せで倒れたままピクリとも動かず、義手も義足も外れかかっておかしな方向を向き、腐敗の翼も完全に根本から持ってかれて、ラダーンの炎もほとんど鎮火していたぜ。死の力に全身を犯されて全力が出せなかったとはいえ、死を操るマリケスまで倒した火の鳥状態のマレニアが完全に手も足も出ないなんて、こんなのあり得ない!

圧倒的な絶望に苛まれていると、神人を徹底的に神人を打ちのめした人間の手が拓也の後頭部を鷲掴み!そのままギリギリに締め上げられて叫び声も上げられずに、飛び出しそうな圧力を目ん玉と頭全体に感じていると、すぐに解放されてオレは一命を取り留める。


ディアロス「戦王よ…このホスローが、好敵手となりましょうぞ…」

息切れまくりの満身創痍、聖杯瓶も空っぽのディアロスが、ゴッドフレイの腕をムチで打っていた。同時にゴッドフレイの金剛力士ガタイから黄金色の光が流れて、ディアロスとゴッドフレイを繋ぐ。そして祝福という名の鎖に繋がれた、二人の戦士の戦いが始まったんだ。

296名前なんか必要ねぇんだよ!:2023/02/15(水) 01:22:07 ID:JzQpMqKo


ディアロスVS戦王   投稿者:ビルダー拓也


ディアロスのムチはマレニアの腐敗が拡げた傷口に的確に命中していて、ゴッドフレイのターゲットをオレとマネージャーから変えさせてる。ディアロスは盾を捨てていて、代わりに左手に自分のムチを、右手に兄ちゃんからもらった古いムチを握っている。「兄上、どうか見ていてください」そう言って構えるディアロスに、デカすぎる音と振動で意識を取り戻していたネフェリが、這いつくばったまま声をかける。

ネフェリ「駄目だ、逃げろ…お前では…」

ディアロス「だが王は、貴公らを逃してはくれぬだろう?」

ネフェリ「私たちに構うな…頼む逃げてくれ…」

ディアロス「逃げたいさ、私もな」

会話してようが関係ないゴッドフレイは即飛び上がって、マレニアをボコボコにしたあのダブルハンマーを打ち下ろす。祝福チェーンデスマッチがついに始まっちまったぜ!ディアロスは転がるようにして降ってきた拳を回避。起き上がる動作でムチを振ってゴッドフレイの背中を叩く!でもただ背中を叩くだけじゃ全くダメージにならない。「傷口です!傷口を狙ってください!」どうせ戦うなら少しでも協力したいって感じの、半ばヤケクソな指示がマネージャーから飛んで、ギリギリで正気に戻ったオレもマレニアに駆け寄る。でもマレニアに効く聖杯瓶なんてあるわけないし、キメものも無いし、ぬくもり石だってマリケスとの戦いで完全に使い切ってる。衛生兵拓也はもう終わってんだよ!

背中を叩かれたゴッドフレイは腕を高く上げながら振り向き、そこから怒涛の拳の連打。大盾を捨てたディアロスは身軽で、そのパンチも次々かわしていくけど、ネフェリやマレニアのようにはいかなくて爪の端っこが鎧にかする。すると掠ったところから鎧がベリっと剥がれて何処かに飛んでいき、ディアロスも飛ばされて転倒。そこに追い討ちの、あの踏み付けが繰り出される!

マネージャー「うげえ!」

拓也「グボグボ!」

ディアロスは踏みつけをジャンプでギリギリ回避!でも床にぶち込まれた強すぎる衝撃はオレ達全員を叩いて、オレとマネージャーは息ができなくなってダウン。ネフェリも苦しげにうめいて、マレニアはショックで覚醒。起きたマレニアはうつ伏せのまま喉や肺に詰まった血をゴホゴホと吐き始める。広場の大きさはこれで7分の1にまで減った。衝撃を逃れたのはディアロスだけだし、戦えるのもディアロスだけ!

ディアロス「おおおお!!」

時間をかけられない事を悟ったディアロスは、恐怖を打ち消すかのように震える声で咆哮。両手のムチをしならせてゴッドフレイに駆け出す。そこにバカみたいに速い右ストレートが飛んでいくけど、ディアロスが足腰に来てたのが幸いしたぜ!

ディアロスは走ってる途中にガクンとバランスを崩して前のめりに転倒。何かを思い切り殴ったような音を立てて振り切られたゴッドフレイの拳を回避!そのあとゴッドフレイの懐から跳んで抜け出しつつ、同時にムチでゴッドフレイの腹を引っ掻いた。すると振り切られたムチに腐敗混じりの血がベットリつく。

ディアロス「これは…!」

両手を広げた戦闘体勢のゴッドフレイの腹には、やけに大きい傷が出来ていた。
そこでオレのガタイがディアロスのためにかつて無い速さで分析を開始!今までの戦いでゴッドフレイがどこに攻撃を受けたのかを瞬時に回想し、答えを即座に弾き出す。ゴッドフレイはマレニアに執拗に胴体を斬られて、さらに腹を刺されたあとに、マレニアの内臓を腹に押しつけてたんだぜ!マレニアをサバ折にしようとしたのが災いしたな!

拓也「戦王は腹刺されて、そこに腐敗を流し込まれてまっす!腹の傷を狙うしかねーぜ!」

戦王打倒のヒントはこれで届けたけど、あとは何もかもディアロスが活かせるかどうかに掛かってる。マレニアも這いつくばったままディアロスに視線を送るけど、ハァハァ喘ぐ以上のことは決して絶対に出来ない状態のままだ。そして再びゴッドフレイの太腕がディアロスに振り回される。

ネフェリ「ディアロス!」

激しすぎるパンチスピードに対して、長い間盾に頼っていたディアロスは咄嗟に左手を出してしまい、左手の肘から先が吹っ飛んで粉々になる。絶叫を上げたディアロスが痛みにダウンすると、もう一発振り回されたゴッドフレイの拳が空を切る。「ディアロス逃げろ!逃げてくれ!」ネフェリの叫びにディアロスは口を噛み締めて悲鳴を押し殺し、次に振られたゴッドフレイの蹴り上げをギリギリで回避。

その回避した先にゴッドフレイがジャンプをかまして、マレニアを空高く吹っ飛ばしたあの抱きつき攻撃を繰り出す!ディアロスは反射的に前に飛び出してゴッドフレイの真下を転がり、口から泡を垂らしながらムチを振り、ゴッドフレイの腹を通り過ぎざまに打つ。マレニアは手をついてガクガクのガタイを必死に起こそうとするけど、義手がバキッといって肩から外れてまた転ぶ。早くしないとディアロスが死んじゃうかもしれないけど、マレニアが助けにいっても多分どうにもならない。オレ達はただ黙って全身に鳥肌立てながら、ガタイ震わせて見てるしかない。

ディアロス「戦王!!」

転がった勢いで立ち上がったディアロスが右手のムチを構える。ゴッドフレイはディアロスの咆哮に応えるようにソニックブーム咆哮をぶち上げてディアロスから聴覚を完全に奪い、直後に大砲みたいな前蹴りを発射する。でもさっきの咆哮で意識が半分飛んだディアロスの膝がガクンと落ちると、ディアロスの髪を前蹴りが掠って、焦げた匂いを上げる。

倒れたディアロスは転倒した衝撃で手放しかけた意識を取り戻して、グルグル転がってゴッドフレイの足元から脱出。でも右足首をキャッチされてからそのまま握りつぶされて悲鳴を上げる。「やめろーっ!!」斧を杖にして上半身を起こすのがやっとのネフェリが叫ぶと同時に、ゴッドフレイはディアロスを黄金樹に投げつけた。

マネージャー「ああ、そんな…」

黄金樹に叩きつけられてバウンドしたディアロスは、口から血を吐いて7分の1の残骸の真ん中にぶち当たる。そのディアロスにトドメを刺すべく近付いていくゴッドフレイの手には、ディアロスからちぎれた膝下から先の部分が握られてる。

ゴッドフレイはぐったりして動かないディアロスを蹴り転がして仰向けにさせてから、胸ぐらを掴んでそのまま持ち上げる。そしてディアロスの胴体を太腕が貫通。眼を開いて震えるディアロスの口からは更に血が流れて、戦王の腕が真っ赤に染め上げられていく。それと同時にあの戦王も膝をついた。


ネフェリ「ああ…ディアロス…」


ディアロスの右手のムチはゴッドフレイの腹に突っ込まれていて、大量の血を傷口から垂れ流させながら、腐敗を更にゴッドフレイに染み込ませていた。戦王の全身の傷口から白と朱色の胞子みたいなブツブツが浮かび上がり、全身から白い煙が立ち昇る。見つめ合う血だらけのふたりの眼は、奇妙なくらい澄んでいた。


「褪せ人よ。よい、戦いであった」


「その力こそ、王の故よ」


ゴッドフレイの全身が白い煙になって消えていく。
ディアロスの腹を貫いていた腕も消えると、ディアロスが床に落ちたんで、オレとマネージャーはすぐさま駆け寄ってディアロスの名前を呼ぶけど、ディアロスはぎこちなくネフェリとマレニアが倒れている方に顔を向ける。オレとマネージャーはその瞬間何もかも察して、二人がいる方にディアロスを運んだ。

マネージャー「ディアロスさん…ディアロスさんが…」

ネフェリ「どうしてだ…なぜ逃げてくれなかった…」

オレに抱き上げられてるディアロスに、涙まみれのネフェリとマレニアが手を差し伸べる。ネフェリの手はディアロスの手を握って、マレニアの左手はディアロスの胸に置かれる。腹を貫かれたディアロスは喋ることもできなくて、虚な表情でネフェリを、マレニアを、オレとマネージャーを見渡す。その姿もオレの視界ではボヤけていって、胸の奥からあの哀しみがやってくる。

マレニア「ありがとう…貴公が皆を守った…貴公は英雄だ…」

マレニア「ありがとう…ありがとう…」

マレニアの言葉を聞いて、虚だったディアロスの口が少しだけ上がる。
それからゆっくり眼を閉じると、胸元にルーンが現れて、ネフェリもマレニアも泣き崩れる。

拓也「ざけんなよ!起きろ!」

拓也「寝てんじゃねーよ!!」


それから何度も名前を呼んだけど、何度呼んでもディアロスは起きてくれなかった。


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