したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

繰り返される悪夢【長編】

80よこせう:2004/05/17(月) 22:49 ID:PfLReLmY
No:28

ふぅー、ふぅー、っとある男の苦痛の声が、島内の森に木霊した。
男、春田清史(男子)は、汗だくのシャツを脱ぎ捨て、土一面の自然に身を倒した。
「痛ッ!」
枝や石等の鋭い角を持つ小物が春田清史を休ませようとはしない。
「クソッ!」
清史はイラ立ち、足で地面の枝、石を払い飛ばした。その下に、真っ茶色の地面が顔を出した。
そこに、どかりと腰を下ろした。今度は痛くない。むしろ、土が柔かく自分の下半身を受け止める。
そのまま、慎重に、枝や小石に気を付けて、頭を地面にくっ付けた。
教室から出て、一目散に林道に駆け込み、そして森に入った。
ブラジルの森に熊等は居ないのだろうか?もっとも、プログラム中に熊が暴れたと来れば大問題だ。
まぁ、そんな事は無い様に事前に全て見回り、邪魔な物があれば直ぐ殺したのだろう。
――――どうでもいいが。

何やら落ち着かない。それもその筈。まだ、あれ、を着けていたのか。道理で重い筈だ。
あれ、とは巨大なディパックに入っていたUZIサブマシンガン。
本や映画で見た事がある。サブマシンガンの類では小型の方だが、これでも一端のサブマシンガン。
何キロあるのだろうか。スリングベルトが無ければこんな物とても持っては居られない。
UZIを肩から外した。急に、身体が軽くなった。

だが、このUZIでとうとうクラスのクソバカ供をぶち殺せる。あの連中を蜂の巣にできる。
ふふっ、っと口から自然に笑いが零れた。
思えばこの中学三年間は良い事は一つも無かった。

―――一回、ほんの一回。嘘を吐いただけ。そう、ほんの、小学2年の時に嘘を吐いただけ。
【今日の仮面ライダー2時間スペシャルなんだよー】
只注目されたかっただけ。けど、小学二年にその嘘は大きく期待を裏切るものにあった。
たった一回。その次の日―――【ウソツキキヨシ】という呼び方。
その次の日から俺の名前は【ウソツキキヨシ】。そして今も。昨日も、そう呼ばれた。
小学二年に吐いた嘘。一気にクラスの皆に伝わった。そして、中学卒業後。
自分を【ウソツキキヨシ】といじめた奴が他のクラスの奴にそれを言った。そして広まり―――
小学二年以来、俺は【ウソツキキヨシ】としか呼ばれなくなった。

よってたかって俺を【ウソツキキヨシ】と呼び、いじめてきた連中―――
とうとう―――とうとう―――・・・・・・。

立ち上がった。UZIとディパックを抱えて。俺を【ウソツキキヨシ】と呼んだ連中を殺しに。
さぁ、悪魔のゲームが開始されるぜ。怯え、逃げ惑えクソ供め。

その行く手を阻むかのように、立ち上がった瞬間、眼の前に女が居た。
女は塩野香織(女子)。塩野香織は妖しげな蟲惑的な笑みを漏らすと、清史に近付いて来た。

【残り44人】


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板