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繰り返される悪夢【長編】

1よこせう:2004/04/26(月) 22:29 ID:kHYrbqF2
石川県横島市立南部中学校3年6組生徒名簿
男子                   
1番 相川 慎太郎(あいかわ しんたろう) 
2番 相沢 彰久(あいざわ あきひさ)
3番 秋宮 慧(あきみや けい)
4番 旭 叉羅(あさひ さら)
5番 池谷 翼(いけや つばさ)
6番 上杉 千裕(うえすぎ ちひろ)
7番 遠藤 祐介(えんどう ゆうすけ)
8番 大原 克巳(おおはら かつみ)
9番 神楽 圭吾(かぐら けいご)
10番 風祭 達樹(かざまつり たつき)
11番 桂 弘典(かつら ひろのり)
12番 金城 真人(かねしろ まさと)
13番 神谷 塁(かみや るい)
14番 川澄 潤(かわすみ じゅん)
15番 木内 政文(きうち まさふみ)
16番 木下 聖夜(きのした せいや)
17番 鬼島 弥勒(きじま みろく)
18番 霧雨 時耶(きりさめ ときや)
19番 久保 宗鑑(くぼ そうかん)
20番 田神 慶吾(たがみ けいご)
21番 立花 雄吾(たちばな ゆうご)
22番 長谷 辰文(ながたに たつふみ)
23番 春田 清史(はるた きよし)
24番 藤沢 雅(ふじさわ みやび)
25番 細川 竜司(ほそかわ りゅうじ)
26番 三杉 龍一(みすぎ りゅういち)
27番 吉田 兼好(よしだ かねよし)
28番 憐道 奉雅(れんどう ほうが)

女子
1番 蒼火 音遠(あおび ねおん)
2番 石井 遥(いしい はるか)
3番 井上 明日香(いのうえ あすか)
4番 卯月 由香(うづき ゆか)
5番 緒方 幸(おがた ゆき)
6番 鍵谷 志穂(かぎたに しほ)
7番 烏丸 遙(からすま はるか)
8番 北里 冷夏(きたさと れいか)
9番 木津 優子(くるつ ゆうこ)
10番 黒井 絢女(くろい あやめ)
11番 相模 魚月(さがみ なつき)
12番 塩野 香織(しおの かおり)
13番 杉浦 千夏(すぎうら ちなつ)
14番 杉原 朱美(すぎはら あけみ)
15番 高橋 優希(たかはし ゆき)
16番 長坂 陽奈(ながさか ひな)
17番 中標津 雪乃(なかしべつ ゆきの)
18番 吹岡 祥子(ふきおか しょうこ)
19番 三谷 捺(みたに なつ)
20番 矢田 伊織(やだ いおり)
21番 由岐 春美(ゆき はるみ)

担当教官:立花 賢吾(たちばな けんご)

2よこせう:2004/04/26(月) 22:30 ID:cH89a9CY
何とか名簿UP出来ました・・・。
今回も完結目指して頑張りたいと思いますので、
皆様、宜しくお願いします。

3よこせう:2004/04/26(月) 22:47 ID:OcA3dbhE
BR法が一時廃止されてから3年の月日が経った。
全国各地で、反BR法のデモ活動が頻繁に行われたからだ。政府はこれに困惑した。
幹部が一斉に東京の官邸に集まり、二日間に及ぶ話し合いが続いた。
それによる結果は―――一時廃止。

この出来事によって、BR法というのは、もう人民の殆どは忘れ去ろうとしていた・・・。
あんな事が起きなければ・・・。

4麻衣:2004/04/26(月) 22:52 ID:TgztSb9o
名簿完成おめでとうございます。
高橋優希の麻衣です。
今回も楽しみにしてます。頑張って下さい。

5ロンリーナイト:2004/04/26(月) 22:58 ID:6mjWsDZg
名簿完成おめでとうございます!
生徒数が多く、大変でしょうが完結目指してがんばってください〜!
応援してます!

6よこせう:2004/04/26(月) 23:04 ID:6WxoErbQ
男は立ち上がった。右手にはMP5SD、左手にはUZI。
迷彩服のポケットには無数の弾薬。そして、細い眼。
男は今、政府官僚の前に立っていた。つい、先程、ガードマンを3人ばかし、殺ったばかりだ。
もう、邪魔者は居ない。ゆっくりと・・・ゆっくりと・・・。

元BR執行委員長の森田は、あの魔のBRの事を、ゆっくりとベットの上で思い出した。
思えば4年前。BR廃止で職を失った。
しかし、30年、政府に勤めてきたお陰で、こうして生活を未だ官僚で送れる事が出来る。
これも、BR様様だよ・・・。
森田は高笑いした。豪華な部屋。官僚でも、トップクラスの部屋。
真っ白な柔かいベッド、大理石の風呂、トイレ。更に、映画スクリーンの半分くらいの大きさの
巨大テレビ。まさにVIP待遇。やってみるもんだ。

次の瞬間、ぱぱぱという、既に忘れ去ろうとしていたあの音。そして、ガシャンという音。
続いて、誰かわからない下級ガードマンらしき絶叫。
森田は、がばっとベッドから身を起こした。目の前にある、護身用のグロックを手に取った。
―――襲撃者か!?
森田は部屋の隅に隠れた。グロックの撃鉄は、既に起こされたままである。
バタン、と大きな音がした。目の前に現れたのは、迷彩服を着た濃いヒゲを生やした男。
見覚えのある黒い塊。マシンガン。
森田は絶叫すると、グロックを乱射した。弾丸は、まぐれか、それとも、男の胸を貫いた。
しかし、男もUZIの引き金を引いていた。森田の腕に弾丸が注ぎ込まれる。
互いの絶叫。その瞬間、またもやトビラが開いた。入ってきたのは世話役の男であった。
「森田様!」
男はそう言うと、急いで森田の腕を包帯で止血し始めた。
森田は立ち上がった。
「そんなお体で立ち上がれては・・・!」
森田は襲撃者の顔を覗いた。既に死んでいた。森田はその男の迷彩服を漁り始めた。
そこで見つけたもの、反BRの会員証。
もう一つ見つけた。古いメモ帳。そこに書かれていた物。
【特別任務 元BR委員長森田暗殺!】
完全に頭に血が昇った。森田は急いで備え付けの電話を手に取った。
「総理!お話があります!たった今、BRを再開させてください!」
ガチャン、と乱暴に電話を受話器に戻した。

森田はふふふっと笑った。
「ワシを暗殺する?戯けた事を抜かしおって・・・。
 ワシを怒らせたな・・・もう一度やってやる・・・BR法を!」

7よこせう:2004/04/26(月) 23:05 ID:6WxoErbQ
麻衣さん、ロンリーナイトさん、有難う御座います。
また頑張りますので、応援、宜しくお願いします!

8瞬坊:2004/04/27(火) 03:37 ID:bLcDnIzU
おお!始まった!!頑張ってください!!!

9:2004/04/27(火) 07:07 ID:pPISi4P.
名簿完成&本編UPおめでとうございますーvv
女の子のキャラ設定とかは初めてでよこせうサンが
どう使ってくださるか楽しみで酢v
二人友を採用していただきありがとうございますv
前作では隠ふぁんだったのですが、
公にしたいと思いますvがんばってくださいねv

10インビシブル:2004/04/27(火) 08:29 ID:7hPjsOTs
風祭達樹ことインビシブルです
完結された前作
サタンさん非常に喜んでおられました
またよろしくお願いしますとのことです

11緋音:2004/04/27(火) 17:27 ID:XHMMytl2
ついに始まりましたね!!
続きが気になってきました♪

12tp-18:2004/04/27(火) 18:46 ID:SxiXzQiE
本編開始おめでとうございます
何かと忙しい時期ではありますが完結向けて頑張ってください
レスは少なくとも陰ながら応援してます

13:2004/04/27(火) 22:39 ID:3GpLYn.w
本編開始おめでとうおめでとうございます。
こっそり応援しておりますのでがんばってください!

14よこせう:2004/04/27(火) 22:56 ID:OZkNlv/I
瞬坊さん>いよいよ始まります。皆さんの心に残るような作品にしたいと思いますので
     応援よろしくお願いします。

空さん>2人とも採用させて頂きました♪上手に使わせて頂きます。

インビジブルさん>そうですか、サタンさんそう言ってもらいましたか。
         こちらも宜しくお願いしますと伝えておいてください。

緋音さん>いよいよ、生徒が登場します。ちゃんと見てくださいね♪

tpー18さん>まぁ、毎日更新すると思いますので、毎日確認して下さい(笑)

樹さん>応援お願いします。それが何よりの励みとなりますんで。

15よこせう:2004/04/27(火) 23:09 ID:lFgU2AI2
男、神谷塁(男子)は明るい夜中の市街地を歩いていた。
一人っ子、両親の遅番が重なり、夜中の一時くらいまでは家には誰も居ない。
両親には留守番しろ、なんて言われてるけど、そんな事、中学三年の塁には全くの無効化だった。
11時くらいにはコソコソとマンションから抜け出していく。

でも、金は無い。行くところも無い。つまり、只ブラブラしているだけだった。
塁の少し蒼い眼に、ある物が映った。
ガラス越しのテレビ。大手電気会社の店頭商品だった。こんな遅くまで営業している。
よくやるな、と思った。当然、金は無い。何も変えないが、そのテレビに見入ってしまった。
深夜番組だった。いつもは家で見ているのだが、今日は外で見る事になった。
バラエティーが好きなので、店員がこちらをじろじろ見ても、気にせず、見ていた。

いきなりチャンネルが変わった。店員がチャンネルを変えたのだ。
NHK。塁にはとてもとても見れたものじゃなかった。丁度、ニュースの時間だった。
腕時計を見た。もう12時30分だった。
「あと30分か・・・・・・」
塁は視線をテレビから前方に移した。帰ろうとしたその瞬間、テレビの画面が急に変わった。
視線をまたテレビに移した。
そこには
【BR法、改定されてまた実施!】
塁は然程気にしなかった。そもそもBR法自体、あまり知らなかった。
そのときは、とても軽い事と考えていた自分が甘かった事を塁はこの後知ることになる。
塁は思い出した。
修学旅行は、明日・・・・・・。

16瞬坊:2004/04/28(水) 19:05 ID:bLcDnIzU
実は神谷塁は修学旅行が楽しみで眠れなかった説

17映画:2004/04/28(水) 23:05 ID:GtbSUuA6
前作のキャラが出てきそうな予感w

18よこせう:2004/04/28(水) 23:16 ID:ZDtU6wdk
No1:出発

「うわぁぁぁぁ!」
機内に、1人の男子生徒の甲高い声が響き渡った。
「ババ、俺かよぉ!」
恥じと言う物を知らずに、絶叫しているのは遠藤祐介(男子)だった。

祐介は、隣の席と、後ろの席の連中とトランプをしていた。
それを見かねたスチュワーデスが、祐介の方をへ歩み寄ってきた。
「お客様?離陸後は、静かに、騒がずに、お願いします」
そう冷たく言い放つと、持ち場につかつか戻っていった。
トランプ仲間の風祭達樹(男子)が、小声で、隣に居る、神楽圭吾(男子)にそっと呟いた。
「なんでぇ、大して可愛くねぇスチュワーデスがよぉ」
声がでかい。
達樹の無神経な一言を聞いて、スチュワーデスが、こちらをじろりと睨んだ。
とばっちりを受けた、圭吾は只ひたすら下を向くしかなかった。

後ろの方では、女子のはしゃぎ声が聞こえた。石井遥(女子)を筆頭に、
沢山の女子が、スチュワーデスを完全無視してくっちゃべっている。
スチュワーデスも呆れた様子で、その光景を見渡していた。

その更に後ろの片隅で、相川慎太郎(男子)が隣に座っている相沢彰久と喋っていた。
「それにしてもスゲーよな、沖縄行くだけなのに飛行機丸々貸しきりだなんてよ」
慎太郎が持参のポテトチップを口に含みながらそう言った。
「なんでも、横島市では最初の沖縄旅行だから、政府が貸してくれたんだよね。
 ホント、太っ腹」
彰久がははっと笑う。そして、慎太郎のポテトチップを一枚、ひょいと摘み上げた。
「どーも」
そう言って、口に含んだ。

笑い声が響き渡る中で、1人だけ、浮かない顔をした男子が居た。
立花雄吾(男子)。
本当なら、こんな盛り上がる場所には、いつも積極的に参加しているのだが、
今日は妙に落ち着き、元気が無い。
先程から下を向いているばかりである。顔が妙に蒼ざめている。
小刻みに、身体が震えている。汗を垂らしながら。

和やかな雰囲気をブチ破る、一つの音が聞こえた。
機体が急に下降した。生徒の悲鳴が聞こえる。担任の中下が立ち上がった。
「みんなぁ、おちついてぇくださぁい。しずかにぃしてくださぁい」
いつものかったるい声。スチュワーデスも皆を宥める。
中には、何人かの男子は、わざと悲鳴を上げて面白がる。
それもそこで終った。機体がぐんと思い切り上昇した。
多分、いや、全員頭を天井にぶつけた。それで、みんな気絶した。
機体は180度回転して、沖縄とは、全く別の方向へ飛び去っていった。

【残り48人】

19よこせう:2004/04/29(木) 14:26 ID:lAs5j9Yw
No2:宣告

神谷塁(男子)は、静かに眼を開けた。眼を開けて、驚いた。
眼前に広がる光景は、とても古汚い部屋だった。けど、妙に広い。
塁は当たりを寝起き眼で見渡した。何処かで見た風景。あっ、教室か。
それでやっと気付いた。ここは何処かの学校の教室なのだ。
塁は、立ち上がらず、その場で、皆が起きるまで待った。時計は、丁度2時を指している。
どうりで眠いわけだ。でも・・・・・・!
外はとても明るい。塁は、自分の腕時計を見た。それで、驚愕した。
AM2時。
何故だ?こんなに明るいのに?もう、夜中じゃないのかよ・・・・・・。
不思議な感覚に包まれながら、塁はそのまま座っているしかなかった。

暫くすると、他の生徒もどんどん起き出した。すると、教室内に声が聞こえる。
「どこだよここ・・・・・・」
「あれ?もう沖縄?」
「いや、・・・っていうか、もう2時・・・!でも、外は明るい!」
誰か気付いた様だ。塁は、この事情を説明してくれる人物が現るまで、暫く待っていた。

いきなり、目の前にある、黒板(の様なスクリーン)がびかっと光りだした。
「うわっ!眩しい!」
スクリーンに、男の顔が映った。
妙ににこにこしている。しかも、どこかで会った記憶が・・・・・・?
その男がいきなり笑い出した。
「起きちゃったかぁ、やあ、おはよう。今から事の説明をするよ」
全員、画面に釘付けだった。皆、一言も発しない。
「まず、主要を言うよ。
 君達は、今年のプログラムに参加されました!」

【残り49人】

20よこせう:2004/04/29(木) 16:31 ID:sYqlOrxI
No3:偽愛

「なっ・・・・・・!」
誰もが言葉を失った。
―――何?プログラム?あの殺人ゲームの?嘘・・・・・・!
男はにかっと少し黄色く染まった薄汚い歯を見せながら笑った。
「あぁ、私の自己紹介が済んでなかったな。私の名前は、立花賢吾といいます。
 皆、覚えてくれたかぁ?」
クラスの大半が、この男の正体が、誰だか知った。
そのとき、1人の男子生徒が立ち上がった。
「父さん!」
立ち上がったのは、立花雄吾(男子)だった。そう、雄吾の父である。
「止めてくれよ!どうして、俺達がこんなプログラムに参加しなくちゃ、
 ならねぇんだよ!」
立花は、息子の訴えに、耳を貸さず、そのまま続けた。
「えぇっと、ルールだけどな・・・・・・」
教室に、雄吾の悲痛の叫び声が響いた。
「父さん!」
それで、やっとスクリーンの中の立花は息子を睨み付けた。
「何だ、男子21番、立花雄吾」
それで、雄吾は頭を殴られた様な衝撃を喰らった。
「そんな・・・・・・」
立花が再び息子を睨み付けた。
「私語は慎め立花。さもないと、貴様の身体に穴が空くぞ?」

ガララッ、と教室のドアが開いた。外から、武装した兵士が3人ばかし入ってきた。
そして、手に持っているマシンガンを、雄吾に向けた。
「きゃぁっ!」
雄吾の横に座っていた、由岐春美(女子)が、椅子から立ち上がった。
「座れ!」
兵士の1人が一喝した。そして、手に持っているマシンガンを天井に向けて発砲した。
ぱぱぱ、という連続音がして、天井から瓦礫がばらばらと降ってくる。
「痛!」
と、いう声が聞こえて来る。そのとき、またもやあの声が聞こえてきた。

「やめろぉぉっ!」
雄吾だった。雄吾は立ち上がると、また叫んだ。
「止めろ、止めろ、止めろ、止めろぉ!」
それで、一気に教室中が静まり返った。兵士も、その叫び声を聞いて驚いていた。
「こんなプログラム、無効だ。止めてしまえ!」
スクリーン上の立花はやれやれといった表情で兵士に、目線で合図した。
「殺れ」
ぱぱぱ、というまたもやあの耳をつんざく銃声が響き渡った。
しかも、今度は絶叫も。
マシンガンの銃口は、見事に雄吾に向けられていた。
雄吾の身体が一瞬、ふわりと上に浮いた感じがした。それでもう殆ど動かなかった。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!」
絶叫。女子の叫び声。立花が、声を発した女子を睨み付けた。
「静かにしろ」
女子生徒は涙目で、口を、自分の手で覆った。
皆の視線が、床に横たわる雄吾に向けられた。微かに動いている。
「俺は・・絶対・・に・・・・あきらめない・・・。
 こんな・・・クソゲーム・・・認めない・・・・・・」
そう言い残すと、立花雄吾は、壮絶な最期を遂げた。

立花雄吾(男子21番)死亡
【残り48人】

21よこせう:2004/04/29(木) 22:39 ID:cTxgDJac
No:4 説明

兵士は、穴だらけとなった雄吾の死体を、素早く教室の中から取り除いた。
「えぇっと、1人死んで仕舞ったけど、まぁ早速ルール説明をします」
立花は、こほっ、と咳をすると、ある紙を取り出した。それを、広げた。そして、読んだ。
「BR法改定部所説明をする!」
何人かの生徒が、その、いきなりの大声に、驚きを露にした。
「BR法改定、その一、生徒はまず、30人になるまで、無人島で殺し合いをする!」
ざわめきたった。生徒の一部が、驚きの声をあげる。
「その二、生徒は、20人になったら、今度は一般住民が交差する、東京、23区でプログラムを実行する!」
またもやざわめき。しかし、そのざわめきを、兵士が鋭い目付きで威嚇した。
(静かにしろ)
「その三、生徒は10人になったら、今度は、こちらで用意した特殊人造機械と、闘う!」
もう、誰もおどろかなかった。―――人造機械?まさか、こんな時代にそんなもの―――?
「その四、生徒は、その人造機械を破壊した後、再び、殺し合いを、してもらう!
 以上、当四点が大まかなルール改定。説明を終える!」
立花は大きく息を吸った。スクリーン越しでも、汗をかいているのが見える。
「ははっ、これ説明するの大変なんだなぁ。ホント。大変大変」
立花は笑った。けど、笑える訳が無い。冗談じゃない。何を戯けた事を。こんな事・・・?
生徒同士で殺し合い?そして、人が縦横無尽に居る東京23区で殺人ゲーム?
一般住民も巻き添えにするってのかよ。そして、人造機械?何を馬鹿な。そんなもの・・・?
でも・・・・・・本当に・・・・・・あるのか・・・・・・?

「あぁぁっ!ごめんごめんごめん!先生、一つ忘れてたよ!」
生徒がスクリーンに釘付けになった。兵士も驚いた様だ。
「あぁ、今年から、首輪ってのが無くなったから。あれ、高いんだよ。
 あんな物使ってるから国民の税金ってのがどんどん割増すんだよな。そんな事してるから、
 反デモが起きるんだよな。だから、首輪は、使いま、せぇーん」
またもや立花は笑った。だから、笑えねぇって。こんな状況下で。あんた、よく笑えるよな。
「あぁ、皆疑問だよな。何で、先生こんなにこにこしてるかってな。
 皆、どうして?とか思ってんだろ。いいよ、教えてやるよ。
 BR対象クラスの担当教官ってのはな、生徒の不安、恐怖を取り除くために、いつもにこにこ
 してなきゃならないの。わかる?でも、先生思うんだよな。これ、逆効果ってな。はははっ」
何度も言うけど、笑えない。
「あぁ首輪の話だったな。まぁ、予算が少ないので、今年から首輪は使いません。
 その代わりに・・・・・・これを使って貰いまぁす」
立花は指をパチンと鳴らした。教室に、白衣を着た男が台車を持って入ってきた。
その台車の上には、丁度(多分)49個のコップが置いてあった。
いや、立花雄吾が死んだ今、実際に要るのは48個だけど。
「皆、これ何?とか思ったろ。当たり?そうだな?」
白衣の男が、机の上に、コップを一つずつ置いていった。ここである女が口を開いた。
相模魚月(女子)。
「これ・・・・・・何・・・?」
立花はまた笑った。
「だから、それを今から説明するって言ってんだろ。
 これはな、我が国の最先端コンピューターを駆使して作った。超光感度の水なんだ。
 つまりな、この水はな、ある特殊な光に反応しやすいんだよ。試しに・・・・・・」
またパチンと指を鳴らした。また、教室に兵士が、台車と供に入ってきた。
その台車の上に乗っていた物。担任の中下。手足は縛られている。口にもさるぐつわ。
「むぐぅ、むぐむぐぅー」
多分、助けて、とでも言っているのだろう。けど、残念。誰も助ける事は出来ない。
「担任の、中下先生には事前に、その水を飲ませてあります。
 ・・・・・・よし、やれ」
立花は兵士に合図をした。兵士は手から小型の懐中電灯らしきものを取り出した。
それを、もがく中下の腹の部分に向けた。そして、スイッチを押した。
懐中電灯からは、恐ろしく透き通った光が放たれた。それは中下の腹に差し込まれた。
「むぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」
途端、中下がさるぐつわをされた口で絶叫した。
中下の腹がみるみる膨らんでいった。そして、爆発した。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!」
後には腹が吹き飛び、変な物体を腹部から垂れ流した中下という男の亡骸しかなかった。

【残り48人】

22みつき:2004/04/30(金) 03:39 ID:v/so30pg
遅くなりましたが、本編開始おめでとうございます。
立花くんのお父さん、何かすっごく普通そうですが息子を殺して何とも無いのでしょうか…。それとも、平気な振りをしているだけなのかなあ。ルールも、何だか面白そうですね。続き、頑張って下さい。

23:2004/04/30(金) 18:09 ID:3GpLYn.w
こんばんわ、はじめまして。遠藤祐介のこと樹と申します。
本編が開始しまして、立花さんのルール説明を見させていただきましたが・・・すっごくわくわくしそうなルールですね!
だんだんと会場や条件が変わっていく新ルール・・・!尊敬ものです。
それに新しい水、というものの使い道は・・・。気になるところで終わっているので続きが待ち遠しいです!
本編の執筆、がんばってください!応援しております!

24よこせう:2004/04/30(金) 22:16 ID:qOtUt1uY
みつきさん>立花父の事は、後々説明の時が来ますので、お待ちあれ。

樹さん>遠藤は、面白いキャラなので、有効に使わせて頂きたいと思います。
    応援、ありがとうございます。

25よこせう:2004/04/30(金) 22:41 ID:ZDtU6wdk
No:5 水の実態―――そして出発

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
あちらこちらで絶叫が聞こえる。風祭達樹(男子)、はいつもの軽い態度は、もう取れなくなってきた。
(狂ってる・・・・・・―――!)
とても、見てはいられない。腹が思い切り破裂した担任の無惨な姿。・・・やべぇ、吐き気がしてきた・・・!
「はいはいはいはいはいはいはい!皆、先生の方に注目ー!」
驚きと恐怖を隠せない生徒とは裏腹に、立花は、軽い口調で説明を続けた。
「すごいだろぉ!これ、多分、こんな最新テクノロジーは我が国オンリーだぞ!素晴らしい!」
立花は子供の様にきゃっきゃきゃっきゃとはしゃぎまくった。生徒は呆然とした様子でそれを見つめていた。

「あ、そうそう。この水の仕組み、言うの忘れてたな」
生徒がごくりと唾を飲み込む。一体、この水の仕組みとは―――・・・?
「この水は、超光感度の水です。ある、特殊な光を浴びると、面白い事になります・・・ってこれ言ったっけ?」
立花はげらげらと笑い出した。よく笑う男だ。これもBR法の一部らしいけど。
「まぁ、いいや。この水はな、この光を浴びると、胃の中の膜に張り付き、そして、
 特殊な光と混合して、特殊な物質を発生させます。
 我々政府は、それを【BRX】と呼んでいます。BRXは、体内のあらゆる物質と巡り巡って、
 そして・・・・・・・どぉん!・・・と、なります。皆、わかった?ドゥーユーアンダスタン?」

「あぁ、それと、ここはブラジル付近の日本人が所有する島です。皆眠いだろう?
 早く時差ぼけに慣れて下さい。先生も眠いの何の」
立花は大あくびをした。

「まぁ、これでおおまかなルール説明は終わりにします。ではでは早速出発してもらいます。
 あぁ、そうそう、あそこに見えるのは、ディパックです。まぁ、つまり荷物入れかな。
 大小様々な形のディパックがあります。好きなのを選んでください。
 でも、一つ選んで、それを取り替えるってのは禁止です。
 それではいってみよう!男子1番相川慎太郎くぅん!」
男子1番相川慎太郎は、ゆっくりと席を立った。慎太郎は、ディパックが積まれている台車の前に立った。
「さぁ、好きな物を選べ」
御丁寧に兵士が薦めた。慎太郎は、その声を全く聞いていない振りをして、皆が座っている後ろを向いた。
「皆・・・・・・生き残ろう・・・・・・・」
慎太郎は適当にディパックを選ぶと、教室を後にした。
呼び出しはどんどん続いた。そして、男子24番。
「男子24番、藤沢雅くん!」
雅は立ち上がった。立花はそれを見てぷぷっと笑った。
「君ぃ、まるで女みたいだねぇ、すごい可愛らしいよ・・・ぷはははっ!」
雅はひどく赤面した。そして、ディパックを受け取ると足早に教室から出ていった。

「女子21番由岐春美さん!」
春美は立ち上がった。そして、おどおどしながらディパックを小柄な身体で受け取り、
教室をそそくさと出て行った。
「以上!48名無事送出完了!」
立花の声が狭い教室に響いた。午前3時30分の事だった。

【残り48人】

26よこせう:2004/05/01(土) 23:08 ID:IWx2LzTg
男子では最後に分校を後にした憐道奉雅(男子)は、その外の光景に度肝を抜かれた。
「おいおい、・・・・・・何だよこりゃ・・・・・・!」
とてつもなく広いグラウンド。その先にある巨大な門。奉雅は見た。門からそそくさと立ち去ろうとしている人物を。
(お、カモじゃねぇの・・・・・・!)
奉雅はディパックのチャックを開けた。どっちかというと、大きめなディパック。そこから見えた物。
PSG−1。
銃系に鈍い奉雅でもわかった。これは、スナイパーライフル―――。
使い方はわかんねぇ。けど、スコープを覗いてみた。それを覗いて、奉雅は驚いた。
(・・・・・・スゲェ!)
はっきりと見える。朝特有の寒さに身を震わせながら、それを見ていた。
300mは離れているだろう門から出て行こうとする人物。
けど、狙い撃ちは止めた。
そのスコープ越しに見えたのが、女子、矢田伊織だったから。
「やーめたっと」
奉雅はPSG−1のスコープから眼を離すと、女子が出て行った方の逆の方向の垣根を飛び越えて、
朝の街中へと繰り出していった。

【残り48人】

27よこせう:2004/05/01(土) 23:30 ID:6WxoErbQ
風祭達樹(男子)、は雀の鳴き声が聞こえてきそうな田舎道を1人で疾走していた。
「うひぃー、寒ぃなぁ・・・!」
達樹は寒さで凍り付きそうな身体を温め、解す為、走っている。
かれこれ、もう1kmは走っているだろうか。けど、誰とも出くわさない。
走りながらディパックを開けた。中には、44マグナムが入っていた。
「ビンゴ!」
ディパックの中に入っていた、それ、をじっくり観察した。
達樹の勘だと、これは8インチ。達樹にしては、ちょっと撃ち難い感じもするけど、まぁいい。
本当は6インチくらいだと、命中精度も携帯も丁度適しているのに。
そこが残念だった。けど、贅沢を抜かしている場合ではない。
自分は、生き残る為に、これを今からどれだけ重宝するだろうか。銃火器があっただけでもよしとしよう。

バラ弾が沢山ディパックの中で散乱していた。
(何だよ、一つにまとめとけよ馬鹿)
ディパックに手を突っ込み、一つずつポケットにバラ弾を移し変えていく。
一応、全てポケットに移し替えた。さぁ、準備OK。

まさに、そのとき、達樹の頬を、物凄い速さである物が通過していった。
「熱っ!」
頬に手を当てた。焼ける様な熱さ。まさか・・・・・・。
達樹は、後ろも見ないまま、近くの材木置き場の影にダイビングした。
途端、達樹の立っていた場所に弾丸が弾き飛んだ。
達樹が、急いで身体を起こす。目の前に現れた者。大原克巳(男子)。
細い目で、どちらかというと、影が薄い存在の男。それが、何故・・・・・・!?
よく見ると、克巳の大きな手にコルトパイソンが握られていた。達樹はにやりと笑った。
「面白ぇ!リボルバー同士の対決かい!
 けどな、殺る気なら俺も冷静にお前を殺すぜ・・・・・・!」
達樹はそう言うと、いきなり克巳の胸に向けて44マグナムを撃った。
しかし、次の瞬間、達樹は大きく後ろにつんのめった。
「何だこれ!?」
物凄い反動。これが、リボルバーキング44マグナムの反動。
克巳は反動の少ないコルトパイソンをガンガン撃ってきた。
(やばい、これじゃ完全に相手のペースじゃねぇかよ・・・・・・!)
達樹と克巳との距離はおよそ15m。どちらかが動けば、すぐに狙える距離だ。
2人は、とにかく相手を近づけさせない様に、撃ちまくった。次から次へと弾が無くなる
達樹は気付いた。
(・・・・・・ん?何で相手が1発撃ってるのに、その間俺は2発も撃ってんだ?
 お互いに支給された弾の数が同じだとしたら・・・・・・!)
急いでポケットに手をつっこんだ。確認した。あと、7発。
俺がこれを撃ち尽くしたら・・・・・・!どうする―――!?
「チッ!」
達樹が舌打ちをした。そして、物凄い速さで、走り出した。
後ろから弾丸が飛んでくる。
チッ、この俺が敵に背を向けて逃げちまうとは・・・・・・、情けねぇ・・・!
達樹は、木材置き場周辺から、急いで、市街地の方向へと走り出して行った。

【残り48人】

28:2004/05/01(土) 23:48 ID:pPISi4P.
わーv遂に始まりましたね!
展開の進め方がお上手でとても読みやすいですv
風祭君の一言一言になんだか笑みがww
これからも更新がんばってくださいv

29フック:2004/05/02(日) 09:33 ID:k2pFjPJw
こんにちわー!スゴク読みやすいし銃の扱い方とか詳しくて面白いです。
担任の死に方ちょっと気持ち悪かったケド斬新でいいですね。
応援してます、更新頑張ってくださいv

30瞬坊:2004/05/02(日) 11:22 ID:Ax9MVkNI
む、ゲームに乗ったか細目。

31瞬坊:2004/05/02(日) 11:43 ID:Ax9MVkNI
大原克巳じゃなくて克己なんですが・・・
変更なら別にいいですが・・・

32よこせう:2004/05/02(日) 21:37 ID:2IdQL0vI
空さん、フックさん、レスありがとうございます♪
瞬坊さんには大変申し訳ない事をしてしまいました・・・。ホントにスイマセン・・・。

それと、26の題名は「No:6 狙撃、しかし」
    27は「No:7 リバルバー合戦」 でお願いします。

33よこせう:2004/05/02(日) 22:12 ID:Zl9P6ezM
No:8 猛火

だんだん暑くなってきた。それもそのはず、ここまで全力疾走で来たのだから。
「ふぅー、暑い暑い」
男、秋宮慧(男子)、は懐から愛用の扇子を取り出すと、大きく広げて、自らを仰ぎだした。
身体中が火照っている。かなり走った。自分がこんなに無我夢中で走ったのは初めてかもしれない。
まぁ、自分の命という、この世で1番大切な物を守らなくてはならないのなら、当然だ。
毛穴から汗が滞りなく吹き出てくる。気持ち悪い。
汗というものは本当に気持ち悪い。何故、こんな無駄で意味の無い物が体内から溢れ出て来るのだ?
全く、嫌になる。現代のチャラチャラした野郎はこれを【キモい】という。
そう、言っている奴が、本当に気持ち悪いんじゃねぇのかよ。馬鹿みてぇ。

でも、勝手に噴出して来る物だからどうしようもない。どうしようもない物はしょうがない。
仕方無いが、その汗ばんだ右手で、ディパックのチャックを開けた。
中に見えたのは―――・・・当たり。
見ればわかる。銃火器だって。でも、銃じゃない。まさに当たり。

火炎放射器。慧は、あの教室で、わざと大きめなディパックを手にした。
でかいもんだから、それなりに良い物が入ってるんじゃないかと踏んだが、まさにその通り。
ディパックから出した。だが、驚いた。
重い。・・・いや、重すぎる。なんだこれ?7、8kgはあるんじゃねぇのかよ。
普通に持つには重過ぎるので、先に、ベルトを上半身に通した。それで、一気に持ち上げた。
「こりゃぁ、いい。素晴らしい」
銃なら、何度かテレビや映画で目の当たりにしたが、火炎放射機など初めてだ。
重いのが玉に傷だが、まぁ、そんな事はどうでもいい。
・・・・・・試したい。

辺りを見渡した。眼に、あるものがついた。
―――猫。猫だった。白色と茶色の小さい猫。手だけでその身体を壊せそうなその、
華奢な猫に、銀色に光る銃口を向けた。
「あばよ」
それで、一気にトリガーを引いた。銃口からは、物凄い勢いで炎が放出した。
持っている慧の身体にも、熱が響いた。
―――熱い・・・汗が・・・・・・気持ち悪い・・・・・・。
一端、トリガーを引くのを止めた。炎が、ピタッと止まる。猫を見てみた。
そこには、焼け爛れて、微妙に前足をぴくぴく動かす事しかできない小さな猫の姿があった。
もう、猫とはわからない位、真っ黒。
「ふふふふふふふふっ」
腹の底から笑いが込上げてくる。なんて、残酷なんだろう自分という人間は。こんなに、こんなに恐ろしい・・・。
「あははははっ!」
その瞬間、後ろから声が聞こえて来た。

「あんた、馬鹿ね。死ねば」
途端、慧の背中に激痛が走った。今まで味わった事の無い痛み。
後ろを向いた。そこにいるのは、烏丸遥(女子)。

【残り48人】

34瞬坊:2004/05/02(日) 22:14 ID:Ax9MVkNI
ぁぁああ俺の飼い猫があぁあ!!!

35よこせう:2004/05/02(日) 22:28 ID:0FAVwCRs
No9:制裁

「烏丸・・・・・・貴様ァ・・・!」
秋宮慧(男子)は、憎悪の籠もった鋭い眼で、烏丸遥(女子)を睨み付けた。
睨み付けられても尚、全く動じない遙は澄ました顔でこう言ってのけた。
「馬鹿ね。何逆ギレしちゃってんのよ。あんたが悪いんでしょ。この馬鹿」
慧の顔がみるみる赤くなっていた。毛穴から、彼の嫌う汗が吹き出てくる。
「ふざけるな・・・・・・たかが、猫一匹で、この俺が撃たれるだと・・・・・・!」
遙の顔がきつくなった。冷徹な目で慧を一眼した。
「死ね。何が猫一匹よ。たかが、猫、されど、猫。覚えておきなさい。
 さぁ、死ぬ用意はできた?
 今すぐあたしがあんたを感動と喜びのない地獄という世界へ叩き込んであげる」
睨みを更にきつくした。手に持っている兵士用ライフルを構えた。

慧が笑い出した。ぞっとする様なねちっこい不気味な笑い。
「生憎だが、地獄へ落ちるのはてめーだ・・・・・・愚か者め!」
慧は一気に火炎放射機のトリガーを引いた。凄まじい猛火が遙を埋め尽くした。
「はーっはっはっはっはっはっはー!死ねよ、馬鹿野郎!」
しかし、またもや、ぱん、という乾いた音が聞こえた。慧が呻き声をあげる。
「何故・・・・・・・・・・・・!」
火炎放射機から発せられた炎の壁が消えた。その先には、何食わぬ顔で遙が立っていた。
「本当に馬鹿ね。知ってた?火炎放射機の射程が短いって事を。
 これで本当に終わりね。さよなら」
ぱん、ぱん、ぱん、と3発の銃声が町中に響き渡った。
と、同時に慧の身体も後ろに吹き飛んだ。そして、もうピクリとも動かなかった。
遙は、血の池のど真ん中に浮かんでいる慧の死体には見向きもせず、只、火炎放射機だけを奪い取った。
そして、今はもう動かない慧の顔を睨んで、
「ようく覚えておきなさい。私は烏丸遙。罪人に裁きを与える者・・・・・・・」
そう言った。

秋宮慧(男子)死亡
【残り47人】

36みつき:2004/05/03(月) 08:07 ID:v/so30pg
おお〜!始まってますね♪
遥ちゃん、とってもかっこいいです。これからの活躍にも期待したです!
やる気の人、もしかして結構多めですかね??

37よこせう:2004/05/03(月) 22:46 ID:nVXjuNpY
瞬坊さん>どうでもいいですけど、この猫のアイデアは、My猫の姿を見つけたからです。

みつきさん>今回の生徒さんは、個性が非常に強いので、誰が死ぬとかが決めにくいです。
      応援Thank You!

38よこせう:2004/05/03(月) 23:11 ID:YS.gEwdw
No:10 試行

さっそく2人目、秋宮慧が死んだ。
だが、そんな事を知るものは、殺した本人、烏丸遙だけだろう。
蒼火遠音(女子)は、どこかの植物園の様な所へ、全力で走って来た。息が辛い。
運動音痴なのは、百も承知だ。けど、それを補う為に積み重ねて来た学業。寝る間も惜しんで。
ほんのわずかな音が命取りになるだろうと思い、ディパックのチャックを、ゆっくり、ゆっくり、静かに開けた。
中を開けて仰天した。―――何?コレ?
中に入っていたのは、トンファー。ド素人が聞くと、何の事かわからないと思う。
けど、クラスの中でも一位、二位を争う知識を所持しているので、何に使うかわかった。
つまり、接近戦用の打撃武器。だが、使いこなすには幾年もの修行が必要とされている、・・・事も知っていた。

「こんなもの・・・・・・!」
遠音は、新品(恐らくそうだろう)のトンファーを植物園の茂みに投げ捨てた。
ガサリと音がする。投げた後で後悔した。
「音が・・・・・・!」
計算され尽くしたこのゲーム。わずかな音も出すまいと慎重に。
その計算され尽くしたこのゲームも、もう仕舞いだ。何?トンファーって。
馬鹿にしてんの?クソ、クソ、クソ。
いつもは冷静を保とうとするが、今はそんな所まで考えが回る筈が無い。
生と死の境目。まさにデッドオアアライブ。生きるか死ぬかの瀬戸際。武器に全てが懸かっていた。
それなのに・・・・・!

とにかく、今は隠れる事が先決だ。とにかく30人になれば一端、別の場所に移動するのだから。
それまでの辛抱だ・・・・・・辛抱・・・だ・・・。
ガサッ、と遠音の隠れている茂みの横から猫が飛び出して来た。
「ひっ!」
と、不甲斐なく叫び声をあげてしまう。もう、駄目だ。ぼろぼろだ。生還・・・できるのか・・・?
こんな状態で・・・?
腹に手をやった。あの水。あの、魔性の水。政府が作ったハイテクノロジーだか知らないけど、
そんなもの飲まされて・・・・・・。
けど、今気付いた。今は、あの担任、中下を殺したあの水に加える、あの光がない。
そうだ、あの兵士が持っていたあの発光機が今はない。
なんで、こんな事に気付かなかったんだろう。今なら、脱出・・・・・・可能・・・じゃ!

頭上を見上げた。大きな看板。【↑1km 流河海岸】
という、看板。
―――海岸?そこから・・・泳げば・・・どこかの島に・・・着く・・・。
その期待に胸を躍らせた。
遠音は、その標識の指す、【↑】に従って、走り出した。
「脱出・・・・・・できる!」

【残り47人】

39バスター:2004/05/03(月) 23:16 ID:tQzp4FBI
始まりましたね〜
一気に最初から読ませていただきました。
首輪をなくすと言うのは良いアイデアですね。これは外せないですからw
小説がんばってください。

40よこせう:2004/05/03(月) 23:48 ID:eFpAdj06
No:11 突然の敵

「ハァ・・・・・・ハァ・・・!」
蒼火遠音は、海岸に向けて走り出した。もう、結構走り続けたはずだ。
もう、4分の3の距離は走ったんじゃないのか?いや、運動音痴の自分の勝手な思い込みかも知れない。
でも、長い事走り続けている事は事実だ。息が上がってくる。
顎がどんどん上を向いていく。息をするのも辛い。
けど、目的地の海岸は着々と近づいて来る。
――――もう少し・・・・・・もう少しで・・・・・・脱出・・・・・・!
期待が先へ先へと進んでしまう。それに、身体が追い付かない。本当に、情けなく思う。
自分の運動音痴を心底恨む。ほんと、ウザい。
遠音の親は2人とも、大のスポーツマンだった。父は、会社のテニスクラブのキャプテン。
母は、町内のママさんバレーのキャプテン。まぁ、職場と町内のクラブキャプテンじゃたかが知れてるけど。
まぁ、仕方ない。年々体力が減っていくに反比例して、脳内ばかり進化していく。
校内では、もはや【理数の女王】とあだ名が付いている。まぁ、悪くは無い。【理数の女王】は。

前を見た。もう、すぐそこに広がっている。広大な青々とした海が。
驚いた。こんなに綺麗な海は、そうザラに無い。こんな綺麗な所、ゆっくり、泳いでみたかった・・・。
まぁ、全ては生き残った後の話となる。生き残れば、余生は好きな様に使える。
とにかく、生きる事が全てだ。死んでしまえば、何もかも終わりなのだから。

気持ちが海へ海へと突っ走っていくので、遠音は、その音に気付かなかった。
車道のど真ん中を走る遠音の10m斜め前。拳銃を構えた1人の男が立っている事に。
そして、その撃鉄を下げる音も、当然、海の波の音で掻き消されていた。
ぱん、と音がした。遠音は「ひゃっ!」と叫び声をあげると、音のした方を向いた。
そこには、トカレフを構えた鬼島弥勒(男子)が居た。

41瞬坊:2004/05/04(火) 01:47 ID:mR9uMfvw
首輪じゃなくて爆弾水を用いたのは政府が前回の失敗を踏まえてってことディスカ?

42よこせう:2004/05/04(火) 17:49 ID:LYFObcfU
瞬坊さん>一応、コストダウンを目指して、という事となっております。

43よこせう:2004/05/04(火) 17:49 ID:LYFObcfU
No:12 不可

「そんな・・・・・・!」
ぱん、ぱん、と連続して音が鳴った。遠音の立っている足元のコンクリートが弾け飛ぶ。
もう、逃げるしかなかった。後ろを向いて一目散に逃げ出した。
当然、後ろからあの男、鬼島弥勒が追いかけてくる。トカレフを撃ちながら。
全速力で走った。人生最高のスピードかもしれない。
これなら、50m走、夢の9秒に到達するかも知れない。いや、8秒も・・・・・・。

更にスピードを上げた。勇気を持って後ろを向いた。弥勒の姿がどんどん遠ざかって行く。
「やった!」
声を上げて喜んだ。そして、気付いたら、真っ白な砂一面の砂浜だった。
そして、目の前に広がる大海。
遠音は、ディパックに入っているパンを、口にほおばり。ペットボトルに入った水を、
スカートのポケットに押し込んだ。
そして、このどこまでも続く大海原に身を投げた。といっても、死ぬ訳では無いが。
ぷかりぷかりと流れていく。異様に塩分が濃いのか、身体が浮いたままだ。
極楽だ。気持ちいい。ずっと、こうしていたい・・・できるのなら。

そのとき、どこからか機械的な音が聞こえてくるのを、いくらなんでも、今は気付かない訳が無かった。
「脱走者発見・・・直チニ、排除スル・・・繰リ返ス、タダチニ・・・」
音がするのは、頭上の電信柱だった。けど、おかしい。電信柱から枝分かれする様に、
細い棒が伸びている。そして、その棒の先端にはライトの様なものが・・・。
咄嗟に、遠音の脳裏に、最悪のケースが浮かび上がった。実際、その通りなのだが。
ライトからは、細い光が一直線に、浮かび上がっている遠音の腹に届いた。
じりじり、皮膚が焼ける感じがする。痛みに顔をゆがめる。逃げたい、けど、身体が動かない。
そのまま、光線は、遠音の腹で化学変化を起こし、魔の物質【BRX】を繁殖させた。
それは、どんどん身体の細胞と交わり、そして、爆発した。
遠音の腹部は、千切れ落ちた。それで、腹の中の臓物が散乱した。
当然、死んでいた。
大海原は、静かに、その腹部が弾け飛んだ遠音の死体をやさしく、いつまでも抱いていた。

蒼火遠音(女子)死亡
【残り47人】

44よこせう:2004/05/04(火) 17:51 ID:LYFObcfU
バスターさん>レスどうもです。
       水というアイディアは、正直、出そうか出すまいかかなり悩みました。
       けど、いつまでも首輪だと、面白くないので、水を採用しました。

45緋音:2004/05/04(火) 18:41 ID:MNQ1hwSc
何度読んでもおもしろいですね!!上手く言えないんですけど・・・
銃で胸を撃たれるような感じが(?)・・・(銃声
う〜んと、う〜んと・・・ファンです・・・握手を・・・(無理
よこせうさんを、みならいたいと思います。
尊敬してます!!これからも頑張ってください!影ながら応援してます。

46フック:2004/05/04(火) 19:02 ID:.l4KRr72
面白いです。蒼火さんの脱出への必死さがよく伝わってきました。
更新頑張ってください。

47よこせう:2004/05/04(火) 21:34 ID:052S51cg
緋音さん>いやいや、自分の小説なんてまだまだ・・・。
     他の作家さんの方が、面白いので、そちらの方も是非ご覧になられては。

フックさん>自分もまだまだ表現力の欠けるので、そこを只今勉強中でございます。

48よこせう:2004/05/04(火) 22:13 ID:QXpnAsYQ
No:13 遅すぎた追加報告

静まり返る島内。どこまでも続く街道、その先の高速道路、そして大海原。
このスカイブルーの、沖縄の海、いや、それ以上に透き通った海。だが、既にそこで1人死んでいる。
蒼火遠音(女子)。
恐らく、この島の南部にある灯台からは、その腹部が弾け飛んだ蒼火遠音の無惨な死体を見下ろせる事だろう。
だが、何故、誰がそんなホラー映画のワンシーンより酷い映像を求めるだろうか。
それより、まず蒼火遠音が死んだ事すら、この島内の生徒は誰一人として知る筈が無いだろう。
まさか、この大海に先程まで動いて、生きていた同級生が腹部をズタズタにさせて浮いているだろうとは、微塵も思わないだろう。

派手に煌く繁華街のネオン灯。朝っぱらなのに、全然輝きを劣らせない。
細川竜司(男子)、は電気の無駄、という場違いな考えを頭に巡らせながら、手に持っている折り畳み式ナイフを見つめた。
ナイフを開いた。カチッ、と刃の後端がグリップに留まる音がした。
試しに、鋭い刃先を自分の腕に擦りつけてみた。
当然の如く、皮膚が割れ、血が滲む。その血をみた竜司は、顔を蒼ざめて言葉を詰まらせた。
「ウッ・・・・・・」
後悔の念が襲ってきた。昔から好奇心が強いので、考えた事はやってみないと気が済まない性格。
そして、その行動の後に沸いて上がる気持ち、「やらなきゃよかった・・・・・・。」

人差し指に軽く唾を付け、それを傷口に押し当てた。沁みる。まぁ、慣れっこだ。
そういえば、ディパックの中に・・・、と、ディパックのチャックを開けた。
中には、折り畳みナイフの入っていたケースや、ペットボトル、そしてパン。
続けて漁ると、見つかった。バンドエイド。しかも、一枚だけ。
救急手当ての道具はこの薄っぺらいバンドエイド一枚だけ。こんなもの、銃創にはどうするんだよ。
と、思う。

こんな馬鹿な事をやっている場合ではない。さっさと脱出を試みる同士を探さなくては、
かれこれ30分は歩いているが、人っ子一人見つからない。
おいおい、ちょっと島が広いんじゃねぇのかよ。これじゃ脱出も何も飢え死にしてしまうぜ。
そういえば、今、何人死んでいるんだろう・・・。
竜司の脳裏に、あの鮮烈な光景が浮かび上がってきた。
教室で殺された立花雄吾の壮絶な死に様。銃殺。初めて見た光景。
そのときだった。想い出したくも無いあのなまめかしい声。

ピーンポーンパーンポーン
「おらー、わりー!先生、一つ大事な事を報告するのを忘っちまったぞぉ!
 それはな、先程、この島から脱出しようとした馬鹿な生徒が居た。当然、処刑したけどな、
 皆、あの発光機が無いから脱出しようとか思ってんじゃねぇんだろぉなぁ、おいぃ!
 あれはな、本島の至る所に隠されてありまぁす。
 まずは、電信柱の上、はたまた、ごくその辺にある植木蜂の影とか、数え切れないほどあります。
 もし、君達が脱出という馬鹿な考えをもって、それを実行すると、私達がそこらに設置してある発光機を作動させ、
 それを、君達の腹に挿入しまぁす。だから、そんな事は、絶対しないで下さい。
 以上、立花賢吾の、追加報告でしたぁ」
ブツッ

【残り46人】

49pop:2004/05/04(火) 22:36 ID:dtZmKN2g
おもしろい!
マイキャラどうなるか楽しみです。基本的に性格悪いキャラだけど

50よこせう:2004/05/04(火) 23:03 ID:I4FMzw0U
No:14 同志発見

静まり返る島内に機械的なアナウンスが流れて早一分近く経った。今、何人、この放送を聞いているのだろうか。
その内の1人、細川竜司(男子)はそのアナウンスの内容に驚愕しながら歩みを進めた。
歩んでいるのは、脱出を試みる同志を発見する事。しかし、その野望もそのアナウンスで脆くも粉砕された。

≪脱出は不可能・・・・・・≫
その言葉が何度も何度も竜司の脳裏に行っては来、行っては来、を繰り返していた。
「脱出は・・・・・・出来ない・・・・・・」
思わず自分でも口ずさんでしまう。それでけに、ショックが大きい。
「脱出は・・・・・・不可・・・・・・」
死者にとり憑かれた祈祷師の様に、何度でも、何度でも・・・・・・。

ふいに、カツッ、とコンクリートに鉄がぶつかった様な音がした。それで、正気に戻った。
音がした方を咄嗟に向いた。手では、ポケットに仕舞い込んであった支給武器の折り畳みナイフを開いて。
建物の近くにあった影が動いたのを、竜司は見逃さなかった。
そして、自分が、コンクリートの道路のど真ん中に、無防備な体勢で立っているのに、やっと気付いた。
急いで、建物の陰に隠れた。そして、その影に声を掛けた。
「誰だ?俺は闘う気は無い。話し合おう。さあ、出て来てくれ!」
影は少し身体を動かすと、建物の陰からひょっこり頭だけが見えた。
竜司は、それが誰なのか一発で分かった。卯月由香(女子)。
影は、ひょっこり身体を出した。相手も、こちらが誰かわかったらしい。
「細川君・・・・・・!」
けれど、竜司だと分かると、何の警戒心も躊躇いも無く、歩み寄って来た。
竜司が口を開く。
「卯月・・・・・・一緒に・・・・・・脱出しよう・・・」
由香は、少し戸惑った。下を向いた。しかし、上を向き、とびきりの笑顔で笑って見せた。
「いいよ・・・・・・」

【残り46人】

51よこせう:2004/05/05(水) 10:46 ID:GhImhppA
No:15 脱出談話

細川竜司(男子)と卯月由香(女子)、はネオン灯が派手に光り輝く繁華街の、狭い横道を抜けて行った。
そこは、正面道の派手さとは全くの正反対の薄暗い街路路だった。
丁度、そこにはコンクリートが敷いてあった。そこに、2人並んで腰掛けた。
久しぶりの休息。お互い、分校からここまで走りっぱなしだった。それだけに、この休息の時間はお互いにとても重要な時間となる。
暫く、お互い気まずい雰囲気で沈黙を通していたが、その重圧に耐えられない竜司が口を開く。
「なぁ、俺達、どうやって脱出しようか・・・・・・」
由香は下を向かせていた顔を竜司の方に向けて、また、下を向いた。
また竜司。
「なあってばよ!」
それで、由香はびくっとした様に(実際驚いたのだが)、竜司の方を素早く向いた。
「えっ!?」
竜司は頭を掻き毟った。
「聞いて無かったのかよぉ」
それで、由香は面目そうに、頭を下げた。「ごめん!ごめん!」
「・・・・・・で、何?」


「あっ、どういう風に脱出するかって事だよね。だから、今度はちゃんと聞いてるってば。
 ねぇ!」
竜司はやれやれといった風に、顔を上げた。
「ん、まぁね。それを今から考えないと。このままじゃ、やばいよ何とかしないと」
由香はまた下を向いた。それから、慌てて竜司の方を向いて、付け加えた。
「あっ、大丈夫。私、考える時は下を向くの。決して、聞き忘れじゃないからね!」
「わかってるよ。それは俺にもわかるから、さぁ、脱出の方法を考えよう」
一瞬、戸惑った由香。けどすぐに「うん」、とOKの合図。

その後は、2人乱雑な討論の言い合い。普段はあまり喋らない由香も、今日は喋りまくった。
討論では負けじと、竜司も反論の嵐。まさか、こんなに討論が盛んになるとは、お互い想っても無かった。
あまりに討論に熱中しすぎて、2人は忍び寄る影に気付く訳が無かった。

パシュン、と音がした。その次の瞬間、竜司のこめかみに何かがかすって行った。
びくっ、としてこめかみに手を当ててみた。
―――流血。
「隠れろ!」
討論の最中、自分の意見を先程から連発していた由香は、いきなり邪魔をされて、
「な、何?」と呟いた。けど、それも竜司の一喝で消えた。
「早く!」
その一言で由香は一目散に、コンクリートの陰に隠れた。その後、竜司も陰に隠れた。
勇気を持って陰から自分の頭を陰から出した。
そこには、拳銃を持った男が立っていた。
大原克己。そして、微かに笑うと、また、発砲してきた。
ちなみに、竜司の手持ちは、ナイフ。

【残り46人】

52瞬坊:2004/05/05(水) 18:48 ID:ktxrHAdU
今思うとバトロワってすげぇ金かかってるよな。
島一つまるまる買ったり銃器や日本刀を人数分そろえたり・・・
それら全て税金でやってるとしたら、とんでもねぇ額だな。しかも毎年やってるし。
そこら辺考えるとこの国は国民から相当税金絞り取ってそうだ。

53フック:2004/05/05(水) 21:10 ID:hDVvfIE6
>瞬坊さん
確かにそうですね、つまり生徒が普段何か買う時に出してる消費税で
自分達を殺し合わせる武器を購入しているってことですよね(極端に言うと)。
あと島は買わないで没収してるんじゃないですか、汚い政府のコトだし。

54よこせう:2004/05/05(水) 21:42 ID:voDsS91c
popさん>遅れました(汗)
     おもしろいと言って頂けて何よりです。これからもよろしくです。

瞬坊さん>金はかかりますね。それを、国民の血税で賄ってるって事ですよね。

フックさん>自分もそう思いますね。島まで買ってたら凄い金ですよ。

55よこせう:2004/05/06(木) 17:47 ID:cTxgDJac
No:16 鬼ごっこ

静まり返る繁華街の路地裏に、一発の銃声が響いた。
大原克己(男子)。
彼は、手に持つコルトパイソンを、何やらお互い向かい合って討論(?)している二人組に一発お見舞いした。
しかし、それは虚しく、男のこめかみをかすっていっただけであった。
その危うく一命を取り留めた細川竜司(男子)は、横にいる少女、卯月由香(女子)と逃げ出した。
克己は、当然の如く、その逃げ惑う2人組みを追いかけた。―――発砲しながら。


細川竜司(男子)と卯月由香(女子)は、互いに逃げ惑った。全速力で走る。
しかし、50m走7秒前半の竜司と、9秒前半の由香が全速力で走ると、間が出来てしまう。
それを考えて、竜司はスピードを抑えて、由香のスピードに付き合った。
けど、後ろからは猛然と大原克己(男子)が追いかけて来る。
竜司は想い出した。大原克己の50m走の記録会を。確か、6,7。
自分より速い。それで、後ろを向いて仰天した。
先程まで7、80mの差があったのに、既にもう50m。それを見て、竜司は由香の手を引っ張った。
由香は竜司の背の高い顔を見た。
「ちょっ、何!?」
答える間も与えずに、そのまま竜司は全速力で走った。由香は脚をどたばたさせながら、何とかくっ付いて来る。
「うわ、ちょっと、うわわ!」
そのお陰か、はたまた克己がコルトパイソンの弾薬を詰め直しているかのせいで、差が開いた。

(よし、このまま一気にバックれてやるぜ!)
その考えが甘かった。克己は、パイソンの弾薬を詰め替えると、物凄いスピードで追いかけてきた。
竜司は、もう完全に撒いたと思った。それで、スピードを緩めた。
それも、命取り。
手を膝に付け、ぜぇぜぇと苦しそうに息をする。けど、もっと辛いのは、必死で付いてきた由香。
お互い今にも倒れそうな位、疲弊していた。こんなに速く走った事はない。
余裕の表情で、後ろを向いた。後ろの光景を見て、竜司は眼を見開いた。
追いかけてきている。しかも、さっきより全然速い。
竜司は、座っている由香の手を取り、またもや全速力で走った。
電柱の上では、烏がその鬼ごっこをみてカーカーと笑っていた。

【残り46人】

56よこせう:2004/05/07(金) 22:25 ID:KHQAVtM2
No:17 一目散

「卯月!もっと速く!克己が・・・来てる!」
細川竜司(男子)、は今にもぶっ倒れそうな卯月由香(女子)の手を取って、後ろから猛然と追いかけて来る、
大原克己(男子)の魔手から逃れようと必死だった。
差をつけてもつけても追い付いてくる。何なんだこいつは。こんなに執念深いのか、それとも、負けず嫌いなのか。
どっちでもよかった。とにかく相手は拳銃を持っている。逃げなければ銃殺。地獄or天国。そんなもの、天国の方が良い。
だから、走る。今ここに、プールとゴムボートがあったら、迷わずゴムボートの上で昼寝でもしているだろう。
現実は違う。今にも死にそうに、鈍足の女子というお荷物と一緒に、走る。それも、物凄い勢いで。
それでも、竜司は決して由香を置いて行こうとはしない。
ホント、俺ってA型だよなぁ。何と言うか、優しすぎると言うか。御人好しと言うか。

だが、もう限界だった。スピードが徐々に落ちて行くに連れて、追跡者、克己はスピードをどんどん上げて行く。
もう、十分頑張ったじゃないか。もう、ここらで倒れてもいいんじゃないのか、竜司。
女子を見放さずにここまで走ったのはたいしたもんだよ。ここで逝っても、誰も文句は言わない。
横にいる女子の寿命を伸ばしたという事で、英雄、英雄。ハイハイ、頑張りました、丸、っと。

後ろから追いかけて来る克己を無視して、その場に立ち止まった。そして、膝に手を付き、苦しく息をした。
もう駄目だ。今にも吐きそうだ。女子が横にいるのに、ウッ、みっともねぇ・・・様ァねぇな・・・。
横にいる由香が、心配そうに声を掛ける。
「大丈夫・・・っていうか、後ろから・・・・・・」
女ってのは、以外と丈夫なんだな。俺がリードして死にそうになってるってのに、こいつはピンピンしてる・・・。
「これ・・・・・・・・・」
由香はディパック(まだ持ってたのか。荷物になるぞ)から赤い筒を取り出した。
それに見覚えがあった竜司は、それを由香の手からひったくった。
【発煙筒】
「お前なぁ、何でこんな物先に出さねぇんだよ!ったくよ・・・・・・」
その発煙筒の蓋を開けた。中からしゅーしゅーと不気味な音を立てて、真っ白な煙が立ち込めてきた。
「走れ!」
2人は、今度は手を繋がずに、別々に全力で走った。当然、克己も喰らいついてくる。
走りながら、竜司は後ろを向いた。たっぷり40m。よし、こんだけあれば・・・。
その発煙筒を後ろに投げた。その衝撃で、筒の中に入っていた煙が全て吐き出された。
一気に煙が狭い街路路に充満した。その隙に、一気に横へ曲がった。
そして、一目散に逃げ出した。


「ハァ・・・ハァ・・・」
どれだけ走ったろうか。もうわからない。けれど、追跡者は撒いた筈だ。
それを確認すると、竜司は一気にコンクリートの上に横たわった。それで、改めて大きく息を吸った。
久々の休息。由香は、コンクリートのわずかに浮き出ている所に腰を下ろした。
「何とか、撒いたな・・・・・・」
息も絶え絶え、やっと喋る事が出来る様になった。
「うん・・・・・・」由香は軽く頷くと横たわった。
こうして、長い長い鬼ごっこに終止符が打たれた。

【残り46人】

57よこせう:2004/05/07(金) 22:31 ID:KHQAVtM2
改めて自分の文章力の無さに堕落(泣)。

58瞬坊:2004/05/08(土) 00:03 ID:Yuo1jwGQ
そうか?上手いと思うけどな。

ところで「「BR法改定、その一、生徒はまず、30人になるまで、無人島で殺し合いをする!」
ざわめきたった。生徒の一部が、驚きの声をあげる。
「その二、生徒は、20人になったら、今度は一般住民が交差する、東京、23区でプログラムを実行する!」
」って部分なんだがなんかおかしくないか?

59よこせう:2004/05/08(土) 13:40 ID:7QBc5uCw
瞬坊さん>本作としては、無人島で、生徒だけで行う殺人と、     
     一般住民がいるところで、どの様にプログラムを続けるのか、
     つまり、躊躇や、お構い無しにプログラムを遂行するのかってのを、
     データとして、それを集める為のBR法改定ということになっております。
     
     わかりにくくてすいません

60暇人 </b><font color=#FF0000>(PsvSSBdk)</font><b>:2004/05/08(土) 15:44 ID:74EZNHSc
横レス申し訳ないですけど、瞬坊さんが言いたいのは、「30人になるまで殺し合いをする」というのと、
「その後20人になったら会場を変える」という部分、つまり30人から20人になるまでの間はどうするか、という事が聞きたいのではないでしょうか。

61よこせう:2004/05/08(土) 22:13 ID:SRyJeaVM
暇人さん&瞬坊さん>あぁ、そういう事ですか(汗)
          まぁ、特に意味はありませんけど、10人区切りで進行すると
          いう事で。

62よこせう:2004/05/08(土) 23:00 ID:StPCe44Y
No18:捕獲、しかし

ようやく時差ぼけにも慣れて来た。昨日、深夜番組を凝視していたせいか、眼が赤い。
学生服のポケットから小さな手鏡を取り出した。
これも、女子、女子、と周りから囃し立てられる理由の一つだ。

藤沢雅(男子)は、反対のポケットに忍ばせておいた、二連発式デリンジャーを取り出した。
本で見た事がある。一般的にはシルバーだが、雅の手にしているのは、真っ黒な、輝きの無い黒。
雅的にも、この黒は、自分には似合わない。
輝きの無い色なんて信じられない。なんだよ、何事もあのシルバーの様な人生の方が、良いじゃねぇかよ。
それを、今だ理解しない細川竜司(男子)とかは、ホントにどうかしてるよな。

言いたい愚痴は溢したが、実際、デリンジャーなら使い方は、わかる。
付属の薄っぺらい紙一枚の説明書。説明書ってのはな、もっと本の様な・・・・・・。
いや、いい。こんな事を考えてもしょうがない。
どうせ、知っているのだから。
しかし、威力はない。一発撃って、弾を込めてる最中にズドンだ。つまり、これは最初の一発、
どれだけ正確に致命傷を与えられるかが、鍵だ。
まぁ、不意打ちを喰らわせて、相手の武器を奪うというのが、先決だ。
このちっぽけなデリンジャーじゃ、マシンガンの相手には到底、正面からぶつかると勝てない。
要は、とにかくこのデリンジャーでも仕留められる様な人間を探さなくてはならない。
まぁ、その為にわざわざ走ってるんだけど。

それでも、見つけた。後ろ姿の男。木下聖夜(男子)を。
おやおや、いつもは冷静な彼も、このゲームに関しては全くの別物だったってことね。
はいはい、じゃあ、デリンジャーの錆と化して下さい。さよなら、っと。
聖夜に向けて銃をぶちかました。しかし、距離が遠すぎるせいで、弾は聖夜の背中の真横を通り過ぎて行った。
軽く舌打ちをする。その瞬間、茂みに身を隠した。
聖夜がきつい目付きでこちらを睨む。そして、言った。
「誰だ・・・・・・?」
このまま、隠れていても埒があかない。どうせなら・・・・・・、弾を素早く込めた。
そして、それを構えたまま茂みから立ち上がった。
「手を上げろ。さもなければ撃つ」
そう言って、聖夜を睨み付けた。聖夜は手を挙げ、全く動じずに、言った。
「おやおや、乱暴ですねぇ。そんな物を振り回して。女の癖にねぇ」
それで、完全に脳内を怒りが支配した。
「貴様、その辺にしておけ、撃つぞ」
そのとき、聖夜がいきなり笑い出した。クックックッ、と。
「何がおかしい!」
デリンジャーの引き金に指を掛けた。
「いやね、デリンジャーとは奇遇な・・・・・・・・・。
 君の武器も、デリンジャー。
 ―――俺もね、デリンジャーなんだよ・・・・・・」
そう言うと、挙げていた右手の甲、から一本の糸が繋がっているのがわかった。
その糸の先――――デリンジャー。
聖夜は手を回すと、その糸の先にあったデリンジャーがすっぽり自分の手に納まった。
「デリンジャーの腕前は・・・まだまだだな」
2人の距離はもう眼と鼻の先であった。

【残り46人】

63よこせう:2004/05/09(日) 00:33 ID:Z452e1KU
No19:意表突き

躊躇わずに、藤沢雅(男子)は、デリンジャーの引き金を引いた。
それと、同時に、いや、それより早く、木下聖夜(男子)も、デリンジャーの引き金を引いた。
ぱん、と独特な高い音が2つ響いた。

その次の瞬間、雅が苦しそうにうめいた。対する聖夜、は、不気味に笑うと、うめく雅に蹴りを喰らわせた。
「ぐっ」
と雅が更に苦しくうめいた。その一撃で、地面に倒れ伏した。
横たわるまま、雅が聖夜を睨んだ。
――――畜生・・・、俺は・・・こんな奴に・・・負ける・・・のか?

嫌だ。死にたくない。いや、死にたくないんじゃない。こいつに殺されたくない。
ぶっ殺してやる。その鼻っ柱にこの弾丸を・・・・・・。
更に蹴りが来た。蹴りは、雅の延髄に直撃した。世に言う、延髄蹴り。
その一発で、完全に思考が飛んだ。
もう、何を考えているのか自分でもわからない。けど、これだけはわかる。
自分は、恥や、躊躇もない悪人に殺されそうになっている。それだけ。

聖夜がポケットから、バタフライナイフ(いつも学校でブラ付かせている。目障りでしょうがない)を取り出した。
そのバタフライナイフの先端を、雅の首に向けた。
そして、また笑うと、冷めた様子でこう言った。
「グッバイ、おかま野郎」
一気にバタフライナイフを首に突っ込ませた。けど、その刃が、止まった。
刃の先を辿って行った。そこには、雅の真っ白な手が、そのバタフライナイフを握っていた。
「ここで、終れねぇんだよ。ここでな・・・・・・」
聖夜が、左手でナイフを握る雅の右手を掴んだ。その途端、雅が聖夜を睨んだ。
「汚い手で俺に触るな」
一気に、身体を回して、聖夜の脚を蹴飛ばした。その一撃で、聖夜がよろめいた。
その瞬間、腹に激痛を感じながらも、立ち上がり、背を向けて逃げ出した。
一歩、又一歩走る度に、銃創が痛む。
意識が飛びそうだ。あまりの痛みに顔が歪む。だが、ここで終れない。ここまで来た。
こんだけやって、死ぬわけにはいかない。
走りながらデリンジャーの弾を詰め替える。手が震えて上手く操作できない。
やっとの思いで、二発詰められた。すぐさま後ろを振り向いた。
後ろからは聖夜が追いかけてきた。メチャメチャ脚が速いじゃねぇかよ。おいおい・・・どうするよ・・・。
こちとら今にも激痛で意識が飛びそうってのによぉ。
腕を後ろに回した。脇がぐぐっと開いて、またもや激痛が襲い掛かって来た。
それで撃った。しかし、そんな体勢で撃っても、当たる訳が無い。
そのかわり、後ろから、ぱん、と音がした。直後、自分の背中に激痛が来た。
その一発で前にヘッドスライディングした。背中に直撃した弾丸のせいで動けない。
逃げようと思っても逃げられない。手が、脚が、脳が、動かない。
今にも消えそうな意識の中で、眼の前に聖夜が現れた。にたりと笑うと、デリンジャーを構えた。
雅は眼を瞑った。

一発の銃声が、木霊した。

藤沢雅(男子)死亡
【残り45人】

64よこせう:2004/05/09(日) 20:03 ID:ckHgbRx.
No:20 束の間の食事

グァーグァーと、不気味に烏の鳴き声が、広い広い島内の隅、市街地に響いた。
立ち尽くす建物の数々。
デパート、電器屋、レストラン、そして、その内の一つ、パン屋。
その狭い店内に、1人の男が居た。
彼の名は、風祭達樹(男子)は、その店頭に並べられてあった数多のパンを、適当に手に取り、
それを真っ直ぐ、自らの乾燥しきった口へと運んだ。
その後、ディパックから全く手のつけていないペットボトルを取り出すと、それも口へ持っていった。
乾ききった唇が、潤いを取り戻して行く。

こんなに潤いが足りなかったのも、全て、あいつのお陰だ。
大原克己(男子)。
あいつが急襲してきたせいで、逃げる事を余儀なくされた。それに、弾丸もかなり減った。
俺もまだまだだな―――。

置いてあった椅子に、堂々と腰掛けた。パイプイスがギギッと撓る。
右ポケットに詰めておいた44マグナムを取り出した。銃口が、まだ、僅かに熱い。
あの激戦(まぁ、自分があまりにもみっともない泥仕合)の後がここにはっきりと残っている。
左ポケットに手を突っ込んだ。じゃら、とバラ弾のぶつかり合う音が聞こえる。
それを、取り出した。
もう、瞬時に数えられるほどの弾数。こんなんで、俺は優勝できるのだろうか、いや、脱出だった。

考えていても仕様が無いので、そのバラ弾を44マグナムに詰め込んだ。
それで、少々危険だが、いつでも撃てるように、レバーを引いておいた。
それを、また、元の右ポケットに突っ込んだ。

大きなガラス越しに外を見た。快晴。こんなに陽気で、それに時差ぼけの途中だと、
なんだか眠くなって来る。まぁ、寝たらそこで終わりに等しい。
ウチのクラスは49人という珍しい大所帯だ。今、何人死んだか知んねぇけど、
まぁ、この島に沢山のハンターが居るってのだけは確かだが。
ってことは、こんな所で呑気に座ってる場合じゃねぇな。
そろそろ、出かけるか。

パイプイスから立ち上がった。またもや、ギギッと音がした。
そして、ディパックを肩に提げると、店内を出た。
自動ドアが、殆ど無音で不気味に開いた。
外への第一歩を踏み出したそのとき、右手の方から、一発の銃声が響いた。
そして、達樹の眼の前を、物凄い速さで、ある物が通過していった。言うまでもなく、弾丸。
右を向いた。そこには、拳銃を構えた霧雨時耶(男子)が居た。
時耶が笑った。それに釣られて、達樹も笑った。

「おいおい、またかよ・・・・・・」
達樹は、建物の陰に飛び込んだ。直後、達樹の足元のコンクリートが弾け飛んだ。

【残り45人】

65よこせう:2004/05/09(日) 22:45 ID:IneyNemQ
No:21 またもや

「チッ!」
達樹が舌打ちした。
まさか、さっき、大原克己(男子)と闘ったばかりなのに、もう、新たな敵に出くわすとはな・・・。
ついてねぇなぁ。確か、昨日の深夜占いでは、俺の星座、一位だったんだけどなぁ。
ホント、ついてねぇよ。

咄嗟に、物陰に身を隠した。相手、霧雨時耶(男子)は、容赦なく拳銃を撃ってくる。
こちらもそうしたい所だ。けど、対克己の時に、あまりにも多くの弾丸を使ってしまった。
その反省として、今は来るべきチャンスオンリーを狙えばいい。・・・そうだろ、克己。

隠れている建物の破片が、銃弾で剥がれ落ちる。
もう、時耶は結構の弾を消費しただろう。達樹は、その時耶の持っている拳銃の見覚えがあった。
デザートイーグル。
シルバーボディは、達樹は憧れていた。まぁ、こっちは44マグナム。威力は同等。
けど、そっちの方が装弾数が多い。
しかし、それも七発のみ。さぁ、もう、六発撃ったろ?あと、一発。撃てよ。
その隙に、てめぇの脳天に俺が風穴を空けてやるぜ。
最後の一発を撃った。
そして、デザートイーグルがホールドオープンした。ここぞとばかりに、達樹が飛び出た。
時耶に向けて、ぱん、ぱん、と二発連続して撃った。
しかし、二発連続は、流石に反動が強すぎて、全然、変な所へ弾が飛んでいった。
「畜生!」
また、舌打ちをした。直後、時耶が素早くマガジンを取り替えた。
マガジンを詰め込んだ瞬間、達樹は撃った。しかし、時耶も、マガジンをはめた瞬間、撃った。



―――殆ど同時に聞こえた2つの銃声。一方は、乾いた様な音。
もう片方は、爆竹が爆発した様な派手な音。

達樹は、自分に弾が当たってないのを確認すると、また、情けないが、後ろを向いて駆け出した。
44の中には、あと3発しか入ってない。対する時耶は、あと六発。
圧倒的不利。だから、撤退。


走りながら思った。無様だな、俺。何でこんなみっともねぇんだろな。
昔は逃げる事は死ぬ事並に嫌だったのに。今では、こんなにクールに・・・、なっちまった。

【残り45人】

66よこせう:2004/05/11(火) 16:23 ID:LPREdPK2
今まで、Noの次に、タイトルを書いてましたけど、
何か、無い方が良いよ、とか他の人に言われましたので、止めました。

67よこせう:2004/05/11(火) 16:51 ID:F7HPnS/k
No:22

先程、ディパックから取り出したMP5クルツを眺めながら、久保宗鑑(男子)は、笑った。
「ぷぷっ、俺ってラッキー!マシンガン。素晴らしいィ!これならどんな奴でもイチコロだぜぃ!」
そう、はしゃいだ。
弾倉は6つ。十分すぎる数だ。それに、相手の武器も奪えば、より強くなる。
実は、このプログラムでもこのアイテムは、とてもラッキーなものだった。
そう考えると、久保宗鑑の言ったとおり、「俺ってラッキー」。

しかし、肝心の簡易説明書らしき物が見当たらなかった。
それもその筈。簡易説明書は、宗鑑がはしゃいでMP5を取り出したときに、側の茂みに落ちてしまったのだから。
その後、人影の少ない、こんな所に避難した。
実際、避難の必要は無かった。宗鑑が、このSMGの使い方を熟知していればの話だが。

だが、銃火器には無縁の宗鑑がこれを使いこなすには、少し無理があった。
MP5クルツは、MP5の種類でも最小の部類に入るが、重さは、他のシリーズと殆ど変わらない。
それだけに、格好良く、片手で撃とうとした宗鑑は、MP5クルツを持って驚いた。
「重い・・・・・・・・・」
片手で持つには、流石に無理があった。右肘に衝撃が走った。
「ツッ!」
と小さく叫んで、MP5クルツをどさりとディパックの上に落とした。
痺れる右腕を左手でさすった。右腕を大きく5回、回した。少し、痺れが引いた。
今度は、失敗しまいと、両手で持った。それでも、十分重い。

こんなので狙いをつけれるのだろうか。しかも、一つの弾倉に入る弾は意外と少ない。
だから、無駄に撃ち、弾倉を取り換える暇を作ると、もう完全に狙われる。
つまり、まず最初に、こちらに気付いていない相手をさがさなくてはいけない。
それに、チャンスは一度切り。それを見逃すと、反動の少ない拳銃の方が有利だ。


それでも、見つけた。ディパックと5個の弾倉(一個はもうはめてある。当たり前だが)と、
本体を何とか持ちながら、見つけた。
黒井絢女(女子)を。絢女は、宗鑑が手間取りながら狙っている事は勿論気付かず、
石段の上に腰掛けていた。

宗鑑は、MP5クルツを構えた。そして、その銃口を、何とか絢女の胸に向けた。
「討ち取ったり!」
引き金を絞った。

【残り45人】

68よこせう:2004/05/12(水) 18:24 ID:x6ocGLdw
No:23

「討ち取ったり!」
久保宗鑑は、妙に高い声で、そう叫んだ。直後、手にしていたMP5クルツの引き金を絞った。
ぱぱぱ、と耳をつんざく様な音がし、電線に止まっていたスズメのカップルが、声を立てて逃げ惑った。
引き金を絞った瞬間、思いも寄らぬ強い反動で、完全に宗鑑は後ろにつんのめった。
銃口が上を向き、銃口から発射された幾多の弾丸は、標的、黒井絢女のかなり上を通り過ぎて行った。
黒井絢女の後ろにあったビルのガラスが割れ、下に落ちていった。

その音を聞いて、気付かない訳が無い。絢女は、すぐさま、物陰に駆け込んだ。
宗鑑が舌打ちをする。絢女が入っていった建物の反対側、に銃口を向けた。
「さぁさぁ、迷えし子羊よ、天に召され給え・・・・・・・・・」
その考えとは裏腹に、絢女は入っていった方向から脱出した。
しかし、それに宗鑑は気付かない。絢女の小さな手に、巨大なナイフが握られているのも知らずに。

一歩、また一歩と、宗鑑に忍び寄って来た。完全に建物を凝視している宗鑑は、迫り来る影に気付かなかった。
慎重に、慎重に、宗鑑の背後を取ろうとした。喉元を刺せば、じわじわと死ぬ。
問題なのは、その刺した後、宗鑑が最後の抵抗をしたときに、あの手に持っているマシンガンでやられないかが心配だ。

もう、宗鑑は10m先。ここまで、じっくりと音を立てずに忍び歩いてきた。
手に持っているナイフを見た。美しい刃。思わず吸い込まれそうなくらい、綺麗なシルバー。

慎重にここまで歩いてきたが、惜しくも、それはそこで終った。
落ちていた枝。
踏んだ仕舞った。
ぱきっ、という普段なら気に止めない音だが、このBRという殺人ゲームでは、その音が命取りになる。
実際、このほんのわずかな音が、絢女の命を危機に晒した。

音がして、宗鑑がびくりと物凄い速さで振り向いた。そこには、無防備な絢女。
「そこかぁー!」
宗鑑は叫ぶと、一気にMP5クルツを撃った。絢女はその場に身を伏せた。
また何発かは、反動の強さで、絢女の頭上を飛行していった、しかし、今は危ない。
立ち上がると、一気に宗鑑の眼の前に来た。そして、ナイフを振りかざした。
そのとき、ぱぱぱとまた音がした。音がして、絢女が後ろに飛ばされた。
宗鑑は、そのとき怖くて目を瞑っていたのだけれど、相手が攻撃してこないとわかり、恐る恐る目を開けた。
そこには、腹部に幾つ物風穴を空けた絢女の死体。手には巨大なナイフが握られている。
宗鑑は、あまりの出来事に驚き、その場にへたり込んだ。そして、重いMP5クルツを置くと、
絢女の所まで歩み寄って来た。そして、眼についたナイフを、絢女の割と綺麗な手から奪おうとした。
しかし、ナイフが手から離れてくれない。引っ張っても全然反応が無い。
よく見ると、手首に血管が浮いていた。つまり、まだ力が入っている事。
それを見て仰天した。すぐさま後ろに下がろうとしたが、もう遅かった。
死んだはずの絢女が立ち上がり、手に持っているナイフで宗鑑の額を突き刺した。
宗鑑の頭から、滞り無く血が滴り落ちる。宗鑑は、血だらけの眼で、左、右、を向くとそのまま倒れ落ちた。
そして、もう動く筈が無かった。
絢女は、支給武器の防弾チョッキを拳で軽く叩いた。素晴らしい。あんな至近距離でマシンガンの連射を喰らっても、
全然平気だ。まぁ、護身用のナイフを持参しておいたのが正解だったかも知れないけど。
絢女は落ちているMP5クルツを持ち上げると、素早くその血溜まりから遠ざかっていった。

久保宗鑑(男子)死亡
【残り44人】

69緋音:2004/05/12(水) 18:42 ID:kJDidPi.
おお〜〜Myキャラが勝利&初登場!!嬉しいですね^^
よこせうさんにMyキャラをゆだねて正解でした(o^^)b
今後どうなるか楽しみです♪
Myキャラの運命はいかに!?(笑

70よこせう:2004/05/12(水) 18:49 ID:D0PEGay6
緋音さん>絢女ちゃん勝利しましたね。久保君も良いキャラだったんですけど、
     最初に絢女の実力と言うものを見せつけたかったんで。

71よこせう:2004/05/12(水) 18:57 ID:D0PEGay6
一応、五人毎に死亡リストを載せるつもりです。

立花雄吾(男子)ゲーム開始前、教室で反抗し、兵士に銃殺。
秋宮慧(男子)烏丸遙により、銃殺。
蒼火遠音(女子)脱走失敗、BRXにより死亡
藤沢雅(男子)木下聖夜により銃殺。
久保宗鑑(男子)黒井絢女によりナイフで刺殺

72よこせう:2004/05/13(木) 17:15 ID:5vJj5egU
No24

朝日がさんさんと薄汚いコンクリートの上に注がれた。
殺人とは無縁という浮かれた表情をした猫がひょっこり建造物の陰から現れ過ぎ去っていく。
三杉龍一(男子)は、その光を手で遮ると、ポケットから携帯電話を取り出した。
最新型の携帯電話。誕生日と所属するバスケ部の試合で大活躍したご褒美に買って貰った。
派手に光り輝く液晶画面には「圏外」と映っていた。
試しに時報の番号を押した。ここは日本の間裏側、ブラジルの辺り。聞けなくて当然だった。
そもそも、ここらの携帯電話とは訳が違う。日本はハイテク化が進んでいるが、ブラジルは未だに・・・・・・。
日本企業が進出していれば、万が一使えたかも知れない。
携帯をいじくり、電話帳に辿り着く。そして、上杉千裕(男子)の所にカーソルを合わせた。
実際、上杉千裕とまともに話すのはこの龍一だけかも知れない。「あいつは気難しすぎる」
ピッ、と音がした。画面が一瞬に変わり―――そして、親指で通話ボタンを押した。
トゥルルルルル―――――ガチャ。
誰かが受話器を取った。おっ、以外と通じるんじゃ・・・・・・・・・。
「はいはい、誰ですか、携帯なんてかけたバカモンは」
耳を疑った。受話器を取ったのは、立花だった。そのとき、想い出した。立花が、実の息子を殺した場面を。
その息子、立花雄吾の胸から噴き出た血が、今も龍一の学生服の袖口に付着している。
「ったく携帯は使えませんからね。そこんとこわかっといてね」
早口で言うと、立花は電話を切った。

「畜生!」
龍一は携帯を地面に叩き付けようとした。けど、躊躇い、これを買ってくれた両親を回想した。
今ごろ何をしているのだろうか。政府のお宅訪問で反抗して只の肉の塊と化していないだろうか。
けど、俺は帰る。必ず。このクソゲームから絶対抜け出してやる。絶対、絶対・・・・・・。
だが、生還と簡単に言うけれども、それにはまず仲間が要る。
戦闘、脱出―――には、必ず仲間が要る。俺と同じ考えを持つ仲間と言う者を。それを探さなくては。
龍一は、支給武器のM66を右手に握り締め、弾薬の入った箱を、ポケットに捻じ込み、
走り出した。向う先は民家の建ち並ぶ、島の東部。いわゆる集落。
まず、連中は腹が減ってる。腹が減ってるってことは民家に侵入し、食い物を奪う。
よし、それだ。
目指すはここから離れた集落。だが、看板を見る限り、ここからは6kmも離れている。
おいおい、6kmって言ったら俺の家から学校までの6倍じゃねぇかよ。
部活でも6kmなんて走った事ねぇぞ。っていうか、学生服じゃ重い。それに、銃まで。
M66を右ポケットに移した。途端、学生ズボンの右端がずるりと下がる。
ぶつぶつ言いながら集落へ走り出した。
コンクリートからカツカツという龍一の足音が聞こえる。

【残り44人】

73よこせう:2004/05/14(金) 23:04 ID:X3qSv9o6
No:25

三杉龍一(男子)は、集落へ向う為、かなりのスピードで走っていたが、今やもうスピードは減速しつつある。
前半2kmは体力、後半2kmは気力で走った。
ふと、脇にある看板を見た。【集落↑ 残り2km】
意気消沈し、右手の方にあった石垣に腰を下ろした。直後、ポケットからM66を取り出した。
今、この無防備な時間帯に狙われたら一間の終わりだ。けれど、休まない訳にはいかない。
一度立った。直後、両足ががたがた震え始めた。痙攣している。
それを確認すると、また座った。座っても痙攣が止まらない。何だかみっともねぇな。
まぁ、残り2km。脚を庇いながら再び痙攣が止まらない足を動かした。
試しに走ってみた。脚が言う事を聞かず、今にも転倒しそうだ。
そこを何とか抑えてゆっくり慎重に歩き出した。走るよりはよっぽど楽だ。これで何とか持つ。


人通りが多いと予測し、裏道へ入った。大通りは人が居ない物の、派手が目立っていたが、
裏道はもう何も無かった。文字通り、がらんどう。
曲がりくねる道の為に、只の2kmがとても長く感じる。曲がり曲がり更に曲がる。
それでもやっと集落に近づいて来た。今度はやけに小さい、木造の看板。
【300m先】
よく見れば、もう背伸びをすると見える。集落が。赤い、傾いている屋根が幾つも見える。
ブラジル方面にしては近代的な家が立ち並ぶ集落。思わず感想。
――――もしかしたら俺の家より良いんじゃねぇの?

そして―――着いた。どこまでも建ち並ぶ家々。どの家も新しく、綺麗で、素晴らしい家だ。
まさかこれが日本というこの国の間裏側の国の中学生がマイホームにずかずか土足で駆け上り、
中で鮮血を撒き散らす殺人ゲームをするなんて―――、ほんとついてねぇな。

まず、建物を凝視した。人間が出入った形跡が無いか、それを確認する―――――あった。
建物の扉、いや、ドアと言った方がいいのか、まぁ、扉が開いていた。
そして見える。靴跡が。間違い無い。この大きさ。女子は有り得ない。男子だ。
息を呑む。侵入した痕跡はあるものの、脱出した形跡が無い。ってことは、―――中?
一気に冷や汗が噴出す。M66を握る手に力が入る。
そして、家の中に入った。

静かに、静かに、抜き足、差し足、忍び足、わずかな音でも聞き逃さない。
聞こえた。ガサガサ、というプラスティックの袋を動かす音が聞こえる。
どうやら大広間の方だ。龍一は、またもや抜き足で大広間に慎重に脚を進めた。
覗いた。そこには、冷蔵庫を漁る神谷塁(男子)の姿が。
「神谷ぁ!」
声を出した。神谷塁が身体を震わせ、こちらに向けて銃の銃口を向けた。
そして、その声の主を確認すると、更に驚き。
「三杉・・・・・・・・・」

【残り44人】

74よこせう:2004/05/15(土) 22:23 ID:r82E.xtk
No:26

金城真人(男子)は、腹の虫を抑え切る事が出来ず、無心に身体が集落の方へ向って行った。
腕時計を見た。真人が昨日飯を食ってから既に12時間。
驚いた。飯をこんなに長く食わなかったのは初めてだ。欲求不満。食欲という、不満。
腹が減った――――、食いてぇ、食いてぇ、腹一杯。
飯がある所と言ったらやはり集落しかない。大通りにあったパン屋には、何故か既にもう荒らされた跡があった。
しかも、薄いガラスに刻み込まれた一つの弾痕。
―――身体が震えた。もう殺し合いをやっている。もう、殺人ゲームをおっぱじめている。
俺の居ない所で、俺の見ていない所で、殺し合い。俺の―――

欲求不満という考えが頭に走った。食欲、の他に、殺人欲―――
常人では有り得ない欲求。ある意味、金城真人は常人ではない、つまり、異常人。
要するに、頭がおかしい。狂っている。それで、誰も近づかない。

孤独。
そう、孤独。昔から1人で居る。何でこんなに俺には誰も近付かない?
何?小学三年の時に初めて出来た友達を自分の二階のベランダから誤って落としてしまった時の所為?
そして、その後、大量の血が抜けて軽くなった初めての友達を川に投げ捨てた事でか?
それとも去年、祭に1人に行って、ヤクザの1人にカツアゲされて、所持していた通販で買ったナイフで
そのカツアゲをしたヤクザの胸を突き刺した所為?
何で俺には、友達が居ない?バスケ部に入って、友達が出来ると思った。けど、それは場違いな発想。
誰もこの俺に近付く野郎は居なかった。誰も―――誰も―――・・・、いや、只1人、居た。


住居に侵入した。おかしな事に足跡がある。それも、違うサイズのが2つ。
そして、奥から聞こえる話し声。
高まる鼓動を抑え、左ポケットから、雑貨屋で見つけたそれ、爆竹、を取り出した。
胸ポケットからジッポライター。これも、通販で買った。シルバーボディに大らかに鷲が描かれている。
それ、爆竹に緋を点けた。そして、手を離す。
直後、ぱぱぱぱぱんという大きな音。耳をつんざく様な音。そして、奥から音。
立ち上がり、こちらへ向ってくる音。すかさず、あのヤクザを殺したあのナイフを取り出した。
壁に張り付く。そして、向って来る。こちらへ、ナイフを握る手に力を込めた。

壁から出て来るその一瞬。その一瞬に相手の喉、または額を突き刺す。
全部、全部、コンバット雑誌で知った事だ。そしてこれもまた、彼への恐怖感を一層引き立てる。
足音の大きさが一層増してくる。そして、真人の眼の前に、影が現れた。
背は自分と変わらない。狙うは喉元―――手を止めた。
彼の手を止めた理由、それは、奥から現れたのが、唯一の友達、三杉龍一(男子)だったから。

【残り44人】

75火燵:2004/05/15(土) 22:32 ID:NE2FEZ1Y
おぉ、金城真人w
読む度に話が面白くなってきましたw
僕も今オリバト書くため生徒募集中ですw
よこせうさんを見習って僕も頑張ります!

76よこせう:2004/05/15(土) 22:41 ID:0X54Zh0Q
火燵さん>面白くなってきたと言われて貰えれば幸いで御座います。
     火燵さんもオリバト頑張って下さいね!

77樹vv:2004/05/16(日) 12:30 ID:r2gsy6MQ
こんにちはw杉浦千夏こと樹vvです。だんだんおもしろく
なってきましたね〜(o≧ω≦)oマイキャラがどうなるのか
楽しみです!!!がんばってくださ〜い。

78よこせう:2004/05/16(日) 22:40 ID:Q2mMIO6.
No:27

「金城・・・・・・・・・!」
唐突に出会った2人。互いに相手の名や性格は、百も承知。問題はこの後だ。
「三杉――――」
一瞬、ほんの僅か、何もかもが凍結した様な感じになった。三杉龍一は、口をパクパクさせ、
只、呆然と突っ立っている。それは、金城も同じ。

「あ―――あ―――あぁ・・・・・・」
龍一が何か喋りたそうに口を動かす。その動作を遮る様に金城がナイフを突き付けた。
そして、龍一を一瞬躊躇った後睨むと、冷たくこう言い放った。
「動くな、動いたら刺す」
龍一が一瞬、むっ、とした感じで顎を上げた。その顎を一滴の汗が滴り落ちた。
その汗がフローリングの床にぽとりと落ちた。

「おいおい、何のつもりだ―――」
「喋るな、俺の質問に答えろ」
首を振った。そして、対峙する金城の眼を真っ直ぐ見た。直後、溜めに溜めた息を吐き出した。
「わかったわかった、だからナイフを下げろ」
だが、金城はナイフを下げようとはしなかった。それどころか、それを更に激しく突き立ててくる。
「おい、今お前は俺が腕を上げただけで喉にナイフが突き刺さる。それを承知で言っているのか?」
冷や汗が更にぷつぷつと噴出した。やべぇ、こいつ、完全に戦闘態勢じゃねぇかよ。

そのときだった、どたどたっと足音が聞こえてきたのは。
金城も、龍一もその音がした方を向いた。そこには眼を完全に見開いた神谷塁の姿が―――
表情が硬かった。それもそのはず。先程まで話していた相手が一瞬の隙に人質に。
金城がナイフを龍一の喉に擦りつけた。途端、切り付けた箇所から血が滲む。
その血が、龍一の首筋の汗と合わさり、また、滴り落ちた。
塁が慌てて腰から支給武器、オートマグ3を取り出した。それを、金城に向けた。
「おい、三杉を放せ」
金城が龍一の首に手を回し、自分の盾にした。塁が焦る。
「おい!放せ!」
だが、金城は動じる事も無く、右手でナイフを持ち、左手でポケットから何かを取り出した―――
実は、その取り出した物が、金城の支給武器。グロック26。
それを龍一越しに、塁に向けた。
「じゃあな、死ねよ」
ぱん、ぱん、と連続して音がした。塁の頬を物凄い勢いで弾丸が通り過ぎて行った。
金城が舌打ちをした。―――やはり左手ではコントロールはきかねぇか。
その次の瞬間、金城に掴まれていた龍一が肘で金城の脇腹を強打した。
金城がうめき、一瞬龍一の首から手を放した。
その隙に龍一が金城の元から脱出した。そして、眼の前にある窓ガラスを突き破り、外に逃げた。
塁もそうした。この2、3mの距離では接戦は必至。時が来るまで血を流したくはない。
金城の猛り声が家の中から聞こえる。それにはなるべく耳を傾けず、人気の無い所へと急いだ。

【残り44人】

79よこせう:2004/05/17(月) 22:15 ID:QNzKrbpc
樹vvさん>面白いと言って頂けて光栄です。
      これからも更新し続けるので、応援宜しくお願いします。

80よこせう:2004/05/17(月) 22:49 ID:PfLReLmY
No:28

ふぅー、ふぅー、っとある男の苦痛の声が、島内の森に木霊した。
男、春田清史(男子)は、汗だくのシャツを脱ぎ捨て、土一面の自然に身を倒した。
「痛ッ!」
枝や石等の鋭い角を持つ小物が春田清史を休ませようとはしない。
「クソッ!」
清史はイラ立ち、足で地面の枝、石を払い飛ばした。その下に、真っ茶色の地面が顔を出した。
そこに、どかりと腰を下ろした。今度は痛くない。むしろ、土が柔かく自分の下半身を受け止める。
そのまま、慎重に、枝や小石に気を付けて、頭を地面にくっ付けた。
教室から出て、一目散に林道に駆け込み、そして森に入った。
ブラジルの森に熊等は居ないのだろうか?もっとも、プログラム中に熊が暴れたと来れば大問題だ。
まぁ、そんな事は無い様に事前に全て見回り、邪魔な物があれば直ぐ殺したのだろう。
――――どうでもいいが。

何やら落ち着かない。それもその筈。まだ、あれ、を着けていたのか。道理で重い筈だ。
あれ、とは巨大なディパックに入っていたUZIサブマシンガン。
本や映画で見た事がある。サブマシンガンの類では小型の方だが、これでも一端のサブマシンガン。
何キロあるのだろうか。スリングベルトが無ければこんな物とても持っては居られない。
UZIを肩から外した。急に、身体が軽くなった。

だが、このUZIでとうとうクラスのクソバカ供をぶち殺せる。あの連中を蜂の巣にできる。
ふふっ、っと口から自然に笑いが零れた。
思えばこの中学三年間は良い事は一つも無かった。

―――一回、ほんの一回。嘘を吐いただけ。そう、ほんの、小学2年の時に嘘を吐いただけ。
【今日の仮面ライダー2時間スペシャルなんだよー】
只注目されたかっただけ。けど、小学二年にその嘘は大きく期待を裏切るものにあった。
たった一回。その次の日―――【ウソツキキヨシ】という呼び方。
その次の日から俺の名前は【ウソツキキヨシ】。そして今も。昨日も、そう呼ばれた。
小学二年に吐いた嘘。一気にクラスの皆に伝わった。そして、中学卒業後。
自分を【ウソツキキヨシ】といじめた奴が他のクラスの奴にそれを言った。そして広まり―――
小学二年以来、俺は【ウソツキキヨシ】としか呼ばれなくなった。

よってたかって俺を【ウソツキキヨシ】と呼び、いじめてきた連中―――
とうとう―――とうとう―――・・・・・・。

立ち上がった。UZIとディパックを抱えて。俺を【ウソツキキヨシ】と呼んだ連中を殺しに。
さぁ、悪魔のゲームが開始されるぜ。怯え、逃げ惑えクソ供め。

その行く手を阻むかのように、立ち上がった瞬間、眼の前に女が居た。
女は塩野香織(女子)。塩野香織は妖しげな蟲惑的な笑みを漏らすと、清史に近付いて来た。

【残り44人】

81よこせう:2004/05/18(火) 23:08 ID:qqFEzGhI
No:29

春田清史(男子)の頭上で小鳥のさえずりが聞こえた。一瞬、上を向いたが、直ぐに前に向き直した。
清史はUZIを構えた。そして、銃口を妖しげに笑う塩野香織(女子)に向けた。
「手を上げろ。武器が無い事を証明しろ」
冷たくそう言い放つと、UZIのセーフティーコックをフルオートに持って行った。
塩野香織は一瞬(ほんとに、ほんの一瞬)、蒼い顔をしたが、直ぐに両手を挙げた。
「スカートのポケットにも何か入ってないか?入っていたら直ぐに出せ。撃つぞ」
笑っていただけだった香織がようやく口を開いた。

「ねぇ、もういいじゃない。私、闘いたくないの。だから―――見逃して」
清史は香織の取った行動に戸惑った。
――――何?見逃して?今?敵が?眼の前に?居るのに?見逃して?何を―――
「ねぇ」
香織の呼びかけに、びくっと驚いた。それを見て香織がくすりと笑う。
「何?びびってんの?女の私に?ふふっ、面白いわね」

―――――笑っている、この俺を。畜生、女の癖に、クソ、死ね
「これ以上俺を侮辱するのは止めろ。お前の命に関わる」
なるべく動揺を悟られない為に、強気に、冷たく言った。香織は怖がる所か逆に必死に笑いを堪えている様だ。
「馬鹿?何、生きがってんのよ」
血が昇った。散々皆俺を馬鹿にしてきた。それを、今、このマシンガンで殺せる。
なのに?今、俺は侮辱されている。しかも、女に―――――畜生!

引き金に指を突っ込んだ。もう、いつでも撃てる。今、このクソ生意気な尼を蜂の巣にできる。
それは、俺だけ。もう、この指を軽く引くだけで―――引くだけで―――
聞こえた。
「どうしたの?撃たないの?」

「あぁぁぁぁぁぁっ!」
絶叫した。そして、手に持つUZIをクソ生意気な塩野香織の胸の辺りを狙い撃った。
ぱぱぱ、と耳をつんざく様なけたたましい音がし、それと同時に清史の身体が後ろの木に激突した。
物凄い反動、というか物凄い痛み。ぎゃぁっ!っと叫び声を上げると、後頭部を押さえ、のた打ち回った。
丁度枝が生えていた所に清史の後頭部が直撃したのだ。苦痛に身体をくの字に曲げて痛んだ。
涙目になって痛みを我慢する事ができなかった。塩野香織が居る事も忘れて痛みに身体をうねらせた。

UZIの弾丸は、当然当たる筈が無く、塩野香織の立っている場所の丁度上を通って行った。
香織は弾丸が当たってないのを確認すると、スカートのポケットに忍ばせていたヌンチャクで清史の額を強打した。
清史が更に悶え苦しんだ。額から流れる血。香織は容赦なく、弱った清史の頭部をヌンチャクで暫く強打していた。

息も辛くなって来る位叩いていた。気付けば、既にもう、息はしていなく、額から流れる血で、
もう誰の顔か確認する事が出来なかった。
香織は清史の顔面を最後に渾身の力で強打すると、UZIを拾い上げ、素早く立ち去った。
暫くすると、何所からとも無くカラスが飛んで来て、その死体を嘴で突付き始めた。

春田清史(男子)死亡
【残り43人】

82ペンギン:2004/05/19(水) 00:57 ID:lzGIaI6k
塩野香織ものすごい度胸ですねw 三杉と神谷の会話も気になります。まだまだ序盤ですががんばってください。

83よこせう:2004/05/19(水) 22:17 ID:anbXTwCU
No:30

時刻が着々と進んで行った。何時の間にか雀の鳴き声も聴こえなくなり、逆にどんどん暑くなって行った。
杉原朱美(女子)は、腕時計に目をやった。
もう午前12時前。腹が悲鳴を上げている。――――喰わせろ、喰わせろ。
しかしこの熱さは何とかならない物なのか。流石ブラジル付近。暑いの何の。ほんと、汗だく。
首筋を抑える。脂っこい汗が指先にくっつく。鼻も触ってみた。やはり、ヌルッとし、急いでポケットから脂取り紙を取り出した。
それを急いで鼻や首、額に押し付ける。どちらかというと濃い化粧がそれと同時に剥がれ落ちる。
更に手鏡を取り出した。脂取り紙を押し付けた箇所がスッピンに成っている。
――――――早く直したい

腹の音は鳴るわ脂が吹き出るわ化粧が取れるわもう大変だ。
こんな忙しいのもやはりBRの所為何だろうか―――?どうして―――?
そういえばさっきから走りっぱなしだ。まるきりマラソンランナー並の持久力。
まぁ、運動能力は自信があるから、当然―――か?
それでも脚がふら付く。膝に手を付きぜぇぜぇ喘ぐ。何かいやらしい声。あんまり出したくないけど。
馬鹿な淫乱女に見えるのは嫌なんだ。プライド―――っていうのかな?こういうの。

とりあえず、まずはこの腹の虫を治めたい。頼むから静かにしてくれ。
そのとき思い出した。急いで支給のディパックのチャックを開けた。ひょこりと見える銃身。
しかも、長い。見えたのはいかにも古いライフル。昔の字体でこう書いてあった。
【四七式歩兵銃】と。大きい事に越した事は無いと思い、なるべくでかいディパックを貰って来たつもりだが、
これは果たして当たりなのだろうか?こんな女の子が銃なんてわかるわけがないじゃない。

歩兵銃は置いておき、ディパックの中にあった胚芽バンズを取り出した。給食にも出た時がある。
それより、不味そう。いかにも低資金って感じがした。角っこに何かこびりついている(カビ!?)。
その妙に黒い部分を千切り捨て、残りのわずかを口の中に放り込んだ。
味は―――しない。むしろ不味い感じさえある。一気に吐き捨てた。
なんともみっとも無い行為だろうか。まぁ、人気の無い今だからこそ行える行為。

改めて四七歩兵銃を見た。木製(?)なのかこれは。とにかく添付の説明書を探さなくては。
そうやって大型ディパックを漁る内に、後ろから何者かが近付いて来るのを気付かなかった。
1m強もあるディパックをほんの紙切れである説明書を探すには時間がかかる。
その内、近付いて来る。刻々と、刻々と―――。

【残り43人】

84ロンリーナイト:2004/05/20(木) 21:49 ID:MCvq8S3Q
kiyosi死んじゃったー
でもウソツキキヨシ。いい感じでした!

85よこせう:2004/05/20(木) 21:56 ID:51ih./Wo
ペンギンさん>はい、頑張りますので応援宜しくお願いします。

ロンリーナイトさん>いい感じと言って頂けて幸いです。
          清史を上手く活かせなくてすみません。まだまだ自分はキャラの活かし方が下手です

86よこせう:2004/05/20(木) 22:17 ID:sXQfqArE
No:31

朱美は先刻からずっとディパックに釘付けだ。大きなディパックの中にある歩兵銃の説明書を探す。
頭に?マークを浮かばせながら、後ろから迫る外敵にも気付く事も無く、説明書を探している。
遂にディパックを逆さまにした。ペットボトルやキーホルダー(大日本帝国万歳と書かれている)等が、
ばさばさ落ちて来る。その中から見つけた。薄っ平い紙切れが。ホントに薄い。
水に浸したらすぐさま溶け落ちて行きそうな位、薄い。色で表すと透明。
そこに黒く、小さな文字で事細かに使用方法が画かれている。
歩兵銃を右手に持ち、説明書を地面に置いて、それを見ながら歩兵銃を手慣れなく動かしていく。
鉄製のコックを引いた。ガシャン、という音がして、弾が装填させられた。
「これでいいのか・・・な?」
引き金を引いた。これも鉄製。結構硬い。腕の筋力を指先に集中させた。
瞬間、ぱん、と爆竹が破裂した様な音がし、朱美は後ろに仰け反った。
「ひっ」
と驚きの声を上げる。目の前にあった木の葉っぱがひらひら舞い落ちてきた。どうやら葉っぱに当たったらしい。
コントロールをつける事は難しそうだ。常にコックを引いて置かなくては―――
そのときであった。後ろから声がした。

「引かないで」
と声がした。びくりとして後ろを振り向いた。そこにはM92Fミリタリーを握った相模魚月(女子)の姿。
朱美は魚月の姿を確認すると、安堵の溜息を漏らした。
「何だ、魚月か」
さほど気に止めない様子で、魚月の持っているミリタリーを見た。
「何だ、貴方も銃持ってんだ。あたしも持ってんの。けど、貴方の方が小さくていいわね」
ふふっ、と自然な笑いが込上げてきた。思わず笑う。けど、魚月は笑わない。
むしろ、真剣さを増して行く。その変わり様を見て、朱美は真剣さを取り戻した。
「わかったわかった、真剣にすりゃいいんでしょ。わかったわよ。真面目に・・・ね」
その一言を聞いて魚月は安心した。一度朱美の方を向き、その後、地面を見つめた。
「そう、それでいいのよ。真面目にして」
はいはい、と面倒臭い様な返事をして、朱美は魚月の方を向き直した。
魚月は一呼吸置き、目を細め、朱美を見つめた。
「見つけたのよ――――――脱出の方法が」

【残り43人】

87よこせう:2004/05/22(土) 21:01 ID:9PTyl7q2
No:32

「脱出――――――!?」
朱美は驚きを隠そうと努めた。だがそれは無駄な努力だった。

脱出―――?本当に―――このクソゲームから―――嘘―――。
朱美の表情を見透かした様に、魚月が口を開いた。
「嘘じゃないわ。本当。事実よ」
朱美は一度下を向き、その後、また魚月の方向を向いた。
「どうやって?」と魚月の眼を真っ直ぐに向き、問い掛けた。
魚月は微かに笑うと頭上を向いた。「方法?それは―――」

その次の瞬間、がさっ、と茂みが揺れる音がした。魚月が素早くM92Fミリタリーを構えた。
銃口は音のした茂みに向けられた。続けて朱美もがしゃん、という音を立て、四七歩兵銃のコックを引いた。
それも、茂みに向けた。
中から現れたのは、学生服に何か付着させている木下聖夜(男子)。

「悪いな、今の話聞いちまったんだ」
聖夜はすまなさそうな顔をした。魚月は怪訝な顔をした。それで、聖夜の全体をまじまじと見た。
「貴方、今までに誰かと出くわした?」
「いや、俺はまだ誰にも会ってねぇよ。脱出する為には仲間が必要だろ?
 だから安心できる仲間を探してたんだよ。そこで聞こえたんだ。
 お前達が話している事を、しかも、脱出って言葉も聞こえたからな」
朱美はへぇっ、と鼻を鳴らすと、四七歩兵銃の安全装置を下ろした。
魚月は用心深く、更に問い詰めた。
「それなら良いけど。貴方も脱出する気?」
聖夜はくすっ、と笑った。「当たり前じゃねぇかよ」
朱美も笑った。それで、ちょっと嬉しい様な仕草をした。
「よかったじゃん、魚月。これで脱出を目指す仲間が増えたじゃん!」
喜びを身体全体で表した。
「よっしゃ、これで決まりだな。俺もお前達の脱出計画案に参加させて貰うぜ!」


朱美と聖夜が喜ぶ中で、魚月は朱美の見逃した物をちゃんと我が眼で見ていた。
聖夜の学生服に付着しているもの―――――血。
彼は誰にも会ってないと言った。もしあの言葉が嘘だとしたら―――。
「ちょっと魚月?早く脱出の方法、教えてよぉー」
朱美の声が聞こえる。魚月は思った。木下聖夜。奴に油断しては駄目だ。

【残り43人】

88瞬坊:2004/05/22(土) 21:10 ID:spKa5Jmg
キタ―――(・∀・)―――

89よこせう:2004/05/23(日) 22:38 ID:yQ12QyV.
おぉ、瞬坊氏ご無沙汰です。

90よこせう:2004/05/23(日) 22:40 ID:OfppNeSw
毎日更新するとか言ってたんですけど部活や家庭の事情により、
更新が遅れます。ホント、すみません。

91バスター:2004/05/24(月) 21:48 ID:b2vkUyzg
時間があったのでまたまとめ読みしました。
やっぱり面白いですね
更新頻度が高いとまとめ読みもボリュームがあります。
これからもがんばってください。

92よこせう:2004/05/24(月) 22:12 ID:6V45GAyQ
No:33

だんだん辺りが蒸し暑くなってきた。Tシャツを着ていない素肌にYシャツ(要するに肉シャツというもの)が、
ビショビショに汗で濡れている。
堪らず真っ黒の学生服を脱ぎ捨てた。それを側にあった石段に投げ捨てた。名札が岩肌に当たり、カツッと音がした。
名札には「上杉」の二文字。

学生服を脱ぎ捨てた上杉千裕(男子)は、さも嫌そうな顔をして、Yシャツを脱いだ。
それほど厚くは無い胸板が露になる。それでも、全然寒くはない。やはりブラジル方面、暑い。
それをディパックの中に入っていた水が入ったペットボトルで更に湿らせた。
こうする事で、汗の臭いや感じを少しでも消す事が出来る。
それ、Yシャツを絞った。ジャーッ、と石段に水が滴り落ちる音がした。
その水もまた、すぐブラジルの猛暑で乾き切る。濡れたYシャツに腕を通す。うっすらと湿った袖口が、
脇に当たり、一瞬、ひやっとしたが、すぐに馴染んだ。

水が蒸発した石段に腰を下ろした。硬い岩肌が臀部に当たる。
腕を膝に置き、辺りを見回した。何処かの公園。BRというクソゲームが行われている物とは思えない程静か。
許されるのならずっとこうしていたい。こう、ずっと、のんびり、のほほんと。
まぁそれが許される事があっても、その後生きていられるという保障は神さんしか知らない。
人間の生き死には神さんが決める。今自分がどれだけ努力し、最善な行動を取ったとしても、生き残る為には、
誰かと出会い、そして殺さなければいけない。そう、殆ど。

死ぬ位なら生きる方が何百万倍もいい。死んだら何もかもパー。生前に人を傷付け様と傷付けまいと、
人を殺そうと殺すまいと死んだらもうどうでもいい。一家の恥?その一家も死んだらどうでもいい。
お互い死んだらもう全て終わり。名誉も恥も全て無に還る。神という者の手によって。全て―――

だったら生き残ってやろうじゃんかよ、まずは三十人。今、何人死んだのか知ったこっちゃねぇ。
ただ三十人になったらフィールドが変更される。そして、二十人―――
止めた。先の事を考える事は大嫌いだ。ぶっつけ本番。行き当たりばったり、それでいいじゃないか。
どうせ先の事を考えても、それと同じ結末が自分を迎えているのなら考えるのが面倒臭い。
とにかく分かっているのは、今自分がぽつんとした公園の石段に腰掛、手には拳銃を握っているだけ。
そう、それだけの事。他の何物ではない今。全てが自分を取り込み、活力とする。

そのときであった、ピーンポーンパーンポーンという甲高い音が聞こえたのは。
聞こえてきたのは脱ぎ捨てた学生服。慌ててそれを拾った。携帯か―――?
いや、こんな着信メロディでは無い。じゃあ、何―――――?
『ごめんごめん、先生言い忘れてたよ。毎回、6時間毎に死亡者のリストを放送するからな、
 それはこの学生服に取り付いているインカムから流されまぁす。あぁ、女子は腕の裾ね。
 だから、学生服は絶対に脱がないでください。情報が聞こえなくなりますよ。
 それじゃあ死亡者リストを報告しまぁす。
 男子3番、秋宮慧君、男子19番、久保宗鑑君・・・男子―――・・・』
その後も延々と死亡者のリストが挙げられた。それを、一つ一つ自分の脳に記憶させる。
それにしても学生服に何時の間にかインカムなんて取り付けられているなんて驚きだ。
ホント、何時の間につけたんだ?
『・・・・・・・・・以上です。皆頑張れよぉ。次回の放送までに沢山死んでいる事を、
 先生は心から望みます!以上!』
すぐさまブツッと機械的な音で切られた。放送では6人の死亡者。
驚いた事に戦力が高い男子が既に5名。女子は蒼火遠音1人。これは驚いた。
確かに今年の女子は可愛らしくないし、何処か冷めた大人の様だ。まぁ、どうでもいい。
拳銃を握る手に力が入る。手触りがおかしいと思ったら、汗が掌に滲んでいる。

臆している―――俺が―――?まさか―――・・・・・・。
瞬間、がさっと音がし、その音に千裕の身体が反応された。音がした方に拳銃を向ける。
そこから現れたのは―――桂弘典(男子)。弘典は満面の笑みを浮かべると、どこか不気味な様子で、
千裕の方に大胆不敵に歩んできた。それに圧倒されている自分が居る事に気付いた。

【残り43人】

93瞬坊:2004/05/25(火) 00:59 ID:QC1nHfTU
今回のBRは女子が強い!

94よこせう:2004/05/25(火) 22:12 ID:RXfhQ.fo
バスター氏>わわわ、返信遅れました(土下座)。
      更新頻度をなるべく上げようと只今努力中です(汗)
      応援ありがとうございまし。

瞬坊氏>そうですね、女子は一癖も二癖もあるキャラが多いので。

95よこせう:2004/05/27(木) 00:24 ID:IONwpDkM
No:34

男、桂弘典は足取り軽やかに千裕に迫ってきた。千裕は軽くうめくと、少し、ほんの少し後ずさった。
その様子を見て、不気味に笑う弘典が少し低い声で尋ねてきた。
「おやおや、どうしましたか?私は貴方の味方ですよ」
その姿、その声、そして、手に持っている拳銃。どれをとっても千裕をおののかせる。
こういうにこにこした奴には結構裏があるもんだ。剥がしてやろう、化けの皮を―――

「上杉君?唐突ながら貴方、私と脱出の方法を一緒に考えませんか?」
来た。先手は奴の方から打って来た。こうやって油断させる。だいたいわかる。
無表情で答えた。「脱出?そんな事出来るのか・・・?」
出来る筈が無い(いや、こいつとなら出来ないが他の連中と組めば・・・)と思いつつ、とりあえず返答。
弘典、いや、その眼鏡を掛け、長身だった事から、【兄さん】の異名を持つ男、は、
今にも顔中からほとばしりそうな笑顔で―――「もちろん!」と答えた。胸くそ悪ぃ。
「できますよ、私と貴方が組めば、楽勝です。政府の連中の眼を眩ませる事だって―――」
「ほぅ」と小さく頷いた。そして考える振りをする。これからの作戦を決めるための時間稼ぎ。
考えている振りをしていると、【兄さん】が「ねっ!できますよ!」とか何だの話し掛けて来る。
うざったい。
出来る事なら今すぐ手に持つ拳銃、ワルサーPPKで蜂の巣にしたい所だ、が、しかし。
―――そりゃまずいだろう。

それより、この気温、はたまた【兄さん】の暑苦しさで汗が沸いて出てくる。
それを濡れたYシャツの袖で拭う。いつしか汗だくの自分。それを見て―――
「上杉君、これを使いなさい」
驚いた事に【兄さん】が進んでMyタオルを貸してくれた。
「ほら、修学旅行でも、一応持っておいた方が良かったでしょ・・・・・・」
ありがたいと思い、千裕は軽く頭を下げると(横から兄さんのいえいえ、という謙遜の声が聞こえてくる)、
素早くそれを受け取った。それで顔の汗を拭おうとした、が、しかし。
止めた。そして汗を拭く振りをすると、それを【兄さん】の手元に返した。
何事もなかったので、【兄さん】は首を傾げていた。

直後、千裕がPPKを対峙する【兄さん】の顔面に向けて構えた。
【兄さん】はひっ、と呻き声をあげると、すぐさま手を挙げた。
「何をするんです!その銃を下ろしてください!」
千裕は無表情にせせら笑った。【兄さん】の顔が悔しさに歪む。
「貴様、俺にこんなタオルで汗を拭けというのか・・・・・・?」
【兄さん】の顔が一瞬、めちゃくちゃに壊れた様な感じがした。それほど、ショック。
「それじゃああんた、このタオルで顔を拭いてくれよ。あぁ?できねぇだろ。
 そりゃそうだな、だってこのタオルには、麻酔薬がかかってんだからよ」
その一言で【兄さん】の額から汗が瞬く間に噴出して来た。
「おい、俺を眠らせて殺そうとするのはよしな。殺すぞ」
完全にきていた。【兄さん】は涙目になると、両手を地面につけて、土下座した。
そして、悲痛なごめんなさいの連呼が延々続いた。
流石にこれは謝りすぎだ。っていうか声が大きすぎて周りの連中に気付かれる。
「わかった、わかった。そんじゃあ今回は見逃してやる。だが、次出会った時は容赦はしない」
ハイ!と小学校低学年の様な返事が返ってきた。それだけ聞くと、後ろを向いて走り去った。

いや、実際には走り去ろうとした。何故なら、後ろを向いた瞬間、撃鉄を起こす音が聞こえたから。
そして、ぱん、という鼓膜を一直線に突き破ろうとする音。そして、眼の前を猛スピードで通過する弾丸。
またもや汗が滞りなく出てくる。後ろを向いた。当然、拳銃を構えた【兄さん】。
「ふざけんなよ・・・調子に乗れば・・・・・・」
【兄さん】の顔にはもう笑顔の一欠けらもなく、憎悪だけが彼を支配していた。

【残り43人】

96リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/05/27(木) 12:54 ID:2KqO5TgA
えっ、兄さん……(謎
凄いキャラですね。続きが気になります。

97よこせう:2004/05/27(木) 22:15 ID:QT6Rj4Nk
No:35

桂弘典(いや、【兄さん】)は、手に持っている拳銃、M8000をこちらに向けた。
「覚えておきましょう・・・・・・調子に乗る物、万物の裁きを受ける」
呆気に取られている瞬間に、もう【兄さん】が引き金を器用そうな手で引き絞った。
ぱん、ぱん、ぱん、という間隔が少ない音がし、直後、頬が焼ける思いをした。
「ぐぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」っと、呻き声をあげる。頬からゆるゆると赤黒い血が流れ出す。
それを手で拭った。真っ赤とは言えない半鮮血が掌に付着する。
その血を見た瞬間、身体中の血が身体中を四方八方に駆け巡る感じがした。
冷や汗が一気に噴出す。すぐさま手に持っているPPKの撃鉄を倒そうとした、が、
倒れない。親指に渾身の力を込めても、ハンマーはぴくりとも動かない。

悪銭苦闘している途中に、もう【兄さん】が発砲してきた。今度はどこにも当たらない。
怖気ついたのか、後ろへくるりと向き直すと、猛然とした勢いで昼間の町内を疾走した。
全力で走っている途中、何度も撃鉄とガチンコ勝負する。圧倒的に、撃鉄が勝った。
逃げ惑う上杉千裕は覚えていた。短距離50m走の記録を。自分、6,5。【兄さん】―――6,0。
僅か零コンマ5の差。されど零コンマ5の差。記録はいつも結果と完璧に比例してくる。
つまり、後ろから迫る【兄さん】との差は、もう既に50mも無い。
さっきは先手必勝、逃げるが勝ち戦法たっぷり100m離れていた。それも―――もう。

脚に全身全てのパワーを注いだ。少し、ほんの少しだけスピードが上昇する。
それでも、殆ど変わりは無い。迫り来る【兄さん】の姿がだんだん大きくなって来る。
そして滞り無く飛来してくる弾丸の数々。流石にあの奇妙奇天烈な【兄さん】でも、
走りながら50m先の動く標的に当てる事は難しかった様だ。
瞬間、相手のスピードが遅くなった。というより、止まった。
大方、マガジンの取替えでもしているのだろう。ありがてぇ。時間をくれてよ!
その隙に俺は変態二重人格野郎ともおさらばってわけよ。

ぱん、という音が痛みと供に身体を貫いた。叫び声を高々とあげると、その場に倒れ伏した。
正座を崩した様な体勢。よくクラビア嬢等のするセクシーポーズみたいな格好。
違うのは、その脚元に今度は真っ赤な鮮血(頬と脚で血の色違うってどんな人間だ俺!?)が小池を作る。
眼を見開き、脚を見た。

――――――穴。
そこには小さな、ほんとに小さな穴が空いていた。それでも、自分の脚に穴が―――。
そしてそこから流れ落ちる真紅の血液。全ての源、それが、今、眼の前で、アスファルトの上に―――。
血はすぐに熱気で蒸発した。だが、【兄さん】は、確実にこちらに歩んで来る。
【兄さん】が眼の前に迫ってきた。痛みで顔を確認する事が出来ない。
【兄さん】はうっすら笑うとこう欺いた。
「走って狙うのは無理ですね、だから、止まって撃ったまでですよ」
先程と打って変わって冷静、平静を取り戻した。【兄さん】は、にこにこしながら、
こちらに銃口を向けた。
「ハイ、死ねー」
ぱん、という乾いた音が、果てしなく続く街路に木霊した。

上杉千裕(男子)死亡
【残り42人】

98ナナ⇒空飛 蝶子:2004/05/28(金) 20:57 ID:BttpxzTM
兄さんのキャラの濃さに爆笑でした。
それに対する上杉君の解釈がなんともナイスだった・・・
みんな戦い方がさまざまで面白かったです。
続きも頑張って下さい。

99よこせう:2004/05/28(金) 22:18 ID:IiPgzmbc
リズコ氏>読んで頂いて光栄でございます。
     実は【兄さん】は自分でも好きなキャラなんですよ。

ナナ⇒空飛 蝶子氏>桂と上杉のナイスコンビですね。
          漫才系?

100よこせう:2004/05/28(金) 23:07 ID:cBsowRUI
★100突破を記念して番外編★

No:00 〜ある日の放課後〜

終礼の号令がかかった。担任の中下のたるい、「さようならー」という声が聞こえて来る。
何人かはそれに対して「さようならー」と答えるが、殆ど誰も返事はしなかった。
ガララッ、と扉を開け、先陣を突っ走っていったのは、風祭達樹(男子)。
真っ先に薄汚れた半壊状態の扉を脚で思い切り開ける。ごきっ、という鈍い音がして、
扉がレールから外れた。達樹はそれを見て、掌で顔を抑える。
「あらあらあら」とスローモーな声がし、教卓の近くから小柄な中下がぬっと現れた。
「達樹は教頭先生の所へ行って謝ってくる事。それで、これを1人で直す事。工具は技術室にあるからね」
達樹の顔がみるみる蒼ざめていった。中下の顔が逆に喜びに満ちていった。
訳は、いつも達樹は授業中も寝ているか漫画を読んでいるか、だけなので、内申を下げたい中下の思惑通り。
「ちぇっ」っと舌打ちをするとおとなしく技術室へ直行した。
その様子を一通り観覧していた女子(例えば高橋優希とか、川守田瀬菜とか)もけたけた笑っていた。
同じく事を見ていた神谷塁(男子)は、一通り見終わり、笑うだけ笑った。特に所属していないので部活には行かない。
現在の時刻は4時。今帰っても特にする事は無い。暇人として校内を廻る事にした。

―――体育館―――
ダンダン、と床を大きく揺らす地響き。眼の前には茶色のボールを華麗にドリブルする三杉龍一(男子)と立花雄吾(男子)。
こちらにコロコロとボールが転がってきた。新入生らしきチビッコがこちらに手を振っている。
それを山なりに返した。新入生が丁寧にお辞儀をした。こちらも軽く会釈した。
よく見れば金城真人(男子)が座って部員が動き回る姿をじっくり見据えている。得体の知れない奴だ。
広い体育館故様々な部が共同で使っている。バレー部には杉浦千夏(女子)。
奥の畳が敷き詰めている場所では、空手部、柔道部、そして剣道部。その剣道部の中に木内政文(男子)が汗を流す姿。

―――グラウンド―――
ただっ広いグラウンド。一周300mという大型なトラック。相沢彰久(男子)がサッカーボールを、
追い掛けている。野球部では旭叉羅(男子)が眠そうにボールを打ち返している。
ここからじゃ良く見えないが、今の世代、殆ど見かけない不良がここから見える。
木下聖夜(男子)を筆頭に、川澄潤(男子)、霧雨時耶(男子)、長谷辰文(男子)、吹岡祥子(女子)。
県内トップクラスの実力を持つこの5人には、あまり関わらない様にしている。

時計を見た。もう6時半。部活が終わり、帰宅する生徒が見える。
そろそろ帰るか。ふと見ると、校門から出てくる風祭達樹。壊した扉をようやく直し終わった
達樹がこちらに手を振っている。どうせ帰り道は一緒なので一緒に帰る事にした。
烏が空に向かい鳴き叫ぶ声が聞こえる―――――


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