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繰り返される悪夢【長編】

38よこせう:2004/05/03(月) 23:11 ID:YS.gEwdw
No:10 試行

さっそく2人目、秋宮慧が死んだ。
だが、そんな事を知るものは、殺した本人、烏丸遙だけだろう。
蒼火遠音(女子)は、どこかの植物園の様な所へ、全力で走って来た。息が辛い。
運動音痴なのは、百も承知だ。けど、それを補う為に積み重ねて来た学業。寝る間も惜しんで。
ほんのわずかな音が命取りになるだろうと思い、ディパックのチャックを、ゆっくり、ゆっくり、静かに開けた。
中を開けて仰天した。―――何?コレ?
中に入っていたのは、トンファー。ド素人が聞くと、何の事かわからないと思う。
けど、クラスの中でも一位、二位を争う知識を所持しているので、何に使うかわかった。
つまり、接近戦用の打撃武器。だが、使いこなすには幾年もの修行が必要とされている、・・・事も知っていた。

「こんなもの・・・・・・!」
遠音は、新品(恐らくそうだろう)のトンファーを植物園の茂みに投げ捨てた。
ガサリと音がする。投げた後で後悔した。
「音が・・・・・・!」
計算され尽くしたこのゲーム。わずかな音も出すまいと慎重に。
その計算され尽くしたこのゲームも、もう仕舞いだ。何?トンファーって。
馬鹿にしてんの?クソ、クソ、クソ。
いつもは冷静を保とうとするが、今はそんな所まで考えが回る筈が無い。
生と死の境目。まさにデッドオアアライブ。生きるか死ぬかの瀬戸際。武器に全てが懸かっていた。
それなのに・・・・・!

とにかく、今は隠れる事が先決だ。とにかく30人になれば一端、別の場所に移動するのだから。
それまでの辛抱だ・・・・・・辛抱・・・だ・・・。
ガサッ、と遠音の隠れている茂みの横から猫が飛び出して来た。
「ひっ!」
と、不甲斐なく叫び声をあげてしまう。もう、駄目だ。ぼろぼろだ。生還・・・できるのか・・・?
こんな状態で・・・?
腹に手をやった。あの水。あの、魔性の水。政府が作ったハイテクノロジーだか知らないけど、
そんなもの飲まされて・・・・・・。
けど、今気付いた。今は、あの担任、中下を殺したあの水に加える、あの光がない。
そうだ、あの兵士が持っていたあの発光機が今はない。
なんで、こんな事に気付かなかったんだろう。今なら、脱出・・・・・・可能・・・じゃ!

頭上を見上げた。大きな看板。【↑1km 流河海岸】
という、看板。
―――海岸?そこから・・・泳げば・・・どこかの島に・・・着く・・・。
その期待に胸を躍らせた。
遠音は、その標識の指す、【↑】に従って、走り出した。
「脱出・・・・・・できる!」

【残り47人】


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